労働協約改定交渉合意 - 阪急阪神交通社グループ労働組合連合会

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阪急交通社労働組合
第4巻 第10号
2013 年 12 月 12 日
http://www.heiu.net
~ 団 体交 渉開 催 ~
労働協約改定交渉合意
12月2日(月)11時より、ハービスOSAKA16階会議室において団体交渉を開催し、2014年4月
の労働協約改定について合意しましたので、合意内容及び交渉経緯を報告します。
日
時:2013年12月2日(月)11:00~11:15
場
所:ハービスOSAKA16階
出
席:(組合)津和崎執行委員長、工藤執行副委員長、石井書記長、大西書記次長
会議室
:(会社)森河取締役専務執行役員、富澤総務人事副部長、甲斐人事課長、菅沼人事副課長
◆ 労働協約改定組合要求について
労働協約改定組合要求について
【育児・介護に関する改定】(正社員・リージョナル社員)
組合要求項目
合意内容
第11条
合意せず継続協議
(育児短時間勤務の対象者)
第13条(育児短時間勤務の期間)
詳細
期間延長について会社提案をもと
に継続協議。
組合は、今後の日本の急速な少子化の進行、男女ともに働きながら子の養育や家族の介護ができる環境の整備
を踏まえ、社員が仕事と育児とが両立できる環境(ワークライフバランス)の整備を会社に要求しました。
第11、13条については、正社員のみが現在、一部条件付きで小学校3年生まで育児短時間勤務が取得でき
ますが、組合は今回、条件の撤廃とリージョナル社員への適用拡大を要求しました。会社は、当初制度適用期間
の延長は職場への負担が大きいとして慎重な意見を示していましたが、他社の制度の現状や取得状況などを参考
に当社での導入の必要性を訴えた結果、会社は現在の取得状況も踏まえ、正社員のみ臨給算定基準を変えるので
あれば小学校3年生まで延長してもよいという考え方を示しました。現状、育児短時間取得中は臨給からは賃金
控除されておらず、班会において組合員に説明していない状況では判断できない旨を会社に伝え、継続協議とし
たいと申し入れ、会社も理解を示しました。今後は育短取得者との意見交換会を開催し、結論を出したいと考え
ております。
【予防接種に関する補助について】(正社員・リージョナル社員)
組合要求項目
合意内容
予防接種の補助に風疹を追加する
詳細
合意せず
組合は、インフルエンザと同様に社内での感染予防を行うことがより職場衛生を良くし、より働きやすい職場
となること、また、産休直前まで働く妊婦が増えている現状も踏まえ、風疹による感染が胎児に影響も与えるこ
とから予防接種の補助を会社に要求しました。会社は、病気の感染予防については本来は個々人が注意して行う
べきものであり、風疹については、現状沈静状態に向かっており必要性は無いとし、インフルエンザとは性質が
違うという考え方を示しました。
1
組合では社内感染が起こった際の事業継続への影響などのリスクも訴えましたが、最後まで会社との考え方の
溝は埋まることがなく、今回の交渉での合意を断念しました。
しかし、会社は従業員が職場において業務を遂行するにあたり、必要と思われる安全衛生に関する措置につい
ては実施していくとしました。組合も中央衛生委員会や事業所での衛生委員会で組合側委員より感染症予防対策
について提起していきます。
【出産・育児・介護退職者の再雇用に関する改定】(正社員)
組合要求項目
合意内容
第1条(再雇用)
第2条(対象者)
詳細
組合要求通り合意
組合は、仕事を継続する意思と能力があるにも関わらず、国内・海外を問わず配偶者の転勤により退職を余儀
なくされる社員に対して、「配偶者の転居に伴う転勤」で退職した場合の項目を追加要求しました。当社で働い
た経験のある人材の確保と社員それぞれの事情に合わせた働き方の選択肢を広げることは、労使双方にとって有
用であると訴えました。会社は、今後の労働力確保の観点からも制度を導入するメリットは大きいと判断し対象
者の追加について合意しました。
【リージョナル社員労協に関する改定】
組合要求項目
第86条(産前・産後休暇)
第87条(育児時間)
第78条(年次有給休暇)
第80条(年休の有効期限)
9月1日現在
〃
〃
〃
〃
〃
〃
合意内容
詳細
合意せず現行通り
合意せず現行通り
組合要求一部合意
合意せず現行通り
