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08.6月号本誌_Ext01 08.5.28 9:47 AM ページ 1
News
JIKEN CENTER
自研センターニュース
6
JUNE 2008
平成20年6月15日発行 毎月1回15日発行(通巻393号)
昭和51年5月27日 第三種郵便物認可
C
O
N
T
E
N
T
S
テクノ情報 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
マツダ リアビークルモニタリングシステム(RVM)
リペアリポート ・・・・・・・・・・・・・・・・8
リペアストラップ取替作業の紹介
「構造調査シリーズ」新刊のご案内 ・・・・・・・10
自研センターホームページ活用方法 ・・・・・・11
カラーコードナンバー表&高機能塗装一覧表の確認方法
日本アウダックス社 ・・・・・・・・・・・・・13
指数テーブル「2008年6月号」発行のお知らせ
特別記事 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
ボデーの軽量化〈前編〉
リサーチング ザ スケルトンズ ・・・・・・・・・18
スバル フォレスター(SH5系)
「構造調査シリーズ」新刊のご案内・・・・・・・・5
リペアリポート ・・・・・・・・・・・・・・・・6
リヤフェンダエクステンションの部品設定について
特別記事 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
横滑り防止装置(ESC)の世界展開
別冊 新型車情報
1 ∼□
12
qホンダ インスパイア(DBA-CP3)・・・・・・・□
1 ∼□
12
wスズキ パレット(MK212S)・・・・・・・・・□
1 ∼□
12
付録 アンケートのお願い ・・・・・・・・・・□
付録
自研センターニュース平成17年度(通巻367∼378号)総目次
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TECHNO INFORMATION
テクノ情報
マツダ リアビークル
モニタリングシステム
(RVM)
マツダ株式会社は、高速走行時に後方から接近する車両を検知する「リアビークルモニタリングシス
テム(RVM)
」を開発し、2008年1月に発表した新型「アテンザ」に搭載しました。
1.概要
このシステムは、60km/h以上での走行時に左右後方から接近してくる車両を検知し、車線変更により
衝突の危険性がある場合にドライバへ知らせる自立型運転支援システムです。
検知範囲が広く、悪天候の影響も少ない24GHzレーダを採用することで高速走行時の後方接近車両が
検知可能となりました。
2.システム構成
システム構成は、以下の通りです。
システム
インストルメントパネル(運転席側右側)
RVM表示灯(緑)/RVM警告灯(橙)
コンビネーションメータ内
RVM接近表示灯(RH/LH)
左右フロントドアガラス前部(ドアミラー内側)
レーンチェンジエンドユニット
リヤバンパ左右内側(リヤコンビネーションランプ下部)
レーンチェンジ
エンドユニット(LH)
2
設置場所
RVMスイッチ
自研センターニュース 2008年 6月号
レーンチェンジ
エンドユニット(RH)
インナセイルガーニッシュ
(車線変更補助システム付)
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3.システム作動
リアビークルモニタリングシステムの作動は、エンジン始動後にRVMスイッチをONにすることで待機状
態(RVM表示灯(緑))
になり、車速が約60km/hを越えると検知を開始します。車速が約60km/h以下になれ
ば検知を中止し、リアビークルモニタリングシステムは待機状態(RVM表示灯(緑))
に戻ります。
4.モニタエリア
モニタエリアには、検知エリアと死角エリアが
あります。
検知エリアは自車と隣接する左右レーン後方約
55mまでのエリアで、死角エリアは、車両後方約
10mまでのエリアです。
(図1)
検知する車両は、
①自車の死角エリアにいる車両(車両後方約10m)
(図2)
②約5.5秒以内に自車へ接近できる検知エリア内の
車両となります。(図3)
図2 検知車両q
図1 モニタエリア
図3 検知車両w
5.警報方法
①隣のレーンを走る、後方からの接近車両が一定時間以内に自車に追いつくと判断した場合、接近表示
灯が点灯してドライバに知らせます。(図4)
②自車の死角に他車両を検知している状態で、他車両のいる側へターンライトスイッチをONにすると、
