『新 しい文 書 管 理 の流 れを考 える』 エスオーファイリング研 究 所 所長 城下 直之 最 近 の ト ラ ブ ル 対 応 を 見 て い る と 、従 来 の 文 書 管 理 で 大 丈 夫 で あ ろ う か と 疑 問 に 思 え る 。 特 に IT の 導 入 に よ り 便 利 に な る は ず が 予 想 に 反 し 、 莫 大 な 費 用 を 掛 け た に も 拘 ら ず 、 様々な問題で殆ど利用することなく撤退を余儀なくされているシステムもある。 ( 12 県 で の パ ス ポ ー ト 電 子 申 請 で は 1 件 あ た り の 経 費 が 1600 万 円 に な っ た ) (※ 1) そ の 上 、コ ン ピ ュ ー タ に よ る 情 報 の 漏 え い・流 出 、誤 送 信 等 の ト ラ ブ ル も 後 を 絶 た な い 。 ま た 、ト ラ ブ ル が 発 生 し て も 情 報 開 示 の 遅 れ や 質 が 問 題 に な る 場 合 も 多 々 発 生 し て い る 。 これは作成文書のニーズによって、文書の管理方法、文書の作成内容、検索方法、保有 期間、文書媒体等を考慮する必要がある。 ( ※ こ こ で は 文 書 と は 証 明・証 拠 性 の あ る 記 録 を 言 う ) 1. 従来の文書管理 わ た し た ち の 仕 事 に は 図 -1 が 示 す よ う に 文 書 を 作 成 し 、 記 録 を 残 す 一 連 の 流 れ が あ る 。 作業としては色々な情報や資料を収集し、それをもとに仕事をする。その結果を加工・ 作成(記録と言う形で)することで目的の書類等が完結する。そして必要部数だけコピ ー(複写)し、必要な部署や上司等に報告(配付・回覧)し、原本はファイルしてオフ ィスの所定の什器で保管する。使用頻度が低くなるとオフィスから書庫に置き換えて保 存 を す る 。 ま た 、 保 有 期 間 を 過 ぎ る と 廃 棄 す る 。 (※ 2) 管理 事務管理 RM 発 生 ・伝 達 住所 作 記録管理 保管 手 元 収 加工 オフィス 複写 配布 保存 廃棄 ドキュメントビラ ファイリング 検索 業者 管理 業 廃棄 集 作成 選択 印刷 蓄 伝達 分類 活用 検索 化 積 学 ( 整 理 ・分 類 ) 処 理 図 -1 文書管理の流れ 1 欧米での文書管理(RM:レコードマネージメント)では発生・伝達、オフィスでの 保管、書庫等に置き換えての保存、一定の保有期間が過ぎると廃棄するという一連の 流れの中で、文書が作成される時から文書の廃棄までを考えている。 一 方 、我 が 国 で は こ の 文 書 管 理( R M )を 事 務 管 理 と 記 録 管 理( フ ァ イ リ ン グ シ ス テ ム ) に分け、別個の管理として取り扱われてきた歴史がある。そこで文書管理は「文書を必 要なときに、すぐに利用できるように組織的に保管しておくこと」と捉えてきた。つま り整理・整頓を主体に考えてきた。 2.新しい文書管理に求められる条件 最 近 の 社 会 情 勢 は グ ロ ー バ ル 化 し( I S O マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム 、J - S O X 法 、製 造 物 責 任 、 食 品 問 題 等 )、 文 書 管 理 に は 次 の 条 件 が 求 め ら れ て い る 。 ① 紙文書も電子文書も同じように取り扱う必要がある 社 会 保 険 庁 に よ る 5000 万 件 の 放 置 事 件 の よ う に 、 電 子 文 書 は 情 報 部 門 で 、 紙 文 書 は 総 務 が 担 当 と 個 別 に 管 理 し て い る 。ニ ー ズ と し て は 紙 も 電 子 も 同 じ 文 書 に 変 わ り が な い 。 