研究紀要 - 鹿児島県総合教育センター

平成22年度
研
究
紀
要
研究主題
一人一人の教育的ニーズに応じた授業実践
鹿児島県立加治木養護学校
目
次
は じ め に
Ⅰ
Ⅱ
研究主題
研究主題設定の理由
1 本校の特性及び児童生徒の実態から
2 特別支援教育の動向から
3 本校のこれまでの研究から
4 教師のニーズから
5 主題設定について
6 主題設定までの流れについて
Ⅲ
1
1
研究の概要
研究仮説
研究内容
研究方法
4
Ⅳ
研究組織
5
Ⅴ
研究計画
5
Ⅵ
研究の実際
小学部C・D課程
小学部D課程
小 ・中 学 部 A ・ B 課 程
中学部C・D課程
高等部A・B課程
高等部C・D課程
小・中学部・高等部E課程
6
13
24
31
38
44
49
研究のまとめ
59
引用・参考文献・研究同人
60
1
2
3
Ⅶ
表紙「空と秋桜」
高等部3年 中本元気
Ⅰ
研究主題
一人一人の教育的ニーズに応じた授業実践
Ⅱ
1
研究主題設定の理由
本校の特性及び児童生徒の実態から
本校は,国立病院機構南九州病院に隣接する病弱及び肢体不自由の特別支援学校で,病院に入院
し,治療等を行っている児童生徒,及び姶良地区在住で自宅から通学する児童生徒が在籍している。
本校では,「医療・福祉・労働などの関係機関や家庭,地域との連携のもと,学習指導要領に則
した公教育を行い,自己教育力の育成と個性の伸長を図り,自立と社会参加に向け主体的に体調の
保持及び生活や学習上の困難の改善又は克服に努め,心豊かにたくましく生きることのできる児童
生徒を育成する」という教育目標を掲げ,日々の教育活動に取り組んでいる。年々障害の多様化や
重度・重複化が進んでおり,長期の入院や治療に伴う課題をもつ児童生徒もいるため,より個々の
ニーズに応じた支援が求められるようになってきている。
本校では,児童生徒の実態に応じて以下のような5つの教育課程を編成し,一人一人の実態や教
育的ニーズに合わせて,病状や障害の程度,特性に応じた指導を展開している。
A課程
標準学級
小学校・中学校・高等学校(普通科)の該当学年に準じた教育内容を主
として編成する。
B課程
A課程の下学年の教育内容を代替して編成する。
C課程
知的障害教育の教育内容を代替して編成する。(「各教科等を合わせた指
重複学級
導」「教科別,領域別の指導」「総合的な学習の時間」)
D課程
知的障害教育の教育内容を代替とし,自立活動を主として編成する。
(「各
教科等を合わせた指導」「教科別,領域別の指導」)
訪問学級
2
E課程
自立活動を主とした教育内容で編成する。
特別支援教育の動向から
今回の学習指導要領の改訂の経緯として,平成 19 年に学校教育法等が改正施行されたことによ
る特別支援教育に関しての大きな制度改正があり,その主なものとして次の3点があげられる。
(1)
複数の障害種別を教育の対象とすることができる「特別支援学校」への転換。
(2)
特別支援学校による,小・中学校等の要請に応じた障害のある幼児児童生徒の教育に関する必
要な助言又は援助。
(3)
幼・小・中・高等学校における障害による学習上又は生活上の困難を克服するための教育。
また,改訂の基本方針として,
(1)
幼稚園,小学校,中学校及び高等学校の教育課程の基準の改善に準じた改善を図る。
(2)
社会の変化や幼児児童生徒の障害の重度・重複化,多様化などに対応し,障害のある子ども
一人一人の教育的ニーズに応じた適切な教育や必要な支援を充実する。
という2点が,あげられている。
これまでも,個別の教育支援計画,個別の指導計画に基づき個に応じた指導を行ってきた。
今後は,どのように授業を評価し,改善していくのかさらに研究を深める必要がある。
-1-
3
本校のこれまでの研究から
本校では,過去3年間の計画で,自立活動の中でもコミュニケーションに視点を当て研究を行っ
てきた。個別の指導計画を生かすこと,教師の指導や支援の在り方,指導プロセス(Plan「計画」do
「実践」Check「評価」Action「改善」)を通した授業改善の在り方について,授業実践を行いなが
ら研究を深めてきた。さらに,研究は教育課程ごとに行い,小学部,中学部,高等部の枠を超えた
グループ編成であったため,発達年齢,生活年齢等を考慮しながら,いろいろな視点で意見交換が
なされ,小・中・高一貫した指導の在り方を考えるきっかけにもなった。今年度も,これらの成果
を踏まえて,さらに充実した研究になるように研究内容や研究方法を考えて行くことにした。
平成19年度~平成21年度
研
究
主
題
一人一人の子どものコミュニケーションの力を育む自立活動の実践
年
度
研
究
テ
ー
マ
19年度
個別の指導計画を生かした授業つくり
20年度
授業における教師の指導や支援の在り方
21年度
指導プロセス(Plan「計画」do「実践」Check「評価」Action「改善」)を通
した授業改善の在り方
4
教師のニーズから
本校児童生徒の障害の重度・重複化,多様化に伴い,これまでの実践を踏まえて,より児童生徒
の実態に対応した教育課程の編成や授業内容の工夫が必要であると考えられる。また,今回改訂さ
れた新学習指導要領に基づいて,教育課程の編成及びそれぞれの教科等における年間計画等の見直
しも急務で,段階的に進めている状況である。さらに,より一人一人のニーズに応えるために,各
関係機関との連携や複数の教師で話し合うことも必要である。その話し合いをもとに,より適切な
指導目標と指導内容の検討,実践,評価,改善というこれまでに行ってきた指導プロセスを生かす
工夫が大切であると考える。研究グループについては,各課程ごとに行ってきた研究をさらに充実
させるため再構成し,学習集団に基づいたグループで研究することで,より実践に生かせるのでは
ないかと考えた。
5
主題設定について
本校の児童生徒の実態,特別支援教育の動向,これまでの研究,教師のニーズを踏まえて,今年
度は,「一人一人の教育的ニーズ」とは何かということに焦点を当てた授業実践を行い研究してい
くことにした。特に今回は,それぞれの課程において研究する授業を設定し,その中で,どのよう
な目標設定をして,その目標を達成するための教師のかかわりはどうあるべきかということに視点
をあてることとした。また,研究での視点を中心に評価と改善を繰り返しながら,一人一人の教育
的ニーズに応じた授業を通した研究をしていきたい。
-2-
6
主題設定までの流れについて
本校の特性及び児童生徒の実態
・
病棟生,自宅通学生が在籍している。(病院が隣接)
・
障害の多様化や重度・重複化
・
多様な生活環境
・
一人一人のニーズに対応した教育課程
特別支援教育の動向
・ 新学習指導要領の改訂
(1)
幼稚園,小学校,中学校及び高等学校の教育課程の基準
の改善に準じた改善
(2)
障害の重度・重複化,多様化などに対応した一人一人
の教育的ニーズに応じた適切な教育や必要な支援の充実。
これまでの研究
教師のニーズ
~コミュニケーションに視点を当てた
・
自立活動の実践~
・
個別の指導計画を生かした授業つくり
・
教師の指導や支援の在り方
・
授業改善につなげる指導プロセスの在り方
新学習指導要領に基づいた教育課
程の編成の必要性
・
一人一人の教育的ニーズに応じた
指導の在り方
・
教育実践の充実につながる研究
視 点
授業の目標や教師のかかわり方
研 究 主 題
一人一人の教育的ニーズに応じた授業実践
-3-
Ⅲ
1
研究の概要
研究仮説
授業前ミーティング等で,授業の目標や教師のかかわり方について,評価と改善点を話し合い,教
師間の連携を深めることで,より一人一人の教育的ニーズに応じた授業展開ができるのではないか。
授 業
視点:授業の目標や教師のかかわり方
グループでの話し合い
評価
改善点
一人一人の教育的ニーズに応じた授業
2
研究内容
(1) 授業実践に対応したグループによる具体的な研究テーマの決定
(2) 研究授業をとおした授業実践と授業反省
(3) 各グループにおける研究のまとめ
3
研究方法
(1) 具体的な研究テーマの決定
研究グループ
研究主題をもとにしたテーマ
小学部C・D課程
合同生活単元学習の授業実践を通して
小学部D課程
小学部D課程における「おんがくあそび」の実践を通して
小・中学部A・B課程 新学習指導要領に基づいた「道徳の時間」の指導の在り方を通して
中学部C・D課程
つながり,ひろがる「生活単元学習」を目指して
高等部A・B課程
コミュニケーション能力の向上を目指して
高等部C・D課程
自立活動の骨組みと個に応じた取組に視点をあてて
小・中学部・高等部E課程 音楽的アプローチで引き出すリラクセイション
(2) 研究授業をとおした授業実践と授業反省
ア 授業前ミーティング
・ 授業の目標や教師のかかわりについて話し合う。
・ 評価と改善点について意見交換をして,授業に反映させる。
イ 研究授業および授業反省
・ 各学部において授業の検証と授業反省を行う。
(3) 各グループにおける研究のまとめ
ア 研究の成果と課題についての意見交換
イ グループ研究の報告会
-4-
Ⅳ
研究組織
校
長
教
頭
全
体
会
学校主題研究係
職員研修係
授業実践に対応したグループ
小
学
小C・D課程
部
小D課程
中
学
小・中A・B課程
部
高
中C・D課程
高A・B課程
等
部
高C・D課程
小・中・高E課程
V
研究計画
月
日
5
6
5~6
研
究
の
内
容
備 考
・学校主題研究計画について
全体
※
グループ
各グループごとに時間を設定し,研究テーマや内容について具体的な
案を作成する。
6
17
・各グループの研究テーマ決定
グループ
・研究の具体的内容について確認
・研究計画の作成
9
9
・各グループの研究内容についての共有
全体
・授業略案等の書式案の共通理解
グループ
※
小学部及びE課程については,経験者研修における指導案による研
究授業とする。
・研究授業までの日程確認
9 ~ 10
・授業準備,指導案等作成
経験者研修と連携を図り,日程を調整する。
グループ
10
21
・授業前ミーティング
(小学部及びE課程)
グループ
10
28
・研究授業及び授業反省
グループ
11
25
各グループにおける研究のまとめ(成果と課題)
グループ
12
6
各グループ研究報告会1(4グループ)
全体
小学部C・D課程,小学部D課程,小・中学部A・B課程,
小・中学部・高等部E課程
1
13
各グループ研究報告会2(3グループ)
中学部C・D課程,高等部A・B課程,高等部C・D課程
※
2
10
本年度研究の反省と来年度に向けてのアンケートを配布
・本年度の研究のまとめ
全体
・アンケートをもとにした次年度の研究の方向性の提案
-5-
Ⅵ
研究の実際
小学部C・D課程
1
グループ研究主題
6
2
研究主題設定の理由
6
3
研究内容
6
4
研究方法
6
5
研究計画
7
6
研究の実際
8
(1)
授業前ミーティング
(2)
指導案
7
成果と課題
(1)
成果
(2)
課題
12
小学部C・D課程
1
グループ研究主題
一人一人の教育的ニーズに応じた授業実践
~合同生活単元学習の授業実践を通して~
2
研究主題設定の理由
本校小学部重複学級(6~8組)には,1年生から6年生の9名の児童が在籍している。児童の障害
は様々で,発達段階にも大きなひらきがある。各学級とも児童は3名で,C課程の児童とD課程の児童
が同一学級に在籍している現状である。また,友達や教師とあまりかかわりをもとうとしない児童,教
師とはかかわりをもとうとするが,友達とはあまりかかわりをもとうとしない児童,友達や教師にかか
わっていく姿が見られる児童など,コミュニケーション面においても様々な実態の児童である。
生活単元学習(学校探検や季節の行事など)や自立活動などでは,単元・題材によって計画的に合同
の学習で取り組んでいる。年間を通して,集団による学習の長所を生かしながら授業実践を行っている
が,その中で,児童一人一人の課題にあった目標を教師がいかに意識し,個に応じた支援に当たるかが
これまでも課題となっていた。
そこで今年度は複数学級で行われている合同生活単元学習において,個に応じた教材・教具の提示の
仕方や学習に取り組ませる方法などの,支援の在り方ついて研究することにした。またその支援で児童
にどのような変容が見られたかについても,授業実践を通して検証していきたい。
3
研究内容
・ 合同生活単元学習における,個々の実態や興味・関心に応じた活動グループへの支援のあり方に
ついての研究(個に応じた課題の設定・教材の準備・手立てなど支援の仕方についての実践)
・ 評価や改善策を話し合うことで見られた児童の変容についての検証
4
研究方法
〖6・7・8組合同生活単元学習の年間計画〗
時期(月)
単 元 名
季節や行事
に関する
単 元
4
5
はるがきた
学校探検
6
7
9
さあなつだ
七夕まつり
子どもの日
10
11
あきをさがそう
十五夜
馬踊り
12
1
ふゆがやってきた
クリスマス
豆まき
2
3
おもいでのアルバム
ひなまつり
⑴ 上記のように合同生活単元学習を設定し,実践研究を進める。
⑵ 年間の合同生活単元学習における個々の目標(『個々の願う姿(○○ができるようになってほしい
…)』)や支援の手立てについての検討
⑶
題材担当者による指導案の作成
⑷
個々の目標及び支援の手立て(教材教具の提示の仕方,取り組み方法)について共通理解,
指導案検討
⑸
授業実践
⑹
授業反省・評価
-6-
⑺
5
次の授業への引継ぎ
研究計画
月
日
6
17
7
上旬
研
究 の 方 法
【全体】
準
備
様式1
・
各グループの研究テーマ決定
・
研究の具体内容について確認
・
研究計画の作成
【グループ】
個別目標
・
合同生活単元学習における個別目標の設定
指導案
・
合同生単『七夕』授業及び個に応じた手立てについ
て共通理解,指導案検討
・
9
10
9
21
25
11
25
【グループ】
12
6
初旬
指導案の書式案
・
グループ研究内容についての共有
・
授業略案等の書式案の共通理解
・
研究授業までの日程確認
【グループ】
経験者研修と連携
・
個に応じた手立てについて共通理解,指導案検討
指導案
・
授業前ミーティング
【グループ】
経験者研修と連携
・
合同生単『秋をさがそう』
・
研究授業,授業研究
【グループ】
・
12
合同生単『七夕』授業及び授業反省
指導案
グループ研究実践についての反省
【全体】
報告書(様式1,2)
・
グループ成果と課題
グループ研究報告会
【グループ】
初任者研修と連携
・
指導案
合同生単『パーティーをしよう』授業及び個に応じ
た手立てについて共通理解,指導案検討
・
中旬
【グループ】
・
2
3
初旬
個に応じた手立てについて共通理解,指導案検討
合同生単『パーティーをしよう』授業及び授業反省
【グループ】
指導案
・
個に応じた手立てについて共通理解,指導案検討
・
合同生単『節分』授業及び授業反省
10
【全体】本年度の研究のまとめ
初旬
【グループ】
・
指導案
個に応じた手立てについて共通理解,指導案検討
-7-
6
・
合同生単『ひなまつり』授業及び授業反省
・
年間の合同生活単元学習実践についての反省
研究の実際
⑴
授業前ミーティング
ア
合同生活単元学習における年間目標と支援の手立て
授業前ミーティング等資料1
学年
1
3
4
1
2
5
2
4
6
氏
名
A
B
C
D
E
F
G
H
I
性別
目
標
支援の手立て
・季節の行事への参加,制作活動などを通して,様々
な生活経験の拡大を図るようにする。
・教師や友達との触れ合いの活動を通して,集団の学
習に楽しく参加することができるようにする。
・友達と触れ合ったり意識したりでき
るような活動を多く取り入れる。
・様々な活動への取り組みを通して,
好きな活動が増えるようにする。
女
・いろいろな伝統行事や季節の変化に興味を持ち,教
師や友達と一緒に活動を楽しむことができる。
・さまざまな素材や道具の操作に慣れ,一定時間集中
して制作活動に取り組むことができる。
・行事について視覚的に分かりやすく
伝えたり,友達とふれあう機会をふや
したりして,楽しく活動できるように
する。
・活動内容や手順を分かりやすく示し,
見通しが持てるようにする。
女
・いろいろな伝統行事に興味を持ったり,季節の変化
の体験を通して感じ取ったりすることができる。
・製作したいもののイメージを持ち,さまざまな素材
や道具を用いて制作活動を楽しむことができる。
・行事について視覚的に分かりやすく
伝えたり,季節にちなんだ制作など,
体験的活動を多く取り入れたりする。
・作品の見本を紹介したり手順を分か
りやすく示したりして制作意欲をもて
るようにする。
男
男
女
女
女
男
男
・季節のあそびや行事を通して,興味・関心を拡げる ・友達や教師が活動している様子を見
ことができる。
せたり,劇や絵本を読み聞かせをした
・集団の中で,一つの活動に集中することができる。 りして,本人の「やりたい」という気
持ちを高める。
・刺激の少ない環境を作り,言葉かけ
や教材の提示・使い方を工夫する。
・季節に関する体験的な活動を通して,季節感を味わ
えるようにする。
・学校行事や伝統的な行事に関する活動を通して,生
活経験の拡大を図る。
・季節を味わったり,行事に取り組んだりする活動を
通して,生活経験の拡大を図る。
・学校行事や伝統的な行事に関する活動を通して生活
経験の拡大を図る。
・活動を通して,教師や友達とかかわりを持つことが
できる。
・屋内外での様々な活動を積極的に行
い,肌で季節の変化を感じたり,言葉
を知ったりすることができるようにす
る。
・季節や行事の素材を用いた制作活動
を設定し友達といっしょに協力して取
り組むことができるようにする。
・屋内外で様々な活動を積極的に行い
肌で季節の変化を体感できるようにす
る。
・自分のやりたいことやできることを
考えて周りの人に言葉で伝えることが
できるようにする。
・教師や友達を意識しながら視線を合わせながらかか
わりを楽しむことができる。
・季節や行事に応じた制作活動を通して様々な感触に
慣れ,興味・関心を拡げることができる。
・座位保持椅子に座る,教師が支える
等して姿勢を保ち,手元を見て感覚遊
びや制作活動ができるようにする。
・行事や季節に関する様々な活動を経験し,興味・関
心を拡げることができる。
・集団活動や制作活動に参加し,ルールを守って友達
