経済 フォーカス❷ 高まる「環境」 「安全」 「快適」への要求 地球温暖化を防止するために、自動車の燃費やCO2排出 「環境」性能への に関する規制が世界各国で強化されるなど、 要求はますます高まっています。日本では、2015年度を達 未来のクルマづくり── そのターゲットは、 「環境」 「安全」 「快適」 成 期 限として 乗 用 車 の 平 均 燃 費を2004年 度 実 績 から 23.5%改善するよう定めた新燃費基準が2007年7月に公 表されました。また同年12月には、米国において、2020年 までに乗用車の平均燃費を現行水準から約40%改善するこ とを求める法案が成立。また同月、 EUは2012年までにCO2 排出量を現行水準から約20%の削減を目標とする規制の素 案を発表しました。 アイシンは、これまで培ってきた 技術・ノウハウを駆使して、これからのクルマに対する 「環境」 「安全」 「快適」への要求に応え、 今までにない発想で、クルマの未来を描いていきます。 「安全」 についても、世界各国で交通事故低減に向けた政 府目標が出されるなど要求が高まってきています。日本では 交通事故死亡者数を2006年の6,352人から2010年に は5,500人まで低減するという目標が設定されています。ま た米国では 「2008年に1996年の40%低減」 を、 EUでは 「2010年に2000年の50%まで低減」 をめざしています。 さらに 「快適」 も重要な要求の1つです。自動車に求められ る 「快適さ」そして 「楽しさ」 は、お客様ごとにさまざまであり、 その市場には未知の部分が大きいと言わざるをえません。 だからこそ思い切って自由な絵が描ける大きな可能性を持っ た市場であるとも言えます。 19 これらをふまえアイシンでは、クルマに対するこれら3つの 要求をターゲットとして、研究開発に取り組んでいます。 3つの要求に応える製品・システムを発売 2007年度もアイシンは、これら3つの要求に応える独創 的な製品・システムを市場に送り出しました。 4WDハイブリッドトランスミッションは、新開発のフルタイ ム4WDシステムを採用し、ハイブリッドパワーを確実に路面 に伝え、安定した走行を実現。6リッター並の動力性能を実 現しながらも、燃費は3リッター並と高い環境性能を誇って います。 研究開発担当役員からのメッセージ 「次世代技術開発プロジェクト」 をスタート アイシンでは、2020∼30年という未来を 見据えて、グループ6社の若手技術者を中心 とした 「アイシングループR&Dワーキンググ ループ」 を2005年秋に発足。 「従来の枠組み や制約にとらわれない」 をコンセプトとして、 「まったく揺れないクルマ」 や 「音のしないクル マ」 など、今までにない斬新なクルマを発想し、 それらを実現するための次世代技術を探索し 取締役副社長 てきました。 そして2008年3月には、同グループによ 藤森 文雄 る 「次世代技術開発プロジェクト」 がスタート。 メンバーは本社において、クルマのみならず、 社会全体まで幅を拡げた、次世代技術の具現 化に取り組んでいます。 「ドライバーモニターシステム」 は、カメラでドライバーの 状態を検知し、安全運転を支援するシステムです。従来の顔 ドライバーモニターシステム 向きからわき見を検知する機能に加え、2007年度には世界 初のまぶた開度検出機能を追加しました。 カメラ撮影範囲 「マップオンデマンド」 は、最新の地図情報をネットワークを ドライバーモニターカメラ 通じてカーナビゲーションに取り入れるシステム。従来、カー ナビ用地図の更新は年2回に限られていましたが、このシス 運転者 (トヨタ自動車㈱、 ㈱豊田中央研究所と共同開発) テムでは、地図データが短期間で自動更新され、ユーザーは 常に更新された地図でカーナビを利用することができます。 マップオンデマンド ─地図差分更新システム─ 例えば高速道路・有料道路では新規開通後最短7日で最新 の地図データが配信されるたびに、携帯電話網などを通じて これをカーナビに取り入れて更新します。 地図更新前 新しい道路情報を入手 ルート検索に反映 アイシンは、今後も 「環境」 「安全」 「快適」の3つのテーマを (トヨタ自動車㈱、㈱ゼンリン、㈱デンソー、㈱トヨタマップマスターと共同開発) 追求し、これまでにない独創的な製品の開発を推進します。 4WDハイブリッドトランスミッション 20
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