5月の主要経済指標の解説 ~マクロ指標は改善傾向も

BTMU(China)経済週報
2014 年 7 月 2 日 第 210 期
BTMU(China)経済週報
2014 年 7 月 2 日 第 210 期
5 月の主要経済指標の解説
~マクロ指標は改善傾向も、実体経済は依然低迷
トランザクションバンキング部
中国調査室
メイントピックス...................................................................................................................... 2
5 月の主要経済指標の解説
~マクロ指標は改善傾向も、実体経済は依然低迷.............................................2
稲垣清の経済・産業情報 ........................................................................................................ 6
中国の化粧品市場 ~2020 年に 5 兆円市場 ........................................................................................................6
全国情報 ............................................................................................................................. 8
【マクロ経済】 .............................................................................................................................................................8
地方政府は第 13 次 5 ヵ年計画の前期研究に ..................................................................................................8
養老保険上層方案は年内に公布される見込み.................................................................................................8
18 省が不動産統一登記を稼動、関連条例は月末に打ち出されるか...............................................................8
HSBCのPMI指数、6 ヶ月ぶりに 50 を超過 ........................................................................................................8
【金融】.......................................................................................................................................................................9
RQFIIがフランスに拡大、限度額は 800 億元 ....................................................................................................9
中国の億万長者は 75 万人超、世界第 4 位 ......................................................................................................9
銀行理財商品の累計募集額は 68 兆元に .........................................................................................................9
【産業】.......................................................................................................................................................................9
レアアース採掘総量が 1.12 万トンの増枠も、需要満たせず .............................................................................9
国有企業改革指導意見の発表は延期するか ..................................................................................................10
国内大・中規模鉄鋼企業は 1~5 月に黒字転換.............................................................................................10
原子力発電プロジェクトの審査認可を加速 ......................................................................................................10
1-5 月の電力使用量は前年同期比 5.2%増 .....................................................................................................10
