1まん①己 - 新潟大学生活協同組合

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誌
評
圭曰
1まん①己
第i3号1997年邪
薪鶏六章雀藷協同鑓合
--
「ほんのこくや」アンケート
①今回の「ほんのこぺや」全体についての感想.ご意見をおi1捲下ぎい。
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②この冊子を見て読んでみたくなった本があったら数えて下さい。
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きりとり線
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③特にどんな分野の本を紹介してほしいと思いますか。ご希望をおlllIかせ
下さい。
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学部学年男・女
氏名
了
住所
ご協力ありがとうございました。
このアンケートは、各店舗「虹の声」ポスト、または轡濡部カウンターま
でお願いいたします。
アンケートをお寄せ下さった方の中から、先藩50名の方に図譜券を差し上
げます。
〆切は1997年11月28日(金)。
o教職員から学生に推薦する本……・…・…・……………1
・学生・院生が推薦する本…・…..……・…・…………・…16
o自著を語る……………………………・……・……・……19
。特集「経済がわかる本」・………・…・…・……………・・23
.教職員の方々へ:新潟大にも出版会をノ……………26
o第12号への学生アンケートから………………………29
o「ほんのこくや」原稿・イラスト募集のお知らせ……31
。編集後記………・…・……………………………………・32
次
本号に掲載されている併評は、9月から10月にかけて生協教職員委員会が中心
となって執筆依執を行い、集約したものです。掲載は部局別.五十音順とし、敬
称は略させていただきました。
尊「I書と一般香の区分けがなされていますが、おおよそ次のような違いがあI)
士す。
「専101香」-専門分野との関係で読んだ方がよいと魁われる本
「一般香」-勉学研究を離れて学生時代にぜひ読んで欲しい本
教職員から学生に推薦する本
康史
周行恵郎勝
北山
尾藤木尾所
大原
雲佐鈴関頓
井山
信弘懸淑
阿部
斉行幸治江
青柳
内藤
俊彦
堀井登志喜
長澤
正樹
三浦淳
中村
隆志
山田弘明
野中
昌法
兵藤
守男
青柳斉/農学部:農林経済学
「内発的発展論と日本の農山村j_織纏、鰯繍9,6)2997円
経済発展の過程から取り残きれた農山村(中山1Ⅲ地)は、いまや過疎化と高
齢社会化で危機に瀕している。本香は、これまでの画一的な「上からjの緬助
金行政依存ではなく、住民主体の地域に根ざした内発的な経済発展での対応方
向を提起している。問題の深刻さに比べて、具体的なIIl例を取り上げながら茜
じており、学生にとっても平易である。
『コシヒカリ物語』_織醤、鰯瞬997)ア20円
新潟県のコシヒカリは、良食味米として市場で最も高い価格で取引されてい
る。大学生協の食堂のご飯にもコシヒカリがjIB米されている。おそらく、全国
の大学生協食堂のなかで、新大生協食堂は最もおいしいご飯を腿供しているハ
ズだ。そのコシヒカリ品種がどのような経過で''11発きれ、特に良質米産地であ
る魚沼に定着したかは、あまり世に知られていない。著者は、元新潟日報社の
記者であり平易な文体で響いている。一般学生でも1つの「物31i」として気軽
に謎める本である。
阿部信行/農学部:森林計測学
『トウバ紀行』_般脅U鑑髭ン~ヘルフエン醤
670円
トゥバとは、現在のロシア連邦トウバ共和国のことである。トウバは1921年
から23年11M、独立国であり、この本は独立国時代の紀行文である。その当時の
生活柵式も含めて、丁寧にトウバ全体について述べられている。トウバはモン
ゴルと国境を接していることもあり、現在も住民の半分は蕊古族で占められて
いる。遊牧民の悪らしぶりが実に興味深く語られている。
今夏、私は森林計測学研究室の学生5名を連れて、トウバに森林ilM壷に行っ
てきた。シベリアの大森林は、このトウバから、はるか北極圏のツンドラ付近
まで延々と続く。トウバはいわば北方林の出発点である。
1
井山弘幸/人文学部:科学史.科学論
●自己紹介●
つねに自分が最も知らない方面の本を読もうとする性癖がある。ここ1月の
Illlに読んだのは、「漬物の作り方」「マヤ文明」「ゲーデルの定理」「マザー・テ
レサ」「ジャイアント・パンダ」「熊沢蕃山」と全く一貫性に欠けている。こう
いう読書法はお薦めできない。
●MESSAGE●
本を沢山読むコツは、つまらない時は我慢しないでやめることだと思う。大
学時代に平均年IMI2百冊ほど読んだけれど、半分は途中で拠り出した覚えがあ
る。気に入った本は何度読んでもいいと思う。
『だましの快楽』_綴瞥Ⅱ蝋鴦,ライン需辮
中学生のときに読んだ「いたずらの天才」(A・スミス箸、文春文庫)とい
う本が忘れられない。アメリカン・ジョークの範畷に入るのかもしれないが、
この本に瞥かれている大概のいたずらは実践してみた。いたずらには幾分は
「輻し」の要素が含まれているが、それと同時にIHI罪意識が希薄な場合がほと
んどである。輻しも限度を超すと犯罪になってしまうからだ。上記の書物は歴
史上有名な16の鴎しの事件を扱ったもので、輻きれた方がナチスや富豪である
ため、読む者はつい鴎す側に立ってその狡猜な手口を楽しんでしまう。しかし
真似はしない方がよいだろう。4800円と少し値は張るが、シファキスの「詐欺
とペテンの大百科」(背土社)の方は、現在入手しうる碓良の輻しの入門書と
いえよう。五十音順に配列してあり、辞典風に用いる(いったいどんな人が用
いるのか、という疑問がわくが)ことができる。かなり身近な悪徳商法の類い
を総覧した「なんでだまざれるの?」(野尻義明箸、主婦の友社)となると、
話は少し深刻になってくる。迎信販売やキャッチセールスの被害例など参考に
なるが、巻末に消費音生活センターの冠活播号まで書いてあると、これは楽し
みで読む本ではなくなってしまう。じつは「世界詐欺握造辞典」という本をこ
れから翻訳しようと計画している。愉報が洩れる前に1つ2つ実践してみよう
か、などと不埒なことを考えながら、現在引き受けての出版社を探している。
プルーバックス(講談社)の収達氏の著書『詐欺の心理学」も手軽で楽しく読
めるはずだと思う。
2
『ユートピア紀行』_織藺ロ鵜瀧文庫Moo円
伊勢丹の古啓展で、長らく絶版だった、この本の単行本を見つけた。打島武
郎や武者小路実篤が現実につくりあげた農業共同体を紹介したルポルタージュ
だが、値段は1000円なのに、著者のサインが入っていた。もともとこの詩人の
作品はよく読んでいたものだから、感慨ひとしおであった。それなのに、であ
る。つい最近文庫本になって復刊きれてしまったときの悲しき。まあ、百円高
いから、と自らを慰めたI)した。私は学生時代からユートピアに関わるものな
ら、どんな本でも買いあさってきた。ユートピアはあらゆる学IMIを包容する魅
惑的な世界であるから。中国のユートピアをあつかった好著「桃源郷の機械学」
(武、雅哉箸、作品社)の楽しい挿絵を図像学的関心からluUるのもいいだろう
し、古代から現代までのユートピアを網羅した「ユートピアの系翻」(マンフ
ォード箸、新泉杜)をひもときながら、古人たちの理想社会の夢を追うのも捨
て難い快楽であろうし、ユートピアを人間の希求の本質的形態として捉えて、
思想史として深刻な顔をしながら「ユートピアと文明」(ラプージュ箸、紀伊
団屈捗店)を熟読するのも一興であろう。新潟で目にする「グリーンピア」と
か「学びぴあ」という造語は、語源を無視したひどいもので、正確には「グリ
ーントピア」「学びトピア」とでもするしかないことは、この手の本を読めば
31i君もきっと理解できることだろう。山形県米沢は牛肉に産地で「ミートピア」
だそうだが、こちらにはざほど問題はない。股後にユートピアという菰葉を初
めて造ったトマス・モアの原著は岩波文庫で読むことができる。
大原憲治/大学教育開発研究センター:ロシア語
『李朝滅亡I_麺ロ潟霊霧
629円
緯回では、「他のどの国に負けてもよいが、日本にだけは負けるな」とスポ
ーツ岨技等で言われる事がしばしばあります。韓国が日本に異常な対抗意識を
持っている訳は、ある程度ご承知と思います。この轡では、過去の日緯(北朝
鮮も含む)の歴史を、中国・ロシア・欧米列強との力関係の中でどのような経
過で日本が韓国を併合・支配するに至ったかを主として分かり易く述べていま
す。今の韓国・北朝鮮との日本外交が非常に難しい理由もはっきりと理解でき
ます。政治学の香として、弱肉強食の国際政治の現実を知るのにも役立つ邪で
しょう。
3
北山淑江/エ学部:物質化学
「アクティブ群嬬読鯉力'蝋へ」専門露Ⅱ蝋鯉;繍繍
