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静岡県立美術館友の会

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歌川広重
原 朝之富士《東海道五拾三次》(保永堂版)より
静岡県立美術館友の会
NO.84
2014年 夏
友の会だより プロムナード No.84
はじめまして、「友の会」の皆様
学芸部長 泉 万 里
毎 朝、 緑 濃 い プ ロ ム
読み込んだことは、幸せな体験でした。
ナードの緩やかな坂を
編集者の仕事は面白かったのですが、そのいっぽ
登って美術館に通勤する
うで仕事以外のこともしたいという思いも兆し、週
生活も4ヵ月目に入りま
末に広尾の都立中央図書館に通って調べものをして
した。その間、展覧会の
いました。そうこうしているうちに、さまざまな事情
オープニングや、友の会
から、関西へ移り住むこととなり、大阪大学の大学
総会、そして総会後の懇
院に進学しました。自分より六歳は若い人たちと机
親会で、友の会のみなさ
を並べての入学試験は、気恥ずかしくもありました。
まのうちの何人かの方々とは、親しくお話しをさせ
以来、一貫して、室町時代の屏風絵や絵巻物を中
ていただく機会を頂戴いたしました。懇親会での、
心に勉強を続けております。大学院修了後は、神戸
皆様の和気あいあいとした楽しい会話の端々に感じ
市看護大学や、大阪大学総合学術博物館および文学
られる、美術館を応援してくださるお気持ちのあた
研究科で教職につき、興味のおもむくままに、共同
たかさは、本当にありがたく、美術館に勤務する職
研究や、各地の文化財調査などを続けてまいりまし
員の1人として、心より感謝いたします。
た。
さて、この場を借りて、簡単な自己紹介を申し上
静岡ゆかりの作品としては、磐田市の行興寺が所
げます。私は、仙台に生まれ、その後高校卒業まで
蔵されている「熊野絵巻」を、ご住職のお許しを得
は千葉で過ごしました。美術と歴史が好きなので、
て調査し、論文にまとめたことがあります。お能の
たまたま目にとまった東洋日本美術史という講座が
「熊野」の謡の文章に、とても素朴で、かわいらし
ゆ
や
え まき
ある東北大学に行こう、と、あっさりと進路を決め、
い絵を入れて作られた一巻の絵巻物です。熊野は名
仙台に戻りました。そこで室町時代から江戸時代初
高い美女ですが、この絵巻では肝心の熊野の顔の部
めごろまでの屏風絵、それも、渋く枯れた水墨画で
分の絵具がはがれてしまい、残念ながら、その顔立
はなく、金屏風のような派手な絵が大好きになりま
ちを確認できません。おそらく、色白にしようと、
した。大学卒業後は、福武書店(現在のベネッセ)
白い絵具をぶあつく塗り重ねすぎたために、長い時
に入社し、中学生向け通信教育教材作りからはじめ
を経るうちに絵具が剥落してしまったようです。今
て、編集者の卵として全集本や単行本を編集する仕
の若い人たちは、丹念に作り込んだ化粧をすること
事に携わりました。『大原総一郎随想全集』
、『竹山
を「盛る」というようですが、この絵巻の熊野は
道雄著作集』、『福原麟太郎随想全集』などを担当し、
「盛り」すぎたがゆえに、その美貌を長く保って、
仕事とはいえ、物事を深く考え続けることから紡ぎ
今に伝えることができなかったようです。何事もほ
出された、上質で滋味豊かな文章を、浴びるように
どほどが肝心ということでしょうか。
表紙の作品
原 朝之富士
《東海道五拾三次》
(保永堂版)のうち
歌川 広重
(1797~1858)
暁光に染まる富士を背景に旅人達が東海道を行く。舞台は品川宿から数えて13
番目の原宿近辺。当時は富士沼などと呼ばれた湿地帯が広がっており、中景に
は餌をついばむ鶴が見える。また東海道中、富士が最も大きく見える名所とし
て知られ、ここでも画面の枠をも飛び出す富士を、女たちが仰いでいる。対し
てその後を行く従者の男は、担いでいる荷がずっしりと肩へ食い込むのか、景
色を楽しむ余裕はなさそうだ。江戸の旅の感興を伝える一枚。
(18.8×25.7cm、紙、木版色摺、中判錦絵)
(静岡県立美術館学芸員 浦澤倫太郎)
