カゴメサステナビリティレポート2014 ダイジェスト版(34ページ)(6.92MB)

目 次
編集方針
2
トップメッセージ
3
カゴメの考えるサステナビリティと
カゴメの理念体系
5
特集
サステナビリティへの取り組み
7
私たちの事業展開
15
私たちの価値創造基盤
17
私たちの戦略
19
事業部門別の戦略と業績
21
主要な財務・非財務パフォーマンス
29
コーポレート・ガバナンス
31
リスクマネジメント
34
CSRマネジメント
34
CSR情報のご紹介
CSR情報については、網羅性の高い情報開示を目指し
「GRIサステナビリティレポーティングガイドライン第3.1
版」
「ISO26000」および環境省の「環境報告書ガイドラ
イン2012年度版」を参考に編集しています。
ウェブサイト
カゴメサステナビリティレポートほか、CSR関連情報をご紹
介しています。
http://www.kagome.co.jp/company/kankyo/index.html
カゴメサステナビリティレポート2014
フルレポート(100ページ)
サステナビリティの実現に向けたカゴメの活動全体をご紹介
しています。
カゴメサステナビリティレポート2014
ダイジェスト版(34ページ)
本冊子のPDF版をダウンロードできます。
アンケートご協力のお願い
今後の制作などに役立てるため、お手数ですが下記アン
ケートフォームより、アンケートにご協力をお願いいたします。
http://www.kagome.co.jp/company/kankyo/report/
questionnaire.html
1
編集方針
カゴメグループは企業理念「感謝」
「自然」
「開かれた企業」
のもと、社会への貢献を通じた価値創造によりこれまで成長し
てきました。私たちの取り組みは、1999年度の環境報告書発
行をはじめとして、2013年度のサステナビリティレポート発行
まで、年々その取り組みを進化させ、ステークホルダーの皆さま
にご報告してきました。16年目となる2014年度サステナビリ
ティレポートでは、私たちの価値創造基盤をより具体的に読者
の皆さまへご紹介することを目的に編集しており、2016年度の
報告書において、事業における創出価値が明確となった「統合
報告書」の形にて、皆さまにご報告することを目指しています。
報告書の変遷と今後の予定
1999年度 : 環境報告書
2005年度 : 社会環境報告書
2010年度 : CSRレポート
2013年度 : サステナビリティレポート
2016年度 : 統合報告書(予定)
報告対象期間・対象範囲
対 象 期 間: 2013年4月〜2014年3月
※一部対象期間外の活動も含まれます。
報告対象範囲
文中においてカゴメ株式会社単体に関する報告は「カゴメ」、国内グ
ループ会社全体に関する報告は「国内カゴメグループ」、海外のグルー
プ会社を含む国内外全体に関する報告は「カゴメグループ」として表記
しています。
情報公開月
2014年12月
お問い合わせ先
所 :〒103 - 8461
住
東京都中央区日本橋浜町3丁目21番1号 日本橋浜町Fタワー
カゴメ株式会社 コーポレート・コミュニケーション本部
グローバルサステナビリティ部
T
E
L :(03)5623 - 8705
F
A
X :(03)5623 - 2334
E - m a i l : [email protected]
2
トップメッセージ
食を通じて社会課題の解決に
取り組み、持続的に成長できる
強い企業を実現します
カゴメ株式会社 代表取締役社長
環境変化の中で再認識する私たちの使命
カゴメは、1899年の創業以来、
トマトなど自然の恵みがも
(ソリューション)、経済価値を創出する力(イノベーション)
を高めることが、不可欠と考えています。
つ価値を活かした商品の開発・提供を通じて、人々の健康的
な食生活の実現に貢献してきました。今日では、日本で消費
これまでの取り組みを振り返って
されるトマトの約3割、緑黄色野菜の約1割を供給するに至っ
2013年度からスタートした中期経営計画「Next50」は、計
ていますが、これは当社の企業理念に込められた「ステーク
