低炭素社会 地球温暖化対策の強力な助っ人! ~系統連系円滑化蓄電システム技術開発~ 技術開発研究所 技術開発チーム 堀田 剛さん 目 火炎発生 コバルト系リチウムイオン 二次電池の場合 的 風力発電や太陽光発電は,CO2 を排出しないクリ ーンな電源である一方,自然の影響を受けやすく出 力が不安定です。これらが電力系統に大量に連系し た場合,電圧・周波数の変動や同期不安定※1 など, 電力系統の運用に影響を及ぼすと懸念されます。 電圧・周波数の変動を緩和し,再生可能エネルギ ーを普及させるため,今,マンガン系リチウムイオ ン二次電池※2 が注目を集めています。 今回は,リチウムイオン二次電池を電力設備とし て運用する上での安全性の評価,電池パックの製作 とモジュール(電池パックの集合体)の設計を行い ました。 ※1 同期不安定:一部の交流発電機が他の発電機と同じ回転数で 動けなくなること。 ※2 二次電池:充放電を繰り返して使用できる電池。 電池 マンガン系リチウムイオン 二次電池の場合 図1 釘刺し試験の状況 28個のセル を収納 <電池セル> 容量:76Wh(20Ah) 寸法:325×156×75mm <電池パック> 容量:2.1kWh 電池パックを 3個直列 これまでの成果 ● 安全性の評価 【安全性評価試験(圧壊,過充電,釘刺し試験)】 電池の正極材料には,コバルト系ではなくマンガ ン系を採用しており,釘刺し試験で発火・破裂は 見られず,安全性が高いことを確認しました(図 1)。 ● 電池パックの製作とモジュールの設計 電池セルを 28 枚収納した電池パック(2.1kWh)を 製作しました。試験用電池モジュールとして 25.5kWh のものを設計しました(図2)。 異常なし 電池パッ ク 電池パッ ク 電池パッ ク電池パッ ク 電池パッ ク 電池パッ ク 電池パッ ク 電池パッ ク 電池パッ ク 3直列パック を4段 電池パッ ク 電池パッ ク 電池パッ ク 電池パッ ク 電池パッ ク 容量:6.4kWh 容量:25.5kWh 図2 電池パッ ク 電池モジュールの構成 系統連系6.6kV AC480V 蓄電システム 今後の予定 電圧調整等をおこなうインバータ回路と 25.5kW h電池モジュールを組み合わせての動作試験や,短絡 事故が起こったときの安全性を評価する試験及び寿 命を支配する因子の究明等を実施し,平成 22 年度に は志賀風力・太陽光発電センターに,250kWh 級蓄電 システムを設置して,系統安定化を含めた総合検証試 験を実施する予定です(図3)。 風力 出力275kW 太陽光 出力20kW 風力 発電 制御 システム 交直変換装置 志賀 風力・太陽光 発電センター 充放電システム 電池制御 システム リチウムイオン二次電池 図3 蓄電システムイメージ
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