成長曲線の推定 資源生物学実験 松石 隆 成長曲線とは何か z 標本になった魚の年齢と体長(体重)の関係 を示す関数 z 標本魚が個体群の無作為標本になってい る場合は個体群の平均的な成長を示す。 z 標本魚が個体群の無作為標本になってい ない場合,要注意 資源診断と成長曲線 (成長乱獲解析) z 漁獲が無い場合 Wt Nt Bt 0 1 2 3 t 4 5 のある年級群の 資源量 z 体重は増加 z 個体数は減少 z 資源量はドーム 型 z 最大資源量の時 に漁獲するのが 効率的 資源量と資源個体数 z z VPAは年齢別資源個 体数Naを推定するが、 資源重量B(バイオマ ス)が知りたいことが 多い。 年齢別平均体重waが わかれば、変換可能 amax N = ∑ Na a =0 amax B = ∑ wa N a a =0 体長・体重データの入手 z 直接測定‥正確だがその時の体長・体重し か入手できない z バックカリキュレーション‥耳石等によって 過去の体長を推定する方法 z 銘柄別組成‥大・中・小など,市場での銘 柄分けを利用。多少不正確だがデータ数が 多い 年齢データの入手 z 耳石・鱗による年齢査定‥正確だが非常に 手間と金と時間がかかる。種によっては査 定できないものも z 体長組成分解‥体長組成さえあれば可能。 不正確な場合も 成長曲線の種類 z よく使われる物は z von Bertalanffy z Gompertz z Logistic z Richards von Bertalanffy (体長) Lt = L∞ (1 − e − K ( t −t 0 ) ) 300 250 Lt 200 150 100 50 0 0 1 2 3 t 4 5 von Bertalanffy (体重) wt = w∞ (1 − e − K ( t −t0 ) 3 ) 30 25 Wt 20 15 10 5 0 0 1 2 3 t 4 5 Gompertz Lt = L∞ e − Ce − Kt 300 250 Lt 200 150 100 50 0 0 1 2 3 t 4 5 Logistic L∞ Lt = −b (t −c ) (1 + e ) 300 250 Lt 200 150 100 50 0 0 1 2 3 t 4 5 Richards(1959) { 1− m ∞ Lt = L 1− m ∞ − (L 1− m 0 −L )e z 3種類の成長式を表すことができる z m=0→von Bertalanffy z m=1→Gompertz z m=2→Logistic } 1 − K (1− m ) t 1− m 回帰分析 線型モデル z 回帰分析とは 2つの変数X,Yについて z n組のデータが与えられているとき z 新たにXが与えられたときのYを予測する z z Y:応答変数,従属変数 z X:説明変数 z 一つのYに対して,複数のXが与えられることもあ る 回帰分析の手順 z データが与えられる z データに当てはめるモデルの形を決める z モデルのパラメータを決定する z 推定されたモデルを用いて予測する 線形回帰 linear regression z XとYの関係が線形なもの z 単回帰 y = β 0 + β1 x z 重回帰 y = β 0 + β1 x1 + β 2 x2 + β 3 x3 非線形モデル z ベルタランフィの成長曲線 ( Lt = L∞ 1 − exp − K (t − t 0 ) z アロメトリー式 w = al ⇒ ln w = ln a + b ln l b ) 7.2 単回帰(直線回帰) z 父親の身長と息子の身長の関係 番号 父親の身長 子の身長 1 165 173 2 165 161 3 161 163 4 160 165 5 165 172 番号 父親の身長 子の身長 6 163 173 7 162 165 8 176 175 9 168 174 10 164 168 176 174 子の身長(cm) 172 170 168 166 164 162 160 155 160 165 170 父親の身長(cm) 175 180 178 y = 0.7025x + 53.051 2 R = 0.3885 176 174 子の身長(cm) 172 170 168 166 164 162 160 155 160 165 170 父親の身長(cm) 175 180 用語 z 回帰直線 y = β 0 + β1 x z 切片,定数項 β0 z 回帰係数,偏回帰係数 β1 最小二乗法による回帰係数の推定 z 最も当てはまりの良い直線のパラメータは どうやって求めるか 当てはまりの指数を決める 2. それを最小にするパラメータを探す 1. 残差平方和:当てはまりの指標 178 y = 0.7025x + 53.051 2 R = 0.3885 176 矢印の長さの 合計を以て, 当てはまりの 指標とする 174 子の身長(cm) 172 170 168 166 164 162 160 155 160 165 170 父親の身長(cm) 175 180 残差平方和 Yˆi = β 0 + β1 X i n ( SS = ∑ Yi − Yˆi i =1 ) 2 当てはまりのよい直線のパラメータ z SSを最小にするβ0,β1を求めればよい ∂SS = −2∑ (Yi − β 0 − β1 X i ) = 0 ∂β 0 i =1 n ∂SS = −2∑ (Yi − β 0 − β1 X i )X i = 0 ∂β1 i =1 n 回帰係数の推定 ∑ (X n βˆ1 = i =1 i − X )(Yi − Y ) ∑ (X n i =1 βˆ0 = Y − βˆ1 X −X) 2 i 注意 z Y方向の誤差のみを最小にしていること。 z XからYを推定するときと,YからXを推定す るときとで結果が異なる z 直線の周りに正規分布していることを仮定 している 非線形計画法 z 目的値が最小になるパラメータを求める方 法 z お椀にパチンコ玉を入れ,止まった場所を 求める z エクセルのソルバーで計算可能 z 式変形などが不要 z 計算に時間がかかる z 場合によっては間違った答えが出る 解法のイメージ Global optima/Local optima ワークシートでの作業 仮定 z 雌雄で成長・成熟に差がないと仮定 z サンプルは,資源からランダムに抽出され たものと仮定 データのダウンロード ソルバーのインストール オプション→アドイン→設定 ソルバーによるパラメータ推定 z 理論曲線の計算 z 残差平方和の計算 ソルバーのパラメータ設定 残差の最小化をする 実行 その他の成長曲線の推定 式を入れ替えればよい ソルバーによるパラメータ推定 z z z z z z z z ベルタランフィの体長成長曲線 ベルタランフィの体重成長曲線 Gompertz Logistic 成熟曲線 体長-体重関係 余力があればRichards 終わった人は z z グラフ書いてみる マニュアルの作成を進めてください。
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