住宅担保年金を 7 月から 4 都市で試行 ..........................................................................................................11
【政策】.....................................................................................................................................................................11
食品安全法改定案、ネット食品販売も監督管理の対象へ ..............................................................................11
地方情報 ........................................................................................................................... 12
【北京】上半期の新築住宅販売が低迷.............................................................................................................12
【上海】浦東空港第 3 期拡張工事計画が公表.................................................................................................12
【黒竜江】3,000 万元の投資計画.......................................................................................................................12
【深セン】国有企業の改革深化は全国に先行 ..................................................................................................12
【青島】1~5 月ハイテク製品の輸出入が急増 ..................................................................................................12
【四川】天府創新センター 今月中運営開始....................................................................................................12
BTMUの中国調査レポート(2014 年 6~7 月) ........................................................................ 13
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メイントピックス
5 月の主要経済指標の解説
~マクロ指標は改善傾向も、実体経済は依然低迷
6 月 13 日、国家統計局は 5 月の主要経済指標を公表した。主要マクロ経済指標は 4 月対比で改善傾向を示
したが、改善トレンドが継続できるかは引き続き注視する必要がある。本稿では、5 月の主要経済指標を取りま
とめ、景気減速に直面する政府の対応策及び今後の政策展望について考察してみた。
※以下の全ての図表は国家統計局などの公表を基に当行作成。
Ⅰ.5 月の主要経済指標
【鉱工業】鉱工業生産高は+8.8%と加速
5 月の規模以上(年商 2,000 万元以上)鉱工業企業の付加価値ベース生産高は前年比+8.8%と、4 月より 0.1
ポイント加速した。うち、鉱業は前年比+4.3%と 4 月より 0.2 ポイント鈍化したが、製造業(同+9.9%)と電力、ガ
スおよび水の生産と供給業(同+4.6%)はそれぞれ前月より 0.1 ポイントと 1.2 ポイント加速した。41 業種のうち
39 業種がプラスの伸びを維持し、特に鉄道・船舶・航空とその他運輸設備製造業(同+14.1%)、自動車製造
業(+13.4%)、化学原料と化学製品製造業(同+10.8%)などが好調。
5 月、規模以上工業企業の利潤総額は前年同月比+8.9%、伸び率は 4 月より 0.7 ポイント低下した。その内、
メイン業務の利潤額は同+9.1%と 4 月より 0.8 ポイント拡大した。利潤増加額の大きい業界は自動車、電力、
電気機械、非金属鉱物製品、計算機製造の 5 業界で、製造業利潤額の伸びに 77%貢献した。
一方、工業企業のメイン業務収入の伸び率は 7.02%に、1‐5 月の累計ベースでは 8.1%にそれぞれ低下し、
いずれも過去の最低水準であった。
1‐5 月の完成品在庫は前年同期比+12.5%と、1‐4 月より 0.5 ポイント上昇し、引き続き悪化している。
図表1 工業生産と発電量の推移
前年比,%
図表2 規模以上工業企業の業績( 累計ベース)
18
発電量
16
工業増加値
利潤総額
メイン業務利潤額
25
20
14
12
15
10
10
8
メイン業務営業収入
5
6
0
4
2014年4月
2014年2月
2013年12月
2013年10月
2013年8月
2013年6月
2013年4月
2013年2月
2012年12月
2012年10月
2012年8月
2012年6月
2012年4月
2012年2月
2014年5月
2014年1-2月
2013年10月
2013年7月
2013年4月
2012年12月
2012年9月
2012年6月
2012年3月
2011年11月
-10
2011年8月
0
2011年5月
-5
2011年/1-2月
2
【投資】不動産開発投資は継続鈍化、インフラ投資は加速
1-5 月の固定資産投資総額は前年比+17.2%の 15 兆 3,716 億元で、伸び率は 1-4 月より 0.1 ポイントの低下。
5 月の固定資産投資は前年同月比+16.9%、4 月より 0.3 ポイント加速した。
業種別にみると、1‐5 月の工業投資は前年比+14%と 4 月より 0.6 ポイント減速した一方、インフラ投資は同
+25%と同 2.2 ポイント加速した。
