アートスタンダード検定 公式テキスト 第1版 レベル1

アートスタンダード検定® 公式テキスト 第 1 版 レベル1
あ行
asym m etry( 英 )
❶ア シ ン メ ト リ ー
古今東西において視覚的造形美の様式とされてきたシンメトリー(狭義では「左右対称」。
広義では左右対称、「点対称」、「平行移動」、「拡大」、「縮小」、またこれらの複合)
は、秩序や完全性を感じさせる最も基本的な「構成概念」である。それに対しアシンメト
リーは、それらの数理的秩序を持たない、「非対称」な形のコンポジションやレイアウト
全般を指す。左右同型のシンメトリカルバランスが安定の美しさを奏でるのに対し、左右
異型のアシンメトリカルバランスはフリーバランスとも呼ばれ、変化あるバランスや動き
を感じさせることができる。(中島千絵)
【参考文献】三井秀樹『新構成学』六耀社 2006
Anim ation(英 )
❶ア ニ メ ー シ ョ ン
アニメーションとは、生命のない(動きのない)ものが作者の意図により生きているよう
に動かされる映像のことである。アニメーションが制作されるようになったのは 20 世紀
初頭であり、アメリカのウィンザー・マッケイ、フランスのエミール・コールらがアニメ
ーション初期に活躍した。アニメーションの表現には、人形を一コマずつ動かして撮影す
る人形アニメーションや、フィルムに直接手で像を描くシネカリグラフィなど様々な手法
がある。(赤山 仁)
【参考文献】おかだえみこ『ひとりから始めるアニメのつくり方』洋泉社 2004
❶ア ブ ス ト ラ ク ト ・ ア ー ト
abstract art( 英 )
抽象芸術と訳されている。外部の目に見える現実世界を写し出したり、直接再現したりす
る造形芸術ではなく、色彩と形態はそれ自体で芸術的価値を持つと考え、その表現のため
に造形活動を行う「非再現的な芸術」。第一次大戦中から戦後にかけて幾何学的・構成的な
抽象美術運動が展開された。作曲家シェーンベルク(1874∼1951)の無調音楽に多大な影
響を受けたカンディンスキー(1866∼1944)はじめ、ドローネー(1885∼1941)、 マ―
レヴィッチ(1878∼1935)、モンドリアン(1872∼1944)などがあげられる。
(菊池 哲)
【参考文献】ローズマリー・ランバート著・高階秀爾訳『20 世紀の美術』岩波書店 1995
❶ア フ リ カ 美 術 あ ふ り か ・ び じ ゅ つ
アフリカ各地の岩壁に先史時代の彩画・線刻画が多く残されている。ノク文化(前 500∼
後 200)のテラコッタ彫刻、イボ・クウ文化(9∼10 世紀)の青銅品、イフェ王国(12∼
15 世紀)やベナン(15∼16 世紀)の青銅、テラコッタ、鉄製の彫刻などが知られる。ま
た緒族の人物像や仮面などの木彫、家屋建築、家具、陶器類、織物、装身具なども代表的
な民族芸術である。20 世紀初頭、ピカソ(1881∼1973)たちはアフリカ美術に影響を受
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け、キュビスムが生まれた。(柿﨑博孝)
【参考文献】小川弘『アフリカのかたち POWER OF FORM』里文出版 1999
❶イ タ リ ア ・ ル ネ サ ン ス
13 世紀後半から 16 世紀初期までのイタリアにおける古代の学芸の再生を標榜する文化運
動の総称。ルネサンスという語は、16 世紀の美術家ジョルジョ・バザーリが著した『美術
家列伝』で用いた「rinascita(リナーシタ:再生)」に由来し、14 世紀から 15 世紀にか
けてはフィレンツェを中心に多くの優れた文学者、美術家、人文主義者が活躍した。15 世
紀末以降には、ミラノ、ローマへ学芸復興の中心は移り、レオナルド・ダ・ビンチ(ヴィ
ンチ)、ミケランジェロ、ラッファエロが古典様式を確立した。(亀崎 勝)
【参考文献】沢井繁男『イタリア・ルネサンス』講談社現代新書 2001
ブルクハルト著、柴田治三郎訳『イタリア・ルネサンスの文化(1)(2)』中公ク
ラシクス 2004
邸景一『トスカ‐ナ・都市紀行―イタリア・ルネサンスの舞台』旅名人編
集室 2006
❶印 象 主 義( 音 楽 ) い ん し ょ う・し ゅ ぎ im pressionnism e( 仏 )、im pressionism
(英)
1890 年頃から 20 世紀初頭にかけて、フランスを中心として現れた音楽思想。絵画に続き、
音楽においても、芸術アカデミーがドビュッシーの作品《春》を「悪しき印象主義」と評
したことから広まった。絵画と同様に自然から着想を得て、教会旋法や全音音階、解決さ
れない 9 や 11 の和音を並行和音で取り入れながら、和声や音色、リズムを微妙に変化さ
せ、移ろいゆく一瞬一瞬の感情や雰囲気を表現した。(松川 儒)
【参考文献】高橋浩子他編『19 世紀市民社会の音楽』東京書籍 1996(『西洋音楽の歴史』
❶印 象 派 ( 美 術 ) い ん し ょ う ・ は im pressionnism e( 仏 )
19 世紀後半、1860 年代から 90 年代にかけてフランスを中心にヨーロッパに興った重要な
絵画運動。モネ(1840 ∼1926)、ピサロ(1830∼1903)、シスレー(1839∼1899)、バジ
ール(1841∼1870)、ルノアール(1841∼1919)、ドガ(1834∼1917)、セザンヌ(1839
∼1906)、モリゾー(1841∼1895)、ブーダン(1824∼1898)などの若い画家たちが官選
のサロンに対抗して、1874 年、写真家のアトリエで第一回展を開催。モネの作品『印象・
日の出』をもじって彼らを印象派と呼んだ。彼らは何よりも自分の目を信頼し、生命力に
満ちた現実の自然の中の実在感をカンバス上に再現した。(菊池 哲)
【参考文献】高階秀爾著『近代絵画史(上)』中央公論社 1993 ❶『 ウ エ ス ト・サ イ ド 物 語 』 う え す と・さ い ど・も の が た り W est Side Story( 英 )
1961 年にアメリカで製作されたブロードウェイ・ミュージカル。作曲は、アメリカの指揮
者で作曲家のバーンスタイン(1918∼90)。作詞は、ソンドハイム(1930∼)。また、同
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名の 70 ミリフィルムによる映画作品。この映画によって、ミュージカルがスタジオ(劇
場)から町へ出たといわれた。W.シェイクスピア作の『ロミオとジュリエット』に題材を
得て現代化した作品。トニーとマリアのラブロマンスを縦軸にして、人種問題や貧困問題
を横軸として盛り込みながら、ニューヨークのスラム街を舞台に繰り広げられる。
(簗 正
昭)
❶映 画 え い が film( 仏 )・ m ovie(英 )
1891 年にアメリカの発明王エジソン(1847∼1931)は、切れ目なく連続する写真を、覗
き穴をとおして一人で鑑賞する装置キネトグラフを発明したが、これは今日のビデオに近
い形式である。現在の映画に近い形式、つまり、写真・動体鏡・幻燈という 3 要素の技術
でスクリーンに映写された映像を大勢の人々が見るという行為は、1895 年 12 月 28 日に
パリのリュミエール(ルミエール)兄弟によるシネマトグラフ cinématographe から始ま
った。その後、トーキー(音声)、カラー(天然色)、3D(立体的)などの技術的要素が加
わった。映画は人間にとって新たな視覚体験の始まりであり、自然界には存在しない時間
感覚の獲得と同時に、実体のない光と影に対する人間の知覚体験は、以来、さまざまに変
容してきている。(島川聖一郎)
❶遠 近 法
えんきんほう
15 世紀、建築家の F.ブルネレスキ(1377∼1446)よって考案された透視図法。遠近法に
よって三次元の空間表現を二次元に投影し、鑑賞者は平面のキャンバス上に空間感を再現
させる西洋の絵画史上、最大の発明となった。日本には江戸時代まで正式には遠近法とい
うものは存在せず、平行投影法によって、上部が遠景、下部が近景となったり、余白の応
用によって背景を無地にした心理的な遠近の表現法を用いていた。明治以後、ようやく美
術教育に採り入れられた。(三井秀樹)
【参考文献】小山 清男『遠近法の発見―絵画の奥行きを読む』朝日選書 1998
❶演 出 え ん し ゅ つ stage director、 producer( 英 )
演劇(舞台芸術)の用語で、舞台芸術作品の芸術的な統率者をいう。 ヨーロッパでは、19
世紀末の近代劇成立以降に生まれた職掌であり、20 世紀初頭に日本では当初、stage
director を翻訳して「舞台監督」と称した。また、映画の「監督」、放送業界の「ディレ
クター」とほぼ同義である。またオーケストラの「指揮者」とも似ていて、作品の方向性
を統率する。ただし、フランス語で金主(興行資金提供者)を意味するレジスールが演出
家の意味に転用されたように、現代の日本では、歌舞伎などの古典劇の主演役者や有力者
が舞台制作全体を取り仕切る風潮と混同される場合がある。(法月敏彦)
【参考文献】栗山民也『演出家の仕事』岩波新書 2007
❶黄 金 分 割 お う ご ん ぶ ん か つ golden ratio, golden section, golden mean( 英 )
古代ギリシャ時代以来、シンメトリーとならんで、西洋文化における美のプロポーション
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(割合、比率)の規範となった造形原理。小と大の割合が 1:1.618……という比率で、こ
れは小と大がもっとも絶妙なバランスのとれたプロポーションとされ、ギリシャのパルテ
ノン神殿をはじめ、窓枠、キャンバスなど建築や美術工芸から装飾美術まで広い範囲に多
用されてきた。最近、フラクタル理論の登場により、黄金分割との関係が指摘され、改め
てその美が見直されている。(三井秀樹)
【参考文献】三井秀樹『かたちの日本美』NHK ブックス 2008
❶オ タ ク
Otaku
「オタク」とは、アニメやアイドルなどサブカルチャーを中心とした分野に強い興味と関
心を持ち、マニアックなグッズの収集や深い知識を得ることに熱心な、傾倒した趣味を持
つ人を指す。1980 年代前半、熱心なアニメファンが同じ趣味を持つ相手を「オタク」と呼
び合ったことが語源とされる。当初「オタク」という言葉は社会性のない人間というレッ
テルや非難を表す言葉として一般化された。しかし、近年においてはマンガやアニメ、ゲ
ームが世界に発信できる日本独自のコンテンツとして評価されるに至り、
「オタク」に対す
る見方も見直されつつある。(赤山 仁)
【参考文献】岡田斗司夫『オタク学入門』新潮メディア文庫 2008
❶オ ペ ラ Opera( 伊 ・ 英 )、 Oper( 独 )、 Opéra( 仏 )
オペラ(歌劇)は台本を楽譜にし、演奏と演技で表現する総合舞台芸術である。演劇と同
様に舞台美術、衣裳、照明等があり、構成は適所に舞踊を入れ「序曲→幕・場→間奏曲→
幕・場→終曲」になる。歌手が役柄を演じ、台詞を叙唱・詠唱・重唱・合唱で歌う。管弦
楽が作品すべての音楽(序曲・間奏曲を含む)を演奏し、指揮者が歌手と管弦楽を纏める。
一般的に主役はソプラノ、テノールが、芝居の展開に不可欠な複雑で悪人的役柄をメゾ、
アルト、バリトン、バスが演じる(《カルメン》
《リゴレット》は低声が主役)。なお大衆的、
喜劇的、小規模なオペラを「オペレッタ(喜歌劇)Operetta」という。(安本高裕)
【参考文献】
F. ロベール著/ 窪川英水訳『オペラとオペラ・コミック』白水社1994(文庫クセジュ) ジル・ド・ヴァン著 /森 立子訳『イタリアオペラ』白水社2005(文庫クセジュ)
堀内 修『オペラ入門』講談社2009(講談社学術文庫)
❶オ ル ガ ン
Orgel( 独 )、 organ( 英 )
オルガンとはギリシャ語の Όργανον(organon)を語源とし、「組み立てられた道具」と
いう意味から「楽器」に転じ、中世においては「教会にある楽器」を指すようになった。
また、オルガン・パイプを発音源とする鍵盤楽器を指すもの(パイプオルガン)であり、
通常は噴出し式のリード・オルガン(ハルモニウム)やスピーカーから発音されるオルガ
ン(電子オルガン)とは区別されている。(中村岩城)
【参考文献】秋元道雄『パイプオルガンの本』音楽之友社 1989
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❶音 符 / 休 符
おんぷ/きゅうふ
音の性質には高さ・長さ・強さ・音色の 4 つがある。その中で音の長さとは音が鳴り響い
ている時間の事で、この音の長さを目で見てわかるように書き表した符号が音符、また無
音の長さを表すものを休符と言う。音符と休符がそれぞれ表す長さは一致するように定ま
っている。通常、四分音符(四分休符)を1拍と考え、その倍を二分音符(二分休符)、ま
たその倍を全音符(全休符)、また四分音符の 2 分の 1 を八分音符(八分休符)、4 分の 1
を十六分音符(十六分休符)と呼ぶ。(中村岩城)
【参考文献】
石桁真礼生・丸田昭三、他共著『新装版 楽典 理論と実習』音楽之友社 2002
芥川也寸志著『音楽の基礎』岩波書店 1992
久保田慶一編『キーワード 150 音楽通論』アルテスパブリッシング 2009
❶音 名 と 変 化 記 号