RVM接近表示灯が点滅し、コンビネーションメータ内の警報チャイムが吹鳴します。(図5)
図4
図5
自研センターニュース 2008年 6月号
3
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6.取付位置および補給形態
レーンチェンジエンドユニットは、リヤバンパを取外したリヤコンビネーションランプ取付位置下部
に、左右一つずつ取付けられています。(図6−1・2)
補給部品は左右単品でAssy補給の他にレーンチェンジエンドユニット本体以外がそれぞれ個別の補給
設定がされています。(図7)
事故によりレーンチェンジエンドユニットの脱着または取替作業を行った場合、リアビークルモニタ
リングコンフィグレーションやリアビークルモニタリングレーダエーミングが必要になります。
レーンチェンジ
エンドユニット
取付位置
図6−1
4SD,5HB
ワゴン
レーンチェンジ
エンドユニット
レーンチェンジ
エンドユニット
図6−2
図7
品名コード
品 名
部品番号
67−Y8X
レーンチェンジエンドユニット(R)
G33D−67−Y8XB
67−SH1
ショートコード
G35F−67−SH1
67−Z1X
ブラケット
G35F−67−Z1XB
67−Y9X
レーンチェンジエンドユニット(L)
G33D−67−Y9XB
67−031
ブラケット
G35G−67−Z1XB
67−091
ショートコード
G35G−67−SH1
7.コンフィグレーション(設定)
右側レーンチェンジエンドユニットはマスタユニットであり、コンフィグレーションデータを保持し
ているため取替時にはコンフィグレーション作業が必要になります。左側レーンチェンジエンドユニッ
トはスレーブユニット(単なるレーダユニット)のため不要となっています。
コンフィグレーション作業を行うには、PDS(ポータブルダイアグノスティックソフトウエア:ポケット
PC)ではリアビークルモニタリングコンフィグレーションをサポートしていないため、IDS(インテグ
レーテッドダイアグノスティックソフトウエア:ノートPC)を使用します。
4
自研センターニュース 2008年 6月号
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TECHNO INFORMATION
8.レーダエーミング(照準調整)
レーダエーミングは、SST(ドップラシミュレータ)へ強制的にレーダを照射し、SST(ドップラシ
ミュレータ)からの反射状態を元にレーダ取付状態に起因する公差のエーミングを行います。
レーンチェンジエンドユニットは左右に1個ずつ取付けられているので、左右それぞれについてレー
ダエーミングをする必要があります。
レーダエーミングは水平な場所で行い、車両とSSTの設置面の高さや角度が異なると正しくレーダ
エーミングを行えません。
(図8)
車両とドップラシミュレータの設置面が水平かつ一定
適切な場所
不適切な場所
車両とドップラシミュレータの
間に段差がある
車両とドップラシミュレータの
傾斜角度が不一致
斜面
図8
9.レーダエーミング作業手順
①乗員やトランク内の荷物を全て降ろし空車状態にする。
②全タイヤの空気圧を規定圧に調整する。
③車両を水平にする。
④
(図9)に示す範囲内に障害物などが無いことを確認する。
⑤エンブレム中心にSST(プラムボブ)が通るようにマーキングする。
(図10)
エンブレム
中心点
電
波
照
射
範
囲
3m96cm
49 L067 003
マーキング
電波照射範囲
2m
6.6±0.15m
1m
図9
エンブレム
中心点
49 L067 003
マーキング
図10
自研センターニュース 2008年 6月号
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⑥エンブレム中心にSST(プラムボブ)が通るよう調整し、リヤの車両中心位置を割り出し、床面にマーキ
ングする。
⑦水糸を使用して、フロントのマーキング位置に固定し、リヤのマーキング位置にあわせながら車両先
端から6.6±0.15mの床面にマーキングする。
(図11)
マーキング
(フロント)
マーキング
(リヤ)
マーキング
(車両後方中心点)
図11
車両先端から6.6±0.15m以内のところへマーキングする
⑧車両後方中心点から左右直角方向672±5mmのところへマーキングする。
(図12)
ドップラシミュレータ
本体設置の基準ライン
672±5mm
車両後方の中心点
672±5mm
図12
ドップラシミュレータ
本体設置の基準ライン
⑨SST(AC−DCコンバータ)をSST(ドップラシミュレータ)本体の横に差込み電源を入れる。
(図13)