−2−
友の会だより プロムナード No.84
友の会日帰り研修旅行
新緑の箱根散策
岡田美術館&ラリック美術館
5月28日㈬ 参加者 43名
「岡田美術館とラリック美術館」を訪れる研修旅行は、『喜多川歌麿 肉筆画』公開と
話題性のある岡田美術館ということで応募が殺到しキャンセル待ちが出るほどの盛況ぶ
りでした。事前に浦澤学芸員から、岡田美術館のみどころと歌麿の<深川の雪>につい
てのレクチャーをしていただきました。広い美術館と名品ぞろいのコレクションを個々
にゆったりと時間を使い鑑賞しました。食事をはさみラリック美術館は、新緑の庭園を
楽しみながら繊細なガラス工芸と装飾を鑑賞し、それぞれ趣の違う美術館を巡る1日で
した。
浦澤倫太郎学芸員
田中恵子さん 静岡市葵区
岡田美術館は初めてなのでとても楽しみに
していました。時間も充分とって頂いたので、
焦らずゆっくり観ることができて良かったで
す。特に四天王の邪鬼はおかしみがあって気
に入りました。土偶も完全な状態にビックリ
…すごいです。
ラリック美術館は館員の説明も熱心で、従
業員もフレンドリーでした。
太田ふじ子さん 静岡市清水区
たくさんの美術品にビックリです。歌麿の
三部作そろったところを観たいです。
船渡川文代さん 静岡市葵区
先日テレビ(日曜美術館)で見た時から楽
しみにしていました。「深川の雪」は勿論、
あまりの著名作家の作品の多さに驚きました。
陶磁器の美しさにもほれぼれ。個性的でユ
ニークな作品が多く興味深い美術館です。
岡田美術館前にて
青木康子さん 静岡市葵区
岡田美術館は想像以上に大きく作品の多さに驚き
ましたが、時間をゆっくりとって頂けて、「深川の
雪」も2度見ることが出来て満足でした。友の会の
研修旅行はレクチャーがあり嬉しく思います。
小澤邦彦さん 富士市
「深川の雪」は動きのある多数の美人の姿を1人
ひとり丁寧に生き生きと表現されており印象的でし
た。陶磁器、絵画、工芸等多数のコレクションは莫
大な資本がなければ収集できないと思います。
松下公江さん 静岡市駿河区
<深川の雪>の発見ニュースからこんなに早く鑑
賞できる機会があるとは思っていなかったので、今
回の旅行の企画はとても嬉しく思いました。
*皆さんから感想や貴重なご意見をたくさん
寄せていただきありがとうございました。
会報委員 鍋田敏子
−3−
友の会だより プロムナード No.84
アトリエ訪問
水彩画家
青島紀三雄
5月の風さわやかな午後、静岡市本通にある画家のアトリエを訪ねる。入口に「三日
月堂」と書かれた看板の文字(この看板は元東大寺管長 清水公照師の筆による)に魅
了される。玄関を入ると、右に蹲があり、墨の香りが漂い書道専門店の風格を感じてい
ると、にこやかな笑顔で迎えられ緊張が緩やかに解けてゆく。通された2階にあるアト
リエには100号の日展作品や、スケッチ旅行での下絵が置かれている。
出会いから生まれた好きへのはじまり
画家は1948年11月静岡市に生まれる。小学校5年時の担任、
河西賢太郎先生との出会いがこの道に入るきっかけとなった。幼
少時より病弱であった自分に先生は「絵を描きに行かないか?」
とよく声をかけてくれ、友人と一緒に久能や近くの公園に出かけ
写生をした。その都度先生は作品をほめてくれ、絵が好きになり
今日まで描き続けていることになる。18歳の時、静岡市民展に
「あじさい」の絵を出品し、教育委員会賞を頂き励みとなった。
この時の審査員は石子順造氏であった。河西先生は画家にとって
絵の先生であっただけでなく、人生の師でもあったと語る。
《あじさい》1967
77×106
新たな商売への挑戦の時期
会社を退職後、文具販売業から書道専門店へと新たな事業を起こし、30代、40代は馬車馬の如く突っ走って
きて、なかなか描く時間を持てなかった。そんな時も先生は折に触れ「絵を描くことを絶対やめるなよ」と声を
かけ続けてくれ、画家はその忙しさの中で、いつも感謝の念を忘れなかった。
「水と光と風」をテーマにロマンと求めて
《江南閑日》2005
P100
画家はテーマを表現するために、国内、国外を問わず
水郷のあるまちを訪ねている。2000年から中国の水郷風