勤続満6ヵ月の者
勤続満6ヵ月を超え1年6ヵ月以下の者
勤続満1年6ヵ月を超え2年6ヵ月以下の者
勤続満2年6ヵ月を超え3年6ヵ月以下の者
勤続満3年6ヵ月を超え4年6ヵ月以下の者
勤続満4年6ヵ月を超え5年6ヵ月以下の者
勤続満5年6ヵ月を超える者
10労働日
12労働日
労働日
12
13労働日
13労働日
14労働日
16労働日
18労働日
20労働日
2008 年に組合員となったリージョナル社員の労働条件の拡大については、2009 年・2011 年の労働協約改定時
に、雇用形態で労働条件に差異を設ける必要がないと判断できる規程について要求を行いました。今回の要求に
関してもそのスタンスは変わることなく正社員との待遇の差を少しでも縮めることがリージョナル社員のモチ
ベーションアップへ繋がるものであると考えます。2013 年 4 月に労働契約法が改定され、その中で有期契約労
働者と無期契約労働者との間で、期間の定めがあることにより不合理に労働条件を相違させることを禁止するル
ールが制定されました。組合では改めて規程の確認を行い、その中でも特に妊産婦への配慮や育児支援に関して
は、正社員・リージョナル社員と差を付ける事は改正労働契約法の趣旨からも決して望ましくないものと判断し
今回の要求を行いました。また、年次有給休暇についても現状はほぼ法律通りの規程で与えられていますが、正
社員のような皆勤者に対してのインセンティブはリージョナル社員のモチベーションのアップにつながること
は間違いないことから要求を行いました。会社は、雇用形態が違う以上すべての労働条件を正社員と同じとする
考えはないとしましたが、皆勤者に対してのインセンティブについては組合要求の水準とは異なるものの、一部
の勤続年数に対して有給休暇を上乗せして付与することとしました。
また、労働契約法の改正においても組合が要求している部分に関しては法律に抵触するとは考えていないとし
ました。組合としては、法律が改正されて間もないばかりでもあり、個別の判例も示されていないことから現在
の当社の規程が労働契約法に抵触するかどうかの判別は出来ないと判断し、今回の交渉での合意は断念しました。
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しかしながら会社は、正社員制度も含めた労働契約法の改正に対応した新たな社員制度が必要と考えており、
組合はその導入に向けた協議の中でリージョナル社員の労働条件の改善について協議していくことを確認しま
した。
【新設項目・食事補助】(正社員・リージョナル社員)
組合要求項目
合意内容
福利厚生としてチケットレストラン
制度の導入を行う
詳細
合意せず
組合は福利厚生の充実と組合員からの強い要望があったチケットレストランの要求を行いました。しかし、会
社は、全社員一律に支給するというバラマキのような制度ではなく、教育・学習や交流など社員および会社のた
めになる制度であれば検討するとしました。また、2004 年の廃止以降、会社は従業員へは給与(業績連動)で
還元しており、チケットレストランを導入するのならば臨給の固定ヵ月数の引き下げも考えるとし、組合・会社
の溝は埋めることはできませんでした。組合は今後の福利厚生のあり方について議論・検討していき、組合員に
も意見を聞いた上で、双方にメリットがあるものを提案していきたいと考えています。
◇ 労働協約改定会社提案について
労働協約改定会社提案について
【労働協約書】
会社提案項目
合意内容
第3条(組合員、非組合員の範囲) 会社提案にて合意
第4条(適用範囲)
会社提案にて合意
詳細
第21条(就業期間中の組合活動)
第29条(採用)
第37条(表彰事由)
第40条(懲戒事由)
会社提案にて合意
会社提案にて合意
会社提案にて合意
会社提案にて合意
第72条(賃金ならびに退職金から
の控除)
会社提案にて合意
第74条の2(退職金標準額の算
出)
第74条の7(第1表適用の退職事
由)
第74条の8(第2表適用の退職事
由)
第74条の9(諭旨解雇)
第74条の10(退職金を支給しな
い場合)
第74条の12(私傷病による退職
者)
第136条(有効期間、改廃手続)
会社提案にて合意
組合員の範囲を明確化
協約書の適用範囲を正社員に限定
する
会社再編による文言修正
会社再編による文言修正
永年勤続の期限明示
現行でも従業員の義務となってい
る出退勤時間を勤怠簿に正確に申