と楽しみながら活動することができる。
・活動の流れや手順等を示して,見通
しがもてるようにする。
(活動内容が分
かりやすいようにする。)・友達とのか
かわりがもてるような場を設定する。
・季節ごとの活動や行事,制作活動などを通して,様々
な生活経験の拡大を図るようにする。
・教師とのかかわり合い,教師を介した友達とのかか
わり合いを楽しみながら,集団での学習に進んで参加
することができるようにする。
・活動に好きな内容を取り入れて,楽
しみながら参加できるようにする。
・学習の途中で気分転換の時間を設け
少 しでも活 動に集 中できる よう にす
る。
-8-
イ
単元における評価と改善(単元名「あきをさがそう」)
授業前ミーティング等資料2
学年 氏名 性別
1
A
男
3
B
女
4
1
2
5
2
C
D
E
F
G
女
男
女
女
女
指導目標
教師のかかわり
・素材に目を向け,教師といっ
しょに感触を味わい,おみこし
を飾ることができる。
・活動の中で友達を意識した行
動をすることができる。
・おみこしの飾りつけで,葉や
木の実などの感触やテープはが
しなど好きな活動を取り入れる
ようにする。
・友達の遊びに目を向け,同じ
遊びに取り組める工夫をする。
・落ち葉や木の実の中から好き ・いろいろな落ち葉や木の実な
なものを見つけ触れて遊んだ
どを目の前に提示したり,友達
り教師といっしょに紙をはっ
や教師が遊ぶ様子に注目させた
たりすることができる。
りして興味をもって触れること
ができるようにする。
評価
○
○
・馬踊りに興味を持ち,おみこ
しを作って参加したいという
意欲を持つことができる。
・友達とかかわりながら,落ち
葉や木の実の感触を味わった
り好きなものを選んで紙に貼
ったりすることができる。
・落ち葉やどんぐりを握ったり
落としたり転がしたりして素
材のひとつひとつに着目して,
じっくりと感触を味わうこと
ができる。
・話や活動の流れを理解して最
後までやり遂げ,できあがった
作品を友達や教師にみせて満
足感を味わうことができる。
・落ち葉やどんぐりを握ったり
落としたり転がしたりして,ダ
イナミックに素材の感触を味
わうことができる。
・テープ等の道具を貸し借りし
たり,作品を見せ合ったりして
教師や友だちと適切にかかわ
ることができる。
・自分が飾りたい素材や使いた
い道具を周りの人に言葉で伝
えることができる。
・近くにいる友達といっしょに
飾りつけをすることができる。
・秋独特の素材の感触を味わい
,表情や手の動きで快・不快を
表現することができる。
・以前の馬踊りのビデオを観な
がら言葉かけをし,以前の参加
を思い出させる。おみこしや落
ち葉など具体物から見通しを持
ち,おみこしの飾りを作ること
ができるようにする。
・遊ぶ様子を近くにいる友達に
紹介したり,道具や素材を友達
に渡せたりできるうように言葉
かけをし,友達とかかわりなが
ら活動できるようにする。
・上手にできていることは称賛
する。
・学習の始まりと終わりが理解
できるようにいすやカゴを用意
する。
・離席については主体的な気づ
きやひらめきを大事にするため
に動作の意図を見極め対応する
。
・スムーズに活動に入れるよう
に場の設定を一定にして状況を
見ただけで製作であることが理
解できるようにする。
・好きな活動を手がかりにして
素材への興味関心を引き出すよ
うにする。
・教師がやって見せたり上手に
できていることは称賛したりす
る。
・様々な素材(落ち葉やどんぐ
り)に十分に触れた後に本人に
やりたい活動や使いたい素材・
道具を聞くようにする。
・友達の近くで活動し,自分か
ら「いっしょにやろう」と言っ
て誘ったり,友達からの誘いを
受け入れていっしょに活動でき
るようにする。
・手のひらの上でこすったり,
指をひらいてつかませたりして
,様々な食感のものを味わえる
ようにする。
-9-
◎
○
○
○
◎
改
善
点
・教師といっしょに好きな新聞紙や
落ち葉を使った感触遊びを取り入れ
,活動に集中できる時間を確保する。
・「わっしょい。
」といった声かけで
おみこしのパレードに楽しく参加で
きるようにする。
・すすきに興味を持ち,友達がまつ
ぼっくりで遊ぶ様子をみて,触って
遊ぶ姿が見られた。
「どこに貼る?」
と問いかけで貼りたいものを紙にの
せたり,教師が貼ったテープを指で
押さえたりできた。
・制作の時間が短くなり,もっと時
間を確保できるようにしたい。
「次は
どれを貼る?」などの言葉かけで飾
りや貼る場所を自分で選び意欲的に
飾り付けができるようにする。
・まつぼっくりで友達に声をかけな
がら遊んだり,落ち葉などを近くの
友達に手渡したりするなど自発的な
かかわりがみられた。
・おみこしを飾って完成させ,かつ
いだりひっぱったりして遊ぶと学習
の流れが分かり,友達とかかわりた
り飾りつけたりすることができる。
・自発的な活動や友達へのかかわり
を賞賛しながら,意欲的に飾りつけ
ができるようにする。
・落ち葉をタライに入れて,音や感
触を味わった。手でかき混ぜていた
が,あそびの発展や友達とのかかわ
りが表出しなかった。教室にシート
を敷くなどして,活動場所を広げる
ことや素材の量を増やし,容器・ス
コップ等の道具を準備するとよかっ
た。
・机を準備していたので,製作と思
ったらしく,すぐに葉っぱをちぎり
始めた。実際外に出て活動すればイ
メージが広がったかもしれない。
・葉っぱで製作という経験が少ない
ことから紙に貼るという活動を理解
するのが難しかった。紙面に両面テ
ープを貼り葉っぱを並べていくよう
にした。内容を理解するのに精一杯
で友達とかかわる余裕がなかった。
・友達が作った飾りを受け取って両
面テープを貼ったり両面テープをは
がした飾りを友達に渡しておみこし
に飾りつけてもらったりすることで
,友達とやりとりをしながら協力し
ておみこしを作り上げることができ
るようにする。。
・素材の感触を音や手ざわりなどで
味わえるようにする。
・座位保持いすに座って顔を上げて
おみこしの様子がよく見えるように
する。
H
4
男
・馬踊りを楽しみにしながら, ・活動の流れや手順等を指し示
意欲的に制作活動に取り組む
しながら活動を進めるようにす
ことができる。
る。
◎
・教師といっしょにどんぐりや ・活動の中に,くすぐりや音を
落ち葉の感触を感じながら遊
出すなど好きな活動を取り入れ
ぶことができる。
るようにする。
I
6
男
○
・自分の役割が分かるよう飾りつけ
の中で作業内容を示し,やりたい作
業を選ばせるようにする。
・友達と協力しながらパレードに参
加することができるようにする。
・調子に応じて気分転換を行い集団
の中で活動にできるようにする。
・掛け声に合わせ,好きな揺らしを
行い楽しく体験できるようにする。
・友達を意識できるように,友達か
ら材料や完成したものを運ぶ係をす
る。渡す際,教師が友達の名前を呼
び本児が意識できるようにする。
評価:◎達成できた
○達成できたが課題有り
△達成できなかった
⑵
指導案
生活単元学習 学習指導案
日
時 平成22年10月25日(月)3校時
対
象
小学部 6・7・8組
男子4名 女子5名 計9名
場
所 小学部2階なかよしルーム・プレイルーム
指導者 原口(T1) 久保田(T2) 福田(T3)
岩元(T4) 岡元(T5) 鶴田(T6)
矢崎(T7) 假屋﨑(T8)
ア
単元名 あきをさがそう 「馬踊りに参加しよう」
イ
本時の目標
(C課程) ・ 教師や友達とかかわりながら,協力しておみこしを飾ることができる。
・ 積極的におみこしを担いで,「馬踊り」への期待感を高めることができる。
(D課程) ・ 教師や友達と一緒に,素材の感触を味わいながらおみこしを飾ることができる。
・
ウ
にぎやかな雰囲気を感じて,おみこしを担ぐ活動に楽しく参加することができる。
本時の実際
過
主
程
な 学 習 活 動
指
導 上 の 留 意 点 等
1「かなづちとんとん」を歌う。 ・
導
入
3
分
2
はじめのあいさつをする。
3
本時の学習について知る。
慣れ親しんでいる歌あそびをすることで,楽し
い雰囲気を作り,学習の始まりを意識することが
できるようにする。
・ 元気な声であいさつをして,学習が始められる
ようにする。
準備等
めあてカ
ード
おみこしをかざって かついでみよう
馬踊りの
写真
・
馬踊りの写真やおみこしを提示して,前時の学
- 10 -
おみこし
習を思い出すことができるようにする。前時に制
作した作品などを貼っておみこしを完成させ,パ
レードをすることを伝え,本時の活動への意欲や
期待感をもてるようにする。
4
おみこしを飾る。
⑴
おみこしを登場させる。
⑵
おみこしにはってある
飾りを紹介する。
⑶
おみこしを飾り付ける。
展
開
⑷ ビデオを観て,前時のグ
ループ学習の様子を振り
37
返る。
分
⑸
色画用紙の作品を発表
し,おみこしにはって完成
させる
5
おみこしを担ぐ。
⑴はっぴを着る。
⑵プレイルームに移動する。
⑵ 交替でおみこしを担ぐ。
・ おみこしを覆っていた布を外し,児童が注目でき
るように促す。
・ おみこしに前もって少し飾りをはって,おみこし
を飾る活動に見通しをもたせるようにする。もっと
たくさんの飾りを付けたいという意欲をもつこと
ができるように言葉かけを行う。
・ 児童の好きな活動を取り入れながら,お花紙を丸
める,新聞紙を裂く,飾りに付けた両面テープの紙
をはがしておみこしにはるなど,役割を分担して飾
り付けを行う。友達にできた飾りを持っていった
り,友達から受け取ったりして,かかわりながら飾
り付けができるようにする。
・ 児童の発想や自発的な動きを称賛しながら,楽し
い雰囲気で飾り付けを行う。
・ おみこしの向きを変えて,まだ飾りを付けていな
い面があることに気づかせ,前時に行った制作活動
をビデオで振り返るようにする。
・ テレビの見やすい場所に移動する。自分や友達
が,落ち葉や木の実で遊んだり,画用紙に貼って制
作をしたりする様子を,興味をもって観ることがで
きるようにする。児童の表情や反応を言語化して伝
えたり,がんばっている様子を称賛したりして,学
習したことを楽しく振り返ることができるように
する。
・ 児童の実態に応じて,言葉や身振り,指差し等で,
意欲的に発表することができるように言葉かけを
行う。
また,
発表する友達に注目できるように促す。
・ 鈴かけ馬を連想させるおみこしを完成させ,みん
なで作った達成感を味わえるようにする。
・ 児童の実態に応じて,はっぴを着けて,お祭りの
雰囲気を味わえるようにし,活動への期待感を高め
られるようにする。
・ 座位保持いすや車いすに移動する際は安全に留
意する。
・ 教師が「わっしょい」の掛け声とともに威勢よく
おみこしを担ぐ様子を見せることで,「自分もやっ
てみたい」という意欲を高められるようにする。
・ 始めに,おみこしを担ぐ児童と見物をする児童に
分かれて,交替しながら,全員がおみこしを担ぐ活
動を体験することができるようにする。
・ おみこしを担ぐ児童は,実態に応じて,すずロー
プを持って揺らしたり,床に下ろしたおみこしをロ
ープで引っ張ったりして,教師や友達と一緒におみ
こしを担ぐ楽しさを味わえるようにする。教師がス
ピードを調整するなどして,安全に活動することが
できるようにする。
- 11 -
おみこし
お花紙
新聞紙
両 面 テ
ープ
かご
すすき
DVDデ
ッキ
液 晶 テ
レビ
色 画 用
紙 の 作
品
はっぴ
帯
C D デ
ッキ
馬 踊 り
の曲
太鼓
すず
ス レ イ
ベル
いす
・ 見物する児童は,いすに座り,太鼓やすずなどの
楽器を鳴らしながら,おみこしを担ぐ教師や友達の
様子を興味をもって見ることができるようにする。
・ 馬踊りの曲や,おみこしにつけたすずの音,
「わ
っしょい」などの掛け声で,お祭りのにぎやかな雰
囲気を味わうことができるようにする。
終
6
末
楽しかったことやがんばっ
たことを発表する。
5
足感を味わうことができるようにする。また,馬踊 ダー
り当日への期待感をもって学習を終えることがで
分
7
・ 楽しかったことや頑張ったことを称賛し合い,満 カ レ ン
7
終わりのあいさつをする。
きるようにする。
成果と課題
⑴
成果
○
ミーティングで児童全体に目を向けることができ,児童の関わりが増えた。
○
個々のニーズを明らかにすることで,グループでの活動が充実し,児童同士で模倣や言葉掛けな
どの関わり合いが見られるようになった。
○
授業について教師が話し合うことにより,目標を達成することについて共通理解が深まり,その
方法についてもじっくりと取り組むことができた。
⑵
課題
● ミーティングはとても有効であるが,十分な話し合いには,まだまだ時間が不足した。また,話
し合いの方法なども工夫が必要である。
● 個々のニーズを把握しながら,今年度の記録や反省をもとに指導計画の見直しが必要である。
● 場の設定などを工夫することで,児童のふれあいの機会を増やすことができるのではないか。
- 12 -
小学部D課程
1
グループ研究主題
13
2
研究主題設定の理由
13
3
研究内容
13
4
研究方法
13
5
研究計画
14
6
研究の実際
15
(1)
授業前ミーティング
(2)
指導案
7
成果と課題
(1)
成果
(2)
課題
8
引用・参考文献
23
23
小学部D課程
1
グループ研究主題
一人一人の教育的ニーズに応じた授業実践
~小学部D課程における「おんがくあそび」の実践を通して~
2
研究主題設定の理由
本校小学部重複学級では,音楽の学習を合同の「おんがくあそび」として,D課程の児
童を中心としたグループ,C課程の児童を中心としたグループに分かれて授業を行ってい
る。D課程の児童を中心としたグループでは,うた遊びや簡単な合奏,鑑賞などの学習を
している。児童の自発的な動きや感じたことの表現は様々で,授業担当者だけでなく,担
任や周りの教師など,複数の視点から刺激に対するサインを観察する必要がある。また,
そのサインを読み取り,授業を改善し,より自発的な動きや感じたことの表現を引き出せ
るようにしていきたい。
そこで,題材ごとの授業担当者を中心として,教師間で連携をとり,子どもの様子やそ
れをもとにした授業の改善点を複数の視点から話し合うことで,より一人一人の教育的ニ
ーズに応じた授業を展開できるのではないかと考える。授業の指導案とともに,個別の目
標とそれに対する担任の評価を回覧し,それらをもとにして話し合いを行い,授業を改善
していくことで,授業にどのような工夫を加えることができたか,児童にどのような変容
が見られたかを検証していきたい。
3
研究の内容
○
○
4
「おんがくあそび」を通した教師間の連携の在り方
評価や改善策を話し合うことで見られた児童の変容
研究の方法
題材についての話し合い
↓
授業
↓
個別の目標と評価の回覧
↓
授業についての話し合い
↓
授業
↓
個別の目標と評価の回覧
↓
授業についての話し合い
↓
次題材への引継
授業~個別の目標とそれに対する評価の回覧
~話し合い~授業の改善というサイクルでの
教師間の連携で,授業にどのような工夫を加
えることができたか,児童にどのような変容
が見られたかを検証していく。
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
5
単元担当者による指導計画の立案・指導案の作成
授業実践
個別の目標と評価の回覧(評価の記入は学級担任)
授業についての話し合い
話し合った内容を生かしての授業実践
次単元担当者への引継事項の伝達
研究計画
月
日
研究の内容
準備
6
17 【グループ】
・各グループの研究テーマ決定
・研究の具体的内容について確認
・研究計画の作成
様式1
9
9
【グループ】
・各グループ研究内容についての共有
・授業略案等の書式案の共通理解
・研究授業までの日程確認
指導案の書式案
【グループ】
・授業実践と個別の目標と評価の回覧,及び話し合い
指導案
個別の目標と評価ファイル
話し合いの記録
様式2
9~10月
10 21 【グループ】
・授業前ミーティング
10 28 【グループ】
・研究授業及び授業反省
指導案
個別の目標と評価ファイル
話し合いの記録
様式2
指導案
11 25 【グループ】
・各グループにおける研究のまとめ(成果と課題)
12 2
2
【全体】
・各グループ研究報告会
10 【全体】
・本年度研究のまとめ
・アンケートをもとにした次年度の研究の方向性の提案
報告書(様式1,2)
指導案
グループの成果と課題
6 研究の実際
(1) 授業前ミーティング資料
おんがくあそびの授業における評価と改善
ア 単元名「音であそぼう」
イ 全体目標
○ 自然音や身の回りの音に対する興味関心を広げる。
○ みんなと一緒に音や声を出そうとする意欲を育てる。
ウ 単元における評価と改善
学年 氏名 性別
指導目標
教師のかかわり 評価 日
改
善
点
・リラックスでき ・安定する姿勢 欠
る姿勢で,呼吸を (主に抱っこ)を 席 7
小1 A
女 整えながら,音楽 とる。
の時間を楽しい表 ・楽器を扱うとき 欠 1
情で過ごすことが は,無理せず音を 席 2
できるようにする。 楽しめるようにす
る。
2 〈目標〉
・場に応じた声か
2 ・新聞紙の音に気付き,探すよ
けを工夫する。
うな表情が見られた。機嫌のよ
○
いときに出す声があった。
〈教師のかかわり〉
・ライダーチェアで参加したこ
とで,呼吸が整った状態で学習
できた。声かけを最小限にし,
音の変化に気付かせることがで
きたように思う。
・楽器の音や身の ・音の出るもの
〈目標〉
回りの音をきいて, を,教師も一緒に
7 ・設定した目標は妥当であった
小1 B
男 感じたことを表情 手に持つなどし
と思われる。
や体の動きで表現 て,音を耳や体で ○
〈教師のかかわり〉
することができる 感じることができ
・音を出すときには弱い音から
ようにする。
るようにする。
徐々に大きくしていった。
・場面に応じた言
・音に集中できるように,周囲
葉かけやスキンシ
の音に配慮しながらかかわるよ
ップを図りなが
うにした。
ら,緊張を和らげ
1 〈目標〉
るようにする。
2 ・太鼓やドラの音を聞いて,目
が大きく見開いた。
○
〈教師のかかわり〉
・ビニールの音を鳴らす際に,
鳴らし続けるのではなく,間を