お ん め い ・ と ・ へ ん か き ご う Buchstaben-Tonschrift und Versetzungszeichen( 独 ) , pitch nam es and
accidentals (英 )
音楽に使われるそれぞれの音につけられた名称を音名と呼び、譜表上では標準ピッチ(1
点イ音 = 440 Hz)にもとづく絶対的な音の高さを示す。音名には、幹音名(変化記号に
よって変化されていない音、白鍵のみの音)と派生音名(変化記号によって半音的に変化
された音)の2種類がある。変化記号には半音単位で音を上下に変化させる#(シャープ、
嬰記号)・ (ダブルシャープ、重嬰記号)・♭(フラット、変記号)・
(ダブルフラ
ット、重変記号)と、変化された音を幹音に戻す本位記号(♮)がある。(土居克行)
【参考譜例】
【参考文献】久保田慶一編『キーワード 150 音楽通論』アルテスパブリッシング 2009
芥川也寸志『音楽の基礎』岩波書店 1992
石桁真礼生・丸田昭三他著『新装版 楽典 理論と実習』音楽之友社 2002
J=P・オルスタイン著・八村美世子訳『ソルフェージュ』白水社 1991
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か行
❶絵 画 か い が
絵画的表現は旧石器時代の洞窟の内壁や岩盤に、酸化鉄や炭を用いて動物の姿や手形を意
図的に描いたものが始まりと考えられる。様々な思いを形や色に託して平面上に表わす絵
画の特徴は、各時代の思想や心理を表わす手段や伝達、記録、装飾の方法として用いられ
るなど、目的に応じて多様な表現を生み出し現代に至っている。(菊池 哲)
【参考文献】セミール・ゼキ『脳は美をいかに感じるか・ピカソやモネが見た世界』日本経
済新聞社 2002
❶絣 と 絞 り
かすり・と・しぼり
絣は「かすれたように見える」という外観からきた染織布の名称。「纏(まと)める」「束
(たば)ねる」の意味を持もつマレー、インドネシア語の「IKAT」(イカット)を世界共
通名称としており、発生はインドであるといわれる。絣は糸を束にし、括り防染(ぼうせ
ん)をして、模様の元になるように染めた糸を用いて織る織物で、経絣(たてがすり)
・緯
絣(よこがすり)・経緯絣(たてよこがすり)がある。また絞りも「SHIBORI」が通用す
るようになり、布に糸や紐で緊縛という防染を施して模様を表す染色技法であり、二枚の
板で布を強く挟む板締絞りもある。幻の染色といわれる桃山時代の辻が花染(つじがはな
ぞめ)や、東海道筋の有松・鳴海(愛知県)絞りが江戸時代から有名である。(梶原新三)
[参考文献] 吉本嘉門 「日本の染織第一集かすり」青幻社 「染織の美 5 インドネシア
の絣 11 日本の絣 27 インドの染織 世界の絣」 榊原あさ子「日本伝統絞りの技」
紫紅社 「染織の美 10 世界の絞り」京都書院
❶歌 舞 伎
か ぶ き Kabuki( 英 )
江戸時代初期から現代まで続く日本の代表的古典劇。能、人形浄瑠璃文楽に次いで 2005
年、ユネスコの「世界無形文化遺産」に選ばれた。出雲の阿国(おくに)という女性芸能
者が京都で始めた「かぶき踊り」という寸劇と踊りのショーが歌舞伎の原型。その後、幕
府による女性芸能者への禁令などにより、男性だけで上演される演劇となり、女役を演じ
る「女形(女方)」が発達。人形浄瑠璃文楽の台本を転用して長編のドラマを上演するよう
になった。また、「花道」、「セリ」、「回り舞台」など独特の舞台機構を発達させた。(小山 正)
【参考文献】今尾哲也『歌舞伎をみる人のために』玉川大学出版部 1979(玉川選書)
❶紙
かみ
中国後漢の蔡倫(さいりん)
(50?∼121?)が発明したと伝えられているが、近年に紀元
前の紙が発見され、蔡倫は紙の改良者と考えられている。その後、西方にも伝えられた。
日本には奈良時代頃に伝わった。現在の紙は、大別すると洋紙と和紙がある。洋紙は木材
パルプを主な原料としているのに対し、和紙は麻・楮(こうぞ)
・雁皮(がんぴ)
・三椏(み
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つまた)などの植物繊維を原料としいる。一種類の原料を用いて漉くものから、数種類の
原料を混ぜて漉くものまで多岐にわたる。(吉田 功)
【参考文献】為近麿巨登『墨と硯と紙の話』木耳社 2003
植村和堂『筆・墨・硯・紙』理工学社 1977
❶仮 面 か め ん Persona( 希 ) m ask( 英 )
生身の人間の顔立ちと異なる表現を求めるために顔を覆うもので、仮装性を伴う。その発
生においては、霊魂の存在を信じるアニミズムと深く関わっていたが、やがてそれが進化
発展し芸術的にも昇華した。仮面を用いた芸能(仮面劇や仮面舞踊)の歴史は古く、西洋
では古代ギリシャ劇などに見られる。またアジアとりわけ日本には豊かな歴史と伝統があ
り、伎楽、舞楽、能・狂言、民俗芸能に多くを見ることができる。現代の舞台芸術におい
ても仮面のもつ様式美や象徴性が見直されている。(方 勝)
【参考文献】森 豊『仮面の祈り』六興出版 1995
❶唐 草 文 様
からくさ・もんよう
植物の花や葉が蔓状の曲線で結びつけられた文様の総称。連続文を成すことが多い。起源
は古代エジプトの睡蓮文様であると言われている。ミュケナイを経て、ギリシアに至り「パ
ルメット文」として発達した。さらにイスラム文化圏で「植物連鎖文」として大いに発展
し、広く世界に分布する古代以来の伝統的な装飾文様である。モティーフとなった植物に
よって「忍冬唐草(にんどう)」
「葡萄唐草(ぶどう)」
「牡丹唐草(ぼたん)」などと名付け
られた。日本には中国経由で移入され、唐草文と呼ばれている。仏教美術に初期の例が多
くみられ、次第に和様化されていった。(小倉康之)
【参考文献】立田洋司『唐草文様: 世界を駆けめぐる意匠』講談社 1997
❶『カ ル メ ン 』 Carm en( 仏 )
オペラ作品。原作は、ナポレオン三世の廷臣で元老院議員であったメリメ(Prosper Mérim
ée 1803-1870)が、スペイン旅行中の見聞を小説にしたものである。ビゼー(Georges Bizet
1838-1875)によってオペラ化(1873
1874)され 1875 年にパリのオペラ・コミーク座で初
演されたが、主役がソプラノではなくメゾソプラノの上に、不道徳な人間が多く登場し、
殺人で終わるという内容に聴衆が戸惑い、失敗に終わった。しかし、次第に大衆の人気を
得て、現在では世界で最も知られているオペラとなった。(馬場眞二)
【参考文献】アッティラ・チャンパイ、 ディートマル・ホラント編 安藤元雄・台本訳/
倉田裕子・本文訳『カルメン』音楽之友社 1987(名作オペラブックス)
❶管 弦 楽
か ん げ ん が く orchestra( 英 )、 Orchester( 独 )
オーケストラのこと。日本語の管弦楽は orchestra の訳語として、雅楽の用語「管絃」か
ら転用したものである。管弦楽は器楽の合奏形態の中で最も多種多様な楽器によって編成
され、通常、弦楽器群、木管楽器群、金管楽器群、打楽器群という 4 つのグループからな
る。編成の大きさは各木管楽器の本数を基準とし、1 本ずつのものを1管編成、2本ずつ
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のものを 2 管編成、3 本ずつのものを 3 管編成という。(向山光則)
【参考文献】野本由紀夫『はじめてのオーケストラ・スコア』音楽之友社 2003
【参考文献】 アラン・ルヴィエ著/山本省・小松敬明訳『オーケストラ』白水社・文庫クセジュ 1990
野本由紀夫『はじめてのオーケストラ・スコア』音楽之友社 2003
田村和紀夫『名曲に何を聴くか』音楽之友社 2008
みつとみ俊郎『オーケストラとは何か』新潮社・新潮選書 1992
❶喜 劇 き げ き com m edia(伊 ) com édie(仏 ) com edy(英 )
現代では、笑える劇あるいはお笑いと同義に理解されており、舞台・映画・テレビの広範
囲で使われる演劇ジャンルの名称。もともとは古代ギリシャ演劇の 2 大ジャンル、悲劇(ト
ラジディ)と喜劇(コメディ)が語源。王や貴族が登場する悲劇に対して、喜劇の登場人
物は普通の人間。劇の内容も、神々に関わる運命などを描く悲劇に対して、喜劇は普通の
人間の大らかな交流や風刺を描いている。こういったヨーロッパの伝統を踏まえて、各国
でそれぞれ独自の発展を遂げた。関連する用語に、イタリアのアテルラナ(道化劇)やコ
メディアデラルテ(仮面即興劇)、フランスのファルス(farce 笑劇)やコント(conte 寸
劇)、イギリスやアメリカのバーレスク(軽演劇)やボードビル(ヴォードヴィル。寄席芸)
など多種多様の形態がある。日本では、平安時代に「猿楽」の一部として誕生した庶民の
登場する寸劇が室町時代に至って「をかし」と呼ばれ、それが後に「狂言」となって現存
する。(法月敏彦)
【参考文献】喜志哲雄『喜劇の手法 笑いのしくみを探る』集英社新書 2006
小林 標『ローマ喜劇―知られざる笑いの源泉』中公新書 2009
❶CAD/CAM
com puter aided design/ com puter aided m anufacturing( 英 )
製品や建築物の設計や製造プロセスを支援するためのコンピュータの活用システム。CAD
(コンピュータ支援デザイン)は、図形処理技術を基本に製図作業や設計を効率的に行う
ためのシステムで、製図用途のものを2次元 CAD、3次元形状への定義を行うものを3次
元 CAD という。CAM(コンピュータ支援製造)は、製品の製造を行う NC(数値制御)
工作機への指令データを CAD のデータから作成し、量産の準備を行うシステムである。
(中島千絵)
❶狂 言 き ょ う げ ん
平安時代以来の「猿楽」の伝統を受け継ぎ、室町時代以降に上演形式が整った台詞劇。同
じ舞台で上演される「能」とは対照的に、登場人物は庶民で、滑稽な内容が演じられる。
また、狂言の役者は、能の演目にも出演して「間狂言(あいきょうげん)」を演じる。さら
に、江戸時代になると歌舞伎の成立にも作者として関与したので、現在でも歌舞伎の演目
のことを狂言という。なお、この言葉には虚構や嘘という意味があるため、狂言強盗や狂
言自殺などの語源にもなっている。(太宰久夫)
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【参考文献】小林責監修・油谷光雄編『狂言ハンドブック 改訂版』三省堂 2000
❶強 弱 用 語 / 強 弱 記 号
きょうじゃく・ようご/きょうじゃく・きごう
音の性質には、高さ・長さ・強さ・音色の4つがあり、その中で強さを表すために用いら
れる用語及び記号の事を強弱用語・強弱記号と呼ぶ。代表的な強弱用語には crescendo
(クレッシェンド/だんだん強く)や decrescendo、diminuendo(デクレッシェンド、
ディミヌエンド/だんだん弱く)等が挙げられる。また強弱記号は pp – p – mp –
–
f –
mf
ff (ごく弱く– 弱く– やや弱く– やや強く– 強く– ごく強く)の 6 段階が基本的な記号
として挙げられる。演奏者は、楽譜に書かれたそれらの用語また記号によって強弱の変化
を行い、表情豊かに楽曲を演奏する。(中村岩城)
【参考文献】山縣茂太郎著『新訂 音楽通論』音楽之友社 1958
❶虚 実 皮 膜
きょじつ・ひにく
江戸時代の歌舞伎・浄瑠璃作者の近松門左衛門(1653∼1724)が語ったといわれている芸術
の本質に関わる言葉。人々を感動させる演劇の「芸」というものは、虚(うそ)だけでも実(ま
こと)だけでも成立しない、芸というものは、虚と実の非常に薄い皮膜の間に成り立つもの
である、という芸術論。このような芸が成立する時、例えば、本来は生命体ではない人形
浄瑠璃(文楽)の木製の人形が、生きているように見えるし、また、現実の世界では白塗
りの化粧をしていなかった大名など歌舞伎の登場人物の演技が不自然に見えないのである
という。「虚」「実」をそれぞれ「フィクション」「リアリティ」という言葉に置き換え
ると、現代にも通じる芸術の本質論となる。(法月敏彦)
【参考文献】鳥越文蔵『虚実の慰み 近松門左衛門』新展社 1989 (日本の作家 28)
❶キ リ ス ト 教 芸 術
きりすときょう・げいじゅつ
Christian Art ( 英 )
キリスト教教会で形成され展開した美術・音楽・演劇などの総称。313 年、ローマ帝国が
キリスト教を公認し、エルサレムやローマなどの都市で大規模な教会堂が次々と建設され
るようになった。ローマ美術が継承され、教会堂は美しいモザイク壁画で彩られた。その
後、聖画像は言語が異なるゲルマン人に布教する際に積極的に利用され、教会音楽と合わ
せ、荘厳な典礼を行って北方の異教徒たちを惹きつけた。また、聖史の演劇化によってヨ
ーロッパでの広範な布教が行われた。(小倉康之)
【参考文献】アンドレ・グラバール著・辻佐保子訳『キリスト教美術の誕生』新潮社 1973
(人類の美術叢書)
❶グ レ ゴ リ オ 聖 歌
ぐれごりお・せいか
ラテン語を用いて典礼(キリスト教のカトリック教会において公に制定されている祭式)
を行う教会をラテン教会と呼ぶが、そのラテン教会がヨーロッパ全体に伝えられて行く中、
