生きた戦略三方よし

生きた戦略
とりあえずは会社をつぶさないこと
戦略策定(計画立案)と BSC ・ SS
VERI & heso’s Management
1
近江商人 「三方よし」の経営哲学(商人道)
売り手よし・ 買い手よし・ 世間よし
3つの視点
(顧客)
買い手
よし
(自社)
売り手
(社会)
世間
よし
経
営
(
者
)
品
質
よし
社
員
品
質
(
満
足
)
商
品
サ
ー
ビ
ス
品
質
顧
客
・
社
会
満
足
業
績
(
利
益
)
株
主
満
足
「企業は利害関係者との間
でバランスの取れたビジネ
スを行うべきである」とす
る現代的・日本的経営の源
流を探せばここに至る。
幕藩時代に、近江商人は各
国各地に出向いて、その出
先で地域の経済に貢献した。
「世間よし」として経済活
動の出店が許されたことに
始まる。
美徳 : 質素 ・倹約
行動 : 始末して気張る
(普段は無駄づかいをせ
ずに倹約して必要な時に
しっかりと使う)
信仰 : 陰徳積善による
神仏の加護
2
4つの視点の
バランス・スコアカード(BSC)
学
習
と
成
長
の
視
点
経
営
(
者
)
品
質
業
務
視プ
点ロ
セ
ス
の
社
員
品
質
(
満
足
)
商
品
サ
ー
ビ
ス
品
質
顧
客
の
視
点
顧
客
・
社
会
満
足
2つの視点の
シックス・シグマ(SS )
財
務
の
視
点
(
利
益
)
業
績
顧客の声
VOC
株
主
満
足
ビジネス
の声
システムのパフォーマンスは、ある
時点では、ご
く少数の、多
1つの視点の
分一つの
制約理論(TOC)
変数によ
り、決定づけ
られている。
制約条件
(自然科学:
制限要因)
3
バランス・スコアカード(BSC)の考え方
Balanced Score Card
① 財務の視点
“バランス”が重要
② 顧客の視点
③ 業務プロセスの視点
戦略体系図(BSC-Map)⇔ 戦略の見える化
戦略目標 ⇒・測定する業績評価指標(KPI )の選択
④ 学習と成長の視点
(人材と変革の視点)
経
品営
質(
者
)
・
倫・
経
リ・
理ー営
観ダ力
ー
シ
ッ
プ
社
(
満員
足品
)質
1. 財務的業績指標と非財務的業績指標
2. 因果関係(物語り)
3. 事後的指標と事前的指標
4. 短期と長期、内部と外部
・目標数値の設定
⇔ 数値化
Key Performance Indicator
・
マ・
ス
イキ
ンル
ド(
仕
(
人事
間力
力)
)
商
ス品
品・
サ
質ー
ビ
顧
満客
足・
社
会
(付加価値の創造)
業
績
株
主
満
足
4
サウスウエスト航空の事例
BSC-戦略Map
戦略目標
利益の最大化
財務
顧客
低コスト
売上の最大化
定刻の離着陸
低価格
・一機あたりの売上最大化
(少ない機種 ・ 顧客の拡大)
(定刻の離発着の厳守 ・
顧客ロイヤリティの拡大)
CSF (重要成功要因)
集中作戦
Critical Success Factors
業務
プロセス
学習と
成長
(人材と
変革)
機体・設備の
高速回転
チームワークの
向上
・短距離・直行路線にフライトを集中
・機体はボーイング737に標準化
(積荷のスピード化・スケジュールを
守る)
・地上クルー、ゲート要員の無駄のな
ストックオプション
い動き
(教育訓練プログラムの充実 ・
モチベーションの向上)
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BSC-戦略Map
シックスシグマの基本戦略 (考察 )
持続的成長が
可能な利益の確保
財務
顧客
業務
プロセス
学習と
成長
(人材と
変革)
低コスト
戦略目標
売上の拡大
顧客満足
・投資効率最大化
・人財効率最大化
(品質不良損失コスト削減 ・
顧客の維持と拡大)
(顧客の声に耳を傾ける)
・顧客を出発点
にして問題の源
CSF (重要成功要因) を突きとめる
シックス・シグマの手法による
品質改善
高い経営品質の実行
業務の卓越性に集中
ストレッチ目標 「100万回の作業で3.4回」の欠陥率
ブラックベルト、・グ