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1-5 月の不動産開発投資は前年同期比+14.7%と、1-3 月の+16.8%、1-4 月の+16.4%から引き続き鈍化し、
2012 年以降の最低水準に転落した。各項目をみると、住宅販売面積は前年比▲7.8%、販売総額は同
▲8.5%といずれも低下し、下落幅は 1-4 月よりいずれも 0.9 ポイント拡大した。一方、3 月末の在庫面積は 5
億 3,402 万㎡で、4 月末より 750 万㎡増加した。
(ご参考)
国家統計局が 18 日に発表したところによると、全国 70 中堅都市の 5 月の新築住宅価格は、15 都市で前月比上昇し、
下落した都市は 35 都市、横ばいは 20 都市であった。下落と横ばいの都市数は 55 と、過去最高となった。前年同月比
で上昇したのは 69 都市であるが、全体の上昇率が縮小している。上海の上昇率が 15.5%と最も高く、その他の一線都
市(北京・広州・深セン)の上昇率はいずれも 15%以下に低下した。
図表3 固定資産投資の伸び率( 累計ベース)
前年比%
図表4 インフラ関連固定資産投資の伸び率
( 累計ベース)
前年比%
38
50
固定資産
投資全体
34
交通、倉
庫と郵政
40
30
30
製造業
26
電力、ガ
ス、水
20
10
22
18
水利施
設、環境
と公共施
設
0
不動産
-10
10
-20
2014年5月
2014年2月
2013年11月
2013年8月
2013年5月
2013年2月
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2011年11月
2011年8月
2011年5月
2011年2月
2014年5月
2014年2月
2013年11月
2013年8月
2013年5月
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2012年5月
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2011年8月
2011年5月
2011年2月
2010年11月
2010年8月
2010年5月
2010年2月
14
【消費】消費財小売売上総額は+12.5%と安定推移
5 月の社会消費財小売売上総額は前年比+12.5%の 2 兆 1,250 億元で、伸び率は 4 月の+11.9%から 0.6 ポ
イント加速した。一方、価格要素を除いた実質伸び率は 10.7%、4 月より 0.2 ポイント低下した。
うち、(3 月から導入した)ネット通販(小売)を示す指標である「限定額以上(年商 200 万元以上)企業のネット
通販売上高」は同+53.2%の 435 億元。単月の伸び率では、3 月が+51.7%、4 月が+52.0%、5 月が 53.2%と継
続拡大した。一方、限定額以上企業の消費財小売売上高は前年比+9.9%の 1 兆 560 億元。品目別にみると、
通信器材(前年比+25.3%)や、家具(同+15.1%)などは販売好調。
図表6 月次ベース小売額の推移( 業界別)
図表5 月次ベース社会消費財小売総額
前年比%
25
前年比%
45
名目伸び率
20
家電
通信機器
自動車
40
家具
建材
35
実質伸び率
30
15
25
20
10
15
10
5
5
0
-5
0
2014年3月
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2013年8月
2013年5月
2012年12月
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2012年3月
2011年11月
2011年8月
3
2011年5月
2011年2月
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2013年7月
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2013年1月
2012年7月
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2011年7月
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2010年7月
2010年1月
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【貿易】輸出と貿易総額ともプラスへ
5 月単月の貿易総額は前年同期比+1.5%の 2 兆 1,800 億元(ドル建て:3,550 億ドル)。うち、輸出が同+5.4%
の 1 兆 2,000 億元(ドル建て:+7%の 1,955 億ドル)、輸入が同▲2.9%の 9,800 億元(ドル建て:▲1.6%の 1,596
億ドル)、貿易黒字は 2,204 億元で 70.3%拡大した(ドル建て:+74.9%の 359 億ドル)。5 月の貿易総額と輸出
の伸び率はいずれもプラスに転じた。
1~5月の貿易総額は前年同期比▲2.2%の10兆3,000億元(ドル建て:+0.2%の1兆6,791億ドル)。うち、輸出
が同▲2.7%の5兆4,000億元(ドル建て:▲0.4%の8,752億ドル)、輸入が同▲1.6%の4兆9,000億元(ドル建て:
+0.8%の8,039億ドル)。国・地域別の貿易額伸び率をみると、対欧州連合(EU)は+9.1%、対米は+2.6%、対
アセアンは+1.2%、対日が+1.1%、といずれも増加した一方、対香港は▲28.3%とマイナス圏で推移した。
【物価】CPI は+2.5%、PPI は▲1.4%
5 月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比+2.5%と、4 月の同+1.8%から 0.7 ポイント上昇した。品目別にみる
と、食品価格は前年同月比+4.1%、食品以外は同+1.7%。5 月の生産者出荷価格(PPI)は前年同月比で▲
1.4%、4 月の▲2.0%からマイナス幅が縮小した。
図表7 月次輸出入の推移
前年比%
100
貿易収支
輸出伸び率
輸入伸び率
80
図表8 物価推移
前年比%
10
億米ドル
1000
900
800
700
600
500
400
300
200
100
0
▲ 100
▲ 200
▲ 300
▲ 400
