NewsLetter_Vol354

海外危機管理 Letter
2014.6.20
Vol.354
HEADLINES
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ブラジル: サッカーW杯開催都市で抗議デモ 警官隊と衝突も
ミャンマー: 首都ネピドー 「危機管理センター」始動
スペイン:イスラム過激派戦闘員を勧誘の疑い 8人逮捕
コロンビア:左翼組織ELN 政府との和平プロセス始動へ
エジプト:新大統領就任の祝賀集会で性的暴行 7人逮捕
今週のTOPIC
ブラジル:サッカーW杯開催都市で抗議デモ 警官隊と衝突も
サッカー・ワールドカップ(W杯)が開幕したブラジ
ル・サンパウロの地下鉄駅近くで12日、W杯の開催
に反対するデモ隊数百人が集結し、警官隊と衝突
した。
デモ隊が道路を封鎖しようとしたことから、警官隊
が催涙弾やゴム弾などを使用して強制排除した。こ
の衝突で記者を含む数人が負傷した。
また、リオデジャネイロ(リオ)、ブラジリア、ベロホ
リゾンテ、ポルトアレグレなどの開催都市でも同日、
抗議デモが行われ、警官隊と衝突した。リオでは
数人が負傷したとされる。
一方、サンパウロでは同日、地下鉄のストは回避
されたが、リオでは、3つの空港で11日夜から空港
職員による賃上げを求める24時間ストが決行され
た。また、北東部ナタルでも12日、バス運転手によ
るストが実施された。
ブラジルは、W杯開催費用として110億ドル(約1
兆1,200億円)を投入したとされており、教育や福祉
の充実を求める国民の不満がルセフ政権にぶつけ
られるかたちとなっている。
中国
●新疆ウイグル自治区 テロ関与で13人に死刑執行
中国当局は16日、新疆ウイグル自治区アクス地区、ト
ルファン地区およびホータン地区の裁判所で死刑判決を
受けたテロ実行犯計13人の刑を執行した。13人はテロ
組織を立ち上げ、計7件のテロ事件を計画、実行した。爆
弾の製造や放火、公務員、警察官および市民の殺害な
どの容疑がかけられていた。
また、同日、昨年10月に天安門広場近くにある紫禁城
の入口に車を突っ込ませ炎上、5人の死者と40人以上の
負傷者を出した事件の被告3人に死刑、1人に終身刑、
4人に禁錮5~20年の判決が言い渡された。
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●新疆ウイグル自治区 刃物の男ら遊技場に押し入り
新疆ウイグル自治区ホータン地区で15日夕方、刃物を
持った男3人が遊技場に押し入り、居合わせた4人を襲う
事件が発生した。4人は負傷。
警報ベルが鳴らされたため、周辺の店舗の店主や多数
の人々が防護具などを持って遊技場に駆けつけ、男3人
を取り巻いた。この後すぐに武装警官も出動し、3人に発
砲した。容疑者3人のうち2人は死亡、もう1人は負傷し逮
捕された。
●湖北省 元軍人が小学校で立てこもり 生徒を人質
湖北省潜江市の小学校で10日朝、男が生徒50人と教
師1人を人質にとり、立てこもる事件が発生した。
男は、一時は生徒らと交換で同市副市長を人質とする
ことに同意したが、交渉が決裂し、警察官にガソリンをか
けようとしたため射殺された。男は、ガソリンのほかにも
ナイフや爆発物などを所持していたという。
当局によると、男は土地収用の補償として与えられた
住宅に不満を持っていたとされる。また、男はこの問題
をめぐって役人と諍いを起こしており、事件発生当日、役
人の孫が通う小学校のクラスを狙って押し入ったとみら
れる。男は退役軍人で、過去に窃盗と銃器製造の罪で
服役したことがあるという。
●吉林省 マリファナ製造・販売の20人を逮捕
吉林省白城市の公安当局は11日、複数の省にまたが
って活動していた麻薬組織のメンバー20人を逮捕し、マ
リファナ約700kgと車両1台を押収したことを明らかにし
た。
この麻薬組織は、吉林、黒竜江、遼寧各省でマリファナ