英語が国際語となってしまっているので、英語を読み研究成果を英語で発表
しなければならない機会に度々出会うことになる。本書は、4人の化学を専門
とする若者により1英語によるコミュニケーションを向上させたい」との主旨
のもとに書かれた本で、A5版170頁の中に、読み方から書き方、話し方、ミ
ュニケーションのとり方に至るまで必要なことが的確にまとめて書いてある。
内容は、雑礎糧と応用編からなり、基礎編には輪読会などで、飛ばしてしまい
がちな形の表現や数式の読み方などがまとめて書いてある。応用縞にはレポー
トの許き方、学術諭文の書き方、学会における口頭発表、ポスター発表、手紙、
E-maiLFaxなどの書き方にいたるまで記述きれている。化学系の4年生、大
学院生の机上で活腿しそうな本である。
雲尾周/教育学部:教育行政学
「大江戸えねるぎ-事情j_麟魑U認鰯(1,,3MGG円
i大江戸テクノロジー事情』_繼濟Ⅱ撫霊(,995)62,円
「大江戸生活事情」_繼霧、認繍(,,…"円
く価格は消費税3%時の本体価格>
世界一の都市であった江戸。その江戸ではどんな暮らしが送られていたか。
簡略に言えば、大江戸礼賛記である。
「エネルギー事悩」では、いかにわずかのエネルギーで幕らしていたか、水、
着物、酒、花、捨てる、など23項目をあげて現代と比較しているが、現代の省
エネとか、エコロジーなどが、児戯に等しく感じてしまう。なにしろ「江戸時
代の場合は、人間の労力を無視すれば、あらゆることがエネルギー消費なしで
できたことになってしまう」(16頁)ほどなのだから。
「テクノロジー邪情」では、江戸の人々が、科学知識・技術を楽しみとして
発展きせていった様子が描かれている。明治維新以来、西洋近代の科学技術観
の導入、合理性の追求によって、否定され、忘れられかけている、江戸期の科
学技術に対する態度。和算、からくり、天文学、花火、朝顔、などの題材を通
じて、「部分的には不合理な点だらけだが、全体としては合理的」(329頁)な
社会の一端を知ることができよう。
「生活駆悩」の目次を拾うと、200年以上も変らぬ物価、江戸の警察官はた
った24人、大切にきれていた江戸の女たち、日々の食生活は旬のものだけ、外
食産業花ざかり、要にも維鰭の椎利はあった、仕事の腕前が社会保険、庶民に
も開かれていた最高学府、農民も研究熱心だった、緬国の中で生まれた国際性、
などである。
シリーズを通して、江戸の人々の暮らしを見ることによって、現代社会の合
理性追求姿勢に一石を投じるものである。
1994年9月に1冊目を鱒入し「こりや面白いや」と思っていたら翌年5月に
2冊目が出て「うんなかなか」と読んで、今年の初めに新UIl広告で3冊目を見
かけて説んだら「おや-、面白いけどちょっと霊行きが怪しくなってきたな、
これは最近の歴史教科11F論争で言えば…だぞ」というような感じです。今、こ
れをびくあたってみなおしてみると、やはり1冊目より2冊目のほうがやや表
現がきつくなっているように思えました。
まあ、こういう変化はありますが、気軽に読める本といえるでしょう。
佐藤康行/人文学部:社会学
『深夜特急1~6』_繼脅U鰍太鰯箸
各400円
テレビ化きれたので見た人もいるかと思います.今年の夏、旅の叩中で説ん
でおしろかつたので御紹介します。若者が若い時、香港からタイ・シンガポー
ル.インド.イラクなどシルクロードを経てロンドンまでバスで旅をしたノン
フィクションの記録です。これから青春の旅をする若者に、多くの活力(エネ
ルギー)を与えることは間違いないと思う。
『裸のアマン」_職轡ロ薊鑪L9.0円
ソマリアの1人の少女が辿った人生の口述史(ライフヒストリー)ですが、
まきし<波乱に画んだ彼女の人生は、アフリカの植民地の現実を赤裸々に物語
っています。ソマリアの現代史を等身大で理解できる貴Ⅲなものです。
5
鈴木恵/教育学部:国語学
専門轡U蟻鵜観鐇鷺。円
「平安王朝』
本書は、8世紀末に平安京を建設した垣武天皇から12世紀末に壇ノ浦にて水
中の藻屑と消えた安徳天皇までの約400年IIL総勢32人に及ぶ「王の年代記」
である。すなわち、平安時代政治史を王家(天皇家)を中心に捉えようとする
ものであるが、こうした試みは従来全く行われなかったらしい。論述は次下の
3点を基軸になきれるが、あたかもつい今し方自分自身で見てきたが如く活き
活きとして滑らかな語り口に、思わず中古の世界に引き込まれそうになる。国
語国文学ではお馴染みの「伊勢物語」や「源氏物語」などが、歴史学サイドか
ら解析されるのも新鮮である。
①平安時代の王権を榊成する3世代家族のあり方を確認し、特に平安時代前期
の「王統の迭立」と後期の「皇太子空位」という柵図として確認きれる「皇
太子」の位置に注目する。
②王と政治史との関わI)を、言わば「摂関政治の発達」と「武家政治の発達」
の物語の背景として語るのではなく、あくまでも王を主語として、「王の物
語」「年代記」として解明する。
③王権の展開した場所が平安京という都市であることに着目し、その王椛を
「都市王権」と位世づける。
『人の顔を変えたのは何か』‐織轡U關。E雛瀧謙剛、
何ケ月か前のことであるが、テレビを見るとはなしに見ていたところ、ビー
トたけしの「万物創世記」(?)とかいう番組で、日本人の顔かたちが原人の
時代から現代まで、どのような理由でどのように変化してきたか、さらには今
後如何なる形態的変化が予測きれるか、というそれなりに興味深い内容を取り
上げていた。しかし、その内容も映像も一見してそのしばらく前に読んだこと
のある本瞥とそっくりだったので、私はすぐに本替を下敷きにした(あるいは
バクった)ものであることが分かってしまった。そんなことは触れず語らずそ
のままにしておいてもよかったのであるが、ひょっとすると多くの人(学生)
がその番組を見たかも知れず、それならば本替を説むに如くはない、と紹介の
ペンを取った次第である。あの手の番組は、何か1つ興味のあることを取り上
げて、それを殊更に強調するため、かえって体系的理解の妨げになることが多
いのである。「1日本人は太古の昔どんな顔をしていた?」「2原人から現
代人まで顔はどう進化したか?」「ヒトと動物の顔はなぜこんなに違うのか?」
「4何がヒトの顔をここまで変えたのか?」「5いい顔はいかにして作られ
-6
る?」「6職業・年齢・性別は顔にどう現れる?」「7顔のコンピュータ科
学がいま始まったUの7章から成る。
関尾史郎/人文学部:中国古代史
「ポンペイ・グラフィティ
ー欝馴Itjローマ人。識-」-麟衝ロ灘i繍艤馴繊伽離鰄
歴史上ごくうツーの人々がどういう人間関係のなかで、どういうことを考え
ながら、どういう行動をしていたのか、興味深い問題だが、わからない。興味
深い問題ほどわからない。現代史ならいざしらず、古代史となると、昔おぎら
である。古代ローマ帝国のもとで繁栄をほこっていたポンペイは、紀元79年、
ヴェスヴイオ火山の噴火によって、突如火山灰に埋もれ、消滅してしまった。
考古学的調査により、火山灰の下から出現したボンベイの街角の塀は壁は、当
時の人々が描いた落普きに満ちあふれていた。ひところ、中国では壁新聞がコ
ミュニケーションの手段として公認されていたが、ポンペイでは、壁自体がコ
ミュニケーションに利用きれていたのである。だからこれは落書きと呼んでは
いけないのかもしれないが、本瞥はその落普きを解読しながら、フヅーの人々
のフツーの生活の一端を垣間見せてくれる。僕と同じように覗き見趣味が旺盛
な人には、おもしろいことを請け合います。
i鴬アジアの王権上鵡
_正熊o鋤ガ紬うりとつ鵬_」鰯in譲蕊…。0円
奈良の正倉院に納められている2点の毛暁に縫い付けられている布のわずか
な文字の解釈を出発点として、古代における朝鮮半島の新羅や東北アジアの渤
海などと日本との交流のあり方を解明してみせた瞥・わずかな文字.わずかな
史料から、大きなテーマに迫っており、思わず引き込まれてしまう著者ならで
はの迫力がある。それは史料学の見識や技術もさることながら、すぐれた歴史
認識・現代認識によっており、この著者にしてはじめてできる叙述だろう。僕
もこんな本を香いてみたい、しかし僕には書けないだろうと諦めさせる、そん
な本です。それにしても、中国を中心とした東アジアというのは、なぜこれほ
どまでに政治的な世界だったのだろうか。そして今でも政治的であり続けるの
だろうか。読後の素朴な疑問です。
7
頓所
勝/エ学部:科学システム工学
「こちら齢センター(熊こ'蝋)」_般誓U護鰄‘"円
この1冊の文庫本に、全部で43話の短編が入っています。だら思い時1mにち
ょっとずつ読める、とても読みやすい本です。
副題にもあるように、ある型破りな勤務医が日々体験している病院でのこぼ
れ話です。末期癌だの植物人間だのと結栂深刻な内容がさらりと轡いてありま
す。
この本は、医学部と医療技術短期大学部の学生に祝んでほしいと思います。
医者になりたいと思っている人、看護婦になりたいと思っている人に特に銃ん
でほしい本です。
けれど、誰が読んでも非常におもしろい本ではありますよ。「白い巨塔」に
なぞらえるなら「ビザの斜塔」かな?