各地で様々な聖歌が発展した。それらの聖歌を整理し全体の統一を図る動きを率先した人
物、教皇グレゴリウス 1 世(在位 590∼604)によって公認された聖歌の事を言う。グレ
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ゴリウス 1 世によって編集されたという考えは間違いである。聖歌の記譜には現在の五線
譜とは異なる「ネウマ譜」が用いられている。(中村岩城)
【参考文献】金澤正剛『キリスト教音楽の歴史』日本キリスト教団出版局 2005
❶交響曲
こうきょう・きょく
sym phony( 英 )、Sym phonie、Sinfonie
(独)
シンフォニーのことで、多楽章形式の管絃楽曲をいう。管弦楽のためのソナタで、通常は
4 つの楽章から成る。交響曲の母胎となったのは、シンフォニア sinfonia の名前で呼ばれ
ていたイタリア歌劇の序曲である。ヨハン・シュターミッツ(1717∼1757)やクリスティ
アン・カンナビッヒ(1731∼1798)等の前古典派の作曲家により古典派の管弦楽曲の書法
が確立され、交響曲は、18 世紀末から 19 世紀はじめにかけてウィーンを中心に活躍した
ハイドン(1732∼1809)、モーツァルト(1756∼1791)、ベートーベン(1770∼1827)に
よって頂点に達した。特にハイドンはその生涯に有名な《驚愕》《軍隊》《時計》などを含
む 100 曲余りの交響曲を残した。(向山光則)
【参考文献】野本由紀夫監修『クラシックの名曲解剖』ナツメ社 2009
【参考文献】「オーケストラとは何か」 みつとみ俊郎著 新潮社・新潮選書
「オーケストラ」アラン・ルヴィエ著 山本省・小松敬明訳 白水社・文庫クセジュ
「名曲が語る音楽史」 田村和紀夫著 音楽の友社
「クラシックの名曲解剖」 野本由紀夫著 ナツメ社
「音楽の形式」 アンドレ・オデール著 吉田秀和訳 白水社・文庫クセジュ
❶《 皇 帝 》 こ う て い / ピ ア ノ 協 奏 協 奏 曲 第 5 番 変 ホ 長 調 o p . 7 3( ベ ー ト
ー ベ ン ) ド イ ツ の 作 曲 家 ベ ー ト ー ベ ン ( 1770∼ 1827) が 1808∼ 9年 に 作 曲 し た ピ ア
ノ と オ ー ケ ス ト ラ の た め の 作 品 。ベ ー ト ー ベ ン は 全 部 で 5 曲 の ピ ア ノ 協 奏 曲
を 作 っ て い る が 、そ の 中 で も と り わ け こ の 作 品 は 有 名 で よ く 演 奏 さ れ る 。
《皇
帝 》と い う タ イ ト ル は 、ベ ー ト ー ベ ン 自 身 が 付 け た も の で は な い と い わ れ て
い る 。 初演は1811年。(岡 野 哲 也 )
【参考文献】『ベートーヴェン』音楽之友社2006(作曲家別名曲解説ライブラリー)
【参考音源】CD:ポリーニ(ピアノ)ドイツ・グラモフォンUCCG-70015
❶コ ラ ボ レ ー シ ョ ン
collaboration( 英 )
本来「共に働く」、「協力する」の意味で、合作、共同作業、共同制作、共演、競演など利
益的協力を指す言葉である。現在のコラボレーションは、複数企業による共同開発も含ま
れるが、主に演劇、美術、音楽、文学の分野で使われており、異なる芸術分野のクリエー
ター同志によって生み出される制作形態によって更なる新しい可能性を探る機会として期
待されている。(田中敬一)
【参考文献】斉藤嘉則・山本真人『コラボレーション・プロフェショナル― ゼロベース
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思考の状況マネージメント』東洋経済新報社 2006
❶コ ン テ ン ポ ラ リ ー ・ ア ー ト
contem porary art( 英 )
「同時代の美術」の意。
「現代美術」あるいは「現代アート」はこの英語からの訳語である。
同様の意味を持つ語に modern art があるが、おおよそ 19 世紀後半に始まる、比較的広
いスパンでとらえた modern =近代の芸術をさすこの modern art に対し、contemporary
art のほうは、より直近の芸術を指すことばとして用いられる。芸術としては 20 世紀初
頭の芸術運動であるアバンギャルド(=前衛)を踏まえ、一般に難解とされる傾向を示す
ものが多い。(林 卓行)
【参考文献】美術手帖編集部編 谷川渥監修『20 世紀美術の美術と思想』美術出版社 2002
❶コ ン ピ ュ ー タ ・ ア ー ト com puter art( 英 )
コンピュータの演算機能を生かした芸術表現を指す。1946 年、世界初のコンピュータ、
ENIAC(エニアック)がアメリカの陸軍によって開発された。1950 年代、演算結果をプ
リンター(印刷装置)に出力した世界初のコンピュータ・アートが登場した。その後、デ
ィスプレイ装置(CRT)に出力した映像表現のコンピュータ・グラフィクス、アニメーシ
ョンが、コンピュータ・アートの主役となっていった。現在はデジタルメディアの中核を
占める。(三井秀樹)
【参考文献】三井秀樹『メデイアと芸術』集英社新書 2002
❶コ ン ピ ュ ー タ ・ ミ ュ ー ジ ッ ク
com puter m usic( 英 )
コンピュータによって作曲または演奏される音楽の総称。コンピュータは音響合成、音響
処理、電子楽器の自動演奏、自動作曲などを行うことができる。DTM(Desk Top Music、
これは和製英語)もコンピュータ音楽の一種である。コンピュータを用いた自動作曲と音
響合成の研究は 1950 年代に始まり、1980 年代半ばまでは、欧米の大学や研究所の汎用大
型コンピュータや科学技術計算用コンピュータを用いてマックス・マシューズ、ヤニス・
クセナキス、ジョン・チャウニング、ポール・ランスキー(といった現代音楽の作曲家や
研究者達によって作曲やソフトウェア開発が行なわれた。その後、MIDI の普及およびパ
ソコンの性能向上によって、ポピュラー音楽の分野でもコンピュータが用いられるに至っ
た。(高岡 明)
❶コ ン ピ ュ ー タ ・ グ ラ フ ィ ク ス
com puter graphics( 英 )
コンピュータ・グラフィクス(CG)とは、コンピュータを用いて作成した画像やその技術
のこと。アートを目的とする初期の CG は、1950 年代初頭にアメリカのベン・ラポスキー
やオーストリアのヘルベルト・フランケによって、自作のアナログコンピュータを使用す
ることで制作された。現在では、3 次元空間をコンピュータ上で計算し表現する 3DCG(3
次元コンピュータ・グラフィクス)の技術発展により、映画やCM、ゲームなどの映像表
現において、現実を実際に撮影したかのようなリアリティを持った作品が制作されるよう
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になった。(赤山 仁)
【参考文献】伊奈新祐編『メディアアートの世界 ‐実験映像 1960-2007』国書刊行会 2008
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さ行 ❶産 業 革 命
さんぎょう・かくめい
industrial revolution( 英 )
工業の機械化導入に伴う産業と社会構造の変革。「工場革命」ともいう。18 世紀後半、イ
ギリスでは農村部の余剰人口が都市に流入し、労働力の供給が容易となった。そこへ資本
が投下され、手工業から機械生産への劇的な変化がもたらされた。その結果、資本家と労
働者階級という新たな社会構造が生まれ、貧困などの社会問題が発生した。19 世紀になる
と、工場制は近隣諸国へ広まった。1851 年以降、各国の工業社会のデモンストレーション
として、万国博覧会の開催が定例化した。この頃、ウィリアム・モリス(1834∼96)は資
本家中心の産業・文化の在り方に反発し、一般市民と職人、芸術家のための理想的な社会
を求めた。これが近代デザイン運動の発端となった。(小倉康之)
【 参 考 文 献 】 藪 亨 『 近 代 デ ザ イ ン 史 : ヴ ィ ク ト リ ア 朝 初 期 か ら バ ウ ハ ウ ス ま で
1837→1933』丸善 2002
❶シ ェ イ ク ス ピ ア
W illiam Shakespeare
1564∼ 1616
英国エリザベス朝の劇作家。イギリス中部のストラットフォード・アポン・エイボンに生
まれる。
『ハムレット』、
『ロミオとジュリエット』、
『夏の夜の夢』などいまでも世界各地で
上演されている戯曲(37 編)を残した。また、『ソネット集』の詩人としても名高い。彼
の実人生の大半は謎にみちているが、俳優の経験もあり、劇場(グローブ座)の株主でも
あったことは間違いない。1724 年に友人たちが編集した全集(ファースト・フォリオ)が
出版された。イギリスが大英帝国として世界に君臨し、英語が普及することとあいまって
彼の戯曲やストーリーが世界中に広まり各国語に翻訳された。今日ではシェイクスピア産
業(Shakespeare Industry)という言葉があるように、さまざまな研究や批評、上演が行
われている。シェイクスピアについての研究は多岐にわたるが、最近では、エリザベス朝
の演劇興行の世界を生き抜いた演劇人としての彼の側面に光が当てられている。
(島川聖一
郎)
【参考文献】大場建治『シェイクスピアを観る』岩波新書 2001
喜志哲雄『シェイクスピアのたくらみ』岩波新書 2008
スティーブン・グリーンブラッド著・河合祥一郎訳『シェイクスピアの驚異
の成功物語』白水社 2006
❶色彩 しきさい
色彩は、モニターなどの色光(透過光)と色料などの物質光(反射光)に分けられる。色
光の三原色は赤(red、R)、緑(green、G)、青紫(blue、B)であり、これらを混色する
と色が明るくなるので加法混色と呼ばれる。物質光の三原色は赤紫(magenta、M)、黄
(yellow、Y)、緑青(cyan、C)であり、混色すると暗くなることから減法混色という。
また色彩は、三属性により立体座標化して表すことができる。三属性とは、色相(Hue、
色味の違いを示す)、明度(Value、Lightness、色の明るさを示す)、彩度(Chroma また
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は Saturation、色の鮮やかさを示す)である。(中島千絵)
【参考文献】三井秀樹『新構成学』六耀社 2006
❶ ジ ャ ク ソ ン ・ ポ ロ ッ ク Jackson Pollock
1912∼ 1956
第二次大戦後、1950 年代に活躍したアメリカの画家。床に置いた大画面に、固めに溶い
た絵の具を垂らしながら描く独特の制作方法(ドリッピングあるいはポーリングと呼ばれ
る)と、その結果として得られる、力感と静謐さを併せ持つ作品によって知られる。アメ
リカの美術がヨーロッパの模倣から脱却し、さらにはヨーロッパにならぶ地位を確立する
にさいして、重要な役割を果たした。 (林 卓行)
【参考文献】藤枝晃雄『ジャクソン・ポロック』(新版)東信堂 2007
❶尺 八 し ゃ く は ち
日本の伝統的な楽器。木管楽器の一種。
「尺八」の名は、作られているものの多くが一尺八
寸(約 54.5cm)の長さであることに由来する。鎌倉時代から江戸時代頃に成立したとい
われ、普化宗に属する虚無僧が演奏して回った。なおこの頃には、建前上は一般の者は吹
いてはいけなかったが、実際には尺八をたしなむ者はいた。明治時代以降には、普化宗が
廃止されたことにより虚無僧以外の者も演奏するようになった。「本曲」(独奏・重奏曲)、
三曲合奏、民謡の伴奏などに用いられている。尺八の流派には、都山流、琴古流、上田流、
竹保流などがある。(小山 正)
❶ジ ャ ズ
jazz( 英 )
アメリカ音楽のージャンル。アフリカとヨーロッパの音楽伝統が結びついた 20 世紀初頭
に始まる。ジャズには多くのジャンルがあり、ラグタイム、ニューオリンズ・ディキシー
ランド、ビッグバンド、ビーバップ、ラテンジャズ、ジャズロック・フュージョンなどに
分類される。ジャズの特徴としては、ブルース音階、シンコペーション、即興演奏などが
挙げられる。アメリカ合衆国では、20 年代から 40 年代にかけてジャズバンドはしばしば
ダンスの伴奏音楽として用いられ、チャールストン、リンディホップ、イーストコースト・
スイングなどのダンスと共にスイング・スタイルのジャズが発展した。この時代の代表的
なバンドリーダーとしては、ルイ・アームストロング、カウント・ベイシー、デューク・
エリントン、ベニー・グッドマンなどがいる。(ジョナサン・リー)
❶シ ュ ル レ ア リ ス ム Surréalism e( 仏 )
けいじじょうは か い が
超現実主義のこと。ダダイズムや形而上派絵画などを先駆として展開された 20 世紀にお
ける最も重要な芸術運動。1924 年、アンドレ・ブルトン(1896∼1966)の「シュルレア
リスム宣言」に端を発し、美術、詩、文学、音楽、演劇、政治など広い範囲にわたって想
像力の自由と合理性を離れた芸術家の自由を目的として夢の世界を追求し、純粋な幻想、
幻覚的イメージによる作品を生み出した。エルンスト(1891∼1976)、ミロ(1893∼1983)、
ダリ(1904∼1989)、マッソン(1896∼)、マグリット(1898∼1967)などの才能が競い
