巻頭言 - 日大生産工学部建築工学科

築
巻頭言
日本人の学生は、英語が下手?
2011.01VOL.34NO.2
日本大学生産工学部
建 築 工 学 科 教 室
教授 神 田 亮
今回初めて巻頭言を書くことになった。何を書こうと考
英語は日本語より発音される音の種類が多く日本人には区
えていたら、少ししてあることが頭に浮かんだ。それは、
別しづらい音が含まれている。まあ、実際、これらは一要
今から丁度 10 年前、生産工学部の海外派遣研究員制度で、
因であると思われる。さらに、幼少のころの経験にあおら
アメリカで 1 年 7 カ月勉強した時にはじめて感じ、その後、
れて、日本人特に学生は、英語が下手という観念にとらわ
常に感じていることである。
れていた。
私は、生まれたのは戦後 10 数年たったころで、物心つ
しかし、ある日、意外なことを知った。“中国では、大
いたときには、東京オリンピックが開催され、その後小学
学の教科書はみんな英語だよ”と中国人の友人が、日本語
校中学校は、まさに高度経済成長真只中、高度経済成長と
の専門書を読む私に教えてくれた。中国や韓国の学生は、
ともに大きくなったようなものである。敗戦そのものを知
毎日授業で英語の専門の教科書を読む。日本の大学では考
らないが、その影響を強く感じて成長した。それは、日本
えられない。そんな学生が留学してくるのだから、英語に
や日本の習慣、独自の考え方を否定する考えがかなり渦巻
慣れている度合いは、我々日本の留学生とは比べものにな
いていたということも含めてである。そんな中で育ったの
らない。だから、話したり聞いたりすることもはるかにう
で、日本の考え方を否定することをあまり不思議と思わな
まく、上達も早い。当り前かと思った。だけどなぜだろう
かった。私はいつも、
“日本はダメな国だ”
、
“日本人はダ
と次に思った。中国語や韓国語の教科書はないのだろう
メな民族だ”ということを日本人だから否定しつつも、心
か?日本では、大学の教科書も日本語で書かれている。当
のどこかで認めていた。
り前なのである。この当たり前に実は重大なことが隠れて
そんなバックグランドをもっていた私が留学した時期
いた。実はこの当たり前のことすなわち大学で勉強するた
は、1990 年代の初頭にバブル経済が崩壊し、その影響が色
めの教科書は、日本語で書かれていることは、大変なこと
濃く残る 1999 年で、1980 年代の日本の躍進で日本は世界
なのである。日本は、母国語で高等教育の行える数少ない
に認められつつもまだ 1 流国には何か足りない国のイメー
国の 1 つである。韓国や中国の発展は目覚ましいものがあ
ジが残っていた。幼少時の経験は、多少外人コンプレックス
り、現在では、どうかはわからないが、少なくとも 10 年
となり、また逆に、海外のあこがれ、海外の研究者は優秀
前はそうでなかった。
で独創的な考え方にたけていると妄想していたほどである。
では、中国や韓国でも高等教育を母国語で行えないので
留学先は、アメリカ、インデイアナ州のサウスベンドと
あれば、高等教育を母国語で行える国は、世界でどのくら
いう町にあるノートルダム大学、カトリックの教えを尊ぶ
いあるのであろうか?アメリカのほかに、イギリス、フラ
私立の大学で学生数は、大学院生を含めて 2 万人程度であ
ンス、ドイツ・・・・・? 20 カ国はないであろうか?そ
る。
の国の一つは日本である。
留学生活を始めて、すぐ感じたことは、周りの外国人留
私は、大学に入学した時に、大学の土木工学科を卒業し
学生に比べて、日本人は英語が下手ということだ。私が特
た父から、内藤多仲の構造力学の本を譲り受けた。今でも
にそうであったので、余計そう感じたと思われるが、とに
本棚に、大切にしまってある。戦時中の教科書であるため
かく、日本人の学生は英語が下手であった。また、日本の
紙の質は最悪、しかし、この教科書から、日本は戦前から、
有名国立大学に留学経験のある中国人の友人からも、“日
高等教育を日本語で行っていたのである。たぶんそれは、
本の学生は英語が下手だ。あれが、日本の有名国立大学の
明治の終わりごろからではないだろうか?
学生なのか”という指摘も受けた。事実であるのであろうが、
日本人の学生は英語が下手であることには、この国が誇
不思議であった。いろいろ理由を考えてみた。外国人の学
る歴史が隠れていた。海外に出れば出るほど、日本の良さ
生は、特別優秀な学生が留学してきているのかと思った。
に気付く。
また、母国語と英語が言語的にかなり遠い関係にあるとか、
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平成 20 年度 日本大学 長期海外派遣研究員 帰朝報告
ーグリーンコンクリートへの取り組みー
准教授 師橋 憲貴
私は平成 20 年度長期海外派遣研究員として,平成 21 年
が,アメリカでは 2008 年の調査で 2 億 7,000 万 m3 の生コ
3 月 29 日から平成 22 年 3 月 3 日の約 1 年間,アメリカニ
ンクリートが生産されており,日本の 1 億 100 万 m3 に対
ューヨーク州ニューヨーク市にキャンパスを置くコロンビ
して約 2.7 倍の生産量がある。生コンクリートは例えば鉄
ア大学に訪問研究員として長期出張した。出張目的は「ア
鋼などの建設資材に比較して非常に単価が安いので,建設
メリカにおける建設廃棄物の再資源化に関する調査研究」
業界の特徴として,積極的にリサイクルが行われ難い現状
であり,出張期間中はアメリカの建設廃棄物の現状調査と
がある。コンクリートは主な原料として,セメント,骨材
(砂
ともに,建設廃棄物を利用したコンクリートの圧縮強度や
利と砂),水で構成されているが,原料のひとつである骨
割裂強度などについて実験的研究を行った。派遣先のコロ
材は特に再利用が行われ難い顕著な例である。なぜなら骨
ンビア大学
(Columbia University in the City of New York)
は
材はコンクリートのもうひとつの原料であるセメントに比
1754 年に設立された,アメリカで 5 番目に古い私立大学で
べて非常に安価だからである。天然の骨材はそのものの単
アイビー・リーグに属することが知られている。今回,私
価が安いため,処理にコストが掛かるリサイクルされた骨
は工学系の The Fu Foundation School of Engineering and
材に置き換えて使用することは経済的観点から困難なこと
Applied Science(学部)の The Department of Civil Engineering
である。さらに,リサイクルされた骨材で作られたコンク
and Engineering Mechanics(学科)に Visiting Scholar として籍
リートは天然骨材で作られたコンクリートよりも性能が劣
を置かせていただいた(写真- 1)。私はコンクリートの機械
ることが知られているのでなおさら普及し難い状況となって
的性質を専門にしておられる Christian Meyer 教授のご指導の
いる。
下で研究を遂行した(写真- 2)。Christian Meyer 教授は,
アメリカにおける建設廃棄物は Construction & Demolition
近年は廃ガラスなどのリサイクル素材を活用して,材料に
Debris(以降,建設 ・ 解体廃棄物と称す)と定義されている。
付加価値を付け独自の特性を持つ建設用コンクリートの製
建設 ・ 解体廃棄物は,Municipal solid waste
(以降,一般廃
造技術を開発し実用化させている。
棄物と称す)と同様にかなりの排出量がある。Construction
Materials Recycling Association(以降,建設材料リサイクル
■アメリカにおける建設廃棄物の再資源化
協会と称す)によると,アメリカでは建設および解体工事
アメリカは世界で最も豊かな国であるが,これは複数の
から年間 3 億 2,500 万トンの建設 ・ 解体廃棄物が発生して
要因によってもたらされている。それは豊かな自然に恵ま
いる。これらの約 50%が建物に由来するものや道路や橋な
れた,広大で比較的人口密度の低い大陸であること,また
ど建物以外に由来するコンクリートガラであると推定され
その大陸を冒険心や起業家精神を持つ先駆者達が開拓した
ている。一方,The United States Environmental Protection
ことである。そうした豊かさの発展は大部分が天然資源の
Agency
(連邦環境保護庁)によると,一般廃棄物の発生量は
消費を土台としており,初期の段階では基本的には天然資
2 億 5,400 万トンであるから,建設 ・ 解体廃棄物は一般廃
源の保全については考慮されていなかったものと思われ
棄物の約 1.3 倍排出されていることになる。一般廃棄物の
る。アメリカにおいて,天然資源をリサイクルおよび再利
うち 6,330 万トンは電池,紙類,庭の芝刈り後の草,鉄缶,
用するという概念は優先度が低かったわけであるが,現代
アルミ缶の上位 5 項目を初めとして再資源化されている。
は劇的な変化が見られている。重要な出来事としては 1970
前出の建設材料リサイクル協会によるとアメリカでは毎年
年のアースデイの宣言であり,アメリカ国民の大部分が天
1 億 4,000 万トンのコンクリートがリサイクルされている
然資源に限りがあることを認識し,環境問題を意識し始め
と報告しているので , コンクリートに関しては高いリサイ
ることとなった。
クル率であることが伺える。一方,建設 ・ 解体廃棄物の過
建設業界についても環境団体の主導により変化が生じて
半は埋め立てられている。建設 ・ 解体廃棄物は人体に害を
いる。一例を挙げると,U.S. Green Building Council
(以降,
及ぼすような有害なものではないため,アメリカでは産業
グリーンビルディング評議会と称す)の会員が急激に増加し,
廃棄物には含まれず,一般廃棄物の処分場で処理されてお
大きな影響力を行使している。グリーンビルディング評議
り,人口の多い沿岸部で発生した建設 ・ 解体廃棄物がアメ
会によって,建設業界全体に変化の兆しが認められる。エ
リカ大陸の内陸に運ばれ処理されているのである。
ネルギーと環境設計のリーダーシップが執れるよう技術者
のガイドラインが提示されているのである。建設業界は大
量の資材を移動させるうえ,それらは一般に原料であって,
■アメリカの建設廃棄物を利用したコンクリートの研究
このようなアメリカの建設廃棄物の再資源化の現状を踏
製品の移動と比較するとコストが安い。例えばコンクリー
まえ,私はアメリカの建設および解体工事から排出された
トは世界中で最も幅広く利用されている建設資材である
建設 ・ 解体廃棄物を利用してコロンビア大学のカーレト
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ン・ラボラトリーで実験をさせていただいた。近年,日本
では天然骨材の枯渇や建設廃棄物の最終処分場の残余容量
の不足からコンクリートのリサイクルが促進されている。
一方アメリカでは持続可能な社会への取り組みからグリー
ンビルディングへの移行が推進されている。これらの概念
によりコンクリートの原料となる骨材資源も再資源化が試
みられ,環境への負荷を低減する取り組みとしてグリーン
コンクリートへの意識が高まっている。私が行った実験は
建設 ・ 解体廃棄物のコンクリートガラをリサイクルした骨
材
(以降,再生骨材と称す)をコンクリートの原料として再
利用し,出来上がったコンクリートの圧縮強度や割裂強度
を調べ,再生骨材を利用したコンクリートの物理的な性状
を調べることを目的としたものである。この実験の成果は,
平成 22 年 9 月に開催された日本建築学会大会学術講演会
(北陸)において2段階打設法による再生コンクリートの圧
写真-1 コロンビア大学(Columbia University in the City of New York)
The Fu Foundation School of Engineering and Applied Science 学部の S.
