《被災時の仮設トイレの防音壁》/《S・F・P》 1.《実施目的》 平成 23 年に東日本大震災が発生したことにより、避難所で生活を余儀なくされ た方たちが大勢いた。その生活では、様々な問題点があり、私たちはその中でも仮 設トイレの防音性に着目した。避難所でのトイレの音漏れを気にし、トイレを我慢 し続けた結果、膀胱炎・便秘などの病気を発症してしまう方が多くいた。そこで、 私たちは防音性に優れた仮設トイレ用防音壁をつくることで、多くの人が助かる可 能性があると考えた。健康被害を少しでもなくし、不快な思いをさせないことを目 標とする活動を行うことにした。 写真 1:仮設住宅 写真 2:避難所の簡易トイレ 2.≪被災地でのヒアリング、技術研究所見学≫ 被災地の方々の声を参考に、今後の実験に役立て、改善するために、仮設トイレ の問題点などを聞きに行った。また、技術研究所の方々に、実験方法などのアドバ イスをもらうために、被災地の仙台でのヒアリングの後、大林組技術研究所の見学 と技術者の方と話し合いを行った。 平成 25 年 12 月 24 日に被災地(仙台)訪問、25 日には大林組の技術研究所に訪 問した。被災地では、仮設トイレがあっても組立が複雑で、組み立てられなかった。 臭いがこもってしまって困った等々、経験していない自分たちでは気付かないこと が多々あった。また、技術研究所の方々には実験の点について指摘してもらい、今 後の実験、仮設トイレ製作に役立つ訪問となった。 写真 3:ヒアリングを行った集会所 写真 4:大林組技術研究所 3.≪材料選定のための実験≫ 今回の実験の結果、最も防音性が高いのはパーチクルボードとグラスウールの組み 合わせであったが、パーチクルボードは重たく、グラスウールは肌に触れるとかゆく なるので除外した。そのため、トイレということもあり防水、耐久性に優れた強化ダ ンボールとゴムシートの組み合わせを採用することになった。 4.≪実物大の仮設トイレの防音壁作製、実験≫ 実験や考察の結果選ばれた強化ダンボールを外装材に、ゴムシートを内装材にし、 実物大の仮設トイレの防音壁を作製することにした。 ① 強化ダンボール、ゴムシートを寸法どおりに壁四枚天井一枚を切断する。 ② そのままでは見栄えが悪いため、ゴムシート、強化ダンボールを白色に塗装する。 ③ ゴムシートを強化ダンボールに接着剤で張り付ける。 ④ 壁と天井を接合金具で接合する。(辺に対して、各3つずつ) ⑤ 手すり、ドアノブなどの装飾品をつける 写真 5:壁と壁を金具でつなぐ 写真 6:完成品 (1,000mm×1,200mm×2,000mm) 5.≪まとめと反省≫ 今回、作製した実物大の仮設トイレの防音壁は、安価で作りやすいものという目標 は達成したが、運ぶには重たいものとなってしまった。そのため、このトイレは設置 してからは動かさないほうが良いと思われる。さらに、実験試料と実物大の仮設トイ レの防音壁の実験の比較では、実物大のトイレの方が騒音レベルが高くなってしまっ た。これは、補強しきれなかった隙間から漏れた音だと思われる。この活動で得た結 果をこれから起こるであろう災害時の時のために役立てていきたい。
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