景を描きたいと、揚子江の南、江南地方に何回も一人旅
をしている。千年の歴史ある水郷を訪ね、その現場に立
ち、風の音、木々のそよぎを聴き、流れる水のにおいと
五感の全てで歴史を痛感し、その感動を思いのままに描
き留めている。そして、カナダのロッキー山脈と湖を見
たいという長年の夢が1996年に叶ったのを機に、大好き
になったカナダのバンクーバー通いが今も続いている。
青島絵画は、大陸的でありながら日本人に語りかける共
通語を持つ風景画に思えるとファンは語っている。自然
−4−
友の会だより プロムナード No.84
の曲線に人間の意志の直線が加わって、具象の世
界が起こるのだろう。作品の一つ一つの中に鑑賞
者は引き込まれ、そして佇む。描かれているその
風景から、様々な水、光、風がみている私に届け
られ、そのゆとりが心地よさをもたらしてくれる
のを覚える。
自分の世界を追い求める青島絵画
画家は水性キャンパスを使用している。堅牢な
画布は、作家の激しい筆触、強い筆圧、推敲を含
む画面の消去、洗滌に耐えてみせる。「紙質と
違って、明暗の諧調に合致した調子を残すのには
《北の追憶》2008
P100
水性キャンパスは不向きであるが、その代わり、
墨色を主体とした暗部の表情は発色が鈍化するためにかえって微妙な古色を暗示する悴(か)せた色彩を浮かび上
がらせる。」と白日会副会長の深澤孝哉氏は述べる。自分だけの世界を作りたいというロマンを抱いて画家は描
き続けている。
新しい事業の立ち上げに加え、10年という長きにわたり社会貢献を続けられ、その活動に伴う多くの魅力的
な方々との出会いがあったと話された。すべての行動に誠実で真摯な生き方と味わいのある人間性が青島絵画の
世界を作り出している。
「五十歳の棚卸し」とこれから
「最近、人の生き方について考えると、人間はどうやら、過去にしてきた自分への投資の配当で生きる感を強
くしている。絵は心の安らぎ、老後の楽しみとして続けていこうと念じている。」と、50歳の時自費出版した画
文集『50歳の棚卸し』にある。「いままでに出
会った方々との関わりの中で、精神的、知的蓄
積を頂いたと。これからも自分の道、自分の使
命を大切に精一杯前向きに生きていきたい」と
話された。様々な出来事があった人生の中で、
全てが結合し、調和と融合が生まれた状況下で、
夢中で描く環境を手に入れたこれからを楽しん
で頂きたい。あらゆるものは変わりながら、変
わらない部分があるという矛盾を包括しつつ進
展していくという。青島絵画の「水と光と風」
が醸し出す新たな空気にみなさんも出会って頂
きたい。
会報委員 良知トヨ
《水辺待春》2013
P100
プロフィール・主な受賞歴
・2010、2012、2014年 白日会展 審査員
・2012年 第88回白日会展 審査員
・2013年 第45回 日展特選
富嶽賞展・富嶽ビエンナーレ展10回入選(以降不出品)
個展 2回
現在 白日会会員・白日会静岡県支部長
日展会友
1948年11月静岡市生まれ
・第46回白日会展 初出品
・1984年 静岡県芸術祭 奨励賞
・1987年 静岡県芸術祭 読売新聞社賞
・1992年 第24回日展 初入選 (以降17回・無1)
・2005年 日展会友
・2008年 第40回 日展特選
・2009年 日展無鑑査
−5−
友の会だより プロムナード No.84
友の会の事務局長が変わりました。
退任にあたって
就任にあたって
松 本 昭 男
佐 藤 義 雄
退職後生涯学習1級イン
「ロダン館の建設に携わ
ストラクターの資格を取得
り、パリーまで行ったのだ
した矢先に、美術館友の会
から協力してはどう!」と
の事務局長をやってくれな
妻に言われ、建設に携わっ
いかと、当時の総務課長よ
たものとして、ロダン彫刻
り依頼がありました。荷が
に多くの県民が興味を持ち、
重すぎて御断りをしました
ロダン館に足を運び、美術
が、生涯学習のひとつとして引き受ける事になりま
の愛好家が増えるのであれ
した。あれから10年余、多くの方々に支えられな
ば、建設を担当した者としてこの上ない喜びではな
がら、何とか務める事ができましたことに感謝申し
いかと好意的に捉え、友の会事務局長をお引き受け