⑩SST(ドップラシミュレータ)本体にある緑ランプが点灯することを確認する。(図14)
⑪SST(ドップラシミュレータ)の上端部から床面までの高さが1000±10mmになるように調節する。高
さの調節は本体横にある固定ノブ2つを緩めるとできる。
⑫SST(ドップラシミュレータ)に内蔵された水準器を使用し、SST(ドップラシミュレータ)取付け
面を水平にする。
水準器
⑬調節ノブを回し、気泡が気泡基準ラインの中心にくるように調節する。
49 G067 0A0
気泡
49 G067 0A0
固定ノブ
1000±10mm
気泡基準ライン
ランプ(緑)
調整ノブ
AC-DCコンバータ
差込口
図13
6
自研センターニュース 2008年 6月号
調整ノブ
図14
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TECHNO INFORMATION
⑭SST(ドップラシミュレータ)の本体に印字された基準ラインに沿ってSST(プラムボブ)を床面ま
で垂らす。(図15)
⑮床面のマーキングとSST(プラムボブ)の先端が、合うようにSST(ドップラシミュレータ)の位置
を調整する。SST(ドップラシミュレータ)は、車軸方向と平行に設置する。
⑯マーキングとSST(プラムボブ)の先端が合ったらSST(プラムボブ)を取外す。
⑰M−MDSを使用して画面の指示に従いリアビークルモニタリングレーダエーミングを行う。
49 G067 0A0
車両後方の中心点
672±5mm
基準ライン
672±5mm
49 L067 003
672±5mm
図15
49 G067 0A0
ドップラシミュレータ
セット
49 G067 001
ドップラシミュレータ
(49 G067 0A0の
構成品)
49 G067 003
AC-DCコンバータ
(49 G067 0A0の
構成品)
49 L067 003
プラムボブ
図16
49 G067 002
スタンド
(49 G067 0A0の
構成品)
マーキング
49 F042 001
レンチ
ボデー&エレクトリカルSST
10.指数
レーンチェンジエンドユニット脱着の指数は、B420で設定されていますが、レーダエーミング(照準
調整)は指数適用外のため別途工数を立てる必要があります。
指数はレーンチェンジエンドユニット脱着の指数設定であるため、コンフィグレーション(設定)は
作業範囲に含まれていません。
11.最後に
このシステムは悪天候に影響されにくい安定した検出性能を備えているとはいえ、全ての車両が常に
レーンチェンジエンドユニットに検知されるわけではありません。周囲の状況や、走行車両によっては
システムが正常に作動しない場合があります。
リアビークルモニタリングシステムは、運転者の安全確認を代行するものではないので、車線変更等
の運転行為の責任は運転者にあります。車線変更等を行う場合は、周囲の安全を必ず目視で確認してく
ださい。
【参考文献】
マツダ株式会社HP
マツダ株式会社整備書
マツダ株式会社新型車の紹介
【挿入図(カラー)
】
http://www.mazda.co.jp/philosophy/tech/safety/prediction/rearoneview.html
【挿入図(モノクロ)】
FAINES:整備書、新型車の紹介
電子パーツカタログ
(研修部/滝川陽一)
自研センターニュース 2008年 6月号
7
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REPAIR REPORT
リペア リポート
リペアストラップ取替作業の紹介
対象車種:BMW 325i Touring
型 式:VS25
1.はじめに
2005年10月発売のBMW 325i Touring(VS25)には、補給部品にリペアストラップが設定されていま
す。ただし、部品は一般的な樹脂製のものと異なり、鋼板製でした。また、今回発注した際には、日本
国内・ドイツ本国共に在庫がなく、納期に1ヶ月余を要しました。
今回は、リペアストラップの取替作業にかかわる参考工数をご紹介します。
2.参考工数
リペアストラップが鋼板製であるため、樹脂製のものと比べると、補修跡が明らかなものとなってし
まいます。
参考工数は以下のようになります。
作業内容
参考値
リペアストラップ取替
0.1
備考
「リペアストラップ取替」の工数は、ヘッドライトブラケット部が損傷した場合に、
ヘッドライトを取外した後に実施する補修作業用のヘッドライトリペアストラッ
プ(インナまたはアウタ)1個を取替える作業。
3.構造および補給部品について
ヘッドライトは、上部のストラップ部2箇所と下部のヘッドライトアームによって、ボデー側に取付けられて
います。上部の2箇所(アウタ側・インナ側)
