日本消防

平成22年12月10日発行 毎月1回10日発行 第63巻第12号 ● 第22回全国消防操法大会開催
12
2010
日本消防
CONTENTS
12
2010
Vol.63 No.12
口 絵 平成22年度地震等防災対策委員会開催
ラジオ番組「おはよう!ニッポン全国消防団」好評放送中!
(財)日本消防協会
(財)日本消防協会
巻頭言「地域に密着した消防団活動」…………………財団法人 岐阜県消防協会 会長 浅野 辰夫 ……1
第22回全国消防操法大会開催 ………………………………………………………………………………………3
防災展・交流物産展 ……………………………………………………………………………………………………9
「激励交流会」を開催―消防応援団・応援ゲスト参加― …………………………………………………………10
平成22年度消防団長等幹部海外消防事情調査(アメリカコース) …………財団法人 日本消防協会 …11
ラジオ番組「おはよう!ニッポン全国消防団」出演者紹介 …………………財団法人 日本消防協会 …15
住警器Now! ∼第 6 回∼
市内のほぼ全域をカバーする地域コミュニティによる共同購入活動(石川県金沢市)
…………………………………………………………………………………………総務省消防庁 予防課 …19
特別表彰「まとい」を受章して「更なる飛躍をめざして」
………………………………………………………………奈良県大和高田市消防団 団長 闍木 康廣 …22
東西南北(高知県)
「梼原町を守り続ける消防団」
………………………………………………………高知県高幡消防組合梼原消防団 団長 長谷部 悟 …24
東西南北(島根県)
「市民が安心して生活できるまちづくりを目指し」
……………………………………………………………………島根県大田市消防団 団長 中田 正敏 …26
東西南北(香川県)
「安全で安心して住める町、住みたくなる町」
……………………………………………………………………香川県丸亀市消防団 団長 顴田 哲男 …28
シンフォニー(新潟県)
「凛として」 ……………新潟県見附市消防団 消防団本部班長 親松 幸子 …30
シンフォニー(栃木県)目指せ 全国大会!∼ずっと活動を続けられる女性消防団員を目指して∼
………………………………………………………………栃木県那須烏山市消防団 団員 澤野 洋子 …32
頑張れ!少年消防クラブ(北海道)
「地域の皆様から暖かく見守られながらの活動の日々」
……………………………………………………札幌市東月寒少年消防クラブ 指導部長 乙川 明 …34
頑張れ!少年消防クラブ(北海道)
「伏古本町サマーフェスティバルに参加しました。
」
……………………………………………………伏古本町ひまわり少年消防クラブ 部長 寿見 勇治 …35
頑張れ!少年消防クラブ(徳島県)
「うずしお少年少女消防クラブの活動」
…………………………………………………………………鳴門市立鳴門西小学校 6年 柴折 巧 …36
頑張れ!少年消防クラブ(愛媛県)
「久万中学校少年消防クラブの取組みについて」
………………………………………………………………………………久万中学校 教諭 猪上 哲史 …37
頑張れ!少年消防クラブ(高知県)
「学習会の実施について」 黒潮町役場 消防防災係 友永 公生 …38
頑張れ!少年消防クラブ(福岡県)
「相島少年消防クラブの活動について」
……………………………………………糟屋郡新宮町立新宮中学校相島分校 BFC担当 井ノ上光晴 …39
第10回全国中学生「防火防災に関する作文」コンクール審査結果の発表
…………………………………………………………………………生活協同組合 全日本消防人共済会 …40
消防団への入団促進 …………………………………………………………………総務省消防庁 防災課 …42
文化財を火災から守ろう! …………………………………………………………総務省消防庁 予防課 …43
うちの名物団員 ………………………………………………………………………………………………………44
消防団の広場(和歌山県)「地域と共にあゆむ消防団」 …和歌山県有田市消防団 団長 嶋田 浩平 …46
1月の日本消防協会関係行事
編集後記
表紙写真説明
「高知城」
高知城は、市街地のほぼ中央にあり、白壁の天守閣からは眼下に広がる高知市の町並みと周
りの眺望を楽しむことができます。
山内一豊が土佐の領主として慶長6年(1601年)に入国し、大高坂山にその居城として築城
しました。享保12年(1727年)の大火でほとんど焼失しましたが25年後に再建され、全国でも
数少ない古城の一つとして、国の重要文化財の指定を受けております。
天守閣と追手門が一つのアングルに納まる全国でも珍しい高知城の風景、私達高知県民の
「宝」の一つです。
(高知県高知市)
~~~~~~~~~
~~~~~~~~~
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
平成22年度地震等防災対策委員会開催
平成22年11月30日(火)兵庫県佐用町
(財)日本消防協会
ラジオ番組
「おはよう!ニッポン全国消防団」
好評放送中!
(財)日本消防協会
10月放送に出演の赤井英和さん
11月放送に出演の加藤高道(狩人)さん
12月放送に出演の金子絵里さん
巻 頭 言
「地域に密着した消防団活動」
財団法人 岐阜県消防協会 会長 浅野 辰夫
最初に、岐阜県の紹介を若干させていた
しかし、海抜0mの平野から3000メート
ルを超える飛騨山脈など標高の差が激しい
だきます。
岐阜県は日本のほぼ中央に位置してお
ため、この複雑な地形や気候の影響を受け、
り、関市富之保には、日本の人口重心(ひ
これまでに幾度も大きな自然災害に見舞わ
とりひとりが同じ重さとしたときに日本全
れました。
体の人口を一点で支える点)があります。
さて、前置きが大変長くなりましたが、
面積は約1万621平方キロメートルで、全
今、岐阜県消防協会が県民の安全・安心確
国第7位の広さを誇り、7つの県に囲まれ
保のために、地域に密着した消防団活動と
た数少ない内陸県です。
して取り組んでいる事業について、少々触
県の人口は、1983年(昭和58年)に200
れてみたいと思います。
万人を超え、その後も増え続け平成17年の
本県の消防団は、本年10月現在42市町村で
国勢調査では210万226人で、日本の総人口
46団、2万1,206人(うち機能別消防団員803
の1.6%を占め、全国第17位です。
人・女性消防団員345人)となっています。
「岐阜」の地名は、稲葉山に居城を移し
た織田信長が、尾張の政秀寺の禅僧である
沢彦宗恩が進言した「岐山・岐陽・岐阜」
団員数は、全国的な傾向同様に減少の一
途をたどっています。
消防団員の確保は、大変大きな課題であ
の3つの候補の中から、天下統一を目指す
り本県においてもこれと言った決め手の対
信長は「岐阜」の名称を選んで、稲葉山城
策が無いのが現状であります。団員の約8
いのくち
下付近の「井口」を「岐阜」に改めたとい
割がサラリーマンで全国と同様の状況にあ
われます。
ります。
岐阜県の地形は、北部の地域では、御嶽
このような背景の中、団員確保を困難に
山・乗鞍岳・奧穂高岳など標高3000メート
している要素の一つとして「消防団の訓練
ルを超える山々が連なっています。
が厳しいとか消防操法訓練が過酷であるか
一方、南部の美濃地域は濃尾平野に木曽
ら」消防団員にはなりたくない。或いはな
三川(木曽川・長良川・揖斐川)が流れ、
り手が無いとの声もよく耳にします。この
特に長良川中流域は「日本の名水百選」に
ことは消防団活動の真の姿が地域住民に十
選ばれるほど、美しい清流です。
分に理解されていないことが背景にあると
このように、自然に恵まれている岐阜県
思います。
は、古くから「飛騨の山」
「美濃の水」とい
今、地域の消防防災対策等は、県(消防
う意味で「飛山濃水」と呼ばれてきました。
防災部局)、市町村(防災部局、消防本部、
1
消防団)でそれぞれハード面、ソフト面の
動に対する理解を図るものです。
対応をされており、ハード面の整備はそれ
特に、この事業は、減災をめざす三つの
なりに進んでいると思われますが、ソフト
柱「自助」
「共助」「公助」のうちの最優先
面の対応については中々進まないのが現状
項目である「自助」について、現在、岐阜
でないかと思います。
県が取り組む防災施策の一つである「自助
このことから、当協会においてはこのソ
実践200万人運動」の推進に大きく寄与す
フト面に着目し、昨年から消防団の地域活
るものであり、防災の原点である「自分の
動に対して助成を行い、地域での消防団の
命は自分で守る」の理念を地域住民に理解
積極的な活動を促し「消防団と地域住民の
していただく良い機会となっています。
繋がり」をより深くすることにより、消防
消防団と地域住民の繋がりを深めるため
団を正しく理解していただくための事業に
の協会事業についてその一部を紹介しまし
取り組んでいます。
たが、消防団員の資質向上も地域に密着し
その一つが「地方消防協会活動支援事業」
です。
た消防団活動を進めるためには重要で不可
欠な課題であり、「教養支援事業」として
この事業は、各消防団が地域において地
県消防学校が行う消防団教育について公開
域住民を対象として消防団活動を行う場合
講座の形で喫緊の課題等について著名な講
に協会から一定額の補助を行うものであ
師を招聘し、その費用の一部について助成
り、具体的には消防団員が「応急手当普及
を行っています。この講座は、消防職員の
員」又は「応急手当指導員」の資格を取得
課程も対象としており、毎年、職・団員教
し、消防本部が行う「普通救命講習」の講
育について各2課程ほどを実施し、毎回、
師の一員として参画した場合に助成対象と
学生数を超える聴講者が有り、消防団員の
しています。この事業の効果は、従来、消
資質向上に大きな成果を収めています。
防本部職員のみで行っていた普通救命講習
以上、地域住民の消防団に対する理解を
に消防団員が講師として参加することで、
深めるための岐阜県消防協会事業の主旨に
地域住民に対し消防団の新たな分野の活動
ついてご紹介をさせていただきました。
を認識していただくことができます。この
従来、消防団活動は災害現場での活動を
事業の他の活動内容としては、高齢者世帯
除いて、平常時は厳しい訓練(消防操法等)
や独居老人等に対して自力では設置が困難
を中心とした活動を行う組織としてのイメ
な「住宅用火災警報器」の設置を消防団員
ージが地域住民に有り、消防団に対してア
が行った場合にも、地域住民に繋がった消
レルギーがあるようです。
防団活動として助成の対象にしています。
このアレルギーの解消を図るためには、
更に消防団と地域住民の繋がりを深める
今日の消防団活動は従来とは違って、地域
別の事業として、「防災士育成補助事業」
住民の安全・安心確保のために地域住民に
も行っています。
密着した活動を行っている組織であるこ
この事業は、消防団員に「防災士」の資
と。そして、この活動は、地域住民と一体
格を取得させ、自治体等が行う住民を対象
となってはじめて功を奏すものであること
として防災訓練、防災研修会、防災講座等
の重要性について、地域住民の理解を深め
の講師として防災士資格取得消防団員の活
るため更なる消防団活動の充実に取り組ん
用を図ることにより、地域住民の消防団活
