AALA機関紙京都版 99号 (2013年2月1日発行)

アジア・アフリカ・ラテンアメリカ 京都版 No.99
Asia-Africa-Latin America(AALA) 2013 年 2 月 1 日
京都府アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会
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ジャスミン革命後のチュニジア訪問記
坂尾
<1>
淳子
チュニジアの三つの青
チュニジアには3つの「青」がある。
「地中海の深き青」
「どこまでも澄み切った空の青」
「チュニジアンドアの鮮やかな青」
そして、この「青」を引き立てるのは白壁の建物…。
「チュニジア、行かへん?」
「いいよー。行こっかー。」
私とチュニジア共和国との出会いは約 10 年前、友人からのこんな声掛けから始まった。
その後縁あってチュニジア人男性と結婚し、京都で暮らしている。
2010 年~2011 年の年末年始休暇は夫とともに日本で過ごすつもりだったのだが、ふとチュニジ
アに行こうかなと思いついた。航空券を調べたら、出発直前だと言うのに手が出ないほど高いわけ
でもない。
「やっぱりこの年末年始、チュニジアに行く?」
夫に聞いてみたがもちろん彼が「ノン」と言うはずがなく、航空券を取ったのは出発の数日前だっ
た。
2010 年年末に日本を経ち、夫は約一ヵ月の滞在予定、私は勤務の都合で彼より先に日本に帰国
するべくチュニジアを出国したのが 2011 年 1 月 9 日だった。一人関西国際空港に向かう帰国便で
何気なく座席前モニター見たとき、ある速報が目に入った。
-チュニジアで暴動、8 名死亡―
そういえば帰国前日に夫が友人と何やら話し込んでいて、聞けば「地方で深刻な事態が起こって
いる」と言っていたのを思い出した。帰国後、チュニジアを巡るニュースは日々悪化していった。
チュニジア各地でのデモ、混乱の首都チュニスへの波及、死傷者数の増加、暴動、略奪、非常事態
宣言、高等教育施設の閉鎖、空港閉鎖、そして 1 月 14 日、元大統領亡命。
夫の実家は首都チュニスの郊外にある。革命運動の機運が最高潮に達した当時は各地で暴動や略
奪があり、一般市民の住宅でさえも略奪の標的になったらしい。
夫に電話をかけて聞く。
「あなたは、家族は、みんな無事?絶対にデモには参加しないで。危ないところには行かないで。
こんな状態になっていること、日本を出る前に知ってたの?」
夫曰く、「僕も家族も大丈夫、でも今はちょっと大変。自分の家を守らないといけないから近所の
人と一緒に夜営をしている。危ないところには行かない、わかってる。トラブルは日本にいる時か
ら知っていたけど、
“チュニジアに帰る?”って聞かれたから帰ったんだ。」
そうだったのか。だから、私が首都チュニスの中心地にあるメディナ(デモが行われた首都チュ
ニスのメインストリート突き当りに位置する)に行きたいと言っても連れて行ってはもらえず、比
較的安定していたチュニジア北部にばかり行こうとしたのか。おかげで、私は変革の最中にいなが
ら気配を感じないまま日々を過ごし、トラブルに遭わずに日本に帰ってくることができた。
今にして思えば、あの時「チュニジアに行こう」と思った直感は、“虫の知らせ”だったのかも
しれない。結果的に、夫は母国の大きな変革を現地で体験することになった。
日本で見聞きする断片的な報道で、見慣れたチュニジアの町が暴動で混乱し人々が傷つく様子を
知るのはとても辛かったが、一方で夫が以前からよく言っていた元大統領の独裁政権と政治腐敗を
思い出していた。実を言うと、当時は夫の言うことをまともに聞いていなかった。先進国ではない
が、安定した経済成長、豊かな自然と文化、治安の良さ…、旅行者が持つこの国の一般的なイメー
ジと、夫の言うことはどうも相容れなかった。だが、彼の言っていたことは本当だったのだな…と
も思い返していた。
あれから 2 年経った。
2012 年~2013 年の年末年始、
私はジャスミン革命後初めてとなるチュニジアを訪れた。現在は、
移動のほとんどが夫運転の車、そして夫と行動を共にするので“旅行”というより夫の里帰りのつ