について、リペアストラップの補給部品が設定されています。
ヘッドライト
リペアストラップ部位
アウタ側
インナ側
ヘッドライトアーム
①インナリペアストラップ
補給部品の詳細は以下のとおり。
①部品名称:インナリペアストラップ
部品番号:63 11 7 175 206
②部品名称:アウタリペアストラップ
部品番号:63 11 7 175 208
②アウタリペアストラップ
8
自研センターニュース 2008年 6月号
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REPAIR REPORT
4.リペアストラップ取替作業
(1)粗切り
エアソーを使用して荒切りします。
この時、切断部以外のヘッドライトを損傷させ
ないように十分注意して作業します。
(2)成型
粗切り後の残部を成形するために、カッターを
使用して慎重にカットします。
(3)カット作業後の状態
アウタ側
アウタ側
インナ側
インナ側
○部拡大写真
自研センターニュース 2008年 6月号
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REPAIR REPORT
(4)リペアストラップ取付
スクリュを使用して、インナリペアストラップ
およびアウタリペアストラップを取付けます。
(5)作業完了
インナリペアストラップおよびアウタリペアス
②アウタリペアストラップ
①インナリペアストラップ
トラップ取付後の状態です。
インナリペアストラップ
アウタリペアストラップ
○部拡大写真
(指数部/牛村祥子)
「構造調査シリーズ」新刊のご案内
No.
車 名
型 式
自研センターでは新型車について、損傷した場合の復元修理
510
マツダ アテンザ スポーツ
GHEFS,GH5FS,GH5AS系
の立場から見た車両構造、部品の補給形態、指数項目とそ
511
トヨタ クラウン
512
マツダ アテンザ セダン
GHEFP,GH5FP,GH5AP系
513
マツダ アテンザ スポーツワゴン
GHEFW,GH5FW,GH5AW系
200系
の作業範囲、ボデー寸法図など諸データを掲載した「構造調
査シリーズ」を発刊しておりますが、今月は右記新刊をご案内
いたしますので、是非ご利用ください。定価は1,120円です
(税込み、送料別)。
お申し込みは自研センター総務企画部までお願いします。
TEL
10
自研センターニュース 2008年 6月号
047-328-9111
FAX
047-327-6737
08.6月号本誌_Ext01 08.5.28 9:47 AM ページ 11
自研センターホームページ活用方法
カラーコードナンバー表&
高機能塗装一覧表の確認方法の紹介
●自研センターホームページを検索します。インターネットのアドレスに「自研センター」と入力すると
簡単に検索できます。
●ホームページのトップ画面より
「カラーコードナンバー表ダウンロード」をクリックしてください。
クリック
●「カラーコードナンバー表」をクリックしてダウンロードしてください。
クリック
解凍ソフトを
ダウンロード
注:ダウンロード後、このファイルを開くには、対応ソフト(Microsoft社のExcel)が必要です。
はじめてダウンロードされる方で解凍ソフトをお持ちでない方は、
「Windows用をダウンロード」あるいは「Macintosh
用をダウンロード」をクリックして解答ソフトをダウンロード後、インストールしてご利用ください。
注:ご使用のパソコン環境によりダウンロード、インストール、解凍が出来ない場合がありますが自研センターではお
答えすることが出来ませんのでご使用のパソコン環境を確認してください。
自研センターニュース 2008年 6月号
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●「ファイルのダウンロード」
、
「このファイルを開くか、または保存しますか?」で「開く」あるいは「保存」
をクリックしてください。
クリック
●解凍したcolor Microsoft Excelワークシート
をクリックして「マクロを有効にする」をク
リックしてください。
クリック
●検索方法は「カラーコード検索」をクリックして「メーカー名」
、
「カラーコード」を入力します。
クリック
12
自研センターニュース 2008年 6月号
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●下側のワークシートに使用方法やワンポイント
などがありますので確認してください。
入力する
ワークシート
●ワークシート右側に高機能塗装車種一覧があり
ますのでご活用ください。
