1 2009.9.28 第 II 部 パネルディスカッション

2009.9.28
第 II 部 パネルディスカッション
「活力と規律-市場ルールのあり方を考える-」
参考資料
【Ⅰ 公開会社法】
【Ⅱ 規律の包囲網】
Ⅱ-1 刑事制裁
Ⅱ-2 行政処分
Ⅱ-3 自主規制・自己規律
Ⅱ-4 民事訴訟
Ⅱ-5 国際化対応
【Ⅲ 活力ある公正な市場を目指して】
パネリスト
阿部泰久氏
日本経済団体連合会 経済基盤本部長
石黒徹氏
森・濱田松本法律事務所 弁護士
大久保勉氏
参議院議員(民主党)
郷原信郎氏
名城大学教授
佐々木清隆氏 証券取引等監視委員会 総務課長
土本清幸氏
東京証券取引所自主規制法人 常任理事
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【Ⅰ 公開会社法】
公開会社法】
公開会社法(仮称)制定に向けて
2009/7
民主党公開会社法プロジェクトチーム
顧問
峰崎 直樹
平岡 秀夫
座長
鈴木 克昌
事務局長 大久保 勉
1~4 (略)
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民主党の「公開会社法」(仮称)制定でどのように変わるか
公開会社に適用される手続を法令で明確に定めることで、実務に役立てる
(1)公開会社にふさわしい情報開示のあり方が明確になる
○情報開示について、一般の会社よりも強化する
・金融商品取引法の情報開示制度、財務諸表制度、会計監査制度を準用する
・株主の随時質問権と会社の回答義務を設ける(制限あり)
(2)内部統制を強めることで、企業統治が向上する
○資本市場が要求する企業統治を実現する
・社外取締役の条件を強める
※委員会設置会社と取締役会・監査役併設会社の選択性は維持する
○監査役の一部を従業員代表から選任する
○監査役の独立性、機能性を強化する
・公認会計士、監査法人の監査役会等に対する報告義務を設ける
○公認会計士の「インセンティブのねじれ」を解消する
・会計監査人の選任、報酬決定の権限を監査役会等に移行する
(3)企業集団を基本単位とすることで、分かりやすくなる
○企業集団については、金融商品取引法上の概念を前提とする
○親会社は、子会社の会計制度、内部統制制度の構築と運営に責任を負う
・子会社の重要な意思決定は、親会社の株主総会で承認を要する
・親会社は、子会社の取締役による業務執行を指揮できる
・子会社債権者に、親会社および親会社取締役に対する損害賠償の請求を認め
る
・親会社株主に、子会社への代表訴訟提起権を付与する
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【日本経済団体連合会「より良いコーポレート・ガバナンスをめざして」2009.4.14】
「取締役会が執行に対して適正な監督を行えるか否かは、業務執行を行わな
い取締役である社外取締役がいるかどうか(社外取締役の数)という点以上
に、経営に関する知識や経験を有し、当該企業の事業や当該産業についてよ
く知っているとともに、それらの知識や経験に基づいてタイミングよく適切
な発言をすることができる能力を持つ取締役であるかどうか(取締役の質)
によって左右される」
「社外役員のあり方については、形式的に独立性要件に厳格化するのではな
く、多様性を認め、現行の枠組みのように、充実した開示によって、実質的
に社外役員として経営陣に対するチェック機能を果たしうるか否かを、株主
総会の役員選任議案において株主の判断に最終的に委ねるのが望ましい」
【日本労働組合総連合会「政策・制度要求と提言」2009.6.2】
「多様なステークホルダーの利益への配慮も含む企業統治や企業再編時の
労働者保護を実現するための会社法制を整備する。また、企業の不祥事や法
令違反を抑止するために、監査役・監査委員会の構成員に労働組合代表ある
いは従業員代表を含める等、監査の機能および権限の強化をはかる。なお、
現行の株主代表訴訟制度については、ガバナンスを効かせるために維持す
る」
【民主党「政策集 INDEX2009」2009.7.23】
「株式を公開している会社等は、投資家、取引先や労働者、地域など様々な
ステークホルダー(利害関係者)への責任を果たすことが求められます。公
開会社に適用される特別法として、情報開示や会計監査などを強化し、健全
なガバナンス(企業統治)を担保する公開会社法の制定を検討します」
【民主党公開会社法プロジェクトチーム・メンバーの発言】
(2009.9.14 日本経済新聞
朝刊 16p)
「会社は株主のものという考えを修正し、様々な利害関係者のものとして法
制化する」
(峰崎直樹参院議員)
監査役設置会社の独立・社外取締役の選任は証券取引所の上場規則で義務
付けるべきであり、「独立・社外取締役の数は財務、人事、営業など様々な
分野の専門家が選任できる全体の3分の1以上が望ましい。それが嫌なら、
委員会設置会社に移行すればいいのではないか」
(大久保勉参院議員)
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【Ⅱ 規律の
規律の包囲網】
包囲網】
Ⅱ-1 刑事制裁
○ライブドア・ショック 2006.1.16
強制捜査、証券市場が大混乱
法人:東京地裁 2007.3.23
偽計・風説の流布、有価証券報告書の虚偽記載で有罪判決(確定)
元社長:東京高裁 2008.8.5
1審と同じ懲役 2 年 6 月(無罪主張し上告中)