いでに各地へ遠出していると言ったほうがいいかもしれない。今回もそんなチュニジア訪問であっ
たが、見聞きし感じたことを書き連ねてみたいと思う。
<2>
おいしい義母のチュニジア料理
2012 年 12 月下旬。前回 2010 年以来、2 年ぶりとなるチュニジア訪問である。
北アフリカに位置するチュニジアの冬は、日本の 11 月頃という感覚だ。私の訪問中、日中 15~18℃、
夜間 10℃前後であった。日本は寒く、空港内は空調のため暖かく、機内は寒く、現地は暖かく…。冬季
の訪問では、重ね着や調節ができる衣服が必要だ。
夫は一足先に帰国している。これはいつものパターンで、2 人で日本-チュニジア間を往復すること
はほとんどない。今頃、夫は実家でリラックス(?)しながら、私のチュニジア滞在のための準備をし
ているはずだ。
往路はフライトスケジュール通りにチュニス・カルタゴ国際空港に到着した。到着ロビーで迎えに来
る夫と待ち合わせのはず…が、彼がいない。またか。すぐに携帯電話に電話をかける。まだ時間がある
と思って寝てた、と飛び起きた夫は大急ぎで空港に来た。
アラブ人の特徴なのか夫の性格なのか、“時間感覚”とでも言うものがあるとすれば、彼のそれと日
本人である私のそれとはかなり違う。だから待ち合わせなど時間の約束は必ず早めにしているが、飛行
機の到着時間は嘘をつけない。でもまぁ、すぐに迎えに来たからよしとしよう。
私はチュニジアを訪れる際、特に到着・出発前日は空港から近く設備と宿泊料金を考え利用しやすい
特定のホテルを利用することが多い。今回も空港からそのホテルに直行し、荷物を解いた後にお土産等
を持って夫の実家に向かう。
夫の実家は首都チュニス近郊にある。チュニジア国民の生活すべてを知るわけではないが、彼の実家
は首都チュニスではごくごく普通の家庭だと思う。父は車の整備関係の公務員だったらしいが既に退職
しており、母は専業主婦。現在、両親は夫が実家近くに作った小売店(食料品・日用品・嗜好品などを
扱う小売店は、今もチュニジアの町のいたるところにある)を営んでいる。兄弟姉妹は夫が長男で弟二
人、妹二人。すでに全員結婚した。末妹は育児のため、現在実家に里帰りしている。
夫実家は決して狭くはないが、実家に宿泊するにあたっての問題は温水シャワーがないことだ。冬は
特に辛い。だから、私がチュニジアに滞在する際は泊まるとしても1泊程度となる。今回、夫はほとん
どの行程でホテルを予約してくれたので、実家のお世話にならずに済んだ。
さて、夫実家に行ってみると誰もおらず、荷物を置いて店に行く。両親と妹と一歳になる姪が店番を
していた。
チュニジアでの挨拶は、欧米でよく見かけるあのやり方だ。
通常は頬を右→左の順に1回ずつ、軽く触れるように近づき唇を“チュッチュッ”と鳴らす。家族や
親族、とても親しい友人(性別問わず)であればこれを2回。異性や初対面では握手だけのことが多い。
夫の挨拶の仕方によって、相手がどのくらいの親しさかわかる。私は義母や女性親族なら1~2回。義
父や男性親族、夫の友人等なら握手。しかし相手の出方に任せることも多く、結局は“間合い”で判断
するしかない。このような挨拶習慣のない日本人にとっては、緊張する瞬間でもある。
この日の夕食は夫実家で義母の料理をいただいた。私はこれまでチュニジア各地でいろいろな料理を
いただいてきたが、義母の作るチュニジア料理が一番美味しいと思っている。夫も料理が好きで日本で
もよく作ってくれるが、彼の腕前はまだまだ二番手だ。
夕食を終えてホテルに戻る途中、夫が急に行きたいところがある、と実家近くの知人親子が経営する
テコンドー道場を訪れた。夫自身も子供の頃テコンドーを習っていたらしい。道場の前で、ここの生徒
と思われる女の子から英語で声をかけられた。
「Excuse me? Are you Japanese?」
「Yes, I’m Japanese. But I’m sorry I’m not Korean.」
チュニジアはアラビア語が第一公用語でフランス語が第二公用語であるが、中学生から英語教育が始
まる。かつてチュニジアは英語が通じない国、と言われていたが、現在は一般市民でも英語を話せる人
が増えている。私はテコンドーに詳しくないので彼女との会話はこれで終わってしまったが、彼女の英
語による声かけはチュニジアの教育力の高さを知る一瞬でもあった。