リーンベルト育成
(教育訓練プログラムの充実 ・
モチベーションの向上)
6
シックス・シグマ(SS)主な特徴(改善手法の日米比較)
1990年代半ばに、ゼネラル・エレックトリック(GE)が経営活動全般を対象にシックス・シグ
マを導入し、成果を上げたとされたことから有名になりました。「Six Sigma」は米モトローラで
開発され、登録商標されています。
1.「品質改善運動」のベストプラクティス・ベンチマーク
(1980年代のメイド・イン・ジャパン製品を生み出した日本企業を研究)
2.米国企業の執念と気質で再構築
SSの主な特徴は ①トップダウン、
②専門集団化、
③技術者層の基盤、
④自分の価値、
⑤強みは絶対生かす。
気質は、マニュアル好き、トップ
ダウン型、リーダーシップ。
3.目標は顧客満足とコスト削減
QC(品質管理)の主な特徴は、
①ボトムアップ、
②生産現場の品質管理、
③小集団活動、
④あ・うんの呼吸、
⑤突貫工事。
気質は、協力し合い、思いやり、
会社のために頑張る。
「価値の時代ともいうべき10年が間近にせまっている。最高品質の製品を世界で最も安
く提供できなければ、ゲームから脱落していくことになるだろう。」(Jack Welch, GE)
①顧客満足の向上、②欠陥の低減、③歩留まりの向上、④事業利潤と生産性の向上、⑤
プロセス能力の向上、⑥定常的プロセス計測等による競争力強化、⑦マーケットシェアの
拡大。
※ 経営や業務の非効率な部分を改善するため、他社の優良事例(ベストプラクティス)を
詳細に調べて分析し、それを指標(ベンチマーク)に自社の活動を測定・評価して、変革を
進める経営改善手法をベンチマーキングという。
7
6σ:数字の6に標準偏差を表すギリシャ文字のシグマ
• シックスシグマは、統計的手法と経営理念を表す。
1) シックスシグマは、ピープル・パワーとプロセス・パワーを合
わせるプログラムであり、
2) シックスシグマは、ミス、無駄、仕事のやり直しを少なくする
ことに重点をおいた経営理念である。
• シグマは一種の尺度であり、あるプロセスのパフォーマンス
の判断、どれだけミスをしているかの判断に使われる。6σは
実現を目指す最高のシグマ・レベルのこと。
• 実現すべき測定可能な目標を定め、効果的な問題解決方法
を組み立て、顧客満足度を向上させ、収益を飛躍的に伸ば
すことを目指す。品質は、顧客維持の要であり、不良品コス
トを節約し、投資利益率、さらには“人財利益率”を最大にす
る。
8
シックスシグマは問題に対処するプログラムで
はなく、問題をなくすことを目指す
• どうやって問題を突きとめるのか・・・・顧客に訊く(質問する)。
• 何もかも一度に直そうとせずに、一度に一つの問題をプロジェクト
として取り組む・・・・費用対効果の大きいものを一つ選び、ブラック
ベルト(担当者)を決める。
• ピープル・パワー(誰が何をするのか)・・・経営陣はシックスシグマ
理念の推進役・応援団、その一人が社員一人一人に会社の熱意
を伝えるチャンピョン(プロジェクト全体の監督・サポート役)、トップ
から現場まで仕事のやり方に根本的かつ持続的な変化をもたらす
責任者がマスター・ブラックベルト。その仕事を引き継ぐ専任の担
当者がブラックベルト、シックスシグマの真のリーダー。現場で必
要なサポートをするのがグリーンベルト。
• プロセス・パワー(どういう工程でするのか)・・・トレーニングは四つ
のステップ(測定・分析・改善・管理)と対応し、四つのフェーズは統
計学・定量的ベンチマーク・実験計画などで構成されている。
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シックス・シグマ(SS)の考え方
お客さまの声
ビジネスの声
顧客の利益
(ベネフィット)
・満足
・便利
顧客や市場
会社の利益
重要品質要因
(品質を左右するもの)
の要望
改革ニーズは、顧客の必要や要求(VOC)
から、または、企業の技術やアイディアの
提案(VOB)から始まる。
戦略的意図
Voice Of Customer
要求
お客さまの声
