ミッション・プログラムⅠ - 社会技術研究開発センター

ミッション・プログラムⅠ
研究開発成果・自己評価報告書(案)
―
目
次
-
ミッション・プログラムⅠ全体 .......................................... 1 総括研究グループ ..................................................... 29
会話型知識プロセス研究グループ ....................................... 69 失敗学研究グループ .................................................. 103 社会心理学研究グループ .............................................. 125 法システム研究グループ .............................................. 147 リスクマネジメント研究グループ ...................................... 177 原子力安全I研究グループ ............................................ 201 化学プロセス安全研究グループ ........................................ 229 地震防災研究グループ ................................................ 245 交通安全研究グループ ................................................ 292 医療安全研究グループ ................................................ 301
社会技術研究ミッション・プログラムⅠ 研究開発成果・自己評価報告書
【 目 次 】
0. 背景
1. プログラムの目標
2. 目標達成のためのアプローチ
2-1 俯瞰的アプローチの採用
2-2 研究グループの構成
2-3 研究グループの目標
1)総括研究グループの目標
2)会話型知識プロセス研究グループの目標
3)失敗学研究グループの目標
4)社会心理学研究グループの目標
5)法システム研究グループの目標
6)リスクマネジメント研究グループの目標
7)原子力安全Ⅰ研究グループの目標
8)化学プロセス安全研究グループの目標
9)地震防災研究グループの目標
10)交通安全研究グループの目標
11)医療安全研究グループの目標
3. 主な研究開発の成果
3-1 安全に係わる社会問題を解決するための社会技術の開発
3-2 社会技術の開発に必要となる知識基盤の構築
3-3 社会技術を開発するための一般的方法論の構築
3-4 俯瞰的アプローチの効用
3-5 開発された社会技術の特徴
4. その他の事項
4-1 アウトリーチ
1)社会技術研究論文集およびその他の研究発表
2)シンポジウム等の開催
3)書籍
4)解説記事、新聞記事等
4-2国際的水準・国際的アウトリーチ 1
1)OECD グローバル・サイエンス・フォーラム・ワークショップの主催
2)英文書籍の刊行計画
4-3 社会技術の実装
4-4 人材育成
4-5 継続性
1)安全安心研究ユニット
2)新規公募型研究プログラム
3)新規公募型社会実装支援プログラムの提案
4)社会技術研究シンポジウム
5. 目標の達成状況
0.背景
原子力発電所によるトラブル隠し、SARS(重症急性呼吸器症候群)や BSE(牛海綿状脳
症)に係る騒動、耐震強度偽装問題など、安全安心を巡る問題、事件は跡を絶たず、同じよ
うな事故や不祥事が繰り返し起こっている。このような社会問題に対する有効な解決策の立
案・実施を困難にしている要因として、主に以下の 2 点が考えられる。
一つ目の要因は、社会問題の複雑化・高度化である。社会問題には様々な組織・制度・シ
ステムが関わっているため、局所的な問題解決が必ずしも問題全体の解決にはつながらず、
意図せざる結果や悪影響を招く可能性がある。一方、問題解決においては高度な科学技術の
知識を必要とするため、
専門家と非専門家の間には認識や理解に大きな隔たりが存在してい
る。また、このような問題の高度化は、研究分野における専門領域の細分化を招く。以上の
ような社会問題の複雑化・高度化は、特に科学技術に関わる社会問題について、その全体像
を把握することを困難とさせている。「社会問題の全体像を把握する」とは、ある社会問題
がどのような要素問題群によって構成され、さらにそれらがどのような因果関係を有してい
るかを理解するということを指す。科学はこれまで、領域を細分化し、それぞれの小領域を
深化させることで発展を続けてきたが、その結果として、上記のような「社会問題の全体像
の把握」を困難とさせたのである。コンピュータの 2000 年問題において、どの分野にどの
ような問題が発生し、それらが社会全体にどのように波及するかといったことを、誰も事前
に完全に理解することはできなかったという出来事は、その一事例と捉えられよう。
二つ目の要因は、解決策導入による影響を受ける主体(ステイクホルダー)が多岐に渡っ
ており、さらに各主体の価値観も多様化していることから、導入すべき解決策の望ましさに
対する判断が困難になっている点である。すなわち、価値観の多様化した現代社会では、あ
る主体にとって望ましい影響が、必ずしも別の主体にとっても望ましいとは限らないため、
どのような絵姿の社会を導く解決策が昀善であるかということについて、その判断が困難に
なっているのである。
ミッション・プログラムⅠでは、以上のような問題意識を念頭に置きつつ、特に科学技術
に関わる社会問題に対する実効的な解決方策の提案・実現のために必要な技術の開発を目的
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とする。
1.プログラムの目標
ミッション・プログラムⅠでは、社会技術を、社会問題を解決し、社会を円滑に運営する
ための広い意味での技術と規定した。ここで、技術とは、工学的技術だけでなく、法・経済
制度、社会規範など、全ての社会システムを含む。ミッション・プログラムⅠの目標は、以
下の3項目である。
(1)安全に係わる社会問題を解決するための社会技術を開発する。
(2)そのために必要となる知識基盤を構築する。
(3)社会技術を開発するための一般的方法論を構築する。
2.目標達成のためのアプローチ
2-1 俯瞰的アプローチの採用
ミッション・プログラムⅠでは、研究の方法として俯瞰的アプローチを採用した。俯瞰的
アプローチには、以下の3つの側面がある。
1)問題の政治的側面、経済的側面、社会的側面など、特定の視点に限ることなく、問題を
全体的に捉える(図 1)
2)問題解決に用いる知識として、法学、経済学、工学、社会学など、特定の学問領域にお
ける知識に限ることなく、活用できる知識を総動員する(図 2)
3)問題解決策として、原子力安全、地震防災、交通安全など、特定の問題分野における対
策に限ることなく、分野を超えた知見を活用する(図 3)
図 1 問題の全体像の把握
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図 2 活用できる知識の総動員
図 3 分野を超えた知見の活用
1)の側面に対応して、ミッション・プログラムⅠでは問題の全体像を把握する技術を開
発した。問題の全体像を把握するためには、問題の一部分のみを見るのではなく、俯瞰的に
問題全体を眺めることが大切である。
2)の側面は問題解決に不可欠である。文理融合の必要性はよく訴えられるが、成功した
事例はあまり知られていない。異なる分野の学問を融合させて新しい学問を創造するのは難
しい。しかし、問題を解決するために、
異なる学問領域の知識を活用することは必要である。
特定の学問領域の知識だけで解決できる問題は少ない。文理協働は問題解決の必然である。
活用できる知識を総動員して問題解決にあたることは、社会技術研究の理念の一つである。
新しい問題分野では、対策の実績が少なく、問題解決の方針が立てにくい。どのような対
策が有効であるのか、方向性を示すことが重要となる。そのような方向性を模索する上で、
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類似の分野での有効な対策がヒントとなる。それを可能にするのが3)の側面である。既存
の問題分野では、長年にわたって問題解決の努力を積み重ねてきており、やれることは全て
やってきたとも言える。そのような状況において、類似の分野で行われている対策を適用す
ることにより、革新的な解決策を産み出すことができるかもしれない。また、ある問題分野
で成功した解決策が見つかった場合、それを他の分野に適用することにより、波及効果が得
られることも考えられる。このような分野を超えた知見の活用を可能にするのが、3)の側
面である。
次節に示すミッション・プログラムⅠの研究体制は、2)と3)の側面を具現化している。
2-2 研究グループの構成
1.に挙げた目標を達成するために、11の研究グループを設け、図4に示す研究体制を
採った。原子力安全、化学プロセス安全、交通安全、地震防災、医療安全という安全に関わ
る領域をカバーする研究グループと、失敗学、会話型知識プロセス、社会心理学、法システ
ム、リスクマネジメントという横断的研究グループ、さらに全体を取りまとめる総括研究グ
ループが設けられた。このほかグループを構成するには至っていないが、食の安全に関する
研究者も所属している。工学・医学・法学・経済学・心理学の研究者・実務者が協働し、社
会問題の解決にあたる体制がとられているわけである。
なお、原子力安全研究グループⅡは日本原子力研究所(現日本原子力研究開発機構)によ
る協力研究であり、社会技術研究開発センターの予算によるものではない。そのため、本報
告書の対象外とした。
図 4 ミッション・プログラムⅠの研究体制
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安全性に関わる社会問題として共通性を持つにもかかわらず、これまで比較検討されるこ
とのなかった領域を並べ、さらに横断的グループでクロスオーバーを図っているところに、
このプログラムの特長がある。
2-3 研究グループの目標
1)総括研究グループの目標
ミッション・プログラムⅠ全体の設計・管理運営を実施するとともに、安全性に係わる個
別研究分野の知識を横断的に整理・統合して、普遍的な知識体系を構築するという目的の下、
以下に示す3点を目標に研究を実施した。
・ 社会技術の概念の明確化と社会技術の設計の方法論構築:社会技術の概念を明確化する
とともに、各研究グループの取り組み、また多様な分野な既に実施されている社会技術
に類する解決策の開発過程等を総合し、社会技術の設計の方法論を構築する。
・ プログラム全体の知識の補完:安全に係わる社会技術の開発、またそのために必要とな
る知識基盤と一般的方法論の構築に関して、他研究グループでは対応しきれない研究課
題について補完的知見を取りまとめる。具体的には、「安全性確保」から「人々の安心
実現」へ向けた展開に関する研究や、食の安全/医療事故分野に関する研究を実施し、
その知見を取りまとめる。
・ プログラムの設計・管理運営、および知識の体系化:プログラムの設計・運営、グルー
プ間のクロスオーバー・情報交換の促進、成果発信の場の提供などを行うとともに、各
研究グループで形成された知識を体系化する。
2)会話型知識プロセス研究グループの目標
会話型知識プロセスグループの研究目的は、人間にとって昀も自然なコミュニケーション
様式である会話を中心としたインフォーマルでインタラクティブなコミュニケーション様
式に焦点をあてて、コミュニティの活動を引っ張る個人やグループの活動を支援する新しい
コミュニケーションツールの研究開発、評価、社会への実装を行うことである。この目的の
もとで、以下に示す4点の目標を立てた。
・ 情報収集支援技術の研究開発:コミュニティの活動を引っ張る個人やグループの情報収
集活動を支援するために、インターネットから知的に情報を収集したり、インターネッ
ト上に現れている人々の関心の動向を把握して、新たな知見を得るための情報収集支援
ツールを研究開発する。
・ 情報提示支援技術の研究開発:コミュニティの活動を引っ張る個人やグループの創出し
た情報や知識をインターネット上で効果的にプレゼンテーションする過程を支援する
ために、会話エージェント(コンピュータ端末画面上に表示され、ユーザにインタラク
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ティブな情報提示を行うアニメーションキャラクタ)を用いた情報プレゼンテーション
システムや、政策論議支援システムを研究開発する。
・ コミュニケーションツール評価手法の研究開発:コミュニケーションツールが個人や社
会のなかでどのように機能するかを測定し、評価するための手法を研究開発する。
・ 会話型知識プロセスの実践と社会調査:会話型知識プロセスを実際に社会問題解決に適
用するとともに、社会調査を行って社会のなかのどのような(潜在的)需要に応え、組
み込まれるかを明らかにする。
3)失敗学研究グループの目標
失敗学グループでは次の3つの目標を、2001 年のプログラム開始時に設定した。
さらに、
その後の 5 年間の実施期間を通して、より具体的でかつ実体的な成果を出力するように、
目標を再設定し直しながら研究を進めた。
・ 失敗事例の収集・分析および防止策の提示:失敗事例の収集・分析をさらにすすめ、失
敗原因の分類・類型化・一般化を行い、それぞれに対する失敗を防ぐための方策を提示
する。ここでは、失敗事例のナレッジ・ライブラリを作るだけでなく、組織構成員全員
にそのナレッジを刷り込んで活用させる方法を検討する。
・ 失敗を生かす社会システムの提示:失敗の原因究明を重視し、失敗が技術や制度の改善
につながるようにするための社会システム、すなわち法制度、経済制度、社会通念、教
育等のあり方を提示する。ここでは提示の後の具体的なナレッジ活用の場として、特に
教育に注目する。つまり、失敗を生かしながら新しい製品を産み出す方法を提案し、そ
れを学部 3 年生向けの創造設計演習や、2002 年に設立した NPO 失敗学会において実験
して、失敗などの知識を有効に生かす個人や組織のあり方を検討する。
・ 研究成果を生かすための実装方法の開発:失敗学の研究成果を社会で生かすための実装
方法を試作し、公開する。ここでは、次の4つの実装に注力する。1)ケーススタディ
として個々の失敗事例を収集し、さらに短時間で全体像を俯瞰できるように、それらを
体系化して失敗事例群を提示した Web サイトのデータベースの開発、2)エンジニアの
失敗知識の管理方法として、失敗の対処方法や失敗事例の共通点を示した書籍の発行、
3)設計における上位概念、すなわち設計の要求機能を自ら設定させるナビゲーション
ツールの開発、4)エンジニアの失敗対応力を高めるために、コンピュータゲームによ
って失敗疑似体験して、失敗知識を自習できる失敗疑似体験ソフトの開発。
4)社会心理学研究グループの目標
「組織的違反」解決するための以下の社会技術の開発を試みた。
・ 違反に関わる意志決定手続きの特定と意志決定手続きガイドラインの提案:大事故・大
事件においては、経営幹部らトップが参加した組織内の会議で話し合われた上で不正が
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容認されてきたケースが多い。したがって「明らかに不正だと思われる案件が議題に上
がり、それについて議論されることになったのに、なぜそれが承認されるに至ったのか」
という問題について意思決定過程の観点から検討することは、組織違反の防止に貢献す
ると考えられる。そこで、違反に関わる意志決定過程の特徴を実証的に明らかにし、そ
こから違反を抑止する意志決定機構の提案を試みることにした。
・ 違反に関わる組織風土の特定と組織風土ガイドラインの提案:従来から、組織ぐるみの
違反の背景に組織風土の問題があると指摘されてきた。しかしながら組織風土に対する
具体的対策が講じられているかといえば、実際には“組織の風通しが重要”、
“安全文化
の醸成”など、口当たりはよいがきわめて漠とした表現による提言が行われているのみ
で、実際に測定可能な概念は存在しなかった。そこで、社会心理学的手法に基づいて違
反に関わる組織風土を特定し、それに基づくガイドラインを提案することにした。
・ 内部申告に関わる組織的・心理的要因の特定と内部申告制度に関するガイドラインの提
案:組織的不正が狡猾な方法で隠蔽されている場合には、それを組織外部から知ること
は難しい。このような場合、組織内部からの内部告発が公益保護のための有効な一手段
となりうる。一方で、内部告発が組織にとって短期的には深刻なダメージをもたらし、
組織内の秘密を暴くことで、裏切り行為としての意味合いもある。このようにアンビバ
レントな特徴をもつ内部告発を社会に有効に活かすために必要な社会システムを提案
するために、まず、
「現在、内部告発が社会においていかに認識されているか」
「内部告
発の実態はどうであるか」の実態を内外において把握し、今後の内部申告制度に関する
ガイドラインの提案を試みた。
・ 職業的自尊心と違反の関連についての基礎研究とガイドラインの提案:職業的自尊心
(自分の仕事に誇りを持っているかどうかという主観的評価)は組織風土の属人性より
は間接的な要因であることが予測されるが、組織における違反の予防因として重要な心
理的変数であると考えられる。また、仮に違反に直接影響する要因でないとしても、職
業威信は法令や規則に定められた事柄を遵守し、可能な限り質の良い商品・サービスを
提供しようとする職業倫理に関連すると予想できる。そこで、職業的自尊心と違反の関
連について基礎研究を行い、これからの職業倫理に関するガイドラインの提案を試みた。
・ 違反に関わる潜在的態度測定手法の開発:ある人物が違反をするかどうかには当然なが
ら個人差が関与しており、その影響は決して小さいものではない。したがって、違反を
防ぐための社会心理学的措置を考える際に、違反に関わる個人差を検討する必要がある。
ただし、これまでの個人差測定手法(質問紙法)では、本人が回答を偽ることが容易で
あり、違反のように隠蔽の動機付けが高い事柄についてはほとんど役に立たない。そこ
で、違反に関わる個人差要因を、回答を偽ることができない方法で測定する手法の開発
を試みた。
5)法システム研究グループの目標
安全に関わる法制度というものは、
科学技術を社会に導入する際に常にセットで導入され
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てきたものであり、古典的な社会技術であるといえる。しかし、交通安全、医療・薬品安全、
化学プロセス安全、食品安全、原子力安全、地震防災等の様々な安全性確保のための法シス
テムについて、これまで個別の分野において分断的に扱われ、統一的に扱われることはなか
った。このような問題提起を前提として、本研究においては、交通安全、医療・薬品安全、
食品安全、原子力安全、災害防止等様々な安全性確保の法システムを、ミッションプログラ
ムⅠの各分野の研究者と協働して、横断的分析によって、統一的な安全法システム制度設
計・運用についての基本的手法を明示化し、さらには再構築することを目的とした。そのよ
うな目的を達成するために、以下の 4 点を目標に研究を実施した。
・ 既存安全法制に関する横断的知識基盤の構築:既存の安全関係法制度の横断的知識基盤
の構築を目標として、交通分野(航空・自動車)、医療・医薬品分野、住宅防災分野、
食品安全分野、原子力安全等の既存法システムの包括的検討を基礎に、共通の視点を設
定して横断的比較を行う。
・ 安全法事例研究-安全にかかわる法制度における暗黙知とその限界の抽出:従来安全に
関わる法制度の設計と利用は、行政と民間の様々な組織における実践的経験に基づいて
行われてきた。そこで、現場の実務家や技術者との対話や歴史的資料に基づき、ボトム
アップの詳細な事例研究を蓄積していくことを通して、安全に関わる法制度における制
度設計と運用の課題について、暗黙知も含めて分析し、個別分野・局面における制度設
計・運用の意義と限界を明示化する。また、外国の事例についても、単に公式的制度を
紹介するのではなく、その運用実態と課題にまで踏み込んだ事例分析を試みる。
・ 安全法制度設計手法の構築:安全に関わる各分野の技術的社会的特色と法制度設計の関
係について検討することを通して、各分野に適した制度設計の指針(選択肢と各々の選
択肢に関わる様々な考慮事項)について整理する。その際、技術的社会的条件(技術の
担い手となる専門家の性格、関係者の数・性格、基準の性格、決定の前提となる情報の
性格と加工過程、組織体制等)と法制度設計との連関、様々な法的手法(行政法的手法、
民事法的手法、刑事法的手法、情報提供や監査を用いる市場的手法)の組み合わせを選
択する際の考慮事項、基準設定・実施過程における民間・市場組織(専門家組織、保険
会社、民間基準認証・認定機関を含む)の利用可能性を規定する条件についても焦点を
当てる。
・ 具体的社会技術=安全法制度の提案:既存安全法に関する横断的知識基盤、安全法事例
研究、暫定的安全法制度設計手法を基盤として、ミッション・プログラムⅠの各分野の
グループとも協力しつつ、具体的社会技術としていくつかの安全法制度の提案を行う。
6)リスクマネジメント研究グループの目標
リスクマネジメント研究グループでは、「社会全体として市民の視点に立ったリスクマネ
ジメント(RM)を実現するための、分野横断的な社会技術の方法論を構築する」、
「各主体
の RM 行動の相互作用を踏まえ、公平かつ効率的に安全安心を確保できる社会技術を開発
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する」という目的の下、以下に示す 3 点を目標に研究を実施した。
・ パブリックリスクマネジメント(PRM)のための社会技術の方法論構築:パブリック
リスクマネジメント(PRM)の概念を、既往の研究成果の蓄積を基に明確化するととも
に、社会的リスクの軽減に向けて多様な分野で既に実施されている RM の実態等を検証
し、各分野のリスク特性と、分野別のリスクガバナンス構造との関係を分析し、社会全
体として公平かつ効率的に安全・安心を確保していく PRM のための社会技術の方法論
を構築する。
・ 効果的・効率的なリスクガバナンス(RG)のためのリスク情報開示・流通手法の開発:
分野横断的、業種横断的に RM 資源が配分され、各主体の取り組みが相補的・相乗的と
なるために、必要とされるリスク情報の開示手法・流通手法について、主として民間部
門での会計情報に関しての取り組み(SRI や環境会計等)を踏まえて、会計的手段を通
じたリスク情報開示の手法を検討する。合わせて、民間企業の防災活動が公的にも大き
な役割を持つことから、事業継続計画(BCP)のあり方をとりまとめる。
・ 市民レベルでのリスクマネジメント(RM)行動支援手法の開発:近年頻発する自然災
害への対応にあたって、自助・共助としての市民レベルの RM 行動を支援する必要があ
る。そこで、防災情報発信者と情報の受け手側の相互作用を効果的なものとするよう、
受け手のリスク認知を大幅に改善する支援手法を開発する。合わせて、災害時・事故時
の市民レベルでの RM を情報面から支援するため、警告情報を分野横断的に流通させる
ためのプラットフォームに関して調査検討を実施する。
7)原子力安全I研究グループの目標
原子力安全に関連し、技術的側面と社会的側面の両者を視野に入れた安全概念の構築に必
要な課題項目を、従来の原子力開発から得られる教訓を基に摘出・整理する。この知見を踏
まえ、異常の発生防止(規制・保安)、拡大抑制(異常対応)、影響緩和(防災)の各フェー
ズにおける組織的リスクマネジメントや社会プログラムの有効性評価技術と、これら諸活動
の効率化のための支援技術を開発する。さらに、原子力に関する社会的受容・合意形成のプ
ロセスを解明することによって、望ましいリスクコミュニケーションのあり方を提言する。
・ 原子力安全の体系化と情報共有:原子力安全の専門家への意見聴取やブレーンストーミ
ングを通して、技術的側面と社会的側面の両者を含む原子力安全の影響因子と課題分野
を抽出し、原子力安全に関る基本概念を網羅、体系化した原子力安全オントロジーを構
築する。次に、異なる組織によって蓄積された安全に関る情報を、社会的に共有するた
めの基盤技術を開発する。インターネット上に蓄積された原子力安全情報から、情報利
用者の要求に即した情報を、オントロジーを利用することによって効率的に検索、閲覧
できるようなシステムを開発する。以上により、原子力安全分野の体系化と安全情報の
社会的共有を行うための基盤を確立する。
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・ 危機管理システムの評価手法と支援技術:異常事態発生時における適切な危機管理体制
の確立を目的とし、組織構成員や組織の役割と行動、情報伝達、意思決定に関する過去
事例分析の上に、組織科学、認知心理学などの領域における新知見を援用しつつ、防災
に関与する多様な個人、組織を単位とした緊急時行動シミュレーションシステムを開発
する。次に、特定の緊急時シナリオを対象に、危機管理システムの設計を様々に変えて
事象の詳細な推移、対応行動の所要時間、ミッションの成功確率など全体のパフォーマ
ンスを評価し、比較することにより、優れた危機管理システムについての知見を得る。
・ 原子力の社会的受容・合意形成過程:原子力の受容に関するインタビュー調査、アンケ
ート調査を実施して受容を左右する因子の因果構造を解明し、原子力世論分布への影響
を解析する。つぎに、マルチエージェントモデルを用いた社会シミュレーションによっ
て、原子力の社会的受容のダイナミクスと、社会ネットワーク構造、認知心理的因子な
どの影響について知見を得る。さらに、合意形成の事例分析によって、合意形成過程の
モデルを構築する。このモデルに基づき、情報通信技術を活用して合意形成を積極的に
支援するための技術を開発し、この技術を基に知的情報集約機能を備えた合意形成支援
環境を開発する。以上で得られた結果に基づき、原子力に関する望ましいリスクコミュ
ニケーションのあり方について提言する。
・ 放射性廃棄物処分安全の社会的受容性:放射性廃棄物処分に関する諸概念について、社
会的受容性の観点から国際的な比較研究を行いつつ日本社会への適用性を考慮し、合意
形成のための社会活動も含めた処分プログラムのシステム設計を行う。まず、社会的意
思決定における段階的処分プログラムの考え方について国際比較を行い、各処分オプシ
ョンについての定量的比較を行う。次に、回収可能性が安全性に与える影響について、
モニタリング、貯蔵、余裕深度処分などの観点から安全情報の価値解析を行い、安全評
価体系と処分計画の調和を図る。さらに日本の特殊性を考慮しつつ、社会的受容性の高
い処分計画のシステム設計を行う。
8)化学プロセス安全研究グループの目標
化学プロセスの安全に関わる社会的視野と企業視野の双方向からの安全性についての価
値判断を明確にし、社会におけるリスクコミュニケーションを支援するための社会技術を開
発することを目的として、以下に示す 2 点を目標に研究を実施した。
・ 化学安全の知識の体系化と安全レベルの可視化:化学産業では、取り扱う化学物質の数
が多くプロセスも複雑であるので、社会が化学リスクやハザードについての問題点を理
解する専門的かつ高度な知識が必要とされる。そのため化学物質の安全情報や防災知識
などを社会と企業が効率的に情報交換するシステムを構築する。次に企業の安全レベル
を社会が理解しやすい形で可視化するシステムを構築する。さらにこの 2 つのシステム
をインターネットウェブ上で公開し社会と企業が双方向で情報交換できる基盤技術の
構築を目指す。
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・ 化学安全の向上を目指す社会技術の開発:化学産業が抱える安全管理上の問題点の解決
に必要な要素として、企業が安全パフォーマンスを自己評価することが重要であること
から、自主保安マニュアルや安全管理要素を整理し自己診断できるシステムを開発する。
更に上述のシステムと自主保安診断のシステムを統合して、化学産業の安全性に関わる
社会的合意形成を支援するための総合的なシステムを開発する。
9)地震防災研究グループの目標
地震防災研究グループでは「大都市域における地震リスクと防災・危機管理技術」という
課題の下に、「大地震が起きたときに何が起きうるのか」について信頼できる情報を提供し
うる技術の開発、既存不適格構造物解消という社会問題の解決へ向けた制度の提案、防災投
資のあり方を明示できるソフトの制作、開発・統合した技術の社会への実装に関する取り
組みの推進を目的として研究を行った。
・ 耐震補強推進のための可視化技術の開発:地震のリスクを客観的に認識し、自分の街や
自分の家の安全を確保するには、将来予想される地震に対して何が起きうるのかを具体
的なイメージとして捉える必要がある。都市全体、個々の木造家屋、そして建物内部の
詳細な震動シミュレーションを行い、耐震補強のインセンティブになりうる技術を開発
することを目標とした。
・ 耐震補強推進のための制度設計:全国で木造のみでも 1000 万棟以上存在している既存
不適格建物に対する昀も重要な地震防災対策は、このような耐震性の不十分な建物の建
替えと耐震補強である。ここでは、耐震改修が不要な強い建物に住む人と耐震補強を実
施した人は、将来の地震で万が一、全壊・全焼などの被害を受けても、新築住宅の建設
に十分な支援を受ける環境が整うような制度の提案と、効果的な地震リスクコミュニケ
ーション通じて、住宅耐震化問題に対する防災施策立案のための分析・提案を目標とし
た。
・ 耐震補強投資推進のための問題分析とゲームの開発:確率事象である地震に対して市民
がどのような認識をもっているかを分析し、かつ的確な理解を進める方策を提示する。
ここでは、ゲーム理論を用いて、耐震補強投資がそれに見合うだけのリスク低減の投資
効果があるかを客観的に評価するための問題分析を行うとともに、地震危険度への関心
が励起されることを狙った、地震リスクの異なる複数の都市への分散投資を考えるゲー
ムの制作を目標とした。
・ 社会問題解決に向けた取り組み:これまでに開発した統合地震シミュレータや個別家屋
の倒壊シミュレーションアニメ、建物内部被害のアニメなどを Web 上で公開するとと
もに、セミナー等を開催して研究成果の社会への還元や実装を図る。また、建築構造物
を中心した建物の耐震改修促進を目標としている団体との協働により、開発した高度シ
ミュレーション技術の普及を図る。さらに、これまでの研究とその成果の還元の継続を
目標として、防災意識の高揚による自治体支援から、遠くは防災産業の育成にも目を向
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けた活動を行う。
10)交通安全研究グループの目標
本研究グループでは、
「交通安全に係わる社会問題を解決するための社会技術を開発する」、
「そのために必要となる知識の体系化と一般的方法論を構築する」という目的の下、以下に
示す 3 点を目標に研究を実施した。
・ 交差点における交通事故要因分析の方法論構築と交通事故発生要因の分析:市街地で発
生する交通事故の6割強を占める交差点での事故発生要因について、これまでの研究成
果を活用しながら、分析の方法論を構築するとともに、実在する都市内交差点に適用し、
交通事故発生要因について分析を行う。
・ 交通事故情報に関わる情報の可視化:交通事故発生の現状および発生要因の全体把握、
また、客観的分析に基づいた対策に関して、交通管理者が更なる対策案の検討を行うた
めに必要な情報基盤を構築するため、地理情報システムを活用した交通事故に関する情
報の可視化を行う。
・ 協働型交通事故対策における合意形成支援システムの構築:今後の日本における交通安
全対策でキーコンセプトとなるであろう交通管理者などと道路ユーザが協働する「協働
型交通事故対策」の実施に伴い、関係主体間で発生するコンフリクトを明らかにし、関
係主体間の合意形成をサポートするシステムを構築する。
11)医療安全研究グループの目標
「臨床情報、ゲノム情報等を統合的に管理・分析する方法論と、それを社会実装する
仕組みを整備することにより生み出された様々な知識を、臨床現場で活用することを通
じて、医療の質・安全性向上に寄与する」ことを目標に、以下のテーマに沿って研究開
発を行った。
・知の構築:
No
テーマ
(社会技術)
概要
具体的目標
1
診療ナビゲ
ーションシ
ステム
循環器領域における診
療情報(含ゲノム情報)
の体系化、情報システム
への実装
① システムの完成
② 社会実装
③ 得られた知の評価
2
ク リ ニ カ
ル・インディ
ケーター
大学病院の機能を総合
的・客観的に評価するた
めの指標の開発と実装
① インディケーターの開発
② 全国調査
③ 調査内容の評価(ド
キュメント化)
・知の普及:
13
関連する知
• 体系化された診療情
報・ゲノム情報
• 情報の解析手法
• 知の活用手法 等
• 各インディケーター
の構成要素
• 大学病院の機能的特
性 等
No
1
2
3
テーマ
概要
具体的目標
(社会技術)
医療事故・イ 医療現場において起こ
① DVD の作成
ン シ デ ン ト りやすいインシデント
② 配布
の再現 DVD の再現 DVD の作成
医療事故・インシデン
Pocket 医療 ト を 誘 発 す る 医 療 行
① マニュアルの作成
安 全 マ ニ ュ 為、医療材料の取り扱
② 配布
アル
いについてのマニュア
ルの作成
院内スタッフに対し安
① 教材の作成
医 療 安 全
全な医療行為について
② 病院内での実装
e-learning シ
の知識を提供・教育す
③ 評価
ステム
るためのツールの開発
関連する知
• 発生頻度を含むインシ
デントの事例
• インシデント誘発要等
• 発生頻度を含むインシ
デントの事例
• 事故発生頻度を低減さ
せる確認方法や医材の
取り扱い方法 等
• 教材
• 評価方法
• 評価結果等
3. 主な研究開発の成果
3-1 安全に係わる社会問題を解決するための社会技術の開発
一つ目の目標である「安全に係わる社会問題を解決するための社会技術の開発」に対応す
る主な成果としては以下のようなものがある。成果の全体像、自己評価等については、各グ
ループの研究開発成果・自己評価報告書を参照されたい。
表1 「安全に係わる社会問題を解決するための社会技術の開発」に係る主な成果
成果の名称
担当グループ名
医療安全達成のための診療ナビゲーションシステム
医療安全研究 G
事故リスク分析モデルを用いた交通事故対策評価システム
交通安全研究 G
緊急時対応のマルチエージェントシミュレーション
原子力安全Ⅰ研究 G
組織違反を防止する心理学的装置
社会心理学研究 G
化学産業の安全性に関する社会的合意形成支援システム
化学プロセス安全研究 G
地震被害の可視化技術
地震防災研究 G
3-2 社会技術の開発に必要となる知識基盤の構築
二つ目の目標である「社会技術の開発に必要となる知識基盤の構築」に対応する主な成果
としては以下のようなものがある。成果の全体像、自己評価等については、各グループの研
究開発成果・自己評価報告書を参照されたい。
表2 「社会技術の開発に必要となる知識基盤の構築」に係る主な成果
成果の名称
担当グループ名
会話を通じた知識の流通支援技術
会話型知識プロセス研究 G
失敗知識を用いた知識流通方法(失敗学)
失敗学研究 G
14
成果の名称
担当グループ名
安全・安心の概念
総括研究 G
オントロジーに基づく知識の社会共有支援技術
原子力安全Ⅰ研究 G
3-3 社会技術を開発するための一般的方法論の構築
三つ目の目標である「社会技術を開発するための一般的方法論の構築」に対応する主な成
果としては以下のようなものがある。成果の全体像、自己評価等については、各グループの
研究開発成果・自己評価報告書を参照されたい。
表3 「社会技術を開発するための一般的方法論の構築」に係る主な成果
成果の名称
担当グループ名
社会技術設計の方法論
総括研究 G
安全安心確保のための法制度設計のフレーム
法システム研究 G
リスク問題の分析とガバナンス形態の立案手法
リスクマネジメント研究 G
3-4 俯瞰的アプローチの効用
5 年間のミッション・プログラムⅠの研究活動を通じて、社会技術と呼ぶべき技術の姿が
見えるようになった。様々な安全問題分野において開発された問題解決のための技術を眺め
渡してみることにより、社会技術研究の特長、その基盤を成している俯瞰的アプローチの効
用が浮かび上がってくる。
まず、第一に「複雑な問題の全体像の把握」という点が挙げられる。知識を構造化し、構
造化された知識を可視化する方法を開発したが、全体像を把握することから問題の本質的な
要因を抽出することができ、問題解決策が満たすべき要件が明らかとなる。複雑な問題に対
する解決策を立案する上で、全体像の把握は不可欠である。
第二として、
「科学技術と社会制度を組み合わせた新しい問題解決策の提示」が挙げられ
る。例えば、緊急時対応のマルチエージェントシミュレーションは、マルチエージェントシ
ミュレーターと危機管理体制、図上訓練とを組み合わせることにより、緊急事態に対する対
応能力を高め、万が一緊急事態が発生してしまった時に的確に対応することにより被害を昀
小限に留めるための技術である。科学技術と社会制度を組み合わせた、
典型的な事例である。
第三としては、「分野を超えた知見の活用」が挙げられる。特定分野のなかだけで出来る
ことには限りがある。リソースも限られているし、新しい発想もなかなか生まれてこない。
他の分野の知見を活用することは新たなブレークスルーを産み出すことにつながる可能性
がある。ある分野での成功事例を他分野で活かすことができれば、社会全体として効率的な
運営が可能となる。
分野を超えた知見の活用を可能にするものは、類似性の特定である。異なる分野における
事柄は当然異なっている。全く同じことは存在するはずがない。共通性と特殊性を峻別し、
15
異なって見えるもののなかから類似性を見つけ出す手法が必要なのである。そのためには、
物事を抽象化して、上位概念で記述することが不可欠である。あまり抽象化し過ぎると、類
似性を持つものが多すぎて、有効な類似性を選別することが出来なくなってしまう。
ミッション・プログラムⅠで開発した解決策カルテは、そのような抽象化を行う手段であ
り、その結果として得られる解決策カタログは分野を超えた知見の活用の手段を与えるもの
である。分野を超えた知見の活用の方法は俯瞰的アプローチの産物と言える。
この 3 つの社会技術研究の特長は、1)問題を全体的に捉える、2)活用できる知識を総
動員する、3)分野を超えた知見の活用を図る、という俯瞰的アプローチの 3 つの側面に対
応している。
3-5 開発された社会技術の特徴
本節では、ミッション・プログラムⅠで開発された代表的な社会技術を 6 事例抽出し、そ
の特徴を検討する。検討の手順は以下のとおりである。まず、総括研究グループで提案され
ている問題解決ガイドライン1に従い、それぞれの社会技術が対象としている問題の特性(問
題特性)、そこにおける解決の方針の特性(解決特性)を抽出する。次にそれらを、同ガイ
ドラインの設計にも利用した既存の社会問題解決策事例(267 事例)における「問題特性」、
「解決特性」の分布と比較することにより、社会技術検討の成果が、既存の社会問題解決策
と比べてどのような特徴があるのかを明らかにした。
まず、ミッション・プログラムⅠで開発した代表的な社会技術が検討の主な対象とする問
題特性として、
・ 問題の複雑化・高度化/現象理解の限界
・ 社会的受容の困難さ
・ 関係主体間の連携/知の専門分化
・ システムの多階層性
・ 価値・権利の衝突
・ リスク認知の低さ
の 6 点が挙げられる(とりまとめ表(表 6)の「問題特性」列を参照)。これら問題特性に
対する既存の社会問題解決 267 事例では、上記の問題特性に該当するものは上から順に
39%、21%、18%、13%、15%、6%となっている。すなわち、ミッション・プログラム
Ⅰでは、これまで社会的にも検討がそれほど進んでいない高度な、もしくは新規の社会問題
を検討の対象としていることがわかる。(以下表参照)
1
総括研究グループ 研究報告書『安全性に係わる社会問題解決のための知識体系の構築(その 5)』 1 章
“分野を超えた知識の活用に関する分析”,平成 17 年 12 月
16
表4 既存の社会問題解決 267 事例における「問題特性」※と社会技術が対象とする「問題
特性」との関係
既存の社会問題解決267事
問題特性
例における事例数[割合]
1
被害者の対処可能性の低さ
196 [73%]
2
被害の外部波及性の大きさ
140 [52%]
3
利便性・効率性の追求と安全性低下とのトレードオフ
132[49%]
4
問題の複雑化・高度化/現象理解の困難性
103[39%]
5
被害の晩発性
79[30%]
6
ハザードの移動
75[28%]
6
財・サービス・システムの更新頻度の低さ
75[28%]
8
悪意の介在
57[21%]
8
社会的受容の困難さ(人権、感情、心理的要因等)
57[21%]
10
関係主体間の不連携/知の専門分化
49[18%]
10
ハザード拡大の速さに従来の対策が追いつかない
49[18%]
12
価値・権利の衝突
41[15%]
13
システムの多階層性
34[13%]
14
ヒューマンエラー
21[8%]
15
リスク認知の低さ
12[4%]
また、従来の社会問題解決事例と比較したときに、解決特性が特徴的な社会技術について
は、以下のように整理できる。
表5 ミッション・プログラムⅠ 代表的な成果の特徴
代表的な社会技術が対象
代表的な社会技術における解決特性の特徴
通常の解決特性
とする問題特性
問題の複雑化・高度化/現
象理解の困難性
(通常の解決特性との違い)
・公的主体による強権的な対
策実施
交通安全/原子力安全Ⅰ)
・分野横断的な人的/組織ネ
権、感情、心理的要因等)
・潜在的被害者に対する知識提供(地震防災/
化学プロセス安全/原子力安全Ⅰ)
ットワーク
社会的受容の困難さ(人
・情報技術を駆使した現象の解明(医療安全/
・公的主体による強権的な対
策実施
潜在的加害者・被害者間における信頼の醸成(化
学プロセス安全)
・加害者(行為)の識別
価値・権利の衝突
潜在的加害者側、第三者もし
ステイクホルダー間における、科学的な分析に
くは公的機関による対処
基づいたコンフリクト調整(交通安全)
以上の根拠を取りまとめて以下の表に示す。
17
表6 ミッション・プログラムⅠ 代表的な成果の特徴(まとめ)
対応 G
医療安全 G
交通安全 G
地震防災 G
社会技術(代表的なもの)
医療安全達成のための診
療ナビゲーションシステ
ムの開発
事故リスク分析モデルを
用いた交通事故対策評価
システムの開発
地震被害の可視化技術の
開発
対象とする主な問題特性
問題の複雑化・高度化/現
象理解の限界
関係主体間の連携/知の
専門分化
問題の複雑化・高度化/現
象理解の限界
解決特性
・現象のモデル化・予測・明示
・データの規格化・収集・加工
・潜在的加害者(加害者になる可能性の
ある者)側による被害発生の防止、防止
手続きの徹底、国や第三者機関による
その認証
情報の規格統一・共有化
現象のモデル化・予測・明示
関係主体間の連携/知の
専門分化
価値・権利の衝突
情報の規格統一・共有化
問題の複雑化・高度化/現
象理解の限界
・現象のモデル化・予測・明示
・当該分野の理解増進/知識を持つ主体
による知識・情報獲得の支援(潜在的被
害者による判断の付加が必要なもの)
システムの多階層性
システム間におけるリスクの受け渡し
の正確な把握(システムの分割・分析・
統合・分析)
適切な評価による合理的なコンフリク
ト調整
特徴
当該問題特性に対しては、公的主体による強権的な
対策や、分野横断的な人的/組織ネットワーク構築
が講じられる場合が多いが、情報技術を駆使して現
象を解明することにより、潜在的加害者側で対処し
ようとする発想が特徴的である2。
当該問題特性に対しては、オーソドックスな対処で
あると言える。
当該問題特性に対して、公的主体による強権的な対
策や、分野横断的な人的/組織ネットワーク構築が
講じられる場合が多いが、情報技術を駆使して現象
を解明しようとする発想が特徴的である。
当該問題特性に対しては、オーソドックスな対処で
あると言える。
当該問題特性に対しては、潜在的加害者側、第三者
もしくは公的機関によって対処される場合が多い
が、本検討は科学的な分析に基づいたコンフリクト
調整を目指している点が特徴的である3。
当該問題特性に対しては、公的主体による強権的な
対策や、分野横断的な人的/組織ネットワーク構築
が講じられる場合が多いが、情報技術を駆使して現
象を解明し、潜在的被害者に対して知識を提供しよ
うとする発想が特徴的である。
当該問題特性に対しては、オーソドックスな対処で
あると言える。
2 267 事例の分析では、当該問題特性に該当する 103 事例のうち,
「現象のモデル化」
「データの規格化」が講じられたのはそれぞれ 10%,16%であるのに対して、
「公的主体による対策実施」は 27%。
3 267 事例の分析では、当該問題特性に該当する 41 事例のうち,
「適切な評価によるコンフリクト調整」が講じられたのはわずかに 2%(1 事例)であるのに対し
て、「潜在的加害者による被害発生防止」は 41%、「公的主体による強権的対策実施」は 46%などとなっている。
18
対応 G
社会技術(代表的なもの)
対象とする主な問題特性
リスク認知の低さ
解決特性
リスク認知の適正化
化学プロセ
ス安全 G
化学産業の安全性に関す
る社会的合意形成支援シ
ステムの開発
問題の複雑化・高度化/現
象理解の限界
当該分野の理解増進/知識を持つ主体
による知識・情報獲得の支援(潜在的被
害者による判断の付加が必要なもの)
社会的受容の困難さ
潜在的加害者・被害者間の信頼の醸成
問題の複雑化・高度化/現
象理解の限界
・データの規格化・収集・加工
・当該分野の理解増進/知識を持つ主体
による知識・情報獲得の支援(潜在的被
害者による判断の付加が必要なもの)
関係主体間の連携/知の
専門分化
問題の複雑化・高度化/現
象理解の限界
情報の規格統一・共有化
関係主体間の連携/知の
専門分化
システムの多階層性
情報の規格統一・共有化
原子力安全
ⅠG
オントロジーに基づく知
識の社会共有支援技術の
開発
緊急時対応のマルチエー
ジェントシミュレーショ
ンの開発
現象のモデル化・予測・明示
システム間におけるリスクの受け渡し
の正確な把握(システムの分割・分析・
統合・分析)
4
特徴
当該問題特性に対しては、オーソドックスな対処で
あると言える。
当該問題特性に対しては、公的主体による強権的な
対策や、分野横断的な人的/組織ネットワーク構築
が講じられる場合が多いが、第三者的な立場から潜
在的被害者に対して知識を提供しようとする発想
が特徴的である。
当該問題特性に対しては、公的主体による強権的な
対策や、加害者(行為)の識別が講じられる場合が
多いが、整理された情報を共有することにより、潜
在的加害者・被害者間で信頼を醸成しようとする発
想が特徴的である4。
当該問題特性に対しては、公的主体による強権的な
対策や、分野横断的な人的/組織ネットワーク構築
が講じられる場合が多いが、情報技術を駆使して現
象を解明し、潜在的被害者に対して知識を提供しよ
うとする発想が特徴的である。
当該問題特性に対しては、オーソドックスな対処で
あると言える。
当該問題特性に対しては、公的主体による強権的な
対策や、分野横断的な人的/組織ネットワーク構築
が講じられる場合が多いが、情報技術を駆使して現
象を解明しようとする発想が特徴的である。
当該問題特性に対しては、オーソドックスな対処で
あると言える。
当該問題特性に対しては、オーソドックスな対処で
あると言える。
267 事例の分析では、当該問題特性に該当する 57 事例のうち、
「潜在的加害者・被害者間の信頼の醸成」が講じられたのはわずかに 4%(2 事例)であるのに対
して、「公的主体による強権的対策実施」は 32%となっている。
19
4.その他の事項
4-1 アウトリーチ
1)社会技術研究論文集およびその他の研究発表
ミッション・プログラムⅠは社会技術研究の成果を発表する場である社会技術研究論文集
の創設、運営に大きな役割を果たした。第1巻43編(内ミッション・プログラムⅠ関連41
編)、第2巻48編(内ミッション・プログラムⅠ関連36編)、第3巻27編(内ミッション・
プログラムⅠ関連17編)、計118編(内ミッション・プログラムⅠ関連94編)の論文がWEB
に掲載されており、全て無料でダウンロード可能である。
また、社会技術論文集以外の論文集、雑誌等における研究の発表は、全グループで約1,100
件実施されている。
2)シンポジウム等の開催
社会技術研究の成果発表、専門性の交流の場として、計23回のシンポジウム、フォーラム
等の企画・実施・支援した。
時期
01.8.23
01.10.1
01.12.26
02.1.23
02.3.13
02.10.23
02.10.24
02.11.6
02.12.11
03.3.12-13
03.6.3
03.9.12
03.11.14
04.3.4-5
企画
ミニシンポジウム
(@東京大学工学部 1 号館 15 号講義室)
ミニシンポジウム
(@東京大学法学部会議室)
社会技術シンポジウム
(@愛宕グリーンヒルズ MORI タワー)
ミニシンポジウム(@東京大学法学部研究
室新館8階会議室)
社会技術研究フォーラム
(@虎ノ門パストラル)
日本学術会議との合同シンポジウム
(@アーク森ビルウェストウィング)
社会技術研究フォーラム
(@アーク森ビルウェストウィング)
社会技術研究フォーラム
(@愛宕グリーンヒルズ MORI タワー)
社会技術シンポジウム
(@東大工学部 14 号館)
社会技術研究フォーラム
(@虎ノ門パストラル)
ミニシンポジウム
(@東京大学工学部 1 号館)
One-day conference
(@Harvard Faculty Club, Cambridge)
社会技術研究フォーラム
(@アジュール竹芝)
社会技術研究シンポジウム
(@日本科学末来館)
20
趣旨
各グループの研究進捗の報告、共有
各グループの研究進捗の報告、共有
社会技術研究の対外発信
各グループの研究進捗の報告、共有
社会技術研究の対外発信
社会技術研究の対外発信
社会技術研究の対外発信
社会技術研究の対外発信
社会技術研究の対外発信
社会技術研究の対外発信
各グループの研究進捗の報告、共有
マサチューセッツ工科大学との共同研究
社会技術研究の対外発信
社会技術に関連する研究の発表講演会
時期
04.3.13
04.10.30
05.1.29
05.3.2-3
05.3.16
05.7.16
05.9.30
企画
社会技術研究フォーラム
(@ARK フォーラム)
ミニシンポジウム
(@東京大学工学部 1 号館)
社会技術研究フォーラム
(@東京国際フォーラム)
社会技術研究シンポジウム
(@JST ホール)
グループ横断型研究ミニシンポジウム
(@東京大学工学部 1 号館)
社会技術研究フォーラム
(@経団連会館)
ミニシンポジウム(@武田先端知ビル)
05.12.5-6
06.1.17
OECD:Global Science Forum
(@三田会議所)
最終成果報告会
(@武田先端知ビル)
趣旨
社会技術研究の対外発信
各グループの研究進捗の報告、共有
社会技術研究の対外発信
社会技術に関連する研究の発表講演会
分野横断型研究の遂行に関する成果発表会
社会技術研究の対外発信
各グループの研究進捗の報告、共有、社会技術
研究の実装に向けた議論
社会技術研究の最終成果の国際的発信
社会技術研究の最終成果の対外発信
3)書籍
ミッション・プログラムの成果については、以下の9冊が刊行済みもしくは刊行予定である。
・「問題解決のための『社会技術』」(堀井秀之著、中公新書、2003.3)(プログラム全体):
中間評価に合わせてミッション・プログラムⅠの成果をまとめた啓蒙書である。社会技術
の概念の普及に一定の役割を果たした。
・「安全安心のための社会技術」(堀井秀之編、東大出版会、2006.1)(プログラム全体):
ミッション・プログラムⅠの昀終成果をまとめたものであり、社会技術の理念、必要性、
具体的な成果、今後の展開等が体系的に整理されている。
・「失敗百選」(中尾政之、森北出版、2005.10)(失敗学G)
・「創造設計学」(中尾政之、丸善、2003)(失敗学G)
・「リスク・マネジメントの心理学 -事故・事件から学ぶ-」(岡本浩一・今野裕之(編)、
新曜社、2003)(社会心理G)
・「属人思考の心理学」(岡本浩一・鎌田晶子、新曜社、予定)(社会心理G)
・「会議の社会心理学と社会技術」(足立にれか・石川正純・岡本浩一、新曜社、予定)(社
会心理G)
・「内部告発の心理学 基礎編」(岡本浩一・王晋民・本多ハワード素子、新曜社、予定)
(社会心理G)
・「職業に対する「誇り」を職場に活かす ―消防官の職業的自尊心に関する社会心理学的
研究(仮)」(岡本浩一・堀洋元・鎌田晶子・下村英雄、新曜社、予定)(社会心理G)
4)解説記事、新聞記事等
21
ミッション・プログラムの成果について、以下のような主要メディアで取り上げられた。
・“安全・安心へ「社会技術」 専門分野超え研究 人文・社会科学と連携必要”日本経済新聞・
経済教室(2002.9)(プログラム全体)
・“問題解決のための「社会技術」”日本経済新聞18面(2004.5.30)(プログラム全体)
・“医療の質・安全向上へ学会”日本経済新聞(2005.11)(医療安全G)
・“医療の質向上学会設立シンポ 患者本位原則へ”日本経済新聞(2005.11)(医療安全G)
・“医療事故防げ パソコンで学習”日本経済新聞(2005.12)(医療安全G)
・“いきいきサイエンス 企業不祥事代償大きく”読売新聞(2004.1.13)(失敗学G)
・“快テク生活 ジュース缶には12項目の機能”読売新聞(2004.2.23)(失敗学G)
・“快テク生活 思いを言葉に そして,形に導く”読売新聞(2004.3.1)(失敗学G)
・“快テク生活 スタートは問題作りから”読売新聞(2004.3.8)(失敗学G)
・“「つまり」と「たとえば」”読売新聞(2004.3.15)(失敗学G)
・“失敗学には「直観」が不可欠”読売新聞(2004.3.22)(失敗学G)
・“人知介入 困難な時代”日本経済新聞(2005.12.27)(失敗学G)
・“東電の原発検査結果隠ぺい 社会心理学踏まえた多重安全思想”読売新聞(2002.10.8)
(社
会心理学G)
・“JCO組織不祥事招く企業風土”読売新聞(2004.5.30)(社会心理学G)
・“組織の病根治へ 厳密に数値化を”読売新聞関西版(2005.9.6)(社会心理学G)
・“食の安全,専門家に聞く-焦点!BSE残された課題:下”朝日新聞(2002.9)(総括G)
・“時論・食の履歴システムの可能性”日本経済新聞(2002.12)(総括G)
・“リスクへの知識基盤を-ノロウイルスが問うもの”朝日新聞(2005.1)(総括G)
・“越境しあう科学と政治-BSE,未解明な病の前で”朝日新聞(2004.1)(総括G)
・“相互依存性解析”読売新聞(2005.12.7)(地震防災G)
・“統合地震シミュレーション”日本経済新聞(2005.10.1)(地震防災G)
・“住宅の耐震化が急務”読売新聞(2004.11.22)(地震防災G)
・“地震別倒壊度マップ”アエラ(2004.11.22)(地震防災G)
・“ビニールひもで耐震性向上,東大生産技術研究所一般公開”毎日新聞(千葉版)
(2004.11.13)
(地震防災G)
・“耐震化 中越地震は問う 5”毎日新聞(千葉版)(2004.11.12)(地震防災G)
・“緊急点検 大地震への備え4 ライフライン”読売新聞(北陸)(2004.11.4)(地震防災
G)
・“ニュースアイ 大切なのは耐震補強”テレビ東京(2004.10.29)(地震防災G)
・“活断層の真上に120万人”読売新聞(2004.9.14)(地震防災G)
・“地震への備え 絵本で訴え”毎日新聞(2004.6.9)(地震防災G)
・“〈迫る巨大地震〉上:進まぬ住宅耐震化”朝日新聞(2004.5.14)(地震防災G)
22
・“イランの日干しレンガ壁、安い荷造りヒモで補強OK”読売新聞(2004.3.29)(地震防災G)
4-2 国際的水準・国際的アウトリーチ
1)OECDグローバル・サイエンス・フォーラム・ワークショップの主催
平成 17 年 2 月にパリで開催された OECD グローバル・サイエンス・フォーラム(GSF)
において、日本よりミッション・プログラムⅠの研究開発実績を基にしたワークショ
ップの日本開催を提案し、開催が承認された。同年 12 月にワークショップが開催され、
国連、米、英、仏、独、蘭、豪、スイス、南アフリカ、中国、韓、インドネシアから
30 名の参加者があった。参加者は研究者、科学技術政策担当者だけでなく、蘭内務・
王国政務省公安総局長など、安全安心行政の担当官の参加もあった。
複雑化する社会の中で生じる問題に対し、社会・人文科学的観点を入れて俯瞰的にとら
えつつ、対応策を昀適な組み合わせで政策的に取り組むことや社会のコンセンサスの必要
性等について共通の理解を得た。
ワークショップの開催の承認には厳しい審査が行われ、また、参加の有無は各国
の判断に任されている。今回のワークショップの成功は、ミッション・プログラム
Ⅰの成果に対する一定の国際的評価によるものと考えられる。
2)英文書籍の刊行計画
上記OECDグローバル・サイエンス・フォーラム・ワークショップの盛会を受け、同ワ
ークショップのメンバーより書籍「安全安心のための社会技術」の英訳版の発刊が提案され
た。現在、英訳版の出版に向け調整中である。
4-3 社会技術の実装
本プログラムでは、社会技術の開発は目標に掲げたが、その実装を目標にすることは控え
ることにした。それは二つの理由による。第一に、社会技術に関わる研究実績のない、ゼロ
からスタートし、5年間の間で社会問題の解決策を開発し、社会に実装することは難しいと
判断した。第二に、社会実装の可能性は、解決策の質以外に多くの要因に依存している。文
部科学省の傘下にある組織で開発された問題解決策が、他省庁所管の社会問題解決のために
短期間で採用に至るということは、日本社会の仕組みから考えて難しい。
しかし、研究開発に当たっては、社会実装を当初より念頭に置き、社会に実装され得る社
会技術を開発することを基本方針とした。開発された社会技術の質は、既存の解決策に対す
る優位性、社会実装の可能性の高さによって評価されるべきものと考えた。各研究グループ
の報告書のなかで、研究開発活動の成果とそのクオリティが記述されているが、そのなかで
社会実装の状況、可能性が記述されている。
開発された社会技術の中でも次の事例は、社会実装の実現性が高い。なお成果の全体像、
自己評価等については、各グループの研究開発成果・自己評価報告書を参照されたい。
23
・ 問題の全体像の把握手法(総括研究G):文部科学省「安全・安心な社会の構築に資す
る科学技術政策に関する懇談会(2004)」の議論過程にて採用され、結果として導かれ
た提言のうちのいくつかについては、実際の公的事業として実現するに至った。
・ 重要語自動抽出ツール[言選Web](会話型知識プロセスG):言選Web のホームペー
ジには月間約3000件のアクセスがあり,1000件以上のソフトダウンロードが行われてい
る。
・ 情報プレゼンテーション自動生成機能をもつ会話エージェントシステム[SPOC](会
話型知識プロセスG):特許出願とプレス発表を行った。
・ 注目すべき議論の自動抽出機能[CRANES](会話型知識プロセスG):平成15年の国
際協力事業団(現・国際協力機構)環境社会配慮ガイドライン改定委員会において導入
された。
・ 失敗知識の活用ツールの開発(失敗学G):本社会技術プロジェクトで得られた知見を
活かし、(本プロジェクトとは別のプロジェクトではあるが)科学技術振興機構で作成
した失敗知識データベース(http://shippai.jst.go.jp/)、日本機械学会失敗知識活用分析委
員会が作成した失敗事例データベース(http://sydrose.com/)を開発・公開した。その他、
書籍「失敗百選」の出版、エンジニアの失敗対応力を高めるためのコンピュータゲーム
の試作などを行った。(http://sydrose.com/)
・ 「違反に関わる意志決定手続きの特定と意志決定手続き」、「違反に関わる組織風土の
特定と組織風土」、「内部申告に関わる組織的・心理的要因の特定と内部申告制度」、
「職業的自尊心と違反」、「違反に関わる潜在的態度測定手法」それぞれに関するガイ
ドライン(社会心理学G):書籍として本年度中に公刊する予定である。
・ 安全法制度の提案(法システムG):事故調査制度については日本学術会議の安全工学
専門委員会に複数のメンバーによる実質的インプットを行い、原子力安全、化学安全、
医療事故報告・調査制度については、審議会や検討班への参加を通して、民間規格の行政
での利用促進、医療関連死調査制度のモデル事業の実施という点で、行政の現場へのフ
ィードバックを実質的に行い、取り入れられた。
・ 動く津波ハザードマップを用いたリスクマネジメント行動支援(リスクマネジメント
G):三重県尾鷲市や岩手県釜石市など複数の津波常襲地域において適用されており、
それぞれの地域において防災講演会や講習会などが複数回にわたって開催されている。
・ 原子力情報ポータルサイト(原子力安全ⅠG):2004年12月よりインターネット上で公
開のサービスを開始、2005年12月現在までで一日当たり平均15.3回の訪問があり、平均
8.2回の検索要求を処理している。
・ 緊急時行動シミュレーションシステム(原子力安全ⅠG):自治体など防災関係機関の
活用ニーズが多いことが判明している。
・ 化学産業安全性の社会的合意形成支援システム(化学プロセス安全G):「総合安全性
24
評価システム」は単独でシステム特許出願し、その後、新たな概念を取り入れ、安全性
合意形成システム及び安全性合意形成支援方法、それを用いた情報開示システム及び情
報開示方法として「化学産業安全性の社会的合意形成支援システム」を特許出願中であ
る。
・ 木造家屋の震動シミュレーション等(地震防災G):シミュレーション結果は静岡県の
公式HPへのアップや、建物診断協会との協同で研究会を立ち上げたことにも反映され
ている。統合地震シミュレーションシステムの紹介も兼ねて、文京区民や目黒区民を対
象とした地震防災啓蒙活動に関するセミナーを実施している。
・ 交通事故分析に関わる情報の可視化(交通安全G):ケーススタディの対象地域で本シ
ステムに準ずるシステムの整備を予算要求しているところであり、また導入に際しより
有効なシステムを構築するための共同研究の提案をしたいとの申し出を受けている。
・ 診療ナビゲーションシステム(医療安全G):東京大学医学部附属病院循環器内科の外
来、入院双方において稼働している。システムから得られたデータは、患者への情報提
供だけではなく、通常の学術的臨床研究のテーマ選定や、方向性の決定をする上での根
拠情報として実際に使用している。
社会技術を実装するための取り組みとしても、NPO法人「安全な社会研究会」を設立し
た地震防災研究グループのような特筆すべき事例も生まれている。開発した統合地震シミュ
レーション技術の活用と、地図会社との共同による都市基盤情報の整備に着手した。当面は、
統合技術を用いた自治体支援活動と、大地震発生時にはその地震動を使って各都市の地震被
害をシミュレートし、被害予測を可視化して地震リスクの認識を促す活動を行う。
4-4 人材養成
本プログラムでは、人材養成を目標には掲げていないが、同プログラムの研究テーマによ
る博士論文5編、修士論文54編、卒業論文66編が各大学によって受理されている。また、大
学等教育機関で実施された同プログラム関連の講義は、把握できた限りで延べ約6,000人、
これ以外の行政・企業・一般等向けの講義・セミナーについても把握できた限りで延べ約
40,000人が受講している。
本プログラムに関与した常勤研究員のうち、大学のポストを得た者は以下の通り。
・ 中野 有紀子(会話型知識プロセスG~東京農工大・助教授)
・ 木村 浩(原子力安全ⅠG~東京大学大学院工学系研究科・講師)
・ 鎌田 晶子(社会心理学G~文教大学人間科学部・専任講師)
4-5 継続性
ミッション・プログラムⅠの活動は5年間で終了するが、成果を社会に実装し、社会問題
の解決につなげるためには、継続的な活動を行い、時限付きの研究開発プロジェクトという
25
仕組みの欠点を補うことが必要である。そのために、以下の取り組みを進める計画である。
1)安全安心研究ユニット
安全安心研究開発領域に設けられた安全安心研究ユニットは、ミッション・プログラムⅠ
等の研究成果を活用し、行政支援を通じて社会問題の解決に資する活動を行うことを目標と
している。
具体的には、地震防災研究グループの開発した地震被害シミュレータを活用し、物流やラ
イフラインとの連関を取り込んだ相互依存性解析を実施し、大規模地震による被害の予測精
度を上げるとともに、被害を昀小にするための政策提言を支援する手法の開発を内閣府経済
社会総合研究所と共同で行っている。
また、原子力安全研究グループⅠの開発した危機管理シミュレータを活用し、大規模地震
災害やテロ等に対する危機管理システムの改善を目指した活動を自治体や不動産開発グル
ープと共同で行っている。
2)新規公募型研究プログラム
安全安心研究開発領域では、平成18年度より新規公募型研究プログラム「新たな脅威に
対する社会的危機管理システムの開発」を計画している。ミッション・プログラムⅠは、既
存のリスクに対する社会技術の研究開発を行ったが、その成果を活用し、テロや新興・再興
感染症等の、実績の少ない新たなリスクに対処するための社会技術の研究開発を行う。
3)新規公募型社会実装支援プログラムの提案
ミッション・プログラムⅠ等で開発された社会技術を社会に実装する活動を支援するこ
とを目的として、公募型社会実装支援プログラムを安全安心領域に設けることを提案して
いる。実装する問題解決策が社会技術と呼ぶに相応しいものであること、自治体との連携
等、実装のための計画、準備、体制が整い、実装の可能性が高いことを選考基準として、
社会実装を支援する。
4)社会技術研究シンポジウム
ミッション・プログラムⅠを構成していた研究グループは、終了後も社会技術の研究開発、
及びその社会実装のための活動を続けてゆくことが期待される。その成果は社会技術研究
論文集に掲載され、社会技術研究シンポジウムで発表される。社会技術研究シンポジウム
は、ミッション・プログラムⅠに参画した研究者、実務者が集い、継続的な研究活動を支
援する場として機能するものと思われる。
5.目標の達成状況
本プログラムは、トップダウン型研究プログラムと唱われ、小宮山宏前研究統括のリーダ
26
ーシップによって立ち上げられた。プログラムがスタートしてから、社会技術とは何か、
という概念の明確化や、研究目標の設定、研究グループの設計等を行わなくてはならなか
った。従って、十分な検討を経て準備された事前の計画書は存在せず、事前に設定された
目標の達成状況を評価することはできない。
約1年の活動を行いながら、プログラムの
設計が出来上がったというのが実態である。その内容は、3年目に実施された中間評価に
おけるプログラム内評価報告書にまとめられている。
その様な経緯を踏まえ、昀初の一年間で設計されたプログラムの計画と、昀終成果を比
較するとプログラムの目標は十分に達成されたと考えられる。
安全に係わる社会問題を解決するための社会技術を開発するという目標を掲げたが、具体
的に社会技術と呼ぶに相応しい社会問題を解決するための技術が開発された。社会に実装さ
れ得るほどの完成度にあるものが殆どであり、実際に社会実装されたもの、されつつあるも
のも出ている。3-5に分析結果を示したとおり、開発された社会技術は、これまで解決の
取り組みがあまりなされてこなかったタイプの社会問題を対象にしている。また、その解決
の方法には、既存の問題解決策には無い特徴がある。それが優位性を表していることを証明
するためには、時間が必要であるが、開発された社会技術が解決策として新規性を有してい
ることは確認することができる。このような解決策としての新規性は、問題の全体像を捉え
る、科学技術と社会制度を組み合わせる、分野を超えて知見を活用するという俯瞰的アプロ
ーチの効用に基づいていると考えられる。
社会技術開発のために必要となる知識基盤を構築するという目標についても、会話を通じ
た知識の流通、失敗知識を用いた知識流通方法、オントロジーに基づく知識の社会共有支援
技術など、科学技術と社会制度を組み合わせて問題解決策を構築するという社会技術の理念
を反映した手法が開発された。これらの手法は、社会技術の共通的ツールとして社会問題解
決のために活用されうるものである。
社会技術を開発するための一般的方法論は、各研究グループによる成果を統合する知
識である。開発される社会技術が、全体像の把握により本質的な問題点を抽出し、その
問題点を科学技術と社会制度を組み合わせることによって克服するものとなるためには、
そのような社会技術を設計する手法が必要である。本プログラムでは、社会技術設計の
プロセスを提案し、そのプロセスで必要となるツール群を開発し、各研究グループで開
発されつつあった社会技術に適用した。その手法が、開発される社会技術が悪影響を未
然に防止し、昀適な問題解決策となることを支援するものであることを確認することが
できた。
社会問題の解決策は長い年月をかけて改善を繰り返してきたものばかりである。その
ような努力にも関わらず、完全なる解決が難しく、残されてきたのが現存する多くの社
会問題である。そのような社会問題に対して、新しい観点から解決策を開発し、5年間
で問題解決に至るべきだと考えるのには無理があろう。現時点において解決の可能性、
社会実装の実績の有無を問うのは、新たな芽を摘む危険な行為ではなかろうか。今後、
27
開発された社会技術と既存の問題解決策との比較分析をさらに進め、社会技術の優位性
を確認する作業を続けるとともに、開発された社会技術の実装のための活動を継続的に
行って行くことが重要である。今回のプログラム終了時の自己評価とは別に、5年後、
10年後に事後評価をミッション・プログラムⅠに参画したメンバーにより行うことを計
画している。
28
総括研究グループ 研究開発成果・自己評価報告書
【 目 次 】
1. 研究開発の目標
1-1 社会技術の概念の明確化と社会技術の設計の方法論構築
1-2 プログラム全体の知識の補完
1-3 プログラムの設計・管理運営、および知識の体系化
2. 目標達成のための体制
3. 研究開発の成果とそのクオリティ(実装の状況・可能性を含む)
3-1 「社会技術の概念の明確化と社会技術の設計の方法論構築」に関する成果
1) 社会技術の概念の明確化
2) 社会技術設計の方法論
◇ 問題の全体像の把握手法
◇ 社会技術の立案手法
◇ 社会技術の影響分析手法
◇ 多元的価値に基づく社会技術の評価手法
3-2 「プログラム全体の知識の補完」に関する成果
1)安全安心の概念の明確化
2)安全安心問題におけるアジェンダ設定の重要性に関する研究 -食の安全問題を
例に-
3)医療安全へのシステムアプローチの提案
◇ 医療ミス防止支援システム
◇ 患者状態適応型パス
3-3 「プログラムの設計・管理運営の実施、および知識の体系化」に関する成果
1) ミッション・プログラムⅠの研究設計・管理運営
2) ミッション・プログラムⅠにおける知識の体系化
4. 目標の達成状況
4-1 「社会技術の概念の明確化と社会技術の設計の方法論構築」の達成状況
4-2 「プログラム全体の知識の補完」の達成状況
4-3 「プログラムの設計・管理運営の実施、および知識の体系化」の達成状況
5. 研究成果の公表
5-1 社会技術に関連する卒業/修士/博士論文
29
5-2 社会技術に関連するゼミ/講義等
5-3 一般へのセミナー/講演等
5-4 実績一覧(リスト)
30
1. 研究開発の目標
総括研究グループでは、ミッション・プログラムⅠ全体の設計・管理運営を実施するとと
もに、安全性に係わる個別研究分野の知識を横断的に整理・統合して、普遍的な知識体系
を構築するという目的の下、以下に示す 3 点(1-1~1-3)を目標に研究を実施した。
1-1 社会技術の概念の明確化と社会技術の設計の方法論構築
社会技術の概念を明確化するとともに、各研究グループの取り組み、また多様な分野な既
に実施されている社会技術に類する解決策の開発過程等を総合し、社会技術の設計の方法
論を構築する。
1-2 プログラム全体の知識の補完
安全に係わる社会技術の開発、またそのために必要となる知識基盤と一般的方法論の構築
に関して、他研究グループでは対応しきれない研究課題について補完的知見を取りまとめ
る。具体的には、「安全性確保」から「人々の安心実現」へ向けた展開に関する研究や、食
の安全/医療事故分野に関する研究を実施し、その知見を取りまとめる。
1-3 プログラムの設計・管理運営、および知識の体系化
プログラムの設計・運営、グループ間のクロスオーバー・情報交換の促進、成果発信の場
の提供などを行うとともに、各研究グループで形成された知識を体系化する。
2. 目標達成のための体制
上に掲げた目標を達成するためには、幅広い分野の知識を横断的に取り扱い、取りまとめ
る必要がある。そのため、総括研究グループでは、堀井研究統括を中心に、以下表のよう
に多様な専門分野の知を結集させた体制を構築した。
氏名
小宮山 宏
現在の所属・職位
東京大学総長
情報科学
1-1(問題の全体像の把握)
情報科学
1-1(問題の全体像の把握)
化学システム工
学,品質管理
1-2(医療安全)
慶應大学商学部助教授
社会心理学
1-2(安全から安心へ)
早稲田大学文学部教授
社会心理学
1-2(安全から安心へ)
竹村 和久
小山 照夫
藤代 一成
飯塚 悦功
研究統括(平成 15 年迄)
原子力工学
吉川 肇子
豊田 武俊
化学工学
分担
研究副統括(平成 15 年迄)
研究統括(平成 16 年以降)
1-1(問題の全体像の把握)
東京大学大学院工学系
研究科教授,総長補佐
協力研究員
国立情報学研究所
人間・社会情報系教授
東北大学流体融合研究
センター教授
東京大学大学院工学系
研究科教授
堀井 秀之
専門分野
社会基盤工学
31
氏名
藤井 聡
神里 達博
現在の所属・職位
東京工業大学大学院理
工学研究科助教授
社会技術研究開発セン
ター 常勤研究員
専門分野
分担
土木工学
1-2(安全から安心へ)
食の安全
1-2(食の安全)
東京大学の
学生
研究補助員
―
1-2(食の安全他)
宮本 恵理
テクニカルスタッフ
―
研究統括補佐(平成 13・14 年)
後藤田 彩
テクニカルスタッフ
―
研究統括補佐(平成 14-16 年)
二ノ宮 小満
テクニカルスタッフ
―
研究統括補佐(平成 16・17 年)
機械工学
リスク政策分析
環境学
保健医療・医療安
全
研究統括補佐
研究統括補佐
研究統括補佐
白戸 智
山口 健太郎
岩崎 亜希
古場 裕司
三菱総合研究所 社会
システム研究本部
八巻 心太郎
保健医療
研究統括補佐(平成 13・14 年)
1-1(社会技術の影響分析手
法)(平成 15 年)
3. 研究開発の成果とそのクオリティ(実装の状況・可能性を含む)
3-1 「社会技術の概念の明確化と社会技術の設計の方法論構築」に関する成果
1) 社会技術の概念の明確化[2][3(1 章)
]1
(成果の概要)
社会技術研究の目的認識、開発される社会技術が備えておくべき要件を整理し、社会技術
研究の概念を以下のように明確化した。
現代社会が抱えている問題は、「問題自体が複雑であること」、「問題の理解や対応に高度
な知識が必要とされること」、そして「人々の価値が多様化していること」により解決が困
難である。そのような問題に対する解決策を開発するためには、
・ 問題の政治的側面、経済的側面、社会的側面など、特定の視点に限ることなく、問題
を全体的に捉える「問題の全体像把握」、
・ 問題解決に用いる知識として、法学、経済学、工学、社会学など、特定の学問領域に
おける知識に限ることなく、問題に関連する知識を総動員する「問題解決志向の知識
連携」、
・ 問題解決策として、原子力安全、地震防災、交通安全など、特定の問題分野における
対策に限ることなく、分野を超えた知見を活用する「分野を超えた知の活用」、
1以降[]で囲んだ番号は参照文献を示し、5-4で挙げる実績リストの番号と対応している。
32
という 3 つの側面からなる「俯瞰的アプローチ」が有効である。
「社会技術」はこの俯瞰的
アプローチに基づいて開発される社会問題の解決策である。
上記のような俯瞰的アプローチにより開発される社会技術は、社会問題を効果的かつ効率
的に解決し、社会の運営の円滑化に資する技術(工学的技術だけでなく、法制度や経済制
度、教育、社会規範なども含む)である。
(成果のクオリティ)
これまで、安全安心に係る問題は、安全性の向上に関する工学的アプローチや、予防原則・
事後補償等に関する法制度的アプローチが主であったが、これら個別の領域、特定の対処
フェーズに特化した従来の問題解決のアプローチは、その他の領域や対処フェーズに何か
しらの影響を及ぼすため、必ずしも「問題全体の解決」を導くとは限らない。
問題の全体像を把握し、問題に関連する知識を総動員し、また有益な知見を分野横断的に
活用する俯瞰的アプローチに基づいて開発される社会技術は、上述のような従来の問題解
決アプローチの不十分性を補完するものである。2005 年 12 月に東京で開催された OECD
の Global Science Forum[25]において、世界各国の代表からその意義を認められたこと
からも分かるように、従来の安全安心に係る研究と比べて新たな付加価値を生み出し得る、
新たな概念であると言える。
2) 社会技術設計の方法論[2][3(3 章 1)]
上述のような概念として確立した俯瞰的アプローチを、実際に社会技術の設計に反映する
ための方法論を構築した。社会技術の設計は、
「問題の全体像の把握」、
「解決策の立案」、
「社
会状況の変化の予測」、「解決策の望ましさの評価」のプロセスを繰り返すことによって行
われるが(図 1)、このプロセスを構成する全てのフェーズにおいて俯瞰的アプローチが反
映される。以降では、この 4 つのプロセスに関する成果とその意義について概説する。
社会状況の変化
予 測
評 価
社会技術として
実装
再設計
問題解決策
立 案
問題の
全体像の把握
図 1 社会技術設計の方法論
33
◇ 問題の全体像の把握手法
(成果の概要)
俯瞰的アプローチの構成要素の一つである「問題の全体像把握」のための方法論を構築し
た。すなわち、複雑な社会問題の全体像把握を支援する手法として、
「問題の階層構造の可
視化技術」と、「因果関係の定式化技術」を開発した。
問題の階層構造の可視化技術については、地震防災問題や原子力発電所トラブル隠し問題
を例として取り上げ、複雑な社会問題の階層構造を、パーソナルコンピュータのディスプ
レイ上で見やすく 3 次元表示するツールを開発した(図 2)
[3(3 章 2.1,2.3)]
[26]
[33]
[39][46]。
図 2 問題の全体像把握
因果関係の定式化技術については、
ISM 分析、DEMATEL 分析などで知ら
レベル4
2.国と電力の
あり方
レベル3
レベル2
1.規制の
あり方
3.閉鎖性
7.反原発
の影響
4.情報
公開不足
レベル1
れる構造モデル化手法を原子力発電所
のトラブル隠し問題に関する新聞記事
に適用し、子問題群の階層構造や因果
8.絶対安全を
求める意識
11.トラブル隠し
9.マスコミ
の影響
関係の規定を定量的に実施する手法を
5.企業
統治不備
開発した。図 3 に、原子力発電所のト
10.社会意識
ラブル隠し問題に関する新聞紙上での
(電気は安く
て、使い放題)
6.経済性
重視
論調を構造化した結果を示す。詳細は、
図3 階層分類した全体像
[3(3 章 2.2)]
[26]を参照されたい。
(成果のクオリティ)
本手法は、社会技術の理念である俯瞰的アプローチの一つ「問題の全体像把握」を体現す
るものであり、社会技術研究を象徴する成果であると言える。
社会問題解決に際する「問題の全体像把握」という理念自体については、文部科学省「安
全・安心な社会の構築に資する科学技術政策に関する懇談会(2004)2」の議論過程にて採
2
http://www.mext.go.jp/a_menu/kagaku/anzen/houkoku/04042302.htm
34
用された。
“新興・再興感染症分野において振興が必要な科学技術”というテーマについて、
専門分野や所轄分野の異なる数名の研究者・実務家が、問題の全体像把握に基づいて議論
を行い、提言を取りまとめた。その結果、「感染症拡大シミュレーションの開発」
、「感染症
に関わる海外研究拠点の開発」という 2 つの提言が、実際の公的事業として実現するに至
った。
また、問題の階層構造の可視化技術の開発によって、様々な社会問題に関わる情報、価値
基準を一つのインターフェイスで表現し、社会問題の見方を「森」から「木」、さらには「枝
葉」へ、またその逆に「枝葉」、「木」から「森」へと変化させながら視覚的に捉えること
が可能となった。このような技術を用いて、社会問題の見え方の相違を明示することは、3
次元のコンピュータグラフィックス技術の活用によって初めて可能となるものであり、問
題解決に関する豊かな発想支援に貢献すると考えられる。
さらに、因果関係の定式化技術の開発によって、とかく断片的に語られがちな社会問題を、
物事の本質からその帰結に至るまで俯瞰的に把握が可能となった。同技術の詳細は論文等
において誰でも参照可能な形で公表されている[3(3 章 2.2)]
[26]。また、同技術の有効
性は、マサチューセッツ工科大学との共同研究により確認されている。
◇ 社会技術の立案手法[3(3 章 3)][44(1 章)]
(成果の概要)
既存の問題解決策の精査を通じて問題の特性と有効な解決策との対応関係を明らかにし、
異なる分野における解決策の比較分析を行い、社会技術立案の方法論を構築した。
具体的には、多様な分野に渡る約 300 の既存の社会問題解決策を取り上げ、それらにお
ける問題の認識と、それに対応した解決策の設計方針を上位概念化し、分野を横断しても
共通に適用することのできる「問題特性」とそれに対応した「解決策特性」の設定と体系
化を試み、これを「問題解決ガイドライン」として整理した(表 1)。
(成果のクオリティ)
本手法は、社会技術の理念である俯瞰的アプローチの一つ「分野を越えた知の活用」を体
現するものであり、社会技術研究を象徴する成果であると言える。新しい問題分野では、
対策の実績が少なく、問題解決の方針が立てにくい。その方針を模索する上で、既存の他
分野における有効な対策がヒントとなる。既存の問題分野では、長年にわたって問題解決
の努力を積み重ねてきており、やれることは全てやってきていると言える。分野は違うが
類似の構造をもつ問題に対する対策の考え方を検索し、参考とすることにより、別の分野
において革新的な解決策を産み出すことができる。本手法は、このような分野を超えた知
見の活用を可能にする可能性を秘めている。
実際に、テロ防止[3(3 章 3)]、企業における防災への取り組みの促進[44(2 章)]と
いう実問題へ適用が行われており、それぞれの問題に対する対策立案の方針が効率的に整
35
理可能なことを確認している。また、論文[48]の査読コメントにおいて、
「手法自体も新
規性があり、有用性・発展性も高い」との評価を得ている。
表 1 問題解決ガイドライン(一部)
問題特性
解決策特性
1.問題の複雑化・高度化/ (1)潜在的被害者(被害者になる可能
現象理解の限界
性のある者)にとって必要不可欠
かつ最小限の情報の選別
(2)現象のモデル化・予測・明示
(3)データの規格化・収集・加工
(4)潜在的加害者(加害者になる可能
性のある者)側による被害発生の
防止,防止手続きの徹底,国や第
三者機関によるその認証
(5)当該分野の理解増進/知識を持
つ主体による知識・情報獲得の支
援(潜在的被害者による判断の付
加が必要なもの)
2.社会的受容の困難さ(例 (6)潜在的加害者側の監視・制御等に
えば人権・感情・心理等
よる被害自体の発生防止
の要因による受容困難) (7)潜在的加害者・被害者間の信頼の
醸成
(8)国や第三者機関など知識を持つ
主体による手続き徹底,認証
具体事例
地震:住宅性能表示
水害:水防法(避難情報の提供)他
地震:統合型地震シミュレータ 他
医療:診療ナビゲーションシステム
原子力:原子力オントロジー設計 他
医療:診療ナビゲーションシステム
食品:適正農業規範,食品のトレーサビ
リティ,生産情報公表 JAS 規格制度,牛
海綿状脳症(BSE)感染症発生に伴う全
頭調査 他
原子力:原子力オントロジー設計
化学:化学産業の安全性合意形成支援
地震:統合型地震シミュレータ
医療:病院機能評価,クリニカルインデ
ィケータ,医療 ADR 他
テロ・犯罪:生体認証,N システム
医療:ヒヤリハット事例分析 他
化学:化学産業の安全性合意形成支援
他
生活:個人情報保護法 他
◇ 社会技術の影響分析手法[2][3(3 章 4)][44(2 章)][45][49][50]
(成果の概要)
社会技術が立案された次のプロセスとして、その導入による社会の変化の予測が必要であ
る。問題の解決策導入により将来起こるであろう状況の予測シナリオを、因果関係の集合
として分析し、因果ネットワークとして図に表す手法を構築した。図 4 に、医療安全研究
グループで開発した“診療ナビゲーションシステム”を題材に作成した因果ネットワーク
を示す。
(成果のクオリティ)
本手法は、社会技術の理念である俯瞰的アプローチの一つ「問題の全体像把握」を体現す
るものであり、社会技術研究を象徴する成果であると言える。
既に“建物の耐震性の説明責任制度”[49]、“診療ナビゲーションシステム”[50]、“食
品のトレーサビリティ”
[45]、
“防災投資報告制度”
[44(2 章)]という社会技術開発のプ
ロセスにおいて適用が行われており、新規技術の導入が社会に与える影響を予測し得るこ
とを確認している。
なお、上記のうち、
“建物の耐震性の説明責任制度”
(地震防災研究グループ、法システム
研究グループと共同で実施)については、内閣府中央防災会議「民間と市場の力を活かし
36
た防災力向上に関する専門調査会(2005)」にて紹介されている3。
セキュリティ
問題の発生
診療ナビゲーションの基本機能(個別病院レベル)
データ入力に
データ入力範囲
要する労力
の問題
の問題
データマイニング
処理機能
医学研究
有意なデータ
の効率的な発
見(研究者)
エビデンス
文献の検索
・提示
(対医師)
データ所有権
問題の発生
医学的知見・新
規診断法の発
見(研究者)
患者の時系
異常な処方
量等への警 列データ作
成・提示(対
告(対医師)
医師)
患者間比較
データ作成・
提示(対医
師)
患者の時系
列データ作
成・提示(対
患者)
クリニカルパス2) ・
診療ガイドライン
作成(病院)
EBM1)の実践
(医師)
医療行為の
標準化(病院)
コストデータ
蓄積(対医
師・病院)
病院をまたがる
時系列データ作
成(対患者)
医師・患者間
コミュニケーショ
ンの向上(医師)
治療成果の向上
(医師・患者)
地域医療圏での
患者データ共有
アウトカム・データ