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あった。(菊池 哲)
【参考文献】高階秀爾『20 世紀の美術』岩波書店 1995 ❶書 院 造 り
しょいん・づくり
鎌倉幕府開府に伴い形成され、発展した武家住宅建築様式の呼称。平安貴族の開放的「寝
殿造」の建築様式が変質し、敷地や建物が儀礼、会合、接客に用いられる公用空間と、家
族との生活に用いる私用空間を分離した部屋化が寝殿造りとの差である。空間構成、意匠、
構造の特徴は、障子、襖、板戸などの建具や小壁を用いて部屋に区切り、畳を敷き、部屋
割りによって複雑となった構造を隠すための「竿縁天井」を吊る。儀礼、接客の部屋は、
原則として「違棚」、「付書院」、「床間」などの「座敷飾り」の意匠で調えられる。構造は
角柱を貫、梁、桁でつなぎ、敷居や鴨居などの水平材を用いた軸組である。(三井秀樹)
【参考文献】太田専太郎監修『日本建築様式史』美術出版社 2001
【参考文献】ブルーノ・タウト『日本美再発見』岩波新書
❶定 規 / 尺 度
じょうぎ/しゃくど
物の売買や製造の過程で、正確にはかる共通の基準が必要となる。その基準を「度量衡(ど、
りょう、こう)」という。「度」は長さ、「量」は容積、「衡」は重さを示す。定規(尺度)
は物の寸法を測る道具である。日本では伝統的に尺・寸の単位が用いられたが、1959 年か
ら国際単位系のメートル法が公式に使われるようになった。しかし現代でも尺・寸は利用
され、畳は 3 尺×6 尺(1 尺は約 30.3cm)の寸法を持ち、日本家屋設計のモジュール(基
本単位)となっている。(林 三雄)
【参考文献】松本栄寿『「はかる」世界』玉川大学出版部 2000
❶浄 瑠 璃
じょうるり
日本の伝統的な音曲(音楽)の一種。浄瑠璃という名称は、最初の語り物『浄瑠璃物語(別
名、十二段草紙)』による。基本的には、三味線を伴奏楽器として太夫が詞章を語る音曲で
ある。詞章が、単なる歌ではなく、劇中人物の台詞やその仕草、演技の描写をも含むもの
であるために、語り口が叙事的な力強さを持つ。このため浄瑠璃の演奏は「歌う」ではな
く「語る」という。また、浄瑠璃系統の音曲をまとめて「語り物」と呼ぶのが一般的であ
る。代表的な流派に、義太夫節・常磐津節・清元節などがあり、その多くは日本舞踊の伴
奏楽曲、あるいは歌舞伎の背景音楽としても用いられている。義太夫節の浄瑠璃と操り人
形が加わった芸能が人形浄瑠璃(文楽)である。(小山 正)
【参考文献】阪口弘之編『浄瑠璃の世界』世界思想社 2000
❶初 心 し ょ ・ し ん
猿楽(後の能)の役者であり作者でもあった世阿弥(ぜあみ。1363?∼1443?)が、著作『風
姿花伝(ふうしかでん)』や『花鏡(かきょう)』等の芸術論に記した言葉。とくに「初
心忘るべからず」という言い方が有名。もともとは、25 歳の頃、猿楽の演者として一生か
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けてその道を極めようとする、その決心をいう言葉であったが、転じて、最初の頃の初々
しい感性を忘れないよう、という誤用が入学式・入社式などで一般化した。(法月敏彦)
【参考文献】世阿弥著・竹本幹夫訳『風姿花伝・三道』角川学芸出版 2009(角川ソフィア)
『別冊太陽 日本の心 173 世阿弥 初心忘るべからず 秘すれば花なり』平
凡社 2010
❶序 破 急
じょ・は・きゅう
主に上演芸術の構成法や時間(テンポ)に関する言葉であり、日本における古典芸能、伝
統芸能、さらに、映像芸術などにも強い影響力をもって現代に至っている。8 世紀以降、
舞楽(雅楽)、御神楽、声明、蹴鞠、連歌、能・狂言(猿楽)、文楽(人形浄瑠璃)、歌舞伎、
浄瑠璃、筝曲、書道、香道、花道、茶道、弓道、剣道などの諸芸能で、作品構成やタイミ
ング、さらに「間(ま)」などの言葉と関連する理論用語として使われている。(法月敏彦)
【参考文献】丹波明『「序破急」という美学』音楽之友社 2004
❶《 新 世 界 よ り 》
( ド ボ ル ジ ャ ー ク )/ 交 響 曲 第 9 番 ホ 短 調 op .95 し ん・せ か い ・
よ り From the New W orld( 英 )
アントニン・ドボルジャーク(ドヴォルザークとも表記。1841∼1904)の最後の交響曲。
彼はスメタナ(1824∼84)と共に国民楽派に属するチェコの作曲家である。1892 年(51
歳)の時、招かれてニューヨーク・ナショナル音楽院の院長となった。この交響曲はその
アメリカ滞在中に書かれ、彼の多数の作品の中で最も人気が高い。とりわけ第 2 楽章は、
のちに日本語の歌詞が付けられて、
《家路》として名高い。この交響曲の中には黒人霊歌や
アメリカ・インディアンの民謡が取り入れられ、ヨーロッパの語法との融合が図られ、親
しみやすい作品となっている。(向山光則)
【参考文献】野本由紀夫監修『クラシックの名曲解剖』ナツメ社 2009
みつとみ俊郎『オーケストラの秘密』日本放送出版協会(生活人新書)
synthesizer( 英 )
❶シ ン セ サ イ ザ ー
音を合成するためのハードウェアまたはソフトウェアの名称。1950 年代半ばにアメリカで
製作された RCA マーク II が音楽制作に供された最初のシンセサイザーである。最初期の
シンセサイザーは大学や研究所でのみ用いられた。1960 年代後半に登場したモーグ・シン
セサイザーは、70 年代にポピュラー音楽の音楽家達にも用いられ、初めて一般に普及した
アナログ・シンセサイザーである。また、一般に普及した最初の MIDI 搭載のディジタル・
シンセサイザーはヤマハの DX-7(1983)である。近年はパソコンの性能向上により、Reason
などパソコン上で使用する市販のソフトウェア・シンセサイザーが普及している。主に大
学や研究所で用いられている Csound や RTcmix などもソフトウェア・シンセサイザーの
一種である。(高岡 明)
【参考文献】Curtis Roads 著、平田圭二他訳『コンピュータ音楽—歴史・テクノロジー・
アート』東京電機大学出版局 2001
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❶図 法 ず ほ う
物の形体を平面上に表す方法として、長さや角度などを計量的に表して定規やコンパスな
どの幾何学的用具を使って描く方法があり、それを図法と称する。図法の種類として、建
築図面や製作図面などの製図、幾何学の作図課題に使われる平面図法、正投象をもとに立
体を描き表す立体図法(メトリカル図法)、視覚的な奥行き感を表現する透視図法(パース
ペクティブ)などがあげられる。また、デッサンやスケッチなどの感覚的な表現がある。
(林 三雄)
【参考文献】小山清男『デザイン製図ハンドブック』ダヴィッド社 1997
❶墨
すみ
墨は中国で発明された。書画で用いられる固形墨は松煙墨(しょうえんぼく)と油煙墨(ゆ
えんぼく)に分けられる。松の樹の煤を原料とするのが「松煙墨」で、油煙墨に比べ炭素
粒子が大きく、経年とともに青味をおびる。これが青墨(せいぼく)である。これに対し
て「油煙墨」は茶墨とも呼ばれ、菜種油・胡麻油・大豆油などの植物性油を燃やして採れ
る煤を原料としている。これらの煤粒子に膠(にかわ)
・香料を溶かして練り合わせ、乾燥
させたものが固形墨となる。(吉田 功)
【参考文献】為近麿巨登『墨と硯と紙の話』木耳社 2003
植村和堂『筆・墨・硯・紙』理工学社 1977
❶世 阿 弥
ぜ ・ あ み 1363?∼1443?
室町時代の猿楽役者・作者。父・観阿弥(かんなみ。1333∼1384)が基礎を築いた「猿楽
の能」(現在の「能」)を発展させ、京の上流階級の嗜好に合わせて、和歌を主体とした上
品な歌舞劇を大成した。また、自己の体験と深い考察を基にした『風姿花伝(ふうしかで
ん)』
『花鏡(かきょう)』などの能芸論(芸術論・演劇論)を著した。世界で最も著名な演
劇人の一人。(法月敏彦)
【参考文献】今泉淑夫『世阿弥』吉川弘文館 2009
❶速 度 用 語 / 速 度 記 号
そくど・ようご/そくど・きごう
楽曲のテンポを指示する言葉を速度用語と言う。これは楽曲の始めに記されるが、途中で
テンポを変更する時には、その位置に書いて示す。代表的な速度記号は Largo(幅広くゆ
っくりと)Adagio(ゆっくりと)Andante(歩くくらいの速さで)Moderato(ほどよい
速さで)Allegro(速く)Vivace(アレグロより速く)等である。また、より正確なテンポ
を示す時には、M.M.=100 のようなメトロノーム記号を用いる。これはメトロノームによ
って計られる 1 分間の拍数を記したもので、上記の場合は四分音符 1 拍分の長さが 60/
100 秒である事を示している。(中村岩城)
【参考文献】
石桁真礼生・丸田昭三、他共著 新装版 『楽典 理論と実習』音楽之友社 2002
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芥川也寸志著『音楽の基礎』岩波書店 1992
久保田慶一編『キーワード 150 音楽通論』アルテスパブリッシング 2009
山縣茂太郎『新訂 音楽通論』音楽之友社 1958
❶塑 像 そ ぞ う
塑造は粘土などを素材とし、何もないところから組み立てていく立体表現。形を作る前段
階としての芯棒(心木)の組み立てが先ず要点となる。単に粘土の支えとしてだけでなく、
構造の支えという最も重要な意味を持つ。具体的には「動勢」・「量」・「面」の造形要素を
しゅう
構想してこの芯棒(心木)に託す。天平時代における東大寺、法華堂(三月堂)にある「 執
こんごう しん
かいだんいん
金剛神」・新薬師寺の「十二神将」・東大寺、戒壇院の「四天王」などは心木と土による塑
てんぴょうそ
造像の典型「天平塑」として名高い。脱活乾漆像は元より、鋳銅像も多くは塑像によって
造像された立体を元に、漆、青銅等の素材で造り替えたものである。(髙橋正晴)
【参考文献】倉田文作『仏像のみかた「技法と表現」』第一法規出版 1988
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た行 ❶台 本 だ い ・ ほ ん
演劇やオペラ、ミュージカルなどの舞台芸術、映画やテレビなどの映像芸術などで使われ
る文字や音符で記されたテキストのこと。それらの芸術作品の土台となるため「脚本」と
もいう。演劇の「戯曲」、オペラやミュージカルの「楽譜」や舞踊の「構成台本」、映画や
テレビの「シナリオ」
「絵コンテ」など多様な種類がある。基本的に台本は、
「セリフ」
「舞
台書き(舞台状況の指示)」「ト書き(演技・動作の指示)」「音楽的指示・楽譜」「ミザン・
セーヌ(動きの指示)」などで構成されている。(法月敏彦)
❶滝 廉 太 郎
た き ・ れ ん た ろ う 1879∼1903
日本洋楽草創期の作曲家、ピアニスト。1894年(15歳)東京音楽学校(東京芸術大学音楽
学部の前身)に入学。
『荒城の月』
『箱根八里』
『花』
『お正月』
『鳩ぽっぽ』などを作る。歴
史が転換した明治期は国策で富国強兵を掲げ性急な欧米文化移入を行った。国の洋楽教育
は音楽取調掛(東京音楽学校の前身)を開設(1879年)し伊沢修二(1851-1917)等が始め
た。初期の学校唱歌は邦語訳の外国曲であったが次第に邦人の曲が求められた。これに応
えて彼は童謡、唱歌や日本初の合唱曲(「四季」より『花』)、ピアノ曲(『メヌエット』)を
作曲。1901年ライプツィヒ音楽院に留学するが結核のため翌年帰国、23歳で早逝する。
(安
本高裕)
【参考文献】海老沢敏『滝廉太郎―夭折の響き』岩波新書 2004
❶ダ ダ イ ズ ム dadaism( 英 )
1910 年代半ばに起こった、既成の芸術を徹底的に否定する芸術運動。その後の 20 世紀芸
術の展開に決定的な影響を与えた。1916 年、フーゴー・バル(1886∼1927)らがスイス、
チューリヒで起ちあげたグループによる、奇行ともいえるような様々な活動が始まりだが、
同様の傾向は同時多発的にヨーロッパの諸都市、あるいはアメリカでも起こっており、さ
らにのちに 1920 年代には日本にも伝わるなど、全世界的な芸術運動となった。なお「ダ
ダ」の語は極力無意味なことばとして、まったくの偶然にしたがって辞書から選ばれたも
のであるとされる。(林 卓行)
【参考文献】マシュー・ゲール著、巌谷國士、塚原史訳『ダダとシュルレアリスム』岩波
書店 2000
高橋新吉著『ダダイスト新吉の詩』日本図書センター2003
❶谷 崎 潤 一 郎
たにざき・じゅんいちろう
1886∼ 1965
明治-昭和時代の小説家。東京出身。『刺青』が永井荷風に評価され、耽美派の作家として
文壇に登場する。関東大震災を機に関西へ移住。小説『春琴抄』や、随筆『陰翳礼讚』な
どを記し、女性崇拝と古典的日本美によって独自の文学世界を築いた。
『陰翳礼讚』では当
時の日本の生活の中にある陰翳、特に薄暗さの中にある美意識を著した。他に『源氏物語』
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現代語訳など。昭和 24 年文化勲章。(大泉由美子)
【 参 考 文 献 】 谷崎潤一郎『陰翳礼讚』中央公論社 1995
❶近 松 門 左 衛 門
ちかまつ・もん・ざえもん
1653∼ 1725