E-mail も 業 務 の や り 取 り 文 書 と し て 管 理 す る 必 要 が あ る ② 物理的に離れた場所でも関係なく検索が出来る 日本国内は勿論、海外での出先機関でも地域を問わず、作成した文書のシステムや 媒体に関係なく目的の文書が探せる ③ 悪意を持った改ざん・偽造がなされていない 上場企業の粉飾、食肉偽装、社員の使い込み、自治体における裏金問題、談合等故意 に文書の改ざん・偽造をしていないか、業務内容を正確に記録している必要がある (説明責任) ④ 必 ず ア ク セ ス が 出 来 、 48 時 間 以 内 に 公 開 が 出 来 る 事 件 に よ っ て は 1 2 時 間 で も 遅 く 思 え る 場 合 も あ る( 原 子 力 発 電 所 ト ラ ブ ル 等 の 報 告 )。 クイックレスポンスが可能な状態を言う ⑤ 保有期間のルール化が決まり、法的に対応が可能である 法的保存期間が決められていても、人的被害に大きい影響を与える場合には現状の 保有期間を超えての文書を保有することが求められる。 例 え ば 、 図 -2 の 事 例 の よ う に 文 書 規 定 の 保 有 期 間 を 見 直 す 企 業 も 増 え て い る 。 2 対象文書 法廷保存年 要保存年 延年根拠 10 年 20 年 民事訴訟法 経理文書 7 年 10 年 株主訴訟 診療録(カルテ) 5 年 10 年 HIVE 建築確認図書等 5 年 10 年 耐震偽装 製造物責任 図 -2 文書の保有期間を延長する 図の経理文書については商法で7年の義務を課せられているが、粉飾決算等により 株 主 か ら の 訴 訟 を 考 え る と 時 効 期 間 の 10 年 間 以 上 の 保 有 が 望 ま し い 。 ま た 、 建 築 確 認 図 書 に つ い て は 民 間 で の 5 年 ( 行 政 で は 1∼ 3 年 の と こ ろ が 多 い ) に 対 し 、 耐 震 偽 装 事 件 に よ り リ ス ク 対 策 と し て 10 年 以 上 の 保 有 を 要 す る の で は と 考 え る 。 3. 求められる文書管理の流れ 今やコンピュータは日常生活の中に溶け込み、職場ではコンピュータを使わずには仕事 ができない環境に変わりつつある。 だが、当初のコンピュータが電子計算機という考えから事務処理機械という考え方に な っ て も 、『 情 報 部 門 』 が コ ン ピ ュ ー タ の お 守 り を す る の が 主 業 務 と 考 え て い る 。 その結果、従来とは異なったトラブルが発生している オ フ ィ ス で も 図 -3 の 写 真 の よ う に 紙 文 書 と パ ソ コ ン が 机 上 で一体化して机の周りは活用されている。 そこで、求められる文書の管理は次の 4 つをあげることが できる 図 -3 机上 ① 情報管理 従来の情報収集のネットワークが広がり、収集の方法も変わる。 注 意 点 と し て は 2∼ 3 年 で コ ン ピ ュ ー タ の ソ フ ト も ハ ー ド も 大 き く 変 わ っ て い る 。 ② 事務管理 ワープロ機能を使って文書を作成するもニーズによっては紙に打ち出している。 ③ 記録管理 ニーズによって紙文書と電子文書の切り分けを要する。 電子文書についてはバックアップを常に心がける必要がある。 ④ 旧録管理 組 織 の リ ス ク 対 策 と し て 、ま た 企 業 の ノ ウ ハ ウ ・ 伝 統 を 伝 承 す る 役 目 と し て 必 要 で あ る 。 3 従来はこの管理を個別に縦の流れとして来た。 こ れ を 一 つ の 流 れ と し て 横 に 並 べ る と 図 -4 に 図 示 し た よ う に な る 。 図 -4 いま、求められている文書管理の流れ こ の 流 れ で の キ ー ワ ー ド は 『 情 報 の 収 集 』、『 ホ ウ レ ン ソ ウ 』 と 『 情 報 の 共 有 化 』、『 オ フ ィ ス の 5 S 』、『 死 蔵 文 書 の 活 用 』 で あ る 。 4. 