(つづく)
アメリカ大統領選
2008 年と 12 年
―アメリカ便り(下)シカゴで―
2013 年 1 月 6 日
有吉節子(京都AALA理事長)
シカゴにて2013年のお正月を迎えました。長男のお嫁さんは、日本のおせち料理を7歳の息
子に経験させてやりたいと、私に作ってもらうことを期待して、待っていてくれました。迎えにき
てくれたその足で、日本食材等売っている「三和」というスーパーへ立ち寄り、お重箱まで揃えて、
お嫁さんと二人で、お煮しめ、柿なます、黒豆など味がよく浸みるように、三日がかりで何とかお
せち料理の形ができあがりました。7歳の孫は、お雑煮も、お煮しめのレンコンも好きということ
もあって、おせち料理は、思いの外早く平らげてもらえ、異国の空で作り甲斐があったわけです。
私がシアトルへ戻る前日に、息子の友人ロブさんから、茶碗蒸しの作り方を教えてほしい、と依
頼があるというのです。彼はシカゴの高校の先生でミュージシャンでもあります。
ロブさんは、同じ学園で教師をしているロブさんの弟ジェフさんと京都へきたことがあります。
私は京都を案内したので親しい仲なので、ロブさん兄弟は大喜びで私を迎えてくれました。
ロブさんのマンションの台所は、広く何もかも大きくて立派で、調度品もそろっています。日本
の茶碗蒸しの器までありました。私と息子は、材料を揃えて行きましたので早速、昆布とかつお節
でだしを取り、器に具材を入れて、さましただし汁にといた卵を流しました。蒸し器がないので、
丁度四つ分の器が入る広いお鍋にお湯を沸騰させ、時間を計って蒸しました。おかげで、私流の茶
碗蒸しが出来あがり、我ながら「これならよし」と、独りよがりの合点をし、熱いうちに「召し上
がれ」・・・。
ロブさんにもジェフさんにも、「おいしい」を連発してくもらい、通訳してくれた息子も「お母
ちゃんの味、久しぶり」と、喜んでくれて、私は「ほっ」としました。
息子の作った「広島焼き」も大好評でした。食後はゆったりとしたソフアーで、コーヒーを片手
に雑談です。
4年前のオバマの当選した丁度すぐ後に、私がシカゴにきていて息子の友人達の喜びの声を聞い
たけれど、
「今回の感想はどうか」と息子から切り出してくれました。
ロブさん(40歳、白人男性・高校教師・民主党支持・前回ともオバマに投票)は「経済、教育、
外交、税金、年金、健康保険など、財政の立て直しをしながらすべてを改善して欲しかったが、議
会対策に追われ(この四年間は)ほとんど何も出来なかったに等しい。特に、上院の勢力が拮抗し
ているので、なかなか前へすすめなかった。減税政策(金持ちや企業への優遇減税を廃止して財源
に充てる)を推し進めるにも、強力な政権スタッフ(各業界へのパイプや影響力)が必要だが、彼
の前スタッフは力不足。過去四年の経験から学んで、前回よりやりやすいだろうが、共和党対策の
ためにも、政策はもう少し保守的であってもよいと思う。合衆国大統領は、世間で思われているほ
ど権力を持っていない。
」という。
弟のジェフさん(37歳、白人男性・小学校教師・民主党支持・前回ともオバマに投票)は、
「兄
と同じ意見だが、ようやく合意した法案(富裕層への増税)も年収40万ドル以上(オバマは25
万ドル以上を要求)が対象で、上げ率も35%から39・6%とわずかなものになった。(クリン
トン政権時代の税率に戻っただけ)
。健康保険法案も、国民の多数である自分たち中間層にどう影
響するか先が見えない。ブッシュが起こした二つの大きな戦争(アフガニスタン、イラク)の影響
はあるが、外交面では実務者を配置しているので、それほど心配はしていない。アジア、特に日本
は中国や朝鮮の脅威にさらされているので在日米軍は必要。
一期目はオバマ自身が、自分の理想と大統領職としてのギャップに惑わされた四年間だったが、
再選を考慮せずに済む二期目の、最初の二年間は(今年と来年)正念場。残りの任期が二年を切る
と、議会や所属政党に対する大統領の力が急激に落ち込む。
」と話してくれました。
この日はお互いに後の予定が入っていて、少ない時間での料理講習会?だったので、あまり対話
が出来ませんでした。
「シカゴで出来るだけ多くの人に、今回の大統領選挙について感想を聞きたい」と、あらかじめ
