ギターがうまくなりたければアンプを使おう

キ・ギターと言えます。生音では、上達するまでに時間がかかってしまいます。習得
できない演奏もあります。そんな時に便利なのが小型のギター・アンプです。最近の
モデルは小型とはいえ、地上に高性能。そのサイズからは想像できないような迫力の
あるサウンドが楽しめ、かなり小さな音でも十分に練習可能です。
ライブハウスなどで見かける大型スタック(ヘッドとキャビネットに分かれている
アンプ)とは大きさだけでなく、音を増幅する回路の仕組みが違います。大型アンプ
の多くは、音のキャラクターを作る「プリアンプ」と、音量を増幅する「パワーアン
プ」という回路に真空管が使われているのに対して、多くの小型アンプは、増幅に
「トランジスタ」という半導体素子を使います。一般的には、真空管アンプの方が優れ
ているイメージを持たれることが多いのですが、トランジスタ・アンプには「電源を
入れてすぐに使える」「故障が少なく、定期的な真空管のメンテナンスも不要」「音の
エレキ・ギターを生音で練習している人は多いと思いますが、そこには大きな落とし穴があることをご存じで
キャラクターが素直」といったメリットがあります。アンプに初めて触るようなギタ
すか。確かに、アンプを通さなくても音は出ます。しかし、アンプを通さなければわからないことは多く、ア
ー初心者でも安心して使える、というのも大きな魅力です。
ンプで練習した方が何倍も上達が速くなるのです。とはいっても、大きなギター・アンプを用意するのは設備
的にも音量的にも大変…。そこでオススメなのが、部活のパート練習はもちろん、自宅用としても使いやすい
小型のギター・アンプです。アンプで練習するとどんなメリットがあるのか、1つずつ見ていきましょう。
例えば、マーシャルの「MG2CFX」はギター・アンプの代名詞であるマーシャル・
サウンドを受け継いたシリーズ最小モデル。近年は、デジタル技術を用いてサウンド
を似せるモデリング・アンプが多い中、MG2CFXは100%アナログの、混じりっけ
▲左手でのミュート。Cのコードを押弦。親指で6弦をミュートしています
なしの完全なるマーシャル・アンプです。2Wという練習にちょうど良いサイズに、
シンプルながら多彩な音作りができるコントロールを搭載。さらに、MP3プレイヤー
などを接続できるオーディオ入力端子や無音で練習できるヘッドホン出力端子、高品
位なエフェクター機能まで備えています。ACコンセントだけでなく乾電池で使うこと
もできるなど、普段の練習にピッタリなモデルです。
アンプがあってこそ!
エレキ・ギターの演奏は完結する
生音ではミュートはうまくならない!
実際に生音での練習ではなかなか上達しない点についていくつか見ていきましょう。
バンド演奏で使われる楽器は音を出す仕組みの違い
今回は「ミュート」に焦点を当ててみたいと思います。
で、大きく2つに分類することができます。1つ目はド
ミュートを直訳すると「消音」という意味ですが、ギターを弾く上では、
ラムやアコースティック・ギターのように楽器自体が
共鳴し、単体で大きな音を出すことができる楽器です。
ピアノなどもこの仲間と言えます。そして、もう1つ
がエレキ・ギター/ベースやキーボード、マイクなど、
・音を止める
電気の力を借りて音を出す楽器です。一言で言うと、
「演奏する際にアンプを使うかどうか?」ということに
・不要な音を鳴らないようにする
なります。
「エレキ・ギターやベースはアンプを通さなくても
▲左手でのミュート。パワーコードを押弦。親指で6弦をミュート、人差し指で5弦を押弦し、4
弦をミュート、小指で3弦を押弦し、2弦と1弦をミュートしています
・音を短く切って演奏する
弾けるよ!」という声が聞こえてきそうですが、「エレ
キ・ギター/ベース」という名称からもわかる通り、
これらはアンプを使って電気的(エレクトリック)に
といった場合に使われます。
音を大きくすることを前提に作られている、というの
実際にはいろいろな場面で使われるのですが、その中でも演奏時にポイントとなるの
がポイントです。エレキ・ギターで言うと、弦の振動
が、不要な音が鳴らないようにするということ。わかりやすい例はオクターブのフレー