W. Mudd 校舎エントランスにて(撮影日:平成 21 年 5 月 20 日)
縮強度 ( 梗概集 pp.1055-1056) と題して口頭発表した。
■結語
以上の報告は海外派遣研究員の機会を得た結果行うこと
ができた研究であり,訪問研究員として受入れを許可して
くださった派遣先のコロンビア大学の関係各位に感謝の意
を申し上げます。特に懇切丁寧にご指導をいただき実験ま
でも行わせていただいた Christian Meyer 教授には厚く御
礼を申し上げます。Meyer 教授には日本大学生産工学研究
所の地域連携研究プロジェクトによる記念講演のため平成
22 年 6 月に来日していただき,アメリカにおけるコンクリ
ート生産の持続可能性と題して御講演いただきました。実
験では Harlem Children Society の高校生プログラムに参加
していた 12 年生
(高校 3 年生)
の Ezequiel Hernandez 君と
11 年生
(高校 2 年生)
の Kenneth D'Silva 君に実験を手伝っ
てもらいました。彼らは私が日本人なので,日本のゲーム
機やアニメの話題などで時折会話を盛り上げてくれました
写真-2 ご指導をいただいた The Department of Civil Engineering and
Engineering Mechanics 主任(当時)Christian Meyer 教授とのコロンビ
ア大学卒業式当日の記念撮影(撮影日:平成 21 年 5 月 20 日)
が,二人とも優秀で研究熱心であり,意欲的に実験をサポ
ートしてくれたので大変助かりました(写真- 3)
。再生骨
材は Grinnell Recycling,Inc. に御提供をいただきました。
ここに記して深謝いたします。
また約 1 年間にもわたり,アメリカにおける建設廃棄物
の再資源化に関する調査研究の機会を与えてくださった派
遣元の日本大学の関係各位に深く感謝申し上げます。特に,
私が日本を離れている間,建築教室の先生方,事務室の
方々,桜田研究室の大学院生には多大なサポートをいただ
きました。本当にありがとうございました。今後,今回の
海外派遣で得た知識を学生へ還元しながら教育の中に生か
したいと思います。また,渡米中に交流があったリビア・
ファーテハ大学の Hakim S. Abdelgader 教授とは現在も研
究に関してメールのやり取りが続いています。海外の教授
達との関係を継続維持しながら研究面での更なる向上に励
んで参りたいと存じます。
(専攻 鉄筋コンクリート構造)
写真-3 実験に参加した Harlem Children Society 高校生プログラム
Ezequiel Hernandez 氏(中央左)および Kenneth D'silva 氏(中央右 ) と
の記念撮影(撮影日:平成 21 年 8 月 20 日)
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脊髄損傷者の温熱環境
助教 三上 功生
1. はじめに
交通事故やスポーツ事故などにより脊髄(図 1)を損傷し
た脊髄損傷者
(以下脊損者)は、自律神経機能障害として受
傷部以下の発汗障害や温冷感麻痺、四肢末梢部の血管運動
障害などの体温調節障害を有している。特に頸部の脊髄で
ある頸髄を損傷した頸髄損傷者(以下頸損者)は、発汗障害
がほぼ全身に及ぶなど極めて重篤な体温調節障害を有して
いることから、頸損者の温熱環境の計画・評価方法を確立
することが求められている。筆者は、頸損者の温熱環境の
計画・評価方法を確立するためのアプローチの一つとして、
頸損者の体温調節機能の特性を把握することを目的とした
人工気候室による被験者実験を長年にわたり行ってきたの
で、その結果の一部を紹介する。
2. 実験方法
実験では生理反応として体温の代替値である口腔温を電
子体温計により 15 分間隔、Hardy&Dubois の 7 点法に従
図 1 脊髄の構造
い、額部、上腕部、手背部、胴部、大腿部、下腿部、足背
表 1 実験条件
部の皮膚温を環境体温計あるいはデータロガーにより 5 分
間隔、血圧と脈拍を自動血圧計により 15 分間隔、主に発
汗量を調べるための体重減少量(実験開始時の体重-実験
終了時の体重)を精密体重計により測定した。実験条件の
詳細を表 1、被験者プロフィールを表 2、実験の様子の一
例を図 2 に示す。
3. 実験結果及び考察
3-1. 口腔温
表 2 被験者プロフィール
各室温における口腔温を図 3 に示す。また、図内には一
般的に平熱といわれている温度範囲 36.0 ~ 36.9℃(以下平
熱範囲)をあわせて示す。学生の口腔温はほとんどの室温
で平熱範囲にあった。一方頸損者の口腔温は、室温 27℃以
上では平熱範囲の上限付近あるいは上限以上であり、また
室温 21℃以下では、平熱範囲の下限付近あるいは下限以下
であった。本分析結果より相対湿度 50%、車椅子上安静
状態、着衣量 0.6clo
(中間期)における頸損者の至適温度条
件は 24±1℃と推測される。この頸損者の至適温度範囲を、
表 3 に示す 1983 年に労働科学研究所における住宅熱環境
評価研究委員会が策定した「住宅熱環境評価基準値(一般健
常者)
」の中間期の居間 24±3℃と比較すると、頸損者の許
容範囲は一般健常者より ±2℃狭い。
3-2. 四肢末梢部の皮膚温
一般的に低温環境下では、血管収縮により四肢末梢部の
皮膚温は下降する。逆に高温環境下では、血管拡張により
皮膚温は上昇する。各室温における手背部及び足背部皮膚
温を図 4, 5 に示す。室温 21℃以下の頸損者の手背部皮膚温
は、学生より有意に高かった。足背部皮膚温は、全ての室
温で頸損者の方が高い傾向にあり、室温 27℃以下では有意
差がみられた。室温 21℃以下の頸損者の口腔温は、平熱範
4
図 2 実験の様子の一例
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囲の下限付近あるいは下限以下にあったことから、これは
血管収縮障害のために四肢末梢部の皮膚温が下降せず、乾
性熱放散を抑制できなかったことが原因と考えられる。
3-3. 体重減少量
各室温における体重減少量を図 6 に示す。学生の体重減
少量は、室温の上昇に伴い大きくなる傾向がみられた。特
に室温 29℃以上では大きく、発汗の影響と考えられる。一
方、頸損者の体重減少量は全ての室温で学生より小さく、
室温 19℃を除き有意差がみられた。頸損者の口腔温が室温
27℃以上で平熱範囲の上限付近あるいは上限以上にあった
ことは、ほぼ全身に及ぶ発汗障害の影響と考えられる。
4. まとめ
現在までに集積された人工気候室による被験者実験デー
タより、頸損者の体温調節機能の特性について検討を行い、
主に以下の知見を得た。
・中間期安静時の至適温熱環境条件は室温 24±1℃、相対
湿度 50%と考えられる。
・室温 21℃以下及び 27℃以上では、頸損者の口腔温は平
熱範囲の上下限付近にあるか、上下限を超えてしまう。
室温 21℃以下では四肢末梢部の血管収縮障害、室温
27℃以上ではほぼ全身におよぶ発汗障害の影響と考えら
れる。
今後、夏期及び冬期の至適温熱環境条件の検討を含め、
頸損者を含んだ脊損者が日常生活において体温調節障害に
より被るリスクを軽減させるための方法を建築、空気調和
設備、医療機器、福祉機器、衣服、寝具、リハビリテーショ
ンなど様々な分野から検討を行う予定である。(図 7)
図 7 研究のアプローチ
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正しい大人の火遊び
泉 幸甫
僕は日大に教えに行く傍ら、設計事務所をやっていて主に
ではこのお金がどこから出ているかといえば、
国交省の「地
住宅や集合住宅の設計をやっています。大学に行っても建築
域木造住宅市場活性化推進事業」というのがあり、これに応
ですが、行かないときも朝から晩まで建築漬です。そんな中
募し約 700 万、900 万、今年度 1000 万と 3 年連続にわたり補
で仕事をやっていると、様々な問題にぶつかります。仕事と
助金を得ました。このような補助金で連続して得られること
はその問題を一つ一つ乗り越えて行くことと言ってもいいで
は少ないようですが、実験を重ねるうちにだんだんと成果が
しょう。レベルの高い所にチャレンジする内容を設定すると
出てき、私たちへの期待も大きくなったようです。税金の無
問題はどんどん増え、またその問題可決は難しくなっていき
駄遣いにならないよう、それに応えないわけにはいきません。
ますが、それは現在の社会の仕組みと具体的な戦いでもあり
2 年度目にすでに認定取得のための本試験を行い成功し、
ます。だから僕にとって建築は社会とかかわる窓というか、
現在認定が出るのを待っているところです。しかしこのとき
触媒のようなものです。
の実験はガラスが網入りガラスの複層であまり美しくありま
せん。今年度は片引き戸と引き違い戸で、ガラスは耐熱ガラ
僕がそのような問題の中で今どうにかしたいと思っている
スと普通ガラスのペアガラスで網もなく、かなり格好良くな
ことに、木製の防火戸の開発があります。木は燃えやすいも
ります。認定取得のための本試験は 2011 年 1 月、この「築」
のと思われがちですが意外と燃えにくいものです。しかし準
が出ているころには結果が出ていることでしょう。
防火地域における
「延焼の恐れのある部分」と呼ばれるところ
ところでこのような実験をして、うまくいったら結構お金
で木製のガラス戸を使うことは建築基準法からできません。
が儲かるだろうなと思われるかもしれません。一般的には大