でまいりたいと思います。
2
第22回全国消防操法大会開催
平成22年11月12日(金)、第22回全国消防
開会式は、日本消防協会旗入場、日本消防
操法大会(主催 総務省消防庁・財団法人日
協会木村副会長の開会宣言の後、国旗掲揚、
本消防協会)が、愛知県蒲郡市の蒲郡ボート
前回大会優勝チーム、岡山県和気町消防団
レース場において、約1万5千人が参加し、
(ポンプ車の部)、福岡県福岡市西消防団(小
型ポンプの部)からの優勝旗の返還後、久保
盛大に開催されました。
今回の大会は、愛知県、蒲郡市並びに愛知
県下関係機関のご支援ご協力を得て、中部圏
消防庁長官と高木日本消防協会会長が、主催
者挨拶を行いました。
では初めて開催することとなりました。同時
続いて神田愛知県知事、岩闢全国消防長会
開催の防災展、交流物産展との相乗効果によ
副会長(全国消防長会会長代理・名古屋市消
り、消防関係者に限らず、広く一般の方にも
防長)からの祝辞、金原蒲郡市長から、歓迎
ご覧いただき、消防団の活動について理解を
のことばがありました。
深めていただくことができました。
そして各都道府県出場隊を代表して、岡山
大会は、総括指揮者である福岡県須恵町消
防団 長澤慎二団長を先頭とした出場隊の
県和気町消防団、石野将造班長による力強い
選手宣誓が会場に響きました。
堂々たる入場行進で始まりました。
久保消防庁長官主催者挨拶
神田愛知県知事来賓祝辞
高木会長主催者挨拶
岩闢全国消防長会副会長来賓祝辞
金原蒲郡市長歓迎のことば
3
宣誓 我々選手一同は、都道府県代
表として、出場できたことを、この
上ない名誉とし、今まで支えてくれ
た、地域の方々、指導者、家族への
感謝の心を忘れず、消防精神を、深
く認識し、本大会を辞退することに
なった宮崎、鹿児島、両県の同志の
思いを胸に、一操入魂で、同じ夢に
向かって、共に汗を流した仲間と、
日頃の訓練の成果を、遺憾なく発揮
することを、ここに誓います。
岡山県和気町消防団 石野班長の選手宣誓
◎ 操法競技
操法競技は、10時00分より開始。第1コース、第2コースをポンプ車の部、第3コースを小型
ポンプの部として熱い戦いが繰り広げられました。
4
ポンプ車の部
小型ポンプの部
操法開始
操法開始
ホース延長
ホース延長
ポンプ車の部(続き)
小型ポンプの部(続き)
ホース延長
ホース延長
2線目延長
放水
放水
点検報告
5
◎ 救助等訓練展示
操法競技終了後、表彰式までの時間を利用して、総務省消防庁と財団法人日本消防協会
が貸与、交付している標準的な救助活動用の資機材を搭載した車両を使用した訓練展示が
行われました。
今回は、愛知県内の4消防団(豊橋市消防団、安城市消防団、蒲郡市消防団、北名古屋
市消防団)が、それぞれ積載資機材を活用し、大地震により建物が倒壊し多数の住民が閉
じ込められ、さらに火災が発生したとの想定で、消防団による救助活動や応急救護及び消
火活動等震災時における一連の活動を展示し、消防団の幅広い活動の重要性と地域防災に
果たす役割を広くアピールしました。
倒壊家屋からの救出訓練
がれきからの救出訓練
6
AEDを用いた救命処置
車両からの救出訓練
消火訓練
☆ 審査結果発表、表彰式、閉会式
渕上審査長から競技審査結果が発表され、引き続き表彰式が執り行われました。ポンプ
車の部、小型ポンプの部とも優勝隊(各部1隊)には、消防庁長官賞と日本消防協会会長
賞が、準優勝隊(各部3隊)・優良賞隊(各部6隊)には日本消防協会会長賞が授与され、
最後に日本消防協会会長特別賞として、優秀選手賞が各操作員の合計9名に授与されまし
た。
表彰式終了後、引き続き閉会式が行われ、一ノ瀬愛知県消防協会副会長のご発声により
「万歳三唱」を行った後、芳野日本消防協会副会長の「閉会宣言」により、第22回全国消防
操法大会の全日程を終了しました。
7
第22回全国消防操法大会結果
消防庁長官表彰・日本消防協会会長表彰(優勝隊 各部1隊)
ポンプ車の部 鳥取県江府町消防団
小型ポンプの部 兵庫県福崎町消防団
日本消防協会会長表彰(準優勝隊 各部3隊)
ポンプ車の部
長崎県壱岐市消防団
小型ポンプの部
岡山県和気町消防団
高知県いの町消防団
広島県福山市消防団
茨城県常総市消防団
新潟県新潟市消防団
日本消防協会会長表彰(優良賞隊 各部6隊)
ポンプ車の部 長野県富士見町消防団
小型ポンプの部
山口県山口市消防団
秋田県大潟村消防団
宮城県石巻市雄勝消防団
栃木県上三川町消防団
愛知県大口町消防団
富山県富山市消防団
東京都大森消防団
福岡県須恵町消防団
愛媛県伊方町消防団
静岡県富士市消防団
福島県南会津町消防団
日本消防協会会長特別表彰(優秀選手賞 各操作員1名)
ポンプ車の部 指揮者 高倉 忠(北海道旭川市消防団)
1番員 高木 茂之(秋田県大潟村消防団)
2番員 森田 祐基(鳥取県江府町消防団)
3番員 北村 勇介(鳥取県江府町消防団)
4番員 篠村 友紀(鳥取県江府町消防団)
小型ポンプの部 指揮者 石野 将造(岡山県和気町消防団)
1番員 小森 健司(岐阜県揖斐川町消防団)
2番員 水田 政晴(兵庫県福崎町消防団)
3番員 有吉 博之(岡山県和気町消防団)
8
◎ 名古屋市消防音楽隊演奏
式典中の演奏をはじめ、休憩時間にはカラーガード隊「リリーエンゼルス」も加わりその演奏、
演技で大会を盛り上げていただきました。
防 災 展・交 流 物 産 展
隣接会場では、日本消防協会、愛知県、愛知県消防協会、蒲郡市の主催により、防災展、交流
物産展が開催されました。
9
「激励交流会」を開催
―消防応援団・応援ゲスト参加―
出場選手の激励と選手及び消防関係者の交流を図る為に大会前日の11月11日(木)に激励交流
会が開催されました(会場 蒲郡市 ホテル竹島)。
各都道府県出場選手や消防関係者など750人の方々が参加し、消防応援団の皆様及び愛知県や東
海地方にゆかりのある応援ゲストの方々からも激励の言葉を述べていただきました。
● ご出席いただいた消防応援団・応援ゲストの方々
【消防応援団】
・菅原 文太さん(俳優)
・水前寺 清子さん(歌手)
【応援ゲスト】
・大和田 獏さん(俳優)
・立浪 和義さん(野球解説者)
・小椋 久美子さん(元バトミントン選手)
・葵 かを里さん(歌手)
・清水 由紀さん(女優)
◎消防応援団、平野啓子さん(語り部)は、操法大会にご出席いただきました。
10
平成22年度消防団長等幹部海外消防事情調査
(アメリカコース)
平成22年10月13日(水)∼10月21日(木)
財団法人 日本消防協会
全国の消防団幹部等消防関係者が、海
神のもと、自分の仕事を持ちながらほとん
外の消防制度、消防活動の実態を調査す
どが無報酬で活躍しています。そのレベル
るとともに、各国消防との相互理解と交
の高さに驚くとともに、義勇消防を支える
流を深めることにより、海外の消防に関
アメリカンスピリットを感じ、我が国の消
する見聞を広め、我が国消防の発展に寄
防体制のあり方を考える上で大変意義深い
与することを目的として、今年度は、ア
ものでした。
メリカ合衆国のニューヨーク市、ボスト
今回も、各視察先で消防関係者等の心温
ン市、サンフランシスコ市などの消防本
まる歓迎を受け、また、それぞれの消防組
部、訓練施設、航空基地などを視察しま
織、活動、装備等について親切な説明を受
した。
けるとともに各消防車両、訓練等を見学す
アメリカの義勇消防は、常備消防と同
ることができました。ハードな日程でした
じ車両と資機材を保有し、それぞれの隊
が事故等もなく所期の目的を達成でき、大
員が「我が町は、我々が守る」という精
変有意義な視察を行うことができました。
ロードアイランド州ユニオン地区義勇消防本部の訓練施設で現地隊員と記念撮影
11
ニューヨーク市消防局視察
ニューヨーク市では、9.11・テロ事件の現場、世界貿易センタービル跡地、グランドゼ
ロに隣接する消防署を視察し、職員から当時の状況を聞きテロ事件の際の惨状や犠牲が目
に浮かび身が震えました。343名の殉職された消防士の活動にあらためて敬意を表するとと
もに心からご冥福をお祈りします。
また、4年の年月と30億円により建造した最新の、消防艇「ファイヤーボート343」を視
察しました。この消防艇の名前は、テロ事件で亡くなった消防士の人数343人から名付けた
ものです。
消防署車庫にてテロ事件で残った車両の一部
車両説明の様子
世界貿易センタービル跡地
最新鋭の消防艇「ファイヤーボート343」
消防艇説明の様子
12
ユニオン地区義勇消防本部視察
ロードアイランド州のユニオン地区義勇消防本部を視察しました。200人の隊員をもつ、
この義勇消防本部においては、訓練、災害において常に意識をもってSAFETY(安全第一)
が大切であると全隊員に対し徹底していました。
総工費10億円の訓練場で、コンクリート造3階建て建物の内部で火災を発生させ、その
消火活動訓練を現地の義勇消防隊員と視察団員が合同で行いました。これは、日本でもな
かなかできない貴重な体験でした。
訓練場
消防車両
呼吸器説明の様子
火災想定訓練の様子
消火活動訓練の様子
消火活動訓練に参加した視察団
13
カリフォルニア州森林火災予防局視察
カリフォルニア州サクラメントでは、カリフォルニア州森林火災消防局を視察し、州と
しての防災体制や航空機を使用しての林野火災対策について説明を受けました。
この消防局は、森林火災等に対応する大小の航空機約50機、ブルドーザー60台などを保
有し、また、地上消火部隊、航空部隊、救急、危険物事故、爆発処理、都市検索救助など
の部隊を有し、常勤の消防職員3,800人、季節雇用隊員2,200人のほか、ボランティアや囚人
などが消火活動を行っております。大規模な林野火災に対応する強力な消防力でした。
概要説明の様子
航空機説明の様子
ヘリコプター説明の様子
特殊車両
特殊車両説明の様子
14
ラジオ番組「おはよう!ニッポン全国消防団」
出演者紹介
財団法人 日本消防協会
平成22年8月放送分に出演の消防応援団
武田 修宏さん
8月7日又は8月8日放送
岩手県 雫石町消防団
分団長
上中屋敷 俊彦さん
この度は、元
サッカー日本代
表でサッカー解
説者の武田さん
との会談とあっ
て、幾分緊張し
ましたが、とて
も良い思い出が
できました。あ
りがとうござい
ました。
今後とも団活
動にまい進した
いと思います。
8月21日又は8月22日放送
8月14日又は8月15日放送
山口県 下松市消防団
部長 谷 佐恵子さん
静岡県 森町消防団
副団長 鈴木 宏和さん
「最初は緊張しましたが、同じ静岡県出身の武田
さんと楽しくお話することができました。全国に
森町消防団をPR出来てよかったです。
」
サッカー元日本代表で、サッカー解説者の武田修
宏さんとお話が出来たなんて夢のようです。やさ
しい声をお聞きしてますます緊張しましたが、下
松市消防団の事をお話出来てとてもうれしかった
です。「頑張ってください」というお言葉を励み
に“ぶちがんばります”
。
(* ぶち=山口県の方言で、とてもとか大変と
いう意味です。)
15
8月28日又は8月29日放送
平成22年9月放送分に出演の消防応援団
徳光 和夫さん
宮崎県 都城市都城消防団
団員 倉山 幸一さん
消防団活動には色々な活動があります。これから
も、自分にできる消防団活動を、楽しく、一生懸
命、素敵な仲間達としていきます。
9月4日又は9月5日放送
9月11日又は9月12日放送
新潟県 長岡市消防団