おくなどして,音に注意を向け
やすくした。
2 〈目標〉
2 ・音を出す方向を左右だけでな
く,上下からも出すようにした
ところ,上から出すときに,目
○
が大きく見開いていた。
〈教師のかかわり〉
・強い音やすばやい破裂音は緊
張が入りやすいのでやわらかな
小1 C
・いろいろな音を
聞いて音に関心を
女 持つことができる
ようにする。
・いろいろな音を
聞いて,快や不快
の表情を見せ,声
を出したり,右手
足を動かしたりす
ることができるよ
うにする。
・音源に顔や体が
向くようにする。
7
・最初は鳴らし方
を一緒にしてみせ
る。
○
1
2
○
2
2
○
小2 D
・いろいろな音や
歌を聞いて,笑顔
男 や発声などで楽し
さを表現できるよ
うにする。
・耳元で繰り返し
音や歌を聞かせ,
7
好きな音などを見
つける。
・表情の変化を見 ○
ながら,言葉かけ
をし,楽しさを伝
えるようにする。
・喘鳴が強いとき
には姿勢変換を行
い,無理なく参加
できるようにす
1
る。
2
○
音を出したり,ゆっくりと破っ
たりして,本児の様子を見なが
ら調節した。
〈目標〉
・耳の後でならすと,右手でビ
ニールをつかみ,揺らす姿が見
られた。
〈教師のかかわり〉
・クッションチェアだけでなく,
マットにおりた姿勢で,自由に
ビニールに触れられるようにし
たい。
〈目標〉
・頭にかぶったビニールや左手
に持ったビニールを,右手でさ
わって音を出すことができた。
〈教師のかかわり〉
・持ちやすい,握りやすい大き
さの新聞紙を扱うようにする。
・動きを引き出せるような姿勢
をとるようにする。
〈目標〉
・シートの音(大)によく反応
することができていた。
・ドラや太鼓の音をよく聞いて
いる様子が見られた。
・声もでていたが,聴いている
感じがよくわかった。
〈教師のかかわり〉
・一緒に児童のかかわり方をや
ってみる。
〈目標〉
・静かな雰囲気の中,音に耳を
傾け,笑顔も出すことができた。
〈教師のかかわり〉
・ビニールの音に変化(クシャ
クシャ,ピンと引っ張るなど)
をつけて聞かせることで,本児
が音の違いに気づけるようにし
た。また,笑顔などがあったと
きに言葉をかけ,共有するよう
努めた。
〈目標〉
・口を開けて笑顔になったり,
小さく声を出すこともできた。
〈教師のかかわり〉
・前回の授業の中で,本児の表
情に変化の見られた音を中心に
聞かせるようにした。喘鳴があ
るときは姿勢に配慮し,さらに
2
2
○
小2 E
・音や歌などを聞
いて,表情や身体
男 の動きで感じたこ
とを表現できるよ
うにする。
・音を聞かせた
り,静かにしたり
7
して「また聞きた
い」という表現を ○
待って音を聞ける
ようにする。
1
2
○
2
2
○
小3 F
・いろいろな音を
聞いて,快の表情
男 を見せて,声を出
したり,上肢の動
きを出したりする
ことができるよう
にする。
・音を聞くときに
はしっかり聞ける
7
ように,不要な声
かけはしない。
◎
・抱っこなどで,
一緒に揺れてリズ
ムをとり,体を動
かしたいと思える
1
ようにする。
2
・表情や動きが出 ○
やすい,見やすい
姿勢を作る。
2
2
表情や発声を引き出したい。
〈目標〉
・太鼓の音が鳴ると,声を出し
て笑顔になり,手足を動かすこ
ともできた。
〈教師のかかわり〉
・授業の後半で,喘鳴が強くな
ってきたため,三角マットでう
つぶせの姿勢をとった。音を鳴
らしたり,音に気づけるように
した。
〈目標〉
・ビニールの音を鳴らしたり,
止めたりすると,笑顔になる様
子が見られた。
〈教師のかかわり〉
・音を鳴らして表情の変化を読
み取り,再度鳴らしたり,止め
たりした。
〈目標〉
・音の鳴るとき,鳴らないとき
に笑顔が出た。
〈教師のかかわり〉
・耳元で鳴らしたり,身体につ
けて全身で音を聞けるようにし
たりした。
〈目標〉
・新聞紙の音を聞いて,笑顔が
出たり,手を動かしたりできた。
〈教師のかかわり〉
・表情の変化を読み取り,音を
鳴らしたが,今日は眠たい様子
が多かった。
〈目標〉
・設定した目標は妥当であった
と思われる。
〈教師のかかわり〉
・音の出るタイミングに合わせ
て動きの引き出し方に工夫が必
要。
〈目標〉
・設定した目標は妥当であった
と思われる。
〈教師のかかわり〉
・発作後だと,寝入ってしまう
ので,寝てしまった後のかかわ
りを考慮する必要がある。
〈目標〉
・設定した目標は妥当であった
と思われる。
小3 G
・いろいろな音を
聞いて,楽しい感
女 じを表情や発声で
表現することがで
きるようにする。
・教師と一緒に音
を鳴らしたり,体
7
でリズムをとった
りして,楽しさを ○
伝えるようにす
る。
1
2
○
〈教師のかかわり〉
・声かけを最小限にし,音に気
付きやすくすることで,音の変
化を感じていたように思う。自
分の作り出す音にも気付き,そ
れに伴う上肢の動きもよく出て
いた。
〈目標〉
・設定した目標は妥当であった
と思われる。
〈教師のかかわり〉
・音を出す前に視覚的な刺激が
入りやすいので,音の入れ方を
配慮する。
〈目標〉
・小さな音はじっくり聞いて,
大きな音では,
声がでていた。
〈教
師のかかわり〉
・音の大きさや鳴らし方のちが
いがよく分かるように,はっき
りと変化をつけた。
欠 2
席 2
小4 H
・いろいろな音を
聞きながら,体全
女 体で音やリズムを
感じることができ
るようにする。
・耳元でじっくり
と音だけを聞かせ
たり,抱っこした
り,かかわりにメ
リハリをつけて音
への反応を高め
る。
欠
席 7
欠 1
席 2
2
2
○
小4 I
・いろいろな音や
教師の声の聞こえ
女 る方へ視線を向け
たり,表情を変え
たりすることがで
きる。
・リラックスした
姿勢をとるととも
7
に,音の聞こえや
すい方向に視線を △
向ける。
・聞こえてくる音
や音楽を聞き取り
やすい環境を作
る。
・次の活動内容を
1
知らせるようにす
2
る。
○
〈目標〉
・音がすると顔や目を動かした
り,声を出したりしていた。
〈教師のかかわり〉
・体調の変化に気をつけながら,
音の強弱や方向の変化への反応
が高まるようにした。
〈目標〉
・覚醒できず,視線や表情の変
化は見られなかった。音の鳴ら
し方により,脈拍に変化は見ら
れた。
〈教師のかかわり〉
・音がする方に視線を向けやす
くするためには,うつぶせの方
が良かった。
〈目標〉
・大きなビニールの音やリズム
のある音が,上から聞こえると
き,視線を向けようとする様子
が見られた。
〈教師のかかわり〉
・一方向からのかかわり方しか
できず,音に反応できたかどう
か明確でない。
欠 2
席 2
小4 J
・教師と一緒にゆ
ったりと,いろん
女 な音を聞くことが
できる。
・いろいろな音を
聞く中で,聞こえ
る方へ視線を向け
たり,表情を変え
たりすることがで
きるようにする。
・無理のない姿勢
で活動する。
・手を動かしやす
いような姿勢をと
る。
7
○
〈目標〉
・体調に合わせながらだったが,
いろいろなビニールの音を聞く
ことができた。
・教師と一緒にビニールを触っ
た。脱力して手が落ちたときに,
偶然音が出た以外は,自分で手
を動かすことはなかった。
〈教師のかかわり〉
・抱っこだと教師が支援をしに
くかったり,表情が見えなかっ
たりするので,本人も楽な姿勢
(ライダーチェア)でやってみ
たいと思う。
欠 1
席 2
欠 2
席 2
小5 K
・音を聞いて感じ
たことを表情や発
女 声で表現すること
ができるようにす
る。
・リラックスして
聞くことができる
7
ようにポジショニ
ングをとり,いろ ○
いろな音が入りや
すいようにする。
1
2
○
2
2
◎
〈目標〉
・設定した目標は妥当であった
と思われる。
〈教師のかかわり〉
・音に集中できるよう,隣との
距離に配慮を要すると感じた。
・鑑賞の際,体位を換え,楽器
の響きを感じ取りやすくする。
〈目標〉
・リズムをつけた鳴らし方に興
味を示し,笑顔が見られた。
〈教師のかかわり〉
・ビニールの音を鳴らす際に,
いろいろな鳴らし方を考えるよ
うにした。
〈目標〉
新聞紙の音のする方向に視線を
向けることができた。
・リズムをつけた鳴らし方に笑
顔が見られた。
〈教師のかかわり〉
・音の強弱,方向に変化をつけ
たり,服の中に入れて体で感じ
ることができるようにした。
小6 L
・教師とコミュニ
ケーションをとり
男 つつ,身体を一緒
に動かすなどし,
リラックスして音
楽を聴くことがで
きる。
・表情や呼吸,心 欠
拍などから,心身 席 7
の状態を把握し,
ポジショニング等
1
を工夫して,リラ
2
ックスできるよう
にして,音を聞け ○
るようにする。
〈目標〉
・ビニールの音に気付き,まば
たきをしたり,表情に変化が見
られたりした。
〈教師のかかわり〉
・睡眠不足,呼吸状態の影響で,
臥位で学習を進め,リラックス
できるようにした。
欠 2
席 2
小6 M
・いろんな音を聞
いて,音の鳴る方
女 へ顔を向けること
ができるようにす
る。教師と一緒に
音を鳴らしたり,
表情や声などで快
や不快を表現でき
るようにする。
評価:◎達成できた
・表情を見ながら
好きな音を見つけ
7
る。
・首の止まる瞬間 ○
も大切にする。
〈目標〉
・ビニールの音を目や顔を動か
して追うことができた。
〈教師のかかわり〉
・音を鳴らす→止めるを何回か
繰り返した後に,本人から反応
が出るのを待って音を鳴らすよ
うにする。
1 〈目標〉
2 ・ドラの音に声を出して笑顔に
なり,快を表出できた。
○
〈教師のかかわり〉
・クッションチェアやクッショ
ンを利用して,音の響きを体感
できるようにする。
2 〈目標〉
2 ・快だけでなく,要求の声を出
すことができた。
◎
〈教師のかかわり〉
・沈黙の時間をうまく作りなが
ら,音への気づきや感情の表出
を促していく。
・シートには顔がかからないよ
うにする。
○達成できたが課題有り
△達成できなかった
(2) 指導案
おんがくあそび学習指導
日
場
対
指導者
ア
イ
単元名
時
所
象
平成22年10月28日(木)3校時
音楽室
小学部重複学級1組~5組
男子5名 女子8名 計13名
川添(T1) 川田(T2)柞木(T3)竹迫(T4)
東 (T5) 山口(T6)五領(T7)藤尾(T8)
軸屋(T9)堀園(T10)大濱(T11)
「音であそぼう」
本時の目標
○ 新聞紙の音や楽器の音に対する興味関心を広げる。
○ 友達や教師と一緒にいろいろな音をきき,音や声を出そうとする意欲を育てる。
ウ 個人目標
学 氏 性別 個人目標
手立て
年 名
○ 呼吸を整えながら,音楽の時間 衣服や室温で調節を行い,抱っこやラ
小
を泣くことなく過ごすことがで イダーチェアーなどで姿勢を工夫し,リ
1 A
女
きる。
ラックスして授業を受けられるようにす
る。
○ 新聞紙の音をきいて,感じたこ 緊張が入らないように,小さな音か
小
とを表情や声,身体の動きで表 ら徐々に大きくしていく。また,いろい
1 B
男
現することができる。
ろな方向から鳴らし,音に気づきやすい
○ 始まりの歌,終わりの歌や何度 ようにする。
かきく楽器の音をきいた際に声 表情や声を出したり,身体を動かし
を出そうとすることができる。 たりして表現した際に,教師が言葉にし
て返すようにする。
○ いろいろな音をきいて,快や不 右手足の動きが出やすいクッション
小
快の表情を見せて,声を出した チェア-や振動を感じやすいマット上な
1 C
女
り,右手足を動かしたりするこ ど活動に応じて姿勢を変える。快の表情
とができる。
が出たら,
その音を繰り返すようにする。
○ 新聞紙や楽器の音をきいて,音 いろいろな方向で音を鳴らしたり,
小
のする方向に顔を向けたり,感 止めたりするようにする。
2 D
男
じたことを表情や身体の動きで 表情や発声などに変化が見られたら,
表現したりすることができる。 それを受け止め言葉で返すようにする。
○ いろいろな音をきいて,感じた 音をきいた時の表情や身体の動きの
小
ことを表情や発声で表現するこ 変化で音を止めたり,鳴らしたりする。
2 E
男
とができる。
また,手に触れるように近づけて自分で
○ 新聞紙を使って,音を鳴らすこ 鳴らせるようにする。
とができる。
○ 新聞紙や楽器の音をきいて感じ 姿勢を工夫し,支援した時の表情や動
小
たことを表情や発声で表現する きが見えやすいようにする。言葉かけし
3 F 男
ことができる。
すぎないようにし,目の合う高さで支援
するように心がける。
○ 新聞紙を破ると音がすることに 安定した姿勢をとり,破る動きがしや
小
気づき,自分で破って音を出そ すいようにする。
3 G
女
うとすることができる。
小
4 H
小
4 I
小
4 J
○ 歌や楽器の音をきいて,一緒に
声を出したり,身体を動かした
りすることができる。
○ いろいろな音をききながら,身
体全体で音などを感じることが
女
できる。
○ いろいろな音や教師の声のきこ
える方へ視線を向けたり,表情
女
を変えたりすることができる。
女
○ 新聞紙や楽器の音をきく中で,
きこえる方へ視線を向けたり,
表情を変えたりすることができ
る。
小
5 K
○ 音や楽器を鳴らした方向に気づ
き,音への反応を表情や動作な
女
どで表すことができる。
小
6 L
○ 教師と一緒にリラックスして,
新聞紙や楽器の音をきいたり,
男
鳴らしたりすることができる。
小
6 M
エ 実際
過程
導入
○ 新聞紙や楽器の音をきいて音の
鳴る方へ顔を向けることができ
女
る。
○ 教師と一緒に音を鳴らしたり,
表情や声などで快や不快を表現
したりすることができる。
主な学習活動
歌や楽器の音に集中できるように,
言葉かけを少なくしたり,リラックスで
きる姿勢をとらせたりする。
耳元で音をきかせたり,身体に触れた
りしてかかわり方を工夫し,音への反応
を高める。
リラックスした姿勢をとるとともに,
音のきこえやすい方向に視線を向ける。
きこえてくる音や音楽をききとりやすい
環境を作る。
次の活動内容を知らせるようにする。
視線や動きを引き出し,表情を確認し
やすいようにライダーチェアーを用いる
ようにする。目の前で鳴らしたり,耳の
近くで鳴らしたりし,音へ気づきやすい
ようにする。
児童の健康状態に応じて,ライダーチ
ェアーまたは側臥位の姿勢をとり,呼吸
状態を整えて,リラックスできるように
する。強弱や方向など音の鳴らし方に変
化をつける。
呼吸が楽な姿勢や教師の抱っこでリラ
ックスして音をきけるようにする。視線
や表情から音への気づきを確認し,教師
と一緒に手を伸ばし,音を鳴らせるよう
にする。
目の前だけでなく,左右・上下で音を
鳴らすようにする。
快の反応があったときは,繰り返した
り,言葉かけを行ったりして気持ちを共
有できるようにする。
指導上の留意点
・ 曲を流しておく。音楽室のマット上に円になっ
て下り,集合する。
5分 1 はじまりの歌をきく。 ・ いつもの歌で,学習の始まりを意識できるよう
「ひとりじゃないさ」
にし,楽しい雰囲気の中で学習が始められるよ
うにする。
・ ゴム鈴を準備しておき,一人一人の表情や速さ
などに気をつけながら呼名する。
2 本時の学習内容を知る。 ・ 新聞紙の音で友達や先生とあそぶことを伝え
音でいっぱいあそぼう。
る。めあては音をきかせながら伝える。
展開 3 音であそぶ。
・ 静かな状態で音に注目できるようにする。
20分 (1) 新聞紙の音をきく。 ・ 見えないところでT2が新聞紙の音を鳴らし,児
童が気づいたところで新聞紙を一人一人に配布
するようにする。
(2) 新聞紙の音を鳴らす。・ 新聞紙の音を鳴らしたり,きいたりして音を感
① 近くの音であそぶ じることができるようにする。児童から反応を
準備など
マットなど
CD
ゴム鈴
黒板
めあてカード
ウインドチャイム
新聞紙
② 友達の音であそぶ 引き出すように実態に応じて支援する。
③ 教師の音であそぶ ・ 遊び方の違う児童を取り上げ,みんなでまねを
して一緒に遊び,いろいろな音を感じられるよ
うにする。
・ 新聞紙を一人一人目の前で集めるようにする。
・ 大きな新聞紙シートを用いて,四隅からの音を 新聞紙シー
きくことができるようにする。姿勢は実態に応 ト
じて支援する。
・ T1の音に合わせてリズムや速さを変えながら新
聞紙の音を感じられるようにする。
5分 4 鑑賞をする。
・ 太鼓の音を感じたりできる姿勢で観賞を行う。
「ぽんぽこだぬき」
音の大きさには十分配慮する。タッピングなど MD
も実態に合わせて行う。
太鼓
・ T2は太鼓を小さい音で鳴らしながら登場した
後,マットの中央で歌に合わせて太鼓を鳴らす。
終末 5 終わりの歌をきく。
・ 電気を消す。楽器の音をひとりひとりの反応を ドラ
15分
「夕焼けこやけ」
見ながら鳴らした後,T1に合わせて歌い出すよ
うにする。ドラの余韻を大切にし,実態に応じ
てタッピングなどで音楽を感じられるようにす
る。
・ 音であそんだ雰囲気や学習を振り返りながら,
教室へ帰る。
7 成果と課題
(1) 成果
○ 教師間の連携の大切さを再確認することができた。
○ 授業の目標や進め方,支援の方法などを話し合い,共通理解を図りながら授業に
臨むことができた。
○ PDCA のサイクルの大切さを感じた。
○ 同じ単元の授業について,回数を追うごとに,授業の質に加え,職員の「子ども
の発信を捉える視点」の質も向上した。
○ 話し合いの中で,他の子どもに対するかかわり方を聞いて,自分の担当する子ど
もにも生かすこともできた。
○ 姿勢や楽器の鳴らし方教材・教具の変更などの工夫で,子どもたちの反応や自発
的な動きを引き出すことができた。
○ 子どもたちは,本単元を通じて,音への気づきや反応,音楽の時間に対する見通
しが少しずつ持てるようになってきているようである。
○ 言葉かけや周囲の音を減らし,沈黙や間を大切にしながら授業を行った。言葉か
けをしないことに対する不安はあったものの,子どもの反応をじっくり待ち,かか
わりを考えながら授業を展開することができた。
(2) 課題
● 話し合いの時間の取り方が難しい。
● 自分の担当の児童については,じっくりと目を向けて反応を捉えることができた
が,集中するあまりに,その他の児童について,様子をうかがうことができなかっ
た。そのため,担当以外の児童の支援の手立て等十分把握できなかった。