上げます。
することになりました。しかし、美術、特に彫刻や
思い出①
仏像等を観ることは好きですが、観るのが好きだけ
・20周年、25周年記念事業に関わらせていただ
で、松本前事務局長のように、美術館の勤務経験な
いたことが上げられます。
いものが、美術館友の会事務局長を仰せ付かってい
20周年の記念の目玉としては、県立美術館の魅
いであろうかと悩みつつあります。
力を伝えるPR用DVD作成、海外旅行、会員展
建設技術者として、公共建築の建物としての完成
等。25周年記念では、大原美術館 高階館長と
は、最初のステップに過ぎないと考えています。ロ
芳賀館長との「東西比較談義」が会員の皆様には
ダン館は彫刻がレイアウトされ、入館者が色々な箇
記憶に残ることになりました。
所から彫刻を鑑賞し、徐々に鑑賞者とロダン彫刻が
思い出②
一体となり、鑑賞者に感動を与えていくプロセスが、
・実技講座では、本当にためになることばかりで、
最も重要なことであろうと思います。鑑賞者と美術
もう少し積極的に参加しておけばよかったと反省
館がロダン館を完成させていくのです。ロダン館は
をしています。
県民に愛され、親しまれ、精神的な拠り所、そして
・国内旅行には、日帰り旅行に参加させていただき
ロダン彫刻のメッカとして行き続けてほしいもので
ました。会員の皆さんとの親睦をはかることがで
す。
きました。
鑑賞者がいない美術館は、単なる収蔵庫の器でし
・会員の減については、企画展に友の会入会勧誘を
かないでしょう。
いたしました事も良い経験になりました。
友の会監査、理事そして事務局長として友の会資
思い出③
料を見ますと、課題が山積です。千人を超える友の
友の会事務局事務員(見城様、小久保様、海野様、
会会員数は、減少し〔H22 699人、H23 601人、
川口様、佐藤様、前田様)には大変お世話になりま
H24 639人、H25 546人〕、今年度は526人〔5月
した。会員の皆様との関わり、事業委員会、会報委
20日現在〕です。高齢化に伴い、会員も高齢化し
員会の事業にも細心の気配りをいただき、各事業が
〔70歳以上44%〕、若年層の会員拡大を図らねばなり
スムーズに処理していただいたことが思い出されま
ません。また、会員入館率(1年間の会員入館回
す。
数)も減少しています〔H22 2.40回、H23 1.76
最後に、静岡県立美術館・友の会では近々30周
回、H24 1.67回、H25 1.44回〕。これらは魅力に
年を迎えます。今後益々の発展と会員皆様のご健勝
乏しい美術館友の会所以ではないでしょうか。会員
を心より祈念いたしまして、退任の挨拶と致します。
の皆様、『魅力溢れる県立美術館友の会』となるよ
ありがとうございました。
う頑張りますのでどうぞよろしくお願いします。
−6−
友の会だより プロムナード No.84
子どもたちをワクワクさせるキッズアートプロジェクトしずおか。小学1~6年生まで
県内にある美術館・博物館で本物に触れる機会を提供し、感性を磨く手助けをしたいと考えて
県立美術館友の会はプロジェクトへ協賛しています
新たにNPO法人でスタート
静岡県立美術館 副館長 坂 田 芳 乃
小学生に本物の芸術に触れてもらうきっかけ作りをしようと、県内の美術館・博物館が連携して始
めたキッズアートプロジェクト事業も、4年目を迎えました。昨年度からは、これまで静岡市内で進
めていた事業を全県で展開し、20万4千人の小学生にパスポートを配布した結果、延べ6万千人余(約
30%)の小学生が、学校や家族と一緒に美術館・博物館に来てくれました。今後は、子どもたちが美
術鑑賞をする環境づくりのみでなく、美術館等が地域に出向いたり、館内での体験や学習の工夫をし
たりするなど、魅力ある活動を進めていくため、これまでの実行委員会を継続的で信頼度の高い組織
である、特定非営利活動法人(NPO)に組織を変更し、本年度からNPO法人としてスタートしま
した。未来を担う子どもたちが、自らのことばで文化芸術を語ることができるよう、友の会の皆さん
からの応援もいただきながら、社会全体で育てていく、息の長い活動の新たな一歩を踏みはじめたと