の公表(対患者)
かかりつけ
医の推進
病院選択の促進
(患者)
効率的な医療
の提供
質の評価 医療の質向上へ
の取組みの推進
(病院)
医療機関の質
的評価方法の
確立(地域、国)
評価指標による
質評価体制の
確立(病院)
医療政策
DPC4) の改訂へ
適用(国)
患者の病院選
択の促進(患者)
医療行為の標準原
価の算定(国)
病院経営
病院経営管理へ
の適用(病院)
患者満足度
診療報酬制度の
見直し(国)
病院コストの分
析、削減(病院)
1)Evidence-Based
Medicineの略。文献
などに掲載されてい
る科学的根拠(エビ
デンス)に基づいて診
療を行うこと
2)病気の治癒に必要な
治療や検査などの項
目をスケジュール表
形式でまとめたもの
3)医師が患者に対して、
治療内容の利点やリ
スクについてわかり
やすく説明し、その上
で治療の同意を得る
こと
妥当な評価指標
の開発が必要
医療の質評価制
度の構築(国)
患者参加の促進
(医師・患者)
重複検査
の削減
患者逆紹
介の促進
地域医療機
関の特性情
報提供(対
医師・病院)
地域の病院のアウト
カム指標情報共有
(対医師・病院)
大量のコスト
データ蓄積
自己健康管理
(患者)
医療の質の向上
医療の質の向上
医療事故の
減少
アウトカム
指標の自
動生成(対
医師・病院)
適切なインフォー
ムドコンセント3)
(医師)
患者の安心・納得
(医師・患者)
医療の機能分化
病院間の
患者データ
共有(対医
師・患者)
(再掲)
医療者・
患者関係
適切な診療プ
ロセスの発見
(病院)
医療の標準化
正確な診療
診療現場での
正確な情報提
供(医師)
データベースを
ネットワーク化
診療ナビの導入による
日々の診療データの
蓄積・医師への提供
病院間での患者
間データ共有
(対医師)
研究コストの削減
医学研究の促
進・質の向上
データの質の
担保の問題
プライバシー
問題の発生
医療資源の
適正配分
4)Diagnosis Procedure
Combinationの略。投
薬、注射、入院料等
一定の節目の医療費
について、出来高で
はなく、病気・病状を
安心できる医療
基に国が定めた基準
供給体制の確立
に従って包括して計
算する方法
病院運営の
効率化
・・・ゴール
図 4 因果ネットワーク図の例
◇ 多元的価値に基づく社会技術の評価手法[3(3 章 5)][44(2 章)]
(成果の概要)
社会技術設計の昀後のプロセスとして、社会技術の
低い期待←→
期待←→高い
高い期待
期待
実装による社会の変化(の予測)について、ステイク
ホルダーがその変化を望ましいと考えるか否かという
[論点b:正確な診療]
内科
評価が必要である。なぜなら、ある人にとって望まし
放射線科
医療社会学 医療情報
外科B
医療安全
い変化が、別の人にとっては望ましくないということ
保健医療
政策
があり得るためである。
このような問題認識から、総括研究グループでは、
外科A
医療の質
患者医療者
コミュニケーション
二次元平面上に、異なる価値観を持った人々の価値の
対立関係を明示するための多元的評価の可視化手法を
図 5 多元的な評価の可視化
構築した。図 5 は、診療ナビゲーションシステムの開
発が、根拠に基づいた正確な診療の推進にとって望ましいか否かを同手法によって可視化
し、評価者の立場ごとの意見の対立を明示化したものである。
(成果のクオリティ)
社会技術の導入に関する多様な論点について、その立場による賛否の相違を可視化する本
3内閣府
中央防災会議 民間と市場の力を活かした防災力向上に関する専門調査会 企業評価・業務継続ワ
ーキンググループ,第 8 回会議資料,2005.9.12,
[http://www.bousai.go.jp/MinkanToShijyou/kigyou-WG_08.pdf]
37
手法は、社会技術の理念である俯瞰的アプローチの一つ「問題の全体像把握」を体現する
ものであり、社会技術研究を象徴する成果であると言える。
このような評価手法は、社会技術を社会に実装する方策の検討材料となる。すなわち、多
様なステイクホルダーが関与する社会問題の解決において、価値評価の対立の根拠となっ
ている価値基準の抽出が可能となるため、問題解決策の設計や実装の検討に大いに資する
ものとなる。来るべき将来像に対する多元的評価とその活用方法に関する検討はこれまで
に類似の試みがなく、特にデータ処理時において分析者の主観を排除した解析を可能とし
た点が独創的であると言える。
なお、既に“診療ナビゲーションシステム”、
“防災投資報告制度”という社会技術の設計
に活用しており、方法論の有効性を確認している。
3-2 「プログラム全体の知識の補完」に関する成果
1)安全安心の概念の明確化[3(3 章 5.1)]
(成果の概要)
安心と安全の概念は、日本においてはしばしば、専門家と非専門家との乖離を表現するも
のとして広まってきたように思われる。「(科学的には)安全だが、人々が安心しない」あ
るいは、「安全基準は達成しているが、安心を得るためにさらに方策を考える」というよう
な言明が、このことを端的に示している。社会的合意形成のために、多くの人々が関わる
ときには、その乖離を意識しつつも、どうにかして意思決定をしなければならない。その
ためには、何についての違いであり、その違いがどのようなものであるかの分析的な視点
が欠かせない。
本課題ではこのような問題意識にたち、社会的合意を形成するためのいくつかの主要な概
念、すなわち、信頼、安全安心について検討した。
具体的には、安心と安全について、日常的にどのような文脈で使われているかを、新聞記
事を中心として資料を収集し、検討した。また、それぞれの概念について専門家はどのよ
うに考えているのかを、各分野の安全基準を参照しながら検討した。これらの検討をもと
に、安心と安全を能動型と無知型に分類し、社会技術研究で目指すべき能動型安心を達成
するあり方を提示した。
[67]
近年では専門家に対する“信頼”の重要性が指摘されている。この背景から、専門家に対
する信頼に関わる仮説を提案し、それを原子力発電所トラブル隠し問題の前後に、当該電
力会社の電力供給地域の世帯を対象に検証した。時系列のデータを分析することによって、
同問題によって専門家に対する信頼が低下し、それに伴い原子力発電所を政府がより強く
管理することを求める傾向が増大することが明らかになった。ただし、例外的に問題後の
対応が誠実であったと認識した場合には信頼の低下は生じなかった。
[68]
以上のように、安全のみならず安心の問題も取り扱う社会技術研究において非常に重要な
基盤的知識である安全安心の概念、またどういった場合において人々は安心し得るのかと
38
いう問題についていくつかの具体的な解決策を提示することができた。
(成果のクオリティ)
専門的な知識のない一般の人々と細分化の進んだ知が混在する現代社会においては、科学
的かつ合理的なリスク評価のみに基づいた安心の実現は難しく、それを補完する、もしく
は代替する別の方策が必要である。そのような問題認識の下で、将来的に「社会の安心」
を実現するためにどのような方策があり得るかを示したという点で、意義深いものである
と言える。
2)安全安心問題におけるアジェンダ設定の重要性に関する研究 -食の安全問題を例に-
[3(3 章 5.2)]
(成果の概要) 食品事件発生の初期に生じやすい社会的構図のモデル化を行い、報道、社会的反響、対応
する行政の措置を参照するだけでは実際のリスクの大きさを判別することは困難であるこ
とを示した。安全と安心の確保に向けて昀も重要なことは、適切なアジェンダの早期の発
見ないし構成、それらへの迅速な対処であるということを示した。また、そこでは、その
時点で昀も重要なアジェンダを的確に抽出するための仕組みが必要になるが、知の細分
化・深化が著しい現状ではそのような仕組みづくりは難しく、したがって「社会技術」の
基本的コンセプトである「俯瞰的視点の活用」が、このようなこのボトルネックを解消す
るための方策として貢献し得ることを提言した。また、食品問題を通じて得られた知見を、
リスク論的、社会心理学的なアプローチも援用しつつ更に解明を進めることにより、リス
ク認知についての一定の理論的仮説を見いだした。
以上により、安全のみならず安心の問題も取り扱う社会技術研究において非常に重要な基
盤的知識である安全安心の概念、またどういった場合において人々は安心し得るのかとい
う事項について明らかにすることができた。同時に、様々な現実の食品問題、特に、2002
年の様々な食品不祥事や、米国牛肉輸入停止問題などについて、マスコミ・各種講演・教
育活動を通じて、評論・啓蒙・教育活動を精力的に行うことで、社会技術研究の成果を普
及することも行い、「知識の社会への実装」という観点においても一定の成果を得た。
(成果のクオリティ)
専門的な知識の無い一般の人々と細分化の進んだ知が混在する現代社会においては、科学
的かつ合理的なリスク評価のみに基づいた安心感の実現は難しく、それを補完する、もし
くは代替する別の方策が必要である。そのような問題認識の下で、将来的に「社会的安心
と呼ぶべき状態」を実現するためにどのような方策があり得るかを示したという点で、意
義深いものであると言える。
39
3)医療安全へのシステムアプローチの提案[3(4 章 4)]
◇ 医療ミス防止支援システム
(成果の概要)
医療過誤を個人のミスとしてとらえるのでなく、ヒューマンエラーを誘発するメカニズム
を理解することにより、ミス発生要因に関わる構造化本質知を獲得し、ミス防止支援シス
テムについて提案した。医療ミス防止支援システムにおける一つのコンポーネントは、ミ
ス防止構造化知識である。これは、ミスが発生したプロセスのどのような“特徴”が、人
間のどのような“弱点”に作用したのかを分析し、ミスに関わる知識を構造化して蓄積す
る仕組みである。もう一つのコンポーネントは、業務プロセス解析である。業務プロセス
をユニットプロセス、エレメントプロセスの連結としてモデル化し、これらをミス予測の
視点で適切な大きさ・特徴を持つように定義した。
(成果のクオリティ)
このシステムを用いることによって、多様な医療業務プロセスに潜むリスクをその従事者
が具体的に考察し、リスクを具体的に認識するとともに、ミス防止のための諸施策を現実
的に考察することが可能となった。また、製造業分野では同類の手法が既に普及しており、
医療分野においても、環境が整えば今後普及する可能性がある。
なお、本成果は、医療安全問題をシステム全体の問題として捉え、またシステム工学的手
法を医療分野に適用するという手法で得られたものであるため、社会技術の理念である俯
瞰的アプローチ(問題の全体像把握/分野を超えた知の活用)に基づいた技術提案である
と言える。
◇ 患者状態適応型パス
(成果の概要)
(a) 臨床プロセスチャート
臨床プロセスの全貌の把握
診療プロセス質保証システムの確
立に資する「患者状態適応型パス」
を提案した。これは「臨床プロセス
チャート」と「ユニットシート」の
2 つのツールから構成される。
臨床プロセスチャートは、対象疾
業務
患者状態
•処置
•治療
•検査
•教育
•ケア
•食事
•安静度
•抑制
•観察結果
•検査結果
条件付
指示
(b) ユニットシート
各局面での適応指針の策定
目標状態
+
ユニット移行ロジック
患群の臨床プロセスの全貌(あり得
図 6 患者状態適応型パス
るパスのすべて)を理解することにより、多様な診療技術が、臨床プロセス全体のどこで
適用されるものであるかを理解するためのものである。
ユニットシートは、各ユニットにおける患者状態に応じた適切な診療、次に移行すべきフ
ェーズの認識に資するものである。
40
(成果のクオリティ)
このシステムを用いることによって、多様な医療業務プロセスに潜むリスクをその従事者
が具体的に考察し、リスクを具体的に認識するとともに、ミス防止のための諸施策を現実
的に考察することが可能となった。
なお、本成果は、医療安全問題をシステム全体の問題として捉え、またシステム工学的手
法を医療分野に適用するという手法で得られたものであるため、社会技術の理念である俯
瞰的アプローチ(問題の全体像把握/分野を超えた知の活用)に基づいた技術提案である
と言える。
3-3 「プログラムの設計・管理運営の実施、および知識の体系化」に関する成果
1) ミッション・プログラムⅠの研究設計・管理運営
(成果の概要)
多岐の専門分野に渡るミッション・プログラムⅠ(以下 MPⅠ)全体を設計・運営し、グ
ループ間のクロスオーバー、情報交換の促進などを行った。これにより、専門性の異なる
グループ同士で合宿や会議を開催することにより、社会技術研究の目的に対する共通認識、
またそれぞれのグループがもつ特異性や特徴など、基盤的な理解を醸成した。
時期
01.8.23
企画
02.4.26-27
ミニシンポジウム
(@東京大学工学部 1 号館 15 号講義室)
ミニシンポジウム
(@東京大学法学部会議室)
グループリーダー会議
(@愛宕グリーンヒルズ MORI タワー)
ミニシンポジウム(@東京大学法学部研究
室新館8階会議室)
グループリーダー合宿(@伊豆高原)
02.9.13-14
グループリーダー合宿(@軽井沢)
03.6.3
ミニシンポジウム
(@東京大学工学部 1 号館)
グループリーダー会議
(@愛宕グリーンヒルズ MORI タワー)
グループリーダー会議
(@東京大学工学部 1 号館)
One-day conference
(@Harvard Faculty Club, Cambridge)
ヤング・リサーチ・アシスタント ミーテ
ィング(@東京大学工学部 11 号館)
ヤング・リサーチ・アシスタント ミーテ
ィング(@東京大学工学部 11 号館)
グループリーダー合宿(@熱海)
01.10.1
01.10.15
02.1.23
03.7.16
03.8.25
03.9.12
03.9.27
03.10.18
04.3.22-23
04.7.28
グループリーダー会議
(@愛宕グリーンヒルズ MORI タワー)
41
趣旨
各グループの研究進捗の報告、共有
各グループの研究進捗の報告、共有
研究方針の確認、修正
各グループの研究進捗の報告、共有
合議事項に関する議論、各グループの研究進捗
の報告、共有
合議事項に関する議論、各グループの研究進捗
の報告、共有
各グループの研究進捗の報告、共有
研究方針の確認、修正
研究方針の確認、修正
マサチューセッツ工科大学との共同研究
東京大学 学部生による社会技術研究の実践
東京大学 学部生による社会技術研究の実践
合議事項に関する議論、各グループの研究進捗
の報告、共有
研究方針の確認、修正
時期
04.10.30
05.3.15
05.3.16
05.6.10
05.9.30
05.9.30
05.12.27
企画
ミニシンポジウム
(@東京大学工学部 1 号館)
グループリーダー会議
(@愛宕グリーンヒルズ MORI タワー)
グループ横断型研究ミニシンポジウム
(@東京大学工学部 1 号館)
グループリーダー会議
(@りそなマルハビル)
グループリーダー会議
(@武田先端知ビル)
ミニシンポジウム(@武田先端知ビル)
グループリーダー会議
(@りそなマルハビル)
趣旨
各グループの研究進捗の報告、共有
研究方針の確認、修正
分野横断型研究の遂行に関する成果発表会
研究方針の確認、修正
研究方針の確認、修正
各グループの研究進捗の報告、共有
研究方針の確認、修正
(成果のクオリティ)
これまで協働する機会の無かった異なる専門性が一堂に会することにより、異分野間の連
携が進んだ。例えば、法システム研究グループ・地震防災研究グループ・総括研究グルー
プの協働による「既存不適格問題を解決するための検討」といった分野を超えた知の協働
や、リスクマネジメント研究グループと化学プロセス安全研究グループ他による「リスク
特性の類型化とそのガバナンス形態との関係性分析」といった個別の知からの普遍的な知
の導出が実現した。以上は、社会技術の理念である俯瞰的アプローチの一つ「問題解決志
向の知識連携」に合致する取り組みであると言える。
2) ミッション・プログラムⅠにおける知識の体系化
(成果の概要)
以下表のように、MPⅠ全体の活動内容を知識の体系として整理し、体外的な公表を行っ
た。社会技術研究の成果を「社会技術のコンセプト」、「個別分野型成果」、「分野横断型成
果」、「安全から安心に向けた提言」の 4 タイプに分け、それぞれの成果を体系化した。
時期
01.12.26
02.3.13
02.10.23
02.10.24
02.11.6
02.12.11
03.1
アウトプット
社会技術シンポジウム
(@愛宕グリーンヒルズ MORI タワー)
社会技術研究フォーラム
(@虎ノ門パストラル)
日本学術会議との合同シンポジウム
(@アーク森ビルウェストウィング)
社会技術研究フォーラム
(@アーク森ビルウェストウィング)
社会技術研究フォーラム
(@愛宕グリーンヒルズ MORI タワー)
社会技術シンポジウム
(@東大工学部 14 号館)
MPⅠウェブサイト構築(日本語版/英
語版)
42
内容
社会技術研究の対外発信
社会技術研究の対外発信
社会技術研究の対外発信
社会技術研究の対外発信
社会技術研究の対外発信
社会技術研究の対外発信
MPⅠの研究理念、研究成果を参照できるポータ
ルサイトとして公開中
時期
03.3.12-13
03.10.27
03.11.14
04.3
04.3.4-5
04.3.13
04.11.11
05.1.29
05.3.2-3
05.7
05.7.16
05.11.29
05.12.5-6
06.1.17
06.1.17
アウトプット
社会技術研究フォーラム
(@虎ノ門パストラル)
『社会技術研究論文集 Vol.1』刊行
内容
社会技術研究の対外発信
社会技術研究フォーラム
(@アジュール竹芝)
『問題解決のための「社会技術」』刊行
社会技術研究シンポジウム
(@日本科学末来館)
社会技術研究フォーラム
(@ARK フォーラム)
『社会技術研究論文集 Vol.2』刊行
MPⅠ内外の、社会技術に関する研究論文の募集、
査読、公表
社会技術研究の対外発信
MPⅠの研究理念の啓蒙書として、中公新書より
刊行
社会技術に関連する研究の発表講演会
社会技術研究の対外発信
社会技術研究フォーラム
(@東京国際フォーラム)
社会技術研究シンポジウム
(@JST ホール)
MPⅠ事例集出版(日本語版/英語版)
社会技術研究フォーラム
(@経団連会館)
『社会技術研究論文集 Vol.3』刊行
MPⅠ内外の、社会技術に関する研究論文の募集、
査読、公表
社会技術研究の対外発信
社会技術に関連する研究の発表講演会
社会技術セミナー、OECD フォーラム等で幅広く
MPⅠ研究をアピールする資料として作成・配布
社会技術研究の対外発信
MPⅠ内外の、社会技術に関する研究論文の募集、
査読、公表
社会技術研究の最終成果の国際的発信
OECD:Global Science Forum
(@三田会議所)
最終成果報告会
(@武田先端知ビル)
『安全安心のための社会技術』刊行
社会技術研究の最終成果の対外発信
MPⅠ研究の対外発信として、東京大学出版会よ
り刊行
(成果のクオリティ)
上記のようにわかりやすく体系化された成果・知識を、書籍、論文集、ウェブサイト、成
果事例集(パンフレット)など誰でも手に取ることのできる形で整理し、体外的にアピー
ルした。特に成果事例集[214]
[215]については、社会技術研究開発センター主催のシン
ポジウム、マスコミ向けのレクチャー会、OECD の Global Science Forum 等の場でも配布・
販売しており、広く社会一般、国際的なアカデミアに対しても PR を行った。
4. 目標の達成状況
4-1 「社会技術の概念の明確化と社会技術の設計の方法論構築」の達成状況
総括研究グループにおける一つ目の目標は、「社会技術の概念を明確化するとともに、各
研究グループの取り組み、また多様な分野な既に実施されている社会技術に類する解決策
の開発過程等を総合し、社会技術の設計の方法論を構築する」というものである。
社会技術の概念の明確化については、3-1の1)に示したように社会技術研究の目的認
識、開発される社会技術が備えておくべき要件を整理して社会技術の概念を明確にしてお
43
り、また書籍や論文において繰り返し述べている。以上より、目標を達成できたと考える。
また、社会技術の設計の方法論構築については、3-1の2)に示したように、基本的な
方法論の構築と複数の事例を通じた試行を実施しており、また関連する論文(
[24]~[56])
のうち、18 件が査読の上受理されており、様々な分野の有識者からもその優位性や新規性
が認められている。したがって、当初の目標は十分に達成されたと考える。
4-2 「プログラム全体の知識の補完」の達成状況
総括研究グループにおける二つ目の目標は、「安全に係わる社会技術の開発、またそのた
めに必要となる知識基盤と一般的方法論の構築に関して、他研究グループでは対応しきれ
ない研究課題について補完的知見を取りまとめる」というものである。
この目標について、総括研究グループでは、3-2に示したように、「安全安心概念の明
確化」や「複雑な社会問題におけるアジェンダ設定」といった社会技術研究の前提事項の
整理や、システムズアプローチの医療分野への適用という「分野を超えた知の活用」の先
行的検討など、どの研究グループの専門性をもってしても検討が難しい項目に対応した。
また、検討結果は書籍として整理され、広く一般に公表・共有されている。以上より、目
標を達成できたと考える。
4-3 「プログラムの設計・管理運営の実施、および知識の体系化」の達成状況
総括研究グループにおける三つ目の目標は、「プログラムの設計・運営、グループ間のク
ロスオーバー・情報交換の促進、成果発信の場の提供などを行うとともに、各研究グルー
プで形成された知識を体系化する」というものである。
この目標について、総括研究グループでは、3-3に示したように、5 年間で 21 回に及
ぶグループ間の研究交流(ミニシンポジウム、合宿等)と、同じく 5 年間で 22 件に及ぶ研
究成果の対外発信(フォーラムの企画・開催、書籍の編修等)の企画・開催の支援を行っ
た。これ以外にも、研究成果報告書の設計・取りまとめや、書籍のコンセプト設計や内容
面での編集作業など、研究成果の体系化にも対応した。以上より、当初の目標を十分に達
成したと考える。
44
5. 研究成果の公表
5-1 社会技術に関連する卒業/修士/博士論文
論文名
論文の種類
著者[指導教官]
社会技術の影響分析手法に関する研究-医療分野における適用を例に-
卒業論文
小松崎俊作[堀井秀之]
論点の構造化に基づく問題分析手法の提案 ~核燃料サイクル問題を題材に~
道路整備事業における沿線住民の意識構造および合意形成手法への適用に関す
る研究
卒業論文
西村有希[堀井秀之]
発表当時の所属
東京大学・工学部・土木工
学科
東京大学工学部
卒業論文
浜谷健太[堀井秀之]
東京大学工学部
安全・安心社会の構築に向けた科学技術政策立案の支援手法の提案
修士論文
阿部敦壽[堀井秀之]
拡張 ConeTrees 技法による DAG 情報の可視化
卒業論文
山下由美[藤代一成]
病院内における患者の転倒リスク抽出
患者適応型クリニカルパスの提案
「医療における質概念」構築に関する研究
ケアプラン作成支援システムの構築
投薬プロセスにおけるミス予測モデルの提案
姿勢モデルを用いた病院における患者の転倒・転落事故のリスク抽出
病院への品質マネジメントシステム導入における困難とその克服-困難性分析
モデルの提案-
医療プロセスのリスク予測のためのFMEAの活用
患者状態に起因したアクシデント予測のためのケースアセスメントシートの設
計
医療分野における事故分析業務マネジメントシステムの開発―事故分析業務ワ
ークフローが持つべき要素の解析とそのデータ構造の設計―
退院調整思考プロセスの設計
患者の“声”から医療組織の問題点を抽出するアンケートシステムに関する研
究
医療 TQM における方針管理のしくみづくり
患者による病院医療評価から組織の問題点を探るモデルの構築
卒業論文
卒業論文
卒業論文
卒業論文
卒業論文
卒業論文
発表年次
2003
2003
2003
高林慎悟[飯塚悦功]
伊藤静夫[飯塚悦功]
塩飽哲生[飯塚悦功]
加藤省吾[飯塚・水流]
高橋宏行[飯塚・水流]
鈴木哲史[飯塚・水流]
東京大学大学院・工学系・
社会基盤工学
お茶の水女子大学・理学
部・情報科学科
東京大学・工学部
東京大学・工学部
東京大学・工学部
東京大学・工学部
東京大学・工学部
東京大学・工学部
2000
2001
2001
2002
2002
2002
卒業論文
山本健太[飯塚・水流]
東京大学工学部
2003
卒業論文
高畑健二[飯塚・水流]
東京大学工学部
2003
卒業論文
会田均[飯塚・水流]
東京大学工学部
2003
卒業論文
石川啓[飯塚・水流]
東京大学工学部
2004
卒業論文
内田健一[飯塚・水流]
東京大学工学部
2004
卒業論文
上野山勝也[飯塚・水流] 東京大学工学部
2004
卒業論文
卒業論文
吉崎裕介[飯塚・水流]
西田敦[飯塚・水流]
2005
2005
東京大学工学部
東京大学工学部
2003
2002
論文名
Development of Comprehensive Framework for Small-Scale Tourism
Development in Developing countries -Case studies in Lao People's Democratic
Republic -(途上国における小規模観光開発を分析するための包括的枠組みの
開発 -ラオス人民民主共和国における分析事例-)
模型実験による高速長距離土砂流動現象の再現と流動メカニズムの解明
論文の種類
著者[指導教官]
修士論文
川端航[堀井秀之]
修士論文
西村有希[堀井秀之]
発表当時の所属
発表年次
東京大学大学院・工学系・
社会基盤
2004
東京大学大学院・工学系・
社会基盤
ギャップ選択時におけるドライバーの判断要因に関する研究
修士論文
東京大学大学院・工学系・
浜谷健太[堀井秀之]
社会基盤
土木事業における信頼の心理要因分析
修士論文
針谷雅幸[藤井聡]
携帯電話ベースのメールコミュニケーションの可視化
修士論文
前川加奈[藤代一成]
階層的因果関係の可視化
修士論文
我妻静香[藤代一成]
医療プロセス解析による医療ミス防止に関する研究
修士論文
富岡博和
ケアプラン作成支援システムの構築
修士論文
八重沢亨
ケアプラン作成支援システムの構築に関する研究
修士論文
今井孝之[飯塚・水流]
患者状態適応型クリニカルパスの提案
修士論文
平岡佳恵[飯塚・水流]
ケア決定プロセスモデルの有用性とシステムプロトタイプ開発に関する研究
修士論文
加藤省吾[飯塚・水流]
患者状態適応型パスデータ分析システムの構築
修士論文
岸村俊哉[飯塚・水流]
医療の質安全保証・医療質経営を実現する統合化病院情報システムの導入プロ
セス設計
修士論文
木村義弘[飯塚・水流]
患者状態に起因する事故防止の為の患者リスク評価に関する研究
修士論文
高橋宏行[飯塚・水流]
東京工業大学
お茶の水女子大学大学
院・博士前期課程・数理・
情報科学専攻
お茶の水女子大学大学院
博士前期課程・数理・情報
科学専攻
東京大学大学院・工学系研
究科
東京大学大学院・工学系研
究科
東京大学大学院・工学系研
究科
東京大学大工院工学系研
究科
東京大学大工院工学系研
究科
東京大学大工院工学系研
究科
東京大学大工院工学系研
究科
東京大学大工院工学系研
究科
2005
2005
2003
2002
2005.3
2002
2001
2001
2003
2004
2005
2005
2005
論文名
論文の種類
著者[指導教官]
退院調整プロセスモデルの設計
修士論文
松本健[飯塚・水流]
政策論争における主張の説得力評価と意思決定支援に関する研究
博士論文
中川善典[堀井秀之]
発表当時の所属
東京大学大工院工学系研
究科
東京大学大学院・工学系・
社会基盤
発表年次
2005
2005
5-2 社会技術に関連するゼミ/講義等
講義名
教官
講義の対象者
受講者数
(概数)
期間
2002 冬学期,
2003 冬学期
2005 冬学期
2002 冬学期,
2003 冬学期
2003 夏学期
2002.10.28
社会技術概論
堀井秀之
東京大学・工学部・土木工学科
50
社会技術論
堀井秀之
東京大学教養学部 1~2 年生
60
少人数セミナー
堀井秀之
東京大学・工学部・土木工学科
10
全学自由ゼミナール
岡崎白鳳高校特別講義
堀井秀之
堀井秀之
東京大学・教養学部 1~2 年生
岡崎白鳳高校生徒
20
100
安全安心人材養成セミナー
堀井秀之
―
―
2004.1
公共心理学
藤井聡
東京工業大学大学院・土木工学
専攻
30
2003.10~2004.1
早稲田大学・第二文学部
60
2003.6~2003.10
東京大学・教養学部
40
2003.10~2004.3
飯塚悦功ほか
東京大学・教養学部
40
2003.4~7
飯塚悦功
飯塚悦功
千葉大学大学院・看護学研究科
看護部長,施設代表者
中米各国・地域保健医療質担当
者
クリニカルパス学会・広島支部
会員
クリニカルパス学会・学術講演
会
―
―
2003. 2 集中講義
2003.12
―
2003.11
―
2002.9
―
2002.11
総合科目(グローバリゼーションにおける社会・人間)
知識の構造化(第 12 回:医療ミス防止のための知識の構造化)
Human Technologies「医療安全へのヒューマンファクタエンジニアリン
グアプローチ」
リスクマネジメント論
「ひろしま看護サービス研究会」研修会
竹村和久,神里達
博,吉川肇子
飯塚悦功ほか
JICA 研修コース「地域保健医療の質管理」
飯塚悦功
教育セミナー「クリニカルパスによる医療質保証プロセス」
飯塚悦功
教育セミナー「クリニカルパスによる医療プロセス標準化への道」
飯塚悦功
講義名
教官
医療の TQM
飯塚
講義の対象者
受講者数
(概数)
期間
東京医科歯科大学大学院医歯
学総合研究科
―
―
5-3 一般へのセミナー/講演等
種別
講演名
講演者
講義の対象者
受講者数
(概数)
期間
―
2001.8
シンポジウム
「工学知の総合化による新産業創出」(ニーズとシーズ,出会いのマネジ
メント)
堀井秀之
シンポジウム
「社会と大学のアクティブリンク」
堀井秀之
―
―
2001.9
ワークショップ
スイス連邦工科大学 ETH,社会技術ワークショップ
堀井秀之
―
―
2002.6
フォーラム
日本機械学会 市民フォーラム「社会問題解決のための知識体系の構築」
堀井秀之
―
―
2002.9
シンポジウム
東京大学工学教育シンポジウム「社会技術における構造化」
堀井秀之
―
―
2002.11
フォーラム
フォーラム21安全安心分科会セミナー
堀井秀之
―
―
2002.11
シンポジウム
知の構造化・社会技術シンポジウム,「社会技術研究における知の構造化
と可視化」
堀井秀之
―
―
2002.12
シンポジウム
国際リスク学会シンポジウム
堀井秀之
―
―
2003.6
セミナー
安全・安心と科学技術プロジェクト,オープンセミナー,「社会技術から
みた安全・安心」
堀井秀之
―
―
2003.10
懇談会
安全・安心な社会の構築に資する科学技術政策に関する懇談会
堀井秀之
―
―
2003.4
フォーラム
第 5 回社会技術研究フォーラム
「安全・安心な社会の構築と社会技術」 堀井秀之
―
―
2003.11
シンポジウム
第一回社会技術研究シンポジウム
堀井秀之
―
―
2004.3
オープンスクール
平成 16 年度科学技術振興調整費
を実現する科学技術人材養成」
堀井秀之
―
―
2004.7
シンポジウム
知識の構造化とネットワーク型知識基盤の構築シンポジウム
堀井秀之
―
―
2004.9
フォーラム
第 7 回社会技術研究フォーラム 「法人化」時代における社会のための科
学技術研究
堀井秀之
―
―
2004.10
新興分野人材養成「安全・安心な社会
一般
種別
フォーラム
シンポジウム
講演名
第 8 回社会技術研究フォーラム 「社会技術研究が今後取り組むべき課
題」
(財)マルチメディア振興センター FMMC 安心安全シンポジウム 2005
「社会技術から学ぶネット社会のリスクガバナンス」
講義の対象者
受講者数
(概数)
期間
堀井秀之
―
―
2005.1
堀井秀之
―
―
2005.3
講演者
シンポジウム
第二回社会技術研究シンポジウム
堀井秀之
―
―
2005.3
シンポジウム
ミッション・プログラムⅠグループ横断型研究ミニシンポジウム
堀井秀之
―
―
2005.3
堀井秀之
―
―
2005.6
堀井秀之
―
―
2005.7
堀井秀之
―
―
2005.7
堀井秀之
―
―
2005.7
堀井秀之
―
―
2005.7
堀井秀之
―
―
2005.8
堀井秀之
―
―
2005.9
堀井秀之
―
―
2005.9
堀井秀之
―
―
2005.10
堀井秀之
―
―
2005.10
堀井秀之
―
―
2005.11
堀井秀之
―
―
2005.12
堀井秀之
―
―
2005.12
学会講演
オープンスクール
シンポジウム
フォーラム
セミナー
学会講演
学会講演
シンポジウム
フォーラム
シンポジウム
シンポジウム
―
フォーラム
(社)火薬学会第 64 回通常総会並びに 2005 年度春季研究発表会 安全・
安心な社会の構築
東京大学安全安心と科学技術プロジェクト 安全・安心プロジェクトオー
プンスクール
日本学術会議主催 第 35 回安全工学シンポジウム 安全安心のための社
会技術
第一回社会技術フォーラム 「社会問題解決のためにやるべきことは何
か」
JPCERT コーディネーションセンター/Telecom-ISAC JAPAN 共催セミ
ナー 安全安心のための社会技術
四日市研究発表会(化学プロセス安全グループ) 安全安心のための社会
技術
2005 年社会心理学会大会(第 46 回大会) グローバル化社会におけるリ
スクと安心
ミッション・プログラムⅠシンポジウム-安全安心のための社会技術:社
会への実装-
東京大学産学連携協議会「安心・安全な社会を実現するための科学技術」
分科会「科学技術交流フォーラム」
ミッション・プログラムⅠミニシンポジウム
安心・安全インターネット推進協議会平成 16 年度シンポジウム「アナロ
ジーな成功事例から安心・安全を学ぶ」
Safety Case as a Sociotechnology : Cases in other Fields and Function of
Safety Case
OECD Global Science Forum
Workshop on Science and Technology for a Safer Society
種別
講演名
講演者
講義の対象者
受講者数
(概数)
期間
シンポジウム
ミッション・プログラムⅠ最終成果報告会『安全安心のための社会技術』
「安全安心のための社会技術」―そのコンセプト,他
堀井秀之
―
―
2006.1
シンポジウム
第三回社会技術研究シンポジウム
堀井秀之
―
―
2006.3
担当者会議
エイズブロック拠点病院看護管理者・看護実務担当者会議
飯塚悦功
看護師
―
2003.6
シンポジウム
安全工学シンポジウム「異なる専門分野から見た医療システムの安全性」
セッション
飯塚悦功
一般
―
2003.7
医療質保証・改善へのシステムアプローチ
飯塚悦功
一般
―
2003.1
約 50
2003.5
―
2005.9
―
学会講演
2003 年度土木計画学研究発表会(春大会)スペシャルセッション「災害
リスク認知とコミュニケーション」
シンポジウム
日本社会心理学会第 46 回大会学会主催シンポジウム「グローバル化社会
におけるリスクと安心」
藤井聡,
竹村和久,吉川
肇子
村上陽一郎,堀
井秀之,神里達
博,竹村和久
土木学会
―
5-4 実績一覧(リスト)
No.
分類
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
発表年次
資料の
添付
日本経済新聞・経済教室
2002.9
○
中公新書
東京大学出版会
第 5 回社会技術研究フォーラム
東京・アジュール竹芝 天平の間
日本科学未来館 みらい CAN ホ
ール
2003.
2006.1
―
―
2003.11
○
2004.3
○
著者,作成者等
2
3
書籍
書籍
4
パネリスト
「安全・安心な社会の構築と社会技術」
堀井秀之
5
座長,討論
第一回社会技術研究シンポジウム
堀井秀之
6
書籍
問題解決のための「社会技術」分野を超え
た知の協働
堀井秀之
中公新書
2004.3
―
7
新聞掲載
問題解決のための「社会技術」
堀井秀之
日本経済新聞 18 面,日本経済新聞
社, 5 月 30 日朝刊(2004)
2004.5
○
新聞掲載
小宮山宏,
堀井秀之
堀井秀之(編)
堀井秀之(編)
発表場所
安全・安心へ「社会技術」 専門分野超え
研究 人文・社会科学と連携必要
問題解決のための「社会技術」
安全安心のための社会技術
1
全般
形態
No.
分類
形態
8
司会
9
特別講演
10
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
著者,作成者等
発表場所
サイエンスプラザ・JST ホール
独立行政法人科学技術振興機構東
京本部
(社)火薬学会第 64 回通常総会並
びに 2005 年度春季研究発表会
東京大学安全安心と科学技術プロ
ジェクト 安全・安心プロジェクト
オープンスクール
日本学術会議主催 第 35 回安全
工学シンポジウム
JPCERT コーディネーションセン
ター/Telecom-ISAC JAPAN 共催
セミナー
四日市研究発表会(化学プロセス
安全グループ)
東京大学産学連携協議会「安心・
安全な社会を実現するための科学
技術」分科会「科学技術交流フォ
ーラム」
発表年次
資料の
添付
2005.3
○
2005.6
―
2005.7
○
2005.7
○
2005.7
○
2005.8
○
2005.10
○
2006.1
―
2006.3
―
2001
2003
2003
―
―
―
第二回社会技術研究シンポジウム
堀井秀之
安全・安心な社会の構築
堀井
講演
安全安心のための社会技術
堀井秀之
11
特別講演
安全安心のための社会技術
堀井秀之
12
基調講演
安全安心のための社会技術
堀井秀之
13
口頭発表
安全安心のための社会技術
堀井秀之
14
口頭発表
安全安心のための社会技術
堀井秀之
口頭発表
ミッション・プログラムⅠ最終成果報告会
『安全安心のための社会技術』
「安全安心のための社会技術」―そのコン
セプト,他
堀井秀之
コーディネーター
第三回社会技術研究シンポジウム
堀井秀之
論文
論文
論文
論文掲載(イン
タビュー)
社会問題解決のための知識体系の構築
「社会技術」のめざすもの<上>
「社会技術」のめざすもの<下>
「未来と社会技術の未来」 吉川弘之(独
立行政法人産業技術総合研究所理事長)
「法人化」時代における社会のための科学
技術研究
堀井秀之
堀井秀之
堀井秀之
東京大学武田先端知ビル 武田ホ
ール
機会学会の年次講演会講演資料集
労働の科学,58 巻 7 号,32-35
労働の科学,58 巻 8 号,50-53
堀井秀之
社会技術研究論文集,Vol.1
2003.10
○
堀井秀之
第 7 回社会技術研究フォーラム
東京・コクヨホール
2004.10
○
15
16
17
18
19
20
21
社会技術の概
念の明確化
討論
秀之
東京大学武田先端知ビル
ール
武田ホ
No.
形態
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
22
討論
「社会技術研究が今後取り組むべき課題」
23
パネル討論
24
分類
社会技術設計
の方法論
特別講義
著者,作成者等
発表場所
発表年次
資料の
添付
堀井秀之
第 8 回社会技術研究フォーラム
東京国際フォーラム ホール D5
2005.1
○
堀井秀之
第一回社会技術フォーラム
2005.7
―
堀井秀之
品川インターシティ ホール棟 地
下 1 階 会議室
2005.12
○
Bird’s-eye View Approach for Resolution of
Societal Problems: Japanese Experience
堀井秀之
OECD Global Science Forum
Workshop on Science and
Technology for a Safer Society(東
京都三田共用会議所 国際会議場)
2005.12
○
原子力発電所トラブル隠し問題の解析に
向けた階層的因果関係の対話的可視化
我妻静香,藤代一成, 社会技術研究論文集,Vol.2,
堀井秀之
406-413
2004.10
○
2003. 10
○
2004.9
○
2002.3
○
2002.3
○
2002.6
○
2003.6
○
2003.3
○
「社会問題解決のためにやるべきことは
何か」
Safety Case as a Sociotechnology : Cases
in other Fields and Function of Safety
Case
25
口頭発表
26
査読付論文
27
査読付論文
28
司会,講演
29
論文
DAG 情報の可視化
30
論文
携帯電話ベースの情報可視化
31
査読付論文
拡張 ConeTrees 技法による DAG 情報の
可視化
32
論文
コーンツリー技術を活用した社会問題構
造の把握と解決策の発想
33
ツール
構造モデル化手法の社会問題への適用-
原子力発電所トラブル隠しを題材に
知識の構造化とネットワーク型知識基盤
の構築シンポジウム
知識構造ビューア
豊田武俊,堀井秀之
社会技術研究論文集,Vol.1,16-24
堀井秀之
東京大学武田先端知ビル
ール
武田ホ
山下由美,高橋成雄,
―
藤代一成,堀井秀之
前川加奈,高橋成雄, 第 64 回情報処理学会全国大会,東
藤代一成,堀井秀之
京電機大学鳩山キャンパス
画像電子学会 Visual Computing 情
山下由美,藤代一成,
報処理学会グラフィクスと CAD
高橋成雄,堀井秀之
合同シンポジウム(東京)
山口健太郎,船戸康 可視化情報 Vol.23 suppl. No.1(第
徳,藤代一成,堀井秀 31 回可視化情報シンポジウム講演
論文集)
之
http://www.ohriki.t.u-tokyo.ac.jp/S船戸康徳,藤代一成,
Tech/M1/group_soukatu/EDPDBV
山口健太郎
_1.10/html/index.html
No.
分類
形態
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
34
論文
35
査読付論文
対話的 2D/3D 表示技法を用いた階層的因
果関係可視化システム
36
査読付論文
階層的因果関係の対話的可視化
37
論文
38
査読付論文
39
ツール
40
委託報告書
41
委託報告書
42
委託報告書
43
委託報告書
44
委託報告書
45
査読付論文
46
査読付論文
社会問題の解決に資する事実の明示化手
法の構築
47
査読付論文
異なる場面での類似発言に注目した発話
者の信念の抽出と論点推定
社会問題解決のための知識体系の構築
階層的因果関係の可視化
階層的因果関係の視覚解析システムの開
発
Hierarchical Causality Explorer: Making
complemental use of 2D/3D visualizations
階層的因果関係エクスプローラー
安全性に係わる社会問題解決のための知
識体系の構築
安全性に係わる社会問題解決のための知
識体系の構築(その 2)
安全性に係わる社会問題解決のための知
識体系の構築(その 3)
安全性に係わる社会問題解決のための知
識体系の構築(その 4)
安全性に係わる社会問題解決のための知
識体系の構築(その 5)
因果ネットワークを用いたリアルタイム
診療ナビゲーションシステムの影響分析
53
著者,作成者等
発表場所
第 66 回情報処理学会全国大会,慶
我妻静香,藤代一成,
應義塾大学湘南藤沢キャンパス,
堀井秀之
2N-6
画像電子学会 Visual Computing 情
我妻静香,藤代一成,
報処理学会グラフィクスと CAD
堀井秀之
合同シンポジウム 2004(東京)
可視化情報学会第 10 回ビジュア
我妻静香,藤代一成,
リゼーションカンファレンス講演
堀井秀之
予稿集
我妻静香,藤代一成, 第 67 回情報処理学会全国大会,電
堀井秀之
気通信大学,4Y-4
S.
Azuma,
I. SPIE Visualization and Data
Fujishiro, H. Horii
Analysis 2006
我妻静香,藤代一成
―
発表年次
資料の
添付
2004.3
○
2004.6
○
2004.10
○
2005.3
○
2006.1
○
2006.3
―
三菱総合研究所
研究委託報告書
2002.3
―
三菱総合研究所
研究委託報告書
2003.2
―
三菱総合研究所
研究委託報告書
2004.3
○
三菱総合研究所
研究委託報告書
2005.3
○
三菱総合研究所
研究委託報告書
2005.12
○
小松崎俊作,橋口猛
志,堀井秀之
山口健太郎,船戸康
徳,藤代一成,堀井秀
之
社会技術研究論文集, Vol.1,
391-403
2003.10
○
社会技術研究論文集, Vol.1,9-15
2003.10
○
社会技術研究論文集,Vol.1,38-47
2003.10
○
中川 善典
No.
分類
形態
48
査読付論文
49
査読付論文
50
査読付論文
51
査読付論文
52
査読付論文
53
査読付論文
54
査読付論文
55
査読付論文
56
査読付論文
57
安全安心の概
念の明確化
講演
58
委員
59
講師
60
講師
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
社会問題解決策の立案に資する分野横断
的な知識活用手法の検討
社会問題解決策の影響分析手法確立に向
けた研究~既存不適格住宅耐震性向上問
題を事例として
診療ナビゲーションシステムを題材とし
た社会問題解決策の影響分析ケーススタ
ディ
社会問題解決策の設計と実装に資する多
元的評価手法の提案
既存不適格住宅の耐震性向上に係る社会
技術の研究
安全・安心社会の構築に向けた科学技術政
策立案の支援手法の提案
高病原性鳥インフルエンザにおける不安
喚起モデル構成の試み
シナリオ・プランニング手法による東アジ
アのエネルギー危機の分析と日本の科学
技術戦略
合意形成のための住民意識構造モデルの
構築-道路整備事業を題材としてー
「社会技術から学ぶネット社会のリスク
ガバナンス」
安全・安心な社会の構築に資する科学技術
政策に関する懇談会
安全安心人材養成セミナー
平成 16 年度科学技術振興調整費 新興分
野人材養成「安全・安心な社会を実現する
科学技術人材養成」
発表年次
資料の
添付
山口健太郎,白戸智, 社会技術研究論文集, Vol.3,
堀井秀之
186-195
2005.11
○
古場祐司,白戸智,
山口健太郎,堀井秀之
社会技術研究論文集, Vol.2,
112-122
2004.10
○
八巻心太郎,山口健太
郎,白戸智,堀井秀之
社会技術研究論文集, Vol.2,
123-131
2004.10
○
山口健太郎,八巻心太
郎,白戸智,堀井秀之
村山明生,古場裕司,
舟木貴久,城山英明,
畑中綾子,阿部雅人,
堀井秀之
社会技術研究論文集, Vol.2,
132-139
2004.10
○
社会技術研究論文集, Vol.1,
338-351
2003.10
○
2004.10
○
2004.10
○
2005.11
○
2005.11
○
2005.3
○
著者,作成者等
発表場所
社会技術研究論文集 vol.2,
238-250
山﨑瑞紀,吉川肇子, 社会技術研究論文集 vol.2,
堀井秀之
379-388
阿部敦壽,堀井秀之
大森良太,堀井秀之
社会技術研究論文集 vol.3,1-10
濱谷健太,堀井秀之, 社会技術研究論文集 vol.3,
山崎瑞紀
128-137
(財)マルチメディア振興センタ
堀井秀之
ー FMMC 安心安全シンポジウム
2005
堀井秀之
社会技術研究システム,他
2003.4
○
堀井秀之
―
2004.1
―
堀井秀之
東京大学先端科学技術研究センタ
ー
2004.7
○
No.
分類
形態
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
著者,作成者等
発表場所
発表年次
資料の
添付
61
口頭発表
グローバル化社会におけるリスクと安心
堀井秀之
2005 年社会心理学会大会(第 46
回大会)
2005.9
○
62
査読付論文
リスク特性とリスクガバナンス構造の類
型化及び関係分析の試み
中谷洋明,堀井秀之,
村山明生, 山口健太 社会技術研究論文集 Vol.3,31-46
郎
2005.11
○
63
講演
堀井秀之
2005. 11
○
64
口頭発表
社会技術研究システム成果発表会
2003.3
○
65
論文
Proceedings of 8th Congress of
European Psychology
2003.7
○
66
査読付論文
技術的安心と社会的安心
社会技術研究論文集, Vol.1,1-8
2003.10
○
67
査読付論文
リスク管理者に対する信頼と監視 (炉心
シュラウド問題が住民意識に及ぼした影
響分析)
藤井聡,吉川肇子,竹
村和久
社会技術研究論文集, Vol.1,
123-132
2003.10
○
Trust, Security and Peace of
Fujii,S., Kikkawa,T.
and Takemura,K.
(2003)
2003.11
○
2003.11
○
2003.2
―
2003.11
○
2004
○
2004.3
○
68
論文
69
論文
70
委託報告書
71
論文
72
73
書籍(分担執
筆)
書籍(分担執
筆)
安心・安全インターネット推進協議会平成
16 年度シンポジウム「アナロジーな成功事
例から安心・安全を学ぶ」
調査結果概要:特にシュラウド隠し前後の
意識変化について
The construction of ' An-shin'sytem as a
realistic solution to risk problems
Mind
Risk perception, trust, and policy
preference: A lesson from nuclear power
plant trouble in Japan
原子力問題発生構造に関する日米比較研
究
リスク・コミュニケーションから見た BSE
問題
社会技術としてのリスク・コミュニケーシ
ョン
リスクコミュニケーションの考え方と課
題
藤井聡,竹村和久,吉
川肇子
Kikkawa, T., Fujii,
S.,Takemura, K.,
and Horii, H.
吉川肇子,藤井聡,竹
村和久,白戸智
東京厚生年金会館
Takemura,K.
Fujii,S. Kikkawa,T.&
Horii.H.
International Symposium on
Systems and Human Science for
Safe, Secure and Reliable Society,
Osaka, Japan
The Annual Meeting of Society for
Judgment and Decision Making,
Vancouver,Canada
三菱総合研究所
研究委託報告書
竹田宜人,大坪寛子,
日本リスク研究学会誌,14,71-78
吉川肇子
竹村和久,吉川肇子, 社会心理学の新しいかたち,福村
藤井聡
出版
吉川肇子
食品安全システムの実践理論
No.
分類
形態
74
書籍(分担執
筆)
75
査読付論文
76
査読付論文
77
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
著者,作成者等
発表場所
合意形成論-総論賛成・各論反対
のジレンマ-
社会技術研究論文集,Vol.2,
399-405
リスクコミュニケーション
吉川肇子
東電シュラウド問題にみる原子力管理へ
の信頼の変化
不確実性の分類とリスク評価-理論枠組
の提案-
藤井聡, 吉川肇子,
竹村和久
竹村和久 , 吉川肇子 ,
藤井聡
論文
Fuzzy least squares regression analysis
for social judgment study.
Takemura,K.
78
論文
意思決定研究と公共政策
藤井聡
79
論文
潜在的連想テストによるリスク認知への
アプローチ
井出野・竹村和久
80
論文
Statistical image analysis of
psychological projective drawings.
Takemura,K.,
Takasaki,I.,Iwamitsu,
Y.
81
論文
Ambiguous comparative judgment : Fuzzy
set model and data analysis.
Takemura,K
82
論文
Fuzzy logistic regression analysis for fuzzy
input-output data.
Takemura,K
83
論文
Fuzzy Purchase Intention Model: An
Extension of Fishbein and Ajzen Model
Wakayama,D., &
Takemura,K
84
85
論説
雑誌掲載
「社会的ジレンマ」における意思決定
フレーミング効果について
藤井聡
竹村和久
Journal of Advanced Intelligent
Computing and Intelligent
Informatics, 9(5), 461-466
日本知能情報ファジィ学会学会
誌,(印刷中)
感性工学研究論文集 5巻 3 号,
149-154
Journal of Advanced Intelligent
Computing and Intelligent
Informatics, 9(5), 453-460
The Proceedings of the Second
International Symposium on Soft
Computing and Intelligent
System. TUA3-4
The Proceedings of the Second
International Symposium on Soft
Computing and Intelligent
System. WE8-5
The Proceedings of the Second
International Symposium on Soft
Computing and Intelligent
System. WE8-4
三色旗
経済セミナー,No.590,21-25
86
雑誌掲載
行動的決定理論入門 1 ~12
竹村和久
経済セミナー,
社会技術研究論文集,Vol.2,12-20
発表年次
資料の
添付
2004.3
○
2004.10
○
2004.10
○
2005
○
2005
○
2005
○
2005.9
―
2004
○
2004
○
2004
○
2004.11
2004.2
2004.9~
2005.8
○
―
―
No.
分類
87
形態
査読付論文
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
社会事象に関する不安喚起モデル構成の
試みー高病原性鳥インフルエンザを題材
として
発表年次
資料の
添付
2004.10
○
Fujii, S., Kikkawa, T.
and Takemura, K.
In T. Arai, S. Yamamoto, and K.
Makino (Eds.), Systems and
Human Science: For Safety ,
Security, and Dependability.
Pp.113-122. Amsterdam, The
Netherlands: Elsevier.
2005.2
○
山本明,大坪寛子,吉
川肇子
リスク研究学会誌,15,45-53
2004.11
○
2003.3
○
2002.10
○
2005.3
―
2005.11
○
2005.9
○
2004.11
○
2002.11
―
2003.3
―
著者,作成者等
山崎瑞紀,吉川肇子, 社会技術研究論文集,Vol.2,
堀井秀之
379-388
88
書籍(分担執
筆)
89
論文
90
基調講演
91
論文
92
口頭発表
社会的リスク事象に関する心配の般化メ
カニズム
神里達博
93
口頭発表
2005 年アスベスト問題
神里達博
94
パネラー
グローバル社会におけるリスクと安心
神里達博
95
査読付論文
序論:「安全・安心」言説の登場とその背景
神里達博
口頭発表
日本の食品問題の科学社会学的検討-
BSE 発生を巡って
神里達博
口頭発表
近年の食品問題とトレーサビリティ
神里達博
96
97
食の安全
Trust and acceptance of risks
リスクおよび関連概念における定義の不
一致に見る論点
リスク論は日本に根づくか-リスク研究
の現場から
社会はリスクをどう捉えるか
発表場所
神里達博
神里達博
第 4 回社会技術研究フォーラム
(東京・虎ノ門パストラル)
『科学』,岩波書店,10 月号(2002)
社会技術研究システム・グループ
横断型研究ミニシンポジウム,東
京・東京大学(本郷)
第四回科学技術社会論学会年次研
究大会,名古屋・名古屋大学
日本社会心理学会・第 46 回大会シ
ンポジウム(パネラー),日本社会
心理学会,西ノ宮・関西学院大学、
2005 年 9 月 24 日
『科学技術社会論学会論文集』
Vol.3,科学技術社会論学会編集委
員会編,玉川大学出版部
科学技術社会論学会年次大会(東
京大学)口頭発表
社会技術研究システム成果発表会
テーマ討論・基調講演(東京・虎
ノ門パストラル)
No.
分類
形態
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
著者,作成者等
98
パネラー
困難を前提とした食の安全確保システム
の考察
神里達博
99
パネラー
食品の安全を考える
神里達博
100
101
102
雑誌インタ
ビュー
新聞インタ
ビュー
新聞インタ
ビュー
Japanese Consumers
embrace traceability
rush
to
Japan seeks total traceability in its food
system
メーカー相互の監視不足 原料提示の仕
組み必要-無認可香料問題
食の安全,専門家に聞く-焦点!BSE 残さ
れた課題:下
食の履歴システムの可能性
神里達博
神里達博
○
2003.7
―
2002.8
―
2003.2
―
○
神里達博
朝日新聞紙面
2002.9
○
神里達博
日本経済新聞/時論
『論座』,朝日新聞社,7 月号
(2002)
Foreign Press Center,7 月号
(2002)
『ジュリスト』,○斐閣,No.1245
(2003)
『食品機械装置』,ビジネスセンタ
ー社,7 月号(2003)
『動け!日本』プロジェクトへの
寄稿 12 月(2002)
社会技術研究論文集, Vol.2,
331-342
日本食品工業倶楽部・品質保証懇
話会講演,東京・日本橋
平成 17 年度岐阜県獣医師会主催
学術研修会,岐阜市・グランヴェ
ール岐山,2005 年 5 月 14 日
2002.12
○
2002.7
○
2002.7
○
2003.6
○
2003.7
○
2002.12
○
2004.10
○
2003.3
―
2005.5
―
新聞掲載
105
論文
106
論文
107
論文
108
論文
109
論文
110
査読付論文
111
基調講演
近年の食品問題
神里達博
112
基調講演
日本の食品リスク問題を巡って
神里達博
総合的なトレーサビリティ・システムに向
けた標準規格・基盤技術
近年の食品問題の構造-「2002 年食品パ
ニック」の分析
2003.10
2002.8
104
トレーサビリティという考え方
資料の
添付
朝日新聞紙面
新聞掲載
ENVIRONMENT/The issue of food
safety,Views from Japan
新しい食品安全行政――食品安全委員会
(仮称)
『法律文化』,東京リーガルマイン
ド 東京弁護士会主催(東京・弁護
士会館)シンポジウム・パネラー
東京弁護士会主催定期シンポジウ
ム,東京・弁護士会館
Food Traceability Report,CRC
Press(Washington DC)
Food Traceability Report,CRC
Press(Washington DC)
発表年次
神里達博
103
食に信頼を取り戻すトレーサビリティ
発表場所
神里達博
神里達博
神里達博
神里達博
神里達博
神里達博
No.
分類
形態
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
著者,作成者等
113
口頭発表
”狂牛病”
神里達博
114
口頭発表
“BSE Crisis in Japan”
神里達博
115
口頭発表
米国産牛輸入停止問題について
神里達博
116
口頭発表
米国における BSE 発生を巡って
神里達博
117
口頭発表
食品行政改革以降の食品問題
神里達博
118
口頭発表
BSE 問題をとらえなおす
神里達博
119
口頭発表
近年の食品問題の構造
神里達博
120
パネラー
食品のリスクコミュニケーション
神里達博
121
パネラー
食のリスクを問い直す──BSE パニック
の真実
神里達博
122
パネラー
今,改めて BSE 問題を問う
神里達博
発表場所
発表年次
第 36 回科学技術社会論研究会,東
2003.11
京・東京大学
Governance of Science and
Technology ;RISTEX ,Tokyo / the
2003.12
University of Tokyo,22th,
December 2003
朝日新聞「論壇時評」欄担当者定
期会合,朝日新聞東京本社(東京・ 2004.1
築地)
サントリー文化財団「文明におい
て平等と公正を実現する社会シス
2004.1
テム研究会」,東京・東京工業大学
第三回科学技術社会論学会年次研
2004.11
究大会,金沢・金沢工業大学,
第 166 回土曜講座,市民科学研究
2004.11
室,東京・文京区茗台生涯学習館
第 2 回 社会技術研究シンポジウ
2005 年 3
ム,科学技術振興機構,東京・JST
月
サイエンスプラザ・ホール
「食の安全を考えるつどい」全国
食品安全監視員有志の会・食品保
2004.5
健科学情報交流協議会主催,東
京・築地本願寺ホール
第3回リビング・サイエンス・フ
ォーラム,主催:リビング・サイ
エンス・ラボ
協力:智財創造ラ
2004.7
ボ,東京・丸ビル7F・東京 21C
クラブ
全国消費者団体連絡会学習会(パ
2004.8
ネリスト),東京・中野サンプラザ
資料の
添付
―
―
―
―
○
―
―
―
―
―
No.
分類
形態
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
著者,作成者等
123
パネラー
“BSE Crisis in Japan”
神里達博
124
パネラー
“BSE crisis and recent institutional
change of food administration in Japan”
神里達博
米国牛の輸入が再開されたら
神里達博
125
126
ラジオ・イン
タビュー
新聞インタ
ビュー
127
新聞掲載
128
新聞掲載
129
書籍(共著)
130
131
書籍(分担執
筆)
雑誌特集監
修
132
査読付論文
133
論文掲載
134
論文掲載
牛肉の安全を考える-科学だけで安全策
判断できない
リスクへの知識基盤を-ノロウイルスが
問うもの
越境しあう科学と政治-BSE,未解明な病
の前で
International Symposium ‘Risk
Management and Global
Governance of Zoonosis’,
organized by 21st Century COE
Program for Zoonosis Control, at
Hokkaido University in Sapporo,
International Workshop on Risk
Precaution Technology,
organized by National Researh
Center for S&T for Development,
Ministry of Science & Technology
in People’s Republic of China ,
at
Minzhu Hotel in Beijing
TBS ラジオ『荒川強啓デイキャッ
チ』
発表年次
資料の
添付
2004.10
○
2004.12
―
2005.12
―
神里達博
朝日新聞社紙面,朝日新聞社
2004.5
○
神里達博
朝日新聞紙面,朝日新聞社
2005.1
○
神里達博
朝日新聞紙面,朝日新聞社
2004.1
○
2005.11
○
2006.1
―
2004.10
○
2005.10
○
2004.4
○
2005.4
○
BSE/牛海綿状脳症/狂牛病
神里達博
安全安心とアジェンダ・セッティング
神里達博
リビング・サイエンス的“BSE 迷宮からの
脱出”
BSE Crisis in Japan: A Chronological
Overview
米国 BSE 騒動に見る科学と政治
『食』のアジェンダ・セッティング ──
我々はいかに「問題」を切り取るべきなの
か
発表場所
神里達博
神里達博
神里達博
神里達博
藤垣裕子編『科学技術社会論の技
法』,東京大学出版会
堀井秀之編『安全安心のための社
会技術』,東京大学出版会
『チビコト』
(Vol.2『ソトコト』10
月号別冊,木楽舎)
Environmental Health and
Preventive Medicine,vol10,No5
『論座』4 月号,朝日新聞社
『生活協同組合研究』,4 月号,生
協総合研究所
No.
分類
形態
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
著者,作成者等
発表場所
論文
医療の質保証
飯塚悦功
Biomedical
Perspective,10(2),110-117
対談
プロフェッションとして患者本位の医療
を目指す
飯塚悦功,渡辺恵
看護管理
137
論文
医療プロセスにおけるエラー防止
飯塚悦功
138
論文
医療システムのあるべき姿を求めて
飯塚悦功
139
論文
Clinical Pathway Adaptive to Patient
Condition
平岡,伊藤,飯塚
140
論文
A Model for Creating Elderly Care Plans
今井,加藤,鈴木,飯
塚
141
論文
クリニカルパスによる医療プロセス標準化へ
の道
飯塚悦功,平岡佳恵
142
論文
社会技術としての医療安全技術
飯塚悦功
143
対談
144
対談
145
口頭発表
医療システム工学
飯塚悦功
146
口頭発表
医療ミス防止に関する研究
横井
147
論文
A Model for Creating Elderly Care Plans
加藤,今井,飯塚
148
論文
149
論文
150
論文
135
136
医療安全への
システムアプ
ローチ
医療機関における ISO9001 の○用性と医療
の TQM
「医療の質」への取組みの原則
The Process Flow for Diagnosis to
Guarantee Quality of Healthcare
Clinical Pathway Adaptive to Patient
Condition
特別座談会-個人の献身と悔悟からシス
テムによる質保証・質改善へ
11(10),766-771
クリニシアン, Vol.49 no.510
p104-112
看護マネジメント編, no.150,
p54-60
Proc. 16th Asia Symposium,
p228-236
Proc. 16th Asia Symposium,
p237-244
Progress in
Medicine,23(5),p1359-1364
インターナショナルナーシングレ
ビュー,26(4),p66-72
発表年次
資料の
添付
2001
○
2001.10
○
2002.4
○
2002. 10
○
2002.11
○
2002.11
○
2003.5
○
2003.7
○
飯塚悦功,亀田俊忠
フェーズ・スリー, p20-24
2003.8
○
飯塚悦功
病院,62(7),p578-579
社会技術セミナー(公募:吉村先
生と合同)
社会技術セミナー
(公募:吉村先生と合同)
(2003/5/15)
Proc. 17th Asia Quality
Symposium
Proc. 17th Asia Quality
Symposium
Proc. 17th Asia Quality
Symposium
2003.7
○
2003.5
○
尚子
塩飽,玄蕃,飯塚
平岡,伊藤,飯塚
阿部俊子,飯塚悦功,
看護管理,Vol.13,No.10,782-789
水流聡子,佐藤エキ子
―
2003.9
―
2003.9
―
2003.9
―
2003
○
No.
分類
形態
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
医療の質マネジメントシステム~医療機
関における ISO 9001 の活用~
151
書籍
152
論文
153
書籍(分担執
筆)
154
論文
155
論文
156
論文
157
書籍(編著)
医学・医療安全の科学
158
論文
医療安全学ことはじめ
159
論文
総合討論
160
論文
161
162
163
書籍(分担執
筆)
論文
論文
パネルディスカッション「安全な医療を目
差して-質・安全の取り組みのこれまでと
これから(ディスカッション)・4
総合保健医療論これからの保健・医療・看
護,Ⅴ現在の看護とその課題,1.看護業務
とは,2)医療・看護における標準化の意義,
173-179
Development of a model for elderly care
plans based on analysis of the reality in
providing cares
Design the Clinical Decision Analysis
Model
医療安全への質マネジメントアプローチ,
働く人の安全と健康
著者,作成者等
発表場所
上原鳴夫,黒田,飯塚
悦功,棟近雅彦,小柳 日本規格協会
津正彦
新木,大道,河野,北
島,嶋森,丸木,三宅, 病院,62(10),855-859
飯塚,上原
発表年次
資料の
添付
2003
―
2003
○
2003
阿部俊子,山口徹
ヌーヴェルヒロカワ,東京
加藤,水流,高橋,飯
塚
Proc. 18th AQS
2004
○
塩飽,高橋,水流,飯
塚
Proc. 18th AQS
2004
○
飯塚悦功
2004 年 7 月号,650-653
2004
―
2004
―
2004
○
2004
○
2004
○
日本医療企画,東京
2004
―
病院経営日誌 2005,4 月
医薬ジャーナル,41(2),749-752
2005
2005
―
○
清水孝雄,永井良三,
日本医学会
飯塚悦功,上原鳴夫
医学・医療安全の科学(第 127 回
飯塚悦功
日本医学会シンポジウム記録集),
90-97
医学・医療安全の科学(第 127 回
清水孝雄,永井良三,
日本医学会シンポジウム記録集),
飯塚悦功,上原鳴夫
131-139
ナーシングトゥディ,2004 年 10
水流聡子,飯塚悦功
月号,67-69
患者状態適応型クリニカルパスとは?-
医療の質マネジメントの視点から
医療経営白書 2004 年版(第Ⅰ編,第 5 章,
飯塚悦功
3 TQM)
医療への TQM の適用
飯塚悦功
医療 ISO
飯塚悦功
―
No.
分類
形態
164
書籍(監修・
編著)
165
論文
166
書籍(編著)
167
論文
168
論文
169
論文
170
論文
171
論文
172
論文
173
論文
174
論文
175
論文
176
論文
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
患者状態適応パスシステム研究会編:医療
の質安全保証を実現する患者状態適応型
パス[事例集 2005 年版]
インタビュー-医療質安全へのシステム
工学的アプローチ
医療の質用語事典
Study of a Model for the Discharge
Coordinating Process - Development of
the "Unit for Considering Home Care"
based on the "Model for Elderly Care
Plans"
Development of Patient Condition
Adaptive Path Data Analyzer
A Method for Risk Assessment of Patient's
Falls in Hospital
Inhibition Factors in Implementing and
Promoting QMS in a Hospital
Designing a Discharge Coordinating
Process Model -Designing a Fixing a
Chronic Hospital or Nursing-Care Facility
Process
Mechanism to Assure the Healthcare
Quality and Safety Assurance in the
Process of Introducing EHR
患者状態適応型パス-「プロセス管理」と
「標準化」の組み込み~
患者状態適応型パスシステムに込めた医
療質マネジメントの思想
患者状態適応型パスによる標準臨床プロ
セスの可視化と電子化
患者状態適応型パスによる標準臨床プロ
セスの実施と医療質安全保証
著者,作成者等
発表場所
飯塚悦功・棟近雅彦・
日本規格協会,東京
水流聡子
飯塚悦功
bios,10-Ⅱ,1-2
飯田修平,飯塚悦功,
日本規格協会,東京
棟近雅彦
発表年次
資料の
添付
2005
―
2005
―
2005
―
加藤,水流,飯塚
Proc. 19th AQS
2005.9
○
岸村,水流,飯塚
Proc. 19th AQS
2005.9
○
高橋,水流,飯塚
Proc. 19th AQS
2005.9
○
塩飽,金子,水流,飯
塚,棟近
Proc. 19th AQS
2005.9
○
松本,水流,飯塚,加
藤,内田,塩飽,高橋
Proc. 19th AQS
2005.9
○
木村,水流,飯塚
Proc. 19th AQS
2005.9
○
2005
○
看護管理
2005.10
○
看護管理
2005.10
○
看護管理
2005.10
○
水流聡子,棟近雅彦,
飯塚悦功
飯塚悦功,水流聡子,
棟近雅彦
水流聡子,棟近雅彦,
飯塚悦功
棟近雅彦,水流聡子,
飯塚悦功
パス最前線
No.
分類
形態
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
クリニカルパスを基軸とした診療プロセ
ス質保証システムの確立
診療プロセス質保証システムの確立~質
保証のための標準化の意義と方法論
質安全保障を実現する患者状態適応型パ
スの開発ー臨床プロセスチャートのカル
テ検証調査ー
患者状態適応型パスデータの活用ー患者
データ構造と臨床プロセス解析に関する
研究ー
177
論文
178
論文
179
論文
180
論文
181
論文
移動先決定プロセスモデルの設計
182
論文
転倒・転落事故における患者リスク評価方
法の提案
183
論文
患者状態適応型パスシステムと医療の質
安全保障
184
論文
医療の質安全保障と医療質経営
185
論文
ツールとしての患者状態適応型パスシス
テム
186
論文
187
論文
188
論文
患者状態適応型パスを用いた地域連携の
ためのパス設計-地域連携パス作成プロ
セスの提案-
PCAPSAnalyzer:患者状態適応型パスデー
タ分析システムの構築
質・安全保障を実現する病床管理支援シス
テムの設計-入退院・転棟にもとづく患者
移動構造の分析
著者,作成者等
発表場所
発表年次
資料の
添付
飯塚悦功
日本医療情報学会
2004.11
○
飯塚悦功
日本医療情報学会
2004.11
○
水流聡子,飯塚悦功, 日本品質管理学会 第 77 回研究発
棟近雅彦
表会 研究発表要旨集
2005.5
○
岸村俊哉,水流聡子, 日本品質管理学会 第 77 回研究発
飯塚悦功,棟近雅彦
表会 研究発表要旨集
2005.5
○
2005.5
○
2005.5
○
2005.6
○
2005.6
○
2005.6
○
2005.11
○
2005.11
○
2005.11
○
日本品質管理学会 第 77 回研究発
表会 研究発表要旨集
日本品質管理学会 第 77 回研究発
表会 研究発表要旨集
医療マネジメント学会雑誌 第 7
棟近雅彦,水流聡子,
回医療マネジメント学会学術総会
飯塚悦功
抄録
医療マネジメント学会雑誌 第 7
飯塚悦功,水流聡子,
回医療マネジメント学会学術総会
棟近雅彦
抄録
医療マネジメント学会雑誌 第 7
水流聡子,棟近雅彦,
回医療マネジメント学会学術総会
飯塚悦功
抄録
赤井亮太,水流聡子,
日本品質管理学会 第 35 回年次大
飯塚悦功,棟近雅彦,
会 研究発表会 研究発表要旨集
吉井慎一
岸村俊哉,水流聡子, 日本品質管理学会 第 35 回年次大
飯塚悦功,棟近雅彦
会 研究発表会 研究発表要旨集
松本健,水流聡子,飯
塚悦功
高橋宏行,水流聡子,
飯塚悦功
新田純平,水流聡子, 日本品質管理学会 第 35 回年次大
飯塚悦功,棟近雅彦
会 研究発表会 研究発表要旨集
No.
分類
形態
189
論文
190
論文
191
論文
192
論文
193
論文
194
論文
195
論文
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
著者,作成者等
発表場所
発表年次
資料の
添付
退院の質向上を目指す退院調整業務プロ
セスの設計
急性期病院での退院調整における転院先
決定プロセスの設計-療養型病院および
福祉施設における受け入れ条件の特定-
医療安全マネジメントシステムの構築-
システムを機能させるため運用モデルの
構築-
ISO9000 を基軸とした病院の質マネージ
メントシステム実現に必要とする組織能
力の構造モデルに関する研究
A Study on the Configuration Model of
Hospital organization Ability in Actualizing
QMS Based on ISO 9000s
「構造化ケアプラン」導入による高齢者ケ
アの質改善 -ADL 関連情報データベー
ス構築
Structured Care Plans for Quality
Improvement of Elderly Care:
Development of Databases of ADL
Information
加藤省吾,水流聡子,
高橋真冬,飯塚悦功
松本健,加藤省吾,水
流聡子,高橋真冬,飯
塚悦功
日本品質管理学会 第 35 回年次大
会 研究発表会 研究発表要旨集
2005.11
○
日本品質管理学会 第 35 回年次大
会 研究発表会 研究発表要旨集
2005.11
○
久保欣也,水流聡子, 日本品質管理学会 第 35 回年次大
飯塚悦功,棟近雅彦
会 研究発表会 研究発表要旨集
2005.11
○
塩飽,金子,水流,飯
塚,棟近
ICQ’05-Tokyo
2005.9
○
塩飽,金子,水流,飯
塚,棟近
ICQ’05-Tokyo
2005.9
○
加藤,水流,高橋,飯
塚,
ICQ’05-Tokyo
2005.9
○
加藤,水流,高橋,飯
塚,
ICQ’05-Tokyo
2005.9
○
2005.11
○
2005.11
○
2005.11
○
196
論文
患者状態適応型パスシステムに込めた医
療質マネジメントの思想
197
論文
患者状態適応型パスで可視化される臨床
実践プロセス
198
論文
プロセス標準化がもたらす質安全保証と
質経営
日本クリニカルパス学会誌
2005.Vol.7 No.3 (P267)第 6 回
飯塚悦功
日本クリニカルパス学会学術集会
抄録集
日本クリニカルパス学会誌
水流聡子,棟近雅彦, 2005.Vol.7 No.3 (P268)第 6 回
飯塚悦功
日本クリニカルパス学会学術集会
抄録集
日本クリニカルパス学会誌
棟近雅彦,水流聡子, 2005.Vol.7 No.3 (P268)第 6 回
飯塚悦功
日本クリニカルパス学会学術集会
抄録集
No.
分類
形態
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
著者,作成者等
発表場所
発表年次
資料の
添付
2005.11
○
2005.11
○
2005.11
○
論文
医療の質安全保証と医療質経営を実現す
る患者状態適応型パスシステム
200
論文
諸外国の看護情報学協会ならびにワーク
グループが Web 上で発信する情報資源
201
論文
長期療養型病床群における看護過程支援
システムに搭載した看護実践用語標準マ
スター(看護行為編)の使用状況の検討
202
論文
患者状態適応型パスによる医療安全と質
保証―標準化と臨床プロセス管理による
持続成長可能な医療の質改善システム―
水流聡子,棟近雅彦,
第 25 回医療情報学連合大会
飯塚悦功
2005.11
○
高度専門看護実践のアルゴリズムの可視
化
水流聡子,中西睦子,
川村佐和子,石垣恭
子,宇都由美子,井上
第 25 回医療情報学連合大会
真奈美,村上睦子,坂
本すが,佐藤エキ子,
飯塚悦功,棟近雅彦
2005.11
○
第 25 回医療情報学連合大会
2005.11
○
2005.11
○
2005.9
○
199
203
論文
204
論文
205
論文
206
論文
高度専門看護実践のアルゴリズムの可視
化
医療社会システム工学における医療の質
と医療情報システムの質に関する教育
Study of A Model for the Discharge
Coordinating Process -- Development of
the “Unit for Considering Home Care”
based on the “Model for Elderly Care
Plans” --
飯塚悦功
第 25 回医療情報学連合大会
山内一史,太田勝正,
猫田泰敏,水流聡子,
第 25 回医療情報学連合大会
真嶋由貴,前田樹海,
浅沼優子
高見美樹,石垣恭子,
福間美紀,岡崎美智
子,臼井麻里子,佐原
第 25 回医療情報学連合大会
淑子,石橋信江,水流
聡子,原由行,佐々木
滋人
水流聡子,石垣恭子
水流聡子,棟近雅彦,
第 25 回医療情報学連合大会
飯塚悦功
Shogo KATO,
Satoko TSURU,
The 3rd ANQ Congress / The 19th
Yoshinori IIZUKA,
Asia Quality Symposium
Kenichi UCHIDA,
Tetsuo SHIWAKU,
Mafuyu TAKAHASHI
No.
分類
形態
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
207
論文
Development of Patient Condition
Adaptive Path Data Analyzer
208
論文
A Method for Risk Assessment of Patient's
Falls in Hospital
209
論文
Inhibition factors in implementing and
promoting QMS in a hospital
210
論文
Designing a discharge coordinating
process model -Designing a fixing a
chronic hospital or nursing-care facility
process -
211
論文
212
論文
213
214
215
ミッション・プ
ログラムⅠに
おける知識の
体系化
Process design for efficient nursing cares
by use of the arrow diagram to increase
the part of substantial nursing time
Mechanism to Assure the Healthcare
Quality and Safety Assurance in the
Process of Introducing EHR
ウェブサイト
ミッション・プログラムⅠウェブサイト
パンフレット
ミッション・プログラムⅠ事例集
パンフレット
Research Institute of Science and
Technology for Society division of safety
and security Mission-Oriented Research
ProgramⅠ
著者,作成者等
Toshiya Kishimura,
Satoko Tsuru,
Yoshinori Iizuka,
Masahiko Munechika
Hiroyuki
TAKAHASHI , Satoko
TSURU , Yoshinori
IIZUKA
Tetsuo SHIWAKU,
Masaaki KANEKO,
Satoko TSURU,
Yoshinori IIZUKA,
Masahiko
MUNECHIKA
Takeshi
MATSUMOTO,
Satoko TSURU,
Yoshinori IIZUKA,
Shogo KATO,
Kenichi UCHIDA,
Tetsuo Shiwaku,
Mafuyu Takahashi
Hideo Dannoue,
Mafuyu Takahashi,
Kinuko Arai
Yoshihiro KIMURA,
Satoko TSURU,
Yoshinori Iizuka
総括研究グループ
(編)
総括研究グループ
(編)
総括研究グループ
(編)
発表場所
発表年次
資料の
添付
The 3rd ANQ Congress / The 19th
Asia Quality Symposium
2005.9
○
The 3rd ANQ Congress / The 19th
Asia Quality Symposium
2005.9
○
The 3rd ANQ Congress / The 19th
Asia Quality Symposium
2005.9
○
The 3rd ANQ Congress / The 19th
Asia Quality Symposium
2005.9
○
The 3rd ANQ Congress / The 19th
Asia Quality Symposium
2005.9
○
The 3rd ANQ Congress / The 19th
Asia Quality Symposium
2005.9
○
http://www.ohriki.t.u-tokyo.ac.jp/STech/
2003.3
―
社会技術研究シンポジウム他
2005.7
○
OECD Global Science Forum
(Tokyo)他
2005.12
○
No.