● 個人目標の設定をする際に,教科としての目標以外にも,自立活動的な内容の目
標を設定することが必要であったり,教科としての目標を設定することが難しかっ
たりする場合もある。D 課程における教科のとらえ方も,教育課程上の問題として,
今後,検討する必要がある。
8
引用・参考文献
1)文部科学省 「おんがく☆おんがく☆☆音楽☆☆☆教科書解説」2002 年東京書籍
2)飯野順子編著 「障害の重い子どもの授業づくり」2005 年 ジアース教育新社
3)神原雅之 「`体を楽器にした`音楽表現 リズム&ゲームにどっぷり!」
2006 年明示図書出版
4)全国知的障害養護学校長会編著 「特別支援教育の未来を拓く指導事例N avi」
2006年
ジアース教育新社
5)芸術教育研究所編 「障害児の音楽指導」2005 年 黎明書房
6)特別支援学校 小学部・中学部学習指導要領 平成21年3月 告示 文部科学省
小・中学部A・B課程
1
グループ研究主題
24
2
研究主題設定の理由
24
(1)
これまでの研究から
(2)
グループの児童生徒の実態から
(3)
学習指導要領改訂の基本方針から
(4)
本年度の研究の進め方
3
研究内容
25
4
研究方法
25
5
研究計画
25
6
研究の実際
26
(1)
授業前ミーティング
(2)
指導案
7
成果と課題
(1)
成果
(2)
課題
8
引用・参考文献
30
30
小・中学部A・B課程
1
グループ研究主題
一人一人の教育的ニーズに応じた授業実践
~新学習指導要領に基づいた『道徳の時間』の指導の在り方を通して~
2 研究主題設定の理由
(1) これまでの研究から
過去3か年,「一人一人の子どものコミュニケーションの力を育む自立活動の実践」という研
究主題のもと,「個別の指導計画」に基づいた小学部・中学部・高等部の『合同自立活動』の授
業実践の在り方について研究を行ってきた。
学部や学級を超えた異年齢集団の中,通常の授業時より多くの人とかかわりを持たせながら
日常生活につながるコミュニケーション能力の向上のために様々な取組を重ねた。
言葉を中心としたコミュニケーションを深める活動を通して,少人数の中ではあるが,相手の
意見をしっかり聞こうとしたり,相手のことを考えながら自分の考えや気持ちを伝えようとした
りする児童生徒の姿も見られるようになってきた。
また,以下のような課題も明らかになった。
・ 言語活動を充実させることにより,さらに一人一人のコミュニケーション能力の向上を図る
必要がある。
・ 自分の思いや考えを言葉にして伝える力,相手の言葉をなるべく正確に受け止める力の双方
(伝え合う力)をつけることによって,一人一人のコミュニケーション能力の向上をさらに図
っていく必要がある。
・ 単に言葉だけのやりとりをできるように指導するだけではなく,自分や相手のことを大切に
する気持ちや心を育てながら,よりよいコミュニケーションがとれるように指導する必要があ
る。
(2)
グループの児童生徒の実態から
本グループは,小学部4年生1名と,中学部1年生4名,2年生3名,3年生1名,計9名(H
22.4月現在)の児童生徒で構成されており,小学校・中学校の該当学年に準じた学習,また
は下学年代替の学習を行っている。
児童生徒の病気や状態は多岐にわたり,短期・長期にわたる入院や通院による病気の治療を受
けている。そのため,授業時数の制約を受けているほか,学習の空白や遅れ,経験の不足や偏り,
身体活動の制限等を伴う場合が多い。さらに,少人数で学習する機会が多く,多くの人々とのか
かわりや大人数の集団への参加の経験も少ない。
また,児童生徒は,経験が少ないことや課題に取り組んでもできなかった経験から,自己の理
解が十分にできず,友達の行動に対して適切に応じることができなかったり,他者とのかかわり
がうまくいかず,他者の意図や感情を理解し,場に応じた行動をとることができなかったりする
こともある。
このような児童生徒には,自己理解や他者理解を深め,自他ともによりよく生きようとする望
ましい人間関係や道徳性を育成することは大変重要なことであると考えた。
(3)
学習指導要領改訂の基本方針から
学習指導要領改訂の基本的な考え方(平成20年1月の中央教育審議会の答申)の中で,豊か
な心の育成に関しては,「自分に自信がもてず,将来や人間関係に不安を感じているといった子
どもたちの現状を踏まえると,子どもたちに他者,社会,自然・環境とのかかわりの中でこれら
と共に生きる自分への自信を持たせる必要がある。」ということが,指導の観点として挙げられ
ている。日常の様々かかわりを通して,共に生き,自己との対話を重ねながら,よりよく生きる
人間の育成が求められている。
また,今回の改訂では,道徳教育,言語活動の充実が重視されている。言葉を中心にしたコミ
ュニケーションを深める活動を通して,自他とかかわりながら道徳的価値の自覚を深め,自己の
生き方について考えを深めることは,極めて重要なことである。
- 24 -
(4)
本年度の研究の進め方
以上を踏まえて,本年度の研究は,『道徳の時間』に視点をあて,新学習指導要領に基づいた
『道徳の時間』の指導の在り方について研究を深めていくことにした。
通常,道徳の時間は,各学級で指導を行っているが,学級の枠を超え,より多くの人とかかわ
りを持たせるために,グループ合同で『道徳の時間』を持つことにした。児童生徒の体験や資料
に対する感じ方や考え方を交えながら話し合いを深める学習活動を中心にしながら,道徳的価値
の自覚をいかに深めていくかを探っていくことにした。
その授業を通して,通常の『道徳の時間』の指導及び教育活動全体を通じた道徳教育の充実に
つなげていきたい。そして,そのことにより「一人一人の教育的ニーズに応じた授業実践」に迫
っていくことにした。
3 研究内容
(1) 研究主題を踏まえた具体的な研究テーマの決定
(2) 研究内容の焦点化,研究内容・方法の共通理解(合同の「道徳の時間」の指導について)
(3) 新学習指導要領(道徳)についての共通理解
(4) 研究授業をとおした授業実践と授業反省
(5) 研究のまとめ(成果と課題)と次年度の研究について
4 研究方法
(1) 新学習指導要領(道徳)についての研修
(2) 授業前ミーティング(授業の目標,コミュニケーションを深める活動,教師のかかわり方)
(3) 研究授業(合同の「道徳の時間」)
(4) 授業反省(授業の目標,コミュニケーションを深める活動,教師のかかわり方の評価)
(5) 授業改善(「道徳の時間」の指導の在り方,日常生活や全教育活動の中での指導の在り方)
5 研究計画
月
日
研 究 の 内 容
6 17 ・グループの研究テーマの設定(研究内容,研究方法,研究計画)
7 20 ・研究の具体的内容の検討及び確認
・研究の実際について(授業略案等の共通理解)
7~8 ・新学習指導要領(道徳)についての研修
(夏期休業) ・授業準備及び指導案等作成
8 20 ・授業前ミーティング1
8 25 ・授業前ミーティング2
8 30 ・授業前ミーティング3
9
6 ・授業前ミーティング4
9
7 ・研究授業及び授業反省
※いじめ問題を考える週間
10 21 ・グループにおける研究のまとめ1
11 25 ・グループにおける研究のまとめ2
12
6 ・グループ研究報告会
2 10 ・本年度の研究のまとめ(全体)
- 25 -
6 研究の実際
(1) 授業前ミーティング
道徳の授業における評価と改善
ア 主題名「いじめ問題を考える」
イ ねらい
(ア) 小学部
・ 言葉には,人をあたたかくする言葉と悲しく嫌な気持ちにする言葉があることを理解する。
・ 友達にどんな言葉をかけていきたいかを考えることができる。
(イ) 中学部
・ 資料を読むことによって,自分のこととしていじめ問題を捉え,考えを深めることができる。
・ 教師はいじめ問題に真剣に取り組み,自分たちを守ってくれるということを実感することが
できる。
・ 一人一人がいじめ問題についてじっくり考えることができる。
ウ 単元における評価と改善
学年 氏名 性別
個人目標
教師のかかわり
評価
改
善
点
小4
A
女 ・ ワークシートの中の言 ・ 一人で色分けの作
(教師のかかわり)
葉を色分けすることで,
業を進められるよう
・
自分の気持ちを確認する
に,教師が例を提示 ○
たり,深めたりする機会を持
ことができる。
しながら説明する。
たせる。
・
友達同士で,考えを共有し
例を示したり,選択肢を示
したりしていく。
中1
中1
B
C
男 ・ いじめが悪いというこ ・ もし自分だったら
(目標)
とを実感することができ
どうかを考えさせ, ◎ ・
る。
自分のこととして捉
て自分の気持ちを確認したり,
えられるようにす
相手の気持ちを実感すること
る。
ができるようにしていく。
男 ・ いじめ問題を自分のこ ・ 分からない語句に
役割演技をすることによっ
(目標)
ととして捉えながら,今
ついて説明を行った
・
役割演技をすることによっ
後の自分の言動を考える
り,文章の読み取り ◎
て自分の気持ちを確認したり,
ことができる。
の手助けをしたりす
相手の気持ちを実感すること
る。
ができるようにしていく。
(教師のかかわり)
・
色分けをし,視覚的にイメ
ージをふくらませやすいよう
にしていく。
・
発問や指示が理解しやすい
ように説明の補助を行ったり,
例に示したりしていく。
中1
D
男 ・ 今までの言動を振り返 ・ 他の人の意見に傾
(目標)
り今後の生活に生かすこ
聴させるとともに, 欠 ・
役割演技をすることによっ
とができる。
いろいろな立場で考 席
て自分の気持ちや相手の気持
えるように促す。
ちを実感し,今後の自分の行
動について考えられるように
していく。
- 26 -
学年
氏名
中1
E
性別
個人目標
教師のかかわり
評価
男 ・ 教師や友達に相談する ・ 他の人の意見を聞
改 善 点
(目標)
ことの大切さを知ること
かせたり,ワークシ
・
役割演技をすることによっ
ができる。
ートに沿いながら考 ◎
て自分の気持ちや相手の気持
えを深められるよう
ちを実感し,今後の自分の行
にする。
動について考えられるように
していく。
中2
F
女 ・ 自らの経験を振り返り ・ 分からない語句に
(教師のかかわり)
いじめについての感想や
ついて説明を行った
意見を持つことができ
り,文章の読み取り
ように説明の補助を行ったり
る。
の手助けをしたりす ◎
例に示したりしていく。
る。
・
・
発問や指示が理解しやすい
色分けをし,視覚的にイメ
ージをふくらませやすいよう
にしていく。
中2
中2
中3
G
H
I
女 ・ 自らの経験を振り返り ・ 自分の意見を素直
(目標)
感想や意見を持つことが
に表せるように,発
できる。
表を促すのではなく ◎
や考えたことを,感想にまと
文章にまとめさせる
めたり発表したりできるよう
ようにする。
にしていく。
男 ・ いじめについて考え, ・ 自分の意見や感想
・
役割演技の中で感じたこと
(目標)
自らの意見を発表するこ
を文章でまとめる際
とができる。
には,時間に余裕を
て自分の気持ちを確認したり,
持たせ,ゆっくり取 ◎
相手の気持ちを実感し,感想
り組ませるとともに
にまとめたり発表したりでき
アドバイスを行う。
るようにしていく。
男 ・ いじめについての意見 ・ ワークシートに沿
・
役割演技をすることによっ
(目標)
を発表し,自分の考えを
いながら,本人の意
・
役割演技の中で感じたこと
発言することができる。
見や気持ちを引き出 ◎
や考えたことを,感想にまと
し,代筆する。
めたり発表したりできるよう
にしていく。
(教師のかかわり)
・
本人の気持ちや考え方を言
語化することによって,自ら
考えたり見直したりできるよ
うにしていく。
評価:◎達成できた
○達成できたが課題有り
△達成できなかった
- 27 -
(2)
指導案
道徳学習指導案
日
時:平成22年9月7日
火曜日
場
所:中学部標準学級1年教室
対
象:小学部標準学級4年
3校時
中学部標準学級1・2・3年
男子6名
女子3名
計9名
指導者:奥(T1)板敷(T2)冨士(T3)岩元(T4)
ア
主題名「いじめ問題を考える」
(項目:他の人とのかかわり(2)思いやり・親切…小学部(2)人間愛,思いやり…中学部)
イ
資料名「ことばのまほう」(自作教材)
ウ
本時のねらい
言葉の使い方を考えることによって,相手のことを思いやって言葉を使おうとする気持ちを高め
る。
エ
本時の目標
○
言葉の使い方や言い方により,相手への伝わり方が違うことを実感することができる。
○
役割演技を通して,自分の気持ちに気づき,友達への言葉の使い方を考えることができる。
オ
個人目標
学年
氏名
小4
A
本
性別
女 ○
○
中1
B
男 ○
○
中1
中1
C
D
時
の
個
人
目
標
役割演技で感じた気持ちを簡単な言葉で表現することができる。
友達や教師の言葉を聞いて,言葉を変えることができる。
劇を見た感想を発表するなど,相手の気持ちを実感することができる。
役割演技を相手に伝わりやすい言葉の速さや声の大きさで行うことができる。
男 ○
言葉の使い方や言い方によって,相手への伝わり方が違うことを知ることができる。
○
役割演技を通して,自分の気持ちを確認し,相手の気持ちを実感することができる。
男 ○
前時の内容と関連させながら,言葉の使い方や言い方によって,伝わり方が違うこ
とを発表することができる。
○
中1
E
男 ○
○
中2
F
女 ○
自分のこととして捉え,感想等で今後の自分について述べることができる。
考えや意見を深める時間を作りながら,相手への言葉の伝わり方を考えることができる。
役割演技を行い,感想等で今後の自分の行動について述べることができる。
言葉の使い方や言い方により,相手への伝わり方が違うことを実感し,よりよい言
葉に直すことができる。
○
中2
G
女 ○
役割演技の中で感じたことや考えたことを,感想にまとめることができる。
言葉の使い方や言い方により,相手への伝わり方が違うことを実感し,よりよい言
葉に直し,発表することができる。
中2
H
○
役割演技の中で感じたことや考えたことを,感想にまとめたり発表したりできる。
男 ○
言葉の使い方や言い方により,相手への伝わり方が違うことを実感し,自分の言葉
に直し,発表することができる。
○
中3
I
男 ○
○
役割演技の中で感じたことや考えたことを,感想にまとめたり発表したりできる。
言葉の使い方についてよく考えて発言することができる。
他の友達とのかかわりをもちながら,言葉の使い方を考えることができる。
- 28 -
カ
実際
過
主な学習活動
教師の支援や手立て(○)
留意点(・)
程
教材・
教具等
1
はじめのあいさつをする。
2
「ことばのまほう」の話を
・青,赤
○
聞く。
導
・
うれしい言葉と嫌な言葉
入
・
言い方一つで伝わり方が
5
違 う こ と も あ る。
分 3
本時のめあてをつかむ。
前時のワークシートを提示し,言葉について学習
したことを振り返る。
○
のハー
ト
展開部分につながるように,前時でうれしい言葉
と嫌な言葉を赤と青で色分けしたことに触れる。
○
学校生活の中で,言われて嫌だと感じた言葉や友
ことばのまほう
達に言ってしまった嫌な言葉がなかったかという発
~普段の自分の言葉を振り返り,
問で自分自身を振り返らせる。
言葉を使うときどんな心がけが
大事なのか考えよう。~
4
教師の劇を見て,思ったこ
○
とを発表する。
(設定場面)
休み時間に教室の入り口付近
視点:教師の言葉に注目する。
○
劇を見ての率直な感想から聞く。
○
発表者がいない場合は,②の発問をし,児童生徒
で2人が話をしている。Aさん
がそこを通りたい。
の心情を把握できるようにする。
○
①
劇を見てどう思ったか。
②
赤(うれしい)と青(嫌) ○
展
③
赤と青のハートを導入時に配っておき,それを使
い,教師も児童生徒も視覚的にわかるようにする。
ではどう感じたか。
開
劇を見る視点を明確に伝える。
青だと感じた言葉を発表し,友達の心情に気付け
るようにする。
青だと感じた言葉はどれ
か。
30
分 5
劇中の嫌だと感じた言葉を, ○
相手 を 傷つ けな い 言葉 に変 え
る。
視覚的にイメージをふくらませるようにする。
○
○
6
役割演技をする。
・
・ 3人グループでお互いに言
い合ってみる。
・
○
I の生徒は,発言したことを T4 が代筆する。
グループ分けは,児童生徒の実態や人間関係等を
ワークシートに書いた言葉を台本とすることで,
自分のこととして考えられるようにする。
○
元の言葉→変えた言葉の順でやることで,自分の
気持ちの変化に気づけるようにする。
○
言葉は変えていても言い方に課題があるグループ
へは教師が例を示し,気付かせる。
7
役割演技をしたときの自分 ○
の気持ちを発表する。
終 8
教師の話を聞く。
友達の発表を聞くことで,自分との共通点や友達
の感じ方を考えるきっかけにする。
○
末
本時の児童生徒の様子をふまえ,言葉の影響力の
強さを話す。
10 9
分
今日の学習を振り返り,ワ
ークシートに書く。
10
○
シート
A,C の児童生徒は,T1 と T2 が個別に付き,例 ・ 選 択 肢
を示したり,選択肢を示したりする。
シート
配慮し,事前に教師が考えたものにする。
グループごとに演技をし,
友達の発表を見る。
ワークシートの吹き出しの色や形を変えることで ・ ワ ー ク
自分の生活を振り返り,どんな心がけで言葉を使
えばよいかを考えさせ,記入できるようにする。
終わりのあいさつをする。
- 29 -
キ
授業後の児童生徒の感想
今日の学習や普段の自分の言葉を振り返りながら,言葉を使うときにどんな心がけが大事
だと思いますか。
生徒
A ・
B ・
感
想
友達の気持ちを考えてしゃべりたい。
いやだと感じる言葉を親切な言葉に直したら,いやになった人の心がうれしくなる
と思う。これからは優しい言葉で話したい。
C ・ 自分がいやな言葉を使うと,友達はいやな気持ちになるし,自分も悪かったなあと
いう気持ちになる。友達にいやな言葉を使わないように気をつけたいと思う。
D ・ 自分は普通に言ったつもりだけど,相手は傷ついていたことがあった。これからは
言葉づかいに気をつけていけたらなと思った。
E ・ いろいろな人と話すとき,相手のことを考えて言葉づかいに気をつける。今まであ