を栽培し、国内北西部を中心に密売していた。組織のリ
ーダーは麻薬の搬送中に逮捕された。同組織は、2013
年に密売を始めて以来、2トン以上のマリファナを売りさ
ばいていたとされる。
パキスタン
●イスラム武装勢力がさらなる報復攻撃を宣言
「パキスタンのタリバン運動(TTP)」は16日、北西部の
連邦直轄部族地域(FATA)北ワジリスタン地区における
パキスタン軍による爆撃の報復として、8日のカラチのジ
ンナー国際空港での襲撃に続き、さらなる攻撃を敢行する
と宣言した。
ミャンマー
● 首都ネピドー 「危機管理センター」始動
ミャンマーでは初めてとなる政府の「危機管理センター
(Crisis Management Centre)」が11日、首都ネピドーで
業務を開始した。同センターはヨーロッパ連合(EU)から
30万ユーロ(約4,100万円)の援助を受けて創設されたも
ので、自然災害や人為災害による緊急事態に対して、政
府の関連機関が相互に連携・調整して即応態勢をとること
を目的としている。
タイ
● プラユット議長 陸軍司令官職にとどまる見通し
タイ軍事政権の最高意思決定機関「国家平和秩序評議
会(NCPO)」のプラユット議長兼陸軍司令官は、今年9月
末に定年退役(60歳)せず、陸軍司令官職に当分とどまる
意向であることがわかった。同議長の側近であるパイブン
陸軍司令官補が18日、報道陣に明らかにした。
同司令官補によると、プラユット議長は、これまで国家の
これに伴いTTPは、外国の投資家や外国の航空会社、
多国籍企業などに対し、巻き添えにならないよう直ちに
パキスタンでの事業を中止し、国外退去をするよう警告
した。パキスタンでは、すでにカラチをはじめとする各主
要都市で、多数の軍兵士や準軍部隊を配置し、警戒態
勢が敷かれている。
また、同センターは「予防と復旧」の両面を重視してお
り、EUは教育訓練プログラムを提供して、現地スタッフ
に運用ノウハウなどを習得させる。
ただ、地元のNGOや研究機関関係者からは、2008年
のサイクロン「ナルギス」被災時の経験に基づき、各地
域の草の根レベルの調整が優先されるべきだとの指摘
も出ている。また、未だに国内各地との通信や交通が不
便なネピドーからの指揮・調整業務が円滑に機能すると
は思えないとの見方もある。
発展を停滞させてきた政治的・経済的な諸問題を自らの
手で一挙に解決する決意を固めており、そのためには、
NCPOの母体であるタイ国軍の最高実力者の地位にと
どまる必要があるという。同司令官補は「問題解決に必
要なのは、能力がある人物ではなく、(同議長のような)
勇気がある人物だ」とも語った。
こうした発言は、NCPOが今年9月にも任命を予定して
いる非民選の暫定首相に、同議長自らが就くことを示唆
しているとの見方も出ている。
フィリピン
●独立記念日 首都圏で反中・反米2つのデモを実施
フィリピン独立記念日(第116回)の12日、マニラ首都圏
マカティ市にある中国領事館(「ワールドセンター・ビル」)
の前で、愛国主義者団体のメンバーら約50人が中国の
「西フィリピン海(南シナ海)」における「傍若無人な侵略
行為」に抗議する集会を開いた。集会の参加者は、同海
域の「アユンギン礁(英語名:セカンドトーマス礁、中国
名:仁愛礁)」でフィリピンが駐屯地としている座礁船の画
像などの横断幕を掲げながら、中国を非難するシュプレ
ヒコールを繰り返した。
一方、マニラ市内のロハス大通り沿いにある米国大使
館前では、急進左派系の学生ら約30人が米比間の軍事
協力強化に反対するデモを行った。デモ隊と警察の機動
隊とが小競り合いとなる場面もあったが、負傷者は出な
かった。
●首都圏ケソン市警察 「移動交番」制度を開始
マニ ラ首都圏最大の都市である ケソン 市警察本部
(QCPD)は、新たに「移動交番(desks on wheels)」制
度を導入し、16日にその出動式を行った。
移動交番は、同市内のショッピングセンター「ロビンソ