216
分類
形態
論文発表
217
コーディネーター
218
コーディネーター
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
ミッション・プログラム I :安全性に係る
知識体系の構築と社会技術の設計手法の
開発(中間報告)
ミッション・プログラムⅠグループ横断型
研究ミニシンポジウム
ミッション・プログラムⅠシンポジウム-
安全安心のための社会技術:社会への実装
-
発表年次
資料の
添付
堀井秀之,西田豊明,
中尾政之,岡本浩一,
城山英明,古田一雄,
社会技術研究論文集 vol.2
田辺文也,松田光司,
清野純史,加藤浩徳,
永井良三
2004.10
○
堀井秀之
東京大学工学部 15 号教室
2005.3
―
堀井秀之
東京大学武田先端知ビル
ール
2005.9
―
著者,作成者等
発表場所
武田ホ
会話型知識プロセス研究グループ
研究開発成果・自己評価報告書
【 目 次 】
1. 研究開発の目標
1-1 情報収集支援技術の研究開発
1-2 情報提示支援技術の研究開発
1-3 コミュニケーションツール評価手法の研究開発
1-4 会話型知識プロセスの実践と社会調査
2. 目標達成のための体制
3. 研究開発の成果とそのクオリティ(実装の状況・可能性を含む)
3-1 「情報収集支援技術の研究開発」に関する成果
1) 情報ナビゲータの研究開発
2) 重要語自動抽出ツールの応用
3) インターネットからの社会的関心分析支援ツールの研究開発
3-2 「情報提示支援技術の研究開発」に関する成果
1) 会話エージェントを用いた情報プレゼンテーションシステムの研究開発
2) 自然言語処理技術を用いたメディア変換手法の研究開発
3) 映像データの会話型提示システム
4) 政策論議支援システムの適用
5) 社会問題理解のための統合型コミュニケーション支援システムの研究開発
3-3 「コミュニケーションツール評価手法の研究開発」に関する成果
1) SIQ-Personal
2) SIQ-Collective
3-4 「会話型知識プロセスの実践と社会調査」に関する成果
1) 地震防災コンテンツの構築(地震防災グループとの共同研究)
2) 会話型知識プロセスのニーズの社会調査
3) SPOC の社会的実装に向けた実証実験
4. 目的達成状況
5. 研究成果の公表
5-1 社会技術に関連する卒業/修士/博士論文
5-2 社会技術に関連するゼミ/講義等
5-3 一般へのセミナー/講演等
69
5-4 実績一覧(リスト)
70
1. 研究開発の目標
会話型知識プロセスグループの研究目的は、人間にとって最も自然なコミュニケーショ
ン様式である会話を中心としたインフォーマルでインタラクティブなコミュニケーション
様式に焦点をあてて、コミュニティの活動を引っ張る個人やグループの活動を支援する新
しいコミュニケーションツールの研究開発、評価、社会への実装を行うことである。この
目的のもとで、以下に示す4点(1-1~1-4)の目標をたてた。
1-1 情報収集支援技術の研究開発
コミュニティの活動を引っ張る個人やグループの情報収集活動を支援するために、イン
ターネットから知的に情報を収集したり、インターネット上に現れている人々の関心の動
向を把握して、新たな知見を得るための情報収集支援ツールを研究開発する。
1-2 情報提示支援技術の研究開発
コミュニティの活動を引っ張る個人やグループの創出した情報や知識をインターネット
上で効果的にプレゼンテーションする過程を支援するために、会話エージェント(コンピ
ュータ端末画面上に表示され、ユーザにインタラクティブな情報提示を行うアニメーショ
ンキャラクタ)を用いた情報プレゼンテーションシステムや、政策論議支援システムを研
究開発する。
1-3 コミュニケーションツール評価手法の研究開発
コミュニケーションツールが個人や社会のなかでどのように機能するかを測定し、評価
するための手法を研究開発する。
1-4 会話型知識プロセスの実践と社会調査
会話型知識プロセスを実際に社会問題解決に適用するとともに、社会調査を行って社会
のなかのどのような(潜在的)需要に応え、組み込まれるかを明らかにする。
2. 目標達成のための体制
上に掲げた目標を達成するためには、情報通信技術(特に、ヒューマンインタフェース、
言語・映像メディア処理、ネットワーク技術)
、社会心理学、社会科学、経営工学の専門家
と、広い視野にまたがる研究を先導し、成果を集約する必要がある。そのため、次のよう
な体制を構築した。
氏名
現在の所属・職位
専門分野
分担
西田 豊明
京都大学・教授
人工知能
グループリーダー
中野 有紀子
常勤研究員/
認知心理学
グループサブリーダー†)
71
氏名
現在の所属・職位
専門分野
分担
東京農工大・助教授
映像コミュニケ
ーション
知的コミュニケ
ーション
(全般)システム構築††)
村山 敏泰
常勤研究員
福原 知宏
常勤研究員
松村 憲一
常勤研究員
東京大学・情報基盤セン
ター・教授
社会心理学
1-3(評価手法)††††)
自然言語処理
1-1(情報収集支援)
京都大学・教授
画像処理
1-2(情報提示支援)
黒橋 禎夫
東京大学・助教授
社会心理学
1-2(情報提示支援)
堀田 昌英
東京大学大学院工学系
研究科・助教授
社会基盤工学
1-2(情報提示支援)
経営工学
1-3(実践と調査)
仮想会話環境
1-2(情報提示支援)†††††)
中川 裕志
中村
裕一
渡辺 光一
星野 准一
†)
関東学院大学経済学部
経営学科 助教授
筑波大学・機能工学系・
講師
1-1(情報収集支援)†††)
2002 年9月~2005 年9月、††) 2002 年4月~、†††) 2003 年4月~††††) 2003 年4月~、†††††) 2003 年 7 月~
3. 研究開発の成果とそのクオリティ(実装の状況・可能性を含む)
会話を中心としたインフォーマルでインタラクティブなコミュニケーション様式に焦点
をあてて、コミュニティの活動を引っ張る個人やグループの活動を支援するツール群(会
話型知識プロセスパッケージ)とその評価手法を研究開発した [1-24]。
会話型知識プロセス強化パッケージ(CKPEP、図1)は,個人や小グループがネットワー
クから情報を収集・蓄積して、新たな知見を加えて、会話を中心としたわかりやすいメデ
ィアで情報発信するプロセスを支援するものである。本研究では、情報収集・提示のため
知識の会話的な提示
さまざまな文書群
コミュニティのアクティブな人々
会話型知識プロセス促進パッケージ
情報収集 情報編集
情報集積
情報提示
情報発見
図 1 会話型知識プロセス促進パッケージ
72
のツール群を研究開発し、実用化した。
コミュニケーションツールの評価方法としては、「人々が社会的枠組み (例えばコミュニ
ティ) の中で共同して保持している知識」を社会知 (Social Intelligence) として定義し、ネ
ットワーク・コミュニケーション・ツールの総合的な評価の枠組みとして SIQ (Social
Intelligence Quantity)を提案し、評価実験により一部実証した。
会話型知識プロセスを社会に実装するために、地震防災グループと協力して、コンテン
ツ制作を行うとともに、社会調査を行って会話型知識プロセスの社会における需要を調査
するとともに、Web サイトに組み込んで実証実験を行った。
以下では紙幅が限られているため概要だけとした。各部についての詳細な報告について
は、
http://www.ii.ist.i.kyoto-u.ac.jp/~nishida/kaiwa-fin.doc
をご覧いただきたい。
3-1 「情報収集支援技術の研究開発」に関する成果
1) 情報ナビゲータの研究開発[25-30]
◇ 芋づる式情報ナビゲータ「いもなび」の研究開発と一般公開
(成果の概要)
主要な新聞社 5 社が Web 上で公開している新聞記事を収集し、それら記事群を検索対象
とする検索エンジンを構築した。ユーザが検索語としてトピックを入力すると、そのトピ
ックに関する類似記事群一覧が、各記事間の差異を表す単語群とともにユーザに提示され
る。Web アプリケーションとしてシステムを構築し、芋づる式に情報を取得することが可
能なシステム「いもなび」を一般公開することができた。我々が開発した芋づる式情報ナ
ビゲータ「いもなび」が、ユーザにどのように使われ、どのような情報をユーザに提供し
ているのか、評価実験を行った。再検索のための単語をユーザが選択する場合とランダム
に選択する場合とを比較したところ、ユーザは元の話題から早く離れていくように単語を
選択する傾向にあること、その結果元の話題と関連性の低い記事が提示されても興味深く
感じることがわかった。ベクトル空間モデルに基づく記事ベクトルの類似度と、ユーザが
判定する記事間の関連性、および各記事の興味深さの、それぞれとの関係が明らかになっ
た。
(成果のクオリティ)
本システムを Web アプリケーションとして構築し公開したこと1により、一般の人々が主
要な新聞社に取り上げられる問題を多面的に捉えるための実用的な手段が提供された点が
顕著である。本システムを利用したユーザが、満足する結果を得られていることを確認し
た。
1
http://kiwi.r.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/
73
2) 重要語自動抽出ツールの応用[31]
(成果の概要)
このシステムは Web ページあるいはコーパスの各文を形態素解析し、名詞の連続を取り
出す。次に、ある名詞に対して、その前後に何種類の名詞が、あるいは何回の名詞が、連
接して複合名詞を形成するかを、その名詞の重要度とする方法で重要な専門用語を抽出す
る方法を考案した。複合名詞の重要度は、その要素名詞の重要度の相乗平均などを用いる。
以上により、複合名詞、単名詞の重要度を同等に順位つけできる。
本研究においては、言選 Web を種々の研究の基本的ツールとしての応用を検討し、その
効果を明らかにした。言選 Web は Web サービスとして提供されているが、そのエンジン部
分は termex という Perl モジュールであり、容易にダウンロードしてインプリメントでき
る。
(成果のクオリティ)
このシステムを用いることによって、多様なテキストから質の良い用語を効率よく抽出
することが可能になり、システム全体の性能向上に寄与した。この研究においては、1) 渡
辺光一氏の「経営理念と会話」の研究における用語抽出システムとしての利用、2) 福原知
宏氏の「社会の出来事に関する感情的側面に注目した時系列関心分析」の研究において新
聞記事 1 年分からの事件関連用語の抽出、に応用され、質の良い用語を取り出すことに成
功した。言選 Web のホームページ2には月間約 3000 件のアクセスがあり,1000 件以上の
ソフトダウンロードが行われている。
3) インターネットからの社会的関心分析支援ツールの研究開発[32-37]
◇ Weblog 記事を用いた社会的関心解析システム:KANSHIN の開発と社会的関心の分析
に関する研究
(成果の概要)
インターネット上の人々の関心を把握する目的でウェブログ記事を用いた社会的関心解
析システム KANSHIN を開発し、日々変化する人々のインターネット上での情報活動を時
系列に可視化し、即時性の高い社会問題と人々の情報活動との関連を分析し、さらに市民
の感情がどう変化したかを分析できようにした。1 年間の試験運用を行った結果、(1) ブロ
ガーの関心には 5 つのパタンが見られること、(2) 気温や天候といった実世界データと記事
数の間には相関関係があること、(3) ブロガーは各々の関心に応じていくつかのグループに
分類されることなどを見出した。
(成果のクオリティ)
本研究によってインターネット上に公開されている Weblog 記事を大規模に収集し解析
することで、インターネット上にみられる社会的関心をリアルタイムに把握できるように
なった。これにより、従来は人手により行われていた分析作業も、本手法により客観的な
2
http://gensen.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/
74
観点から重大な出来事を確認でき、かつ、それぞれの出来事における人々の感情の動きを
確認できるようになった。Weblog 記事解析ツールとしては最先端のものである。
3-2 「情報提示支援技術の研究開発」に関する成果
1) 会話エージェントを用いた情報プレゼンテーションシステムの研究開発[38-76]
◇ 情報プレゼンテーション自動生成機能をもつ会話エージェントシステムの研究開発
(成果の概要)
専門家と市民とのコミュニケーションを活性化し、安全性に係わる社会問題に関する共
通 認 識 を 醸 成 す る た め の 情 報 提 供 シ ス テ ム と し て 、 SPOC (Stream-oriented Public
Opinion Channel) を開発した。SPOC は、映像、音声、キャラクターアニメーションを同
期させた放送型メディアを WEB ブラウザ上で簡単に作成し、インタラクティブに視聴でき
る番組作成支援ソフトである。本システムでは、映像や画像ファイルの指定とそれへの説
明文の入力だけで、説明者キャラクターを登場させたテレビ番組風のメディアが自動生成
される。番組配信中に利用者からの質問を受け付け、回答することもできる。
ユーザの入力を極力簡素化する工夫を施し、ウェブアプリケーション技術を利用する
ことにより、ユーザ側のコンピュータに特別なソフトウェアのインストールを必要とする
ことなく、音声、映像・画像、アニメーションを統合した高度な映像コンテンツを簡単に
作成する環境を実現した。
(成果のクオリティ)
テレビ番組のような視覚効果が高く、視聴者の注意や興味を持続させうるコンテンツは
作成コストが高く、誰もが活用できるメディアではなかった。SPOC はインターネット上
での簡便な作業から、テレビ風の視聴コンテンツを作成・公開することができるメディア
技術である。これまで一部のコンテンツ作成コストを払える者だけが活用可能であったメ
ディアを幅広い人々で社会問題や安全に対する考え方、知識の共有促進チャンネルとして
活用可能になった。特許出願とプレス発表を行った。
◇ 没入型会話環境の研究開発
(成果の概要)
SPOC を発展させた没入型会話環境 IPOC では、ユーザとエージェントを囲む円筒形の
局面の表面に遠景を張り込んだパノラマ映像環境を生成し、そのなかにユーザとエージェ
ントの双方を組み込むことにより、没入型会話環境を実現している。背景写真の中にスト
ーリーを埋め込むことにより、現場についての視覚情報を利用者と共有しながら、エージ
ェントから利用者に会話的に情報提供が行われる。
(成果のクオリティ)
SPOC と同様のコンテンツ作成支援機能に加え、音声認識、視線認識の機能を付加した
より高度なインタラクション機能が実装された。これにより、利用者の当事者感を高め、
効果的な体験の伝達を行う環境が実現した。本技術は高品質のコンテンツ制作を極めて容
75
易にした点で極めて独創性が高い。
◇ 没入環境における移動型会話環境の研究開発
(成果の概要)
(1) パノラマ画像を利用した没入環境の構築
本システムでは、パノラマ画像上に簡易に歩行領域や指示物体をアノテーションするこ
とで、仮想人物がパノラマ環境中を移動や指示動作を行いながら事故や災害時の状況を説
明できる。また、利用者からの働きかけに対して、仮想人物が身体動作を利用して答える
だけでなく、利用者の視野が適切に移動することで、仮想環境中への引き込みを強化する。
更に、会話内容やユーザの視線方向と連動して、適切に歩行を制御する機能を実現した。
(2) 3Dモデルを利用した移動型会話環境
本研究では動作を生成するために、1) 自由度の高い指差し動作、 2 )利用者の視線を考
慮した能動的動作の生成の生成法を実現した。また、提案手法を実装したインタラクティ
ブシステムを用いて、多様な位置関係や利用者の視線を考慮した説明を生成できたことを
示した。
視線角度を頭部と眼球の回転角の和とし、視線方向によって頭部と眼球の回転の割合を
動的に変更する動的分担機構を考え、頭部と眼球の複合的な動作を生成する。また、頭部
と眼球の動作を生成する 2 つのモジュール間で同一の会話状態を共有することにより、会
話に連動した頭部・眼球動作を生成する。最後に、提案した手法を用いて会話に連動した
仮想俳優のアニメーションを示した。
(3) ゲームによる体験的な知識の獲得
RPGゲームのようにタスクをクリヤしていくことで体験的な知識を得られるシステム
について検討を進めた。本研究によって、仮想環境中でCGキャラクタとユーザが移動し
ながら会話をすることで知識の獲得が可能となる、没入型会話環境のコンセプトと実装例
を示すことができた。
(成果のクオリティ)
パノラマ画像と3D災害モデルを利用した没入型会話環境については、CGキャラクタ
も含めて独立したソフトウェアであるため、特別なライブラリ等を必要とせずに通常のP
C環境があれば動かすことができ実用性が高い。また、CGソフトウェアに関する知識が
必要であるが、コンテンツ制作者が独自のコンテンツを制作することに活用することがで
きる点が独創的である。
◇ エージェントアニメーション動作決定・生成機構の研究開発
(成果の概要)
発話中の重要な部分をジェスチャーや表情により強調したエージェントアニメーション
を自動的に生成する機構、CAST を開発した。CAST はテキストを入力とし、文節間の依存
関係や語彙情報等の言語情報を用いて、各文節に対し表情やジェスチャーのエージェント
動作を自動的に決定する。さらに、アニメーションと音声を同期させるためのタイムスケ
76
ジュールの計算とその実行機能も有する。
(成果のクオリティ)
従来、会話エージェントの動作はコンテンツ制作者が手作業で感覚的に決めていたもの
であるが、 本システムにより、テキストを入力するだけで自動的にルールに基づいたエー
ジェントアニメーションが生成できるようになった。既に複数の音声合成装置、アニメー
ショーンシステムに対応しており、SPOC、IPOC の両システムにおけるエージェントエン
ジンとして利用されている点で有用性が高い。
2) 自然言語処理技術を用いたメディア変換手法の研究開発[77-86]
◇ テキストからの自動要約スライド生成手法の研究開発
(成果の概要)
構造的自然言語処理技術の導入により、テキストから、その内容を要約したスライドを
自動的に生成する手法を開発した。まず、テキスト各文の形態素解析、構文解析、主題解
析を行い、さらにテキスト全体の談話構造解析を行う。これらの解析によって得られた情
報に基づいて、適切な見出しを抽出し、対比、詳細化などの談話関係に応じたインデント
付与を行うことによりスライドを生成する。
(成果のクオリティ)
会話型知識プロセスにおいて、情報を適切な形でユーザに提示することは最も重要な技
術である。この手法によって、論文、報告書などの形で整理・集約された知識を、会話の
場に、わかりやすい形で提示することできるようになった。非常に高品質なコンテンツが
必要な場合においても、本手法をコンテンツ構築の支援システムとして利用することがで
きるという点で独創性が高い。
◇ 自然言語ドキュメントの自動プレゼンテーション・システムの研究開発
(成果の概要)
与えられたテキストに対して、話し言葉調に変換して音声合成を行い、同時に、そのテ
キストを要約して生成したスライド化して提示する、自動プレゼンテーション・システム
を構築した。これは、web からの書き言葉語彙・話し言葉語彙の自動学習、構造的パラフ
レーズ、頑健な談話構造解析など、高度な構造的自然言語処理技術の統合的成果である。
さらに、これをテキスト検索エンジンと組合せることにより、地震教訓集の情報を会話の
場に動的に導入するシステムを完成させた。
(成果のクオリティ)
会話型知識プロセスにおいて、情報を適切な形でユーザに提示することは最も重要な技
術である。構築したプレゼンテーション・システムは、web などの大量のテキストから自
動獲得した知識・規則によって動作するものであり、非常に頑健である。また、システム
は web ブラウザをインタフェースとするためポータビリティも高い。この手法により、静
的なテキストと会話のダイナミクスとの間のギャップを埋めることが可能となった。
77
3) 映像データの会話型提示システム[87-90]
(成果の概要)
QUEVICO システムは質問文が与えられたときに、その答となりうる映像断片を検索し、
答の選択とともに、それを提示するために使うべきモダリティ(画像の場合は視点を含む)
を選択する。そのために、(1) 「質問と答」の観点から映像やそれに付随したデータのイン
デキシングと編集を行う機能、(2) 多視点から撮影された映像をデータをとしてもち、モダ
リティを適切に選びながら、質問の答となるデータを提示する機能、等について検討し、
実装を行った。
(成果のクオリティ)
ここで用いているタグセットは、作業のように目的のはっきりとした分野で多くの質問
文を集めてその答を類型化したものであり、一般性の高いものである。これにより映像に
よる質問応答システム開発の技術的基礎を構築した。
4) 政策論議支援システムの適用[91-94]
堀田らによって開発された政策論議システム CRANES を実際の社会問題に適用した。
CRANES は対話形式による政策論議を構造化し、不確実性やコンフリクトを含む様々な論
点を視覚的に表示するシステムである。
◇「注目すべき議論」の自動抽出機能の研究開発
(成果の概要)
CRANES は断片化した情報源を文脈に沿って再構築し、あたかも政策論議が行われたの
ように見せることのできるシステムである。再構築された議論はツリー上に表示され、議
論間の関連性が視覚的に表示される。しかし従来の議論ツリーには情報量が増え規模が大
きくなると焦点があいまいになり、情報オーバーロードが生じるという問題があった。そ
こで本研究事業では、大規模な議論ツリーから特に注目すべき議論を抽出するためのアル
ゴリズムを開発した。これによって議論ツリーを論点抽出のためのツールとして活用する
ことが可能になった。
さらにアルゴリズム改良を試み、計算時間を大幅に短縮することに成功した。当初は議
論の注目度を求めるのに用いる指標計算を、理論値を漸化的に求めることによって行って
いたが、マルコフ・チェーン・モンテカルロ法を用いることによって計算時間を 1200 分の
1 程度に縮減することができた(ノード 10000 個の場合)。当成果は社会技術の目的のひと
つである、問題の全体像を把握する手法論の確立に資するものである。
(成果のクオリティ)
本研究成果は CRANES のアプリケーションシステムとして実装され、
「注目すべき議論」
の自動抽出機能も実際の政策論議の場において活用された。平成 15 年度に本システムは国
際協力事業団(現・国際協力機構)環境社会配慮ガイドライン改定委員会において導入さ
れた。当委員会は政府開発援助の実施にあたり社会環境への配慮をどのように行っていく
べきかに関する基本的指針を策定したものである。当委員会では積極的な情報公開を行う
78
ために議事内容を全て Web 上に公開することが決定され、議事公開のシステムとして
CRANES が採用された。
システム上では最も議論が集中している箇所を議事録から抽出し、
表示を行うことによって議論の趨勢を把握することが可能となった。この事例は研究成果
の社会的受容性と技術的実現可能性を示すものである。
◇ 「認識の齟齬」を含む公共コミュニケーションの仲介・仲裁支援機能の研究開発
(成果の概要)
本研究においては会話情報として得られる主体間のやりとりを CRANES に準じた手法
を用いて分析することによって、事態が行き詰まるきっかけとなっている認識の齟齬を見
つけ出す手法を提案した。
(成果のクォリティ)
本手法は実際の途上国開発事業を巡るコンフリクトの事後分析に適用された。本研究で
取り上げた事例はアジア開発銀行が出資したラオス国におけるトゥンヒンブン水力発電プ
ロジェクトである。事例分析では、議論ツリーと意思決定マトリックスを用いて争点の全
体像を明らかにすることができた。さらに、認識表とハイパーゲーム理論を用いて当事者
の選好と戦略を分析することで、各プレーヤーの協力行動を阻む「認識の齟齬」を発見し
た。本事例研究により、構築された手法が実際の交渉支援に適用可能であることが示され
た。
5) 社会問題理解のための統合型コミュニケーション支援システムの研究開発 [95-103]
(成果の概要)
社会問題理解のための統合型コミュニケーション支援システム:IC-portal を開発した。
本システムは、(1) 社会問題の全体像を分かりやすく提示するシステム:SPOC、(2) 社会
問題に関する現在の社会的関心を可視化する KANSHIN、(3) 問題についての人々の議論を
支援する CRANES を仮想的に統合し利用者に提示する。
(成果のクオリティ)
本システムの開発により、利用者は SPOC で社会問題についての番組を視聴し、また
KANSHIN を用いて問題についての社会の関心を知り、CRANES を用いて他の利用者と議
論を行うという作業が可能になった。本システムは XOOPS と呼ばれるオープンソースの
ソフトウェア上にモジュールとして構築されており、容易に移植が可能である。実際、下
記の評価実験を行なった際には、共同研究者に本システムのモジュールを提供し容易にシ
ステムを移植できた。また、大学講義ならびに学会研究会にて本システムの試験運用を行
い、システムの有効性を確認した。
3-3 「コミュニケーションツール評価手法の研究開発」に関する成果 [104-110]
社会知 (Social Intelligence) を「人々が社会的枠組み (例えばコミュニティ) の中で共同
して保持している知識」と定義し、ネットワーク・コミュニケーション・ツールの総合的
な評価の枠組みとして SIQ (Social Intelligence Quantity)を提案している。 SIQ(Social
79
Intelligence Quantity)によるコミュニケーションツールの評価は、個別に扱われる傾向に
あった定性的評価と定量的評価を総合的に行おうとする試みである。SIQ では、測定対象
に個人とコミュニティ(もしくは、社会、集団) の双方が含まれ、前者を SIQ-Personal、後
者を SIQ-Collective とよぶ。SIQ はこの二つの下位コンポーネントにより測定される。SIQ
では、SI を「個人の能力」だけではなく、個人が属するコミュニティ (もしくは、社会、
集団) の状態も含めた総合的枠組みとして捉えている。SIQ-Personal と SIQ-Collective の
詳細は次の通りである。
1) SIQ-Personal
(成果の概要)
SIQ-Personal は、コミュニティメンバーが行う主観的評価により構成される。測定され
る要因は、情報欲求尺度による欲求充足度とコミュニティへの参加意図形成に影響を与え
るツール評価とコミュニティ評価である。情報欲求尺度は、20 項目からなる質問項目群で
ある。コミュニティ参加者による情報欲求尺度への回答により、コミュニケーションツー
ルの評価を行うものである。これらの欲求の変動により、コミュニケーションツールを利
用することにより、コミュニティメンバーのどのような欲求を満足させているかを測定す
ることが可能になった。
「ツールの有益性」および「ツールに対する興味」は、コミュニテ
ィにおいて、他者がどのような意見を持っているかがわかりやすく(他者意見の透明性)、
自分がコミュニティに何らかの貢献をしており(貢献度)
、コミュニティにおいて他者がど
のような振る舞いをしているかどうかの理解しやすさ(他者の活動の理解)といった 3 つ
の要因により影響を受けていることが明らかになった。
コミュニケーションツールの評価にあたり、これらの各要因についてアンケートを使っ
て測定することにより、コミュニティの活動を十分に支援しうる環境の提供が実現されて
いるかを測定することができる。
2) SIQ-Collective
コミュニケーションツールの目的のひとつとして、ツールの利用によるコミュニケーシ
ョンの活性化があげられる。パフォーマンス機能として、
「話題の拡散性・多様性/収束性・
単一性」、メンテナンス機能として、「コミュニティ調整機能的発話」および「議論促進的
発話」を測定するための指標の構築が必要である。コミュニティのパフォーマンス機能お
よびメンテナンス機能については、社会問題に対する認知と人々の関心に関する実験を通
じて指標化を行う予定である。
(成果のクオリティ)
原子力安全Iグループにて開発された ORCAT の評価実験(現在,結果の取りまとめ中)
において、SIQ-Personal の指標が使われた。本研究により、コミュニケーションツールの
評価のための理論的・実践的な基礎が構築された。
80
3-4 「会話型知識プロセスの実践と社会調査」に関する成果
1) 地震防災コンテンツの構築(地震防災グループとの共同研究)
(成果の概要)
会話型知識プロセス研究グループの有する情報技術を統合することにより、大量のテキ
ストや画像のデータベースから、地震防災に関する会話コンテンツを自動生成するシステ
ムを開発した。本システムの開発により、コンテンツ制作を全自動化する可能性を示すこ
とに成功した。また、パノラマ画像上のエージェント歩行領域の計算方法や、震災の 3 次
元仮想空間モデルを開発することにより、地震防災の知識伝達に特化した没入型会話環境
の構築の指針が得られた。
(成果のクオリティ)
本システムはまだプロトタイプの段階であるが、地震防災コンテンツの自動生成の可能
性を示唆する成果であり社会への実装のための一つのステップを進めたものである。地震
防災の専門家からは、資料を読むよりもこのような会話コンテンツを見るほうが退屈する
ことなく防災について学習でき、IPOC、SPOC を使った情報提供は一般市民には大変有効
であると期待されるというコメントが得られた。
2) 会話型知識プロセスのニーズの社会調査 [111-133]
◇ 会話型知識プロセスの技術シーズを踏まえた情報ニーズについての実証的研究
(成果の概要)
本研究は、会話型知識プロセスに関する広範なニーズとシーズを網羅した実証分析を行
う必要があるという問題意識から行なわれた。そのため、インターネットユーザの情報・
知識ニーズと利用シーズの傾向を把握するとともに、会話型知識プロセスを指向する層の
特徴を調べた。分析結果は、会話型知識プロセス技術の狙いに対応するニーズ構造を裏付
けるものとなり、我々の基本的なニーズ仮説が有機的に絡みあっていることを示した。会
話型知識プロセス技術の中でも比較的先進的といえる分野についても、普及率が現状まだ
低いにも係わらず、潜在的なニーズ構造を抽出することができた。また、実証実験を行な
う際には、「業務的会話指向者」を主ターゲットとしつつも、「業務的会話指向者」と「生
活・趣味的会話指向者」というユーザ層のニーズ構造の違いに留意しつつ進めるべきこと
を示した。
(成果のクオリティ)
実証実験は「業務的会話指向者」を主ターゲットとしつつも、「会話型知識プロセス指向
者」における「業務的会話指向者」と「生活・趣味的会話指向者」の違いに留意しつつ進
めるべきとの知見が得られた。
◇ 経営理念に関する会話型知識プロセスの社会実験
81
(成果の概要)
会話型知識プロセスの支援の実証実験として、WEB サイトに蓄積された知識をもとに
SPOC コンテンツの作成を行ない、社会に公開した。内容は、①業界動向、②業界内でユ
ニークな各企業の業績・企業環境を踏まえた理念の特徴分析とキーワード、③業界の企業
理念の傾向、④社会全体の動向も踏まえた分析の 4 点である。それに関して、電子コミュ
ニティ上で SPOC の機能に関して一般ユーザの意見を求め、またアンケートを実施した。
SPOC の使用感について電子掲示板での自由回答を求めたところ、音声合成の品質以外に
ついては、概して肯定的な見方が多かった。研究者が想定していなかったような意外な観
点を含む意見や、新しい機能の提案を含むものが多かった。
(成果のクオリティ)
WEB サイトは、研究者や実務家から高い注目を得るとともに、そこでの活発な記述や発
言を誘引する効果が認められ、「先端情報技術を媒介とした人間間の会話の促進」が経営理
念を醸成する可能性が示された。
◇ 関心空間コンテンツからみたメタデータのニーズ分析
(成果の概要)
POC/SPOC や Semantic Web による会話型知識プロセスへの示唆を得ることを目的に、
このサイトの実コンテンツを分析した。リンクに以上詳細な内実を持たせないという方法、
リンクをリソース間の論理的な意味関係に限定する方法、タイトルに入るべき事物概念の
表記のゆれの解決のために処理系において簡単な自然言語処理を利用するという3つの方
法を検討した。
(成果のクオリティ)
会話型知識プロセス研究において、実データを分析するための方法論、特にコンテンツ
の論理的関係を体系的に制御するための方法論を、実データを用いて具体的に提示した。
3) SPOC の社会的実装に向けた実証実験 [134-139]
(成果の概要)
SPOC の社会的実装に向けて、組織の不正通報を題材にして、情報の提示方法の違いが
視聴者の認知に影響を与えることを明らかにした。当事者が一人称で情報提示する場合,
提示される情報間に差は見られないが,キャスターが第 3 人称により情報提示する場合に
は,提示される情報間の差が見られることが明らかになった。
(成果のクオリティ)
SPOC の開発により、容易に映像を用いたコンテンツを作成し、情報伝達を支援するこ
とが可能になった。SPOC と情報提示ガイドラインをパッケージとして提供することによ
り、SPOC の社会的実装と有効活用が促進されると期待される。
82
4. 目的達成状況
本研究開始時に立てていた研究目標は、モデル化、会話型コミュニケーション基盤の研
究開発、評価手法の開発、会話型知識プロセス関連技術の研究という4つの柱を中心とす
るものであった。
中間評価時点で、モデル化
50%、会話型コミュニケーション基盤の研究開発 50 %、評
価手法の開発 50%、会話型知識プロセス関連技術 50%程度と自己評価していたが、研究途
上で社会への実装を重視するよう指摘があったので、実用化に重点をおいて研究を進める
こととした。
その結果、最終評価時点で、モデル化
70%、会話型コミュニケーション基盤の研究開発・
会話型知識プロセス関連技術 120 %、評価手法の開発 75%、程度研究が進んだと自己評価
している。会話型コミュニケーション基盤の研究開発と会話型知識プロセス関連技術につ
いては、各技術の実用化が当初の目標を超えたレベルまで進んだ。特に、情報ナビゲータ
の研究開発と実用化・普及が計画以上に進んだこと、政策論議支援システムの実証実験が
行われた点を重視したい。情報提示支援技術については、独創性の極めて高い技術が実用
化まではほぼ計画通り進められ、普及の手前まで来た点が大きな成果であったと自負して
いる。モデル化については、社会技術研究論文という形で検討を進めてきたが、社会問題
の広さと深さゆえにまだ道半ばである。評価手法については、社会知評価尺度として個人
に適用される SIQ-Personal と集団に適用される SIQ-Collective からなる SIQ の開発を推
進してきたが、問題の難しさと人員不足から、SIQ-Personal の構築をほぼ終えたものの、
SIQ-Collective の構築が開発途上のままとなっている。しかし、学会誌や国際会議での論文
発表を続けて、担当研究員が招待講演を依頼されるなど、着実に開発が進み、今後の研究
開発の基盤はできたと考えている。
83
5. 研究成果の公表
5-1 社会技術に関連する卒業/修士/博士論文
論文名
複数新聞記事サイトの横断検索システム
論文の種類
卒業論文
著者[指導教官]
発表当時の所属
大熊耕平[山田剛一, 中
東京電機大学 工学部
川裕志]
インタラクティブ映画のためのロールプレイ型対話生成
遺伝的アルゴリズムによる複合人物動作の生成
対人関係に基づく仮想俳優の対話生成
キーイベントに基づく対話場面の生成
インタラクティブ CG キャラクタのための反応的注意動作の生成
頭部・眼球・表情強調モデルによる CG キャラクタの会話アニメーショ
卒業論文
卒業論文
卒業論文
卒業論文
卒業論文
卒業論文
ン生成
高沢潤
[
星野准一]
筑波大学工学システム
学類
筑波大学工学システム
田中彰人
[
星野准一]
[
星野准一]
学類
筑波大学工学システム
大窪志穂
学類
筑波大学工学システム
生野剛
[
星野准一]
学類
筑波大学工学システム
広田健一
[
星野准一]
学類
筑波大学工学システム
中村正宏 [ 星野准一]
CG キャラクタのための心理表現豊かな複合会話動作生成
卒業論文
QUEVICO: マルチモーダルデータのための QA モデル
修士論文
伊津野英克[中村裕一]
キーイベント制御による仮想俳優の動作生成
修士論文
森博志 [星野准一]
塩入健太 [ 星野准一]
学類
筑波大学工学システム
学類
筑波大学理工学研究科
筑波大学システム情報工
学研究科
発表年次
2003
2003
2004
2004
2004
2005
2005
2005
2003
2004
論文名
ジェスチャネットワークによる会話動作の生成
利用者注意に基づく能動的CGキャラクタの動作生成
論文の種類
修士論文
修士論文
著者[指導教官]
発表当時の所属
発表年次
筑波大学システム情報工
中野敦
[
星野准一]
[
星野准一]
[
星野准一]
学研究科
筑波大学システム情報工
益子宗
学研究科
筑波大学システム情報工
CGキャラクタによる能動的対話空間の生成
修士論文
高沢潤
学研究科
修士論文
岡本和憲 [ 西田豊明]
東京大学
修士論文
大熊耕平[山田剛一, 中
川裕志]
東京電機大学大学院 工
トピックドリフトを支援する新聞記事ナビゲーションシステム
修士論文
2005
2005
2005
円滑なショット遷移を可能にする 映像コンテンツ制作支援
トピックドリフトを支援する新聞記事検索システムの構築と評価
2004
学研究科
東京電機大学大学院 工
西端紳一郎
学研究科
2005
2006
オンラインコミュニティにおける知識共有と分析活動支援に関する研究
博士論文
福原知宏[西田豊明]
社会技術研究システム
2003
Designing Multimodal Conversational Interfaces Based on Empirical
Studies of Human Communicative Behaviors
博士論文
中野有紀子[西田豊明]
社会技術研究システム
2005
5-2 社会技術に関連するゼミ/講義等
講義名
教官
ゼミナールⅡからゼミナ-ルⅤ
渡辺光一
電子情報学特別講義=大域ディペンダブル特論 I
西田豊明
講義の対象者
関東学院大学学部学生
東京大学大学院情報理工学系
研究科
受講者数
(概数)
70 名
期間
2002/04-/2005/12
50 名
2003 年 5 月 7 日
特別講義
西田豊明
名古屋大学大学院工学研究科
60 名
2003 年 10 月 30 日
京都大学 COE 心理学連合+教育認知心理学講座 合同講演会
西田豊明
東京大学・教養学部 1~2 年生
30 名
2003 年 11 月 28 日
講義名
教官
講義の対象者
受講者数
(概数)
期間
インタラクティブ・エンタテインメント
星野准一
早稲田大学
約 300 名
2005 年 5 月 18 日
視覚システム論
星野准一
筑波大学
約 30 名
2005 年4月〜7月
5-3 一般へのセミナー/講演等
種別
基調講演
セミナー
学会作業部会
フォーラム
シンポジウム
パネル討論
シンポジウム
講演名
講演者
コミュニティコミュニケーション基盤の試み,基調講演,平成1
4年度次世代バーチャルリアリティ等推進事業 成果発表会~都
市再開発等の合意形成のためのバーチャルリアリティ支援による
都市再現~
社会技術のヤング リサ-チ アシスタント研究会
コミュニティーメディア、2003 年 ヒューマンマシンシステム研
究夏季セミナー
西田豊明
講義の対象者
一般
受講者数(概
数)
100 名
期間
2003 年 3 月 31 日
5名
堀田昌英
2003 年 7 月 24 日
(木)~25 日(金)
西田豊明
セミナー参加者
西田豊明
原子力高度技術
研究会:岩田・岡
本作業部会
西田豊明
フォーラム参加
者
中野有紀子
英国インペリア
ルカレッジ学生
15 名
2005 年 4 月 11 日
西田豊明
学会参加者
30 名
2005 年 9 月 8 日
コミュニケーションツールを用いた意思決定支援システム研究の
現状と展望
松村憲一
シンポジウム参
加者
社会技術ニューズレターVol.2 特別企画
西田豊明・中
野有紀子・清
野純史・堀宗
朗
会話型知識プロセスと合意形成
「情報学からの貢献― 会話情報学 ―」、デ一タベ一スは未来を
予測できるか、-汎用的失敗知識デ一タベ一スと専門的安全デ一
タベ一ス-、JST 異分野交流フォーラム
Designing Conversational Agents Based on Empirical Studies of
Human Behaviors
パネル討論:ノイズとシグナルの違い,安全・安心のための情報
技術 ― 医療,原子力,宇宙航空を題材として ― ,パネリ
スト,FIT2005 第 4 報科学技術フォーラム
86
社会技術ニュー
ズレター読者
30 名
2004 年 8 月 25 日
2005 年 1 月 20~22
日
2006/2/14
5000 部
2006 年 1 月
5-4 実績一覧(リスト)
No.
分類
形態
全般
1
マスコミ
報道
2
マスコミ
報道
3
解説論文
4
会話型知識プロ
セス総論
論文
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
JGN 及びギガビットラボ利活用研究の紹
介:「社会技術研究システムにおけるミッ
ションプログラム:会話型知識プロセスプ
ロジェクト」
「デジカメ写真,音声付きで効率編集,科
技事業団,東大など映像制作ソフト開発」
ミッション・プログラム�:安全性に係る知識体系の
構築と社会技術の設計手法の開発(中間報
告)
Social Intelligence Design for Knowledge
Creating Communities
著者,作成者等
会話型知識プロセス研究
グループ
発表年次
資料の
添付
通信・放送機構北九州情報
通信研究開発支援センタ
ー
2003
―
2003
○
2004.10
○
2001.10
○
会話型知識プロセス研究 日経産業新聞, 2003 年 9 月
グループ
2 日, 10 面.
堀井秀之,西田豊明,中尾
政之,岡本浩一,城山英明,
古田一雄,田辺文也,松田 社会技術論文集,Vol. 2
光司,清野純史,加藤浩徳,
永井良三
The 2001 International
Toyoaki Nishida
Conference on Intelligent
Agent Technology
(IAT-2001)
Journal of Knowledge
Toyoaki Nishida
Management, Vol. 6, No.
2, pp. 124-134
論文
A Traveling Conversation Model for
Dynamic Knowledge Interaction
6
論文
Social Intelligence Design for Web
Intelligence
7
論文
Communicative Reality for Social
Intelligence Design
Toyoaki Nishida
8
論文
Social Intelligence Design and
Communicative Reality
Toyoaki Nishida
5
発表場所
Toyoaki Nishida
Special Issue on Web
Intelligence, IEEE
Computer, Vol. 35, No. 11,
pp. 37-41
The IEEE International
Workshop on Knowledge
Media Networking
(KMN'02)
KES'2002 Sixth
International Conference
on Knowledge-Based
Intelligent Information &
Engineering Systems
2002
○
2002.11
―
2002.7
○
2002.9
○
No.
分類
形態
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
コミュニティコミュニケーション基盤の
試み,基調講演
9
基調講演
10
論文
11
基調講演
Supporting the Conversational Knowledge
Process in the Networked Community
12
論文
Supporting the Conversational Knowledge
Process in the Networked Community
13
査読付論文
14
解説論文
Semantic Computing with Conversations
and Stories
著者,作成者等
Toyoaki Nishida
Toyoaki Nishida
Toyoaki Nishida
Toyoaki Nishida
発表場所
平成14年度次世代バー
チャルリアリティ等推進
事業 成果発表会~都市
再開発等の合意形成のた
めのバーチャルリアリテ
ィ支援による都市再現~,
東京流通センター
人工知能学会第 17 回大会
併設ワークショップ -
セマンティックウェブか
らセマンティックワール
ドへ
The 3rd Workshop on
Databases in Networked
Information Systems
(DNIS '03), University of
Aizu, Japan
The 3rd Workshop on
Databases in Networked
Information Systems
(DNIS '03), University of
Aizu, Japan
社会技術を支える先進的コミュニケーシ
ョン基盤としての会話型知識プロセス支
援技術
西田豊明
社会技術論文集 Vol.1,
pp.48-58
コミュニティ支援と人工知能
西田豊明,角康之
15
解説論文
パブリックオピニオンチャンネルによる
コミュニティ知の創造実験
16
査読付
論文
社会技術実現に向けての会話型知識プロ
セス研究方略
発表年次
資料の
添付
2003.3
―
2003.6
2003.9
2003.9
○
○
―
2003.10
○
人工知能学会誌,18 巻 6
号,pp. 631-636
2003.12
○
西田豊明,福原知宏,久保
田秀和,山下耕二,松村憲
一
人工知能学会誌,18 巻 6
号,pp. 637-642,.
2003.12
○
西田豊明
社会技術論文集 Vol. 2
2004.10
○
No.
分類
17
形態
招待講演
発表場所
発表年次
資料の
添付
Toyoaki Nishida
A. Aagesen et al. (Eds.):
INTELLCOMM 2004,
LNCS 3283, Springer, pp.
28–42
2004.11
○
Understanding mediated communication:
the social intelligence design (SID)
approach,
R Fruchter, T Nishida, D
Rosenberg:
AI & Society, Volume 19,
Number 1, pp. 1-7
2005.
○
Conversation Quantization for
Conversational Knowledge Process
Toyoaki Nishida
S. Bhalla (Ed.): DNIS
2005, LNCS 3433,
Springer, pp. 15 – 33
2005.3
○
KES 2005, Melbourne,
Australia
2005.9
―
2005
○
2005
―
2006.1
―
2006.1
―
2003
○
2003
○
インタラクション 2004
2004
○
第一回社会技術研究シン
ポジウム
2004
○
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
Conversational Knowledge Process for
Social Intelligence Design
著者,作成者等
18
査読付論文
19
招待講演
20
基調講演
Acquiring, Accumulating, Transforming,
Applying, and Understanding
Conversational Quanta
Toyoaki Nishida
21
査読付論文
Social intelligence design for mediated
communication,
Anton Nijholt and Toyoaki
Nishida
22
査読付論文
Designing conversational agents: effect of
conversational form on our comprehension
Koji Yamashita, Hidekazu
Kubota, and Toyoaki
Nishida
23
書籍
4.1 知識の流通
西田豊明,中野有紀子
24
解説論文
社会技術のための会話型知識プロセス
西田豊明
口頭発表
複数新聞記事サイトの横断検索システム
の試作
大熊耕平, 山田剛一, 増
田英孝, 中川裕志
複数新聞記事サイトの横断検索とトピッ
クのドリフト支援システム
類似文書間の差異の提示によるトピック
ドリフト支援システム
複数新聞記事サイトの横断検索とトピッ
クのドリフト支援システム
山田剛一, 大熊耕平, 増
田英孝, 中川裕志
山田剛一, 大熊耕平, 増
田英孝, 中川裕志
山田剛一, 大熊耕平, 増
田英孝, 中川裕志
25
芋づる式情報ナ
ビゲータ「いも
なび」
26
査読付論文
27
口頭発表
28
口頭発表
AI & Society, online-first,
DOI:
10.1007/s00146-005-0010
-9, 2005
AI & Society, online-first,
DOI
10.1007/s00146-005-0011
-8, 2005.
in: 安全安心のための社会
技術 堀井 秀之(編) 東
京大学出版会
電気学会論文誌(部門誌
C)2006 年4月号
情報処理学会 第 65 回全国
大会講演論文集(一般講演
3E-1)
社会技術論文集 Vol.1,
pp.100-105
No.
分類
形態
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
著者,作成者等
発表場所
情報処理学会研究報告
2004-NL-161-011
言語処理学会 第 11 回年次
大会発表論文集,
pp.1034-1035.2 (4 pages)
Computerm2: 2nd
International Workshop on
Computational
Terminology,
COLING-2002
WORKSHOP, pp. 29-35
Czeslaw Danilowicz(ed.):
Multimedia and Network
Information Systems,
Vol2., ISBN
83-7085-808-2, Wroclaw,
Poland
29
口頭発表
トピックドリフトを支援する新聞記事ナ
ビゲーションシステム
大熊耕平, 山田剛一, 増
田英孝, 中川裕志
30
口頭発表
複数ニュースサイトのいもづる式検索エ
ンジン「いもなび」
山田剛一, 大熊耕平, 増
田英孝, 中川裕志
重要語自動抽出
ツール
31
32
論文
インターネット
からの社会的関
心分析支援ツー
ル
論文
A Simple but Powerful Automatic Term
Extraction Method
Hiroshi Nakagawa,
Tatsunori Mori
An Analysis Tool for Understanding Social
Concerns using Weblog Articles
Fukuhara,T. and
Murayama,T.
33
論文
Analyzing Concerns of People from
Weblog Articles
Fukuhara,T.,
Murayama,T., and
Nishida,T.
34
論文
Analyzing Concerns of People using
Weblog Articles and Real World Temporal
Data
Fukuhara,T.,
Murayama,T., and
Nishida,T.
35
論文
ウェブログ記事を用いた関心解析システ
ム
福原知宏,村山敏泰, 中
川裕志,西田豊明
36
口頭発表
ウェブログ記事を用いた社会事象に関す
る関心動向の分析
福原知宏,村山敏泰, 西
田豊明
Social Intelligence Design
2005, Stanford University,
Stanford, CA, USA
WWW2005 2nd Annual
Workshop on the
Weblogging Ecosystem:
Aggregation, Analysis and
Dynamics, Chiba, Japan
人工知能学会全国大会(第
19 回)論文集,
2C2-04(CD-ROM), 北九州
国際会議場, 北九州市
人工知能学会第 6 回 AI 若
手の集い(MYCOM2005),
妙心寺大心院, 京都市
発表年次
資料の
添付
2004
―
2005
○
2002
―
2004
○
2005
○
2005
○
2005
○
2005
○
No.
分類
37
38
会話エージェン
トを用いた情報
プレゼンテーシ
ョンシステム
形態
論文
Murayama,T.,
Fukuhara,T., and
Nishida,T
論文
Towards a Model of Face-to-Face
Grounding
Nakano, Y., Reinstein, G.,
Stocky, T., Cassell, J.
論文
40
口頭発表
41
査読付論文
42
査読付論文
43
口頭発表
45
著者,作成者等
Analyzing Concerns of People using
Weblog Articles and Natural Phenomena
39
44
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
論文
査読付論文
Embodied Conversational Agents for
Presenting Intellectual Multimedia
Contents
擬人化エージェントを用いたユーザ参加
型マルチメディアコンテンツ流通システ
ム
知識流通のためのメディア技術,― イン
タフェースエージェントの利用 ―
Web サービスを用いた会話型コンテンツ
情報提供システム SPOC の提案
言語情報に基づくジェスチャーの決定-
プレゼンテーションエージェントにおけ
るジェスチャー生成-.
Converting text into agent animations:
Assigning gestures to text
Multimodal story-based communication:
Integrating a movie and a conversational
agent.
Yukiko I. Nakano,
Toshihiro Murayama,
Daisuke Kawahara, Sadao
Kurohashi, and Toyoaki
Nishida
中野有紀子,村山敏泰,西
田豊明
中野有紀子
村山敏泰
中野有紀子, 岡本雅史,
李清.
Yukiko I Nakano, Masashi
Okamoto, Daisuke
Kawahara, Quing Li, and
Toyoaki Nishida
YukikoI.Nakano, Toshihiro
Murayama, and Toyoaki
Nishida.
発表場所
KES 2005 Invited Session
on Communicative
Intelligence, Melbourne,
Australia
41st Annual Meeting of the
Association for
Computational Linguistics
(ACL 03)
The Seventh International
Conference on
Knowledge-Based
Intelligent Information &
Engineering Systems
(KES'2003), University of
Oxford, UK
情報科学技術フォーラム,
FIT 2003
社会技術論文集 Vol.1,
pp.77-84
社会技術論文集 Vol.1,
pp.85-90
言語処理学会
Human Language
Technology Conference of
the North American
Chapter of the Association
for Computational
Linguistics (HLT-NAACL
2004)
IEICE Transactions on
Information and Systems,
Vol.E87D, No.6,
pp.1338-1346
発表年次
資料の
添付
2005
○
2003.7
○
2003.9
○
2003.9
○
2003.10
○
2003.10
○
2004.3
○
2004.4
○
2004.6
○
No.
46
分類
形態
論文
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
Community site collaboration type
Broadcasting System Using
Interface Agent and Multimedia
発表場所
発表年次
資料の
添付
Murayama, T.
Social Intelligence Design
2004 International
Workshop (2004)
2004.7
○
2004.7
○
2004.7
○
2004.9
○
2004.9
○
著者,作成者等
47
論文
Participatory information sharing system
by using an interface agent and a situation.
Toshihiro Murayama,
Yukiko I. Nakano, and
Toyoaki Nishida.
Czeslaw Danilowicz(ed.):
Multimedia and Network
Information Systems,
Vol2., ISBN
83-7085-808-2, Wroclaw,
Poland
48
口頭発表
会話インタフェースにおける affordance
と engagement -会話情報学をめざして
-
中野有紀子, 西田豊明,
植田一博, 黒橋禎夫, 伝
康晴, 中村裕一
日本認知科学会
the 1st International
Workshop on Intelligent
Media Technology for
Communicative
Intelligence
International Workshop on
Intelligent Media
Technology for
Communicative
Intelligence
49
論文
Engagement in situated communication by
conversational agents
Yukiko I. Nakano,
Toshihiro Murayama, and
Toyoaki Nishida
50
論文
Enriching agent animations with gestures
and highlighting effects
Yukiko I. Nakano, Masashi
Okamoto, and Toyoaki
Nishida
51
査読付論文
会話エージェントによる情報提供―非言
語情報による重要概念の強調―
中野有紀子, 村山敏泰,
西田豊明
社会技術論文集 Vol.2
2004.10
○
52
解説論文
分身エージェントを用いた知識流通
西田豊明
計測と制御,第 43 巻,第
12 号,pp. 969-974
2004.12
○
53
論文
Yukiko I. Nakano and
Toyoaki Nishida
CHI05 workshop
2005.4
○
54
論文
Yukiko I. Nakano and
Toyoaki Nishida
AISB05 symposium
2005.4
○
Interpreting User’s Attention as
Engagement Cues in Multiparty Immersive
Conversations
Awareness of Perceived World and
Conversational Engagement by
Conversational Agents
No.
分類
55
56
57
没入型会話環境
形態
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
著者,作成者等
発表場所
発表年次
資料の
添付
査読付論文
Cards-to-presentation on the web:
Generating multimedia contents featuring
agent animations.
Yukiko I. Nakano,
Toshihiro Murayama,
Masashi Okamoto,
Daisuke Kawahara, Qing
Li, Sadao Kurohashi, and
Toyoaki Nishida.
査読付論文
没入型会話空間における知識共有
星野准一
社会技術論文集 Vol.1,
pp.116-122
2003.10
○
査読付論文
社会的情報共有のための没入型会話環境
の提案
中野有紀子,西田豊明
社会技術論文集 vol.3
2005.11
○
Masashi Okamoto, Yukiko
I. Nakano, Kazunori
Okamoto, Ken'ichi
Matsumura and Toyoaki
Nishida
58
査読付論文
Producing effective shot transitions in CG
contents based on a cognitive model of
User Involvement
59
口頭発表
インタラクティブ CG キャラクタのための
反応的注意動作の生成
広田健一,益子宗,星野准
一
60
口頭発表
Building Active Conversation Environment
for Edutainment
張磊,星野准一
61
口頭発表
主要行動の指定に基づく CG キャラクタの
行動パターンの生成
森博志,星野准一
62
査読付論文
63
査読付論文
Composite Conversation Gesture
Synthesis Using Layered Planning
Generating Head-Eye Movement for
Virtual Actor
Atsushi Nakano, Junichi
Hoshino
Soh Masuko,Junichi
Hoshino
64
査読付論文
仮想俳優のための頭部・眼球動作の生成
益子宗,星野准一
Journal of Network and
Computer Applications,
2005.12
○
IEICE Transactions of
Information and Systems
Special Issue of Life-like
Agent and Its
Communication, IEICE
Trans. Inf. & Syst., Vol.
E88-D, No. 11, pp.
2623-2532
情報処理学会技術フォー
ラム(FIT2005),
pp.185-189
第 4 回情報科学技術フォー
ラム(FIT2005),
pp.205-208
情報処理学会,第 4 回情報
科学技術フォーラム
(FIT2005), pp.197-200
Systems and Computers
in Japan
Systems and Computers
in Japan
電子情報通信学会論文
誌,Vol.J88-D-II,No.3,pp.58
5-595
2005.11
○
2005.6
○
2005.6
○
2005.6
○
採録決定
―
採録決定
―
2005.5
○
No.
分類
形態
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
著者,作成者等
65
査読付論文
階層化プランニングによる会話と連動し
た複合ジェスチャの生成
中野敦,星野准一
66
査読付論文
パノラマ画像による没入型会話環境
星野准一,張磊,中野敦
67
論文
Key Action Technique for Digital
Storytelling
Hiroshi Mori, Junichi
Hoshino
68
論文
Locomotion Control Technique for
Immersive Conversation Environment
Rai Chan, Jun Takazawa,
Junichi Hoshino
69
論文
70
論文
71
論文
Composite Behavior Synthesis Technique
for Mental Communication Games
Intelligent storyboard for character
animation using ICA
Video Motion Capture for Virtual
Characters
Atsushi Nakano, Kenta
Shioiri, Junichi Hoshino
Hiroshi Mori, Junichi
Hoshino
Atsushi Nakano, Junichi
Hoshino
72
論文
Attentional Behavior Model for a Virtual
Character
Soh Masuko,Junichi
Hoshino
73
論文
Building Active Conversation Environment
for Edutainment
Rai Chan, Jun Takazawa,
Junichi Hoshino
74
論文
Conversational Locomotion of Virtual
Characters
Soh Masuko,Junichi
Hoshino
75
論文
Panorama-Based Immersive Conversation
Environment
Atsushi Nakano, Chan
Rai, Junichi Hoshino
76
論文
Embodied 3D Movie Space
Junichi Hoshino, Atsushi
Nakano, Hiroshi Mori, Jun
Takazawa
発表場所
電子情報通信学会論文
誌,Vol.J88-D-II,No.4,pp.73
7-746
社会技術システム論文集,
Vol2, 167-172
IFIP 4th International
Conference on
Entertainment Computing,
2005
the 9th International
Conference on
Knowledge-based
Intelligent Information &
Engineering Systems
SIGGRAPH2005 sketches
Modeling Decisions for
Artificial Intelligence
Modeling Decisions for
Artificial Intelligence 2005
The 2005 International
Conference on Active
Media Technology,
pp.511-516
SIGGRAPH2005 Poster
AISB05:Social Intelligence
and Interaction in Animals,
Robots and Agents,
pp121.-127
ACM Advances in
Computer Entertainment
2004
ACM Advances in
Computer Entertainment
2004
発表年次
資料の
添付
2005.5
○
2004.10
―
2005.9
○
2005.9
○
2005.8
○
2005.7
○
2005.7
○
2005.5
―
2005.8
○
2005.5
―
2004.6
○
2004.6
○
No.
分類
形態
77
自然言語処理技
術を用いたメデ
ィア変換手法
口頭発表
書きことばから話しことばへの変換
78
口頭発表
主題と文章構造の解析に基づくスライド
の自動生成
79
口頭発表
料理教示発話の構造解析
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
80
論文
Structural Analysis of Instruction
Utterances
81
論文
Paraphrasing Predicates from Written
Language to Spoken Language using the
Web
82
論文
Structural Analysis of Instruction
Utterances using Linguistic and Visual
Information
83
招待講演
84
査読付論文
会話型知識プロセスのための言語情報の
メディア変換
85
口頭発表
会話型知識プロセスのためのテキストの
自動プレゼンテーション
作業教示映像の構造的理解へ向けて
著者,作成者等
大泉敏貴,鍜治伸裕,河原
大輔,岡本雅史,黒橋禎夫,
西田豊明
柴田知秀,河原大輔,黒橋
禎夫
西田悠介,柴田知秀,河原
大輔,岡本雅史,黒橋禎夫,
西田豊明
Tomohide Shibata,
Daisuke Kawahara,
Masashi Okamoto, Sadao
Kurohashi, and Toyoaki
Nishida
Nobuhiro Kaji, Masashi
Okamoto, Sadao
Kurohashi
Tomohide Shibata, Masato
Tachiki, Daisuke
Kawahara, Masashi
Okamoto, Sadao
Kurohashi, and Toyoaki
Nishida
黒橋禎夫,柴田知秀
発表場所
発表年次
資料の
添付
言語処理学会 第 9 回年次
大会, pp.93-96
2003.3
○
言語処理学会,第 9 回年次
大会, pp.597-600
2003.3
○
言語処理学会 第 9 回年次
大会,pp.601-604
2003.3
○
2003.9
―
2004.5
○
2004.9
○
2004.10
○
2004.11
○
2005.1
○
The Seventh International
Conference on
Knowledge-Based
Intelligent Information &
Engineering Systems
(KES'2003), University of
Oxford, UK
In Proceedings of the
Human Language
Technology Conference
In Proceedings of Eighth
International Conference
on Knowledge-Based
Intelligent Information and
Engineering Systems
(KES2004)
電子情報通信学会 PRMU
研究会 2004-86
黒橋禎夫,大泉敏貴,柴田
知秀,鍛治伸裕,河原大輔, 社会技術研究論文集, Vol.2
岡本雅史,西田豊明
黒橋禎夫,大泉敏貴,大西
貴士,柴田知秀,鍛治伸裕, 2005 年情報学シンポジウ
河原大輔,岡本雅史,西田 ム
豊明
No.
分類
形態
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
著者,作成者等
多元的議論構造の可視化手法:社会技術と
しての政策論議支援
Building an analytical tool for conflict
management in development projects: a
case study of Theun-Hinboun Hydropower
Project
堀田昌英,榎戸輝揚,岩橋
伸卓
In Proceedings of Second
International Joint
Conference on Natural
Language Processing
(IJCNLP-05)
International Workshop on
Intelligent Media
Technology for
Communicative Reality
Third International
Workshop on
Content-Based Multimedia
Indexing
Seventh Int'l Conference
on Knowledge-Based
Intelligent Information &
Engineering Systems
社会技術論文集 Vol.1,
pp.91-99
presented at Social
Intelligence Design 2003,
Royal Holloway College,
London
社会技術論文集 Vol.1,
pp.67-76
Yonezawa A and Horita M
社会技術論文集 Vol.2
議論解析システムのアルゴリズム改良
佐藤岳文,堀田昌英
第 60 回土木学会全国大会
年次学術講演会講演概要
集,早稲田大学
論文
Automatic Slide Generation Based on
Discourse Structure Analysis
Tomohide Shibata and
Sadao Kurohashi
論文
QUEVICO: A Framework for Video-based
Interactive Media
Hidekatsu Izuno, Yuichi
Nakamura, Yuichi Ohta
論文
QUEVICO: A Model for Video-based
Interactive Media
Hidekatsu Izuno, Yuichi
Nakamura, Yuichi Ohta
89
論文
Object Tracking and Task Recognition for
Producing Intaractive Video Content --Semi-automatic indexing for QUEVICO
Motoyuki Ozeki, Hidekatsu
Izuno, Masatsugu Itoh,
Yuichi Nakamura, Yuichi
Ohta
90
査読付論文
知識流通のための知的映像情報処理
中村裕一
On discovery of stirring arguments: a
random-tree approach to collaborative
argumentation support
Horita Masahide and
Iwahashi Nobutaka
86
87
映像データの会
話型提示システ
ム
88
91
政策論議支援シ
ステム
論文
92
査読付論文
93
査読付論文
94
口頭発表
発表場所
発表年次
資料の
添付
2005.10
○
2002.8
○
2003.9
○
2003.9
○
2003.10
○
2003.7
○
2003.10
○
2004
○
2005.9
○
No.
分類
形態
統合型コミュニ
ケーション支援
システム
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
著者,作成者等
95
論文
IC-portal: an Integrated Communication
Support System for Understanding a
Social Problem
Fukuhara,T.,
Murayama,T., and
Nishida,T.
96
口頭発表
コミュニティ支援システムにおけるコミ
ュニティ運営・分析支援機能
福原知宏, 近間正樹, 西
田豊明
97
口頭発表
POC Communicator: 話の作成・共有環境
福原知宏, 西田豊明
98
査読付論文
放送型コミュニティ支援システム: Public
Opinion Channel のリスクコミュニケーシ
ョンへの応用
福原知宏, 久保田秀和,
近間正樹, 西田豊明
99
査読付論文
コミュニティ支援システムにおけるコミ
ュニティ活動分析支援機能
福原知宏,松村憲一,近間
正樹,西田豊明
100
101
論文
論文
A Platform for Investigating a
Knowledge-Creating Community:
Community Analysis and Maintenance
Functions in the Public Opinion Channel
Supporting an Experiment of a Community
Support System: Community Analysis and
Maintenance Functions in the Public
Opinion Channel
Fukuhara,T., Chikama,M.,
and Nishida,T.
Fukuhara,T., Chikama,M.,
and Nishida,T.
発表場所
International Workshop on
Intelligent Media
Technology for
Communicative
Intelligence,
Polish-Japanese Institute
of Information Technology,
ISBN 83-89244-30-6,
Warsaw, Poland
人工知能学会全国大会(第
17 回)論文集,
1E1-02(CD-ROM), 朱鷺メ
ッセ, 新潟
人工知能学会全国大会(第
17 回)論文集,
3G2-03(CD-ROM), 朱鷺
メッセ, 新潟
社会技術研究論文集,
Vol.1, pp.59-66, 社会技術
研究会
電子情報通信学会論文誌
(D-1),Vol.88, No.11,
pp.53-63
The Second International
Conference on Social
Intelligence Design
(SID2003), Royal
Holloway, University of
London, Egham, UK
International Conference
on Communities and
Technologies (C&T2003),
Felix Meritis, Amsterdam,
the Netherlands
発表年次
資料の
添付
2004
○
2003
○
2003
○
2003
○
2003
○
2003
○
2003
○
No.
分類
形態
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
著者,作成者等
102
口頭発表
パブリック・オピニオン・チャンネル: シ
ステムと実証実験について
福原知宏
103
口頭発表
社会問題理解のための統合型コミュニケ
ーション支援システム
福原知宏, 村山敏泰, 西
田豊明
104
105
106
コミュニケーシ
ョンツール評価
手法
査読付論文
論文
論文
コミュニケーションツール評価手法の構
築
The measures for the evaluation of
communication tools: The causality
between the intention and users'
subjective estimation of community
The analysis of Conversational Contents
Creation Process on SPOC System,
発表場所
日本心理学会ワークショ
ップ「コミュニケーション
スタイルの拡大と知識コ
ミュニティの形成: 学び』
への影響と心理学の課題」,
東京大学本郷キャンパス
法文 1 号館
人工知能学会全国大会(第
18 回)論文集,
1H1-02(CD-ROM), 金沢
発表年次
資料の
添付
2003
―
2005
○
松村憲一,西田豊明
社会技術研究論文集 Vol2
2004
○
MATSUMURA, K.
Social Intelligence Design
2004 International
Workshop (2004)
2004
○
MATSUMURA, K.,
NAKANO, I. Y., NISHIDA,
T.
The Second International
Workshop on Intelligent
Media Technology for
Communicative
Intelligence (IMTCI2004),
Polish-Japanese Institute
of Information Technology,
ISBN 83-89244-30-6,
Warsaw, Poland, 13-14
September (2004).
2004
○
No.
分類
形態
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
著者,作成者等
107
論文
An evaluation experiment for
communication support systems with
interface agent - From the perspective of
contents creators –
108
口頭発表
コミュニティへの参加意図に影響を与え
る要因
松村憲一,山下耕二,畦地
真太郎,藤原伸彦
109
論文
The Explanatory Experiment for
Evaluation of SPOC System from
Contents Creators' Perspective
Matsumura, K., Nakano, I.
Y., Nishida, T.
110
招待講演
コミュニケーションツールを用いた意思
決定支援システム研究の現状と展望
松村憲一
報告書
Web サービスが広げる中小企業の可能性
渡辺光一
顧客ロイヤリティの測定と効果
渡辺光一
111
会話型知識プロ
セスの実践と社
会調査
MATSUMURA, K.,
NAKANO, I. Y., NISHIDA,
T.
112
論文
113
口頭発表
会話型知識プロセスのシーズを踏まえた
ニーズについての一般的な調査
渡辺光一
114
口頭発表
テキストマイニング/セマンティックW
ebと顧客価値創造への活用・例
渡辺光一
発表場所
In: Czeslaw
Danilowicz(ed.):
Multimedia and Network
Information Systems,
Vol2., ISBN
83-7085-808-2, 1st
International Workshop on
"Intelligent Media
Technology for
Communicative
Intelligence"(IMTfCI2004),
Wroclaw, Poland, 16-17
September (2004).
人工知能学会全国大会(第
18 回)
Intelligent Media
Technology for
Communicative
Intelligence In L. Bolc, Z.
Michalewicz,
T.Nishida(ed.), Lecture
Notes in Computer
Science
群馬大学社会情報学部
社会情報学シンポジウム
中小企業総合研究機構イ
ンターネット研究プロジ
ェクト報告書第 7 章
クオリティマネジメント
Vol.53, No.11
社会技術研究システム会
話型知識プロセスグルー
プ平成 14 年度研究報告書
日本テクノセンター
発表年次
資料の
添付
2004
○
2004
○
2005
○
2006.2(予
定)
―
2002
―
2002
―
2003
2003
―
―
No.
分類
形態
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
コミュニティシステムにおける認証につ
いての傾向
効率的で公正な社会的影響力を実現する
ための相互作用の計測・制御方法
会話型知識プロセスの技術シーズを踏ま
えた情報ニーズについての実証的研究
著者,作成者等
115
口頭発表
116
口頭発表
117
査読付論文
118
口頭発表
Semantic Web と会話型知識プロセス技術
渡辺光一
119
口頭発表
経営理念の会話的形成
渡辺光一
120
論文
分散インターネットの現代的展開
渡辺光一
121
口頭発表
会話型知識プロセスの技術シーズを踏ま
えた情報ニーズについての実証的研究
渡辺光一
122
口頭発表
経営理念醸成を支援する会話型情報技術
渡辺光一
関口和真,渡辺光一
渡辺光一
渡辺光一
123
口頭発表
インターネットによるデータ収集
渡辺光一
124
口頭発表
インターネットによる新しい情報収集
――宗教研究から社会調査の方法へ――
川端亮,渡辺光一
125
口頭発表
無料ホームページによる研究者の支援
渡辺光一,川端亮
インタラクションにより分散的・会話的に
形成されるコンテンツについての考察-情
報技術・著作権・価値決定などの見地から
-
渡辺光一
126
論文
発表場所
発表年次
第 76 回日本社会学会大会
発表要旨
第 76 回日本社会学会大会
発表要旨
社会技術論文集 Vol.1,
pp.106-115
日本ナレッジマネジメン
ト学界IT応用研究部会
第19回
日本ナレッジマネジメン
ト学界IT応用研究部会
第20回
経済経営研究所 2003 年度
研究年報 26 号
社会技術研究シンポジウ
ム
2003
経営情報学会全国大会
第12回「宗教と社会」学
会学術大会テーマセッシ
ョン5「社会調査と宗教研
究」
第 77 回日本社会学会大会
報告要旨
第 77 回日本社会学会大会
報告要旨
経済系 221 集
2003
2003
資料の
添付
―
―
○
2003
―
2004
―
2004
―
2004.
―
2004.
―
2004
―
2004.
―
2004
―
2004
―
No.
分類
形態
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
著者,作成者等
スピリチュアリティ研究への言説とモデ
リングからのアプローチ
渡辺光一
12
口頭発表
128
論文
経営理念の浸透度と企業業績の関係
渡辺光一,岡田正大,樫尾
直樹
129
論文
Research Portfolio and Roadmap
to utilize the Internet
for Religious Information
Mitsuharu Watanabe
130
論文
131
口頭発表
132
口頭発表
133
口頭発表
134
リスクコミュニ
ケーション支援
口頭発表
135
口頭発表
136
口頭発表
137
口頭発表
138
口頭発表
発表場所
「宗教と社会」学会 IT プロ
ジェクト・スピリチュアリ
ティプロジェクト合同研
究会
リクルートワークス研究
所 WorksNo72
The 19th World Congress
of the International
Association for the History
of Religions
経済経営研究所研究年報
27 号
発表年次
資料の
添付
2004
―
2005
―
2005
―
2005
○
関心空間コンテンツからみたメタデータ
のニーズ分析と提案
経営理念の醸成に関する学際的研究スキ
ーム
情報技術による会話型知識プロセスの支
援
渡辺光一
組織学会研究発表大会
2005
―
渡辺光一
経済系 223 集
2005
―
会話型知識プロセスのニーズ実証的研究
と社会実験
渡辺光一
2005
―
2004
○
図解を積極的に用いる会話環境からの会
話型コンテンツ作成システムの提案
「組織の不正」通報に対する印象(1)― 情
報提示の違いによる内部告発者に対する
印象の差異 ―
「組織の不正」通報に対する印象(2)-「組
織の不正」通報に対する顕在的・潜在的態
度の測定-
オンラインリスクコミュニケーション支
援システム ORCAT の運用と評価
リスクに関する情報流通基盤の構築
渡辺光一
村山敏泰,福原知宏,西田
豊明
社会技術研究システム
会話型知識プロセスグル
ープ発表会
人工知能学会第 18 回全国
大会
松村憲一,小林知博,西田
豊明,岡本浩一
日本社会心理学会第 46 回
大会発表論文集
2005
○
小林知博,松村憲一,岡本
浩一,西田豊明
日本社会心理学会第 46 回
大会発表論文集
2005
○
木村浩,勝村聡太郎,松村
憲一,田中博,古田一雄
日本リスク研究学会第 18
回研究発表会
土木学会第 58 回年次学術
講演会プログラム
2005
○
2003.9
―
阿部, 村山, 水野
No.
分類
形態
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
著者,作成者等
口頭発表
化学事故に関する新聞記事とインターネ
ット上のテキスト情報を用いた定量・定性
分析
堀郁夫, 川端鋭憲, 村山
敏泰, 福原知宏
ツール
言選 Web
中川裕志,前田朗,小島浩
之
141
ツール
SPOC
村山敏泰,中野有紀子
142
Web
サイト
芋づる式情報ナビゲータ「いもなび」
143
ツール
TTPS(Text-to-Presentation System)
139
140
本グループで開
発したツール
発表場所
社会技術研究システムグ
ループ横断型研究ミニシ
ンポジウム, 東京大学工学
部 1 号館 15 号教室
http://gensen.dl.itc.u-tokyo
.ac.jp/
http://202.241.18.132:808
0/SPOC/public.cfm
山田剛一, 西端紳一郎,
http://navi.cdl.im.dendai.ac
大熊耕平, 増田英孝, 中
.jp/
川裕志
黒橋禎夫,大西貴士,柴田
知秀,鍛治伸裕,河原大輔,
岡本雅史,西田豊明
102
発表年次
資料の
添付
2005
―
2002
―
2003
―
2004
―
2004
―
失敗学研究グループ
研究開発成果・自己評価報告書
【 目 次 】
1. 研究開発の目標
1-1 失敗事例の収集・分析および防止策の提示
1-2 失敗を生かす社会システムの提示
1-3 研究成果を生かすための実装方法の開発
2. 目標達成のための体制
3. 研究開発の成果とそのクオリティ
3-1 「失敗事例の収集・分析および防止策の提示」に関する効果
1) 「失敗百選」の出版や失敗知識データベースの構築
3-2 「失敗を生かす社会システムの提示」に関する効果
1) 失敗を活かす社会システムの提案
2) 創造設計演習や NPO 失敗学会での失敗対応力向上方法の試行]
3-3 「研究成果を生かすための実装方法の開発」に関する効果
1) 失敗事例群を提示した Web サイトのデータベースの開発
2) 失敗の対処方法や失敗事例の共通点を示した書籍の発行
3) 設計の要求機能を自ら設定させるナビゲーションツールの開発
4) エンジニアの失敗対応力を高める失敗疑似体験ソフトの開発
4. 目標の達成状況
5. 研究成果の公表
5-1 社会技術に関連する卒業/修士/博士論文
5-2 社会技術に関連するゼミ/講義等
5-3 一般へのセミナー/講演等
5-4 実績一覧(リスト)
103
1. 研究開発の目標
失敗学グループでは次の3つの目標を、2001 年のプログラム開始時に設定した(下記の
各項の最初の1文のように抽象的な文言であったが)。さらに、その後の 5 年間の実施期間
を通して、より具体的でかつ実体的な成果を出力するように、目標を再設定し直しながら
研究を進めた。
1-1 失敗事例の収集・分析および防止策の提示
失敗事例の収集・分析をさらにすすめ、失敗原因の分類・類型化・一般化を行い、それ
ぞれに対する失敗を防ぐための方策を提示する。
ここでは、失敗事例のナレッジ・ライブラリを作るだけでなく、組織構成員全員にその
ナレッジを刷り込んで活用させる方法を検討する。
1-2 失敗を生かす社会システムの提示
失敗の原因究明を重視し、失敗が技術や制度の改善につながるようにするための社会シ
ステム、すなわち法制度、経済制度、社会通念、教育等のあり方を提示する。
ここでは提示の後の具体的なナレッジ活用の場として、特に教育に注目する。つまり、
失敗を生かしながら新しい製品を産み出す方法を提案し、それを学部3年生向けの創造設
計演習や、2002 年に設立した NPO 失敗学会において実験して、失敗などの知識を有効に生
かす個人や組織のあり方を検討する。
1-3 研究成果を生かすための実装方法の開発
失敗学の研究成果を社会で生かすための実装方法を試作し、公開する。
ここでは、次の4つの実装に注力する。
1)ケーススタディとして個々の失敗事例を収集し、さらに短時間で全体像を俯瞰できる
ように、それらを体系化して失敗事例群を提示した Web サイトのデータベースの開発
2)エンジニアの失敗知識の管理方法として、失敗の対処方法や失敗事例の共通点を示し
た書籍の発行
3)設計における上位概念、すなわち設計の要求機能を自ら設定させるナビゲーションツ
ールの開発
4)エンジニアの失敗対応力を高めるために、コンピュータゲームによって失敗疑似体験
して、失敗知識を自習できる失敗疑似体験ソフトの開発
104
2. 目標達成のための体制
失敗学グループでは、中尾政之(東京大学・教授、工学)を統括に、次に示す専門担当
員によって研究を進めた。
氏名
藪田尚宏
大橋毅夫
寺邊正大
河合 潤
畑村洋太郎
草間俊介
現在の所属・職位
三菱総合研究所・研究員
三菱総合研究所・研究員
三菱総合研究所・研究員
三菱総合研究所・研究員
工学院大学・教授
実際の設計研究会・事務局長
専門分野
マネジメント
マネジメント
マネジメント
マネジメント
工学
工学
飯野謙次
サイドローズ・社長
工学
中島 勉
土屋健介
大井 健
張田吉昭
西村靖紀
辻 明彦
日本機械学会・事務局長
東京大学・助手
東京大学・助手
フローネット・社長
元シャープ・研究所長
元災害情報センタ・研究員
工学
工学
工学
工学
工学
工学
分担
1-2(社会システムの提示)
1-2(社会システムの提示)
1-2(社会システムの提示)
1-2(社会システムの提示)
1-2(社会システムの提示)
1-2(社会システムの提示)
1-3(失敗擬似体験ソフトの試
作)、および 1-1(失敗事例の収
集・分析)
1-1(失敗事例の収集・分析)
1-1(失敗事例の収集・分析)
1-1(失敗事例の収集・分析)
1-1(失敗事例の収集・分析)
1-1(失敗事例の収集・分析)
1-1(失敗事例の収集・分析)
3. 研究開発の成果とそのクオリティ
3-1 「失敗事例の収集・分析および防止策の提示」に関する効果
1) 「失敗百選」の出版や失敗知識データベースの構築[1][2(4 章)]
(成果の概要)
失敗事例の収集・分析をさらにすすめ、失敗原因の分類・類型化・一般化を行い、それ
ぞれに対する失敗を防ぐための方策を、著書「失敗百選」[1](森北出版、2005-10)に提
示した。ここでは、約 200 の失敗事例を分析して 41 の知識群に整理されることを明らかに
した。
また、失敗事例群を列記したナレッジ・ライブラリとして、たとえば、筆者らが機械分
野を担当した科学技術振興機構の失敗知識データベース(http://shippai.jst.go.jp/)、
または筆者らが立ち上げた日本機械学会 失敗知識活用分析委員会で収集した失敗事例を
まとめた失敗知識データベース(http://sydrose.com/)を作って、筆者らが担当して総計
で約 700 事例を入力した。
さらに、組織構成員全員にそのナレッジ・ライブラリのナレッジを刷り込む方法として、
ロールプレイングゲーム[1] [58]や失敗回避体験ソフト[37](http://sydrose.com/)を試
105
作・試用した。このように1-1の目標は十分に達成した。
最初は気付かなかったが、5 年間の研究を通して結果的にわかったことは、失敗知識は集
めるだけでなく、選んで使わなければ役に立たない、ということである。つまり、プログ
ラム開始当初は失敗事例を収集して、それを検索すれば皆が失敗知識を活用できると思っ
た。そして、上記の失敗知識データベースだけでなく、多くの企業において、事例を収集
してナレッジ・ライブラリを作ることを、筆者らは指導した。ところが実際は、それで勉
強すべきエンジニアの作業を追跡すると半年も経つと検索しなくなり、仮に検索してもエ
ンジニアの多くは、「その過去の事例の状況は現在の状況とはケースバイケースであって
まったく異なる」と感じて、せっかくの知識を設計に反映させずに破棄してしまった。
失敗知識活用時の禁句はこの「ケースバイケース」である。事故事例を収集してわかっ
たことだが、事故の大半は、偶発で起きたわけではなく、人類初体験でもなかった。内容
のどこかしらに過去の事故との類似点が見つけられる。すなわち、失敗知識活用の過程と
して行うべきことは、まず個々の事例を収集すること、そして事例間の類似点に気付いて、
より共通的・反復的・抽象的・一般的な上位概念の形にして知識を抽出すること、次にそ
れを自分で暗記するだけでなく、組織の構成員全員の脳の中に刷り込むことである。
プログラム実施期間の後半では、この収集後の失敗知識活用方法に集中した。活用する
には、いわゆる「ナレッジ・マネジメント」の手法が必要になった。この必要性は、失敗
に関する知識だけではなく、設計・創造・企画の成功に関する知識にまで拡大しても同じ
だった。つまり、まず最初に個々の事例の内容を分解して、それを構築する上位概念群を
抽出することが必要になった。しかし、エンジニアの半数はそのナレッジ・マネジメント
ができなかったのである。
たとえば、タイタニック号の沈没は、不沈船という過信意識、救助ボート数の不足、氷
河警報や緊急救助の組織化不足、防水隔壁設計の手抜き、などが上位概念としてあげられ
る[1]。それがわかれば、世界貿易ビルのテロ破壊でも、(1993 年の地下の爆弾テロでもビ
クともしなかった)強靱ビルという過信意識、非常階段数の不足、非常時の消防と警察の
協力化不足、耐火被膜の設計の手抜き、などが類似点としてあげられることも理解できる
(「9.11 生死を分けた 102 分」ジム・ドワイヤー、ケヴィン・フリン、文芸春秋、2005、の
中にも、タイタニック号と原因は似ていると指摘している)。類似点が理解できれば、その
知識を水平展開して、「次の関東大地震時に安全神話の新幹線が脱線しないか」というよう
な未来を予測するときの検討点も同様にあげられるはずである。
しかし、このようなナレッジ・マネジメントが不得手な組織員の半数には、これらの手
法を教育してもなかなか失敗知識活用までには至らなかった。これらの半数には、いわゆ
る危険予知訓練のように、具体的に失敗知識が活用できそうな典型的な事例を予め用意し
106
ておいて、それを言葉だけでなく視覚的にマンガで提示するか、またはコンピュータで仮
想体験させるか、または実際に体を動かして実地体験させるかして、自らが状況を想定し
て能動的に頭を働かせて上位概念を理解してもらう方法が不可欠であった。その一例が上
記のロールプレイングゲームや失敗疑似体験ソフトである。
このように、失敗知識は集めるだけでなく、選んで使わなければ役に立たない。さらに
自分で選べず使えない人には、予め選んでおいた知識を自ら学ばせる手法を用意しておか
ないと、失敗知識は活用できない。
(成果のクオリティ)
これまでに、工学に関する事故や災害の事例は多くの書籍や雑誌でまとめられているが、
本失敗学では事例収集だけでなく、上記の成果概要で詳述したように、その知識を扱うた
めのナレッジ・マネジメントを検討したところが特長としてあげられる。
筆者は5.研究成果の公表で示すように、70 回以上と多くの講演や 20 編以上の解説記事
で失敗学を説明したが、それらの内容は、ほとんど上述した失敗のナレッジマネジメント
の手法の提案と試行結果の報告とそれに関する討論である。たとえば、講演の案内として
「事故や不具合、トラブルのデータを集めてデジタル化して社内公開しても、半年すれば
誰も見なくなる。そのせっかく集めた知識群を実際に社員全員の脳に刷り込む方法を説明
する」と記述して出席者を集め、実際に失敗知識の扱いに困っていたエンジニアと討論し
た。
また、“失敗学の元祖”として畑村洋太郎氏が、多くの書籍や講演を通して、失敗学を提
案している。つまり、彼は失敗を隠さず、その知識を活用せよと提言し、具体的には、失
敗事例を捨てずに収集してその性質を分析することから始めよと指示している。確かに、
これらの提案は総論的には正しく、組織のトップに理解させる“哲学”としては力強いが、
その組織の構成員には具体的に何をすべきかが指示されず、彼らが右往左往しているのが
現状である。つまり、トップの指示によって、まずは社内で失敗事例集を作るのだが、上
述したようにそこで行き詰まってしまう。そういう筆者も上述の科学技術振興機構の失敗
知識データベース作成事業では、5 年をかけて畑村氏のもとで機械分野の事故事例集を作っ
たが、それを作るだけで資金と情熱が枯渇し、それをいかに活用してもらうかというナレ
ッジ・マネジメントの段階には達しなかった。
なお、このナレッジ・マネジメントの手法は、筆者らが以前から研究していたことであ
るが、設計・創造・企画などを過去の知識を使ってうまく成功させる手法と、実は同じで
あった(「設計のナレッジマネジメント」中尾政之、畑村洋太郎、服部和隆、日刊工業新聞
社、1999)。つまり、せっかく厚い設計ノウハウ集を作っても、適用条件がまったく同じと
107
いう設計事例にたまたま従事した人しか使ってくれなかったのである。適用条件が多少違
ってもそれを使えるようにするには、まず自分の設計事例の上位概念である要求機能や制
約条件を記述し、次に検索して収集した一般的な設計解から下位概念である自分の適用条
件下での特殊解を導かないとならない。たとえば、長大トンネルの避難方法を検討すると
き、避難路の確保という上位概念を設定すれば、タイタニック号の救助ボートや世界貿易
ビルの非常階段の事例が参考にでき、下位概念の特殊解として平行避難孔の掘削やシャル
タの設置を導けば、たとえ地震やテロが起きても短時間で大人数の避難という最初の機能
が達成できる。いくつかのテストを通してわかったことだが、たしかに、このような思考
手法で設計知識を扱えるエンジニアは、失敗知識も扱えた。つまり、ナレッジ・マネジメ
ントの手法は同じなのである。
3-2 「失敗を生かす社会システムの提示」に関する効果
1) 失敗を活かす社会システムの提案[1][5]
(成果の概要)
失敗の原因究明を重視し、失敗が技術や制度の改善につながるようにするための社会シ
ステム、すなわち法制度、経済制度、社会通念、教育等のあり方を、目標に示すように提
示した。
たとえば、工学分野で責任追及よりも事故調査を先行できる法制度の提案し[9]、失敗を
公開して積極的に後処理した方が秘匿するよりも経済的損失が小さいことを示した[11]
[56]。また、工学の設計や実験が複雑になって、同業者でも直観では間違いが見つけられ
なくなったので、設計のチェックシステムの再構築を提案した[55]。失敗知識を活かして
いるという実態を、機械分野だけでなく、建築土木、化学、鉄道、警察、外食産業、など
の分野に拡げて調査・寄稿してもらって、日本機械学会誌に2年間、連載した[19]-[42]。
(成果のクオリティ)
設計や企画に関して、失敗の技術的側面だけでなく、失敗の組織的側面を分析したこと
が本失敗学の特徴である。このような人文社会的な研究は、これまでは工学分野の主流か
らはほとんど無視されていたので、本失敗学の解説記事や講演はエンジニアの集う企業や
学会で注目された。
たとえば、日本機械学会誌(会員数は約 4.5 万人)において「失敗を活かす」シリーズ
として、非技術的な側面に焦点を当てた解説記事が 2 年にわたって連載されたことは特記
すべきことである。これまでは非技術的な分析はヒューマンエラーまでであり、経営や法
律、保険、犯罪、道徳まで含めて分析することは、機械学会会員が相手にすべき事項の範
108
囲外であった。最近、日本の社会が成熟して「役に立つ技術を導入すれば必然的に社会も
喜ぶ」という従来の単純な構造が成立しなくなったことも背景にあった。しかし、機械の
エンジニアも設計の制約条件として、社会の対応も含めて考えなければならないというこ
とを、あらためて実感させるのに本失敗学は大きな効果があった。
2) 創造設計演習や NPO 失敗学会での失敗対応力向上方法の試行[1][2(4 章)][5]
(成果の概要)
社会システムの中の教育に注目して、失敗を生かしながら新しい製品を産み出す方法を
提案し、それを学部3年生向けの創造設計演習や、2002 年に設立した NPO 失敗学会におい
て実験して、知識を有効に生かす個人や組織のあり方を、目標どおりに検討した[2(4 章)]。
この3− 2、2)の内容も、3− 1で上述したようにナレッジ・マネジメントの手法を
追加して検討した結果である。つまり、創造的な設計や失敗回避策を得るためには、エン
ジニアにはナレッジ・マネジメントの能力が必要であった。たとえば、上記の学部3年生
向けの創造設計演習では、その設計課題として自由だが新規である課題を課したため、過
去の失敗や成功の事例にはその課題とまったく同じものが存在しないので、検索したもの
をそのまま模倣することはできない。何とかして似たような事例から有用な知識をすくい
とることが不可欠になる。たとえば、サッカーロボットを徹夜で調整したのに昼からの本
番で光学センサが誤作動した、という失敗事例が自分の射的ゲーム機と異なるから使えな
いと考えてはならない。工学センサでは夜の照明と昼の日照では感度が異なる、という知
識にすれば設計対象が何であっても一般に適用できる。
ナレッジ・マネジメントにおいて、上述したように、上位概念で類似性に気付くときも、
下位概念に水平展開するときも、知識を活かすには、自分以外の構成員に概念を短い言葉
で伝達する能力が不可欠である。演習の受講者には、「設計者の仕事は図を描くことで言葉
遊びではない」と非難をされたが、言葉も CAD やドラフターと同様に道具として扱えるよ
うになるべきである。
さらに実験から得た結論であるが、失敗を活かしたり、創造を思いついたりする働きに
は、次のような能力が必要となる:[失敗対応力または創造展開力]=[(1)問題設定能力]+
[(2)問題解決能力]+[(3)先天的な性格]+[(4)後天的な教育]。そして、実際はそのうちの
[(1)問題設定能力]と[(4)後天的な教育]の影響が大きかった[2]。
問題設定能力は、これまでに述べたナレッジ・マネジメントの手法において最初に行う
べきことである。つまり、「何に困っているのか」「何がしたいのか」「何に不安を感じるの
か」という“思い”の分析能力である。たとえば、野球ロボットの光学センサの前をボー
ルが横切ったのにバットを動かすアクチュエータが動かない、という不良が生じたときに、
109
それを分析して、光学センサのオンになるしきい値を背景光にかかわらず一定にしたい、
と工学的な言葉で要求機能を記述することである。記述さえすれば、ノウハウを検索でき、
センサの前に筒状のカバーを設置する、という設計解が得られる。つまり、問題設定能力
があれば、問題解決能力は従属的に獲得できる。
このように問題設定能力は、「感情や概念を言葉で一意的に表せる」という国語力が必要
であった。確かに、論理力を試すテスト結果は、創造的な設計のアイデアの創出結果と有
意的な相関があった[2]。日本語の概念で混乱するようなエンジニアは、自分が何を設計
すべきかを日本語で部下に伝達できず、または設計解の新規性を特許の請求項に記すこと
は困難であった。国語力は大学やそれ以後の企業での設計教育以前で得るべき基本能力で
ある。NPO 失敗学会では、企業のエンジニアを対象に、3-3、3)で後述する創造設計エ
ンジンと呼ぶナビゲーションツールを用いて、設計の要求機能を列記させたが、参加した
約 30 名のうち、半数はどのような設計対象でも、要求機能を記述できたが、残りの半数は
何度やってもできなかった。また、学部3年生向けの設計工学の講義でも、同様に紙に思
考展開図を描いて、要求機能を列記させたが、やはり半数は書けたが半数は難しかった[5]。
このように問題設定能力は大学以前に決定されるので、それと関係する国語力を大学以前
に磨くことが必要になろう。
なお、後天的な教育とは、動機付けして設計解を得るまでやる気を持続させる教育であ
る。いわゆるコーチングであり、設計解を教えて作らせるティーチングではない。コーチ
ングでは設計解のヒントまでは教えるが、主体的に自分で考えさせ、最終的に自分で設計
解を導くまで教育する。実際に演習において、ティーチングアシスタントにコーチングを
徹底させると学生のやる気が出て好結果が得られた。
(成果のクオリティ)
失敗を回避し、成功を導く設計力は、従来は勘と経験、つまり設計解に関する獲得情報
量に比例すると言われてきた。しかし、短い時間で便利で売れる商品を作るには、まず、
問題設定能力、つまり顧客が要求する機能として、互いに独立でしかも最少の数だけ記述
できる能力が不可欠のはずである[5]。本失敗学では、モノを作る設計力と言葉をあやつる
問題設定能力との関係を、実際に演習を通して定量的に記述してみたが、その実験自体が
新規的である。これまでに個人の創造性と相関がありそうなパラメータとして、好奇心旺
盛の性格、チーム構成員の性格の違い、コーチングによるやる気の違い、などをあげた研
究が行われてきたが、実際に工学部において創造的なものを作らせて結果を検討した例は、
スタンフォード大学の報告を除くとほとんどないし、仮にあっても無視されて公開されて
いない(スタンフォード大学の報告でさえ米国機械学会ではリジェクトされた)
。なお、こ
110
の問題設定能力を一般紙の新聞記事で解説したところ、一般の人には好評であった[44][48]。
しかし、設計力には問題設定能力が必要であるという仮説を支持する結果は、有意性が
あっても相関係数だと最大 0.5 程度で、確定的ではなかった。つまり、設計を行う前に心
理テストや論理テストを実施しても、その結果から個人の創造性を一意的に予測すること
は難しいことがわかった。やはり、演習を行って、その実習過程で創造性を計測しないと
ならない。しかし、演習クラスの集団の総和として創造性を発揮させるためには、高い国
語力に裏打ちされた問題設定能力と、コーチングによって学生本人に主体的に考えさせる
教育とが効果的である。
今後も、設計に関して概念や言語、文脈、性格などとの影響を確度よく予測するには、
心理学や論理学、教育学のような人文科学との連携が必要である。
3-3 「研究成果を生かすための実装方法の開発」に関する効果
(成果の概要)
次の 4 つの実装を1-3の目標に示したとおりに試作し、公開した。
1) 失敗事例群を提示した Web サイトのデータベースの開発
ケーススタディとして個々の失敗事例を収集し、さらに短時間で全体像を俯瞰できるよ
うに、それらを体系化して、次の Web サイトのデータベースを開発した。3− 1でも前述
したが、具体的に(本社会技術プロジェクトとは別のプロジェクトだが)科学技術振興機
構で作った失敗知識データベース(http://shippai.jst.go.jp/)や、日本機械学会 失敗
知識活用分析委員会が作った失敗事例データベース(http://sydrose.com/)を開発・公開
した。
2) 失敗の対処方法や失敗事例の共通点を示した書籍の発行
エンジニアの失敗知識の管理方法として、失敗の対処方法や失敗事例の共通点を示した
書籍を発行した。これも3− 1で前述したように、「失敗百選」[1]を出版し、そこで失敗
事例を活用するまでの思考過程を示した。事例だけでなく知識を扱ったものとして各新聞
紙の書評で評価された[49]-[54][59]。
3) 設計の要求機能を自ら設定させるナビゲーションツールの開発
設計における上位概念、すなわち設計の要求機能を自ら設定させるナビゲーションツー
ルを開発した。具体的に(社会技術とは別のプロジェクトだが)筆者らが機械システム振
興協会の平成 10 年から 12 年の助成によって作成した「創造設計エンジン」を改良して、
111
http://sydrose.com/で公開した[5]。これは、3− 2で紹介したが、NPO 失敗学会のリーダ
研修会で使用し、設計の上位概念を創出するのに効果的であることを示した。
4) エンジニアの失敗対応力を高める失敗疑似体験ソフトの開発
エンジニアの失敗対応力を高めるために、コンピュータゲームによって失敗疑似体験し
て、失敗知識を自習できる失敗疑似体験ソフトを開発した。具体的には、いくつかのソフ
トを試作して http://sydrose.com/で、NPO 失敗学会向けに公開試用中である[37]。
(成果のクオリティ)
これまでに、失敗に関するデータベースの構築や、それを用いた研修方法の開発は多く
の民間企業で実施されていたが、いずれも公開されていなかったし、効果が定量的に明示
されていなかった。それに対して、本失敗学の実装は試用方法や結果が“正直に”公開さ
れているため、仮に組織内の研修でそれを用いるときも、研修方法を研修参加者に合わせ
て構築できる可能性を示している[1][5]。
しかし、これらをナレッジ・マネジメントが不得手な半数を含めて、全員に対して有効
に用いるには、3− 1や3− 2で繰り返し述べているように、ナレッジ・マネジメントの
手法に長けたインストラクタが必要である。今後は NPO 失敗学会を通して、インストラク
タの育成と実装の普及・展開を目指す。
4. 目標の達成状況
3.で述べたように、失敗学グループ全体の成果を総括すると、1.で述べた目標は十分
に達成されたと考える。
すなわち、プログラム開始当初の目標は、1)失敗事例を集めて、分析して防止策を提
案し、次に2)失敗知識を防止策として活用できる社会システムを提案し、さらに3)失
敗知識を活用するための具体的な実装を開発する、というものであったが、その3分割し
た小目標はいずれも達成された。
しかし、プログラムを実施していくうちに、失敗知識活用という大目標を阻害する要因
が存在することがわかった。その阻害要因とは、活用を目指す個人がナレッジ・マネジメ
ントの手法を会得しなくてはならないこと、しかもその手法を教育しても半数は会得でき
ないことである。
ここで言うナレッジ・マネジメントの手法とは、過去の事例と現在の状況との類似点に
気付き、その共通的・反復的な類似点を上位概念として設定すること、次にその上位概念
112
から一般的な防止策を検索し、さらにそれを自分の特殊な状況へ適用して下位概念の防止
策として導くことが主体である。
すなわち、5年間の失敗学の研究を通して、筆者らを含めて半数のエンジニアや学生の
ように、ナレッジ・マネジメントできる者が失敗知識を活用できる方法は、目標どおりに
実装を含めて提示できた。しかし、残りの半数のナレッジ・マネジメントできない者が失
敗知識を活用できる方法になると、未だ効果的なものがない。何しろ、彼らは、現在の状
況が過去の失敗と酷似していても、まったく同一でない限り、危険に気付かないのだから。
113
5. 研究成果の公表
5-1 社会技術に関連する卒業/修士/博士論文
論文名
論文の種類
著者[指導教官]
発表当時の所属
発表年次
該当なし
5-2 社会技術に関連するゼミ/講義等
講義名
教官
設計工学
中尾政之
技術の管理
中尾政之
技術の創造
中尾政之
受講者数(概
数)
講義の対象者
東京大学工学部3年
140 名
東京大学工学部 4 年生
東京大学大学院工学系研究科
東京大学工学部 4 年生
東京大学大学院工学系研究科
110 名
80 名
期間
H13~H17 年
4 月~7 月
H13~H17 年
4 月~7 月
H13~H18 年
10 月~2 月
5-3 一般へのセミナー/講演等
種別
講演名
講演者
講義の対象者
受講者数
(概数)
期間
NPO テクノ未来塾
30 名
会員
H17.12.3
第 4 回失敗学会年次大会 「新商品の失敗時の思考過程を公理的設計法で分析する-
中尾政之
企画・開発時の失敗を考える-」
NPO 失敗学会
会員
100 名
H17.11.28
「企画・開発の失敗について」
都道府県技術
担当者
80 名
H17.10.20
ゼミ
テクノ未来塾
「新技術創出のプロセス」「失敗学のすすめ」
シンポジウム
研修会
(財)全日本地域研究交流協会
114
中尾政之
中尾政之
種別
講演名
講演者
講義の対象者
受講者数
(概数)
期間
中尾政之
渋谷区世田谷区企
業の労務担当責任
300 名
者,安全衛生担当責
任者
H17.10.6
東京都立産業技術研究所
「創造設計学-何点取られても 1 点差で勝てばよい-」
中尾政之
中小企業者,
一般都民
150 名
H17.9.15
研修会
㈱テクノシステムセミナー
中尾政之
企業の技術者
20 名
H17.7.22
シンポジウム
日本学術会議シンポジウム「最先端技術の継承と保全
「科学と技術-ものづくりの視点から-」
中尾政之
企業の研究者
100 名
H17.5.31
シンポジウム
工学倫理
中尾政之
H17.5.19
シンポジウム
配管技術研究協会
講演会
富山大学にて第 3 回生産精密加工研究会「失敗知識を利用する」
東京大学学生
150 名
発電・化学プラント・
ガス・水道の配管に
30 名
関わる若手から中
堅の技術者
生産精密加工研究
会関連の企業,大学 30 名
の研究者
シンポジウム
秋田県 ISO 研究会 「失敗学のすすめ-失敗知識の再利用-」「バイオ・ナノデバイ
中尾政之
スに用いるマイクロ加工」
秋田県 ISO 研究会
100 名
会員
H17.3.10
講演会
新日本製鐵㈱八幡製鐵所
中尾政之
新日本製鐵社員
200 名
H17.2.25
研修会
㈱テクノシステムセミナー
中尾政之
企業技術者
20 名
H17.2.22
シンポジウム
渋谷労働基準監督署
「労働災害の防止,適性な労務管理等について
「失敗学」の観点から考える」
シンポジウム
「失敗のナレッジ・マネジメント・システムの導入」
「失敗学のすすめ
-知識は急に使えない- 」
「失敗に学び,失敗を生かす」
「失敗知識を脳に刷り込む
中尾政之
」
「失敗のナレッジ・マネジメント・システムの導入」
中尾政之
H17.2.17
中尾政之
日本原子力産業会
20 名
議会員
H17.1.26
中尾政之
フォーラム会員
500 名
H17.1.21-23
富士写真光機
社員
100 名
H17.1.19
日立製作所
第 45 回日立技術士会研修会「失敗学-失敗知識の再利用方法を探す-」中尾政之
講演会
日本原子力産業会議「失敗知識の再利用
ある-」
フォーラム
JST 異分野研究者交流促進事業フォーラム
講演会
富士写真光機㈱ 「知識を再活用しながら挑戦する-1 対 0 よりも 101 対 100 で勝っ
中尾政之
た方が面白い-」
「失敗学の試み」
115
H17.3.11
日立製作所技術系
100 名
社員
研修会
-賞味期限の長い原子力の情報に使い道が
H17.4.14
種別
研修会
講演名
コニカミノルタ
講演者
「失敗事例のナレッジ化のポイント」
「ナレッジ化の総括」「設計のナレッジマネジメント」
受講者数
(概数)
期間
中尾政之
コニカミノルタ社
30 名
員研修希望者
H17.1.14-15
中尾政之
NPO 失敗学会
会員
50 名
H16.12.13
研修会
失敗学会
セミナー
日本機械学会関西支部ウィークエンドセミナー2004
中尾政之
機械学会会員
120 名
H16.11.19
シンポジウム
中部品質管理協会 「失敗知識の再利用-失敗知識データベースを作っても誰も見な
中尾政之
い-」
中部品質管理
協会会員
150 名
H16.11.12
シンポジウム
日本鉄鋼協会
中尾政之
日本鉄鋼協会
会員
100 名
H16.11.5
シンポジウム
(社)公共建築協会
「失敗知識をマネジメントする」
中尾政之
一般の建築士
100 名
H16.10.26
平成 16 年度実務・専門研修「事故防止」
「失敗から学ぶ」
中尾政之
水道局技術・
技能系職員
100 名
H16.9.21
中尾政之
クラレ社員
100 名
H16.9.9
研修会
講習会
「ゲームと失敗学」
講義の対象者
東京都水道局
㈱クラレ
制御技術部会シンポジウム
「失敗を実際に活かす」
「失敗知識を脳に刷り込む」
「失敗学の全社生産技術開発への活用のための啓蒙」
「失敗知識の再利用-失敗ワクチンを後輩に残す-」
研修会
㈱テクノシステムセミナー
「失敗のナレッジ・マネジメント・システムの導入」
中尾政之
企業の技術者
20 名
H16.9.3
講習会
国土交通省東京航空局
「失敗知識の再利用-データベースを作っても誰も見ない-」
中尾政之
東京航空局職員
70 名
H16.7.27
シンポジウム
失敗学会 大阪夏の大会
「失敗知識の再利用-データベースを作っても誰も見ない-」
中尾政之
NPO 失敗学会
会員
20 名
H16.7.10
シンポジウム
日本機械学会 第 34 回安全工学シンポジウム
「失敗知識の再利用-機械失敗百選の編集-」
中尾政之
機械学会会員+
一般の
エンジニア
100 名
H16.7.1
シンポジウム
鉄鋼協会 第 75 回耐火物部会
「耐火物トラブルを防ぐための失敗知識の利用方法」
中尾政之
鉄鋼協会会員
100 名
H16.6.17
シンポジウム
都立科学技術大学
中尾政之
一般住民
300 名
H16.6.14
開学記念講演
「失敗学-失敗知識を再利用する-」
116
種別
講演名
シンポジウム
埼玉県産業技術総合センター
講習会
講演者
「失敗学-失敗知識を再利用する-」
講義の対象者
受講者数
(概数)
中尾政之
一般住民
神戸製鋼 加古川製鉄所
「生産トラブルを防ぐための失敗知識の利用方法」
中尾政之
製鋼部作業長,管理
100 名
職
H16.5.20
シンポジウム
多摩地域産業振興協会
中尾政之
一般の企業の
エンジニア
60 名
H16.4.15
研修会
㈱テクノシステムセミナー
「失敗のナレッジ・マネジメント・システムの導入」
中尾政之
企業の技術者
15 名
H.16.2.27
講習会
㈱富士通
中尾政之
GKI 社員
50 名
H16.2.16
講習会
富士通㈱関西システムラボラトリ
「失敗のナレッジ・マネジメント・システムの導入」
中尾政之
製造業エンジニア
50~60 名 H16.1.29
(リーダークラス)
講習会
IHI エアロスペース
中尾政之
IHI 社員
200 名
H15.11.21
ゼミ
(社)化学工学会
中尾政之
化学工学会会員
50 名
H15.11.14
シンポジウム
(社)日本鉄鋼協会
中尾政之
鉄鋼協会会員
100 名
H15.11.7
講習会
三菱電機㈱
中尾政之
三菱電機㈱
エンジニア
200 名
H15.10.7
研修会
㈱テクノシステムセミナー
「失敗のナレッジ・マネジメント・システムの導入」
中尾政之
企業の技術者
50 名
H15.9.19
フォーラム
(財)川崎市産業振興財団「第 46 回かわさきテクノフォーラム」
「失敗を生かす」
中尾政之
一般の技術者
36 名
H15.9.17
シンポジウム
(社)日本監査役協会 第 25 回監査役スタッフ全国会議
「事故調査と責任追及-失敗学の観点から-」
中尾政之
一般の企業
監査役
400 名
H15.9.12
研修会
東京都交通局
中尾政之
東京都交通局
職員
250 名×2
H15.7.28-29
日
セミナー
三井造船㈱ 失敗学セミナー
「失敗のナレッジ・マネジメント・システムの導入」
中尾政之
三井造船㈱職員
80 名
「失敗の研究から学べること」
「失敗学から創造設計へ」
「失敗をとう生かすか」
第 29 回経営ゼミナール
第 96 回厚板部会
機械技術部会講演会
「失敗知識の再利用」
「失敗知識の再利用」
「失敗を活かす」
平成 15 年度課題研修「事故防止研修」「失敗から学ぶ」
117
200 名
期間
H16.6.9
H15.7.18
種別
講演名
講演者
シンポジウム
第 33 回安全工学シンポジウム
ワークショップ
第 7 回超鉄鋼ワークショップ
セミナー
(財)電力中央研究所 第 3 回ヒューマンファクターセミナー
「失敗を分析して教訓を作ろう」
シンポジウム
シンポジウム
研修会
「機械分野の失敗知識の再利用について」
「企業活動における失敗知識の活用」
「失敗知識を再利用する」
(社)化学工学会
消防庁
「機械分野における失敗知識の活用」
危険物安全大会記念講演
東京都水道局
「事故の教訓の生かし方」
平成 15 年度実務・専門研修「事故防止」
「失敗から学ぶ」
第 1 回 FF 会例会
受講者数
(概数)
期間
中尾政之
一般のエンジニア 50 名
H15.7.10
中尾政之
一般のエンジニア 100 名
H15.6.24
中尾政之
一般のエンジニア 100 名
H15.6.19
中尾政之
化学工学会会員
60 名
H15.6.19
中尾政之
消防庁関係者
300 名
H15.6.9
中尾政之
水道局技術・
技能系職員
32 名
H15.6.5
中尾政之
一般の経営者
30 名
H15.5.30
中尾政之
電気炉部会委員
40 名
H15.5.28
シンポジウム
(社)科学技術と経済の会
シンポジウム
(社)日本鉄鋼協会
シンポジウム
防衛庁技術研究本部 平成 15 年度学術講演会
「失敗知識を再利用するためのナレッジマネジメント」
中尾政之
防衛庁技術研究本
100 名
部職員
H15.5.8
フォーラム
社会技術研究フォーラム
「失敗の対応力を予測・強化する手法について」
中尾政之
一般のエンジニア 100 名
H15.3.12
講習会
日置電機㈱
中尾政之
日置電機社員
200 名
H15.3.18
研修会
㈱テクノシステムセミナー
「失敗のナレッジ・マネジメント・システムの導入」
中尾政之
企業の技術者
15 名
H.15.2.28
研修会
中小企業大学校旭川校 研修「中小企業経営者セミナー(2)」
社長のための「失敗学」
中尾政之
中小企業の経営者・
40 名
役員・管理者
H15.2.14
セミナー
埼玉県総合政策部
中尾政之
埼玉県各行政委員
500 名
会職員
H15.2.3
講習会
東京三菱銀行
中尾政之
東京三菱銀行
行員
H15.1.23
第 61 回電気炉部会
「失敗知識の活用」
講義の対象者
「失敗知識の再利用」
「失敗を科学する」
危機管理セミナー
「失敗から学ぶ危機管理」
「失敗に学ぶ」
118
200 名
種別
講演名
講演者
講義の対象者
受講者数
(概数)
期間
中尾政之
東京都立学校
事務職員
第 3 回 SICE システムインテグレーション部門講演会(SI2002)
「失敗を活かす ーデータベースの情報から再利用のための知識へー 」
中尾政之
一般のエンジニア 400 名
H14.12.20
講習会
㈱IHI エアロスペース
中尾政之
IHI エアロスペース
200 名
社員
H14.12.19
講習会
㈱コニカ
中尾政之
コニカの研究者
50 名
H14.11.8
フォーラム
(社)日本機会学会 2002 年度年次大会市民フォーラム「科学技術と市民社会」
敗学の構築と失敗学習型社会システムの提示」
中尾政之
一般のエンジニア 50 名
H14.9.26
研修会
㈱テクノシステムセミナー
「失敗のナレッジ・マネジメント・システムの導入」
中尾政之
企業の技術者
20 名
H14.7.23
研修会
東京都水道局 平成 14 年度実務・専門研修「事故防止」
「失敗から学ぶ」
中尾政之
水道局技術,
技能系職員
90 名
H14.6.12
講習会
ソニー㈱学術講演会
中尾政之
ソニーの社員
200 名
H13.10.29
セミナー
東京都職員
中尾政之
電気職,機械職の都
50 名
職員
H13.9.13
セミナー
第 12 回設計・製造ソリューション展専門セミナー 「設計のナレッジマネジメント
中尾政之
-創造設計原理/TRIZ と失敗知識の活用-」
一般のエンジニア 100 名
H13.7.5
シンポジウム
(社)日本溶接協会 平成 13 年度原子力構造機器の材料,設計,施工,検査に関する
中尾政之
講習会」 「失敗学について」
一般のエンジニア 100 名
H13.2.8
シンポジウム
東京都立学校事務職員会
シンポジウム
実務研究会
「失敗を生かす仕事術」
「失敗をどう生かすか」
「創造設計を目指した失敗知識の活用方法」
「失敗に学ぶー学べる方法を考える-」
平成 13 年度専門研修
技術セミナーⅡ「失敗から学ぶ」
119
「失
100 名
H15.1.16
5-4 実績一覧(リスト)
分類
No.
