New Beam Line Interlock System Y.Saito,T.Kosuge and K.Ito High Energy Accelerator Research Organization 新ビームラインインターロックシステム 1.ビームラインインターロックシステムの概要 高エネルギー加速器研究機構・放射光研究施設では、2.5GeV 電子・陽電子蓄積リングの偏向電磁石または 挿入光源からの放射光を利用した様々な実験が行われている。実験ホールには現在 21 本のビームラインが設 置されており、それぞれ 2∼4 本のブランチビームラインに分岐され、それらは超高真空からヘリウム充填ま での環境下に維持されている。ビームラインはメイン・ビーム・シャッター(MBS)、ブランチ・ビーム・シャ ッター(BBS)、ダウンストリーム・シャッター(DSS)、ゲートバルブ、真空ゲージ、冷却水系、圧搾空気系、 ハッチ、及びミラー、モノクロメーターなどのビームライン光学系から構成され、インターロックシステム はこれらのビームライン構成要素を統合的に制御・管理し、真空保持、構成要素の保護、放射線被爆からの 運転者・実験者の防御などを行い、運転、保守、実験を安全かつ円滑に遂行するため使用されている。また、 ビームラインインターロックシステムは光源系運転管理システム、及び実験ホール・ビームライン集中管理 システムに接続され、総合的に運転されている。 2.ビームラインインターロックシステムの変遷 初代システムは、X 線領域を利用するビームライン用のハードワイヤーロジック回路及びシーケンサー (OMRON P5R)制御のシステムと、VUV(真空紫外線領域)を利用するビームライン用のハードワイヤーロジッ ク回路のみで構成されたシステムの 2 種類が存在した。その後、第 2 世代システムになると、X 線領域用と VUV 用の分岐ラインが混在するビームラインに対応した、全面的なシーケンサー(OMRON C500)制御のシス テムになった。そして、第 3 世代システムとして、様々な仕様のビームラインに対応する統一ビームライン インターロックシステムが 1989 年に完成した。シーケンサーは、汎用性を高めるために増加した I/O に対応 すべく C500 の上位機種である C2000 を使用している。その後、長期に渡り第 3 世代の統一ビームラインイ ンターロックシステムで運用していたが、1997 年にその間に開発、発売された新しい機器を使用して改良版 を製作した。改良点は、一部を除くステータス表示部と操作スイッチ部にタッチパネル付き液晶表示器 (OMRON プログラマブルターミナル)を採用した事と、真空ゲージ、水、圧空などの接続に省配線システム (SUNX S-LINK)を導入した事である。結果、小型化と 3 割程の低価格化になった。しかし、さらなる低価格 でのインターロックシステム構築の必要性が出てきたため、今回新しいシステムを設計にすることになった。 3.新ビームラインインターロックシステム 低価格化するのに有効な方法は、可能な限り既製品で構成することである。専用品、特注品は同じ機能を 持った既製品よりかなり割高になる。そのため従来機との互換性を切り捨てたシステムにすることにした。 しかし、誤操作を防ぐために操作系の互換性は保つことにした。そして、全面的に省配線システムを採用し て、配線行程数を減らすことにした。 非常スイッチ等を除くステータス表示と操作はプログラマブルターミナルで行い、非常スイッチ等を含む すべての入出力は省配線システムを使用し、そのI/Oユニットに直接接続する。シーケンサーは最近中型シー ケンサーが大型シーケンサーに匹敵する能力を持ったこともあり、小型化を考慮し、オムロンの中型シーケ ンサーC200HXを使用する。省配線システムもサポート面からオムロン製を検討したところ、オムロンにも2 種類あり、特徴は以下の通りである。今回は通信距離と拡張性の面からCompoBus/Dを採用した。 a.CompoBus/S オムロンオリジナル規格 通信速度 750kbps 通信距離 100m b.CompoBus/D デバイスネット規格準拠 通信速度 500kbps/250kbps/125kbps 通信距離 100m/250m/500m ※デバイスネットとは、制御信号や機器設定データをやり取りする世界標準のフィールドネットワークであ り、通信の仕様がオープン化されているため、国内外のさまざまなメーカのデバイスネット対応機器が接続 できる。 新インターロックシステムのコンポーネントを以下に説明する。