~三木 SA での災害救助犬によるデモンストレーション~

~三木 SA での災害救助犬によるデモンストレーション~
支援内容 : レスキュー犬育成支援
活動団体 : 認定 NPO 法人 日本レスキュー協会
当倶楽部が支援する認定 NPO 法人 日本レスキュー協会
( 以下協会 ) が、平成 22 年 11月 7 日 (日)に山陽自動
車道 三木サービスエリア 下り線 ( 以下 SA) で実施した
『災害救助犬によるデモンストレーション』についてレ
ポートします。
当日は SA にイベントブースを設置し、協会の活動紹
介や災害救助犬 ( 以下救助犬 ) によるデモンストレーシ
ョン、セラピー犬紹介と募金活動が実施されました。
SAには“ドッグラン”が併設されており、犬と飼い主が集う憩いの場所となっていることもあり、一般のお客様とともに犬
連れのお客様も当イベントブースに立ち寄られ、救助犬の話を興味深く聞いていらっしゃいました。
イベント参加犬は以下の4頭です。
〔救助犬〕
①リ キ♂
(ラブラドールレトリバー)
:7 歳 スマトラ島沖地震、防府市・佐用町の土砂災害に出動)
②レッド♂
( 〃 )
:6 歳
③サラ ♀
(ジャーマンシェパード)
:1 歳半 目下訓練中
〔セラピー犬〕
④ルル♀
(雑 種)
:7 歳
なお、協会には、現在25頭〔救助犬9頭、セラピ―犬9頭、保護犬7頭〕がいて、
指導員は9名〔救助犬担当3名、セラピー犬担当4名、保護犬2名〕が在籍している
そうです。有事の際は有償ボランティアも一緒になって救助活動を行うそうです。
救助犬には資質が重要だそうで、代々救助(探索)活動をしている血統の犬を警察犬
訓練所や国内外から連れてきて訓練するそうですがそれでもすべての犬が救助犬にな
れるは限らないそうです。
引退後は希望される飼い主の方とともに第二の人生を歩むそうです。
1 救助犬による訓練デモンストレーション
デモンストレーション(1 回目:11:00 ~ 11:15・2 回目:14:00 ~ 14:15)は、
〔服従訓練〕⇒〔命令訓練〕⇒〔遠隔訓練〕⇒〔探索訓練〕の順で実施されました。
〔服従訓練〕
指導員の左側について、歩行、停止、旋回などを行なう訓練です。
〔命令訓練〕
“立て”、“座れ”、
“伏せ”など指導員からの指示に従う訓練です。
以下は、日頃の特別訓練が必要なものだそうです。
〔遠隔訓練〕
離れた場所から、指導員が救助犬に指示を行なう
もので、ジェスチャーのみで指示します。ジェス
チャーのみの指示を“ハンドシグナル”といい、
例えば救助犬に対し、指を立てれば“立て”、指
を胸辺りでかざせば“伏せ”、下をかざせば“座
れ”といった具合です。
〔探索訓練〕
まず約 1m四方の箱を5つ並べ、そのうちの一つ人が入ります。救助犬は、その間指導員に目を隠され、どの箱にお客様が
入っているか視覚では確認できません。
イベント会場のお客様が箱に入った後、目隠しをはずされた救助犬に指導員が“サーチ(Search:探せ)!!”の一言をかける
と、救助犬は箱に向かい駆けていき、5つのそれぞれの箱に鼻を押し当て一心不乱にお客様の入った箱を探します。
救助犬は数秒でお客様の入った箱を見つけ出し、その箱の周りを跳ね回るとともに“ワンワン!”と大きな声で吼えて指導員
に知らせます。これは“バーク ア ラウド”といってまず見つけたら吼えて知らせるように訓練されているために行なう動作で
す。発見後犬があまりに激しく吼えるため、箱に入ったお客様もびっくりしてなかなか箱の外に出ることができない場面もあ
りましたが、救助犬にとって探索は仕事ではなく“遊び”だそうで一緒に遊んでほしい気持ちが強いための動作とのことでし
た。“探索 = 遊び”が、救助犬を探索に駆り立てるモチベーションにつながるのだろうと思いました。彼ら ( 救助犬 ) にとっ