60
40
20
0
PPI
4
2
0
▲2
▲4
▲6
▲8
2014年1月
2013年7月
2013年1月
2012年7月
2012年1月
2011年7月
2011年1月
2010年7月
2010年1月
2009年7月
2009年1月
2008年7月
2008年1月
2014
2013
2012
2011
2010
2007年7月
▲ 40
6
2007年1月
▲ 20
CPI
8
【金融】M2 は+13.4%、人民元貸出純増額は 8,708 億元
5 月末時点の M2 残高は前年同月比+13.4%の 118 兆 2,300 億元、伸び率は 4 月末時点より 0.2 ポイント上
昇した。人民元貸出純増額は 8,708 億元と前年同月比 2,014 億元増加し、人民元預金純増額は 1 兆 3,700
億元と同 1,108 億元の減少。
図表9 社会融資規模の推移
( 増加額)
億元
32000
30000
28000
26000
24000
22000
20000
18000
16000
14000
12000
10000
8000
6000
4000
2000
0
-2000
金融業以外企業株式融資
企業債券
未割引銀行引受手形
信託貸出
16,113
委託貸出
13,190
6,448
10,501
7,747
8,708
外貨貸出(人民元換算)
人民元貸出
4
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2014年4月
2014年3月
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2013 年1 2月
5 月の社会融
資規模は 1 兆
4,000 億元で、
前年同期比
2,174 億元増
加した。1~5
月の社会融
資規模は 8 兆
5,800 億元、
同 5,329 億元
の減少となっ
た。
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2014 年 7 月 2 日 第 210 期
【財政】地方財政の支出は 4 月より 30 ポイント加速
5 月の財政支出は前年同月比+24.6%、伸び率は 4 月より 13.5 ポイント加速した。うち、地方財政支出は同
+26.9%、伸び率は 4 月より 30 ポイントも加速した。
Ⅱ.政府の対応及び今後の政策動向についての展望
5 月の経済指標について、以下の通りコメントする。

5 月の工業生産及び消費、投資、輸出の三大需要は 4 月対比でいずれも改善がみられ、経済の更な
る減速には歯止めがかかった。経済の先行指標である HSBC の PMI 指数も好転し、6 月に 50.8 と 7 ヶ
月ぶりの最高値を更新し、今年初めて好況・不況の分かれ目である 50 を上回った。

一方、工業生産は低水準での改善にとどまり、営業収入は伸びが鈍化、在庫も悪化している。実体経
済は年初来の低迷が続いている。

インフラ投資の拡大は設備投資と不動産投資の減速を完全に補填できずに、投資全体の伸びは緩や
かに低下している。5 月の経済指標の改善は、政府の小刻みの刺激政策並びに外需の回復によるとこ
ろが大きい。特に鉄道やバラック改造向けの財政支出の拡大とインフラ投資への金融支援が経済を下
支えしている。こうした政策効果が 6 月以降更に顕現化してくる見込み。
今後の政策動向については、まず金融政策は経済のデレバレッジや構造調整が優先されるなか、引き続き
安定維持が基調であり、全面緩和は期待し難い。一方、農業や小型企業など特定分野に限定される金融緩
和は継続されるが、全体経済に占める割合が小さいため、どれだけ実体経済を支えられるか疑問視される。
財政政策に関しては、地方債券の自主的発行対象の拡大が決定され、その第 1 弾として 6 月 23 日に広東
省政府債券が発行された。6 月 26 日に、国家開発銀行の住宅金融事業部の新設申請が中国銀行業監督管
理委員会の許可を取得し、バラック改造など主に保障型住宅の建設を支持する機構として発足。6 月 27 日に、
住宅・城郷建設部の部長に遼寧省のバラック改造で実績をつくった陳政高が任命された。銀河証券の試算
によれば、バラック改造で 1 軒当たり 50 平米、1 平米 2,000 元の投資とすれば、470 万軒の改造は 5,000 億
元の投資需要を作り出せる。さらに、既存住民の立ち退き資金、鉄鋼やセメントなど関連投資の需要牽引効
果を合わせて考えれば、1 兆元の投資需要が見込まれる。民生改善と投資拡大という「一石二鳥」効果がもた
らされる「バラック改造」が下半期の重点政策となろう。前回週報にまとめられた微調整政策
https://Reports.btmuc.com/File/pdf_file/info001/info001_20140617_001.pdf
に関して、国務院は 6 月 25 日から政策の執行状況について地方に 8 グループを派遣して検査を始めた。新
政策の策定よりは、既に発表された政策の徹底化が下半期の経済工作の重点だとみられる。
5 月のマクロ経済指標が改善したといっても、経済の底上げとは断定しきれない。実体経済の不振、不動産投
資の減速と製造業の過剰生産は相乗して経済成長のマイナス材料になっている。経済の底がどこにあるかは
引き続き 6 月の経済指標を見る必要がある。
三菱東京 UFJ 銀行(中国)トランザクションバンキング部
中国調査室 石洪、胡柳
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稲垣清の経済・産業情報
中国の化粧品市場 ~2020 年に 5 兆円市場
Ⅰ 市場規模—男性化粧品も有力市場
中国の改革・開放から 30 年以上が経過する。開放の内容は多岐に亘るが、中でも、女性のファッション、化粧
市場の開放が最もビジュアルで、かつ速いスピードで進んでいる。北京や上海を歩いても、香港や東京と変
わらないおしゃれな女性が増えており、地下鉄内でみる人々の服装もじつにバラエテイーに富んでいる。
化粧品といえば、これまでは女性市場だけが対象とみられていたが、今の中国では男性化粧品はもとより、子
供、お年寄り(シルバー)までその対象が広がっている。かつては、シャンプーなど使わなかった中国の殿方
も、いまやブランドのシャンプーやオーデコロンを使うようになった。これこそが、「革命」といわず、何とよんだ
らよいであろうか。尤も、中国の男性はまだ一人で化粧品店に入ることに抵抗があり、ガールフレンドと一緒に