ころです。 皆さんも地域の小学生に利用のお声かけをお願いいたします。
みたことのないがっきにさわったよ
前田 奈美さん 竜南小学校2年
はままつしがっきはくぶつかんにいきました。いろんなくにのがっきが
たくさんおいてありました。みたことがないがっきもありました。
たいけんコーナーはいろんながっきをさわれてひけます。かいがらをこ
するとかえるのこえがしました。たいこはとてもおもしろい音がしました。
弥生時代に出発
伴野 峻矢さん 4年 恭矢さん 2年
弥生時代の貫頭衣という衣服を着てタイムスリッ
プしました。登呂の村人になりきって田植えや火お
こしをなどを体験しました。住居や高床倉庫や祭殿
もはじめて見たのでとてもおどろきました。
昔の人はある物で色々工夫をして生活していたの
でとても知恵があると思いました。
弥生時代をたっぷりと味わうことができたのし
かったです。
原 稿
募集中
小1~小6のお子さん、お孫さんとご一緒で原稿をください。
① 写真 ② 文字数(120字程) ③ 友の会事務局まで
−7−
友の会だより プロムナード No.84
学芸室より
富士山から原爆ドームへ
静岡県立美術館上席学芸員 泰 井 良
15年間見慣れた富士山を後にして、私は家族とともに、広島へ向かいました。も
ちろん、広島に住むのは初めてです。広島といえば、市電や原爆ドーム、宮島など、
風情ある街のイメージがありました。私が勤務したのは、市街地に近い、名勝縮景
園の隣にある広島県立美術館でした。恩師とも言うべき、館長の越智裕二郎さんと
仕事をするのは、10年余ぶりでした。
私は「印象派を超えて 点描の画家たち ゴッホ、スーラからモンドリアンま
で」展の担当となり、展覧会に関わる様々な仕事をすることになりました。西洋美
術展の担当は、しばらくぶりでしたので、カタログ原稿の翻訳など大変苦労しまし
た。しかし、その中でも、感慨深いのは、オランダのクレラー=ミュラー美術館学
芸員リズ・クレイン女史との展示作業です。彼女と私の二人で作品の配置を議論し
ながら決めていくのですが、私は、彼女の作品に対する深い愛情に「学芸員として
の原点」を見たように感じました。喧々諤々、議論した結果、納得のいく展示ができたと思います。この展覧会
は、スケジュールが厳しく、作品の搬入は、年末12月27日の深夜1時。翌日から展示が始まりましたが、大晦日
も家族とゆっくり過ごすことはできず、展示作業に掛かりきりでした。そして、展覧会は、無事、1月2日に開幕。
皆さんのご協力なくしては、とてもできなかったと感謝しています。
さて、広島といえば、牡蠣とお好み焼きです。私も館
長の越智さんに連れられ、牡蠣屋台に行きました。新鮮
な牡蠣を炭火で焼いて食べて、舌鼓を打ったものです。
最後に、少し真面目な話を一つ。広島県立美術館は、
指定管理者制度を導入している美術館で、当館のような
県直営の館とは、仕事のルールや進め方などが、全く異
なります。民間会社が指定管理者として、美術館の事業
推進、施設管理などを行っており、スタッフ間のコミュ
ニケーションには、とても苦労しました。こうした経営
形態の異なる美術館で、一年間という短い期間でしたが、
仕事をさせていただいたことは、私が今後、静岡県立美
術館や全国の公立美術館を考えていく際に、大変良い経
験になったと思います。広島県立美術館の皆さん、一年
「印象派を超えて」作品点検の様子
間、本当にお世話になりました。
新しい遊歩道が完成しました。
静岡県立美術館周辺は、中央図書館、県立大学、舞台芸術公園、
日本平と県の文化、芸術、観光資源が点在し、県では「ムセイオン
静岡」の立ち上げ、処施設との「フレンドシップ協定」を結び様々
な活動を行っています。その一環として4月に美術館裏より直接S
PAC、日本平へのハイキングコースにつながる遊歩道を完成させ
ました。美術鑑賞の後は、ささやかな森林浴と鳥の囀りをどうぞ。
静岡県立美術館友の会(静岡市駿河区谷田53-2 ℡ 054-264-0897)2014年7月15日発行 印刷 松本印刷㈱
−8−
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