ンモール」の周辺など市街地の要衝12ヶ所に設置された。
犯罪発生の通報はもとより、市民が警察に対する苦情な
どを気軽に伝えられるようにすることが狙い。
所定の場所にテントを張ったこの交番は、常時3人の
警察官を配備し、3交替制(24時間体制)で運営する。交
番では、告発や苦情については初期の調書を作成する
が、緊急の刑事事案などについては即座に所轄の警察
署に出動を求めることになっている。
ケソン市は、国立フィリピン大学と私学の名門アテネ
オ・デ・マニラ大学などのキャンパスがある。 QCPDには、
移動交番制度の導入により、安全な学園都市として同市
のイメージ向上を図る目的があるとみられている。
インド
スリランカ
●ウッタルプラデシュ州 性的暴行事件相次ぐ
ウッタルプラデシュ州で12日、首をつった状態の女
性の遺体が見つかった事件で、警察は、女性が性的
暴行を受けたあとに殺害され、木に吊るされたとみて
いる。また、同州では、36時間以内に5件の女性へ
の性的暴行事件が報告されたが、なかには警察署
内で暴行を受けたケースもあった。
国連児童基金(UNICEF)によると、インドでは人口
の半数近い約5億9,400万人が野外をトイレ代わりに
している。インドで最も貧しい州の一つであるウッタル
プラデシュ州では特にトイレをめぐる状況が悪く、女
性が性的被害に遭うリスクが高いとされる。
●南部で仏教徒とイスラム教徒が衝突
コロンボの南方60キロにあるアルトゥガマ(Aluthgama)で
15日、仏教徒のグループとイスラム教徒のグループが衝突
した。警官隊が現場に駆けつけ鎮圧に当たったが、一部が
商店に放火するなど暴徒化した。
アルトゥガマでは、衝突後も仏教徒が集会を開催したため、
当局は夜間外出禁止令を発出した。その後、アルトゥガマに
隣接し、イスラム教徒が居住するベルワラデモでも夜間外
出禁止令が発出された。
この2つの町はスリランカ南部の観光地として知られてい
る。同国の国民の大半は仏教徒で、少数派のイスラム教徒
は全人口の約10%にとどまっている。
マレーシア
● サバ州 中国人男性ら2人が誘拐される
サバ州東部センポルナ沖のティンブンマタ島にある養
魚場で16日未明、マレーシア人男性(ペラ州出身の華
人)とフィリピン国籍の従業員の計2人が小銃で武装した
覆面の男2人に拉致される事件が発生した。
被害者2人は、犯人が別の仲間2人に待機させていた
高速ボートに乗せられたが、地元紙の報道によると、フィ
リピン人従業員は航行中のボートから海中に飛び込み、
自力で海岸まで泳ぎついて救助されたもよう。
スペイン
●イスラム過激派戦闘員を勧誘の疑い 8人逮捕
スペイン警察は16日早朝、首都マドリードでイスラム過
激派のリクルートセンターとみられる拠点12ヶ所に対す
る一斉捜索を実施し、8人を逮捕した。リーダー格の男
は、米軍グアンタナモ収容所に服役していたこともあると
いう。スペイン内務省が同日、明らかにした。
一方、マレーシア人男性はフィリピン領海内に連行され
たことが判明した。犯人はフィリピン南部に拠点を置く身
代金目的の誘拐団とみられ、同国のイスラム過激派組
織「アブサヤフ(ASG)」の一部である可能性が高い。
マレーシアの治安当局はフィリピン当局にも協力を要
請し、男性と犯人の行方を捜索している。サバ州では、4
月2日にも、同じくセンポルナ沖にあるリゾートから中国
人とフィリピン人の女性2人が武装集団に誘拐される事
件が発生した(2人は5月30日に無事解放)。
また、5月6日には、同州の養魚場から中国人男性が
武装集団によってフィリピンに拉致され、現在も人質とな
っている。
8人は、若者をリクルートして、現在、シリアとイラクで
戦闘を続けているイラクのアルカイダ系武装組織「イラ
ク・レバント・イスラム国(ISIL)」の戦闘員として送り込ん
でいた容疑がもたれている。8人はISILのメンバーとみら
れ、一部情報によると、1人はスペイン人、1人はアルゼ