団長 櫻井 守さん
このたびは、大変お世話になりました。
放送を通じ、越後長岡藩に伝わる米百俵の精
神も少しはPRできたのではないかと思いま
す。そしてもう一つお伝えしたいのが「常在戦
場」の心得。
災害にいち早く対応するため、常に日ごろか
らの備えを心掛けており、写真の扁額は、先輩
である消防団幹部OB会から寄贈されたもので
す。
16
埼玉県 所沢市消防団
団員 渡辺 由加里さん
徳光さんから、あたたかいエールを頂き改め
て、所沢市女性消防団に入団して
よかった。また、明日からも頑張ろうと思う
対談ができて、良かったです。
9月18日又は9月19日放送
三重県 松阪市消防団
副団長 安保 正巳さん
松阪市消防団は、地域の皆様方のご支援や団員
のご家族の支えにより、使命である火災や風水害
など各種災害から市民の生命・身体・財産を守る
ため、常日頃から訓練を重ね頑張っております。
これからも松阪市消防団は、常備消防と協力す
ることはもちろん、自ら考え、計画し、訓練等を
行い、積極的な消防団活動を展開し、市民の安
全・安心の確保に努めていきます。
9月25日又は9月26日放送
鹿児島県 姶良市消防団
団員 及川 幸晴さん
「徳光さん山本さんありがとうございました。こ
れからもアイラ仮面がんばります」
10月1日又は10月2日放送
平成22年10月放送分に出演の消防応援団
赤井 英和さん
福島県 いわき市消防団
団員 平田 正人さん
ラジオ出演なんて初めてで、その上いわき市消
防団代表というプレッシャーで対談前まで緊張は
ピーク状態でしたが、赤井秀和さんの明るい関西
弁で気持ちがほぐれ楽しく対談する事ができまし
た。これからも消防活動も仕事においても、はし
ご乗りのように昇り続け魅力ある団員、粋な居酒
屋店主になれるように精進していきたいと思いま
す。
17
10月 9 日 又 は 10月 10日 放 送
10月15日又は10月16日放送
兵庫県 神戸市消防団
団員 富田 宏和さん
千葉県 船橋市消防団
班長 中島 みゆきさん
貴重な経験をさせて頂いたと思います。
赤井秀和さんから、エネルギーを頂きました。
これからも、出来る事を少しずつ…育児・仕
事・家事・消防団、笑顔で頑張って行きたいと思
います。
10月22日又は10月23日放送
徳島県 佐那河内村消防団
団員 栗坂 政史さん
有名な赤井さんとお話しができてうれしかった
です。
常備消防がない村だけに、今後も村民の期待に
そえるようがんばります。
18
赤井英和氏はかつてスポーツ事故で生死の境か
ら不死鳥のごとく甦り、現在大活躍の俳優・タレ
ントです。赤井氏主演の「ありがとう」の主人公
も阪神淡路大震災の失意の中から蘇り、人生の中
途から余人が困難なプロゴルファーとして再起さ
れます。これは見事なリハビリテーションの例と
思います。
いずれも失ったものを、いつくしみながらも新
しい道を開拓されたのは感動の何者でもありませ
ん。病気や事故は誰にも起こりその治療や訓練だ
けでなく、予防することもまたリハビリテーショ
ンであることを多くの方に知っていただく機会に
なれば幸せです。
最後に赤井氏と小生が大学時代同窓であったこ
とは何かのご縁だと感謝しております。
10月30日又は10月31日放送
熊本県 山鹿市消防団
団長 古家 正一さん
ラジオ番組出演ということで大変緊張いたしま
したが、同年代の赤井英和さんと山本アナウンサ
ーのおかげで楽しく対談することができました。
今後も、地域に密着した消防団員の育成に尽力
していきたいと思います。
住警器Now! ∼第 6 回∼
市内のほぼ全域をカバーする地域コミュニティによる共同購入活動
(石川県金沢市)
総務省消防庁 予防課
∼イントロダクション∼
●住警器の普及にあたっては、地域のコミュ
ニティによる綿密・丁寧な働きかけが大き
な効果を発揮するケースも多く見られます。
●今回は、市内のほぼ全域をカバーする大き
なコミュニティである「金沢市婦人防火ク
ラブ協議会」において、実施・推進された
共同購入の事例を紹介します。
取組主体
人数等
消防署等
金沢市婦人防火クラブ協議会
56クラブに5,090人所属
金沢市消防局
職員数
409人
地 域
石川県金沢市(中核市)
人口/世帯数
キーワード
45万4,607人/18万776世帯
●広報・周知
(説明会、アンケート・回覧)
●共同購入
(1)地域・取組主体の概要
金沢市婦人防火クラブ協議会は、金沢市内
の62校区のうち、56校区に設置された婦人防
火クラブが所属する団体である。金沢市では
1校区あたり平均約20の町から構成されてお
り、同協議会に所属している人員は5,000人を
超える。
昭和56年に設立された同協議会では、これ
までにも、エアゾール式簡易消火具購入の普
及促進のほか、普通救命講習会や消火器取扱
技術指導等、防災に関する幅広い活動を行っ
ている。
(2)共同購入の取組概要
金沢市婦人防火クラブ協議会では、消防法
の改正に伴い平成18年から住警器の設置義務
化が開始されたことを受け、協議会の会長が
主体となり、町会や消防団の連合会へと働き
かけを実施。説明会や共同購入の実施におけ
る協力体制を整えた。また、各校区や町会の
集会においても丁寧な説明会を実施し、各地
域での意識啓発も積極的に行った。
説明会を実施した後は、平成18年12月頃よ
り、婦人防火クラブごとに共同購入のチラシ
配布及び購入の取りまとめを実施。平成19年
の5月までに、計3,949世帯に対し、1セット
3個組の住警器を4,003セット、計1万2,009個
●集金方法の工夫
●設置確認
(戸別訪問)
●設置支援
︵
普
及
期
︶
︵
展
開
期
︶
平成18年9月∼
町会や消防団の連合会等への協力依頼開始
①地域の他のコミュニティとの連携
平成18年12月∼
住警器の共同購入・配布
②綿密・丁寧な説明会の実施
③共同購入による住警器の安価な購入
④コンビニ決済によるスムーズな集金
⑤地域ネットワークによる設置のフォロー
の住警器の共同購入・配布を行った。
(3)工夫点の紹介
工夫点①:地域の他のコミュニティとの連携
●実施内容
金沢市婦人防火クラブ協議会では、共同購
入推進を決定した後、日頃の活動におけるネ
ットワークを活かし、同じ地域の町会や消防
団の連合会に働きかけて協力を依頼。説明会
や共同購入に関する協力体制を整備した。
地域内に複数のコミュニティが存在するた
19
め、特に取組初期においては、同協議会の会
長が主体となり連携の調整を行った。これに
より、共同購入におけるチラシ配布や取りま
とめ等、後の活動全体をスムーズに進めるこ
とができた。
●ポイント
地域コミュニティが一体となり、地域の住
民への周知等を行うことは、住警器の設置普
及においては非常に重要な取組となる。しか
しながら、地域には婦人防火クラブ、町会、消
防団等、様々なコミュニティが存在することが
多く、活動の内容が重複することもあり得る。
この事例においては、金沢市婦人防火クラ
ブ協議会が主体となって取り組むことを決定
した後、すぐに他のコミュニティへの協力依
頼を実施している。工夫点②にも共通するこ
とであるが、これにより、金沢市全体という
比較的広い地域を対象に活動した共同購入
が、全体としてスムーズに進められた。
の底上げを図っている。また、説明会を進め
る中では、既に町会単位等で共同購入を行っ
ていたケースに遭遇することもあり、そうし
たコミュニティとの調整を行うことができた
ことも、大きな効果であるといえる。
こうした綿密・丁寧な取組により、各婦人
防火クラブが実施した取りまとめは、大きな
トラブルもなく、成果を上げることができた。
説明会の様子
工夫点③:共同購入による住警器の安価な購入
●実施内容
金沢市婦人防火クラブ協議会が、地元の消
防機器販売協会と連携し、住警器の共同購入
を行った。同協議会が取りまとめを行い、大
量に発注することで、購入価格を抑えること
ができた。また、寝室2つ、階段1つ、合計
3個は最低限必要という観点から、3個1セ
ットでの販売を行った。
斡旋活動の様子
工夫点②:綿密・丁寧な説明会の実施
●実施内容
取組開始後、平成18年12月に各婦人防火ク
ラブを対象に共同購入の手続き等に関する合
同説明会を行った他、金沢市婦人防火クラブ
協議会の会長が中心となり、町会、消防団等
の各地域の様々な集会において、住警器設置
普及に関する説明会を実施した。
●ポイント
工夫点①に挙げた各コミュニティの連合会
のみならず、各町会、消防団にも直接訪問し、
丁寧な説明会を開くことで、地域全体の意識
20
広報チラシのサンプル
●ポイント
購入価格については、他の事例と同様、取
りまとめて大量購入を行うことにより、1個
あたりの購入価格を抑えることができている。
工夫点④:コンビニ決済によるスムーズな集金
●実施内容
住警器の代金を確実に集金する方法とし
て、銀行と連携し、コンビニ決済による方法
を導入した。この方法により、トラブルもな
く、確実な集金を行うことができた。
●ポイント
住警器は単価が比較的高く、大量に取りま
とめた際にはさらに高額な代金を扱うことに
なるため、確実な集金や集めた代金の管理が
課題の一つとなる。
この事例においては、銀行と連携し、コン
ビニでいつでも振込みが行えるサービスを活
用し、確実な集金を行うことに成功している。
また、サービス利用の手数料については、共
同購入による購入代金の値下げ分より捻出
し、導入を行った。
コンビニでの振込用紙のサンプル
工夫点⑤:地域ネットワークによる設置のフォロー
●実施内容
購入された住警器は、婦人防火クラブ等の
ネットワークを介し、各家庭へと配布された。
また、配布後は、民生委員が訪問した際に住
警器が設置されているかどうかの確認が行わ
れるようにし、設置されていない場合にはそ
の地域の婦人防火クラブ、町会、消防団等と
連携して確実に設置されるようフォローを行
った。具体的には、民生委員が使用するチェ
ックシートに、住警器設置に関する項目の追
加等を行った。
●ポイント
配布した住警器が実際に活用されるために
は、正しい方法で設置される必要がある。こ
の事例においては、地域のネットワークを活
用し、設置のフォローまでを行っており、非
常に効果的な取組である。
民生委員の調査票のサンプル
(4)その他のポイント等
●これまでの取組におけるノウハウの活用
金沢市婦人防火クラブ協議会が、住警器の
共同購入をスムーズに進めて来ることができ
た背景には、これまでの取組によるノウハウ
の蓄積があることも挙げられる。同協議会は、
木造住宅が多く、路幅が狭い箇所が多くある
という特性を持った地域において、防火への
取組が必要との意識から昭和56年に結成され
たコミュニティである。
今回の住警器に関する取組においては、以
前に取組を行ったエアゾール式簡易消火具購
入の取組における反省点も活かされている。
具体的には、消火具購入の際は集金を現金で
行っていたが、その際に集金に非常に多くの
労力を必要とした経験を踏まえ、コンビニ決
済の活用というアイデアへとつながった。
このように、長年の取組の中で得たノウハ
ウ等を活用することも、効果的な活動展開に
おいては重要な観点となる。
次回は、自治体やコミュニティが大きいほど、
同一の取組を推進するのは難しい状況が見られる
なか、市や防災協会が主体となり、市内全域で共
同購入を実施した「防災協会が主体となった政令
市全域での共同購入の取組(取組主体:京都市防
災協会(京都府京都市)