内藤俊彦/法学部:日本政治史
『王妃マルゴ』
_鰭轡U馳鑑璽騏鰯
『三銃士』
_麟轡U蕊鑑璽鯛調
デュマの歴史小説を2冊取り上げる。関連する文献も取り上げるが、中には
絶版のものもあり、それはそれで、附属図杏館で探したり、古本歴巡りの楽し
みも味わえるというものである。「王妃マルゴ」は、近年映画化された。16世
紀後半、カトリプクとユグノーが血みどろの争いを展開する内乱の時代のフラ
ンスが舞台である。ヴァロア王家は王惟墓奪をもくろむ旧牧のリーダー、ロレ
ーヌ家の圧力をかわすために、新教のリーダーである、ナヴァール王にしてプ
ルポン家の長子アンリと末娘マルグリヅト(マルゴ)の鮒姻を箙する。そして
この結蟠式の当日(1572/8/23)、旧教徒は式を祝うためにパリに染まったユグ
ノー貴族を一斉に虚殺する。新郎はルーブル宮殿に幽閉きれ、旧放への改宗を
強要きれる。この小説は、サン・バルテルミーの大虐殺として知られるこの駆
件を背殿にして、アンリ幽閉中の、アンリ211tの寡婦にして摂政カトリーヌ・
ド・メデイシスの陰謀と王妃マルゴの恋とアンリの日険のいざざか、胆い物紺
である。
8
バルザック「カトリーヌ・トメディシス」(「バルザヅク全集23」東京創
元社)とメリメ「シヤルル9世年代記」(岩波文庫)は、同じ時代を扱った優
れた歴史小説である。プラントーム「好色女傑伝」(全2冊講談社文庫)は、
同時代のモラリスト(人間研究家)による、ヴアロア朝末期の宮廷人を題材に
したホモ・エロテイクスの記録である。学究的な向きには、渡辺一夫「戦国明
暗二人妃」など(「渡辺一夫著作集13.14」筑摩書房)、および金沢誠「生活
の世界歴史王楢と貴族の宴」(河出文庫)をお薦めする。
ヴァロア朝股後の国王アンリ3世は暗殺によって倒され、アンリがプルポン
朝初代の国王として即位することになる。次の小説は息子の時代を取り扱って
いる。内乱が収まり、プルポン絶対王政が出来つつある時代ということになる。
プルポン朝2代目の国王ルイ13世は、宰相リシュリューの国王を凌ぐ権勢に嫉
妬し、宰相は王妃アンヌ・ドートリヅシュに横恋慕して、事毎に反目している
(と、デュマは主張している)。
もっとも国王ルイは男色趣味があったと噂きれ、王妃とのIIBは必ずしもしっ
くりとはいかず、長い間別居生活を続けていたから、リシュリューの横恋慕な
ぞ国王には痛くも痒くもなかったかもしれない。しかし、それではお話は面白
くない。また、この別居中の奇跡的事件によって太陽王ルイ14世が誕生するの
であるが、これはまた別のお話である。
ここに敢然と王妃方についてリシュリューの鼻をあかす、頭が切れて大胆不
敵な見習い銃士ダルタニアンと銃士アトス・ポルトス・アラミスの友情と恋と
剣の冒険を、アンヌ王妃とイギリスの宰相バッキンガム公尉との秘められた恋
を軸にして語った「三銃士」は、「モンテ・クリスト伯爵」(全7巻岩波文庫)
と並ぶ、デュマの代表作である。続編は「ダルタニヤン物語」(全11巻諏談
社文庫)である。学究的な向きには、ヴォルテール「ルイ14世の世紀」(全4
巻岩波文庫)、およびA・ハックスリ「灰色の宰相」(フジ出版社)[「灰色の
現下」とすべきだ]をお薦めする。
長澤正樹/教育学部:障害児教育
『論理哲学論割一般喬U蝋臘嚇繍
高等学校の頃から哲学に興味を持ち、岩波文庫の哲学轡を読みあさっていま
した。しかしいずれの著香も、真理(もしそれが本当にあると仮定した場合で
すが)が1本の木にたとえると、それぞれの思想家がちがった角度から眺めて
それぞれ独自の思想を展開しているように思われてなりませんでした。
大学生の時にヴィトゲンシュダインに出会い、今まで読んできた思想轡の冗
9
民で晦渋な文章とは異なる短いパラグラフによる表現に髄きを党えました。
「】世界は、成立している事柄の全体である」から始まり、「7語りえぬも
のについては沈黙しなければならない」で終わる「論理哲学箇考」は、すべて
のパラグラフに数学の公式のような番号が振られています。1つ1つの短く簡
潔な表現に、「これこそが我々の世界をlitも的確に表現したものに違いない」
と思ったものでしたが、果してどこまで理解できていたものか。
その後障害児の言語指導を専門に学ぶことになりましたが、彼のもう1つの
若衡「哲学探究」の「言語ゲーム」という考え方が後にオースチンの躯用鎗に
つながり、ぎらには機能的な言語指導法にまで発展していることを知り、改め
て彼の偉大さに感心したものです。
中村隆志/人文学部:情報システム論
U熱團欝麿2500円
『龍の起源』
全くの空想の生き物であり、その扱われ方も異なりながら、世界各地で語り
つがれ、造形きれ続ける随。西洋、東洋、そして日本における古代からの象徴
性に目を向け、世界観、宇宙観をも展望する。
U灘;騨藺寵榊旧
『酒宴のかたち』
一言でいうと、日本のコンパの形態茜。醜志倭人伝の記戟から始まり、各時
代の様々な状況(花見から城場の陣中まで)での酒宴のしきたりや形態につい
て詳述。日本人の「羽目の外し方」茜として貴重な本。
野中昌法/農学部:応用生物化学
iエネルギーとエントロピーの繍学
石油Ⅷからの鵬」-織薔Ⅱ霧繼雰L6..円
この本の目的は生態系の一部である人1Ⅲと自然生態系との共生の粍済川錆を
作ることにあり、経済学と自然科学の巡携を目指している。エントロピーの法
則に従いM1放定常系として「生きている」地球の槌田理箇に従い、現代祉会の
抱える多くの矛盾、つまり環境問題(エネルギーIllIHu、原子力苑iuirlIllllu、賓
源のリサイクル問題)、農林水産業問題(減反IMI題、有機農業II111u、胤馳の工
-10-
業化、森林の開発問題)等、を分析し、今後人間が目指す生き方を示している。
この本では人間の経済活動の主目的が生存することにあり、これが低エントロ
ピーで可能であるとしている。農業問題で考えると、減反政筑は農業から人々
を失業きせるだけでなく、人々のゆとりある生活の場だった農村地域を破壊し
てきた。何千年と稲を作り続けても土塊の劣化を生じない水田(人類の歴史の
中でも特筆すべき発明)を回復可能にする。これは植物一動物一土壌(微生
物)-植物と循環するエントロピーの流れを断ち切ることになり、高エントロ
ピーの流出を大きくし、人間の生存を危うくする。
兵藤守男/法学部:西洋政治史
『朝日新聞血風鋼一鱗毎N露文:馨蛎。円
ソ連が崩壊して社会主義の人気が落ちたようだが、言えば不思議な話だと思
う。やはり資本主義が充分に発達しないと革命は成功しない、さあこれから…
とは、ならないらしい。結局、思想やイデオロギーも現物の説得力が重要で、
だからこそ現実が隠蔽きれ、「蝿や失業者のいない社会主義、万歳」という時
期もあった。権力が梢報操作を行う例は、A・ジョベール「歴史写真のレトリ
ック」(朝日新聞杜ノ)にある。清廉潔白な支配ほど支配きれる側にとって息
苦しいものはなく、制度は程良い抜け道があって初めて機能するとわかってい
ても、抜け道が不正である限り、過剰な正義追求は絶えない。この種の生真面
目がマスコミに巣くうことがある。マスコミが自らの正義主張に無自覚で、自
己欺踊が相当に進行している場合は哀しい。元朝日新聞社記者の著者による暴
露に自浄作用を見い出せるかどうか、判断は難しいが、業界人としての誇りと
マスコミのリーダーたる同社への愛悩も文章表現に感じられるから、マスコミ
就職を希望する学生は、保守・進歩を問わず、一読されるといいかと思う。読
後に、マスコミの「イデオロギー偏向」に失望されるなら、他山の石とはなら
『栄光なき天才たち1~4』_般薔U騨霊画欝冨
高が、マンガである。が、久しぶりに読んでまた想いに耽り、溜息の合間に
涙も出た。何故涙が出るのか○これが週刊誌に連載きれていた頃、銭議したこ
とがあった。でも、涙の理由などどうでもいい気がする。liW報入手の半分以上
は視覚を通して得られるから画は想像力を養わない、だから文字を読む方がい
い、マンガなどネクタイをしめた大のオトナが読むものではない、そんな批判
をする人も「カムイ伝」なんかは誉め讃えるから、要は質である。このマンガ
-11-
の題材は突譜だが、文と画が程良<相栞して、迫力をjMしている。採りあげら
れているのは、古僑臓之進、S・ペイジ、人見綱枝、D・トランポ、S・サンチ
ェス、樋口一蕊、吉岡隆徳、鈴木商店、東大野球部、潔付栄治、川島雄三、島
田滴次郎、アペベと円谷、マンチェスター・ユナイテッド、鈴木梅太郎、北里