だから木製の建具はほとんど目にしなくなり、アルミサッシ
臣認定の取得は材料メーカーやハウスメーカーがよくやって
ュに取って代わりました。しかし木製の建具は温かみがあり
いますが、自社の利益を目的としたものです。
ます。建築家で木製の建具を好きな人は多いのですが、仕方
私たちがこの開発で目指してきたことは、もちろん防火性
なくアルミサッシを使うか、木製建具を違反覚悟の確信犯で
能を有する、デザイン性も高い木製建具を開発し、大臣認定
使うかしかありません。
を取得し私たちの設計で実際に使えるようにすることにあり
でも木は意外と燃えにくいもの。しかし
「何となく燃えに
ます。しかし開発した技術の運用にあたっては、できるだけ
くい」ではどうにもなりません。このように設計すると火を
多くの町の建具屋が、私たちの生み出した仕様さえ守れば自
通さない防火戸ができる、ということの技術実証をしなけれ
由に作ることができるようにすることにあります。先に書い
ばなりません。ということで、僕が責任者となり仲間の建築
たように通常このような技術開発は企業の利益追求を目指し
家と今取り組んでいるのが木製ガラス戸の防火戸、の開発で
て行われ、そこで開発された技術は独占的に使用されます。
す。この開発の最終目的は国交省のお墨付き、つまり大臣認
しかし私たちが目指すものは、私たち少数の建築家のために
定取得にあります。
だけでなく、技術をオープンにし、町の建具屋がさまざまな
準防火地区で使う建具は外部からの火
(火事)に対し 20 分
依頼主の木製建具を準防火地域でも使えるように製作するこ
間耐え、火を通さないこと
(遮炎性)が条件です。そのために
とで、今一度日本の誇る温かみのある木製建具文化の再生に
はディテールの検討が最も重要です。火に耐えられるガラス
わずかばかりでも寄与できないか、ということです。
はどのようなものか、木が燃え進むスピードはどのくらいか
だから僕たちは全然儲からないのです。でもハラハラ、ド
(杉で 1 分間に約 1 ミリ)、建具をはめ込む枠と建具の隙間か
キドキ、でも楽しいのです。ある意味遊びのようなものかも
ら燃え進まないようにするにはどうするか、などなどいろん
しれません。皆さんもいつかはこのような意義ある楽しい大
な検討が必要で、それをもとに設計をし、試験体を作り実験
人の遊びを見つけてください。
を行います。写真はその実験風景です。
実はこの試験はハラハラドキドキ。年齢を重ねるとスリリ
ングなことは避けて通るようになりますが、この実験では今
でもスリル満点を味わっています。燃えにくいように木を大
量に使い、安全性を大きく取れば容易くなりますが、実際に
使うにはコストを下げなければならず、そう余裕を見た設計
にすることはできません。試験をやっていて耐えなければな
らない 20 分に近づくと、試験体の燃焼が進みかなり危なく
なってきたことが目に見えてわかります。あと 1 分、30 秒、
10 秒、3 秒、2 秒、1 秒と心拍数どんどん上がります。成功
した時はこの実験に参加している仲間と手をたたいて喜びあ
います。サッカーのゴールを決めた時のようなポーズをとる
者もいます。失敗の時はもちろんショボーン。俺達どうした
らいいんだろう、とお先真っ暗になります。何たって 1 回の
実験で 100 万近いお金がかかっているのですから。
6
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21 世紀型 教育スタイルへの提言
ー平成 21 年度教育貢献賞の受賞を考えてー
21 世紀もはや 10 年を経とうとしている。まずこの 10
年間を振り返り 21 世紀初頭から現在までの大学教育にお
ける主な改革を挙げてると共に,これから必要な教育スタ
イルについて触れていきたいと思う。
小松 博
ような感じがしている。
大学の運営に関することをはじめに書いてしまったが,
それでは大学教育に関してはどうかというと,学生諸君は
「ファカルティ・ディベロップメント(以下 FD という)
」
2001 年には文部科学省より
「大学(国立大学)の構造改革
という言葉を耳にしたことはあるだろうか。これは教員が
の方針」が打ち出されている。これは
「活力に富み国際競争
授業内容・方法を改善し向上させるための組織的な取組の
力のある国公私立大学づくりの一環として」との主題によ
総称で,その意味するところは極めて広範にわたるが,具
り,大きくは次の 3 つの基本方針からなっている。
体的な例としては,学生による授業評価,教員相互の授業
①国立大学の再編・統合を大胆に進める。
参観の実施,授業方法についての研究会の開催,新任教員
②国立大学に民間的発想の経営手法を導入する。
のための研修会の開催,教育方法改善のための講演会の開
③大学に第三者評価による競争原理を導入する。
催などである。この FD の積極的な取り組みが始まったの
我々私立大学にとっては③が関係する項目であるが,その
も 21 世紀初頭のことであった。それまでの大学における
説明の前に国公立大学に関する①と②について簡単に触れ
教育,特に授業においては教員が,受講生である学生諸君
ることとする。①と②は地方の国公立大学の再編・統合な
に
「与える」授業であったと思う。当然教員に対する学生の
らびに 2004 年に行われた国立大学の独立法人化へと繋が
授業評価などは以ての外であり,授業方法は各教員独自の
っている。
ものであった。かく言う私も授業の方法について正式に学
それでは③の詳細であるが,
「専門家・民間人が参画す
んだことはないが,幸いにも表題にあるように生産工学部
る第三者評価システムを導入」
,
「評価結果を学生・企業・
の教育貢献賞を受賞できたことから,現在の授業のやり方
助成団体など国民,社会に全面公開」
,
「評価結果に応じて
については間違えた教授法ではないと思うが,FD の観点
資金を重点配分」
,
「国公私を通じた競争的資金を拡充」と
からすればこれを毎年毎年スパイラルアップしてすること
いうもので,国公私立大学
「トップ 30」を世界最高水準に
が必要である。
育成することを目的としている。専門家・民間人が参画す
さて次にこんな言葉を聞いたことはあるだろうか,「ス
る第三者評価システムを導入としては大学評価・学位授与
タディスキル」
「リメディアル教育」
「インセンティブ」で
機構等による外部評価を行うことであり,日本大学では現
ある。
「スタディスキル」は新入生を対象とした初年時教育
在大学基準協会により評価を受けている。またこの評価結
のことで,建築工学科では
「建築探訪」の授業により建築に
果を学生・企業・助成団体など国民,社会に全面公開を行
関する
「学び方」を学ぶための導入教育科目としての位置づ
うことが必要であり,この結果に応じて補助金を重点配分
けで設置している。
「リメディアル教育」は高等学校での教
するということである。
「トップ 30」とは文部科学省が研
科・科目について大学が補完授業を行う場合,専門教育で
究評価によって国立・公立・私立の全大学から上位 30 校(全
の活動に必要な手法を教授する場合,あるいは大学の前期
大学の 5%)を選別し,資金の重点配分を行なって世界最
試験等の結果から,基準点不足の学生に対して行われる教
高水準の大学を育成しようというもので,これを具現化し
育等が挙げられる。生産工学部では特に基礎科学系科目に
たのが世界的教育研究拠点形成のための重点的支援として
おいてこれらが実施されている。
「インセンティブ」は一般
の
「21 世紀 COE プログラム」であり,当時は大学間格差を
的には,ものごとに取り組む意欲を,報酬を期待させて外
助長するものとして話題となった施策であった。この
「21 世
側から高める働きとの意を表す言葉であるが,これを教育
紀 COE プログラム」は「特色ある大学教育支援プログラム
に当てはめた場合には,例えばこの授業を受け修得するこ
(教育 GP)」
・
「現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代
とにより,このような対価が得られるということを明確に
GP)」に移行し,現在は
「質の高い大学教育推進プログラム
(教育 GP)
」に受け継がれ,ともに優れたプログラムに対
することで学習意欲を向上させようというものである。
最近よく耳にする言葉がある。それは
「学士力」である。
する国の財政支援に結びついている。何か大変に難しいこ
これは 2008 年の「学士課程教育の構築に向けて」とする中
とを書いてきたが,この大学の構造改革の方針が基本とな
央教育審議会の答申の中に出てくる
「学習成果」を現す言葉
って,現在ならびにこれからの大学教育が進められている
である。なぜ学士課程教育なのであろうか。それは現在,
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大学は学部・学科や研究科といった組織に着目した整理が
重視した取組が進展しているが,日本の大学が掲げる教育
なされているが,今後は教育の充実の観点から,学部・大
研究の目的等は総じて抽象的であり,学位授与の方針が教
学院を通じて,学士・修士・博士・専門職学位といった学
育課程の編成や学修評価の在り方を律するものとなってい
位を与える課程
(プログラム)中心の考え方に再整理するた
ない。また大学の多様化は進んだが,学士課程を通じた最
めとのことである。ここで求められる学士力とは次の事項
低限の共通性が重視されていない,というものである。そ
である。
れでは具体的な改善方策として,大学に期待される取組み
1. 知識・理解:専攻する特定の学問分野における基本的な