形態
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
著者,作成者等
発表場所
発表年次
資料の
添付
著書
失敗百選
中尾政之
森北出版
2005.10
―
2
著書
安全安心のための社会技術
第 4 章第 2 節 失敗知識を用いた知識流通方
法の試み-失敗学
堀井秀之編
東京大学出版会
2006.1
―
3
著書
問題解決のための「社会技術」
堀井秀之編
中公新書
2003
―
4
著書
ヒューマンエラーの科学,8 章,
失敗から成功へ-失敗のデータベースから
大山正,丸山 康則編
麗澤大学出版会発行,廣池
学園事業部発売
2004
―
5
著書
創造設計学
中尾政之
丸善株式会社
2003
―
2001
○
2003
○
2003
―
2003
○
2003.7
○
2004.3
○
2004.9
○
1
全般
雑誌解説
機械工学における創造設計教育
雑誌解説
創造設計の教育から研究への展開
8
雑誌解説
これからの公共事業と技術職員の役割
9
雑誌解説
事故調査と責任追及− 失敗学の観点から
10
雑誌解説
失敗知識データベース構築の試み
11
雑誌解説
失敗の予知と回避
12
雑誌解説
危険予知能力を育む - 原体験がなければ危険
はわからない-
6
7
失敗を活かす社
会システムの提
示
機械の研究,第 53 巻,第 8
号 pp.815-821
機械の研究,第 55 巻,第
中尾政之
1号,pp.63-67
東京都職員研修所,政策課
中尾政之
題 ラ イ ブ ラ リ ー 5 ,
pp.45-57
ジュリスト, No.1245,
中尾政之
pp.38-42
畑村洋太郎,中尾政之, 情報処理 VOL44,No.7,
飯野謙次
通巻 461 号,pp.733-739
Risk
Management
中尾政之
Business , 19 巻 3 号 ,
pp.6-11
中尾政之
中尾政之
KGK ジャーナル,開隆堂,
Vol.39-4,pp.1
No.
分類
形態
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
発表年次
資料の
添付
中尾政之
ENERGY
for
the
FUTURE,Vol.27,No.4,
pp.2-3
2004.9
○
中尾政之
公共建築,46-4,#182,
pp.6-7
2004.10
○
中尾政之
品 質 , Vol.35 , No.1 ,
pp.11-17
2005.1
○
2005.8
○
2005.8
○
2005.10
○
2003.1
○
2003.2
○
2003.3
○
2003.4
○
2003.5
○
13
雑誌解説
14
雑誌解説
15
雑誌解説
創造設計と知識の活用
16
雑誌解説
福知山線脱線事故の教訓と JR の安全確立に
むけて「この事故をどうとらえるか」
中尾政之
シンポジウム実行委員会
事務局(JR の安全を考える
8・29 シンポジウム実行委
員会),pp.8-10
17
雑誌解説
失敗学を学ぶと事故は減るか
中尾政之
電気協会報 8 月号,
No.969,pp.5-9
18
雑誌解説
「生産技術が製造業を救う」
中尾政之
雑誌解説
失敗を活かす(連載講座の冒頭言)
中尾政之
雑誌解説
失敗から材料を学ぶ
小林英男
21
雑誌解説
社長の失敗を体系化する
畑村洋太郎
22
雑誌解説
災害事故のデータの蓄積とその知識の利用
辻明彦
23
雑誌解説
建設分野の失敗の正体
國島正彦
19
20
機械学会
「失敗を活か
す」連載講座を
企画
「でたとこ勝負」で身を滅ぼす
発表場所
著者,作成者等
知識をマネジメントする
配管・装置・プラント技術,
VOL. 45,No.4,pp.4-8
日本機械学会誌,Vol.106,
No.1010,pp.52-56
日本機械学会誌,Vol.106,
No.1011,pp.42-45
日本機械学会誌,Vol.106,
No.1012,pp.54-58
日本機械学会誌,Vol.106,
No.1013,pp.59-62
日本機械学会誌,Vol.106,
No.1014,pp.61-63
No.
分類
形態
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
著者,作成者等
24
雑誌解説
失敗から化学プロセスの安全を学ぶ
田村昌三
25
雑誌解説
コンピュータを用いた失敗知識のマネジメン
ト
飯野謙次
26
雑誌解説
失敗を活かすための社会学
大橋毅夫,薮田尚宏,寺
邊正大,江崎郁子
27
雑誌解説
事故の歴史展示館を用いた安全教育
関口雅夫
28
雑誌解説
スーパーカミオカンデと H-2 ロケットに共通
な失敗のシナリオ
土屋健介
29
雑誌解説
失敗の利益と損失
寺邊正大,薮田尚宏,大
橋毅夫,江崎郁子
中尾政之
30
雑誌解説
良い失敗知識の実例− 失敗本の紹介−
中尾政之
31
雑誌解説
実際に失敗を活かす-連載を再び始めるにあ
たって-
中尾政之
32
雑誌解説
事故が規格をつくり,規格が事故をつくる
小林英男
33
雑誌解説
事故調査・情報収集と法システム-日米比較
城山英明
34
雑誌解説
犯罪発生マップによる犯罪知識の提供
島田貴仁
35
雑誌解説
科学的根拠が揃っていないときに政治家はリ
スクを判断しなくてはならない
河合潤,薮田尚宏,寺邊
正大,大橋毅夫,中尾政
之
36
雑誌解説
37
雑誌解説
38
雑誌解説
立山カルデラ砂防博物館による災害知識の提
供
失敗疑似体験ソフトウェアによる失敗知識の
再利用
自律分散制御システムによる鉄道のトラブル
回避技術の開発
水野正樹
飯野謙次
宮島弘志
発表場所
日本機械学会誌,Vol.106,
No.1015,pp.57-61
日本機械学会誌,Vol.106,
No.1016,pp.33-36
日本機械学会誌,Vol.106,
No.1017,pp.96-100
日本機械学会誌,Vol.106,
No.1018,pp.65-67
日本機械学会誌,Vol.106,
No.1019,pp.57-60
日本機械学会誌,Vol.106,
No.1020,pp.49-52
日本機械学会誌,Vol.106,
No.1021,pp.59-63
日本機械学会誌,Vol.107,
No.1025,pp.66-69
日本機械学会誌,Vol.107,
No.1026,pp.68-72
日本機械学会誌,Vol.107,
No.1027,pp.63-66
日本機械学会誌,Vol.107,
No.1028,pp.46-49
日本機械学会誌,Vol.107,
No.1029,pp.89-93
日本機械学会誌,Vol.107,
No.1030,pp.68-71
日本機械学会誌,Vol.107,
No.1031,pp.57-60
日本機械学会誌,Vol.107,
No.1032,pp.37-41
発表年次
資料の
添付
2003.6
○
2003.7
○
2003.8
○
2003.9
○
2003.10
○
2003.11
○
2003.12
○
2004.4
○
2004.5
○
2004.6
○
2004.7
○
2004.8
○
2004.9
○
2004.10
○
2004.11
○
分類
No.
形態
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
著者,作成者等
2005.1
○
2005.2
○
2004.1.13
2004.2.23
○
○
中尾政之
読売新聞
2004.3.1
○
中尾政之
中尾政之
読売新聞
読売新聞
2004.3.8
2004.3.15
○
○
中尾政之
読売新聞
2004.3.22
○
中尾政之
中尾政之
中尾政之
中尾政之
中尾政之
中尾政之
中尾政之
山陽新聞
神奈川新聞
山形新聞
岐阜新聞
福井新聞
神戸新聞
読売新聞
2005.12.11
2005.12.16
2005.12.16
2005.12.17
2005.12.20
2005.12.22
2005.12.27
○
○
○
○
○
○
○
査読付論文
Quantifying Profit and Loss Associated with
Failure Cases
Masayuki
Nakao,
Naohiro
Yabuta,
Masahiro Terabe
ASME 2004, Salt Lake
City, Utah USA
September
28 October 2,
2004
○
査読付論文
Organizational
Applications
Knowledge Management
Masahiro
Terabe,
Naohiro Yabuta, Jun
Kawai, Takeo Ohashi,
Masayuki Nakao
ASME 2005
Long Beach, California,
USA
September
24-28,
2005
○
40
雑誌解説
食材リスクと戦う
安部修仁,中尾政之
41
雑誌解説
ドアプロジェクトに学ぶ
畑村洋太郎
42
雑誌解説
失敗知識活用を目指した組織活動の調査
中尾政之
新聞記事
新聞記事
いきいきサイエンス 企業不祥事代償大きく
快テク生活 ジュース缶には 12 項目の機能
快テク生活 思いを言葉に そして,形に導
く
快テク生活 スタートは問題作りから
快テク生活 「つまり」と「たとえば」
快テク生活 失敗学には「直観」が
不可欠
失敗から学ぶ設計-事例まとめ出版
失敗から学ぶ設計-事例の研究まとめて本に
失敗から学ぶ創造的設計
失敗なくすための「失敗学」
失敗研究し設計に活用
失敗から学ぶ設計
人知介入 困難な時代
45
新聞記事
46
47
新聞記事
新聞記事
48
新聞記事
49
50
51
52
53
54
55
新聞記事
新聞記事
新聞記事
新聞記事
新聞記事
新聞記事
新聞記事
57
○
中尾政之
中尾政之
前田又兵衞
56
2004.12
○
建設業-事故を語り継ぐ
失敗を活かす社
会システムの提
示
資料の
添付
2005.3
雑誌解説
全般
発表年次
日本機械学会誌,Vol.107,
No.1033,pp.72-75
日本機械学会誌,Vol.108,
No.1034,pp.62-65
日本機械学会誌,Vol.108,
No.1035,pp.42-44
日本機械学会誌,Vol.108,
No.1036,pp.67-70
読売新聞
読売新聞
39
43
44
発表場所
of
Failure
分類
No.
形態
全般
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
著者,作成者等
58
講演論文
㈱IHI エアロスペースにおけるヒューマンエ
ラー防止活動について
岡田豊,間庭孝男,当間
康裕,中尾政之
59
新聞記事
失敗百選
中尾政之
書評
発表場所
第 35 回信頼性・保全性シ
ンポジウムプログラム《グ
ローバル時代のものづく
りと社会的責任》,日本科
学未来館
日本経済新聞
発表年次
資料の
添付
2005.6.8
○
2006.1.8
○
社会心理学研究グループ
研究開発成果・自己評価報告書
【 目 次 】
1. 研究開発の目標
1-1 違反に関わる意志決定手続きの特定と意志決定手続きガイドラインの提案
1-2 違反に関わる組織風土の特定と組織風土ガイドラインの提案
1-3 内部申告に関わる組織的・心理的要因の特定と内部申告制度に関するガイドラ
インの提案
1-4 職業的自尊心と違反の関連についての基礎研究とガイドラインの提案
1-5 違反に関わる潜在的態度測定手法の開発
2. 目標達成のための体制
3. 研究開発の成果とそのクオリティ
3-1 「違反に関わる意志決定手続きの特定と意志決定手続きガイドラインの提案」
の成果[16][17][19]
3-2 「違反に関わる組織風土の特定と組織風土ガイドラインの提案」に関する成果
[11][12]
3-3 「内部申告に関わる組織的・心理的要因の特定と内部申告制度に関するガイド
ラインの提案」の成果[23][24][25]
3-4 「職業的自尊心と違反の関連についての基礎研究とガイドラインの提案」の成
果
3-5 「違反に関わる潜在的態度測定手法の開発」の成果[49][50][51]
4. 研究成果の公表
4-1 社会技術に関連する卒業/修士/博士論文
4-2 社会技術に関連するゼミ/講義等
4-3 一般へのセミナー/講演等
4-4 実績一覧(リスト)
125
1. 研究開発の目標
社会の安心を損なうような大事故・大事件がある。原子力燃料臨界事故(1999)、自動車の
リコール隠し(2000)、牛乳による集団食中毒事件(2000)、牛肉の偽装事件(2002)、マンショ
ン・ホテルの耐震強度偽装事件(2005)などである。これらの事故・事件には、常に組織ぐる
みの違反が関わっている。本来、不法行為に対しては法令および法令に基づく取締という
確立された社会技術が存在する。しかしながら、これらの事故・事件は法令を意図的に無
視したところから発生しており、法的解決策に加えて新たな社会技術が求められているの
が現状である。
そこで、グループ内での議論や外部の研究者との検討会をもとに,「組織的違反」の原因
として,次の3領域を設定し社会技術の開発を試みた。
a.組織違反に関わる意志決定機構の要因(会議方法,採決方法等):1-1
b.組織違反に影響を与える組織要因(組織風土、内部申告制度等):1-2,1-3
c.組織違反に関わる個人要因(職業的自尊心、潜在態度等):1-4,1-5
1-1 違反に関わる意志決定手続きの特定と意志決定手続きガイドラインの提案
大事故・大事件においては、経営幹部らトップが参加した組織内の会議で話し合われた
上で不正が容認されてきたケースが多い。したがって「明らかに不正だと思われる案件が
議題に上がり、それについて議論されることになったのに、なぜそれが承認されるに至っ
たのか」という問題について意思決定過程の観点から検討することは、組織違反の防止に
貢献すると考えられる。そこで、違反に関わる意志決定過程の特徴を実証的に明らかにし、
そこから違反を抑止する意志決定機構の提案を試みることにした。
1-2 違反に関わる組織風土の特定と組織風土ガイドラインの提案
従来から、組織ぐるみの違反の背景に組織風土の問題があると指摘されてきた。しかし
ながら組織風土に対する具体的対策が講じられているかといえば、実際には“組織の風通
しが重要”、“安全文化の醸成”など、口当たりはよいがきわめて漠とした表現による提言
がおこなわれているのみで、実際に測定可能な概念は存在しなかった。そこで当グループ
では、社会心理学的手法に基づいて違反に関わる組織風土を特定し、それに基づくガイド
ラインを提案することにした。
1-3 内部申告に関わる組織的・心理的要因の特定と内部申告制度に関するガイドライン
の提案
組織的不正が狡猾な方法で隠蔽されている場合には、それを組織外部から知ることは難
しい。このような場合、組織内部からの内部告発が公益保護のための有効な一手段となり
うる。一方で、内部告発が組織にとって短期的には深刻なダメージをもたらし、組織内の
秘密を暴くことで、裏切り行為としての意味合いもある。
126
このようにアンビバレントな特徴をもつ内部告発を社会に有効に活かすために必要な社
会システムを提案するために、まず、「現在、内部告発が社会においていかに認識されてい
るか」「内部告発の実態はどうであるか」の実態を内外において把握し、今後の内部申告制
度に関するガイドラインの提案を試みた。
1-4 職業的自尊心と違反の関連についての基礎研究とガイドラインの提案
職業的自尊心(自分の仕事に誇りを持っているかどうかという主観的評価)は組織風土
の属人性よりは間接的な要因であることが予測されるが,組織における違反の予防因とし
て重要な心理的変数であると考えられる.また、仮に違反に直接影響する要因でないとし
ても、職業威信は法令や規則に定められた事柄を遵守し、可能な限り質の良い商品・サー
ビスを提供しようとする職業倫理に関連すると予想できる。そこで、職業的自尊心と違反
の関連について基礎研究を行い、これからの職業倫理に関するガイドラインの提案を試み
た。
1-5 違反に関わる潜在的態度測定手法の開発
ある人物が違反をするかどうかには当然ながら個人差が関与しており、その影響は決し
て小さいものではない。したがって、違反を防ぐための社会心理学的措置を考える際に、
違反に関わる個人差を検討する必要がある。ただし、これまでの個人差測定手法(質問紙
法)では、本人が回答を偽ることが容易であり、違反のように隠蔽の動機付けが高い事柄
についてはほとんど役に立たない。そこで、違反に関わる個人差要因を、回答を偽ること
ができない方法で測定する手法の開発を試みた。
127
2. 目標達成のための体制
上記の目標を達成するため、社会心理学者を中心にメンバーを編成した。ただし、目標
達成のためには、多様な領域の専門家の力が必要であり、実際には下に述べるメンバー以
外にも、研修会講師等の形で協力を仰いだ専門家が多数いる。
氏名
岡本
浩一
今野
裕之
宮本
聡介
鎌田
晶子
上瀬
由美子
王
晋民
岡部
康成
小林
知博
足立
にれか
堀
洋元
本多ハワード
素子
石川
正純
下村
英雄
現在の所属・職位
専門分野
東洋英和女学院大学人
社会心理学
間科学部教授
リスク心理学
目白大学人間社会学部
助教授
常磐大学人間科学部
助教授
文教大学人間科学部
専任講師
江戸川大学社会学部
教授
千葉科学大学
危機管理学部助教授
愛媛女子短期大学
助教授
青山学院女子短期大学
助教授
社会技術研究開発セン
ター常勤研究員
社会技術研究開発セン
ター 常勤研究員
社会技術研究開発セン
ター非常勤研究員
東京大学原子力研究総
合センター助手
分担
グループリーダー
社会心理学
サブリーダー
社会心理学
サブリーダー(平成 16 年度迄)
社会心理学
社会心理学
認知心理学
サブリーダー、1-1(組織風
土)
1-1、1-4(組織風土、職
業威信)
1-3(内部告発、平成 15 年
度迄)
認知心理学
1-5(潜在的態度測定)
社会心理学
1-5(潜在的態度測定)
社会心理学
1-2(意志決定機構)
社会心理学
1-4(職業威信)
組織心理学
1-3(内部告発)
原子力工学
労働政策研究・研修機構
社会心理学
研究員
産業心理学
128
1-2(意志決定機構)
(平成
15 年度迄)
1-4(職業威信)
3. 研究開発の成果とそのクオリティ
3-1 「違反に関わる意志決定手続きの特定と意志決定手続きガイドラインの提案」の成
果[16][17][19]
◇成果の概要
実証研究
物事について最終的に決断を下す場でもある会議を中心とした決定プロセスを取り上げ
ながら、そこで起こり得る決定手続き上の問題を明らかにし、また、不正容認防止に寄与
する決定手続きとしてどのようなものがあり得るか、数値シミュレーションによる検討を
行った。主な結果は以下の通り。
①デフォルトのある意志決定手続き(「ご異議ございませんか?・・・それではこれをもっ
て了承されました」)について:多数決ルールでは、人数が多いほど結果に対するデフォル
トバイアスの効果は大きく(違反的案でも採択されやすい)、また、全員一致では、人数が
多いほどデフォルトバイアスの効果は小さい(多数決に比べてバイアスの効果が小さい)。
②〈多数派〉形成に寄与する決定手続きが決定結果へ与える影響:反対派(違反的提案
に反対する人々を想定)に日和見主義者が多く存在し、反対に賛同を得にくい状況では、
賛成派メンバーの賛成意見が会議中の発言の大部分を占めることとなり、日和見主義的な
反対派メンバーは殆ど話す機会を与えられない。このような状況下では、1/2 決定ルール・
2/3 決定ルールいずれの場合でも賛成派が楽々と案を可決してしまう。
ガイドライン
①決定手続きを整備し、それをメンバーに周知させること。
②少数派の影響力を強化するため、No と言える環境を整備すること。具体的には、少数
派であっても発言できるよう教育訓練を行ったり、発言促進者(ファシリテータ)の導入
が考えられる。
③決定プロセスを把握するため組織内部での決定手続きに関するデータを蓄積するこ
と。
④組織内意志決定プロセスの管理・監査体制の支持基盤を強化すること。
⑤コンピュータネットワークを用いた意志決定を導入すること。
⑥日本型意志決定システム(稟議等)に上記の知見を活用すること。
◇成果のクオリティ
①成果の社会的浸透
学会発表、審査論文、雑誌・新聞記事、講演会等あらゆる手段を用いて成果の公表・普
及に努め、社会的浸透をはかった。学問的には、[18]論文が“Gaming, simulations, and society:
Research scope and perspective. (R. Shiratori, K. Arai & F. Kato ,2004.)”の一部として国際的に高
129
い評価を受けた。また本邦においても書籍として本年度中に公刊され、組織の意志決定手
続きに関するガイドラインの普及が期待できる。
②問題解決のための社会技術としての有効性
近年、企業における意志決定手続きの健全性や適正性については、これまでになく注意
を払うべき対象となりつつある。たとえば、株主代表訴訟での司法判断では、取締役会そ
の他の実質的な経営判断を行う経営会議や常務会での決定が十分な情報収集や議論が行わ
れた上でなされたかどうか、適切な意志決定プロセスに基づいた上での合理的な判断なの
かどうかが重視されるようになってきた。つまり、判断の妥当性や合理性を示す材料とし
..
................
て、その判断によってもたらされた結果ではなく、適切な決定プロセスを経たかどうかが
取り上げられるようになっているのである。したがって、適正な意志決定手続きを特定し、
組織における実際の意志決定機構に導入することは、違反が直接的に抑止されるだけでな
く、違反抑止活動(コンプライアンス活動)として高く評価されることにもつながるであ
ろう。
③意義と応用可能性
会議研究に数値シミュレーションを導入する試みは、これまで内外を通じて行われてお
らず、この研究は新たな学問領域を開くものであったといえる。現時点では当グループの
みが研究を行っているが、今後追随する研究が現れてくれば、“適切な意志決定手続き”研
究の発展が期待できる。今後、可決基準やなるべく少数の議事規則の組み合わせにより、
組織の違反をどの程度抑止できるのかという検討が必要となろうが、そのための試行手段
として数値シミュレーションは有力な手段となるであろう。
3-2 「違反に関わる組織風土の特定と組織風土ガイドラインの提案」に関する成果
[11][12]
◇成果の概要
実証研究
有職者を対象とした有意抽出による調査(2002 年、382 名)および、有職者を対象とし
た無作為抽出による調査(2002 年、492 名)を通して、次の結果が明らかになった。
・ 組織内の違反は、個人の裁量の範囲で行われる個人的違反と、組織ぐるみで行われる
組織的違反に分類できる。
・ 多様な組織風土指標を取り上げ、違反との関連を検討したところ、違反との関連が認
められたのは“命令系統の整備”と“属人風土”であった。このうち、組織的違反と
関連するのは“属人風土”のみであった(下図)。
130
N =481
e15
権限の明確化
.5 1
.6 2
e14
マニュアル・
規則の整備
e13
命令報告経路
の整備
命令系統の
整備
.7 3
好き嫌いで評価
e25
体面を重んじる
e27
e28
e29
誰の責任かを
優先
提案者に
よって異なる
e1
出勤時間への
遅刻
e2
-.2 9
勤務中にさぼ れ
な い (R )
e3
.7 5
会社ぐるみの
不正
e4
効率のための
違反
e5
.6 6
d101
-.2 5
e24
個人的違反
の容認
-.4 9
会社の電話
の私用
.6 2
.2 0
.6 5
.5 0
.6 9
.6 7
組織的違反
の容認
.6 8
属人風土
.6 1
.4 5
.5 3
d102
誰に頼まれたか
で決まる
誠 実 さより組 織 へ
の貢献
e6
図 違反と組織風土の関連に関する共分散構造分析の結果
・属人風土の高低群ごとに具体的組織違反の件数を見ると、属人度が高くなるほど組織違
反が増加する明瞭な傾向が認められた。
(件) 60
50
組
織
的
違
反
の
件
数
組織風土の属人度
属人度低
属人度やや低
属人度やや高
属人度高
40
30
20
10
0
法律違反の放置
不祥事隠蔽の指示
規定手続きの省略
組織的違反
組織風土の属人度と違反の件数(n =487)
以上から、組織的違反の発生に属人風土がきわめて重要な組織要因として関与している
ことが示されたといえる。
組織違反に関わる風土上の特徴として属人風土が特定され、当初の目的はほぼ達成され
たと言える。これまでの長い組織産業心理学的研究で組織風土についての種々の次元が提
案されてきたが、組織違反を予測する次元が発見されたのははじめてである。分散説明率
などの分析から、これを超える予測変数が発見される可能性は低い(補足的変数はあり得
る)。
131
ガイドライン
自分が属している組織がいかなる組織風土を持っているのか定期的にモニタリングする
ことによって、組織風土は適正な方向へと変容していくものと期待できる。したがって、
一定以上の規模を持つ事業所は、できるだけ厳密な方法を用い、かつ定期的な組織風土調
査を実施することが望ましい。
◇成果のクオリティ
①成果の社会的浸透
学会発表、審査論文、雑誌・新聞記事、講演会等あらゆる手段を用いて成果の公表・普
及に努め、社会的浸透をはかった。とりわけ企業や組織におけるこの分野の関心はきわめ
て高く、企業を対象とした講演会は十回を越えている。また、事故・事件に際して新聞へ
の寄稿も多数行った。さらに、書籍として本年度中に公刊され、組織風土に関するガイド
ラインの普及が期待できる
②問題解決のための社会技術としての有効性
“風通し”、
“安全文化”など、これまで漠然としか捉えられてこなかった概念について、
概念定義を明確にし、測定方法を開発し、違反との関連を実証的に検討したことは意義が
大きい。しかも,今回違反と関連する主要な組織変数として取り上げた“属人風土”は組
織的違反と明瞭な関連を持っており,属人風土の改善による組織違反の抑止効果が期待で
きる。測定精緻化のための改善修正や外国語の測定が課題だが、現状のままでも十分実装
に耐える。
③単純なコンプライアンス活動への警告
金融不祥事、東電不祥事、自動車会社リコール隠しなどの影響を受けて、多くの組織で
いわゆるコンプライアンス活動がすすめられているが、組織風土改革を伴わぬコンプライ
アンス活動は危険である。これらの活動の大半は規定の明瞭化の試みにすぎない。それが
個人的違反の抑止に力があっても、組織的違反の抑止につながらぬのは本研究から明らか
である。その警告を実証的根拠に基づいて発することができるのは本研究の大きなメリッ
トである。
3-3 「内部申告に関わる組織的・心理的要因の特定と内部申告制度に関するガイドライ
ンの提案」の成果[23][24][25]
◇成果の概要
実証研究
はじめに内外の法制度について分権的検討を行った後、2003 年度(無作為抽出による質
問紙調査)および 2005 年度(web 調査)に調査を実施し、内部申告に関する実態把握を試
132
みた。主な結果は以下の通りである。
①内部申告にたいしては比較的好意的なイメージを持っているが、内部申告者にたいし
ては否定的なイメージを持っている。
5
3 .9 7
3 .3 5
3 .3 6
3 .2 9
(.6 9 )
(.6 6 )
(.9 3 )
(.8 6 )
(.6 5 )
有益正義性
奨励必要性
強行正当性
組織破壊性
4
( 値 は 平 均 得 点 、 カ ッ コ 内 は SD値 )
組織健全性
因
子
得
点
3 .1 1
3 .7 7
2 .4 5
2 .1 9
3 .0 8
(.6 4 )
(.8 1 )
(.7 7 )
(.6 8 )
3
2
暗くてずるい人
「内部告発理由」
のイメージ
「内部告発」のイメージ
賢くていい人
否定的理由
肯定的理由
1
「内部告発者」
のイメージ
②内部申告経験者のうちの 3 割が組織による報復があったと報告している。
6.0
25.4
67.2
なし
何らか
ひどかった
③内部申告を促進する要因としては、同僚からのサポートが重要である。
法律や制度に関する研究をのぞくと、従来の内部申告研究は主として欧米の研究である。
内部申告に関する意識をあつかった日本の研究は、平成 14 年度に内閣府国民生活局が実施
した国民意識調査と企業意識調査、および、九州大学の研究チームによる看護師を対象に
した研究(藤村, 2004; 藤村・古川, 2003a; 2003b)を除いて、ほとんどみられない。した
がって、今回の調査によって、貴重なデータが収集できたといえる。
133
ガイドライン
①コンプライアンス制度の確立と周知:
組織内の相談や、不正に関する情報をきちん
と取り上げる窓口を作る。そして、その利用方法や、どのように情報が処理されているか
について、周知させる。
②コンプライアンスのソフト面の充実:
単に窓口を作るのみではなく、実際にどのよ
うなプロセスがあるのかについても教育する。特に、マネジャーにはコンプライアンス教
育を徹底させる。また、教育の際には、内部告発や内部告発者に対する単純な善悪の植え
付けを避ける。
③トップは、常にコンプライアンスの意識をもつ:
トップの意識は、他の社員と乖離
する傾向がある。その点について、常に注意することが重要である。内部告発に限らず、
経営トップのコンプライアンスに対する認識が、組織全体に与える影響は大きいことを認
識するべきである。
④組織内で発言をしやすい雰囲気を作る:
発言者が不利益を蒙ったり、黙っているこ
とが得だと感じさせるような組織の雰囲気がある場合、その雰囲気を変える努力をする。
そのためには、実際に問題を解決するなど、小さな実績を積み重ねる。
⑤同僚間の信頼関係を作る:
社員同士を過度に競わせたり、ライバル心をあおること
は危険である。効果的にチームワークを取り入れて、従業員間の信頼感を作る工夫をする
ことが重要である。
◇成果のクオリティ
①成果の社会的浸透
学会発表、審査論文、雑誌・新聞記事、講演会等あらゆる手段を用いて成果の公表・普
及に努め、社会的浸透をはかった。また、研究成果は書籍として本年度中に公刊され、組
織風土に関するガイドラインの普及が期待できる
さらに社会的実装手段として、医療安全グループとの横断研究により,医療分野に特化
した研修教材を開発中である(2005 年度中に完成)。
②問題解決のための社会的技術としての有効性
近年,さまざまな事件の発生を契機として,内部申告制度の整備が進んでいる。法令の整
備だけでなく,企業のコンプライアンス活動の一環として企業内規定も充実しつつある。
しかし,いくら制度が充実しても,内部申告される数は実際の違反数を遙かに下回ってい
ると推測できる。内部申告制度は申告者を法的に守ることはできても,申告者を周囲の白
い目から守ることはできない。なぜなら,今回の調査結果が示すように,人々が内部告発
者を白い目で見ることをやめない限り,暗黙の集団圧力によって内部申告は強く抑制され
るのである。この点を明らかにしたことが,本研究の重要な成果と考えられる。
当グループとしては,内部申告に関する教育・研修プログラムの開発までは実施できなか
ったが,医療安全グループとの横断研究により,医療分野に特化した研修教材を開発中で
134
ある(2005 年度中に完成)。
3-4 「職業的自尊心と違反の関連についての基礎研究とガイドラインの提案」の成果
[36][40][41]
◇成果の概要
実証研究
無作為抽出による一般標本に対する調査(2003 年)および消防官を対象とする調査(2004
年)を通して,職業的自尊心と違反の関連,および職業的自尊心と職業倫理の関連について
検討した。
一般標本に対する調査では,下表(表中の数値は相関係数)に示すように職業的自尊心
と違反との関連はほとんど見られなかった。しかし,違反に対する抵抗感に関しては,個
人的違反に関しても,組織的違反に関しても統計的に有意な関連が認められた。
表 一般標本調査における職業的自尊心等と違反の関連
不正
個人的違反 組織的違反
個人的違反 かばいあい 抵抗感
抵抗感
職業的自尊心
-0.02
-0.08
0.19
0.14
***
**
(484)
(487)
(481)w
(478)
社会地位w
0.09
0.09
0.08
0.05
*
(490)
(493)
(487)w
(484)
社会責任w
-0.02
0.16
0.09
0.09
***
*
*
(492)
(495)
(489)w
(486)
職業的スティグマ
0.09
0.18
-0.09
-0.09
*
***
*
*
(493)
(496)
(491)w
(488)
* p < .05 ** p < .01 *** p < .001
( )の中の数値はNを示している。
また,消防官に対する調査においては、職業的自尊心と違反経験の間に有意な関連が認
められた。
表 消防官調査における職業的自尊心等と違反の関連
個人的違反経験
職務的自尊心
-.090 ***
-.080 **
職能的自尊心
(-.040)
(.017)
-.154 ***
-.128 ***
天職観
(
組織的違反経験
)表示は有意でない相関
** 高度な相関
135
p<.01
*** 極めて高度な相関
p<.001
さらに、職業的自尊心は,職業倫理との間に明瞭な関連を示した。
以上から,職業的自尊心は,違反に対して抑制的な影響を持つ上、職業倫理に対して促
進的に働くことが示唆された。これは,消防官のみを対象とした調査からも言えることで
あり,「同じ職業に就いていても,職業に対して感じる誇りは異なっており,誇りを感じて
いる人ほど社会全体に貢献することを意識して職務に就いている」ことが示されたことに
なる。
ガイドライン
企業コンプライアンス活動においては,職業倫理が強調されないケースはほとんど見受
けられないといってもいい。しかしながら実際には,職業倫理を高めるための具体的方法
が提案されているケースは皆無である。今回の成果を踏まえるなら, “ビジネス・エシッ
クス”,“エートス”といった職業上の倫理観の向上を図る際に,職業的自尊心からのアプ
ローチが有効であるといえる。
具体的な方法は業種・職種によって異なるであろう。一例を挙げるなら,食品加工工場
の従業員が,食品を実際に利用している消費者と直に対話する機会を設けるといった方法
が考えられる。
◇成果のクオリティ
①成果の社会的浸透
学会発表、審査論文、雑誌・新聞記事、講演会等あらゆる手段を用いて成果の公表・普
及に努め、社会的浸透をはかった。また、研究成果は書籍として本年度中に公刊され、研
究成果の普及が期待できる
②問題解決のための社会技術としての有効性
現在実施されている企業のコンプラアンス活動の多くは,
(社会的責任投資の考え方に代
表されるように)違反防止のためではなく,むしろ違反防止に力を入れていることを示す
ことによって株主や顧客の評価を上げ,結果的に収益を上げることを目的としている。も
ちろん,企業は「まず第一に安全があり,安全が確保される範囲でしか利益追求をしては
ならない」というごく当たり前の職業倫理は持っているであろう。しかし,コンプライア
ンス活動が活発化すれば,実際には有効性に乏しい事故・違反防止活動をも大々的にアピ
ールするようになり,結果的に「安全への取り組み」として宣言された活動は実際以上に
有効性が意識されることになる。つまりコンプライアンス活動をするほど安全が軽視され
るというパラドクスが生じてしまう。
このような現状を考えると,単にコンプライアンス活動を推進するだけでなく,その背
景に存在する職業倫理がいかなる性質を持ち,またいかなる要因によって高まったり抑制
されたりするのか,という基礎研究を地道に積み重ねていくことが必要であろう。同一ブ
ランドが大規模食中毒と牛肉偽装事件を起こしたとき,ブランドの崩壊を招いたのは消費
136
者に対して何ら被害を及ぼさない牛肉偽装事件の方であった。意図的な“違反”がブラン
ドの信頼を失墜させたのである。
職業的自尊心に関する基礎研究は,一見すると“社会技術”としての即効性に乏しいと
思われるかもしれない。しかしこのような基礎的検討なしに,原子力燃料の取り扱い手順
や鉄道の自動停止装置といった技術だけを信奉したところに大きな事故が起こったのでは
なかったか。事故後つねに「安全文化」「遵法精神」を強調しながら,文書で強調しただけ
で終わったことから同じことが繰り返されるのではないか。当グループが行った研究によ
って,職業倫理には職業的自尊感情が重要な影響を持っており,職業的自尊感情は同じ職
業でも多様であることから,単に職業や給与によって決定されるものではなく研修や教育
によって高めうる可能性が示された意義は大きいといえる。
3-5 「違反に関わる潜在的態度測定手法の開発」の成果[49][50][51]
◇成果の概要
実証研究
組織に対する態度,安全に対する態度,法令に対する態度,性差別に対する態度,など
企業活動において正確に測定すべき態度は多い。しかし従来これらの態度測定のためには
質問紙調査(アンケート)という手法が用いられており,簡単に虚偽回答が可能であると
いう重大な欠点があった。
さらに近年の研究によって,態度には顕在的/潜在的の二つのモードが存在し,心理的
に切迫した状態では潜在的態度によって行動が決定されるとされている(例えば,ふだん
は法令を守るべきだとの顕在的態度を持っていても,会社が倒産しそうになれば潜在的態
度であった安全軽視態度によって危険な手順を取るようになる)。
以上から,潜在的態度を測定するツールを開発することは有用性が大きい。そこで,潜
在的態度を測定する手法を用い,違反と潜在的態度の測定を試みた。主な結果は次の通り
である。
(1)違反意図と顕在的/潜在的態度の関連を検討するための実験を行った。違反意図
と顕在的上下関係重視傾向(質問紙で測定)の間には関連は認められなかったが,
違反意図と潜在的目上迎合性(IATで測定)の間には明瞭な関係があり,目上に
迎合的な潜在態度を持つほど,上司の命令で違反をしやすい傾向が認められた(下
図)。
137
(2)教育訓練によって内部申告者への態度を変容させられるか,顕在的/潜在的態度
の変化量を従属変数とした実験を行った。その結果,内部申告者に関するポジティ
ブ情報を与えると,顕在的態度はポジティブな方向に変容するのに対して,潜在的
態度はむしろネガティブに変化していた。これは,内部申告を促進するためのセミ
ナー等を行っても,顕在的態度だけが好意的になっても,その背後で潜在的態度は
むしろネガティブな方向に変化していることを示す。
ガイドライン
コンプラアンス活動の一環として社員の意識調査をする企業は少なくない。ただし,そ
の際に意識を測定するために用いられるのは質問紙であり,上司や同僚が回答を見る可能
性がある状況では,回答者はとうてい正直に答えるとは思えない。したがって,虚偽回答
できないという特徴を持つ潜在的態度の測定法を導入することが望ましい。この手法で測
定された潜在的態度は,単に虚偽回答できないと言うだけでなく,心理的に切迫した際の
行動を決定する要因であることから,事故/事件の際に影響力の大きい要因を測定できる
という利点もある。
◇成果のクオリティ
①成果の社会的浸透
学会発表、審査論文、雑誌・新聞記事、講演会等あらゆる手段を用いて成果の公表・普
及に努め、社会的浸透をはかった。また、研究成果は書籍として公刊される予定であり、
研究成果の普及が期待できる
138
②問題解決のための社会技術としての有効性
潜在的態度の測定法は開発済みであり,多様な態度測定に応用可能である。
組織違反の防止には,まずもって組織の性質を正確に測定することが肝要である。とり
わけ,組織風土,権威主義,職業倫理といった組織違反に直接関連する個人の態度を正確
に測定することなしに,実効性のあるコンプライアンス活動などできるはずなかろう。
違反に関連する意識としては安全意識,生産性重視態度,遵法意識,権威主義,職業的
自尊心等があり,今回開発した潜在的態度測定の方法で容易に測定できる。さらに,この
測定法は違反防止以外にも“性差別意識”など差別・偏見の測定にも簡単に応用可能であ
り,組織の健全性促進のための測定に広く応用できる。
③潜在態度測定プログラムの完成
潜在態度測定に関しては、(1)測定概念をPCディスプレイ上に表示し、(2)概念分類課題
を実施させ、その際の反応時間を測定する、ことが必要である。したがって、PCを用い
た測定が必須であるが、これまで、心理実験開発用のアプリケーションを用いてスタンド・
アロンのPCを用いて実験を行ってきた。しかしながらこの方法では、一度に 1 名しか測
定できないなど測定環境の制限が大きかった。そこで当グループでは、web サーバに実験
プログラムを設置し、web ブラウザを通して測定を実施するためのプログラムを開発した。
このプログラムにより、多数の組織構成員の測定が、短期間・低コストで実現できること
になる。
139
4. 研究成果の公表
4-1 社会技術に関連する卒業/修士/博士論文
特になし。
4-2 社会技術に関連するゼミ/講義等
特になし。
4-3 一般へのセミナー/講演等
種別
講演名
講演者
講義の対象者
受講者数(概
数)
期間
足立にれか
鎌田晶子
社員
医療関係者
2004.8
2004.8
岡本浩一
一般
2004.8
講演
講演
講演
講演
講演
鹿島電解株式会社「会議の心理学」
東京北社会保険病院「組織風土の心理学」
WEN「原子力をめぐるリスクコミュニケーション、リスクマネジメ
ント」
化学工業協会レスポンシブル研究センター「組織風土の心理学」
日本レコードマネジメント株式会社「会議の心理学」
宇宙航空研究開発機構「組織風土の心理学」
核燃料サイクル開発機構「安全意識の心理学」
千葉看護協会セカンドレベル講習会「組織風土と文化」
鎌田晶子
足立にれか
宮本聡介
今野裕之
鎌田晶子
安全担当者
社員
講演
法務省矯正研修所「リスクマネジメントの心理学」
小林知博
講演
コスモ総合研究所「企業の危機管理とトップリーダーシップ」
ニュークリア・セイフティー・ネットワーク「JCO 事故の分析と無責
任の構造」
桐蔭横浜大学コンプライアンス研究センターシンポジウム「組織的違
反の規定因:心理学からのコメント:法的に望みたいこと」
岡本浩一
2004.9
2004.9
2004.9
2004.7
2005.12
2004.12~2005.6 ま
で3回
2004.10
岡本浩一
2004.11
岡本浩一
2004.11
講演
講演
講演
講演
講演
講演
安全安心を実現する科学技術 人材養成プログラム(東京大学先端科
学技術研究センター)「組織的違反の規定因」
岡本浩一
講演
産業安全対策シンポジウム(社団法人日本能率協会)「企業行動と組
岡本浩一
職員
医療関係者
中央官庁の行政
官の中堅クラス
10 名程度
2005.1
2005.3
種別
講演名
講演者
講演
講演
講演
織風土」
日本学術会議「不祥事の Antecedent としての組織風土」
日本原燃株式会社「企業不祥事を招く組織風土」
上智大学経済学部「リスク・マネジメントの心理学」
講演
定期航空協会「不祥事と企業の体質、トップリーダーシップを考える」 岡本浩一
独立行政法人原子力安全基盤機構(JNES)「リスク・マネジメントの
心理学 」
科学技術連盟「リスク・マネジメントの心理学」
桐蔭横浜大学コンプライアンス研究センターシンポジウム「コンプラ
イアンスと組織風土」
講演
講演
講演
受講者数(概
数)
講義の対象者
期間
2005.6
2005.8
2005.10
岡本浩一
岡本浩一
岡本浩一
航空会社社長(ほ
ぼ全員)
2005.11
岡本浩一
2005.10
岡本浩一
2005.10
岡本浩一
2005.12
4-4 実績一覧(リスト)
No.
分類
形態
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
著者,作成者等
発表場所
発表年次
資料の
添付
1
全般
学会発表
岡本浩一,宮本聡介,今
安全性拡充のための「社会心理学的装置」の構想-安全文 野裕之,足立にれか,王 日本社会心理学会第 42 回大会発表
2001
化のための社会心理学-
晋民,岡部康成,鎌田晶 論文集
子,下村英雄
2
全般
学会発表
東海村臨界事故にみる新聞報道の時間的推移
堀洋元,下村英雄
日本社会心理学会第 43 回大会発表
2002
論文集
○
3
全般
審査論文
法人意思決定認証システム
岡本浩一,今野裕之
社会技術研究
2003
○
4
全般
書籍
岡本浩一,今野裕之(編) 新曜社
2003
―
5
組織風土
学会発表
鎌田晶子,上瀬由美子,
宮本聡介,岡本浩一,下 日本心理学会第 66 回大会
村英雄
2002
○
リスク・マネジメントの心理学
-事故・事件から学ぶ-
組織風土と違反の容認(1)
-属人的組織風土の観点から-.
―
資料の
添付
No.
分類
形態
6
組織風土
学会発表
組織風土と違反の容認(3)
-因果モデルを用いた検討-
鎌田晶子,上瀬由美子, 産業組織心理学会第 19 回大会発表
2002
宮本聡介
論文集
○
7
組織風土
学会発表
組織風土と違反の容認(2)
-違反容認傾向と組織風土の関連-
上瀬由美子,鎌田晶子,
日本心理学会第 66 回大会発表論文
宮本聡介,岡本浩一,下
2002
集
村英雄
○
8
組織風土
学会発表
属人的判断傾向の個人差に関する研究
鎌田晶子,今野 裕之,岡 日本心理学会第 67 回大会発表論文
2003
本浩一
集
○
9
組織風土
審査論文
組織における違反の現状
-組織属性・個人属性との関連分析-
上瀬由美子,宮本聡介,
社会技術研究論文集
鎌田晶子,岡本浩一
2003
○
10
組織風土
審査論文
組織制度・職場コミュニケーションが違反意識・違反経験 宮本聡介,上瀬由美子
に及ぼす影響
,鎌田晶子,岡本浩一
社会技術研究論文集
2003
○
11
組織風土
審査論文
組織風土による違反防止
-『属人思考』の概念の有効性と活用-
鎌田晶子,上瀬由美子,
宮本聡介,今野裕之,岡 社会技術研究論文集
本浩一
2003
○
12
組織風土
書籍
属人思考の心理学
岡本浩一,鎌田晶子
予定
13
意志決定
学会発表
14
意志決定
学会発表
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
著者,作成者等
発表場所
新曜社
発表年次
Paper presented at the 34th
Annual International Conference
Motivation Styles to Speak Out, Group Size, and Decision
Adachi, N., Ishikawa, M.
of the International Simulation and 2003
Rule as Determinants of Antisocial Decision: Simulation of
& Okamoto, K.
Gaming Association, Chiba,
Meetings
Japan.
Paper presented at the 34th
Annual International Conference
Development of simulation code to examine a proper Ishikawa, M., Adachi, N.
of the International Simulation and 2003
group decision making.
& Okamoto, K.
Gaming Association, Chiba,
Japan.
Paper presented at the 26th
Annual Scientific Meeting of the
International Society of Political
Psychology, Boston, USA.
○
○
15
意志決定
学会発表
Person-oriented style of decision-making in the Japanese
Okamoto, K. E.
industry, as manifestation of authoritarian personality.
2003
―
16
意志決定
審査論文
決議の規定因としての発話態度,決定ルールおよび集団サ 足立にれか,石川正純, 社 会 技 術 研 究 論 文 集 , Vol.1,
2003
イズ-会議のシミュレーション-
岡本浩一
278-287.
○
資料の
添付
No.
分類
形態
17
意志決定
審査論文
会議分析のための数値シミュレーション技法-組織内集 石川正純,足立にれか, 社 会 技 術 研 究 論 文 集 , Vol.2,
2004
団に見られる意思決定モデルの開発-
岡本浩一
362-369.
○
In R. Shiratori, K. Arai & F. Kato
(Eds.), Gaming, simulations, and
Motivation styles to speak out, decision rules, and group Adachi, N., Ishikawa, M.,
society: Research scope and
size as determinants of group decision making.
& Okamoto, E. K
perspective. Springer Verlag.
Pp.149-158.
2004
―
予定
―
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
著者,作成者等
発表場所
発表年次
18
意志決定
審査論文
19
意志決定
書籍
20
内部告発
学会発表
内部告発に関する態度と行動(1)―内部告発に対する態度 王晋民,宮本聡介,今野 日本心理学会第 67 回大会発表論文
2003
と心理特性との関係―
裕之,岡本浩一
集
○
21
内部告発
学会発表
内部告発に関する態度と行動(2)―組織コミットメント・ 王晋民,宮本聡介,今野 産業・組織心理学会第 19 回大会発
2003
職業的満足感との関係―
裕之,岡本浩一
表論文集
○
22
内部告発
審査論文
社会心理学の観点から見た内部告発
王晋民,宮本聡介,今野 社 会 技 術 研 究 論 文 集 , Vol.1,
2003
裕之,岡本浩一
268-277.
○
23
内部告発
審査論文
内部告発者保護法に対する態度と個人特性
王晋民,宮本聡介,今野 社 会 技 術 研 究 論 文 集 , Vol.2,
2004
裕之,岡本浩一
343-352.
○
24
内部告発
学会発表
内部告発動機づけに影響を及ぼす要因の検討
本多-ハワード素子,岡本 日本社会心理学会
浩一,王晋民
関西学院大学.
25
内部告発
書籍
内部告発の心理学 基礎編
岡本浩一,王晋民,本多新曜社
ハワード素子
26
職業威信
学会発表
原子力関連職業従事者に対する聞取調査(1)-職業に関 足立にれか,堀洋元,
する社会的威信の認知および自尊心についての検討-
今野裕之,岡本浩一
27
職業威信
28
職業威信
会議の社会心理学と社会技術
足立にれか,石川正純,
新曜社
岡本浩一
第 46 回大会,
2005
○
予定
―
日本心理学会第 66 回大会発表論文
2002
集
○
学会発表
原子力関連職業従事者に対する聞取調査(2)-尺度間の関 堀洋元,足立にれか,今 日本心理学会第 66 回大会発表論文
2002
連分析-
野裕之,岡本浩一
集
○
学会発表
堀洋元,上瀬由美子,下
日本心理学会第 67 回大会発表論文
職業的威信と職場における違反の関連(2)-職業的威信と
2003
村英雄,今野裕之,岡本
集
職場における違反の関連-
浩一
○
資料の
添付
No.
分類
形態
29
職業威信
学会発表
上瀬由美子,堀洋元,下
日本心理学会第 67 回大会発表論文
職業的威信と職場における違反の関連(1)-調査の枠組み
2003
村英雄,今野裕之,岡本
集
と職業的威信の分析-
浩一
○
30
職業威信
学会発表
下村英雄,上瀬由美子,
日本心理学会第 67 回大会発表論文
職業的威信と職場における違反の関連(3)-違反行動の規
2003
堀洋元,今野裕之,岡本
集
定要因-
浩一
○
31
職業威信
審査論文
職業威信と安全性拡充のための社会心理学装置の検討
2003
○
32
職業威信
学会発表
原子力〈問題〉のリアリティ定義を巡って(2):原子力関 足立にれか,堀洋元,岡 日本社会心理学会第 45 回大会発表
2004
連職業従事者を対象とした聞取調査から
本浩一
論文集,668.
○
33
職業威信
学会発表
消防官の主観的な職業威信(1)―調査の枠組み,および一 堀洋元,鎌田晶子
般有職者との比較―
,岡本浩一
日本心理学会第 68 回大会発表論文
2004
集 1200.
○
34
職業威信
学会発表
消防官の主観的な職業威信(2)―組織風土の側面から―
鎌田晶子,堀洋元
,岡本浩一
日本心理学会第 68 回大会発表論文
2004
集 1201.
○
35
職業威信
学会発表
消防官の主観的な職業威信(3)―主観的な職業威信の構造 堀洋元,鎌田晶子,
および向社会的意識・行動との関連―
岡本浩一
日本社会心理学会第 45 回大会発表
2004
論文集 662-663.
○
36
職業威信
審査論文
上瀬由美子,下村英雄,
組織における違反と職業威信 -有職者を対象としたサン
今野裕之,堀洋元,岡本 社会技術研究論文集, Vol.4.
プリング調査から-
浩一
2005
○
―
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
著者,作成者等
下村英雄,堀洋元
発表場所
社会技術研究
発表年次
37
職業威信
学会発表
足立にれか,堀洋元,王
原子力〈問題〉のリアリティ定義を巡って(2):原子力関 晋民,鎌田晶子,岡部康 日本社会心理学会第 46 回大会発表
2005
論文集,588.
連職業従事者を対象とした聞取調査から
成,
岡本浩一
38
職業威信
学会発表
消防官の主観的な職業威信(4)―尺度化および主観的な職 堀洋元,鎌田晶子,
業威信の属性別比較―
岡本浩一
日本心理学会第 69 回大会発表論文
2005
集 1351.
○
39
職業威信
学会発表
消防官の主観的な職業威信(5)―組織風土と違反の側面か 鎌田晶子,堀洋元,
ら―
岡本浩一
日本心理学会第 69 回大会発表論文
2005
集 1352.
―
No.
分類
形態
40
職業威信
審査論文
41
職業威信
書籍
42
潜在態度
43
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
主観的な職業威信と Pro-social 行動
を用いた検討―
著者,作成者等
―消防官サンプル 堀洋元,鎌田晶子,
岡本浩一
発表場所
社 会 技 術 研 究 論 文 集
118-127.
発表年次
3
資料の
添付
2005
○
予定
―
学会発表
リスク・コミュニケーションにおける認知プロセスの研究 今野裕之,王晋民,岡部 日本心理学会第 66 回大会発表論文
2002
(2)―既有知識・態度の影響―
康成,岡本浩一
集
○
潜在態度
学会発表
リスク・コミュニケーションにおける認知プロセスの研究 岡部康成,王晋民,今野 日本心理学会第 66 回大会発表論文
2002
(3)―態度変容に対する情報呈示条件の 1 週間後の効果― 裕之
集
○
44
潜在態度
学会発表
リスク・コミュニケーションにおける認知プロセスの研究 王晋民,岡部康成,今野 日本心理学会第 66 回大会発表論文
2002
(1) ―態度変容に対する情報呈示条件の効果 ―
裕之,岡本浩一
集
○
45
潜在態度
学会発表
規範意識と社会的認知の個人傾向
日本認知心理学会第 1 回大会論文
2003
集
○
46
潜在態度
学会発表
エラー行動と個人特性―IAT により性格特性によるエラー 岡部康成,今野裕之,岡
日本心理学会第 67 大会発表論文集 2003
行動の予測性
本浩一
○
47
潜在態度
学会発表
安全のための社会技術への催眠の応用可能性
岡本浩一
日本催眠医学心理学会第 49 回大会
2003
抄録集
○
48
潜在態度
審査論文
職場における違反と個人特性の関連
堀洋元,上瀬由美子,
下村英雄,今野裕之,岡 社会技術研究論文集, Vol.1
本浩一
2003
○
49
潜在態度
審査論文
安全確保のための心理特性の潜在的測定の有用性
岡部康成,今野裕之,岡
社会技術研究論文集, Vol.1
本浩一
2003
○
50
潜在態度
審査論文
IAT (Implicit Association Test)の社会技術への応用可能性
小林知博,岡本浩一
社会技術研究論文集, Vol.2
2004
○
51
潜在態度
審査論文
潜在的「目上迎合性」の測定ツールの開発
岡部康成,今野裕之,岡
社会技術研究論文集, Vol.2
本浩一
2004
○
52
その他
雑誌寄稿
東電の原発検査結果隠ぺい
全思想
岡本浩一
読売新聞 2002.10.8(夕刊)
2002
―
職業に対する「誇り」を職場に活かす ―消防官の職業的 岡本浩一,堀洋元,
自尊心に関する社会心理学的研究(仮)
鎌田晶子,下村英雄
社会心理学踏まえた多重安
岡部康成,鎌田晶子,
今野裕之,岡本浩一
新曜社
資料の
添付
No.
分類
形態
53
その他
雑誌寄稿
組織違反の社会心理学的分析
岡本浩一
心理学ワールド 2005.4.15
2005
―
54
その他
新聞寄稿
JCO 組織不祥事招く企業風土
岡本浩一
読売新聞 2004.5.30
2004
―
55
その他
新聞寄稿
国交省の記事内にコメント掲載:
「組織風土の格付けをせよ」
岡本浩一
読売新聞(関西版) 2005.6.8
2005
―
56
その他
新聞寄稿
組織の病根治へ
岡本浩一
読売新聞(関西版夕刊) 2005.9.6 2005
―
57
その他
雑誌寄稿
企業ドックのすすめ
岡本浩一
経済 Trend 2005.10 月号
―
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
厳密に数値化を
著者,作成者等
発表場所
発表年次
2005
法システム研究グループ 研究開発成果・自己評価報告書
【 目 次 】
1. 研究開発の目標
1-1 既存安全法制に関する横断的知識基盤の構築
1-2 安全法事例研究-安全にかかわる法制度における暗黙知とその限界の抽出
1-3 安全法制度設計手法の構築
1-4 具体的社会技術=安全法制度の提案
2. 目標達成のための体制
3. 研究開発の成果とそのクオリティ
3-1 「既存安全法制に関する横断的知識基盤の構築」に関する成果
3-2 「安全法事例研究-安全にかかわる法制度における暗黙知とその限界の抽出」
に関する成果
3-3 「安全法制度設計手法の構築」に関する成果
3-4 「具体的社会技術=安全法制度の提案」に関する成果
4. 目標の達成状況
4-1 「既存安全法制に関する横断的知識基盤の構築」に関する目標の達成状況
4-2 「安全法事例研究-安全にかかわる法制度における暗黙知とその限界の抽出」
に関する目標の達成状況
4-3 「安全法制度設計手法の構築」に関する目標の達成状況
4-4 「具体的社会技術=安全法制度の提案」に関する目標の達成状況
5. 研究成果の公表
5-1 社会技術に関連する卒業/修士/博士論文
5-2 社会技術に関連するゼミ/講義等
5-3 一般へのセミナー/講演等
5-4 実績一覧(リスト)
147
1. 研究開発の目標
法システムグループでは、「安全性確保に係る法システムの横断的分析と再構築」を目的
として、研究を実施した。
安全に関わる法制度というものは、科学技術を社会に導入する際に常にセットで導入さ
れてきたものであり、古典的な社会技術であるといえる。しかし、交通安全、医療・薬品
安全、化学プロセス安全、食品安全、原子力安全、地震防災等の様々な安全性確保のため
の法システムについて、これまで個別の分野において分断的に扱われ、統一的に扱われる
ことはなかった。また、これら各分野は比較的法学研究者の層が薄い分野でもあった。そ
して、これらの分野の法システムについては、科学技術等の発展に十分対応しているのか
といった問題提起が行われるとともに、他方、市民の十分な信頼を確保するシステムにな
っているのかといった問題提起も行われてきた。
以上のような問題提起を前提として、本研究においては、交通安全、医療・薬品安全、
食品安全、原子力安全、災害防止等様々な安全性確保の法システムを、ミッションプログ
ラムⅠの各分野の研究者と協働して、横断的分析によって、統一的な安全法システム制度
設計・運用についての基本的手法を明示化し、さらには再構築することを目的とした。
そのような目的を達成するために、以下の 4 点を目標に研究を実施した。
1-1 既存安全法制に関する横断的知識基盤の構築
既存の安全関係法制度の横断的知識基盤の構築を目標として、交通分野(航空・自動車)、
医療・医薬品分野、住宅防災分野、食品安全分野、原子力安全等の既存法システムの包括
的検討を基礎に、共通の視点を設定して横断的比較を行う。
1-2 安全法事例研究-安全にかかわる法制度における暗黙知とその限界の抽出
従来安全に関わる法制度の設計と利用は、行政と民間の様々な組織における実践的経験
に基づいて行われてきた。そこで、現場の実務家や技術者との対話や歴史的資料に基づき、
ボトムアップの詳細な事例研究を蓄積していくことを通して、安全に関わる法制度におけ
る制度設計と運用の課題について、暗黙知も含めて分析し、個別分野・局面における制度
設計・運用の意義と限界を明示化する。また、外国の事例についても、単に公式的制度を
紹介するのではなく、その運用実態と課題にまで踏み込んだ事例分析を試みる。
1-3 安全法制度設計手法の構築
安全に関わる各分野の技術的社会的特色と法制度設計の関係について検討することを通
して、各分野に適した制度設計の指針(選択肢と各々の選択肢に関わる様々な考慮事項)
について整理する。その際、技術的社会的条件(技術の担い手となる専門家の性格、関係
者の数・性格、基準の性格、決定の前提となる情報の性格と加工過程、組織体制等)と法
制度設計との連関、様々な法的手法(行政法的手法、民事法的手法、刑事法的手法、情報
148
提供や監査を用いる市場的手法)の組み合わせを選択する際の考慮事項、基準設定・実施
過程における民間・市場組織(専門家組織、保険会社、民間基準認証・認定機関を含む)
の利用可能性を規定する条件についても焦点を当てる。
1-4 具体的社会技術=安全法制度の提案
既存安全法に関する横断的知識基盤、安全法事例研究、暫定的安全法制度設計手法を基
盤として、ミッションプログラムⅠの各分野のグループとも協力しつつ、具体的社会技術
としていくつかの安全法制度の提案を行う。
2. 目標達成のための体制
法システム研究グループでは、リーダー城山英明を中心に、法学各分野(行政法、消費
者法、刑事法、エネルギー法、民法・医事法)
、政治学・行政学、科学技術社会論といった
領域の多様な専門分野の知を結集させた体制を構築した。
氏名
城山英明
小早川光郎
廣瀬久和
山本隆司
川出敏裕
田邉朋行
中島貴子
畑中綾子
現在の所属・職位
東京大学大学院法学政
治学研究科助教授
東京大学大学院法学政
治学研究科教授
東京大学大学院法学政
治学研究科教授
東京大学大学院法学政
治学研究科教授
東京大学大学院法学政
治学研究科教授
電力中央研究所主任研
究員
専門分野
行政学
研究リーダー
行政法
行政規制と企業
消費者法
民間機関の調査と補償・賠償
行政法
知識・情報創出と行政法
刑事法
刑事責任と事故調査
エネルギー法
原子力安全
社会技術研究開発セン
科学技術社会
ター 非常勤研究員
論
社会技術研究開発セン
ター 常勤研究員
分担
民法・医事法
食品安全
医療安全
3. 研究開発の成果とそのクオリティ
3-1 「既存安全法制に関する横断的知識基盤の構築」に関する成果
(成果の概要)
交通分野(航空・自動車)、医療・医薬品分野、住宅防災分野、食品安全分野、原子力安
全等の既存の安全法システムについて、主に以下の1)、2)、3)、4)の 4 つの視点(及
び追加的に責任追及の方式、市場制度の利用の仕方の視点)から比較と整理を行った。
149
1) 事故情報,不具合情報,安全情報の収集提供システム
事故情報、不具合情報は、当該分野のマクロレベルの安全性指標情報作成、対策検討の
ための技術情報として重要であるが、具体的にどのような情報を誰が収集提供しているか
に関して整理を行った。また、事前の安全情報は、被害を受ける可能性のあるエンドユー
ザーが被害回避のために用いる情報として重要であるが、これについても具体的にどのよ
うな情報を誰が収集提供しているかに関して整理を行った。
2) 基準策定における国、業界、学会、国際の分担協働
基準の策定は、事前の安全確保対策として必要不可欠である。基準の対象カテゴリーと
して、ハードに関する基準、オペレーターに関する基準、オペレーションに関する基準を
設定し、各カテゴリー毎に、国、業界、学会などがどのように関わっているか、国内基準
は国際基準と整合しているかについて、一定の技術をピックアップして、整理を行った。
3) 検査実施における行政、民間、国際の分担協働
検査実施は、事前に基準の遵守を確認・担保するものとして重要である。ハード、オペ
レーター、オペレーションの3カテゴリーについて、検査実施に行政、民間がどのように
関わっているか、国際間の相互承認、調和化が行われているかについて、整理を行った。
4) 被害者救済システム
被害者救済システムは、事後の安全確保対策、間接的には事前の安心確保対策として重
要である。被害者救済システムのあり方について、裁判外の紛争処理制度が整備されてい
るか、加害者の民事上の責任は民法の不法行為責任より加重されているか、保険・基金制
度や補償制度が整備されているかについて整理を行った。
以上の結果は、報告書(115、116、136)を取りまとめるとともに、ホームページにおい
て公開し、横断的整理に基く分析を論文(30)として発表した。また、横断的な制度に関
する基本的論点に関する分析(106、108、111、112)も行い、制度設計論の基礎を提供し
た。
(成果のクオリティ)
一定の幅の分野間の詳細な安全法システムの横断的比較を通して、安全確保のための法
制度設計の様々な次元に関する選択肢の幅を明らかにすることができた。このような詳細
な横断的比較は従来行われてこなかったものであり、このような作業だけでも新たな情報
基盤として有意義であったと評価される。
また、このような作業の結果、様々な分野における法制度の実態を横並びに見ることで,
他と大きく異なる特殊な分野を浮かび上がらせることができた。そして、当該特殊分野に
150
おいてどのような対応策がありうるのかについて、他の分野を参考に示唆を得る契機を提
供することができた。そして、様々な分野で共通の日本における法制度設計の共通の特色
についても示唆を得ることができた。
なお、平成 16 年 11 月には、法学関係研究者 4 名(宇賀克也教授(東京大学・行政法)、
能見善久教授(東京大学・民法)、佐伯仁志(東京大学・刑法)、太田勝造(東京大学・法
社会学))による研究評価を行うとともに、横断的研究成果の従来型の法学研究へのフィー
ドバックを試みた。法学研究者による研究評価では、法学の枠組みを超えた横断研究の意
義、また、法学研究各内部での相互作用が評価された。また、具体的には、従来補償機能
に重点があった民事責任の制裁機能や抑止機能が強調され、刑事・行政責任とより補完的
な役割をもつことや、企業過失責任論の導入により、組織そのものへの責任を問う必要性
がある点が指摘されるなど、分野横断的な知識基盤に基づく提言への期待が示された。
3-2 「安全法事例研究-安全にかかわる法制度における暗黙知とその限界の抽出」に関
する成果
(成果の概要)
現場の実務家や技術者との対話や歴史的資料に基づき、ボトムアップの詳細な事例研究
を蓄積していくことを通して、個別分野・局面において安全に関わる法制度における制度
設計と運用の課題について、暗黙知も含めて分析を行い、既存制度・運用の意義と限界を
明示化した。また、国内の事例だけではなく、外国の事例についても検討した。その際、
その運用実態と課題にまで踏み込んだ事例分析を試みた。具体的には、航空安全・事故調
査事例、原子力安全・化学安全事例研究、医療安全事例研究、食品安全・事故調査事例研
究、製品安全事例研究、保険制度事例研究を行った。このような研究を基礎として、総括
的分析も行った(140)。
1) 航空安全・事故調査事例研究
日米欧における航空事故調査委員会における調査と刑事手続き、行政的規制の関係につ
いて検討した。米国の航空事故調査の制度運用(29)、フランスの航空事故調査(76)、日
米の航空等事故調査に関する法律的検討(8、32)に関する諸論文を公刊した。
その上で、これまでの調査を基礎に日本や各国における航空事故調査委員会等における
調査と刑事手続き、行政的規制の関係についての比較分析を基礎に、事故調査と刑事責任
追及に関する論文を作成した(106)。なお、このまとめにおいては、航空だけではなく、
医療事故等も含めて検討し、事故調査と刑事責任の在り方一般につながる枠組みを提示し
た。また、制度設計と運用体制面についても論文を公表した(71)。
2) 原子力安全・化学安全事例研究
原子力安全に関しては、安全確保における内部告発制度や企業内部組織の役割(37-63)、
151
原子炉の停止再開プロセス(17)、基準認証(7)、民間第三者機関の役割(73)、100)に関
する検討を進め、論文として公刊した。
その上で、安全確保における内部告発を含むコーポレートガバナンス・品質保証の役割
(113)、技術基準の品質管理・規制機関のあり方(112)に関する枠組みを提示した。
また、基準設定における科学的情報の役割、基準認証・認定段階における民間組織の役割
について化学プロセスグループとの合同海外調査(イギリス)を行い、また、国内の実態
についても共通の調査を行い、論文(34)を公刊した。
3) 医療安全事例研究
日米における安全確保のための情報収集・提供、規制、医療施設の質認証、専門家組織
の役割、賠償・補償制度について検討し、論文を公刊した。具体的には、米国の情報収集・
提供、質認証、規制の制度と運用に関する論文(74)、米国の情報収集及び賠償制度運用に
関する論文(75)、日本の医療事故情報収集システムに関する論文(36)、日米の情報収集・
提供制度及び規制の運用に関する論文(82)、日本の現場の病院レベルでの事故報告制度運
用(医師と看護師の役割分担も含む)に関する論文(105)がある。
その上で、安全確保のための情報収集、情報提供、医療施設の質認証、専門家組織、行
政の役割に関する枠組みを提示した(109)。その際、病院レベル、規制レベルにおける医
師と看護師の役割のあり方(特に現場におけるサービス品質改善や事故調査に関して)に
も着目した。
4) 食品安全・事故調査事例研究
日本における歴史的事例であるカネミ油症事件・森永粉ミルク事件、水俣事件等に見ら
れる専門家、産業組織、裁判の役割や今後の規制の在り方について検討し、歴史的事例に
関する2本の論文(28、104)を公刊した。断片的に残されている素材や判例から事故にか
かわる対応の全体像を明らかにするという歴史的事例研究は、教訓把握を歴史的にさかの
ぼって行うという歴史的事故調査の実験という側面も持っていた。
また、このような歴史的事例研究を基礎に、近年設立された食品安全委員会におけるリ
スクコミュニケーションのあり方に関する提言を行った(78)。さらに、その上で、食品安
全を中心とする諸分野の事故調査のあり方および関連する補償のあり方に関する研究をま
とめた(110)。
5) 製品安全事例研究
製品安全に関する基準認証は国際化が進むとともに、民間機関の役割も多い分野である。
そのような重要な事例として、欧州の製品安全基準認証に関する論文を公表した(9)。
また、製品安全確保に関しては、様々な情報開示の制度やリコール制度が試みられてい
る。そのような試みを分析も行った(133、134、77)。
152
6) 保険制度事例研究
保険制度と引き受け条件としての基準は安全基準の歴史的起源の重要な部分である。ま
た、保険会社は、基準遵守にインセンティブをもつモニタリング・検査機関としても、歴
史的に重要な役割を担ってきた。そのような観点から、各分野における保険と法制度の相
互関係(火災防災、製造物責任、労働安全、食品安全、原子力安全、医療安全)に関して
歴史的検討を進め、昀終的には論文を公刊した(33)。
その上で、各分野における保険と法制度の相互関係について国際比較を進めるとともに
(洪水保険、地震保険、PL保険等)、保険と民間企業のリスクマネジメントとの関係につ
いても研究した(123-129)。
(成果のクオリティ)
国内外の事例については、現場の実務家や工学系・医学系の研究者の参加も得て、かな
り踏み込んだ事例分析を積み重ねることができた。この点については、このミッションプ
ログラム全体の分野横断的組織編制の中に位置づけられたメリットを昀大限生かすことが
できたと考えている。
そもそも、従来、このような安全分野の法学的研究は少なかったが、本研究の成果はそ
のような研究を補うというだけではなく、現場の具体的な組織運用、人材配置のあり方、
専門的知識、現場の暗黙知のあり方がどのように法運用に影響を与えているのかという点
にまで学際的に踏み込むことによって、これまでになかった法制度研究を生み出すことが
できたと思われる。また、従来必ずしも正確でなかった米国の事故調査制度に関する認識
を補正することができた(米国システムにおいては免責や司法取引が広く認められている
という理解は適切ではなく、刑事制裁への低い依存度、事故調査の運用手法等が実効性を
高める上で重要であることが明らかになった)
。
日本の安全法制の政策決定システムにおいては、過去の国内事例の十分な評価や外国制
度の運用実態にまで踏み込んだ事例評価なしに、選択的根拠(外国制度のつまみ食いなど)
に基づいて政策決定が行われているという限界が指摘されている。国内外の事例研究の蓄
積は、このような安全法制度に関する日本の従来の政策決定システムの在り方の改革の契
機になるものであるともいえる。
なお、平成 16 年度 11 月に、法学関係研究者 4 名(宇賀克也教授(東京大学・行政法)、
能見善久教授(東京大学・民法)、佐伯仁志(東京大学・刑法)、太田勝造(東京大学・法
社会学))による研究評価を行った。この研究評価においても、海外の制度を研究する際に
も、自分の専門による一側面だけをみて、日本への導入や意義を考えるのではなく、その
背景や他の制度との連関を見ることが重要であることが指摘され、本研究のような制度運
用にまで踏み込む研究の意義が認められた。
また、このような研究の成果は、法学・社会科学の領域においてだけではなく、工学系
153
医学系の諸学会や実務の現場においても報告された(92、54、99、他に 4-2 に記載してい
る日本機械学会、日本学術会議安全工学専門委員会、統合化学工学分科会等における講演、
報告)。このような機会においては、現場や工学系・医学研究者の実践的問題意識とも相互
理解可能な、コミュニケーションを促す研究であるとして、高く評価された。同様のレス
ポンスは、後述の分野別ワークショップ(原子力、食品、医療)においても得られた。
3-3 「安全法制度設計手法の構築」に関する成果
(成果の概要)
安全に関わる各分野の技術的社会的特色と法制度設計の関係について検討することを通
して、各分野毎に適した制度設計の指針(選択肢と各々の選択肢に関わる多様な考慮事項)
について整理した。
安全・安心確保のための法制度の目的としては、以下の目的を整理した。
・損害(生命・身体、財産、その他(精神的損害))の発生防止(予防、再発防止、
抑止、教育)
・損害の拡大防止(被害の重大化防止、拡大防止)
・ 被害者の救済(金銭面、精神面)
・ 応報
安全・安心確保のための法制度上の主な手法としては、主として、情報提供(不安全
情報、安全品質情報、事実情報)、基準・検査、原因究明、加害者ペナルティ(刑事、
行政(公表、課徴金、事業制限等)
、民事(懲罰的損害賠償)
、民間団体によるもの(団
体からの除名等)、市場からの排除)、被害者救済(救助体制、経済的補填(損害賠償、
国家賠償、基金、保険)
、心理的ケア、簡易な手続き(ADR))という各論点について、
整理した。具体的にどのように制度設計するかについては、様々な論点ごとに様々な選
択肢がある。そこで、各論点毎に選びうる選択肢を明示化し、その上で、選択肢の中か
ら制度選択行う際の考慮事項として、①当該安全・安心分野の特性(「構造的考慮事項」)
、
②法制度設計の基本的原則(「法制度的考慮事項」)
、③政策的観点からの一般原則(
「政
策的考慮事項」
)を整理した。
例えば、構造的考慮事項としては、リスク特性(年間被害規模、1 回あたりの被害規模、
被害発生メカニズムの解明度合い等)、ハザード対応の特性(潜在的被害者によるモニタリ
ングコスト、検査コスト、他の財・サービスとの代替可能性、対策技術の進展スピード等)、
産業構造の特性(潜在的加害者の資力、事業規模、業界団体等のカバー率等)、能力の存在
形態(様々な能力の存在形態、人材確保力、中立性等)が整理された。
また、法制度的考慮事項としては、権利保護(黙秘権、刑罰の謙抑性等)、平等性、公平
性、相当性(ある特定の対象に対して処分の減免等を行う場合,それにより得られる利益
が処分等により担保されている利益と均衡するかそれを上回ることが必要になるという考
え方)、情報公開による制約等が、政策的考慮事項としては、効率性の確保、定員管理、実
154
効性の確保、信頼性の確保、市場・民間の活用、公正性の確保等が存在する。
なお、このような安全法制度設計手法の検討を試みるに際しては、法政策学に関するミ
ニシンポジウム(2003年6月3日東京大学工学部)を行い、全体的視角を押さえるととも
に、法律家による外部評価ワークショップを通して、整理した事項のチェックも行った。
具体的成果としては、情報収集および加害者ペナルティに関して、詳細な検討を行なっ
た(101、102)。また、その全体像については骨格をまとめるとともに(135)、詳細につい
ても安全法設計指針としてまとめた(137)。また、保険制度についても論点ごとに選択肢
を明らかにし、選択の際の考慮事項を整理するという同様の作業を行った(103、114、138)。
さらに、リスク行政の手続きの設計の基礎のなる考え方についてもまとめた(139)。
(成果のクオリティ)
情報提供、基準・検査、原因究明、加害者ペナルティ、被害者救済などといった法制
度設計上の各論点について、各論点毎に様々な選択肢を明示化し、選択肢の中から制度
選択行う際の考慮事項として、「構造的考慮事項」、「法制度的考慮事項」、「政策的考慮
事項」を整理した。損害保険制度設計に関しても同様の作業を行った。
従来、法政策学や政策学といった分野において、一般的に論じられてきた制度設計の手
法について、安全という、限定されてはいるが科学技術や市場等とも交錯する重要な領域
に焦点を当てることを通して、より具体的な(しかし将来より一般的な適用が志向できる
ような形での)展開を図ったものであり、これまでになかった研究成果であると思われる。
また、技術条件、社会条件等に規定される構造的考慮事項と、法制度的考慮事項、政策
的考慮事項を明示的に接合する試みとしても、新しいものである。また、今後の設計で重
要性を増す法制度的慮事項として、権利保護(刑罰の謙抑性)、相当性といった概念を彫琢
した点も重要な貢献であると思われる。
なお、このような安全法制度設計手法の検討を試みるに際しては、法政策学に関するミ
ニシンポジウムを行い、法制度設計論一般の議論を把握し、詳細な検討に先立って全体的
視角を押さえた。また、前述の法律家による外部評価ワークショップにおいても、整理し
た事項のチェックを行った。従来の法解釈論を超えた立法論の試行として一定の評価を得
た。
3-4 「具体的社会技術=安全法制度の提案」に関する成果
(成果の概要)
既存安全法に関する横断的知識基盤、安全法事例研究、安全法制度設計手法の検討を基
盤として、ミッションプログラムの各分野のグループとも協力しつつ、具体的社会技術と
していくつかの安全法制度の提案を行った。そのプロセスでは、また、実装の可能性や契
機を探る機会として、原子力安全分野、医療安全分野、食品安全分野において、分野別外
部評価ワークショップを開催した。
155
1) 既存不適格構造物解消支援法制度
地震防災グループ・総括グループとともに、既存不適格住宅の耐震改修・建替え問題に
つき、共同研究を行い、論文を公刊した(13、35)。特に、法システム研究グループとして
は、法制度や保険制度の現状と問題を指摘し、新たな法制度提案を行うことを行った。利
用制限制度と国民の自由・権利保護のバランス、補助金制度と政府・自治体の財政負担な
どを特に検討し、幾つかの具体的な制度の比較検討を行った。
2) 診療ナビゲーションシステムの法的課題と組織ガバナンス
医療安全グループが中心となって、開発している診療ナビゲーションシステムにつき、
法制度的観点からの意義や問題点を検討した。特に、診療ナビゲーションシステムの導入
によって、法的な観点から問題となるのは、個人の医療情報保護との関係である。一方で、
個人利益の観点からの患者への正確な情報提供と理解を得るためのシステムが必要である
とともに、他方で、公益的観点から、医療機関の相互連携を実現し、可能な限り広く診療
情報の利用が担保される制度であることが必要となる。なお、医療機関内、機関間の連携
可能性を評価する前提として、病院組織のあり方に関しても、横断的研究を組織して研究
を行った。その成果の一部については、論文としても公表された(105)。
3) 原子力安全・化学安全における民間機関・民間規格の役割の強化
東電のトラブル隠し等の問題等を通して明らかになった原子力規制の基盤的構造に関す
る諸問題を総括した。これについては、原子力グループとの横断研究、評価及び今後の指
針提供のための実務家参加型の分野別外部評価ワークショップを 2004 年 11 月に開催した。
この原子力安全ワークショップでは、原子炉の停止再開に関する制度と運用、技術基準の
品質管理、内部告発制度、規制実施における企業との協働に関する報告が行われ、それに
対し、従来の規制が設置認可時の点に偏っており、維持管理を含めた通時的継続的取り組
みが不十分であった点、従来ハード中心の規制であり、ソフト面に関する取り組みが弱か
った面が指摘されるとともに、内部告発制度、企業内での告発制度の実効性に関する議論
が行われた。このワークショップにおいては、評価者として4名の実務家(鈴木篤之氏(原
子力安全委員会委員)、平岡英治氏(経済産業省原子力安全技術基盤課長)、林道寛氏(核
燃料サイクル開発機構)、二見常夫氏(電力中央研究所理事))の参加を得ており、これ自
体が現場へのフィードバックの機会として機能した。
また、城山と田邊は、審議会や現場の講演会に参加することを通して、研究成果の社会
的フィードバックに努めた。城山は総合エネルギー調査会臨時委員として、東電トラブル
後の原子力安全法制検討委員会、原子炉安全小委員会等に参加し、民間規格の政府におけ
る利用法、そのための制度設計のあり方についてインプットを行った。田邊は、電力の現
場等においてコンプライアンスのメカニズムの普及に努めた。
156
また、化学プロセスグループとの共同の公刊論文を基礎に、今後化学プロセス安全制度
設計に関する議論、特に民間規格の策定促進とその利用のあり方に関する検討を、企業関
係者や標準化実務関係者も含めて数回行った。
4) 複雑システムにおける事故調査と責任追及
航空事故調査や医療事故情報収集等に関するこれまでの基盤分析を基礎として、事故調
査と責任追及(刑事制裁、行政的制裁、民事的制裁、専門家組織によるもの)今後の制度
設計のための基本的方向を検討した。
その上で、研究の成果を日本学術会議安全工学専門委員会・事故調査と免責・補償小委
員会にインプットした。廣瀬がメンバーとして参加し、川出、城山、山本が議論参加者と
して報告を行った。その結果として、法システムグループのインプットも踏まえて、報告
書が作成された(「事故調査体制の在り方に関する提言」2005 年年 6 月)。
また、食品に関する事故調査・規制の在り方に関しては、評価及び今後の指針提供のた
めの実務者参加型外部評価ワークショップも平成 17 年 2 月に行った。食品安全ワークショ
ップでは、法学者や行政が、医療、とくに疫学研究の内容を理解していなかったことが、
過去の食品関連の事件を大きくしたことが指摘され、科学者と行政さらに、司法との相互
理解が必要となることが指摘された。グループからは、当時の事件当事者を、糾弾だけで
はなく、なぜ、そのような結果になったのかを、当事者の視点に即して明らかにすること
が今後の食品安全行政を作るうえで大切であるとの点が指摘された。評価者は、津田寛治
教授(岡山大学医学部)、鈴木寿夫(元農水省畜産局担当者)神山美智子(弁護士)、西郷
正道(食品安全委員会)であり、行政に対するフィードバックの機会ともなった。
5) 医療事故・インシデント報告システムの法的課題
医療事故・インシデント報告システムのあり方について、日米比較に関する論文等の成
果を基礎として、日本における具体的制度設計のあり方を探った。これについても、評価
および今後の指針提供のために実務家参加型の外部評価ワークショップを平成 16 年 11 月
に行った。この、医療安全ワークショップでは、事故報告と刑事手続きの関係、横断研究
タスクでの国立大学病院インタビューの結果を報告し、現場での意見を取り込んだ行政の
必要性、行政に頼りすぎず、個別の医療機関で問題解決を図れる能力を確保、支援してい
く必要があることが指摘された。また、刑事責任追及主体と医療現場での齟齬が、医療と
司法の相互理解をゆがめており、調整を行う必要が認識され、事故調査のための第三者機
関の検討(体制、報告手続き等)が課題とされた。評価者は、北島智子氏(厚生労働省医
療安全対策室室長(当時))、樋口範雄氏(東京大学法学部教授)、原田賢治氏(東大病院医
師・医療安全管理対策室GRM)、畔柳達雄氏(弁護士)の 4 人であり、行政や病院実務へ
のフィードバックともなった。
また、上記の外部評価ワークショップを契機に、厚生労働省との担当部局との連携に基
157
づく研究も行った。診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業の実施に向けた研究グ
ループ(厚生科学研究費)の法律関係検討班に参加し、医療関連死に関する調査モデル事
業の情報の取り扱い方等に関してインプットを行った。
(成果のクオリティ)
既存不適格構造物解消支援、診療ナビゲーションシステムにかかる医療情報管理につい
ては工学系医学系の研究者と学際的な研究を行い、医療情報管理については病院運営の現
場にフィードバックする機会も得た。このような実質的な学際的研究と、現場へのリアル
タイムでのフィードバックは従来なかったものであり、新たなタイプの研究成果であった
と考えられる。
また、事故調査制度については、学際的な社会提言の場である日本学術会議の安全工学専
門委員会に複数のメンバーによる実質的インプットを行い、原子力安全、化学安全、医療
事故報告・調査制度については、研究を通して現場の行政実務家等との課題認識の共有化を
行い、昀終的には審議会や検討班への参加を通して、民間規格の行政での利用促進、医療
関連死調査制度のモデル事業の実施という点で、行政の現場へのフィードバックを実質的
に行い、取り入れられた。
なお、従来、法学系研究者、工学系医学系研究者、現場の実務家が実質的に課題認識や
言語を共通化して実質的なコミュニケーションを行う機会は少なかったのに対して、本研
究を通して、そのような協働型研究や実践を行ったことは、協働した現場の行政実務家や
工学系・医学系研究者には、これまでにあまりない法制度研究として、高く評価された。
4. 目標の達成状況
4-1 「既存安全法制に関する横断的知識基盤の構築」に関する目標の達成状況
既存の安全関係法制度の横断的知識基盤の構築に関しては、交通分野(航空・自動車)、
医療・医薬品分野、住宅防災分野、食品安全分野、原子力安全の既存法システム(計 7 分
野)に関して、包括的検討を基礎に、共通の視点を設定して横断的比較を行うという当初
の目標は達成した。その成果としては、昀終的には横断的分析に関する報告書(136、138
(事例部分)
)を取りまとめるとともに、ホームページにおいて公開し、横断的整理に基く
分析を論文(30)した。
さらに、横断的な制度に関する基本的論点に関する分析(106、108、111、112)も行っ
ている。
4-2 「安全法事例研究-安全にかかわる法制度における暗黙知とその限界の
抽出」に関する目標の達成状況
現場の実務家や技術者との対話や歴史的資料に基づき、ボトムアップの詳細な事例研究
を蓄積していくことを通して、安全に関わる法制度における制度設計と運用の課題につい
158
て、暗黙知も含めて分析し、個別分野・局面における制度設計・運用の意義と限界を明示
化するという目標については、十分に目標を達成したと考えている。国内外の事例につい
ては、現場の実務家や工学系・医学系の研究者の参加も得て、かなり踏み込んだ事例分析
を積み重ねることができた。この点については、このミッションプログラム全体の分野横
断的組織編制の中に位置づけられたメリットを昀大限生かすことができたと考えている。
また、特に、外国の事例についても、単に公式的制度を紹介するのではなく、その運用
実態と課題にまで踏み込んだ事例分析を行った。例えば、従来必ずしも正確でなかった米
国の事故調査制度に関する認識を補正することができた(米国システムにおいては免責や
司法取引が広く認められているという理解は適切ではなく、刑事制裁への低い依存度、事
故調査の運用手法等が実効性を高める上で重要であることが明らかになった)。
これらの研究成果については、
『社会技術研究論文集』第 1 巻、第 2 巻、第 3 巻において、
幅広く公表された(28、29、31、32、33、34、36、72、73、74、75、76、77、78、100、104、
105)。
4-3 「安全法制度設計手法の構築」に関する目標の達成状況
安全に関わる各分野の技術的社会的特色と法制度設計の関係について検討することを通
して、各分野に適した制度設計の指針(選択肢と各々の選択肢に関わる様々な考慮事項)
について整理するという目標に関しては、大方、目標を達成した。
情報提供、基準・検査、原因究明、加害者へのペナルティ、被害者救済などといった
法制度設計上の各論点について、各論点毎に様々な選択肢を明示化し、選択肢の中から
制度選択行う際の考慮事項として、「構造的考慮事項」、「法制度的考慮事項」、「政策的
考慮事項」を抽出した。当初、個別分野に限定して検討を進め(101、102、103)、昀
終的には、
『安全法制度設計指針(Ver. 1)』
(137)、
『安全確保のための損害保険制度設
計指針(Ver. 1)』
(138)を完成させた。
また、このような包括的な設計指針策定作業を通して、今後の設計で重要性を増す法制
度的慮事項として、権利保護(刑罰の謙抑性)
、相当性といった概念を具体的に彫琢するこ
ともできた。
なお、法制度設計に関しては、多様な考慮事項間のウェイト付け自体が重要な政策判断
となるため、一義的に適用可能な法制度設計指針を作成することは困難である。今回の指
針も、これを見れば条件に合わせて簡単に法制度の設計ができるという性格のものではな
い。しかし、このような指針は、その適用の試みを通して、法的制度設計における鍵(考
慮事項間のバランスの取り方)を具体的に認識できるツールとして有効なものとなったと
思われる。
159
4-4 「具体的社会技術=安全法制度の提案」に関する目標の達成状況
既存安全法に関する横断的知識基盤、安全法事例研究、暫定的安全法制度設計手法を基
盤として、ミッションプログラムⅠの各分野のグループとも協力しつつ、具体的社会技術
としていくつかの安全法制度の提案を行うという目標に関しても、かなりの程度達成され
た。
既存不適格構造物解消支援、診療ナビゲーションシステムにかかる医療情報管理につい
ては工学系医学系の研究者と学際的な研究を行い、医療情報管理については病院運営の現
場にフィードバックする機会も得た。また、事故調査制度については、学際的な社会提言
の場である日本学術会議の安全工学専門委員会に複数のメンバーによる実質的インプット
を行い、提言に現実性を持たせる上で寄与した。さらに、原子力安全、化学安全、医療事
故報告・調査制度については、研究を通して現場の行政実務家等との課題認識の共有化を行
い、昀終的には審議会や検討班への参加を通して、民間規格の行政での利用促進、医療関
連死調査制度のモデル事業の実施という点で、実際に行政の現場へのフィードバックを実
質的に行った。
フィードバックの場自体は、社会的状況の中で設定されたものであり、必ずしも研究グ
ループから働きかけて作られたものではない。このような機会にうまく適応して、単なる
意見を言うだけではなく、実質的な研究の成果をフィードバックを行えたというのは、社
会科学系の研究にとってはそれなりに画期的だったのではないかと思われる。
また、事故調査に関する提言、行政による民間規格の活用、医療関連死モデル事業の昀
終的な帰結はまだ明らかではい。実効性が明らかになるまでには時間がかかるのであり、
昀終的な評価にはまだ時間が必要である。
160
5. 研究成果の公表
5-1 社会技術に関連する卒業/修士/博士論文
論文名
原子力安全性維持向上のための規制と企業コンプライアンス活動との協
働に関する研究
論文の種類
著者[指導教官]
博士論文
田邉朋行
告発と政策対応-政策過程におけるマスメディアの役割に関する考察
修士論文
前田健太郎
行政による事業者情報の提供-消費者利益確保目的での提供に関する日
米比較を踏まえて
修士論文
八木貴弘
自動車の自動運転制御技術に係る交通事故時の法的責任
修士論文
岸田憲夫
発表当時の所属
京都大学 大学 院エネ
ルギー科学研究科
東京大学 大学 院法学
政治学研究科
東京大学 大学 院法学
政治学研究科
東京大学 大学 院法学
政治学研究科
発表年次
2005.3
2005.3
2004.3
2004.3
5-2 社会技術に関連するゼミ/講義等
講義名
教官
講義の対象者
受講者数(概
数)
期間
比較国際環境政策過程論
城山英明
東京大学大学院法学政治学
研究科・新領域創成科学研
究科
20
2002 夏学期,
科学技術と安全
廣瀬久和・山本隆
司・城山英明
東京大学法学部・大学院法
学政治学研究科・総合文化
研究科
20
2003 夏学期
科学技術と公共政策
事例研究・環境・技術政策
城山英明
城山英明・鈴木達
治郎
東京大学公共政策大学院
東京大学公共政策大学院
30
各年 25
計 50
2005
2004、2005
5-3 一般へのセミナー/講演等
種別
講演名
講演者
第1回社会技術シ
ンポジウムパネル
ディスカッション
社会技術の視点とは:科学技術と社会の間の諸問題に対して
田邉朋行
講演
第 9 回社会技術研究フォーラム求められる「法システムと企業コ
ンプライアンスとの協働」
田邉朋行
講演
日本の安全規制システムとその課題-情報収集・利用と制裁のデ
ィレンマ、規制の品質管理と第三者機関の役割、国際的調和化
城山英明
講演
安全性確保に係る法システムの横断的分析と再構築に関する研究
城山英明
医療と法ワークシ
ョップ報告
事故報告と刑事責任
川出敏裕
同上報告
病院のガバナンスと法制度-国立大学病院インタビューを中心に
して
畑中綾子
コメント
行政法の視点からみた医療事故報告制度
山本隆司
原子力安全ワーク
ショップ報告
原子力安全規制における規制の品質管理、原子力安全規制におけ
る第三者機関の役割、原子発電所の運転停止・再開に関する規制
原子炉等規制法の課題-「事業規制」方式の限界
同上報告
・原子力における企業コンプライアンス―米国原子力事業の先
例から―
田邉朋行
カネミ油症にみる事故調査の歴史
中島貴子
総合資源エネルギー調査会原子力安全法制委員会
城山英明
食品安全ワークシ
ョップ報告
審議会でのインプ
ット
城山英明
講義の対象者
社会技術に関心
を持つ研究者、実
務家
社会技術に関心
を持つ研究者、実
務家
安全・安心を実現
する科学技術人
材養成プロジェ
クト:アドバンス
コース
日本機械学会「法
工学」部門「研究
推進・交流委員
会」講演会
法学者、医療関係
者、学生、行政
法学者、医療関係
者、学生、行政
法学者、医療関係
者、学生、行政
法学者、原子力関
係者、行政
法学者、原子力関
係者、行政
法学者、食品安全
研究者、行政
工学系専門家、行
政関係者
受講者数(概
数)
200
期間
2004.3.5
100
2005.3.26
30
2005.1
60
2004.10.1
30
2004.11
30
2004.11
30
2004.11
15
2004.11.24
15
2004.11.24
15
2005.2
20
2002
種別
講演名
講演者
同上原子炉安全小委員会
城山英明
同上六ヶ所再処理施設総点検に関する検討会
城山英明
同上高圧ガス保安検査規格審査小委員会
城山英明
基調講演
日本の安全法システムとその課題 -情報確保・利用と制裁のデ
ィレンマ,
規制の品質管理と第三者機関の役割 -
城山英明
日本学術会議への
インプット
ワーキンググループメンバー日本学術会議安全工学専門委員会
WG、事故調査と免責・補償小委員会
廣瀬久和
講演
安全工学専門委員会 WG、事故調査と免責・補償小委員会事故調
査制度の在り方―刑事法学の観点から
川出敏裕
講演
安全工学専門委員会 WG、事故調査と免責・補償小委員会
安全規制気ステムにおける情報収集と利用のジレンマ
城山英明
講演
安全工学専門委員会 WG、事故調査と免責・補償小委員会
事故調査の組織形式等について
山本隆司
講演
安全確保のための法システムの課題
城山英明
厚生労働省検討班
へのインプット
診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業の実施にむけてー
個人情報と情報の取り扱いに関する法的課題の検討
城山英明、川
出敏裕、山本
隆司、畑中綾
子
163
講義の対象者
工学系専門家、行
政関係者
工学系専門家、行
政関係者
工学系専門家、行
政関係者
日本機械学会
日本学術会議安
全工学専門委員
会 WG、
安全工学専門委
員会 WG、事故調
査と免責・補償小
委員会
安全工学専門委
員会 WG、事故調
査と免責・補償小
委員会
安全工学専門委
員会 WG、事故調
査と免責・補償小
委員会
統合化工学分科
会研究会
厚生労働省関係
者、日本内科学会
関係者
受講者数(概
数)
期間
20
2004-継続
20
2003-継続
20
2004-継続
40
2005.9
20
2004-2005
20
2004.1.22
20
2005.2.26
20
2005.4.2
2005.5
20
2005.4-継続
種別
講演名
講演者
「個人情報保護法と医療―医療・介護現場への影響について」日
本ヒューマンケア心理学会研修会講師
研修会
シンポジウム
報告
「診療録等の開示について」関東甲信越地区看護研究学会シンポ
ジウム『個人情報保護法施行後の看護職の課題』シンポジスト,
大宮,2005.11
東京大学「安全安心と科学技術」シンポジウム
受講者数(概
数)
講義の対象者
期間
畑中綾子
医師・看護師・介
護福祉士・臨床心
理士・関連大学教
員
50
2005.8
畑中綾子
埼玉県看護協会
看護師
200
2005.11
100
2005.10
100
2005.12
50
2005.12
山本隆司
パネリスト
安全・安心な社会に向けて事故防止の在り方を考える集い─ 仕事
と組織の垣根を超えて集まった仲間達によるメッセージ─
川出敏裕
報告・司会
OECD Global Science Forum
城山英明
東京大学
横浜桐蔭大学コ
ンプライアンス
研究センター(如
水会館)
三田共用会議所
5-4 実績一覧(リスト)
No.