ンチン人で、ほかの6人はモロッコ人とされる。
スペイン当局は、2004年のマドリード列車爆弾テロ以
降、国内のイスラム過激派組織に対する捜査を強化して
おり、これまでの逮捕者は470人以上に及んでいる。
米国
●ロサンゼルス 犯罪組織を一斉捜査 50人逮捕
カリフォルニア州ロサンゼルス(LA)警察は17日、同市
南部に拠点を置く犯罪組織に対する一斉捜査を実施し、
メンバー50人を逮捕したことを明らかにした。
この犯罪組織は約200人のメンバーを抱え、20年以上
前から殺人や強盗、麻薬密売などの違法活動を行ってい
た。
今回、連邦捜査当局ならびにLA警察の警察官約1,300
人が同組織の拠点地域における全面的な捜査を実施し、
殺人、強盗などの容疑でメンバーらを逮捕した。容疑のな
かには、1987年に発生した4件の殺人事件も含まれてい
る。警察は、さらに7人の行方を追っている。
●アトランタ CNN本社ビルへ車が突っ込む
ジョージア州アトランタのCNN本社ビル北棟1階ロビー
で13日未明、マリファナを喫煙しながら車を運転していた
男(22)の車が突っ込む事件が発生した。建物の一部が
破損したが、死傷者は出なかった。
男は、マリファナ所持ならびに麻薬を服用しながら運転
した容疑で警察に逮捕された。警察の取り調べに対し、
男は、マリファナを一晩中喫煙しており、運転中に居眠り
した一瞬のうちに車が建物へ突っ込んだと供述している。
米国では現在、コロラド州とワシントン州のみが嗜好用
のマリファナを合法化しており、ジョージア州では違法と
されている。
●ポートランド 高校で発砲事件 男子生徒1人死亡
オレゴン州ポートランド近郊トラウトデールの高校で10
日、発砲事件が発生し、男子生徒1人が死亡、男性教師
1人が負傷した。
容疑者は同校の男子生徒で、ライフル銃1丁を携えて
校内に入っていったとされる。この生徒はその後、洗面
所で死亡しているのが発見された。銃で自殺を図ったと
みられている。
警察の特殊部隊が出動し、全教室をまわって生徒らを
避難させた。同校では2,800人の生徒が学んでいる。
治安上の懸念は、むしろ開催都市で実施されている抗
議デモにあり、連邦政府は、事態鎮圧のためには警察
によるある程度の強制力行使が必要だと主張している。
ブラジル
●テロ対策はローンウルフによる犯行を第一に想定
ブラジル治安当局は12日、サッカー・ワールドカップ(W
杯)開催中のテロ対策について、ローンウルフ(一匹狼)
型のテロリストによるテロに焦点を置くことを明らかにした。
治安当局のテロ対策は、2013年4月の米・ボストンマラ
ソン爆弾テロのように、イスラム過激派の思想に傾倒した
人物による爆弾テロや生物化学兵器を使用したテロなど
を想定しているという。
当局は、過激派組織に属さない単独のテロリスト(ロー
ンウルフ)によるテロを事前に察知することは容易ではな
いが、もっとも可能性の高いシナリオだとしている。
W杯期間中は、こうしたテロに備えるための訓練を受け
た1,850人が、通常の治安要員17万人のほかに配備され
ている。カルドーゾ法務相によると、現在のところ、差し迫
ったテロ情報はないとされる。
●サンパウロ 日本人が窃盗と短時間誘拐の被害に
サンパウロ中心部セントロ地区の広場で10日夜、サッ
カーW杯観戦に訪れた日本人男性が、W杯の観戦チケ
ット10枚のほか、デジタルカメラ3台、パソコン、現金
1,000ドル(約10万円)、パスポートの入ったバッグを盗ま
れる事件が発生した。男性は、服が汚れていると話しか
けられ、背負っていたバッグを地面に置いて汚れを落と
している隙に被害に遭った。
また同日、サンパウロ郊外で日本人男性が車に乗ろう
としたところ、拳銃を持った3人組の男に脅され一緒に車
に乗り込まれ、銀行の現金預け払い機(ATM)に連れて
行かれる、いわゆる「短時間誘拐」が発生した。男性は、
ATMから引き出した現金4万6,000円相当を奪われたが、
けがなどはなかった。