柴三郎、山際勝三郎、野口英世、理化学研究所。このうち何人をご存じだろう
か。それぞれにそれぞれのドラマがあった。主人公の共通点をあえて探せばひ
たむきであり、社会評価との相性の悪さだろう。銃後にやるせなさをどこにぶ
つけたらいいのかわからなくなるが、彼らを忘れないことが「追悼」となろう。
堀井登志喜/教育学部:社会科教育
『ひとはなぜ編されるのかj_般穆U繍瀧Ⅲ5..円
「朝三騨四」という故事をちょっとひねれば、股初からあまり高度な要求を
出すと、くじけてしまうから、やきしい本から徐々に本格的なものへと進ませ
るのがよい、という意味にも使えるか。その伝で行けば、最初は赤川ミステリ
ーあたりの文順本で釣っておくのも手だ、とも言える。私の知人には、学生へ
の推蘭図啓に、最初は岩波ブックレット350円あたりからはじめて新書、ペー
パーバックL500円台、ついでハードカバー2~3000円級という漸進主義をと
っているのがいるが、これも1つの見識ではあろう。
さて、本啓だが、まず値段の点で中級どころ、中身の点は初心者にもベテラ
ンにもおもしろくてタメニナルニと請け合い。著者は国際平和学が専門の立命
館大教授。卑''1とはあまり関係なしに、たとえば肚近の若い人は、オカルト的
なものに緒|綱iiいというが、これに対し「そんなバカなことを」と頭ごなしに
叱るのはだめ、心を落ち弱かせる手立てを榊じてから科学的合理の世界を説く
のがよい、という。「平気でウソをつく人たち」など「ウソ本」がやはる時世
だが、だまされ予防薬の一服として、おすすめする。
『言語表現法講義』_麟曾H鰯繍キストブ,,12,蝋,I
大学生の回IHI表現力低下に対処するため「回iMi」という時間を設けている大
学のことをIMIいたのは随分前のことになる。轡店には作文や論文、レポートの
密き方の本がずらりと並んでいるが、この、一風変わったタイトルの本愁は当
代一の翻り口所有者と自他ともに任じている(らしい)著者の、ある私立大学
での鱗雑録である。逐一実例の批評と添削を示して、極めて実践的に文章修行
-12-
きせてもらえるのだが、なにせ思い切り主観的、感覚的なところへ居直って、
「文句あつか」という態度だから、覚悟して読めば、腹も立たず効果もあがる
というもの。たとえば若者が「この授業をなぜ受識希望するか」という作文課
題を出す。普通はその探題の通り「タイトル」で11Fき始めるだろうが、著者に
言わせれば、そういうのは教師との関係を運動としてとらえていない、おまけ
にタイトルの存在理由も分かっていない、ということになる。じゃ、どういう
タイトルか。著者のおすすめはたとえば「気分で・・・ね」というものである。
ほらほら、そこで怒っちゃいけないっていうの。そんなことでアタマに来てた
らこんな本、股後まで醜めっこないんだよ。
三浦
9-
》旱/人文学部:ドイツ語・表象文イヒ論
『コリアン世界の旅j-織醤U鶴社鼈薔
1800円
在日朝鮮・韓国人を中心として、アメリカやヴェトナムのコリアンについて
も言及した興味深いルポルタージュ。
著者の姿勢はあとがきの次の文章から鮮明になる。「日本のマスメディアは
韓国朝鮮系の住民に対して、大きく分けると2通りの見方しかしてこなかった
ように思われた。1つは、何だか通告しくて厄介な緒だから取り上げない方が
無難だろうという、馴突上のタブー視である。もう1つは、「強iIIII連行」や
「国籍条項」や「指紋押捺」といった川譜がこときら強調される、「在日問題」
としての11Ⅱ題視である。私は、どちらの見方にも違和感を覚えた。(…)いず
れの場合もすっぽり抜け落ちているのは、(…)大多数の韓国朝鮮系の人たち
の日常の姿なのである。」
著者は歌手のにしきのあきらなど在日コリアンを取材しながら、日本の文化
に気づかれないところで少なからず影瀞を及ぼしている彼らの日常を丁寧に迫
っている。にしきのあきらは、在日鰍囚人同士の結餅式に招かれて、スピーチ
で次のように言って大喝采をはくしたそうである。「だってみなきん、大晦日
の「紅白歌合戦」は、われわれがいなかったら成I)立たないんですよ。」
その一方でこの本は、ヴェトナム戦争時に沢山の陣国人が兵士として派遣巷
れ、ヴェトナム女性とのIlUに子供をもうけながら冊回して別に家庭を作ったこ
となど、地に日本と朝鮮韓国との関係に限定せず世界的な視点からコリアンを
とらえ、きちんと負の側面にも触れている。
日本に現在住んでいる朝鮮韓国系の(l:民は、大部分が戦前から住んでいるか
鱗後になって密航でやってきた人とその子孫であり、戦時中に強制巡行きれて
日本に来たコリアン(近ごろ実在したかどうかがilI111uになっている「従軍慰安
-13-
蝿の強lhl連行」とは別物です。念のため)はほとんど日本政府のi11画送還で帰
国しているという記述など、無知な私にはまきに「目からウロコ」であった。
事実をきちんと掲示する姿勢と、バランスのとれた視点とが光る1冊である。
「予備校はなぜおもしろい!_麟脅U齪鰄,-脚噸…閲
著者は、某有名予備校で小論文を担当する人気魏師。また大学でフランス語
を教える非常勤諏師でもある。本貯は、予備校という場所の内実を体験に基づ
いて紹介したもの。小論文を教えているだけあって文章が要を{\ていて読みや
すく、一気呵成に読了できる。
予備校というと、ひと苛前はいわゆる全共闘世代が教師になっていて、エス
タプリッシュメントとしての大学の学問に妙な対抗意識を抱き、予備校にこそ
其の知があると唱えたりしていた。私など幸か不幸か予備校体験はないものの、
雑誌等でそういう言説に出会うとよく言うよと思ったものだが、この著者はそ
んな同肘はった姿勢がなく叙述にすんなり入っていける。
予備校の面白さや優れているところを宣伝すると同時に、その欠点や限界に
触れることも忘れない。予備校と大学双方で教えている著者ならではであろう。
例えば、予備校では常時生徒にアンケートを実施し、人気講師には高給(年収
が値に逸する人もいるとか)を出す一方で不人気魏師はクビにするという厳し
い実力主我の営業をしているが、生徒のアンケートは必ずしもアテにならない
として、「特に、成細の悪い生徒は、科目の教え方の善し悪しや学識よりも、
表面的な面白さを並視してしまう。しっかり地味に救える認師より、はったり
をかませて、いかにも英繍のあI)そうなことを言う撫師の方が評判がいい」と
いう箇所など、私もうなずきながら読んだ。
そして、予備校と大学は別物だとして、予備校のような「面白い」授業を大
学に求める学生を批判し、予備校で枚わる知は学1111のほんの入り口に過ぎない
と指摘する箇所や、現在問題になっている大学教貝の任期制が予備校をモデル
にしたものであり、(「大学が予備校化し、日本文化全体が予備校化している」
と著肴は言う)、学1111の場たる大学と1種のエンターテインメント企業である
予備校の通いをわきまえないものだとするところは、学生ばかりでなく、一部
の浮ついた教師にも参響になりそうだ。
-14-
山田弘明/エ学部:機能材料エ学
にセクター舷0鯰
-8樅o瀧的龍ヒィo轍o方向-,-麟薔U鰯蕊Ⅲ2..円
日本で9年llII、米国で4年間物理学の教育を受けた理潰物理学者である著者
が、その首尾一貫した独自な視点から、日本の社会の問題点を教育.経済.政
治に分けてわかりやすく説明している。
とI)わけ、社会におるアカデミズムのIIll題が強鯛きれており、そんな概念す
ら持たない日本人には大いに刺激になると思われる。
『ベンローズの量子脳理論]_鰹脅U鷆総x、縮、電繍
著者ペンローズは2次元平面を211瓢の図形で非周期的にうめ尽くす5回対
称性をもつペンローズタイリングを、発見したことで有名である。また、宇宙
茜でもホーキングとならびよく知られている。
さて、脳の理麓というと、なにか怪しいもの?宗教的なもの?と思う人
もいるかもしれないが、ペンローズは数学者または数理物理学者であり、彼の
目指すところは、「意識」に関する自然法則を数学的言語で記述することであ
る。それには、趾子力学が完成きれ、、子亟力の理諭が必要であると主弧して
いる。ペンローズの主張が正しいかどうかは様々な疑IMIがあり、これから数百
年かけて検証されるべきことなどもたくざんあるが、彼の天才的アイデアから
得ることも多い。
内容は、ゲーテルの不完全性定理やfji子力学の観測問題をはじめ、相対飴、
脳神経学、生理学、哲学嫌の領域も話題をふくむ。
知的好奇心の旺盛な人は銃んでみてはどうか。
-15-
