KRIMSON 報告書 11-1-019-0167 上坂 祥太 テーマ:楽器の現状と展望 Ⅰ 調査の目的 本稿は楽器業界(主にピアノを中心とする)の現状と展望に関わる同行の概要を調査したう えで、現在各企業が抱えている課題とその対策について模索する。 Ⅱ 調査の概要 楽器業界の現状における課題を整理すると、市場の縮小、単価の低下、アナログからデジ タルへの移行、などが挙げられる。これらへの対策として、本稿においては、海外への進 出、新製品の開発、ブランド力の向上、価値を再認識することなどが重要であるといえる。 Ⅲ 調査の方法 まず、楽器に関するキーワードをもとに、検索エンジン Yahoo において検索を実施し、サ イトの閲覧を行い、役立つサイトを抽出した。 次に、役立つサイトにおいて記事および資料の概要閲覧を行い、楽器業界の現状と展望に 関わる資料について、課題、対策および効果の整理を行った。 Ⅳ 調査計画 以下に示すスケジュールで調査を実施した。 6月9日~11日 情報源の摘出 記事の整理 考察 Ⅴ ●●●● ●● 6月12日~14日 6月15日~18日 ●● ●●● ● ●●● ●●● 調査の内容 Ⅴ.Ⅰ情報の抽出 楽器の現状と展望を調査するために、「楽器」「現状」「課題」「展望」 「ピアノ」などのキー ワードをもとに、検索エンジン Yahoo において AND 検索を実施し、ある程度サイトを絞 り込んだあと、サイトの概要閲覧を行い、添付資料1の役立つサイトを抽出した。 Ⅴ.Ⅱ記事の整理 役立つサイトにおいて記事および資料の概要閲覧を行い、楽器の現状と展望に関わる情報 でテーマに沿っていると考えられる記事について添付資料2の整理を行った。 複数の記事に掲載されていたものを取り上げ、「課題―対策―効果」を整理すると以下の通 りになった。 課題 ・市場の縮小 対策 効果 ・海外への進出 ・市場の拡大 (特にピアノにおいては中国) ・グローバル化 ・業界全体の活性化 ・ブランド力の向上 ・安価な製品だけでなく高価 な製品への需要を創出 ・単価の低下 ・価値を再認識 ・お金では表わせないサービ スなどにより付加価値を与 える ・価値を再認識 ・アナログからデジタルへ ・デジタルには出せない独特 の音色や雰囲気によって、デ ジタルとの差別化を図る 上記の整理を踏まえ、本稿では、市場の縮小を課題として主に考察した。これらの対策と して、海外への進出(特にピアノにおいては中国)、現在の中国では家庭にピアノを一台所有 するということが、社会でのステータスが高いことを示しているようである。だから中国 への進出へと拍車をかけている。 Ⅴ.Ⅲ考察(情報立案) 本稿では、楽器の現状と展望について3分割法にもとづき対策立案を試みた。 (添付資料3) 楽器が抱える課題についての対策を整理すると以下の通りになった。 対策 海外への進出 ①中国市場に乗り出す ②東南アジアを中心に 発展途上国への進出 価値を再認識 ③アナログの良さをアピール ④低価格よりも高品質のものを!! これらの具体的対策についての補足を述べておく。ただし、この具体的対策と補足には様々 な課題があり、今後精査していく必要がある。 ①中国市場に乗り出す 日本においては 90 年代のバンドブーム以降楽器全体としての需要が下がっている。おそら くバンドブームとともに衰退傾向になってしまったのであろう。さらに近年のリーマンシ ョック以降の円高やデフレなど、日本経済における不況は楽器業界だけでなく音楽業界に も少なからず影響を与えているのである。しかし一方で中国市場は明るい。 先述のように、現在の中国では家庭にピアノを一台所有するということが、社会でのステ ータスが高いことを示しているようである。このように中国進出の流れに乗ることが一つ のカギとなることが確かである。 ②東南アジアを中心に発展途上国への進出 これは楽器業界だけに限ったことではないが、世界を視野にいれての市場を創出するのは、 今となっては中国だけでは十分とは言えない時代となってしまった。数年前までは中国市 場へ進出≒世界の市場を掴んだと言われていた。しかし、変わりゆく世界経済の流れを知 り、市場開拓するためには発展途上国への進出は必要不可欠となったのである。インドや 東南アジアを中心とした発展途上国の国々は、市場としてはまだまだ未知数である。その ような状態の中で第二の中国市場となる国を見つけ出すことが重要となり、対策の中でも 大きな課題となる。 ③アナログの良さをアピール 近年のデジタル化や小型化の流れに乗り、楽器業界にもその影響が見受けられる。具体的 にはピアノからキーボードやシンセサイザーへの移行、ドラムから電子ドラムへの移行な どである。近年の音楽シーンは音が電子化していていわゆるクラブ系音楽と呼ばれるエレ クトロなどの音が流行りに乗っていることや、音の編集をしやすいという面がデジタルに おけるメリットとして挙げられる。しかしデジタルでは表現できないアナログの音色、質、 音階などを大切にして良さを見つめなおすべきである。そのためにも音楽シーンにおいて アナログの良さアピールできるアーティストが現れることが対策となる。 ④低価格よりも高品質のものを!! 大量生産をして大量販売をするという消費サイクルの早い時代である今日では、楽器業界 にも通ずることであり、“価格破壊”がおこっているのである。これへの具体的な対策案と しては、製品個々に対して価値の創造やブランド力の向上が良いと思う。そして楽器店の スタッフである販売員がプロ意識を持ち、製品の情報や特性など深い知識を蓄え、それぞ れの客のニーズに対応することで安価なものばかり購入するという現象を避けることが出 来る。