息子に話しておいたので、息子も前もって、数人の感想を聞いておいてくれました。それを紹介し
たいと思います。
ダンさん(37歳・白人男性・エンジニア)は、いつもは代わり映えしない二大政党以外の独立
系候補者へ投票するが、オバマの人柄が気に入って、四年前と今回はオバマ支持。
「以前は閉塞感だらけだったので、景気だけでなく、とにかく何かが変わって欲しかったが、こ
の四年間で、成果が上がらなかった。ブッシュ政権の八年が悪すぎたため、誰が大統領になっても、
同じだったと思う。二期目になるので、これから少しはよくなると思う」
。
ブライアンさん(50歳・白人男性・建設業・支持政党なし)は、前回ともオバマに投票した。
まあまあの四年間だった。実際この二年で建設関係の仕事が増えた。この調子で景気を回復させて
欲しいし、彼なら出来ると思う。
(小学校での乱射事件の話になり)銃規制はこの国では難しい。
自分も銃所持の免許をもっていて、以前は拳銃を持っていたが、賊と互いに相見えたとき、こちら
が傷つかず相手を倒す自信がないので処分した。かといって、一切の銃をなくすには、巷に銃が溢
れ過ぎているし、悪人はどういう手段を使っても手に入れようとする。攻撃用の小銃(ライフルな
ど)をなくすことは出来るかもしれないし、それは絶対に必要だ。教師に拳銃を持たせることには
反対。学校に警官や武装ガードマンを配置することについては何ともいえない。
マリーさん(70歳・アフリカ系女性・年金生活者・民主党支持者)は、前回ともオバマに投票
した。自分にとっては具体的に何がどう変わったかという実感はない。それでもオバマになってよ
くなった。貧しいので、とにかく貧困対策をして欲しい。彼なら出来ると断言できないが、期待は
している。
メイビンさん(59歳・アフリカ系男性・パートタイム・民主党支持者)は、前回ともオバマに
投票した。この四年間で変化はしたと思うが、具体的にどこが変わったか分からない。ブッシュの
八年間は戦争ばかりだった。多数の兵士が亡くなっているのは不幸なこと。(他国の無垢な一般市
民が米兵以上に殺されていることには、思いが至らない。戦争に対するアメリカ人の平均的な感想
という印象)。オバマにはとにかく戦争を終わらせて欲しかった。この十年間で大きな自然災害(カ
トリーナや竜巻など)に何度も見舞われた。さらなる災害対策を講じて欲しい。もっと景気の回復
を。
ジェミーさん(75歳・アフリカ系男性・ミュージシャン・民主党支持者)は、前回ともオバマ
に投票した。とにかくブッシュが悪すぎた。戦争でごまかしている間に、鉄鋼、自動車産業をはじ
め、今や日本のみならず韓国、中国、インドなどが台頭してきて、アメリカの権威は地に落ちる一
方。オバマですぐ良くなるといえないが、これからはきっとましになる。
ジョーさん(52歳・白人男性・コンピュータ技術者・共和党支持者)は、両方ともオバマの対
立候補に投票した。小さな政府、自己責任の社会が理想なので、福祉は最低限のものでよいし、健
康保険などに国が補助するのはもってのほか。自分が納める税金を他人のために使って欲しくない。
税金も所得税は廃止して、消費税などで最低限の課税のみでよい。オバマのような共産主義者には
一切期待しない。
様々な意見が聞けましたが、「シカゴはオバマの地元なので圧倒的にオバマの支持者は多いけれ
ど、冷静に情勢を分析する白人インテリ層と初めてアフリカ系大統領を持ったアフリカ系支持者と
の熱の差がある。総じて、ブッシュ政権が壊したアメリカを立て直してくれるという期待感だけは
健在。また関心事は内政に偏る傾向がある。」「大統領には権力が集中している印象だが、「合衆国
大統領は、世間で思われている程、権限を持っていない。」とロブが言うのは、国民の支持なしに
権力を行使することが出来ないと言うことであり、一定の民主主義が機能している証でもある。」
たとえば、連邦公務員(最高裁判事、各省長官、大使などの指名権(これこそ、行政権を行使する
ための大きな力)はあっても、上院の承認が必要。法案への拒否権は大きいが、ジェフ(ロブの弟)
さんが指摘するように議会の三分の二の再可決で覆せる。軍事指揮権を除いて、権力の行使は議会
との関係に左右されることが多い。
」と、息子は解説してくれました。
アジアの人々との友好と交流の輪を広げよう!!