としては,大学全体や学部・学科等の教育研究上の目的、
「学
知識を体系的に理解するとともに,その知識体系の意味
位授与の方針」を定め、学内外に対して積極的に公開する。
と自己の存在を歴史・社会・自然と関連付けて理解する。
学生の学習到達度を的確に把握・測定し、卒業認定を行う
(1)多文化・異文化に関する知識の理解
組織的な体制を整える。また学位に付記する専攻分野の名
(2)人類の文化,社会と自然に関する知識の理解
称については、学問の動向や国際的通用性に配慮して適切
2. 汎用的技能:知的活動でも職業生活や社会生活でも必要
な技能
(1)コミュニケーション・スキル:日本語と特定の外国
語を用いて,読み,書き,聞き,話すことができる。
(2)数量的スキル:自然や社会的事象について,シンボ
ルを活用して分析し,理解し,表現することができる。
に定める。類例がなく定着していない名称は避けるよう努
める。ということである。なお学習到達度に関しては,建
築工学科では外部評価による建築士の問題を用いた到達度
試験を行っている。
「学位授与の方針」とともに
「教育課程編成・実施の方針」
についても触れておく。「学生が本気で学び、社会で通用
(3)情報リテラシー:ICTを用いて,多様な情報を収
する力を身に付けるよう,きめ細かな指導と厳格な成績評
集・分析して適正に判断し,モラルに則って効果的に
価を」というサブタイトルが付けられている。現状と課題
活用することができる。
としては,学修の系統性・順次性が配慮されて居らず,学
(4)論理的思考力:情報や知識を複眼的,論理的に分析
し,表現できる。
生の学習時間が短く,授業時間外の学修を含めて 45 時間
で 1 単位とする考え方が徹底されていない。また成績評価
(5)問題解決力:問題を発見し,解決に必要な情報を収
が教員の裁量に依存しており,組織的な取組が弱いとの指
集・分析・整理し,その問題を確実に解決できる。
摘がある。これに対しての大学としての改善策は,順次性
3. 態度・志向性
のある体系的な教育課程を編成であり,学生の学習時間の
(1)自己管理力:自らを律して行動できる。
実態を把握した上で,単位制度の実質化を行う。また成績
(2)チームワーク,リーダーシップ:他者と協調・協働
評価基準を策定し,GPA 等の客観的な評価基準を適用す
して行動できる。また,他者に方向性を示し,目標の
るというものである。特に学生諸君に理解して頂きたいこ
実現のために動員できる。
とは,1 単位の学修時間である。1 単位 45 時間とある。こ
(3)倫理観:自己の良心と社会の規範やルールに従って
行動できる。
れは大学で 90 分授業を受けた後,自宅において同じ時間
を予習・復習に当てるということである。なぜなら半期
(4)市民としての社会的責任:社会の一員としての意識
15 週で大学における授業時間は 22.5 時間にしかならない
を持ち,義務と権利を適正に行使しつつ,社会の発展
のである。しかしサブタイトルとしてあるように学生諸君
のために積極的に関与できる。
が本気で学びたいと欲するときには,教員はそれ以上に本
(5)生涯学習力:卒業後も自律・自立して学習できる。
気できめ細かな指導をすることが必要となってくる。これ
4. 統合的な学習経験と創造的思考力:これまでに獲得した
は前に述べた FD に関連するもので,教員の義務と考える。
知識・技能・態度等を総合的に活用し,自らが立てた新
また
「大学の質の保証」のための教育システムの構築という
たな課題にそれらを適用し,その課題を解決する能力。
ことも今後の大学教育における課題となっている。
「学士課程教育の構築に向けて」においては,学士課程教
最後に文部科学省関連の審議会の答申書等を基に記述し
育における 3 つの方針として
「学位授与の方針
(ディプロマ・
たため難しい表現となっている部分もあるが,これから求
ポリシー)
」
,
「教育課程編成・実施の方針
(カリキュラム・
められる
「学士力」を残りの学生生活において是非とも身に
ポリシー)
」
,
「入学者受入れの方針
(アドミッション・ポリ
つける努力をして頂きたいと思う。
シー)
」
を挙げ,明確化を求めている。
「学位授与の方針」における現状と課題を示すと,他の先
進国では
「何を教えるか」より
「何ができるようになるか」を
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(教授 鋼構造)
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建築工学科 アーカイブス
本学部貴重図書「朝香宮邸新築関係費書類一式」
藤谷 陽悦
本学部図書館が所蔵する貴重図書類の中に「朝香宮邸
となり、大正 11 年 10 月には「軍事御研究」を名目とし
新築関係費書類一式」と題する古い建築関係文書がある。
てそのままパリへ旅立った。上海- シンガポール- 恩師山口廣名誉教授と一緒に古本屋の古書目録の中から
ペナン- コロンボ- スエズ運河- ポートサイト-
見つけて購入した貴重図書である。簿冊は全部で 23 冊
マルセイユを経てたどり着いたフランス旅行であった。
に分かれている。今では珍しくなった和綴じの体裁で、
その翌年に鳩彦殿下にちょっとした事件に巻き込まれ
その中には古い建築の書類や青焼き図面などが含まれて
る。4 月に北白川宮ご夫妻と一緒に出かけたドライブで
いる。書籍を購入できたのは今から 30 年ほど前のこと、
パリ郊外において自動車事故に遭い、怪我のため長期療
ちょうど日本がバブルを迎えていた時代であった。
養で此地にしばらく留まることになったのである。允子
当時は実験機材・備品類を必要としない建築史研究で
妃殿下も急きょ看病のためパリに駆け付けた。このとき
は、余った年度末予算の一部を使って古本を購入する権
二人で一緒に見学したのが 1925 年(大正 14)にパリで
利が託されていた。日本が財源不足に悩んでいる今では
開催されていたアールデコ博覧会であった。このアール
羨むような時代の話である。古本の値段は当時の金額で
デコは正式名称を「現代装飾美術・産業美術国際博覧会
たったの 40 万円であったように覚えている。
〈Exposition International des Arts D'ecoratifs et
古本が高値で取引されるようになったのは両国の江戸
Industriels Moderns〉
」と言う。新時代の産業芸術・工
東京博物館がその開設準備を始めた昭和 60 年頃からで
芸美術を目的とした装飾博覧会で世界中から多くの見学
ある。書籍を購入できたのはまさしくそうした時期であ
者が訪れた。世界的な建築家であるル・コルビュジェ
り、当時は「東京」という名前が付いた本であれば何で
(1887 - 1965)はこの展覧会で、将来的な無装飾デザイ
も売れる時代であった。だから販売者もろくに価値を調
ンの方向性を見据え、インターナショナル・スタイルに
べずに、本に値段を付けたのであろう。今にして思えば
よる「エスプリ・ヌーボー館」を展示してアンチ・テー
“お宝発見!”と同じくらいに安い買い物であったよう
ゼを唱えた話は有名である。しかし、鳩彦殿下が関心を
に思う。
抱いたのはコルビュジェよりもアールデコ様式であっ
ちなみに旧朝香宮邸は現在の東京都庭園美術館であ
た。鳩彦殿下は同年 12 月に帰国し、しばらく高輪本邸
る。この建物は久邇宮朝彦親王の第 8 皇子鳩彦王によっ
で生活を営んだ。しかし、関東大震災でそれが被害を受
て「朝香宮白金殿邸」として昭和 8 年 5 月に完成させら
け、白金に新しく本邸(旧朝香宮邸)を新築することに
れた住宅である。その建築のデザインはすべてアールデ
なったのである。この建物はご存知である人も多いと思
コの装飾で覆われており、すでに「アールデコの館」と
うが、アールデコ様式が採用されている。鳩彦殿下が如
して知られていた。
何にこの様式にご執心だったのかが見て取れるのであ
朝香宮家は明治 39 年に明治天皇の特旨のよって創設
る。建物は宮内庁関係を手掛ける宮内省内匠寮工務課建
された宮家のひとつである。宮家の創設時期には 2 つの
築係が担当した。この書籍によれば、具体的にはパリで
ピークがあり、ひとつは皇室を確かなものにするため明
見学を済ませていた権藤要吉技師が設計を担当し、プロ
治維新を契機とするもの、もうひとつは明治体制の完成・
ジェクトにはアールデコ作家として世界中に知れ渡って
継承を踏まえて明治天皇の特旨で創設された宮家であ
いたアンリ・ラパン(1873 - 1939)が内装デザインに
る。後者はいずれも設立が明治後期に集中し、明治天皇
参加していたことが記録されている。さらにルネ・ラリ
の娘(内親王)を御后に迎えている。第 8 皇女の允子妃
ック(1860 - 1945)もシャンデリアのデザインを担当し、
殿下を御后に迎えた朝香宮家では、このとき鳩彦王はま
国際的な規模で実施された住宅プロジェクトであったの
だ陸軍大学校に学ぶ学生であった。鳩彦殿下は結婚して
である。
大正 3 年に大学校を卒業するとそのまま残って陸軍中佐
ちなみにこの書籍を購入した当時は、そこまで大きな
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プロジェクトであることをつゆ知る由もなかった。日本
ていた。しかし、昭和 50 年から空き家が続き、昭和 59
建築学会編『日本近代建築総覧』
(1980)にはリストに「白
年に鳩彦殿下(行年 93 歳)がご逝去されたのを機に東
金迎賓館(旧朝香宮邸)
」の名前があるものの、書籍と
京都が購入し、都の庭園美術館として活用する話が持ち