)
」を紹介します。
なお、本ノウハウ集は消防庁ホームページ(住
宅防火情報)でもご覧いただけますので、参考と
してください。
〈リンク先〉
http://www.fdma.go.jp/html/life/juukei.html
21
特別表彰「まとい」を受章して
「更なる飛躍をめざして」
奈良県大和高田市消防団 団長 闍木 康廣
はじめに
qqqqqqqqqqqqqqqq
平成22年2月10日、日本消
防会館にて「第62回日本消防
あい
協会定例表彰式」が厳粛かつ
盛大に挙行され、消防団最高
の栄誉であります特別表彰
「まとい」を我が大和高田市
消防団が受章いたしました。
全国2,400有余の消防団の中
から我が消防団がこの栄誉あ
る表彰を受章することは、
我々消防団員はもとより、大
和高田市民、消防関係者にと
りましてもこの上ない喜びであり、誇りとす
るところであります。
これもひとえに市民の皆様の消防団に対す
るご理解とご協力、更に日本消防協会、奈良
県、奈良県消防協会、消防関係各位のあたた
かいご支援の賜物と深く感謝申し上げます。
また、これまで歴史と伝統の中で市民の安
全を守り続けてこられた諸先輩方と陰で支え
てこられた家族の皆様に対しまして、深く感
謝申し上げます。
今回の受章の栄誉をひとつの契機として団
員相互の連携をより強化し、消防団組織の結
束を図り、地域の安全と信頼のため一層精進
を重ねていく決意でございます。
『i あるまちいわぬま 市民の安心・安全を守る消防団』
大和高田市の紹介
qqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqq
地理的に奈良県の北西、奈良盆地の南西に
位置し、面積16.49裄の狭隘な市域ながら、7
万1千人の人口を擁し、古くから交通の要衝
の地として栄え、商工業を中心に発達してき
た歴史のある都市であり、今日まで奈良の中
22
南和地域の経済、行政などあらゆる分野での
中心として発展してきました。
地形は、北部の馬見丘陵の一部を除き全市
域がほぼ平坦であり、逆三角形の市域を、大
和川支流、高田川、葛城川の二河川が南北に
貫流し、これらの自然堤防の微高地に市街地
が形成されています。
大和高田市消防団の沿革
qqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqq
大和高田市消防団の歴史を遡っていくと明
治27年に公設高田消防組として、腕用ポンプ
1台、組員33名で組織されたのが創始といわ
れています。
大正12年に蒸気ポンプを配備、更に昭和4
年にシボレーのポンプ自動車を配備する等、
機械器具の拡充につとめました。昭和14年警
防団令の公布により、高田町警防団消防本部
として活動し、昭和22年消防団令の公布によ
り、高田町消防団として、ポンプ自動車2台、
手曳きガソリンポンプ6台、6個分団240名
に改組されました。
さらに翌昭和23年1月の市制の施行に伴
い、大和高田市消防団と改称し、昭和29年4
月、1個分団の定員を20名に改め6個分団
120名となりました。その後、昭和31年4月
に2個分団を増設、8個分団とし、同年9月
陵西村を合併し、10個分団200名の体制とな
りました。
以後天満村合併等もあり、昭和34年4月、
ポンプ自動車9台、手曳きガソリンポンプ4
台、11個分団182名に組織改革を行った。昭
和43年4月、ポンプ自動車10台、10個分団
162名に改め、昭和56年4月、1個分団を増
設、ポンプ自動車11台、11個分団172名に改
定されました。
平成9年9月に女性消防団(愛称コスモス)
を22名により結成し、女性消防団を含む12個
分団・団長以下192名となり現在に至ってい
ます。
消防活動
qqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqq
本市は非戦災都市のため、狭い道路に木造
家屋が連担し、ことに、市街地中心部の道路
はアーケードに覆われ、商店街が連なってい
ます。
また、中和商工業の中心地で繊維関連の工
場が多く、また大阪近郊のベッドタウンとし
て、中高層マンションも多く点在し、これら
の火災危険に今後対処するものとして、消防
の近代化が強く要求され、すなわち施設の整
備充実と、これらを活用する資質の向上に、
常にたゆまぬ努力が必要であります。大和高
田市消防団は、本部及び12個分団からなり、
団長以下192名の団員と消防ポンプ自動車11
台の陣容により、日夜災害活動に従事してい
ます。
平成9年9月1日、女性消防団(愛称コス
モス)が決断され、女性のもつ繊細な感性を
生かし、火災予防についての広報、指導を中
心に活動し、また火事現場においては細やか
な気配りや、情報収集をすることで、地域住
民の交流を密にすることが出来、消防団活動
の活性化や地域社会にも貢献できるものと、
住民から大いに期待されています。
おわりに
qqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqq
近年、社会環境の変化に伴い、災害の形態
は複雑化、大規模化の傾向を示しており、地
域住民の消防に対する期待はますます高まっ
ております。
しかし、少子・高齢化が進み、さらに団員
のサラリーマン化など、実働団員の確保が厳
しくなっており、団員の能力向上はもちろん
のことですが、地域住民の消防団活動への理
解と協力が必要不可欠となります。
この受章を契機として更なる消防災害体制
の充実と強化の必要性を再認識し、災害に強
い街づくりのため鋭意努力してまいります。
結びに、「まとい」の受章にあたり格別の
ご支援、ご協力をいただきました日本消防協
会、奈良県、奈良県消防協会、並びに関係機
関各位の皆様に重ねてお礼申し上げますと共
に皆様方のますますのご多幸とご健勝を心か
らご祈念申し上げまして、特別表彰「まとい」
の受章にあたりましてのお礼の挨拶とさせて
いただきます。
23
「梼原町を守り続ける
消防団」
高 知
高知県高幡消防組合梼原消防団 団長 長谷部 悟
1.梼原町の紹介
梼原町は、高知県の中西部に位置する県境
の町で、四万十川源流域に広がる人口約4,000
人の典型的な山村です。
北は県立自然公園の四国カルストで愛媛県
の久万高原町と、西は西予市と接しています。
また、東は、高知県津野町及び中土佐町に、
南は四万十町と接しています。
歴史的には、913年に京から津野氏が入国
して以来の津野山神楽をはじめとする京文化
の影響を受けた文化に、先人たちが、梼原色
この間、団員は常に住民の先頭にたって、
を加えて独自の文化に育んだ津野山文化を今
日まで引き継いでいます。
治安の維持や生命・財産の保護、さらには、
また、明治維新に活躍した坂本龍馬をはじ
めとする勤皇の志士たちが、土佐を脱藩し、
伊予から京へ駆け抜けた「龍馬脱藩の地」であ
り「勤皇の里」であることはよく知られてい
ます。
梼原は、こうした千年以上の古い歴史を秘
めた歴史的にも由緒ある町です。
こうした進取の気性も今に伝えられ、近年
は、地球環境問題を地域課題として捉え、風
力発電や太陽光発電、さらには、地域の最大
の資源である森林資源を活用した木質バイオ
マス事業などの新エネルギーへも積極的に取
り組み、自然と共生する環境モデル都市に、
中国四国地区では唯一の自治体として指定さ
れています。
2.梼原消防団の紹介(概要)
梼原消防団は、大正12年に任意団体の「消
防組」として結成されて以降、時代の変遷と
ともに、消防隊、警防団、そして、消防団と
名称をかえて、引き継がれてきました。
24
地域の発展のために数多くの足跡を残してき
ました。
昭和22年、消防組織法が施行され、その中
で消防団が地方行政の中に明確に位置づけら
れたことから、自主的な組織活動に大きく依
存してきた行政のあり方に、きびしい目が向
けられるようになり、加えて若者の流出によ
る団員確保の困難性が、行政組織としての消
防団の認識を高めることとなりました。
そして、組織機構の見直しによる分団の統
合整備や、広域行政の推進に向けての消防組
合の設立による常備消防の整備に取組み、消
防組織は旧体制から大きく変容を遂げまし
た。
その結果、消防団は、結成当時からの伝統
保には苦慮する現状ではありますが、県消防
と相互扶助の精神を守り続ける非常備消防団
操法大会において優勝や入賞の実績があるほ
として新しい時代を向かえ、昭和41年の町内
か、女性消防隊も全国大会出場の経験をもち、
11分団、団員476名から、現在は本部を含め
6分団、250人団員の体制となっています。
さらには、地域の小学校では、平成14年から
3.梼原消防団の活動
活動を理解しており、将来は消防隊員・団員
消防団活動は、まず、火災にあっては、梼
原消防団伝統の「消す事より火を出すな」を
合言葉に予防活動を重視した活動を行い、年
間火災発生件数は2.5件であります。
こうした予防に重点をおいた活動は地区の
防災訓練への参加、連合演習、年末特別警戒、
春秋火災予防広報などの多くの分野に及んで
います。
また、行方不明者の捜索や遭難者救出など
の人海戦術が功を奏する活動にも警察との連
携も図りながら積極的に取組んでいます。
さらに、地域の夏祭り警戒や無火災を願う
奉納相撲、小学校運動会への参加等、災害時
子供達が軽可搬ポンプ操法を習得し、運動会
で毎年披露するなど、小学生の頃から消防団
に入団する若者が出てくると期待していま
す。
4.おわりに
地球の環境破壊・温暖化が叫ばれ環境保全
の重要性、自然を求める声が大きく多くなっ
た今、梼原町は自然に満ち溢れており、それ
は貴重な自然観光資源として脚光を浴びよう
としています。
また、これらの自然は、歴史・文化的資源
あいまって町の魅力を高めるうえで、時間と
ともにその価値は高まるばかりです。
特に、本年はNHKの大河ドラマ「龍馬伝」
のみの活動ではなく、有事に備えた訓練や地
の影響もあり、土佐・龍馬であい博「ゆすは
域情報の収集にも役立つ活動にも積極的に取
組んでいます。
ら・維新の道社中」や「龍馬脱藩の道」を訪
また、愛媛県から県境を越えて伝わり、今
れる町外、県外の観光客も多くなっています。
これらの人々の多くは、龍馬をはじめ幕末
や県内における梼原消防団の伝統となってい
の志士たちが歩いた「脱藩の道」を踏みしめ、
る梯子教練は、独特の歩調のもとに、トビを
志士達の志を身体で感じる体験を行っていま
使っての梯子の搬送・立て・固定・倒しなど
す。
の一連の動作が指揮者の号令とそれを受けた
こうした、歴史と美しい自然がある梼原町
熟年・中堅・新人団員がお互いの意思疎通の
であることを再認識し、その郷土をあらゆる
もとに整然と行われ、見るものの心を奪い、
災害から守るため、消防団のみならず町民が
多くの感動を与えています。
250名の定数を確保しているとはいえ、団
一体となってふるさと梼原を守って行きたい
と考えています。
員の高齢化や過疎化により新たな入団者の確
25
「市民が安心して生活でき
るまちづくりを目指し」
島 根
島根県大田市消防団 団長
中田 正敏
1.大田市の紹介
大田市は、平成17年10月、1市2町が合
併し、面積436.11裄、人口約4万人の地域
です。島根県の中央部に位置し、北部は日
本海に面していますが、急峻な中国山地が
海岸に迫っているため山林原野が多く、平
坦地が少なく、海岸線は46kmに及び、岩
場と砂場が交互に存在することから、漁業