画初年度に連結売上高が前期比1.6%減の1,930億円という
ホルダーへの感謝」
「自然の恵みを活かし、人々の健康に貢
厳しい結果となりました。また14年度も減収、減益となる見込
献する価値開発の追求」
「人と社会に開かれた企業の実現」
みです。この背景には、
トマトブームの反動や既存商品の魅力
という考え方を社員一人ひとりが事業活動の中で追求し、ス
度低下を新商品でカバーできなかったほか、原料調達価格の
テークホルダーの皆さまから共感と信頼をいただいた結果で
高騰や天候不順などの影響がありました。この振り返りで深め
あると考えています。
た認識は、当社は社会に価値提供を行う前提条件である「安
これからの50年を見据えた時、日本では2035年に3人に
定した収益を確保する基盤」が脆弱で、外部環境の変化に弱
1人が高齢者という超高齢社会が到来し、人口減少、社会保
いという反省でした。これを受けて、
「Next50」は計画の前提
障費の増大、単身・二人世帯の増加、地方や農業の衰退など
となる自社の実力の見極めが不十分であったと考えて白紙化
の大きな社会変化が待ち受けています。世界でも全人口の
し、グローバルブランドへの飛躍を目指す長期的視点は継承し
増加と経済発展および、気候変動に伴う水や食料などの資
つつ、
「働き方の改革」と「収益構造の改革」を開始しました。
源・エネルギー問題や環境問題、栄養問題(肥満、栄養不足
等)などの社会課題が深刻さを増すと考えられています。当
中期経営方針
社が今後も食を通じて社会に貢献し続けるには、プロダク
新たな中期経営方針では当社が持続的に成長するため
トアウト型からソリューション型の事業に発想を転換し、社会
の収益獲得基盤の強化に力点を置き、以下の3つの重点課
の変化を予測し、その時代の要請を事業戦略に組み込むこ
題に取り組みます。
とで、カゴメならではの方法で社会課題の解決に貢献しつつ
3
1つ目は「バリューアップ」で、既存商品の価値向上を通じ
K AGOME SUSTAINAB ILIT Y 2014
て収益性を高めます。既に進めている、野菜飲料のペットボ
の全量国産化」を推進し、国内における加工用トマトの契約
トルを二人世帯でもおいしく飲み切れる容量で提供する「ス
栽培の維持・拡大を進めるほか、生食用トマトやベビーリーフ
マートPET化」や、
「旬の時期にしか味わえない国産原料を
をはじめとしたカット野菜・パックサラダ素材の栽培を進めて
使ったストレートのトマトジュース」を濃縮還元のトマトジュー
います。また、地域の特産品を当社の商品原料として全国に
スと異なる商品ラインで提供する「トマトジュースのプレミア
お届けする「地産全消」では、収益確保と地域活性化への
ム化」などを継続して進めます。
貢献を今後も進めます。
2つ目は「生産性の向上」で、原価低減や滞留品処分費用
第三は「国内業務用事業の拡大」です。日本では働く女性
の極小化、広告投資の効率化、商品の絞り込みなどを行うと
や高齢者、単身・二人世帯の増加で、家庭で料理をしない世
ともに、固定費の発生構造にまで踏み込んだ中長期的な収
帯が増え、外食・中食市場が拡大しています。この業務用市
益構造改革を進めるため、
「働き方の改革」も推進します。
場で使われるトマト・野菜をカゴメが全て供給できるように、市
20時以降の残業禁止や働きやすい勤務体制を導入するほ
場のニーズに深く対応した商品を開発し、
「トマトのことなら
か、社長直轄の業務改革室を設置し、業務の必要性と価値
何でもカゴメに」と言っていただける状況を目指します。
を第三者が評価し、不要な仕事を見直すことで「生産性の3
第四は「フレッシュ化への挑戦」です。生ジュース感覚の商
割向上」に取り組みます。同時に人事評価制度も改定し、職
品開発など、これまでにないフレッシュさを感じていただける
位に応じて「職務+成果型」の評価割合を高め、新しい働き
イノベーションにより、新たな需要創造を実現していきます。
方への意識を定着させ、年齢・人種・国籍・性別等に関係なく
活躍できる職場づくりを進めます。
3つ目は「イノベーション」です。
トマトは世界で消費量
真の自主自立を実現する
これらの取り組みを進めるに当たって最も大切なことは、