リストの建物が同一であることさえはっきり判らない状
上がっていたのである。書籍を購入したのはちょうどそ
態であった。書籍の中に「Henri Rapin」のサインを発見
の時期であった。わずかタッチの差で東京都から幸運を
しても“へぇー”と思うだけ・
・それだけで終わっていた。
浚う結果となったのである。ちなみに書籍は本研究室が
それが建築史家・藤森照信教授(現・工学院大)が研究
しばらく保管して研究資料に使っていたが、筆者がイギ
室を訪問してから状況が一変した。旧朝香宮邸を美術館
リス行きするのを機に図書館へ返却、現在は貴重図書し
に変更する話と引き換えに、古本屋から書籍の在りかを
てロッカーの中でただ眠っている。この原稿を書くため、
聞きつけて研究室に調べに来たのである。藤森教授曰く、
書籍を再び見せて欲しいと申し込んだところ、図書課長
旧朝香宮邸の建築関係文書は 2 種類あり、そのうち 1 種
自らが自慢げに恭しくロッカーを開け、包んでいた包装
類は本学部が所蔵する旧朝香宮家の正本とのこと。(副
紙をひも解いてくれた。しかし、書籍については未だに
本は宮内庁内匠寮が所蔵する『新築工事録』全 11 冊)
目録が準備されていない状態であった。ときどき庭園美
その後、東京都文化財審議委員を務めていた坂本勝比古
術館から届く招待チケットと引き換えに、展示資料とし
名誉教授(神戸芸術工科大学)も訪れて、書籍を巡る周
てそれを貸し出し、社会に役立てる活用の途を開いてい
囲がにわかに騒がしくなっていった。朝香宮家は軍事の
るとも聞いている。しかし、本当はそろそろ学内で貴重
関係で昭和 22 年に皇籍を離脱し白金を離れ、建物は旧
図書を役立てるための公開と保存を考える時期が来てい
首相官邸となり、さらに公賓などの迎賓館にも使用され
るのかも知れない。
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平成 23 年度建築工学コース卒業研究テーマ
■ 浅 野 平 八 教授
確にして作業を行うものとする。建築史関連の授業を習得
卒業研究の中間報告会を毎月行ないます。前期は主とし
した者を優先し、それぞれが目的意識を持って取り組んで
て下記の課題研究をグループもしくは個人で行ないます。
欲しい。
<課題研究>
1. 横浜市磯子区における地域住民の学習活動と場所との
関係
■ 広 田 直 行 教授
2. コミュニティ基幹施設の計画史的研究
例年,卒業研究では,前半に論文を,後半に設計を,個
3. 都心「かいわい」の空間構造
人で行うことを課題としていましす。研究室の継続する研
4. 地域集会施設における生成機能
究テーマは以下の通りです。 平成 22 年度の例を
「 」内に
5. 現代住宅に見る在来建築術語
示しますので参考にしてください。
6. 建具が形成する閾
7. 日本の気候区分とモデル住宅
1.施設オープン化の方法論
「公立美術館のオープンスペースにおける利用実態と計画
的課題」
後期は自由課題で次にあげる領域の範囲で設定し、設計
作品としてまとめてください。
A 公共空間
B 日本の建築空間
C 施設計画 「地域集会施設における屋外スペースの構成要素と利用実態」
2.コミュニティ施設の計画論
「コミュニティ施設の耐用年数における改修の必要性につ
いて」
「地域コミュニティセンターに求められる要素」
「公民館・コミュニティセンターにおける学習行為と空間
最終成果物は論文あるいは設計作品のどちらかにして提
の対応」
出してください。
3.公共ストック空間の再活用方法
「大韓民国における住民自治センターの機能と施設整備実態」
「千葉県における青年館の譲渡と転用の課題」
「公共ストック空間の活用を阻害する法的要因」
■ 藤 谷 陽 悦 教授
1.イギリスと日本の住宅博覧会に関する調査
イギリスと日本で行われた住宅博覧会を対象に、その歴
4.建築の現代的クライテリア(評価軸・評価基準)と評価方法
「建築賞の審査講評にみる評価基準と方法」
5.高齢者の住環境整備の方法
史的な成り立ちや住宅事業との関連などについて調べる。
「千葉県高齢者福祉サービスの地域的課題に対する行政施策」
日本では東京近郊と阪神間の郊外住宅地、イギリスではレ
「高齢者利用施設の近接性からみる住環境評価と改善方法」
ッチワース田園都市を中心に両者の比較検討を行う。
2.日本の慈善事業施設に関する歴史的な研究
日本の慈善事業家が建設した大正・昭和初期の低所得者
向け住宅と福利厚生施設について、その歴史的な経緯や生
■ 川 村 政 史 教授
活の実態について詳しく調べる。
地盤・基礎構造物に関する研究を行う。平成 23 年度の
3.生活領域を対象とする日本の技術革新史に関する研究
研究テーマは以下の通りである。
日本の近代産業を支えた日本の技術革新学
(イノベーシ
1.セメント固化処理土に関する研究
ョン)
について、
「新製品の開発、新生産方式の導入、新原料、
2.スウェーデン式サウンディング試験に関する研究
新組織の形成」といった視点からグローバルに調べる。と
3.木片の有効利用に関する研究
りわけ生活領域の
“もの発展史”を対象として、一昨年は台
4.地盤振動(免震、波動伝播)に関する研究
所製品を中心に調査を行った。
5.版築に関する研究
4.住み続けてきた郷里における歴史施設についての調査
6.竹筋ソイルセメントコンクリートの築造に関する研究
研究
住み慣れて来た自分の郷里の歴史施設・古建築・住宅環
以上のテーマは大きなテーマを羅列したものである。この
境などを歴史的視点から調べてまとめる。そこから未来の
中から小テーマを各自で考えて研究を行う。小テーマを 1
歴史遺産を生かした住環境について提言する。
人で行う。意欲的に研究に取り組む学生を望む。
卒業研究では自発的に調査し、その結果をレポートにまと
める。共同研究も認めるが、個々人がそれぞれの責任を明
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■ 桜 田 智 之 教授
・構造物の空力振動に関する研究
今年度のテーマと概要は次のとおりである。
建物に風が作用すると、周辺気流との相互作用により複
1.習志野市のごみ溶融スラグを用いた再生RC部材の構
雑な挙動を示す。このような現象に対し実験装置とコン
造特性
近年,一般廃棄物である都市ごみや産業廃棄物の増大に
ピュータをオンラインで結合した実験手法により現象の
解明を行う。
より最終処分場の逼迫が問題となっている。その対策とし
て都市ごみを高温溶融処理し , 再資源化する技術が開発さ
その他、地震、台風、竜巻などによる自然災害が発生し
れている。これにより産出されたごみ溶融スラグを RC 構
た際には、実際に現地へ行き、大学で学んだことを活かし
造用のコンクリート骨材として利用できれば資源循環型社会
て専門家の立場から被害調査を行うといった災害復旧の一
の形成に大きく貢献できる。本研究は習志野市のクリーン
助となるような活動も行っています。
センターで製造されたごみ溶融スラグを利用して,地域の
卒業研究は、基本的に少人数で行います。
行政機関と連携した再生 RC 部材の研究を行うものである。
卒業研究着手条件は、q 神田研究室で行う研究に関し、
2.ハーフプレキャスト再生コンクリート梁部材の構造特性
解体コンクリートを破砕して製造された再生骨材を利用
した再生コンクリートには,原骨材に付着する吸水率の高
高いモチベーションを持って臨めること、w 振動工学・建
築統計解析・神田研のゼミナールのいずれかの単位を修得
していることが望ましいです。
いモルタル分の影響のため乾燥収縮ひび割れが生じやす
主な就職先は、建設の分野でも構造設計・技術研究所・
い。この乾燥収縮ひび割れは部材表面が空中にさらされる
施工現場・公務員などです。また、当研究室は、自分の研
ことによって発生するものと考えられる。本研究は,鉄筋
究のみを行うのでは無く、社会に出た際に役立つよう、限
コンクリート梁部材の外殻部を有機繊維補強コンクリート
界耐力計算法や確率統計学などの勉強会を行い、個人のス
で作製したハーフプレキャスト部材の後打ちコンクリート
キルを高めるといったことも行っています。
部分に再生コンクリートを使用し,再生コンクリートが直
接乾燥の影響を受けない梁部材の構造特性を検討するもの
である。
3.地震の観測と建物の振動特性の把握
■ 小 松 博 教授
建物の耐震設計の妥当性を検証するための地震観測は全
当研究室では鋼構造および合成構造についての研究を行
国的に極めて限られている。そのため生産工学部構内にお
っている。平成 23 年度の主な研究テーマおよび概要は以
ける構造様式の異なる建物での地震観測を実施し,それぞ
下の通りである。
れの建物の地震時振動性状を把握すると共に,差異を検討
q 組立補剛された山形鋼圧縮材の座屈耐力に関する研究
する。また構造計算に基づく解析解と観測との比較を行う。
w 屋内運動場の耐震補強に関する研究
なお,このテーマは工藤一嘉研究所教授と共同で指導を行う。
e ウェブ幅厚比の大きいH形鋼柱の構造特性
r 再生骨材コンクリートの合成構造への応用に関する研究
q は山形鋼を対象として母材に孔空けや溶接による損傷
を与えることなく,組立式の補強を施した柱材の座屈耐力
■ 神 田 亮 教授
近年、防災に関する人々の意識が非常に高まっています。
を実験および解析により検証する。
w は一般に体育館と呼ばれる屋内運動場を対象として,
2007 年に発生した新潟県中越地震の被害により、その関心
各種の耐震補強方法を提案するとともに,その補強効果に
はさらに高まっているのではないでしょうか。
ついて解析的に検証を行う。
当研究室では、自然災害の中でも地震と風に着目し、建