て探索とは、人間でいうところの“かくれんぼ”のようなものかもしれません。
デモンストレーション後、箱に入ったお客様にお話を伺うと“確実に探し当てられたのは訓練のたまものですね”とか“すご
いと思った”など驚きと賞賛のお言葉がありました。
また、デモンストレーションは、柵に囲われた狭小な場所で実施されたため、見学のお客様たちからは“
(救助犬が)柵を越え
てこちらにこないのかしら”とか心配の声も上がっていましたが、無事に終了すると“とても賢いね”だとか“かわいいね”
などの声がありました。お客様の入った箱を救助犬が見つけたときなどは“オオッ”と感嘆の声が出ていました。このような
ことから、当イベントはお客さまが救助犬の存在を認識されるきっかけづくりになったのではないかと感じました。
2 セラピー犬とのふれあい
現在11万頭に及ぶ飼い犬が、捨てられて殺処分されています。理由は様々です
が、
「寂しさ紛れに犬を飼ってはみたものの忙しくて飼育がでなきなくなったこと
」
、「小さい頃からしつけされておらず吼えたりかんだり暴れたりして手に負えな
くなったこと」、「犬が病気になったり老衰したりして通院を要するようになって
経済的負担がかさむこと」など人間(飼い主)の勝手な都合がほとんどです。
そんな捨てられた犬たちを一頭でも救う活動の一環として、協会では捨てられた
犬を“セラピー犬”として再訓練する活動を実施しています。
セラピー犬は、心のケアや慰問に重宝され、老人ホームなどへの慰問のオファー
がひっきりなしにあるそうです。また、被災者の仮設住宅への慰問にも積極的に
赴いているとのことでした。さらに児童への情操教育において、犬との触れ合いは有効であり、ドイツにおいて学校の教室に犬を
入れるほどだそうです。そのようなことから日本においても学校からのオファーもあるとのことでした。
会場に来ていたセラピー犬“ルル”には、イベントブースに訪れた子供のお客様やお年寄りなどが集まって頭をなでたりしてい
ました。“ルル”は数年前、路上で捨てられ腹痛で動けなくなったところを協会の方が見つけ保護し訓練した犬でボランティアの
方が飼い犬として育てられているそうです。捨て犬は、様々な問題(吼えたり、かんだり)を抱えているケースが多いですが、
しつけ(訓練)すれば問題も取り除かれるということをイベントを通じて多くの人に知ってもらうことで、捨て犬の減少につな
がればとのことでした。
3 協会の活動紹介
イベントブースでは、協会の活動パネル展示(山口県防府市と兵庫県佐用町の土
砂災害の救助の様子など)やグッズ販売などを展開し ていました。
一人の幼児(男の子)が、パネルの前でイベントの担当者に熱心に救助犬につい
て質問していました。その子は、将来“消防隊員”になりたいと言っていたこと
から、このイベントが未来の救急現場充実につながるのではと感じました。
4 最後に
協会が阪神大震災後発足して15年が経過し、その間国内外で大
きな災害が発生しました。
災害発生後一秒でも早く現場に赴き行方不明者の探索を試みます
が、日本国内では法律による障害や当協会が民間であるが故の偏
見のため、速やかな救助活動が出来ない状況にあるとのことでし
た。また国外でも災害発生国の受け入れ体制(宗教によっては犬
が入れない国もあるとか)や検疫などで時間を消耗してしまうと
のことでした。その結果、探索しても既に亡くなっていることが
多いそうです。多くの人や国が救助犬の高い探索能力について認
識し、救助犬が活躍できる環境が整備されれば、助けることがで
きる命があるかもしれません。しかし、当協会は、一人でも多くの人命救助のため活動していますが、国からの補助もなくそ
の活動は寄付や該当募金で支えられている状況です。
SAでのイベントを通じて、お客様に救助犬のことを知ってもらったことが、救助犬認知度の向上と救助犬が活躍できる環境
づくりの一助につながることを祈るばかりです。