みてもらう傾向があるという。
さて、その中国の化粧品の定義は、口紅などのコスメティックだけではなく、シャンプーなど「バス・シャワー」や
「歯磨き」(オーラルケア)を含んでいる。その定義に従った場合の市場規模は、英国の調査会社ユーロモニ
ターによると、2013 年で、1625 億元(約 2.6 兆円、260 億ドル、売上額ベース)であり、日本の 1.7 兆円(2013
年売り上げベース、業界調べ)を大きく上回っている。しかも、今後も現在の 2 桁成長が続くとすれば、2020 年
には 5 兆円となり、米国を抜いて、世界最大の市場に成長する可能性を秘めている。
2012 年の化粧品市場の構成をみると、同じく、ユーロモニターによると、スキンケアが 38.6%、ヘアケアが
19.3%、バス・シャワー用品、歯みがきなどのオーラルケア製品が 10%、カラーコスメが 7%、メンズもわずかで
あるが 5%、ベビーが 4%となっている。男性とベビーはまだシェアは小さいが、その分有望といえる。
Ⅱ 欧米ブランドに人気集中
2012 年の中国の化粧品市場におけるトップ 10 ブランドをみると、P&G(米、15.1%)、ロレアル(仏、11.1%)、
資生堂(日、5.4%)、ユニリーバ(英、4.6%)、アムウエイ(米、3.5%)などの順位であり、トップ 10 に入っている
民族系ブランドは、上海嘉華(中、1.7%)だけであり、残りはすべて外国ブランドである。
P&G は外資として、最初に中国参入を果たしたシャンプーの「ウエラ」、スキンケアの「SK-Ⅱ」などのブランド
で中国市場をリードしている。ロレアルは、異なる年齢層や所得層の多様なニーズをキャッチし、「ヘレナルー
ビンシュタイン」、「アルマーニ」、「ランコム」そして「羽西」など多彩なブランドを持ち、中国人女性のこころをつ
かんでいる。競争が激化している中国化粧品市場において安定した顧客層ができている。
日本のトップブランドである資生堂は、中国市場参入 30 周年を迎えた。1980 年に現在の合弁相手である北
京麗源有限公司に技術協力を行ったのが最初である。その後、2004 年には上海に総括会社を設立、さらに
2005 年には北京に研究開発センターを設置した。資生堂の「オプレ」(中国専用ブランド、男女化粧品)は全
国の百貨店での売上ナンバーワンであったが、2010 年の反日運動なども影響し、後退しており、トップとの
シェアは大きく水をあけられている。これまではオリジナルブランドでヒット商品である「オプレ」(スキンケア、メ
イクアップ、サンケアなど)をはじめ高級化粧品が中心であったが、メイクアップでミドルマス市場をターゲットと
した「Za」(上海の合弁会社製造、ドラッグストアーなどで販売)そして 2003 年よりヘアケアを中心としたトイレタ
リー市場への参入も強化している。また、資生堂はすでに 10 年前からオプレの男性化粧品(ジェイエス)の販
売も始めているが、中国の男性は女性の薦めによる傾向が強いため、女性友達のブランドに引きずられる。し
かし、資生堂は、今後、「オプレ」「ウララ」などの中国専用ブランドの販売強化と web 利用による販売サービス
の向上をはかり、重要市場である中国ビジネスをさらに強化する方針である。
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Ⅲ ネット時代の化粧品市場
中国では、「夫婦共稼ぎ」に加え、女性のキャリア化が進んでいるため、時間を節約する女性にとっては、
Web 活用による化粧品の購入方法もインタ−ネットの普及により流行している。ユーロモニターの調査では、
2011 年インタ-ネットでの購入は 6.6%であったが、2012 年には 13.1%にまで拡大している。百貨店での販売
は 2 割のシェアを切っている。今後、Web を通じて、どれだけ女性の心をつかめるかどうかが各社の勝負どこ
ろである。
表1 2 015年の化粧品のネット販売額予測
10億元
140
前年比%
120
107.4
120
100
97
100
80
79.2
80
66.5
60
54.7
60
32.2
40
40
ネット販売額 29.6
25.2
20
20
0
6
12.5
22.4
37.3
57.7
76.3
98.8
1 2 3 .7
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
前年比(%)
0
注:2012年から15年までは予測。
出所: R&Hung Research “China’s cosmetic market, 2013”
(本レポートの内容は個人の見解に基づいており、BTMUC の見解を示すものではありません。)
稲垣 清 三菱東京UFJ銀行(中国)顧問
1947 年神奈川県生まれ。慶応義塾大学大学院終了後、三菱総合研究所、三菱 UFJ 証券(香
港)産業調査アナリストを歴任。現在、三菱東京 UFJ 銀行(中国)顧問。著書に『中国進出企業
地図』(2011 年、蒼蒼社)、『いまの中国』(2008 年、中経出版)、『中国ニューリーダーWho’s
Who』(2002 年、弘文堂)、『中国のしくみ』(2000 年、中経出版)など
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BTMU(China)経済週報
2014 年 7 月 2 日 第 210 期
全国情報
【マクロ経済】
地方政府は第 13 次 5 ヵ年計画の前期研究に
各地方は、第 13 次 5 ヵ年計画(「十三・五」)作成の準備段階に入り、計画の背景、体系、スケジュールと役割
分担を明確にするための電話会議が相次ぎ開催された。国家発展改革委員会は、市場と政府の関係の更な
る明確化が十三・五の基調だと表明。国レベルの十三・五計画の作成は 4 月から既にスタートし、食糧安全、
地域協調的発展、人口戦略政策、国有企業改革、金融市場体系、住宅保障と不動産、環境対策、情報経済
等を含む 25 の重大課題の研究に着手した。各地方の研究課題もそれぞれ特色があり、上海では「インター
ネット経済発展研究」を課題の一つとし、アリババやテンセントなど民間代表企業やシーメンスや IBM 等の外
国企業を課題研究のブレーンに初めて取り入れている。
(6 月 20 日付「毎日経済新聞」)
養老保険上層方案は年内に公布される見込み