まり気をつけていなかったから,これからは気をつけたい。
F ・ 自分も悪い言葉を言ったりしている。今日の授業の中でも自分でもいやと思ったか
ら,悪い言葉は言わないように気をつけたい。今日の学習で,人にいやなことを言っ
たら相手は悲しむから,優しく言ったらいいと思った。
G ・ 自分が言われていやなことは言わない。口癖になっている言葉を改善したい。
H ・ 欠席
I ・ いろんな人としゃべるとき,相手の気持ちを考えてからしゃべるのが大切だと思っ
た。
(※ 原文のまま 平成22年9月7日)
7 成果と課題
(1) 成果
○ 道徳を合同で行い,教師が入念にミーティングを行ったことで,児童生徒のニーズに応じた
目標を設定し,授業の内容や指導方法の工夫につながった。
○ 言語活動の充実を念頭に置きながら授業を行うことを教師が共通理解し,学部を超えて児童
生徒同士の関わりの場を設定することができた。それにより,お互いの気持ちをイメージした
り,自分の気持ちの伝え方について考えたりする機会となった。
(2)
課題
児童生徒一人一人の内面に響く道徳の授業を行うが,日常的に生活経験の少なさのある児童
生徒の実践力をどう高めていくか。その視点での検討が必要となってくる。
● 少人数学級での指導と学年を超えた合同授業の役割を考えながら,今後指導計画を見直す作
業が必要である。
●
8
引用・参考文献
・ 「小学校学習指導要領解説 道徳編」平成20年6月 文部科学省
・ 「中学校学習指導要領解説 道徳編」平成20年9月 文部科学省
・ 「特別支援学校学習指導要領解説 総則等編(幼稚部・小学部・中学部」」
平成21年6月 文部科学省
・ 「道徳教育」平成19年1月 明治図書
・ 「指導と評価」平成20年5月 日本教育研究会
- 30 -
中学部C・D課程
1
グループ研究主題
31
2
研究主題設定の理由
31
3
研究内容
32
4
研究方法
32
5
研究計画
32
6
研究の実際
33
(1)
授業前ミーティング
(2)
指導案
7
成果と課題
(1)
成果
(2)
課題
8
引用・参考文献
37
37
中学部C・D課程
1
グループ研究主題
一人一人の教育的ニーズに応じた授業実践
~つながりひろがる「生活単元学習」を目指して~
2
研究主題設定の理由
(1)
生徒の実態から
中学部重複学級在籍の生徒は,日常生活において常時支援が必要であり,生活経験や社会経
験が不足していたり偏りがあったりする。また周囲の人とのかかわりも家族や教師中心になり
がちである。さらに近年医療的ケアを必要とする生徒も入学してきており,実態の幅は広い。
また中学部の特徴として,この時期は,思春期にあたり,子どもから大人へ,心も体も様々
な変化が現れる。体の成長とともに,自己意識が芽生え自己主張したり,外の世界へ,周囲の
大人や友達へ,さらにそれらを取り巻く集団や社会へ,かかわりや関心が広がったりして心身
両面に成長が見られる時期である。
このような実態を踏まえ,本グループでは,C 課程は,領域・教科を合わせた指導や教科,D
課程では自立活動を主としながら,日常生活の指導・音楽・体育・生活単元学習を行いながら,
それぞれの学習課題へアプローチを行っている。
今年度は,その中でも生活単元学習に視点をあて研究していくこととした。
(2)
中学部重複学級としての生活単元学習
領域・教科を合わせた指導である生活単元学習は,学習指導要領によると「生活上の目標を達
成したり課題を解決したりすために一連の活動を組織的に経験することによって,自立的な生活
に必要な事柄を実際的・総合的に学習するものである。」と述べられている。
また,生活には,集団活動や友達・教師など周囲の人とのかかわりは不可欠であると考える。
そこで,上記のことと生徒の実態を合わせて考え,中学部重複学級としての生活単元学習を『「周
囲の人と「つながり」,
様々な経験を通して世界が「ひろがる」生活単元学習』と捉え
・
生活や季節に関する学習(各教科等を合わせた活動)
・
日常生活を豊かにする学習(経験の拡大・人とのつながりの拡大など)
・
生活上の課題解決を図る学習
の3点を中心としながら学習を進めていくこととした。
(3)
今年度の研究について
研究の進め方としては,生活単元学習の授業実践の中で,「授業実践→評価→改善」の過程
を通して,授業の目標や教師のかかわり方について見直し,教師間の連携を深めていき,より一
人一人の教育的ニーズに応じた授業の展開を探求していきたい。
- 31 -
3
研究内容
○
中学部重複学級における生活単元学習について
・
幅広い実態差の生徒で構成される合同学習
・
重度の生徒にとっての生活単元学習
○
一人一人の教育的ニーズに基いた目標設定について
○
目標を達成するための教師のかかわりについて
4
研究方法
(1)
生活単元学習についての研修(目標,中学部重複学級での目標など)
(2)
生活単元学習の目標検討
(3)
授業実践(授業前ミーティング,研究授業,授業反省)
(4)
研究のまとめ
5
研究計画
月
日
研
究
内
容
6
17 グループ ・今年度の研究について
7
22 グループ ・生活単元学習についての研修(目標,中学部重複学級での目標など)
・研究テーマ決定
9
9 グループ ・研究授業について
・様式2による授業前ミーティングについて
9
23 グループ ・様式2の記入(目標・手だて)
9
24 グループ ・様式2の記入(評価・改善点)
10
グループ ・指導案検討
10 21 グループ ・授業前ミーティング
学習指導案,指導目標,教師のかかわり方の検討
10 27 グループ ・授業前ミーティング(プレ授業)
10 28 グループ ・研究授業
10 28 グループ ・授業反省
11 25 グループ ・研究のまとめ(成果と課題)
1 13
全
体
・グループ研究報告会
2 10
全
体
・本年度の研究のまとめ
- 32 -
6 研究の実際
(1) 授業前ミーティング
生活単元学習の授業における評価と改善
ア
イ
年
中
3
中
1
中
2
中
1
中
2
単元名「十五夜」
全体目標
○ 季節の行事を知り,活動に楽しく参加することができる。
○ 紙相撲大会を通して,勝ち負けのうれしさや悔しさを味わい,他の人を応援する気持ちを育む。
氏名 性別
個人目標
教師のかかわり
評価
改
善
点
○ 十五夜のパネルシア ○ 身体をタッピングし
〈目標〉
ターを見たり,歌を歌
たり視線を授業者に向 △
当日は体調が悪く,学習に集中
ったりして授業に参
けさせるなどして学
できなかった。そのような場合も
C 男
加することができる。
習に集中させる。
想定した目標設定が必要だ。
○ 紙相撲大会で土俵を ○ 教師と一緒に土俵
〈教師のかかわり〉
叩いたり友だちの取り
を叩いたり取り組み ○
紙相撲大会では,教師のサポー
組みを見たりして楽
に目線を向けさせる。
トもあり,楽しむことができた,
しむことができる。
しかし,他の友だちの取り組みを
楽しむための手立てが課題有り。
○ 十五夜の説明や歌 ○ 具体物など実際に
を聞き,季節の雰囲
触って感触を楽しめ
気を感じることがで
るようにする。
A 男
きる。
○ 土俵を教師と一緒
当日欠席
○ 紙相撲大会で競技
に叩くことができる
に参加したり周りの
ように棒を使用し積
雰囲気を楽しむこと
極的に参加させる。
ができる。
○ パネルシアターを ○ 顔を支えてパネル △ 〈目標〉
よそ見せず見ることが
シアターに向けさせ,
見たり,聴いたりして興味を持
できる。
その場の雰囲気を感じ
つことは難しかった。その場の持
○ 歌を楽しく聴くこ
させる。
○ つ楽しい雰囲気を感じさせること
B 男
とができる。
○ 手を取り側で歌っ
を目標にしたい。
○ 紙相撲大会で教師
てあげて聴く楽しさ
〈教師のかかわり〉
と一緒に土俵を叩く
を感じさせる。
△
土俵を叩くことを本人が楽しい
ことができる。
○ 手を取り一緒に土
と感じるような手立てが必要。
俵を叩かせ参加させ
る。
○ 紙相撲大会の土俵 ○ 太鼓などの楽器を ○ 〈目標〉
をトントンと叩く音
叩くことによって,
体調が悪く(痰による咳き込み)
や友だちや教師の声
自分も参加している
目標達成にはいかなかったが,周
援を聞きながら,十
という気持ちを持つ
りの声はよくきいて雰囲気を感じ
D 男
五夜行事の雰囲気を
ことができるように
取っていた。目標については変更
味わうことができる。 する。
はなし。
〈教師のかかわり〉
自分から,様子を感じ取って楽
しむことはできる。周りの生徒か
らのかかわりを,教師がつくって
いくことが必要と思われる。
○ 「秋」をイメージ ○ 教師の言葉かけ
(食 ○ 〈目標〉
することができる。
べ物,気候,植物な
いろいろな経験から,教師の言
○ 紙相撲大会に自分
ど)から想像できる △ 葉かけにもよく応えているようだ
なりの方法で参加す
ようにする。
ったが,友達とのかかわりが少な
ることができる。
○ 手具を用いて,な
い。目標の再設定が必要。
E 男
るべく自分で 紙相撲
〈教師のかかわり〉
のコマを動かすこと
長い棒を教師と一緒に持って,
ができるようにする。
土俵を叩いて動かしたが「自分で」
というのは難しい。本人が楽しん
で参加できる方法を工夫する必要
有り。
中 F
2
○ 「十五夜」を知り, ○ 教師の言葉かけ
(食 ○ 〈目標〉
イメージすることが
べ物,気候,植物な
教師の質問には,頭の中で想像
女
できる。
ど)から想像できる
しながら発言している様子がみら
○ 体を動かしたり,
ようにする。
○ れた。もっと,視野を広げていけ
声を出したりして積 ○ コマを動かしやす
るような経験を実際,資料等で知
極的に活動すること
い姿勢をとる。
らせていきたい。
- 33 -
ができる。
中 G
2
中 H
3
○
友だちの名前を声
に出して,応援でき
るようにする。
○ 十五夜のパネルシ ○ 身体をタッピング ○
アターを見たり,歌を
したりこまめな言葉か
聞いたりして授業に
けをしたりして集団活
参加することができ
動にみんなといっしょ
男
る。
に参加する雰囲気をあ ○
○ 紙相撲大会で土俵
じわえるようにする。
を叩いたり友だちの取 ○ 教師と一緒に土俵
り組みを見たりして
を叩いたり取り組み
楽しむことができる。
に目線を向けさせる。
○ 十五夜の説明や歌 ○ 土俵を教師と一緒 ◎
を聞き季節の雰囲気
に叩くことができる
を感じたり教師の問
ように棒を使用し積
いかけに答えたりす
極的に参加させる。
ることができる。
男 ○ 紙相撲大会でルー
ルに従い競技に参加
○
したり,友達を応援
したりすることがで
きる。
○
中
1
I
中 J
2
友達や教師とのか ○ 眠ってしまわない ○
かわりを楽しむこと
ように言葉での刺激
ができる。
を多くし紙相撲大会
○ 友達の声を聞きな
では友達の応援がで ○
がら紙相撲大会の賑
きるように言葉かけ
やかな雰囲気を感じ
をする。
取り参加することが ○ 教師と一緒に土俵
女
できる。
を叩くなどできるだ
け自分で紙相撲のコ
マを動かすことがで
きるようにする。
○ 十五夜について知 ○ 他の生徒と積極的 ○
ることができる。
にかかわることがで
○ 相撲大会を通して
きるように言葉かけ ○
友達とのかかわりを
をする。
男
楽しむことができる。
- 34 -
〈教師のかかわり〉
言葉かけをすることで,一人で
土俵を叩き楽しんで活動できてい
た。応援をしながら,発声・こと
ばが多く出るように教師も一緒に
声を出すなど支援する。
〈目標〉
取り組みのかけ声に声をあげ笑
い,楽しい雰囲気をあじわうこと
ができた。目標については変更は
なし。
〈教師のかかわり〉
かけ声に体を丸めて笑い出して
しまい,土俵を叩くことができな
かった。本人に合った方法・教具
を工夫する必要がある。
〈目標〉
教師の話をよく聞き,問いかけ
に積極的に発表することができた
が,周囲の状況をみて発言したり
ゲームを楽しんだりすることに課
題がある。目標については変更は
なし。
〈教師のかかわり〉
棒を持って教師と一緒に土俵を
叩いて動かしたが,本人の可動域
や力を考えた教具を工夫する必要
がある。
〈目標〉
覚醒時間が少なかったが,友
だちの声や歓声が聞こえると目を
開けて,周りを見ている様子だっ
た。目標としては適切な目標だと
思われる。友だちや教師とのかか
わりを楽しむことを大切にしてい
きたい。
〈教師のかかわり〉
友だちの声や歓声が聞こえた際
に注目するように言葉かけを行っ
た。生徒も反応を示す場面が見受
けられた。友だちとふれあう機会
を多く持てるようにタイミングや
場所を見計らって言葉かけを行っ
ていきたい。
〈目標〉
十五夜の話(月の形やすすきな
ど)では,興味を持って聞いてい
た。自分の言葉で何か伝えようと
している姿も見られたので,その
点も次回から包括していけたらい
い。友だちとのかかわりでは,拍
手をして応援するよう言葉かけを
行うことができた。ただ直接的に
関わる機会もあればと思う。
〈教師のかかわり〉
「友達の応援をしよう」と言葉
かけをすると,自分から他の生徒
の試合を見て手を叩いていたので,
教師が多く関わるのではなく生徒
の動きを大切にしていきたいと思
う。
評価;◎達成できた
○達成できたが課題あり
△達成出来なかった
(2)
指導案
生活単元学習指導案
日
時 :平 成 2 2 年 1 0 月 2 8 日 木 曜 日 3 校 時
場
所 :ア リ ー ナ
対象生徒:中学部重複学級 男子7名 女子3名 計10名
指 導 者 :吉 福 (T1) 和 田 ( T2) 有 田 (T3)
古 市 (T4) 角 (T5) 川 原 (T6)
増満(T7)
濵﨑(T8)
ア
単元名「秋を楽しもう」
イ 指導計画(2時間)
次
主な活動内容
一 「秋を探そう」
・校内外散策で秋を感じるものを見つける。
二 「中のび村に行こう」
・中のび畑,山,海で秋の食べ物を収穫する。
ウ
時数
1
1
本時
単元目標
「秋を楽しもう」の活動をとおして,秋について知ったり,季節感を感じたりすることができる。
エ 本時の目標(2/2)
・ 友だちとかかわりながら,秋の収穫遊びを楽しむことができる。
オ 個人目標
学年
氏 名
性別
本 時 の 個 人 目 標
1
A
男 ・ 友達や教師の声や歌を聞いて,楽しい雰囲気を感じとり,笑顔を
(T2)
見せることができる。
2
B
男 ・ 友だちとかかわったとき1回でも笑顔を出すことができる。
(T3)
・ 収穫した物をしばらく手に保持していることができる
男 ・ 友だちと仲良く箱車に乗り,移動を楽しむことができる。
3
C
・ 果物や魚の収穫では,友だちや教師と一緒にツルや網を引っ張っ
(T2)
て,積極的に活動に参加することができる。
男 ・ 友達や教師の声や歌声を聴きながら,声や笑顔で気持ちを表出す
1
D
ることができる。
(T5)
・ 収穫遊びをとおして,実際の果物や芋,網の感触を感じ取ること
ができる。
男 ・ 楽しい雰囲気の中で,積極的に友達にかかわろうとすることがで
2
E
きる。
(T5)
・ 「秋の食材」について,興味をもつことができる。
女 ・ 声を出したり,体を動かしたりして,自ら友達とのかかわりを楽
2
F
しむことができる。
(T4)
・ 秋の果物や野菜などの名前を言いながら,自ら収穫することがで
きる。
男 ・ 収穫遊びの楽しい雰囲気やみんなで活動する楽しさを感じ取り笑
2
G
顔で活動することができる。
(T6)
・ 果物やつる・網などを触ったりつかんだりして,感触を感じ取る
ことができる。
女 ・ 収穫遊びに参加し,友達と協力したり,かかわりを楽しんだりす
3
H
ることができる。
(T7)
・ 「秋」の季節を感じ,畑・山・海で収穫できる「秋の食材」につ
いて知ることができる。
1
I
女 ・ 友だちとかかわりながら,教師と一緒に収穫することができる。
(T8)
・ 秋の食材を知ることができる。
2
J
男 ・ 自分で秋の食べ物を収穫することができる。
(T1)
・ 友だちに触れるなどしてかかわることができる。
・
- 35 -
カ
実際
過程
1
導
入
10
分
2
主な学習活動
はじめのあいさつをする。
前時を振り返る。
・ 秋を感じるものを発表す
る。
本時の学習について知る。
中のび村に行こう
4 本時の学習内容について説
明を聞く。
教師の支援や手立て(○) 留意点(・)
○ 顔をあげたり背すじをのばしたりするよ
うに言葉かけを行う。
○ 枯れ葉や果物などを提示し,前時に学習
したものを思い出せるようにする。
○ ハテナボックスに入った枯れ葉や果物を
触ることで生徒の興味関心を引き出す。
3
5
中のび村で活動する。
※中のびバスへ移動する。
(1)
・
展
開
30
分
中のび畑に行く。
芋を収穫する。
(2) 中のび山へ行く。
・ 柿,栗,梨,りんご
を収穫する。
(3)
・
6
中のび海へ行く。
魚を収獲する。
※車いすに乗り換える。
本時のまとめをする。
終
末
○
○
おわりのあいさつをする。
・ハテナ
ボックス
・タイトル
カード
・地図
・箱車
・かご
・芋
○
・カード
秋の山,畑,海でどんなものが獲れたの
かを生徒が発表できるように言葉かけを行
う。
○ 前時を含めて振り返り,「秋」について
確認できるようにする。
7
・枯れ葉,芋
出かける楽しい雰囲気やそれぞれの場所
の特色を乗り物や BGM,教師の役づくり
などで出すようにする。
○ 中のび畑では,サツマイモのつるを全員
で「うんとこしょどっこいしょ」のかけ声
に合わせて引っ張り,みんなで一緒に活動
する楽しさを感じることができるようにす
る。
・ 中のび山にぶらさがっている柿,栗,梨,
りんごなどの果物を収穫したり,触ったり,
においをかいだりすることによって収穫す
る楽しさを味わえるようにする。
○ 中のび海では,全員で地引き網を引っ張
ってさんまを収獲し,みんなで一緒に活動
する楽しさを感じることができるようにす
る。
○ 移動時は「バスに乗って」を歌って,生
徒の期待感を高める。
・ 活動時は生徒の実態に応じた支援や言葉
かけを行う。
・ 活動時は安全に十分留意する。
10
分
中のび村の「中のび畑」,「中のび山」,
「中のび海」への地図を示し,それぞれの
場所での活動を視覚的に提示する。また,
生徒の期待感を高められるように言葉かけ
を行う。
教材教具等
○
顔をあげたり背すじをのばしたりするよ