高機能塗装車種一覧
(総務企画部/浜田利夫)
日本アウダテックス社
指数テーブル「2008年6月号」発行のお知らせ
●2008年6月号 国産車・指数テーブル(3メーカ・6車種)
メーカ名
トヨタ
車 名
型 式
クラウン
200系
アテンザ セダン
GHEFP、GH5FP、
GH5AP系
マツダ
アテンザ スポーツ GHEFS、GH5FS、
GH5AS系
アテンザ
スポーツワゴン
ダイハツ
GHEFW、GH5FSW、
GH5AW系
ミラバン
L275V、L285V系
タント
L375S、L385S系
●2008年6月号輸入車・指数テーブル(1メーカ・1車種)
メーカ名
フォルクスワーゲン
車 名
パサート
型 式
3CAXZF
※「2008年6月号」のみの単独販売は行っておりません。
購入を希望される方は下記「2008年版セット」
(年間購読)
をお求め下さい。
【2008年版】
・国産車セット<商品番号:2008 価格:¥18,000>
・輸入車セット<商品番号:3008 価格:¥4,000>
・国産車・輸入車セット
<商品番号:4008 価格:¥20,000>
※バックナンバーは、2007年版・2006年版・2005年版・2004
年版の各「国産車・輸入車セット」
「国産車セット」
「輸入車
セット」
となります。なお、在庫がなくなり次第販売を終了
させていただきますのでご了承下さい。
※ご購入の際のご不明な点は、下記にお問い合わせ下さい。
◆「指数テーブル」のご注文およびお問い合わせ◆
日本アウダテックス株式会社
TEL:03-5351-1901
FAX:03-5350-6305
自研センターニュース 2008年 6月号
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特別記事
自動車技術(発行所 社団法人 自動車技術会)の2008年3月号に「ボデーの軽量化」について詳しく
説明がありましたので転載して紹介します。
ボデーの軽量化〈前編〉
Weight Reduction of Car Body Structure
マツダ株式会社 車両開発本部
川本 親
中西 伸行
高末 鉄幹
Chikashi Kawamoto
Nobuyuki Nakanishi
Tekkan Takasue
Weight reduction has become more important from needs of the environmental protection and the
performance improvement. The weight reduction measure of car body structure includes substitution for a
light material and the application of the joint technology using the laser welding & weldbonding. This text
presents the approach of weight reduction in Mazda from the aspect of the pursuit of an ideal structure and
substitution for the light material and the development of new building methods.
Key Words : Body, Material, Weight Reduction / Structure, Steel & Iron, Aluminum, Plastic
1.軽量化の必要性
1.1.
環境保護
近年の世界各地でみられる地球温暖化の兆候は、私達の身近に迫る問題として認識が急速に高まって
おり、また大気汚染、化石燃料資源の枯渇など地球環境問題は緊急の課題となっている。
このような中で自動車はCO2や有害ガスの排出、燃料資源、鉱物資源の消費など環境に及ぼす影響が
大きく、今後持続可能な自動車社会を築いていくために自動車各社はこれらの問題の解決を最重要課題
として取り組んでいる。
日本では2015年度の燃費基準が設定され、乗用車の2010年度燃費基準比平均で29.2%の改善が必要で
ある。また米国では毎年4%のCAFE規制強化の方針が出され、欧州では2008/2009年のCO2自主目標
140g/km、2012年では乗用車単体目標で平均130g/kmを規制化する方針が提案されており、各国とも将来
の燃費、CO2排出量の規制が大幅に強化される動きがある。
この燃費向上、CO2削減のためにはエンジンの高効率化、車両の走行抵抗の低減とともに車両の軽量
化が強く求められている。
1.2.