e は既存建物においてH形鋼のウェブ幅厚比が 100 を超
物がどのように揺れ、その時の安全性をどのように確保す
える様な柱材を使用した事例に関し,耐震性についての検
るのかについて研究を行っています。
証を実験および解析により行う。
23 年度の研究内容は以下のとおりです。
・木造住宅の耐震安全性と地域防災について
地震に対する木造住宅の安全性の評価方法について学び
r はCFTやSC構造のような鉄骨とコンクリートを使
用した合成構造部材において,コンクリートを再生骨材コ
ンクリートとした場合の構造的特性を実験により検証する。
ます。また、学んだ知識を活かし地震災害時における地
域の防災対策の貢献を目指す研究です。
・大地震時における建物と地盤の振動特性について
以上のテーマに関して実験および解析を行っていく。着
手条件は,鉄骨構造あるいは鉄骨構造演習を受講し,かつ
地震の影響で地盤に液状化が生じたときの建物の振動特
グループ研究が主体となるため,卒業研究生間の「和」を
性を実験装置とコンピュータをオンライン結合したオン
モットーとして,意欲的に研究室の活動に取り組む学生と
ライン実験により評価し、検討を行う。
する。
・制振・免震装置を有する建物の耐震性について
制振・免震装置を有する建物の地震観測を行います。ま
た、観測結果より振動現象を再現し、制振・免震装置を
有する建物の耐震性を検討し、更なる向上を目指す。
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■ 松 井 勇 教授
■丸 田 栄 蔵 教授
1.建築外装材料のよごれに関する研究
丸田研究室の 2011 年度テーマと内容は以下の通りです。
建物外装のよごれの認知に及ぼす外装仕上材料の色調、
1.ビル風関係
凹凸、艶、硬度の影響を検討するとともに、よごれの評価
1)ビル風の性質関係(実測データの分析)
方法をマクロ面(程度・認知評価)
、ミクロ面(原因・メ
(1)突風の特性
カニズム解明)から検討し提案する。
(2)強風発生確率の特性
2.建築仕上げパターンの光と影による見え方に関する研究
2)ビル風評価関係
建築仕上材料は、意匠性向上のために、色彩はもとより、
(1)基準風の補正法(地域代表風速発生頻度の推定)
表面を凹凸に加工している材料が多い。このように仕上げ
(2)実測・風洞実験・CFD の相互補間(CFD の予
られた壁面材料に、ライトを照射し、その光と影により、
測結果の信頼性検討)
美しく見える仕上げ加工方法について検討する。
(3)ビル風ハザードマップ構築(天気予報とビル風
3.床材料の感触性の評価方法に関する研究
をリンクさせたビル風予報)
床は足腰が直接触れる部位で、床材料には感触性が求め
2.風圧関係
られる。本研究では、感触性として温冷感、べたつき感お
1)環境系
よびすべり感を取り上げ、これらの感触の評価方法につい
(1)戸建住宅の風圧係数と換気特性(風洞実験に
て検討する。
よるデータベース作成・ΔCp 評価)
4.歴史的構造物の材料物性評価
(2)ニューラルネットワークを用いた風圧分布予測
歴史的構造物の保存・修復では、材料の物性評価が重要
(コンピュータによる分布予測)
である。ここでは、実際の歴史的構造物から採取した各種
2)構造系
材料について、その物性の評価試験を行う。
(1)空気膜ドームの風圧性状(ドーム形状に対する
風洞実験)
(2)外装材の作用風圧評価(ピークファクター法に
よる Cppeak の推定)
■ 湯 浅 昇 准教授
詳細は、説明会にて行います。
1.RC造の物性・劣化研究
構造物の高強度・高耐久化を目指し、RC造の強度およ
び中性化・塩害による鉄筋腐食、凍害・アルカリ骨材反応
によるコンクリートの膨張劣化をセメント・コンクリート
■ 師 橋 憲 貴 准教授
の材料、水和、養生、劣化環境から検証する。
今年度のテーマと概要は次のとおりである。
2.RC造の維持管理技術の開発
1.プレパックド工法による再生コンクリート部材の構造
実RC造に適用可能な強度、劣化・耐久性等を評価する試
性能
験方法を開発、検証し、維持管理技術マニュアルを検討する。
近年,多くのRC構造物が建替え時期を迎え,解体コン
3.仕上塗材の劣化・RC 造保護機能に関する研究
クリートの発生量も増加している。地球環境の面からも解
高分子系仕上塗材が鉄筋コンクリート造の保護材料とし
体コンクリートのリサイクルは,グリーンコンクリートへ
て有効に働く期間は、その鉄筋コンクリート造の耐用年数
の転換を図るために重要な課題となっている。本テーマは
に比し短いといえる。劣化過程の被覆材が RC 造をどこま
解体コンクリートから製造される再生骨材の適用部位の拡
で保護できるかを検証する。
大を目指して , プレパックド工法(型枠に粗骨材をあらか
4.各種仕上材のコンクリート中の水分に起因した不具合
じめ詰め,後からモルタルを注入する工法)を適用し,再
に関する研究
生コンクリート部材の構造性能について検討を行うもので
コンクリートの含水率が高いことに起因して、壁材料に
ある。
カビが生えたり、床材がはがれや膨れが生じることがある。
2.サンブスギ間伐材木質骨組の構造性能
フローイングでは反りの主原因となる。コンクリートの含
近年,森を健全な状態に保つ間伐作業は,CO2 の吸収源
水率とこれらの不具合の関係を検討する。
となる森林育成の重要な手段として期待が持たれている。
5.各種建築材料の劣化に関する研究
その一環として林野庁では,「木づかい運動」,「美しい森
煉瓦の経年変化、金属(釘、針金やサッシ、トタン)
、
林(もり)づくり」をスローガンにPR活動を行っている。
高分子材料(塩ビ、プラスチック)
、仕上塗材の火山性腐
本テーマは千葉県特有樹種であるサンブスギの間伐材を利
食ガス(三宅島)に対する抵抗性、塩分に対する抵抗性、
用した木質構造骨組の水平加力実験を行い,その構造性能
光に対する抵抗性を検討する。
を研究する。これにより,サンブスギの地域循環型の有効
利用方法を提案し,間伐推進の可能性を探るものである。
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平成 23 年度建築・環境デザインコース卒業研究テーマ
■ 大 内 宏 友 教授
着目し研究を進めます。
以下における ABC の 3 分野の内容を基に各自でテーマ
■上記以外に個人的なテーマを希望する場合は、相談の上
を設定します。
各自のテーマ設定のもと現状分析から企画までの内容を
決定します。
〈条件〉卒業研究は論文と設計を行い、原則として論文は
まとめ卒業論文とします。さらに計画・設計へと至る一連
共同研究とし、設計は各自が設定したテーマとします。尚、
のプロセスから卒業制作としてまとめます。以上のことか
設計競技や高齢者・障害者に対するボランティア活動等を
ら、論文・設計を一体として、期間を設定して取り組み、
積極的に行える人が望ましい。
最終成果を卒業作品として制作します。
■ A 分野:エコロジカルデザイン
Keyword:共生、フラクタル、環境教育、環境心理、集落
ウォーターフロント
■ 川 島 晃 准教授
当研究室では、「力の自然な流れにもとづいた“空間構
■ B 分野:サスティナブルデザイン
造のかたち(形態)”をつくること」および「形態と応力
Keyword:景観、集住体、保存・再生、歴史的環境、ICT、
の関係性を分析する」ための解析法の開発を行っています。
伝統技法や素材、コンパクトシティ、古代都市
卒業研究では、前期は“線構成・面構成・空間構成の力学”
■ C 分野:ユニバーサルデザイン
と空間構造のシステムを学習し、建築空間の用途に適合し
Keyword:福祉、教育、医療、インテリア、GIS ・GPS、
た作品を提案する。後期は解析法および構造模型実験を通
超高層、安心・安全、色彩と心理
して、提案した作品のかたちと応力の関係性について分析
します。本年度の卒業研究は以下の主要テーマ1、2につ
いて、副題ごとに3名程度で行います。
■ 川 岸 梅 和 教授
北 野 幸 樹 専任講師
1.コーポラティブ・ハウジングに関する研究
2.余暇活動と建築・都市空間との相関に関する研究
3.生活空間計画・デザインに関する研究
4.福祉環境デザインに関する研究
「コーポラティブ・ハウジングに関する研究」では、アメ
1.空間構造のかたちと応力特性に関する研究
a)フォルム構造(サスペンション・等張力ネット等の余
力系を最大限利用した形態)
b)ベクトル構造(立体トラス・曲面トラスの施工プロセ
スを考慮した可動系への適用)
c)テンセグリテー構造(引張材と圧縮材の複合による余
力系を最大限利用した形態)
リカのエコビレッジ型コウ・ハウジングや日本の種々の事
これら構造システムの形態は、“力の流れの関係性”を
例を通して、居住者参加型の集合住宅と良好なコミュニテ
分離して考えることができないため典型的な形態解析問題
ィづくりについて調査・分析し、人と人の関係性や合意形
となる。本研究では応力法による不静定構造特有の余力系
成手法やエコロジー活動を通して、経年的な変容に着目し
(自己釣合応力系)に着目した形態の創生について研究す
研究を進めます。
る。
「余暇活動と建築・都市空間との相関に関する研究」では、
2.構造デザインへの光弾性実験の活用に関する研究
市民・居住者の余暇活動と空間の関係性について調査・分
a)曲げ構造 b)面構造 c)張力安定構造
析し、時代背景と共に経年的な変容に着目し研究を進めま
光弾性実験は構造体内部に生じる応力の流れ(応力集中)
す。
を縞模様として視覚的に捉えることができるので、形態と
「生活空間計画・デザインに関する研究」では、市民参加・