うに言葉かけを行う。
- 36 -
・木
・りんご
・梨
・栗
・さんま
・あみ
・BGM
「よさこい
ソーラン」
7
成果と課題
(1)
成果
○
ミーティングにより,生徒一人一人のニーズのとらえ方が適切だったかのかを教師全体で共
通理解することができた。それにより,手だてを見直す,支援を工夫するなどして授業の改善
につながった。
○
生徒同士のかかわりを授業で意図的に設定したり,教師が橋渡ししたりすることでお互いの
つながりが見られた。
(2)
課題
●
生活単元学習について単元の配列や時数を見直すことで,目標の達成や評価をしやすくでき
るのではないか。
●
小学部や高等部との系統的に学習を進める必要もある。
●
ミーティングにおいて,目標をより具体的に共通理解する必要がある。そのことにより,生
徒の一人一人の目標を具体的に設定し,指導内容や方法を工夫することができる。
●
リレースイッチなど教材・教具の効果的な利用について,さらに研修を深め,生徒に「発信」
できる機会を作りたい。
●
8
・
生徒同士のつながりを生み出す教師の支援の仕方について工夫したい。
引用・参考文献
特別支援学校学習指導要領解説
総則等編(幼稚部・小学部・中学部)文部科学省
- 37 -
高等部A・B課程
1
グループ研究主題
38
2
研究主題設定の理由
38
3
研究の内容
39
4
研究の方法
39
5
研究計画
39
6
研究の実際
39
(1)
授業前ミーティング
(2)
指導案
7
成果と課題
(1)
成果
(2)
課題
43
高等部A・B課程
1
グループ研究主題
一人一人の教育的ニーズに応じた授業実践
~コミュニケーション能力の向上を目指して~
2
研究主題設定の理由
昨年度まで,「一人一人の子どものコミュニケーションの力を育む自立活動の実践」という研究
主題のもと,「個別の指導計画」に基づいた小学部・中学部・高等部の『合同自立活動』の授業実
践の在り方について研究を行ってきた。
学部を超えた異年齢集団の中,通常の授業時より多くの人とかかわりを持たせながら日常生活に
つながるコミュニケーション能力の向上のために様々な取組を重ねた。少人数ではあるが,相手の
意見をしっかり聞き,相手のことを考えながら自分の考えや気持ちを伝えようとする児童生徒の姿
も見られるようになってきた。その中で,次のような課題も明らかになった。
(1)
一人一人のコミュニケーション能力の向上を図るために言語活動をさらに充実させる。
(2)
単に言葉だけのやりとりをできるように指導するだけではなく,よりよいコミュニケーショ
ンがとれるように自分や相手のことを大切にする気持ちや心を育てる指導をする必要がある。
(3)
少人数におけるコミュニケーション能力の育成。
これらの課題を踏まえ,今年度の取り組みを行った。
生徒の状況等については,次のとおりである。
・
言語でのコミュニケーションが可能な生徒である。
・
生徒の病気や状態は多岐にわたり,短期・長期の入院や通院による病気の治療を受けてい
る。そのため,学校での活動時間の制約を受けているほか,学習の空白や遅れ,経験の不足
や偏り,身体活動の制限等を伴う場合が多い。
・
大人数で学習する機会が少なく,集団への参加の経験が少ない。
・
教師や病院職員等とのコミュニケーションは比較的うまくとれるが,児童生徒同士のコミ
ュニケーションはうまくとれない場合が多い。また,児童生徒同士のコミュニケーションの
場も少ない。
高等部標準学級の生徒は,昨年度4名,本年度1年生2名が加わり6名(内 B 課程2名)と
いう少人数である。普段の生活では,教師との関わりが多く,生徒同士で話し合う場面が少ない
のが現状である。また,全員が児童生徒会の役員ではあるが,生徒会活動において時間(15分
程度)を制約されていることから,ある程度教師が準備し,話し合い等を行っている状況でもあ
る。話し合い活動の中で,自分の意見を上手に伝えることや,状況を判断した発言などを行う機
会が少ないことも含めて課題は多い。
今回は,学習発表会を控え,発表内容から台詞の内容までを一通り生徒に検討させた。その中
で自分の意見や考えを周りの人にどのように伝えればよいのか,また,お互いの良さを認め合い
ながら一つのものを創り上げるために話し合いを上手に進めていくことを身につけられるように
することをねらいにした。
- 38 -
3
研究の内容
○
お互いの意見や考えを伝えることの大切さの指導について。
○
相手の意見を尊重しながら,言葉遣いや伝えたい内容をわかりやすく相手に伝える授業展開に
ついて。
4
研究の方法
(1)
生徒の実態把握,研究内容の検討
(2)
授業前ミーティング(授業の目標,コミュニケーションを深める活動,教師のかかわり方)
(3)
研究授業
(4)
授業反省 (教師のかかわり方の評価)
(5)
授業改善 (教育活動の中での指導の在り方)
5
研究計画
月
日
6
研
究
内
容
17 ・グループの研究テーマ決定
9
9 ・各グループの研究内容についての共有(全体)
・研究授業までの日程確認
10 14 ・授業準備,指導案作成
10 21 ・授業前ミーティング
10 28 ・研究授業及び授業反省
11 25 ・研究のまとめ(成果と課題)
1
6
13 ・研究報告会
研究の実際
(1)
授業前ミーティング
創育(総合的な学習の時間)の授業における評価と改善
ア
単元名「学習発表会に向けて」
イ
全体目標
○
劇を通して,友達同士の会話のやりとりを深める。
○
劇を通して,お互いの良さを認め合い,協力し助け合っていくことを学習する。
- 39 -
ウ
単元における評価と改善
学年 氏名 性別
1
A
個人目標
教師のかかわり
評価
女 ・ 自分なりの言葉で, ・ 録画を見て振り返ら △
自分のことを説明す
ることができる。
せる。
・
B
シミュレーションを
男 ・ 友だちの発言を引き ・ 録画を見て振り返り △
出すような言葉かけを
することができる。
を行わせる。
・
〈目標〉
・ 言葉づかいに注意した発言ができる。
行う場の設定を行う。
1
改善点
シミュレーションを
行う場の設定を行う。
〈教師のかかわり〉
・ 発言に迷う点についてメモを取らせる。
〈目標〉
・ 表情豊かに,わかりやすい表現を行える。
〈教師のかかわり〉
・
いろいろな相手とシミュレーションを行わ
せる。
2
C
男 ・ 場面設定に応じた発 ・ シミュレーション練 ○
言の仕方を工夫する
習を繰り返し行わせ
ことができる。
る。
〈目標〉
・
相手に対する視線や距離に応じた声量を調
節しながら発言することができる。
〈教師のかかわり〉
・
場面状況把握しやすくするような言葉かけ
をする。
3
D
男 ・ リーダーシップを発 ・ 録画を見て振り返り ○
揮し,みんなの意見を
を行わせる。
まとめることができ ・
る。
場面ごとの台詞を整
理させ,発言を引き出
〈目標〉
・ 相手の発言を引き出す言葉かけができる。
〈教師のかかわり〉
・
させる。
3
E
せる。
男 ・ 積極的に発言し,友 ・ 録画を見て振り返り △
だちに直接思いやりの
ある助言ができる。
を行わせる。
・
いろいろな相手とシミュレーションを行わ
発言に対し,注目を
促す。
〈目標〉
・
相手の状況に合わせて思いやりのある助言
ができる。
〈教師のかかわり〉
・ 自分なりに考えて発言する機会を設定する。
3
F
男 ・ 積極的に発言し,友 ・ 録画を見て振り返り ○
だちの発言を引き出す
を行わせる。
ような言葉かけをする ・
ことができる。
改善につながる助言
を促す。
〈目標〉
・ 相手の発言を引き出す言葉かけができる。
〈教師のかかわり〉
・ 演技する役柄を理解させる。
評価:◎達成できた
○達成できたが課題有り
△達成できなかった
- 40 -
(2)
指導案
「総合的な学習の時間」学習指導案
日
時:平成 22 年 10 月 28 日(木)3校時
場
所:高等部標準学級プレイルーム,1,3 年教室
対象生徒:高等部標準学級
1 年男子 1 名
女子 1 名
2 年男子 1 名
女子 0 名
3 年男子 3 名
女子 0 名
計6名
指導者:平野(T1),西竹(T2),窪田(T3),
前澤 (T4),島木 (T5),本村(T6)
ア
題材名
学習発表会に向けて
イ
単元計画(全15時間)
次
計画内容
時数
一
学習発表会でのテーマについて話し合う。劇の内容を決める。
1
二
劇のあらすじについて話し合う。
2
三
台詞について話し合い,練習を行う。
6
四
ステージ練習を行い,劇の修正点を話し合う。
5
五
本番の反省点を話し合う。
1
ウ
(本時,11/15)
単元の目標
・
劇を通して,友達同士の会話のやりとりを深める。
・
劇を通して,お互いの良さを認め合い,協力し助け合っていくことを学習する。
エ
個人目標
学年
氏名
性別
本時の個人目標
1
A
女
言葉づかいに注意しながら発言することができる。
1
B
男
表情豊かに,相手に分かりやすい表現を行うことができる。
2
C
男
相手に対する視線や距離に応じた声量を調節しながら発言することができる。
3
D
男
発言がスムーズに行えるような言葉かけをすることができる。
3
E
男
相手の状況に合わせて友だちに直接思いやりのある発言ができる。
3
F
男
友だちの発言を引き出すような言葉かけをすることができる。
- 41 -
オ
実
際
過程
主な学習活動
導入
5分
教師の支援や手だて(○)留意点(・)
・
1
はじめのあいさつ
2
本時の目標と学習内容 ○
を確認する。
・
○
健康観察を行う。
教材教具等
・ホワイトボード
代表にあいさつをさせる。
目標となる劇のタイトルに注目させる。
学習内容を確認させる。
「いい劇を創るために活発
な話し合い活動をしよう」
展開
10分
3
前回までの学習を振り
返る。
(1)
自分の役柄を確認す
る。
・登場人物確
○
劇の中で,登場人物の登場場面,困ってい 認シート
て何を必要としているか,大切にしていて交 ・PC
換条件としてあげるものは何かに注目させ ・モニター
る。
(2)
前時の反省点を振り返 ○
・台本
各自の反省点に注目させる。
る。
30分
4
グループに分かれて劇 ・
1,2年(A,B,C)(T1,5,3)と3年(D,
の練習と振り返りの話し
E,F)(T2,6,4)のグループに分かれる。グ
合いを繰り返す。
ループにいない役柄は,交代で代役をする。
(1)
各自,自分の気をつけ 1,2年;1年教室にて
る点等の目標を設定する。3年;3年教室にて
○
生徒の発言に注目させるような言葉かけを
行う。
(2)
お互いに演技の良かっ
た点やアドバイス等の意 ○
見を交換する。
自分から助言を求めたり,良かったところ
を褒めたり,前向きに取り組ませる。
・
各グループの司会者は,発言者を指名する。
発言内容は,①自己反省点を述べる。②助言
を求める。
1,2年グループの司会:C
3年グループの司会:D
終末
5
5分
今日の学習のまとめを ・
各グループごとに発表する。
する。
6
おわりのあいさつをす ○
る。
○
健康観察を行う。
代表にあいさつをさせる。
- 42 -
・小道具
7
成果と課題
(1)
成果
○
劇を演じることに自己の存在を意識させ,代役を演じることで他人の立場を体験させること
ができた。また,集団活動において,議論させることを教師が意識的に設定することで,友人
や先輩・後輩との距離感を学ばせ,さらに相手の状況や心情に配慮しようという気持ちを育て
ることができた。
○
(2)
学年の枠を超えた教師の連携によって,生徒間の交流が活発に見られるようになった。
課題
○
総合的な学習の時間だけでなく,学校生活や家庭・病棟での生活全般で言葉に対する意識を
高める段組を工夫する必要がある。また,学校においては各教科等の関連も考慮し指導計画の
見直しも検討したい。
○
環境を整えるという意味でも,今後さらにパソコンやブログなどへの知識や技能を高めてい
くことも求められる。
(a)話し合い
(b)劇の練習
図1
授業の様子
- 43 -
高等部C・D課程
1
グループ研究主題
44
2
研究主題設定の理由
44
3
研究内容
44
4
研究方法
44
5
研究計画
44
6
研究の実際
45
(1)
授業前ミーティング
(2)
指導案
7
成果と課題
(1)
成果
(2)
課題
8
引用・参考文献
48
48
高等部 C・D 課程
1 グループ研究主題
一人一人の教育的ニーズに応じた授業実践
~自立活動の骨組みと個に応じた取組に視点をあてて~
2 研究主題設定の理由
生活上又は学習上の困難を,子どもが主体的に改善・克服することをねらいとしている「自立活動」は,本校
の教育において,大変重要な位置を占める。本学級の生徒の実態は幅広く,個々の持つ課題も様々であるため,
より一人一人の課題に応じた弾力的な取組が可能となる「自立活動」は,生徒にとって大切な指導領域といえる。
今年度,各学部に自立活動専任が配置された。また,学習指導要領の改訂に伴い,
「人間関係の形成」の区分が
新たに加えられるなど,各学校において自立活動のさらなる取組が求められている。そこで,今年度は,新しい
体制での自立活動の骨組みを作るとともに,一人一人の教育的ニーズに基づく自立活動の取組をより充実させた
いと考える。そのためにも,個別の指導計画の充実を図り,Plan(計画)-Do(実践)-Check(評価)-Action
(改善)の過程に沿って,指導を進めていく必要がある。特に,Check(評価)-Action(改善)の部分を充実
させることで,より生徒の実態に対応した活動の内容とその手だてを展開していけるのではないかと考える。
3 研究の内容
○ 自立活動の骨組みの在り方について
○ 一人一人の教育的ニーズに基づく自立活動の取組と検証
4 研究の方法
(1) 実態把握及び個別の指導計画Ⅲ作成
(2) 検討会
(3) 授業実践,授業前ミーティング,研究授業,授業反省
(4) まとめ
5 研究計画
月 日
4~5 月
6
9
6 17
6 23
6 30
6~7 月
7月
7~8 月
8 31
9
9
9
9
9
11
12
1
2
13
14
27
25
20
13
10
研 究 内 容
実態把握,個別の指導計画Ⅲ作成
検討会:個別の指導計画Ⅲについて(その1)
研究テーマ決定,研究の具体的内容についての確認,研究計画の作成
【グループ:各学級】
【グループ:選抜メンバー】
【グループ:全員】
検討会:個別の指導計画Ⅲについて(その2)
【グループ:選抜メンバー】
検討会:個別の指導計画Ⅲについて(その3)
【グループ:選抜メンバー】
個別の指導計画Ⅲに基づく授業実践
【グループ:各学級】
アンケートの実施及び集約
【グループ:全員】
授業準備,指導案等作成
【グループ:対象学級】
授業前ミーティング
【グループ:全員】
各グループの研究内容についての共有,授業略案等の書式案の共通理解,研究授業までの日程確認
【全体】
【グループ:全員】
研究授業
【ビデオ撮影】
研究授業ビデオ視聴
【高等部標準・重複学級】
授業反省
【高等部標準・重複学級】
各グループにおける研究のまとめ①(成果と課題)
【グループ:全員】
各グループにおける研究のまとめ②(成果と課題)
【グループ:全員】
各グループ研究報告会
【全体】
本年度の研究のまとめ,アンケートをもとにした次年度の研究の方向性の提案
【全体】
-44-
6 研究の実際
(1) 授業前ミーティング
自立活動の授業における評価と改善
ア 題材名
A「パソコンをしよう」
B「伝えよう動こう」
イ 単元における評価と改善
学年 氏名 性別
個人目標
教師のかかわり
・ 姿勢を意識させな ・ 体が傾いたり,うつむ
がら,顔をあげて画
いたりしたときは,その
面を見ることがで
都度言葉かけをするよう
きる。
にする。
高2 A 男
・ ペンを握って,腕 ・ ペンを握っている手や
を動かし,線を描い
腕の状態を常に確認しな
たり,色を塗ったり
がら,描きやすいように
することができる。
握らせるようにする。
・ 自分なりの方法 ・ 視線や発声や表情が引
で,自分の思いを伝
き出せるような言葉かけ
えることができる。
を多くしたり,選択でき
るように具体物や写真な
どを提示して,発声や表
情で決める場面を持たせ
たりする。
高1 B 男 ・ 目的に合わせた身 ・ SRCウオーカーやボ
体や手足の動きを
ールけりなどの好きな活
促すことができる。
動をすることで身体を動
かすようにする。
高2
C
女
C「友ちゃんサーキット」
評価
○
△
○
・ 車いす操作や抗重 ・ 生徒が理解できる言葉
力姿勢の獲得に向
かけをする。
けて,情緒の安定を ・ 意欲が高まるような具
図りながら集中し
体物を使って行う。
○
て取り組むことが ・ 四つばい姿勢や膝立ち
できる。
の際に,膝が開いてしま
うので開かないように押
さえる。
評価 : ◎達成できた
-45-
改善点
〈指導目標〉
・ 姿勢を意識しながら,画
面を見ることができるよ
うにする。
・ ペンを握って,線を自由
に描いたり,色を塗ったり
することができるように
する。
〈指導目標〉
・ したい活動を選び,視線
や声で伝えることができ
るようにする。
・ 手足を自分で動かすこと
ができるようにする。
〈教師のかかわり〉
・ コミュニケーションボー
ドを使って,写真カードを
提示したり言葉かけをし
たりして,生徒の意思を引
き出すようにする。
・ 興味のある用具を使って
自発的な手や足の動きを
引き出すようにする。
〈教師のかかわり〉
・ 写真カードを使って,学
習の見通しをよりいっそ
う持たせる。
・ カラーボールと輪投げの
2 つの活動から,自分の好
きな方を選ばせて意欲的
に行わせる。
○達成できたが課題あり
△達成できなかった
(2) 指導案
自立活動学習指導案
日
場
時:平成22年9月13日 月曜日 3校時
所:導入と終末;高のび2組教室
A;高のび2組教室 B,C;自立活動室
対象生徒:高等部重複学級2組(男子2名 女子1名 計3名)
指 導 者:A;大重 博美 B;山口 眞理 C;松尾 康平
ア 題材名
A「パソコンをしよう」 B「伝えよう動こう」 C「友ちゃんサーキット」
イ 本時の目標
学年 氏名 性別
本時の目標
・ 姿勢を意識しながら,画面を見ることができる。
高2
A
男
・ ペンを握って,線を自由に描いたり,色を塗ったりすることができる。