学生・院生が推薦する本
児玉義輝菅原真
児玉義輝/人文学部:4年
「中沢酷平和マンガ作品集」(全20巻)
0競覺蕊
「はだしのゲン」と聞けば、今の大学生なら誰もが知っているであろう。そ
う、広島の原爆の悲惨さを赤裸々に描き、平和の働きを訴えているあの名作で
ある。樫も小学生の頃、図谷館の隅で震えながら銃んだ記憧がある。この作品
無には、「はだしのゲン」をはじめ原爆をテーマにした数多くの反戦マンガが
収録されている。そのどれもが確かなストーリーをもち、説c者の心に深く訴
えかけてくるのだ。子供の頃読んだことのある人にも、まだ一度読んだことの
ない人にも絶対お薦めの作品である。この作品災は中央図書館の3階に全巻揃
って収蔵されている。
Ⅱ耀翻鑑)各56.円
「洗礼』(全4巻)
楳図かずお氏の恐怖マンガの中でも特に凄まじいのがこの作品である。己の
縫醜に対して災常なまでの執着をもつ母親と、そんな母親を恨む娘の気持ちと
が錯綜して生み出された妄想は、娘の体を借I)て美しきを取り戻そうとする陰
惨な母親の計略による「脳の入れ替え手術」であった。その結果生まれた、大
人の梢神をもつ子供……これ程恐ろしいものはない。それにしてもページを開
いてすぐ目に艇ぴ込んでくる言葉が非常に印象的である。「母親とは娘にとっ
て何か?娘とは母親にとって何か?そして……母親は娘に何を与えた
か?」これは男の私にとっては永遠に答えの出せないテーマであろう。そして
組名の「洗礼」とは一体何を物語るものなのであろうか。
菅原
真/大学院生:法学(窓法学)
「時代を読む「民族」「人権」再考」_殻鐵U1W露-魎口鴎-藩
1,800円
本瞥は、「知の巨人」・加藤周一と潅法学の重狐・樋口陽一による対談典で
ある。日本を代表するこの二人の知識人が「民族」「人椎」をキーワードに、
日本社会について論じ合っている。本啓の榊成は、「自由と平等/自由か平等」
(第1章)、「戦後50年の変容」(第2章)、「ネイション・ステート(国民国家)」
(第3章)、「日本人のアイデンティティ」(第4章)からなり、末尾に日本国憲
法とその英訳竿が掲載されている。
-17-
紹介巷が特に1:|】象にlijLった点は、西欧で生まれた人権と民主主義思想を継受
した日本国憲法が、「1K侭のための武力」という西欧の伝統を乗I)越えようと
する理念を掲げておI)、それを日本人のアイデンティティであるとしている点
である。「人椛は西洋が生み出したものであるから、我々の文化が必ずしも受
け入れる必要がない」という識鎧に付し、加藤は、人権こそ「現在、地球上で
最も奴要な価仙」であると断じている。また、核時代においては「ネイショ
ン・ステートの主権のlljII限」が求められ、これこそが其の「近代の超克」であ
り、悲法第9条の交戦|inの放棄がそれを体現しているとしている。
紹介者は、なお若干の疑IMIがあるが、ここでは多くを触れられない。しかし、
一度も実際に体現しなかった第9条が、「世界平和jを名目にして無残に弊I)
捨てられようとしている現在(過去においては「東洋の平和」だった)、それ
が日本人のアイデンティティを捨て去ることになると気づいている人はどのく
らいいるのであろうか?
「ソ連はどういう社会だったのか」_麟轡U鰭本瀧社L`0.円
この10年IIljで一番印染に残る世界史的111件は何かと問われたら、紹介者は、
ソ連・東欧のlil壊と答えるだろう。社会主義崩壊・資本主義勝利、「歴史の終
わ')」が唱えられた。木曾はほかならぬ日本のコミュニストによるソ連社会論
である。結論から言えば、日本共産党は80年代の「社会主捉生成期鎗」を否定
し、「ソ連は社会主義社会でもそれの過度期の社会でもなかった」という定式
化を行っている。
エンゲルスによれば、社会主鍵社会の基本は①労働者階級の権力の確立、②
生産手段の社会化、③それにもとづく計画経済であるが、結局、著者はこのい
ずれもソ連はクリアしていないというのである。詳しいことは読んでいただく
として、「社会化」と「国有化」の相違、政治的経済的民主主義の強調、計画
経済と市場経済の結合など、ソ巡崩壊の牧訓として日本のコミュニストが何を
学び取ったかが理解され得る。
スターリン体制の誤I)は本当に乖舌に尽くしがたいものがあるが、同時に、
腐敗した資本主義日本にも警笛がロリらされ得よう。渡辺治細築の「瞬座現代日
本(全4巻)」(大月番店)は、マルクス主義の立場から論じた本格的茜集であ
り、碗みごたえがあった。
-18-
自著を語る
教育学部・国語学
大橋勝男
1.ご専門と担当調義について話して下さい。
(〃専門
国語学、別名日本鵠学。すなわち、日本語についての研究が専門です。その
国語学、別名日本鵠学。すなわち、日本語I
中でも、現代のことば、その中でも、地方のことばの研究が専門です。その学
問を、方言学と言います。
日本語は、公的言語としての全国共通語、日常生活語としての方言が併立し、
場面や相手に応じて使い分けられています。両者は、共にかけがえのない日本
語です。その方言を研究しているわけです。
学部卒業鎗文は、私の郷里である栃木県宇都宮市の、ある典落の言調の体系
的な記述研究。修士麓文は、対象地域を広げ、関東北東部(すなわち、栃木・
茨城県域)方言の音声生活についての研究。博士諭文は、さらに関東全域とそ
の近接周辺の言語についての方言地理学的な研究。
現在は、全国の方言を対象に、各県の方言の記述的な研究を進めています。
ねらいは、日本海沿岸方言の比較研究、太平洋沿岸方言の比較研究、さらには、
日本海沿岸方言と太平洋沿岸方言との比較研究です。学界の研究の一般傾向は、
全国方言を東西に見分ける研究が盛んでした。それに対して、このように別な
見方をしてみようというのです。日本列陶における言語の伝播・交流の動きか
らしても、このような見方がⅢ要です。
一方、新潟県の方言についてのいっそう深い研究にも勉めています。特に、
新潟県にしか現存しない、中世の発音現象については、研究に力を入れており
ます。
ざらに、新潟県は、東西方言の接している所でして、その入り組み合いやⅢ
なり合い、それに基づく干渉的現象等が批雑になっている地域です。加えて、
信州方面の言語、関東方面の言語とも接しており、一用複雑になっています。
いわば、言語の実験場のような地域です。そのような点に注目した研究にも力
を入れております。
また、新潟県は、康雪県であり、農業県であり、海の県であり、山の県です。
そのそれぞれに印した、越後・佐波の人々の暮らしがあります。それに印して
暮らしのことばが網の目のように発達しています。その悪らしとことばに着目
した研究にも力を入れています。
(2ノ繩義
大きく、博士課程・修士課程・学部の認雑を行っています。
-19-
Ni士課程は、現杜研の学生に対するもので、「EiilHの伝播と統合」というタ
イトルでの減習です。主に拙著nlll東地方域方言耶象分布地図」全3巻を使っ
て、蘭語の地域性、言31iの伝播の理法や、司語変化の理法、薗譜の創出の理法、
言語の諸現象と人の心理・感情との関係等について追求きせています。
修士課程は、教育学研究科回鍋牧育専修の学生に対するもので、「現代語演
習」というタイトルでのものです。先に【IIした、新潟県にしか残っていない中
世の発音現象についての、実地調壷とその聴覚的・視覚的・機械分析的な研究
です。その現象とは、「オ段長Tfの間合」と言われる現象です。中世には、オ
段長恋に広口のものと狭口のものと2狐額のものがあり、それが誰によって決
まっていました。その各々の音の具体的青声実相とはいかなるものなのか。そ
れを発音する時の口形や口の聞き具合はいかなるものなのか、どの;liを開に、
どの語を合に、どの語を区別無く発音しているか。どんな地域のどんな人が、
どのようにその現象を示すのか。等のことを各年度にわたって追究させてきて
います。新潟大学を会賜に行われた全国の国語学会の折には、このことについ
て識減しました。
学部は、牧存学部の学生に対するもので、「国311学概論」「音声言語」「文法
及び文章表現」「現代iMi液習」「小学校国語」というようなタイトルの授業を行
っています。このうち、「現代諭両習」では、年来「新潟県言語地図」の作製
とその方言珈象分布についての解読を行わせています。来審出版いたします。
2.御著番について紹介していただけませんか。
単著と共著に分かれ、専門勘と一般譜に分かれます。
ここには単藩のものを紹介させていただきます。