いわば多様なニーズに対応できる(必ずしも客が安価な製品を好むとは限らないため である)ということである。 ◆添付資料1:役に立つサイト (1)楽器に関する基本的な情報 ①出所名:Wikipedia ②URL: http:// ja.wikipedia.org/ ③概要:誰でも自由に書き込める百科事典。 (2)楽器に関する基本的な情報 ①出所名:All about ②URL:http:// allabout.co.jp/ ③概要:生活総合情報サイト All About(オールアバウト) 。その道のプロ(専門家)が日 常生活を より豊かに、快適にするノウハウや業界最新動向を発信。 (3)ピアノに関する様々な情報 ①出所名:Piano tuning report ②URL:http:// sarapianocom.blogspot.com/ ③概要:ピアノという楽器について、音色やブランド、専門用語など様々な観点でピアノ について書かれている。 (4) 島村楽器オフィシャルサイト ①出所名:島村楽器 ②URL:http:// www.shimamura.co.jp/ ③概要:店舗情報やブログを通じて楽器を紹介している。 (5)KAWAI オフィシャルサイト ①出所名:ピアノの河合楽器製作所 ②URL:http:// www.kawai.co.jp/ ③概要:ピアノを中心とした楽器の製品情報がある。 (6)楽器の分類方法 ①出所名:楽器の分類/楽器の種類 ②URL:http:// saisaibatake.ame-zaiku.com/gakki/hs_denmei_hs.html ③概要:楽器を体鳴楽器、膜楽器、弦鳴楽器、気鳴楽器、電鳴楽器などの種類を大まかな 分類をしている。 (7)楽器の業界マップ ①出所名:楽器業界の上場企業一覧 業界地図 2010 上場企業サイト Kmonos ②URL:http:// kmonos.jp/industry/9150150110.html ③概要:Kmonos(クモノス)は、 上場企業約 4000 社の様々な企業情報を提供するウェブ サイト。売上高でランク付けされている。 (8)ヤマハのオフィシャルサイト ①出所名:ホーム-ヤマハ株式会社 ②URL:http:// jp.yamaha.com/ ③概要:楽器やそれに関するオーディオなど周辺機器の製品情報が載っている。 (9)プロが教えるピアノ選び ①出所名:ピアノメーカーの現状から考えるピアノ選び ②URL:http:// www.pianocafe-golowin.com/cont8/main.html ③概要:調律師の視点から見たピアノ選びの心得。新品と中古品、日本製と欧米製など比 較されている。 (10)総合ファイナンシャルサイト ①出所名:NSJ 日本証券新聞 ②URL:http:// www.nsjournal.jp/ ③概要:最も歴史ある金融証券の総合専門紙。 ◆添付資料2:記事の整理 (1)楽器業界の世界における日本企業の位置 ①出所名:NSJ 日本証券新聞 ②URL:http:// www.nsjournal.jp/news/news_detail.php?id=292316 ③タイトル:日本メーカーが世界的に高い競争力を発揮している数少ない製品分野。 ④概要: 事実 課題 対策 効果 楽器は日本メーカー 国外の市場を増や 発展途上国や新興国 発展途上国や新興国 が世界的に高い競争 し、新たな需要の創 への進出。 への進出が少しずつ 力を発揮している数 造。既に世界市場の ヤマハはインドネシ 進みグローバルな展 少ない製品分野であ 4割を中国が占めて アから始まり、ロシ 開に対応できる。 り、一方で国内の市 いる。 ア、インドと進出。 場は飽和している。 (2)世界1の楽器企業の現状 ①出所名:NSJ 日本証券新聞 ②URL:http:// www.nsjournal.jp/news/news_detail.php?id=296664 ③タイトル:ヤマハ不動の世界№1楽器企業の潜在力。 ④概要: 事実 課題 対策 日本を代表する楽器 ピアノは過去 4 年間 国内コストの削減や 国内コストの削減幅 企業のヤマハは世界 累計で 100 億円を超 海外生産比率の上昇 次第で、300 億円の 1の楽器企業でもあ える赤字を計上。国 により低コストでの 営業利益は十分に出 る。ピアノは過去 4 内 生 産 比 率 は 僅 か 年間累計で 100 億円 を超える赤字を計 上。現在の国内生産 比率は僅か 20%にま で低下。 20%にまで低下。 生産体制を実現。 効果 せる。新興国中心に 高成長が期待でき る。 (3) 河合楽器製作所の中国進出 ①出所名:NSJ 日本証券新聞 ②URL:http:// www.nsjournal.jp/news/news_detail.php?id=292988 ③タイトル:河合楽器製作所は 3 日ぶりに反発 「グランドピアノの最高級機種を刷新、 中国市場で需要開拓」報道を好材料視 ④概要: 事実 課題 対策 効果 グランドピアノの最 幅広い層への顧客獲 富裕層を対象とし 対象を富裕層に特化 高級機種を刷新、中 得が出来ず、市場進 て、需要を創造して し単価を上げる。 国市場で需要開拓。 出がうまくいかな いく。 い。 ◆添付資料3:3分割法による対策立案 市場調査を徹底 消費者のニーズ サービスの向上 販売員の豊富な知識・経験 製品の種類を増やす 市場の拡大 製品戦略 差別化した開発 質の向上 グローバルな人材育成 海外進出 アジア進出 各国の情勢を知る
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