No.1の野菜で、今後も毎年、日本の年間消費量に匹敵する
適切な経済的利益を持続的に獲得する実力を身につけなけ
100万トンずつ消費量が増えると予測されています。日本で
れば、社会に価値を提供し続けることはできない、という意識
も「販売金額1位の野菜」であり、
「トマトのことなら何でもカ
を持つことです。
「自主自立」
「人中心の経営」など、当社が
ゴメに」と言っていただける状況を実現し、
トマトで培った強
これまで強みとしてきた企業文化は働きやすい雰囲気を高め
みをほかの野菜にも展開することが事業機会の創出に直結
る一方で、業務に壁をつくり部門を超えた連携が進まない、
します。このような認識の下、以下の中期的な重点成長領域
責任の所在を曖昧にするといった風潮を生み、変化への対応
に経営資源を集中させ、部門間の連携を強化することで、当
力や競争力を弱める要因となっていました。今回、国内事業
社が持続的に成長する基盤づくりを進めます。
間の連携を進める国内事業統括を設置し私が就いたのも、横
第一は「グローバルトマトサプライヤー」の実現です。新
の連携を深め、このような体質を打破することが狙いです。
興国では経済発展に伴うライフスタイルの変化で生活習慣
当社は、経営の中心に「人」を置くことで成長してきた会社
病や肥満などの問題が増加し、健康へのニーズが高まって
であり、従業員の成長こそがカゴメの成長に他なりません。従
います。当社は、原料生産から販売に至る全ての事業プロセ
業員が適切な経済的利益を持続的に獲得する実力を身につ
スを持つ強みを活かし、地域の気候風土や消費者の嗜好に
けて初めて、ステークホルダーの信頼に応え、ひいては社会
合った品種開発など、各市場に合ったビジネスを速やかに構
への責任を果たすことにつながるのです。各自が環境変化を
築し、グループ全体の成長を牽引します。
的確にとらえ、企業理念の実現に向けてスピーディーな連携
第二は「農業の成長産業化」です。
「ジュース用トマト原料
が取れてこそ、真の「自主・自立」が成り立ちます。
4
カゴメの考えるサステナビリティと
カゴメの理念体系
カゴメの考えるサステナビリティとは、
「共助」の精神に基
づいて、企業理念を具現化し、事業活動と一体となって、個人
としても、企業としても、持続可能な「人・社会・地球環境の
企業理念
健康長寿に貢献する」ことです。
ブランド
ステートメント
カゴメは、1 0 0 年 以 上もの間 、トマトをはじめとした野 菜・
フルーツなど、たくさんの自然の恵みを利用して、商品づくり
人・社会・地球環境の
健康長寿に貢献
を続けてきました。人々や地球の命や健康を維持することに、
大きな危機感が芽生え始めている今だからこそ、カゴメは人と
中期経営方針
社会と地球環境が健康で、いつまでも持続できる社会の実現
行動規範
を目指し、事業を通じて貢献していきたいと考えています。
企業理念 〜時代を経ても変わらずに継承される「経営のこころ」〜
感 謝
自 然
開かれた企業
私たちは、自然の恵みと多くの
私たちは、自然の恵みを活か
私たちは、おたがいの個性・能
人々との出会いに感謝し、自然
して、時代に先がけた深みの
力を認め合い、公正・透明な企
生態系と人間性を尊重します。
ある価値を創造し、お客さまの
業活動につとめ開かれた企業
健康に貢献します。
を目指します。
ブランドステートメント
自然を
おいしく
楽しく
自然の恵みがもつ抗酸化力や
自然に反する添加物や技術に
地球環境と体内環境に十分に
免疫力を活用して、食と健康を
たよらず、体にやさしいおいしさ
配慮して、食の楽しさの新しい
深く追求すること。
を実現すること。
需要を創造すること。
これがカゴメのお客さまへの約束です。
5
K AGOME SUSTAINAB ILIT Y 2014
商品から見たこれまでのあゆみ
1899年の創業以来、
「自然の恵みである農産物の価値を活かして
人々の健康に貢献したい思い」を商品に込め、生活者の皆さまにお届けしています。
国内TOPシェア商品群2013年計
54%.9
86%.0
トマト関連
調味料※1
トマト
ソース※1
59%.3
トマト
ケチャップ※1
2004年