情報管理という考え方 今 は 電 子 で 扱 わ れ て い る 全 て を 『 情 報 』 と い っ て い る が 、 こ れ は information で あ り 、 お 知 ら せ( 告 知 )で あ る 。図 - 5 は コ ン ピ ュ ー タ 機 能 が 文 書 管 理 で 果 た す 役 割 に つ い て 表 し たものである。つまり、必要な情報を得る手段の一つとして情報管理が有り、事務管理で は文書の作成配布機能を用い、蓄積機能としてコンピュータの媒体機能を使っているので ある。 (※ 3) 収 集 ( 選 別・メ デ ィ ア ) 活 配 用 ( 参 照 ・加 工 ) (ネット・互換性) 蓄 積 (分類・検索) 図 -5 布 コンピュータ機能 4 ① 大 量 デ ー タ の 記 憶 ・記 録 機 能 (記録の蓄積) ② 高速な比較判断機能 (検索・収集) ③ 多様な形での入出力機能 (配布・印刷) ④ 高速演算と制御機能 (加工・作成) だ が 、図 -4 で 言 う『 情 報 』と は 我 々 が 行 動 を 起 こ す と き に 必 要 と す る も の で あ り 、様 々 なメディアを使って収集するシクミである。この収集情報は収集元の信用度等により質 のレベルが異なる。そのため、採用する情報のレベルにより結果も大きく異なる。 例えば偽メール事件のように某政党の代表が辞任に追い込まれたり、大企業のトップが 辞任したり、企業の倒産・解散へと繋がっていたりする。 す な わ ち 、 情 報 管 理 で は 『 情 報 の 選 択 責 任 』 が 問 わ れ る 。 (※ 4) 情報とは『一を聞いて十を知る』の如く、私達の知識を活用して推理・推測することで 情報を膨らませることができる。その為にも情報を選択する能力が求められる。 そこで知識、資料、情報を次のように区分けしている。 ① 知 識 : 知 っ て い る こ と で 役 に 立 つ か わ か ら な い が 、 情 報 に よ り 推 理 ・推 測 し て 情 報 を膨らますことが出来、行動するのに役立つ ② 資 料:知恵を出してくれ、扱いによっては情報に変化する場合がある ③ 情 報:何か行動を起こすときに必要とし、判断に役立つ また、情報は時間と共に変化し、時には新聞報道で見られるように当初とは 180 度 変 わ っ た 内 容 に な る 場 合 も あ り 、 常 に 情 報 は 生 物 の 如 く 変 化 ( 又 は 成 長)する。 この流れにおける『情報管理』で大切なのは 知 識 共 用 ( k n o w l e d g e M a n a g e m e n t) の 形 式 知 + 暗 黙 知 で あ る 。 『 暗 黙 知 』 は マ ン ツ ー マ ン に よ っ て 継 承 で き る 物 で あ り 、 上 司 ・先 輩 ・同 僚 等 に 相 談 ( 確 認 ・ 指 導 等 を 含 む ) す る こ と で 得 る チ ャ ン ス が あ る 。( ホ ウ レ ン ソ ウ ) ① 相談 a.問 題 解 決 の 方 法 等 へ の 相 談 b.途 中 経 過 を 報 告 す る こ と に よ り ア ド バ イ ス 、 助 力 を 得 る c.関 係 す る 担 当 へ 連 絡 す る こ と に よ り 仕 事 の 進 捗 等 を 確 認 す る ② 報告 最終報告には業務の内容が正確に記入され、記載の内容が説明できるよう記録されて いる必要がある。その結果、他の人が記載情報を活用できる ③ 連絡 関係する部署と情報を共有化することで仕事をスムーズに運び、問題が発生するとフ ィ ー ド バ ッ ク で き 、問 題 へ の 対 策 を 円 滑 に 処 理 で き る 。内 容 に よ っ て は 予 防 効 果 が あ る 。 5 5. 電子文書での課題 文 書 の 蓄 積 媒 体 は ニ ー ズ に よ っ て 使 い 分 け る 必 要 が あ る 。 そ の 一 例 を 図 -6 に 文書のライフサイクルに則って表した。 