1
分類
全体総括
2
3
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
報告
安全基準の策定と実施をめぐる諸問題 -
民間機関の役割に焦点を当てて
事例研究―原
子力
全体総括
著者,作成者等
城山英明
発表場所
社会技術研究システム
田邉朋行
ENERGY
新聞掲載
原子力安全規制におけるホイッスルブロ
ワ―保護制度の日米比較 -我が国制度へ
の政策的含意を求めて-
内部告発者をいかに保護するか 米国では
“警告を鳴らす人”を保護
内部告発制度の明瞭化必要
田邉朋行
雑誌掲載
科学技術政策の国際的次元
城山英明
朝日新聞 朝刊
科学技術社会論学会誌 第
1号
雑誌掲載
4
5
形態
雑誌掲載
田邉朋行,鈴木達治郎,青
木一益,杉山大志
発表年次
資料の
添付
2002
○
2002
○
2002.10
○
2002.9.22
○
2002
○
No.
分類
6
7
8
9
事例研究―原
子力
事例研究―事
故調査
事例研究―製
品安全
発表年次
資料の
添付
ジュリスト No.1245
2003.6.1
○
城山英明
ジュリスト No.1245
2003.6.1
―
事故調査と法的責任の追及
川出敏裕
ジュリスト No.1245
2003.6.1
―
雑誌掲載
工業製品の安全に関する非集権的な公益
実現の法構造
山本隆司
ジュリスト No.1245
2003.6.1
―
形態
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
著者,作成者等
雑誌掲載
現代における安全問題と法システム座談
会(上)
城山英明,小早川光郎,広
瀬久和,山本隆司,川出敏
弘
雑誌掲載
原子力安全規制の基本的課題
雑誌掲載
発表場所
10
全体総括
雑誌掲載
現代における安全問題と法システム座談
会(下)
城山英明,小早川光郎,広
瀬久和,山本隆司,川出敏
弘
ジュリスト No.1247
2003.7.1
―
11
事例研究―食
品安全
学会発表
日本における食安全の法と科学
中島貴子
科学技術社会論学会 第 1
回年次研究会 予稿集
2002.11
○
12
事例研究―医
療安全
学会発表
医療・交通事故における被害者救済,事故
情報活用を目指す法システムの検討
畑中綾子
科学技術社会論学会 第 1
回年次研究会 予稿集
2002.11
○
13
具体的提案
雑誌掲載
畑中綾子
JCOSSAR 論文集
14
事例研究―医
療安全
畑中綾子
医療マネジメント学会
15
事例研究―原
子力安全
16
既存不適格住宅の耐震性向上を目指す法
制度の検討 -特に耐震性説明義務の中心
に
医療事故情報収集システムの課題 -特に
法的責任の観点から
原子力発電所の内部告発制度をめぐる海
外事情とわが国システムへの示唆 -米国
の例を中心として-
原子力安全規制における内部告発を考え
る -「密告社会」への第一歩か,健全社
会への第一歩か-
○
2003.6
○
田邉朋行
○
田邉朋行
○
No.
分類
形態
原子力発電の停止・運転再開における日米
比較分析
企業コンプライアンス(遵法)の確立に資
する公共通報制度のあり方について
17
19
事例研究―医
療安全
20
全体総括
事例研究―原
子力安全
22
23
28
29
○
2003
○
2003.10
―
2003.10.8
―
畑中綾子
科学技術社会論学会
講演
安全規制の設定と運用における課題-民
間組織の役割,国際的ハーモナイゼーショ
ンに焦点を当てて
城山英明
原子力産業会議・危機管理
ワークショップ
学会発表
米国連邦環境・原子力規制における内部告
発制度の意義及び課題 -我が国への政策
的含意を求めて-
田邉朋行,北村喜宣
環境法政策学会
2003
○
田邉朋行
日本リスク学会
2003.11.21
○
城山英明
日本リスク学会
2003.11.21
―
中島貴子
日本リスク学会
2003.11.21
―
畑中綾子
日本リスク学会
2003.11.21
―
畑中綾子
日本材料学会
2003.11
―
田邉朋行
原子力 eye
2003
○
2003.10
○
2003.10
○
学会発表
学会発表
事例研究―原
子力安全
事例研究―食
品安全
事例研究―航
空安全
2003.8
医療事故情報収集システムの課題
学会発表
25
27
資料の
添付
公益事業学会
学会発表
具体的提案
発表年次
田邉朋行,神田啓治
24
26
発表場所
エネルギーフォーラム
学会発表
全体総括及び
事例研究―原
子力,食品,医
療安全
著者,作成者等
城山英明
18
21
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
基調講演
雑誌掲載
内部告発とコーポレートガバナンス -規
制システムと企業統治の協同に着目して
-
安全規制の設定と運用における課題-民
間組織の役割,国際的ハーモナイゼーショ
ンに焦点を当てて
カネミ油症事件における事故調査の問題
点
医療事故情報収集システムの課題
既存不適格住宅の耐震性向上を目指す法
制度の検討
なぜ内部告発か,なぜ米国の実情を見る必
要があるのか
査読付論文
カネミ油症事件の社会技術的再検討
中島貴子
査読付論文
米国における航空事故をめぐる安全確保
の法システム
城山英明,村山明生,梶村
功
社会技術研究論文集 ,p25
―37
社会技術研究論文集,p149
―158
No.
分類
30
横断的知識基
盤
31
32
33
34
事例研究―原
子力安全
事例研究―航
空安全
事例研究―保
険制度
事例研究―原
子力安全
形態
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
査読付論文
安全法システムの分野横断比較の試み
査読付論文
内部告発者保護制度と企業コンプライア
ンス活動との相互作用
査読付論文
事故調査における情報の取扱いを巡って
査読付論文
査読付論文
社会安全確保のための損害保険の予防的
機能
化学プロセスにおける安全規制の課題と
今後の制度設計
著者,作成者等
発表場所
城山英明,村山明夫,山本
隆司,廣瀬久和,梶村功, 社会技術研究論文集,p159
古場裕司,須藤長,舟木貴 ―176
久
田邊朋行,鈴木達治郎,城 社会技術研究論文集,p177
山英明
―187
社会技術研究論文集,p188
服部健吾
―197
身崎成紀,城山英明,廣瀬 社会技術研究論文集,p198
久和
―207
社会技術研究論文集,p317
大野晋,城山英明
―326
村山明生,古場裕司,舟木
社会技術研究論文集,p338
貴久,城山英明,畑中綾子,
―351
阿部雅人,堀井秀之
社会技術研究論文集,p404
畑中綾子
―413
発表年次
資料の
添付
2003.10
○
2003.10
○
2003.10
○
2003.10
○
2003.10
○
2003.10
○
2003.10
○
35
具体的提案
査読付論文
既存不適格住宅の耐震性向上に係る社会
技術の研究
36
事例研究―医
療安全
査読付論文
医療事故情報収集システムの課題
37
事例研究―原
子力安全
査読付論文
企業コンプライアンス(遵法)の確立に資
する公益通報制度のあり方について
田邉朋行
公益事業研究
第55巻2号15―27頁
2003.12
○
38
査読付論文
アジア地域における原子力損害賠償国際
枠組み構築とわが国の法制度上の課題
田邉朋行
電力経済研究
第51号1―17頁
2004.4
○
39
査読付論文
米国連邦環境・原子力規制における内部告
発制度の意義及び課題―我が国への政策
的含意を求めて―
田邉朋行
環境法政策学会誌
第7号121―146頁
2004.6
○
40
査読付論文
米国原子力事業者における社内通報制度
と我が国への示唆
田邉朋行
公益事業研究
第56巻1号1―12頁
2004.7
○
41
雑誌投稿
民の試みが失敗に帰したとき-究極のリ
スクマネージャーとしての政府(デービッ
ト・A・モス著)-
田邉朋行
2004.10
―
リック『産業と環境』
第33巻8号904頁
発表年次
資料の
添付
公益事業研究
第56巻2号11―25頁
2004.10
○
田邉朋行
環境法政策学会誌
第8号115―138頁
2005.6
○
米国原子力事業者における従業員懸念事
項報告プログラム(ECP)について
田邉朋行
電力中央研究所研究報
告:Y03007
2004.2
―
報告書
米国連邦規制おける内部告発制度の概要
―環境規制及び原子力規制を中心に―
田邉朋行
電力中央研究所研究調査
資料 Y03909
2004.3
―
46
報告書
電気事業における企業コンプライアンス
の課題と取組み
田邉朋行
電力中央研究所
研究調査資料 Y04904
2004.5
―
47
報告書
原子炉等規制法の構造的問題と改善のた
めの立法試案
田邉朋行
電力中央研究所研究報告
Y04006
2005.3
―
学会発表
米国原子力事業者における社内通用体制
(ECP)について
田邉朋行
エネルギー・資源学会
第 20 回 エ ネ ル ギ ー シ ス テ
ム・経済・環境コンファレン
ス講演論文集 601―604 頁
2004.1.30
―
49
学会発表
アジア地域における原子力損害賠償枠組
みの必要性とわが国法の課題
田邉朋行
エネルギー・資源学会
第 20 回 エ ネ ル ギ ー シ ス テ
ム・経済・環境コンファレン
ス講演論文集 613―616 頁
2004.1.30
―
50
学会発表
アジア地域における原子力損害賠償枠組
みの必要性とわが国の法的対応
田邉朋行
日本原子力学会 2004 年春
の年会 要旨集
G40(610 頁)
2004.3.29
-31
―
51
学会発表
電気事業におけるコンプライアンスの課
題と取組み
田邉朋行
公益事業学会
第 54 回大会研究報告要目
133―138 頁
2004.6.6
―
No.
形態
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
42
査読付論文
電気事業におけるコンプライアンスの取
組みと課題―実態調査とその分析を通じて―
田邉朋行
43
査読付論文
アジア地域における原子力損害賠償国際
枠組み構築の必要性と我が国法の課題
44
報告書
45
48
分類
著者,作成者等
発表場所
発表場所
発表年次
資料の
添付
田邉朋行
環境法政策学会 2004 年度
学術大会論文報告要旨集
11―15 頁
2004.6.13
―
学会発表
倫理コンプライアンスの実効性検証と向上策
(1)
―本研究の全体概要および得られる成果
について―
田邉朋行
日本原子力学会 2004 年秋
の年会 要旨集 J19(38
頁)
2004.9.15
―
学会発表
倫理コンプライアンスの実効性検証と向上策
(4)
―高信頼性組織における取組みの実際及
び導入支援のあり方について―
田邉朋行
日本原子力学会 2004 年秋
の年会 要旨集 J22(71
頁)
2004.9.15
―
55
学会発表
我が国原子力規制の制度的硬直性がもたらす "
脅威"―非効率な規制と捕捉されない核物質―
田邉朋行
科学技術社会論学会
第 3 回科学技術社会論学会年
次研究大会
予稿集 131―134 頁
2004.
11.13
―
56
学会発表
原子炉等規制法の問題点及びその改善提案
―規制の実効性及び効率性に着目して―
田邉朋行
環境法政策学会 2005 年度
学術大会 論文報告要旨
集 61―65 頁
2005.6.11
―
57
雑誌投稿
原子力損害賠償条約加盟を巡って―アジ
ア地域に原子力損害賠償枠組みを―
田邉朋行
日刊工業出版プロダクシ
ョン 『原子力 eye』 第
50 巻
1 月号 60―63 頁
2003.
12.10
―
58
雑誌投稿
組織的事故・事件から何を学ぶか!
その1 倫理・コンプライアンスの徹底
田邉朋行
日工フォーラム社 『月刊
エネルギー』 37 巻 2 号
2004.2.1
―
59
雑誌投稿
2004.2.1
―
No.
52
53
54
分類
形態
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
学会発表
アジア地域における原子力損害賠償国際
枠組み構築の必要性と我が国法の課題
著者,作成者等
信頼回復に欠かせないコンプライアンス
田邉朋行
― トップはもちろん全員が実践を!―
26―30 頁
31―35 頁
No.
分類
形態
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
著者,作成者等
発表場所
36―48 頁
発表年次
資料の
添付
2004.2.1
―
2004.2.1
―
2004.8.1
―
60
雑誌投稿
コンプライアンスのカギは「倫理的判断能
田邉朋行
力」―いかに磨くか,簡単な方法もある―
61
雑誌投稿
コンプライアンス活動にどう取り組むべ
きか―組織は個人の倫理的判断能力の育 田邉朋行
成を!―
62
雑誌投稿
研究紹介:安全確保に向けての規制システ
ムと企業倫理コンプライアンス活動との
協働
田邉朋行
電力経済研究
第 54 号全 6 頁
63
報告
内部告発者保護制度と企業コンプライア
ンス活動との相互作用
田邉朋行
第1回社会技術シンポジウ
ム
2004.3
―
64
事例研究―食
品安全
報告
カネミ油症事件の社会技術的再検討
中島貴子
第1回社会技術シンポジウ
ム
2004.3
―
65
事例研究―航
空安全
報告
米国における航空事故をめぐる安全確保
の法システム
城山英明,村山明生,梶村
功
第1回社会技術シンポジウ
ム
2004.3
―
66
横断的知識基
盤
報告
安全法システムの分野横断比較の試み
城山英明,村山明生,梶村
功,山本隆司,廣瀬久和,
古場祐司
第1回社会技術シンポジウ
ム
2004.3
―
67
事例研究―原
子力安全
報告
内部告発者保護制度と企業コンプライア
ンス活動との相互作用
田邉朋行,鈴木達治郎,城
山英明
第1回社会技術シンポジウ
ム
2004.3
―
68
事例研究―航
空安全
報告
事故調査における情報の取扱いを巡って
服部健吾
第1回社会技術シンポジウ
ム
2004.3
―
69
事例研究―保
険制度
報告
社会安全確保のための損害保険の予防的
機能
身崎成紀,城山英明,廣瀬
久和
第1回社会技術シンポジウ
ム
2004.3
―
70
事例研究―医
療安全
報告
医療事故情報収集システムの課題
畑中綾子
第1回社会技術シンポジウ
ム
2004.3
―
No.
71
分類
全体総括
72
形態
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
報告
事故調査・情報収集と法システム-日米比
較
査読論文
事例研究―原
子力安全
73
査読論文
74
査読論文
事例研究―医
療安全
75
査読論文
76
事例研究―航
空安全
査読論文
77
事例研究―保
険制度
査読論文
78
事例研究―食
品安全
査読論文
79
全体総括
80
事例研究―食
品安全
81
全体総括
報告
学会報告
講演
わが国の原子力規制構造にみる制度的硬
直性と潜在的脅威―原子炉等規正法にお
ける問題点と改善提案
原子力安全規制における第三者機関の役
割―日仏米の国際比較と制度設計への示
唆
米国における医療安全・質向上のための法
システムー情報収集,行政処分,安全・質
評価の観点から
医療事故情報収集システムの機能要件―
米国の不法行為改革等との連関に着目し
て
フランスにおける航空事故をめぐる安全
確保の法システムー日本への示唆
製品の安全性確保に向けたリコール法制
度,情報開示・報告制度のあり方に関する
調査研究
食品安全をめぐるディスコミュニケーシ
ョンー食品安全委員会への提言
“The Reform of Safety Regulatory System
in Japan from Comparative Perspective
– Dilemma of Information Sharing and
Sanctions, Quality Control of Regulations
and Role of Third Parties, and Trust
Building ”
日本の食品安全とレギュラトリーサイエ
ンス
ミッション・プログラムⅠにおける法シス
テム研究状況
発表場所
発表年次
資料の
添付
城山英明
(『 日 本 機 械 学 会 誌 』
Vol.107, No.1027
2004.6
―
田邉朋行, 中込良廣 , 神田
啓治
社会技術研究論文集
Vol.2
2004.10
○
鈴木達治郎, 武井摂夫,城
山英明
社会技術研究論文集
Vol.2
2004.10
○
古場裕司, 畑中綾子 , 横山
織江, 村山明生, 城山英明
社会技術研究論文集
Vol.2
2004.10
○
畑中綾子
社会技術研究論文集
Vol.2
2004.10
○
舟木貴久, 村山明生
社会技術研究論文集
Vol.2
2004.10
○
身崎成紀
社会技術研究論文集
Vol.2
2004.10
○
中島貴子
社会技術研究論文集
Vol.2
2004.10
○
城山英明
Society of Social Studies
of Science 研究大会
2004.8.27
―
中島貴子
科学技術社会論学会
2004.10.16
―
城山英明
第29回ミッション・プロ
グラムⅡ会議
2004.11
―
著者,作成者等
No.
分類
形態
82
事例研究―医
療安全
雑誌掲載
83
報告
事例研究―原
子力安全
84
報告
85
報告
事例研究―医
療安全
86
報告
87
事例研究―航
空安全
報告
88
事例研究―保
険制度
報告
89
事例研究―食
品安全
報告
90
91
講演
全体総括
92
93
パネルディ
スカッショ
ン
報告
事例研究―医
療安全
雑誌掲載
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
医療過誤への対応と医療安全の確保
わが国の原子力規制構造にみる制度的硬
直性と潜在的脅威―原子炉等規正法にお
ける問題点と改善提案
原子力安全規制における第三者機関の役
割―日仏米の国際比較と制度設計への示
唆
米国における医療安全・質向上のための法
システムー情報収集,行政処分,安全・質
評価の観点から
医療事故情報収集システムの機能要件―
米国の不法行為改革等との連関に着目し
て
フランスにおける航空事故をめぐる安全
確保の法システムー日本への示唆
製品の安全性確保に向けたリコール法制
度,情報開示・報告制度のあり方に関する
調査研究
食品安全をめぐるディスコミュニケーシ
ョンー食品安全委員会への提言
著者,作成者等
発表場所
発表年次
資料の
添付
2005.9
○
城山英明
現代のエスプリ 458 号
田邉朋行, 中込良廣 , 神田
啓治
第 2 回社会技術シンポジウ
ム
2005.3.3
―
鈴木達治郎, 武井摂夫,城
山英明
第 2 回社会技術シンポジウ
ム
2005.3.3
―
古場裕司, 畑中綾子 , 横山
織江, 村山明生, 城山英明
第 2 回社会技術シンポジウ
ム
2005.3.3
―
畑中綾子
第 2 回社会技術シンポジウ
ム
2005.3.3
―
舟木貴久, 村山明生
第 2 回社会技術シンポジウ
ム
2005.3.3
―
身崎成紀
第 2 回社会技術シンポジウ
ム
2005.3.3
―
2005.3.3
―
2005.8
―
中島貴子
第 2 回社会技術シンポジウ
ム
人文社会科学振興のため
のプロジェクト振興事
業・専門知研究会
日本の安全規制システムとその知識基盤
城山英明
社会技術の実装の方法論について
城山英明
社会技術研究ミッション
Ⅰシンポジウム
2005.9
―
城山英明
リスク研究会
2005.11
―
畑中綾子
『ジュリスト』1265 号
2004.4
○
日本の安全法システムとその課題-情報
確保・利用と制裁のディレンマ,規制の品
質管理と第三者機関の役割
公正な配分とは何か?血液製剤と限られ
た資源の配分問題,
No.
分類
形態
94
学会報告
95
学会報告
96
報告
97
学会報告
98
報告
99
100
雑誌掲載
事例研究―原
子力
101
査読論文
査読論文
設計手法
102
103
104
査読論文
事例研究―保
険制度
事例研究―食
品安全
査読論文
査読論文
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
米国 N.Y 州における医療事故報告制度に
ついて
医療事故報告制度と法的責任の関係につ
いて
発表場所
発表年次
資料の
添付
畑中綾子
日本医療マネジメント学
会
2004.6
―
畑中綾子
日本病院管理学会
2004.11
―
2005.2
―
2005.6
―
2005.10
―
著者,作成者等
Aspiration of sputum by home helps(ヘル
パーによるたん吸引行為)
畑中綾子
診療録等の開示について
畑中綾子
医療機関の社会的責任と市場による選択
畑中綾子
個人情報保護法と医療の未来,医療情報の
電子化と個人情報保護,医学研究における
個人情報保護法の影響,個人データの第三
者提供について,患者の家族への病状説
明,患者の氏名の取扱いについて,個人情
報保護法の影響―診療録等の開示につい
て,医療の何が変わる?個人情報保護法全
面施行,
原子力安全規制における米国作業会の自
主規制体制等民間機関の役割とその運用
経験:日本にとっての示唆
安全法制度設計における原情報収集に関
する論点:選択肢と考慮事項
安全法制度設計における加害者ペナルテ
ィに関する論点:選択肢とその評価
安全確保に向けた損害保険制度設計オプ
ションと評価の視点の検討
森永ヒ素ミルク中毒事件 50 年目の課題
International workshop in
medical ethics and law―
comparing U.S, Japan and
Australia メルボルン大学
日本医療マネジメント学
会
人文・社会科学振興プロジ
ェクト研究事業ワークシ
ョップ
畑中綾子
医学書院「看護管理」連載
「個人情報保護法と医療」
2005.5―
12
○
鈴木達治郎 , 城山英明, 武
井摂夫
社会技術研究論文集 Vol3
2005.11
○
社会技術研究論文集 Vol3
2005.11
○
社会技術研究論文集 Vol3
2005.11
○
身崎成紀, 城山英明
社会技術研究論文集 Vol3
2005.11
○
中島貴子
社会技術研究論文集 Vol3
2005.11
○
城山英明, 村山明生 , 山本
隆司, 廣瀬久和, 須藤長
城山英明, 村山明生 , 山本
隆司, 川出敏裕, 舟木貴久
発表年次
資料の
添付
2005.11
○
No.
分類
形態
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
105
事例研究―医
療安全
査読論文
医療安全確保のための現場の取組みと法
制度―特に事故報告制度を中心に
畑中綾子
社会技術研究論文集 Vol3
106
横断的知識基
盤
雑誌投稿
刑事手続と事故調査
川出敏裕
『ジュリスト』
107
事例研究―製
品安全
雑誌投稿
民間による製品安全規制への取組み―製
品安全協会を素材に
廣瀬久和
『ジュリスト』
108
横断的知識基
盤
雑誌投稿
事故・インシデント情報の収集・分析・公
表に関する行政法上の問題
山本隆司
『ジュリスト』
109
事例研究―医
療安全
雑誌投稿
事故・インシデント等情報の取扱に関する
論点(医療を素材に)
畑中綾子
『ジュリスト』
110
事例研究―食
品安全
雑誌投稿
事故調査と被害者救済-個別事例の視点
から
中島貴子
『ジュリスト』
雑誌投稿
行政介入と事業者の安全管理
小早川光郎
『ジュリスト』
雑誌投稿
民間機関による規格策定と行政による利
用
城山英明
『ジュリスト』
事例研究―原
子力安全
雑誌投稿
規制システムと企業コンプライアンス活
動との協働―米国原子力事業を例に
田邉朋行
『ジュリスト』
事例研究―保
険制度
雑誌投稿
損害保険制度の安全確保への役割
身崎成紀
『ジュリスト』
三菱総合研究所
原子力研究所
2001
―
三菱総合研究所
原子力研究所
2002
―
111
横断的知識基
盤
112
113
114
115
116
横断的知識基
盤整備,事例研
究-航空安全,
報告書
報告書
交通,住宅,医療・薬品分野における安全
性に係る既存法システムの現状調査
既存安全法システム基礎調査
著者,作成者等
発表場所
2006 年 3
月 1 日号予
定
2006 年 3
月 1 日号予
定
2006 年 3
月 1 日号予
定
2006 年 3
月 1 日号予
定
2006 年 3
月 1 日号予
定
2006 年 3
月 1 日号予
定
2006 年 3
月 1 日号予
定
2006 年 3
月 1 日号予
定
2006 年 3
月 1 日号予
定
○
―
○
○
○
―
○
○
○
No.
分類
形態
117
医療安全,及び
設計手法
報告書
118
119
報告書
報告書
120
報告書
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
安全性に関わる社会問題解決のための知
識体系の構築(その2)(Ⅱ.既存不適格
住宅の耐震性向上制度の研究 部分)
既存安全法システムの調査
安全・安心にかかわる既存法令の調査
既存安全法システムの調査 報告書
報告書
リスク特性等の観点からの安全法システ
ム
122
報告書
日本,海外における保険業界の歴史的経験
123
報告書
巨大リスクへの損害保険の関与
124
報告書
121
125
設計手法
事例研究-保
険制度,製品安
全
報告書
126
報告書
127
報告書
128
報告書
129
報告書
130
131
132
報告書
事例研究-原
子力
報告書
報告書
PL に関する日米の状況(PL 訴訟の現状,
企業の対応等)
労災事故,食品事故に対する保険会社の取
り組みと保険の活用例に係わる調査
保険会社の社会的役割,リコールに関わる
法制度とリコールの実態について
損害保険が担う社会的役割の今後の展開
について
ノーフォルト制度・求償制度の事故・災害
抑止と,保険制度設計評価軸に関する研究
日米の原子力発電施設の保守点検に関す
る規制およびその運用の比較分析調査
国内外の原子力関連施設に係る認証・認定
制度の比較分析調査
国内外の原子力安全性確保における自主
規制体制とその運用実態に関する比較分
析調査
国内外の原子力安全規制における規制当
局の運用実態について
著者,作成者等
発表場所
発表年次
資料の
添付
三菱総合研究所
原子力研究所
2002
―
三菱総合研究所
三菱総合研究所
科学技術振興事業団
科学技術振興事業団
2003
2003
―
―
三菱総合研究所
科学技術振興機構
2004
―
三菱総合研究所
科学技術振興機構
2004
―
原子力研究所
2001
―
原子力研究所
2002
―
原子力研究所
2002
―
科学技術振興事業団
2003
―
科学技術振興事業団
2003
―
科学技術振興機構
2004
―
科学技術振興機構
2005
―
原子力研究所
2002
―
科学技術振興機構
2003
―
エネルギー総合工学研究
所
科学技術振興機構
2004
―
エネルギー総合工学研究
所
科学技術振興機構
2005
―
東京海上リスクコンサル
ティング
東京海上リスクコンサル
ティング
東京海上リスクコンサル
ティング
東京海上リスクコンサル
ティング
東京海上リスクコンサル
ティング
東京海上リスクコンサル
ティング
東京海上リスクコンサル
ティング
エネルギー総合工学研究
所
エネルギー総合工学研究
所
発表場所
発表年次
資料の
添付
廣瀬久和
『製品安全に係る情報開
示のあり方に関する調査』
商事法務研究会
2002
―
消費者安全のあり方に関する研究会報告
書
廣瀬久和他
商事法務研究会
2003
―
安全安心確保ための法制度
城山英明,廣瀬久和,山本
隆司,川出敏裕,村山明生
2006.1 予
定
○
報告書
既存安全法システム(7 分野)の比較
安全法研究会
2006.1.17
○
報告書
安全法制度設計指針(Ver. 1)
安全法研究会
2006.1.17
○
138
報告書
安全確保のための損害保険制度設計指針
(Ver. 1)
安全法研究会
2006.1.17
○
139
論文
2005.12
○
2004.7
○
No.
133
分類
事例研究-製
品安全
134
135
設計手法
136
横断的知識基
盤
137
形態
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
論文
行政による製品安全規制と情報の開示・収
集
論文
論文
著者,作成者等
堀井秀之編『安全安心のた
めの社会技術』東京大学出
版会,第 3 章 6 節
ミッションプラグラム Ⅰ
最終報告会・安全安心のた
めの社会技術
ミッションプラグラム Ⅰ
最終報告会・安全安心のた
めの社会技術
設計手法
140
全体総括
論文
リスク行政の手続法構造
安全確保のための法システム-責任追及
と学習,第三者機関の役割,国際的調和化
-
山本隆司
城山英明
ミッションプラグラム Ⅰ
最終報告会・安全安心のた
めの社会技術
城山英明・山本隆司編『環
境と生命』東京大学出版
会,第 1 章
『思想』第 963 号
リスクマネジメント研究グループ 研究開発成果報告書
【 目 次 】
1. 研究開発の目標
1-1 パブリックリスクマネジメント(PRM)のための社会技術の方法論構築
1-2 効果的・効率的なリスクガバナンス(RG)のためのリスク情報開示・流通手法の
開発
1-3 市民レベルでのリスクマネジメント(RM)行動支援手法の開発
2. 目標達成のための体制
3. 研究開発の成果とそのクオリティ(実装の状況・可能性を含む)
3-1 「PRM のための社会技術の方法論構築」に関する成果
1) PRM の概念の明確化
2) 社会技術としての PRM の方法論
◇ リスク特性の分野横断的な類型化手法
◇ RG 構造の分野横断的な類型化手法
◇ リスク特性と RG 構造の類型論的な関係の検討
◇ 俯瞰的視点からの RG 構造の設計手法
3-2 「効果的・効率的な RG のためのリスク情報開示・流通手法」に関する成果
1)防災投資報告制度の立案
2)民間企業において実施されている RM 手法の社会技術面からの検討
3-3 「市民レベルでの RM 行動支援手法」に関する成果
1) 動く津波ハザードマップを用いた尾鷲市での RM 行動支援
2) 警告情報の分野横断的流通プラットフォームに関する調査結果
4. 目標の達成状況
4-1 「PRM のための社会技術の方法論構築」の達成状況
4-2 「効果的・効率的な RG のためのリスク情報開示・流通手法」の達成状況
4-3 「市民レベルでの RM 行動支援手法」の達成状況
5. 研究成果の公表
5-1 社会技術に関連する博士/修士/卒業論文
5-2 社会技術に関連するゼミ/講義等
5-3 一般へのセミナー/講演等
5-4 実績一覧(リスト)
177
1. 研究開発の目標
リスクマネジメント研究グループでは、「社会全体として市民の視点に立ったリスクマネ
ジメント(RM)を実現するための、分野横断的な社会技術の方法論を構築する」、
「各主体
の RM 行動の相互作用を踏まえ、公平かつ効率的に安全安心を確保できる社会技術を開発
する」という目的の下、以下に示す 3 点(1-1~1-3)を目標に研究を実施した。
1-1 パブリックリスクマネジメント(PRM)のための社会技術の方法論構築
パブリックリスクマネジメント(PRM)の概念を、既往の研究成果の蓄積を基に明確化
するとともに、社会的リスクの軽減に向けて多様な分野で既に実施されている RM の実態
等を検証し、各分野のリスク特性と、分野別のリスクガバナンス構造との関係を分析し、
社会全体として公平かつ効率的に安全・安心を確保していく PRM のための社会技術の方法
論を構築する。
1-2 効果的・効率的なリスクガバナンス(RG)のためのリスク情報開示・流通手法の
開発
分野横断的、業種横断的に RM 資源が配分され、各主体の取り組みが相補的・相乗的とな
るために、必要とされるリスク情報の開示手法・流通手法について、主として民間部門で
の会計情報に関しての取り組み(SRI や環境会計等)を踏まえて、会計的手段を通じたリス
ク情報開示の手法を検討する。合わせて、民間企業の防災活動が公的にも大きな役割を持
つことから、事業継続計画(BCP)のあり方をとりまとめる。
1-3 市民レベルでのリスクマネジメント(RM)行動支援手法の開発
近年頻発する自然災害への対応にあたって、自助・共助としての市民レベルの RM 行動を
支援する必要がある。そこで、防災情報発信者と情報の受け手側の相互作用を効果的なも
のとするよう、受け手のリスク認知を大幅に改善する支援手法を開発する。合わせて、災
害時・事故時の市民レベルでの RM を情報面から支援するため、警告情報を分野横断的に
流通させるためのプラットフォームに関して調査検討を実施する。
2. 目標達成のための体制
上に掲げた目標を達成するためには、リスクに関わる社会基盤工学、経済学、行政学等の
知識を横断的に取り扱い、取りまとめる必要がある。そのため、リスクマネジメント研究
グループでは、堀井グループリーダーを中心に、多様な専門分野の知を結集させた体制を
構築した。
氏名
堀井 秀之
現在の所属・職位
専門分野
分担
東京大学大学院工学系
研究科教授、総長補佐
社会基盤工学、社会技術
論
グループリーダー(平成
15 年~)、1-1(方法論
の構築)
178
氏名
現在の所属・職位
専門分野
多々納裕一
京都大学防災研究所・教
授
災害経済学、社会基盤の
リスクマネジメント
片田敏孝
群馬大学・教授
災害社会工学、災害情報
大林厚臣
慶應義塾大学・助教授
ミクロ経済学、意思決
定、技術戦略
湊隆幸
東京大学・助教授
庄司学
筑波大学・講師
中谷洋明
社会技術研究開発セン
ター 非常勤研究員
村山明生
山口健太郎
舟木貴久
三菱総合研究所 コンサ
ルティング事業本部
三菱総合研究所 社会シ
ステム研究本部
三菱総合研究所 コンサ
ルティング事業本部
マネジメント、情報のリ
スク分析
地震工学、災害システム
工学
分担
1-1(方法論の構築)、1-2
(リスク情報開示・流通
手法)
1-3(RM 行動支援手法)
1-1(方法論の構築)、1-2
(リスク情報開示・流通
手法)
1-2(リスク情報開示・
流通手法)
1-3(RM 行動支援手法)
防災行政学、防災情報の
設計
サブ・グループリーダー
(平成 16 年、17 年)、
1-1(方法論の構築)、1-3
(RM 行動支援手法)
法制度
研究補佐
リスク政策分析
研究補佐
法制度
研究補佐
3. 研究開発の成果とそのクオリティ(実装の状況・可能性を含む)
3-1 「PRM のための社会技術の方法論構築」に関する成果[13][18]*
1) PRM の概念の明確化
(成果の概要)
現代社会では、多元的な統治体制の下で、多様な主体による RM が実施されている。この
内、株式、債券、公債や保険等による金融市場を通じた RM や、リスク分析等を通じた生
産製造施設及び組織内の RM は、政府部門及び民間営利企業それぞれの必要性から発達し
てきた。個別の分野・業種で深化・成熟してきた RM は、リスクコミュニケーションやリ
スク政策の面で、市民を志向するものへと収斂しつつあり、一方で、RM を脱構築すること
は、財・サービスの生産・流通・消費の最終段階(川下)であらゆるリスクに晒される、
市民の視座からの要請でもある。PRM では、社会技術としての「俯瞰的アプローチ」を RM
に適用することで、各分野のリスク特性、リスクガバナンス構造を共通の用語、尺度によ
って明示的に記述し、関係性を分析することを可能にした。
(成果のクオリティ)
これまでの RM の取り組みでは、各分野別・業種別に社会科学的、工学的手法を用いてリ
*
以降[]で囲んだ番号は参照文献を示し、5-4で挙げる実績リストの番号と対応している。
179
スク分析と対策を実施してきているが、市民の立場から社会全体の RM として捉えた時に、
ハザードが削減され、脆弱性(vulnerability)が改善されるように、RM の手法を研究開発
することが困難であった。個別分野の RM という縦糸に、PRM という分野横断的な横糸を
導入することで、社会の RM 資源を有効に活用し、各主体の取り組みを相補的、相乗的に
するための研究開発が可能となり、問題の存在を早期に発見し、社会的に納得可能な問題
解決が導かれるようになると期待される。社会技術の俯瞰的なアプローチの 1 つとしての
PRM の概念は、シンポジウムでの発表やパネルディスカッション等を通じてミッション・
プログラム I 内で共有、分野間協働を推進することはもちろん、書籍、論文集、ウェブサイ
ト、事例集(パンフレット)、パネル展示などの形で対外的にも分かりやすく提示されてい
る。PRM は、OECD の Global Science Forum 等の場で重要性を認められている社会技術
の俯瞰的アプローチを RM 分野に適用し、市民のために効果的・効率的にイノベーション
を生み出すための基盤概念の 1 つであると言える。
2)社会技術としての PRM の方法論
社会技術の俯瞰的なアプローチに基づいて、市民の視点に立った RM としての PRM の一
般的な方法論を構築した。PRM では、多様な分野のリスク特性と関係主体間のリスクガバ
ナンスの構造とを共通に記述し、俯瞰的な比較検討により、各分野のリスクガバナンス構
造の形成をリスク特性から読み解いた。リスクガバナンス構造の明示によって、現在様々
な主体によって実施されている RM を市民
の視点から捉え、社会技術研究のイノベーシ
ョンによって開発される RM 手法を導入す
ることの効果を直観的に明らかにする。また、
異分野間で類似の RM 手法の移転を検討す
る際に、その効果をリスク特性に照らして定
性的に判断する。
◇ リスク特性の分野横断的な類型化手法
(成果の概要)
リスク科学におけるリスク分析、RM、リ
スクコミュニケーションの研究蓄積を踏ま
え、リスク特性に関する記述子のセットとし
て、リスク特性指標の体系を開発した(表 1)。
リスク特性指標の体系の有効性、妥当性を、
化学工場事故、原子力発電所事故、地震災害、
交通事故、コンピューター犯罪、医療事故、
食品安全といった 7 分野について、専門家と
180
協働して分野間で共通して利用できることを
確認した上で、リスク特性の類似性に従って
それぞれのリスク分野を分類する手法を開発
した。分類のための演算には、フィンランド
工科大学の T.Kohenen が開発した自己組織
化マップ(Self-organizing Map)を利用し、
「どの性質について、どのリスク分野同士が
近いのか」を高い客観性を持って、直観的に
理解可能な形で明示した(図 1)。
(成果のクオリティ)
リスク特性の分野横断的な類型化手法は、
異分野間の協業と、RM におけるイノベーションを支えるために不可欠なものであり、特に、
多様な分野で共通して利用可能なリスク特性指標の体系は重要性が高い。開発されたリス
ク特性指標の体系は、様々な分野の専門家に対してシンポジウム等を通じて紹介されると
共に、ミッション I のグループ間協業の推進に活用された。リスク特性の類型化手法は、書
籍、論文集、ウェブサイト、事例集(パンフレット)、パネル展示などの形で対外的にも分
かりやすく提示されている。また、より客観性と普遍性の高いリスク特性指標の体系は、
国境を超える今日的なリスクや新興リスクを扱う際の概念フレームの基礎付けとして、国
際的にも強く求められており、リスク科学の各種国際ジャーナルでも繰り返し誌上討議が
行われており、リスク科学、RM 実務者等で組織される International Risk Governance
Council(国際リスクガバナンス会議)でも、本リスク特性指標の体系の一部が紹介され、
国際的に共通して利用可能なリスク特性指標の体系が討議されている。
◇ RG 構造の分野横断的な類型化手法
(成果の概要)
各リスク分野で実務的に形成されてきた RG 構造を、RG 構造を構成する各主体間の作用
の種類・程度を表す「影響線」等を導入して、体系的に記述する手法を開発した。多様な
分野、業種の RG 構造を共通した記述手法を用いて表すことで、分野間の類似性、相違性、
その成立背景を俯瞰的に把握する基盤を構築した(図 2)。
RG 構造を類型化して記述する手法の導入によって、例えば、化学工場事故、原子力発電
所事故、地震災害、交通事故、コンピューター犯罪、医療事故、食品安全といった 7 分野
に対して、それぞれの分野ごとに、また分野横断的に RG 構造を分析・統合することが可
能となった。
181
(成果のクオリティ)
RG 構造の分野横断的な類型化手法は、多様な分野を共通の視座で分析し、研究コミュニ
ティーで生み出される RM に関するイノベーションの実務的な妥当性を考証するために不
可欠なものである。開発された RG 構造の記述手法の実際のリスク分野への適用事例は、
様々な分野の専門家に対してシンポジウム等を通じて紹介されると共に、ミッション I 内で
も効果的に共有された。より客観的で普遍性の高い RG 構造の記述は、異分野間はもちろ
ん、RG の国際比較の面でも不可欠であり、国境を超える今日的なリスクや新興リスクへの
対応にあたって、各国、各分野がそれぞれに発達させてきた RG を互いに理解しながら相
互接続的に運用するために不可欠な基盤となっている。開発された RG 構造の分野横断的
な類型化手法は、新規性、有用性も高く、リスク科学、RM 実務者等で組織される International
Risk Governance Council(国際リスクガバナンス会議)でも、その一部が紹介されている。
◇ リスク特性と RG 構造の類型論的な関係の検討
(成果の概要)
類型化されたリスク特性と RG 構造との対応関係を、主として公共政策学での公平性、取
引経済学での効率性(情報費用等)の点から解析し、両者の間に存在する法的、経済的、
社会的な連関・必然性を、分野横断的に共通の手法で分析した (図 3)。類型論的な関係の
分析によって、分野間で RM 手法を移植する場合、あるいは新興リスクに対して新たに RG
構造を構築する必要が生じた際に、それぞれの RM 手法の効果を定性的に判断するための
推論基盤を構築した。
182
(成果のクオリティ)
類型化されたリスク特性によって、各リスク分野に形成されている RG 構造の連関を読み
解く考え方は、シンポジウムでの発表やパネルディスカッション等を通じてミッション・
プログラム I 内で共有され、書籍、論文集、ウェブサイト、事例集(パンフレット)、パネ
ル展示などの形で対外的にも分かりやすく提示されている。関係性の分析事例は、OECD
の Global Science Forum 等の場でも紹介されており、社会技術の俯瞰的アプローチをリス
ク分野に有効に適用した事例と言える。
◇ 俯瞰的視点からの RG 構造の設計手法
(成果の概要)
複雑化した現代社会のリスク問題は、多様な価値を持つ多数の関係主体のネットワークの
中でシステミックな様相を呈している。俯瞰的視点からの設計手法は、新規の RM 手法が
社会技術として実装される際に、不可避的に変化させることになる RG 構造への影響を評
価する。また、開かれた社会において、主体間の公平性を担保しつつ、政府、市場双方の
失敗を最小限にとどめた低いコストで運営し、社会全体の効率性を向上させる社会技術の
制度設計を支援できるよう、個別・具体の RM 手法の相対的な望ましさを、リスク特性と
の関係性の中で位置付ける手法を提示した。
(成果のクオリティ)
社会実験等に基づく検証が、社会倫理的に困難であるリスク分野において、新規の制度・
政策を導入した場合の、RG 構造への影響を社会全体の公平性、効率性の観点から、事前に
予測評価する推論モデルは、リスクに関する社会技術設計の中核を占める。RG 構造におい
て、新規 RM 手法や導入施策を影響線として示すことで、主体間の負担の公平性をそれぞ
れの責務から明らかにすると共に、制度・政策の相殺を防止し、施策の効率性を抜本的に
改善すると期待される。RG 構造そのもの、あるいは、リスク特性から必然的に提起される
RG 構造とそれを構成する影響線のあり方を導く手法は新規性、有用性共に高く、シンポジ
ウムでの発表やパネルディスカッション等を通じてミッション・プログラム I 内で共有され、
183
書籍、論文集、ウェブサイト、事例集(パンフレット)、パネル展示などの形で対外的にも
分かりやすく提示されている。リスク特性と RG 構造との関係性の推論モデルに沿って評
価・設計されたリスク情報開示・流通手法や市民レベルでの RM 行動支援手法も、実装可
能な社会技術として個別のリスク分野でも高い評価を受けており、社会技術の俯瞰的アプ
ローチのリスク分野における有効性を示していると言える。
3-2 「効果的・効率的な RG のためのリスク情報開示・流通手法の開発」に関する成果
1)防災投資報告制度の立案[77]
(成果の概要)
社会全体やそれぞれの地域の防災力向上のためには、行政のみならず地域内における企業
の取り組みが不可欠である。しかしながら、民間営利企業にとっての防災への取り組みは、
短期的なコストのみが認識され、潜在的・長期的な収益の増加としては認識されづらい。
短期的な事業経営最適化の中に長期的な視点を取り入れることで企業行動の歪みを修正す
ることを支援し、企業における費用対効果の高い防災対策実施を支援する社会技術として、
①情報プラットフォーム「防災投資報告書」
(図 4)、②同報告書の共有・公開方法、③企業
が同報告に前向きに取り組むためのインセンティブをそれぞれ設計した。この 3 つの要素
を組み合わせ、分野横断的なリスク削減に役立つ社会技術として防災投資報告制度を開発
した。
地震動発生
施設面
インプット
(財務情
報)
非施設面
アウトプット(○)
アウトプット(○) インプット アウトプット(○)
アウトプット(○)
もしくはインプット
もしくはインプット
の質(△)(非 (財務情 の質(△)(非
報)
財務情報)
財務情報)
耐震/免震 ○施設が耐え
△<A>の改善・
施設整備 得る昀大震度
維持に資する
防災施設
費
<A>
活動内容(点
管理部署
検報告・自主
○施設の不燃 の運営費 点検の実施状
化率<A>
況等)
建物被害
建物被害
棚卸資産被害
棚卸資産被害
関係業者の被災
従業員の店外での被災
防火施設
整備費
施設面
来店者(普段の顧客)
の店外での被災
非施設面
アウトプット(○)も
アウトプット(○)も
インプット
しくはインプットの
(財務情報) 質(△)(非財務
情報)
インプット
(財務情
報)
○ 想 定さ れる
潜在的被害者に
従業員の
避難・救護 対 する 避難・ 救
訓練・教育
施設整備費 護 可 能 人 数 の
関係費
割合[概算]
△整備の種類
アウトプット(○)も
アウトプット(○)も
しくはインプットの
質(△)(非財務
情報)
○救急救命関
係の資格所有
者率
△研修の年間
開催回数
△カリキュラムの見
直し頻度
△実効性評価
【来店者】
店内での
店内での
身体的被害
身体的被害
(アウトカム)
非死傷率:
来店者のうち非死傷者数
÷来店者数
【従業員】
【近隣住民・施設】
身体的被害
身体的被害
物理的被害
物理的被害
(アウトカム)
非損傷率:
災害後の近隣施設価値÷
災害前の近隣施設価値
来店者の減少
来店者の減少
(アウトカム)
非死傷率:
従業員のうち非死傷者数
÷従業員数
施設面
アウトプット(○)もしくは
アウトプット(○)もしくは
インプット
インプットの質(△)(非
インプットの質(△)(非
(財務情報)
財務情報)
業務継続担当
部署の運営費
○ 災 害 後の業 務に
業務継続に
必要となる資機材に
必要な代替
対する、現状整備さ
資機材への
れ て い る 資 機 材 の 従業員の訓
投入費用
割合
練・教育関係
費
非施設面
インプット
゚ット
(財務情報)
アウトプット(○)もしくはインフ
゚ット
アウトプット(○)もしくはインプット
の質(△)(非財務情報)
事後処理担当部署の運営費
△ノウハウの蓄積
△体制の充実度
内部留保・引当金
○積み立て額
保険料、災害証券運用費用
など
○昀高補償額
補
補
営業停止・遅滞
営業停止・遅滞
償
償
非施設面
アウトプット(○)もしく
゚ット(○)もしく
はインプットの質(△)
はインプットの質(△)
(非財務情報)
インプット
(財務情報)
△業務継続の実行
可能性
△業務継続体制の
充実度
△研修の年間開催
回数
△カリキュラムの見直
し頻度
△実効性評価
【顧客】
「社会的制裁」
「社会的制裁」
復旧費用の支出
復旧費用の支出
購入可能な財の減少、
購入可能な財の減少、
信頼低下
信頼低下
(アウトカム)
災害時におけるサービ
スの稼働率
非施設面
インプット
(財務情報)
内部留保・引当金
○カバー率、昀高補償額
保険料、災害証券運用費用
○資金流動性(支払までの機
など
関)
業績低下
業績低下
ブランドイメージの失墜
ブランドイメージの失墜
アウトプット(○)もしくはインプットの
゚ット(○)もしくはインプットの
アウトフ
質(△)(非財務情報)
○積み立て額
非施設面
インプット
(財務情報)
【株主】
株価下落
株価下落
【
】 はステイクホルダー、
は外部的被害・損害の内容を示す
営業規模の
営業規模の
縮減
縮減
(アウトカム)
・施設の非損傷率
・災害時におけるサービスの稼働率
・発災から通常業務開始までの期間
・賠償コスト
【従業員】
雇用・賃金削減
雇用・賃金削減
(アウトカム)
発災前後の収入費:
発災後の収入÷発災前の収入
図4 防災投資報告のイメージ
184
アウトプット(○)もしくはインプットの
アウトプット(○)もしくはインプットの
質(△)(非財務情報)
災害等による失業補償のた
○積み立て額
めの引当金
災害時における従業員の雇 △従業員の生活保護
員の生活保護計
計画の
画の
用安定に係る検討業務費
有無
(成果のクオリティ)
本手法に関しては、これまでに様々な分野の有識者・実務者 8 名にヒアリングを実施し、
実用性と効果に関して肯定的な評価を頂いている。実務者の大半が「今後策定の活発化が
予想される BCP(事業継続計画)を補強するツールとなり得る」と評価しており、時宜を
得た検討であると言える。今後は、分野別の文脈依存性の中で不透明になりがちな、RM 手
法の検討を支援する社会技術として発展すると期待される。
2)民間企業において実施されている RM 手法の社会技術面からの検討 [9][10][16]
(成果の概要)
自らに責任のあるトラブルをあえて報告するインセンティブ、より一般に情報共有を行う
インセンティブ、さらに知識生産のタイプによる適切なマネジメントの違いなどをモデル
化し論文として発表した。あわせて地震防災を中心に事例研究を行い、政府の中央防災会
議専門調査会委員およびワーキング・グループ座長として、政策および政府刊行物への助
言を行った。
(成果のクオリティ)
社会技術研究の検討を基礎とした「事業継続ガイドライン」は、実際に企業・業界団体に
よって利用される品質を持っており、自然災害を主に想定した業種横断的な防災の取り組
みは世界的にも他に例をみない。ガイドラインの内容は、目下検討中の ISO の安全保障基
準に反映されるべく、日本政府代表から提案される予定である。「第一版」という名前が示
すように、民間営利企業のための RM 対策は、継続的な見直しと改善によって品質を向上
させていく性質のものであり、継続的なフォローアップと産業ごとの個別ガイドラインの
作成が開始されている。
3-3 「市民レベルでの RM 行動支援手法の開発」に関する成果
1)動く津波ハザードマップを用いた尾鷲市での RM 行動支援[22][23][25][26]
(成果の概要)
津波災害に対する総合的な防災計
画の策定を支援するためのツールとし
て開発された「津波災害総合シナリ
オ・シミュレータ」を具体的な社会技
術として津波災害のおそれのある地域
で実装した。また、防災教育を支援す
るツールとして、シミュレータによる
計算状況をアニメーションとして視覚化し、講演会などで利用する動的な津波ハザードマ
ップを、プレゼンテーションで活用すると共に、インターネットを利用して表示する形式
185
で実装した。
(成果のクオリティ)
本システムは、三重県尾鷲市や岩手県釜石市など複数の津波常襲地域において適用されて
おり、それぞれの地域において本ツールを用いた防災講演会や講習会などが複数回にわた
って開催されている。なお、尾鷲市においては、本ツールを利用した防災講演会による住
民の津波災害に関する意識変化を計測しており、防災教育ツールとしての有効性を確認し
ている。また、津波防災における先進的な事例としてテレビや雑誌などで取り上げられて
いる他、自治体などが主催する講演会や OECD の Global Science Forum など多数の場面に
おいても紹介され、津波防災の課題を持つ各国から多くの問い合わせを受けている。
2)警告情報の分野横断的流通プラットフォームに関する調査結果[17][19]
(成果の概要)
様々なリスク分野の警告情報を共通のプラットフォームで流通させるために、情報通信
基盤及び共有用のプロトコルの日米比較検討を実施した。また、先行して実装を進めてい
る米国での電子標準化及び実証試験等の社会的手続きの調査を実施した。検討結果の一部
は報告書等の形で取りまとめられ、説明会等を通じて内閣府中央防災会議の関係機関へ紹
介された。また、調査結果については論文等として公表される予定である。
(成果のクオリティ)
本調査検討の成果の一部は既に米国の施策に反映され、わが国でも米国での実装経験を踏
まえて、同様のプラットフォームの構築が検討されていく可能性が高い。防災情報の発信
を担当する気象庁と米国海洋大気庁との間でも、本構想に関連して継続的で実務的な情報
の共有を図っている。各機関が持つ既存の情報通信基盤を最大限活用して市民レベルでの
RM 行動を具体的に支援する防災情報・警告情報の分野横断的な流通プラットフォームは、
社会技術の俯瞰的アプローチをもとに構想が具体化しており、分野横断的な取り組みが実
際に市民の安全・安心に結び付く事例と言える。
4.目標の達成状況
4-1 「PRM のための社会技術の方法論構築」の達成状況
社会技術としての PRM の導入においては、社会技術研究の中核的な分野の 1 つであるリ
スクマネジメント(RM)において、市民のための安全・安心に不可欠なイノベーションを
生み出す方法論を基礎付けることができた。これに基づいて、リスク特性の類型化手法、
RG 構造の類型化手法を、各分野の分析への有効性を確保しつつ、社会技術の理念である俯
瞰的アプローチに沿って構築し、リスク分野において、社会技術のイノベーションによっ
て生み出される RM 手法を適用する際に、RG 構造の中で発生する影響を、リスク特性との
186
関係の中で定性推論的に分析する手法を構築することができた。この手法を用いて、市民
の視点に立ち社会全体として望ましい RM 手法として、強制の度合いが小さくマーケット
アプローチをより多く活用したものを優先的に実装するとした場合について、各分野のリ
スク特性の分類に基づいて、リスク特性と RG 構造との関係性から RM 手法の社会的な影
響を評価し、様々な主体間において、修正・改良を加えるべき影響線を明らかにする手法
を構築した。これによって、具体的なリスク問題に対して、革新的な RM 手法の導入によ
って解決を図る社会技術が、社会全体としての公平性を損なうことなく、効率的に実装さ
れていくための基礎付けがなされた。
4-2 「効果的・効率的な RG のためのリスク情報開示・流通手法」に関する成果
「防災投資報告制度の立案」においては、災害発生時に、民間営利企業が外部のステイ
クホルダーに及ぼす影響を俯瞰的に把握し、企業における個々の防災投資が社会全体にと
ってどのような意味を持つものであるかを明示する手法を設計した。この手法はミッショ
ン・プログラムⅠの主要理念「俯瞰的アプローチ」を体現するものである。合わせて、同
手法を社会に実装する際に課題となる、民間営利企業が採用する際のメリットを検討した。
本社会技術の設計は、総括研究グループが提唱している「社会技術の設計ループ」の実証
事例としても活用されている。
「民間企業において実施されている RM 手法の社会技術面か
らの検討」においては、本検討を反映した内閣府出版の「事業継続ガイドライン第一版」
は多くの企業や業界団体によって、災害等のリスクに対する事業継続計画を作成するため
の原案として利用されている。また、防災対策を積極的に評価し、世論による普及を促進
するための、企業の取り組みの評価採点表なども公表されている。更に、論文については、
出版社や雑誌社から内容を実務家向けに説明するための執筆依頼を受けており、広い対象
分野の RM 実務家の問題解決に役立つと期待される。
4-3 「市民レベルでの RM 行動支援手法」に関する成果
「動く津波ハザードマップを用いた尾鷲市での RM 行動支援」においては、各種シナリ
オ想定に基づき津波災害時の地域状況を具体的に表現することによって、各種災害シナリ
オの違いや各種対策シナリオによる効果を損失人命数という単一の尺度で評価することが
可能な津波防災の戦略策定ツールを実際の地域で実装することができた。また、この技術
を活用することによって、津波の発生シナリオやその時の自治体や住民などによる社会対
応の如何によって被害の多寡が大きく変化することを視覚的に分かりやすく表現し、防災
教育を実施することができた。
「警告情報の分野横断的流通プラットフォームに関する調査
結果」においては、分野横断的な警告情報の流通プラットフォーム構想で提唱された、防
災情報共有のための XML ベースのプロトコルは、W3C、OASIS 等の認証を受けている。
また、同構想は、有用な社会技術として米国政府(NOAA、米国海洋大気庁)が採用してい
る。警告情報を分野を超えて流通させる同構想は、内閣府の中央防災会議の各機関の政策
187
形成・システム開発に影響を与えている。米国での同プロトコルの実証試験及びシステム
構築にあたっての課題と対応は、調査解析中であり、社会技術の実装とインパクトの評価
事例となると考えられる。
188
5.研究成果の公表
5-1 社会技術に関連する博士/修士/卒業論文
論文名
災害後の復旧対策が経済成長に与える影響に関する分析
論文の種類
著者[指導教官]
修士論文
本間稔常[多々納裕一]
修士論文
窪田崇斗[多々納裕一]
修士論文
土屋
リスク・マネジメントにおける情報共有
修士論文
原口彰文[大林厚臣]
環境融資における貸し手の行動分析
修士論文
真鍋邦大[湊隆幸]
住民の防災対応意識の実態とその変容促進策の検討
修士論文
岩崎隆雄[片田敏孝]
道路構造物に対する地震リスクマネジメント手法の開発と適用
修士論文
笛木孝哲[庄司学]
修士論文
松島郁美[庄司学]
卒業論文
柿沼誠之[多々納裕一]
卒業論文
神谷
住民アンケートによる地域内の震度分布に関する考察
卒業論文
北島文記[片田敏孝]
津波災害知識の形成とその問題点
卒業論文
望月
津波避難の意思決定構造に関する研究
卒業論文
細井教平[片田敏孝]
災害対応における役割分担意識に関する研究
卒業論文
手島知史[片田敏孝]
住民に対する土砂災害教育のあり方とその効果・波及に関する研究
卒業論文
真保英介[片田敏孝]
災害時における問い合わせ対応支援情報システムの改善方策に関する実
証的研究
東海地震の警戒宣言に伴う社会経済損失の推計とその軽減方策に関する
研究
電力バックアップシステムの地震災害リスクに対する信頼性評価手法の
開発
複合型高齢者福祉サービス導入のための情報共有プロセスに関する研究
-鳥取県智頭町を対象として診断情報や改修効果に関する知識が耐震化選択行動に及ぼす影響に関す
るモデル分析
189
哲[多々納裕一]
宏[多々納裕一]
準[片田敏孝]
発表当時の所属
京都大学 大学 院工学
研究科
京都大学 大学 院工学
研究科
京都大学 大学 院工学
研究科
慶應義塾 大学 大学院
経営管理研究科
東京大学 新領 域創成
科学研究科
群馬大学 大学 院工学
研究科
筑波大学 大学 院理工
学研究科
筑波大学 大学 院シス
テム情報工学研究科
京都大学 大学 院工学
研究科
京都大学 大学 院工学
研究科
群馬大学 工学 部建設
工学科
群馬大学 工学 部建設
工学科
群馬大学 工学 部建設
工学科
群馬大学 工学 部建設
工学科
群馬大学 工学 部建設
工学科
発表年次
2002 年度
2002 年度
2002 年度
2003 年度
2005 年度
2004 年度
2005 年度
2005 年度
2002 年度
2002 年度
2003 年度
2003 年度
2003 年度
2003 年度
2004 年度
論文名
論文の種類
著者[指導教官]
津波避難の意思決定構造とその行動特性に関する研究
卒業論文
大賀透也[片田敏孝]
道路ネットワークの機能性に着目した耐震性能評価の試み
卒業論文
笛木孝哲[庄司学]
地域ベースの災害リスク情報に基づいたライフラインシステムの形態分
析
卒業論文
松島郁美[庄司学]
災害リスクに対する認知構造の分析とその利活用
卒業論文
北原淳[庄司学]
アフガニスタンにおける道路整備による経済効果
卒業論文
吉田薫[庄司学]
卒業論文
高松俊邦[庄司学]
卒業論文
中田昌宏[庄司学]
卒業論文
橋本一正[庄司学]
道路構造物の津波リスクマネジメント
卒業論文
森洋一郎[庄司学]
情報通信ネットワークの災害リスクに対するシステム信頼性評価に関す
る研究
卒業論文
黒住展堯[庄司学]
地震リスク対応行動に関する既存知の明示化と意思決定プロセスへの還
元
ネットワークシステムに対するリスク分析とリスク事象の発現に伴うガ
バナンス構造の解明
先端技術と法・規制システムの関連についての分析-遺伝子操作技術に
おける安全性確保のための提言-
発表当時の所属
群馬大学 工学 部建設
工学科
筑波大学 工学 システ
ム学類
筑波大学 工学 システ
ム学類
筑波大学 工学 システ
ム学類
筑波大学 工学 システ
ム学類
筑波大学 工学 システ
ム学類
筑波大学 工学 システ
ム学類
筑波大学 工学 システ
ム学類
筑波大学 工学 システ
ム学類
筑波大学 工学 システ
ム学類
発表年次
2004 年度
2002 年度
2003 年度
2003 年度
2003 年度
2004 年度
2004 年度
2004 年度
2005 年度
2005 年度
5-2 社会技術に関連するゼミ/講義等
阿部雅人
阿部雅人
藤野陽三,阿部雅
人
東京大学教養学部
東京大学工学部
受講者数
(概数)
5
5
東京大学教養学部
100
都市のセキュリティデザイン
大林厚臣
東京大学教養学部
20
都市のセキュリティー
東北大学地域防災ゼミ(2004 年)「住民の災害情報理解を踏まえたハザ
湊隆幸
片田敏孝
東京大学教養学部
研究者,マスコミ
20
50
講義名
ビジネスモデル入門
センサーネットワークによる都市のセキュリティデザイン
都市のセキュリティデザイン
教官
190
講義の対象者
期間
2002 年 4 月~
2003 年 10 月~
2002 年 10 月~
2002 年 10 月(1日の
み)
2005 年 4 月~
2004 年 6 月 8 日
講義名
教官
ードマップ」
平成 17 年度 国土交通大学校 電気通信研修 「災害情報とハザードマ
ップ」
市町村アカデミー:災害に強い地域づくり①風水害対策「災害情報と住
民避難」
防衛大学校 「災害時の住民避難を考える -避難できない人の特性と
避難促進の処方箋-」
安全信頼性概論
社会基盤システム論
国際学ゼミナール I,II
講義の対象者
受講者数
(概数)
期間
片田敏孝
公務員
50
2005 年 5 月 24 日
片田敏孝
公務員
80
2005 年 10 月 14 日
片田敏孝
学生
50
2005 年 10 月 27 日
庄司学
庄司学,山田恭央,
武若聡,白川直樹
庄司学
筑波大学国際総合学類
筑波大学国際総合学類・工
学システム学類
筑波大学国際総合学類
30
2002 年 4 月~
60
2004 年 4 月~
3
2002 年 4 月~
5-3 一般へのセミナー/講演等
種別
講演名
講演者
セミナー
講演
日本の BCM
リスク多様化時代のセキュリティ・ガバナンス
大林厚臣
大林厚臣
基調報告
防災の社会システムに関する着眼点
大林厚臣
セミナー・講演
セミナー・講演
リスクマネジメントの評価と理論
防災のリスクマネジメント
米国の危機管理計画の動向~ハリケーン・カトリーナの教訓を
踏まえて~(第五回社会技術コロキウム)
企業防災と BCP
リスク特性とリスクガバナンス構造の類型化及び関係分析の試
み(第三回社会技術シンポジウム)
尾鷲市防災講演会「来る東南海地震津波に備える -尾鷲市で
は何が起こるのか」
気象大学校 予報課程特別研修「防災行動に直結する防災気象
情報のあり方」
第1回防衛施設学会講演会「災害情報の伝達と被害軽減」
大林厚臣
大林厚臣
セミナー・講演
セミナー・講演
パネルディスカッ
ション
セミナー・講演
研修
セミナー・講演
191
講義の対象者
受講者数(概
数)
22
200
期間
2005 年 12 月 6 日
2005 年 11 月
大林厚臣
一般管理職
一般
中央防災会議専門
調査会基調報告
技術士
一般管理職
一般,政府防災担当
者
建設業団体
中谷洋明
一般
50
2005 年 3 月
片田敏孝
一般
140
2004 年 5 月 6 日
片田敏孝
技術者,専門家
100
2004 年 9 月 30 日
片田敏孝
研究者
100
2004 年 10 月 1 日
中谷洋明
―
2003 年 12 月
100
25
2004 年 8 月
2005 年 11 月
25
2005 年 12 月
25
2005 年 11 月
種別
セミナー・講演
セミナー・講演
セミナー・講演
セミナー・講演
フォーラム
研修
セミナー・講演
セミナー・講演
研究発表
講習
研修
セミナー・講演
セミナー・講演
セミナー・講演
セミナー・講演
セミナー・講演
国際フォーラム
講演名
講演者
講義の対象者
受講者数(概
数)
80
400
30
2004 年 12 月 10 日
2004 年 12 月 20 日
2004 年 10 月 5 日
期間
三重県地域防災塾「東南海・南海地震津波からの避難」
和歌山県防災気象講演会「東南海・南海地震津波からの避難」
国土政策技術総合研究所「津波情報の住民理解」
日本予防医学リスクマネージメント学会 環境部会シンポジウ
ム特別講演「災害時の住民の避難行動について」
「災害時の避難
シミュレーションについて」
最近の大地震再考フォーラム「住民からみた津波防災の課題と
その対策 -このままではいけない日本の津波防災」
国土地理院危機管理研修「災害情報の住民理解と災害リスクコ
ミュニケーション」
自然災害に関する連続講演会 「住民の災害対応行動と情報理
解」 「災害をめぐる行政と住民との関係について」
(社)日本技術士会 平成 17 年 8 月度技術士 CPD 中央講座「津
波から命を守る」講師「津波からの避難行動」
第4回群馬大学桐生地区技術部技術発表会 「人は災害をどの
ように理解するか」
(社)全日本建設技術協会 第 502 回建設技術講習会「災害時
の情報伝達と避難」
片田敏孝
片田敏孝
片田敏孝
一般
一般
技術者,専門家
片田敏孝
研究者
100
2005 年 2 月 24 日
片田敏孝
一般
150
2005 年 4 月 11 日
100
2005 年 5 月 10 日
150
2005 年 7 月 5 日
100
2005 年 8 月 27 日
60
2005 年 9 月 6 日
300
2005 年 9 月 15 日
名古屋市上下水道局研修「防災対応職員に求められること」
片田敏孝
200
2005 年 9 月 16 日
100
2005 年 9 月 27 日
土木計画学ワンデイセミナー46「地域防災力向上の取り組み紹
介」
国土技術政策研究所 海岸防災研究「防災と情報」「人は災害を
どのように理解するか」
日本気象協会講演「減災につながる避難シミュレータの活用」
第 15 回 JCCA・人材啓発セミナー 講師 「わが国の防災の現
状と今後に向けての課題 ~これからの防災コンサルティング
のあり方を探る」
群馬県環境森林局 森林保全課 講演「人は災害をどのように
捉えるか -近年の災害に学ぶわが国の防災の現状と課題-」
OECD Global Science Forum “Comprehensive Tsunami
Damage Scenario Simulator”
192
片田敏孝
片田敏孝
片田敏孝
片田敏孝
片田敏孝
片田敏孝
研究者,技術者,専
門家
一般,研究者,技術
者,専門家
研究者,技術者,専
門家
研究者
技術者,専門家,公
務員
技術者,専門家,公
務員
研究者,技術者,専
門家
片田敏孝
技術者,専門家
30
2005 年 10 月 3 日
片田敏孝
技術者,専門家,公
務員公務員
50
2005 年 10 月 13 日
片田敏孝
技術者,専門家
100
2005 年 10 月 18 日
片田敏孝
技術者,専門家,公
務員
100
2005 年 11 月 22 日
片田敏孝
研究者,公務員
50
2005 年 12 月 6 日
種別
セミナー・講演
セミナー・講演
セミナー・講演
セミナー・講演
セミナー・講演
講演名
講演者
地震に備える~その時,電気,ガス,水道は?~
日本リスク研究学会第 16 回春季講演シンポジウム講演「「大都
市における総合的な災害リスクマネージメントを考える」 災
害リスクマネジメント分野の研究動向
International Risk Governance Council 2005 GENERAL
CONFERENCE, Beijing, China, Some Issues of Disaster Risk
Governance: Focusing on the Inter-Dependence of
Infrastructures
Asian Conference on Disaster Reduction Case Station Field
Campus Initiative:Building Coping Capacity in the Society
World Bank Global Conference on Insurance and Reinsurance
for Natural Catastrophe Rısk : The Role of Public-Private
Partnerships, Istanbul, Turkey,
Natural Catastrophe Risk
Management Policy in Japan: Roles of government to promote
public private partnerships
193
講義の対象者
受講者数(概
数)
30
期間
2005 年 5 月 21 日
庄司学
一般
多々納裕一
一般・研究者
200
2003 年 6 月
Hirokazu
TATANO
政府国連関係者・研
究者
500
2005 年 9 月 20 日~
21 日
Hirokazu
TATANO
政府関係者・研究者
500
2005 年 9 月 26 日~
28 日
Hirokazu
TATANO
政府関係・保険業
界・研究者
300
2005 年 12 月 8 日~
9日
5-4 実績一覧(リスト)
3
4
形態
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
著者,作成者等
発表場所
論文発表
A Muti-Regional General Equilibrium Analysis Taking
Account of Disaster Risk
Hirokazu Tatano,
Yasuaki Shoji and
Norio Okada
論文発表
災害復旧過程における人間活動の時空間分析に関する
研究
梶谷義雄,岡田憲夫, 土木計画学研究,論文集,Vol.19, no.2,
多々納裕一
pp.305-312
会 議 ( 国 Public regulatory policy and private business strategies
際,国内) to reduce risk under conditions of uncertainties
社会計測制御システムの構築に向けた法,規制体系の
学会発表
位置づけ
阿部雅人
阿部雅人/庄司学
IEEE International Conference,
pp.1773-1778
Alliance for Global Sustainability 2003 年
次総会
第4回 SICE システムインテグレー
ション部門(SI部門) 講演会
5
論文発表
空間応一般均衡アプローチによる東海地震の警戒宣言
時の交通規制に伴う経済損失の評価
土屋 哲,多々納裕
一,岡田憲夫
地域安全学会論文集, No.5
6
論文発表
災害リスクの特徴とそのマネジメント戦略
多々納裕一
社会技術研究論文集,vol.1,pp.141-148
7
論文発表
存続可能性を制約条件とした自然災害保険システムの
設計方法に関する研究
グエン,フク,ディ
ン,多々納裕一,岡
田憲夫
土木計画学研究,論文集,Vol.20, no.2,
pp.323-330
8
論文発表
Economic Restration Path after a Large Catastrophic
Event: Heterogeneous Damages and their Effects on
Economic Growth
Hirokazu Tatano,
Toshitsura Honma
and Norio Okada
9
論文発表
トラブル報告のインセンティブと管理目標
大林厚臣
Proceedings of the 2003 Joint Seminar
and Stakeholders Symposium on Urban
Disaster Management and
Implementation, CBTDC, Beijing,
pp.209-201
社会技術研究論文集,vol.2, pp.218-227
発表年次
資料の
添付
2
パブリックリスクマネジメント
1
分類
(サブ
テーマ)
No
2001
○
2002.