コロンビア
●左翼組織ELN 政府との和平プロセス始動へ
コロンビア政府と同国第2の左翼反政府組織
「国民解放軍(ELN)」は10日、和平プロセスに向
けた事前協議に入ったことを明らかにした。
政府と最大規模の左翼反政府組織「コロンビア
革命軍(FARC)」との和平プロセスがすでに進
んでいることから、ELNとのプロセスが進めば、
コロンビアの治安改善に向けた大きな進展が期
待できる。
ただ、政府側はELNの武装解除を和平プロセ
ス開始の前提としており、ELNがこの条件を受け
入れるか注目される。ELNは、資金力や組織力
ではFARCに劣るものの、2013年にもノルテ・
デ・サンタンデール県やボリバル県などで誘拐や
治安当局への襲撃などを繰り返してきた。
イラク
●イラク軍とイスラム過激派の攻防続く
イラク政府当局によると、アルカイダ系武装組織「イラク・レバ
ントのイスラム国(ISIL)」は18日、バグダッド北方210キロにある
北部の都市バイジにあるイラク最大の製油施設を攻撃し、同施
設の大半を占拠したとされる。
一方でイラク軍当局は、ISILのメンバー40人を殺害し、ISILを
撃退したとしているが、情報が錯綜しており、詳細については不
明。
デンプシー米統合参謀本部議長は18日、米上院議会で、イラ
ク政府がISILに対する空爆を公式に要請してきたことを認めた。
一方、米国内では、ISILメンバーのみを標的とした空爆を実施
することは技術的に困難だとする見解もあり、米国の今後の対
応は現時点で不透明。
エジプト
●新大統領就任の祝賀集会で性的暴行 7人逮捕
エジプト内務省は9日、首都カイロのタハリール広場で
8日、シシ大統領の就任式を祝う集会に参加した複数の
女性が性的暴行を受けたとして、容疑者の男7人を逮捕
したことを明らかにした。
女子学生は、流血した状態で警察に保護され、病院へ
搬送された。男7人は15歳~49歳で、今月制定された
「セクハラに関する刑罰を規定する法」に基づいて裁かれ
る。
新法では、最長5年の禁錮刑ならびに最高5万エジプト
ポンド(約71万6,000円)の罰金刑のいずれか、または両
方が科せられる。
ナイジェリア
●プラトー州 誘拐された外国人が救出される
ナイジェリア治安当局は16日、中部プラトー州で14日に
何者かに誘拐された外国人男性が15日未明、ナイジェリ
ア特殊部隊に救出されたことを明らかにした。
男性は企業の駐在員で、14日朝、出社しなかったたこと
エジプトでは、2011年のアラブの春によるムバラク政権
崩壊以降、デモや集会に参加する女性が集団暴行され
る事件が後を絶たず、罰則の制定を求める声が高まって
いた。
●暴動教唆で死刑判決のスンニ派宗教学者を逮捕
エジプト警察はカイロで14日、昨年7月のムルシ前大統
領解任に抗議するデモを扇動した罪で、元アズハル大学
のスンニ派宗教学者を逮捕した。この宗教学者は、現在
逃亡中で、今月初旬に逃亡中のまま死刑判決が下され
た被告10人のうちの1人だという。
兄弟と息子とともに車で移動していた際、カイロの検問
所で拘束された。今回の判決では、ムスリム同胞団の関
係者合わせて37人が有罪判決を受けた。
から、誘拐された疑いがあるとして警察に通報されていた。
その後、警察と陸軍による捜索が行われ、男性の居場所
が特定されたため、15日夜に特殊部隊が救出した。
治安当局は、誘拐された男性は英国人だとしているが、
英大使館は、まだ確認できていないとしている。また、犯
行グループについても、現段階では明らかになっていな
い。
鳥インフルエンザ
新種コロナウイルス
●WHOがサウジの巡礼に向けて感染拡大を懸念
世界保健機関(WHO)は17日、サウジアラビアでは、中東呼吸
器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)の感染者数が減少してい
るものの、サウジアラビアの巡礼月を前に、感染拡大への懸念を
示した。