収 集 作 成 活 用 保 存 保 管 処 分 ペーパー HDD HP・ネット HP・ネット USB,CD-R,DVD 削除 廃棄 マイクロフィルム 図 -6 文書のライフサイクルと記録媒体 図 -7 フ ロ ッ ピ ィ この図より、収集媒体が異なっても、文書を作成するときは殆どが電子文書で作成し、 メールで回覧、または紙に打ち出して報告・回覧している。この時に仕掛かり文書の バ ッ ク ア ッ プ と し て USB を 用 い る こ と も あ る 。 完 結 文 書 を 紙 で 残 す か 、 電 子 媒 体 で 残 すかは使い勝手と保有年で決める必要がある。 長期に残す場合には図のようにマイクロフィルムもスペース等を勘案して選択の一つで ある。 ま た 、 電 子 媒 体 は 図 -7 の フ ロ ッ ピ ィ に あ る よ う に 8 in、 5 in、 3.5in と 変 化 し 、 今 や 知 る人も少なくなりつつある。この時の媒体はどうなっているのだろうか? 事 実 、 今 年 の 7 月 に 大 阪 市 の 某 消 防 署 か ら 届 出 様 式 を 3.5in の フ ロ ッ ピ ィ で 渡 さ れ た 人 もいる。 持帰ってもドライブが無いので困って、メールの添付ファイルで再度送信を お願いしたとのことであった。 行政がこのような状態で大丈夫だろうか? 不安に感じる! 電子媒体で残す時には、その時々のハード・ソフトウェアに対応が可能な媒体への移行 と ソ フ ト へ の 変 換 が 必 要 に な る 。 (※ 5) 6 6. 業務情報の流出 事務管理や記録管理で問題になっているのは、電子化により簡単に情報の漏えいが可能 と な っ て し ま う 点 で あ る 。 特 に 平 成 15 年 4 月 に 個 人 情 報 保 護 法 の 施 行 後 、 漏 え い が メ ディアを賑わしている。自分が関係した仕事や収集した情報・文書を個人文書として机 の周りに集積したり、自宅に持帰ったりと公私混同を許してきた体質だろうか。 ① 内 部 の 人 間 に よ る 過 失 (※ 6) 情 報 の 漏 え い 、紛 失 、盗 難 、ネ ッ ト ワ ー ク へ の 流 出 等 の 根 本 原 因 は 5 S( 整 理 ・ 整 頓 ・ 清 掃 ・ 清 潔 ・ 躾 ) の 不 徹 底 で あ る 。『 社 内 規 定 で 文 書 の 持 出 禁 止 』 に し て も 、 過 去 の 職 場情報を持出してその情報がネットワーク上に流出、盗難にあっている場合がある。 規定を作っても実行されていなければ絵に描いた餅と一緒である。情報漏えいに対す る意識も低く、処分が甘いからかもしれない。 新 聞 記 事 に よ る と 、警 視 庁 は 巡 査 長 の 個 人 パ ソ コ ン か ら 、 「 Wi n n y 」を 通 じ て 約 1 万 5 0 0 人分に及ぶ大量の捜査情報が流出した事件で、懲戒免職処分、署長ら8人も処分と厳 し く 処 分 す る 傾 向 に な っ て き た 。( 毎 日 新 聞 2 0 0 7 年 7 月 2 0 日 よ り ) 日 頃 か ら 小 さ な こ と に 目 配 り を し て 仕 事 を す る 。部 下 に 権 限 を 委 譲 し て も 責 任 ま で は 移譲できないことを意識するべきである。 ② 外部の人間による誘い 情報流出の手順は次の4つの工程で勧められるので、日頃のチョットしたことに注意 することで防げる。 ( 近づく ⇒ 親しくなる ⇒ 情報を聞く ⇒ 脅迫 ) a.タ ー ゲ ッ ト を 決 め て 、 笑 顔 で 近 づ く 名刺交換等で相手の心を和らげる b.お 茶 、 お 酒 に 誘 い 、 そ の 時 の 勘 定 を 払 う 会話から小さな情報を交換する c.相 手 を 持 ち 上 げ 、 自 尊 心 を く す ぐ る 情報を聞き出す d. 要 求 す る 情 報 を 出 さ な け れ ば 、 前 の 情 報 を 聞いたことを上司に報告すると脅す ③ 関係者による故意の持出し a.