2. 電子カルテやPACSなどの 院内情報システムとの連携における

特集 2
循環器部門システムの最新動向 多様化する検査データの統合管理に向けて
Ⅲ CLINICAL REPORT ─ 循環器部門システムの運用の実際
2.電子カルテや PACS などの
院内情報システムとの連携における
CardioAgent の有用性
【三井記念病院】
田邉 健吾 循環器内科
れ,当然,その端末がおいてある部屋で
では,実際には,どういった形で役立
プンしたのを機に,循環器部門運用シス
は,どこでもシネの動画が見ることがで
つであろうか? 例えば,急性冠症候
テムを刷新し 2 年半近くが経過している。
きる。端末は,カテーテル室,ハイブリッ
群(acute coronary syndrome:ACS)
それ以前は,カテーテル画像のサーバとし
ド手術室のほか,編集室というシネを解
などの緊急カテーテル検査などの際に,
て某社のものを採用していたが,よくシス
析したり,臨床業務上必要な各種レポー
CAG 施行後,方針や PCI のストラテジー
テムがダウンしたり,以前の画像を呼び出
トを作成する部屋にも 2 台設置している。
を決めるのに実施医が悩むことは少なく
すのに時間がかかったりと臨床業務に支
これだけなら別に普通だが,電子カル
ない。しかしながら,経験のある上級医
障を来すことがあった。電子カルテを導
テとのリンクが素晴らしい。当院では,
は外来をしていて外来ブースにいる,そ
入することも決定していたため,動画ネッ
IBM 社の電子カルテを使用しているが,
ういったケースもあるだろう。しかし,
トワークのシステムがスムーズに動くかど
カテーテル室で撮影したシネ動画は,す
当院では,本ネットワークを導入してか
うか,ならびに,電子カルテとのリンクが
べて個々の患者の電子カルテにも転送さ
らは,筆者が外来中に相談を受けるとき
うまくいくかどうかは,診療上大きなポイ
れる。すなわち,電子カルテ端末があれば,
でも,電子カルテからサクサク動画を見
ントとなるであろうと考えていた。当初,
どこでも患者のシネフィルムを動画で見
ることができるので,わざわざカテーテ
いくつかの会社のプレゼンテーションを聞
ることができるのである。問題となるのは,
ル室にまで足を運ばなくても指示が出せ,
いたが,そういった説明会では,どの会
閲覧する際のスピードであるが,いわゆ
外来を中断せずにすんでいる。
社のものも良いように聞こえるというのが
る“サクサク”と見ることができている。
また,PCI のデータをまとめたり学術
正直な感想であった。そのような経緯の
電子カルテ端末が置いてある場所,すな
的発表をする際には,CAG の定量的評
中で,筆者の上司で当科部長の原 和弘
わち,外 来のどのブースでも,また,
価(quantitative coronary angiogra-
先生の命を受け,いくつかの病院に見学
CCU や HCU でも,一般病棟でもシネ動
ph y:Q C A)が必要となる。C a rd i o -
当院では,2009 年 1 月に新病棟がオー
に行き,実際の“生のユーザーの声”を聞
画をスムーズに見ることができるわけで
Agent は,QCA とのリンクも貼ること
いてから判断する方針とした。その上で,
ある。
ができるため,解析が容易である。こう
現場の循環器内科の要望として病院側に
提示して導入してもらったのが,今回,
紹介する東芝社の動画ネットワーク「CardioAgent」とレポート / データベースシス
ハイブリッド手術室
カテーテル室(2部屋)
アンギオ(東芝)
アンギオ(東芝)
動画閲覧・レポート
動画閲覧・レポート
テムである。
IVUS
CardioAgent の
実臨床上の利点
当院には,シネアンギオシステムとし
ポリグラフ
(Sensis)
ノートPC(看護師用)
看護記録
動画閲覧・レポート
アンギオ(東芝)
編集室
IVUS
動画閲覧・レポート
動画閲覧・レポート
ポリグラフ
(Sensis)
ノートPC(看護師用)
CTレポート
ZIOSTATION解析
サーバ室
電子カルテ(IBM)
カテ動画Web
レポート配信
て循環器内科が使用するカテーテル室に
2 台,ハイブリッド手術室に 1 台の合計
3 台がある(図 1)。それらで撮影された
画像は,CardioAgent によって管理さ
〈0913-8919/11/¥300/ 論文 /JCOPY〉
図 1 循環器動画ネットワーク
三井記念病院での循環器動画ネットワークシステムを示す。
INNERVISION (26・7) 2011 75