○
2003.3
―
2003.12
○
2003.11
○
2003
○
2003.9
○
2003
―
2004
○
2005
○
10
報告書
事業継続ガイドライン 第一版 ―わが国企業の減災と
災害対応の向上のために―
大林厚臣
内閣府『民間と市場の力を活かした防災力
向上に関する専門調査会報告書 別冊資
料編』
11
新聞イン
タビュー
震災対策
大林厚臣
京都新聞,2004 年 1 月 17 日
2004
○
12
論文発表
知識生産のモード論とマネジメント手法
大林厚臣
社会技術研究論文集,vol.3, pp.21-30
2005
○
新たな視点を
14
15
形態
論文発表
雑誌イン
タビュー
新聞イン
タビュー
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
著者,作成者等
リスク特性とリスクガバナンス構造の類型化及び関係
分析の試み
中谷洋明,堀井秀之
社会技術研究論文集,vol.3,pp.31-46
2005
○
政府,防災会議が「事業継続ガイドライン」を公表
大林厚臣
リスクマネジメント Business,2005 年 10
月号
2005
○
企業減災
8,完
大林厚臣
静岡新聞,2005 年 8 月 4 日付
2005
○
2006.1 予
定
○
2003.5
○
2006.1 予
定
○
2005.12
―
リスクに強い社会へ
発表場所
発表年次
資料の
添付
13
分類
(サブ
テーマ)
No
16
書籍刊行
社会技術の普及に向けた環境整備の提案
大林厚臣
堀井秀之編,『安全,安心のための社会技
術』
17
報告書
A National Strategy for Integrated Public Warning Policy
and Capability
中谷洋明
Partnership for Public Warning 編
18
書籍刊行
問題の分析と解決策の立案に関する具体的手法
スク問題の分析とガバナンス形態の立案手法-
中谷洋明
堀井秀之編,『安全,安心のための社会技
術』
19
報告書
災害発生情報の分野横断的流通技術に関する調査
環境防災総合政策研
究機構
―
20
論文発表
リスクマネジメント技術を社会にどう活かすのか
大林厚臣
リスクマネジメント TODAY
21
書籍刊行
リスクマネジメントの構図(仮題)
湊隆幸
東京大学出版会
22
論文発表
津波防災の実態にみる安心,安全に関わる社会技術に関
する基礎的研究
片田敏孝,桑沢敬行,
社会技術論文集,Vol2,pp.191-198
金井昌信,児玉真
2004.10
○
23
論文発表
津波災害総合シナリオ,シミュレータを用いた尾鷲市民
への防災教育の実施とその評価
片田敏孝,桑沢敬行,
社会技術論文集,Vol2,pp.199-208
金井昌信,細井教平
2004.10
○
24
論文発表
住民の避難行動にみる津波防災の現状と課題-2003 年
宮城県沖の地震,気仙沼市民意識調査から-
片田敏孝,児玉 真,
土木学会論文集 No.789/II-71,pp.93-104
桑沢敬行,越村俊一
2005.5
○
25
論文発表
津波に関わる危機管理と防災教育のための津波災害総
合シナリオ,シミュレータの開発
片田敏孝,桑沢敬行
土木学会論文集
印刷中
○
26
学会発表
災害総合シナリオシミュレータを用いた津波リスクコ
ミュニケーションツールの開発
片田敏孝,桑沢敬行
土 木 計 画 学 研 究 講 演 論 文 集 , vol.29 ,
CD-ROM( 11 )
2004
○
-リ
2006.3 予
定
2006.4 出
版予定
○
―
形態
発表場所
発表年次
資料の
添付
分類
(サブ
テーマ)
No
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
著者,作成者等
Toshitaka Katada,
Noriyuki
Kuwasawa, Harry
Yeh
Hazards2004,p.75
2004
―
2004
―
2005.6
―
27
学会発表
Development of Tsunami Comprehensive Scenario
Simulator for Disaster Education and Risk Management
28
学会発表
STUDY OF SOCIAL TECHNOLOGY FOR SAFETY
AND REASSURANCE FROM TSUNAMI DISASTER
Toshitaka Katada,
Masanobu Kanai,
Noriyuki Kuwasawa
Hazards2004,p.27
29
学会発表
Scenario Analysis of Measure for Tsunami Disaster
Prevention by Using Comprehensive Tsunami Scenario
Simulator
Toshitaka Katada,
Noriyuki
Kuwasawa,
Masanobu Kanai
22nd IUGG International Tsunami
Symposium
30
学会発表
災害対応意識デルファイ調査を用いた住民の態度行動
変容過程の追跡
金井昌信,片田敏孝,
土 木 計 画 学 研 究 講 演 論 文 集 , vol.29 ,
児玉 真,岩崎隆雄,
CD-ROM( 9 )
手島知史
2004
○
31
学会発表
住民アンケートによる地域内の震度分布に関する考察
北島文記,片田敏孝, 第 31 回土木学会関東支部技術研究発表会
児玉 真
講演概要集,CD-ROM(Ⅱ-22)
2004
○
32
学会発表
津波避難に関する住民意識の現状と課題
児玉 真,片田敏孝, 土木学会第 59 回年次学術講演会講演概要
桑沢敬行
集,CD-ROM(2-201)
2004
○
33
学会発表
住民に対する土砂災害教育のあり方とその効果,波及に
関する研究
片田敏孝,金井昌信, 土 木 計 画 学 研 究 講 演 論 文 集 , vol.31 ,
望月 準
CD-ROM( 147 )
2005
○
34
学会発表
時刻による人口分布の変動を考慮した災害総合シナリ
オ,シミュレータの開発
桑沢敬行,細井教平, 第 24 回日本自然災害学会学術講演会 講
金井昌信,片田敏孝 演概要集,pp.191-192
2005
―
35
学会発表
津波災害時の住民の避難意思決定モデルの構築と津波
災害総合シミュレータへの適用
細井教平,桑沢敬行, 第 24 回日本自然災害学会学術講演会 講
金井昌信,片田敏孝 演概要集,pp.193-194
2005
―
36
雑誌
津波,高潮防災におけるハザードマップ利活用のあり方
片田敏孝
波となぎさ,No.159,pp.6-9
2004
○
37
雑誌
津波災害総合シミュレータを開発,被害の軽減を図り防
災教育に活用
片田敏孝
月刊ポータル,pp.38,No.038
2004.10
○
38
雑誌
住民の避難行動から見た津波対策
片田敏孝
河川
2004.10
○
60 巻
第 10 号,No.699,pp.46-50
形態
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
著者,作成者等
発表場所
発表年次
資料の
添付
分類
(サブ
テーマ)
No
39
雑誌
住民の避難行動にみる津波防災の課題とその対策-動
くハザードマップの紹介-
片田敏孝
港湾,Vol82,6 月号,pp.28-29
2005.6
○
40
論文発表
道路ネットワークの地震による機能損失に関する定量
的評価
庄司学,笛木孝哲
第 5 回構造物の安全性,信頼性に関する国
内シンポジウム論文集,Vol.5,pp.109-116
2003.11
―
41
論文発表
地震災害時における道路ネットワークの機能損失評価
モデル
庄司学,笛木孝哲
土木学会地震工学論文集,Vol.28, Paper
No.138 (CD-ROM)
2005.8
―
42
論文発表
地震災害リスクに関する認知構造の分析とその利活用
庄司学,北原淳
土木学会地震工学論文集,Vol.28, Paper
No.140 (CD-ROM)
2005.8
―
43
論文発表
地震災害時に拠点となる公的施設に対する電力供給形
態
庄司学,松島郁美
土木学会地震工学論文集,Vol.28, Paper
No.142 (CD-ROM)
2005.8
―
論文発表
Evaluation Model of Function Loss of Infrastructural
Network Systems after an Extreme Seismic Event
Gaku Shoji and
Takaaki Fueki
Proceedings. of the 3rd Asian-Pacific
Symposium on Structural Reliability and
its Applications, pp.185-194, Seoul,
Korea
2004.8
―
Proceedings of PICMET ’05, Portland
International Conference on Management
of Engineering and Technology, Paper
No.05R0284 (CD-ROM)
2005.7
―
MDAI 2005, Modeling Decisions for
Artificial Intelligence, Paper No.81
(CD-ROM), Tsukuba, Japan
2005.7
―
44
Gaku Shoji, Ikumi
Matsushima,
Mariko Yamamoto
and Tomonori
Akiyama
Gaku Shoji,
Tomonori Akiyama,
Ikumi Matsushima,
and Mariko
Yamamoto
45
論文発表
Risk Management based on Perception of Stakeholders
against Corporate Brand
46
国際会議
Risk Management in terms of Corporate Brand based
on Perception of Consumers
47
学会誌
リスクベースでライフラインシステムを設計する
庄司学
メカトップ関東,日本機械学会関東支部ニ
ュースレター,No.17,pp.9
2005.1
―
口頭発表
Identification of Tsunami Wave Loads based on
Damage Assessment of Road Structures in Sri Lanka
due to the 2004 Giant Earthquake and Tsunami in the
Indian Ocean
Gaku Shoji and
Yoichiro Mori
Memorial Conference on the 2004 Giant
Earthquake and Tsunami in the Indian
Ocean, Abstract No. P1-2-2-3, Tokyo,
Japan
2005.12
○
48
形態
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
著者,作成者等
発表場所
発表年次
資料の
添付
分類
(サブ
テーマ)
No
49
口頭発表
遺伝子組換え食品に対するリスク認知に関する分析
徐鳳教,戸塚幸治,
畠邦彰,庄司学
メ デ ィ ア 情 報 検 証 学 術 研 究 会 2005 ,
pp.23-28
2005.12
―
50
口頭発表
IT 産業に対する個人の株式投資に関する意思決定問題
庄司学,松林真臣
日本リスク研究発表会講演論文集,Vo.17,
pp.235-239
2005.11
―
51
口頭発表
電力供給ネットワークのバックアップに関するシステ
ム信頼性評価
庄司学,松島郁美
第 18 回計算力学講演会講演論文集,日本
機械学会,pp.121-122
2005.11
○
52
口頭発表
防災に関連する国家会計に対する分析
庄司学,能木絵美,
笛木孝哲
日 本 地 震 工 学 会 大 会 ―2005 梗 概 集 ,
pp.534-535
2005.11
○
53
口頭発表
地震災害リスクの認知構造に基づいた避難行動に関す
る分析
伊藤めぐみ,庄司学
日 本 地 震 工 学 会 大 会 ―2005 梗 概 集 ,
pp.500-501
2005.11
○
54
口頭発表
電力バックアップシステムの地震災害時におけるシス
テム信頼性
松島郁美,庄司学
日 本 地 震 工 学 会 大 会 ―2005 梗 概 集 ,
pp.510-511
2005.11
○
55
口頭発表
道路構造物に対する地震リスクマネジメント
笛木孝哲,庄司学
日 本 地 震 工 学 会 大 会 ―2005 梗 概 集 ,
pp.522-523
2005.11
○
56
口頭発表
燃料電池のイノベーションプロセスに関する時系列分
析
庄司学,川口哲生
研究,技術計画学会第 20 回年次学術大会,
講演要旨集 I,pp.336-339
2005.10
○
57
口頭発表
リコール隠し問題の事例分析に基づいたコンプライア
ンス経営に関する一考察
庄司学,森洋一郎
研究,技術計画学会第 20 回年次学術大会,
講演要旨集 II,pp.911-914
2005.10
○
58
口頭発表
分散型電源のイノベーションプロセスと法,規制システ
ムの関係
松島郁美,庄司学,
川口哲生
2005 年度年次大会講演論文集,日本機械
学会,Vol.5,pp.323-324
2005.9
○
59
口頭発表
三菱自動車および三菱ふそうのリコール問題に対する
事例分析
秋山知範,庄司学,
森洋一郎
2005 年度年次大会講演論文集,日本機械
学会,Vol.5,pp.317-318
2005.9
○
60
口頭発表
地震災害リスクに対する施策立案と法制度
庄司学,高松俊邦
2005 年度年次大会講演論文集,日本機械
学会,Vol.5,pp.321-322
2005.9
○
61
口頭発表
遺伝子操作技術の安全性確保に資する法,規制システム
庄司学,橋本一正
2005 年度年次大会講演論文集,日本機械
学会,Vol.5,pp.325-326
2005.9
○
形態
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
著者,作成者等
発表場所
発表年次
資料の
添付
分類
(サブ
テーマ)
No
62
口頭発表
地震災害に関するリスク認知構造の分析
北原淳,庄司学
日本地震工学会―2004,pp.464-465
2005.1
○
63
口頭発表
災害時に拠点となる公的施設に対する電力供給形態の
システム分析
松島郁美,庄司学
日本地震工学会―2004,pp.452-453
2005.1
○
64
口頭発表
道路ネットワークの地震災害リスクに対する機能損失
評価モデル
笛木孝哲,庄司学
日本地震工学会―2004,pp.178-179
2005.1
○
65
口頭発表
道路構造物の地震時における機能性を考慮した耐震設
計手法の開発
庄司学,笛木孝哲
都市基盤施設のライフサイクルコスト評
価技術の現状と将来展望,京都大学防災研
究所,研究集会(一般)16K-09,pp.144-151
2004.11
―
66
口頭発表
Evaluation of Risk Perception for Seismic Disaster and
its Implementation
Gaku Shoji and Jun
Kitahara
International Joint Conference on Risk
Assessment and Management, Poster
No. RA-11, Seoul, Korea
2004.11
―
67
口頭発表
地震災害リスクに対する認知構造の分析とその利活用
北原淳,庄司学
土木学会第 59 回年次学術講演会概要集,
I- 817 (CD-ROM),pp.1631-1632
2004.9
○
68
口頭発表
地域ベースの地震リスク情報に基づいた電力保護シス
テムの形態分析
松島郁美,庄司学
土木学会第 59 回年次学術講演会概要集,
I- 809 (CD-ROM),pp.1615-1616
2004.9
○
69
口頭発表
道路ネットワークの震災による機能損失の評価モデル
笛木孝哲,庄司学
土木学会第 59 回年次学術講演会概要集,
IV- 261 (CD-ROM),pp.521-522
2004.9
○
70
口頭発表
社会基盤ネットワークシステムの地震時における機能
損失の評価モデル
庄司学,笛木孝哲
土木計画学研究,講演集,Paper No. 14
(CD-ROM),Vol.29
2004.6
○
71
口頭発表
地震リスク情報に基づいたエネルギー供給ネットワー
クの非常用システムに関する検討
庄司学,松島郁美
地域安全学会梗概集,No.14,pp. 45-48
2004.5
―
72
口頭発表
大規模震災に伴う社会基盤ネットワークの機能損失に
関する評価方法
庄司学,笛木孝哲
土木学会地震工学論文集,Vol.27, Paper
No.143(CD-ROM)
2003.12
○
73
口頭発表
道路構造物の地震時における機能性を考慮した耐震設
計法の提案
庄司学,笛木孝哲
第 8 回設計工学に関するシンポジウム講
演論文集,土木学会,pp.31-36
2003.12
○
74
口頭発表
遺伝子組換え技術における安全性確保のための法,規制
システム
庄司学,橋本一正
日本リスク研究発表会講演論文集,Vo.16,
pp.216-221
2003.11
○
形態
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
著者,作成者等
発表場所
発表年次
資料の
添付
分類
(サブ
テーマ)
No
75
口頭発表
社会基盤ネットワーク構造物の地震による機能損失に
関する評価
庄司学,笛木孝哲
第 2 回日本地震工学研究発表,討論会梗概
集,pp.418-419
2003.11
―
76
口頭発表
道路ネットワークの地震による被災に伴う損失の定量
的評価
笛木孝哲,庄司学
土木学会第 58 回年次学術講演会概要集,
IV-354 (CD-ROM),pp.707-708
2003.9
○
77
報告書
民間企業によるリスク情報の開示手法の検討調査
三菱総合研究所
2005.12
○
78
論文発表
災害リスクの特徴とそのマネジメント戦略
多々納裕一
―
社 会 技 術 研 究 論 文 集 , Vol. 1 ,
pp.141-148
2003
○
79
論文発表
社会技術研究論文集,Vol.2,pp.228-237
2004
○
Journal of Natural Disaster Science,
Vol.26, No.2,pp.81-85
2004
○
Proceedings of the 2004 IEEE Systems,
Man, and Cybernetics Conference
2004
―
JACIC 情報74号巻頭言,pp1-1
200.8
―
国際文化研修,第 44 号
日本リスク研究学会誌,第 15 巻 2 号,
pp.19-30
2004
―
2005
○
SCGE モデルを用いた基幹交通網に関する地震リスク
のパブリックマネジメント
ECONOMIC RESTORATION AFTER A
CATASTROPHIC EVENT: Heterogeneous Damages in
Infrastructure and Private Capital and Their Effects on
Economic Growth
土屋哲,多々納裕一
80
論文発表
81
国際会議
論文
Knowledge Acquisition Cost and Anti-seismic Mitigation
Investment by Individual Households,
82
雑誌記事
社会技術としてのリスクマネジメントの確立に向けて
Hirokazu TATANO,
Toshitsura HOMMA,
Norio Okada and
Satoshi TSUCHIYA
Hirokazu TATANO,
Hiroshi Kamiya and
Satoshi Tsuchiya:
多々納裕一
83
雑誌記事
自治体におけるリスクマネジメント
多々納
84
雑誌記事
災害リスクマネジメント分野の研究動向
多々納裕一
裕一
原子力安全Ⅰ研究グループ
研究開発成果・自己評価報告書
【 目 次 】
1. 研究開発の目標
1-1 原子力安全の体系化と情報共有
1-2 危機管理システムの評価手法と支援技術
1-3 原子力の社会的受容・合意形成過程
1-4 放射性廃棄物処分安全の社会的受容性
2. 目標達成のための体制
3. 研究開発の成果とそのクオリティ
3-1 「原子力安全の体系化と情報共有」に関する成果
1) オントロジー構築支援と原子力安全オントロジーの構築
2) 分野特化型情報検索エンジン
3) 原子力情報ポータルサイトの構築と評価
3-2 「危機管理システムの評価手法と支援技術」に関する成果
1) 緊急時行動シミュレーションシステム
2) 緊急時行動シミュレーションシステムの応用
3-3 「原子力の社会的受容・合意形成過程」に関する成果
1) 原子力認知構造と社会的受容性
2) 世論形成ダイナミクスの解明
3) 合意形成支援環境の開発
3-4 「放射性廃棄物処分安全の社会受容性」に関する成果
1) 段階的アプローチの調査・検討
2) 参加型性能評価システムの構築
4. 目標の達成状況
5. 研究成果の公表
5-1 社会技術に関連する卒業/修士/博士論文
5-2 社会技術に関連するゼミ/講義等
5-3 一般へのセミナー/講演等
5-4 実績一覧(リスト)
201
1. 研究開発の目標
原子力安全に関連し、技術的側面と社会的側面の両者を視野に入れた安全概念の構築に
必要な課題項目を、従来の原子力開発から得られる教訓を基に摘出・整理する。この知見
を踏まえ、異常の発生防止(規制・保安)、拡大抑制(異常対応)、影響緩和(防災)の各
フェーズにおける組織的リスクマネジメントや社会プログラムの有効性評価技術と、これ
ら諸活動の効率化のための支援技術を開発する。さらに、原子力に関する社会的受容・合
意形成のプロセスを解明することによって、望ましいリスクコミュニケーションのあり方
を提言する。
1-1 原子力安全の体系化と情報共有
原子力安全の専門家への意見聴取やブレーンストーミングを通して、技術的側面と社会
的側面の両者を含む原子力安全の影響因子と課題分野を抽出し、原子力安全に関る基本概
念を網羅、体系化した原子力安全オントロジーを構築する。つぎに、異なる組織によって
蓄積された安全に関る情報を、社会的に共有するための基盤技術を開発する。インターネ
ット上に蓄積された原子力安全情報から、情報利用者の要求に即した情報を、オントロジ
ーを利用することによって効率的に検索、閲覧できるようなシステムを開発する。以上に
より、原子力安全分野の体系化と安全情報の社会的共有を行うための基盤を確立する。
1-2 危機管理システムの評価手法と支援技術
異常事態発生時における適切な危機管理体制の確立を目的とし、組織構成員や組織の役
割と行動、情報伝達、意思決定に関する過去事例分析の上に、組織科学、認知心理学など
の領域における新知見を援用しつつ、防災に関与する多様な個人、組織を単位とした緊急
時行動シミュレーションシステムを開発する。つぎに、特定の緊急時シナリオを対象に、
危機管理システムの設計を様々に変えて事象の詳細な推移、対応行動の所要時間、ミッシ
ョンの成功確率など全体のパフォーマンスを評価し、比較することにより、優れた危機管
理システムについての知見を得る。
1-3 原子力の社会的受容・合意形成過程
原子力の受容に関するインタビュー調査、アンケート調査を実施して受容を左右する因
子の因果構造を解明し、原子力世論分布への影響を解析する。つぎに、マルチエージェン
トモデルを用いた社会シミュレーションによって、原子力の社会的受容のダイナミクスと、
社会ネットワーク構造、認知心理的因子、メディアなどの影響について知見を得る。さら
に、合意形成の事例分析によって、合意形成過程のモデルを構築する。このモデルに基づ
き、情報通信技術を活用して合意形成を積極的に支援するための技術を開発し、この技術
を基に知的情報集約機能を備えた合意形成支援環境を開発する。以上で得られた結果に基
づき、原子力に関する望ましいリスクコミュニケーションのあり方について提言する。
202
1-4 放射性廃棄物処分安全の社会的受容性
放射性廃棄物処分に関する諸概念について、社会的受容性の観点から国際的な比較研究
を行いつつ日本社会への適用性を考慮し、合意形成のための社会活動も含めた処分プログ
ラムのシステム設計を行う。まず、社会的意思決定における段階的処分プログラムの考え
方について国際比較を行い、各処分オプションについての定量的比較を行う。つぎに、回
収可能性が安全性に与える影響について、モニタリング、貯蔵、余裕深度処分などの観点
から安全情報の価値解析を行い、安全評価体系と処分計画の調和を図る。さらに日本の特
殊性を考慮しつつ、社会的受容性の高い処分計画のシステム設計を行う。
2. 目標達成のための体制
関連分野の若手研究者を常勤研究員で採用するとともに、サブテーマに直接関連する社
会システム工学、安全学・ヒューマンファクター、高レベル廃棄物処分、防災の各分野の
専門家を非常勤メンバーに加えた。さらに、原子力安全委員会、原子炉メーカ、電力会社
などから随時参加者を招聘し、助言を求めて原子力安全の現場の意見を反映した。
氏名
現在の所属・職位
専門分野
分担
古田一雄
東京大学大学院工学系
研究科・教授
認知システム
工学
グループリーダ
1-3(社会的受容・合意形成)
尾暮拓也
産業技術総合研究所知
能システム研究部門・研
究員
認知システム
工学
1-1(体系化・情報共有)
菅野太郎
社会技術研究開発セン
ター・常勤研究員
認知システム
工学
1-2(危機管理システム)
木村
浩
東京大学大学院工学系
研究科・講師
原子力社会工
学
1-3(社会的受容・合意形成)
1-4(廃棄物処分安全)
氏田博士
エネルギー総合工学研
究所・研究員
認知システム
工学
1-1(体系化・情報共有)
田中
博
電力中央研究所・上席研
究員
原子力工学
1-4(廃棄物処分安全)
横山速一
電力中央研究所・研究参
事
原子力工学
1-4(廃棄物処分安全)
八木絵香
大阪大学コミュニケー
ションデザインセンタ
ー・特任講師
社会安全学
1-2(危機管理システム)
203
氏名
大森良太
現在の所属・職位
専門分野
分担
社会技術研究開発セン
ター・常勤研究員
原子力社会工
学
1-3(社会的受容・合意形成)
(平成15年迄)
3. 研究開発の成果とそのクオリティ(実装の状況・可能性を含む)
3-1 「原子力安全の体系化と情報共有」に関する成果
1) オントロジー構築支援と原子力安全オントロジーの構築[15]
[17]
[37]
[41]
[42]
(成果の概要)
本研究では、原子力安全に関する専門家と市民の情報共有のための基盤となる原子力安
全の概念体系を構築することを目的として、このような社会技術的オントロジーに必要と
される要件を整理するとともに、社会技術的オントロジーの構築を目的としたソフトウェ
アツール「OntStar」を開発した。
さらにこのツールを用いて「原子力安全オントロジー」を構築した。まず、行政や学術
的なコミュニティで醸成された原子力オントロジーと市民コミュニティで醸成された原子
力オントロジーを調査し、それぞれを構成する概念と構造を分析した。つぎに、これらの
コミュニティの間でも一般的な安全原則には合意し得るであろうという仮説に基いて、一
般的な安全原則を上位オントロジーとして採用した新たな原子力安全オントロジーを構築
した。これは一般的な安全原則の概念を分類して体系化したものを根幹とし、末節に原子
力安全分野固有の概念を配置したものである。構築には原子力安全のほかヒューマンファ
クター、防災、リスクコミュニケーションなどの分野の専門家が参加し、インタビューや
ブレーンストーミングを行った。
構築された原子力安全オントロジーの中には 2,000 を超える概念が相互に関連付けられ
て記述さている。このデータと使用したソフトウェアツールを、再利用可能な知識資源と
してインターネット上に公開した。
(成果のクオリティ)
構築された原子力安全オントロジーは自然発生的ではなく規範的なものだが、専門知識
の有無に関らず全体の概念にアクセスすることができるという特徴をもつ。これは学術的
なコミュニティにおけるオントロジーが歴史的な経緯や属人的な背景等を内包しており、
専門家と市民とのコミュニケーションという視点では障壁が高いことと対照的である。専
門家による分野分類や課題の整理は従来から繰返し行われており、本研究の成果はこれと
比較して表面的に何ら新規性はないように見えるが、これまで社会技術的な文脈から原子
力安全に関する概念整理が行われたことはなく、このような知識基盤は原子力安全情報の
社会的共有にとって不可欠であり、社会技術的意義は大きい。
204
2) 分野特化型情報検索エンジン[16][40]
(成果の概要)
専門家と市民など、異なるコミュニティによって蓄積された安全に関る情報を社会的に
共有するための基盤技術として、分野特化型情報検索エンジンを開発した。当該検索エン
ジンはオントロジーの構造化を利用したあいまい検索を実装したものである。具体的には
指定された概念名称を含むドキュメントを検索結果とするほかに、オントロジーの構造に
おいて近接概念の名称を含むドキュメントも検索できる。情報検索エンジンは汎用データ
ベースシステムを中核にして、ベクトル生成モジュールや HTML パーサモジュール、SQL
ジェネレータモジュール等から構成される。
(成果のクオリティ)
あいまい検索は一般に検索結果の品質を改善しないことが知られているが、例外的に検索
者がある分野のオントロジーを理解して検索を行う場合、このオントロジーを利用したあ
いまい検索では検索結果の品質が向上することが実験によって確かめられた。今回開発し
た分野特化型情報検索エンジンにはこの品質向上が確認された検索アルゴリズムを採用し
ており、これは検索技術としてもオントロジーの利用技術の一つとしても新規性があり、
かつ社会技術的に見ても有意義である。
3) 原子力情報ポータルサイトの構築と評価[39][43]
(成果の概要)
原子力安全オントロジーと分野特化型情報検索エンジンという2つの新しい技術基盤に
基き、インターネット上に蓄積されている原子力安全情報を市民及び専門家に提供する原
子力情報ポータルサイトを構築した。ポータルサイトでは原子力安全オントロジーの全項
目の閲覧が可能であり、検索技術によって、それぞれの概念または概念の組み合わせに関
連するインターネット上のドキュメントへのリンクが動的に生成されて提示される。この
ようなポータルサイトにより、原子力安全の概念を正確に知らない市民が原子力安全オン
トロジーを手がかりに専門的な情報にアクセスすることが可能になる。もちろん専門家に
とってもポータルサイトとしての有用性は同様である。
2004 年 12 月よりインターネット上で公開のサービスを開始した。サービス実施のために
原子力関連サイト 118 サイトから約 10 万ページを収集しインデックス化し、インデックス
のデータベースは隔週で更新されている。
(成果のクオリティ)
ポータルサイトに原子力安全オントロジーを備え、これによって専門的な原子力情報へア
クセスする場合の予備知識の必要性を緩和する手法は新規性があり、社会的な有用性も高
いと考えられる。当該サイトでは原子力政策に対する賛成、反対の姿勢を問わずさまざま
205
な市民コミュニティのホームページも収録しており、専門家に対してこのような情報にア
クセスする手段を提供するという点も科学技術と社会との接点を強化するという社会技術
研究の趣旨に合致するものである。利用頻度は安定しており、社会で一定の認知を得たも
のと考える。2005 年 12 月現在までで一日当たり平均 15.3 回の訪問があり、平均 8.2 回の
検索要求を処理している。
3-2 「危機管理システムの評価手法と支援技術」に関する成果
1) 緊急時行動シミュレーションシステム[44][47][73]
(成果の概要)
原子力災害を含む広域災害(自然災害、テロ等)に対する危機管理システムの設計評価
手法とその支援技術の開発を見据え、様々な災害要素、特に危機対応を行う多種多様な組
織、住民との相互作用を、統合的に考慮し、危機管理システムの包括的解析、評価を可能
とする緊急時行動シミュレーションシステム(MASTERD:Multi-Agent Simulation SysTem
of Emergency Response in Disasters)を開発した。以下に示す個別のシミュレータを開発
し、それらをネットワーク上で統合することで危機対応の包括的シミュレーションを可能
にした。本シミュレータにより、危機対応システムの設計を様々に変えて全体のパフォー
マンスを解析、比較したり、それに基づいて危機対応システムの良否を判断したり、既存
のシステムの問題点を指摘したりすることが可能となった。
◇ 組織対応シミュレータ[65][69]
災害対応を行う多種多様で多数の組織の協力・連携を模擬するシミュレータを開発した。
マルチエージェントシミュレーションを採用し、エージェント設計においては、防災訓練
の観察、インタビューおよびアンケート、防災計画や訓練シナリオのタスク解析により、
現実に即したエージェントモデルを開発した。自治体(茨城県)で実際に行った原子力総
合防災訓練のシナリオを用いた再現シミュレーションで、各組織の負荷状況の予測や情報
共有の効率、リソース消費の定量分析を行い、既存システムの改善への示唆が得られた。
◇ 住民判断シミュレータ[46][67]
住民が災害情報を知覚できないため危険性や避難の必要性を自ら判断することができず、
行政や防災機関、マスコミによる情報が判断の源になるような災害(原子力災害)におけ
る住民の判断プロセスのシミュレーションを開発した。まず、ヒューマンモデリングの手
法を用い、過去の災害から得られた住民の振舞いの傾向を実装したモデルを開発した。つ
ぎに、JCO 事故における広報履歴を用いて再現シミュレーションを行い、災害時の住民の
判断過程をシミュレーションできることを確認した。
◇ 住民避難シミュレータ[66]
206
避難行動決定後の住民の移動を、避難のタイミングも考慮して、実際の地図上で模擬で
きるシミュレータを開発した。GIS を利用することにより、事故現場周辺の住民分布や道路
網の様子、建物などの正確な位置や距離関係をシミュレーションに反映させることができ、
また住民判断シミュレータとの連携で避難のタイミングを考慮することを可能にした。
◇ 情報伝播シミュレータ[45][62]
災害対策室などのフロア内の異なる班間でやり取りされる情報に対するアウェアネスを
評価するシミュレータの開発を行った。人・媒体・環境の 3 要素の特性を変化させ、フロ
ア内の情報伝達のスピードや情報共有量、共有内容などを定量的に評価することを可能に
した。茨城県オフサイトセンタを例題に情報共有の評価を行い、よりよいレイアウト設計
の指針を得た。
(成果のクオリティ)
MASTERD は、災害現象のみならず危機対応を行う組織の振舞い、災害時における住民
の振舞いを予測するシミュレータといった危機対応に影響を及ぼす様々な要素を考慮した
統合的シミュレーションシステムである。災害の物理現象や人の避難行動を対象とする防
災シミュレーションはこれまでにも多数が開発されているが、組織的防災活動や住民の状
況判断の認知過程を含むシミュレーションはほとんど前例がなく、極めて新規性、有用性
が高いと考えられる。
コストや危険を伴わず、様々な要素(シミュレーション)を考慮し、異なる条件で何度
でも行えるシミュレーションは訓練ベースの評価手法の限界を補完する、優れた代替手法
である。様々な想定ユーザ(自治体、防災関係機関、住民団体)に本シミュレータのデモ
を提示しながらインタビュー調査を実施したところ、高い評価を受けた。
2) 緊急時行動シミュレーションシステムの応用[71][72]
(成果の概要)
原子力防災を対象に開発した MASTERD を地震防災活動のシミュレーションが可能とな
るように改造し、震災版 MASTERD を開発した。震災時の発災シナリオに従って各組織の
防災活動をシミュレーションできるようにするために、各エージェントにシナリオを提供
するシナリオマネージャを新たに導入した。東京都の震災図上訓練のシナリオを用いた再
現シミュレーションで、各組織の負荷状況の予測や情報共有の効率、リソース消費の定量
分析を行い、既存システムの改善への示唆が得られた。
さらに、様々な災害条件や危機対応システム設計下で、災害対応における組織内・組織
間の連絡、連携をパソコン上で体験訓練できるツールの開発を行った。組織対応シミュレ
ータを用いてパソコン上で組織間連絡、連携における混乱を仮想的に作り出せる。プロト
タイプを開発し、既存の震災訓練シナリオを用いて様々な混乱状況を作りだすことに成功
207
した。またネットワーク上で複数ユーザとの連結を可能し任意の人数によるシミュレーシ
ョン訓練を可能にした。
(成果のクオリティ)
原子力防災用に開発したシミュレーション手法が震災など他の防災に適用可能であるこ
とが確認され、手法の防災一般に対する有効性について示唆を得たことは価値のある成果
である。
また、本訓練システムは実際の災害時や大規模訓練でしか経験できない状況をパソコン
で再現でき、様々なパターンを何度でも体験できる画期的なシステムであり、組織内・組
織間連携で起こりうる状況に適切に対処する能力の向上と混乱の生じる背後にある危機対
応のメカニズムを学習させることができる新しいタイプのツールである。自治体など防災
関係機関へのヒアリングから、シミュレーションの訓練への活用ニーズが多いことが判明
しており、本システムはこうした現場のニーズに応えられるものである。
3-3 「原子力の社会的受容・合意形成過程」に関する成果
1) 原子力認知構造と社会的受容性[84][109]
(成果の概要)
人々が原子力の社会的受容性に関する問題に対して判断を行う際に、人々の居住地域や
原子力に関する知識量によって、その判断に影響を与える原子力認知要因がどのように異
なるのかを分析した。具体的には、消費地域と電源地域において原子力に関する認知の社
会調査を実施してデータを獲得し、そのデータから、回答者の居住地域や性別、原子力に
関する知識に着目して8つの群を作成した。各群について因子分析を適用した結果、どの
群においても4つの因子、すなわち「原子力事業主体に対する信頼」
「原子力発電の有用性」
「立地地域への恩恵」「原子力技術に対するリスク認知」が得られ、原子力認知構造の枠組
みは回答者の属性によらないことを見出した。一方、原子力に関する認知を評価する際に、
消費地域の回答者は「原子力事業主体に対する信頼」を重要視し、電源地域の回答者は「原
子力技術に対するリスク認知」を考慮する傾向が見出せた。
(成果のクオリティ)
原子力の社会受容を考える際に、市民の原子力に関する認知構造や社会的受容メカニズ
ムを明らかにすることは、原子力の社会受容に係るすべての方策を考える上で基礎となる
知見である。本研究では、規模の大きい社会調査を行いて公正なデータを収集し、因子分
析、重回帰分析、共分散構造分析、サポートベクターマシンなどさまざまな分析手法を用
いて多様な方向から検討を行い、原子力認知構造の抽出および社会的受容性の判断に係る
心理的要因の決定を実現した。これらの知見の一部に関しては再現性があるとの他研究者
からの報告もあり、本研究で得られた知見は信頼性のある一般性の高い成果である。類似
208
の社会調査型研究は従来から多数行われているものの、本研究ほど取得データを多様な視
点と手法により分析したものは少なく、今後、原子力の社会受容のための方策を考える上
で非常に有用な知見が得られた。
2) 世論形成ダイナミクスの解明[89][102]
(成果の概要)
同調行動と私的自己意識を考慮した人間の意思決定モデルに基づいて、マスメディア、
個人差、主張の真偽の偏り、社会的ネットワーク構造といった世論形成に大きな影響を持
つと思われる要素を組み込んだ世論形成過程のマルチエージェントモデルを提案し、提案
モデルに基づいてシミュレーションを行って世論形成のダイナミクスの解明を行った。社
会が賛成派と反対派のコミュニティに分裂すること、同調傾向が強いほど大規模なコミュ
ニティが形成されること、主張の真偽の偏りやマスメディアの存在は意見を画一的にする
効果を有すること、オピニオンリーダーの存在によって賛成・反対の割合が多様になるが、
リーダーの意見一つで社会集団全体の意見が決定してしまう危険をはらんでいることなど、
世論形成のダイナミクスに関する興味深い知見を得た。
(成果のクオリティ)
世論形成は、複雑システムや昀近研究が盛んなネットワークシステムにおける創発現象
として学術的に興味ある研究課題であるばかりでなく、参加型意思決定を導入する場合に
おいて公正な決定を保証するためには、そのダイナミクスを理解した上での社会制度設計
が必要であり、実用的にも価値のある研究課題である。しかし、これまで社会調査に基く
研究に比べて数理モデルに基く研究は少なく、社会制度設計に役立つ知見や手法が不足し
ていた。本研究では、社会シミュレーションによって世論形成のダイナミクスを解明する
ためのモデルを提案し、参加型意思決定の導入に関る制度設計に有用な知見が得られてお
り、社会技術的に意義のある成果が得られた。
3) 合意形成支援環境の開発[81][82][87]
(成果の概要)
実際に行われた会議の発言録をプロトコル分析することによって、合意形成過程のモデ
ルを構築した。さらに、電子会議を用いた合意形成における参加者の発言内容や会議の進
行に対する理解を深め、円滑な合意形成を支援するために、各種支援機能を組み込んだ電
子会議システムを開発した。意見空間を使って参加者の立場をインタフェース上に外化し
ながら会議を行う PODS、会議参加者に会議の話題と要約を提示する機能を有する TSS、
会議参加者の利害対立状況の分析支援機能を有する ECC を開発した。実験会議等を行って
開発したシステムを評価して有効性を確認した。また、将来の合意形成の枠組みとして、
インターネット上に構築された仮想環境で多様な情報技術の支援を受けながら参加型意思
209
決定を行う電子公共空間の概念を提唱した。
(成果のクオリティ)
発言録の緻密なプロトコル分析に基いて構築された合意形成過程のモデルは前例がなく、
今後の合意形成支援環境に関する研究開発の基礎を提供する成果である。また、電子公共
空間の概念は今後のネット社会における社会的合意形成のシーンにとって代表的枠組みに
なると期待できる。
合意形成支援技術の開発においては発言録という特殊な文献を扱うために、一般目的の
計算機による言語処理や協調支援とは異なる問題が発生する。合意形成支援に重点を置い
てこうした問題の克服を図ったことにより、従来の電子会議・遠隔会議システムや CSCW
の研究開発に比べて社会技術的により意義のある成果が得られたものと考える。
3-4 「放射性廃棄物処分安全の社会受容性」に関する成果
1) 段階的アプローチの調査・検討[115][117][132]
(成果の概要)
高レベル廃棄物の地層処分を進めるための段階的アプローチに関する諸外国の考え方を
調査・分析し、その有用性と重要な点を明らかにした。スウェーデン、フランス、スイス、
ドイツの4ヶ国すべてにおいて、処分事業の段階的アプローチを検討し始めた段階はサイ
ト選定もしくは調査段階の前後であり、各国で影響の大小はあるとしても、選定プロセス
の透明性さ、政策決定への住民参加といったような社会的要求に応えられていない状況が、
人々の反対運動や政策見直しを誘発し、段階的アプローチを検討する端緒となっているが、
段階的アプローチを採用した後は、明らかに地元住民を含むようなステークホルダーとの
議論を行い、もしくは行うための枠組みを決定していることが明らかとなった。すなわち、
段階的アプローチとは、ただ単に順を追って段階的に進めれば良いのではなく、設定され
た全ての段階において、ステークホルダーと議論し、理解を得るということが意図されて
いることを示している。この意図が達成されて始めて段階的アプローチなのであり、この
戦略は信頼の獲得および醸成に非常に有用であることを示すとともに、我が国において考
慮しなければならない課題であることを示した。
問題となるのは、ステークホルダーあるいは一般の人々との議論をどのように実施する
か、という方法論であるが、これに関しては、スウェーデンにおけるオスカーシャムモデ
ルと呼ばれている事例に着目し、意志決定支援のための場をインターネット上に構築する
ためのシステムを提案した。
(成果のクオリティ)
我が国における高レベル廃棄物処分事業も、段階的アプローチに則り整然と行われてい
るよう認識されているが、本研究で明らかになったように、諸外国では段階的アプローチ
210
をステークホルダーと議論して理解を得るためのシステムと考えているのに対して、我が
国の処分事業は実態としては段階的アプローチではなく、単に段階的に進んでいる政策に
過ぎないという見方ができる。また、ステークホルダーとの対話の重要性は指摘されてい
ても、それを実行するための方法論については示されていない。本研究は、我が国におけ
る処分事業の進め方の問題点を指摘するとともに、解決のための方法論まで提案しており、
今後の処分事業を計画する上で価値のある成果である。
2) 参加型性能評価システムの構築[121][122][123][124][140]
(成果の概要)
本研究では、高レベル放射性廃棄物処分および処分施設立地に関する社会的受容を目指
し、高レベル放射性廃棄物処分事業に対する社会的信頼を獲得するべく、高レベル放射性
廃棄物処分に関するリスクコミュニケーションを WWW(World Wide Web)上で支援する
システム ORCAT(Online Risk Communication Assistant Tool)を開発し、継続的に改良、
評価を行った。本システムは「さまざまな人から広範な要望を取りいれる」「多様な立場の
人が相互理解・学習・共考する」
「根拠ある性能評価を提示して信頼を高める」の 3 点を踏
まえたリスクコミュニケーションの達成を目指して設計・開発された。2003 年に初期バー
ジョン(ORCAT ver.1)が開発され、その後 2004 年にはシステムの改良を行い(ORCAT
ver.2)、3 回の試験運用を通じてシステムの評価を行った。その結果、このようなオンライ
ンコミュニティの参加者における知識変化や態度変容がどのように引き起こされるのかを
明らかにし、また、リスクコミュニケーションを実行するための具体的なガイダンスを見
いだした。
(成果のクオリティ)
高レベル放射性廃棄物に係る社会的認知や処分施設立地には、社会に非常に強い不安感
があり、高レベル放射性廃棄物処分やその施設立地に関する社会的受容を獲得することは
必要不可欠な要素である。本研究はそのための一手として、WWW 上でのリスクコミュニ
ケーションに着目し、その有効性を評価したものである。類似研究はあるものの、本研究
ではシステム参加者の知識変化や態度変容をより深く分析したり、WWW 上でのリスクコ
ミュニケーションに対する具体的な指針を示したり等、特色のある成果をあげている。3
回の試験運用を経て、システムの機能と完成度は社会実装に十分なレベルに達しており、
今後の高レベル放射性廃棄物処分に関するリスクコミュニケーションを考えてゆく上での
一歩として意義深い成果と考える。
4. 目標の達成状況
本研究では、原子力安全情報の社会共有の基盤となる原子力安全オントロジーを構築し、
原子力情報ポータルサイトを開設することによって、安全概念の構築に必要な課題項目を
211
摘出・整理してその成果を社会に公表した。つぎに、緊急事態における組織的防災活動や
住民避難行動を含むさまざまな原子力災害現象のシミュレーション技術を開発することに
よって、原子力防災システムの評価や専門家の訓練を可能にし、組織的リスクマネジメン
トや社会プログラムの有効性評価技術、支援技術を確立した。さらに、原子力の社会的認
知構造や世論形成のダイナミクスを明らかにし、合意形成のための支援技術を開発した。
また、ネット社会における合意形成の枠組みとしての電子公共空間の提案や、高レベル廃
棄物処分事業の段階的アプローチを実現するための参加型性能評価システムの開発を通じ
て、原子力リスクコミュニケーションの方向性を提示した。
以上より、本研究で当初掲げた目標は十分に達成されたものと考える。
212
5. 研究成果の公表
5-1 社会技術に関連する卒業/修士/博士論文
論文名
論文の種類
著者[指導教員]
協議空間に基づく合意形成過程の研究
卒業論文
村本貴志[古田一雄]
文書分析手法を用いたオントロジー・アラインメントに関する研究
卒業論文
白山大地[中田圭一]
緊急時対応における組織行動のシミュレーション
卒業論文
森本祐介[古田一雄]
表現状態遷移モデルに基づく相互アウェアネスのシミュレーション
卒業論文
岡本真史[中田圭一]
語の共起に基づくクラスタリングを用いたオントロジー構築に関する研
究
卒業論文
笠木宏隆[中田圭一]
Web 文書に潜在する概念の自己組織化マップによる抽出
卒業論文
高松
緊急防災組織における情報アウェアネスの評価
卒業論文
野崎謙一朗[古田一雄]
原子力災害時における住民避難シミュレーション
卒業論文
奥
マルチエージェントモデルによる世論形成のシミュレーション
卒業論文
森野耕平[古田一雄]
オンラインコミュニティにおけるメンバーの行動解析
卒業論文
関
美浜原発事故に関する新聞報道の分析
卒業論文
藤本眞一郎[班目春樹]
立場表明のための視覚的インタフェースを用いた電子会議システムの開
発
修士論文
川口
オントロジーに基く文書分類手法の開発
修士論文
白山大地[古田一雄]
会議発言録に対する自動要約手法の開発
修士論文
前原基芳[中田圭一]
会議における参加者の論点可視化手法の開発
修士論文
廣戸和生[古田一雄]
悠[古田一雄]
牧人[古田一雄]
計哉[班目春樹]
晃[古田一雄]
発表当時の所属
東京大学・工学部・シ
ステム量子
東京大学・工学部・シ
ステム量子
東京大学・工学部・シ
ステム創成
東京大学・工学部・シ
ステム創成
東京大学・工学部・シ
ステム創成
東京大学・工学部・シ
ステム創成
東京大学・工学部・シ
ステム創成
東京大学・工学部・シ
ステム創成
東京大学・工学部・シ
ステム創成
東京大学・工学部・シ
ステム創成
東京大学・工学部・シ
ステム創成
東京大学大学院・新領
域・環境学
東京大学大学院・新領
域・環境学
東京大学大学院・新領
域・環境学
東京大学大学院・新領
域・環境学
発表年次
2001
2001
2002
2002
2002
2003
2003
2004
2004
2004
2004
2001
2002
2002
2003
論文名
論文の種類
著者[指導教員]
原子力災害時における住民行動モデルの構築とシミュレーション
修士論文
清水達哉[古田一雄]
関心と利害の抽出機能を備えた合意形成支援システム
修士論文
石井崇則[古田一雄]
防災シミュレーションを用いた危機対応訓練システムの開発
修士論文
巻田純平[古田一雄]
原子力認知構造における地域性と知識レベル
博士論文
木村
浩[鈴木篤之]
発表当時の所属
東京大学大学院・新領
域・環境学
東京大学大学院・新領
域・環境学
東京大学大学院・新領
域・環境学
東京大学大学院・工学
系・システム量子
発表年次
2004
2004
2005
2003
5-2 社会技術に関連するゼミ/講義等
講義名
教官
社会システム
古田一雄ほか
安全学基礎
古田一雄,
長崎晋也
総合科目(シミュレーションの科学)
古田一雄ほか
総合科目(コンピュータモデルで社会を観る)
古田一雄, 木村浩
ほか
リスク認知とコミュニケーション
木村
浩ほか
コミュニケーション/リスク管理・ヒューマンマネジメント演習
木村
浩ほか
シミュレーションコロキウム
木村浩ほか
古田一雄・木村浩
ほか
数理社会コロキウム
214
講義の対象者
東京大学・工学部・システ
ム創成学科4年生
東京大学・工学部・システ
ム創成学科3・4年生
東京大学・教養学部1・2
年生
東京大学・教養学部1・2
年生
東京大学大学院・原子力専
攻・原子力国際専攻
東京大学大学院・原子力専
攻
東京大学・工学部
東京大学・工学部
受講者数(概
数)
期間
30
2003 夏学期
120
2004~2005 夏学期
60
2001~2004
夏学期
60
2005 夏学期
20
2005 冬学期
15
2005 冬学期
40
2004 冬学期
20
2005 冬学期
5-3 一般へのセミナー/講演等
種別
講演名
シンポジウム
シンポジウム
セミナー
セミナー
シンポジウム
講演者
第 40 回原子力総合シンポジウム,JCO 臨界事故から学んだこと,
人的要素からみた事故の特性
第 42 回原子力総合シンポジウム, ネット時代のリスクコミュニ
ケーション
第 16 回「シンビオ社会研究会」研究懇話会,原子力安全のための
社会技術 ― 防災システムと合意形成の話題を中心に ―
原子力安全のための社会技術研究 ― 原子力安全情報の提供支
援 ―
東京大学環境安全研究センターシンポジウム,科学技術システム
と安全
講義の対象者
受講者数(概
数)
期間
古田一雄
原子力関係者
100
2002.5
古田一雄
原子力関係者
100
2004.5
40
2002.6
60
2005.8
古田一雄
古田一雄
古田一雄
「シンビオ研究
会」会員
原子力安全基盤
機構
2005.12
一般
5-4 実績一覧(リスト)
No.
1
分類
全般
形態
口頭発表
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
原子力安全システムの総合的設計
原子力安全のための社会技術 - 防災
システムと合意形成の話題を中心に -
原子力安全のための社会技術研究(Ⅰ)
-全体概要と合意形成過程のモデル-
著者、作成者等
古田一雄
2
口頭発表
3
口頭発表
4
口頭発表
原子力安全構築のための学際的取組み
古田一雄
5
口頭発表
技術的安全と社会的安全
氏田博士
6
テキスト
原子力安全のための社会技術
古田一雄
古田一雄
古田一雄
発表場所
第2回社会技術研究フォ
ーラム, 東京
第 16 回「シンビオ社会研
究会」研究懇話会, 京都
2002 年日本原子力学会秋
の大会予稿集, H21
第1回「原子力安全のため
の社会技術」に関するワー
クショップ
第3回「原子力安全のため
の社会技術」に関するワー
クショップ
2002 年ヒューマンマシン
システム研究夏季セミナ
ーテキスト, 58-69, 湯布院
発表年次
資料の
添付
2002.3
―
2002.6
―
2002.9
○
2002.2
―
2006.2
―
2002.7
○
No.
分類
形態
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
著者、作成者等
7
国際会議
Socio-Technological Study for
Establishing Comprehensive Nuclear
Safety System
Furuta, K., Kanno, T., Yagi,
E., Shuto, Y.
8
国際会議
Socio-Technological Study for Nuclear
Safety
Furuta, K.
9
報告書
10
報告書
11
報告書
12
報告書
13
報告書
14
Web
サイト
15
原子力安全の体
系化と情報共有
研究論文
16
研究論文
17
研究論文
18
書籍
原子力安全システムの総合的設計 平成
13 年度活動報告書
原子力安全システムの総合的設計 平成
14 年度活動報告書
原子力安全システムの総合的設計 平成
15 年度活動報告書
原子力安全システムの総合的設計 平成
16 年度活動報告書
原子力安全システムの総合的設計 平成
17 年度活動報告書
Project DIRAS - Design Initiative for
Risk-Aware Society コミュニティを超えた知識共有のため
の原子力安全オントロジー設計方法
コミュニティオントロジーを利用した
情報検索
発表場所
Proc. 11th Int. Conf.
Nuclear Engineering
(CD-ROM), Tokyo
Workshop on Utilization of
Risk Information for
Nuclear Safety Regulation
発表年次
資料の
添付
2003.4
○
2005.5
―
原子力安全Ⅰ研究グループ
社会技術研究システム
2002.3
○
原子力安全Ⅰ研究グループ
社会技術研究システム
2003.3
―
原子力安全Ⅰ研究グループ
社会技術研究システム
2004.3
―
原子力安全Ⅰ研究グループ
社会技術研究システム
2005.3
―
原子力安全Ⅰ研究グループ
社会技術研究システム
2006.3
―
2002
―
2004
○
2005
○
2005
○
2006.1
―
原子力安全Ⅰ研究グループ
尾暮拓也, 高松悠, 古田一雄
尾暮拓也, 中田圭一, 古田一
雄
Nuclear Safety Ontology - Basis for
Sharing Relevant Knowledge among
Society
Furuta, K., Ogure, T., and
Ujita, H.
オントロジーに基づく知識の社会共有
支援
古田一雄, 尾暮拓也
http://diras.q.t.u-tokyo.ac.j
p/
社会技術論文集 Vol. 2,
389-398
社会技術論文集 Vol. 3,
102-110
In Arai, T., Yamamoto, S.,
and Makino K., (Eds.)
Systems and Human
Science for Safety,
Security and
Dependability, Elsevier,
Amsterdam, 397-408
安全安心の社会技術(東大
出版), 5章5
No.
分類
形態
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
原子力安全のための社会技術研究(Ⅶ)
-オントロジー構築支援ツール
「OntStar」の開発と利用-
原子力安全のための社会技術研究(XI)
-リスクベースの安全の考え方-
原子力安全のための社会技術研究(XII)
-原子力安全オントロジーの構築-
原子力安全のための社会技術研究(XIII)
-原子力安全情報専用 Web 検索エンジ
ン-
著者、作成者等
19
口頭発表
20
口頭発表
21
口頭発表
22
口頭発表
23
口頭発表
組織過誤の分類とソフトバリア概念の
提言
氏田博士, 古田一雄, 柚原直
弘
24
口頭発表
安全学の構築に向けて
システム思考
氏田博士, 柚原直弘
25
口頭発表
安全性に係わる社会問題解決のための
知識体系の構築
26
口頭発表
27
口頭発表
28
口頭発表
安全オントロジーに基く安全情報の検
索システム
尾暮拓也
29
口頭発表
安全オントロジーに基く情報提供シス
テム
尾暮拓也
- 組織事故と
不安全行為とは、定義について, エラー
マネジメント研究会
コミュニティを超えた知識共有のため
の原子力安全オントロジー設計方法
尾暮拓也, 古田一雄
氏田博士, 古田一雄
古田一雄, 氏田博士
尾暮拓也, 古田一雄
古田一雄
氏田博士
尾暮拓也, 高松悠, 古田一雄
発表場所
発表年次
資料の
添付
2003 年日本原子力学会春
の年会予行集, I35
2003.9
○
2004.3
○
2004.3
○
2004.3
○
2002.10
○
2003
○
2003.12
―
2004.7
―
2005.3
―
2003.10
―
2006.2
―
2004 年日本原子力学会春
の年会要旨集, G1
2004 年日本原子力学会春
の年会要旨集, G2
2004 年日本原子力学会春
の年会要旨集, G3
第 12 回ヒューマンインタ
フェースシンポジウム論
文集, 67-70
電気通信大学 情報システ
ム学シンポジウム第 7 回
「信頼性とシステム安全
学」
第4回計測自動制御学会
システムインテグレーシ
ョン部門講演会, IC3-1
エラーマネジメント研究
会
第2回社会技術研究シン
ポジウム, 東京
第2回「原子力安全のため
の社会技術」に関するワー
クショップ
第3回「原子力安全のため
の社会技術」に関するワー
クショップ
No.
分類
形態
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
著者、作成者等
30
解説
第1回「安全とは何か、基本を考える」
柚原直弘, 氏田博士
31
解説
第2回「安全問題の構図を考える」
柚原直弘, 氏田博士
32
解説
第3回「安全学の共通化へ向けて」
柚原直弘, 氏田博士
33
解説
第4回「安全学の管理的思想と工学的思
想」
柚原直弘, 氏田博士
34
解説
第5回「安全で安心な社会のための社会
的制度」
柚原直弘, 氏田博士
35
解説
第6回(最終回)「安全学とその知識体
系の構築を目指して」
柚原直弘, 氏田博士
36
解説
安全・安心を実現する専門家・組織・社
会のあり方
氏田博士
37
国際会議
Nuclear Safety Ontology - Basis for
Sharing Relevant Knowledge among
Society
Furuta, K., Ogure, T., and
Ujita, H.
38
国際会議
Information Retrieval Using Ontology for
Sharing Knowledge on Safety
Ogure, T. and Furuta, K.
39
国際会議
Domain-Specific Information Retrieval
System for Sharing Knowledge of
Nuclear Energy
Ogure, T. and Furuta, K.
発表場所
Cyber Security
Management JANUARY
2004, 5, 51, 36-40
Cyber Security
Management FEBRUARY
2004, 52, 5, 17-23
Cyber Security
Management March 2004,
5, 53, 32-38
Cyber Security
Management April 2004, 5,
54, 38-44
Cyber Security
Management May 2004, 5,
55, 18-24
Cyber Security
Management June 2004,
5, 56, 32-38
日本信頼性学会誌, 26, 6,
529-541
Proc. 1st Int. Symp.
Systems and Human
Science for Safety,
Security and Dependability
(SSR2003), 107-112,
Osaka
Proc. 7th, Int. Conf. on
Probabilistic Safety
Assessment and
Management (PSAM7),
531-536, Berlin
Proc. SICE Annual
Conference 2005,
TA1-14-3, 1917-1920,
Okayama
発表年次
資料の
添付
2004.1
○
2004.2
○
2004.3
○
2004.4
○
2004.5
○
2004.6
○
2004.9
○
2003.11
○
2004.6
○
2005.8
○
No.
分類
40
国際会議
ソフト
ウェア
電子データ
Web
サイト
41
42
43
44
形態
危機管理システ
ムの評価手法と
支援技術
研究論文
45
研究論文
46
研究論文
47
書籍
48
口頭発表
49
口頭発表
50
口頭発表
51
口頭発表
52
口頭発表
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
Information Retrieval Using a Concept
Structure of Experts
オントロジーオーサリングツール
「OntStar」
原子力安全オントロジー
オントロジーを利用した原子力情報検
索エンジン「Noocle(ニュークル)」
A Distributed Multi-Agent Simulation
System of Emergency Response in
Disasters
著者、作成者等
発表場所
発表年次
資料の
添付
2005.7
○
Ogure, T., Nakata, K., and
Furuta, K.
Proc. 11th Human
Computer Interaction
International 2005, Las
Vegas
尾暮拓也
―
2003
○
古田一雄
―
2004
―
尾暮拓也
http://noocle.jst.go.jp/
2004
―
Kanno, T., Morimoto, Y., and
Furuta, K.
Int. J. Risk Assessment
and Management
2006
―
2005
○
―
―
2006.1
―
2003.3
―
原子力オフサイトセンタにおける情報
共有の評価
菅野太郎, 野崎謙一朗, 古田
一雄
Modeling and Simulation of Residents’
Response in Nuclear Disaster
緊急時対応のマルチエージェントシミ
ュレーション
緊急時対応における組織行動のシミュ
レーション
原子力安全のための社会技術研究(Ⅱ)
-原子力災害時の住民行動定性モデル
の構築-
原子力安全のための社会技術研究(Ⅷ)
-原子力災害における緊急時行動シミ
ュレータの開発-
原子力安全のための社会技術研究(Ⅹ
Ⅵ)-災害対応における組織行動シミュ
レーション-
原子力安全のための社会技術研究(Ⅹ
Ⅷ)-原災法下における危機対応行動シ
ミュレーション-
Kanno, T., Shimizu, T., and
Furuta, K.
菅野太郎
古田一雄
ヒューマンインタフェー
ス学会論文誌, 7, 3,
319-325
Cognition, Technology,
and Work (submitted)
安全安心の社会技術(東大
出版), 5章6
第4回社会技術研究フォ
ーラム, 東京
八木絵香, 首藤由紀
2002 年日本原子力学会秋
の大会予稿集, H22
2002.9
○
菅野太郎, 森本祐介, 古田一
雄
2003 年日本原子力学会春
の年会要旨集, I36
2003.3
○
菅野太郎, 古田一雄
2004 年日本原子力学会春
の年会要旨集, G6
2004.3
○
菅野太郎, 古田一雄
2004 年日本原子力学会秋
の大会予稿集, J10
2004.9
○
No.
分類
形態
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
原子力オフサイトセンタにおける情報
アウェアネスの評価
発表場所
発表年次
資料の
添付
菅野太郎, 野崎謙一朗,古田
一雄
ヒューマンインタフェー
スシンポジウム 2004 論文
集(CD-ROM: 879)
2004.9
○
菅野太郎
安全安心シンポジウム,
東京
2004
―
2005.3
○
2005.11
○
2002.2
―
2003.10
―
2006.2
―
2003.11
○
2004.6
○
著者、作成者等
53
口頭発表
54
口頭発表
55
口頭発表
56
口頭発表
災害における緊急時対応の統合シミュ
レーション
菅野太郎, 古田一雄
57
口頭発表
過去の事例から見た原子力防災の課題
八木絵香
58
口頭発表
災害対応における緊急時行動のシミュ
レーションシステム
菅野太郎
59
口頭発表
原子力防災シミュレータ MASTERD の
開発
菅野太郎
60
国際会議
Development of a Simulation System of
Emergency Response in Nuclear
Disaster
Kanno, T., Morimoto, Y., and
Furuta, K.
61
国際会議
Multi-agent Simulation of Emergency
Response In Nuclear Disaster
Kanno, T. and Furuta, K.
MASTERD: Multi-Agent Simulation
System of Emergency Response in
Disasters
災害時危機対応シミュレーションシス
テム
菅野太郎
第2回社会技術研究シン
ポジウム, 東京
日本リスク研究学会第 18
回研究発表会講演論文集,
263-266
第1回「原子力安全のため
の社会技術」に関するワー
クショップ
第2回「原子力安全のため
の社会技術」に関するワー
クショップ
第3回「原子力安全のため
の社会技術」に関するワー
クショップ
Proc. 1st Int. Symp.
Systems and Human
Science for Safety,
Security and Dependability
(SSR2003), 101-106,
Osaka
Proc. 7th, Int. Conf. on
Probabilistic Safety
Assessment and
Management (PSAM7),
389-394, Berlin
No.
分類
形態
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
著者、作成者等
62
国際会議
Assessment of Situation Awareness in
Nuclear Off-site Center
Kanno, T., Nozaki, K., and
Furuta, K.
63
国際会議
Human Modeling of Residents’
Response in Nuclear Disaster
Shimizu, T., Kanno, T., and
Furuta, K
64
国際会議
Integrated Simulation of Emergency
Response of Related Organizations and
Residents in Nuclear Disasters
Kanno, T., and Furuta, K.
65
国際会議
Towards Comprehensive Design and
Assessment of Disaster Management
System: Integrated Simulation of
Emergency Response in Disasters
Kanno, T., and Furuta, K.
66
国際会議
Simulation of Residents’ Evacuation in
Nuclear Disaster
Oku, M., Shimizu, T., Kanno,
T., and Furuta, K.
67
国際会議
Simulation of Residents’ Behaviors in
Nuclear Disaster
Kanno, T., Shimizu, T., Oku,
M., and Furuta
68
国際会議
Simulation of Emergency Responses
During Times of Disasters
Furuta, K.
69
国際会議
Modeling and Simulation of
Organizational Behavior in Emergency
Response
Kanno, T., and Furuta, K.
発表場所
Proc. Cognitive Systems
Engineering in Process
Control (CSEPC2004),
127-132, Sendai
Proc. 2nd Int. Symp. on
Systems and Human
Science for Safety,
Security and Dependability
(SSR2005), San Francisco
Proc. 2nd Int. Symp. on
Systems and Human
Science for Safety,
Security and Dependability
(SSR2005), San Francisco
Proc. SICE Annual
Conference 2005,
TA1-14-4, 1921-1924,
Okayama
Proc. SICE Annual
Conference 2005,
TA1-14-5, 1925-1928,
Okayama
Proc. 2nd Int. Symp. on
Future I&C for NPPs
(ISOFIC-2005),
Tongyeong, Korea,
331-336
OECD Global Science
Workshop, Tokyo
Proc. Int. Joint Topical
Meeting: Sharing Solutions
for Emergencies and
Hazardous Environments,
Salt Lake (to appear)
発表年次
資料の
添付
2004.11
○
2005.3
○
2005.3
○
2005.8
○
2005.8
○
2005.11
○
2005.12
―
2006.2
○
No.
分類
形態
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
著者、作成者等
70
国際会議
Simulation of Inter- and
Intra-Organizational Communication in
Emergency Response
Kanno, T., and Furuta, K.
71
国際会議
Training Tool for Multi-Organizational
Coordination in Disaster Response
Makita, J., Kanno, T., and
Furuta, K.
72
国際会議
Human-in-the-loop Simulation of
Emergency Response in Disasters
Kanno, T., and Furuta, K.
73
技術報告
74
委託報告書
75
76
77
78
79
80
ソフト
ウェア
ソフト
ウェア
ソフト
ウェア
ソフト
ウェア
ソフト
ウェア
ソフト
ウェア
危機管理システムの評価手法と支援技
術の開発
緊急時住民行動ならびにJCO事故対
応に関する調査報告書
発表場所
Proc. 3rd. Int. Symp.
Systems and Human
Science for Safety,
Security and
Dependability, Vienna (to
appear)
Proc. 3rd. Int. Symp.
Systems and Human
Science for Safety,
Security and
Dependability, Vienna (to
appear)
Proc. 8th. Int. Conf.
Probability Safety
Assessment and
Management, New
Orleans (to appear)
発表年次
資料の
添付
2006.3
―
2006.3
―
2006.5
―
2005
―
菅野太郎
社会技術レポート Vol.1
(株)社会安全研究所
―
2002.3
―
原子力防災シミュレータ
菅野太郎, 森本祐介
―
―
―
情報アウェアネスシミュレータ
菅野太郎, 野崎謙一郎
―
―
―
住民判断シミュレータ
菅野太郎, 清水達哉
―
―
―
住民避難シミュレータ
菅野太郎, 奥牧人
―
―
―
広域災害(地震)版防災シミュレータ
菅野太郎
―
―
―
危機対応訓練ツール
菅野太郎, 巻田純平
―
―
―
No.
分類
形態
81
原子力の社会受
容・合意形成過
程
研究論文
社会的合意形成過程の認知システム工
学的分析によるモデル化
古田一雄
82
研究論文
立場表明のための視覚的インタフェー
スを備えた電子会議システム
川口
一
83
研究論文
84
研究論文
85
研究論文
86
研究論文
87
研究論文
88
研究論文
89
研究論文
90
口頭発表
91
口頭発表
92
口頭発表
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
著者、作成者等
晃, 古田一雄, 中田圭
原子力の社会的受容に影響を与える因
木村 浩, 鈴木篤之
子の探索-東京都杉並区の調査結果-
原子力の社会的受容性を判断する要因
木村 浩, 古田一雄, 鈴木篤
-居住地域および知識量による比較分
之
析-
居住地域、性、知識レベルに着目した原 木村 浩, 古田一雄, 鈴木篤
子力認知構造の分析
之
原子力政策の賛否を判断する要因は何
か 居住地域および知識量に着目した
木村 浩, 古田一雄
比較分析
知的支援機能を備えた電子会議システ
古田一雄, 前原基芳, 高島亮
ム
祐, 中田圭一
意思決定問題に見る地域性と知識の役
割 -原子力政策に対する賛否の意思決 木村浩, 古田一雄
定を例題として -
世論形成のマルチエージェントモデル
森野耕平, 古田一雄
によるシミュレーション
原子力に関するリスク・ベネフィット認
知構造~東京・大阪・広島における地域 木村 浩, 鈴木篤之
差
原子力安全のための社会技術研究(Ⅳ)
木村浩, 鈴木篤之
-原子力に関する認知構造-
原子力安全のための社会技術研究(Ⅴ)
-原子力世論のマルチエージェントシ
大森良太
ミュレーション-
発表年次
資料の
添付
2002
○
2003
○
2003
○
日本原子力学会和文論文
誌, 2[4], 379-388
2003
○
日本原子力学会和文論文
誌 2[4],389-399
2003
○
社会技術研究論文集, Vol.1
2003
○
社会技術研究論文集, Vol.1
2003
○
2005
○
2006
○
日本原子力学会 2002 年春
の年会 要旨集, A17
2002.3
○
2002 年日本原子力学会秋
の大会予稿集, H24
2002.9
○
2002 年日本原子力学会秋
の大会予稿集, H25
2002.9
○
発表場所
ヒューマンインタフェー
ス学会論文誌, 4[3],
181-188
ヒューマンインタフェー
ス学会論文誌, 5[2],
243-249
日本原子力学会和文論文
誌, 2[1],68-75
社会情報学研究, Vol. 9,
No. 1, pp. 41-53, 日本社会
情報学会
計測自動制御学会論文集,
42, 1
No.
分類
形態
発表場所
発表年次
資料の
添付
木村浩, 古田一雄
2003 年日本原子力学会秋
の大会予稿集, M14
2003.9
○
古田一雄
2003 年日本原子力学会秋
の大会予稿集, M15
2003.9
○
木村
2004 年日本原子力学会春
の年会要旨集, G05
2004.3
○
2005.3
○
2005.3
○
2003.7
○
2004.3
―
2004.3
―
2005.9
○
2005.11
○
2002.2
―
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
原子力安全のための社会技術研究(Ⅸ)
-原子力政策の賛否を判断する仕組み
-
原子力安全のための社会技術研究(Ⅹ)
-知的支援機能を備えた電子会議シス
テム-
原子力安全のための社会技術研究(Ⅹ
Ⅴ)―原子力の社会受容における信頼の
役割―
コミュニケーションにおける相互理解
度を評価する手法の提案
著者、作成者等
93
口頭発表
94
口頭発表
95
口頭発表
96
口頭発表
97
口頭発表
美浜原発事故に関する新聞記事の調査
98
口頭発表
居住地域および知識レベルが原子力の
社会受容に与える影響
99
口頭発表
100
口頭発表
101
口頭発表
関心と利害の抽出機能を備えた合意形
成支援システム
石井崇則, 古田一雄
102
口頭発表
社会構造が世論形成に及ぼす影響
淺田義和, 古田一雄
103
口頭発表
原子力の社会的受容性についてのマル
チエージェントモデリング
大森良太
原子力政策の賛否を判断する要因は何
か 居住地域および知識量に着目した
比較分析
知的支援機能を備えた電子会議システ
ム
浩, 古田一雄
岡本香代子, 木村
春樹
藤本眞一郎, 木村
春樹
浩, 班目
浩, 班目
木村浩
木村
浩, 古田一雄
古田一雄, 前原基芳, 高島亮
祐, 中田圭一
2005 年日本原子力学会春
の年会要旨集, B19
2005 年日本原子力学会春
の年会要旨集, B1
2003 年ヒューマンマシン
システム研究夏季セミナ
ーテキスト, 80-89, 湯河原
第1回社会技術シンポジ
ウム
第1回社会技術シンポジ
ウム
ヒューマンインタフェー
スシンポジウム 2005 論文
集, 973-976
第1回横幹連合コンファ
レンス予稿集, L1-26,
291-294
第1回「原子力安全のため
の社会技術」に関するワー
クショップ
No.
分類
形態
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
著者、作成者等
104
口頭発表
原子力政策の賛否を判断する仕組み
木村
浩
105
口頭発表
原子力認知の仕組みとコミュニケーシ
ョンによる態度変容
木村
浩
106
口頭発表
世論形成のダイナミクスと社会合意形
成支援
古田一雄
107
国際会議
Multi-agent simulation of public opinion
on nuclear energy
Omori, R.
108
国際会議
Analysis of Consensus Development
Process on Risk Relevant Social
Decision
Furuta, K., and Nakata, K.
109
国際会議
How Region and Knowledge Affect
Public Acceptance of Nuclear Power?
Kimura, H., Furuta, K.,
Suzuki, A.
110
国際会議
Augmented Electronic Discussion
Through Intelligent Supporting
Functions
Furuta, K., Kawaguchi, A.,
Maehara, M., and Nakata, K.
111
国際会議
Electronic Public Sphere: Human
Interface for e-Democracy
Kazuo Furuta
発表場所
第2回「原子力安全のため
の社会技術」に関するワー
クショップ
第3回「原子力安全のため
の社会技術」に関するワー
クショップ
第3回「原子力安全のため
の社会技術」に関するワー
クショップ
Proc. Int. Conf. Gaming
and Simulation, p.112,
Edinburgh
Proc. 6th Int. Conf.
Probabilistic Safety
Assessment and
Management (PSAM6),
San Juan, pp. 1255-1260
Proc. 7th Int. Conf.
Probabilistic Safety
Assessment and
Management (PSAM7),
Berlin, pp. 3528-3533
Proc. 7th Int. Conf.
Probabilistic Safety
Assessment and
Management (PSAM7),
Berlin, pp. 3534-3539
Proc. Cognitive System
Engineering in Process
Control 2004
(CSEPC2004), Sendai,
pp.81-86
発表年次
資料の
添付
2003.10
―
2006.2
―
2006.2
―
2002.8
○
2002.6
○
2004.6
○
2004.6
○
2004.11
○
No.
分類
形態
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
著者、作成者等
112
国際会議
Development of a Support System for
Consensus Building with Elicitation of
Concerns and Conflicts
113
国際会議
The Development of Evaluation
Methodology for Advanced Interactive
Communication
Okamoto, K., Kimura, H.,
and Madarame, H.,
114
国際会議
Simulation of Public Opinion
Development Using Multi-Agent Model
Morino, K., and Furuta, K.
115
放射性廃棄物処
分安全の社会受
容性
口頭発表
116
口頭発表
117
口頭発表
118
口頭発表
119
口頭発表
120
口頭発表
121
口頭発表
122
口頭発表
原子力安全のための社会技術研究(Ⅲ)
-高レベル放射性廃棄物の処分プロセ
スと社会的合意形成-
原子力安全のための社会技術研究(Ⅵ)
-HLW 処分における安全性提示の基礎
的概念-
原子力安全のための社会技術研究(Ⅹ
Ⅳ)高レベル放射性廃棄物処分に関する
参加型評価システムの開発
原子力安全のための社会技術研究(Ⅹ
Ⅶ)ORCAT に関する有効性評価
原子力安全のための社会技術研究(Ⅹ
Ⅸ)ORCAT システムの新設計と機能拡
充
原子力安全のための社会技術研究(Ⅹ
Ⅹ)ORCAT システム第2回試験運用
ORCAT 運用実験の実施と評価(1)
― 第 3 回運用実験の趣旨と実施概要 ―
ORCAT 運用実験の実施と評価(2)
―システム参加者の知識量の分析 ―
Ishii, T., Furuta, T.
発表場所
Proc. Int. Sympo. on
Systems and Human
Science for Safety,
Security and Dependability
(SSR2005), San Francisco
Proc. 13th Int. Conf.
Nuclear Engineering
(ICONE13), (CD-ROM),
50497
Proc. SICE Annual
Conference 2005,
Okayama, TA1-14-1, pp.
1908-1911
発表年次
資料の
添付
2005.3
○
2005.5
○
2005.8
○
横山速一, 田中博, 蛭沢重信
2002 年日本原子力学会秋
の大会予稿集, H23
2002.9
○
矢作英幸, 鈴木篤之
2002 年日本原子力学会秋
の大会予稿集, H26
2002.9
○
田中 博, 横山速一, 木村
浩, 高瀬博康
2004 年日本原子力学会春
の年会要旨集, G04
2004.3
○
木村
雄
浩, 田中
博, 古田一
2004 年日本原子力学会秋
の大会予稿集, J9
2004.10
○
田中
雄
博, 木村
浩, 古田一
2005 年日本原子力学会春
の年会要旨集, B17
2005.3
○
2005.3
○
2006.3
―
2006.3
―
木村 浩, 田中 博, 古田一
雄
田中 博,勝村聡一郎,木村
浩,古田一雄
勝村聡一郎,木村 浩,田中
博,古田一雄
2005 年日本原子力学会春
の年会要旨集, B18
2006 年日本原子力学会春
の年会要旨集
2006 年日本原子力学会春
の年会要旨集
形態
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
著者、作成者等
発表場所
発表年次
資料の
添付
123
口頭発表
ORCAT 運用実験の実施と評価(3)
― リスクコミュニケーションのあり方
とは ―
木村 浩,勝村聡一郎,田中
博,古田一雄
2006 年日本原子力学会春
の年会要旨集
2006.3
―
124
口頭発表
オンラインリスクコミュニケーション
支援システム ORCAT の運用と評価
木村 浩, 勝村
村 憲一, 田中
一雄
日本リスク研究学会講演
論文集第 18 巻, 81-88
2005.11
○
125
口頭発表
高レベル放射性廃棄物の処分に対する
社会的理解促進支援システムの開発
田中 博, 横山速一, 木村
浩, 高瀬博康, 稲垣 学
2003.10
―
126
口頭発表
HLW 処分に関するリスクコミュニケー
ション支援システムの開発
田中
博
2006.2
―
127
招待講演
原子力リスクコミュニケーション研究
の新たな取り組み
木村
浩
2005.10
―
128
国際会議
Development of a Community-Ware for
Social Confidence Building for HLW
Disposal
H. Tanaka, K. Furuta, and H.
Kimura
2004.10
○
129
国際会議
Behavior Analysis of Online Community
Members
Kimura, H., Seki, K., Tanaka,
H., and Furuta, K.
2005.8
○
130
国際会議
Development of Knowledge Building
Program Concerning about High-Level
Radioactive Waste Disposal
Kimura, H., Yamada, K., and
Takase, H.
2005.10
○
131
国際会議
Development and Assessment of Online
Risk Communication Assistant Tool
ORCAT
Kimura, H., Katsumura, S.,
Matsumura, K., Tanaka, H.,
and Furuta, K.
2006.3
―
No.
分類
聡一郎, 松
博, 古田
第2回「原子力安全のため
の社会技術」に関するワー
クショップ
第3回「原子力安全のため
の社会技術」に関するワー
クショップ
平成 17 年度第2回「立地
合意形成方策に関する調
査研究委員会」
Proc. 6th Int. Conf.
Nuclear Thermal
Hydraulics, Operation, and
Safety (NUTHOS-6), Nara
Proc. SICE Annual
Conference 2005,
Okayama, TA1-14-4, pp.
1912-1916
Proc. Int. Conf. Nucl.
Energy Sys. for Future
Generation and Global
Sustainability (GLOBAL
2005), Tsukuba
Proc. 3rd. Int. Symp.
Systems and Human
Science for Safety,
Security and
Dependability, Vienna (to
appear)
No.
分類
形態
財団法人エネルギー総合工
学研究所
財団法人エネルギー総合工
学研究所
ORCAT システム
木村
口頭発表
原子力規制の問題点とその再構築に向
けて
木村 浩, 古田一雄, 田邉朋
行, 城山英明
報告書
原子力規制の問題点とその再構築に向
けての研究 成果報告書
木村 浩, 古田一雄, 田邉朋
行, 城山英明
委託報告書
133
委託報告書
134
委託報告書
135
委託報告書
136
委託報告書
137
委託報告書
138
委託報告書
139
委託報告書
140
Web
サイト
142
グループ横断型
研究
発表年次
資料の
添付
―
2003.2
―
―
2003.3
―
―
2003.9
―
―
2004.3
―
―
2005.3
―
―
2005.3
―
―
2005.12
―
―
2005.12
―
2003
―
2005.3
―
2005.3
―
著者、作成者等
高レベル廃棄物の社会問題に係わる調
査報告書
「高レベル廃棄物の社会問題に関する
調査・研究」報告書
「ネットワークコミュニティー形成に
よる参加型性能評価システムのための
データベースの作成等」作業報告書
「参加型性能評価システムの構築およ
び試験的運用」成果報告書
「ORCAT の本格的運用に向けたシステ
ムの有効性評価」成果報告書
「ORCAT システムの改良とその試験的
運用の実施」成果報告書
「ORCAT の長期運用実験と分析」成果
報告書
「ORCAT を用いた HLW 教育プログラ
ムの構築」成果報告書
132
141
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
株式会社クインテッサジャ
パン
株式会社クインテッサジャ
パン
株式会社クインテッサジャ
パン
株式会社クインテッサジャ
パン
株式会社クインテッサジャ
パン
株式会社クインテッサジャ
パン
浩, 田中
博
発表場所
http://www.quintessa.co.jp/
orcat/
社会技術研究システムグ
ループ横断型研究ミニシ
ンポジウム
―
化学プロセス安全研究グループ
研究開発成果・自己評価報告書
【 目 次 】
1. 研究開発の目標
1-1 化学安全の知識の体系化と安全レベルの可視化
1-2 化学安全の向上を目指す社会技術の開発
2. 目標達成のための体制
3. 研究開発の成果とそのクオリティ
3-1 化学安全の可視化と情報共有のための情報開示応答システムの構築
1) 情報交換システムの構築
2) 総合安全性評価システムの構築
3-2 化学安全の向上を目指す社会技術の開発
1) 自主保安診断システムの構築
2) 化学産業安全性の社会的合意形成支援システムの構築
4. 目標の達成状況
1) 化学安全の知識の体系化と安全レベルの可視化
2) 化学安全の向上を目指す社会技術の開発
5. 研究成果の公表
5-1 社会技術に関連する卒業/修士/博士論文
5-2 社会技術に関連するゼミ/講義等
5-3 一般へのセミナー/講演等
5-4 実績一覧(リスト)
229
1. 研究開発の目標
化学プロセスの安全に関わる社会的視野と企業視野の双方向からの安全性についての価
値判断を明確にし、社会におけるリスクコミュニケーションを支援するための社会技術を
開発することを目的として、以下に示す2点を目標に研究を実施した。
1-1 化学安全の知識の体系化と安全レベルの可視化
化学産業では、取り扱う化学物質の数が多くプロセスも複雑であるので、社会が化学リ
スクやハザードについての問題点を理解する専門的かつ高度な知識が必要とされる。その
ため化学物質の安全情報や防災知識などを社会と企業が効率的に情報交換するシステムを
構築する。次に企業の安全レベルを社会が理解しやすい形で可視化するシステムを構築す
る。さらにこの 2 つのシステムをインターネットウェブ上で公開し社会と企業が双方向で
情報交換できる基盤技術の構築を目指す。
1-2 化学安全の向上を目指す社会技術の開発
化学産業が抱える安全管理上の問題点の解決に必要な要素として、企業が安全パフォー
マンスを自己評価することが重要であることから、自主保安マニュアルや安全管理要素を
整理し自己診断できるシステムを開発する。
更に1-1で目指したシステムと自主保安診断のシステムを統合して、化学産業の安全
性に関わる社会的合意形成を支援するための総合的なシステムを開発する。
2. 目標達成のための体制
この目標を達成するために、化学産業界からの技術者、学識者、行政経験者など幅広い分
野からの人材を活用し知識を体系化する体制を組んだ。
氏名
現在の所属・職位
専門分野
分担
社会開発研究センター
プロセス工学
化学プロセス安全研究
環境安全
グループ・非常勤研究員
経営
郁夫
社会開発研究センター
化学プロセス安全研究
グループ・常勤研究員
応用化学
地方行政(環境
保安・地震防
災)
研究グループサブリーダー
(リスクコミュニケーション)
(安全管理システム)
川端鋭憲
社会開発研究センター
化学プロセス安全研究
グループ・常勤研究員
化学工学
環境安全
設備管理
(安全管理システム)
(リスクコミュニケーション)
頼
三菱化学(株)
化学工学
安全工学
(変更管理)
〔平成 16・17 年度〕
松田光司
堀
昭一郎
230
研究グループリーダー
氏名
大野
仲
晋
勇治
現在の所属・職位
専門分野
分担
千葉科学大学危機管理
学部教授
東京工業大学資源化学
研究所教授
危機管理学
環境安全
プロセスシス
テム工学
化学工学
樋口敬一
元三菱化学(株)
〔平成 13・14・15 年度〕
経営
三菱化学(株)
小島直樹
石油コンビナート高度
統合運営技術研究組
合・専務理事
3. 研究開発の成果とそのクオリティ
(安全管理システム)
〔平成 13・14 年度〕
(リスクコミュニケーション)
生産技術
猿丸浩平
(安全管理システム)
触媒化学
(事故情報データベース)
安全工学
〔平成 13・14 年度〕
経営システム
科学
(リスクコミュニケーション)
〔平成 13・14 年度〕
[1]
社会が化学安全についての問題点を理解するための社会技術として必要とされる知識や
社会が要求している知識を幅広く社会調査し、合わせて企業のコミュニケーション施策等
も集約し、図1に示すサイクルを循環させる仕組みを社会技術と位置付けた。
サイクルの構成要素として、「問題の全体像の把握」、「社会技術の設計」「社会技術の試
行」「問題解決策の立案」
「社会技術の実装」「コミュニケーションの醸成」を設定した。
コミュニケーションの醸成
社会技術の実装
第3者評価
問題解決策の立案
社会調査・分析
問題の全体像の把握
再設計
社会技術の試行
社会技術の設計
図 1 コミュニケーション醸成の仕組み
3-1 化学安全の可視化と情報共有のための情報開示応答システムの構築
化学安全の可視化と情報の共有のための「情報開示応答システム」としては、「情報交換
システム」及び「総合安全性評価システム」で構成した。
231
1) 情報交換システムの構築
[17]
[19]
(成果の概要)
情報交換システムは、化学安全に関わる知識集の検索エンジンと社会と企業との対話ツ
ールで構成した。
化学安全に関わる知識集は、全国化学企業の総覧・化学物質の MSDS(Material Safety Data
Sheet:物質安全データシート)・地震・耐震・防災知識等、安全性及び防災関連知識を検
索するエンジンを搭載し、問題点をウェブサイトで視覚的に捉えることを可能とした。さ
らに行政機関や企業のホームページ等へリンクすることにより詳細情報を入手できる仕組
みとなっている。
社会と企業との対話ツールは、具体例として化学企業に対して日頃から知りたいことや
疑問についての質問集と企業の標準的回答集を搭載し、ウェブサイトを介して表1のとお
り問答方式で情報交換するものである。左欄はアンケート調査より集約された 35 質問の一
部であり、右欄は、その質問に対する企業の回答例であるが、業種・業態に応じて適切に
回答例を作成し社会に答える必要がある。
表1
質問及び回答例
住民のコミュニケーションに対する質問・疑問
化学産業及び工場(事業所)の回答・対応
【一般事項】
【化学企業(事業所)】
・なぜ、そこに工場(事業所)を立地したか ・用地選定の根拠(関連企業の有無、地方自治体の
企業誘致、国の産業政策、コンビナートへの参加、
原材料製品流通への考慮など)
・決定に至るまでの経緯(問題点、アセスメント、
反対行動など)
・工場(事業所)の敷地はどれくらいあるの ・敷地面積、建物面積、緑地など(周囲の保安物件と
の関連、経年推移を含めて)
・何を(製品)作っているの
(成果のクオリティ)
・原材料、中間製品、最終製品、その流れなど
[25]
情報交換システムは、社会の疑問質問に対して企業が標準回答例を用いて回答すること
が主な機能であるが、社会の疑問質問については全国の 1,500 人の住民にウェブアンケー
トし、その結果を統計解析し、主な質問群を 35 問として整理することができた。その内容
を一般的質問・化学リスクに関する質問・自主保安に関する質問・地震に関する質問に分
類した。この質問内容の有効性については、全国の一般住民約 200 名に対してウェブアン
ケートを実施し、各質問の妥当性に対する住民の評価は、62.0%(工場立地への質問)から
90.5%(火災爆発時の対処への質問)に分布しており、35 の質問項目が適正であることが
確認できた。
232
中小規模の化学企業や化学企業以外の業種については、さらに異なる質問と回答が要求
されることが実装を通じて判明した。
2) 総合安全性評価システムの構築
[22]
(成果の概要)
化学産業の総合安全性評価システムは、化学物質を扱う企業の安全性を表現する指標と
して、次の4軸の要因(環境汚染要因、危険度要因、立地環境要因、地域との連携要因)
で表現することとし、4 軸についての評価を企業がチェックリスト方式で自己評価した結果
をレーダーチャートで社会に表示するものである。(図2)
各種環境・安全評価法の採用による評価
・大気汚染、悪臭
・水質汚濁
・騒音、振動
・廃棄物
・景観
環境保全対策
危険度要因
保安・防災対策
・公害防止対策
・廃棄物対策
・環境モニタリング
・爆発・火災
・毒性ガス漏洩
・同時多発、連鎖
・地震災害
・保安体制
・防災能力
・地震発生時対策
A 環境
総合評価
B 安全
総合評価
K 環境保全対策、保安防災対策に関する監査の実施
D地
地域
域と
と
の
連携
携、
、
情報
報の
の
開示
示か
か
らの
の
評価
価
D
の
連
情
開
ら
評
環境汚染要因
C
C 立地環境(用途地域、緩衝地帯等)からの評価
立地環境(用途地域、緩衝地帯等)からの評価
図2 総合安全性評価システム概念図
①各評価軸(4軸)の考え方
A 環境総合評価
環境総合評価は、大気汚染、水質汚濁、騒音、振動などの環境汚染要因と公害防止
などの環境保全対策を対比して評価するもの
B 安全総合評価
安全総合評価は、火災・爆発、毒性ガス漏洩などの危険度要因と保安体制など保安・
防災対策を対比して評価するもの
C 立地環境評価
立地環境からの評価は、用途地域などを勘案して評価するもの
D 地域との連携等からの評価
地域との連携等からの評価は、地元・周辺コミュニティとの対話の実施状況や企業
の環境保全対策、保安・防災対策等に関する情報の開示度などを勘案して評価する
もの
②レーダーチャートの表示例
233
化学プロセス総合安全性評価のチェックリストに記入し、自動演算で算出したレーダー
チャートの表示例を図3に示す。
評価項目
評価の指標
環境汚染
大気汚染
評価結果
最
高
中
間
最高の考え方
中間の考え方
最低の考え方
最
低
ばい煙の発生状況
有害物質を含む 大気第一種以外 大気汚染防止法
排ガスの排出
の公害防止管理 に基づくばい煙
(大気第一種公 者選任工場
発生施設がない
害防止管理者選
工場
任工場)
粉塵の発生状況
特定粉塵発生施 左記に該当しな 密閉等により粉
設設置工場
いが粉塵の飛散 塵の発生なし
あり
VOCの大量の VOCの少量の VOCの取り扱
取り扱い
取り扱い
いなし
VOCの取り扱い
環境総合評価 A
10
5
地域の連携等(D)
0
安全総合評価B
立地環境評価(C)
図3 化学プロセス総合安全性評価のチェックリスト及びレーダーチャート表示例
(成果のクオリティ)
[26]
[27]
過去の化学産業の事故例の調査結果では、被害の大小・事故原因・事故防止対策・社会
への影響などについての社会の関心が高く、これらの要素を分析した結果、次の4軸要因
(環境汚染要因、危険度要因、立地環境要因、地域との連携要因)で総合安全性を評価す
ることが適切であると考え 4 軸構成とした。本システムの活用は、化学企業内で日常的に
行われているリスク管理やプロセス安全の専門知識と市民が持つリスクへの関心事の双方
の理解を進めるツールとして、安全レベルを客観的に表示できる「総合安全性評価システ
ム」を提示したことは、工場外の市民が工場の安全レベルを知る上で有効な手段であるこ
とが、実装(企業、行政、市民)を通じて確認することが出来た。
234
問題点の全体像把握のための方法論の適用性を評価するため、表2に示すステークホル
ダーに実装を依頼した。企業に対してはシステムの試行に関わる評価、神奈川県の一般市
民に対しては評価手法の評価〔*1〕・全国の市民に対してはウェブにより市民から企業へ
の質問内容の評価〔*2〕を依頼し、システムの再設計を繰り返し修正を加えた。
表2
実装を依頼した企業数および市民
地域
業
種
事業所数
神奈川県
化学、石油、石油化学、鉄鋼、食品
三重県
化学、石油化学、電工、薬品
14 事業所
兵庫県
化学、鉄鋼、重工、薬品
10 事業所
千葉県
石油化学
神奈川県
一般市民〔*1〕
14 名
全 国
一般市民〔*2〕
200 名
薬品
11 事業所
1 事業所
総合安全性評価システムのように安全レベルを公開する手法の研究は他に類がなく、安
全レベルの検索や企業の安全に関わる社会的ポジションを認知することが可能であり、相
互に競うことにより安全レベルの向上に寄与することが期待される。
4 軸評価ごとにチェックリストを設定し、評価値を入力することにより評価結果が自動演
算されるシステムであり短時間で評価結果が算出され、従来の安全性評価に要する時間が
短縮できることも大きな特長である。
3-2 化学安全の向上を目指す社会技術の開発
1) 自主保安診断システムの構築
[28]
[16]
(成果の概要)
神奈川県、三重県、大阪府などで高圧ガス保安法に基づく活動を中心に自主保安マニュ
アルが示されており、その安全管理要素を整理するとともに、企業の安全に関わる他法令、
労働安全衛生法および消防法などの安全管理要素を組み込み、企業の総合的な自主保安診
断システムを構築した。
安全管理要素としては、企業の安全に関わるトップマネジメントから生産現場のマネジ
メントまでを網羅することとして、安全管理方針・組織責任体制・運転管理・設備管理・
教育訓練・工事管理・緊急時対応・文書管理・クライシスマネジメントの管理軸を設定し
た。各要素ごとに 80~90 項目程度の設問で構成されており、全体では約 800 項目にわたる
詳細な診断項目とした。
安全管理要素ごとに設定したチェックリストに基づいて評価し、その達成度を評価軸ご
とに、図4に示す自主保安診断レーダーチャートで表示することにより、企業の自主保安
の達成度を可視化できるように設計した。
235
a.安全管理方針
i.クライシスマネジメン 1.0
0.8
b.組織責任体制
ト
0.6
0.4
0.2
h.文書管理
c.運転管理
0.0
g.緊急時対応
d.設備管理
f.工事管理
図4
e.教育訓練
自主保安診断レーダーチャート
化学産業安全性の社会的合意形成支援システム
(成果のクオリティ)
自主保安診断システムは、評価軸の評価項目について代表的な企業に評価入力を依頼し、
得られた結果は、自社の自主保安度の認識を評価結果とは大きなズレがないことが確認で
きた。何よりこのシステムのメリットは従来の手書き入力の手法に比べてその診断に要す
る時間が約十分の一程度に短縮され、省力化に寄与し大きく評価できる。
自主保安診断システムのレーダーチャートから得られた評価結果は、企業の自主保安レ
ベルの優劣を客観的に判断することに適している。
自主保安診断システムは、規制緩和の時代に入り法規制が緩和された反面、各企業にお
いては自主保安の手法は模索状態にあるのが現状である。現存するマネジメントシステム
の一例としては、ISO-9000 シリーズ(品質管理)、ISO-14001(環境管理)、OHSMS-18001
(労働衛生)などのマネジメントシステムがあるが、これらの手法に加えて本研究では安
全パフォーマンスの評価を組み込んで自主保安診断手法を構築した。
この手法を活用する過程で企業自らの弱点を見出すことができ、化学安全性の向上に寄
与するとともに、さらに行政がこの手法を薦めれば一層の効果が期待される。
2) 化学産業安全性の社会的合意形成支援システムの構築
(成果の概要)
「情報開示応答システム」は、社会受容を醸成するためのシステムと位置付け、一方、
「自
主保安診断システム」を企業の安全レベル向上のためのシステムとして位置付けた。この
両システムが相互に作用し合う仕組みが社会的受容形成を育むものとして、本研究の最終
成果物である「化学産業安全性の社会的合意形成支援システム」を構築した。
ここでは安全に関わるパフォーマンスを安全指標として公開する「安全指標公開プラザ
(仮称)」へ至る概念までを包含している。(図5)
236
安全指標公開プラザ
安全指標
(将来のイメージ)
サイエンスショップ
情報開示応答システム
情報交換システム
自主保安診断システム
企業の社会的責任指標
安全管理システム
総合安全性
評価システム
地域社会
クライシスマネジメント
Web
企 業
Web
データベース
図5
化学産業安全性の社会的合意形成支援システム
化学産業安全性の全体把握のためのシステムの運用フローは図6に示すとおりであり、
化学企業に対する社会の質問や疑問をリスクコミュニケーション支援のスタートと考え、
システム運用は住民を始点とした。質問や疑問に対して「情報交換システム」を介して企
業が回答する会話ルートを設定した。
化学企業の安全性を客観的に評価する仕組みは「総合安全性評価システム」を活用して
企業が自己評価し、その結果をレーダーチャート方式で表示するようにした。
一方、「自主保安診断システム」は、企業の自主保安活動を促進するための安全管理要素
の評価軸ごとに評価しその結果をレーダーチャート方式で表示し、将来のイメージである
安全指標の公開にも影響を与えるものである。
Webによる公開
スタート
企業への35の質問
情報交換システム
企業
どのような企業?
社会
(住民)
総合安全性評価システム
レーダーチャート
自主保安診断システム
重ね合わせ
レーダーチャート
・企業の社会的責任指標
・安全管理システム
(クライシスマネジメント)
事故発生
安全指標公開
図6
(将来のイメージ)
化学産業安全性の社会的合意形成支援システム運用フロー
237
(成果のクオリティ)
「化学産業安全性の社会的合意形成支援システム」は、「情報開示応答システム」と「自
主保安診断システム」をデータベースで繋ぎ、社会と企業の対話を中心にコミュニケーシ
ョンを図るための総合システムであり、社会から遠い存在であった化学企業が町内会の隣
人の感覚で受け入れられるものと期待される。また企業にとっても常に社会から見られて
いる感覚を育み、結果的に安全性の向上につながることが期待できる。
本システムを社会技術として運用するためには、社会的合意を醸成するための社会基盤
の構築が不可欠である。
このシステムのうち、多くの事業所や住民への実装を経て構築してきた完成度が高い「総
合安全性評価システム」は単独でシステム特許出願し、その後、「サイエンスショップ」構
想や「安全指標公開プラザ」の概念を取り入れ、安全性合意形成システム及び安全性合意
形成支援方法、それを用いた情報開示システム及び情報開示方法として「化学産業安全性
の社会的合意形成支援システム」を特許出願中である。
◇特許出願事項
・発明の名称:安全性合意形成システム及び安全性合意形成支援方法、それを用いた
情報開示システム及び情報開示方法
・発明の要旨:化学企業の各種リスクについてウェブを利用したステークホルダーとの対
話と合意形成支援及び企業における自主保安のためのツールを開発した。
さらに本システムの実装のためには、今後とも管理主体を明確にし、システム管理(サ
ーバー設置)
、セキュリティー、システムおよび情報の保護、システムメンテナンスなど
の技術的課題を解決する必要がある。
4. 目標の達成状況
1) 化学安全の知識の体系化と安全レベルの可視化
化学安全の知識の体系化としては、社会調査で得られた意見を参考にし、化学安全に関
わる情報ナビゲーションシステムとして、インターネットを活用して化学物質安全情報の
検索、化学企業の総覧、クライシスマネジメントで要求される地震防災に関する知識など
を体系化し、社会にとって理解しやすい形で公開することができた。
一方、システム構築の過程で行った実装において、大規模化学事業所では、妥当性のあ
る評価結果が出たが、化学物質の取り扱いが比較的少ない薬品、鉄鋼、食品、電子関係の
事業所では、評価項目の調整や再検討の必要があるとの指摘もあり、業態別にシステムを
グループ分けし、サブシステムの構築が必要であることが判明した。
安全レベルの可視化としては、総合安全性評価システムの中で、4軸要因(環境汚染要
因、危険度要因、立地環境要因、地域との連携要因)にそれぞれ重み付けして評価したも
のをレーダーチャートで表示する仕組みは完成した。その実装結果では企業の実体を評価
する手法として支持された。
238
しかしながら、4軸によるレーダーチャート表示方式だけでは、社会は安全レベルを十
分に理解できない側面もあるので、レーダーチャートを基に社会が認識しやすい表示(例
えば赤・黄・青など色別旗による識別表示など)を計画していたが、定量評価と色別旗に
よる表示方式への変換について研究する必要がある。さらに企業への適用には行政機関な
どの影響が大きく作用するため、幅広くニーズや意見の調査を実施し、社会技術としての
完成度を高める必要がある。
化学安全の知識の体系化と安全レベルの可視化の研究を補完するために社会の大きな影
響をもつメディア関係者や教育者など幅広い層の意見を収集する必要がある。
2) 化学安全の向上を目指す社会技術の開発
化学安全の向上を目指す社会技術は、当事者である化学企業の自主保安体制の向上が第
一義的に必要であると考えられる。これらの目標を達成するため、安全性に関わる要素を
網羅的に俯瞰する「自主保安診断システム」を構築した。自主保安診断システムは、安全
に関わるトップマネジメントから生産現場のマネジメントまでを網羅して、安全管理方
針・組織責任体制・運転管理・設備管理・教育訓練・工事管理・緊急時対応・文書管理・
クライシスマネジメントまでを総合的に評価できる手法として新規性があり、自動演算で
評価結果を得ることができる簡便な手法である。しかしながら我が国は規制依存性と縦割
り行政の支配が強く、安全法に関わる横断的な手法として行政が認めるには各省庁の理解
が必要である。
一方、「化学産業安全性の社会的合意形成支援システム」は、「情報開示応答システム」
と「自主保安診断システム」を組み合わせて構成したシステムである。「情報開示応答シス
テム」は、社会に対してリスクを公開し知識を共有する透明性をもたせたシステムである。
一方、「自主保安診断システム」は、企業の安全性の向上を目指したものであり、その両者
を繋ぎ総合的に運用することにより、リスクコミュニケーションを支援するものとして開
発したシステムである。
本研究では、
「サイエンスショップ」構想や「安全指標上場プラザ」の部分は、その概念
を提案したものにとどまり、これらの研究は課題として残されている。
さらに本システムの運用の可能性について、社会への影響力を考慮し、地方行政(神奈
川県、三重県、兵庫県など)及び関係団体(日本化学工業協会、石油連盟、石油化学工
業協会、自治体所管団体など)に有効性を問い理解を求めた。
その結果、今後の運用面については、神奈川県では自主保安診断システム、三重県では
総合安全性評価システムが完成すれば自治体の業務の中で活用したいとの意思表示があっ
た。システムの実装に際して、社会が本システムの存在と有効性を認知するとともに、多
くの企業が参加し、情報をリンク上で公開することに同意が得られること、開示された情
報に対する企業の責任と社会の満足度など、社会技術としての基盤構築(パブリックアプ
セプタンス)のための課題が残されている。
239
5. 研究成果の公表
5-1 社会技術に関連する卒業/修士/博士論文
特になし。
5-2 社会技術に関連するゼミ/講義等
講義名
教官
受講者数
(概数)
講義の対象者
神奈川県立産業技術短
環境論・リスクコミュニケーション
堀郁夫
200名
期大学校
期間
2002 年 10 月~
2005 年 10 月
地域とコミュニケーション(お茶の水女子大学ライフワールドウォッチセンタ
ー公開講座)
・社会的合意形成
・地震防災、重大化学事故
・地震による石油タンク事故、クライシスマネジメント
松田光司
堀郁夫
川端鋭憲
お茶の水女子大学
15 名
15 名
15 名
お茶の水女子大学
お茶の水女子大学
2005 年前期
2005 年前期
2005 年前期
5-3 一般へのセミナー/講演等
種別
セミナー
シンポジウム
シンポジウム
シンポジウム
シンポジウム
シンポジウム
講演名
講演者
安全性評価手法・変更管理セミナー 化学工学会
・安全確保における経営者の役割・危機管理のあり方
・変更管理
社会人大学(循環型社会と持続的発展に向けて)
化学工場の安全管理 日本原子力学会ヒユーマン・マンマシン・システ
ム部会
化学工学会安全部会講演会(事故事例解析とデータベース)
化学工学シンポジウム(変更は事故の温床)
化学工学会安全部会講演会(化学プラントリスクコミュニケーションの
240
講義の対象者
受講者数
(概数)
期間
松田光司
大野晋
企業エンジニア
14 名
2002 年 6 月
2003 年 4 月
松田光司
一般人
50 名
2002 年 5 月
大野晋
原子力学会会員
40 名
2002 年 7 月
猿丸浩平
大野晋
堀郁夫
化学工学会員
企業エンジニア
企業エンジニア
50 名
100 名
60 名
2002 年 9 月
2002 年 11 月
2003 年 2 月
種別
講演名
講演者
講義の対象者
受講者数
(概数)
期間
あり方)
シンポジウム
リスク実証のあり方
樋口敬一
堀郁夫
防災ボランティア
団体
フォーラム
第 2 回社会技術フォーラム(化学プロセス施設の安全性に係わる社会的
合意形成に関する研究)
松田光司
一般社会
シンポジウム
リスクコミュニケーションのあり方研究会
樋口敬一
堀郁夫
大野晋
企業エンジニア
40 名
セミナー
安全性評価手法セミナー(経営者の役割)
松田光司
企業エンジニア
20 名
シンポジウム
シンポジウム
シンポジウム
大野晋
堀郁夫
堀郁夫
化学工学会員
化学工学会員
化学工学会員
50 名
50 名
20 名
堀郁夫
科学技術論学会員
40 名
2003 年 11 月
シンポジウム
化学工学秋季大会安全シンポジウム(変更管理)
化学工学秋季大会安全シンポジウム(次世代安全学)
化学工学会安全部会安全サロン(安全性評価)
リスクコミュニケーションにおけるサイエンスショップ
(科学技術論学会)
産業安全対策シンポジウム 日本能率協会
2003 年 7 月・11
月
2003 年 9 月
2003 年 9 月
2003 年 10 月
堀郁夫
40 名
2004 年 2 月
シンポジウム
化学工学会安全部会安全サロン(コンビナートの危機管理)
川端鋭憲
25 名
2004 年 6 月
セミナー
プラント安全性評価システムについて
堀郁夫
川端鋭憲
企業エンジニア
化学工学安全部会
関係者
神奈川県環境教育
指導員
10 名
2004 年 8 月
シンポジウム
化学工学会安全部会安全講演会(社会合意形成とリスクコミュニケーシ
ョン)
川端鋭憲
化学工学会員
60 名
2004 年 9 月
松田光司
堀郁夫
川端鋭憲
国内外化学工学関
係者
40 名
2004 年 10 月
世界サイエンスシ
ョップ関係者
100 名
2005 年 2 月
企業エンジニア
20 名
2005 年 3 月
四日市コンビナー
ト技術者
114 名
2005 年 8 月
シンポジウム
化学工学会
15 名
2003 年 3 月
2003 年 3 月
2003 年 5 月
APCChE2004(アジアパシフィック化学工学国際会議)
フォーラム
・社会技術
・リスクコミュニケーション
フォーラム
Living Knowledge (Advancing Science & Society Interactions:Spain)
川端鋭憲
変更管理セミナー 化学工学会
(経営者の役割)
安全技術の伝承研究発表会
大野晋
松田光司
堀郁夫
川端鋭憲
・安全管理体制
セミナー
シンポジウム
241
種別
講演名
シンポジウム
シンポジウム
シンポジウム
講演者
化学工学秋季大会安全シンポジウム(化学プロセスの安全性評価手法) 川端鋭憲
安全安心のための社会技術・社会への実装シンポジウム(化学安全社会
松田光司
合意形成支援システムの石油コンビナートにおける実装)
産業安全対策シンポジウム(社会合意形成支援システム)
川端鋭憲
日本能率協会
化学工学会員
受講者数
(概数)
50 名
2005 年 9 月
一般社会
165 名
2005 年 9 月
講義の対象者
企業・大学関係者
期間
2006 年 2 月
5-4 実績一覧(リスト)
分類
No.