江戸時代の歌舞伎および浄瑠璃の作者(劇作家)。本名、杉森信盛。上方(京・大坂)で活
躍した浄瑠璃の語り手竹本義太夫(1651∼1714)と共に、それ以前の浄瑠璃諸流派を大成
してエポックメーキングな人形浄瑠璃芝居を創った。とくに、上演当時の世間で話題とな
った事件などニュース性のある「世話浄瑠璃」(現代劇)を創出した。「作者の氏神」と呼
ばれ、日本で初めて出版院本(台本)に署名を入れた。歌舞伎作品 30 篇、人形浄瑠璃作
品 90 篇を残した。(法月敏彦)
【参考文献】鳥越文蔵『近松門左衛門 虚実の慰み』新典社 1989
❶長 調 ・ 長 音 階 / 短 調 ・ 短 音 階
んおんかい
ちょうちょう・ちょうおんかい/たんちょう・た
Dur /Durtonleiter / M oll /M olltonleiter ( 独 ) 、 m ajor/m ajor
scale/ m inor/m inor scale ( 英 )
1オクターブ内を五つの長2度(全音)と二つの短2度(半音)で構成する七音階を「全
音階」と呼び[他の項目では「呼び」]、半音の位置の違いによって長音階(長調の音階)
と短音階(短調の音階)の2種に分けられる。【参考譜例】のハ調・長音階(=ハ長調)
は主音「Do」と第三音「Mi」の音程が「長3度」であり、ハ調・短音階(=ハ短調)は
主音「Do」と第三音「Mi♭」の音程が「短3度」である。このように主音と第三音の長・
短 3 度の音程の違いが長音階と短音階を決定づける。さらに短音階には、自然的短音階、
和声的短音階・旋律的短音階の 3 種類がある。(土居克行)
【参考譜例】
【参考文献】
石桁真礼生・丸田昭三他共著『新装版 楽典 理論と実習』音楽之友社 2002
芥川也寸志『音楽の基礎』岩波書店 1992
久保田慶一編『キーワード 150 音楽通論』アルテスパブリッシング 2009
❶調 号 ち ょ う ご う Vorzeichen、 Tonartvorzeichnung( 独 )key-signature(英 )
長音階または短音階を構成するために必要な♯(シャープ/嬰記号)
・♭(フラット/変記
号)をまとめて音部記号の右隣に記したもの。調号は楽曲の調と調名を示す役割があり、
#系の調は主音が完全5度上行するたびに(ト・二・イ・ホ……)、調号(#)の数が一つ
ずつ増える。また、♭系の調は主音が完全 5 度下行するたびに(ヘ・変ロ・変ホ・変イ……)、
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調号(♭)の数が一つずつ増える。各長・短調の調号と主音は次のような関係になる。
(土
居克行)
【参考譜例】
【参考文献】
石桁真礼生丸・太昭三他共著『新装版 楽典 理論と実習』音楽之友社 2002
芥川也寸志『音楽の基礎』岩波書店 1992
久保田慶一編『キーワード 150 音楽通論』アルテスパブリッシング 2009
❶彫 刻 ち ょ う ・ こ く
sculpture( 英 )
彫刻(sculpture)という言葉は厳密にいえば実材である木や石などを外側から彫って形を
作り上げていくことを言い、塑造(そぞう modeling)は何もないところから粘土などで形
を作り上げていくことを言う。この二つを総称して彫塑と言うが、現在ではこの彫塑にか
えて彫刻と呼ぶことが一般的である。ともあれ、彫刻は立体(量塊)の中に美を表現し、
立体の中にある美や生命そして存在感を味わう言わば「立体感動」が本質であるから、た
だ形を作ると言うことだけではなく形(立体)の奥に潜む立体感、立体感動に触れること
こそ大切である。(髙橋正晴)
【参考文献】「教科・図画工作Ⅰ・Ⅱ」玉川大学 1998
❶著 作 権
ち ょ さ く ・ け ん copyright( 英 ) Urheberrecht( 独 )
思想または感情を創作的に表現した著作物に対して認められる権利のこと。著作権は、創
作活動を職業とする人だけでなく、誰にでも認められる。著作権には、著作者自身の利益
を保護する著作者人格権、著作物の利用を保護する著作権(財産権)、実演家などための著
作隣接権などあり、これらの権利は届出などの手続きを必要とせずに、著作物を創作した
時点で発生する。著作者の許諾を得ない無断利用は法で罰せられる。ただし、教育機関で
の複製、正当な理由がある場合の引用など、一定条件を満足する場合に限り、許諾を得ず
に利用できる。(橋本順一)
【参考文献】小笠原正仁『法と芸術‐著作権法入門』明石書店 2001
山口 裕博『芸術と法』尚学舎 2001
【参考 URL】
文化庁・著作権のホームページ http://www.bunka.go.jp/chosakuken/index.html
社団法人著作権情報センターのホームページ http://www.cric.or.jp/
社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)のホームページ http://www.jasrac.or.jp/
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❶手 塚 治 虫
て づ か ・ お さ む 1928∼ 1989
戦後の日本を代表する漫画家、アニメーション作家。本名は「治」だが、虫好きが高じて
子供の頃より「治虫」と名乗った。手塚は 1946 年、18 歳の時に新聞連載「マアチャンの
日記帳」でマンガ家としてデビューする。1947 年刊行の長編マンガ「新宝島」(酒井七馬
と共作)は 40 万部を売り上げ、その名を知られるようになる。
「ジャングル大帝」や「リ
ボンの騎士」などマンガ作品の人気と共に、1963 年より始まった国産初の連続テレビアニ
メ「鉄腕アトム」の放送が大ヒットする。
「ブラック・ジャック」
「ブッダ」
「アドルフに告
ぐ」など、後年になっても創作は衰えず、1989 年に 60 歳で死去するまで膨大な作品を残
した。(赤山 仁)
【参考文献】
『芸術新潮 特集 生誕 80 周年記念 手塚治虫を知るための Q&A100』新潮
社 2008 年 11 月
❶陶芸 とう・げい
やきものの芸術。陶磁器に美的効果を加えた場合の呼称。または産業を離れた芸術活動と
しての作陶をもいう。芸術性を持った生活用具のほかに、実用性を持たない純粋芸術とし
ての陶磁器領域も含まれる。陶芸の基本概念は、明治以降に「芸術」意識がはっきり認識
されてから成立したものと考えられる。一般的に粘土を素材とし、成形後に熱を加えるこ
とにより硬化させたもの。焼成温度、原料、吸水性、透光性等の違いにより、土器、陶器、
磁器に分類される。(椿 敏幸)
【参考文献】矢部良明『日本やきもの史』美術出版社 1998
❶土 器 ど き
日本で縄文土器、弥生土器、古墳時代の土師器(はじき)や埴輪に代表されるやきものの
一種。その特徴としては、600
1000 度の低温焼成(陶器、磁器の場合は、概ね 1200
1400 度)。釉薬が掛かっておらず、陶器、磁器に比して多孔質で吸水性が大きく機械的強
度が劣る。古代の土器の用途は日常用(実用)と儀式用(呪術用)に大別される。現代で
は植木鉢や焙烙(ほうろく)などがその一例として挙げられる。
「日本独自の陶芸」の項目
も参照。(椿 敏幸)
【参考文献】矢部良明『日本やきもの史』美術出版社 1998
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な行
❶日本画
にほん・が
江戸末期から明治にかけて油彩画、銅版画、水彩画などの西洋の画がわが国に移入され、
その相対概念として日本画の名称が明治期に誕生した。しかし、素材や描画技法は中国大
陸からの移入以来およそ千年以上も大きな変化が無く現代まで継承されている。その表現
は絵巻物、障壁画、屏風絵などの多様な表現を発展させ、現在も新しい表現を創出し続け
ている。素材は天然に産するものを主とし、接着剤に膠(にかわ)を用いる。(中村慎一)
【参考文献】辻惟雄『日本美術の歴史』東京大学出版会 2005
千住博『美は時を超える』光文社新書 2004
❶人 形 劇
にんぎょう・げき
puppetry( 英 )
人形などの物体を操って演じる演劇のこと。その歴史は古く古代エジプトにまで遡る。日
本における起源はアジア大陸を経てもたらされた傀儡子(くぐつまわし)とされ、それが
民俗芸能や人形浄瑠璃へと変化した。人形劇を大別すると、手遣い(ギニョール)、棒遣い、
糸操り(マリオネット)、出遣い(人形浄瑠璃の三人遣いなど)、そして人形の影を幕に写
し演ずる影絵芝居(インドネシアのワヤンなど)がある。現代では人形のみならずさまざ
まなオブジェを使って表現する「オブジェクト・シアター」という概念も生まれてきてい
る。(方 勝)
【参考文献】川尻泰司著『人形劇ノート』紀伊國屋書店 1968
❶能
のう
noh( 仏 、 英 )
鎌倉時代後期から室町時代初期に完成を見た、日本独自の舞台芸術の一種である「能楽」
の一分野。現在では日本における代表的な伝統芸能として遇され、歌舞伎に並んで国際的
に高い知名度を誇る。重要無形文化財。ユネスコの世界無形文化遺産。能は、俳優(「シテ」)
の歌舞を中心に、伴奏である地謡(じうたい)や囃子(はやし)などを伴って構成された
音楽劇・仮面劇。舞と謡を担当し、実際に演技を行うのがシテ方、ワキ方および狂言方で
あり、伴奏音楽を担当するのが囃子方、つまり、笛方、小鼓(こつづみ)方、大鼓(おお
つづみ)方、太鼓(たいこ)方である。(太宰久夫)
【参考文献】三浦裕子著・山崎有一郎監修『初めての能・狂言』小学館 1999
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は行
❶俳 優 は い ゆ う
演劇における基本的要素。観客を相手に、ある物語を身ぶり物まねで目のあたり、さなが
らに演出してみせるパフォーマーである。本来は中国語で、たんに「優」、「優人」あるい
は「倡優(しょうゆう)」とも呼ばれた。日本では奈良時代に成立した『古事記』『日本書
紀』にある天岩戸説話において、アメノウズメという巫女が巧みに「わざおぎ(俳優)」を
して岩戸を開いた、あるいは海幸山幸の説話(「隼人舞(はやとまい)」)で、弟に負けた兄
(海幸)が服従の証として海水で溺れる様を「わざおぎ(俳優)」したと記述され、日本に
おける俳優ないしは演劇の起原伝説となっている。ヨーロッパでは、古代ギリシャ劇にお
ける最初の俳優テスピスにちなんで「テスピアン」ともいう。(簗 正昭)
M etrum ( 独 )、 m eter( 英 )
❶拍 節 は く せ つ
一定の時間単位で構成されるリズムのうち、とくにアクセント(重い拍)が周期的に反復
されるもののこと。拍子は、それによって生み出される。「拍子」の項も参照。(野本由紀
夫)
❶発 想 用 語 ( 音 楽 )
はっそう・ようご
音の性質には、高さ・長さ・強さ・音色の4つがある。その中で、音色を表すために用い
られる用語を発想用語と呼ぶ。演奏家はこの発想用語を理解してその楽曲の表現を試みる。
発想用語は代表的なものを挙げるだけでも約 80 近くに上る。以下にはその一例を挙げる。
agitato(激しく)appassionato(熱情的に)dolce(やわらかく、やさしく)espressivo
(表情豊かに)risoluto(決然と)leggiero(かろやかに)等である。(中村岩城)
【参考文献】
石桁真礼生・丸田昭三他共著『新装版 楽典 理論と実習』音楽之友社 2002
芥川也寸志『音楽の基礎』岩波書店 1992
久保田慶一編『キーワード 150 音楽通論』アルテスパブリッシング 2009
❶花 道 は な ・ み ち
歌舞伎劇場における独持の舞台機構。舞台下手側より観客席の間を通り客席後方の「鳥屋
(とや)」に通じている細長い廊下状の舞台。この常設の花道を「本花道(ほんはなみち)」
といい、その逆側の上手の位置に仮設する花道を「仮花道(かりはなみち)」という。登場
人物の出入りに用いられるが、舞台の延長としてばかりではなく、時間、空間を超越した
別の場所への転換ともなり得る。その起源については、能舞台の「橋掛り」から転化した
ものと言われている。客席の中に演技の場所を作り、観客の想像力を利用して自由自在の
演技空間を作り、芝居小屋全体がひとつになる歌舞伎独自の舞台様式を作る重要で印象的
な機構である。花道の登場の場面や演技を「出端(では)」という。(菊地芳子)
【参考文献】今尾哲也著『歌舞伎をみる人のために』玉川大学出版部 1993(玉川選書)
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❶パ レ ー ド
ぱれーど
parade(英 )
世界各地の催し物や祭礼などの行事における行進形式のパフォーマンス。野外劇を意味す
るページェント pageant にも近い概念である。もともとは古代ギリシアの祭礼が出発点で
あるといわれている。ヨーロッパでは、やがてキリスト教の祭礼形式となった。日本では、
聖徳太子(574∼622)が仏教とともに中国大陸や朝鮮半島から招来した呉楽(伎楽)とい
うパレード形式の仏教芸能が有名で、「行道」と呼ばれていた。この行道が発展して日本
各地の祭礼における「お練り」となった。また語り物、能、文楽(人形浄瑠璃)、歌舞伎
などにおける「道行」と呼ばれる舞踊の上演形態とも関連している。(法月敏彦)
❶ピ ア ノ 三 重 奏 ぴ あ の ・ さ ん ・ じ ゅ う そ う
