抗 HIV 薬の院外処方箋受け入れに向けた保険薬局の取り組み 髙木千裕 1) 1) 日新薬局 アイン薬局 第一日赤病院前店の主応需機関である京都第一赤十字病院が抗 HIV 薬の院外処方を開始することになった。そこで、抗 HIV 処方応需経験の無かった当薬 局では、HIV/AIDS という疾患に対するスタッフ全員の理解を深めるとともに、患者の プライバシーが守られ、患者が安心して来局できることを目的とした応需体制の整備 を実施した。 主な内容を以下に示す。 1. 既に院外処方が活発に行われている近隣府県の病院薬剤部や保険薬局へ相談 に伺った。 2. 京都第一赤十字病院主催の合同勉強会に参加した。その結果、病院との連携や プライバシー保護への対策、在庫管理、患者に求められる服薬指導のあり方な どに関する多くの課題を抽出でき、その対策を実施した。 3. 局内勉強会によりスタッフの HIV に関する知識の底上げを実施するとともに、店 舗待合室のレイアウトを変更することで、プライバシー保護への対策を実施した。 4. HIV 患者への服薬指導の際、気をつけるべきルールを店舗で取り決め、待合室 にいる他の患者に薬品名や疾患が分からないよう工夫した。 5. 患者の次回来局日の確認を徹底することで、欠品防止を図った。 6. 処方応需の際、容易に HIV 患者を特定できるよう電子薬歴上の患者管理方法を 変更した。これにより、処方箋の内容から疾患が推測できない事務員でも、適切 な対応ができる体制を整えた。 上記の取り組みの結果、HIV 患者のプライバシーを配慮しつつ抗 HIV 薬処方箋の応 需を開始することができた。今後は HIV 患者の他科併用薬の相互作用チェックや、患 者のライフスタイルに合わせたアドヒアランスの提案、トレーシングレポートを介した病 院薬剤部との連携も充実させ、かかりつけ薬局としての機能を高めていきたいと考え ている。本発表では、上記の応需体制の整備段階で学んだことと、実際の応需例を 紹介する。 (第 26 回医療薬学会年会(2016 年 9 月, 京都)にて発表, 一部要約)
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