・ したい活動を選び,視線や声で伝えることができる。
高1
B
男
・ 手や足を自分で動かすことができる。
・ 車いす操作や抗重力姿勢の獲得に向けて,情緒の安定を図りながら集中して取り
高2
C
女
組むことができる。
ウ 実際
A,B,C(場所;高のび教室 2 組)
過
主な学習活動
教師の支援や手立て(○)留意点(・)
教材教具等
程
導 1 はじめのあいさつをする。 ・ 代表(当番)にあいさつをさせる。
ホワイトボード
入 2 本時の学習内容と目標を確 ○ 担当の先生が学習内容を思い出せるように働き コミュニケー
ションボード
5
認する。
かけ,本時の内容を考えさせる。
分
○ 本時の学習内容と目標を発表させる。
写真カード
A(場所;高のび 2 組教室)
3 学習内容と学習中に気を付 ○ 学習の流れを確認し,見通しを持たせる。
パソコン
けることを再確認する。
・ 生徒が理解しているか確認しながら進める。
ペンタブレ
4 選んだ色で画面いっぱいに ○ ペンの握り方を確認し,腕の力を抜き,画面を ット
自由に線を描く。
見ながら描くようにさせる。
プリンター
○ ペンに滑り止めやクリップをつけ,しっかりと
握れるように持ち方を工夫する。
5 選んだ色で選んだ枠の中を ○ 具体的な色を何種類かあげ,その中から好きな
塗りつぶす。
色を選ばせるようにする。
・ 本人が納得するまでさせる。
展
○ 色や枠を見せて,どれにするか選びやすいよう
開
にする。
35
○ 生徒の動きや状態から,ペンの握り方や姿勢に
分
ついて言葉かけをする。
○ 線や塗っている場所が偏ることがあるので,そ
の都度言葉かけをし,腕を動かす範囲や姿勢に気
を付けさせ,画面を見ながら描くように促す。
・ 本人が納得するまでさせる。
○ 集中力が途切れないように,意欲が高まるよう
な言葉かけをする。
6 印刷して確認する。
○ 頑張ったことやできたことを発表させる。
・ できたことや頑張ったことを賞賛する。
-46-
B(場所;自立活動室)
3 4つの活動から1つを選 ○ 教師から向かって生徒の視線が見えるように,
び,今日のメインメニューを
透明なボードを使用する。
決める。
・ コミュニケーションボードに貼ってある写真カ
ードに視線を向けやすい角度で提示する。
【写真カード】
4 自立活動室への移動方法を
ボール遊び
:足の動きを促す
選ぶ。
キーボード遊び:手の動きを促す
風船遊び
:手足の動きを促す
スイッチ遊び:手足の動きを促す
5 活動内容を確認する。
【移動方法】
展
SRCで行く
車いすで行く
開 6 メニューに従って活動す ○ 選びやすいように2つの活動から選択させる。
る。
35
・ 視線と発声で優位なもので決めるようにする。
① 自立活動室へ移動
分
○ 活動順序,活動内容を整理して提示し,写真と
② メインメニュー
言葉で確認させる。
③ 体操
・ 移動の仕方について,SRCを選択した場合は,
④ 活動反省
他の教師の支援を依頼し,乗り降りの安全に配慮
⑤ 教室へ移動
する。
○ 表を使って,メインメニューに必要な体操項目
を確認させる。
・ 体調によっては,ゆったりとした姿勢をとらせる。
○ 表情カードを使いボードに評価として貼り付け
たり,賞賛したりする。
○ 教室への移動についてもカードで選択させる。
C(場所;自立活動室)
3 活動内容を聞く。
○ 写真カードで本時の学習内容を説明・提示する
ことで見通しを持たせる。
4 車いすで自立活動室に移動 ○ 「レッツゴー」や「用意ドン」などの言葉かけ
する。
をしたり,発声させたりする。
5 車いすから降りる。
・ 到着後,自分で降りるように伝える。その際,
転倒しないように補助をする。
展
6 活動内容を再確認する。
○ 再度写真カードで活動内容の見通しを持たせる。
開
① 自立活動室へ移動
○ カラーボールか輪投げのどちらかを選ばせ,四
35
② 車いすから降りる。
つばい姿勢を促す。
分
③ 四つばい姿勢
○ 意欲が高まるような具体物を提示する。
④ 膝立ち
○ 下肢の分化を図るための体操(仰臥位・いす座
⑤ 体操
位)をする。
⑥ 活動反省
○ 頑張ったことや楽しかったことを写真カードか
⑦ 教室へ移動
ら選ばせるようにする。
○ できたことや頑張ったことを賞賛する。
A,B,C(場所;高のび教室 2 組)
7 学習を振り返る。
・ 生徒の実態に合わせて,ゆったりとした姿勢を
とるようにする。
終
○ 学習活動を発表させる。
末
・ 積極的に発表できるように言葉かけをし,よか
10
ったこと賞賛する。
分
8 終わりのあいさつをする。 ・ 代表(当番)にあいさつをさせる。
-47-
コミュニケー
ションボード
写真カード
活動の BGM
体操表
評価カード
写真カード
ロールバー
カラーボー
ル
輪投げ
7 成果と課題
(1) 成果
○ ミーティングを行うことで,教師同士が情報を共有したり,生徒の目標への意識を高めたりすることが
できた。
○ 各学級の指導体制は,固定・ローテーションなどと工夫することができた。それぞれに学習の定着が図
りやすい,複数の教師でさらに深くかかわれたなどのメリットがあった。
(2) 課題
● 指導体制の工夫については,それぞれにメリットがあったが,どのような場面でどの指導体制が良いの
かなどについてもまとめておき,今後に生かしたい。
● 評価・改善に生かすための記録簿であったが,その記入が徹底されていないこともあった。記録簿から,
取組の状況や生徒の伸び,変容等も見えてくる。その必要性を一人一人が認識しながら,簡単にでも記入
する習慣を定着させていきたい。
● 自立活動専任に頼ったところが大きかった。今後,生徒の実態は幅広いものになると予想されることか
ら,さらに専門性の向上に努めたい。
● 学習環境については,集団学習と個別学習を効果的に取り入れる必要がある。
8 引用・参考文献
特別支援学校学習指導要領解説自立活動編(幼稚部・小学部・中学部・高等部 平成21年6月発行)
-48-
-49-
小・中学部・高等部E課程
1
グループ研究主題
49
2
研究主題設定の理由
49
3
研究内容
49
4
研究方法
49
5
研究計画
50
6
研究の実際
50
(1)
授業前ミーティング
(2)
指導案
(3)
各学級の「リラックス」観・リラクセイションの手段について
7
成果と課題
(1)
成果
(2)
課題
8
引用・参考文献
58
58
小・中学部・高等部E課程
1
グループ研究主題
一人一人の教育的ニーズに応じた授業実践
~ 音楽的アプローチで引き出すリラクセイション~
2
研究主題設定の理由
訪問学級には,本年度8・9・10 病棟で生活する学齢超過生グループの生徒 8 名(3 ク
ラス)と9・10 病棟で生活するベッドサイド学習グループの児童生徒 11 名(4 クラス)
が在籍し,自立活動を主として学習を進めている。
授業の形態としては,各クラス担任による個別の授業を中心とし,学齢超過生・ベッ
ドサイドともそれぞれに週に 1 回の合同学習を実施している。
児童生徒に関する職員間の共通理解の場としては,訪問学級の担任間で週に1回のミ
ーティングを開き,1 週間の予定や児童生徒の健康や家庭についての情報交換をおこな
う一方,毎朝日程の確認等のため打ち合わせをするように設定している。
しかし,実際の個別の授業や互いの学習グループでの合同学習の様子については,学
習の場所が違ったり授業時間が重なったりすることもあり,参観する機会が少なく,互
いに評価し合ったり,反省し合ったりできる場が持てないのが実情である。
特に,体力的に学校や学部の行事にスクーリングでの参加が可能な学齢超過生と,医
療的なケアを常に必要とするベッドサイド学習グループの児童生徒では,身体面だけで
なく,生活年齢や生活経験の違いも大きく,授業の組み立てや内容,教材の扱い方等も
全く違うものになっており,それぞれの学習グループの担任間のみで,学習を進めるし
かない現状がある。
相互の学習グループや各担任間の授業の進め方や児童生徒のとらえ方等,複数の視点
から確認しあえるよう,共通の問題点を考えると,訪問学級の児童生徒に共通して不可
欠な課題の一つに「心身のリラクセイション」があり,その引き出し方は個々の児童生
徒の病状や入院生活,生育状況を含めた家庭などの背景的なもの等により異なるものの,
共通して音楽やスキンシップは有効である。
そこで,今年度は,音楽的なかかわりをベースとした,個々の児童生徒のリラクセイ
ションのあり方を模索していくことにする。
3 研究の内容
(1) 個々の児童生徒のリラクセイションのとらえ方・引き出し方について職員間の共通
理解と手立てやアイディア等に関する情報提供・検討。
(2) 各学習グループでの合同学習における音楽的なかかわりによるリラクセイションの
実践。
4 研究方法
(1) 学齢超過生の授業については,ステップアップ研修を兼ねて,全担任による授業参
観とVTR利用による検討会を実施し,意見交換をおこない,指導案の検討と研究授
業で授業実践をする。
(2)
各学習グループの合同学習や個別の学習の中で,児童生徒のリラックスの状態や好
きな歌遊び・活動について授業を実践し,全担任で情報交換や問題点の検討をする。
ア 個別の学習については,各学級の児童生徒から 1 名を対象者として,略案による
授業実践・授業反省をする(月曜日朝の定例ミーティングで1人~2 人ずつ)。
イ 合同学習については,各学習グループで,略案による指導案検討・実践・反省を
実施する(記録誌活用)。
- 49 -
5
月
5
6
研究計画
日
6 全体
2 グループ
研修担当
17 グループ
研
究
内
容
学校主題研究計画
E課程グループのテーマ検討,研究内容の検討
研究テーマ決定
・研究の具体的内容について確認
・研究計画の作成
9
9
全体
・各グループの研究内容についての共有・略案の書式確認
グループ ・経験者研修における指導案の検討,日程確認
・E課程各クラスの略案授業について確認
9~10 月 グループ ・授業準備・指導案作成・各クラスの略案授業実践
9
30 グループ ★グループ内での研究授業1
・授業反省・検討
10
4 グループ ・指導案検討
10
18 グループ ・指導案確認,研究授業当日の係分担・動きの確認
10
25 グループ ・指導案検討
10
11
28
25
12
1
2
6
13
10
グループ ★研究授業2及び授業研究・反省
グループ ・グループ研究のまとめ(成果と課題)
全体
全体
全体
・各グループ研究報告会 1
・各グループ研究報告会 2
・来年度の研究について
6 研究の実際
(1) 授業前ミーティング
高等部 6 組の 10 月 28 日の研究授業に向けて,ステップアップ研修として訪問教
育担当教師全員による細案の検討を続けると共に,およそ 1 か月前の 9 月 30 日に
実際の授業を全員で参観し,KJ法により感想や意見交換を行い,改善点などを検
討した。また,授業者自身へはビデオで全体を撮影し,反省資料にしてもらった。
自立活動の授業における評価と改善
ア
イ
題材名「たいそうをしよう」
自立活動年間指導目標
○ サインや発声により,「はい」「いいえ」の意思が,できる限り伝えることができ
るようにする。
○ 散歩などで外気に触れたり,好きな曲を聞いたり,好きな絵本を見たりして,
興味・関心を拡大する。
○ いろいろな感覚を刺激したり,リラックス体操を行ったりすることで,健康の
保持増進を図るようにする。
ウ 題材における評価と改善
学 氏 性
年 名 別
高 Y 女
2
個人目標
・
言葉かけをしてもら
いながら,教師と一緒
に楽しく活動すること
ができる。
・
なるべく緊張をしな
いで腕や手首,足首を
動かすことができる。
教師の
評
改 善 点
かかわり
価
・ ゆったりしたテンポ ◎ <目標>
の音楽で穏やかな雰囲
・ 教師の言葉かけやスキ
気を作る。
ンシップを通して,身体
各部位の緊張が緩み,穏
やかに活動することがで
・ 力を抜くように言葉 ○
きる。
掛けして,緩まないと
・ 音楽に耳を傾けながら,
きは無理に動かさず,
リラックスして活動に取
合わせる。
り組むことができる。
- 50 -
・
音楽を聞きながら,
笑顔でリラックスして
活動に取り組む事がで
きる。
評価:◎達成できた
(2)
・
不安を感じさせない
ように,Y.T.の視界
内で行う。
・
音楽を聞きながら,
身体にやさしく触れ,
自発的な動きを促す。
○達成できたが課題有り
○ <教師のかかわり>
・ Y.T.の見やすい位置を
考慮し,キーボード設置
や目標の掲示場所など,
場の設定を工夫する。
△達成できなかった
研究授業指導案
自立活動学習指導案
日 時:平成22年10月28日 木曜日 2校時
場 所:訪問教育棟ホール
対象生徒:高等部訪問学級3組(2年・女)1名
指導者:髙木浩一郎
ア
イ
題材名「たいそうをしよう」
本時の目標(個人目標)
○ 教師の言葉かけやスキンシップを通して,身体各部位の緊張を緩め,穏やかに
活動することができる。
○ 音楽に耳を傾けながら,リラックスして活動に取り組むことができる。
ウ 実際
過程
主な学習活動
※ 病棟から登校し,
活動の準備をする。
Y.T.の動き・支援方法
1
始まりのあいさつ
をする。
・
2
季節の歌を歌う。
「あかとんぼ」
3
本時の学習を知る。
「リラックスしなが
ら,Yさんたいそう
をしよう」
導
入
10
分
Yさんたいそうを
する。
「キンコンカンコン」
(健康観察・準備)
車椅子か
ら降りた状
態でスプロ
ッジの上で
行う。
・ 伴奏を聞
きながら教
師と一緒に
歌を歌う。
教師の支援や手立て(○)留意点(・)
・ 車椅子からマットに移動する際は,
職員に手伝いをもらい,二人で行うよ
うにする。
・ 言葉かけをして授業の始まりを知ら
せるようにする。
・ 顔を見ながら教師と一緒に,あいさ
つをするように促す。
教材教具等
・スプロ
ッジ
・床用マッ
ト
・
ゆったりとした気持ちになるよう
に,音楽のテンポを少し緩める。
・歌詞カー
ド
・
目標カードを掲示しながら「体全体 ・目標カー
の力を抜いてたいそうしましょう」と, ド
安心してたいそうができるようにやさ
しく言葉かけをして,意欲を持てるよ
うにする。
・CD
4
「うみ」
(身体を揺らす)
靴下を脱
いで落ち着
いた様子で
始める。
・ 体を揺ら
すのは好き
「どんぐりころころ」
(両足の裏の指圧)
で,笑顔が
出る。
・ 足裏は敏
感なので,
展
開
25
・
・
クッションやマットを使って姿勢を
安定させる。
・
力が抜けるように,音楽に合わせて
ゆっくり身体を揺らすようにする。
・ CD
ラジカセ
・クッショ
ン
・枕
・
骨の動きや筋肉の状態を確認しなが
ら,ゆっくり指圧するようにする。
- 51 -
分
緊張が緩ま
るよう優し
く指圧する。
「めだかのがっこう」
・ 足首はか
(両足首回し)
なり力が入
っているの
で,ゆっく
り小さく回
す。
「さんぽ」
・ 足首は,
(両足首の曲げ伸ばし)
ゆっくりで
少しずつ伸
ばすことが
できる。
「あかとんぼ」
・ ひざは,
(両ひざの曲げ伸ばし)
かなり力が
入っている
ので,ゆっ
くり曲げた
り伸ばした
りする。
「手と手と手と」
・ 力が入っ
(右手のマッサージ)
ているとき
があるので,
優しく手を
とって緊張
を緩める。
「きらきらぼし」
・ 右手首は,
(右の手首回し)
かなり力が
入っている
ので,ゆっ
くり小さく
回す。
「大きな古時計」
・ 右腕は,
(右腕の曲げ伸ばし)
かなり力が
入っている
ので,ゆっ
くり曲げた
り伸ばした
りする。
「手と手と手と」
・ 力が入っ
(左手のマッサージ)
ているとき
があるので,
優しく手を
とって緊張
を緩める。
「きらきらぼし」
・ 左手首も
(左の手首回し)
右手首と同
様,かなり
力が入って
いるので,
ゆっくり小
さく回す。
「大きな古時計」
・ 左腕も,
(左腕の曲げ伸ばし)
右腕と同様,
かなり力が
入っている
ので,ゆっ
くり曲げた
り伸ばした
りする。
「かたたたき」
(胸をそらせる)
・
ゆっくり
胸をそらす
ことで,穏
やかな表情
になる。
・
力を抜くように言葉かけをして,緊
張が緩まない場合は,無理に動かさず,
その固さに合わせた動きをするように
する。
・
決まった一連の流れに沿って行うよ
うにするが,両ひざ一緒に曲げ伸ばし
することは難しいので,実態に合わせ
て片ひざずつ曲げ伸ばしをするように
する。
・
音楽に合わせながら,手のひらや指
のマッサージをして緊張を緩めるよう
にする。
・
表情を見ながら言葉かけをして,手
首をゆっくりほぐすようにする。
・
活動中,脱臼等事故のないように気
をつける。
・
不安を感じさせないようにY・Tが
見えるところに移動して行う。
・
よりリラックスできるように,顔を
見ながら音楽に合わせて歌いかけた
り,言葉かけをしたりする。
・
音楽を聞きながら,身体にやさしく
触れるようにする。
・
力が抜けるように,ゆっくり胸をそ
らすようにする。
- 52 -
「エーデルワイス」
(背中をなでる)
・
背中をな
でると,よ
く笑顔が見
られ,穏や
かな表情に
なる。
「トロイメライ」
(リラクセイション)
・
全身力を
抜いて落ち
着いた様子
で終わる。
・
楽な姿勢
で教師と一
緒にまとめ
をする。
5
終
末
10
分
本時のまとめをす
る。
6
次時の予告をして,
終わりのあいさつを
する。
7
下校の準備をする。
※
活動の後片づけを
・
Y・Tが不快なときは,穏やかな表
情になるように,身体を揺らす動きや
その他の活動に切り替えるなど臨機応
変に対応する。
・
身体に触れながら,優しく言葉かけ
をして,本時のまとめを伝える。
・ 緊張しているときは,言葉かけをし
て落ち着かせるようにする。
・ 教師と一緒に終わりのあいさつをし
て,活動の終わりを知らせる。
・
スプロッジから車椅子に移動する際
は,クッション,枕などを片づけて,
安全を確認した上で行うようにする。
して,病棟に戻る。
(3)
各学級の「リラックス」観・リラクセイションの手段について
ア 個別の学習
・ 各学級の児童生徒から 1 名を対象とする,略案による授業実践及び,指導案検
討会・授業反省をする。
★ それぞれの生徒の目指す「リラックス」とは?
★ 目的に沿った活動であるか?
★ 他に考えられる,有効な手立てはないのか?