2013
春節のつどい
日時
2月11日(月・祝)午後2時~4時30分
会場
京都教育文化センター
202号室
(前号の 201 号室は誤りでした)
左京区聖護院川原町 4-13(京阪電車神宮丸太町駅
5番口より東へ徒歩3分
内容
春節を祝う会
各団体・個人の出し物など
※各国の飲み物、料理の持込
参加費
TEL075-771-4221)
歓迎
2,000円(申し込みは 2 月 7 日までに事務局へ)
主催
日本中国友好協会京都府連合会
日本ベトナム友好協会京都府連合会
日朝協会京都府連合会
京都府AALA連帯委員会
かつて私たちは春節を旧正月として祝っ
てきました。いつの間にかこの風習は薄れた
のですが、今も朝鮮半島、中国本土、台湾、
香港、シンガポール、ベトナムでは国を挙げ
てお正月として祝っています。
2013 年 2 月 10 日が太陰暦・農暦の元日
です。
CHANGE, YES, WE CAN は今
2013・1・22
須田 稔(京都AALA代表委員)
今年2013年は、1863年にリンカン
大統領が「奴隷解放宣言」に署名して150
年目。キング牧師が「ワシントン大行進」で
20数万人に「私には夢がある」演説をした
1963年ら50年目。
もう少し加えると、ヴァージニアで最初の
大規模な奴隷暴動が起きた1663年から3
50年目。マサチューセッツの黒人が議会に
自由を求める請願書を提出した1773年か
ら240年目。マサチューセッツで奴隷制度
を廃止した1783年から230年目。反人
道的な「逃亡奴隷取締法」成立の1793年
から220年目。
180年前の1833年にアメリカ奴隷制
反対協会設立。イギリス、自国領西インド諸
島の奴隷制度を廃止。130年前の1883
年には、最高裁判所が、
「アメリカ国民に与え
られたいろいろな公民権は州の市民にそなわ
るものであるから、これらは黒人の市民権付
与を規定した憲法修正第14条の適用は受け
ない」として、1875年の公民権法を否定
した。以降、何部では州法・市条例その他の
法律で人種差別と隔離が法制化されていった。
1865年に憲法修正第13条(奴隷制度の
廃止)が成立し、これを承服しない白人らが
テネシー州で結成した KKK という狂信的白
人優越主義団体などの影響で、暴力による黒
人迫害、非合法的制裁としてのリンチが18
90年代に多発した。
1903年、今から110年前、近代黒人
解放運動の思想的先駆者デュボイス博士が
『黒人の魂』を出版した。
前進と後退、進歩と反動、革命と反革命を
人間の歴史は繰り返してきた。
1月21日はオバマ大統領の就任式の日。
そして、
「マーティン・ルーサー・キング・ジ
ュニアーの日」
(誕生日は1月15日だが、1
月の第3月曜日が記念日とされた)
。
キング牧師の言葉を21日付『しんぶん赤
旗』の「主張 オバマ政権 真価問われる2
期目の船出」が引用している。
「暴力の究極の
弱点は、それが破壊しようとするもの自体を
生み出してしまうところにある」。そして、
「初
のアフリカ系大統領であるオバマ氏には、そ
の言葉を思い起こして欲しいものです」。
『赤旗』が引用した文章は、キングが19
67年に出版した『われわれはここから何処
へ行くのか―混沌それともコミュニティ?』
の第2章「ブラック・パワー」にある。
「暴力
は悪を減らす代わりに増やす。暴力で嘘つき
を殺しはしてもウソは殺せないし真実を打ち
