2009年8月号 - 日本臨床エンブリオロジスト学会

一般社団法人
E-news
日本臨床エンブリオロジスト学会
エンブリオロジストの為の雑学 Back number
2009 年 8 月号
東京見聞録(2)
佐藤和文
東京の新設クリニックにて ICSI 装置、クリーンベンチ、マルチガスインキュベーター、
液体窒素保存庫、マクラーチャンバー、遠心機等設備済みでしたが他に必要な小道具を考えまし
た。
エンブリオロジストの七つ道具
1.温度計:インキュベーター内部温度を表示だけに頼らずダブルチェック。
凍結精子融解時の微温湯の温度チェック。
顕微授精作業部の温度チェック(平面温度が測れるタイプ)。
2.水準器:防振装置付き ICSI 顕微鏡ステージ等の水平をチェック。
3.六角レンチセット・ドライバーセット:各種装置の補修(顕微装置必須品)。
4.インキュベーターガス検知器:インキュベーター内部ガス濃度をチェック。
5.倒立顕微鏡:
デジカメ・説明や証拠用顕微鏡写真。
除震台・ICSI に必需品。
モニターカメラ・録画装置・画面。
6.消毒用アルコール噴霧器:クリーンベンチ、実験台、インキュベーター等の清掃。
7.ホコリ除去具:プラスチック繊維の静電気利用タイプや空気で吹き飛ばすタイプ。
レンズペーパー(不織布)とアルコール。
付録.ホワイトボードとマーカー:マグネット付きでインキュベーター扉につけ、培養
状況を表示。
卵や胚用ピペット作成道具:アルコールランプまたはガスバーナー。ガラス切
り:ダイヤモンド精密ヤスリまたはアンプルカッター。実体顕微鏡下でピペッ
ト先端の太さ測定:作成したピペットの
内径等を確認する為に内田洋行の関連会社(株)マービーにて特製スケール 0.1mm
目盛付き・約 2,000 円+税(作成考慮中)
エッペンドルフピペット:個別滅菌ディスポチップ・容量可変式 1000μl まで可
能な組み合わせ。
ディッシュ等容器記名用具:カラーペン、ラベラー(テプラ・ネームランド・バ
ーコードラベル等)ストップウオッチ:細胞凍結保存、ICSI での細胞膜弾力不足
時透明帯圧迫時間等に利用。
発泡スチロール箱:胚や精子の凍結保存時の液体窒素や凍結精子融解時微温湯を
入れる。
精子凍結用具:セラムチューブ(クライオチューブ)、アルミケーン、スリーブ(紙
製クライオスリーブでチューブの脱落防止・ゆるい場合は上部を折る)
アシステッドハッチング用 PZD 針:バイオカットメスやシュクロース液が無くて
も ICSI 装置にホールディングピペットと PZD 針を取り付け培養液中で透明帯
を開口する。
ミシン油・シリコン油:装置の潤滑保持。
少し高価ですがパソコン:記録やマニュアル作成、研究発表やエンブリオロジスト学
会ホームページ利用に役立つ。
ミクロメーター・専用の接眼レンズに取り付け精子のサイズや卵子の透明帯の厚
さ。
対物 100 倍レンズ・ドライタイプ:ドライ(油浸ではない)で 1000 倍鏡検可能。
焦点距離に留意。
特製アルミスケールを考えました。
内田洋行作成 15cm アルミスケールに 1mm、0.4mm、0.1mm の目盛をつけ実体顕微鏡
下で作成したピペット先端の太さを測定できる。卵子や胚操作用に作成したピペットが
使用時に太すぎ細すぎたりすることを事前にチェックできます。価格は 1 本 2,000 円+
税(実費)事務局販売予定。市販ピペット使用者や名人級技能者は不要ですが研修者は活
用できる。納品後注文受け付けます。
WHO が医療現場における手指衛生に関するガイドラインを発表
2009 年 5 月 11 日
提供:Medscape
手指衛生に関するガイドラインは医療従事者、病院管理者、公衆衛生担当官にとって病
原性微生物の感染を減らすための具体的な勧告となる
Laurie Barclay
【5 月 6 日】世界保健機関(WHO)が医療現場における手指衛生に関するガイドライン
(Guidelines on Hand Hygiene in Health Care)を発表し、医療現場における手指衛
生に関するエビデンスの徹底的な再検討と衛生業務の改善と、患者および医療従事者
(HCW)の病原性微生物感染の低減のための具体的な勧告を提案している。
本ガイドラインは HCW だけでなく、病院管理者や公衆衛生担当官もターゲットとして
おり、患者または特定の集団に対して医療が提供されるあらゆる状況(医療が永続的ま
たは散発的に実施されるあらゆる状況(助産師による在宅ケア等)を含む)で利用でき
るよう設計されている。この勧告は各国の規制、状況、ニーズ、リソースに応じて、個
別に改変することが推奨される。
手指衛生が必要となる場合
手指衛生が必要となる場合は以下の通り:
•
目に見える汚れがある場合、血液や体液による汚れがある場合、トイレ使用後
には手を石鹸と水で洗う。
•
芽胞形成性病原菌(Clostridium difficile 等)への接触が強く疑われる場合や
接触が判明している場合には、石鹸と水による手洗いを行うことが好ましい。
•
他のあらゆる臨床状況において、手指に目に見える汚れがない場合、日常的な
手指消毒法(hand antisepsis)としてアルコールベースの手指消毒薬を用いる。