軽いことの喜び
航空機やロケット、F1などのレーシングカーにみられるように、極限の性能を追求するためには質量
が軽いことが絶対的な優位性をもっている。また身の回りのものでもノートパソコンや携帯電話など軽
14
自研センターニュース 2008年 6月号
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ければ軽いほど日常の扱いやすさ、利便性が向上し、ユーザにとって魅力ある商品となっている。
自動車においては、車両質量が軽いことが「走る・曲がる・止まる」の基本性能向上に貢献し、また
環境対応のための燃費向上/CO2削減にも大きな役割をもっている(図1)
。
q基本性能の向上(走る、曲がる、止まる)
w燃費の向上
e衝突性能の向上
図1
軽いことの喜び
1.3. 自動車業界の使命
以上から、車両の軽量化は自動車業界に対する社会ニーズ、顧客ニーズの多くの機能に影響をもち、
軽量化が強く求められる理由となっている(図2)
。
リサイクル対応
環境保護
社会ニーズ
車両質量に関係する対策
地球温暖化対応
燃費改善
大気汚染対応
EM低減
省資源対応
燃費改善
衝突安全対応強化
衝突安全
機能/性能
動力性能UP
顧客ニーズ
税金低減
経済性
維持費低減
軽量化が求められる対策
図2
衝突安全ボデー
車両軽量化
燃費改善/排ガス低減
燃費改善
質量アップにつながる対策
自動車を取り巻く環境
自研センターニュース 2008年 6月号
15
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2.自動車業界の動向
2.1.
自動車が大きく重くなってきた歴史
現在までの自動車の車両質量の変遷をみると増加の傾向が続いており、また車両サイズも継続して拡
大方向にある
(図3)
。一方、この車両質量を車両サイズで割った車両比重という見方をすると下降傾向がみ
られ、車両サイズの拡大、衝突安全性向上などによる質量増加を軽量化で吸収する努力が図られているとい
える(1)。
図3
2.2.
車両質量とサイズの変遷
使用材料の動向
乗用車における原材料構成比率の年度推移をみると、アルミニウム、樹脂が徐々に増加の傾向にあり、
その分鉄鋼材料が減少している。
今後軽量化のニーズが強まる中で、これら軽量材料の採用はさらに拡大すると考えられる。しかし、
近年はアルミニウム地金の価格高騰の状況もみられ、これら軽量材料を使った製品を低コストと両立さ
せることが採用拡大の鍵になる。
2.3.
軽量化技術の動向
軽量化の具体例を新型Benz Sクラス(BR221)で示す。Benz BR221では、前モデルに対して、衝突性能
の向上、車両サイズの拡大、NVH/快適性の向上、パッケージングの変更などで、71.9kgの質量増加と
なったが、軽量化技術として、部品類のアルミ化、車体構造のマルチマテリアル化と最適化、接合技術
の拡大など(図4)によって、68kgのリカバリを施し、前モデルに対して性能向上させながら車体質量
はほぼ同等レベルを実現している(2)。
Benz BR221質量68kg軽量化施策
接合技術
8%
構造最適化
16%
ユニットのアルミ化
55%
構造マテリアルMIX
21%
図4 新型Benz軽量化施策(2)
16
自研センターニュース 2008年 6月号
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欧州では、アルミ押出し材の局部活用、アルミやマグネシウムなどを適所に採用したマルチマテリア
ル構造などが一部の高級車に採用されているものの、普及価格帯の車は、日本同様、鋼板モノコック構
造が主流であり、超ハイテンなどの使用比率を上げることにより軽量化が図られている。BMW5シリー
ズでは、フロントボデーをアルミ化(図5)することで、また、3シリーズは、ハイテン化率を上げるこ
とで軽量化を図っている(図6)
。
780Mpa級ハイテンは、車体に広く採用され始め、さらにホットスタンプを利用した、加工後の強度
1500Mpa級ハイテンも採用拡大している(5)
(図7)
。
また、欧州では、連続接合によるボデー剛性の
向上を目的に、レーザや構造用接着剤を利用した
接合を積極的に展開している。前モデルと最新モ
デルとの比較を表1に示す。レーザ、構造用接着
剤ともに、適用部位は主にドア開口部、ルーフ、
フロアパネルなどである。
図5
BMW5シリーズの車体構造(3)
図7 VWパサートのホットスタンプ適用箇所
図6
BMW3シリーズの材料推移(4)
表1 欧州車の接合方法の推移