同ウイルスの感染者は、世界で800人以上確認されているが、
その大半はサウジアラビアで発生している。また、感染者約800
人のうち315人が死亡している。
●中国でH7N9型の感染者1人死亡
中国広東省の衛生当局は17日、鳥インフル
エンザウイルスH7N9型の感染者1人が死亡し
たことを確認した。
死亡したのは同省江門市の42歳の男性で、
今月9日に感染が確認されていた。同省では5
月4日にも広州市の患者が死亡したほか、4月
には5人が死亡している。
■渡航情報
【外務省発出渡航情報】
「渡航情報」には、渡航、滞在にあたって特に注意
が必要な場合に発出される情報で、治安情勢や安
全対策の目安を示す「危険情報」、限定された期
間、場所、事項について速報的に発出される「スポ
ット情報」、複数の国や地域にまたがる範囲に発
出される「広域情報」があります。各情報の詳細は
以下のとおりです。
・外務省海外安全ホームページ:
http://www.anzen.mofa.go.jp/
(各国機関リンク)
・米国国務省:
http://travel.state.gov/travel/cis_pa_tw/tw/tw_17
64.html
・カナダ外務省:
http://travel.gc.ca/news-warnings/warnings
・英国外務省:http://www.fco.gov.uk/
・オーストラリア外務省:
http://www.smartraveller.gov.au/
◆日本外務省:6月20日発出渡航情報(最新情報7日分)◆
■危険情報:ヨルダン、グアテマラ、コモロ、マダガスカル■スポット情報:スリランカ(南西海岸の
観光都市における異教徒間の対立事件についての注意喚起)、イラク(ニナワ県モースル等の治
安情勢悪化に伴う注意喚起)、パキスタン(北ワジリスタン地域における対テロ軍事作戦に伴う注
意喚起)、アフガニスタン(治安情勢)、ナイジェリア(FIFAサッカーワールドカップ開催に伴うテロの
脅威等に関する注意喚起) ■広域情報:東アフリカ地域(ソマリアのイスラム過激派組織によるテ
ロの脅威に伴う注意喚起)、ギニア、シエラレオネ、およびリベリアにおけるエボラ出血熱の流行
◆米国国務省、英・豪・加国外務省:6月20日発出渡航情報(7日分) ◆
■コートジボアール:地域により「渡航の是非を検討」(英)■ナイジェリア、ケニア、タイ、イスラエ
ル、ロシア、ベネズエラ:地域により「渡航の延期をお勧め」及び「渡航の是非を検討」(英)■南ス
ーダン:地域により「渡航の延期をお勧め」(米)■イラク:地域により「渡航の延期をお勧め」及び
「渡航の是非を検討」(米)■ソマリア、イエメン、シリア、イラン、アフガニスタン:「退避を勧告しま
す。渡航は延期してください」(加)■アルジェリア、マリ、アゼルバイジャン、タイ、フィリピン:地域
により「渡航の延期をお勧め」(加)■バングラデッシュ、マレーシア、セネガル、ギニア、ブルキナ
ファソ、チュニジア、ヨルダン、インドネシア:地域により「渡航の是非を検討」(加)■エチオピア、ス
ーダン、エリトリア、チャド、イスラエル、パキスタン、レバノン:地域により「渡航の延期をお勧め」
及び「渡航の是非を検討」(加)■コートジボアール、マレーシア、ハイチ、ケニア:地域により「渡航
の是非を検討」(豪)■マリ、ジブチ:地域により「渡航の延期をお勧め」(豪)■アルジェリア、ナイ
ジェリア、エチオピア、ウガンダ:地域により「渡航の延期をお勧め」及び「渡航の是非を検討」(豪)
プロフェッショナルの目
イラクで「イラク・レバントのイスラム国(ISIL)」の攻勢激化
アルカイダ系武装組織「イラク・レバントのイスラ
ム国(ISIL)」は、イスラム主義者および2003年5月
に米軍により解体された旧イラク・バアス党(汎アラ
ブ主義政党)勢力メンバーからなるイラク人主体の
スンニ派反米武装組織である。解散や他組織との
統合を経て2006年10月から前身の「イラクのイス
