3.2 アナログ信号のディジタル化

平成 19 年度前期 ディジタル信号処理 資料
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アナログ信号のディジタル化
3.2
アナログ信号をディジタル化 (A/D 変換) するには,標本化,量子化,符号化を順に行う。
標本化(サンプリング; sampling)
3.2.1
標本化
時間的に連続な波形を,時間的に離散的な時点での値(標本値,サンプル値)の系列に変
換すること。
15000
10000
5000
0
-5000
-10000
-15000
-20000
time
標本化周期 (サンプリング周期,標本化間隔) 隣りあう標本(サンプル)間の時間間隔 Ts [s]
標本化周波数(サンプリング周波数)単位時間 (1 [s]) あたりの標本(サンプル)数 Fs [Hz]
Fs = 1/Ts
アナログ信号に含まれる正弦波成分の最高周波数を W [Hz] とすれば,標本化定理より,標本化
周波数を Fs ≥ 2W として標本化する必要がある。
標本化後の信号をサンプル値信号と呼ぶことがある。ディジタル信号処理の理論では,サンプル
値信号を議論の対象とすることが多い。
3.2.2
量子化
量子化 (quantization)
標本値を有限個の値の中の一つで表現すること。
3
2
1
0
-1
-2
-3
-4
time
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量子化ステップ(量子化幅)標本値を離散化するときの「刻み幅」∆ (単位は元のアナログ信号
値のものと同じ)
量子化ビット数(語長)標本値を離散化した後の「値の個数」を [bit] で表現したもの。
量子化誤差 (量子化雑音; quantization noise)
量子化後の標本値 xˆn と元の標本値 xn との差
信号 en = xˆn − xn
一般に,信号と雑音のパワーの比を信号対雑音比 (signal-to-noise ratio; SNR) または S/N
比 と呼ぶ。この値が大きいほど信号中の雑音が少ないことを意味する。
符号化
標本化・量子化後の値の系列を具体的に表現すること。通常は 2 進符号化8 が行われる。
図の信号を 2 進符号化すると
110000010011111100111000000000000000111101111
となる。
上記の標本化・量子化・符号化をあわせて PCM (pulse code modulation) と呼ぶことがある。
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進数を使った符号化。負数を含む場合は 2 の補数表現を使うのが一般的。