野菜一日
これ一本
(杯)
2009年
トマト鍋
1996年
サルサ
51%.0
トマト
ジュース※2
国内飲料事業
国内食品事業
2001年
カゴメデリ
51%.1
2006年
植物性乳酸菌
ラブレ
野菜ミックス
ジュース※2
国内生鮮
野菜事業
国内通販
事業
2014年
サラダ野菜
1998年
生鮮トマト
国内ギフト
事業
58%.1
野菜果実
ミックスジュース※2
国内業務用
事業
海外事業
1998年
健康直送便
1995年
野菜果実ミックス
ジュース(野菜生活)
1966年
プラスチック
チューブ入り
ケチャップ
(世界初)
1973年
1969年 野菜ジュース
リンゴミックス
ジュース
1961年
ミートソース
1933年
トマト
ジュース
1908年
トマトケチャップ・ウスターソース
1903年
トマトソース
1899年
創業者蟹江一太郎、
西洋野菜の栽培に着手
※1 出典:インテージSRI
(食品)
/2013年1月-12月/金額ベース
※2 出典:インテージSRI
(清涼飲料)
/2013年1月-12月/金額ベース
6
サステナビリティへの取り組み
特 集
カゴメグループは地球環境から得られる自然の恵みであるトマトと野菜、フルーツを活かした商品をつくり、生活者に届け
ることで、人々の健康長寿に貢献することと、その事業を維持・進化させるために農業から携わることで農業と地球環境
の持続可能性に貢献することを両立させています。このサイクルを回し、
「社会価値」の提供と需要創造による「経済価
値」を両立させる構造をつくり育てていくことで、持続的な成長を目指しています。
企業の継続
カゴメの農業・食料に関する実践
社会への継続
● 安定した原料調達のための拠点の拡大
● 種や栽培技術の進化と普及活動
畑は第一の工場
● 農産物の収穫の効率化
● 生鮮野菜事業のスマートアグリ化の推進
種から支える
ものづくり
研究開発
カゴメは農業から手がける
育苗
垂直統合型のバリューチェーンにより、
原料であるトマトと野菜を
よりおいしく、より栄養価の高いものに
みがきあげて商品をつくり、生活者に
安定して提供し続けています。
農業
(栽培指導)
商品生産
水
濃縮液
ジュース
世界各地での農業と地球環境の保全
種苗
逆浸透膜
調達
一次加工
農業・食料に関する問題
(非加熱濃縮法)
● 食料の配分の不均衡
● 気候変動による食料不足
トマトの分画・加工 さまざまな姿に変化可能なトマト
● 日本国内における農業の衰退
(耕作放棄地/後継者の不足)
● リコピン
●
● 農業による環境汚染
研究開発
カゴメグループの
垂直統合型の
バリューチェーン
7
● トマトエキス ● ジュース
● ピューレー ● ペースト
パウダー ● ホールトマト ● カットトマト ● パサータ ● ドライトマト
品種開発
種 苗
K AGOME SUSTAINAB ILIT Y 2014
続的な発展と
カゴメの人の健康に関する実践
的な価値提供
トマトと
野菜・フルーツを
ベースとした商品
● トマト加工量52万トン(世界第11位)
※Fresh Tomatoes Processed Tomatoland Information Services, May 26, 2014
● 日本国内における緑黄色野菜供給量11.3%
(トマト30.6%、ニンジン16.3%、ピーマン4.7%)
マーケティング
販売
※農林水産省「食料需給表」
(H24年度版)、
「野菜生産出荷統計」
(H24年度)、
財務省「貿易統計」
(H24年度) カゴメの供給量はH24年度使用実績より算出
カゴメが提供する
自然の恵みを活かしたさまざまな
商品は、旬と栄養成分にこだわった
トマトと野菜をベースとし、人々の
人々の
健康長寿
健康長寿の実現に貢献することを
目指しています。
経営
資源への再投資
世 界 中の人 々の健 康 増 進
商品
● トマトと野菜の機能性研究
健康に関する問題
● 日本人の生活習慣病罹患者の
増加と若年化
● 日本人の野菜摂取量の慢性的な不足
● 日本国内における医療費の増加
● 世界各国における収入の格差・食生活
の偏りによる栄養不足や栄養過多
農 業(栽培指導)