ラム国(IAI)」としてテロ活動を行ってきた。主な攻
撃対象は、イラク治安部隊やシーア派民兵組織、
外国人である。ISILは、イラクの主要なアルカイダ
系過激派組織「イラクのアルカイダ(AQI)」が敢行
するような一般市民を巻き添えにする無差別のテ
ロを敢行することに反発し、2007年4月にアルカイ
ダの最高指導者オサマ・ビン・ラディン氏に対し、
AQIを訴えたこともあった。
ISILは、今年1月にファルージャ(バグダッドの西
約50キロ)を占拠するなどイラク国内で勢力を拡大
していく一方、戦線を隣国シリアに伸ばし反アサド
戦線に加わった。2013年にはIAIからISILに改名し、
今度は逆に住民を被害に巻き込む過激性を発揮
するようになった。このような状況の中、アルカイダ
本部のザワヒリ首領はISILに対し解散命令を出す
に至った経過があったが、ISILはこれに応じてない。
ISILはイラク国内では、北部モスル、タルアファル、
キルクーク、バイジ、ティクリート、中部ラマディ、フ
ァルージャの各周辺地域、ファルージャ西方のユ
ーフラテス川沿いの地域で勢力を拡大していたが、
今月、さらに攻勢をかけ始めた。10日、ISILの戦闘
員数百人がイラク第2の都市モスルに攻め込み、
イラク軍兵士らがモスルから撤退したため、モスル
市、およびニネベ州の大半を実質的に掌握した。
その後ISILはモスルから南下し、バグダッド北方
150キロのサラーハッディーン州ティクリートを占拠
した。また、ISILはティクリートから約50キロ北方の
イラク最大の石油精製所が所在するバイジへも攻
勢をかけ掌握したとされるが、イラク軍が19日に制
圧したとされる。12日にはバグダッドの西方約70
キロのファルージャの制圧を強め、13日にはバグ
ダッドに向けて進攻を続けた。また16日には、モス
ル西方の北部都市タルアファルを占拠した。ISIL
は17日、バグダッドの北約60キロに位置し、戦略
的に重要な地域のディヤラ州の州都バクバの制圧
を試みたが、イラク政府軍がこれを撃退した。これ
とともにイラク軍はバグダッドの防衛体制を強化し
ている。
一方、イラン政府は否定しているものの、シーア
派主導のイラク政府を支援するため、シーア派政
権の「イラン革命防衛隊」アルクッズ旅団の司令官
がイラク入りし、イラク軍への軍事指導に当たって
いるとされるほか、革命防衛隊500人がすでにイラ
ク入りしたとの情報もある。また米国も、現段階で
は可能性は低いながらも、無人機によるISILをター
ゲットにしたピンポイント爆撃を実施するシナリオも
ある。特に、ISILがバグダッドに攻勢をかけたなら
ば、米国の介入も可能性が高くなるであろう。また、
ISILはバグダッドの西約50キロのファルージャをす
でに支配下においており、バグダッドへの侵攻は
すでに現実味を帯びている。19日、オバマ大統領
は非戦闘要員の軍事顧問団300人をイラクに派遣
し、バグダッドとイラク北部に共同作戦本部を設置
することを明らかにした。しかし、無人機攻撃等に
よる爆撃には未だ否定的である。
今後のイラクでの展開が不透明の状況にある中、
ほとんどの日本企業は、日本人スタッフをイラクか
ら退避させているようだが、まだイラクに滞在して
いる駐在員や出張者がいる場合は、最悪の想定
に基づき、さらなる安全対策を遂行することが求め
られる。とりわけバグダッドの駐在員や出張者は早
急に国外退避することをお勧めする。バスラなどペ
ルシャ湾の近辺に滞在する場合は、空路、陸路か
らの退避に加え、可能であれば海上による退避も
考慮されたい。
【発行・編集】
損保ジャパン日本興亜リスクマネジメント株式会社 リスクコンサルティング事業本部 ERM部 企画グループ
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・WHO、米疾病対策センター(CDC)
・(一社)日本在外企業協会、その他サイト