(〃卑門癖
次の2箸。
①「関東地方域方孟事象分布地図」全3巻(桜楓社1974.76.76)
②「関東地方域の方言についての方厨地理学的研究」全4巻
(同1989.90.91.92)
①は、関東地方全域及びその隣接県などに、31276地点を求め、私が、昭和
40年代前半に、各地点Iリ}治30年代生まれ土地生え抜きの女性1名に臨地面接し
て、音声・文法・語筑に関する鋼査を行い、それを言語地図にしたもの。「第
1巻音声篇序説・268葉司研地図」「第2巻表現法篇159葉にi語地図」、
「第3巻調鍵篇161紫言語地図」となっています。
これによって、日本の共通調の基になった、東京(江戸)方言および、その
盤になっている1MJ来方可の実態が、各図によって一覧できるようになりました。
島の言語伊豆ali島の首鵠状況もよく分かるようにな')ました。
研究法的には、これまでのEiiMi地図が、語彙本位であったのに、拙著では宵
声や文法にも及んだ点に特色があり、学1111としての進歩があったと言えましょ
-20-
う。
この第1巻がでた時、それと私のこれまでの一連の方百研究に対して、第3
回金田一京助記念賞(金田一賞)が贈られました。(実質的には、第2回が該
当者なしでしたので、私が2回目に当たります。)
②は、①の各図を縦横に分析し考察追究した研究糧であり、博士学位箇文で
す。「第1巻序説・音声馴象分布錨篇480頁」、「第2巻表現法事象分布論
篇517頁」、「第3巻語典事象分布菱篇612頁」、「第4巻分派地賛茜・統
括一般論篇513頁」となっています。
内容は、次のようなものです。各図の方言事象分布についての解読・分析・
考察、各図相互の比較とにより、関東地方域における言調の助きを解明。さら
に、言語の生成・変化・伝播・統合の事態と諸理法、自然・地理・仕会・歴史、
人の生活・交流・心理等とそれら言語諸現象との関わり、方言分派(方言的性
格に111Iする地域的まとまり)と各分派方言の特性、分派111]の系統脈絡IMI係、分
派の成立史、今後の展開等について解明したものです。
これによって、関東地方域の方言の現在・過去と今後とが明らかになると共
に、言語現象に側する諸原理・諸特性が明らかとなりました。具体的な日本語
の実態に克明に即して明らかにきれたこれらの成果は、liiにIMI束地方の特殊な
ことばの世界のことと言うようなものではなく、広く日本語一般、ひいては言
語一般に通じる性格を有しているものだと司えます。
言調地理学は、西洋に起こり成長した学問です。日本には、ili極的には戦後
に取り入れられてきました。拙著は、その学問・方法の可能性と限界性とを可
能の限I)追究した轡でもあります。これだけ徹底して、体系的に言語地理学を
股後まで実肌し遂げた例は、おそらく現在に於いてもないのではないかと思い
ます。
⑫ノー股普
次の2箸。
①「越正・佐渡のことばは麺きて生きているお国ことば」正
(野島出版1987270頁)
「同」統(何1988270頁)
②「越佐方言講座1あいさつことばの世界」(野崎出版1996188頁)
①は、NHKラジオ第一で、昭和60~62年、毎週土Bi1日「生きているお国こ
とば」という題で話したものを再綱し、正・続2綱にして発刊したもの。
内容は、新潟県下の諸方甘について、季節・風土・地理・生活・心理等々の
視点から諸じたもの。および、新潟県方言と他県方言との関係について鎧じた
もの。同が凝らずに、懐かしく、方言の世界に遊ぶことができます。また、ふ
るきと再発見の楽しみに浸ることができます。
②は、今後シリーズとしてだしていく、その姉1巻。「新潟日報」朝刊に、
-21-
昭和55年10月5日~57年5月301J、毎jullJHlf日連戦したもの。それに加え、何
新聞に、新潟県のことばについて上・中・下に分けて書いたもの、伺紙に新潟
県で行われた全[Zl地名学会のシンポジウム内容について書いたものを再編した
もの。
新潟県下のあいさつことばの豊かな繁茂ぶりと、それに託す、新潟の人々の
藤らしの`し、とが如実に伺い知られます。
今テレビでやっているキリンビールのコマーシャルは、この本にヒントを得、
それに基づいて作られました。また、9月30日(火)「新渦日報50万部達成55
周年記念広告特染」は、全面的にこの本のエキスによって編まれました。
3.それに類するような、先生の御著街に関わる面白い話はありませんか。
宮尾登美子の「蔵」(毎日新聞社)
これの会話部分は、私が宮厄ざんに翻訳を頼まれて、析潟県中iNi原郡亀田郷
の旦那様の家のことばにしたものです。この小説は大変人気を博しましたが、
飽田弁という生の日常生活語故の魅力も大いに関係しているのではないかと密
かに思っています。隠れ半著者による不思縦な著酢ができあがりました。
4.今後どんな本をだす予定ですか。
きしあたり、今確定しているものに、次のようなものがあります。
(1)「新潟県言語地図および各図解釈」(共著)
(2)「新潟県方言辞典」(同)
(3)「新潟県の方言についての記述的研究」全6巻
(4)「越佐方言講座2越佐方言歳時記」
いずれも高志書院という新潟県の出版社からです。
そのうち、(1)は“文部省科学研究費Ni助金研究成果公lWI促進費”の交付に基
づくものです。
いずれ、先に申しました、目下進めている研究の成果を、
「日本海沿岸方言の研究音声篇」
『太平洋沿岸方言の研究奇声篇」
としてだす予定です。
あUがとうございました。
-22-
〈特集〉
「経済がわかる本」
「経済がわかる本を紹介してほしい」という声をよくきく。事実
そういった要望があるので、今回の特集が企画されたのである。こ
うした要望の背景には、現代社会において経済の重要性が問まって
いるということと、経済の変化が著しく、いったい今後経済はどう
なっていくのだろうか、理解したいという要求がある。
ちまたには、うさぎにもわかるとか、さるにもわかるというタイ
トルの経済の解説本があふれているが、内容は具体的な事例をいく
つか選び出してそれを解説しているのであるが、なぜそうなるのか
基本原理から説明していないので、わかったような気にさせるだけ
の内容が多い。「わかる」というのは、やはり基本的な榊造や原理
がわからないと、わかると言えないのではないだろうか。なぜなら、
ある特定の例だけを解説したものは、ほかの事例ではわからなくな
ることが多いが、基本的な原理がわかっているならば、さまざまな
現象にあてはめて、考えることができるからである。
そうだとするならば、避礎から学んでいくしかないのかというと、
それは正攻法であるのだが、111登りに例えるなら、つらい思いをす
るのはいやだが、山からの眺めだけは楽しみたいという人もいる。
そういう人たちのために、ロープーウェイが用意されているように、
ここでもそういったことを期待しているひともいるだろう。
いかなる専門家からしても、それは邪道だというだろうが、まず
全体像をてっとりばやく知ってから、細かいところをll1ii番に理解す
るようにすることが効率がいいことも確かではある。今回の僻集の
企画の意図もここにある。
菅原陽心(経済学部:経済学原理)
「増補市咀経済一歴史・思想・現在-」
山ロ亜克縞/名古屋大学出版会/2,500円
この本、どこかで見たことのある人は多いのではないかな。というのは、本
番は、私が担当する経済学部の経済理箇Aという科目、あるいは、牧養の経済
の科目で教科杏に指定してきたので、生協脊籍部にはおなじみの本の一冊だか
らです。教科轡を薦めるなんて、とお思いの人もいるかもしれませんが(しか
も、そのうちの一章は小生が担当しているものですし)、紋科替とは、いま出
版きれている本のうちで股良のものをと者えて指定したものですから、結果的
に、この本をあげざろを13ないということをあらかじめ断っておきます。
この本は教養課程の経済学の教科餅ということを念頭に置いて、13人の研究
者が分担執錐したものです。ただし、股新の研究成果を反映させたいというこ
ともありまして、内容的にはかなI)高度のものが盛り込まれ、結果として、な
かなか頭に入ってこないような章もあるかと思います。そういう意味で、改善
の余地も多いのですが、出版社の都合から改善の希望はきしあたり叶いません。
申し訳ありません。
きて、内容の紹介に移りましょう。
本番は通常の教科密のスタイルを意鐡的に破りました。これまでのいわゆる
経済学概薗という本は、まず、経済学の理論を解説し、次いで、資本主義の歴