はもちろん、風光明媚な自然景観、海水浴、
釣り等観光に供されています。
当地域の中央部には平成19年7月2日に
日本では14番目、鉱山・産業遺跡としては
初の世界遺産登録が決定した石見銀山遺
跡、南東部には大山隠岐国立公園に属する
三瓶山があります。地質的には白山火山帯
に属することから、多くの温泉に恵まれて
います。
また、この地域は石見文化と出雲文化が
混在する文化的共通性を持ち、中世から近
世にかけて石見銀山の盛衰に大きな影響を
受けた地域です。域内の「石見銀山遺跡」
や「熊谷家住宅」「温泉津温泉街の伝統的
建造物」「三瓶小豆原埋没林」等は、古く
からの歴史を今に伝える史跡や文化財が点
在しています。
2.大田市消防団の概要
大田市消防団は、昭和29年4月12ヵ町村
により結成され、
その後数回の合併を経て、
26
平成17年10月に現在の大田市消防団が誕生
しました。
1本部(うち3名女性消防団員)
、
28分団81班、団員数844名で構成され、装
備は消防自動車2台、救助資機材搭載車1
台、小型ポンプ積載車76台、小型ポンプ78
台を配備しています。
3.大田市消防団の活動
消防団の活動は分団長以上で構成する団
幹部会を年3回開催し、年間行事計画を策
定してこの計画に基づいて行事等を実施し
ています。
○主な活動
地域住民の防火思想の高揚と円滑な災害
活動を図ることを目的に、防災訓練、ポン
プ操法大会、水防訓練、消防出初式を実施
しています。特に防災訓練では、市の防災
機関、地域住民、県防災ヘリコプターが参
加して、震災及び水害などを想定した実践
的な総合防災訓練を実施しています。
○予防活動
春・秋の火災予防運動期間中には、各分
養成し、企業、町内会、サークル、学生等
団が独自に防火パレード、住宅警報器の普
に対する救命講習に、指導員又は指導補助
及啓発、高齢者宅への防火指導、夜間防火
員として活動し、応急手当普及に貢献して
パトロールなどを実施し、地域に密着した
います。
活動を行なっています。
また、昭和63年4月に大山隠岐国立公園
4.おわりに
三瓶山で発生した林野火災を教訓に、三瓶
消防団を取り巻く現状として、消防団員
地区の分団がゴールデンウイーク中に林野
数の減少、被雇用者団員の増加による初動
火災特別警戒を実施して、火災予防に力を
体制の劣勢などの諸問題が叫ばれています
注いでいます。
が、大田市も同様の課題を抱えています。
○団員の教養
このような問題を踏まえて、消防団協力事
団員の資質向上を図ることを目的に、新
業所表示制度を策定して、今年度9事業所
入団員訓練、指導員研修、初級幹部研修等
の認定を受けて協力体制の強化に努めてい
を実施。更に器具の愛護を目的とした機械
ます。
器具点検、小型ポンプ操作員講習なども実
今後も消防団が地域防災の中核であり、
施しています。
地域住民から信頼される組織である為には、
○応急救護
各種行事等を通じて地域住民とふれあい、
平成20年に地域住民への応急手当普及の
為、消防団員20名を応急手当普及員として
協同し、地域一体となって災害に強いまち
づくりを目指すことが必要だと思います。
27
「安全で安心して住める
町、住みたくなる町」
香 川
香川県丸亀市消防団 団長
顴田 哲男
1 丸亀市の紹介
丸亀市は、平成17年3月に旧丸亀市、綾歌
町、飯山町、1市2町が合併を行い、現在人
口は(平成22年9月1日現在)110,763人、世
帯数42,997世帯、管内面積111.79裄です。
丸亀市は香川県の中央部に位置し、風光明
媚な瀬戸内海の島々を抱え、南部は穀倉地帯
として農業を中心に、北部は「扇の勾配」と
呼ばれる美しい石垣と現存する木造天守12城
のうちのひとつである「丸亀城」を中心とす
る城下町です。
伝統産業である「丸亀うちわ」は、平成9
年には国の伝統工芸品に指定され、全国のシ
ェア90%を誇る日本一の生産地となってお
り、その需要は海外までも広がっています。
香川の名物といえば何といっても本場さぬ
きうどん。全国的に大ブームですが、土三寒
六常五杯(どさんかんろくじょうごはい)と
呼ばれる秘伝の塩加減と、昔ながらの職人技
から生まれる手打ちの麺のコシ強さとノドご
しの良さは、まさに天下一品です。人気店は、
土日祭日ともなると2∼3時間待たなければ
食べられない店もあります。
うどんと同様、お勧めなのが、骨付鳥です。
地元の人たちにも人気で、噛みごたえがあり、
深い味わいのおやどりと、柔らかくて食べや
すいひなどりの2種類あります。どちらも皮
がパリッと香ばしく、かぶりつくと肉汁があ
ふれ出て、一度食べるとやみつきになります。
2 丸亀市消防団の紹介
丸亀市消防団は、平成17年3月に合併し、
28
当時は定員645名、1団本部23箇分団の編成
だったが、平成20年4月1日に、定員698名、
1団本部17箇分団に再編されました。
平成20年の10月には、本市初の女性消防団
員19名が入団し、現在23名が団本部団員とな
っております。
団本部には団長1名、副団長3名、方面隊
長3名、女性消防団員23名で編成されており
ます。
屯所24箇所、機械器具置場40箇所に消防ポ
ンプ自動車19台、小型動力ポンプ付積載車46
台、小型動力ポンプ51台が配置されており、
市民の安全・安心で住みよい町・住みたくな
る町丸亀市を目指して頑張っております。
然災害も起これば被害も甚大で、多くの死者
や被災者がでています。
3 丸亀市消防団の活動
消防団の活動としては、1月6日を過ぎた
最初の日曜日を、出初式と決めています。
多数の来賓、多くの市民が見学に来ます。
こうした中で平成22年3月に、丸亀市消防
本部の新庁舎の竣工式を終え、地上6階、地
下1階、建築延べ面積5,033.19㎡、免震構造で
将来30年以内に起こりうるといわれる、南
その前で功績章、功労章、精勤章の団員表彰
海・東南海地震にも対応できる通信指令シス
及び20年以上の勤続団員の家族表彰も行って
テムが整備されています。
います。
また、本部庁舎屋上と綾歌総合運動公園の
春季秋季の全国火災予防週間の期間中に
2箇所に高所監視カメラが設置され、24時間
は、消防署消防団合同の火災防御訓練を実施
市内を監視しており災害現場の状況を的確に
し、建物火災、林野火災等を想定して訓練を
把握できます。
行っています。
今後、団員の補充と後方支援に携わってい
また、この行事に合せて新入団員の教養研
る女性消防団員の入団促進を行い、市民が安
修と嘱託機関員の研修も実施しています。夏
全で安心して暮らせる町づくりに、消防団員
は全分団員による消防訓練大会を実施して、
の使命は、計り知れなく大きな重責を担って、
通常点検及び消防操法のタイム、規律及び節
全団員が一致団結し、頑張っていきたいと思
度等の出来栄えを審査します。
います。
年末は、12月26日∼30日の5日間実施し、
団員(5∼8名)が交代で午後8時から翌朝
最後に全国の消防団の皆様の益々のご活躍
とご健勝をご祈念申し上げます。
5時まで、午後9時・12時・午前3時の3回
巡回する、年末特別警戒を実施して、市民に
防犯と防火の啓発運動を行い安全安心して生
活できる町づくりに頑張っています。
女性消防団員は、市民に対し応急処置、救
命講習、AED講習等の指導及び災害時の後方
支援を実施しております。
4 終わりに
近年の社会情勢や環境の変化、又、地球の
温暖化等で災害も複雑多様化しています。自
29
シンフォニー(新潟県)
「凛として」
新潟県見附市消防団 消防団本部班長
親松 幸子
私のまち
私が暮らす見附市は、新潟県のほぼ中心
感謝しています。
現在は「オレンジキャップ」の愛称で、
に位置することから、「新潟県のへそ」と
17名で活動しています。今年度から、「救
呼ばれています。人口4万3千人、四季
急」
「PR」
「メンタルヘルス」の三つの班に
折々の風情を感じられる自然豊かなまちで
分かれ、それぞれに責任者を配置、企画・
す。明治時代から織物と農業を中心に栄
運営を行い、全員で活発に活動しています。
え、現在は野球の日本代表チームのユニフ
各班で積極的に意見を出し合い、工夫し企
ォーム等を生産するとともに、新潟県中部
画・運営を行いながら月1回の全員が集ま
産業団地への企業誘致が進みハイテク産業
を中心とした新たな成長分野への展開を図
っています。
女性消防団員の生い立ちから活動概要
見附市消防団は、消防団本部及び八つの
分団で構成されています。条例の定数は
600名で、本年11月1日現在の実員は592名
です。女性消防団員は、平成15年8月31日
に7名が任用され、消防団本部に所属して
防火チラシやティシュ配布などの防火思想啓発活動
います。消防出初式、分団演習、見附市防
災訓練、各種式典等への参加。高齢者のみ
世帯等への防火訪問指導、火災時の後方支
援、応急手当指導員としての救命講習、全
国ポンプ操法競技会への参加等、活動の幅
が広がっています。各種活動を積み重ねる
ごとに、規律も身につき女性消防団員お互
いの絆が深まりました。これも先輩男性団
員の温かい励ましと指導があってこそと、
30
小学生を対象とした防火講習会
る定例会で情報の共有化を図っています。
知ろう、という内容で消防団員向けに取り
組み中です。ただ、講習ができる有資格者
各班の活動概要
は残念ながら現在のところ、一人しかいま
各班の取り組みをご紹介します。
せん。私たち自身が、自殺予防知識を学ぶ
「救急班」では、応急手当指導員を中心
ことが継続活動の鍵になると考えています。
として市民向け応急手当講習、子ども防火
教室等の女性消防団員の応急手当をブラッ
今後の抱負
シュアップさせる講習を企画・開催してい
消防団への入団の勧誘を受け、深い意識
ます。町内会での応急手当講習は、女性の
のないまま入団しましたが、多くの素敵な
私たちが説明することで、応急手当を身近
仲間たちとめぐり会い貴重な体験をさせて
なものと感じていただいているようです。
いただいています。応急手当指導員として
子どもの防火教室は、見附市防災訓練、分
救命講習会に出向することで、市民から感
団演習、消防団まつりで行いました。子ど
謝の言葉が届けられ、消防団に入団して良
もが自ら考え、危険に対処できるようにす
かったと思っています。この喜びを分かち
るために、遊びの要素を取り入れながら危
あえる仲間を増やし、市民に安心・安全を
険に対する回避方法を身につけていただい
実感していただくよう凛とした活動を継続
ています。
していきたいと考えています。
「PR班」では、女性消防団員に対する
認知度を上げることと、新団員の確保に結
びつくPR活動を行っています。活動内容
を分かりやすく表示し、興味を持っていた
だくよう工夫・作成したPRティッシュを
各種行事で配布するだけでなく、子どもた
ちが大人になったとき、消防団に参加して
いただくことも視野に入れたPR活動を実
践しています。昨年は小学校の運動会で小
市民駅伝大会へ参加
型ポンプ操法を展示。今年は中学生が多く
参加する市民駅伝大会に参加するなど、
様々な試みにチャレンジしています。
「メンタルヘルス班」は臨床心理カウン
セラーの有資格者の下、近年増加する自殺
予防のための活動を始めました。悩んでい
る人、病気の人に気づき、話を聞くことが
できるように、適切な相談窓口や医療機関
へつなぐ知識を学ぶ講習を立ち上げまし
た。傾聴スキルを身につけよう、うつ病を
住民に向けた心肺蘇生法普及活動
31
シンフォニー(栃木県)
目指せ 全国大会!