piano trio( 独 、 伊 )
ピアノ三重奏(ピアノ・トリオ)は、一般的にはピアノ、バイオリン、チェロの3人で行
う合奏のこと。なおバロック時代はまだピアノがなく、チェンバロが全盛であった。ピア
ノ三重奏で特に有名な作品は、チャイコフスキー《 偉大な芸術家の思い出》 op.50、ベー
トーべン《 大公》 op.97などがある。(岡野哲也)
【参考文献】遠藤三郎著『音楽用語の知識』シンコーミュージック1998
❶光
ひ か り 一般的には目に入って明るさの感覚を生じさせる放射、可視放射をいう。電磁波の一種で、
光子(フォトン)と呼ばれるこの世界で最高の早さ(真空管中で1秒間に約 30 万 km)で
進む超微粒子の波動とされている。電磁波はそれぞれ固有の波長を持っており非常に広い
領域に渡っている。私達が光と言っているのはこの広い範囲の電磁波の中の、人間の眼に
入ると明るさの感覚と色の感覚を起こさせるごく限られた波長の範囲を指す。光は空間を
直進し、反射、屈折する。工学的なものであるが、光や色から受ける感情は様々なアート
シーンに利用され見る者に感動を与えている。(菊地芳子)
【参考文献】照明学会『照明用語事典』オーム社 1990
日本照明家協会編『舞台・テレビジョン照明〈基礎編〉』日本照明家協会 2003
❶ 悲 劇 ひ げ き τραγωδία(希 )、Tragedia( 伊 )、 tragedy(英 )
紀元前 4 世紀の古代ギリシア以来、人間の悲惨な運命などを描く演劇作品の分類名称。現
代では、単に悲しい劇と理解されているが、もともとは古代ギリシア演劇の 2 大ジャンル、
悲劇(トラジディ/トラジェディ)と喜劇(コメディ)が語源。主な登場人物は王や貴族
であり、普通の人間が登場人物である喜劇と対称的である。哲学者アリストテレスの『詩
学』の記述によれば、このような悲劇作品を鑑賞することによって鑑賞する者に怖れと憐
れみの情を喚起し、感情がカタルシス(katharsis 浄化)されるという。日本の古典演劇
である能と比較される場合もあるが、演劇の構造が全く違っている。(法月敏彦)
【参考文献】ニーチェ著・西尾幹二訳『悲劇の誕生』中央公論新社 2004
山形治江『ギリシャ劇大全』論創社 2010
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❶檜 舞 台
ひのき・ぶ・たい
檜の板で床をはった舞台。能舞台が総檜造りであるのに影響されて、一般的には杉板を張
っていたのを一級劇場に限って舞台床を檜板で張った。そこから一流の劇場に出演するこ
とや晴れの場所に出ることを「檜舞台を踏む」といい一般用語にもなった。檜材は値が高
く耐用年数も短いため最近では大劇場の床はリノリウム張りのところも多く、場面によっ
て檜板の「所作台(しょさだい)」を使用することもある。(菊地芳子)
❶拍 子
ひょうし
Takt(独 ),
m eter( 英 )
一定の拍の集まったもので、強拍と弱拍が規則的に交代する。
「拍節」と関係が深い。基本
的な拍子は、拍の強弱が明確な 2 拍子と 3 拍子である。2 拍子は 1・2 拍目が強・弱、3 拍
子は 1・2・3 拍目が強・弱・弱、の関係で構成されている。拍子はこの強弱の関係が規則
正しく反復されることにより成り立つ。また、拍子は単純拍子(2・3・4 拍子)、複合拍子
(6・9・12 拍子)、混合拍子(5・7 拍子)に分類される。拍子を表す拍子記号は分数のよ
うに表記され、分母に 1 拍の単位となる音価、分子に 1 小節内の拍数を書き表す。(土居
克行)
【参考譜例】
【参考文献】
石桁真礼生丸・太昭三他共著『新装版 楽典 理論と実習』音楽之友社 2002 芥川也寸志『音楽の基礎』岩波書店 1992 久保田慶一編『キーワード 150 音楽通論』アルテスパブリッシング 2009
❶平 賀 源 内
ひらが・げんない
1728∼ 1780
江戸時代中期の本草学者(植物学者)、医者、戯作者(文芸作家)、発明家、劇作家。エレ
キテル(静電気発生装置)の紹介や火浣布(石綿)の発明、
「土用の丑の日」には鰻という
キャッチコピーの考案者ともいわれておりコピーライターの元祖的存在。戯作者としては
風来山人(ふうらい・さんじん)を名乗った。また、福内鬼外(ふくうち・きがい)とい
う筆名で、江戸弁の浄瑠璃(人形浄瑠璃文楽の台本)を書いた。香川県さぬき市の旧宅跡
に「平賀源内記念館」がある。(法月敏彦)
【参考文献】芳賀徹『平賀源内』朝日選書 1981
❶フ ィ レ ン ツ エ Firenze( 伊 )
イタリア、トスカーナ州の州都。アルノ川の中流に位置し、ジョットやドナテッロなどの
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巨匠を輩出したイタリア・ルネサンスの中心都市。1401 年、サン・ジョバンニ洗礼堂扉口
彫刻のコンクールにおいてギベルティとブルネレスキが競い合った頃、初期ルネサンス様
式が誕生した。メディチ家の庇護のもと、15 世紀にルネサンス芸術が栄えたが、15 世紀
末には政治的混乱によって衰退した。同市で活躍した芸術家は、ボッティチェリ、レオナ
ルド・ダ・ビンチ、ミケランジェロなど、枚挙にいとまがない。(小倉康之)
【参考文献】グレン・アンドレス他著 佐々木英也他翻訳監修『フィレンツェの美術(上
巻・下巻)』日本放送出版協会 1991
❶舞 楽 / 雅 楽
ぶ ・ が く / が ・ が く Bugaku( 英 ) 、 Gagaku( 英 )
平安時代に成立し、現代でも上演されている音楽舞踊劇。笙(しょう)や篳篥(ひちりき)など、
アジア全域に分布する伝統楽器による音楽は「雅楽(ががく)」と呼ばれている。奈良時代
以前から存在する神楽(かぐら)などの音楽舞踊劇に、中国大陸や朝鮮半島から移入した民
間の音楽舞踊劇が混合され、宮廷の式楽(しきがく)、つまり、儀式祭典のための音楽舞踊
劇として「右楽」「左楽」の2系統に整理された。曲目は、当時のアジア全域を包含する
内容であり、朝廷は「雅楽寮」を設けて後継者を養成した。現在では、宮内庁楽舞部や四
天王寺、明治神宮など大きな寺社で伝承されており、仏教音楽の声明(しょうみょう)と
結びつくことが多い。さらに雅楽は神式結婚式の BGM として一般化している。(法月敏
彦)
【参考文献】増本伎共子『雅楽入門』音楽の友社 2000
❶筆
ふで
中国秦代の蒙恬(もうてん)将軍が初めて筆を作ったと伝えられている(『史記』)。しかし、
殷代(1600BC 頃)の甲骨文字に筆の象形が存在することから、殷およびそれ以前から筆
があったと考えられている。毛筆の鋒先は原料として獣毛が主であるが、竹・草・木・羽
毛など様々な筆が作られている。筆に使用される獣毛は、羊(山羊)
・兎・狸・鹿・馬・鼬
(いたち)などをはじめ猫・鼠・貂(てん)・狼・栗鼠(りす)・猿・水牛・熊・豚・山馬
(カモシカ・大鹿)・雉・鶏なども使われる。(吉田 功)
【参考文献】榊莫山『文房四宝 筆の話』角川書店 1984
植村和堂『筆・墨・硯・紙』理工学社 1977
❶プ ロ グ ラ ミ ン グ 言 語
ぷ ろ ぐ ら み ん ぐ・げ ん ご program m ing language( 英 )
コンピュータ・プログラムを書くための人工言語。様々な用途のソフトウェアを書くた
めに用いられる「汎用プログラミング言語」としては、C、C++、LISP、Prolog、Java
などがある。汎用プログラミング言語に対して、Max/MSP のように音楽など特定分野で
のみ用いられる専用プログラミング言語も存在する。音楽や CG のソフトウェア開発には
主に C や C++が使われているが、最近は Java の使用も増えている。(高岡明)
【参考文献】石田晴久『新パソコン入門』岩波書店 2000(岩波新書)
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public int poisson(double mean) throws Exception {
int k = 0;
double z = Math.exp(-mean);
double r = rande6();
if(r < z)
k = 0;
else
while(r >= z) {
++k;
r *= rande6();
}
return k;
}
【参考例】Java プログラムの例(ポワソン分布に従う乱数発生のプログラム)
❶文 楽 ぶ ん ・ ら く Bunraku( 英 )
江戸時代に成立した日本独特の人形劇。「操り芝居」「人形浄瑠璃」ともいう。「文楽」
という呼称は、幕末・明治初期に勢力のあった劇団「文楽座」の名前に由来する。太夫と
呼ばれる義太夫節の語り手、伴奏の太棹三味線、三人遣いの人形によって演じられる人形
劇である。劇の内容は、もともと長編の時代物(室町時代以前の物語)が主流だったが、
江戸中期以後、短編の世話物(世間で話題になっている話)と呼ばれる当時の現代劇が生
まれた。長編の物語が少なかった歌舞伎に大量の題材を提供した。現代では財団法人文楽
協会によって運営され、大阪の国立文楽劇場、東京の国立劇場小劇場その他で上演を行っ
ている。日本の重要無形文化財(団体)であり、ユネスコの世界無形文化遺産である。(法
月敏彦)
❶平 家 物 語
へいけ・ものがたり
平安時代末期の武士団である平氏と源氏の権力抗争を描いた長編の「語り物(叙事詩的物
語)」。語り出しの「祇園精舎の鐘の音 諸行無常の響きあり 奢る平家は久しからずして」
が有名である。特定の作者による作品ではなく、もともとは、琵琶などを伴奏楽器とした
盲目の語り部(琵琶法師)によって伝承されたものであり、後に文字化された。音曲的韻
律を伴うので「平曲」ともいう。『源平盛衰記』も同じ内容。「平家物語絵巻」「平家納
経」(厳島経巻)などの絵画・工芸作品、さらに全国の「落人伝説」にも関連し、能・文
楽(人形浄瑠璃)・歌舞伎をはじめとする古典芸能に多数の題材(物語)を提供した。(法
月敏彦)
【参考文献】『平家物語 』角川書店 2001 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)
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Pop Art( 英 )
❶ポ ッ プ ・ ア ー ト
20 世紀後半になって大量生産されるようになった日用品や商品から、その表現手法とモ
ティーフを取り込んだ芸術のこと。とくにアンディ・ウォーホル(1928
リクテンスタイン(1923
1987)、ロイ・
1997)らによって 1960 年代始めのアメリカで始まったそうし
た傾向を指す。「ポップ pop」は「popular=大衆的な」に由来し、はじめ 1950 年代半ば
にロンドンの芸術家グループで使われていたが、後に上述のアメリカの芸術家の作品を指
す言葉として用いられるようになった。 (林 卓行)
【参考文献】林 卓行『ウォーホル』小学館 2006(西洋絵画の巨匠 9)
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ま行
❶マ ン ガ
M anga
簡略化、抽象化された絵によって、ユーモアやストーリー、時事風刺などを表す表現のこ
と。日本における最古のストーリー漫画は、平安時代に描かれた絵巻物である「鳥獣戯画」
とされている。作者であると伝えられる鳥羽僧正の名前を起源とする「鳥羽絵」は、江戸
中期から大正頃まで今日の「漫画」に通じる意味の言葉として用いられた。明治になって
時事新報社の今泉一瓢が、イタリア語で「誇張」を意味する「カリカチュア」の訳語を「漫
画」としたことで、
「漫画」の呼称が認知される始まりとなった。近年、日本の「漫画」が
海外に広がり高い評価を受け、国際語として「MANGA」が認知されている。(赤山 仁)
【参考文献】吉村和真編『マンガの教科書』臨川書店 2008
❶ ミ ュ ー ジ カ ル m usical、 m usical com edy( 英 )
ミュージカルは演劇の一形式であり、音楽、歌唱、ダンス、台詞から構成され、ポピュラ
ー音楽とその歌唱スタイルが用いられる。西洋音楽劇の起源は古代ギリシャにまで遡るが、
現代のミュージカルは 19 世紀半ばに始まり、1940 年代前半から 60 年代後半にかけて、
いわゆるニューヨークの「ブロードウェイの黄金時代」に全盛期を迎える。多くのミュー
ジカル作品が映画、テレビ、アニメーション作品となり、また、あらかじめそれを想定し
て創作された。代表的な作品に、ガーシュウィンの『ポギーとベス』
(1935)、ロジャース
とハマースタインの『オクラホマ!』
(1943)、バーンスタインの『ウェストサイド・スト
ーリー』
(1957)、
『サウンド・オブ・ミュージック』
(1959)、
『ヘアー』
(1968)などがあ
る。(ジョナサン・リー)
❶メ ー ク ア ッ プ m ake-up( 英 )
日常的な化粧とは異なるため、正しくは Theatrical Make-up といい、また「メイキャッ
プ」ともいう。メークアップは、俳優がドラマの中の役(登場人物)の本質を完全に表現
するために自分の顔の外見を変える技術であり、
「舞台化粧」ともいう。役の全体的表現手
段の中の重要な要素の一つである。さらに、役の解釈にしたがってその役柄をはっきりさ
せる。メークアップには、日本に古くからある水化粧と、大正期に外国から輸入された油