応力集中の関わりを分析する最も実践的な方法である。本
居住者参加等、居住者がつくり出す空間デザインやコミュ
テーマは曲げ構造・面構造・張力安定構造の力学と形態と
ニティデザインに着目し調査を行うと共に、街区・集合住
の関わりを修得することを目的として、構造デザインにお
宅のファサード構成、ユニバーサルデザイン、バリアフリ
ける光弾性実験の活用方法について研究する。
ーデザインとの関係性を導く研究を進めます。また、「日
なお、希望するテーマがある場合は、申し込み時に研究
本人の生活意識と都市・建築」との関係性を導く研究を進
の概要を説明できるようにしておくこと。卒業研究(制作)
めます。
と研究室の活動に積極的に取り込む学生を望む。
「福祉環境デザインに関する研究」では、ノーマライゼー
ションの理念の基、知的障害者や高齢者のグループホーム
やグループリビング等、居住空間を含めた生活空間の実態
を捉えた上で、今後のあり方や人と活動と空間の関係性に
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KI ZUKU
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■ 宮 崎 隆 昌 教授
境デザインについて検討する。また、全国にある音環境デ
1.集落空間の構成上の特性に関する研究
ザインもいくつか調査する。
高密集住している集落の空間論アプローチによる観察を
3.室内空間の音響シミュレーションに関する研究
通して調査分析を行い、集住を支える仕組みを検証する。
コンピュータ・シミュレーションを用いて、コンサート
2.大都市沿岸域の特性と空間構成
ホールの音響パラメータを計算し、建築音響設計を行う。
都市解析的な視点から、100 %人工的な土地・水縁空間
である大都市埋立地における自律的な土地利用転換の仕組
みを検証する。
■ 岩 田 伸一郎 准教授
3.ウォーターフロント整備計画に関する研究
本研究室では、個々の独自な価値観を養い、
「問題発見力」
大都市でかつ有力漁港を有する福岡市・北九州市を対象
や「論理的思考力」を身に付けることに重きを置いて、卒
にして、海域の環境資源までを視野に入れつつ、アメニテ
業設計および卒業研究の指導を行っています。研究のテー
ィー・工業生産・漁業生産・親水性・都市居住に配慮した
マは、各自の問題意識に基づいて自由に設定してもらいます。
新たなウォーターフロント整備計画について検討する。
現在進行している研究テーマは以下とおりです。
4.建設副産物処理の最適化に関する研究
建設過程において発生する建設副産物の発生抑制、及び
1.設計プロセスに関する研究
発生現場-中間処理施設-最終処分至る静脈物流システム
設計情報を得るためのツールの選択およびその特性が、
の最適化に関する検討(シミュレーション)を行う。
獲得される設計知識や設計の思考に対してどのように影響
5.市街地における緑被の連担性に関する研究
を及ぼすのかについて研究しています。
市街地における有機的な緑被の連担性(つながり)に配
2.空間の感性評価に関する研究
慮し、21 世紀における居住空間の向上を目指した新しい緑
空間の居心地の良さや不快感といった感性評価を、アン
地環境の提案を行う。
ケートなどの理性に基づく調査と、脳波や血行動態といっ
6.歴史的街区の地域集団形成に関する研究
た生理的作用に基づく実験の両側面から検証する研究を行
コミュニティー空間の核となるモニュメント、イベント、
っています。
セレモニー空間の抽出とその機能、形態について調査・研
3.都市環境のシミュレーション
究を行う。特に京都の歴史街区における町屋とその元学区
複雑な都市環境を抽象的にモデル化し、都心部の新しい
の関連性について現地調査を行う。
交通環境を構築するための理論や手法の効果やリスクにつ
7.自然的資源を活用した沿岸地域の再構成に関する研究
いてコンピュータを用いてシミュレーションする研究を行
自然的資源(水産資源、風力エネルギー、海洋資源、建
っています。
設副産物)を活用し、沿岸地域の地域振興に資する方法論
を総合的に検討する。
8.東京下町におけるコミュニティー形成とサスティナビ
リティーの検討
WHO が住環境の理念として提唱する「安全性」
「保険性」
■ 三 上 功 生 助教
三上研究室では、発汗障害や温冷感麻痺などの体温調節
障害を持つ身体障がい者に適した空調システムを構築する
「利便性」
「快適性」の 4 理念と、地域に生活するものが将
ことを目的とした基礎研究を行っています。現在の研究対
来の地域社会に対してどのような貢献が可能かという「持
象者は、身体障がい者の中で最重度の体温調節障害を持つ
続可能性」を加えた 5 理念によって東京下町の住環境を分
と考えられている脊髄損傷者です。
析、評価する。
平成 23 年度の研究テーマは以下の通りです。
○上記テーマで卒業研究をグループで進め、
(調査・分析)
と(企画・設計)で成果をまとめます。
1. 脊髄損傷者の住宅温熱環境の実態調査
○研究室における研究活動・作業・自主勉強会(GIS、確
2. 脊髄損傷者の連続的体温測定に関する基礎的研究
率統計等)を主として、野外でのサーベイや学外での現地
3. 脊髄損傷者の生活習慣と温熱環境適応能力との関係に関
見学会・シンポジウムを行います。
する基礎的研究
○意欲的で協調性を有する学生を希望いたします。
学生の皆さんにとっては、
「???」な研究テーマだと
思います。建築設備のようでもあり、環境工学のようでも
■ 塩 川 博 義 准教授
あり、生理学のようでもある。そんな研究テーマです。学
1.ダクト開口端減衰に関する研究
際的(幾つかの異なる学問分野がかかわること。)な知識
無響室においてパルス音源を用いたダクト開口端におけ
を吸収しながら研究を進めます。日常生活の中で当たり前
る音響減衰を測定する。また、これらの現象をコンピュー
のように過ごしてしまっている私達の生活環境を、全く異
タによる数値シミュレーションによって解析する。
なった視点から眺めてみるのも面白いのではないでしょう
2.公共空間の音環境デザインに関する研究
か。また、調査に協力してくださる障がい者との交流も有
日本における環境音楽のパイオニア的存在であった作曲
意義なものとなるでしょう。一緒に頑張りましょう。
家故吉村弘氏の残した作品や資料を中心に公共空間の音環
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平成 23 年度居住空間デザインコース卒業研究テーマ
居住空間デザインコースでは、卒業論文または卒業設計
■ 亀 井 靖 子 専任講師
どちらかに重点を置いて卒業研究を行うことができる。卒
当研究室では主に、戸建住宅地や集合住宅・団地を対象
業論文は2~3人グループで行う場合が多く、卒業設計は
として、住戸の維持管理や住環境の保全について研究して
ひとりで行う。卒業設計は、居住空間を考えることに軸足
いる。フィールドは日本だけに限らず、アメリカ(Mar Vista
をおきながら、街や外部空間、地域施設などの幅広い設計
Tract)等海外も含む。加えて、ここ数年 DOCOMOMO*
を目指す。人やものの様々な関係を研究することを通じ、
関 連 の 国 際 的 な 活 動 も 行 っ て お り、 平 成 23 年 度 に も
実感と密度のある設計に結び付ける。
DOCOMOMO Japan150(UIA 世界国際会議関連事業)に
参加・協力する予定でいる。
その他、平成 22 年度は公共空間(公園・公園トイレ)
の維持保全に関する研究や津田沼キャンパスの使用につい
ての調査も行っており、研究テーマは興味に合わせてある
程度の幅を持たせている。
*DOCOMOMO:近代建築の記録および保存のための国際
組織。
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平成 22 年度 生産実習成果報告書
実習生 建築工学科 3年 84184 NAKAO DENIS TSUNEO
実習先名称 株式会社 空間設備コンサルタント
実習期間 8 月 2 日(月)~ 8 月 13 日(金)
[10 日間]
1. 実習の目的及びテーマ
私は授業で設備について学んだが、その内容を実際の設
備設計でどのように活かされているのか分からなかった。
そこで今回は、設備設計事務所「株式会社 空間設備コンサ
ルタント」で 10 日間お世話になり、ひとつの建物の中で、
どのような空気調和設備の計算や設計を行っているかを実
際に体験させてもらう。
2. 実習内容
某保育園の図面を題材として使用。
・換気量の計算
・換気計算書作成
・換気方式決定の為の条件設定
・静圧計算書の計算・作成
・負荷計算・計算書作成
・送風機機器表作成
・制気口の計算・作成
・調理室のダクト径計算・図面作成
・空調設備のエアコン機器測定表作成
・空調配管図・空調ダクト図作成
・パッケージエアコン機器表作成
2 - 1.換気計算について
まず換気計算書の作成を行った。この換気計算書という
のは、換気設備の設計をするにあたって最も必要な情報で
ある。 これは意匠設計事務所から送られた平面図を元に CAD
で保育園の各部屋の換気量から設計風量を求める。そして
換気量を求める前に各部屋が3種類ある換気方式の中のど
の方式を用いたら良いのかを決定する為に条件より選定す
る。その条件というのは、臭気、粉じん、温度、火気使用
である。
換気量はそれぞれの部屋がどのような利用のされ方をす
るかによって計算の方法が異なる。例えば、保育室の場合
では常時人がいる事になる為、想定される人数から計算し
居室有効換気量を求める。一方、トイレや休憩室のような