∼ずっと活動を続けられる女性消防団員を目指して∼
栃木県那須烏山市消防団 団員
澤野 洋子
はじめまして。私たちは栃木県那須烏山
市消防団女性消防団員です。
那須烏山市は平成17年10月1日に那須郡
間もなくして増員増員を繰り返し、現在は
16名の仲間で活動しております。
そんな訳ですので、まだ1年間も経過し
南那須町と烏山町が合併し誕生しました。
ておらず、これといった活動実績は乏しい
栃木県の東部に位置し、県都宇都宮から概
ですが、いくつかご紹介させていただきま
ね30∼35kmの距離にあります。八溝山系
す。
に属し、那珂川が市の平野部を貫流する自
まず、私たちは男性団員と全く同じ身分
然豊な地域で、那珂川県立自然公園に属す
ですので、火災が発生すれば、サイレンや
る山間地等で形成されています。年間を通
一斉メールを確認し、真先に火災現場を目
じて災害が少なく、のどかな城下町ですが、
指します。既に現場の最前線で管そうを手
季節ごとの風情と美味しいものがたくさん
に放水を経験した団員もいます。当然「女
ある私たち自慢のまちです。
性ならでは」の啓発活動なども行っていく
そんな那須烏山市にとって今年度初めて
のですが、むしろ私たちの一番の特色は
の出来事が起りました。そう、それが私た
「男性団員も女性団員も分け隔てなく活動
ち女性消防団員の発足です。実は、私たち
する」という部分かもしれません。ですか
は4月に生まれたばかりの組織なのです。
ら積極的に現場に出向き消火活動に携わっ
少し前までは私自身もまさか男性に混ざっ
ていくことに不満を漏らす団員はおりませ
て消防団活動するとは夢にも思っていませ
ん。ただ一言付け加えておきますが、やは
んでした。
り危険な現場では団長初め男性団員がしっ
市消防団で新たに女性団員を募集すると
聞いた時「地域のために私たちができるこ
とにチャレンジしてみよう」と数名の同志
が集まり女性消防団員が結成されました。
しかし団員経験など全く無く、皆何をどう
して良いのかわからない状態でした。ただ、
これまでも男性が火災現場で消火作業して
いる姿や点検などを行っている場面を見て
いたので、漠然として消防団のイメージは
持っておりました。無我夢中で活動してい
るうちに知人の紹介や口コミなど、発足後
32
消火活動
かり私たちをサポートしてくださっていま
す。
今年度11月7日に行なわれた通常点検で
は、初めて女性消防団員単独で服装点検等
を行いました。
私が号令をかけたのですが、
練習時と違って市長をはじめ多くの来賓者
などを目の前にして、非常に緊張しました
が、何とか終える事が出来ました。ただし、
まだまだ課題も多く、「敬礼」「回れ右」な
服装点検
ど一つ一つ精度を上げていくため、今後も
訓練を積んでいかなければならないと痛感
しているところであります。ただ、点検を
経て、いろいろな場面で各部の男性団員か
ら「何かあったらサポートするから」と励
ましの声をいただくこともあり、少しずつ
ですが「消防団の一員として存在感が増し
てきたかな?」とうれしく思っているとこ
ろであります。
そして、今後の一番の目標は、平成23年
度に実施される第20回全国女性消防操法大
分列行進
会出場を果たすことです。すでに操法訓練
を開始していますが、軽可搬ポンプ自体見
るのも初めてな私たちが、タイムを競って
全国津々浦々の百戦錬磨の女性消防隊の
方々と競技するわけですから、本当に雲を
つかむような話しであります。ただ、若さ
と勢い、そして団結力で必ずや良い成績を
収めて、この小さい市にキラリと光る明る
い話題を提供したいと意気込んでいます。
最後になりましたが、まだまだ始まった
ばかりで活動そのものへの不安と女性消防
団をまとめあげていかなければならないプ
レッシャーなど多々あります。しかしなが
ら、「自分達が初代女性消防団員の歴史を
切り開いている真っ只中にいるという充実
感」と「活動を楽しむ心」そして「地域の
安全・安心を守るという責任感」を糧に、
ずっと活動を継続していける女性消防団員
を目指して今後も頑張っていくつもりで
す。
操法訓練
33
No.14
東月寒少年消防クラブ【北海道】
頑張れ!
「地域の皆様から暖かく見守られな
少年消防
がらの活動の日々」
クラブ
札幌市東月寒少年消防クラブ 指導部長 乙川 明
北海道は、西日本と気候が違い、冬期間
ます。バケツと雑巾を用意し、水は消火栓
は消火栓が雪で完全に埋まり見えなくなる
設置場所付近のお宅からもらいます。その
ことから、「水利確保」のため消火栓除雪
時、「水は何に使うの?」と聞かれ、クラ
作業があります。この作業に、消防署員、
ブ員は「消火栓の掃除をします。」と答え
消防団員の皆さんと一緒に少年消防クラブ
ます。その答えに「えらいね。」とほめら
員もお手伝いします。
れたり、道行く人からも「ご苦労さま」と
四月、雪が溶けると消火栓は汚く、また、
幹線道路脇の消火栓はドロはねや排気ガス
等で汚れが目立つことから、
当クラブでは、
地区管内の消火栓の清掃活動を実施してい
34
言われ、嬉しそうな笑顔のクラブ員たち。
このように、地域の皆様から暖かく見守
られながら日々の活動をしています。
No.15
伏古本町少年消防クラブ【北海道】
頑張れ!
「伏古本町サマーフェスティバル
少年消防
に参加しました。
」
クラブ
伏古本町ひまわり少年消防クラブ 部長 寿見勇治
当クラブが活動する札幌市東区伏古本町
露するとともに、会場に集まったたくさん
地区において例年開催されている「伏古本
の参加者に対し、防火ちらし入りのティッ
町サマーフェスティバル」に今年も参加さ
シュを「火事に気をつけてください。」と
せていただきました。
心を込めて手渡しました。
今年は7月25日(日)に伏古公園で開催
夏休みのスタートをこのような形できれ
され、天気にも恵まれ、多くの参加者が集
たこと、そして大勢の方々の前で訓練の成
まり、会場が賑わいました。
果を発揮できたことは、子どもたちにとっ
会場ステージにて主催者である伏古本町
連合町内会長に防火宣誓文を力強く読み上
てよい思い出の一つになったことと思いま
す。
げ、ロープ結索等、日頃の訓練の成果を披
35
頑張れ! No.16 うずしお少年少女消防クラブ
少年消防 「うずしお少年少女消防クラブの活動」
クラブ
鳴門市立鳴門西小学校 6年 柴 折 巧
今年、僕たちは、鳴門市消防団の方々や
した。少し難しかったけど慣れると出来る
高島分団のみなさん、勝田さんや校長先生
ようになりました。放水体験では屋内消火
方の協力により「うずしお少年少女消防ク
栓や、ポンプ車のホースを使って放水訓練
ラブ」を始めました。
をしました。色々な体験をして消防団の人
6月には「うずしお少年少女消防クラブ
の仕事は、危険も多く大変だなと思い、よ
研修」をしました。鳴門市消防団長さんの
り一層、「地域を守る」強い思いをもちま
話を始め、少年消防クラブの意味、消防署
した。
や消防団の仕事、火災・災害などについて
これからの活動として、校内の消火施設
クイズを入れながら楽しく学習ができまし
の点検、危険な所や壊れている所が無いか
た。災害から「地域を守る」ためには何が
見廻りをします。また、年末には地域をま
できるか、考え話し合いました。
わり火災予防や防犯の呼びかけを予定して
8月の「少年少女消防教室」では、消防
います。今世紀にも発生するといわれてい
車の放水体験、消火器を使った体験、防災
る、東南海・南海地震に備え、自分たちが
センターの見学などをしました。ロープを
出来ることを考え、行動して、災害から地
結ぶ体験で、巻き結びや、ふし結びをしま
域を守るため頑張りたいと思います。
36
頑張れ! No.17 久万中学校少年消防クラブ【愛媛県】
少年消防 「久万中学校少年消防クラブの取組みについて」
クラブ
久万中学校 教諭 猪上 哲史
久万中学校は12年前に町内4つの中学校
と、救急車を呼んでも到着するまでに時間
が統合してできた新しい中学校です。すべ
がかかることから、居合わせた私たちの救
て地元の檜や杉材で造られた豪華な校舎や
命処置がとても大事だということを学びま
体育館は、我が中学校の自慢です。玄関を
した。そのあと、グループに分かれて
入るとすぐにある、吹き抜けの多目的スペ
AEDを使った救命法を行いました。久万
ース「一福堂」で、一学期に救急救命講習
中学校少年消防クラブでは、
そのほかにも、
会を久万高原町消防署の署員をお招きして
地震や火災、不審者対応の避難訓練、避難
開催しました。本町は、標高500mの山間
通路の清掃美化作業などにも意欲的に取り
地域で、県下でも最も高齢化の進んだ地域
組んでいます。
です。いざお年寄りの方や家の方が倒れる
37
頑張れ! No.18 上川口少年消防クラブ(高知県)
少年消防 「学習会の実施について」
クラブ
黒潮町役場 消防防災係 友永公生
正式な少年消防クラブ発足に向けての準
野外活動で疲れていた様子で、集中して
備作業として、まずは事前学習会を行いま
話が聞けるか心配していたのですが、自分
した。
たちと同世代の子どもたちの見事な演技に
この学習会の場は、毎年夏休みに行って
いる子ども会のキャンプに合わせて実施し
たことで、一部ではありますが保護者の同
席も得られることができました。
学習内容は、少年消防クラブの説明や活
動事例の紹介をした後、同じ高知県内のモ
全員が見入り、熱心にビデオを見ている姿
が印象的でした。
また、保護者にも同じ内容を伝えること
ができたことで、今後の活動の支援が得ら
れやすい体制ができたのではないかと思い
ます。
デルクラブである越智面少年消防クラブの
今後は学校行事がひと段落する11月を目
操法に取り組んでいる様子のビデオ学習を
途に、管轄の黒潮消防署への体験入署を行
しました。
う予定となっています。
38
頑張れ! No.19 相島少年消防クラブ【福岡県】
少年消防 「相島少年消防クラブの活動について」
クラブ
糟屋郡新宮町立新宮中学校相島分校 BFC担当 井ノ上 光晴