(プロフィット)
・技術
・アイデア
企業活動の
優先順位
・重要品質要因(CTQ )
Critical To Quality
・不良損失費用(COPQ )
提案
Cost Of Poor Quality
・ 品質コスト(COQ )
ビジネスの声
Cost Of Quality
金額換算評価
専任プロジェクトリーダー:
ブラックベルト(BB)は、選定されたテーマのプロセスを改善する請負人。
Y = f ( x ) Y :現象 f :プロセス x :要因1,2,3,・ ・
改善チーム
(チームの全活動に日程を入れ、各メンバーに役割を与え、
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文章にして全員に手渡す)
シックス・シグマの D-MAIC サイクル
D・ 定義(Define)・・・顧客が求める品質課題を明確に定義する。
顧客を不愉快にさせている問題 ⇒ 劣悪な品質による損失コスト(COPQ )
が大きい問題 → 問題を定義する
もっとも厄介な問題
MAIC
・ 測定 (Measure)・・・「今、どういう状態にあるのか」を明確にしていくために、
データを収集する。
現在の状態
ギ
ャ
ッ
プ
の
大
小
・ 分析 (Analyze)・・・収集したデータをもとに、「どういう特徴を持っているのか」
を定義し、改善の到達目標を設定する。
CTQの特定
目標とする状態
・ 改善 (Improve)・・・分析の結果から、「何をどう管理すれば一番よいのか」
(最適化)を導き出し、関係がある要因とデータを用いて検証する。
・ 管理 (Control)・・・改善成果維持のチェック、他への転用の可能性や不測の
事態への対応を検討する。 Check & Plan next.
(チームの全活動に日程を入れ、各メンバーに役割を与え、文章にして全員に
手渡す)
テ
ー
マ
問題を明確
に定義 D
現状
を測
定M
分析
A
状況
を改
善I
管理
C
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思考(気質)の違いを克服する
欧米型思考
日本型思考
論理・数字
Logic,
Number
義理・人情・
浪花節
Giri, Ninjou,
Naniwabushi
ビジョン→トップダウン→方法
現場改善→ボトムアップ→根本
論理・分析・確率
経験・観・度胸
人格・徳を高める知識
↓
競争・独創
切磋琢磨・共同創出
業績を高める知識 (知識を行動に適用する)
考えるPlan → 行動するDo
行動するDo → 考えるSee
戦略計画=分解作業は 論理
:左脳の働き
戦略思考=統合作業は 直観(直知・アイデアがひらめく) :右脳の働き
シックス・シグマ:欠陥を「ゼロ」にするという目標では、コストが際限なくかかりすぎる
というビジネスの合理性から、全社が共有する目標として、欠陥率の基本指標に
「100万回の作業で3.4回」の欠陥(6σ)という難度の高い具体的数値を掲げている。
(ストレッチ目標「欠陥6σ」 対 願望「欠陥ゼロ」)
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要素分解作業・ロジックツリー(横方向の階層分解)
大項目
中項目
小項目
1st Level(Need)
2nd Level(Drivers)
3rd Level(CTQs )
品質要素に分解
ニーズを明確にし、
・Whatツリー
・Why ツリー
・How ツリー
顧客満足要素に分解
(
重要品質要因)
味
品質
見た目
何よりも温かさ
ピザの配達
配達速度
速さ
多様さ
ピザの種類\トッピング
注: シックスシグマの品質改善活動では、お客さまの声からスタートしてD-MIAIC
の作業ステップを踏むので、この要素分解作業・ロジックツリーは使いません。
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顧客価値の時代
仕事の基本
視点の
変化
(3要素)
作り手
製造のQCD
要素 ① 品質・・・
Quality