常に人がいる訳ではない部屋に関しては、それぞれの使用
用途により法律によって定められている換気回数から計算
し風量を求める。
2 - 2.負荷計算について
負荷計算は「IPAC-MECH」というソフトを使用する。
負荷を計算するのに必要な情報を打ち込むだけで様々な計
算結果を表にしてくれる。
例えば、壁を構成する材料は、ソフトにあらかじめ色々
な材料の熱伝導率と熱抵抗が入っているので私たちは材料
名を選択し厚さを入力するだけで良い。その作業を各部屋
の6面の壁や窓、天井、床の全てで行うと、幅や高さから
面積を出し、冷房を使用する時期の外気との温度差や取得
熱量、また、暖房を使用する時期の外気との温度差、損失
熱量などそれぞれの熱負荷を全て計算してくれる。
2 - 3.空調ダクト図の作成
送風機や排気機は計算した換気量からその部屋に合った
機器のサイズや配置を決める。そして風量によってダクト
の直径が変わってくるので「ダクトメジャー」という道具
を使いその機器に合った太さのダクトを決決める。 ダクトメジャーでは風量を Pa に変換して他の値を読む。
その値がダクトのサイズで○○○ φ という値で求まる。
また、ダクトメジャーではダクトの風量も求める事が出来
る。その求め方の要領はダクトサイズの方法と同じである。
3. 実習の成果
3 - 1.調理室における空調ダクト図
調理室の場合、他の部屋とは異なり、火気の使用が想定
されるので、各機器のガス消費量と法的必要換気量を求め
なければならない。その換気量を上回るフードと呼ばれる
一般家庭にもあるコンロの上などに設置される排気機器の
大きさを出す。そして、フードのスペックを調べ、面積か
ら面速を割り出し、設計換気量を求める。この時に設計換
気量が法的換気量を満たしてなくてはいけない。
次にダクト図の作成である。これは基本的な作成方法は
同じであるが、フードから屋上まで排気するまでのダクト
が調理室の場合は分岐によって違ってくるので、それぞれ
の風量から適した太さのダクトをダクトメジャーで測定し
決定する。この時注意しなくてはならないのが、排気量が
多いと室内の空気量が負になってしまうので、その分の風
量を給気してあげなければならないことである。
4. 感想
私は最初から全て手作業で計算するものだと思っていた
が、現在は計算を簡単に正確にする為に PC のソフトを使
用している。しかし、ソフトが正確に計算をしてくれても、
原理が分からなければ、後世に今まで積み重ねられてきた
知識と技術を伝えられない為、手作業で地道に計算するこ
とも必要であることが今回の実習でよくわかった。
謝辞
納期が近くお忙しい中、とても丁寧にご指導頂き心から
感謝しています。社員の方々の親切な対応は気持ちいいも
のでありました。この度は誠にありがとうございました。
参考文献
空間設備コンサルタント資料
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2009 年度 国内研修旅行 居住空間デザインコース(奈良・京都)
2 年 中野由香、橋聡子、桃木英恵
8月2日(月)
8月4日
19:15 高の原駅集合。
聴竹居を訪れた。
京都は熱い!日焼け止め必須。
聴竹居は藤井厚二によって設計された実験住宅である。
歩くのが大変なので、リッチにタクシー移動。ものの5
日本の気候や風土、日本人の身体に適応した住宅を実証
分で積水ハウス総合住宅研修所ドミトリー相楽台に到着。
するために自然の豊かな大山崎に5棟の実験住宅を建
この日は一日の疲れを癒すため、早めに就寝。
て、聴竹居はその中の集大成である。
冷たい山風が床下を通して室内を涼しくする構造は環境
8月3日(火)
工学の面で今注目されていたり、当時の外国の技術を上
朝 7:30 頃あわさいで朝食。
手く取り入れ、和と洋のバランスのとれた空間を構成し
眠い中、積水ハウス総合住宅研修所の納得工房にて研修
ていた。
開始。
現在よく見られる住宅の形は、こういった優れた実験住
最初は建築学科の研修って何をするのだろうと思いなが
宅があって作られてきたものなのだと思った。
ら、3班に分かれて職員の方のお話を聞きながら、各コ
夜は白河院にて左官師の久住章さんの講演会。
ーナーをまわった。
なかなか専門的なお話を聞く機会は少ないので学生にと
キッチンコーナーでは、アイランドキッチンなど様々な
ってはとてもいい刺激になった。最終的な表面の仕上げ
種類のキッチンを見て、それぞれの利点を知った。
を施す左官の仕事は建物自体の表情をも生みだせること
アイランドキッチンは、大勢の人と料理をすることがで
に感心と興味をもった。
き、コミュニケーションがとりやすくなっているのに対
食後はたくさんの居住の先生方と夜遅くまで建築の話や
し、L 字型キッチンは、手入れなどの面において毎日の
人生の話などができ、とても楽しい最後の夜を迎えるこ
使い勝手がよいが、コミュニケーションはとりにくい。
とができた。
最近では、
その両方の利点を取り入れたペニンシュラ(半
島)型キッチンもできている。
8月5日
また、妊婦さん・お年寄り・車いすの人などの生活を体
朝9時解散。各自京都を満喫して帰宅。
験し、全ての人にとって暮らしやすい住宅とは何かを考
えた。
お年寄りには、段差の踏み面や蹴上が少し違うだけで危
険な障害となることなどを知ったうえで、実際に体験し
てみるとお年寄りの気持ちがわかった。
妊婦さんの体験では、お腹に重りをつけて床に落ちたペ
ンを拾ったり、床に座った状態から立ち上がる動作をし
たりして、想像したよりも普段なにげなくしていること
が難しいことを知った。
全ての人にとって住みやすい住宅を考えると、蹴上が低
く踏み面が広いほうが良いことを学んだ。
これらの体験を通して、改めて住宅のスケール感や過ご
しやすい空間について学んだので設計にいかしたい。
積水ハウス総合住宅研修所ドミトリー相楽台前
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教 室 ニ ュ ー ス
■ 川岸梅和 教授、湯浅昇 准教授、北野幸樹 専任講師、杉
【表彰】
■神谷宏治 日本大学名誉教授は、社団法人 日本建築家協
本弘文 創生デザイン学科研究生、梅干野晁 東京工業大学
会 名誉会員に推挙され、2010 年 5 月の総会において承認、
教授:寒冷地における熱収支シミュレーションツールを適
10 月 7 ~ 9 日に北九州市小倉で開催された日本建築家協会
用した環境設計手法の検討 ―モンゴル・ウランバートルに
全国大会 2010 九州 において表彰されました。
おける微気候に着目した環境負荷の少ない生活・居住環境
づくりに関する研究―、日本建築学会技術報告集 第 16 巻
第 33 号、pp.661 ~ 664、2010 年 6 月
【受賞】
■ 第 12 回提案競技「美しくまちをつくる、むらをつくる」
〔テーマ:
「住んでよし 訪れてよしのまちづくり 富岡」、主
催:日本建築学会関東支部〕において、川岸梅和 教授、北
野幸樹 専任講師、杉本弘文 創生デザイン学科研究生、稲
冨龍(M1)
、久保木修平(M1)、小沼俊介(M1)、鈴木健
太郎(M1)
、
永井悠次郎(M1)のグループ作品「Community
Supported TOMIOKA ~塔が彩る地域資源を活かした居住
者主体のまちづくり~」が最優秀賞を受賞した。(平成 22
年 11 月)
■ 川岸梅和 教授、杉本弘文 創生デザイン学科研究生、北
野幸樹 専任講師、Ishjamts Gonchigbat モンゴル科学技術
大学教授、広田直行 教授:Living Environment of Nomads
Residing on the Outskirts of Ulaanbaatar, Mongolia Part 2 Lifestyle and Living Environment from the Perspective of
Perceptions and Activities -、Journal of Asian Architecture
and Building Engineering Vol.9 No.1、pp.139 ~ 146、2010
年5月
【寄稿】
【論文】
■ 川岸梅和 教授、杉本弘文 創生デザイン学科研究生:モ
ンゴル・ウランバートル市街地における集合住宅地区の生
活・居住環境に関する研究 ―経年変化からみた集合住宅居
■ 師橋憲貴准教授は,日刊建設工業新聞 (2010 年 8 月 10
日付 ),2010 東関東暑中企画 専門家からの提言として,建
築物の長寿命化に対するメッセージを寄稿した。
住者の意識及び活動の実態について―、都市住宅学 第 71
号、第 18 回学術講演会 研究発表梗概集、pp.101 ~ 106、
2010 年 11 月
目 次
1.巻頭言
‥‥‥‥ 1
6.建築・環境デザインコース 卒業研究テーマ
‥‥‥‥ 14
2.研究レポート
‥‥‥‥ 2
7.居住空間デザインコース 卒業研究テーマ
‥‥‥‥ 16
3.21 世紀型 教育スタイルへの提言
‥‥‥‥ 7
8.平成 22 年度生産実習成果報告書
‥‥‥‥ 17
4.建築工学科アーカイブス
‥‥‥‥ 9
9.国内研修旅行
(居住空間デザインコース)
‥‥‥‥ 19
5.建築工学コース 卒業研究テーマ
‥‥‥‥ 11
築
KIZUKU
10. 教室ニュース
‥‥‥‥ 20
発 行 者 浅野 平八 習志野市泉町1−2−1 日 本 大 学 生 産 工 学 部 建 築 工 学 科 教 室
第 91 号
編 集 日本大学生産工学部建築工学科 藤谷・神田・塩川
印刷 美津濃印刷株式会社
TEL 03-3835-0870
FAX 03-3835-0925