①夜回り活動
・夜回り活動が相島少年消防クラブの活動の基本であ
り、活動の中心。現在生徒が5名なので、5名全員で
月・水・木・土曜日の午後9時から約30分間、防火の
ために、拍子木を叩きながら「火の用心」の呼びかけ
を行っている。4回のうち2回は北組、2回は中組、
南組を回っている。分校教師は最終便で帰宅するので、
夜回り活動は生徒たちの自主的な活動になっている。
これが60年以上続いている伝統の取り組み。
②相島少年消防クラブ(BFC)入団式
・毎年、新1年生が入学した4月下旬に入団式を行う。
相島区長、水上分団長、PTA会長、婦人消防会長、
粕屋北部消防署長が出席して行われる。新入団員は宣
誓をして、活動に対する決意を述べる。また相島の先
輩の話や消防署の方からの話を聞いて、相島少年消防
クラブの団員としての意識を高めます。また少年消防
手帳を消防署からいただく。入団式終了後、消防署の
方から規律訓練の指導を受ける。
③軽可搬ポンプ操法訓練
・毎年5月中旬に消防署の方から、軽可搬ポンプ操作
方法の指導を受ける。役割分担から放水、ホースのた
たみ方まで指導を受ける。この指導を受けたポンプ操
作方法の放水までの実演を、毎年9月下旬に行われる
相島区小中共催の運動会で実施している。
④消火訓練・心肺蘇生法(AED使用方法等)
・毎年6月の下旬に相島PTA主催の消火訓練、救急
法に参加し、消火器を使った初期消火の方法や、人形
使って人工呼吸の方法やAEDを使用しての心肺蘇生
法を学ぶ。
⑤相島少年消防クラブ(BFC)体験活動
・毎年10月に実施。中学校の3年間で以下の3回の体
験活動を実施。
◎福岡市防災センターを訪問して、火災を含めた防
災関係について学習。福岡市の消防艇「飛龍」の
見学等。
◎福岡県粕屋北部消防署での一日体験活動→施設の
見学、消防服の着用体験。はしご車乗車体験。
◎新宮町にある立花山に登り。防火啓発の看板を立
てる。新宮町にある400年前の民家〔千年家(横
大路家住宅)〕の文化財を火災から守るシステム
について学ぶ。それ以外の文化施設の見学等。
⑥一斉夜回り活動
・毎年11月中旬に、生徒と教師(この日教師は全員、
島に宿泊)が北組、中組、南組の3つに分かれて、そ
れぞれ伝統の各組の提灯を持って、相島の全世帯を訪
問し、防火啓発のステッカーを配布して、「火の用心」
を呼びかけて回る活動。
⑦相島少年消防クラブ(BFC)退団式
・毎年、12月の中旬に消防署から4名来島されて実施。
退団式の前にみんなで準備して、杵と臼を使って餅つ
き会をする。3年生はこの日に退団する。そして進学
に向けて頑張る。消防署の方の話を聴き、3年生は約
3年間に及ぶ、BFC活動の感想、1,2年生は活動の
反省を発表する。消防署の方々と会食。3年生の活動
を労う。
39
第10回全国中学生
「防火防災に関する作文」コンクール審査結果の発表
生活協同組合 全日本消防人共済会
生活協同組合全日本消防人共済会(高木繁光会長)は、第10回全国中学生「防火防災に
関する作文」コンクールを実施しました。
この作文コンクールは、自分の仕事を持ちながら地域防災のため日夜活動している消防
団について、子供達が身近なふれあいや活動・体験を通じてどのように感じ、また受け止
めているかを文章表現することにより、地域と消防団との関わりを深め、防火防災意識の
高揚を図ると共に次世代の防災の担い手の育成を図ることを目的として実施しています。
今年度は、都道府県支部から推薦された81作品を厳正なる審査を行った結果、福岡県新宮
町立新宮中学校相島分校三年篠崎 航さんの作品が最優秀賞に選ばれました。
最優秀賞をはじめとした次の入選作品は、作文コンクール作品集として文集を作成し、
各都道府県の消防協会等へ配布いたします。
最優秀賞(1名)
福岡県 新宮町立新宮中学校相島分校 3年 篠 崎 航
優秀賞(2名)
三重県 四日市市立富洲原中学校 2年 宮 田 佳 奈
茨城県 阿見町立阿見中学校 3年 浅 野 快 誓
佳 作(7名)
富山県 射水市立新湊西部中学校 3年 芹 澤 亮 次
三重県 鈴鹿市立天栄中学校 2年 出 口 寛 太
兵庫県 朝来市立生野中学校 2年 小 松 兼 祥
徳島県 徳島市立南部中学校 2年 林 正 基
福岡県 糸島市立前原西中学校 3年 柴 田 一 平
鹿児島県 長島町立鷹巣中学校 3年 池 上 美 紀
鹿児島県 姶良市立山田中学校 3年 榎 田 光加里
40
最優秀賞
島を守る消防団
福岡県新宮町立新宮中学校相島分校 三年 篠崎 航
今から3年前の3月、小学校6年生だった僕は、何人かの友達と体育館で遊んでい
た。その時、その中の一人が、外に出て僕たちに呼びかけた。外に出てみると、遠く
からでもはっきり見えるほど激しい炎、激しい煙があがっていた。それは、僕の家の
作業小屋が燃えている炎だと後でわかった。
僕の住む相島は、玄界灘に浮かぶ離島で、本土部の新宮港から約7.5キロの沖合にあ
る。人口は約370人、その6割が高齢者で島の主な産業は漁業である。
火の勢いは強く、サイレンを鳴らすように言われた若者は、あせって何度もボタン
を押し間違えたそうだ。しかし、僕たちが体育館から火事の現場に着いた時には、す
でに多くの島の人たちが集まり、水上分団が素早く消火にあたっていた。消防団のお
かげで、火事は燃え広がらないうちに消火された。この時、僕は、火の勢いと恐ろし
さを初めて実感した。そして、僕たちの島にある水上分団は、僕たちの生命と財産を
守ってくれるとても心強い存在だと改めて思い、消防活動の重要性を肌で感じること
ができた。そんな中、僕は4月に中学校に入学し、入学と同時に相島少年消防クラブ
(BFC)に入団することになった。
BFC活動は、明治3年に島で起こった火事がはじまりだった。大人のほとんどが漁
に出かけていた昼間に火災が起き、島に残った老人や子どもは何もできず、島の約8
割の家が焼けてしまった。その経験から、生徒会活動が再開された62年前、相島分校
生徒会が自主的に「火の用心」を呼びかける夜回り活動を始めたことがきっかけで、
相島のBFCが発足した。
現在、相島のBFCは、相島分校の全校生徒五名で構成されている。そして、僕たち
は、年間を通じ週4回、夜9時から、拍子木をたたいて夜回り活動を行っている。さ
らに、毎年、自作の防火標語ステッカーを作成し、島の全ての家を訪問し、火の用心
を呼びかけながら配布している。その他にも消防署の方が来られての救急法、消火訓
練、規律訓練、ポンプ操法訓練を定期的に取り組んでいる。
相島は、狭い平地にほとんどの家が密集して建っている。また、島の高齢化も進ん
でいる。一度火事が起こり、対応が遅ければ、すぐに燃え広がり、多くの被害や犠牲
を出すことになるだろう。だから、明治3年の悲劇を繰り返さないために、僕たち
BFC団員も水上分団と協力して、島を火災から守っていきたいと思う。寒い夜や、漁
の手伝いの後の夜回りは、辛い時もあるが、島の人たちが安全に暮らしていけるよう
に、みんなで協力し活動していきたいと思う。そして、経験を重ね、将来は、水上分
団に入団し、今度は僕が、3年前に助けてもらったように、島の消防活動を支え、島
を守っていきたい。
41
消防団への入団促進
総務省消防庁 防災課
消防団は、消防本部や消防署と同様に市町村の
務中の出動に対する便宜や従業員の入団促進を
消防機関の一つであり、消防団員は、本業を持ち
図るなど事業所ぐるみで積極的な活動を行って
ながらも「自らの地域は自らで守る」という郷土
愛護の精神に基づいて、地域の安心・安全の確保
いる所も多く、既に平成22年10月1日現在で
「消防団協力事業所」として約6千の事業所が
のために活動する非常勤特別職の地方公務員です。
しかしながら、過疎化、少子高齢化の進行、産
認定されています。
○女性の入団促進
業・就業構造の変化等に伴い、消防団員数は年々
減少し続けており、平成22年4月1日現在、10年
女性を消防団員として採用しようとする動き
が全国的に広まっており、平成22年4月1日現
前の平成12年4月1日の約95万1千人に比べ、約
在、全国で約1万9千人の女性消防団員が、火
6万7千人(7%)減少し約88万4千人となってお
り、地域における防災力の低下が懸念されています。
災予防広報、一般家庭や高齢者宅への防火訪問、
応急手当の普及啓発活動等、多岐にわたって活
そのため、全国の消防防災機関では、消防団員
の確保に向けた様々な取組を展開しているところ
動しています。
○大学生等の入団促進
です。例年3月末から4月にかけて消防団員の退
消防団員の高齢化が進む中、若年層の消防団
団が特に多くなる時期を迎えることから、今年度
も1月から3月までの間、全国的な「消防団員入
員確保が課題となっています。大学生等の若い
力を、消防団活動で発揮していただくことは大
団促進キャンペーン」を実施します。本キャンペ
ーン期間中は、「消防団の新戦力確保」に向けて、
変有意義で、地域の防災力向上にも効果的です。
平成22年4月1日現在で約1千8百人の大学生
特に、会社員などの被雇用者、女性及び大学生等
等(専門学校生を含む。)が消防団で活躍して
の入団促進に重点的に取り組むこととしています。
○事業所との協力体制の推進(被雇用者の入団促進)
います。
消防団は、地域防災の中核的な存在であり、地
現在の消防団員の約7割が、会社員などの被
雇用者であり、消防団活動には、事業所の協力
域の安心・安全を確保するために大変重要な組織
です。ぜひ、多くの皆様に消防団活動に対する理
が不可欠となっています。平成18年度から消防
団協力事業所表示制度がスタートしており、勤
解を深めていただき、消防団活動に参加いただけ
ることを期待しています。
平成21年度「消防団員入団促進キャンペーン」期間中の主な取組事例
「名護市さくら祭り」
(平成22年1月31日)
(写真提供:沖縄県名護市消防本部)
42
「入団促進キャンペーン(inはたちの集い)」(平成22年1月11日)
(写真提供:埼玉県川口市消防本部)
文化財を火災から守ろう!