「ライブドアをあんなにも大きく育てず、もう少し早い段階できちんと手を
打てなかったのだろうかと思います。大きくなってから犯則でやると、市場
に与える影響が大きい。今後は課徴金制度で、市場に早めにメッセージを与
えていく活動が必要ではないでしょうか。ただ、ライブドア事件は課徴金だ
けでいいという事案ではないですね」
(証券監視委・佐渡賢一委員長、2009.05.17 日経ヴェリタス)
○長銀事件・最高裁判決 2008.7.18
旧日本長期信用銀行の粉飾決算事件で旧経営陣を有罪とした 1、2 審判決
を破棄し無罪。
旧長銀は 1997 年度決算で、不良債権を厳格に処理するため旧大蔵省が前
年に出した新基準ではなく、従来通りの基準に従って処理。結果、旧経営陣
は本来、剰余金がないにもかかわらず違法に配当したなどとして起訴され、
旧長銀の債権を引き継いだ整理回収機構(RCC)から損害賠償も求められ
た。刑事下級審は新基準が「唯一の『公正なる会計慣行』」でありこれに従
うべきだったとし有罪。しかし、民事下級審判決はいずれも新基準が絶対的
な基準ではなかったとし免責の判断。
最高裁は当時、大手 18 行中、14 行が旧長銀と同様、関連ノンバンクなど
への貸出金の資産査定に新基準を採用していなかったと指摘。「過渡的な状
況」にあり、旧基準を使ったことは違法とはいえないとした(民事も免責)。
○村上ファンド事件東京高裁判決 2009.2.3
・元代表にインサイダー取引で懲役 2 年、執行猶予 3 年
(1 審の実刑から大幅減刑、上告中)
・ 金融商品取引法 157 条
何人も「有価証券の売買その他の取引又はデリバティブ取引等について、不
正の手段、計画又は技巧」をしてはならない
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○法相の指揮権
・千葉景子法相 就任後の記者会見 2009.9.16
「国民の視点に立って検察の暴走をチェックするという点から、きちんと指
揮権を踏まえて対処する」
・検察庁法 14 条 法相は「検察官の事務に関し、検察官を一般に指揮監督
することができる。但し、個々の事件の取調又は処分については、検事総長
のみを指揮することができる」
Ⅱ-2 行政処分
○インサイダー取引規制違反などに対する課徴金と減免制度
・現在の課徴金の減算制度
① 監視委の調査開始前に申告した場合、課徴金を半額とする
② 虚偽記載、自己株取得のインサイダー取引などが対象
・立法提案:当局との合意に基き、再発防止策の徹底・当局によるモニタリ
ング等を条件に課徴金を減免(旬刊「商事法務」2008.10.25・34p)
(独禁法リーニエンシーの第1通報者は課徴金全額免責・刑事告発せず)
○経営破綻したアーバンコーポレイションは資金調達を巡る有価証券報告書の虚
偽記載で課徴金の納付命令を受けた。一方、この調達に関係するスワップ契約の
内容を開示しないようアーバンに対し強く要請したBNPパリバ証券会社東京支
店への処分は業務改善命令にとどまった。
「これまで、資金調達と密接に関係はしていても当事者間の相対の取引は
開示しなくてもいいという議論がありました。そうした状況で、『偽計』だ
として、不意打ち処分することは好ましくありません。アーバンに対する課
徴金処分で何を開示すべきかが明瞭(めいりょう)になり、今後は、そうし
た(働きかけ)行為が『偽計』という違法行為に該当することが明らかにな
りました。今後は偽計でやる(処分する)ということです。監視しやすい状
況をつくることがまず必要ですね」
(証券監視委・佐渡賢一委員長、2009.05.17 日経ヴェリタス)
○過年度決算訂正、課徴金、民事賠償責任
・重要な事項についての虚偽の記載による課徴金
・株主からの損害賠償請求訴訟
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Ⅱ-3 自主規制・
自主規制・自己規律
○プリンシプル・ベースによる自己規律
・日本で機能するのか
○弁護士など高度専門職
・依頼者は経営者、企業、それとも・・・?
・不公正ファイナンスと、
「細切れ」リーガル・オピニオン
弁護士職務基本規程(日本弁護士連合会)
5 条
弁護士は、真実を尊重し、信義に従い、誠実かつ公正に職務
を行うものとする。
14条
弁護士は、詐欺的取引、暴力その他違法若しくは不正な行為
を助長し、又はこれらの行為を利用してはならない。
21条
弁護士は、良心に従い、依頼者の権利及び正当な利益を実現
するように努める。
○上場審査・廃止基準
・反社会勢力、反市場主義者とは
・投資ファンドへの出資者氏名の開示と上場審査
○ 「市場不祥事」と企業による原因究明調査
・誰のために、誰が、どのように?
カブドットコム証券・特別調査委員会「調査報告書」2009.7.17
・デジタル・フォレンジック等の IT 技術の活用動向
Ⅱ-4 民事訴訟
○虚偽記載などを原因とする相次ぐ損害賠償請求訴訟(ライブドアなど)
Ⅱ-5 国際化対応
○20 カ国・地域(G20)首脳会議
・自己資本比率規制、経営者の高額報酬への規制
○グローバル化する証券取引
・不公正ファイナンス(発行市場)
・インサイダー取引(流通市場)
○クラウド・コンピューティング時代の法執行
【Ⅲ 活力ある
活力ある公正
ある公正な
公正な市場を
市場を目指して
目指して】
して】
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