告しない場合の懲戒事由の明確化
KHD解消に伴う文言修正
語学スクールとの契約がないため
削除
退職金支給規程に合わせるため
会社提案にて合意
退職金支給規程に合わせるため
会社提案にて合意
退職金支給規程に合わせるため
会社提案にて合意
会社提案にて合意
退職金支給規程に合わせるため
退職金支給規程に合わせるため
会社提案にて合意
退職金支給規程に合わせるため
会社提案にて合意
協約の有効期間を2年間延長
3
【労働組合との協定書・覚書】
会社提案項目
3-3超過勤務手当の割増算出方
法に関する協定書
第59条(時間外勤務手当)
第62条(深夜時間外勤務手当)
【就業規則】
会社提案項目
合意内容
合意せず現行通り
合意せず現行通り
合意内容
第37条(新入社員に最初に付与さ
れる年休)
第41条(年休の出勤率算定)
会社提案にて合意
第43条(有給休暇)
会社提案にて合意
第47条(休暇の手続)
会社提案にて合意
第98条(懲戒事由)
会社提案にて合意
【リージョナル社員労働協約書】
会社提案項目
詳細
会社提案にて合意
合意内容
詳細
就業規則への反映が無かったため
修正
看護休暇(無休含)の際の算定率取
扱いを明文化
「社内諸手続」を廃止するため長期
休暇等の手続きを明文化
法律上付与が義務付けられている
休暇以外を与えない
現行でも従業員の義務となってい
る出退勤時間を勤怠簿に正確に申
告しない場合の懲戒事由の明確化
詳細
第3条(組合員、非組合員の範囲)
第20条(就業時間中の組合活動)
第28条(採用)
第31条(アシスタントスタッフ・
アルバイトからの変更)
第32条(リージョナル社員リーダ
ーの任用)
第33条(社員への登用)
第57条の3(賃金の構成)
第67条(賃金からの控除)
会社提案にて合意
会社提案にて合意
会社提案にて合意
会社提案にて合意
組合員の範囲を明確化
会社再編による文言修正
就業規則・賃金規程に合わせるため
就業規則・賃金規程に合わせるため
会社提案にて合意
就業規則・賃金規程に合わせるため
会社提案にて合意
会社提案にて合意
会社提案にて合意
第82条(年休の算定率算出)
会社提案にて合意
就業規則・賃金規程に合わせるため
就業規則・賃金規程に合わせるため
語学スクールとの契約がないため
削除
看護休暇(無休含)の際の算定率取
扱いを明文化
就業規則に合わせるため
協約の有効期間を2年間延長
第89条の5(無届欠勤)
会社提案にて合意
第108条(有効期間、改廃手続) 会社提案にて合意
【リージョナル社員就業規則】
会社提案項目
合意内容
第31条の4(無届欠勤)
会社提案にて合意
第85条(退職)
会社提案にて合意
4
詳細
法律上の解雇予告の適用除外とな
る事由に合わせた変更
行方不明期間は、解雇予告期間と同
第87条(契約解除)
【H・Kステージ賃金規程】
会社提案項目
会社提案にて合意
合意内容
第11条(超過勤務手当)
会社提案にて合意
第20条(賃金からの控除)
会社提案にて合意
(別表4)
会社提案にて合意
(別表8)
会社提案にて合意
条文追加
会社提案にて合意
【リージョナル社員賃金規程】
会社提案項目
合意内容
じ30日に合わせた変更
法律上の解雇予告の適用除外とな
る事由に合わせた変更
詳細
現行の表を削除し新たに別表10
を追加
語学スクールとの契約がないため
削除
「阪急阪神 未来のゆめ・まち基金」
への寄付金を追加
現行の取扱に合わせた内容の明文
化
現行の取扱に合わせた内容の明文
化
15分単位の時間計算は超過だけ
でなく、勤務時間不足の場合でも使
用しているので、併用できるように
明文化
詳細
第9条(超過勤務手当)
会社提案にて合意
「月例賃金」
・
「月例給与」の文言を
そろえるため修正
第10条(臨時給与)
第15条(賃金からの控除)
会社提案にて合意
会社提案にて合意
第17条(欠勤時の取扱)
会社提案にて合意
語学スクールとの契約がないため
削除
欠勤控除の際、正社員と同じく日額
支給について明記し、単純控除では
なく第17条2の計算方法で行っ
ているため、元の条文を削除し現行
の運用に準拠する。
【転勤者の取扱】
会社提案項目
合意内容
6.住宅の取扱
会社提案にて合意
7.単身赴任の取扱
会社提案にて合意
8.新幹線等による通勤
会社提案にて合意
5
詳細
既に追加されている業務用社宅の
明記
名古屋・福岡の家賃上限の引上げ
「社内諸手続」を廃止するため文言