総務省消防庁 予防課
文化財は国民共通の貴重な財産であり、火災に
よる焼失等から保護し、後世に残すことは、私た
ち国民の極めて重要な責務です。
○1月26日は「文化財防火デー」
昭和24年のこの日は、世界的至宝で1300年の歴
史を持つ日本最古の壁画が描かれた奈良県法隆寺
金堂が焼損した日に当たります。その後も文化財
の消失等が相次いだことから、消防庁と文化庁で
は、文化財を火災や震災、その他の災害から保護
するとともに、国民一般の文化財愛護思想の普及
高揚を図ることを目的として、昭和30年にこの日
を「文化財防火デー」と定め、全国的に文化財防
火運動を展開してきました。
近年の重要文化財建造物やこれに準ずる歴史的
に価値の高い建造物において、火災の被害を受け
た例としては、平成19年5月及び平成20年1月に
は神奈川県藤沢市の旧モーガン邸本棟等が、平成
20年5月には大阪府吹田市の吉志部神社本殿(重
要文化財)が焼失しており、平成21年3月には奈
良県天理市の石上神宮摂社出雲建雄神社拝殿(国
宝)、神奈川県横浜市の旧住友家俣野別邸(重要
文化財)、神奈川県大磯町の旧吉田邸が焼失等し
たことなどが挙げられます。
また、海外では平成20年2月に韓国ソウル市の
国宝南大門で火災が発生しましたが、こうした文
化財火災から文化財を守っていくことの大切さを
改めて認識させられます。
文化財の防火は文化財の所有者・管理者だけで
成し遂げられるものではなく、地域の住民や消防
機関などが一体となって継続的に取り組むことが
必要です。
貴重な文化財を守るため、次のことに配意して、
文化財防火に取り組んでください。
1.防火訓練の実施
防火訓練を実施する際には、次の点に留意して
ください。
盧 消防機関への通報、初期消火、重要物件の搬
出、避難誘導などの総合的な訓練の考慮
見学者の多い木造建造物等については、火の
回りが早いことを考慮した避難誘導
蘯 使用した防火水槽の点検整備、消火器の消火
薬剤の詰替え及び反省会の開催
盪
2.防火対策の推進
次の点に留意して、防火対策の推進に努めてく
ださい。
盧 文化財の規模、立地条件、人員構成等の実態
に即した消防計画の作成と、計画に基づく自衛
消防組織等の防災体制の整備強化及び夜間等警
備が手薄になる場合についての対策
盪 喫煙、裸火の使用等の禁止区域内の巡視等を
行うことによる火災危険要因の排除
蘯 文化財周辺地域の住民と防災のための連携を
密にすることによる、情報連絡体制及び通報体
制の確立
盻 消防用設備等の点検、整備の励行
眈 消防機関による防火診断等の実施
眇 電気・ガス設備、火気使用箇所、可燃物・危
険物の保管場所等の点検・整備
眄 文化財周辺の環境の整理・整頓
眩 震災時に消火栓等が使用できない場合を想定
した代替措置
眤 木造建築物等の点検及び応急資材の準備
眞 避難路及び避難場所の点検及び整備
第56回文化財防火デー(平成22年1月26日)
【栃木県足利市・史跡足利学校】
(写真提供:足利市消防本部)
43
和歌山県有田市消防団 港分団 部長
中本 武博
和
歌
山
県
港分団部長の中本氏は、昭和53年消防団に入団。
そのかたわら、地元秋祭りの役員を歴任し、青少
年育成会からの依頼を受け小学生達に、仕事の合
間をぬっては伝統的な獅子舞、太鼓、笛などの指
導育成に大変精力的に活動を行なっています。又、
手話も勉強され、災害時には、ことばの不自由な
人に対して、意志の疎通がはかれるなど、消防団
活動においては、なくてはならない存在であり、
今後の幅広い活躍が期待されています。
栃木県益子町消防団 第3分団第3部 班長
舘 聡(たて さとる)
焼き物のふる里益子町から紹介する名物団員は、養豚業
を営む舘聡班長です。
舘班長が精魂込めて肥育している日本一おいしい豚さんは、
栃
「和豚(わとん)もちぶた」というブランド豚です。みなさ
ん、飲食店やお肉屋さんで見かけたことはないですか?
木
現在、舘養豚場では家族みんなで、2,000頭余りのブラン
ド豚を、他の農場にはない徹底した生産方法で生育してい
県
ます。
そんなこよなくかわいい豚を愛する舘班長は、小さい頃からお祭りも大好きで、いまか
ら8年前に地元の若い青年達を集めて「山若」を立ち上げ、自らが会長となり若者の先頭
に立って、地元のお祭りを大いに盛り上げている、大変頼りがいのある存在でもあります。
最近の消防団員不足の問題にも気をかけており、「地元のつながりを大切にして、消防
団の活動に生かしていきたい」と優しい笑顔で語ってくれました。
山梨県甲府市消防団 白井分団 副分団長
長田 亮治
平成22年9月、神奈川県厚木市で開催された全国のご当地グル
メの祭典「B-1グランプリ」に出展し、栄えあるゴールドグラン
プリを受賞した「みなさまの縁をとりもつ隊」の一員をご紹介し
梨
ます。「B-1グランプリ」のようにボランティアによる街おこしは
全国各地で行われています。こうした取組は、安心・安全な街づ
県
くりに日夜励んでいる消防団の活動ともよく似ています。
彼は、地元甲府市だけでなく、全国で頑張っている仲間の一助となることも重要だと
「とりもつ隊」の活動で学んだそうです。今後も両活動を通じ、地域の発展や消防・防災
のために活躍してもらいたいと思います。
山
44
栃木県茂木町消防団 第2分団第1部 団員
磯 隆義
茂木町消防団の磯隆義団員は消防団員として活動す
る傍ら、趣味の音楽でも活躍されています。ホールや
保育園・幼稚園などでフルートやリコーダーを演奏し
栃
ています。町内ではどこに行っても声をかけられるほ
木
どの人気者です。
今後も消防団の顔、そしてリーダーとして活躍が期
県
待されている逸材です。
新潟県燕市消防団 第2副方面隊長 分団長
寺本 正美
平成18年3月に燕市・吉田町・分水町が合併し燕市消防団と
して現在に至っているその中で、班長から副分団長へと昇任し、
新
潟
県
現在は第2方面隊副方面隊長・技術部長として活躍されてる、
寺本分団長を紹介します。
自動車整備関係の仕事柄、機械関係には明るく少しくらいの
修理ならば、「これなんか、こうせばいいんだて」と言いながら、ものの数分で直したり、
規律訓練やポンプ操法では、少しばかりの濁声での号令は迫力があり、思わずその号令に
釣られて動いてしまいそうになります。
「口で説明するよりも、体のほうが先に動いてしまう」職人気質の寺本さんは団員・職員
からの信頼も厚く頼りになる存在です、これからも永い付き合いになると思いますが、が
んばって欲しいと思っています。
島根県大田市消防団
2列目 三谷浩昭・神在哲哉・三谷拓也・大前佳生
1列目 三谷英昭・竹内 謙・大谷 隆・森山禎彦
多根神楽は、明治の中頃が始まりで昭和初期に
伝承がおぼつかなくなり、一時期途絶えましたが、
島
根
県
昭和41年に地元青年団員数名が発起し神楽を復活
させました。その活動が認められ、昭和56年に大
田市指定無形民族文化財に指定されました。
現在は、20数名の神楽団員の内10名が消防団員
として三瓶山の麓で生まれ育った伝統ある郷土芸
能を後世に伝えたいと、一生懸命練習に励んでい
ます。今後は、神楽伝承と消防団活動を通じて、
地域社会に貢献していきます。
45
消
防
団
の
和歌山県 「地域と共にあゆむ消防団」
気候は紀伊水道に面していることから
広場
和歌山県有田市消防団
団長
嶋田 浩平
年平均気温は摂氏16度と温暖です。
主産業は、みかん、魚、石油、その他
地場産業の蚊取り線香や作業用手袋の製
造などです。
有田市の夏の風物詩といえば、毎年8
月に実施される紀文夏祭りがあり、各イ
有田市は和歌山県の北西部有田川の河
口近くに位置する人口約3万2千人、面
ベントや約3,000発に及ぶ花火大会が有り
3万人ほどの見物客で賑わいます。
積約37平方キロメートルの海、山、川の
消防団活動としましては、中学生の参
自然に恵まれ、霊峰高野山を源として紀
加による体験型の水防訓練、市民が気軽
伊水道に注ぐ有田川は母なる川であり、
に防災について体験し学べる消防フェス
歴史、文化などお互いに深いかかわりを
ティバル、又、春、秋の火災予防週間に
保ちながら発展してきた流域の市、町が
は、幼年消防クラブ員による、防火パレ
有田地方として広域圏を形成し、本市は
ード等に参加するなど、地域住民に密着
その中核をなしています。
した消防団活動を展開しています。
46
平成22年度 全国統一防火標語
「消したかな」
あなたを守る 合言葉
1月の日本消防協会関係行事
1月18日(火)∼21日(金)
1月28日(金)
第37回消防団幹部特別研修
全国消防殉職者遺族会理事会
編 集 後 記
落葉し葉を落とした木々はまどろみ、来春の芽吹きの夢を見ている季節となりました。い
よいよ今年も終わろうとしております、「日本消防」の愛読者の皆様方におかれましてはま
すますご健勝でご活躍のことと存じます。
今年を振りかえりますと異常気象が頭に浮かんできます。春には都心で最も遅い積雪を記
録し、とても遅い春の訪れでした。夏は、全国的に記録的猛暑となり、秋が来ないのではと
心配した方も多かったのではないでしょうか。集中豪雨による被害も発生いたしました。改
めて自然の猛威を感じました。秋が瞬間に過ぎ去り、冬が来た感じがいたします。明らかな
気象の変化と感じますが、これも地球温暖化の影響なのか心配いたします。
また、宮崎県、鹿児島県では、口蹄疫感染が発生し、消防関係の皆様方をはじめ地域が一
丸となり対応されたことと存じます。早期の復興をお祈りいたします。
4月から日本消防の編集を担当し、これまで多くの皆様方にご寄稿いただきまして無事に
発刊することが出来ました。厚く御礼申し上げます。今後ともよろしくお願い申し上げます。
これから年末年始の警戒活動、新春には出初め式の挙行などの行事が予定されていると存
じます。どうぞご自愛いただき良い年をお迎えください。
(A.S)
購読募集
購読を希望される方は、譛日本消防協会へお問い合わせください。
※ 年間購読料(送料込) 2,388円
(問合せ先)
総務部企画担当 03―3503―1481
寄稿のお願い
皆さまの消防団活動への取り組み、ご意見な
印
どをもとに、より充実した有意義なものにして
いきたいと考えておりますので、多数のご寄稿
をお待ちしています。
Eメールでも受付しています。
[email protected]
電日
話本
︵
3833 印
︶刷
六
九株
七式
一
︵会
代社
︶
発 編
東刷
行 集
京
電東
都所 話京 所 人
千
都 代
〇港 田
三区
岩
︵虎
区
日
3503 ノ
外
︶門 本 田
神
一
田
四二 消 六
八︱
︱
一九 防 知
三
︵︱
︱
代十 協 三
︶六 会 也
平平
成成
二二
十十
二二
年年
十十
二二
月月
十五
日日
発印
行刷
月
刊
﹁
日
本
消
防
﹂
第
六
十
三
巻
第
十
二
号
平毎
消防人の火災共済の補償が増額されました
「1000倍補償を1500倍補償にUP」
成
二月
十
二
一
年回
十
B 型火災共済
(加入口数は 5 口から25口まで)
二十
月
10口の場合 掛金1000円で
火 災 共 済 金 100万円を150万円に増額しました。
風水雪害等共済金(全損で)20万円を30万円に増額しました。
『掛金は、500円∼2,500円(500円単位)で加入できます。』
C 型火災共済
十
日
日発
発
行行
『加入口数は、最高200口』
火 災 共 済 金 2,000万円を3,000万円に増額しました。
風水雪害等共済金(全損で)400万円を600万円に増額しました。
※ 風水雪害等共済金とは、これまで災害見舞金としてお支払いしていたものです
※ 加入にあたり、組合員となっていただくために出資金が必要になります。
生活協同組合 全日本消防人共済会
事務局 (財)日本消防協会内 支 部 都道府県消防協会内
日
本
消
防
第
六
十
三
巻
第
十
二
号
加入申込みは消防事務担当へ
問
合
せ
先
●各市町村の消防事務担当係
●都道府県消防協会
(日本消防協会ホームページ)
●(財)日本消防協会 年金共済部
●生活協同組合全日本消防人共済会
〒105-0001 東京都港区虎ノ門2-9-16
日本消防会館 TEL.(03)3503-1481∼5
http://www.nissho.or.jp