2013年5月23日 5月定例会、水道交通委員会を傍聴して 水道統合案は大阪市議会で否決となった、 5月21日開催の大阪市水道交通委員会において、橋下市長提案の水道統合案が否決となる事が分か った。 水道統合は橋下市長が知事時代に提案、始めは市のコンセッション方式で纏まるように見えたが、大 阪市以外の府下42市町村が反対、その後府下市町村で設立した企業団方式が提案されて、今日に至っ ており、何が起きて不調となっているのか市民には皆目見当がつかなかった。 2013年4月15日に第5回水道事業統合検討委員会が開催され、橋下市長は「統合の経緯を知事 時代から振り返ると、東は東京都水道局があり、西にも同じようにと考えた。 (大阪市を含む府域水道事 業を)一つにまとめる思いが強かったが、大阪市はコンセッション方式を、大阪府下(市町村)は企業 団方式で対立した。 (始めは)コンセッション方式に強引に委ねる方向にしたが、知事時代には大阪市よ り(統合する)意思が強かったので、市の条件を丸のみする方向となるが、その後府の企業団方式へと 変化する流れとなり、大阪市から企業団に入れて欲しいとなる。知事時代の市の条件を丸のみする方向 から、市長就任後は企業団に入ることに変わり、話が進まなくなる。 ・・・・・・府域一水道のメリット は加入する方がメリットがある、と思ってやってもらう、参加することが行政改革になる、との認識を 持って欲しい、行政効果として位置づけたい」と述べた。 4月23日は43市町村の首長会議において「企業団と大阪市の水道事業統合(素案)」の概要がまと められ、 ① 会計のあり方は当面、統合後も現在の事業形態を変えずに各会計を併存する「会計分離」のパター ンを採用。 ② 大阪市域水道事業の221億円は大阪市域事業で使う。 ③ 水道局のスリム化として、平成27年度までに職員数を900人台とする。(平成24年度は約1 700人) ④ 企業団会議の議員定数は大阪市分7人を追加し、37人とする。 等々と規約の変更と提案時期が示され、合意された。 しかし、5月21日の大阪市水道交通委員会では企業団会議の議員定数は37人、その3分の2の 議決で水道料金が(値上げと)改定されることに反対意見が述べられる。大阪市議会は維新を除く全 会派が、現在の市の水道料金が安価であり、統合はデメリットでしかない、又43市町村の内大阪市 を含めて33の市町村が自己水を保有、各自治体が今後どう対応して府域一水道とするか等の疑義が 呈され、統合は否決に至った。 4月16日の新聞報道で、堺市が国へ東日本大震災で出た災害廃棄物処理受入れ申請をして、国の 1 復興予算約86億円を受取り、結局災害がれきを受入れないのに返還不要ということで86億円を受 取った事に市民から批判を浴び、震災からの復旧・復興を支援する基金を創設した、とあった、国の 交付金制度が如何に杜撰なものであるかの実例だ。 交付金だとて国民の税金だ!! 橋下市長には、地方自治体のみならず、国も含めて借金頼みの行 財政運営を止め、税収に応じた財政運営に改めたいとの意思が根幹にあると見える。府域一水道は大 阪市の場合工業用水や人口減少による水需要が減少、今後少子化で更なる減少が見込まれることから 府域一水道へと統合することで施設の整備・統廃合や人員削減等で費用対効果があるという提案だ。 しかし、この度の水道事業統合の経緯を見ても、大阪市議会のみなならず、市町村議会も含めて意 思統一に時間が掛ったと思われるが、大阪市議会議員の反対意見は、これまでも同様に自身の取り巻 きの支持者の顔色ばかりを気にかける目先の損得だけで、地方としての大阪の借金頼みの財政運営を 将来的にどう解消するか?などに触れることのない意見に終始した。 だから時間ばかりかかり議論 が深みを増すことも進展することも無い。民主主義の手続きには議論と説得しかないわけだが、既存 の政策を変更することが如何に難しいかが分かる。 私たち納税者も、行政運営になにを優先し何をあきらめるのかをよく見極める必要がある。将来を 見据えて、税で運営される施策を目先の損得に捉われることなく、精査し検討を重ねる事が必要だ。 これまでの施策を継続するのであれば、税収以上の施策運営を続け、天井知らずに借金を積重ね、破 綻するのを待つだけだ。 行財政改革はどの政党も分かっていながら避けてきた。 橋下市長は将来世代のためにあえて火中のクリを拾おうとしているように見える、目先の損得しか 考えない議員達との議論と説得という気の遠くなりそうな課題に囲まれながら、失敗を恐れずに継続 する持続力を持ち続ける事に期待する。 2
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