をピックアップ(マイク)が拾って電気信号に変換。
シールド・ケーブルを伝ってギター・アンプに届けら
▲左より、リハスタの定番大型スタック、手頃な小型のMG2CFX、手のひらサイズのMS-2。同じMarshallでもサイズはこんなに違う
ズです。例えば、5弦と3弦を同時に弾こうとすると、どうしても本来不要な4弦の音も
鳴ってしまいます。そこで、4弦に人差し指の腹を軽く当てて、音が鳴らないようにす
れ、そこで音量増幅と歪みやトーンなどの色づけがさ
るのです。そして、このようなフレーズを弾く場合には4弦だけでなく、弾いていない
れてスピーカーから出てくる、という流れで音が作ら
が大きな音を出すことはできません。また、一般的な
1、2、4、6弦を同時にミュートしておくのがポイント。これなら、多少ピッキングが
真空管アンプは安価なモデルでも、1セット20万程度
荒くても不要な音が鳴ってしまうのを防ぐことができます。この左手のミュートはコー
と高価。部員の数だけ揃えるのは現実的ではありませ
ドを演奏する時にも必須のテクニックなので、不要な弦を弾かないように気を付けるの
とはいえ、アンプで音を鳴らすには様々なハードル
ん。そんなこともあり、「アンプを使うのはバンド練習
ではなく、不要な音はミュートすることを意識するのがオススメです。
「エレキ・ギターを生音で弾く」ということは、言
を越えなくてはいけないのも事実です。例えば、音量
の時だけ。パート練習は生音で行っている」という学
い換えると、不完全な状態で練習しているということ。
の問題が挙げられます。自宅はもちろん、学校でも音
校が多いのは、仕方がないことなのかもしれません。
これでは、不都合が出てくるのは当然です。
出しができる教室は限られているので、すべての部員
れています。「ギターの音作りはアンプが基本!」と言
われることもありますが、それ以前に「アンプを通し
小型アンプの大きな魅力
て、初めてエレキ・ギターという楽器が成立する」と
言っても過言ではありません。
ただし、先述の通り、アンプを使ってこそのエレ
次に、右手のミュートです。こちらはギターのブリッジ部分に右手を軽く添えて、
弦の振動を抑えるようなイメージ。こちらは「ブリッジ・ミュート」や「パーム・ミ
▲左手でのパームミュート。低音弦を弾く際、手のひらの腹部分でブリッジ近辺を軽く押さえます
ュート」と呼ばれています。パワー・コードなどでよく使われる、歯切れが良くてズ
ンズンとした効果を出す定番テクニックですが、ブリッジに手を当てる位置によって
は弦がまったく鳴らなくなってしまったり、ミュートがちゃんとできずに中途半端に
音が出てしまう、ブリッジを抑える力が強過ぎて音程がシャープしてしまう、などの
問題が起こることもあります。ミュートの位置などはギターによって大きく異なるの
で、自分のギターでうまくミュートできる位置や力の要れ具合をしっかりと覚えてお
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ミュートは伴奏だけではなく、リードを弾く時にも必須のテクニックです。例えば、
1弦をチョーキングすると左手は2∼3弦に触れることになります。そのままチョー
ク・ダウンすると2∼3弦が鳴り続けてしまい、カッコ悪くなってしまいます。そうい
った際も右手で1弦以外をミュートすることが大切です。
生音で弾いていると、そもそもの音が小さいので、しっかりとミュートができてい
るのかを耳で判断するのは困難です。たとえ小さな音量であっても、アンプで練習す
ることで自然とミュートをするクセが付き、丁寧に演奏することができるようになる
のです。
▲部室にも、自宅にも、手頃なサイズのMG2CFXのコントロール部。背面にはオーディオ入力端子、ヘッドホン端子などが揃っています
▲超小型のMS-2にはオーバードライブやヘッドホン端子もある
▲高音弦でソロを弾く際、不要な音を消すためにブリッジ近辺を軽く押さえます
DiGiRECO.JR 7|JUN・2015
DiGiRECO.JR 7|JUN・2015
きましょう。
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