史を取I)上げ、最後に、多少現代のIlIlHuに通じるものを取り上げるというのが、
典型的なスタイルであるといってよいでしょう。しかし、この本では、理證を
独立して解税している部分がないということ、また、現代の問題をかなI)大き
く取り上げるということが、柱になっているのです。
本書の柵成は、サブタイトルに、歴史、思想、現代とうたっているとお})、
3篇榊成になっております。股初の歴史という綱では、古い歴史を持つ市場を
その原初的なものから、近代的な資本主義の確立、誉らに、資本主澁が変容し、
現代のような姿になるまでを対象として取り上げています。しかし、もちろん
ここでは歴史そのものが解説きれているのではなく、市場が歴史の様々な段階
の中でどのような位囮を占めていたのかを解説し、その中で、市賜そして市場
経済をどう捉えるべきかという理詮的な問題が解説きれておI)ます゜
ちょっと脱線して、市場と市場経済をどう区別するのかということについて
触れておきましょう。というのは、いま、市場ないし市場経済という言葉は広
く用いられるようになりましたが、そのIAl容はかなりiH乱したものとなってい
ると思われるからです。紙面の都合から、詳しい解説はできませんが、考える
ポイントは、単に市場という場合は必ずしも社会的な生産編成という1111題を考
える必要がないということです。歴史的に古くから存在している市場をみると
すぐわかるように、そうした市場と社会的な生産編成との関係はごく部分的な
-23-
6のにとどまっているのです。ところが、近代資本主義の成立ということにな
ると、この市場というINI係が中心となって社会的生産網成が実現きれることに
なるのです.ですから、市場というIMI係そのものと、市場という関係を通じて
社会的生産を編成するという問題とはきちんと区別して考えなければなりませ
んし、どのような条件の下にそうしたことが可能になるかという点も非常に重
大な問Ruだと思われるのです。しかし、経済の卯門家の中にもこうした問題を
理解していない人が大勢見受けられるのが現状です。みなきんも、専門家の意
見だからということで無批判的に受け取らない方がよいですよ。
さて、本鎗に戻りましょう。ですから、この本の1篇では、市場の発展、変
容の歴史を概観しながら、市場経済を理諭的に把握するポイントが明らかにな
るように工夫されているわけです。
2篇は、通常、経済学史という分野で取り上げられるような内容が解説きれ
ております。しかし、ここでも、、常のそうした本とは解醜する視点が異なり
ます。この本では、T1i場の発展という事態に対応し、市場に対して人々がどの
ような考え方を持ったのかということを示すという観点で、各時代の代表的な
思想家が取り上げられているのです。簡単にいえば、市糊が発達してくると、
人々は市場に肯定的ないしは否定的な考え方を持つことになります。これは、
いまでも繰り返し現れます。たとえば、いまの日本の現状をこんなに豊かにな
ったことを評価しなければならないと主躯する人もいますし、物質的な寓偶並
の歪んだ社会になったと主張する人もいるでしょう。これも、じつはそうした
対立のヴァリエーションということができるのです。市場の発展に応じて、こ
うした鍛瞳は、素朴なものからはじまり洗練された理證へと発展したと考える
ことができます。そのような人頌の理読的営葛をなるべく最近時までおって、
自分のlII1Ilnとしてどのように考えるべきかという材料を示そうという内容にな
っております。少し難しい章もありますが、きっと勉強になると思いますよ。
3篇は、現代の特徴的な問題を取り上げ、それらと市場との関係を考えよう
というものです。取り上げられているのは、企業、労働、Ⅲ報、国家、世界経
済、環境、金融、農業というものです。股後の、金融と農業とは今年の1W補版
から追加きれました。それぞれが、現代いわば熊点となっている問迦だといえ
るでしょう。また、たんに、経済理茜(いわゆる経済学原理)からだけ、明ら
かになる11H題でもありません。もちろん、この本は市場との閲巡という視野か
らそれらを分析するわけですが、市場の限界や、非市場的な様々なIIlIHZがどう
関連してくるのかということもかなI)立ち入って識證碁オしております。章によ
って、1M]IHIの取り上げ方の深浅にややばらつきがあるという頤がしないでもあ
りませんが、このような問題意識を正面に据え、これらの問題を取I)上げるこ
とによって、みなざんの目には経済学という学問が通常イメージきれるような
平板なものとは異なったものに映るのではないかと思います。つまり、いま世
界的に主流と見なきれている経滴学というのは、すべてを市場に任せればうま
-24-
<いくという、新古典派的なものといってよいでしょう。そこでは非市場的な
関係というのはいわば111]題処理をゆがめる夷雑物にすぎないということになる
わけです。しかし、市場110係が社会的な生産を網成する現実の歴史を見ると、
非市場的な関係を前提にし、それを利用して社会細成を達成するということも
あったわけですし、現代の最大の特徴は、市場原理的な関係だけでは社会的綱
成はうまくいかなくなってきている点にあると思われるのです。このことの具
体的な内容は是非この本を手にして考えてみてくだきい゜
なお、この本の初版が出た94年には、毎日新llIlの密ilFllWで取り上げられまし
た(評者は日高普)。蛇足ながら付け加えておきます。
-25-
◆教職員の方々のためのページ
6JU●
新潟大にも出版会を
出題令股立の動き、一段と活発化!
今年になって東北大学と関西学院大学に111版会が設立されました。
本年6月15日付け朝日新聞のila事「単11K旗IH」から;llllしましょう。
「4月に活動を始めた東北大学出版会は、大学出版部協会の準会側として、
23番目のメンバーになった。側西学院大学111版会も4月に発足し、理1m長の荻
野昌弘助牧授は「今年中に5,6点刊行したい』という。(・・・)
大学出版部協会の111下正幹リリ12(東京大学出版会)によると、ほかにも地方
の国立大学などで出版部設立に'111心を寄せる大学がいくつかある。(…)
東北大と関西学院大の出版会はともに、肝心の出版満助を支える財政基盤の
薄ざという問題に直面している。(…)
かつて大学出版部協会の幹馴を務めた淀絵成男・神奈川大教授(出版誼)は、
(…)「米国では、大学出版部が政府などからの助成で学術出版の多くを支えて
いるのに、日本では11ケ政基盤がjliいから梯々な本を出さざるを得ない。それが
民間の出版社との通いをあいまいにし、大学出版部のアイデンティティーを希
薄にしてきた。」
しかし一方で、学術出版が民1111ではますます難しくなってきているのも事実
だ。「大学出版部の役制がそれだけ燗してきたわけです。(…)しつか')した大
学には出版部が必要という認識が定着しつつあるのではないか」と、箕輪教授
は期待を寄せる。(…)
「象牙の塔」と批判されて久しい大学が本当に変われるのかどうか、大学出
版会の消跿は、その指標の一つと言えそうだ。」
なお、!〔北大の出版会の運営ブj法は、謙細は不明ですが、大学の11業を多方
面から支援する財IJI法ル東北大学後援会からの財政的支援を受けて投立きれ
たようですので、恐らく大阪大'被出版会とF1じような方式ではないかと思われ
ます。
この運動に賛同している教職員(部局別、五十音順)97年9月末日現在
新潟大学
人文:井山弘幸、荻芙沸夫、架原賎、斎藤陽一.、佐藤信行、鈴木孝廟、
鈴木佳秀、高橋秀樹、中西啓子、古厩忠夫、三iIli沖.、村上吉男、
山内志朗
法:石崎誠也、西沢光代、高憐i[平、成[Ⅱ圭市、成岻陸
-26-
経滴:姥原良一、小山洋司、佐伯尚美、菅原澗太、箭原階心、鈴木利久.、
谷iii孝雄、水井雅人、氷山廠男、西沢蝉講、藤井隆至
教Tir:荒木一郎、伊賀光屋、五十嵐尤二、五十嵐由利子、石坂妙子、伊藤克
美、井上慶隆、大僑勝男、岡田努、岡田猛一、岡野勉、荻野敏夫、
鎌田正轡、木戸利秋、小谷スミ子、小林昭三。.、佐竹昭臣、柴田透、
白井健裕、鋤柄佐千子、鈴木郁夫、鈴木賢治、鈴木忠.、鈴木保高、
消田文武、高橋正夫、高野道夫、高山次弼、竹田健二、田中栄一、谷
口砿、田村裕、土田四郎、常木正則、富阪幸治、薗田健之、中村
和吉、西岡IIll紀、福原哨夫、福原昌恵、長谷川敬三、藤林紀枝、藤本
正行、古谷正、堀竜一、三塚貴、森田髄義、八鍬友広、米山朝二