たてることはできない。憎悪する人を殺して
も憎悪を抹殺できない。事実、暴力は憎悪を
増大させるだけだ。暴力に暴力を返せば暴力
を増大させるだけで、星の見えない夜を更に
暗くする。暗黒は暗黒を駆逐できない。でき
るのは光だけ。憎しみは憎しみを排撃できな
い、できるのは愛だけだ」。
『赤旗』が書くように、オバマ政権は「グ
アンタナモ米軍基地のテロ容疑者収容施設の
閉鎖、核兵器のない世界の追求、イスラム世
界への和解呼びかけ」などを唱えたが、日本
の民主党政権と似て、公約違反が多く、未臨
界核実験の再三の実施、米軍の大規模投入で
アフガン武装勢力掃討作戦と無人機攻撃によ
る殺害など、ブッシュの「テロとの戦い」を
継続してきた。
アルジェリアの人質殺害事件を「テロ」と
見ることはできても、エネルギー資源が外国
資本の利益優先で利用されていること、旧植
民地宗主国が相変わらず傲慢に軍事力で紛争
解決しようとすること、これに対する怒り、
「温床になっている貧困や不正義にこそ目を
向け」て平和的共存に叡智を傾注すべきなの
だ。
私たち99%は世界を変えることができる。
理事会だより 2012 年 12 月~2013 年 1 月
モザンビークから民族解放闘争のリーダーが来日へ
アルマンド・パンゲーネ氏
4 月 6 日(土)京都で歓迎懇談会(予定)
日本AALAでは、2013 年 4 月に、アフリカの民族解放闘争のリーダー、アルマンド・パン
ゲーネ氏(モザンビーク)を招きます。4 月 6 日(土)夕、京都で懇談会、8 日(月)午後、大阪
で集会を開く予定です。アフリカの民族解放闘争の実像を学ぶとともに、アフリカ諸国との連帯
の発展をめざし、各地で日本AALAとの交流を深めます。詳細は次号でお知らせします。
*
まもなく京都AALAのホームページ再開
京都AALAのホームページの更新が中断していましたが、この 2 月にも再開の見通しとなり
ました。この間理事会で検討を重ね、複数の担当者を決め、専門家とも協議して、新しいレイア
ウトのもとに再出発します。あわせてフェイスブックや twitter の活用についても具体化します。
ご期待ください。また積極的なアクセスとご参加をおねがいします。
引き続き日本軍「慰安婦」問題とりあげ
―かもがわ例会(世界と日本-その注目点)第 3 回―
2 月 9 日(土)午後 3 時、職員会館かもがわ「船」の間(和室)
(河原町丸太町から南へ二筋目、東へ突き当り) 参加費無料、どなたでも参加できます。
日本軍「慰安婦」問題に関する河野洋平官房長官談話(93 年)の見直しをもくろむ安倍首相の
発言にたいし、国内外の批判が高まっています。第一次安倍内閣の 07 年には、同様の発言が国際
的な批判を浴び、謝罪に追い込まれました。今回は総選挙の「圧勝」を受け、国際世論にたいし、
正面突破を図ろうとでもいうのでしょうか。前回のかもがわ例会に引き続き、この問題を話し合
います。なお第 7 回理事会は午後 1 時から同じ会場で開きます。
<2 月の国際問題例会> 下鴨(左京)51 回-2 月 7 日(木)10 時、スペースユウ
宮ノ谷(城陽)38 回-2 月 20 日(水)13 時半、ほっと深谷 「安倍首相の所信表明演説」
★会員が中心となって「国際問題例会」を定期的に開いて、世界と日本の平和と安全保障や外交
について話し合いませんか。理事会でお手伝いします。