性の化粧、ふつう、ドーラン化粧と呼ばれる方法とがある。また、動物などに扮する場合
の「特殊メーク」がある。なお、最近では、テレビなど極端な接写や、歌舞伎などでも極
度に明るい照明器具の影響で、ほとんど仮面に近い分厚いメークアップが施される場合が
多い。(簗 正昭)
❶メ デ ィ ア ・ ア ー ト
m edia art( 英 )
コミュニケーションの媒介(メディア)を表現とした芸術表現をいう。特に現在はコンピ
ュータを核とするデジタルメディアによるコンピュータ・グラフィクス、コンピュータミ
ュージック、インタラクティブアートなど先端技術による表現を意味する場合が多い。本
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来はポスターや新聞広告などの印刷メディア(プリントメディア)、絵画・彫刻などの造形
メディアなどアナログメディアも広義のメディアアートと捉えられる。現在こうしたアナ
ログメディアのデジタル化も進行している。(三井秀樹)
【参考文献】三井秀樹『メディアと芸術』集英社新書 2002
❶モダニズム
m odernism ( 英 )
近代主義。適用される分野・対象によってその意味するところは異なるが、もっとも広義
には 19 世紀半ばから 20 世紀半ばにかけての西欧に現れた、文化、あるいは芸術全般の様
式のこと。思想的には合理主義、進歩主義、還元主義などの立場をとることが多い。また
芸術の様式としては、音楽、演劇、美術ともに、形式の重視、情緒性の排除、簡潔な表現
に対する指向などを共通の特徴とする。(林 卓行)
【参考文献】マティ・カリネスク著 富山英俊・栂正行訳『モダンの五つの顔』せりか書
房 1995
❶モ テ ィ ー フ
m otive( 英 )、 m otif( 英 、 仏 )、 M otiv( 独 )
ラテン語 movere (動かす) に由来する言葉で、動機・理由の意。文学、芸術作品に表わ
される中心的な題材。主題、制作動機。画因・素材など制作者のイメージを具体化し、そ
の動因となっている中心的な構想をいう。言葉としては、詩作、作曲、劇作、寸劇、映画
製作、彫刻、作画等のモデルとなる物等や、きっかけとなった事象等を言い表す名称、装
飾模様等の源形を示す場合にもこの言葉が使われる。モチベーション motivation という
言葉の語源でもある。(菊地 哲)
【参考文献】川道麟太郎『雁行形の美学―日本建築造形モチーフ』彰国社 2001
西村敏雄『鉛筆画を描く―身近なモチーフで』孔雀ブックス 1996
エディ・デョング著 小林 頼子訳『オランダ絵画のイコノロジー―テーマ
とモチ‐フを読み解く』日本放送出版協会 2005
増成隆士『思考の死角を見る マグリットのモチーフによる変奏』勁草書房
1983
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や行
❶『 夕 鶴 』
ゆう・づる
木下順二作の一幕物民話劇。1949 年に発表され、同年、岡倉士朗演出、山本安英主演によ
って初演された。以来全国各地を巡演し記録的な上演回数を重ねた。民話「鶴女房」を元
に、美しい日本語のせりふに豊かな詩情と象徴性を合わせもった近代劇の名作で、アマチ
ュア劇団や学校において最も多く上演された作品のひとつである。また諸外国においても
翻訳上演されている。後に、新作能に脚色されたり、團伊玖磨の作曲によりオペラ化も試
みられた。(方 勝)
【参考文献】木下順二『木下順二作品集第 1 巻(夕鶴)』未来社 1962
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ら行
❶ラ ・ カ ン パ ネ ラ
La Cam panella( 伊 )
「鐘」という意味。フランツ・リスト(1811∼1886)のピアノ曲が有名で、原曲はニコロ・
パガニーニ(1782∼1840)が作曲したバイオリン協奏曲第2番、作品7の第3楽章である。
リストがこの曲をピアノ用に編曲したものが《ラ・カンパネラ》で、リストが作曲した6
曲の《パガニーニによる大練習曲集》の第3番、嬰ト短調がそれに当たる。5∼6分程の
曲であるが、技巧的に大変難しい曲である。(岡野哲也)
【参考文献】エベレット・ヘルム著・野本由紀夫訳『大作曲家リスト』音楽之友社 1996
野本由紀夫監修『クラシックの名曲解剖』ナツメ社 2009
福田 弥『作曲家 人と作品 リスト』音楽之友社2005
【参考音源】CD:イングリット・フジコ・ヘミング(ピアノ)UCCD-1241(デッカ)
CD:カントロフ(バイオリン)COCO70456(DENON)
❶《 ラ プ ソ デ ィ ・ イ ン ・ ブ ル ー 》
Rhapsody in Blue( 英 )
1924 年に G.ガーシュイン(1898∼1937)によって作曲されたピアノ独奏と管弦楽のため
の音楽作品。オーケストレーションはグローフェが担当した。ジャズの大家ポール・ホワ
イトマン(1890∼1967)の依頼により、クラシックとジャズの融合を目指して作曲され、
初演のピアノはガーシュイン自身が受け持った。ジャズの基本であるブルーノートスケー
ルや即興性、ほどよいスイング感、シンコペーションのリズム、しゃれた和声を特徴とす
る、シンフォニック・ジャズの代表作である。(松川 儒)
【参考文献】ポール・クレシュ著、鈴木晶訳『アメリカン・ラプソディ ガーシュインの
生涯』晶文社 1989
❶ロ ッ ク
rock ’n’ roll( 英 )
ロックはポピュラー音楽の一ジャンルであり、アメリカ合衆国のブルースとカントリー音
楽に起源を持つ。40 年代末または 50 年代以後ロックが世界中でもたらした絶大な文化的
影響は、ファッション、言葉使い、社会的価値観や運動などに顕著である。60 年代以後、
ロックはフォーク、ジャズ、ソウル、ファンク、ラテンなどから様々な影響を受け、それ
らの特徴を摂取している。70 年代からは、ロックはハード・ロック、プログレッシブ・ロ
ック、ヘビー・メタル、ソフト・ロック、パンク・ロックなどのジャンルへと分岐し、そ
の傾向はさらに現代の grunge や alternative ロックへと続いている。主要楽器はギター、
ベース、ドラム、キーボード、そしてボーカルである。代表的な音楽家やグループとして
は、エルビス・プレスリー(50 年代のロックンロール)、ビートルズ(60 年代の初期ブリ
ティッシュ・ロック)、ジミー・ヘンドリクス(60 年代のサイケデリック・ロック)、レッ
ド・ツェッペリン(70 年代のハード・ロックおよびヘビー・メタル)、セックス・ピスト
ルズ(70 年代のパンク・ロック)などが挙げられる。(ジョナサン・リー)
【参考文献】
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南田勝也『ロックミュージックの社会学』青弓社 2001(青弓社ライブラリー)
東 谷護他『ポピュラー音楽へのまなざし―売る・読む・楽しむ』勁草書房 2003
烏賀陽弘道『J ポップとはなにか‐巨大化する音楽産業』岩波書店 2005(岩波新書)
増田 聡他『音楽未来形‐デジタル時代の音楽文化のゆくえ』洋泉社 2005
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わ行
❶和 太 鼓
わ・だいこ
日本の太鼓の総称。締太鼓、桶太鼓、宮太鼓がある。神社仏閣における儀式や祭礼、能、
歌舞伎等の古典演劇に用いられ、木でできた胴に皮を張り、それを振動させて音を出すも
のである。撥(バチ)で叩くものを太鼓と呼び、手で叩くものは鼓(つづみ)と呼ばれる。
日本における太鼓の歴史は非常に古く、縄文時代には既に情報伝達の手段として利用され
ていたという。現在の和太鼓の総称となっている太鼓は、「組太鼓(複式複打法)」と呼ば
れている。これは、アメリカのビッグバンドジャズの演奏形式に倣って、小口大八(おぐ
ち・だいはち 1924∼2008)や田耕(でん・たがやす。本名、田尻耕三 1932∼2001)など
の太鼓奏者によって考案されたもので、複式複打法という大人数によって様々な種類の太
鼓が合奏のように演奏されているオーケストラのような太鼓演奏のことをいう。現代では
高校生など青少年を含む全国規模で演奏され、東京国際和太鼓コンテストが開催されてい
る。(小山 正)
公式テキスト レベル 1 完
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芸術関連専門事典・入門書一覧
専門事典
竹内敏雄『美学事典 増補版』弘文堂 1974
平野健次・上参郷祐康・蒲生郷昭『日本音楽大事典』平凡社 2005
岸辺成雄編『音楽大事典』平凡社 1983
柴田南雄・遠山一行総監修『ニューグローヴ世界音楽大事典』講談社 1995
『新訂 標準音楽辞典 第二版』音楽之友社 2008
早稲田大学演劇博物館編『演劇百科大事典』平凡社 1960
西野春雄・羽田 昶編『能・狂言事典』平凡社; 新訂増補版 1999
服部 幸雄・広末 保・富田 鉄之助 編『歌舞伎事典』平凡社 2000(新訂増補版)
山口 修 (監修) 海老沢 敏・西岡信雄・上参郷祐康『新編 音楽中辞典』音楽之友社 2002
入門書
木村重信『世界美術史』朝日新聞社 1997
高階秀爾『カラー版 西洋美術史』美術出版社; 増補新装版版 2002
辻 惟雄『日本美術の歴史』東京大学出版会 2005
辻 惟雄『カラー版 日本美術史』美術出版社; 増補新装版版 2002
河竹登志夫『演劇概論』東京大学出版会
フィリス・ハートノル著 白川宣力・石川敏男訳『演劇の歴史』朝日出版社 1981
渡辺 保『演劇入門 古典劇と現代劇』日本放送出版協会 2006
皆川達夫『西洋音楽史 中世・ルネサンス』音楽之友社 1986
ドナルド・ジェイ グラウト、クロード・V. パリスカ著 戸口幸策・寺西基之・津上英輔
訳『グラウト/パリスカ 新 西洋音楽史』音楽之友社 1998
小泉文夫『日本の音 世界の中の日本音楽』平凡社ライブラリー1994
小泉文夫『音楽の根源にあるもの』平凡社ライブラリー1994
久保田慶一他『はじめての音楽史 増補改訂版 古代ギリシアの音楽から日本の現代音楽ま
で』音楽之友社 2009
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文 庫 ク セ ジ ュ (Collection QUE SAIS‐ JE? ) 芸 術 関 係 文 献 一 覧
おそらく世界で最も芸術に関する著書が多く含まれていると思われる文庫クセジュ
(1941 年フランスに発足)の翻訳書(白水社刊)全 900 余冊中、芸術関係のみを抽出し、
出版発行年の古い順に配列した。
この一覧で、芸術関係の文献がいかに広い裾野を持っているかを楽しんでもらいたい。
配列は、『書名(邦訳)』原著者 発行年の順とした。翻訳者名は再刊の際に変更される
場合があるので省略した。また、哲学・文化・文学関係の書籍も基本的に芸術関係に含ま
れるべきであるが、たいへん多岐に亘るため、本書『アート・スタンダード検定®公式テ
キストブック』の参考文献として記載のある書籍を除き、この一覧には掲載しなかった。
この一覧の訳本に関しては、常にすべてが書店に並んでいるわけではなく、絶版の場合
もあるので注意すること。図書館などの文献資料が豊富な施設には古い訳本が多く所蔵さ
れている。なお、フランス語の原書は基本的に絶版にしないと聞き及んでいる。
なお文庫の名称になっているフランス語の QUE SAIS‐JE? とは、「私は何を知って
いるのか(つまり、何も知っていない)」という意味だという。(法月)
『映画の世界史』 ロ・ズカ 1951
『絵画の歴史』 ルイ・ウールチック 1952
『ルネッサンス』 ポール・フォール 1952
『音楽の形式』 アンドレ・オデール 1952
『音楽の歴史』 ベルナール・シャンピニュル 1953
『映画の技法』 ロ・ズカ 1953
『現代フランス音楽』 クロード・ロスタン 1953
『天然色法』 ジャン・ドゥールニョン & ポール・コワリスキー1954
『世界演劇史』 ロベール・ピニャール 1955
『現代フランス演劇』 ルネ・ラルー1955
『俳優の芸術』 アンドレ・ビリェ(ヴィリェ)1955
『現代音楽』 アンドレ・オデール 1956
『呪術』 J・A・ロニー1957
『放送芸術』 ロジェ・プラダリェ 1957
『合唱』 フェリックス・ロージェル 1958
『映画の美学』 アンリ・アジェル 1958
『ピアノ』 ポール・ロカール 1958
『美学』 ドニ・ユイスマン 1959
『現代絵画』 モーリス・ジウール 1959
『芸術批評』 アンドレ・リシャール 1959
『人形劇の歴史』 ガストン・バティ & ルネ・シャバンス(シャヴァンス)1960
『芝居はどうしてつくられるか』 フィリップ・バン(ヴァン)・ティーゲム 1961
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『世界の名優』 フィリップ・バン(ヴァン)・チーゲム 1961
『演出の歴史』 ポール・ブランシャール 1961
『管弦楽』 ルイ・オベール & マルセル・ランドスキ 1961
『幻想の美学』 ルイ・バックス(ヴァックス)1961
『スペイン音楽』 ホセ・スビラ 1961
『フランス古典音楽』 ジャン・フランソワ・パイヤール 1961
『現代の名優』 フィリップ・バン(ヴァン)・チーゲム 1962