1
2
3
全般
社 会 技 術の 概
念の明確化
4
5
形態
書籍
安全安心のための社会技術
論文
論文
リスクコミニュケーションの実装的研究
安全確保におけるトップの役割
化学プロセスにおける安全規制の課題と今
後の制度設計
化学プロセスにおける安全規制の課題と今
後の制度設計― 技術から見たプロセス安
全管理の在り方 -
査読付論文
社 会 技 術設 計
の方法論
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
論文
6
論文
7
査読付論文
8
査読付論文
9
査読付論文
10
査読付論文
化学プロセス安全・リスクコミュニケーショ
ンのためのサイエンスショップ創設につい
て
地震による石油タンク火災の技術的考察と
社会問題
Chemical Industry Safety Information
Disclosure System
Safety management performance enhanced
by oil companies mergers
Research on Developing the System to build
Public Acceptance toward
Chemical Industry’s Safety in Japan
著者,作成者等
松田光司,堀郁夫,
川端鋭憲
樋口敬一
松田光司
大野晋,城山英明
仲
発表場所
東京大学出版会
発表年次
資料の
添付
2006.1
○
○
○
社会技術研究論文集,
Vol.1,317-326
2003. 10
勇治,大野晋
○
堀郁夫
堀郁夫,川端鋭憲
Kouji Matsuda
Toshinori Kawabata
Ikuo Hori
○
○
社会技術研究論文集,Vol.2,
414-424
Asian Pacific Confederation
Chemical Engineering 2004
Asian Pacific Confederation
Chemical Engineering 2004
Asian Pacific Confederation
Chemical Engineering 2004
2004.10
○
2004.10
○
2004.10
○
2004.10
○
No.
分類
形態
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
発表年次
資料の
添付
International Conference for
Living Knowledge
( Advancing Science and
Society Interactions
:Spain)
2005.2
○
化学工学会第 37 回秋季大会
2005.9
○
化学プロセス安全
研究グループ
研究報告書
2002.3
○
化学工学会
研究委託報告書
2002.8
-
化学工学会
研究委託報告書
2003.3
-
化学工学会
調査報告書
2004.2
-
化学工学会
調査報告書
2004.2
-
著者,作成者等
発表場所
11
査読付論文
Promoting Risk Communication in Japanese
Chemical Industries
12
査読付論文
化学プロセスの安全性評価システム
13
報告書
14
委託報告書
15
委託報告書
16
調査報告書
17
調査報告書
18
調査報告書
化学プロセス安全性評価システムの構築
神奈川県高圧ガス
協会
調査報告書
2004.10
-
19
調査報告書
化学企業安全情報登録資料作成報告書
神奈川県高圧ガス
協会
調査報告書
2005.2
-
20
調査報告書
化学工学会
調査報告書
2005.2
-
21
調査報告書
調査報告書
2005.2
-
22
調査報告書
化学工学会
神奈川県高圧ガス
協会
調査報告書
2005.6
-
化学プロセス施設の安全性に係わる社会的
合意形成に関する研究報告書
化学プロセス施設における安全管理に用い
る安全性評価方法・解析手法に関する調査報
告書
化学プロセス施設における安全管理に用い
る安全性評価方法・解析手法に関する調査報
告書
クライシスマネジメント実態調査報告書
社会的合意形成のための手段・手法・意思決
定システム及び普及手段の構築のための調
査報告書
社会的合意形成のための手段・手法・意思決
定システム及び普及手段の構築のための調
査報告書
技術の伝承手法開発調査
化学プロセス安全性評価システムの
修正報告書
Toshinori Kawabata
川端鋭憲
分類
発表年次
資料の
添付
調査報告書
2005.10
-
化学工学会
調査報告書
2005.10
-
化学工学会
調査報告書
2005.10
-
調査報告書
2005.10
-
調査報告書
2005.10
-
調査報告書
2005.10
-
調査報告書
2005.10
-
調査報告書
2005.10
-
形態
成果の名前(論文名,ツール名,etc.)
23
調査報告書
安全技術の伝承に関わる研究発表会に関す
る報告書
化学工学会
24
調査報告書
安全技術の伝承開発に関する調査報告書
25
調査報告書
26
調査報告書
27
調査報告書
28
調査報告書
29
調査報告書
30
調査報告書
No.
社会的合意形成のための手段・手法・意思決
定システム及び普及手段の構築のための調
査報告書
「化学プロセス安全の社会合意形成支援シ
ステム」の実装報告書
「化学プロセス安全の社会合意形成支援シ
ステム」の実装報告書
「化学プロセスの安全管理要素のシステム
化」報告書
「化学プロセス安全情報のデータベース構
造設計」報告書
「化学プロセス安全情報のデータベース化」
報告書
著者,作成者等
神奈川県高圧ガス
協会
三重県高圧ガス安
全協会
神奈川県高圧ガス
協会
神奈川県高圧ガス
協会
神奈川県高圧ガス
協会
発表場所
地震防災研究グループ
【 目 次 】
研究開発成果・自己評価報告書
1. 研究開発の目標
1-1 耐震補強推進のための可視化技術の開発
1-2 耐震補強推進のための制度設計
1-3 耐震補強投資推進のための問題分析とゲームの開発
1-4 社会問題解決に向けた取り組み
2. 目標達成のための体制
3. 研究開発の成果とそのクオリティ(実装の状況・可能性を含む)
3-1 「耐震補強推進のための可視化技術の開発」に関する成果
1) 都市全体の震動シミュレーション
2) 木造構造物のモデル化
3) 木造家屋の震動シミュレーション
4) 建物内部の震動シミュレーション
3-2 「耐震補強推進のための制度設計」に関する成果
1) 既存不適格住宅解消のための補助制度
2) 効果的なリスクコミュニケーションを考慮した住まいの地震防災施策
3-3 「耐震補強投資推進のための問題分析とゲームの開発」に関する成果
3-4 「社会問題解決に向けた取り組み」に関する成果
1) 市民への成果の公開
2) 自治体との協働
3) 一般工務店との協働
4) NPO の立ち上げ
5) 横断型研究
3-5 参考:アンケート結果
4. 目標の達成状況
5. 研究成果の公表
5-1 社会技術に関連する卒業/修士/博士論文
5-2 社会技術に関連するゼミ/講義等
5-3 一般へのセミナー/講演等
5-4 実績一覧(リスト)
245
1. 研究開発の目標
地震防災研究グループでは「大都市域における地震リスクと防災・危機管理技術」とい
う課題の下に、「大地震が起きたときに何が起きうるのか」について信頼できる情報を提
供しうる技術の開発、既存不適格構造物解消という社会問題の解決へ向けた制度の提案、
防災投資のあり方を明示できるソフトの制作、開発・統合した技術の社会への実装に関
する取り組みの推進を目的として研究を行った。5 年に亘る研究期間の時系列的な記述と
しては、現象記載のための要素技術の開発が第 1 期、地震時に何が起こるかという地震リ
スクのイメージを明示する統合技術の開発が第 2 期、明示した地震リスクに対する低減戦
略とその効果の提示が第 3 期、そして開発した社会技術の公開と社会への実装が第 4 期で
あり、この 4 期までの工程を明確に設定して研究に取り組んだ。以下、上述の研究目的に
沿った具体的設定目標とその実施内容について述べる。
1-1 耐震補強推進のための可視化技術の開発
地震のリスクを客観的に認識し、自分の街や自分の家の安全を確保するには、将来予想
される地震に対して何が起きうるのかを具体的なイメージとして捉える必要がある。可視
化技術の開発は、地震時の構造物および構造物群の挙動を信頼のできる数値シミュレーシ
ョンで明示できるような技術の開発を行ったもので、耐震補強推進のドライビングフォー
スとなることを期待したものである。都市全体、個々の木造家屋、そして建物内部の詳細
な震動シミュレーションを行い、耐震補強のインセンティブになりうる技術を開発するこ
とを目標とした。
1-2 耐震補強推進のための制度設計
全国で木造のみでも 1000 万棟以上存在している既存不適格建物に対する昀も重要な地
震防災対策は、このような耐震性の不十分な建物の建替えと耐震補強である。ここでは、
耐震改修が不要な強い建物に住む人と耐震補強を実施した人は、将来の地震で万が一、全
壊・全焼などの被害を受けても、新築住宅の建設に十分な支援を受ける環境が整うような
制度の提案と、効果的な地震リスクコミュニケーション通じて、住宅耐震化問題に対する
防災施策立案のための分析・提案を目標とした。
1-3 耐震補強投資推進のための問題分析とゲームの開発
本研究グループの主たる目的が、市民に働きかけ、自発的な耐震補強の投資行動を促進
するところにある以上、確率事象である地震に対して市民がどのような認識をもっている
かを分析し、かつ的確な理解を進める方策を提示しなければならない。ここでは、ゲーム
理論を用いて、耐震補強投資がそれに見合うだけのリスク低減の投資効果があるかを客観
的に評価するための問題分析を行うとともに、地震危険度への関心が励起されることを狙
った、地震リスクの異なる複数の都市への分散投資を考えるゲームの制作を目標とした。
246
1-4 社会問題解決に向けた取り組み
これまでに開発した統合地震シミュレータや個別家屋の倒壊シミュレーションアニメ、
建物内部被害のアニメなどを Web 上で公開するとともに、セミナー等を開催して研究成果
の社会への還元や実装を図る。また、建築構造物を中心した建物の耐震改修促進を目標と
している団体との協働により、開発した高度シミュレーション技術の普及を図る。さらに、
これまでの研究とその成果の還元の継続を目標として、防災意識の高揚による自治体支援
から、遠くは防災産業の育成にも目を向けた活動を行う。
2. 目標達成のための体制
地震防災を問題解決という実際に役立つ形で展開するには、従来の「耐震」や「防災」
という枠組みの中での研究では十分でなく、分野横断型の協力体制の下に研究を展開する
必要がある。従来の地震防災との違いはまさしくこの統合型の研究体制によって安心・安全
な社会の実現を図ろうとしていることにあり、このような理念の下に体制を構築した。
氏
名
所属・職位
専門分野
京都大学工学研究科・
地震工学
助教授
防災工学
分
担
<コアメンバー>
清野純史
堀
宗朗
目黒公郎
多々納裕一
寺田賢二郎
佐藤尚次
大林厚臣
朱
平
東京大学地震研究所・
教
授
授
京都大学防災研究所・
教
1-4(社会問題解決への取組)
研究全般(サブリーダー)
シミュレーシ 1-1(統合地震シミュレータ)
地震防災
社会基盤
授
東北大学工学研究科・
助教授
中央大学理工学部・
教
1-1(木造建物倒壊解析)
ョン地震工学 1-4(社会問題解決への取組)
東京大学生産技術研究
所・教
応用力学
研究全般(リーダー)
授
計画
1-1(地震時の家具類の挙動)
1-2(耐震補強推進制度)
1-3(耐震補強投資分析)
計算力学
1-1(木造建物倒壊解析)
リスク分析
1-3(耐震補強投資分析)
慶應義塾大学大学院経
意思決定
全体取りまとめ
営管理研究科・助教授
技術戦略
1-4(社会問題解決への取組)
社会技術研究開発セン
社会基盤
ター・研究員
情報学
<主な研究協力者>
247
1-1(統合地震シミュレータ)
藤野陽三
市村
強
小檜山雅之
Alaghehbandian
Ali
東京大学工学系研究科・
教
授
東京工業大学理工学研
究科・助教授
慶應義塾大学大学院理
工学研究科・助教授
東京大学大学院博士課
程
構造学
計算力学
建築構造学
橋梁工学
1-1(木造建物のモデル化)
1-1(統合地震シミュレータ)
1-2(耐震補強推進制度)
1-1(木造建物のモデル化)
また、地震防災研究グループミーティングには、上記メンバー以外にも機会に応じて下
記の方々の参加を得、活発な議論を通して研究成果に貢献していただいた。
宇治田 和((株)ランドブレイン)、庄司 学(筑波大学)、吉見雅行((独)産業技術総
合研究所)、本田利器(東京大学)、山口直也(東京大学)、畑中綾子(社会技術研究開発
センター)、小国健二(東京大学)、堤
盛人(東京大学)、吉田二郎(日本政策投資銀行)、
豊田武俊(社会技術研究開発センター)、山口健太郎(三菱総研)、村山明生(三菱総研)、
瀧本浩一(山口大学)、小野裕輔(京都大学)、東原紘道(防災科学技術研究所)
3. 研究開発の成果とそのクオリティ(実装の状況・可能性を含む)
3-1 「耐震補強推進のための可視化技術の開発」に関する成果
1) 都市全体の震動シミュレーション[12][13][15][17][18][26][27]
(成果の概要)
地震学の進歩により、地震現象そのものの解明も進み、地震動予測も試みられつつある。
また、耐震設計の発達により構造物の地震動応答解析も高い水準にある。このような要素
技術を統合し、予測・想定に基づく地震防災・危機管理システムである統合地震シミュレ
ータを開発した。GIS/CAD データ等の都市デジタルデータから構築した仮想現実都市と
数値シミュレーションを有機的に組み合わせることにより、想定した地震シナリオについ
て震災の諸過程を予想・想定することができる(図 1)。具体的には、1) GIS/CAD データか
ら構築された仮想現実都市、2)断層から地表までの地震動の生成過程をシミュレーショ
ンする地震動シミュレータ、3)鋼構造・コンクリート構造・土構造・建築構造物などの
構造物応答をシミュレーションする解析ツール、4)人の動きなどを踏まえ災害をシミュ
レーションする災害シミュレータから成なる分かりやすい高度震災情報を提供する統合地
震シミュレータを構築した。
248
図1
統合地震シミュレータの概要
図 2 仮想都市仙台市街地
(成果のクオリティ)
近年の計算科学と情報科学などの目覚しい発展、構造物解析技術の格段の進歩、デジ
タルデータの整備の進展により、震災諸過程の一連の流れを各種数値計算の積み重ねによ
ってシミュレーションすることが可能となった。何千棟を有する町全体のシミュレーショ
ンは国内外を問わずこれまで行われておらず、極めて先進的なシミュレーションである。
今後も各種の都市デジタルデータは加速的に整備されており、世界展開も視野に入れた発
展が特に期待できる。
具体的な事例としては、仙台市内の市街地 1km×2km(東西×南北)を対象とし、この
街の建築構造物に関する CAD データ、ボーリングデータ、50mメッシュ標高データから
GIS を利用して、計算機上に3次元地盤構造、建築構造物からなる現実都市を構築した(図
2)。この仮想現実都市と高分解能地震動シミュレータ及び建築構造物のシミュレータを用
いてこの街の揺れをシミュレーションし、各種手法により評価を加えた。また、東京都文
京区の一角 (2km×1.5km)を対象に GIS データを用いて動的解析のための建物モデルを
構築した。この地域内の建物の総数は 10,000 棟を超えており、この構造物モデル群を用い
249
て都市全域での地震シミュレーションを行った。さらに、旧神戸市街地(500m×700m)
を対象とした地盤構造・橋梁・建築構造物からなる仮想現実都市「デジタルシティ神戸」
を用いて統合地震シミュレータのプロトタイプにより震災シミュレーションを行い、3次
元地盤構造の影響、波動伝播の位相効果の影響を評価した。この統合地震シミュレータに
よって提供される客観的な高度地震情報は、住民一人一人の地震や地震災害の正しい認識
を促進し、都市震災の軽減を図る上で大きな役割を果たすことがアンケート(「3-5
参
考:アンケート結果」参照)によって確認されているとともに、自然災害に対し事前の備え
から事後の対応まで面倒をみる防災産業育成への道筋も見えつつある。
2) 木造構造物のモデル化[149][150][151]
(成果の概要)
過去の地震被害を詳細に検討すると、木造住宅の場合には動的な挙動の中でも崩壊過程
が無視できない要素であり、また個々の建物の挙動のみならず、集合体としての挙動もま
た重要となる。しかし、日本には数多くの木造住宅が存在するが、それらの構造データを
効率的に集める方法は皆無に等しい。ここでは、地震防災のためのリスクコミュニケーシ
ョンシステムの構築を念頭に、動的解析のため構造データをパターンマッチング(図 3)
によって簡便に収集し、構造モデルを構築できる手法を開発した。
Finding the best
match
(Pre-constructed
model) for an
input and specify
the
pre-constructed
model’s features
to the input
例 文京区本郷。。。 〒
113-0033
Input from user
Many pre-constructed
models based on any
available data
Input: See 2.2.1
Features
1. No. of Columns
2. Joint properties
3. Roof type
4. Dimension
5. Wall properties
(can be added)
DEM and
lumped mass model
USER: see 2.1
図 3 画像解析及びパターンマッチングを利用した方法の概要
(成果のクオリティ)
ここで開発した要素技術をインターネットベースのアプリケーションプラットフォーム
として利用すれば、ユーザーはその住宅及び近隣地域のラフなモデル及び地震時の動的応
答を住宅の写真を送付するだけでインターネット上でバーチャルリアリティーを利用して
見ることができるようになり、リスクコミュニケーションの有用なツールとなることが期
待できる。
250
図 4 3 次元有限要素法による木造建物の地震時挙動の比較(筋交いの有無)
図 5 3 次元個別要素法による筋交いの無い木造建物の地震時倒壊過程
3) 木造家屋の震動シミュレーション[19][21][192]
(成果の概要)
地震による人的被害を軽減するには、地震の揺れを受けた建物がどのような挙動を示し、
251
破壊に至るのかを知ることが必要である。ここでは、3 次元個別要素法と 3 次元有限要素
法を用い、物理的側面から地震時の住宅の破壊挙動シミュレーションを行い、建物倒壊の
メカニズムを定量的に評価した(図 4,図 5)。在来軸組構法の木造建築物を対象として、
細部の部材や構造までも考慮した解析モデルに対し、その動的かつ非線形な力学挙動を再
現することで、社会技術における地震情報の視覚化の役割と有効性を明示した。
(成果のクオリティ)
もし補修・補強を怠ればどのような結果になるか、また補修・補強を行った場合の建物
の地震時挙動がどのように改善されるかを可視化することで、家屋の耐震補強の意志決定
や防災意識向上を促し、耐震補強へのインセンティブを与えるツールとなった。このシミュ
レーション結果は防災先進県である静岡県の公式HPへのアップや、建物診断協会との協
同で研究会を立ち上げたことにも反映されている。
さらに建物の倒壊の可能性を建物の所有者が事前に知ることによって耐震補強の必要を
感じ災害時の被害の軽減効果も期待できることが、アンケート(「3-5
参考:アンケー
ト結果」参照)によっても確認されている。
図 6 自分の部屋の地震時の様子をリアルに体験できるシミュレータ
4) 建物内部の震動シミュレーション[113][120][207]
(成果の概要)
ここでは、自分の昀も身近な環境における地震被害と適切な防災対策の効果に対するイ
マジネーション能力を向上させるために「地震時のあなたの部屋の家具の挙動」を提供す
るシミュレータを開発した。地震時に直面する環境を疑似体験するとともに、転倒防止措
252
置などの対策の効果をわかりやすく伝え、一般市民の被害軽減行動の促進を図ったシミュ
レーションツールである。
(成果のクオリティ)
3 次元拡張個別要素法(3D-EDEM)を用いて地震時の室内の様子をビジュアルに表現する
シミュレータを開発した(図 6)。さらにこれを WEB 環境や VR 環境で利用できるシステム
を用意し、専門知識を持たない市民でも、様々な条件下での家具の挙動が比較できる環境
を実現した。これらのシステムによって、防災意識が向上し建物に応じた家具の適切なレ
イアウト法や効果的な転倒防止装置のあり方が理解されるとともに、家具を固定するなど
の具体的な防災対策行動を促進できる。室内被害の軽減につながるものと期待される(「3
-5
参考:アンケート結果」参照)。
3-2 「耐震補強推進のための制度設計」に関する成果
一棟あたりの負担額(
万円)
耐震補強建物を対象に、全国展開させることが有効
200
静岡県のみ
180
東海地震
(未補強建物も対象として、
160
現行の兵庫県案)
150.4万円
140
120
100
62.5万円
静岡県のみ
80
(本提案の地域限定版)
60
40
2.2万円 全国(本提案)
20
0
全壊
半壊
200
400
600
800 1000 1200 1400 1600 1800 2000
60
120
180
240
300
360
420
480
540
600
給付額(万円)
図 7 新提案の共済制度の効果
1) 既存不適格住宅解消のための補助制度[35][43][179][194]
(成果の概要)
「行政によるインセンティブ制度(公助)」
、
「オールジャパンを対象とした耐震補強実施
者による共済制度(共助)」、「揺れ被害免責型の新しい地震保険(自助)」を提案した。こ
の 3 点セットにより、耐震改修が不要な強い建物に住む人と耐震補強を実施した人は、将
来の地震で、万が一、全壊・全焼などの被害を受けても、新築住宅の建設に十分な支援を
253
受ける環境が整うことになる。こうすることで、長期的には、
「いい場所を選んで、いいも
のを造って、よくメンテナンスして、長く使う」という日本人の「新しいすまい感」の実
現を図った。
(成果のクオリティ)
現在のわが国のように地震活動度の高い地域や時期に必要とされる、
「市民一人一人が事
前の努力でトータルとしての被害を減らすしくみを作った上で、努力したにも関わらず被
災した場合に手厚いケアをする制度」の提案により新しい枠組みが提示され、いくつかの
自治体からも注目されている(図 7)。
2) 効果的なリスクコミュニケーションを考慮した住まいの地震防災施策[230][231]
(成果の概要)
住宅耐震化の問題に関し、耐震補強の意思決定、住民の地震防災行動、地震リスクコミ
ュニケーション、地震防災施策に関する既往研究の調査を行い、効果的な地震リスクコミ
ュニケーションを考慮した防災施策の立案が必要なことを指摘した。
(成果のクオリティ)
住まいの地震防災推進施策として、近隣の建物所有者が連帯して診断・改修工事契約を
行うことを促し、住宅の包括的なリスク管理をまちづくりの視点も踏まえて専門家が支援
するプログラムを提案した。このプラグラムに基づいて、効果的な地震リスクコミュニケ
ーションによる施策が多く立案されることが期待できる。
3-3 「耐震補強投資推進のための問題分析とゲームの開発」に関する成果[34][56]
(成果の概要)
市民にはたらきかけ、自発的な耐震補強の投資行動を促進するために「どのように揺れ
るのか」
「どのように被害が出るのか」のシナリオを明示するだけでなく、確率事象である
地震に対して市民がどのような認識をもっているかを分析し、かつ的確な理解を進める方
策を提示した。
(成果のクオリティ)
開発したゲームは、「各ターンに、不動産物件からの収入があり」「貯蓄には利子がつき
(形式上は利子でも、理論上は割引率に対応させた概念)」「したがって、初期の過剰な防
災投資支出にはそれなりのデメリットもあり」
「しかしターンごとにランダムに様々な大き
さの地震の発生があり」
「耐震レベルを適切に向上させておかないと、甚大な構造物被害と、
長期にわたる収入の欠損が発生し」また「施工を依頼する建設会社にも仕事の質に差をつ
ける」ということを行っており、残存手持ち金額の多寡で優劣を決める「経済ゲーム」とし
254
て設計している。そのため、防災投資の効果が把握できない、あるいは地震の生起確率の
情報が不十分である、等のいくつかの心理的障壁を、ゲームで楽しみながら越えることが
可能となったという点で意義が大きい。
3-4 「社会問題解決に向けた取り組み」に関する成果
1) 市民への成果の公開[1][2][232][233]
(成果の概要)
現在、Web は昀も有力な情報入手手段の一つであり、ホームページやブログを通じた研
究成果の公表は、研究成果の社会への還元や実装への第一歩であると考えられる。地震防
災研究グループでは、5 年間に及ぶ研究成果のうち、アニメ等わかりやすく視覚に訴える
ことのできる以下の4つのコンテンツを取り上げて公開している。
1)広域歳モデルの構築
-都市モデルはどう作るの?-
2)都市全体の地震時挙動
3)耐震補強の効果
4)室内の揺れの体験
-私達の街はどう揺れるの?-
-私の家は本当に大丈夫?-
-私の部屋はどう揺れるの?-
図 8 アニメーション一覧とダウンロード画面(「耐震補強の効果」)
(成果のクオリティ)
アニメーションは関連する分野での利用価値が高いものを提供しており、閲覧者は必要
に応じて自由にダウンロードし、利用できる環境も整備している(図 8)。各コンテンツには、
それぞれの項目ごとに副題として掲げてある疑問(例えば-私達の街はどう揺れるの?-
255
など)へ答えるべく、その研究の背景と目的、そして開発された技術とその説明がわかり
やすく表示されている。そのため、これらは全て、専門知識を持ち合わせない人々でも理
解しやすいものとなり、地震や地震被害、耐震補強へのインセンティブ醸成へ大きく貢献
している。自治体(静岡県)の HP にもコンテンツを提供している点からも、市民への貢
献の大きさがわかる。
2) 自治体との協働[155][157][人材育成:社会技術に関するセミナー・講演]
(成果の概要)
社会技術で開発された統合地震シミュレーションシステムの運用の目的として、経験的
手法に替わって、高度な地震被害のリスク分析を行うことが考えられる。ここでは、自治
体を対象に、地震シナリオに応じて予想される地震動・構造物被害・対応行動をシミュレ
ートし、地震被害の客観的なデータを提供し、不確実性も考慮したリスク分析を行った。
(成果のクオリティ)
自治体での運用を図る具体的な方策として、文京区を対象とした統合地震シミュレーシ
ョンシステムの開発を行った。地盤と建物に関する高度 GIS を利用して、文京区内の地盤
と建物の詳細なコンピュータモデルがシステム内には構築されている。マルチエージェン
トを利用した避難シミュレーションも統合地震シミュレーションシステムに組み込まれて
いる。統合地震シミュレーションシステムの紹介も兼ねて、文京区民や目黒区民を対象と
した地震防災啓蒙活動に関するセミナーを実施するなど、成果の社会への還元も図った(写
真 1)。さらに、防災産業の育成という高度な目標への道筋も立てている。
写真 1 セミナー会場に集まった目黒区民(11/25 目黒区総合庁舎)
256
3) 一般工務店との協働[192]
(成果の概要)
地震防災分野において有限要素法(FEM)の利用を前提とした CAE 技術を利用する枠
組みを社会に実装する試みとして、建築構造物を中心した建物の耐震改修促進を目標とし
ている団体(東日本構造物調査診断協会:以下、協会)と地震防災研究グループとの協働
を図ったものである。
(成果のクオリティ)
協会は「地震被害に対応した被害防止対策のための社会システム構築に向けての研究会」
および「民間非木造建築物の耐震改修促進等研究会」を発足させ、地震防災研究グループ
からは、非常勤研究員の寺田(東北大学助教授)が参加して活動の方向性や進め方を検討
した。社会技術研究の成果である建物の地震時挙動シミュレーション技術の現象を紹介す
るとともに、シミュレーション結果を可視化することで防災意識の向上につながることを
強調し、このことは地元の「建設新聞」にも取り上げられた。この発表に対して、本協会
からは、民間木造住宅だけでなく、非木造や微地形や隣接構造物の影響を考慮した数値シ
ミュレーションや可視化の利用価値にも期待しているとの意見があり、大きな反響を呼ん
でいる。
4) NPO の立ち上げ
(成果の概要)
高度シミュレーションの合理的な運営のためには、運用の目的を高度な地震リスク分析
とともに都市情報基盤の活用としての運用が考えられる。この具現化としては、都市情報
の収集からデータ構造の構築まで GIS 作成に関して世界をリードする技術が育成されて
いる我が国の地震防災技術の国内での利用基盤整備と海外への輸出、および都市を襲う
様々な自然災害のシミュレーションの統合が挙げられ、この目標を達成すべく NPO「安全
な社会の研究会」を設立する。
(成果のクオリティ)
地震防災研究グループの非常勤研究員の堀(サブリーダー:東京大学教授)が中心とな
り、開発した統合地震シミュレーション技術の活用と、地図会社との共同による都市基盤
情報の整備に着手した。当面は、統合技術を用いた自治体支援活動と、大地震発生時には
その地震動を使って各都市の地震被害をシミュレートし、被害予測を可視化して地震リス
クの認識を促す活動を行う。これにより市民においては防災意識の高揚が期待できるとと
もに、今後は都市基盤情報の高度センシング技術の開発や自然災害に対し事前の備えから
事後の対応まで面倒をみる防災産業の確立に大きく貢献できるものと思われる。この活動
の必要性は、事前のアンケートからも確認できる(「3-5
257
参考:アンケート結果」参照)。
5) 横断型研究[228][229]
(成果の概要)
ミッションプログラム I「安全性に係わる社会問題解決のための知識体系の構築」では、
分野間の協働を推進するために、横断型研究を実施している。ここでは、会話型知識プロ
セス研究グループの「没入型会話システムのための地震防災コンテンツ制作とそれに必要
なシステム拡張」に関する研究支援を、主に地震資料の提供という側面から行った。
(成果のクオリティ)
会話型知識プロセス研究メンバーとの座談会のダイジェストが ristex NEWS Vol.2 に、
また、座談会やシステム(SPOC,IPOC)の詳しい説明を URL で公開している。
3-5 参考:アンケート結果
技術開発がほぼ完成した 2004 年の 10 月 2 日から 29 日にかけて、社会技術研究の背景
と地震防災研究グループの活動概要、そしてここで開発した要素技術、具体的には町全体
を揺らすシミュレーション、木造建物の倒壊シミュレーション、建物内部のシミュレーシ
ョン、および地震時の避難行動シミュレーション結果を、グループメンバーが国・自治体
(12)、コンサルタント(7)、設計・管理会社・工務店(6)、新聞・放送(4)、建設・不動産会
社(3)、道路・ガス(3)、学生・一般市民(4)の計 39 組織(71 人)に持参し、直接説明して以
下のような質問項目に答えていただいた。
•
今ご覧になった動画の中で、あなたの業務に関係のありそうなものはどれで、どの
ようなことに使えそうですか。
•
このままの形、あるいはマイナーチェンジするだけで利用できますか。それともか
なりの修正が必要ですか。その場合どこをどのように修正・改良する必要がありま
すか。
•
使えないとお考えの場合、その理由は何ですか。
•
これとは別に、あなたの業務に関連してどのようなソフトがあったら便利ですか。
•
その他、何かご意見がございましたら自由にお聞かせ下さい。
ここでは、開発した技術の実務への適用に関する意見の抜粋を示す。
(町全体のシミュレーション)
•
地元住民に放映することで、防災意識の風化防止、防災施策推進に於ける「総論賛
成・各論反対」の状況の打破が可能 (自治体防災担当)
•
次世代ハザードマップへの適用が可能(自治体防災担当)
•
地域開発の際の建物配置の検討、都市計画上の対策立案(不動産)
•
ニュースの資料映像、イメージ映像に利用できる(放送関係)
•
意志決定者(予算の決定者)に対して,説得力のある情報を提供する手段として非
258
常に有効 (ガス)
•
行政への情報提供や交渉、予算獲得のための説明資料に利用可能(公団[道路])
•
自主防災組織や町会の啓発など地域防災力の向上,さらに都市再開発事業にも使え
る。防災訓練の高度化に高分解能シミュレーションが役立つ。(自治体防災担当)
•
企業の防災担当者に対して,企業の保有しているサイト周辺が地震に襲われた際,
自社の建物や周辺建物がどのような状態になるかがよくわかる(リスクコンサルテ
ィング会社)
•
何千、何万棟の建物の応答計算ができるので、途上国市街地の震動解析に使いたい
(国際業務コンサルタント)
•
現段階での GIS の利用は紙ベースの報告書といっても過言でない。こういうもの
が利用できるならすばらしい(建設コンサルタント)
•
想定地震に対して(シナリオ地震に対する入力波形はある)市全域を揺らして,そ
の結果を 3 次元表示にするなら,現行の被害想定がもっと説得力を持つようになる
(自治体消防担当)
•
地下埋設物の管理支援などの保守・保全業務,都市全体のリスク管理支援,電力・
NTT ケーブルの波乗り現象の解明に利用できるのではないか(電力コンサル)
•
個人財産や安全性に直結するため、結果の信憑性が非常に重要。得られる結果の精
度について、誤解なく誰でも納得できる説明方法が必要 (建設コンサル)
•
コンサルの立場・実務の立場から言うと、このシミュレーションを行うにはどの程
度のマンパワーと費用が要るのか。そこが一番問題である。 (建設コンサル)
•
行政で使うにしても、個人が使うにしても、入力の簡便さが重要。そのほか、個人
の場合は、たとえば新築時にもらう図面から素人が入力できる程度。業者が悪用し
ないような工夫も必要だろう。 (自治体危機管理室)
•
陳腐化するシステムに現場は苦労している(上層部で導入を決めたシステムは、現
場では使い辛い場合がある点を理解して欲しい。特に,数年でシステムが陳腐化し、
システム習得にかけた労力が無駄になり、新しいシステムに挑戦する意欲を削ぐ現
状がある)。
(自治体防災管理担当)
(木造建物の倒壊シミュレーション)
•
地元住民に見せることで危機感をあおることができる。以前東京消防庁の延焼シミ
ュレーションで地元での被害状況を見せたら住民らは関心を持って見ていたので。
(自治体防災担当)
•
木造建築のシミュレーションは、個人の自助を促すのに有効だろう。耐震改修を促
す効果もあるだろう。(自治体危機管理担当)
•
建物の破壊モードがどのようなものとなるか、耐震対策をどのようにすべきかを検
討することの一助となる。(リスクコンサルティング)
•
個々人の家に対して手軽に計算できるのであれば、耐震診断に利用できる。
(コン
259
サル)
•
倒壊後の道路閉塞などがわかる。現在、それを正確に推定することができないので、
利用できる。(コンサル)
•
家の補強とその挙動を 3 段階程度でランク分けしたものがあれば、地域への防災情
報の提供(自主防災組織への指導など)に使える。(自治体消防担当)
•
このソフトを利用するというより、このソフトを使ったシミュレーション例を顧客
に提示して、補修や補強の効果を説明できれば非常に有用である。自分の家とまで
は言わず、典型的な例で十分である。 (工務店)
•
風呂場などの水周りの補修に付随して、耐震診断・耐震補強を進めているが、これ
をシミュレーションを援用して、もっとシステマティックに推進できる。
(工務店)
•
足立区の状況をインプットしたものができれば、営業に来てもらって結構。(自治
体まちづくり課)
•
施主への説明、工務店での利用(建設コンサル)
•
耐震診断のときに、30 分から 1 時間の携帯パソコン入力で、このような例が見せ
られれば便利なのだが。(工務店)
•
木造家屋のシミュレーションソフトを使うというより,これを使ったシミュレーシ
ョン結果を頂きたい.家屋はいくつかの平均的な形を用いれば,説明には十分であ
る.(自治体消防担当)
•
行政で使う場合は、建物の内部など、民間情報の入手可能性の限界がある。見せ方
は良いと思う。 (自治体危機管理)
•
設計という実務レベルで用いるには,研究自体の成熟が必要だと考える.実務レベ
ルで,高度なシミュレーション技術を使うに至っていない状況を認識してほしい.
(建設会社)
•
耐震補強などの対策の前後の様子を比較して見せた方がよい。(国の研究所)
(室内内部のシミュレーション)
•
木造建物の倒壊解析と家具の挙動シミュレーションは住民の防災啓発に利用でき
そうだ。そして、このような研究成果を住民が手軽に見ることができる環境整備を
行政側で行わなければならない。(自治体防災担当)
•
地震時の照明器具の挙動を知る事で耐震性の高い照明器具をデザインする事が可
能になる (照明デザイン)
•
集合住宅や事業所では、木造家屋と違って什器類の転倒防止の措置が物理的にしに
くい。そのようなときに、このような揺れではなんともないが、このような揺れで
はこんな状態になるという例や、転倒防止はしにくいが、もしこのような措置を講
じたら、こんなに違ってくるなど、視覚的に見せればとても効果があると思う。(自
治体危機管理)
•
家具の転倒という現象が室内の移動を危険にしたりという付帯的な悪影響をもた
260
らすということに対する理解が進むのではないか。
•
当社のバーチャルリアリティーショールームで利用例として使える(ソフト)
•
防災拠点の指定や管理の見直しに利用できる(自治体危機管理)
(避難行動シミュレーション)
•
空間計画デザイン、避難計画の立案に使える。(コンサル)
•
ビルのハード面に関する情報は全て把握しているが、例えば人の動きなどは全く分
からない。正確な人の流れが分かれば、避難訓練などにも使える。(ビル管理会社)
•
実際に避難を誘導する場面になったときの判断材料となる。避難誘導をする立場の
人の教育に有効である。特に、不測の事態が生じた場合の訓練をするための材料と
して行動計画を起案するための良い材料となる 。(ガス)
•
リアリティが防災に対する意識を高めるのに有効であると考えられるため,社員の
教育・啓蒙に役立つ。 (道路)
•
ディテールが積極的に再現されるようになると,いかに災害がもたらす環境変化に
対して自分が無防備か,災害に対する備えが不足しているかを認識するのではない
か。(地理情報会社)
•
都市空間のデザインに応用する場合や 1 次避難場所の選定等避難計画に利用する
場合には、道路閉塞とのインタラクションが必要。 (コンサル)
•
避難シミュレーションは実にさまざまな状況があり,全てをシミュレートできると
は思われない.計算結果はあくまでも一例に過ぎないのでは?(自治体消防)
4. 目標の達成状況
「1-1
耐震補強推進のための可視化技術の開発」について
3.1 で述べたように、都市全体、個々の木造家屋、そして建物内部の詳細な震動シミュ
レーションを行い、耐震補強のインセンティブになりうる技術を開発するという目標に対
しては、都市全体の震動シミュレーション技術、木造家屋の震動シミュレーション技術、
建物内部の震動シミュレーション技術に関しては達成することができた。前述のように、
都市のデジタルデータの整備が加速する現状では、時代をリードする可視化技術が開発さ
れたと考えられる。ただし、木造構造物のモデル化技術に対しては、現在、住宅の画像を
取り入れるとシステムがライブラリーの情報とテンプレートマッチングを行い、昀も近い
構造モデルを選択するという段階であり、利用者が自身の建物の写真を提供するだけで昀
小限の構造モデルが出来上がるという段階には至っていない。これは、特に木造建物の構
造強度は、梁や柱の接合部や地盤など、建物外部の写真だけからでは判断できない部分で
決まる場合が多いためであり、リスクコミュニケーションの有用なツールとして一般に公
開できるまでには更なる研究の継続が必要である。
261
「1-2
耐震補強推進のための制度設計」について
耐震補強の誘因・阻害要因を詳細に明らかにするため、住宅所有者に対してアンケート
調査を実施した結果、近所の人の影響、補強コスト低減に関する情報提供が強く耐震補強
の誘因として働くこと、比較的新しい建物に住む人々にも耐震補強のニーズが存在するこ
と、阻害要因は、高額な補強費用、工事依頼先への信頼不足、建築技術の情報提供不足の
3 つに大別できることが明らかになった。このような結果も踏まえて、何もせずに弱い家
に住んでいて、それが地震で壊れると生活再建費が行政から支援される制度ではなく、オ
ールジャパンを対象として長期的に防災に貢献し、タックス・ペイヤーに対して、責任あ
る説明ができる制度を提案することができた。
「1-3
耐震補強投資推進のための問題分析とゲームの開発」について
ヴァーチャルな「投資対象」として構造物(個々の建物、個々の占有不動産)をとらえ、
ゲーム上で時間の経過を経験する中で、ランダムに地震の発生と被害の発生が起こり、合
理的な投資戦略を行わないと優秀な成績を残すことが出来ないという形にして、客観的な
判断を経験してもらうことができる防災投資ゲームを開発した。ただ、このゲームをどの
ような形で利用してもらうか、また、その効果をどのように定量判断するかにはいたって
おらず、この成果を社会技術として根付かせるためには今後更なる展開が必要である。
「1-4
社会問題解決に向けた取り組み」について
ここで開発した手法や成果を HP を通してビジュアルに広く一般に公開することにより、
研究成果の社会への還元という目標はかなり達成できた。また、一方的な成果の公開・提
供するだけでなくこれを補完するために、必要な情報の提供を受けたり、研究内容の評価
に関する現場の生の声を聞いたり、あるいは市民が常日頃から我々の研究に関連する事柄
について抱いている疑問を一緒になって解決したりする公開セミナーも開催し、災害状況
を適切にイメージできる能力の向上に寄与するという目標も達成された。
さらに、建物診断協会が耐震改修工事の対象となりうると判断している建物に対して
3D-CAD モデルを生成し、3次元地震時挙動シミュレーションを実施するとともに、「地
震被害に対応した被害防止対策のための社会システム構築に向けての研究会」に参加・協
力することにより、地震防災分野における CAE 及び高度シミュレーション技術の普及を
図るという当初目標も達成された。
現在、地震防災研究グループの研究成果を活用する NPO「安全な社会研究会」を立ち
上げ、防災意識の高揚による自治体支援から、遠くは防災産業の育成にも目を向けた活動
を計画しており、研究成果の社会への還元・実装を今後も引き続き行える体制も構築した。
262
5. 研究成果の公表
5-1 社会技術に関連する卒業/修士/博士論文
論文名
論文の種類
脆弱建物の耐震化対策へのインセンティブ導入方法に関する研究
博士論文
著者[指導教官]
吉村美保
発表当時の所属
東京大学
発表年次
2005年度
地下構造物の影響を考慮した市街地の地震時挙動解析
博士論文
生出 佳
東北大学工学研究科
2004年度
地震時における建物倒壊挙動に関する研究
修士論文
原口裕子
京都大学工学研究科
2004年度
既存不適格構造物の耐震補強を促進させるための新しい地震保険制度の検討
3次元拡張個別要素法を用いた住宅および家具の動的挙動シミュレータの構築
修士論文
修士論文
國吉隆博
柳田充康
中央大学
東京大学
2004年度
2004年度
AMETRIC IDENTIFICATION OF JOINTS IN WOODEN HOUSES BASED ON
PAST EARTHQUAKE DAMAGE USING DEM COLLAPSE SIMULATION
修士論文
SARWAR
Muhammad
Waheed
東京大学
2003年度
分散型情報技術による社会基盤施設防災・保全現場のインテリジェント化
3次元拡張個別要素法を用いた家具の動的シミュレータの開発
密集空間における安全性確保のための避難行動に関する研究
楕円個別要素法による群集挙動の力学的解析に関する研究
修士論文
修士論文
修士論文
修士論文
青木茂
榎本美咲
東山寛之
森 直人
東京大学
中央大学
京都大学工学研究科
京都大学工学研究科
2003年度
2003年度
2003年度
2002年度
Risk Communication using Virtual Reality for Seismic Hazards
修士論文
Ali
Alaghehbandian
東京大学
2002年度
表層地盤・微地形を考慮した市街地の地震時挙動解析(仮)
卒業論文
名取美咲
東北大学工学部
アドベ構造物の地震時挙動に関する研究」
耐震補強を誘導する共済による新しい被災者支援システムの研究
構造・非構造部材の影響を考慮した木造建築物の三次元地震応答シミュレーシ
ョン
GISを軸とした計算機支援環境における次世代震災評価システムのプロトタイ
プ
地震時における建物倒壊と内部空間被災度に関する研究
安全な生活に関するリスクコミュニケーション支援システム(RIP)の構築
GISを軸とした計算機支援環境における次世代震災評価システムのプロトタイ
プ
卒業論文
卒業論文
横井千晶
中嶋朋子
京都大学工学部
東京大学
2005年度(予
定)
2004年度
2004年度
卒業論文
小引寛也
東北大学工学部
2003年度
卒業論文
山川貴弘
東北大学工学部
2002年度
卒業論文
卒業論文
原口裕子
桑原靖佳
京都大学工学部
東京大学
2002年度
2002年度
卒業論文
山川貴弘
東京大学
2002年度
263
5-2 社会技術に関連するゼミ/講義等
講義名
教官
講義の対象者
受講者数(概数)
期間
基礎ゼミ「防災の科学」
寺田賢二郎・市村強・池田清宏
東北大学・全学
20人
2002年6月15日
基礎ゼミ「防災の科学」
寺田賢二郎・市村強・池田清宏
東北大学・全学
20人
2003年6月7日
地震危機管理工学
目黒公郎・堀宗朗
中央大学大学院土木工学科
10名
2003年10月~2004年3月
地震危機管理工学
目黒公郎・堀宗朗
中央大学大学院土木工学科
10名
2004年10月~2005年3月
地震危機管理工学
目黒公郎・堀宗朗
中央大学大学院土木工学科
3名
2005年10月~2006年3月
5-3 一般へのセミナー/講演等
セミナー・講演名
講演者
講義の対象者
受講者数(概数)
期間
目黒区民のための地震防災セミナー
藤野陽三,清野純史,堀
宗朗,目黒公郎
目黒区民
200名
2005年9月23日
文京区民のための地震防災セミナー
藤野陽三,清野純史,堀
宗朗,目黒公郎
文京区民
100名
2005年11月26日
APRU/AEARU Seminar
地震防災最前線-地方自治体のためのセミナー-
清野純史
清野純史
200名
100名
2005年8月31日-9月2日
2005年6月28日
Some Issues of Disaster Risk Governance: Focusing on
the Inter-Dependence of Infrastructures
Hirokazu TATANO
一般
自治体職員
政府国連関係者・研
究者
政府国連関係者・研
究者
500名
2005年9月20日-21日
500名
2005年9月26日-28日
Hirokazu TATANO
政府関係・保険業
界・研究者
300名
2005年12月8日-9日
寺田賢二郎
一般
50人
2004年5月18日
Case Station Field Campus Initiative:Building Coping
Capacity in the Society
Natural Catastrophe Risk Management Policy in Japan:
Roles of government to promote public private
partnerships
地域防災ゼミ・計算機支援環境下における地域防災- 震
災情報の「見える化」(VSH) へ向けて-
Hirokazu TATANO
264
セミナー・講演名
講演者
都市インフラの地震防災セミナー-阪神淡路大震災10周
年を迎えるにあたって-
清野純史
地震が起こると私達の街はどうなるのか?
堀宗朗
統合地震シミュレーション
長周期地震動と統合地震シミュレーション
堀宗朗
堀宗朗
Integrated System for Total Urban Earthquake Disaster
Management
目黒公郎
確実にやってくる地震に対して
のあり方についてー
都市防災と耐震補強
都市防災と耐震補強
確実にやってくる地震に対して
のあり方についてー
-今後の地震防災対策
講義の対象者
一般
地震・火山噴火研究
に関するマスコミ関
係者
東京都防災局
耐震セミナー
日仏地震防災シン
ポ・キーノートスピ
ーチ
参議院災害特別委員
会
防災士機構特別講演
防災士機構特別講演
千代田区都市防災推
進セミナー
日米都市防災研究報
告会
目黒公郎
目黒公郎
目黒公郎
-今後の地震防災対策
マルティメディアを用いた事後対策の可視化
切迫する東海地震からあなたとあなたの家族を守るため
に
効果的な防災対策の立案に向けて -兵庫県南部地震の本
当の教訓と今やらなくてはいけないこと-
Integrated System for Total Urban Earthquake Disaster
Management
都市防災と耐震補強
都市防災と耐震補強
確実にやってくる地震に対して
-最近の地震被害から学ぶべき本当の教訓と今やらなく
てはいけないこと-
都市防災と耐震補強
効果的な防災対策の立案に向けて -兵庫県南部地震の本
当の教訓と今やらなくてはいけないこと-
目黒公郎
目黒公郎
受講者数(概数)
期間
100名
2004年9月2日-9月4日
30名
2005年11月28日
30名
200名
2005年11月22日
2004年3月2日
100名
2004年12月2日
100名
2004年11月24日
150名
200名
2004年11月14日
2004年11月13日
400名
2004年11月9日
300名
2004年11月2日
目黒公郎
徳島市防災講演会
300名
2004年10月31日
目黒公郎
市町村アカデミー講
演会
100名
2004年10月28日
目黒公郎
AIT防災特別講演
100名
2004年10月21日
目黒公郎
目黒公郎
防災士機構特別講演
防災士機構特別講演
150名
100名
2004年10月10日
2004年10月2日
目黒公郎
総務省消防庁防災特
別講演会
50名
2004年9月30日
150名
2004年9月20日
300名
2004年9月11日
目黒公郎
防災士機構特別講演
静岡県伊東市建築士
協会
目黒公郎
265
セミナー・講演名
活動期を迎えているわが国の地震防災対策のあるべき姿
切迫する東海地震からあなたとあなたの家族を守るため
に
都市防災と耐震補強
都市防災と耐震補強
切迫する東海地震からあなたとあなたの家族を守るため
に
わが国の地震学的環境と防災対策の最重要課題
地震防災の最大の課題と解決策
地震学的に活動期を迎えているわが国において -あな
たとあなたの家族を守るために-
講演者
目黒公郎
目黒公郎
目黒公郎
総合防災セミナー
目黒公郎
目黒公郎
目黒公郎
目黒公郎
目黒公郎
切迫する東海地震からあなたとあなたの家族を守るため
に
目黒公郎
都市防災と耐震補強
目黒公郎
障害者向けの防災マニュアル
目黒公郎
リスク対策の現状と評価
目黒公郎
都市防災と耐震補強
地震学的に活動期を迎えているわが国において -学ぶ
べき本当の教訓と今やらなくてはいけないこと-
目黒公郎
地震防災の最大の課題と解決策
目黒公郎
効果的な防災対策の立案に向けて -兵庫県南部地震の本
当の教訓と今やらなくてはいけないこと-
活動期を迎えているわが国の地震防災対策のあるべき姿
構造物とひと
講義の対象者
H16国会議員政策担
当秘書研修講演 衆
議院事務局
静岡県建築士協会防
災講演会
防災士機構特別講演
防災士機構特別講演
建築士協会防災講演
会
平塚祭り防災シンポ
日本学術会議
(社)静岡県建築士会
中遠支部防災特別講
演会
防災士機構特別講演
障害者防災特別講演
会
人と防災未来センタ
ー特別講演会
防災士機構特別講演
工学院大学建築特別
講演会
海洋理工学会特別講
演会
市町村アカデミー講
演会
防災特別セミナー
構造工学シンポジウ
ム特別講演会
目黒公郎
目黒公郎
目黒公郎
目黒公郎
266
受講者数(概数)
期間
50名
2004年9月6日
300名
2004年7月22日
200名
200名
2004年8月28日
2004年8月22日
300名
2004年7月22日
200名
200名
2004年7月3日
2004年6月30日
200名
2004年6月24日
200名
2004年6月19日
150名
2004年6月13日
80名
2004年6月1日
100名
2004年5月20日
250名
2004年5月15日
300名
2004年5月14日
150名
2004年5月13日
100名
2004年4月26日
100名
2004年4月23日
100名
2004年4月8日
セミナー・講演名
講演者
活動期を迎えているわが国の地震防災対策のあるべき姿
目黒公郎
地震防災の最大の課題と解決策
目黒公郎
長期的なビジョンに立った真の防災対策とは?
の私見とこれまでの活動-
-若造
講義の対象者
第 3 回 防 災シ ン ポ
ジ ウ ム 2004 in イ ッ
ツ・コミュニケーシ
ョンズ
川崎市防災会議特別
講演会
目黒公郎
徳島県防災講演
災害を観るシンポジ
ウム
機械学会関東支部特
別講演会
日経アーキテクチャ
ー講演会
中野区防災特別講演
会
震災技術展特別講演
会
市町村アカデミー講
演会
第 1 回 防 災シ ン ポ
ジ ウ ム 2004 in イ ッ
ツ・コミュニケーシ
ョンズ
受講者数(概数)
期間
60名
2004年3月21日
51~200名
2004年3月15日
500名
2004年3月13日
150名
2004年3月10日
200名
2004年3月5日
200名
2004年2月27日
300名
2004年2月12日
150名
2004年1月30日
100名
2004年1月30日
100名
2004年1月24日
災害を観る:災害現象のシミュレーション
目黒公郎
地震学的に活動期を迎えているわが国において -学ぶ
べき本当の教訓と今やらなくてはいけないこと-
目黒公郎
活動期を迎えているわが国の地震防災対策のあるべき姿
目黒公郎
活動期を迎えているわが国の地震防災対策のあるべき姿
目黒公郎
長期的なビジョンに立った真の防災対策
目黒公郎
行政担当者の防災対策と意識改革
目黒公郎
防災で何が重要か、個々のイマジネーション能力を高め
るために
目黒公郎
阪神・淡路大震災の教訓を活かして~住宅の倒壊ゼロを目
指して
目黒公郎
「シンポジウム東
海地震に備える」基
調講演
300名
2004年1月16日
活動期を迎えているわが国の地震防災対策のあるべき姿
目黒公郎
日本木造住宅耐震補
強事業者協同組合全
国大会特別講演会
300名
2004年1月9日
267
5-4 実績一覧(リスト)
分類
(サブテーマ)
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
著者、作成者等
論文発表
リスクマネジメント技術を社会にどう活かすの
か
大林厚臣
2
論文発表
知識生産のモード論とマネジメント手法
大林厚臣
3
論文発表
密集空間における人体への作用力について
清野純史,東山寛之
4
論文発表
物理シミュレーションによる兵庫県南部地震時
の墓石の転倒メカニズムの解明
古川愛子,清野純史,三輪
滋
5
論文発表
Damage identification method using harmonic
excitation considering both modeling errors and
measurement errors
A. Furukawa, J. Kiyono, H.
Otsuka and H. Iemura
6
論文発表
Structural matrix identification using ambient
vibration based on canonical variate analysis
A. Furukawa, J. Kiyono
and H. Otsuka
7
論文発表
小野祐輔,清野純史,浜田
信彦,李 圭太
8
論文発表
古川愛子,清野純史,大塚
久哲
構造工学論文集,
pp.537-548
9
論文発表
堤防盛土に隣接する半地下RC道路トンネルの地
震時挙動
質量変化が損傷同定手法の精度に与える影響と
初期値に依存する同定結果に対する集団学習の
適用
微動・自由振動・起振実験に基づく振動特性のば
らつきと検出可能な損傷レベル
リスクマネジメント
TODAY
社会技術研究論文
集、vol.3, pp.21-30
地域安全学会論文
集,No.7, pp.273-280
地域安全学会論文
集,No.7, pp.221-230
Earthquake
Engineering and
Structural Dynamics,
34, pp.1285-1304
Journal of Applied
Mechanics, JSCE,
Vol.8, pp.85-93
構造工学論文集,
pp.569-578
古川愛子,大塚久哲,清野
純史,梅林福太郎
10
論文発表
Macro-Micro Analysis Method for Wave
Propagation in Stochastic Media
T. Ichimura and M. Hori
11
論文発表
Strong Ground Motion Prediction using
Macro-Micro Analysis Method
T. Ichimura and M. Hori
構造工学論文集,
pp.1015-1026
Earthquake
Engineering &
Structural Dynamics,
(in press)
Earthquake
Engineering &
Structural Dynamics,
(in press)
№
1
地震防災
形態
発表場所
発表年次
資料の
添付
2006.3予定
―
2005
○
2005
○
2005
―
2005
○
2005
○
2005
―
2005
―
2005
―
2005
○
2005
○
№
分類
(サブテーマ)
形態
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
著者、作成者等
T. Ichimura, M. Hori, K.
Terada and T. Yamakawa
12
論文発表
Combination of Numerical Simulation and
Geographical Information System
13
論文発表
地震時の緊急避難行動を予測するシミュレーシ
ョン手法の開発に関する基礎的研究
堀宗朗,犬飼洋平,小国健
二,市村強
14
論文発表
防災担当者の技術力向上のための耐震設計の共
通化と地震応答の統合的可視化
堀宗朗,井上純哉,市村
強,中村光,若井明彦,海
老澤健正,山口直也
15
論文発表
デジタルシティ神戸の構築とその震災シミュレ
ーションへの応用に関する基礎検討
市村強, 伊丹洋人, 佐茂
隆洋, 堀宗朗, 山口直也
16
論文発表
市街地の地震時挙動における地下構造物の影響
評価の試み
生出佳,寺田賢二郎,山田
真幸
17
論文発表
Large-Scale Structural Modeling for Urban
Earthquake Simulation Based on 3D GIS Data
Zhu P., Fujino Y., Hori M.,
Kiyono J.
18
論文発表
Evaluation of Pounding Countermeasures and
Serviceability of Elevated Bridges during Seismic
Excitation using 3D Modeling
Zhu P., Abe M., Fujino Y.
19
論文発表
Casualty occurrence mechanism in the collapse
of timber frame houses during an earthquake
Jinji Kiyono and Aiko
Furukawa
20
論文発表
計測震度計の最適配置に基づく震度分布の推定
清野純史,木村広行
21
論文発表
リスク認識のための木造骨組建物の地震時挙動
とその人的被害について
清野純史,古川愛子
22
論文発表
Collapse Mechanism of Adobe and Masonry
Structures During the 2003 Iran Bam Earthquake
Junji Kiyono and Afshin
Kalantari
発表場所
Structural
Eng./Earthquake
Eng., JSCE, Vol.22,
No.2, pp.233s-243s
社会技術研究論文
集,vol. 3, pp.
138-145
土木学会論文集,No.
794/Ⅰ-72, pp.
171-188
構造工学論文集
JSCE,Vol.51A, pp.
513-520
第10回日本計算工学
講演会, Vol.10,
pp.339-332
Journal of
Computers &
Structures (Special
Issues), (submitted)
Journal of
Earthquake
Engineering &
Structural Dynamics
Earthquake
Engineering &
Structural Dynamics,
Vol.33,
pp.1233-1248
自然災害科学,
pp.441-453
社会技術論文集,
Vol.2 , pp.425-434
Bull. Earthq. Res.
Inst. Univ. Tokyo,
Vol.79, pp.157-161
発表年次
資料の
添付
2005
―
2005
○
2005
○
2005
○
2005
○
2005
―
2004
―
2004
○
2004
―
2004
○
2004
―
№
分類
(サブテーマ)
形態
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
著者、作成者等
計測震度観測地点近傍のローカルサイト特性が
地震動強度に及ぼす影響について
ブートストラップ仮説検定を用いた統計的損傷
同定手法について
清野純史,小野祐輔,村井
竜也
古川愛子,大塚久哲,清野
純史
23
論文発表
24
論文発表
25
論文発表
地震防災担当者のための耐震設計の共通化に関
する基礎的研究
26
論文発表
都市内全構造物の地震応答シミュレーションに
関する基礎的研究
27
論文発表
28
論文発表
29
論文発表
30
論文発表
トラブル報告のインセンティブと管理目標
31
論文発表
地震防災担当者のための耐震設計の共通化に関
する基礎的研究
32
論文発表
SCGEモデルを用いた基幹交通網に関する地震
リスクのパブリックマネジメント
33
論文発表
ECONOMIC RESTORATION AFTER A
CATASTROPHIC EVENT: Heterogeneous
Damages in Infrastructure and Private Capital
and Their Effects on Economic Growth
34
論文発表
公・私・自然の三者ゲームとしての防災行動と制
度設計
35
論文発表
地価関数の推定結果を用いた不動産価格評価に
関する研究
地震被害の共通認識形成を目的とした広域都市
モデルの構築
高架橋の3次元動的解析モデルを用いた桁間連
結装置および車両通行性能の評価
地震時における橋桁の衝突現象のモデル化と実
験的検証.
発表場所
地域安全学会論文
集,No.6, pp.121-128
応用力学論文集,
Vol.7, pp.1187-1194
社会技術研究論文
市村 強,寺田賢二郎,堀
集,vol. 2, pp.
宗朗,山川貴弘
444-454
堀宗朗,市村強,中村光, 応用力学論文集
若井明彦,海老澤健正,山 JSCE,Vol. 7, pp.
917-928
口直也
朱平, 堀宗朗, 清野純史, 社会技術研究論文集
藤野陽三
Vol.2, 435-443
阿部雅人, 藤野陽三, 吉 土木学会論文集 No.
田純司, 朱平
773/I-69, 47-61
阿部雅人, 藤野陽三, 吉 土木学会論文集 No.
田純司, 朱平, 柳野和也 759/I-67, 181-197
社会技術研究論文
大林厚臣
集、vol.2, pp.218-227
社会技術研究論文
市村 強,寺田賢二郎,堀
集, Vol. 2, pp.
宗朗,山川貴弘
444-454
社会技術研究論文
土屋哲,多々納裕一
集,Vol.2,
pp.228-237
Hirokazu TATANO,
Journal of Natural
Toshitsura HOMMA, Norio Disaster Science,
Vol.26,
Okada and Satoshi
No.2,pp.81-85
TSUCHIYA
第5回構造物の安全
性・信頼性に関する
佐藤尚次
国内シンポジウム
(JCOSSAR2003)
国吉隆博,吉村美保,目黒 生産研究,Vol.56,
公郎
No.3,pp.31-36
発表年次
資料の
添付
2004
―
2004
―
2004
○
2004
○
2004
○
2004
―
2004
―
2004
○
2004
―
2004
―
2004
―
2003
○
2004
―
№
分類
(サブテーマ)
形態
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
応用要素法を用いた杭基礎の破壊挙動に関する
基礎的研究
想定を超える地震動に対する構造物の動的挙動
に関する研究
個別要素法を用いた避難行動のシミュレーショ
ン
電力供給量の変動を利用した地震被害把握手法
の検討
著者、作成者等
菅野有美,目黒公郎
36
論文発表
37
論文発表
38
論文発表
39
論文発表
40
論文発表
A method to remotely measure microtremors for
vibration diagnoses of railway structures
F. Uehan, K. Meguro
41
論文発表
Application of Numerical Simulation and Vibration
Measurement for Seismic Damage Assessment
of Railway Structures
F. Uehan, K. Meguro
42
論文発表
Railway Structure Earthquake Damage
Assessment Using Numerical Simulation and
Vibration Measurement
F. Uehan,K. Meguro
43
論文発表
兵庫県南部地震での住宅被災者に対する公助の
実態分析
吉村美保,目黒公郎
44
論文発表
Integrated information System for Total Disaster
Management
K.Meguro and M.
Yoshimura
黒田武大,目黒公郎
杉本太一,目黒公郎
山口紀行,秦康範,目黒公
郎
発表場所
生産研究,Vol.56,
No.3,pp.37-40
生産研究,Vol.56,
No.3,,pp.41-46
生産研究,Vol.56,
No.3,pp.47-50
生産研究,Vol.56,
No.6,pp.84-88
JSCE Inter national
journal, Structural
Engineering/Earthqu
ake Engineering
JSME International
Journal, Vol. 47, No.
2
Quarterly Report of
RTRI, Vol. 45, No. 3,
Railway Technology
Research Institute,
pp.123-130
日本建築学会環境系
論文集,第586号,日
本建築学会,pp.
99-106
Bulletin of
Earthquake
Resistant Structure
Research Center,
Institute of Industrial
Science, University
of Tokyo, No.37,
pp.77-82
発表年次
資料の
添付
2004
―
2004
―
2004
―
2004
―
2004
―
2004
―
2004
―
2004
―
2004
―
№
分類
(サブテーマ)
形態
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
著者、作成者等
Microtremor Measurements for The Estimation of
Seismic Response in Boumerdes Algeria
Said Elkholy and Kimiro
Meguro
市街地の地震時挙動における地下構造物の影響
評価の試み
高度震災情報生成を目指した統合地震シミュレ
ータの開発
統合地震シミュレータによるネットワーク解析
の試み
構造・非構造格子有限要素法による波動場計算高
速化に関する基礎検討
生出佳,寺田賢二郎,山田
真幸
45
論文発表
46
学会発表
47
学会発表
48
学会発表
49
学会発表
50
学会発表
地表面幾何形状のモデル化が有限要素波動場計
算に及ぼす影響の一例
市村強,桑本寛之,堀宗朗
51
学会発表
統合地震シミュレータの現状と可能性
堀宗朗,市村強
52
学会発表
53
学会発表
54
学会発表
地震動の数値波動計算にモデル化が及ぼす影響
に関する基礎検討
統合地震シミュレータ・プロトタイプとデジタル
シティ神戸を用いた震災シミュレーションの試
み
Generating Scenarios of Urban Earthquake
Disasters using 3D GIS Data
市村強,堀宗朗,佐茂隆洋
佐茂隆洋,市村強,堀宗朗
桑本寛之,市村強,堀宗朗
桑本寛之,市村強,堀宗朗
発表場所
Bulletin of
Earthquake
Resistant Structure
Research Center,
Institute of Industrial
Science, University
of Tokyo, No.37,
pp.83-94
第10回日本計算工学
講演会,東京
第19回数値流体力学
シンポジウム
第4回日本地震工学
会年次学術講演会
第60回土木学会年次
学術講演会
海溝型巨大地震を考
える-広帯域強震動
の予測-,pp. 49-54
第54回理論応用力学
講演会
第3回日本地震工学
会年次学術講演会
発表年次
資料の
添付
2004
―
2005
―
2005
―
2005
―
2005
―
2005
―
2005
―
2005
―
佐茂隆洋,伊丹洋人,市村
強,堀宗朗,山口直也
第3回日本地震工学
会年次学術講演会
2005
―
Zhu P., Kiyono J., Fujino Y.
The Annual
Conference of
Japan Association of
Earthquake
Engineering –
JAEE 2005
2005
―
№
分類
(サブテーマ)
形態
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
著者、作成者等
Building Virtual City for Disaster Mitigation – An
Implementation of Bunkyo-ku, Tokyo Using 3D
GIS Data
Zhu P., Fujino Y., Hori M.,
Kiyono J.
55
学会発表
56
学会発表
57
学会発表
58
学会発表
防災投資シミュレーションゲームの作成
長谷川孝則,佐藤尚次
59
学会発表
都市社会基盤情報の震災情報高度化への応用
市村強,伊丹洋人,堀宗朗
60
学会発表
統合的な震災評価に関する基礎検討
伊丹洋人,市村強,堀宗朗
61
学会発表
Managing 3D GIS Data for Simulating Urban
Earthquake Disasters
Zhu P., Abe M., Kiyono J.
62
学会発表
Comparing Seismic Pounding Effect of Skew and
Straight Elevated Bridges Using 3D Modeling
Zhu P., Abe M., Fujino Y.
63
学会発表
64
学会発表
65
学会発表
66
学会発表
個人住宅の耐震性向上の制度設計の効用評価と
ゲーム論的分析
水害ハザードマップを住民に浸透させるために
リスクコミュニケーション技術を用いた調査に
関する研究
統合地震シミュレータのプロトタイプ開発に関
する基礎研究
CAD・GISを軸とした計算機支援環境における次
世代震災評価システムのプロトタイプ
不整合なメッシュのためのdual-Schur mortar法
に関する基礎的検討
統合地震シミュレータにおける高分解能強震動
シミュレータと都市域の電子情報の利用につい
て―地盤構造の推定方法が強震動分布に及ぼす
影響の基礎検討とGISを中心とした統合地震シミ
ュレータの雛形の構築―
273
佐藤尚次,小泉大介,長谷
川孝則,伊丹早織
清水桂太,佐藤尚次
発表場所
Proceedings of
JSCE Annual
Conference (土木学
会), Japan
日本機械学会計算力
学講演会
第32回土木学会関東
支部技術研究発表会
市村 強,寺田賢二郎,堀
宗朗,山川貴弘
山川貴弘,寺田賢二郎,市
村 強,堀 宗朗
生出佳,寺田賢二郎,市村
強
第60回土木学会年次
学術講演会
計算工学講演会論文
集,Vol.9
第59回土木学会年次
学術講演会,名古屋
Proceedings of
JSCE Annual
Conference
第7回地震時保有耐
力法に基づく橋梁の
耐震設計に関するシ
ンポジウム
第58回土木学会年次
学術講演会,徳島
第58回土木学会年次
学術講演会,徳島
第58回土木学会年次
学術講演会,徳島
市村強,堀宗朗,寺田賢二
郎,山川貴弘
第6回応用力学シン
ポジウム,徳島
発表年次
資料の
添付
2005
―
2005
○
2005
○
2005
○
2004
―
2004
―
2004
―
2004
―
2003
―
2003
―
2003
―
2003
○
№
分類
(サブテーマ)
形態
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
著者、作成者等
発表場所
第6回応用力学シン
ポジウム,徳島
土木学会東北支部技
術研究発表会講演
会,仙台
第8回計算工学講演
会,東京
第8回計算工学講演
会,東京
第8回計算工学講演
会,東京
第49回理論応用力学
講演会,東京
平成14年度関西支部
年次学術講演概要
第58回土木学会年次
学術講演会,徳島
第58回土木学会年次
学術講演会,徳島
第58回土木学会年次
学術講演会,徳島
第58回土木学会年次
学術講演会,徳島
第58回土木学会年次
学術講演会,徳島
第58回土木学会年次
学術講演会,徳島
第58回土木学会年次
学術講演会,徳島
67
学会発表
要素寸法と材料種類の異なる不整合メッシュに
対するdual-Schur mortar法の適用性について
生出佳,寺田賢二郎,市村
強
68
学会発表
GIS・CADデータを用いた都市の地震動シミュレ
ーション
山川貴弘,寺田賢二郎,市
村強,北原道弘
69
学会発表
メッシュ境界の不整合に対するmortar法の複合
構造の動的解析への適用
70
学会発表
階層型高性能要素の動的問題への適用
71
学会発表
高分解能強震動情報とGIS・CADデータを用いた
震災評価システムのプロトタイプ
72
学会発表
階層型解析における高性能要素の開発
73
学会発表
地震時における建物倒壊と内部被災度について
生出佳,寺田賢二郎,市村
強
生出佳,市村強,寺田賢二
郎
市村強,山川貴弘,寺田賢
二郎,堀宗朗
生出佳,市村強,寺田賢二
郎
清野純史,古川愛子,原口
祐子
74
学会発表
75
学会発表
76
学会発表
77
学会発表
78
学会発表
79
学会発表
80
学会発表
階層型解析による波動場計算とGISを組み合わせ
た強震動シミュレーションシステムの開発
統合地震シミュレータのプロトタイプ開発に関
する基礎研究
CAD・GISを軸とした計算機支援環境における次
世代震災評価システムのプロトタイプ
不整合なメッシュのためのdual-Schur mortar法
に関する基礎的検討
不整合なメッシュのためのdual-Schur mortar法
に関する基礎的検討
CAD・GISを軸とした計算機支援環境における次
世代震災評価システムのプロトタイプ
統合地震シミュレータのプロトタイプ開発に関
する基礎研究
市村 強,堀 宗朗,楊 芳
市村 強,寺田賢二郎,堀
宗朗,山川貴弘
山川貴弘,寺田賢二郎,市
村 強,堀 宗朗
生出 佳,寺田賢二郎,市
村 強
生出佳,寺田賢二郎,市村
強
山川貴弘,寺田賢二郎,市
村強,堀宗朗
市村強,寺田賢二郎,堀宗
朗,山川貴弘
発表年次
資料の
添付
2003
○
2003
○
2003
○
2003
○
2003
○
2003
○
2003
―
2003
―
2003
―
2003
―
2003
○
2003
○
2003
○
2003
○
№
分類
(サブテーマ)
形態
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
マクロ-ミクロ解析手法,ボクセル有限要素法,
地理情報システムを用いた効率的な強震動予測
手法の開発
著者、作成者等
81
学会発表
82
学会発表
83
学会発表
84
学会発表
Performance Evaluation of Elevated Bridges
using Detailed 3D Modeling
Zhu P., Abe M., Fujino Y.
85
学会発表
Towards Building a Virtual City for Urban
Earthquake Disaster Mitigation
Zhu P., Abe M., Kiyono J.
86
学会発表
A Graphical Post-Processor for Web Oriented
Applications
Zhu P., Abe M., Kiyono J.
87
学会発表
Earthquake Disaster Estimation using
Geographical Information System and Strong
Ground Motion Simulation System based on
Multi-scale Analysis
Ichimura, T. and M. Hori
88
学会発表
Parametric Study of a 3D Pounding Model for
Seismic Analysis on Elevated Bridges
Zhu P., Abe M., Fujino Y.
階層型解析における高性能要素の開発,
pp.489-490,
統合地球シミュレーションを用いてバーチャル
シティに地震をおこす
市村 強,堀 宗朗,楊 芳
生出 佳,市村強,寺田賢
二郎
小國健二,堀宗朗,市村強
発表場所
マクロ-ミクロ解析
手法,ボクセル有限
要素法,地理情報シ
ステムを用いた効率
的な強震動予測手法
の開発
第49回理論応用力学
講演会
第33回安全工学シン
ポジウム
The 2nd Japan
Earthquake
Engineering
Conference – JAEE
2003
第5回構造物の安全
性・信頼性に関する
国内シンポジウム
(JCOSSAR 2003)
Proceedings of
JSCE Annual
Conference, Japan,
Sept. 2003
International Union
of Geodesy and
Geophysics,
Sapporo
第6回地震時保有耐
力法に基づく橋梁の
耐震設計に関するシ
ンポジウム
発表年次
資料の
添付
2003
―
2003
―
2003
○
2003
―
2003
○
2003
―
2003
―
2003
―
№
分類
(サブテーマ)
形態
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
著者、作成者等
Alaghehbandian Ali, Abe
M., Fujino Y.
89
学会発表
Application of New Computer Graphic
Technologies for Urban Safety of Tokyo in the
Case of Earthquake
90
学会発表
Simulation of Seismic Hazards using VRML for
Bridge Structures
Alaghehbandian Ali, Zhu
P., Abe M., Fujino Y
91
学会発表
Developing a Web Based Application for Risk
Communication using Virtual Reality: SAVE
Alaghehbandian Ali, Abe
M., Fujino Y.
92
学会発表
Simulation of a Real Area in Tokyo and Real
Houses during Earthquake using Virtual Reality
and VRML
Alaghehbandian Ali, Anh
N.T., Guganesan S.T., Abe
M.
93
学会発表
An Internet Oriented Platform for Structural
Health Monitoring
Alan Ali, Abe M., Fujino Y.
94
学会発表
On Conducting Seismic Risk Management and
Disaster Mitigation for Metropolis – Challenges
and Perspectives
Zhu P., Abe M., Kiyono J.
95
学会発表
Studies of Pounding and Mitigation Measures on
Steel Elevated Bridges by 3D Modeling
Zhu P., Abe M., Fujino Y.
発表場所
New Technologies
for Urban Safety of
Mega Cities in
Asia(ICUS) , Tokyo,
Japan,
the Twelfth
International
Conference on
Artificial Reality and
Telexistence
(ICAT2002), Tokyo ,
Japan
the Fifth
International
Summer Symposium
by JSCE, Tokyo,
Japan
the Third Intelligent
Modeling Laboratory
Symposium
(IML2003), Tokyo,
Japan
the First
International
Conference on
Health Monitoring
and Intelligent
Infrastructure
(SHMII-1), Tokyo,
Japan
第11回日本地震工学
シンポジウム,
Japan, 2002.
Proceedings of
JSCE Annual
Conference, Japan,
2002.
発表年次
資料の
添付
2003
―
2003
―
2003
―
2003
―
2003
―
2002
○
2002
―
№
分類
(サブテーマ)
形態
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
著者、作成者等
発表場所
建築物の動的有限要素解析への階層型解析モデ
ルの適用
階層型解析手法に基づく構造物の動的解析手法
の開発
高分解能強震動情報と電子仮想都市を用いた統
合震災シミュレータの開発
均質化要素による複雑な構造の効率的な解析手
法の提案
生出佳,寺田賢二郎,市村
強
市村 強,生出 佳,寺田賢
二郎,堀 宗朗
生出佳,寺田賢二郎,市村
強
市村強,堀宗朗,楊芳,寺
田賢二郎
生出佳,市村強,寺田賢二
郎
第7回計算工学講演
会,東京
第5回応用力学シン
ポジウム,札幌
第57回土木学会年次
学術講演会,札幌
第57回土木学会年次
学術講演会,札幌
日本地震学会秋季大
会,横浜
the Fourth
International
Summer Symposium
by JSCE, Japan
the 57th JSCE’s
Annual Meeting,
Sapporo, Japan
第5回地震時保有耐
力法に基づく橋梁の
耐震設計に関するシ
ンポジウム, JSCE,
Tokyo, Japan,
pp.325-328
the Second
Intelligent Modeling
Laboratory
Symposium
(IML2002), Tokyo,
Japan
第5回地震時保有耐
力法に基づく橋梁の
耐震設計に関するシ
ンポジウム,
pp325-328.
96
学会発表
97
学会発表
98
学会発表
99
学会発表
100
学会発表
101
学会発表
Proposal of VSML: Virtual Structure Modeling
Language
Alaghehbandian Ali, Abe
M., Fujino Y.
102
学会発表
Developing a System for Risk Communication
using Virtual Reality
Alaghehbandian Ali, Abe
M., Fujino Y.
103
学会発表
Application of a 3D Pounding Model for Seismic
Analysis on Elevated Bridegs
Zhu P., Abe M. and Fujino
Y
104
学会発表
Virtual Reality Model of Earthquake in CABIN
System
Alaghehbandian Ali, Abe
M.
105
学会発表
Application of a 3D Pounding Model for Seismic
Analysis on Elevated Bridegs
Zhu P., Abe M., Fujino Y.
階層型解析手法の建築物動的解析への適用
発表年次
資料の
添付
2002
○
2002
○
2002
○
2002
○
2002
○
2002
―
2002
―
2002
―
2002
―
2002
―
№
分類
(サブテーマ)
形態
106
学会発表
107
学会発表
108
学会発表
109
学会発表
110
学会発表
111
学会発表
112
学会発表
113
学会発表
114
学会発表
115
学会発表
116
学会発表
117
学会発表
118
学会発表
119
学会発表
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
応用要素法(AEM)を用いた杭基礎の破壊挙動解
析
RC 橋梁の地震時崩壊挙動に関する解析的研究
Building damage evaluation in Bam City in the
aftermath of the December 26th 2003 Bam
Earthquake
COLLAPSE OF MULTI-STORY
STEEL-BUILDINGS UNDER SEVER GROUND
MOTIONS
応用要素法によるRC 高架橋の3次元崩壊挙動
解析
2-D ELASTIC ANALYSIS USING THE
HEXAGONAL SHAPE APPLIED ELEMENT
METHOD
自然エネルギーを利用した構造物振動の自動観
測システム
Web を利用した地震時の家具の動的挙動シミュ
レータの構築
発表年次
資料の
添付
土木学会第59回年次
学術講演会,1-058
2004
―
黒田武大,目黒公郎
土木学会第59回年次
学術講演会,1-159
2004
―
Kimiro MEGURO, Miho
YOSHIMURA, Masasuke
TAKASHIMA, Paola
MAYORCA
Proceedings of
JSCE 59th Annual
Conference, 1-177
2004
―
2004
―
2004
―
2004
―
2004
―
2004
―
2004
―
2004
―
2004
―
2004
―
2004
―
2004
―
著者、作成者等
発表場所
菅野有美,目黒公郎
Said Elkholy and Kimiro
Meguro
伊東大輔,目黒公郎
Kawin Worakanchana,
Kimiro Meguro
上半文昭,目黒公郎
柳田充康,目黒公郎
高層ビルにおける避難行動シミュレーション
織田浩平,目黒公郎
電力供給量の変動を利用した地震直後からの被
害把握手法~近年の被害地震への適応の試み~
配電用変電所を単位とした電力需要年間モデル
構築に向けた検討
山口紀行,秦 康範,目黒
公郎
飯田亮一,秦康範,目黒公
郎
國吉隆博,吉村美保,目黒
公郎
不動産が潜在的に有する地震リスクの検討
都市施設の安全性評価を目的とした群集挙動の
解析的研究
学校建物の選択的な耐震化計画立案に関する一
考察
杉本太一,目黒公郎
藤野学,吉村美保,目黒公
郎
Proceedings of
JSCE 59th Annual
Conference, 1-293
土木学会第59回年次
学術講演会,1-294
Proceedings of
JSCE 59th Annual
Conference, 1-352
土木学会第59回年次
学術講演会,1-746
土木学会第59回年次
学術講演会,1-797
土木学会第59回年次
学術講演会,1-802
土木学会第59回年次
学術講演会,1-810
土木学会第59回年次
学術講演会,1-811
土木学会第59回年次
学術講演会,4-262
土木学会第59回年次
学術講演会,4-268
土木学会第59回年次
学術講演会,4-284
№
分類
(サブテーマ)
形態
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
災害状況イマジネーション能力を向上させるシ
ステムに関する基礎的研究
教育システム設計技法を用いた防災マニュアル
作成手法の提案
著者、作成者等
大山宗則,目黒公郎
120
学会発表
121
学会発表
122
学会発表
配電用変電所を単位とした電力需要年間モデル
構築に向けた基礎的研究
秦康範,目黒公郎
123
学会発表
活断層近傍建物の地震リスク表示に関する日米
比較
吉村美保,目黒公郎
124
学会発表
活断層近傍に立地する建物の地震リスク表示に
関する一考察
吉村美保,目黒公郎
125
学会発表
地震時の鉄道車両内の乗客の安全性確保のため
の基礎的検討
目黒公郎,杉本太一
126
学会発表
1923年関東地震による延焼火災に与えた建物被
害の影響について
目黒公郎,柳田充康
127
学会発表
ビジュアリゼーションと都市防災
目黒公郎
128
国際会議
論文
On Integrated Earthquake Simulator to generate
advanced earthquake disaster information
T. Ichimura, T. Samo, M.
Hori, H. Itami
129
国際会議
論文
Seismic Behavior of Timber-Frame House with
Snow
Junji Kiyono and Aiko
Furukawa
近藤 伸也,目黒 公郎
発表場所
土木学会第59回年次
学術講演会,4-285
土木学会第59回年次
学術講演会,6-312
日本建築学会学術講
演概要集,E-2,
pp.197-198
2004年度日本建築学
会学術講演梗概集
第23回日本自然災害
学会年次学術講演会
講演概要集
第23回日本自然災害
学会年次学術講演会
講演概要集
第23回日本自然災害
学会年次学術講演会
講演概要集
第10回ビジュアリゼ
ーションカンファレ
ンス講演集,5ページ
The International
Symposium on
Management
System for Disaster
Prevention (ISMD
2006)
Proc. of the
Eighteenth KKCNN
Symposium on Civil
Engineering
発表年次
資料の
添付
2004
―
2004
―
2004
―
2004
―
2004
―
2004
―
2004
―
2004
―
2006
○
2005
―
№
分類
(サブテーマ)
形態
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
著者、作成者等
130
国際会議
論文
Constructing a Physical Layer of Virtual Cities for
Disaster Mitigation
Zhu P., Fujino Y., Hori M.,
Kiyono J.
131
国際会議
論文
Using 3D GIS Information for Structural Modeling
of a Metropolis
Zhu P., Fujino Y., Hori M.,
Kiyono J.
132
国際会議
論文
Simulating Megacities using 3D GIS Information
for Urban Earthquake Disaster Reduction
Zhu P., Fujino Y., Hori M.,
Kiyono J.
133
国際会議
論文
Statistical Damage Assessment Using Bootstrap
Hypothesis Testing
Aiko Furukawa, Junji
Kiyono and Hisanori
Otsuka
134
国際会議
論文
Simulation of Emergency Evacuation Behavior
during a Disaster by Use of Elliptic Distinct
Element
Junji Kiyono and Naoto
Mori
135
国際会議
論文
Identification of structural damage based on
vibration responses
Aiko Furukawa and Junji
Kiyono
発表場所
ICAT 2005: 15th
International
Conference on
Artificial Reality and
Telexistence, New
Zealand
Civil-Comp2005:
The Tenth
International
Conference on Civil,
Structural and
Environmental
Engineering
Computing, Italy
CITSA 2005: The
2nd International
Conference on
Cybernetics and
Information
Technologies,
Systems and
Applications, USA
The Seventeenth
KKCNN Symposium
on Civil Engineering
Proc. of the 13th
World Conference
on Earthquake
Engineering, Paper
No.134
Proc. of the 13th
World Conference
on Earthquake
Engineering, Paper
No.132
発表年次
資料の
添付
2005
―
2005
○
2005
―
2004
―
2004
○
2004
―
№
分類
(サブテーマ)
形態
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
著者、作成者等
136
国際会議
論文
Development of Prototype of Integrated
Earthquake Disaster Simulator using Digital City
and Strong Ground Motion Simulator with
High-resolution
T. Ichimura and M. Hori
137
国際会議
論文
Application of Heterogeneity-Embedded Finite
Elements to Wave Propagation Simulation of
Large Heterogeneous Domain
Kai OIDE, Kenjiro
TERADA
138
国際会議
論文
Constructing Structural Models of Buildings of
Megacities Using 3D GIS Data
Zhu P., Hori M., Kiyono J.,
Fujino Y
139
国際会議
論文
Developing a Web Based Platform for Urban
Earthquake Disaster Mitigation
Zhu P., Abe M., Kiyono J.,
Li KN
140
国際会議
論文
Conducting Precise 3D Analysis of Elevated
Bridges using DABS
Zhu P., Abe M., Fujino Y.
141
国際会議
論文
Analysis of Pounding Effect on Skew Bridges
using 3D Modeling
Zhu P., Abe M., Fujino Y.
発表場所
13th World
Conference on
Earthquake
Engineering,
No.1418
WCCM VI in
conjunction with
APCOM'04, Beijin,
China
The Third
International
Conference on
Continental
Earthquakes –
Mechanism,
Prediction,
Emergency
Management &
Insurance (III ICCE),
Beijing, China
The 13th World
Conference of
Earthquake
Engineering - 13
WCEE, Vancouver,
Canada
The 13th World
Conference of
Earthquake
Engineering - 13
WCEE, Vancouver,
Canada
ASIA Conference on
Earthquake
Engineering ACEE2004, Manila,
Philippines
発表年次
資料の
添付
2004
○
2004
○
2004
―
2004
―
2004
―
2004
―
№
分類
(サブテーマ)
形態
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
著者、作成者等
142
国際会議
論文
Evaluation of Earthquake Caused Damage Using
Non-linear Dynamic Numerical Analysis
Suntharavadivel TG.,
Fujino Y. and Zhu P.