理:(化学)市村撤、岡田廼紀、小俣三郎、工藤久昭、災谷川和子、松
田義明
(生物)大西耕二、小谷昌司、小林道頼、杉本髄吉、白岩善llli、
贋川豊康、古僑勝久、前野貢、森和博、渡辺塊一
(地学)赤井純治、上田哲郎、周藤賢治、田鰯純一、長谷川美行、松
岡鱒、宮下純夫
(自然環境)相川RIL夫、池田泰拾、石沢進、石田昭男、卯田強o、
樫田昭次、i衙泉満、関谷國男、iiK口哲、湯川嫡彦
工:(機械)愛田一雄、今井純一、大矢誠、小沼1W代、川崎一正、小松
フサ子、坂上俊雄、白井随司、高崎操、高野剛、田村武夫、弦巻
明、鴫海敬倫、宮脇雅博、柳沢牧、横山和宏、横山誠
(iu気電子)板垣厚一、伊藤告、岩野春男、大河正志、荻野弘次、
小椋一夫、貝瀧弘幸、加腫景三、金子双男、川上貴弘、菊地久和、喜
多村博、佐々木修己、佐々木重信、佐藤孝雄、佐麓孝、菅原見、
鈴木孝昌。、関根征士、田村忠、布川武司、野口誠一、廠野幹彦、
帆苅イネ、星勝弘、丸山武男、南一男、渡辺弘道
(愉報)阿進透、石井郁夫、石渡宏基、小柳秀樹、加賀利広、金井
靖、木竜微、小林良和、芹沢久光、仙石正和、高街俊彦、田島慎一、
富塚締雄、中郁興、林豊彦、福嶋康夫、牧野秀夫、宮崎正弘、宮
村勘、元木達也、山口芳雄、山崎一生、山田寛喜、渡辺新二
(化学)青木俊樹、安東政稚、磯貝浩司、稲垣箕、今泉洋、上松
和義.、大川蝿、太田雅尋、小田美奈子、加藤皓一、北山淑江、木
村勇雄、斎藤夏風、坂井淳一、坂井俊彦、佐蘓峰夫、消水忠明、滝沢
一資、田口洋治、1m中真人、坪川紀夫、極所勝、堀田恵眼、皆川
斉、安田守宏、山際和明
(建設)阿部和久、阿部憲一、石橋邦彦、泉宮尊司、大川秀雄、大熊
孝、加藤大介、川瀬消孝、神立秀明.、佐伯竜彦、鈴木哲、土井希
祐、多田克彦、富岡裁子、十和田期、保坂吉則
-27-
(機能材料)合田正職、佐藤高IlH、本llU興二、矢野教
農:(農業生産)青柳斎.、荒木藍、安藤嘉友、池田武、伊藤忠雄、
伊東睦泰、伊藤喜雄、伊膿亮一、祝前博明、岡島殻、加涌良明、楠
原征治、小島識、llufi善博、菅沼圭輔、新美芳二、新村末雄、樋浦
善敬、鵬田秀懸、古市尚高、馬上武彦
(応用生化)五十嵐太郎、内山武夫、大山卓爾、門脇基二、金野隆光、
城斗志夫、鈴木敬士、田中啓途、野中目法、早川利郎、星野力、屋
代塊
(生産環境)阿部信行、大塚雍雄、小林正吾、稲烏政雄、竹内公男、
豊田勝、中野和弘、中野俊郎、春原亘、三沢真一、早川斑一、山
本一滴、吉田昭治
医:安保微、岩永ひろみ、牛木辰夫、追手巍、金澤寛明、河内裕、
清水不二雄、関川弘雄、田辺UfL仁、出羽厚二、内藤塊、林干治、
平野茂樹、松村博雄、森岡哲夫、山本格
大学院自然科学研究科:志村俊昭
図書航:佐藤浩昭
(**は会長、*は世話人)
散和学図大学:浅野幸Illl、安藤司文、市川康子、伊藤豊治、岩愈依子、上野恵
美子、大海宏、小野哲、片桐邦郎、金山愛子、金子哲夫、神田よ
り子、菅野法、北垣殿子、北嶋藤郷、久島公夫、桑原ヒサ子、斉藤
祐介、佐藤渉、塩屋保、柴沼晶子、鈴木由美子、高木香苗、田原
閏郎、西沢昭夫、西村秀雄、延原時行、野村啓治、馬場歩、孫野義
夫、益谷其、松崎洋子、山田垪太、和田悦子、童平、
」amcsBmwn、SanfbTdColdsにin、CJoyWiⅡiam、ManineTsumoIo
出版会iM上立運助についてのおIM1い合わせは、各部局の世諸人までお願いいたし
ます。
(文漬:三浦)
-211-
「ほんのこくや」第12号(97年春発行)
学生アンケートから
(1)「ほんのこぺや」第12号全体についての感想.ご意見をお書き下さい。
●特集「フランス」がいいですね。シリーズということなので、アイルランド
の特典をして下さい。
。なぜ経済学部の先生が香いていないのですか?(複数回答)
●読みたい本が見つかってよかった。
●表紙がラプリー▽になった。
・高校にはこの手の冊子がなかったので、これをもとに興味のわいた本を読み
たい。
。もう少し紹介者のノロケの入った紹介文の方が説c気をそそられると思う。
●様々な分野の人が紹介しているので、自分だけで選ぶより幅が広がる。(複
数回答)
・どの本も魅力的。
(2)この冊子を見て読んでみたくなった本があったら教えて下さい。(数字は
回答者数。数字のないものは一人)
。「三国志減義」4
●「マルタの鷹」
●「空飛び猫」2
。「帰ってきた空飛び猫」
●「私の紅衛兵時代」
。「日本人の身体観の歴史」
。「「永遠の少年」の娘たち」
●「学校の挑戦」
●「安野光雅の異端霧IMI」
●「夜と霧」
。「哲学、女、唄、そして……」
。「スリーブ・ウオッチャー」
●「消えた「最後の授業」」
-29-
(3)特にどんな分野の本を紹介してほしいと思いますか。ご希望をお聞かせ下
さい。
・オス・メス、性の存在理由
・Ifl報化社会の起こすホラー
・雁史文学
●SFの痂快物
・歴史110係
●ノンフィクション
●lMI題提起をしている本
●東洋と西洋のそれぞれの思想のあり方や、これからの展望などを分かI)やす
く薪いた本
・平和ボケした塒施学生に気合いが入るもの
・而白くてたまらない物iMi
・人生に希製が持てる本
。国際祉会を分かI)やすく書いた本
回答内択:学部別
学年別
列女別
人文1,法2,経済3,理3
1年6.2年2,3fIZ1
男5、女4
*今回はアンケート回答が少なくて残念。図瞥券がh11枚も余ってしまいました。
どんどんアンケートに答えて図轡券をもらおうノアンケート用紙は巻頭に
あります。
-30-
「ほんのこくや」原稿・イラスト募集
来奔発行予定の「ほんのこくや」14号の原稿を募集します。
学生・院生の皆ぎんからもひろく原稿を募梨いたします。
感動した本、考えさせられた本、ワクワクした本、役に立った本など分野は
IIllいません。「この本はおもしろいノ」という推蘭文をどんどんご応募<だき
い◎
また、イラストも募集いたします。活字ばかI)(?)の「ほんのこくや」に
あなたのイラストでオアシスを。
薮築要項
【記入率項】
・本の識名、著者、出版社、定価
・あなたの学部、学年、名前、住所、賦賭番号
・掲戟時に匿名希望の場合はペンネーム
●原稿の体裁は問いません。1冊あたり200字~500字程度でまとめてくだき
い。
なお、掲戟時に編集部で多少手直しする場合があります。
●イラストはカラー不可。
【原稿締切】
●1998年1月30日(金)
【原稿受付窓口】
・生協書籍部カウンターまたは生協nF籍部の「虹の声ボックス」
【採用の選考】
●1998年2月中旬、生協教職貝委員会「ほんのこくや」糧築委貝会にて選考
●採用者名(あるいはペンネーム)は生協瞥苅部掲示板にて発表(2月16日
予定)
・採用者には図書券をお送りいたします。
・応藤いただいた原稿・イラストは返却いたしません。
-31-
編集後記
◇今回は「知的虚栄心のすすめ」を説きましょう。
◇これを読んでいるあなた、大学生になってからどのくらいの知識が身
につきましたか。
◇虚栄心というのは、呰通.悪い意味に使われます。しかし人1111虚栄
心が必要なときもあるのです。
◇街を歩くときと、自室に一人でいるときが同じ人はいないでしょう。
前の場合の方が服装や動作に気を使うのは自明のこと。そしてどちら
が本当の自分かなどと問う必要もない。人lllIにはどちらの時間も必要
なのです。
◇それと同様に、知識の服装は必要な時には絶対に必要です。そしてシ
ャツやスカートがダダでは手に入らないように、知織という服装も黙
っていては手に入りません。
◇髪や服装を整えるときには多少の虚栄心が役立つように、知識の服装
を整えるには知的虚栄心がなくてはなりません。
◇見栄でもいい、本を読んでごらん。見栄だから98パーセントはすぐに
脳ミソから消失するだろうけど、2パーセントは残るのです。
◇ということは、本を50冊読めば100パーセントになるという計算(ごっ
た煮ですけどね)。
◇知的虚栄心すら持てない人は、単なるマネキンに成り下がってしまう
でしょう。いや、マネキンになるほど美貌に自信がある人なら、まだ
いいんですけど。でないと単なるバカですからね。(M)
ほんのこくや第13号
発行日:1997年11月1日
幅災者:新潟大学生活協同組合
教戦貝委口会
発行者:新潟大学生活協同組合
〒950-21新掲市五十嵐2の町8050
冠話O25-262-6093
ED別:株式会社北都
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