情 報 を 売 却 す る 情 報 系 の 業 務 担 当 者 が 個 人 情 報 を 持 出 し 、取 扱 業 者 に 売 却 し て 小 遣 い 稼 ぎ を す る b.上 司 、 同 僚 を 困 ら せ る た め ( 関 心 を 引 く ) 職場での交流が上手くない、仕事が面白くない、他の人が困った顔を見たい c.待 遇 に 不 満 を 持 っ て い る 会社の情報を持出すことにより、競合会社等から認められようとする (不正競争防止法の対象になる) 7 基本的には社内文書を管理するときには文書の内容によって一般文書、有用文書、重要 文 書 ( I m p o r t a n t R e c o r d ) 、 基 幹 文 書 ( Vi t a l R e c o r d )、 貴 重 文 書 ( P r e c i o u s d o c u m e n t ) に 切 り 分 け 保 有 年 と 管 理 方 法 を 決 め る べ き で あ る 。 (※ 7) 図 -8 に 今 年 の 1 ∼ 6 月 ま で に 発 表 さ れ た 483 件 に つ い て 原 因 別 に 表 し た 。 その他,32 この中で紛失には盗難も含まれていると 持出し, 11 考 え る べ き で あ る 。 USB の 紛 失 ・盗 難 が ネット進入,4 51 件 、 盗 難 90 件 の 内 31 件 が 車 両 荒 し ネット流出, 91 で あ る 。ネ ッ ト 流 出 は Wi n n y / S h a r e に よ 紛失,174 るものであり、個人パソコンからの流出 で あ る 。 ② ③ に よ る 持 出 し も 11 件 発 生 誤送信,81 しているがこれらの数字は氷山の一角で 盗難,90 あると考えるべきであり、未発表が多い (2007.1∼6) と思う。 図 -8 原因別情報漏えい 7.旧録管理 従来の文書管理では保有年を経過した文書は『廃棄』としているが、ここでは『処分』 と言う言葉を使っている。つまり本当に廃棄して良い文書かどうかの見直しをする。 最近はリスク対策としても、文書の保有期間を延ばす企業・団体が多い。 また、永年に文書を残すことは様々な条件により難しい。 ① 旧録文書とは 現 実 に 書 庫 で 管 理 し て い る 文 書 で 、1 0 年 も 経 過 し た 文 書 を 誰 が 検 索 し 、探 し 出 す の か 、 人の異動・退職・出向等によって次の世代へ充分に文書の継承が可能であろうか。 例えば、文書タイトルの付け方一つとっても人により異なる。また、タイトルに企業 名や省庁名を入れても、合併・吸収・分離等により変わる。 そ こ で 、 文 書 規 定 で の 永 年 と は 10 年 以 上 保 有 す る 文 書 で 、 10 年 経 過 後 は そ の 文 書 を 見 直 す こ と と 言 っ て い る 。こ の よ う に 長 期 に 残 す 文 書 を 別 の 管 理 体 系 と し て 考 え る 必 要がある。 行 政 (一 部 の法 人 ・企 業 )では廃 棄 処 分 の文 書 の中 から後 世 に伝 えるべく文 書 を選 別 して、 公 文 書 館 【アーカイブ (archive)】(資 料 保 管 室 ・貴 重 書 室 )等 で別 管 理 にしている所 もある。 8 ② 旧録管理の活用 2 0 年 、3 0 年 前 の 文 書 が 当 時 の 社 会 情 勢 や 技 術 力 で 世 に 出 る こ と が 無 い ま ま 放 置 さ れ た 文書も、技術の進歩、社会変化によって最新情報として蘇るチャンスでもある。 簡単な事例で言うと、金鉱石 1 トンから金の採掘量は4gであるが、廃棄処分の携帯 電 話 か ら は そ の 8 0 倍 が 取 れ る 。ま た 、銅 鉱 石 か ら 銅 は 3 % 程 度 で あ る が 、廃 棄 家 電 か ら は 17.5% も 銅 が 取 り 出 せ る 。 書庫で寝ている文書でも同様なことが起こりうる可能性が大である。 