<各学級指導略案より>※ 音楽的なアプローチ部分のみ抽出して掲載する。
※ 6 組は研究授業指導案として前掲する。
1 組:
目 ・ 歌や話に合わせて教師と一緒に身体を動かすことを通して,スキンシップによるリラク
標 セイションを図ると共に,諸感覚の活用を促す。
過
教師の支援や手立て(○) 留意点(・)
教 材
程
主な学習活動
※ 特に重要と考える支援や手立ては◎で書く。
等
展
開
20
分
終
末
3 身体を動かす。
・ 覚醒しきれていないときは,発作が多くなるので,心拍数や呼
・
『金魚の昼寝』
吸,全身の状態を観察しながら進める。
・
『ドングリころころ』 ◎ 体幹部(骨盤)揺らし→体幹部圧迫マッサージ→全身タッピン
・
『おうま』
グ(ゆっくり)→全身タッピング(やや軽快に)の順に触刺激を
・
『お馬はみんな』
入力し,状態を見ながら胸や肩を動かす。
・ 発作や強い緊張が見られる際には,無理に行わないようにする。
4 本の読み聞かせを聴 ○ 登場人物の名前を本人の名前に変えて呼ぶようにする。
く。
○ 読み聞かせのお約束の歌を太鼓で歌い,音発作等の様子を確認
・
「おおきなかぶ」
する。
◎ 「うんとこしょ,どっこいしょ」の場面で,声に合わせて身体
を揺らしたり,軽く持ち上げたりして,陽気な雰囲気で動き遊び
ができるようにする。
・
『まちから大根』
○ 時間的な余裕や,本人の体力的な余裕があるようなら,歌遊び
をする。
(かぶと関連させて大根の歌)
5 静かな歌を聴く。
○ ゆっくりしたテンポの歌で興奮を鎮め,リラックスできるよう
・
『夕焼け小焼け』
にする。
- 53 -
絵本
太鼓・ば
ち
歌詞等
2 組:
目 ・ 教師と一緒に歌遊びやふれあい遊びをすることをとおして,心身のリラクセイションを
標 図り,自発的な動きや表情等を引き出す。
過
主な学習活動
教師の支援や手立て(○) 留意点(・)
教 材
程
※ 特に重要と考える支援や手立ては◎で書く。
等
展
4 わらべうたあそびを ◎ ゆっくりと歌いながら,顔→指先→腕→胸の順に緊張をほぐす。
開
30
分
する。
『ここはとうちゃんにん
どころ』
『ひらいたひらいた』
5 秋の歌であそぶ。
・教師の歌を聴く
『里の秋』
『パフ』
『まっかな秋』
『とんぼのめがね』
・楽器を鳴らす
『
「むしのこえ』
・自然の素材であそぶ
『どんぐりころころ』
6 教師といっしょに絵
本を見る。
「さるかに」
・生徒の体の向き・可動域・人工呼吸器の管に十分留意する。
◎ 静かな曲→元気な曲の順番で歌うようにするが 状況によって
は順番を変える。
・生徒の表情を見ながらゆっくり歌いかける。
カスタネ
ット
どんぐり
○ 鳴き声の部分で鈴やカスタネットをいっしょに鳴らす。
ペット
○ 歌に合わせて,どんぐりをてのひらで感じさせたり,ペットボ ボトル
トルに1個ずつ入れて音を出す。
○ 眠っているときは,
「サライ」や「リラックスできるピアノ曲」 絵本
の音楽に合わせて軽くマッサージを行う。
CD
3組
目 ・ 腕上げの動作を通して,教師の言葉かけに耳を傾け,教師を意識できるようにする。
標 ・ 姿勢や呼吸状態の安定した状態で歌絵本を見聞きできるようにする。
過
主な学習活動
教師の支援や手立て(○) 留意点(・)
教材等
程
※ 特に重要と考える支援や手立ては◎で書く。
展
5 身体を動かす。
開
・全身のマッサージ
25
・腕上げ
分
・歌遊び
・ チューブや機器のコード類が絡まったり引っかかったりしな
いように気をつける。
◎ 言葉かけを聞く・視線を合わせるなど,教師を意識できるよ
うに静かな雰囲気で進めるようにする。
『ココハトウチャン』
○ 顔の各部位に優しく触れ,リラックスできるようにする。
6 歌絵本を聞く。
○ ゆっくりとした速度で歌いかけるようにする。
『はらぺこあおむし』
◎ 絵本を動かしたり色彩の変化をくり返し見せたりすること
絵本
で,絵本に注目できるようにする。
4組
目 ・ 歌や感覚遊び歌等を通して,諸感覚の活用を促すと共に,打楽器の演奏を通して,歌の
標 リズムを味わえるようにする。
・
過
程
自発的な手の動きを大切にしながら,イチョウの形のスポンジで絵を描けるようにする。
主な学習活動
教師の支援や手立て(○) 留意点(・)
教材等
※ 特に重要と考える支援や手立ては◎で書く。
展 3 手遊び歌をする。
◎ アイコンタクトをとりながら,顔や身体に触れて,コミュニ
開 『 一本橋こちょこちょ』
ケーションを深める。
(寝ている時は覚醒を促すように行う。
)
30 『巻いて巻いて食べよ』
分 4 今月の歌を歌う。
○ 赤トンボ,すすき,もみじ等を提示して,秋の様子をかもし 赤とんぼ
『赤とんぼ』
だす。リラックスできるように穏やかな感じで歌う。
すすき,
『まっかな秋』
◎ 生徒がタンバリンをたたきやすいように位置や角度を配慮し もみじ等
ながら支援する。歌や演奏を通して,快の気持ちを引き出す。 タンバリン
5 秋の風景を描く。
◎ 絵を描く前に,スポンジの感触を楽しんだり,スポンジに手 画用紙
①道具の準備をする。
で圧をかける練習をする。
絵の具
- 54 -
5組
・
たいそうを通して体の各部位を緩め,リラックスした状態でポスター制作に臨むことが
目 できるようにする。
標 ・ いろいろな道具を使いながら,手順にそってポスター制作に取り組むことができるよう
にする。
主な学習活動
過
程
教師の支援や手立て(○) 留意点(・)
※ 特に重要と考える支援や手立ては◎で書く。
教材等
導
入
15
「学習発表会のポスター ○ ポスター制作に入る前にたいそうをすることを知らせる。
をかこう」
CD デ
3 たいそうをする。
◎ 枕やクッションでポジショニングをし,リラックスしてたい ッキ
分
『ふれあいリラックス
そうに臨めるよう,環境を整える。
CD
たいそう』
・ 活動の際に主に使用する右手(指や手のひら)を特に重点的 マット・枕
に行うようにする。
クッション
・ 自分で動かすことができる部分は、できるだけ自分で行える
ように言葉掛けをする。
7組
目 ・ 教師の言葉かけや音楽を聞きながら、体の各部位の緊張を緩め,リラックスして活動に
標 取り組むことができるようにする。
過
程
主な学習活動
教師の支援や手立て(○) 留意点(・)
※ 特に重要と考える支援や手立ては◎で書く。
教材教
具等
マット
◎ 音楽に合わせてゆったりとした気持ちで体操を行い,表情や クッション
4 音楽に合わせて体操 ○ マットやクッションを使って姿勢を安定させる。
展
をする。
開
関節の状態等を観察しながら,状況に応じて手足や体の動きを
CD ラ
◎ 音楽に合わせながら,歌ったり言葉かけを行ったりすること ジカセ
調節する。
30
分
で,よりリラックスして活動できるように努める。
・ 活動中、脱臼等の事故がないように気をつける。
イ
合同学習
各学習グループで,略案による実践・反省を実施(記録誌等活用)する。
略案例<ベッドサイドグループ>
自立活動
合同学習計画
授業者: 11 月担当:T1・T2
おはらまつりと秋の空
日時
11/10 日(水)時間は以下の欄を参照
・ 教師と一緒に歌遊びやふれあい遊びをすることをとおして,集団で活動する雰囲気
目標
に触れさせると共に,自発的な動きや発声等を引き出す。
・ 秋や祭りの歌遊びを通して,季節感を育む。
1 校時・・・ 9 病棟 A(小 4)
・B(中 2)
時間・場所
2 校時・・・ 9 病棟 C(小 4)
・D(中 1)
・E(高 3)
3・4 校時・・・10 病棟 F(小 4)
・G(中 1)
・H(中 2)
・I(中 3)
・J(高 3)
過程・時間
学 習 活 動
指導上の留意点
教材・教具
()9 病・《》10 病
導入 (5 分) 1 顔や手の清拭をする。
・ 児童生徒の健康状態について,病 清拭用のタオル
触れる 《15 分》 『おでこさんまいて』
(顔) 棟スタッフと連携して把握しておく。
聞く
『おふろにちゃぷん』
(手) ・ 児童生徒の様子に合わせて実施す
など
る。
題材
聞く
聞く
(5 分) 2 はじまりのあいさつをす ・ 朝・昼のあいさつ,授業開始の号令
《15 分》 る。
3 はじまりの歌を歌う。
・
9 病棟「おはようございます」
- 55 -
キーボード
・
『あさのうた』
(呼名)
(10 分) 4「今月の歌」を歌う。
《10 分》 『小さい秋みつけた』
聞く
10 病棟「こんにちは はじめましょう」 カメラ
・ 担任と一緒にできる範囲で手や体
を動かす。
歌詞
展開 (15 分) 5 秋の歌遊びをする。
・ 児童生徒のできる方法でひもを引い 歌詞
聞く 《40 分》 『なんだかおなかがすいた て秋の食べ物を選択する。
秋の食べ物つきいき
見る
休息を入 ので』
・ 教師がシャッフルしながら行う。 いき畑
触れる れながら
揺れる 活動する
触れる
聞く
見る
聞く
6 『おはら節』でおどろう。 ・ 手拍子や合いの手などで雰囲気を盛
(1) リズムに合わせてタッ り上げる。
CD,デッキ,延長
ピングや揺れを味わう。 ・ 児童生徒の様子に合わせて実施す コード
る。
歌詞
・ 刺激の強い音色は扱いに注意する。 はっぴ
和楽器
・ リラックスできるように最後は静か
に歌を聴かせる。
歌詞
(2) 和楽器を鳴らす。
7 教師の合唱で歌を聴く。
『旅愁』
終末 (5 分) 8 学習のまとめをする。
聞く 《10 分》 ・感想発表,次時の話
・ 発表したいという意思表示がみられ
た児童生徒には指名する。
9 終わりのあいさつをする。
※
※
※
時間があるようなら,歌遊びをする。(『もみじ』『焼き芋ホクホク』等)
9 病棟は時間が足りないときは活動内容をカットする。
吸引等,児童生徒の健康状態によっては,中断したり省いたり柔軟に対応する。
記録の形式例
合同学習記録
11 月
10
日(水)
題
材『 おはらまつりと秋の空 』
主な活動内容(うたあそび『なんだかおなかが~』『おはら節』で身体を動かす)
☆児童生徒の様子☆
病棟
9
病
棟
10
病
棟
学年
名前
児 童 生 徒 の 様 子
小4 C
前半は腹臥位(背や足の裏刺激)で『なんだか~』の途中まで。心拍 95,おそらく覚醒。後
半仰臥位で,T3・4と,心拍ずっと 90 以上。
小4 A
穏やかに覚醒していた(リラックスモード)。教師の声が楽しそうに飛び交うのを聞いて,目
元が笑っているような表情。芋の蔓を引っ張ったりムシャムシャ食べられたり,大きな声に
も驚かず参加。
『おはら節』◎。
中1
D
眠っていたがT1のおかげで目が覚める。
『おはら節』のメロディを口ずさむだけで"知って
るその曲!"という顔。手を動かして踊る。栗のチクチクもにっこり。芋掘り・食べ物の名前
が出るたび口をモグモグ。よく知ってますね。
中2
B
オムツ・着替えで 10 分くらい遅れて参加。ずっと目を開けていた。今日は口をあまり動か
さなかったが,首や手で合図。
『おはら節』の賑やかさ,
『旅愁』のしんみり,どちらもOK。
輪っかを引っ張ってリンゴを掘り当てた。
高3
E
覚醒したり,しなかったりの状態だったが,いきいき畑から蔓を引っ張ったり,教師にムシ
ャムシャ食べられたり,ふれあい活動を充実できた。
小4
F
久しぶりにずっと起きて合同に参加(バギー) 。途中でウトウトしたが,
『おはら節』の鳴り
物はよく見ていた。みかんもよく見ていた。
『サライ』に続く『旅愁』もお気に入り。
中1
G
鏡をよく見ていた。
『なんだか~』では友達のをたっぷり見てから自分の番だったので意欲も
大。蔓を引っかけた手をグイッと引いて,自分も引っ張れた。
(T2談)
『おはら節』では太
鼓にすごい意欲。うまいし,ずっと鳴らしている(疲れてるはず)
。ぶどうを引いたが「みか
んを引きたかった」とのこと。
中2
H
2hぐらいバギーに座っていたとのことで,きつそう。後半ベッドで。汗をかいたりきつそ
うだったりはしたが,いつものように(いつも以上に?)笑顔満開。芋の蔓,Tの力を借り
ずに引っ張ることもできた。
『旅愁』もいい感じです。
- 56 -
中3
I
いきいき農園の箱を見ただけで,引っ張る仕草をしていた。嬉しそうに芋を引っ張っていた。
『おはら節』では太鼓,マラカス,鳴り物,いろいろと音を出して楽しんでいた。
高3
J
前半は眠そうな表情であったが,
『おはら節』から目がしっかりあいて,
『おはら節』のリズ
ムに合わせて手を動かしていた。
『旅愁』もじーっと耳を澄まして聴いていた。
☆反
省☆
9病棟-1グループ:
4 人のTで 2 人の児童生徒。45 分にすべて盛り込み,盛りだくさんではあったが充実。果
物(作り物のリンゴ)をラップしてあったが,カサカサ音を出して興味を引けたし,視覚の
使えない児童生徒にも有効だったような気がする。
9病棟-2グループ:
4 人のTで 3 人の児童生徒。自活専任のT 1 名もいて充実。始まりで寝ていたDさんが覚
醒したあとは良好に参加。『おはら節』も有効。ノリがいい。
10病棟:
2 時間続きで,当初は一人 2 回くらいずつ蔓を引くという設定だったが,意外に時間がかか
り,ずっと大声で授業が続くと児童生徒にも負担かなと思い,1 回ずつにした。Jさんに同
じように声が届くように意識して話を進めた。『おはら節』のノリと,正反対の『旅愁』の違
いも味わえたようだ。
略案例<学齢超過生グループ>
訪 問 教 育(高)
11月16日(火)1・2・3・4校時
11月18日(木)3・4校時
対 象
訪問学級超過生
教 材 名
「 祭りの音楽を楽しもう」
集 団 学 習 略 案
日 時
時 間
導入
10 分
展開
30 分
終末
5分
主 な 学 習 内 容
1 始めのあいさつをする。
2 本時の学習内容を知る。
3 祭りの音楽を聴く。
・祭りの映像を見る。
・音楽に合わせて手拍子をした
り,タッピング・揺れを味わった
りする。
4 和楽器を演奏する。
・和楽器を紹介する
・和楽器を鳴らす
5 祭りの音楽に合わせて自分の好
きな楽器で音を鳴らす。
6 感想や反省を発表する。
場 所
訪問教育棟
指 導 者
髙木 他2名
目
標
祭りの音楽を聞いたり,楽器の音を出したりし
て楽しく活動することができる。
留 意 点 等
準 備
・ 元気よくあいさつをするよう促
す。
生徒の実態に合わせて,活動を ・ DVD デ ッ
行うようにする。
キ
・DVD
・ 刺激の強い音や音の大きさに注 ・CD
意する。
・デッキ
・平太鼓
・三線
・拍子木
・ 生徒にできるだけ考えさせて答 ・篠笛
えさせる。
・鳴子
・ 元気よくあいさつをするよう促 ・鈴
す。
・
7 次回ですることを予告し、終わ
りのあいさつをする。
反省会の例
※ 記録簿は作っていないが,授業後に毎回 3 人で反省会を設けている。
<集団学習の反省・感想>
祭りの映像視聴では,多くの生徒が御輿を担いだり,和楽器(和太鼓・三線等)を演奏したりし
ている場面に興味を持っていた。また,映像を見ながら,音楽に合わせて手を振りながら踊ったり,
手拍子を打ったりする様子も見られた。実際に和楽器に触れ,音楽に合わせて和楽器を鳴らす活
動では,挑戦してみたい和楽器を選び,教師と一緒に笑顔で演奏を楽しんでいた。
- 57 -
7 成果と課題
(1) 成果
○ 個別の授業が中心の訪問教育にとって,お互いに授業を考えるいい機会となった。
授業の準備など協力しやすくなった。
(2)
○
音楽によるアプローチが有効であることが裏付けられ,心拍数や覚醒の状態など,
児童生徒の状態を教師が確認することについて,お互いに学ぶことができた。
○
「リラクセイション」など評価のしにくいことについて,教師のイメージを話し
合うことができた。テーマについて前向きに取り組んだことで教師集団としてまと
まってきた。
課題
● 児童生徒の健康状態が良好でなくては指導のできない訪問教育において,病棟と
のmんm連携が不可欠である。
●
評価しにくい「リラクセイション」について,ある程度は確認し合えたが,体調,
環境などの影響や教師のとらえ方など考慮すると,評価しづらいものである。
●
個別の学習が中心である訪問教育の指導体制上,自己満足な授業展開や評価にな
らないよう,さらに配慮する必要がある。
○
今後もミーティングを効果的に取り入れながら,授業の相互乗り入れや参観,自
立活動専任との連携など工夫した授業を展開したい。
8
引用・参考文献
<参考文献>
・ 飯野順子「障害の重い子どもの授業作りPart2 ボディイメージの形成からアイ
デンティティの確立へ」 ジアース教育新社 2008 年
<参考CD>
・ 「かめさんたいそう」鹿児島県立皆与志養護学校自立活動部編
- 58 -
Ⅶ
研究のまとめ
本研究では,研究主題に迫る研究仮説を立て,仮説に基づいた研究授業を行い検証を行った。検
証にあたっては,各学部の各課程ごとによる小グループで行い,また,グループごとに研究テーマ
を絞り,日頃展開されている授業の具体的な教科等をとおして,研究を深めることができた。
今回の研究において授業前後にミーティングを行い,目標や教師のかかわり方について確認し,
授業反省のもとに,評価・改善をしていくというPDCAサイクルを実践していくことで,授業の
質を高めることができ,児童生徒の教育的ニーズに応じた指導ができるようになってきた。しかし,
ミーティングの時間設定の難しさが複数のグループから課題としてあげられた。時間設定の工夫も
必要なことであるが,今後は,これまでのミーティングの経験を生かしながら,効率的なミーティ
ングを行うことも大切である。
また,研究を進めていく中で,教科のとらえ方,教科等と自立活動の関連,題材の配列や時数,
小・中・高の系統性などから,指導計画の見直しが必要なことも明らかになってきた。児童生徒の
教育的ニーズに応じた授業を展開することは,よりよい教育課程を編成することにもつながってい
く。評価についても,目標達成のイメージを共有し意見交換する機会となったが,記録の工夫や評
価のしやすさなども今後の検討課題である。特に評価項目などを丁寧に設定することは,目標達成
の意識を高めることにつながると考え,今後さらに検討を重ねたい。
授業についてのミーティングを充実させ,教師間の連携を深めることで,児童生徒一人一人の教
育的ニーズに応じた授業が行われるのではないかという仮説を立てながら,一年間研究を行ってき
た。「授業を大切にしたい。」という多くの先生方の気持ちがこのテーマにつながった。サブテー
マの設定やグループごとの研究をどのようにつなげるかなどまとめることが難しいこともあった。
しかしながら,「授業の質を高めたい。」という先生方の気持ちは有意義な話し合いを生み,それ
ぞれの授業改善に向けてまとまりのある研修ができたのではないかと思う。個々のニーズを高く意
識した今回のテーマであったが,個を大切にすることは,授業を見直すこと,また,学校全体の教
育課程改善にもつながることを実感することにもなった。これからも今研究での課題解決を図りな
がら,より質の高い教育実践を目指していきたい。
- 59 -
【引用・参考文献】
鹿児島県立加治木養護学校(2009)平成 19 年度,平成 20 年度,平成 21 年度 研究紀要
一人一人の子どものコミュニケーションの力を育む自立活動の実践(3 年計画)
・
・
鹿児島大学教育学部附属養護学校(平成 19 年 2 月) 研究紀要
自分のよさやもてる力を発揮する子どもを目指した授業つくり
・
鹿児島県立出水養護学校(平成 22 年 2 月) 研究紀要 第4号
一人一人のニーズに応える授業つくり
~授業が変わる!子供が主体的に活動するためのティームティーチングを目指して~
・
独立行政法人国立特殊教育総合研究所(2006)肢体不自由のある子どもの自立活動の手引き
・
文部科学省
・
文部省
特別支援学校
・
文部省
特別支援学校学習指導要領(平成 21 年6月)解説
-総則等編-(幼稚部・小学部・中学部)
・
文部省
特別支援学校学習指導要領(平成 21 年6月)解説
-自立活動編-(幼稚部・小学部・中学部・高等部)
中央教育審議会
第 16 集
初等中等教育分科会 教育課程部会 特別支援教育専門部会
(第9回)(2007 年2月)議事録・配付資料
幼稚部教育要領
小学部・中学部学習指導要領
高等部学習指導要領
(平成 21 年3月)
【研究同人】
【校長】廣濱 洋一郎
【教頭】本庄 美千代
堀園 智子
矢崎 ゆかり
假屋﨑 陽子
岡元 正彦
福田 ひとみ
原口 舞衣子
小学部 山口 豊和
東 香織
竹迫 祐美
久保田 隆弘
軸屋 史子
藤尾 友香
小原 陽子
山之内 幹
中村 美恵子
杉田 哲朗
古川あかね
原田 桂子
萩原 悦子
岩元 浩二
板敷 大和
池田 香織
和田 勝斗志
有田 主税
中学部 川原 江理子
吉福 新吾
濵﨑 いつ子
山下 哲也
濵﨑 裕子
中村 美紀
濱﨑 りつ
柳迫 壽美
大津 みち子
吉井 奈美子
島木 隆成
西竹 努
平野 ひろ子
本村 光洋
小野 琢磨
前澤 美香
高等部 吉留 美智子
松尾 康平
奥 なつき
佐々 舞
橋口 美喜子
山口 眞理
朝沼 和子
大山 真奈美
事務部 増田 幸宏
仮屋﨑はるみ
大濵 智美
中西 万里子
- 60 -
【事務長】丸野 耕治
小野 竜也
柞木 真奈美
川田 耕太郎
五領 きよみ
奥
彩奈
鶴田 理紗
川添 麻里
岩元 佳代
冨士 朋恵
角 孝宏
井川 洋子
古市 潤子
増満 敬子
吉永 香奈
平田 和代
末吉 奈央子
御鍵
鎌田
西園
小谷
窪田
大重
髙木
上薗
宗充
克規
浩一
優
若松 喜代美
雅人
博美
浩一郎
まゆみ
敷根 博貴
- 61 -