一般社団法人日本動力協会 平成 27 年度事業報告 1.普及啓発事業 (1)機関誌発行事業 ・機関誌「エネルギーと動力」を 2 回発行(春季号、秋季号)し、当協会会員、国会図書館等に 配布するとともに、当協会ホームページに掲載した。 ・企画審議のための編集委員会を 2 回(6 月 11 日、12 月 9 日)開催した。 (2)シンポジウム事業 ・一部の原子力ユニットが再稼働されたが、いまだに先行きが不透明な中で、我が国のエネルギ ー政策の進むべき方向を見極める一助とすべく、海外の専門家も招き、国際シンポジウムを開 催した。 日 時: 平成 27 年 9 月 17 日 13 時 30 分~17 時 30 分 場 所: 経団連会館 テ ー マ: 「世界および日本におけるエネルギー選択と原子力の役割」 パネリスト: 世界原子力協会(WNA)専務理事 Ms. Agneta Rising 日立 GE ニュークリア・エナジー株式会社 取締役社長 武原 秀俊 氏 東京大学生産技術研究所 特任教授 金子 祥三 氏 地球環境産業技術研究機構 理事・研究所長 山地 憲治 氏 2.WEC 事業 (1)WEC 年間事業活動への参画 ① イスタンブール大会説明会の開催 ・2016 年 10 月 9 日から 13 日まで、 トルコのイスタンブールにおいて、”Embracing new frontiers” (「新たな地平線を目指して~エネルギーの未来と革新~」)をテーマに開催される第 23 回大 会に、日本からの多くの参加者を募るため、2 月 26 日に経団連会館において、イスタンブー ル大会組織委員会から Mercan 委員長を始めとする 3 氏を迎え、説明会を開催した。 ② 執行理事会(WEC Executive Assembly)への参加 ・10 月 28 日、エチオピアのアジスアベバで開催され、協会から3名、他3名が出席した。 ・主要議題は、常設委員会報告や決算・予算の承認、副会長・委員会委員長の選任等であった。 ・新たに企業等の直接のメンバー加入を認めるダイレクト・メンバーシップが設けられ、シン ガポール・パワー、ウッドサイド・エナジー他4メンバーの加入が報告された。 ・2017 年の執行理事会開催地として、ポルトガル(リスボン)とイラン(テヘラン)が立候補 し、投票の結果、ポルトガルのリスボンが開催地となった。 <特記事項> 執行理事会に先立ち 10 月 27 日に開催された、地域全体会議(世界の各地域の活動状況が報告 される場)において、アジア地域を代表して会長の桝本が、アジア地域諸国を対象とした「エ ネルギーに関する諸問題に関するアンケート」の集約結果を報告した。その中で、近年、米国 の政策への関心が特に高まっていることを報告するととともに、オバマ政権が石炭火力への国 際融資に対する制裁を強化していることへの反発がその背景にあると指摘。アジア諸国の多く 1 一般社団法人日本動力協会 は依然貧しく、増加するエネルギー需要を受けて、石炭火力発電が必要であることを強調。 アメリカの政策は、結果的に、中国が主導する AIIB からの融資に対する彼らの依存度を強め ることになるとも発言。 ③WEC アジア地域会議Ⅰ、WELS およびアジア・クリーン・エネルギー・フォーラムへの参加 ・フィリピンのマニラで、6 月 16 日に WEC アジア地域会議、6 月 16 日、17 日にアジア開発銀 行と WEC との共催によるアジア・クリーン・エネルギー・フォーラム、さらに 6 月 18 日に WEC の世界エネルギー・リーダーズ・サミット(WELS)が開催され、協会から 2 名、他 6 名が参 加した。 ・アジア地域会議の主な議題は、アジア地域におけるスタディについてであり、日本が中心に なって進めているスタディ「大都市における供給信頼度の確保策」についての中間報告とイ ンドから地域連系をテーマとする新たなスタディの提案があった。また、日本から再エネ大 量導入による影響についての報告を実施した。 ・第 10 回目の開催となるアジア・クリーン・エネルギー・フォーラムにおける主な内容は、 グローバルグリーン成長研究所事務局長の基調講演や、エネルギートリレンマに関する大臣 ラウンドテーブル、ならびに DSM、エネルギー効率化、再エネ導入促進等に関するセッション であった。 ・WELS は、電気自動車と将来の交通手段、アジア LNG 市場の新変革および強靭なエネルギー 経済をテーマに、パネルディスカッションが行われ、日本からのスピーカーも登壇した。 ④WEC アジア地域会議Ⅱへの参加 ・10 月 27 日にエチオピアのアジスアベバで執行理事会に併せて開催され、協会から 3 名、他 3 名が出席した。 ・主な議題は、日本が中心になって進めているスタディ「大都市における供給信頼度の確保策」 についての最終報告や、地域連系に関するアンケートの提案等であり、いずれも承認された。 ・ニュージーランド国内委員会から、3 月 16 日、17 日にウェリントンにて、開催予定のアジア 太平洋エネルギー・リーダーズ・サミットへの参加が要請され、またこの機会を利用してア ジア地域会議を開催したい旨の提案がなされ、承認された。 ⑤WEC アジア地域会議Ⅲおよびアジア太平洋エネルギー・リーダーズ・サミットへの参加 ・ニュージーランドのウェリントンで、3 月 15 日にアジア地域会議、3 月 16 日、17 日にアジ ア太平洋エネルギー・リーダーズ・サミットが開催され、協会から 2 名、他 2 名が参加した。 ・アジア地域会議の主な議題は、日本からの新たなスタディ「アジア地域における GHG 削減策 の好事例」の提案、ニュージーランドが実施したシナリオ・スタディの報告、および WEC の エネルギー資源に関するレポート「非在来型ガス、全地球規模の現象」の内容紹介等であっ た。 ・ 「強靭なエネルギー・インフラの構築」をメインテーマとするアジア太平洋エネルギー・リー ダーズ・サミットの主な議題は、強靭性を中心に、気候変動対応や今後の輸送のあり方等に も及び、日本からもスピーカーが登壇した。 (2)WEC 委員会への参加 ①スタディ委員会(Studies Committee) 2 一般社団法人日本動力協会 ・6 月 16 日にフィリピンのマニラで開催された委員会に、委員である当協会の野田事務局長 他 1 名が出席した。 ・10 月 27 日にエチオピアのアジスアベバで開催された委員会に、当協会の野田事務局長他 2 名が出席した。 ・主要議題は、両会ともに、3 大調査研究であるエネルギーシナリオ、エネルギー資源、エ ネルギートリレンマに、レジリエンスを加えたスタディ委員会に属するスタディグループ とナレッジ・ネットワークの活動報告等であった。 ②プログラム委員会(Programme Committee) ・6 月 16 日にフィリピンのマニラで開催された委員会に、協会から 2 名が出席した。 ・10 月 27 日にエチオピアのアジスアベバで開催された委員会に、委員である関西電力の武 智国際部長および協会から 3 名が出席した。 ・議題は、両会ともに、FEL、WEC アカデミー、GEI や PGP 等、プログラム委員会に属するス タディグループやナレッジ・ネットワークの活動報告等であった。 ③ファイナンス委員会(Finance Committee) ・6 月 16 日にフィリピンのマニラで開催された委員会に、委員である東京ガスの村木顧問 が参加した。 ④日本が参画しているワークプログラム 日本からは、以下の委員会等に委員として参画した。 <スタディグループ> ○世界のエネルギー トリレンマ(World Energy Trilemma) ・5 月にメキシコでのクリーン・エネルギー閣僚会議で 2014 年報告が発表され、6 月に出版 された。10 月には、 「2015 エネルギー・トリレンマ・インデックス」が発表・出版された。 ・日本から、当協会の村田参与が委員に就任している。 ○世界のエネルギーシナリオ(World Energy Scenarios) ・地域ごとに発表されたシナリオをとりまとめ、グローバル・シナリオ 2060 を作成中。 ・日本から、ガスター 品質保証本部長の田中 崇氏およびコージェネレーション・エネル ギー高度利用センター 普及促進部長の福島 亮氏が委員に就任している。 ○世界のエネルギー資源 (World Energy Resources) ・2015 年は、3 年毎に実施される調査の実施年にあたっており、それと並行して、資源ごと に主著者を定めたナレッジ・ネットワークにより、各資源データのまとめを作成してお り、シナリオ等の他の WEC 委員会とも協同を図りながら活動を進めている。 ・日本からは、当協会の野田事務局長が委員に就任している。 ○エネルギーインフラの強靭化に向けた投資(Financing Resilient Energy Infrastructure) ・①エネルギー/水/食糧、②異常気象、③サイバーアタックの 3 つのリスクについて、そ の頻度・影響を推定するとともに、これらへの対応方策および投資促進策について取り まとめを実施中。今年度は、①と②のとりまとめが完了。 ・日本から、日本政策投資銀行 英国法人の加藤 隆宏氏が委員に就任している。 <ナレッジ・ネットワーク> ○エネルギー効率向上政策/技術(Energy Efficiency Policies) 3 一般社団法人日本動力協会 ・11 月 30 日からパリで開催された COP21 において 86 か国をカバーする中間報告を発表。 ・日本から、アジア太平洋エネルギー研究センター 研究部長の入江 一友氏が゙委員に就任 している。 ○再生可能エネルギーの系統連系(Renewable Energy Sources Systems Integration) ・GEI の傘下にあり、再生可能エネルギーを系統連系する場合の影響度合いを検証・評価し、 その悪影響を最小化する施策を検討するために新たに設立された。 ・日本から、日本エネルギー経済研究所 化石エネルギー・電力ユニット研究員の永富 悠氏が委員に 就任している。 ○E-モビリティ(E-Mobility) ・2014 年 12 月のキックオフ会議で、レポートの範囲と内容を決定し、各メンバーが、担当 領域でレポートを作成。委員である本田技術研究所 四輪 R&D センター 主任研究員の酒井 伊知郎氏からは、6 レポートを提出し、全体を取りまとめたレポートが 3 月に完成した。 (3)その他 WEC 関係活動 ① WEC 国際エネルギー・シンポジウムへの参加 ・9 月 18 日に、WEC 韓国国内委員会の主催によりソウルで開催された「ユーラシア・エネル ギー・ネットワーク確立に向けた協力関係の形成」と題するシンポジウムに、当協会の桝 本会長が参加し、中国、ロシア、欧州からの参加者と議論を交わした。日本からは、エネ ルギー経済研究所の小山 賢常務理事が登壇した。 ②東京ワークショップおよびテクニカル・ツアーの開催 ・8 月 27 日・28 日に、WEC アジア地域のスタディである「大都市への電力供給信頼度維持」 に関するワークショップを東京電力本店で開催し、引き続き東京電力中央給電指令所と城 南変電所を見学するテクニカルツアーを開催し、アジア各国から約 30 名が出席した。 ・当該スタディの最終報告は、アジスアベバでのアジア地域会議で承認された。 ③海外への情報発信 ・WEC 定期刊行物に以下の記事を投稿し、日本のエネルギー事情を世界に発信した <World Energy Focus>平成 26 年 7 月に創刊した月刊の公開誌 6 月号: 「国際競争力強化に向けて、電力会社がアライアンス(JERA の創設) 」 9 月号: 「原子力は日本にとって必須(川内原子力の再稼働) 」 <World Energy Inside>各国 WEC 国内委員会向けの月刊紙 9 月号: 「大都市への供給信頼度維持」東京ワークショップ 10 月号: 「世界および日本におけるエネルギー選択と原子力の役割」公開シンポジウム 3. 会員サービス事業 (1)電力各社別供給計画説明会の開催 ・東日本大震災以降実施を見送っていた本説明会を、6 月 4 日に航空会館において、電力各 社(電力 10 社、電源開発)の供給計画担当部課長を講師にお招きし、開催した。 (2)会員講演会およびパワートークの開催 4 一般社団法人日本動力協会 <会員講演会> ① 開催日:6 月 23 日 講師:(公社)国土緑化推進機構 理事長 佐々木 毅氏 演題:「第 3 次安倍政権と日本の政治」 <パワートーク> ① 第 16 回 開催日:5 月 20 日 講師:元アジア太平洋エネルギーフォーラム 代表幹事 末次 克彦氏 演題:「国際エネルギー情勢の地政学的概観」 ② 第 17 回 開催日:12 月 24 日 講師:東京大学公共政策大学院 教授 有馬 純氏 演題:「COP21 の成果と今後の課題」 ③ 第 18 回 開催日:2 月 26 日 講師:東京大学公共政策大学院 客員教授 本部 和彦氏 三井物産戦略研究所 シニア研究フェロー 本郷 尚氏 東京大学公共政策大学院 教授 有馬 純氏 演題:「気候変動問題のこれからと日本の産業界 ‐ 技術を通じて世界に貢献を」 (3)定期刊行物の発行、配布 ・当協会および WEC の活動状況についての情報を提供するため、 「ニュースレター」を 6 回(隔月)発行し、当協会会員への配布およびホームページへの掲載を実施した。 4.その他 (1)会議の開催 ・総会 1 回(6 月 23 日) ・理事会 3 回(5 月 20 日、6 月 23 日、3 月 14 日) ・運営評議員会 1 回(3 月 14 日) (2)各種委員会の開催 ・技術委員会(委員長:松橋 隆治 東京大学大学院教授)を 3 回(7 月 31 日、12 月 16 日、 3 月 3 日)開催した。 (3)移行法人としての内閣府への書類提出 ・公益目的支出計画実施報告書等の提出を 6 月 23 日に行い、本年 2 月 9 日付で審査完了 通知を受領。 以 5 上
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