埋蔵資産 選 別 共有化 図 -9 活 用 新製品 死蔵文書の有効活用 社 内 の 死 蔵 文 書 を 図 - 9 の よ う に 掘 り 起 こ し て 、少 な い 費 用 と 時 間 で 大 き な 成 果 を 得 ら れる可能性がある。 ③ 旧録管理体制の構築 文書の貴重さは仕事を経験した人間しか判断が出来ないのではと思える。 そこで、先輩達が去る前に文書の見直しをするべきである。 10 年 、20 年 後 の人 のことを考 えて早 急 にシステムを構 築 し、経 験 の無 い人 でも必 要 な文 書 を 検 索 できるキーワードに書 き換 えるべきである。 書庫の完成図書 タイトルを書き写す 図 -10 処分文書の再評価 旧録管理の作業 こ の 時 の 作 業 の 流 れ を 図 -10 に 表 し た 。 9 整理後の書棚 8.まとめ 企業・行政のリスクを顕在化させないシクミ作りとして内部統制が求められている。 現実にリスクが発生した時の対応が組織の将来を左右する。 そ こ で 組 織 にリスクが顕 在 化 した場 合 に被 害 を抑 えるシクミが文 書 管 理 であり、紙 も電 子 も分 け隔 て なく同 じ文 書 として考 えるべきである。 また、情報管理を難しく考えるのでなく、 コンピュータを身近な道具として使う べきであ る 。コ ン ピ ュ ー タ は 数 年 で 新 し い ソ フ ト や ハ ー ド に 置 き 換 わ る こ と を 意 識 し て い な い と 必 要 な時に電子文書の検索・表示が出来ないことがある。 電 子 で文 書 を活 用 することも良 いが、本 来 の証 拠 性 ・証 明 性 を考 えた時 に紙 文 書 の取 扱 を慎 重 に しなければならない。 ま た 、 貴 重 文 書 は紙 文 書 でなければ価 値 が無 い。 【 参 考 文 献 】 ※ 1『 電 子 文 書 法 を 上 手 に 活 用 す る 』 ∼ そ の 2 電 子 文 書 法 に お け る 課 題 ∼ 城 下 直 之 「 商 工 振 興 」 ㈳ 大 阪 府 工 業 協 会 編 2005.5№ 663p 9 http://oosakajyou.sakura.ne.jp/pdfimage/E-2.pdf ※ 2『 フ ァ イ リ ン グ マ ネ ジ メ ン ト 』 ∼ こ れ か ら の 文 書 管 理 ∼ 城 下 直 之 著 ※ 3『 デ ジ タ ル 文 書 管 理 』 ∼ 超 フ ァ イ リ ン グ 術 ∼ 城 下 直 之 著 ※ 4『 情 報 管 理 と 記 録 管 理 』 城 下 直 之 日 刊 工 業 新 聞 社 刊 p 24 日 刊 工 業 新 聞 社 刊 p 12 レコード・マネージメント№ 41p 43∼ 46 ※ 5『 電 子 文 書 法 を 上 手 に 活 用 す る 』 ∼ そ の 3 電 子 化 文 書 と 今 後 の 課 題 ∼ 城下 直之 「 商 工 振 興 」 ㈳ 大 阪 府 工 業 協 会 編 2005.6№ 664p 12 http://oosakajyou.sakura.ne.jp/pdfimage/E-3.pdf ※ 6『 個 人 情 報 保 護 の ポ イ ン ト と 具 体 策 』 城下 直之 「 合 理 化 」 ㈳ 大 阪 府 合 理 化 協 会 編 2 0 0 5 . 11 № 4 6 0 p 8 ∼ 11 h t t p : / / w w w. g o u r i k a . o r. j p / a s s o c i a t i o n / p d f / 1 7 11 . p d f ※ 7『 一 般 文 書 の パ ソ コ ン フ ァ イ リ ン グ へ の 展 開 』 ∼ そ の 1 身 近 な 整 理 ∼ 「 商 工 振 興 」 ㈳ 大 阪 府 工 業 協 会 編 2006.8№ 664p 5 http://oosakajyou.sakura.ne.jp/pdfimage/PF-1.pdf 10 城下 直之
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