昨年から国務院発展研究センター、中国社会科学院、中国人民大学等 7 つの国内外機関が人力資源・社会
保障部の委託を受け、それぞれ養老保険改革の上層方案の研究に着手し、現在具体的な実施方案の研究
段階に入った。同方案は 2014 年内に打ち出され、来年以降徐々に実施されると予測されている。この上層方
案には事業単位分類制度改革、賃金制度改革、実績評価方法改革及び企業年金制度設立などが盛り込ま
れている。また、今までの改革発想と異なり、事業単位改革は全国一括で実施される。
(6 月 25 日付「21 世紀経済報道」)
18 省が不動産統一登記を稼動、関連条例は月末に打ち出されるか
現時点で、中国は少なくとも 18 省(区、市)が不動産統一登記を開始しており、これには天津、河北、内モン
ゴル、遼寧、黒竜江、上海、浙江、江西、山東、湖北、湖南、海南、四川、雲南、陕 西、甘肃 と山西等が含ま
れている。うち、河北、黒竜江、山東、湖北、江西と山西の 6 省が不動産登記聯席制度(登記情報の共有化)
を設立すると明らかにした。また、北京、遼寧、黒竜江、広東、四川の 5 省(市)が国土資源庁(局)に不動産
統一登記指導グループを設立した。
不動産統一登記の指針となる「不動産登記条例」が 6 月末までに国土資源部より国務院に提出される予定。
不動産統一登記は複数部門の職責を整合し、不動産登記の効率アップだけでなく、不動産税徴収と反汚職
に一定の役割を発揮できると見られている。
(6 月 26 日 中国新聞網)
HSBC の PMI 指数、6 ヶ月ぶりに 50 を超過
23 日に発表された 6 月の HSBC 中国製造業購買担当者景況指数(PMI)の速報値は 50.8 と、昨年 12 月以
降 6 ヶ月ぶりに生産活動の拡大と縮小の節目となる 50 を上回った。5 月より 1.4 ポイントの上昇となった。政府
が相次いで打ち出した景気対策を受けて、製造業の景況感が改善しているとみられる。
構成項目をみると、生産指数が 5 月の 49.8 から 51.8、新規受注指数も 5 月の 50 から 51.8 に上昇したほか、
雇用指数も 5 月の 47.4 から 48.7 に改善した。
(6 月 24 日付「上海証券報」)
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BTMU(China)経済週報
2014 年 7 月 2 日 第 210 期
【金融】
RQFII がフランスに拡大、限度額は 800 億元
中国証券監督管理委員会のスポークスマンは、RQFII をフランスに拡大し、投資限度額は 800 億元と明らか
にした。フランスの金融機関は関連資格の申請を行ったうえで関連業務を取扱うことができるようになった。
市場アナリストは、海外の長期資金を吸収し、国内市場のコンフィデンスを回復させる目的のほか、上海証券
取引所のブルー・チップとしての市場位置付けを強化するためだと見ている。現在、RQFII 業務が認められる
国家・地域は、中国香港、ロンドンとフランスで、総枠は 4,800 億元。5 月末現在、78 社の外国機関が RQFII
資格を取得し、承認枠は 2,400 億元である。
「微刺激」政策の実施に伴い、海外資金の A 株に対する投資マインドが回復しつつある。6 月第 1 週目にお
いて、20 億元の資金が RQFII の A 株 ETF 購入を通じて A 株を買い増している。
(6 月 21 日付「信息時報」)
中国の億万長者は 75 万人超、世界第 4 位
米国のコンサルティング会社とカナダのロイヤルバンクが共同発表した「世界財富報告」によると、世界経済の
改善と株価上昇により、100 万米ドル以上の投資可能資産を有する人数は前年対比 200 万人増加し、15%の
増加となり、総人数は 1,370 万人に達し、投資可能資産は同 14%増の 52.6 兆米ドルを記録した。
国別にみると、米国は 400 万人とトップであり、2 位に日本(230 万人)、3 位にドイツ(110 万人)である。中国は
75.8 万人と第 4 位。地域からみれば、アジア太平洋地区の億万長者数は 2013 年に 432 万人に達しており、
投資可能資産総額は前年比 18%増となったが、今年は北米地区を追い越す見込み。
(6 月 20 日付 風鳳網)
銀行理財商品の累計募集額は 68 兆元に
中国銀行業協会がこのほど発表した「2013 年中国銀行業理財業務発展報告」によると、2013 年末現在、銀
行理財商品の累計募集額は 68 兆元となり、前年から 37.9%増加した。2013 年末の残高は 10 兆 2,100 億元、
年初より 43.6%増加した。2011~2013 年、銀行理財業務の顧客が獲得した利益はそれぞれ 1,750 億元、
3,000 億元(同+71%)、4,500 億元(同+50%)。2013 年の平均収益率は 4.4%に達し、同 0.3 ポイント上昇。理
財資金の 70%以上が実体経済に投入されており、重要な資金調達源になっていることが示された。
(6 月 12 日付「金融時報」)
【産業】
レアアース採掘総量が 1.12 万トンの増枠も、需要満たせず
6 月 19 日、国土資源部は「2014 年度レアアース鉱とタングステン鉱の採掘総量抑制指標に関する通達」(国
土資発[2014]65 号)を同部ウェブサイトに公開した。通達では、2015 年 6 月 30 日まで、6 種の特殊ケースを
除きレアアースとタングステンに関する新たな探査、採掘申請登記の受理を一時中止するが、国が指定した
大型レアアース企業グループで、且つ「総量規制、採掘と備蓄の均衡化」を遵守するレアアースの探査・採掘
プロジェクトは対象外とされた。
「第一財経日報」によると、2011 年のレアアース鉱の採掘総量指標は 9.38 万トン、2012 年も 2013 年も横ばい
であったが、2014 年度は 10 万 5,000 トンと 1 万 1,200 万トン多くなる。
増枠の背景について、業界アナリストは国が批准した六大レアアース企業グループ(包頭鉄鋼、五鉱、チャイ
ナ・アルミ、贛州アルミ、アモイ・タングステン、広東レアアース)の再編終了後の指標不足に備えるためだとい
う。指標不足でレアアース企業が生産停止に追い込まれているのが同業界の実態である。
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BTMU(China)経済週報
2014 年 7 月 2 日 第 210 期