143
国際会議
論文
Knowledge Acquisition Cost and Anti-seismic
Mitigation Investment by Individual Households,
Hirokazu TATANO, Hiroshi
Kamiya and Satoshi
Tsuchiya:
144
国際会議
論文
WEB Based Computation for Urban Earthquake
Disaster Mitigation
Zhu P., Abe M. and Kiyono
J
145
国際会議
論文
WEB Based Computation for Urban Earthquake
Disaster Mitigation
Zhu P., Abe M., Kiyono J.
146
国際会議
論文
Development of Strong Motion Simulation
System based on Multi-Scale Analysis and
Geographical Information System
Hori M. and T. Ichimura,
発表場所
the Third
International
Symposium on New
Technologies for
Urban Safety of
Mega Cities in
Asia, , India
Proceedings of the
2004 IEEE Systems,
Man, and
Cybernetics
Conference
The Ninth
International
Conference on Civil
and Structural
Engineering
Computing
(CIVIL-COMP 2003),
The Netherlands
in Proceedings of
the Ninth
International
Conference on Civil
and Structural
Engineering
Computing, B.H.V.
Topping, (Editor),
Civil-Comp Press,
Stirling, United
Kingdom, paper 2,
2003.
Seventh U. S.
National Congress
on Computational
Mechanics,
Albuquerque
発表年次
資料の
添付
2004
―
2004
―
2003
○
2003
―
2003
―
分類
(サブテーマ)
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
著者、作成者等
147
国際会議
論文
Building a Disaster Mitigation Platform on the
Internet – a Solution Using Modern Computer
Technology
Zhu P., Abe M. ,Kiyono J.
and Li KN
148
国際会議
論文
Building a Disaster Mitigation Platform on the
Internet – a Solution Using Modern Computer
Technology
Zhu P., Abe M., Kiyono J.,
Li KN
149
国際会議
論文
Developing an Internet Oriented Platform for
Earthquake Engineering Application and
Web-Based Virtual Reality Simulation System for
Seismic Hazards: Towards Disaster Mitigation in
Metropolises
Alaghehbandian Ali, Zhu
P., Abe M., Kiyono J.
150
国際会議
論文
Developing a Web-Based Simulation System for
Seismic Hazards: Towards Disaster Mitigation in
Metropolises
Alaghehbandian Ali, Zhu
P., Abe M., Kiyono J.
151
国際会議
論文
Developing a Web-based Virtual Reality
Interaction System for Seismic Hazards on
Wooden Houses
Alaghehbandian Ali, Abe
M., Kiyono J., Fujino Y.
152
国際会議
論文
Macro-Micro Analysis Method for Computation of
Strong Motion Distribution with High Resolution
and High Accuracy
Ichimura, T. and M. Hori
№
形態
発表場所
The 7th US/Japan
Workshop on Urban
Earthquake Hazard
Reduction, USA
The 7th US/Japan
Workshop on Urban
Earthquake Hazard
Reduction, USA,
March, 2003.
the International
Conference on
Computer
Communication and
Control
Technologies
(CCCT03), Orlando,
Florida, USA
the Seventh
International
Conference on
Information
Visualization(IV03),
London, England
he Fourth
International
Conference on
Earthquake
Engineering and
Seismology(SEE4),
Tehran, Iran
American
Geophysical Union
(AGU) Fall Meeting,
San Francisco,
発表年次
資料の
添付
2003
○
2003
―
2003
―
2003
―
2003
―
2002
―
№
分類
(サブテーマ)
形態
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
著者、作成者等
153
国際会議
論文
Risk Communication using Virtual Reality in the
Case of an Earthquake
Alaghehbandian Ali, Abe
M., Meguro K.
154
国際会議
論文
Precise 3D Modeling of Elevated Bridges and
Implementation of a Dynamic Analysis System
Zhu P., Abe M., Fujino Y.
155
国際会議
論文
Towards Earthquake Hazard Mitigation on
Metropolis - a Platform for Risk Communication
Zhu P., Abe M., Kiyono J.
発表場所
the 10th European
Summer Academy
on Advanced
Studies in Structural
Engineering and
CAE, Weimar,
Germany
China-Japan
Workshop on
Vibration Control
and Health
Monitoring of
Structures and Third
Chinese Symposium
on Structural
Vibration Control,
Shanghai, China,
2002.
ICANCEER2002 International
Conference on
Advances and New
Challenges in
Earthquake
Engineering
Research, Harbin
and Hong Kong,
China, 2002.
発表年次
資料の
添付
2002
―
2002
―
2002
○
№
分類
(サブテーマ)
形態
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
著者、作成者等
156
国際会議
論文
Application of homogenization techniques to two
earthquake problems
Hori, M., T. Ichimura, H.
Nakagawa
157
国際会議
論文
An Internet Oriented Platform for Civil
Engineering Applications: Towards Disaster
Mitigation in Metropolises
Zhu P., Abe M., Kiyono J.
158
国際会議
論文
Application of Macro-Micro Analysis Method to
Estimate Strong Motion Distribution and
Resulting Structure Response
Hori M. and T. Ichimura
159
国際会議
論文
Precise 3D Modeling of Elevated Bridges and
Implementation of a Dynamic Analysis System,
Zhu P., Abe M. and Fujino
Y
発表場所
IUTAM
SYMPOSIUM on
Asymptotics,
Singularities and
Homogenisation in
Problems of
Mechanics,
University of
Liverpool ,
Department of
Mathematical
Sciences, Liverpool,
UK
The 6th World
Multi-Conference on
SYSTEMICS,
CYBERNETICS
AND INFORMATICS
– SCI2002, USA,
VII, pp.213-217,
(received a Best
Paper Award)
The 3rd ACES
Workshop APEC
Cooperation for
Earthquake
Simulation
China-Japan
Workshop on
Vibration Control
and Health
Monitoring of
Structures and Third
Chinese Symposium
on Structural
Vibration Control,
Shanghai, China,
発表年次
資料の
添付
2002
―
2002.7
○
2002
―
2002
―
№
分類
(サブテーマ)
形態
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
発表年次
資料の
添付
2002
―
2002
―
2004
―
2004
―
Pradeep Kumar
Ramancharla, Tagel-din
Hatem and Kimiro Meguro
2004
―
Said Elkholy and Kimiro
Meguro
2004
―
T. Kuroda, K. Meguro and
K. Worakanchana
2004
―
M. Yoshimura and K
Meguro
2004
―
著者、作成者等
160
国際会議
論文
A 3D General-Purpose Dynamic Analysis System
for Bridges with Pounding Effects between
Girders - Theory and Implementation
Zhu P., Abe M., Fujino Y.
161
国際会議
論文
Analysis of Seismic Pounding Effects on Bridges
with 3D Modeling
Zhu P., Abe M., Fujino Y.
162
国際会議
論文
Earthquake Prediction, Seismic Hazard And
Vulnerability
Seiya Uyeda and Kimiro
Meguro
163
国際会議
論文
Simulation Of Brick Masonry Wall Behavior
Under In-Plane Lateral Loading Using Applied
Element Method
B. H. Pandey and K.
Meguro
164
国際会議
論文
165
国際会議
論文
166
国際会議
論文
167
国際会議
論文
Dynamic Modeling of Dip-Slip Faults For
Studying Ground Surface Deformation Using
Applied Element Method
Numerical Simulation of High-Rise Steel
Buildings using Improved Applied Element
Method
Analysis of Confining Effect on Failure Behavior
of Reinforced Concrete Structure
Proposal of Retrofitting Promotion System for
Low Earthquake-Resistant Structures in
Earthquake Prone Countries
発表場所
Third DIANA World
Conference on Finite
Elements in Civil
Engineering
Applications, Japan,
2002, pp413-420.
Proceedings of The
Eighth East
Asia-Pacific
Conference on
Structural
Engineering &
Construction,
Singapore, 2001.
Proceedings of
International Union
of Geophysics and
Geodesy Assembly
2003(2003 IUGG),
10pages
13th World
Conference on
Earthquake
Engineering
№
分類
(サブテーマ)
形態
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
著者、作成者等
168
国際会議
論文
169
国際会議
論文
Assessment of Seismic Damage To Railway
Structures Using Applied Element Method And
Microtremor Measurement
Proposal of An Efficient Technique For
Retrofitting Unreinforced Masonry Dwellings
170
国際会議
論文
Use of Electric Power Supply for Development of
Disaster Monitoring System
171
出版
社会技術の普及に向けた環境整備の提案
清野純史,堀宗朗
172
出版
社会技術の普及に向けた環境整備の提案
大林厚臣
173
出版
計算力学と社会
矢川元基(堀宗朗分担)
174
論説
GIS/CADと地震シミュレーションの融合-統合地
震シミュレータの現状と可能性-
市村強,堀宗朗
175
論説
地震対策はハードとソフトの両面から戦略的に
目黒公郎
176
論説
構造物振動の常時観測システムとその応用
上半文昭,目黒公郎
177
論説
120万人が真上に住む「危ない活断層」最新マ
ップ 目黒公郎・東大生産技術研究所教授
目黒公郎
178
論説
「耐震」と「緊急速報」がキーワード,地震大国日
本を救うことができるか
目黒公郎
179
論説
自助努力した人たちを手厚くケアする仕組みづ
くりを
目黒公郎
発表場所
F. Uehan and K Meguro
Paola Mayorca and Kimiro
Meguro
Yasunori Hada, Noriyuki
Yamaguchi and Kimiro
Meguro
堀井秀之編、『安全・
安心のための社会技
術』
堀井秀之編、『安全・
安心のための社会技
術』
養賢堂
科学と工業,
vol.79-8,pp.
332-339
日本鉄道施設協会
誌,5月号,pp. 6-7
鉄道総研報告,第18
巻,第9号,pp.53-58
週間ポスト,
2004.9/29,pp.205-20
7
Being Special誌上
ヘッドハンティング
号,p8,週間ビーイ
ングNo.46,11.10
プレハブ建築協会
JPA, Vol.33-215,
pp.8-13
発表年次
資料の
添付
2004
―
2004
―
2004
―
2006予定
―
2006予定
―
2001
―
2005
○
2004
―
2004
―
2004
―
2004
―
2004
―
№
分類
(サブテーマ)
形態
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
著者、作成者等
180
論説
住宅供給者として、あらためて防災意識を問う
(1)
目黒公郎
181
論説
ツーバイフォーでつくる日本型ストック住宅の
まちづくり
目黒公郎
182
論説
183
雑誌記事
184
雑誌記事
自治体におけるリスクマネジメント
多々納
185
雑誌記事
災害リスクマネジメント分野の研究動向
多々納裕一
186
雑誌イン
タビュー
政府・防災会議が「事業継続ガイドライン」を公
表
大林厚臣
企業減災
リスクに強い社会へ
大林厚臣
震災対策
新たな視点を
187
188
189
190
191
192
193
194
新聞イン
タビュー
新聞イン
タビュー
マスコミ
報道
マスコミ
報道
マスコミ
報道
マスコミ
報道
マスコミ
報道
マスコミ
報道
世界有数の地震国の地震多発期に住む皆様へ-
地震から自分の大切なものを守るために-
社会技術としてのリスクマネジメントの確立に
向けて
8・完
目黒公郎
多々納裕一
裕一
大林厚臣
発表場所
プロテックジャパン
2x4,Vol.151,
pp.9-10, 三井ホーム
プロテックジャパン
2x4,Vol.152,
pp.9-10, 三井ホーム
地震学会広報なゐふ
る,45号,pp.6-7
JACIC情報74号巻
頭言、pp1-1
国際文化研修 第44
号
日本リスク研究学会
誌第17巻2号
リスクマネジメント
Business、2005年10
月号
静岡新聞、2005年8
月4日付
京都新聞、2004年1
月17日
発表年次
資料の
添付
2004
―
2004
―
2004
―
2004
―
2004
―
2004
―
2005
―
2005
―
2004
―
相互依存性解析
堀宗朗
読売新聞
2005.12.7
―
統合地震シミュレーション
堀宗朗
日本経済新聞
2005.10.1
―
統合地震シミュレーション
堀宗朗
日本経済新聞
2005.10.1
―
寺田賢二郎
建設新聞
2005.10.17
―
目黒公郎
京都新聞
2004.12.25
―
目黒公郎
読売新聞
2004.11.22
―
民間耐震改修研 シミュレーションで防災意識
浸透を 第2回研究会
ペルシャ語で地震対策絵本 日本、イランの作家
が制作
住宅の耐震化が急務
№
195
196
197
198
199
200
201
202
203
204
205
206
207
208
209
210
分類
(サブテーマ)
形態
マス
報道
マス
報道
マス
報道
マス
報道
マス
報道
マス
報道
マス
報道
マス
報道
マス
報道
マス
報道
マス
報道
マス
報道
マス
報道
マス
報道
マス
報道
マス
報道
コミ
コミ
コミ
コミ
コミ
コミ
コミ
コミ
コミ
コミ
コミ
コミ
コミ
コミ
コミ
コミ
発表年次
資料の
添付
アエラ
2004.11.22
―
目黒公郎
毎日新聞(千葉版)
2004.11.13
―
目黒公郎
毎日新聞
2004.11.12
―
中越地震関連報道
目黒公郎
TV東京
2004.11.4
―
緊急点検
目黒公郎
読売新聞(北陸支社)
2004.11.4
―
ニュースアイ,大切なのは耐震補強
目黒公郎
テレビ東京
2004.10.29
―
大切なのは耐震補強
目黒公郎
東京新聞
2004.10.28
―
「ちちんぷいぷい」活断層上に120万人,関西で
50万人
目黒公郎
毎日放送TV 15:00-
2004.9.15
―
ズームインSUPER
目黒公郎
NTV7:00-7:20
2004.9.15
―
120万人が真上に住む「危ない活断層」最新マッ
プ
目黒公郎
週間ポスト
2004.9.24
―
活断層の真上に120万人
目黒公郎
読売新聞
2004.9.14
―
交差点:祖母の傷
目黒公郎
読売新聞
2004.8.31
―
「そのとき地震がおきたらどうなる?イメージ
する力をつけよう」
目黒公郎
朝日小学生新聞
2004.8.31
―
耐震
目黒公郎
静岡新聞
2004.6.20
―
目黒公郎
静岡新聞
2004.6.18
―
目黒公郎
仙台放送
2004.6.12
―
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
著者、作成者等
発表場所
地震別倒壊度マップ
目黒公郎
ビニールひもで耐震性向上,東大生産技術研究所
一般公開
耐震化
中越地震は問う5
大地震への備え4 ライフライン
東海地震は今
犠牲者の声に学べ
耐震 東海地震は今 新制度 自助努力にケア
を
Catch 特集 1978年宮城県沖地震から26年
耐震補強の重要性
№
211
212
213
214
215
216
217
218
219
220
221
222
分類
(サブテーマ)
形態
マス
報道
マス
報道
マス
報道
マス
報道
マス
報道
マス
報道
マス
報道
マス
報道
マス
報道
マス
報道
マス
報道
マス
報道
コミ
コミ
コミ
コミ
コミ
コミ
コミ
コミ
コミ
コミ
コミ
コミ
223
マスコミ
報道
224
マスコミ
報道
225
マスコミ
報道
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
著者、作成者等
発表場所
発表年次
資料の
添付
絵本「地震のこと
訴え
目黒公郎
神戸新聞
2004.6.11
―
目黒公郎
毎日新聞
2004.6.9
―
絵本で耐震補強のススメ
目黒公郎
東京新聞
2004.6.7
―
▲ほん▼地震のこと
目黒公郎
中日新聞
2004.6.3
―
目黒公郎
山陽新聞
2004.5.4
―
目黒公郎
東京新聞
2004.5.25
―
目黒公郎
河北新聞
2004.5.24
―
目黒公郎
高知新聞
2004.5.24
―
目黒公郎
琉球新報
2004.5.18
―
目黒公郎
朝日新聞
2004.5.14
―
目黒公郎
静岡新聞
2004.5.13
―
目黒公郎
大分合同新聞
2004.5.10
―
目黒公郎
岩手日報
2004.5.10
―
目黒公郎
山陽新聞
2004.5.4
―
目黒公郎
信濃毎日新聞
2004.5.3
―
地震への備え
はなそう」耐震補強の大切さ
絵本で訴え
はなそう
荷造りひもでれんが補強
で取り付け簡単
耐震性を向上
安価
ほん「地震のことはなそう」
荷造りひもで耐震性強化 れんが積み上げの住
宅 東大生産技研 目黒助教授ら開発
荷造りひもでれんが補強 イラン住宅の耐震性
向上 東大助教授ら普及目指す
荷造りひもでれんが補強
安価で取りつけ簡単
〈迫る巨大地震〉上:進まぬ住宅耐震化
耐震性向上へ荷造りひも イラン住宅のれんが
補強 安価,取り付け簡単 東大が開発
れんが住宅地震から守れ 荷造りひもで耐震性
アップ
大惨事招いたレンガ住宅 荷造りひもで耐震性
向上 安価 取り付けも簡単 東大助教授普及
目指す
荷造りひもでれんが補強 目黒助教授(東大生産
技術研究所)ら開発 アドベ住宅の耐震性向上
イランでの普及目指す
科学:地震に弱い日干しれんが造り「荷造りひも」
で耐震化 東大生産技術研グループ開発
№
226
227
228
229
分類
(サブテーマ)
形態
マスコ
報道
マスコ
報道
ニュー
レター
ニュー
レター
ミ
ミ
ス
ス
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
著者、作成者等
発表場所
発表年次
資料の
添付
イランの日干しレンガ壁、安い荷造りヒモで補強
OK
目黒公郎
読売新聞
2004.3.29
―
東海地震
目黒公郎
静岡新聞
2004.3.29
―
地震防災研究の現状と社会との関連
清野純史,堀宗朗
ristex NEWS Vol.2
2006.1.1
―
地震防災研究の現状と社会との関連
清野純史,堀宗朗
ristex NEWS 号外
2006.1.1
―
日本地震工学会・大
会-2005梗概集,pp.
82-83.
日本建築学会2005年
度大会(近畿)学術
講演梗概集
http://e-society.cv.tit
ech.ac.jp/EDPRG/
2005
―
2005
―
2003
―
2004.4.18
―
目黒助教授講演会
230
学会発表
リスクコミュニケーションの効果の観点から見
た住まいの地震防災施策の評価
小檜山雅之,目黒公郎,吉
村美保,Anne S.
Kiremidjian
231
学会発表
住宅耐震補強の誘因・阻害要因に関するアンケー
ト調査
小檜山雅之,吉村美保,目
黒公郎
地震防災研究グループホームページ
地震防災研究グループ
静岡県ホームページ
地震防災研究グループ
232
233
ホームペ
ージ
ホームペ
ージ
「耐震ナビ」
http://www.taishinna
vi.pref.shizuoka.jp/
交通安全研究グループ
研究開発成果・自己評価報告書
【 目 次 】
1. 研究開発の目標
1-1 交差点における交通事故要因分析の方法論構築と交通事故発生要因の分析
1-2 交通事故情報に関わる情報の可視化
1-3 協働型交通事故対策における合意形成支援システムの構築
2. 目標達成のための体制
3. 研究開発の成果とそのクオリティ
3-1 「交差点における交通事故要因分析の方法論構築と交通事故発生要因の分析」
に関する成果
3-2 「交通事故分析に関わる情報の可視化」に関する成果
3-3 「協働型交通事故対策における合意形成支援システムの構築」に関する成果
4. 目標の達成状況
5. 研究成果の公表
5-1 社会技術に関連する卒業/修士/博士論文
5-2 社会技術に関連するゼミ/講義等
5-3 一般へのセミナー/講演等
5-4 実績一覧(リスト)
292
1. 研究開発の目標
本研究グループでは,「交通安全に係わる社会問題を解決するための社会技術を開発す
る」,「そのために必要となる知識の体系化と一般的方法論を構築する」という目的の下,
以下に示す3点(1-1~1-3)を目標に研究を実施した.
1-1 交差点における交通事故要因分析の方法論構築と交通事故発生要因の分析
市街地で発生する交通事故の6割強を占める交差点での事故発生要因について,これまで
の研究成果を活用しながら,分析の方法論を構築するとともに,実在する都市内交差点に
適用し,交通事故発生要因について分析を行う.
1-2 交通事故情報に関わる情報の可視化
交通事故発生の現状および発生要因の全体把握,また,客観的分析に基づいた対策に関し
て,交通管理者が更なる対策案の検討を行うために必要な情報基盤を構築するため,地理
情報システムを活用した交通事故に関する情報の可視化を行う.
1-3 協働型交通事故対策における合意形成支援システムの構築
今後の日本における交通安全対策でキーコンセプトとなるであろう交通管理者などと道
路ユーザーが協働する「協働型交通事故対策」の実施に伴い,関係主体間で発生するコン
フリクトを明らかにし,関係主体間の合意形成をサポートするシステムを構築する.
2. 目標達成のための体制
上に掲げた目標を達成するために,下記の体制を構築した.
高橋
氏名
現在の所属・職位
清
北見工業大学・助教授
交通計画
東京大学・助教授
高知工科大学・助教授
交通計画
交通計画
加藤 浩徳
寺部 慎太郎
専門分野
分担
研究統括(平成 17 年以降)1-
3を担当
研究統括(平成 17 年迄)
1-1,1-2を担当
3. 研究開発の成果とそのクオリティ(実装の状況・可能性を含む)
3-1 「交差点における交通事故要因分析の方法論構築と交通事故発生要因の分析」に関
する成果[1][2][3][12][13]
(成果の概要)
交差点での交通事故データと交差点環境データを用いて,交通事故の発生確率を予測す
る事故リスク分析モデルを作成した.この事故リスク分析モデルは,本研究グループの高
293
橋,寺部,王印海(元東京大学大学院生),家田仁(東京大学教授)らが関わった一連の研
究によって開発されたものであり,本研究では新たな変数の導入も含めて総合的な検討を
行いモデルを再構築した.これにより市街地交差点で発生する,直進時追突,右折時追突,
右折直進,出会い頭,右折車対自転車などといった全12タイプの事故類型ごとに,交通
事故の発生要因に関する分析が可能になった.さらに本モデルを東京都における実交差点
に適用し,交差点で発生する交通事故の発生要因を分析した.さらに高知市におけるモデ
ルの適用を試みた.
(成果のクオリティ)
本研究で構築したモデルを東京都内の主要 112 交差点を対象に検証した結果,約7割の交
差点において事故リスクを予測することができた.本モデルのように,事故の発生プロセ
スを取り込み統計手法に基づいて構築されたモデルにより,個別の交差点の事故リスクを
予測することは,これまで困難とされてきた.今回このようなモデルを構築することがで
きたことは交通事故の発生を分析する上で,技術的貢献は高い.特に本モデルは構造上,
説明要因が交差点環境条件と交通量より構成されているため,交差点データの取得が可能
であれば他都市においても本モデルの適用が可能であり,交通事故発生要因の分析に寄与
するものである.また,本モデルの構築,適用プロセスにおいては,英国,ユニバーシテ
ィカレッジロンドン(UCL)で交通安全の世界的権威オルソップ教授,インペリアルカレ
ッジロンドンのノーランド博士ら研究者との議論し,一定の評価を得ることができた[12].
本研究では他都市への適用事例として,高知市を対象地域に取り上げモデルの構築を試み
た.今回の適用に際しては,これまでのモデル構築の際に想定していたような大規模な交
差点改良を伴った安全対策ではなく,交通量と予算の少ない中での比較的小規模な対策(交
差点照明の増設やカーブミラーの設置など)が中心となっており,モデル構築や適用可能
性について新たな課題が発見できた[12].本研究では,これら課題の解決をはかりつつ,モ
デルの精緻化を今後も行っていく計画である.
本モデルでは,交通事故を引き起こす要因として交差点環境を取り上げている.これら車
線数の増加や視距等の交差点環境は,交通管理者や道路管理者が交通安全対策として改善
できる要因であり,改善後の事故リスクの減少を瞬時に評価することが可能となる.実際,
高知県における交通管理者や道路管理者へのインタビューにおいては,実際の交差点にお
いて本モデルを適用し,事故対策前後のリスク評価を実施したいといった要望が複数聞か
れた[13].
3-2 「交通事故分析に関わる情報の可視化」に関する成果[1][4][13]
(成果の概要)
前述した事故リスク分析モデルの入力に必要な交差点状況や交通事故データやモデルの
出力データを実務者や一般市民にとってわかりやすく視覚化するために,地理情報システ
294
ム(GIS)を活用したシステムを構築し, REASON(リーズン:Risk Evaluation and
Assessment System by Accident Occurrence Modeling for Navigation)と命名した.
本システムは,問題の全体像把握のため,どの交差点で,どのような交通事故が頻発し
ているかを一目で見ることを可能にし,様々な交通事故に大きく影響を与えている要因は
何であるかを調べる,またその要因を変更することが交通事故減少にどれほど寄与するか
を科学的に予測することなどといった,現状把握,要因分析さらに予測および評価といっ
たプロセスを実務者でも容易に操作するこが可能である.
図 1 REASON(試作版)の画面の例
295
図 2 交通事故情報の可視化の例
(成果のクオリティ)
「交通事故分析に関わる情報の可視化」という理念自体については,地理情報システム
の開発意義と重なる部分が多くそれ自体に新規性はないが,本プロジェクトとほぼ同時期
に警視庁において同様のシステムが作成・公開されたことが示すように,交通事故いう社
会問題を解決するための重要な技術の一つである.
しかし,警視庁におけるシステムと本研究により構築されたシステムの相違点は,本シ
ステムを用いることにより,様々な交通事故に大きく影響を与えている要因は何であるか
を調べ,またその要因を変更することが交通事故減少にどれほど寄与するについて科学的
に予測することを,実務者でも容易に操作できるようにすることによって,交通事故対策
をこれまでの経験的なものから科学的なものへと進化させることが可能であるという点で
ある.さらに,より簡易なユーザーインターフェイス等で優れており,高知県の交通管理
者へのインタビューにおいても,本システムに準ずるシステムの整備を予算要求している
ところであり,導入に際しより有効なシステムを構築するための共同研究の提案をしたい
とのことであり,実装可能性は極めて高い[13].
さらに,今回構築されたシステムを一般にも Web 公開することを目指し,現在その大枠
を構築済みである.今回公開することが予定されているデータは,高知市内の交差点にお
ける交通事故の現状と対策に関する分析結果であり,公開後はこれらの情報入手の前後の
利用者意識の変化,行動の変化に関する分析を計画中である.
ここで得られた成果は ITS(高度道路交通システム)やゲーションシステムとの連携も十
分視野に入れ研究された結果であり,各方面への技術的貢献も大きいと考えられる.
296
図3
協働型交通事故対策におけるプロセス
3-3 「協働型交通事故対策における合意形成支援システムの構築」に関する成果
[1][5][6][7][8][9][10][11][12][13]
(成果の概要)
従来の交通事故対策は,交通管理者や道路管理者が主体となって実施されてきたが,今
後は交通事故対策の実施検討において,道路ユーザーにこれまで以上に大きな役割を担っ
ていくことが期待されている.すでにイギリスでは RMS(Route Management Strategies)
などを通じて,住民参加型の管理者との協働型交通安全対策が実施されている[5][7].
本研究は交通事故対策先進国(主に英国とドイツ)における,交通事故対策の知識の体
系化を行い,交通事故対策における主体間の関係の協働についての概念整理を行った.ま
た,交通事故リスク分析モデルと,事故対策効果分析モデルを用い,協働による交通事故
対策実施における合意形成をサポートするプロトタイプのモデルを開発することができた.
さらに協働型交通安全対策の実施に伴い発生する各関係主体間のコンフリクトを明らか
にし,協働型交通事故対策実施における合意形成をサポートするモデルを開発した[9].
297
(成果のクオリティ)
本研究にて紹介・分析したイギリスにおける RMS(Route Management Strategies)の概
念は,住民参加型の管理者との協働型交通安全対策として,国土交通省の中でも共通認識
になりつつあり(近年では同様な概念として,
「道路パフォーマンス・マネジメント」とい
う用語が用いられている),本研究は,今回提示した RSM という概念を,対策を実施する
際のプロセスに具現化し明示したという点において画期的である.
本研究における成果である協働型交通安全対策の実施プロセスは,図3に示すように,
交差点環境のデータベース構築,各条件の下での対策案の選定評価,さらに対策後の交差
点環境イメージの表示が,一連のサイクルとなったシステムである.特に,対策の選定に
おいては,これまで困難であった複数の対策を同時に考慮し,各種条件の下で最適な対策
パッケージを評価することを可能にした.さらに,対策案の選定および評価,条件を変え
た新たな対策案の選定する部分は,関係主体間の協働型事故対策実施の根幹部分であり,
ゲーム理論を用い関係主体間のコンフリクトを考慮しながら,対策案を選択するという構
造となっており,協働型交通安全対策決定プロセスの部分を表現している画期的なものと
なっている.
本研究成果である協働型交通事故対策実施における合意形成をサポートするモデルの実
装については,プロトタイプのモデルは既に構築し,高知県の交通管理者および道路管理
者へプロトタイプモデルの構造およびプロセス等を説明し,実用性が高いとのコメントを
いただいた[13].また,RMS の先進国である英国の Prof.Allsop からも効果的な取り組み
であるとの評価受けているが[12],未だ実施には至っていない状況である.
4. 目標の達成状況
本研究グループにおける研究開発目標は,交通安全に係わる社会問題を解決するための
社会技術を開発である.
目標の達成状況を1-1から1-3の項目別に列挙する.
1)交通事故要因分析のためのモデル構築と要因分析に関しては,基本となる東京都に
おける分析モデルは事故リスクモデルとして構築し,発生要因の分析が可能となった.本
モデルを他都市に適用し,発生要因の分析を行う計画であったが,事故対策の種類である
説明変数やモデルの適用可能性についての問題が生じ,完成には至っていない.
2)交通事故分析に関わる情報の可視化に関しては,REASON(リーズン:Risk Evaluation
and Assessment System by Accident Occurrence Modeling for Navigation)と命名した
GIS を用いたシステムを構築し,情報の可視化に成功した.さらに現在,このシステムを
Web 上にて公開すべく準備を進めている.
3)協働型交通事故対策における合意形成支援システムに関する研究では,イギリスに
おける RMS の概念を用い,住民参加型で管理者との協働型交通安全対策を実施するために
必要な合意形成支援システムのプロトタイプモデルを構築した.
298
5. 研究成果の公表
5-1 社会技術に関連する卒業/修士/博士論文
論文名
論文の種類
著者[指導教官]
周辺土地利用と交通事故発生要因の関係分析
卒業論文
門田佳子[寺部慎太郎]
日英交通安全対策に関する比較研究
卒業論文
高野裕輔[高橋清]
遺伝的アルゴリズムを用いた交通事故対策の効果分析に関する研究
卒業論文
小澤義一[高橋清]
交通事故対策における関係主体間に生じるコンフリクトに関する研究
修士論文
高野裕輔[高橋清]
交通安全対策における関係主体の合意形成に関する研究
修士論文
小澤義一[高橋清]
発表当時の所属
高知工科 大学 ・工学
部・社会システム工学
科
北見工業大学・土木開
発工学科
北見工業大学・土木開
発工学科
北見工業大学・土木開
発工学科
北見工業大学・土木開
発工学科
発表年次
2005
2003
2004
2005
2006(予定)
5-2 社会技術に関連するゼミ/講義等
講義名
教官
都市交通計画特論
高橋清
講義の対象者
受講者数
(概数)
北見工業大学・土木開発工
学専攻
5
期間
2004.10~2005.3
5-3 一般へのセミナー/講演等
なし
5-4 実績一覧(リスト)
No.
1
分類
総括
形態
書籍
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
安全安心のための社会技術
著者、作成者等
堀井 秀之(編)
発表場所
東京大学出版会
発表年次
資料の
添付
2006.1
○
No.
分類
形態
2
交通事故に関す
る情報の可視化
論文
3
論文
4
ツール
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
著者、作成者等
発表場所
高知都市圏内交差点における事故リスク
分析モデルの適用
周辺土地利用と交通事故発生要因の関係
分析
事故リスク分析モデルを用いた交通事故
対策評価システム(REASON: (リーズン)
Risk Evaluation and Assessment System
by Accident Occurrence Modeling for
Navigation)
村上功治,寺部慎太郎,高
橋清,加藤浩徳,家田仁
第 30 回土木計画学研究発
表会(秋大会)
土木学会四国支部平成 17
年度技術研究発表会
門田佳子,寺部慎太郎
寺部慎太郎
英国の新たな交通計画体系構築に向けた
試みとその我が国への示唆
交通安全政策の英国における現状と日本
の方向性
遺伝的アルゴリズムを用いた交通事故対
策の効果分析に関する基礎的研究
交通事故対策における関係主体間のコン
フリクトに関する研究
高野裕輔,高橋清,加藤浩
徳
加藤浩徳,村木美貴,高橋
清
高橋清,加藤浩徳,高野裕
輔,寺部慎太郎
小澤義一,高橋清,加藤浩
徳,寺部慎太郎
高野裕輔,高橋清,加藤浩
徳
論文
遺伝的アルゴリズムを用いた交通事故対
策の効果分析モデルに関する基礎的研究
高橋清,加藤浩徳,寺部慎
太郎,有村幹治,小澤義一
11
論文
自動車交通事故対策における対策実施主
体間のコンフリクト解消のための協働・連
携に関する研究
12
報告
13
報告
5
事故対策の合意
形成支援
論文
6
論文
7
論文
8
論文
9
論文
10
日本と英国の交通安全政策の比較
土木学会第 57 回年次学術
講演会概要集第 4 部
土木計画学研究・論文集
Vol.20,No.1,pp.243-254
発表年次
資料の
添付
2004.11
―
2005.5
○
2003
―
2003
○
2003
―
2003
○
2004
○
2005
○
社会技術研究論文集,Vol.2
2005
○
高橋清,加藤浩徳,寺部慎
太郎,高野裕輔
社会技術研究論文集,Vol.3
2006
○
英国,インペリアルカレッジロンドンにお
ける交通安全に関するセミナー報告
加藤浩徳,寺部慎太郎
北見工業大学
計画特論
都市交通
2004
―
社会技術の実装に関するインタビュー調
査報告書(高知)
高橋清,寺部慎太郎
北見工業大学
計画特論
都市交通
2005
―
社会技術研究論文集,Vol.1
土木学会第 59 回年次学術
講演会
土木学会北海道支部論文
報告集,Vol.61, CD-ROM
医療安全研究グループ
研究開発成果・自己評価報告書
【 目 次 】
1. 研究開発の目標
2. 目標達成のための体制
3. 研究開発の成果とそのクオリティ
3-1 知の構築
1) 診療ナビゲーションシステム
2) クリニカル・インディケーター
3-2 知の普及
1) 医療事故・インシデントの再現 DVD
2) Pocket 医療安全マニュアル
3) 医療安全 e-learning
4. 目標の達成状況
5. 研究成果の公表
5-1 社会技術に関連する卒業/修士/博士論文
5-2 社会技術に関連するゼミ/講義等
5-3 一般へのセミナー/講演等
5-4 実績一覧(リスト)
301
1. 研究開発の目標
研究目標:「臨床情報、ゲノム情報等を統合的に管理・分析する方法論と、それを社会実装
する仕組みを整備することにより生み出された様々な知識を、臨床現場で活用することを
通じて、医療の質・安全性向上に寄与する」
医療安全研究グループにおいては、医療安全向上に資する医学的知の体系化と社会への
実装を大目標として、上記研究目標を設定し、循環器領域における診療情報のシステム化
(管理・分析・活用手段としての情報システムの開発と実装)を研究の主軸とした。
一方で、こうした社会技術の開発・実装のプロセスにおいて、医療安全に関連する要因
は重層構造をなしており、その重層構造を可視化(図1)した。
医療安全について研究する上で、最も上位概
念となる背景は、社会と人間(命)の関係につ
医療制度の問題
いての考え方そのものである。これを背景とし
病院組織の問題
社会の問題
(国民の意識、
文化など)
病院管理の問題
て医療(制度)が構築され、その中で医療機関
道具の問題
個人の問題
が、医療を担う組織として社会的に位置付けら
Pocket
マニュアル
れている。この医療機関毎の中では、各種の組
織体系による医療スタッフそして各医療行為の
人間の
本質
e-learning
診療
ナビ
マネジメントが行われている。サービス業とし
インシデント
DVD
クリニカル
インディケータ
ての医療の最前線には、個々の医療行為及び技
術(道具)並びにそれを行う専門職としての医
療スタッフのスキルがあり、中核には、
「人間は
図1 医療事故の背景と各研究要素の位置付け
必ず間違えるものである」という人間の本質が
存在する。
医療安全研究グループにおいては、初期設定目標に加えて、各構成要素に複合的に関連
する研究目的、研究領域を設定し、包括的な研究活動を行ってきた。
これら各研究要素は、
「知の構築」を研究活動の中心にするもの、
「知の普及」を中心にす
るものの2種類に大別される。以下それぞれの研究開発テーマ(開発対象の社会技術)と
概要、具体的目標、関連する知について整理する。
◆ 知の構築
No
1
テーマ
(社会技術)
概要
具体的目標
① システムの完成
診療ナビゲ
循環器領域における診
ーションシ
療情報(含ゲノム情報) ② 社会実装
ステム
の体系化、情報システ
③ 得られた知の評価
関連する知
• 体系化された診療
情報・ゲノム情報
• 情報の解析手法
• 知の活用手法
ムへの実装
302
等
2
① インディケーターの
ク リ ニ カ
大学病院の機能を総合
ル・インディ
的・客観的に評価する
開発
ケーター
ための指標の開発と実
② 全国調査
装
③ 調査内容の評価(ドキ
• 各インディケータ
ーの構成要素
• 大学病院の機能的
特性
等
ュメント化)
◆ 知の普及
No
1
テーマ
概要
(社会技術)
具体的目標
医療事故・イ
医療現場において起こ
① DVD の作成
ンシデント
りやすいインシデント
② 配布
の再現 DVD
の再現 DVD の作成
関連する知
• 発生頻度を含むイ
ンシデントの事例
• インシデント誘発
要因
2
• 発生頻度を含むイ
Pocket 医療
医療事故・インシデン ① マニュアルの作成
安全マニュ
ト を 誘 発 す る 医 療 行 ② 配布
アル
為、医療材料の取り扱
• 事故発生頻度を低
いについてのマニュア
減させる確認方法
ルの作成
や医材の取り扱い
ンシデントの事例
方法
3
等
医 療 安 全
院内スタッフに対し安
① 教材の作成
• 教材
e-learning シ
全な医療行為について
② 病院内での実装
• 評価方法
ステム
の知識を提供・教育す
③ 評価
• 評価結果
等
るためのツールの開発
2. 目標達成のための体制
上に掲げた目標を達成するためには、特に医療分野の知見と工学分野(情報工学分野)の
知識・人材・技術を集約し、目的達成に向けて効果的にマネジメントする必要がある。医
療安全研究グループにおいては、永井リーダーを中心に、特に診療情報の分析・活用(診
療ナビゲーションシステムの開発と実装)という目的の達成を核として、医学・工学分野
の知を結集させた体制を構築した。また、事業化を含む社会実装の実現性の高い技術を開
発するために、企業との共同研究を実施した。医療安全に関する情報の収集、整理、実装
においては東京大学医学部附属病院医療安全対策センターの全面的協力を得た。
303
等
以下社会技術研究開発センター研究員
氏名
永井 良三
現在の所属・職位
専門分野
東京大学大学院医学系研究科
分担
循環器内科
全体総括
東京大学大学院医学系研究科
循環器内科
3-1、3-2(研究全体
助教授
臨床疫学
の方向性)
東京大学大学院医学系研究科
循環器内科
3-1
教授
臨床疫学
今井 靖
東京大学医学部附属病院講師
循環器内科
3-1(ゲノム領域)
戸辺 一之
東京大学医学部附属病院講師
糖尿病・代謝内科
3-1(ゲノム領域)
真鍋 一郎
東京大学大学院医学系研究科
循環器内科
3-1(診療情報取り纏
教授、附属病院病院長
林 同文
山崎 力
助手
原 一雄
め)
東京大学大学院医学系研究科
糖尿病・代謝内科
3-1(糖尿病領域)
循環器内科
3-1(システムの社会実
助手
興梠 貴英
東京大学大学院医学系研究科
助手
橋口 猛志
装)
東京大学大学院医学系研究科
医療情報学
3-1(システムの実装)
東京大学大学院医学系研究科
循環器内科
3-1(ゲノム領域)
非常勤医員
薬剤疫学
東京大学大学院医学系研究科
循環器内科
助手
門前幸志郎
相澤 健一
3-1(ゲノム領域)
非常勤医員
以下東京大学医学部附属病院内研究協力者
氏名
原田 賢治
現在の所属・職位
専門分野
分担
東京大学医学部附属病院医療
糖尿病・代謝内科
3-2
医療安全
3-2
安全対策センターGRM(ゼネラルリ
スクマネージャー)
小見山智恵子
東京大学医学部附属病院看護
師長(看護部・リスクマネージャー
担当)
以下共同研究先(株式会社日立製作所)
氏名
現在の所属・職位
専門分野
分担
光山 訓
中央研究所ライフサイエンス研究
医療情報学
3-1(システムの実装)
センタ 主任研究員
304
藤尾 正和
中央研究所ライフサイエンス研究
情報工学
3-1(システムの実装)
情報工学
3-1(システムの実装)
医療情報学
3-1(システムの実装)
遺伝統計学
3-1(システムの実装)
センタ 主任研究員
新谷 隆彦
中央研究所ライフサイエンス研究
センタ 研究員
瀬戸 久美子
中央研究所ライフサイエンス研究
センタ 研究員
斎藤 聡
中央研究所ライフサイエンス研究
センタ 研究員
3. 研究開発の成果とそのクオリティ
3-1 知の構築
1) 診療ナビゲーションシステム
(成果の概要)
5年間を通じて、東大医学部附属病院循環器内科/糖尿病代謝内科において、外来/入
院における臨床情報を蓄積・管理する情報基盤を構築した。併せて、得られた知見を整理・
分析し診療現場での意思決定に活用するためのシステム(診療ナビゲーションシステム)
を構築し、病院内での実装を行った。
これらの情報基盤を用いて、患者属性毎の患者教育ツールや、治療方針決定ツールとし
て利用していくために、得られた膨大な知識の臨床的評価を行い、活用可能な医学的知見
を創出した。同時に、これらを社会技術として複数の医療機関で利用するための多面的な
方法論の構築を行った。
診療ナビゲーションシステムは、情報登録用システム・情報分析用システム・情報提供
用システムから構成されている(図2)。以下各システムについて概要を説明する。
分析用に
抽出された
データ群
情報分析用
システム
分析結果
(医学的知見)
情報提供用
システム
情報登録用
システム
臨床検査データ・
処方データ等
臨床現場で日々
発生する情報
患者毎に
最適化さ
れた知識
患者の安心感向上
臨床での活用
(患者への情報提供)
院内既存システムと
のデータ連係
図2 システムの全体構成とデータの流れ
305
◇情報登録用システム
情報登録用システムは、心臓カテーテル検査・治療用システムと症例管理登録用システ
ムから構成されている。
今日の循環器内科領域の診療においては、虚血性心疾患の診断・治療が非常に大きなウ
ェイトを占めている。心臓カテーテル検査は最終的な確定診断を下すために行う検査手技
である。また、心臓カテーテル検査を行った結果冠動脈に狭窄を認めた場合にはカテーテ
ルを用いて狭窄している箇所をバルーンやステントで拡張して狭窄を取り除く治療が行わ
れる。治療をした箇所はデバイスの工夫により再狭窄を来す率が低下してきてはいるが、
未だ一割くらいの症例で再狭窄を来すことが知られており、治療後には一定の期間フォロ
ーアップを行う必要がある。日本
においては治療後、ほぼ必ずと言
っていいほどフォローアップの検
査を行うため、治療をした箇所や
その結果再狭窄を来したのか否か
など客観的な情報を多く収集しや
すいという特徴がある。
心臓カテーテル検査・治療用シ
ステムは、実際に心臓カテーテル
室内において、医療画像等を含む
心臓カテーテル検査の評価に耐え
うる詳細な情報を入力・参照可能
図3 心臓カテーテル検査・治療用システム画面例
となっている(図 3)。
一方、症例管理登録用システムは、この心臓カテーテル検査・治療で発生する情報の中
から、特に時系列的分析に必要となる情報(患者の属性、リスクファクター、各種の検査
情報、処方履歴等)を登録・参照できる仕組みとなっている。症例管理登録用システムは
既存の病院情報システムとデータ連携を行い、前述の検査情報、処方履歴等を効率的に入
手、管理できる。
306
◇情報分析用システム
情報分析用システムは、膨大な診療情
報から患者に提供するに値する情報を抽
出するための医師による臨床研究を支援
するものである(図 4)
。患者の年齢層、
性別、種々のリスクファクター(例:糖
尿病、高血圧等)、検査値や処方内容が、
病態・予後の差異にどのように寄与して
いるかを、時間軸も含めて詳細に分析可
能である。
◇情報提供用システム
情報提供用システムは、臨床現場から
分析を経て集約された患者提供用の情報
を、時間の限られた臨床現場で、必要最
小限の操作により得られる仕組みとなっ
図4 情報分析用システム画面例
ている(図 5)。図の例は、年齢 65 歳以
上の女性で、リスクファクターとして糖尿病を持
つ患者と持たない患者の心疾患イベントの発症率
を比較したものであるが、有意に糖尿病を有する
女性患者の方が高いイベント発生率であることを
示した。従来院内の情報に限っても得るためには
膨大な時間と労力を費やすことが必要であったこ
うした情報が、診療現場においてリアルタイムに
得られる。このような臨床エビデンスを複数施設
とネットワーク化することにより、より多くのデ
ータからの解析が可能となり、日本の医療現場に
有用な情報を提供することで、安全・安心な医療
図 5 情報提供用システム画面例
に貢献することが可能と考えられる。
(成果のクオリティ)
上記システムは、東京大学医学部附属病院循環器内科の外来、入院双方において稼働し、
本研究開発に直接関与しない臨床医の使用にも耐えうるレベルを達成している。システム
から得られたデータは、患者への情報提供だけではなく、通常の学術的臨床研究のテーマ
選定や、方向性の決定をする上での根拠情報として実際に使用している。また、ユーザー
インターフェースは、多忙な臨床現場において、必要最低限の操作でデータを得られるレ
307
ベルを達成している。
新聞記事、雑誌記事、学会記事等を通じ、多くの循環器内科医が知るところとなり、現在
までに10数名の病院外の見学者を数えている。
2) クリニカル・インディケーター
(成果の概要)
医療の安全と信頼を高めるためには、現在の医療活動を把握し、継続的に評価し、監査
を行うことが必要である。近年の特定機能病院の承認条件の見直しや国立大学病院の独立
行政法人化等、医療をめぐる環境のめまぐるしい変化を鑑みると、各医療機関が医療の質
の把握・評価を進めることは、各医療機関の位置づけの明確化につながるとともに、病院
経営・管理上も重要な意義がある。医療機関における医療活動の評価指標(クリニカル・
インディケーター)の導入・運用は、こうした医療の質と安全性向上、病院の経営・管理
に資するとともに、医療の標準化・効率化を進めるうえで必須の要件のひとつである。
大学病院は、教育・研究・診療の3つの役割を担い、診療においては地域の中核病院の
一つとして重篤な患者が集中するといった特徴を有するが、こうした大学病院の特殊な役
割についてはこれまでの各種指標では十分に評価できていなかった。
こうした背景から、本事業では、大学病院の医療活動を定量的に測定・評価するクリニ
カル・インディケーターの開発及び大学病院における実装を行った。
東京大学医学部附属病院内に、病院長以下、院内の主要診療科・部門のメンバーと外部
有識者で構成される「医療の質評価委員会」を構成し、特定機能病院の医療の質・安全に
関する評価に資するインディケーターの検討を行った。院内の各部署からの意見収集によ
り 800 項目以上の評価指標案を収集し、委員会での検討と各大学病院からのコメントに基
づき、ストラクチャー・プロセス・アウトカムおよび患者・職員満足度の各評価指標から
構成される 208 項目のインディケーターを開発した。
全国医学部長病院長会議を介した全国一斉調査により、大学病院 56 施設(国公立 38 施
設、私立 18 施設)から実態調査データを収集した。データの分析結果を報告書としてとり
まとめ、全国大学病院にデータを還元した。還元の際には、匿名性を確保すると同時に、
各大学病院が自院の位置づけを把握できるよう、報告書の構成・表示に配慮した。
一斉調査で得られた知見、蓄積したノウハウに基づき、インディケーターそのもの改良、
データ収集の効率化、データ利用の可能性などの検討を推進した。さらに、全日本での標
準的なインディケーターを構築するために、国立大学医学部附属病院長会議、厚生労働省
研究班など、インディケーターに関する他の主要研究グループとの意見交換・研究内容の
調整を推進した。検討の成果は、改訂版のインディケーターを用いた第2回調査(平成 17
年 12 月調査開始)の調査項目に反映されており、全国の大学病院におけるインディケータ
ーの実装を進めている。
308
(成果のクオリティ)
大学病院は、教育・研究・診療の3つの機能を担い、診療においては地域の中核病院の
一つとして重篤な患者が集中するといった特徴を有するが、大学病院の機能についてはこ
れまでの各種指標では十分に評価できていなかった。本事業は、全国の大学病院の医療活
動を定量的に測定・評価することを目的としてクリニカル・インディケーターの開発を行
った初めての例である。
本事業で開発したクリニカル・インディケーターを用いて各大学病院が医療の質の把
握・評価を進めることにより、各大学病院の機能が明確化されるとともに、各大学病院に
おいては病院経営・管理の新たな方法の獲得につながるなどの意義がある。
大学病院が医療の改善を図ろうとするときには自院の経営・管理上の課題を明らかにす
る必要があり、課題を明確にする方法のひとつとして他院との比較が重要である。しかし、
本事業以前には、大学病院における医療の質・安全に関する標準的な評価指標の開発は進
められておらず、各大学病院が他の病院の状況を参考にしながら自院の水準を把握し、適
切な改善活動を行うことができない状況にあった。
本事業では大学病院における標準的なクリニカル・インディケーターを提案した。この
指標を用いることで、各大学病院が他院の状況を参考にしながら医療の質・安全の改善活
動を図ることが可能になり、大学病院全体の医療の質と安全性向上、病院の経営・管理の
効率化、医療の標準化・効率化等に貢献する。
本事業の成果のもつ最も重要な社会的影響は、大学病院の医療活動を評価する標準的な
指標を提供し、各大学病院における医療の質・安全の改善活動をサポートする点にある。
その他の重要な社会的影響としては、クリニカル・インディケーターが大学病院の医療
の質・安全の情報公開に活用されはじめたときに、情報公開と医療改善の好循環の創出や、
大学病院の医療に対する国民の信頼の醸成につながる点があげられる。
3-2 知の普及
1) 医療事故・インシデントの再現 DVD
(成果の概要)
医療事故防止対策の一つとして医療機関が進めている「業務手順の遵守」と「標準化の
推進」を目的に医薬品・医療機器メーカー(テルモ株式会社)と共同で教育用DVDを制
作した。
医療現場においては、例えば注射、輸液のような薬剤を用意する人と投与する人が異な
るなど、複数の人が関って実施されている。それが、安全で適正に行なわれるには、一定
のルールが決められ、そしてそれが必ず守られることが必要となる。そこで、個々の医療
機関では、医療事故防止策として、業務の手順書が作成されているが、医療従事者の経験、
技量の違い等を一因として、業務手順が守られないことが少なくない。
こうした現状を鑑み、決められた業務手順の遵守を目的に、①医療事故の恐さ認識、②
309
誰もが発生するリスクを持っていること、③手順を守ることが事故防止に役立つこと、3
点の理解推進を図るべく、実際発生した事例を元に、再現映像化した(図6)。
図の例は、
「姓が同じ違う患者さんの薬剤を投与しようとした瞬間、気づいて飛び込んできた
医師」というシチュエーションを再現映像化したものである。
また、事故リスクを低減させる重要な試み
として、業務の標準化があるが、これを進め
る管理者にとって、手順書の作成、推進、見
直しの手法は、特に定まったものがなく、困
難を伴うことが少なくない。アクシデント発
生を切り口に、効果的な対策までの分析方法
を紹介した。
(成果のクオリティ)
本DVDを制作するにあたり特に留意した
のは、①できるだけ多くの医療機関、医療従
図 6 薬剤取り違え事故の再現シーン(DVD からのキャプチャー)
事者を対象とする点、②映像教材として飽き
させないための工夫、③自分のこととして捉える工夫の3点である。
個々の医療機関においては、医療事故防止のためのさまざまな研修が実施されているが、
よく、「当事者意識が低い」「研修も堅い内容になりがちで身に入らない」という意見が聞
かれる。
こうした意見を受け、下記をポイントに制作した。
①事故の再現映像化(視覚化)
②リアリティーの追求と飽きない演出(実際の病院で撮影、ドラマ仕立て)
③取り上げるテーマを、より多くの医療従事者が日常行なっている注射、輸液等の業務に
絞った(人工心肺装置操作時の誤操作など特定の人にしか関連しない業務は対象から外し
た)
④多くの医療機関で活用できるよう、細かな作業手順ではなく、普遍的な「確認行為」を
切り口に制作
⑤できる限り、多くのシーンを網羅
本年1月に完成し、院内の評価を得て、依頼のあった医療機関に配布する計画である。
2) Pocket 医療安全マニュアル
(成果の概要)
従来東京大学医学部附属病院を始めとする大規模医療機関においては、医療安全向上(事
故発生リスク低減)を目的とする数多くのルールを有しているが、これらのルールは病棟
毎、あるいは診療科毎に個別に管理されていることが一般的であった。またその知識を医
310
療スタッフ内で共有、あるいは更新する手段が十分整備されていない現状があった。本研
究においては、すべての医療スタッフ間で共有されるべきルール(具体的には患者の接遇
についての注意点、特定医療材料の管理・取り扱い方法、感染防止方法など)について、
院内全体の情報を整理した(図7)
。
(成果のクオリティ)
2005年4月に書籍(A5
版、全 238 頁)を完成させ、
全国の大学病院に各2部ずつ
配布した。こうした情報の体
系的整理及びドキュメント化
には、非常な労力を必要とす
るため、配布先より評価の声
をいただくと共に、全国の大
学病院において、実際に使用
されている。
図7 Pocket 医療安全マニュアル(書籍より抜粋)
3) 医療安全 e-learning
(成果の概要)
病院、特に診療に携わるスタッフは全て職種毎に資格を有する専門職である。この点を
主要因として、病院においては、診療に関わる各種情報のコミュニケーション、特に教育
について組織を通じて行うという文化が元々なく(自己啓発は自己責任)、経験値やスキル
に応じた教育システムの構築が必
要であった。年々高度化する医療
技術や、医療器具の正しい使用方
法についての教育を始めとして、
患者とのコミュニケーションと法
律との関係など、診療上の事故リ
スクを低減するのに必要な各種情
報を体系的にまとめ、それを多忙
な臨床現場で個々人の都合に応じ
て学べるよう、院内のイントラネ
ットを用いて e-learning システ
ムとして実装した(図 8)。
図 8 医療安全 e-learning システム画面例
311
(成果のクオリティ)
東大病院において下記の試行を実施した。
実施時期
2005/7
対象者(人数)
医 療 安 全 担 当 者 ( 30
問題数*
備考
30/108
-
30/108
-
名)
2005/9
追加問題作成依頼者
(60 名)
2005/11
全職員(3411 名)
30/108
期間無制限、正答率表示
2006/1
全職員(3411 名、職種
25/431
期間1ヶ月、必修化、得点表示
別)
間違えた問題は繰り返し実施する
*問題数の分母は全体の問題数、分子は任意で選択、回答される問題数を表記している。
こうした教材が客観的評価(例:具体的事故低減に貢献した等)を得るためには長い時
間が必要であり、クオリティについて客観的数値は得られていないが、実施後の対象者に
対するアンケート調査結果等を見る限り、教材のコンテンツ、利便性等について概ね好意
的評価を得ている。
4. 目標の達成状況
(全体総括)
研究開始当初は、診療情報のデータベース化およびその分析に特化して、研究開発を行
った。折しも米国においては、2004 年 4 月に、米国ブッシュ大統領が「10 年以内に大多数
の米国人がインターオペラブルな電子カルテを持てるようにする」と発表した。続けて、
HHS(U.S. Department of Health & Human Services に医療産業のデジタル化が命じら
れ、医療情報技術のための国家調整官が指名された。当調整官は、開発や維持に責任を持
ち、相互運用性のある医療情報技術の推進を図る役割を担っている(活動のアウトプット
の一つが NHII:The National Health Information Infrastructure である)。本研究の研究
開始は 2001 年であり、研究範囲は循環器領域に限られてはいるものの、米国の活動をいち
早く先行した形で体系化したものである。
また、当初目標を掲げて研究活動を推進する中で新たに整理された問題意識及びそれら
に対応した研究内容を体系的に遂行する上で必要とされる新たな学術領域(医療の質・安
全学会)の創設に寄与した。
本稿では詳細を述べていないが、総括研究グループ、法グループ、社会心理学グループ
等との密接な連携を図り、横断研究として、医療行為管理システム、病院ガバナンスと法、
医療情報の保護と利用に関する法制度、医療安全の向上に関する社会心理学的『装置』の
導入、などの領域横断的研究も多数行ってきた(詳細は横断研究発表にて)。
以下本稿で述べた各研究活動についての当初目標に対する達成状況の自己/外部評価及
312
び関連成果について整理する。
◆ 知の構築
No
1
テーマ
(社会技術)
具体的目標
達成状況の自己評価
関連
及び理由
成果
診療ナビゲ
① システム
自己評価:90/100
5-4
ーションシ
の完成
<評価される点>
No16-75
ステム
② 社会実装
本研究に直接関与していない臨床医も含めて、
③ 得られた
東大病院内における実装に耐えうる社会技術の
知の評価
開発を達成した。
<研究途中の点>
複数医療機関における情報共有ネットワーク化
プロセス。
2
ク リ ニ カ
① インディ
自己評価:70/100
5-4
ル・インディ
ケーター
<評価される点>
No76
ケーター
の開発
大学病院の特殊性を把握した上で、これを客観
② 全国調査
的に評価可能なインディケーターを開発し、全
③ 調査内容
国の大学病院において試行した。
の 評 価
<研究途中の点>
(ドキュ
インディケーターの集計、評価結果を、各病院
メ ン ト
にフィードバックする方法、内容。
化)
◆ 知の普及
No
1
テーマ
(社会技術)
医療事故・イ
ンシデント
の再現 DVD
具体的目標
① DVD の作
成
② 配布
具体的目標
関連
成果
自己評価:80/100
5-4
<評価される点>
No77
医療現場に存在する事故誘発要因を体系化、明
示化し、病院内における教育教材として使用で
きる形とした。
<研究途中の点>
教育の結果の評価方法
2
Pocket 医療
安全マニュ
アル
① マニュア
ルの作成
② 配布
自己評価:90/100
5-4
<評価される点>
No78
医療事故を誘発するリスク要因を体系化し、書
313
籍化並びに普及活動を達成した。
<研究途中の点>
書籍内の各種情報の更新方法。
3
医 療 安 全
e-learning シ
ステム
① 教材の作
成
② 院内での
実装
③ 評価
自己評価:70/100
5-4
<評価される点>
No79-80
医療事故を誘発するリスク要因を体系化し、
e-learning の教材として使用できるような環境
を構築し、東大病院全職員に対し試行した。
<研究途中の点>
教材内コンテンツの更新方法。他の医療機関と
の連携。教育結果の評価。
314
5. 研究成果の公表
5-1 社会技術に関連する卒業/修士/博士論文
論文名
Development of the Pioneering Clinica Supporting System Utilizing
Information Technology(副論文)
著者
林同文
永井良三
指導教官
他
永井良三
発表当時の所属
東京大学医学部附属病院
発表年次
2004年1月
5-2 社会技術に関連するゼミ/講義等
講義名
今なぜ医療安全なのか?
-東大病院の取り組みを含めて-
実践臨床疫学(社会技術の紹介含む)
EBMと臨床疫学(社会技術の紹介含む)
循環器疾患(社会技術の紹介含む)
循環器疾患(社会技術の紹介含む)
循環器疾患(社会技術の紹介含む)
循環器疾患(社会技術の紹介含む)
教官
永井良三
山崎力
山崎力
今井靖(研究協力員)
真鍋一郎
門前幸志郎(研究協力
員)
林同文
循環器領域の臨床試験・EBMについて(社会技術の紹介含む)
林同文
循環器領域の臨床試験・EBMについて(社会技術の紹介含む)
山崎力
循環器領域の臨床試験・EBMについて(社会技術の紹介含む)
林同文
循環器領域の臨床試験・EBMについて(社会技術の紹介含む)
山崎力
循環器領域の臨床試験・EBMについて(社会技術の紹介含む)
林同文
循環器領域の臨床試験・EBMについて(社会技術の紹介含む)
山崎力
医学総論(社会技術の紹介含む)
医学総論(社会技術の紹介含む)
山崎力
真鍋一郎
315
講義の対象者
受講者数(概数)
期間
学生(基礎・臨床・社会
医学統合講義)
一般公開
一般公開
一般公開
一般公開
500名
2005年9月2日
500名
500名
500名
500名
2003年8月19日
2003年6月24日
2003年6月3日
2003年5月27日
一般公開
500名
2003年5月27日
500名
2003年5月13日
50名
2003年5月
50名
2003年5月
50名
2003年5月
50名
2003年5月
50名
2003年5月
50名
2003年5月
500名
500名
2003年4月22日
2003年4月22日
一般公開
東 京 大 学 医 学
健康科学科3-4年生
東 京 大 学 医 学
健康科学科3-4年生
東 京 大 学 医 学
健康科学科3-4年生
東 京 大 学 医 学
健康科学科3-4年生
東 京 大 学 医 学
健康科学科3-4年生
東 京 大 学 医 学
健康科学科3-4年生
一般公開
一般公開
部
部
部
部
部
部
5-3 一般へのセミナー/講演等
セミナー・講演名
講演者
講義の対象者
受講者数
(概数)
期間
医療安全と大学病院管理について
永井良三
中日病院管理上級フォーラム
100名
2005年12月23日
大学病院における医療安全への取り組み
法人化後の病院経営について
永井良三
永井良三
医療安全支援セミナー
金沢大学講演会
100名
100名
2005年12月13日
2005年12月6日
法人における病院経営システムの構築について
永井良三
平成17年度国立大学病院経営セミ
ナー(パネルディスカッション)
100名
2005年12月1日
国立大学病院の現状と危機対策について
永井良三
財務省危機政策と情報研究会
100名
2005年11月29日
特別講演「医療安全と大学病院改革」
永井良三
第30回東京医科大学霞ヶ関病院グ
ランドカンファレンス
100名
2005年11月1日
ポストゲノム時代の医療
永井良三
100名
2005年10月6日
大規模臨床試験の見方-CAPRIEからMATCHへ-
林同文
100名
2005年10月3日
大学病院改革と内科のあり方
永井良三
JAPIC特別講演会
サノフィ・サンテラボ株式会社特
別講演会
埼玉医科大学卒後教育委員会主催
の学術集会
100名
2005年9月22日
特別企画「医療事故対策は如何にあるべきか」 循環器内科の立
場から
永井良三
第53回心臓病学会
100名
2005年9月21日
病院におけるリスクマネージメント
永井良三
100名
2005年9月16日
循環器領域におけるPPIの位置付け
林同文
100名
2005年8月23日
教育病院としての東大病院改革
永井良三
100名
2005年7月28日
ポストゲノムとEMB時代の創薬
永井良三
100名
2005年7月21日
東大病院における医療改革への取り組み
永井良三
100名
2005年6月28日
第3回日本予防医学リスクマネー
ジメント学会
アストラゼネカ株式会社学術講演
会
第37回日本医学教育学会総会(役
員会における特別講演)
第6回創薬ビジョンシンポジウム
(オープニングリマーク)
医療とニューメディアを考える会
第222回定例会
316
セミナー・講演名
講演者
日本の虚血性心疾患における背景と最近の治療動向
林同文
医薬循環器グループマーケティング向け講演会
林同文
学校法人高崎健康福祉大学
林同文
改めてEBMを考える
林同文
内科学・統合性と専門分化をどう両立させるか?「大学病院にお
ける内科診療と教育・研究のあり方」
永井良三
新臨床研究制度により日本の医療制度はどう変わるのか「大学教
授の立場から」
受講者数
(概数)
講義の対象者
アステラス製薬株式会社特別講演
会
ファイザー製薬株式会社特別講演
会
高崎健康福祉大学
大学院生
一般薬剤師公開
期間
100名
2005年6月21日
100名
2005年5月19日
2名
2005年5月
100名
2005年4月21日
第102回日本内科学会総会(パネル
ディスカッション)
100名
2005年4月8日
永井良三
認定内科専門医会 第16回講演
会(パネルディスカッション)
100名
2005年4月8日
ゲノムとEBM時代の新しい医療
永井良三
日本薬学会特別記念講演
100名
2005年3月29日
医療安全と大学病院改革
永井良三
100名
2005年3月24日
これからの東京大学医学部附属病院・医科学研究所附属病院
-法人化の先にあるもの-
永井良三
獨協医科大学研修会
東京大学総長室病院企画室主催特
別シンポジウム(パネルディスカ
ッション)
100名
2005年3月2日
国民皆保険制度化の医療提供体制
永井良三
100名
2005年2月13日
安全対策と病院運営について
永井良三
100名
2005年1月25日
異分野の融合と新しい研究の流れ「医学からのメッセージ」
永井良三
100名
2005年1月23日
医療安全と大学病院改革
永井良三
100名
2005年1月20日
医療安全管理と大学病院改革
永井良三
100名
2004年12月6日
平成16年度医療政策シンポジウム
(パネルディスカッション)
札幌医科大学附属病院職員セミナ
ー
日本学術会議MEフォーラム10回
記念講演
名古屋市立大学病院医療安全事故
防止講演会
北海道大学病院医療安全の日
療安全に関する講演会
317
医
セミナー・講演名
講演者
第3回広島若手循環器勉強会講演会
林同文
日本における大規模臨床試験と医療現場への影響
林同文
Evidence-Based Medicine(EBM)と臨床試験に関する講演
林同文
臨床試験入門セミナー講演「医師の立場から」
林同文
「我が国の医療制度と大学病院改革」
永井良三
ゲノムとEBM時代の医療
永井良三
EBMと臨床試験(社会技術の紹介含む)
大規模臨床研究へのアプローチ(社会技術の紹介含む)
ゲノム医療時代の循環器病研究(社会技術の紹介含む)
高血圧治療とリスク管理(社会技術の紹介含む)
循環器研究における創薬(社会技術の紹介含む)
大規模臨床研究に期待すること(社会技術の紹介含む)
心血管疾患とアスピリン(社会技術の紹介含む)
臨床情報の高度利用(社会技術の紹介含む)
日本臨床疫学研究(社会技術の紹介含む)
講義の対象者
トーアエイヨー株式会社 社内勉
強会
住友製薬株式会社社内学術セミナ
ー
ファイザー製薬株式会社特別講演
会
受講者数
(概数)
期間
100名
2004年10月29日
100名
2004年7月14日
100名
2004年6月17日
臨床試験入門セミナー受講者
100名
2004年7月5日
経済同友会セミナー
第60回日本放射線技術学会総会学
術大会
100名
2004年4月13日
100名
2004年4月9日
山崎力
浜松医科大学
80名
2003年10月8日
山崎力
山崎力
山崎力
永井良三
山崎力
山崎力
山崎力
山崎力
一般医師公開
一般医師公開
一般医師公開
一般医師公開
一般医師公開
一般医師公開
一般医師公開
一般公開
200名
200名
200名
200名
200名
200名
200名
200名
2003年9月18日
2003年7月18日
2003年7月10日
2003年7月
2003年6月28日
2003年6月19日
2003年6月13日
2003年5月30日
高血圧治療薬におけるEBMの正しい見方(社会技術の紹介含む) 山崎力
一般医師公開
200名
2003年5月15日
循環器疾患の診断の進歩(社会技術の紹介含む)
大規模臨床試験から見た慢性心不全治療の流れ(社会技術の紹介
含む)
東大病院におけるCBI(Clinical BioInformatics)の構想(社会技
術の紹介含む)
日本における大規模循環器疾患臨床試験の現状(社会技術の紹介
含む)
ゲノム医療とEBM時代の循環器病研究(社会技術の紹介含む)
日本の診療ガイドラインとEBM(社会技術の紹介含む)
永井良三
一般医師公開
100名
2003年5月
山崎力
一般医師公開
100名
2003年4月10日
永井良三
一般公開
200名
2002年12月
山崎力
一般医師公開
200名
2002年12月
永井良三
山崎力
一般医師公開
一般医師公開
300名
200名
2002年12月
2002年3月19日
318
医学部4年生
セミナー・講演名
講演者
受講者数
(概数)
講義の対象者
期間
臨床疫学とは何か(社会技術の紹介含む)
エビデンスに基づいた高血圧治療(社会技術の紹介含む)
EBM再考(社会技術の紹介含む)
EBMに基づいた高血圧治療(社会技術の紹介含む)
改めてEBMを考える(社会技術の紹介含む)
高血圧治療とEBM(社会技術の紹介含む)
医療現場における薬剤師への期待-臨床研究のすすめ-(社会技術
の紹介含む)
臨床医が考えるEvidence-Based Medicine(EBM)と臨床試験の在
り方(社会技術の紹介含む)
山崎力
山崎力
山崎力
山崎力
山崎力
山崎力
一般医師公開
一般医師公開
一般医師公開
一般医師公開
一般医師公開
一般医師公開
200名
200名
200名
200名
200名
200名
2002年3月4日
2001年11月27日
2001年11月22日
2001年11月1日
2001年10月13日
2001年9月26日
永井良三
一般薬剤師公開
200名
2001年9月
林同文
一般公開
200名
2001年8月1日
心疾患の市販後臨床研究の現状と展望(社会技術の紹介含む)
山崎力
一般医師公開
200名
2001年7月17日
コホート研究データの収集方法(社会技術の紹介含む)
薬剤疫学の観点からみた今後の市販後の臨床試験(社会技術の紹
介含む)
山崎力
一般医師公開
200名
2001年7月6日
山崎力
一般医師公開
200名
2001年7月2日
Evidence Based Medicineの意義と問題点(社会技術の紹介含む) 山崎力
一般医師公開
200名
2001年7月2日
臨床医学と工学(社会技術の紹介含む)
EBMに基づいた高血圧治療の評価(社会技術の紹介含む)
一般公開
一般医師公開
200名
200名
2001年6月
2001年4月12日
永井良三
山崎力
5-4 実績一覧(リスト)
No
分類
(サブテーマ)
形態
全体
1
論文
2
論文
3
論文
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
総合討論(第127回日本医学会シンポジウム
—医学・医療安全の科学)
大学病院における医療安全への対応
内科各領域の21世紀への展望(一部社会技
術の成果を含む)
著者,作成者等
清 水 孝 雄 ,永井 良
三,飯塚悦功,上原
鳴夫
永井良三
真鍋一郎,永井良三
他
発表場所
発表年次
資料の
添付
第127回日本医学会シンポジ
ウム(2004年8月)p131-139
2005
○
2005
○
2002
―
安全医学 Vol.2 No.1
日本内科学会誌
pp.3334-3338
Vol.91
No
分類
(サブテーマ)
形態
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
著者,作成者等
4
学会・シンポジ
ウム発表(国
内)
5
学会・シンポジ
ウム発表(国
内)
パネル討論 パネリスト「社会技術の実装の
方法論について」
林同文
6
学会・シンポジ
ウム発表(国
内)
医療安全の立場から
林同文
7
学会・シンポジ
ウム発表(国
内)
診療現場からみた安全対策
林同文
8
社会技術論文
医療安全向上に向けた包括的アプローチと
社会技術の実装
9
社会技術論文
ミッション・プログラムI:安全性に係る知
識体系の構築と社会技術の設計手法の開発
(中間報告)
10
マスコミ発表
11
マスコミ発表
12
対談
“健康医科学創造講座”の紹介
「医療の質・安全向上へ学会」
「医療の質向上学会設立シンポ
原則へ」
林同文
患者本位
橋口猛志,林同文,
興梠貴英, 永井良
三
堀 井 秀 之 ,西田 豊
明,中尾政之,岡本
浩一,城山英明,古
田一雄,田辺文也,
松 田 光 司 ,清野 純
史,加藤浩徳,永井
良三
-
発表場所
発表年次
資料の
添付
第一回22世紀医療センター
シンポジウム
2005.
11
○
2005.9
○
2005.3
○
2005.3
○
2005
○
2004.10
○
日本経済新聞
2005.11
○
日本経済新聞
2005.11
○
2003
○
JST科学技術振興機構 社
会技術開発センター(ristex)
ミッション・プログラム I シ
ンポジウム「安全安心のため
の社会技術:社会への実装」
第9回社会技術研究フォーラ
ム「社会技術研究と組織統治
コンプライアンスの視点か
ら」
社会技術研究 横断型研究ミ
ニシンポジウム
社会技術論文集 Vol3
予定(採択決定)
掲載
社 会 技 術研 究論 文 集
xiv-xxxii
Vol.2
永井良三(司会),
武 藤 正 樹 ,今中 雄 内科 Vol.92 No.6 p1149-1161
一,大西真,北村聖
医療の質と安全管理(座談会)
320
No
分類
(サブテーマ)
13
形態
Web site
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
社会技術医療安全ホームページ
著者,作成者等
発表場所
○
2005
○
2005.9
○
2005.9
○
日本の医療制度におけるマンパワーの問題
永井良三
15
論文
オーバービュー(日本医学会/第127回日本医
学会シンポジウム講演要旨 医学・医療安全
の科学)
永井良三
日本医師会雑誌 Vol.134 No.3
p455-457
診療ナビ
16
学会・シンポジ
ウム発表(国
内)
診療ナビゲーションシステムの活用
林同文
17
学会・シンポジ
ウム発表(国
内)
サービス指向ヘルスケア・アセスメントシス
テムの構築
林同文
18
学会・シンポジ
ウム発表(国
内)
循環器疾患症例データベースの構築とそれ
を活用した遺伝子多型解析
20
Introduction of a New System for
Conducting High-quality Clinical Studies.
―
2005
論文
心筋細胞分化におけるBMPシグナルと転写
因子HMGA2の役割
2003.9
現在一般公開中
14
学会・シンポジ
ウム発表(国
内)
学会・シンポジ
ウム発表(国
内)
資料の
添付
永井良三,渡部生聖
他
「21世紀の保健医療を考える
—我が国にあるべき姿を求め
て—」
(ファイザー株式会社)
p212-215
19
発表年次
JST科学技術振興機構
社会技術開発センター
(ristex)ミッション・プログ
ラム I シンポジウム「安全安
心のための社会技術:社会へ
の実装」
JST科学技術振興機構 研
究開発戦略センター(CRD
S) 次世代医療を実現する
異分野融合ワークショップ
今井靖,真鍋一郎,
林同文,原 一雄,
山崎 力,永井良三
他
門 前 幸 志 郎,今 井
靖,林同文,永井良
三,山崎 力 他
第53回日本心臓病学会学術集
会 パネルディスカッション3
2005.9
○
第5回心血管再生先端治療フ
ォーラム
2005.7
○
林同文,山崎力,永
井良三
第69回日本循環器学会総会・
学術集会
2005.3
○
No
21
22
23
24
25
26
分類
(サブテーマ)
形態
学会・シンポジ
ウム発表(国
内)
学会・シンポジ
ウム発表(国
内)
学会・シンポジ
ウム発表(国
内)
学会・シンポジ
ウム発表(国
内)
学会・シンポジ
ウム発表(国
内)
学会・シンポジ
ウム発表(国
内)
著者,作成者等
発表場所
発表年次
資料の
添付
The Significant Association of Genetic
Polymorphisms in the KLF5 Gene with
Coronary Artery Disease.
今井靖,林同文,真
鍋 一 郎 , 門前幸 志
郎,山崎力,永井良
三 他
第69回日本循環器学会総会・
学術集会
2005.3
○
Preventive Medicine /Epidemiology /
Education / Health Policy4
林同文
第 69 回 日 本 循 環 器 学 会 総
会・学術集会:ポスターセッ
ション 座長
2005.3
○
我が国独自のエビデンスを構築するには
林同文
第69回日本循環器学会総会・
学術集会:シンポジウム
2005.3
○
医療安全研究:診療ナビゲーションシステム
の実装と臨床現場への応用
林同文
社会技術研究 ミッションプ
ログラムⅠ 医療安全研究
2005.3
―
EBMに対する統計学からの問題提起
林同文
第24回福岡虚血性心臓病懇話
会
2004.10
○
林同文
第52回日本心臓病学会学術集
会
2004.9
○
林同文
第10回日本心臓リハビリテー
ション学会パネルディスカッ
ション
2004.9
○
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
本邦における虚血性心疾患患者を対象とし
た大規模前向きコホート調査(中間報告)
J-CAD study Investigators.
本邦における虚血性心疾患患者を対象とし
た大規模前向きコホート調査(中間報告)~
JCAD(Japanese Coronary Artery
Disease)STUDY~ J-CAD study
Investigators
27
学会・シンポジ
ウム発表(国
内)
28
学会・シンポジ
ウム発表(国
内)
循環器領域における「リアルタイム診療ナビ
ゲーションシステム」の展開
林同文
第 5 回 新 宿 Cardiovascular
Conference
2004.9
―
29
学会・シンポジ
ウム発表(国
内)
Association of Coronary Risk Factors and
Drugs with Cardiovascular Outcomes: A
Prospective Cohort Study of Coronary
Artery Disease (CAD) Patients.
林同文
第68回日本循環器学会総会・
学術集会
2004.3
―
No
30
31
32
分類
(サブテーマ)
形態
学会・シンポジ
ウム発表(国
内)
学会・シンポジ
ウム発表(国
内)
学会・シンポジ
ウム発表(国
内)
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
発表年次
資料の
添付
2004.3
―
2004.3
―
第6回社会技術研究フォーラ
ム
2004.3
○
第一回社会技術研究シンポジ
ウム
2004.3
○
第2回糖尿病と心血管病研究
会
2003.11
―
林同文
第51回日本心臓病学会学術集
会・プレスカンファレンス
2003.9
―
林同文, 永井良三
他
日本内科学会第 510回関東甲
信越地方会
2003.7
―
今井靖, 林同文,
山 崎 力 , 永井良 三
他
第67回日本循環器学会総会・
学術集会
2003.3
○
今井靖,林同文,門
第67回日本循環器学会総会・
前幸志郎,山崎力,
学術集会
永井良三 他
2003.3
○
著者,作成者等
「医療安全G」リアルタイム診療ナビゲーシ
ョンシステムの社会的影響
林同文
JCRACにおけるDMC事業の活動報告
林同文
「社会技術の試行(デモンストレーション)と活用(イ
ンプリメンテーション)」:健康福祉の事例から
林同文
33
学会・シンポジ
ウム発表(国
内)
医療安全に資する診療情報の体系化と先端
情報処理技術の適用
34
学会・シンポジ
ウム発表(国
内)
循環器内科における症例データベース構築
とそれを活用した疫学・ゲノム解析
35
学会・シンポジ
ウム発表(国
内)
36
学会・シンポジ
ウム発表(国
内)
37
学会・シンポジ
ウム発表(国
内)
38
学会・シンポジ
ウム発表(国
内)
本邦における虚血性心疾患患者を対象とし
た大規模前向きコホート調査-J-CAD
study-18ヵ月後追跡中間報告
Osler-Rendu-Weber病(遺伝性出血性毛細血
管拡張症:HHT)に伴う多発肝動静脈シャン
トにより高拍出性心不全の病態を呈した一
例
Proteinases Including MMPs Are Involved in
the Pathogenesis of Aortic Aneurysm: A
Study of the Transcription Profile with DNA
Microarray.
The Significant Association of the Genetic
Polymorphisms of Werner Helicase and β2
Adrenergic Receptor with Susceptibility to
Coronary Heart Disease.
林同文,今井靖,橋
口猛志,真鍋一郎,
戸辺一之,山崎
力,永井良三 他
今井靖,永井良三,
林 同 文 , 門前幸 志
郎,原 一雄,山崎
力 他
発表場所
社会技術研究システムミッシ
ョン・プログラムⅠ GL/SGL
研究会
JCRAC / 日 本 公 定 書 協 会
DMC事業 平 成 15年度委託
研究報告会
No
分類
(サブテーマ)
形態
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
著者,作成者等
発表場所
発表年次
資料の
添付
門 前 幸 志 郎,林 同
文,山崎力,永井良
三 他
第67回日本循環器学会総会・
学術集会
2003.3
○
2003.2
―
2003.2
―
2002.10
―
2002.9
―
39
学会・シンポジ
ウム発表(国
内)
High-mobility-group protein A2 associates
with Smad1, activates the Csx/Nkx2-5 gene
expression cooperatively, and promotes
cardiomyocyte differentiation.
40
学会・シンポジ
ウム発表(国
内)
クリニカルバイオインフォマティクスと臨
床医学
(社会技
術の紹介含む)
永井良三
41
学会・シンポジ
ウム発表(国
内)
臨床疫学・ゲノム科学の課題と展望(社会技
術の紹介含む)
山崎力
虚血性心疾患患者のデータ管理・解析システ
ムの構築と臨床研究・ゲノム解析への応用
林 同 文 , 永井良 三
他
日本内科学会
林 同 文 , 永井良 三
他
日本心臓病学会学術集会
50回
林 同 文 , 永井良 三
他
日本循環器学会総会・学術集
会 第66回
2002.4
―
林 同 文 , 永井良 三
他
日本循環器学会総会・学術集
会 第66回
2002.4
―
林 同 文 , 永井良 三
他
日本循環器学会総会・学術集
会 第66回
2002.4
―
42
43
学会・シンポジ
ウム発表(国
内)
学会・シンポジ
ウム発表(国
内)
44
学会・シンポジ
ウム発表(国
内)
45
学会・シンポジ
ウム発表(国
内)
46
学会・シンポジ
ウム発表(国
内)
臨床・ゲノム研究の根幹となる症例データベ
ースシステムの構築と疾患感受性遺伝子解
析への応用
The Matrix Metalloproteinase-1(MMP-1)
1G/2G Polymorphism and the Matrix
Metalloproteinase-3(MMp-3) 5A/6A
Polymorphism are Useful Genetic Markers
for Myocardial Infarction.
(一部社会技術の成果を含む)
ATP binding Cassette Transporter(ABCA1)
variant is one of the determinants of plasma
high density lipoprotein level in Japanese
population.(一部社会技術の成果を含む)
Establishment of clinical data management
system and its practical application to
genetic epidemiology in cardiovascular
medicine.
(一部社会技術の成果を含
む)
クリニカルバイオインフォマ
ティクス研究ユニット設立記
念シンポジウム(協力:日本
原子力研究所)
クリニカルバイオインフォマ
ティクス研究ユニット設立記
念シンポジウム(協力:日本
原子力研究所)
第494回
第
No
47
48
49
分類
(サブテーマ)
形態
学会・シンポジ
ウム発表(国
内)
学会・シンポジ
ウム発表(国
内)
学会・シンポジ
ウム発表(国
内)
著者,作成者等
発表場所
発表年次
資料の
添付
Evidence for association of Ser326Cys
polymorphism in 8-oxyguanin DNA
glycosylase(OGG1) with susceptibility to
coronary heart disease in Japanese.(一部
社会技術の成果を含む)
林 同 文 , 永井良 三
他
日本循環器学会総会・学術集
会 第66回
2002.4
―
臨床医学データベース構築と21世紀ゲノム
医療への展開
山 崎 力 , 永井良 三
他
日本エム・イー学会秋季大会
第15回
2001.11
○
ITを活用した医療情報の体系化とデータマ
イニング
山 崎 力 , 永井良 三
他
東京大学医工連携シンポジウ
ム 第1回
2001.11
―
2004
○
2004
○
2003
―
2002.5
―
2005
○
2005
○
2004
○
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
50
学会発表(国
際)
Mining association rules with negative terms
using candidate pruning.
新谷隆彦,林同文
51
学会発表(国
際)
Mining association rules with negative terms
using candidate pruning.
新谷隆彦,林同文
52
学会発表(国
際)
53
学会発表(国
際)
54
査読付論文
55
査読付論文
56
査読付論文
High-mobility-group protein A2 enhances
transactivation of the Csx/Nkx2-5 promoter
synergistically with Smad1 and promotes
cardiomyocyte differentiation.
Esstablishment of clinical data management
system and its practical application to
survery of genetic susceptibility to
cardiovascular diseases.
Genetic analysis in a patient with recurrent
cardiac myxoma and endocrinopathy.
Altered patterns of gene expression specific
to thoracic aortic aneurysms: microarray
analysis of surgically resected specimens.
Mining Association Rules with Negative
Terms using Candidate Pruning
Wessex 5th International
Conference on Data Mining,
Text
Mining
and
their
Business Applications
Proceedings
of
5th
International Conference on
Data Mining, Text Mining and
their Business Applications
門 前 幸 志 郎,林 同
文,永井良三 他
The
20th
International
Society for Heart Research
Japanese Session
林同文,山崎力
International Congress
Internal Medicene 26th
他
of
今 井 靖 , 門前幸 志
郎,林同文,永井良
三 他
Cirulation
Vol.69p944-995
Journal
今井靖,林同文,山
崎力,永井良三 他
International Heart
Vol.46 p265-277
Journal
新谷隆彦,林同文
Data Mining V
No
分類
(サブテーマ)
形態
57
査読付論文
58
査読付論文
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
Circulating malondialdehyde modified LDL
is biochemical risk marker for coronary
artery disease.
Atrial Natriuretic Peptide Inhibits
Cardiomyocyte Hypertrophy through
Mitogen-Activated Protein Kinase
Phosphatase-1.
Design and Rationale of Japanese Coronary
Artery Disease (JCAD) Study: A
large-scale, multicentered prospective
cohort study.
59
査読付論文
60
社会技術論文
61
社会技術論文
62
ツール
循環器内科外来症例データ解析システム
63
データベース
診療ナビゲーションシステム
64
データベース
循環器内科外来症例データベースシステム
65
博士論文
66
マスコミ発表
67
マスコミ発表
68
マスコミ発表
69
マスコミ発表
70
論文
因果ネットワークを用いたリアルタイム診
療ナビゲーションシステムの影響分析
医療安全に資する診療情報の体系化と先端
情報処理技術の適用
Development of the Pioneering Clinica
Supporting System Utilizing Information
Technology
ITを活用した日本独自の診断支援システム
「患者に合った薬」の決定支援機能を持つ
「診療ナビゲーションシステム」
治療法が探せる電子カルテ開発-東大病
院・日立、試験運用
日経バイオビジネス特集
循環器疾患における臨床情報管理システム
とゲノム医療への応用
著者,作成者等
発表場所
発表年次
資料の
添付
林同文,今井靖,山
崎力,永井良三 他
Heart Vol.90 p1211-1213
2004
○
林 同 文 , 門前幸 志
郎 , 今 井 靖,山 崎
力,永井良三 他
Biochemical and Biophysical
Research
Communications
Vol.322 p310-319
2004
○
Japanease Heart Journal
Vol.45 No.6 p895-911
2004
○
2003.10
○
2003.10
○
JCAD
STUDY
INVESTIGATORS
and
Operation
Secretariat headed
by Hayashi D and
Yamazaki T.
小松崎俊作,橋口猛
志 他
渡 部 生 聖 ,真鍋 一
郎,戸辺一之 他
東 京 大 学 日立 製
作所
東 京 大 学 日立 製
作所
東 京 大 学 日立 製
作所
社 会 技 術 研 究 論 文 集
Vol.1p391-403
社 会 技 術 研 究 論 文 集
Vol.1p383-390
―
―
―
林 同 文 , 永井良 三
他
Japanease Heart Journal
Vol.45 No.2 p315-324
2004
○
林同文
永 井 良 三 ,大江 和
彦,林同文
JST NEWS Vol.2 No.3 p12-13
2005.6
○
医療タイムス
2005.3
○
永井良三
朝日新聞
2005.2
○
山崎力
日経バイオビジネス11月号
実 験 医 学
Vol.23 No.4
p637-644
2003.10
○
2005
○
林同文,永井良三
Vol.1714 p7-8
No
分類
(サブテーマ)
形態
成果の名前(論文名、ツール名、etc.)
著者,作成者等
71
論文
大規模臨床試験における相対危険度減少率、
林同文
絶対危険度減少率及びNNT
72
論文
ゲノム医療とEBM時代の循環器病研究
73
論文
74
論文
75
論文
76
77
78
79
クリニカ
ルインデ
ィケータ
ー
医療事故
再現DV
D
Pocket 医
療安全マ
ニュアル
医療安全
e-learning
80
81
横断研究
A common Ile 823 Met variant of
ATP-binding cassette transporter A1
gene(ABCA1) alters high density lipoprotein
cholesterol level in Japanese population
(一部社会技術の成果を含む)
バイオナノテクノロジーの融合/医療分野の
観点から(一部社会技術の成果を含む)
ITゲノムを活用したゲノム情報臨床疫学の
融合(一部社会技術の成果を含む)
発表場所
臨床高血圧
Vol.10 No.6
p12-17
臨床病理(第49回総会 平成
V4年11月22-24日より)Vol.51
No.3 p208-213
永井良三
林 同 文 , 永井良 三
他
Atherosclerosis Vol.169 No.1
p105-112
林 同 文 , 永井良 三
他
林 同 文 , 永井良 三
他
FED レ ビ ュ ー Vol.3 No.4
p1-7
最 新 医 学
Vol.58 No.8
pp.80-89
発表年次
資料の
添付
2004
○
2003
○
2003
―
2003.10
○
2003.8
○
報告書
臨床指標による大学病院の医療の質・安全・ 全国医学部長・病院
患者満足度に関する調査
長会議
-
2005
○
DVD
医療事故・インシデントの再現DVD
東京大学
-
2005
―
書籍
Pocket 医療安全マニュアル
東 京 大 学 医学部 附
属病院
-
2005.4
○
-
2005.7
○
日本経済新聞
2005.12
○
2005.2
○
コンテンツ/
ツール
マスコミ発表
社会技術報告
書
医療安全e-learning
「医療事故防げ パソコンで学習」
医療安全向上システムに向けた仕組みにつ
いて
テルモ
東 京 大 学 医学部 附
属病院
医 療 安 全 研究グ ル
ープ