② 原価(コスト)
Cost
③ 納期・・・
Delivery
④ ―
マーケティング・ミックスの基本
(4要素)
売り手
営業の4P
製品・・
Product
価格・・
Price
流通・・
Place・
販促・・
Promotion
市場の3C
・顧客
・自社
・他社競合先
“買い手よし”
顧客にとって価値あり
顧客中心の4C とするもの(顧客価値)
① 顧客価値
Customer Value ※②・・お買い得感 =
顧客価値 ÷顧客コスト
② 顧客コスト
Customer Cost
※③・・便利さ =
③ 利便性
顧客価値 ÷ 時間
Customer Convenience
顧客価値の共創
④ コミュニケーション
Customer Communication
「マーケティングは顧客からスタートする。 すなわち人口、現実、欲求、価値から
スタートする。 『われわれは何を売りたいか』ではなく、『顧客は何を買いたいか』
を問う。 『われわれの製品やサービスにできることはこれである』ではなく、『これ
が、顧客が価値ありとし、必要とし、求めている満足である』と言う。 」( 1973年
P.F.ドラッカー「マネジメント」)
・・・ 顧客を知る知覚は右脳の働き
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顧客満足とサービス機能の関係
(Kanoモデル)
満足要因 :
少し違った視点でサービスを充実また
は少し改善させただけで満足度が格段
に向上するもの
基本要因 :
サービスを充実させることと比例して
顧客満足度が高まるもの
必須要因 :
サービスを提供する上で当然なことや
必須なもの(必須要求)
サービス業の商品である「サービス」は、目に見えるものではなく、ほとんどの場合、
購入前に顧客が自分で比較や評価をすることは困難で、返品も不可能です。顧客
は常にお金を払った後に、「体験」を評価することになります。顧客の「体験」を「顧客
が価値あり」とするもの、「顧客満足を実現する何か」に取り組むことが重要です。
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ハメルのコア・コンピタンス
経営資源の新たな考察
目に見える
製品
戦略立案・
遂行能力
事業そのものに対する
分析
1980年代まで戦略仮説
の分析は、目に見える成
果・製品を対象にした簡
便な分析ツールの活用
が主流でした。
組織学習
目に見えない
コア・コンピタンスとは「組織内における集団的学習
であり、特に種々の生産技術を調整する方法、そし
て複数の技術的な流れを統合するもの」である。ホ
ンダのエンジン技術、ソニーの小型化技術など、企
業の中核能力を経営資源として洞察し把握する。
コア・コンピタンス(中核能
力)に対する考察
1990年代
ゲイリー・P・ハメル
C・K・プラハード
経済
競争優位 的な
強みか弱みか
の意味合 パ
い
フォー
マンス
経済
価値
希少
性
模倣
困難
性
外部環境
における
脅威や機
会に適応
することを
可能にす
るか
その経営
資源をコン
トロールし
ているの
は、ごく少
数の企業
だろうか
獲得ある
いは開発
する際に
コスト上の
不利に直
面するだ
ろうか
活用する
ために、
組織的な
方針や手
続きが
整ってい
るだろう
か
No
─
─
No
競争劣位
標準を 弱み
下回る
Yes
No
─
↑
競争均衡
標準
Yes
Yes
No
↓
一時的競
争優位
標準を 強みであり固有の
上回る コンピタンス
Yes
Yes
Yes
Yes
持続的競
争優位
標準を 強みであり持続可
上回る 能な固有のコンピタ
ンス
組織
企業は、バリューチェーンを構成
する活動のうちのどれか、あるい
はいくつかにおいて、企業固有の
コンピタンスを身につけなければ
ならない。
強み
(終わり)
生きた戦略
戦略策定(計画立案)と BSC ・ SS
VERI & heso’s Management
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