(6 月 20 日付 「第一財経日報」)
国有企業改革指導意見の発表は延期するか
混合所有制改革をポイントとする国有企業改革はすでに一部の企業や地域で展開されているが、総括文書
である「国有企業改革を深化する指導意見」は未だ発表されていない。24 日に行われた石油・天然ガスの混
合所有制改革のフォーラムで某関係者は、同指導意見は提出後に見直しを行っており予定された 9 月を見
送り来年打ち出すことを明らかにした。
同指導意見は国家発展改革委が主導、財政部、国有資産管理委など複数の部門が共同で策定、混合所有
制改革のほか、国有企業の職能、国有企業分類考課弁法、国有資本投資運営公司の再編・組成の試行工
作などの内容が盛り込まれるという。
(6 月 25 日 新華網)
国内大・中規模鉄鋼企業は 1~5 月に黒字転換
中国鋼鉄工業協会が 24 日に発表したデータによると、5 月の国内大・中規模鉄鋼企業の売上高は前月比
▲0.53%の 3,166.55 億元、損益相殺後の利益は同 1.32 倍増の 28.47 億元となった。一方、赤字企業数は依
然 15 社、全体の 17.05%を占め、赤字額は 13.47 億元、前月比▲21.37%となった。
1~5 月をみると、国内重点大・中規模鉄鋼企業の累計ベース売上高は前年同月比+0.95%の 15,036.08 億
元となったが、利益は同▲46.55%の 17.54 億元となった。国内重点大・中規模鉄鋼企業は 5 月に初めて黒字
転換を果たした。4 月の同企業の利益は 11.6 億元となったが、1~4 月累計の赤字額は同 44.2 億元増加の
11.4 億元となった。
6 月以降、鉄鋼価格が安定傾向を示しているが、石炭価格の下落圧力が依然大きいことから、第 2 四半期に
鉄鋼企業の業績は第 1 四半期より好転はするが利益水準の大幅な上昇は難しいとみられている。
(6 月 25 日付「第一財経日報」)
原子力発電プロジェクトの審査認可を加速
24 日に開催された会議上で国家発展改革委員会は一部の原子力発電プロジェクトの審査認可を加速すると
発表した。うち、遼寧省大連紅河二期、遼寧葫芦島徐大堡一期などの模範プロジェクトは優先的に発展改革
委員会の認可を取得する見込み。審査待ちの原子力発電プロジェクトは合計 12 ユニットあり、総容量は 1,500
kWh と現在中国で稼動している原子力発電総容量とほぼ同じである。
「エネルギー発展第 12 次五ヵ年計画」によれば、2020 年末までに中国の建設完了及び建設中の原子力発電
総容量は約 4,870 kWh になる。今後、中国原子力発電建設のブームを迎え、ピーク時の建設中ユニットは 40
台になると予測されている。
(6 月 26 日付「第一財経日報」)
1-5 月の電力使用量は前年同期比 5.2%増
中国電力連合会がこのほど発表した統計によると、気温の上昇や政府の景気梃入れ策の実施に伴う工業生
産活動の拡大により、1-5 月の全国の電力使用量は前年同期比 5.2%増の 21,638 キロワット時となっており、
増加率は前年同期より 0.3 ポイント上昇した。
産業別にみると、第二次産業の電力使用量は同 5.1%増の 15,843 キロワット時と全体の 73.2%を占めており、
伸び率は前年同期より 0.4 ポイント上昇し、依然として電力使用量全体の伸びを牽引している。
景気回復に伴い、5 月単月でも、全国の電力使用量は前年同月比 5.3%増の 4,492 キロワット時となった。
(6 月 24 日付「21 世紀経済報道」)
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BTMU(China)経済週報
2014 年 7 月 2 日 第 210 期
住宅担保年金を 7 月から 4 都市で試行
中国保険業監督管理委員会(保監会)は 23 日、高齢者が自宅を担保に年金を受け取るリバース・モーゲー
ジ(住宅担保年金)の制度を 2014 年 7 月 1 日から 2016 年 6 月 30 日にかけて北京、上海、広州、湖北省武
漢の 4 都市で試行することを発表した。
リバース・モーゲージは、住宅を保有している高齢者がその物件を担保に保険会社から年金を受給する制度
であり、被保険者は自宅に住み続けたまま定期的に収入が得られ、亡くなった後、保険会社が担保物件を処
分し、取得した資金が保険料に当てられる。
試行期間に、自宅に対し完全に独立した財産権を有する 60 歳以上の高齢者のみが適用対象となる。また、
同制度を導入し、商品を開発する保険会社に対しても、開業 5 年以上、登録資本金が 20 億元以上といった
十分な支払い能力を備えている等の条件が要求される。
リバース・モーゲージは中国において今までなかった新商品で、保険会社が金利リスク、不動産価格の変動リ
スク、被保険者の長寿化リスク、キャッシュフローリスクなどの業務リスクに直面すると同時に不動産や税収政
策変動にも影響を受けることから、実施都市と期間を限定して慎重に実績を積む必要があると指摘されてい
る。
(6 月 24 日付「解放日報」)
【政策】
食品安全法改定案、ネット食品販売も監督管理の対象へ
中国消費者保護協会によれば、2013 年上期までに同協会が処理したネット通販に対するクレームは 1 万
6,408 件あり、うち、ネット食品販売に関するクレームが最も多い。但し、2009 年施行された現行の食品安全管
理法ではネット食品販売についての関連規定が定められていない。
そのため、23 日に第 12 期全人代第 9 回常務委員会に提出された食品安全法改定案で、ネット食品販売に
関する規定が新たに盛り込まれたという。同改定案では、ネット通販プラットフォームプロバイダーに対し、食
品生産経営許可証の取得、自社のプラットフォームを通じたネット食品販売業者の食品生産経営許可証の確
認や実名登録を義務付け、食品安全管理の責任を負うことが求められる。消費者がネット通販で購入した食
品に問題があれば、ネット通販業者や食品メーカーに賠償を求めることができるが、ネット通販プラットフォー
ムプロバイダーがネット販売業者の連絡先などを消費者に正確に提供できなければ、プロバイダーが先に消
費者に賠償金を払い、その後ネット販売業者やメーカーに賠償金の返済を求める。
また、改定案では、地方政府や食品安全監督管理機関に対し問責制を強化すると同時に違法業者に対する
罰則を強め、罰金も大幅に引き上げられる。
(6 月 24 日付「新京報」)