修正
通勤手当規程第9条に合わせるた
め
【借上げ社宅取扱規程】
会社提案項目
第4条(フランチャイズの変更)
第7条(物件の選定基準)
合意内容
合意せず現行通り
会社提案にて合意
第10条(補修費用の負担)
会社提案にて合意
第18条(借上社宅の取扱の終了) 会社提案にて合意
(別表2)
(別表3)
【社員貸付金規程】
会社提案項目
会社提案にて合意
会社提案にて合意
合意内容
第5条の2(併用返済)
会社提案にて合意
第6条の2(併用返済)
会社提案にて合意
【休職規程】
会社提案項目
合意内容
第9条(復職)
会社提案にて合意
第19条(休職期間)
会社提案にて合意
【半日年休規程】
会社提案項目
条文追加
【定年退職者再雇用規程】
会社提案項目
第9条(有給休暇)
【定年退職再雇用者就業規則】
会社提案項目
第56条の2(超過勤務手当)
合意内容
会社提案にて合意
合意内容
会社提案にて合意
合意内容
会社提案にて合意
6
詳細
更新時に上限額を超えた場合の対
応を明文化
退去時の精算基準を明確化
個人的な理由で退去した際に取扱
が終了する旨の明文化
名古屋・福岡の家賃上限の引上げ
名古屋・福岡の家賃上限の引上げ
詳細
管理職の併用返済時の即時返済へ
の運用についての明文化
現行内容の明文化
詳細
復職の際に会社が復職者の手続き
で行っている内容の明文化
出向休職期間を国内出向規程に合
わせる。
詳細
育児時間取得者が半日年休を取得
する際の勤務管理の明文化
詳細
付加休暇は翌年度への持越しがな
いため規程の明文化
詳細
超過勤務した際の計算方法の明文
化
◆2013年労働協約改定交渉総括
2013年労働協約改定交渉総括
2013労働協約改定交渉については、8月の定期大会にて決議された方針に基づき①これまでの交渉・協議
を踏まえ、改めて制度の見直しをおこない、改定の必要性について検討をおこなう。②将来の労働関係法令改定
を踏まえた項目の検討をおこなう。③企業の社会的責任に対応すべき項目の検討をおこなう。この3つの基本ス
タンスをもとに要求案を策定し、交渉に臨みました。阪急交通社・阪急阪神エクスプレスとして制度全般的な労
働条件の中で両社が共通して抱える問題においては、同項目での要求内容とし、集中交渉期間についても2単組
同時設定としました。
今年4月に中間持株会社を解消して後、初めて各会社との集中交渉となりました。組合も従来のグループ労連
での一括交渉ではなく各単組執行部が中心となり交渉を進めていくこととなりました。また、従来は交渉期限を
設定していなかったため、交渉期間が長期間に渡り、組合員の関心の低下も指摘されたため、今回は交渉期間を
11月一杯に設定し、短期間で集中的に会社と交渉を行いました。お互いがより本音の部分を語ることが出来た
ことが今回の交渉の結果にも影響しているのではないかと考えています。
個々の要求内容を検証した際には、組合は正社員とリージョナル社員の待遇の格差の是正について要求を続け
ていますが、組合・会社双方の主張に大きな隔たりはあるままでした。今回の交渉でも会社は正社員とリージョ
ナル社員では雇用形態が違う以上は待遇の部分で差はあってしかるべしという立場は変わりません。組合は従来
から雇用形態や業務内容とは直接関係のない部分の差については埋めるべきであるとの主張を引き続き行いま
した。両社の溝は最後まで埋めることは出来ませんでしたが、会社は正社員制度も含めた労働契約法の改正に対
応した新たな社員制度が必要と考えており、組合はその導入に向けた協議の中でリージョナル社員の労働条件の
改善について協議していくことを確認しました。
福利厚生全般において、会社は全社員一律に支給するというバラマキのような制度ではなく、教育・学習や交
流など社員および会社のためになる制度であれば検討してきたいとしました。限りある原資(費用)をいかに社
員・会社双方の発展のために使えるかを検討・提案していく必要があると考えます。
今後も社会や法律変化に対応し労働協約も改定を行っていかなくてはなりません。現在は2年に一度の集中的
な交渉を行っていますが、変化のスピードが激しい現在、今の交渉のあり方を続けていくことが良いのかどうか
は今後、組合内でも検討していかなくてはなりません。
最後になりますが組合員の皆さんの温かいご支援に感謝します。
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