アルコールベースの手指消毒薬が利用できない場合は、石鹸と水による手洗い
を行う。
•
以下の場合には手指衛生が必要である:患者との接触の前後;患者の治療に用
いる侵襲的器具に触れる前(手袋着用の有無は問わない);体液または排泄物、
粘膜、傷のある皮膚または創傷被覆剤に触れた後;身体の汚染部位の処置から
同患者の別の部位の処置に移る場合;すぐ近くの無生物の表面および物体に触
れた後;手袋を外した後。
•
薬剤の取り扱いまたは食物の準備前には、アルコールベースの消毒薬または水
と通常の石鹸または抗菌石鹸を用いた手洗いによる手指衛生が必要である。
•
石鹸とアルコールベースの消毒薬は一緒に使用しないこと。
手指衛生法
手指衛生法についての具体的勧告は以下の通り:
•
手のひら一杯のアルコールベースの消毒薬を手の全表面にすりこみ、乾かせる。
•
手洗いを行う場合は、手を水でぬらし、手の全表面に行き渡る量の石鹸で洗う。
手を水ですすぎ、使い捨てタオルで完全に拭く。可能な場合は、清浄な流水を
用いる。皮膚炎を起こす危険性があるため、湯は使用しない。
•
タオルを用いて蛇口または水栓を閉める。タオルは再使用しないこと。
•
液体石鹸、固形石鹸、フィルム石鹸、粉石鹸が使用できる。固形石鹸は小さい
ものを選び、水が切れるようにラックに置く。
外科処置前の手指の準備
外科処置前の手指の準備についての具体的勧告は以下の通り:
•
外科処置前の手指の準備を行う前に、アクセサリー類を外す。付け爪は禁止さ
れている。
•
シンクは水はねを低減するデザインのものが好ましい。
•
手に目に見える汚れがある場合は通常の石鹸で洗った後で、外科処置前の手指
の準備を行う。爪の中の汚れは爪用クリーナーを用いて、できれば流水中で取
り除く。
•
ブラシの使用は好ましくない。
•
滅菌手袋の着用前に、適切な抗菌石鹸またはアルコールベースの消毒薬(効果
が持続するものが好ましい)を用いて外科処置前の手指消毒を行う。水質が保
証されていない場合にはアルコールベースの消毒薬を使用する。
•
抗菌石鹸を用いる場合、製造業者が推奨する時間(通常 2~5 分間)にわたり手
指と前腕をこすり洗いする。
•
アルコールベースの外科用消毒薬を使用する場合は製造業者の指示に従う。乾
いた手にのみ使用する。アルコールベースの製品を混ぜ合わせないこと。外科
処置前の手の準備では、手指と前腕を湿らせるのに十分な量の消毒薬を使用す
る。手指と前腕を完全に乾かせてから滅菌グローブを着用する。
手指衛生剤の選択
手指衛生剤の選択と取り扱いについての具体的勧告は以下の通り:
•
低刺激性で効果の高い手指衛生製品を用意すること。
•
HCW に、検討対象とするあらゆる製品の皮膚耐性、感触、においについての意見
を尋ねる。
•
当該機関で用いる手指の清浄に用いる製品、スキンケア製品、手袋製品の相互
作用の有無について確認する。
•
適切で、取り扱いやすく、適切に機能し、清潔なディスペンサーを治療現場に
備える。使い残しがあるディスペンサーに石鹸やアルコールベースの製剤を補
充しないこと。
スキンケアについての勧告
スキンケアについての具体的勧告は以下の通り:
•
HCW に対し、刺激接触性皮膚炎および他の皮膚損傷のリスクを低減するよう設計
されたハンドケア法についての教育を行う。
•
標準製品に対するアレルギーが確認された HCW のため、代用の手指衛生製品を
用意する。
•
刺激接触性皮膚炎のリスクを低減するため、HCW にハンドローションまたはクリ
ームを提供する。
•
アルコールベースの消毒薬が利用可能な場合、抗菌石鹸の使用は望ましくない。
石鹸およびアルコールベースの消毒薬は併用しないこと。
手袋の使用についての勧告
手袋の使用についての具体的勧告は以下の通り:
•
手袋を使用した場合でも手指衛生は必要である。
•
血液または感染性材料に接触する可能性がある場合、手袋の着用が推奨される。
•
患者ケア後は手袋を外し、再使用しないこと。
•
身体の汚染された部位の処置から、同じ患者の別の部位の処置へ移る場合、ま
たは環境面に触れる場合は、手袋を交換するか、外すこと。
「HCW の手指衛生促進プログラムでは、手指衛生用製品の種類だけでなく、現時点で
行動に影響を及ぼすことが明らかになっている要因に特に注目している」とガイドライ
ン作成者らは記述している。「この戦略は多面的・集学的であり、教育と実践のための
上級管理者の支援を含めるべきである。HCW に対し、手指が汚染する可能性がある患者
ケア活動の種類と、手指を清潔にするための様々な方法の長所・短所について教育する」
ガイドライン作成者のうち 4 名は GOJO、Clorox、GlaxoSmithKline、その他の企業お
よび機関との様々な金銭的関係を公表している。情報公開の詳細は原著に記載されてい
る。他のガイドライン作成者の情報公開によれば、関連する金銭的関係はないという。
WHO Guidelines on Hand Hygiene in Health Care. May 2009.
医療従事者専門サイト「m3.com」 (http://www.m3.com/)より引用。