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BTMU(China)経済週報
2014 年 7 月 2 日 第 210 期
地方情報
【北京】上半期の新築住宅販売が低迷
【上海】浦東空港第 3 期拡張工事計画が公表
中原不動産研究部によると、6 月 26 日までの北京市
の新築住宅成約件数は 2 万 2,782 軒と前年同期比
48.8%下落し、9 年ぶりの最低値を記録した。販売の
低迷とともに、在庫も増加している。6 月 20 日までの在
庫数は 8 万 844 万軒と 1 月単月の最高値を更新した。
不動産市場の調整、及び「自住型住宅」 1 の大量増加
が響いたとみられる。2013 年 11 月の「自住型住宅」誕
生から現在まで、北京市の 3 ヶ月分の住宅成約件数
に相当する 1 万 8,000 軒が供給された。
浦東国際空港第 3 期拡張工事計画が公表され
た。報道によれば、第 3 期ターミナル、地下交通シ
ステムのほか、12 万平方メートル、1,040 部屋を含
む旅客宿泊施設建設も計画に盛り込まれている。
第 3 期ターミナルの年間乗客数は 8,000 人と予測
され、スポットは 78 個設計される計画。第 3 期ター
ミナルは 2015 年に着工し、2019 年竣工する予定。
(6 月 30 日付 「証券日報」)
(6 月 21 日付「第一財経日報」)
【黒竜江】3,000 万元の投資計画
【深セン】国有企業の改革深化は全国に先行
黒竜江は 6 月 23 日に 65 件の経済成長を促進する措
置を公布、計画投資金額は 3,000 億元を上回った。資
源配置市場化改革、農業安定成長等 8 方面を含み、
内、インフラ投資が 2,300 億元の予定。全国の経済成
長が鈍化するなか、東北旧工業区の状況は一段と深
刻であり、国家統計局のデータによれば、黒竜江の第
1 四半期の経済成長率は 2.9%と全国最下位であっ
た。国家発展改革委員会が制定する「東北地区の発
展を支持する 10 方面政策措置(草案)」の意見徴収が
終了し、間もなく公布される見込み。
今般、深セン国有資産管理委員会が 2014 年の行
動計画を公表し、国有企業の改革深化を加速、混
合所有制を積極的に発展させる方針を示した。
現在、同委員会が直接管轄する 20 社の国有企業
のうち、エネルギー、水利、ガスなどの 11 社は既に
民営企業の受入やディット・エクイティ・スワップな
どにより混合所有制を実現したほか、深セン空港
や塩田港などの 5 社のコア資産が上場企業や株
式制会社に組み入れており、地下鉄、免税店、食
糧、致遠の 4 社のみが国有独資である。
(6 月 26 日付「毎日経済新聞」)
(6 月 24 日付け「証券時報」)
【青島】1~5 月ハイテク製品の輸出入が急増
【四川】天府創新センター 今月中運営開始
青島市税関によると、1~5 月、青島市におけるハイテ
ク製品の輸出入総額は前年同期比+69%の 30 億米ド
ルとなった。うち、輸出は同+41%の 14 億米ドル、輸入
は同+104%の 16 億米ドル。特に国有企業と外資企業
の輸出がそれぞれ前年同期比+46.5%、+48.2%とな
り、全体伸び率を 16.8 ポイント、21.3 ポイント牽引し
た。一般貿易と加工貿易の輸出はそれぞれ+44.7%と
+43.9%、全体伸び率を 14 ポイントと 28.9 ポイント牽引
した。
科学研究成果の実用化、科学型中小企業群の育
成、新区自主創新体制の構築を目的に設立され
た天府新区創新センター(別名孵化園)は、今月中
に運営を開始する計画。
最初に入園する 14 社は電子情報、ソフト開発、情
報セキュリティ、電子商取引など天府新区が重点
的に支援する産業であり、年内には 50 社程の入
園が見込まれている。
(6 月 19 日付「青島日報」)
(6 月 21 日付(四川日報」)
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販売価格は周辺住宅市場価格を30%下回る。販売対象は住宅を保有しない北京在住者(北京戸籍、及び社会保障金或いは税金
納付期間5年超の非北京戸籍)。購入後5年以内の販売不可。5年後譲渡益の30%は政府所有。
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BTMU(China)経済週報
2014 年 7 月 2 日 第 210 期
BTMU の中国調査レポート(2014 年 6~7 月)

経済レビュー
中国:減速する住宅市場と景気全体への影響度合い
https://Reports.btmuc.com/File/pdf_file/info005/info005_20140701_002.pdf
経済調査室

ニュースフォーカス第11号
中国国務院「香港特別行政区における一国二制度の実施」白書を発表
https://Reports.btmuc.com/File/pdf_file/info005/info005_20140701_001.pdf
香港支店・業務開発室

ニュースフォーカス第10号
福建省・平潭総合実験区の発展政策
https://Reports.btmuc.com/File/pdf_file/info005/info005_20140625_001.pdf
香港支店・業務開発室

ニュースフォーカス第9号
東莞市政府 加工貿易の発展促進に関する実施規定を発表
https://Reports.btmuc.com/File/pdf_file/info005/info005_20140624_001.pdf
香港支店・業務開発室

産業トピックス
中国風力発電業界の今後の展望について
https://Reports.btmuc.com/File/pdf_file/info005/info005_20140624_002.pdf
企業調査部

BTMU 中国月報 第101号(2014年6月)
http://www.bk.mufg.jp/report/inschimonth/114060101.pdf
国際業務部
以上
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三菱東京 UFJ 銀行(中国)有限公司トランザクションバンキング部 中国調査室
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