『バロック芸術』 ビクトール(ヴィクトール)・リュシアン・タピエ 1962
『アリストテレス』 ジャン・ブラン 1962
『印象派』 モーリス・セリュラス 1962
『フランス歌曲とドイツ歌曲』 エバラン(エヴラン)・ルテール 1963
『仮面の民俗学』 ジャンールイ・ベドゥアン 1963
『シュールレアリスム』 イブ(イヴ)・デュプレシス 1963
『シェイクスピアとエリザベス朝演劇』 ジョゼ・アクセルラ & ミシェール・ウィレム
1964
『キュビスム』 モーリス・セリュラス 1964
『東アジアの美術』 ジャニーヌ・オーボワイエ 1965
『イタリア演劇史』 フィリップ・バン(ヴァン)・チーゲム 1966
『ドイツ音楽』 クロード・ロスタン 1966
『バイオリン(ヴァイオリン)』 マルク・パンシェルル 1967
『フランスの前衛劇』 ミシェル・コルバン(コルヴァン)1967
『和声の歴史』 オリビエ(オリヴィエ)・アラン 1969
『舞踊と音楽』 アルマン・マシャベ 1969
『象徴主義 -マラルメからシュールレアリスムまで』 アルベール・マリ・シュミット 1969
『スペイン演劇史』 シャルル・V・オーブラン 1969
『キリスト教図像学』 マルセル・パコ 1970
『レコードのできるまで』 ピエール・ジロトー1970
『バレエの歴史』 マリ=フランソワーズ・クリストゥ 1970
『色彩』 モーリス・デリベレ 1971
『世界の前衛劇』 ミシェル・コルバン(コルヴァン)1971
『フランス古典劇』 アントワーヌ・アダン 1971
『写真の歴史』 ジャン=A・ケイム 1972
『歌唱芸術』 ロラン・マンシニ 1972
『ハープリュートギター』 エレーヌ・シャルナセ & フランス・ベルニヤ(ヴェルニヤ)
1972
『シャンソン』 フランス・ベルニヤ(ヴェルニヤ) & ジャック・シャルパントロー1973
『服飾の歴史 古代・中世篇』 ミシェル・ボーリュウ 1974
『パイプオルガン』 ノルベール・デュフルク 1975
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『イタリア音楽史』 ナニー・ブリッジマン 1975
『服飾の歴史 近世・近代篇』 ミシェル・ボーリュウ 1976
『寓意の図像学』 アンドレ・マソン 1977
『ドイツ・ロマン主義』 ジョゼフ・フランソワ・アンジェロス 1978
『彫刻の歴史』 リュック・ブノワ 1978
『古代ギリシア・ローマ演劇』 ピエール・グリマル 1979
『メジチ家の世紀』 クリスチャン・ベック 1980
『ドイツ古典主義』 ジョゼフ・フランソワ・アンジェロス & ジャンヌ・ノジャック 1980
『ラブレーとルネサンス』 マドレーヌ・ラザール 1981
『ラシーヌと古典悲劇』 アラン・ニデール 1982
『交響曲』 レミ・ジャコブ 1983
『ヴァイオリン族の楽器』 マルク・パンシェルル 1983
『デッサンの歴史と技法』 ジャン・リュデル 1985
『版画』 J・アデマール 1986
『モーツァルトの宗教音楽』 カルル・ド・ニ 1989
『オーケストラ』 アラン・ルビリエ(ルヴィエ)1990
『フランス・ロマン主義』 フィリップ・バン(ヴァン)・チーゲム 1990
『印象派』 モーリス・セリュラス 1992
『美学』 ドニ・ユイスマン 1992
『ボードレール―詩の現代性 』ドミニック・ランセ 1992
『ポスターの歴史』 アラン・ベイユ(ヴェイユ)1994
『オペラとオペラ・コミック』 フレデリック・ロベール 1994
『コメディ=フランセーズ』 パトリック・ドゥボー(ドゥヴォー)1995
『絵画の技法』 ジャン・リュデル 1995
『バロックの精神』 アンヌ=ロール・アングールバン(アングールヴァン)1996
『タンゴへの招待』 レミ・エス 1998
『美術史入門』 グザビエ(グザヴィエ)・バラル・イ・アルテ 1999
『フランス古典喜劇』 ロジェ・ギシュメール 1999
『グレゴリオ聖歌』 ジャン・ド・バロワ(ヴァロワ)1999
『レコンキスタの歴史』 フィリップ・コンラ 2000
『中世の芸術』グザビエ(グザヴィエ)・バラル・イ・アルテ 2001
『中世イタリア絵画』 フランソワーズ・ルロワ 2002
『芸術哲学入門』 ジャン・ラコスト 2002
『二十世紀の建築』 ジェラール・モニエ 2002
『博物館学への招待』 リュック・ブノワ 2002
『フランスの美術館・博物館』 ジャック・サロワ 2003
『コミュニケーションの美学』 ジャン・コーヌ 2004
『芸術療法入門』 ジャン=ピエール・クライン 2004
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『イタリア・オペラ』 ジル・ド・バン(ヴァン)2005
『世界遺産』 ドミニック・オドルリ & ラファエル・スシエ & リュック・ビラール(ヴ
ィラール)2005
『サルトル』 アニー・コーエン=ソラル 2006
以上
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「知の再発見」双書・芸術関係文献一覧
フランスのガリマール Gallimard 社のプロジェクト「ガリマール発見双書」を原本とした
人類の「知の遺産」の翻訳書(創元社刊)のうちから、本書に関連があると思われる翻訳
書を抽出した。
(法月)
『文字の歴史』
G・ジャン著/矢島文夫監修/高橋啓訳
『古代エジプト探検史』
J・ベルクテール著/吉村作治監修/福田素子訳
『ゴッホ』
P・ボナフー著/嘉門安雄監修/高橋啓訳
『モーツァルト』
M・パルティ著/海老沢敏監修/高野優訳
『インカ帝国』
C・ベルナン著/大貫良夫監修/阪田由美子訳
『マヤ文明』
C・ボーデ、S・ピカソ著/落合一泰監修/阪田由美子訳
『ゴヤ』
J・バティクル著/堀田善衞監修/高野優訳
『ポンペイ・奇跡の町』
R・エティエンヌ著/弓削達監修/阪田由美子、片岡純子訳
『アレクサンダー大王』
P・ブリアン著/桜井万里子監修/福田素子訳
『シルクロード』
J・P・ドレージュ著/長澤和俊監修/吉田良子訳
『ゴーギャン』
F・カシャン著/高階秀爾監修/田辺希久子訳
『ギリシア文明』
P・レベック著/青柳正規監修/田辺希久子訳
『アステカ王国』
S・グリュジンスキ著/落合一泰監修/齋藤晃訳
『ローマ・永遠の都』
C・モアッティ著/青柳正規監修/松田廸子訳
『黄金のビザンティン帝国』
M・カプラン著/井上浩一監修/松田廸子、田辺希久子訳
『ピカソ』
M・L・ベルナダック、P・デュ・ブーシェ著/高階秀爾監修/高階絵里加訳
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『シェイクスピアの世界』
F・ラロック著/石井美樹子監修/高野優訳
『エトルリア文明』
JP・テュイリエ著/青柳正規監修/松田廸子訳
『メソポタミア文明』
J・ボッテロ、M・J・ステーブ(ステーヴ)著/矢島文夫監修/高野優訳
『古代ギリシア発掘史』
F・エティエンヌ、R・エティエンヌ著/青柳正規監修/松田廸子訳
『マティス』
X・ジラール著/高階秀爾監修/田辺希久子訳
『アンコール・ワット』
B・ダジャンス著/石澤良昭監修/中島節子訳
『オスマン帝国の栄光』
T・ビタール著/鈴木董監修/富樫瓔子訳
『ルノワール』
A・ディステル著/高階秀爾監修/田辺希久子、柴田都志子訳
『ペルシア帝国』
P・ブリアン著/小川英雄監修/柴田都志子訳
『バッハ』
P・デュ・ブーシェ著/樋口隆一監修/高野優訳
『ローマ人の世界』
J・シェード、R・アヌーン著/青柳正規監修/藤崎京子訳
『バビロニア』
J・ボッテロ著/松本健監修/南條郁子訳
『モネ』
S・パタン著/高階秀爾監修/村上伸子、渡辺隆司訳
『レオナルド・ダ・ヴィンチ』
A・ベッツォシ(ヴェッツォシ)著/高階秀爾監修/後藤淳一訳
『ワーグナー』
P・ゴドフロワ著/三宅幸夫監修/村上伸子訳
『古代中国文明』
C・ドゥベーヌ=フランクフォール著/工藤元男監修/南條郁子訳
『シャガール』
D・マルシェッソー著/高階秀爾監修/田辺希久子、村上尚子訳
『セザンヌ』
M・オーグ著/高階秀爾監修/村上尚子訳
『ラファエル前派』
L・D・カール著/高階秀爾監修/村上尚子訳
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『レンブラント』
P・ボナフー著/高階秀爾監修/村上尚子訳
『ガウディ』
P・ティエボー著/千足伸行監修/遠藤ゆかり訳
『写真の歴史』
Q・バジャック著/伊藤俊治監修/遠藤ゆかり訳
『ケルト文明とローマ帝国』
F・ベック、H・シュー著/鶴岡真弓監修/遠藤ゆかり訳
『ルーヴル美術館の歴史』
G・ブレスク著/高階秀爾監修/遠藤ゆかり訳
『エミール・ガレ』
P・ティエボー著/鈴木潔監修/藤井麻利訳
『グラフィック・デザインの歴史』
アラン・ベイユ(ヴェイユ)著/柏木博監修/遠藤ゆかり訳
『ロダン』
エレーヌ・ピネ著/高階秀爾監修/遠藤ゆかり訳
『カミーユ・クローデル』
レーヌ=マリー・パリス、エレーヌ・ピネ著/湯原かの子監修/南條郁子訳
『ル・コルビュジエ』
ジャン・ジャンジェ著/藤森照信監修/遠藤ゆかり訳
『宝石の歴史』
パトリック・ボワイヨ(ヴォワイヨ)著/ヒコ・みづの監修/遠藤ゆかり訳
『ターナー』
オリビエ(オリヴィエ)・メスレー著/藤田治彦監修/遠藤ゆかり訳
『紙の歴史』
ピエール=マルク・ドゥ・ビアシ著/丸尾敏雄監修/山田美明訳
『ダリ』
ジャン=ルイ・ガイユマン著/伊藤俊治監修/遠藤ゆかり訳
『色彩』
フランソワ・ドラマール、ベルナール・ギノー著/柏木博監修/ヘレンハルメ美穂訳
『ロートレック』
クレール・フレーシュ、ジョゼ・フレーシュ著/千足伸行監修/山田美明訳
『ヨーロッパ古城物語』
ジャン・メスキ著/堀越孝一監修/遠藤ゆかり訳
『大聖堂ものがたり』
アラン・エルランド=ブランダンブルグ著/池上俊一監修/山田美明訳
『マネ』
フランソワーズ・カシャン著/藤田治彦監修/遠藤ゆかり訳
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『ダダ』
マルク・ダシー著/藤田治彦監修/遠藤ゆかり訳
『フリーダ・カーロ』
クリスティーナ・ビュリュス著/堀尾真紀子監修/遠藤ゆかり訳
『アンリ・カルティエ=ブレッソン』
クレマン・シェルー著/伊藤俊治監修遠藤ゆかり訳
『ミロ』
ジョアン・プニェット・ミロ、グロリア・ロリビエ=ラオラ著/大髙保二郎監修/遠藤ゆ
かり訳
以上
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玉川選書・芸術関係文献一覧
玉川大学出版部既刊「玉川選書」の中から芸術関係を適宜抽出して出版年次順に掲載し
た。なお、このリストには、品切れの書籍が含まれているが、一部は単行本として、ある
いはオンディマンド出版の対象となっているものもあるので、詳細については玉川大学出
版部のホームページを参照願いたい。
(法月)
『服装の地理 : 身を飾る人間』別技篤彦著 1975
『手さぐり日本 : 「手」の思索』秦恒平著 1975
『写真に生きる : ある報道人の遍歴』阿部徹雄著 1976
『東洋の宝石真珠』小栗宏著 1976
『能の知恵』中森晶三著 1976
『能の見どころ』中森昌三著 1976
『たたら : 日本古来の製鉄技術』黒岩俊郎著 1976
『映画のいのち : 私の戦後史』吉村公三郎著 1976
『地中海の中のスペイン』並河万里著 1977
『地中海 : 石と砂の世界』並河亮 文 ; 並河万里 写真 1977
『木しらき : 日本人のくらし』秋岡芳夫著 1977
『生きていた絵文字の世界』山田勝美著 1977
『住・すまう : 日本人のくらし』秋岡芳夫著 1977
『宮沢賢治 : 地学と文学のはざま』宮城一男著 1977
『日本人の笑い』深作光貞著 1977
『地中海 : 神と人の世界』並河亮 文 ; 並河万里 写真 1978
『シルクロードを駆ける : 汗血馬の源流 松浪健四郎著 1978
『けいこと日本人』中森晶三著 1978
『仏像のながい旅路』並河亮 文 ; 並河万里 写真 1978 『おもちゃから童具へ』和久洋三著 1978 『近代人の意識構造 : ヨーロッパ文学』相原幸一著 1978
『狂言のすすめ』山本東次郎著 1978
『聖と俗塔と広場の思想』梶谷善久著 1979
『バーミヤンの鳩笛 : セントラルシルクロード』並河亮 文 ; 並河万里 写真 1979
『仏像をみる人のために』佐藤昭夫著 1979
『書のすすめ 加藤僖一著 1979
『鎌倉薪能 : 古典を生かす』中森晶三著 1979
『歌舞伎をみる人のために』今尾哲也著 1979
『笑い泣く性 : 文化生理学コーズリー』中川米造著 1979
『合金 : 現代の錬金術』松山芳治著 1979
『知的女性のために』川和孝著 1980
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『日本列島人の造形意識』谷信一著 1980
『物から人への発想 : インテリアの人間工学』小原二郎著 1980
『仏像ここだけの話』佐藤昭夫著 1981
『美術館を歩く』保坂清著 ; 東日本編, 西日本編 1981
『星座の文化史』原恵著 1982
『童具(おもちゃ)デザイナーのスペイン』和久洋三著 1985
以上
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