Volvo(50/40)
Octavia
1996
2004
1997 2004
SW
4,107 3,979 4,771 5,011
LW
―
4.2M
―
7.8M
接着
5.8M 12.7M 49.2M 72.2M
リベット
―
―
―
―
A6
1997
6,147
3.5M
36M
―
2004
5,102
4.5M
122M
364
SLK
1996
2004
4,376 4,840
―
―
16.5M
73M
―
―
参考文献
(1)高末ほか:自動車技術会シンポジウムテキスト、No.12-06、ボデー構造形成技術の最前線 車体構造の技術動向 p.2
(2)Euro Car Body 2005 Mercedes S-Class Car Body, p.410
(3)Euro Car Body 2003 BMW 5er&6er, p.431
(4)Euro Car Body 2005 Der neue BMW 3er, p.81
(5)Euro Car Body 2005 The New VW Passat Car Body, p.197
(次号へ続く)
自研センターニュース 2008年 6月号
17
08.6月号本誌_Ext01 08.5.28 9:47 AM ページ 18
Researching The Skeletons
リサーチング ザ スケルトンズ
スバル フォレスター(SH5系)
この「Researching The Skeletons」では外部からは確認することができないフロントサイドメンバおよびリヤサイドメンバ内側のリインホースメント等
の位置や板厚を分かり易く紹介していくもので、データは実際に自研センターで調査した内容をまとめたものです。
今回は2007年12月に発売されたスバル フォレスター(SH5系)を取り上げます。
概要
フレームサイドコンプリート、リヤフロアリヤフレームコンプリート等の主要骨格部位には高張力鋼
板を採用しています。(富士重工業株式会社発行のボディ修理書より)
フロント
①フレームサイドコンプリート前部は六角形の断面形状になっています。(写真1)
②ラジエータアッパパネルコンプリートは溶接で取付けられています。(写真2)
③フェンダエプロン部の構成パネルは全て単品補給となっておりAssy補給の設定はありません。
(写真2)
④フレームサイドコンプリートのリインホースメントは前部、中央部(フロントサスペンションクロス
メンバコンプリート取付位置)
、後部に配置されています。(写真3、4)
⑤フレームサイドコンプリートはフロントフロアパン下部まで伸びていますが、ダッシュパネル手前に
て取替作業が可能です。
(写真3、4)
フロント正面
フロント上面
eフェンダエプロン部
q
wラジエータアッパパネルコンプリート0.7mm
写真1
写真2
フロントサイドメンバ左外側
r1.1mm
r1.0mm r1.7mm r1.5mm
t
写真3
18
フロントサイドメンバ右外側
自研センターニュース 2008年 6月号
r1.5mm r1.7mm r1.0mm
r1.1mm
t
写真4
08.6月号本誌_Ext01 08.5.28 9:47 AM ページ 19
Researching The Skeletons
⑥フレームサイドコンプリートには差厚鋼板(注)が採用されています。(写真5、6)
⑦ボディ修理書によるフレームサイドコンプリート半裁作業カット指示位置です。
(写真5、6)
⑧フレームサイドコンプリートの形状はスバル インプレッサ(GH2・3・7・8系)
に類似しています。
(写真5、6)
(注)厚さの異なる鋼板を突合せ溶接し、1枚の鋼板にしたもの。
フロントサイドメンバ左内側
フロントサイドメンバ右内側
1.5mm
1.5mm
uカット位置
y板厚変化部位 1.7mm
1.7mm y板厚変化部位 uカット位置
写真5
t
t
写真6
リヤ正面
リヤ正面(リヤスカート取外し状態)
リヤフロアリヤフレームコンプリート取付位置
リヤフロアリヤフレームコンプリート取付位置
写真8
写真7
リヤ
⑨リヤフロアリヤフレームコンプリートはリヤフロアクロスメンバCコンプリート後部にて取替作業が
可能です。(写真10)
リヤ上面
リヤ上面(リヤフロア取外し状態)
o
1.6mm
o
1.8mm
写真9
写真10
リヤ下側
2.0mm
(指数部/上田 修)
写真11
自研センターニュース 2008年 6月号
19
08.6月号本誌_Ext01 08.5.28 9:47 AM ページ 1
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