これらのコンポーネントは、ビームライ ンに分散設置した後、CompoBus/D 専用ケーブルで接続する。また、プログラマブルターミナルは RS422 ケ ーブルで別途シーケンサーと接続される。すべてのコンポーネントにはプログラマブルターミナル及び CompoBus/D I/O ユニット用の電源(OMRON S82K05024)が用意されており、AC100V を供給する必要がある。 a.メインユニット CompoBus/Dマスタユニットを実装したシーケンサ ー C200HX を内蔵する。シーケンサーのプログラムは 基本的に第3世代システムと同じ物が使われている。 また、メインユニット、メインコントローラ、ステー ションコントローラの筐体を、前面パネルを除き共通 な設計にし、コストダウンを計っている。 図1.メインユニット b.メインコントローラ ビームライン全体の操作が行える操作盤である。 ビームライン全体のステータスが液晶パネルに表示 され、キースイッチを回すことでビームライン操作画 面に切り替わり、ゲートバルブ開閉等の操作が可能に なる。主に運転者が操作する操作盤であり、ビームラ イン異常等のリセットもここで行う。また、前面には 非常停止スイッチであるビームダンプスイッチを装 備する。 図2.メインコントローラ c.ステーションコントローラ 各実験ステーションに設置され、主にブランチビー ムラインの操作を行うことが出来る。液晶パネルには ブランチビームラインのステータスが表示され、タッ チパネル上からゲートバルブの操作が可能である。右 側のスイッチにより MBS、BBS、DSS 等のビームシ ャッターを操作し、実験ステーションへの放射光の出 射、遮断を行う。前面にビームダンプスイッチを装備 している。 図3.ステーションコントローラ d.I/Oボックス CompoBus/D の I/O ユ ニ ッ トを 内 蔵 出 来 る 、 W300mm/H140mm/D120mm のボックスで、ケーブル ラックに設置出来るようになっている。アルミ製で特 注品だが構造をシンプルにし、価格を抑えている。1 ビームライン当たり約25個使用し、これを6カ所程 度に分けて設置した後、ビームライン構成要素を接続 していく。 図4.I/Oボックス 5.まとめ 1998 年に完成した新システムは、第 3 世代改良型と比較して、約 5 割の低価格化が実現できた。これは当 初の目的を十分に達成したと思われる。操作の互換性に関しても、第 3 世代改良版ですでにプログラマブル ターミナルを使用していたこともあり、それと同等の互換性を維持している。また、省配線システムにより システムコンポーネントが分散可能になったため、システム設置場所の自由度が増えるという利点もあった。 しかし、問題がないわけではない、今回可能な限り既製品を使用したため、I/O 接続部がすべて端子台接続に なった。そのため CompoBus/D 自体は省配線なのだが、I/O 接続部の配線が煩雑になり、あまり省配線といえ ない出来映えになったことだ。また、I/O 収納ボックスをかなり小型に設計したこと、かつケーブルラックと いう高所に設置したため、配線作業の効率が悪くなってしまったことである。今後この問題を改善していく 必要がある。 参考文献 1)小菅隆、佐藤能雅、伊藤健二 プラズマ核融合技術研究会報告 P242 (1984) 2)Y.Satow,T.Kosuge,N.Kosugi,H.Namba and H.Kuroda PHOTON FACTORY ACTIVITY REPORT, 4 , 331 (1986) 3)Y.Satow,T.Kosuge, and T.Matsushita, Nucl. Instr. Meth., A 24 6, 502 (1988) 4)小菅隆、佐藤能雅 名古屋大学プラズマ研究所技術研究会報告 P206 (1988) 5)T.Kosuge,Y.Saito and K.Ito, KEK Internal 90_20 (1990) 6)Y.Satow,K.Ito,and T.Kosuge, Rev.Sci.Instrum., 6 0, 1961 (1989) 7)斉藤裕樹、小菅隆、伊藤健二 核融合科学研究所技術研究会報告 (1994) 228 8)小菅隆、斉藤裕樹、伊藤健二 KEK Proceedings 95-14 (1996) 23 9)小菅隆、齋藤裕樹、伊藤健二 技術研究会報告 1996 ・東京分科会 (1997) 59
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