一 次 加 工・調 達
商 品 生 産・品 質 管 理
マー ケ ティング・販 売
8
特 集 サステナビリティへの取り組み
事例
1
トマトジュース原料の全量国産化を目指して
経済価値
国産トマトの有用性を活かし、
トマトジュースのバリューアップを図ることにより、新たなる需要を促進
社会価値
国内農業の持続可能性の追求
トマトジュース用国内原料の調達量
2 013年度
1万9千t
(百t)
2 016年度目標
350
3万t
300
課題認識
トマトブーム一巡後の売上の伸びが落ち着いた環境下での、国産
原料の価値を活かしたバリューアップと、収穫期・単収量拡大に
よるコストリダクションを目指した、地域と協働した農業の持続
可能性への貢献。
国内産トマトジュース原料の調達量と栽培面積の推移
原料調達量
(ha)
350
栽培面積
300
250
250
200
200
150
150
100
100
50
50
0
2011
2012
2013
0
(年度)
2016(計画)
2014
※2011年度は東日本大震災の影響で、福島県産トマトの契約栽培を中止した影響で一時的に減少
全量国産化による付加価値の創出に向けて
カゴメが生産するトマトジュースの原料は、国内産トマトが約27%(缶・PET・紙容器
などの合計/2012年実績)程度で、不足分は海外産原料を使用しています。これは、
国内のトマト契約栽培生産者の高齢化や後継者不足により生産者数・栽培面積が伸び
悩んでいること、加工用トマトの内外価格差が主要因となっています。カゴメは、永続
的にトマトジュース原料の調達を実現するため、継続的な高付加価値品種の開発、
収穫期間の拡大、面積当たり単収量の拡大を課題として、
トマトジュース用の原料トマ
トの産地・生産者・栽培方法を自ら開拓し、国内農業の持続可能性を高めることを目指し
ています。これにより、カゴメトマトジュースの原料全ての国産化を目指し、品質や鮮度
にこだわった高付加価値型の商品など、新たなトマトジュースの魅力の開発につなげ
ていくことが可能となります。
トマトジュースプレミアムの
売上高の推移
(百万円)
1,000
750
500
250
0
(百万円)
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
0
2014年に発売した
ストレートトマトジュース
(年度)「トマトジュースプレミアム」
2013 2014(見込)
カゴメトマトジュースの売上高の推移
2010
2011
2012 2013
2014 (年度)
(見込)
北日本に広がるジュース用トマトの産地
カゴメは現在、北日本を中心にトマトジュースの原料の産地拡大を進め、2014年
度はより大規模で機械化された営農が可能な北海道において試験栽培を実施し、数
年後の供給開始を視野に品種・栽培方法の調整に入っています。また、東北地方にお
いて、地元の農業法人との連携によるジュース用トマトの産地の拡大にも着手。宮
城、岩手、青森県においては、2013年度に4.77haであった栽培面積を、2014年
度は約4倍の19.17haへと広げています。
カゴメトマトジュースプレミアムが
「フード・アクション・ニッポン
アワード2014」の
大賞を受賞
2014年11月、カゴメトマトジュースプレミアムが
第6回「フード・アクション・ニッポン アワード2014」
の大賞を受賞しました。受賞の理由は、国内農産
物などの消費拡大に貢献したこと、ならびに農業と
地域の活性化にもプラスの影響を与えたことです。
機械収穫に向けて、今後のカゴメの対策に期待 〜生産者の声〜
東日本大震災の被災農地40haを含む100haの圃場で
9
トを作付けし、その一部は機械収穫用品種の栽培を実施。
水稲をはじめとした麦、大豆の2年3作体系の農業を行い、
栽培面積の拡大のためには機械収穫が必須ですが、近隣
そこに野菜を組み合わせ、従業員6名、臨時職員7名の雇
に選果場を設置するなど、
トマトの運搬の頻度アップが
用を継続しています。2014年にはカゴメのジュース用トマ
課題となります。今後のカゴメの対策に期待しています。
(有)アグリ―ドなるせ
代表取締役社長 安部 俊郎さん
K AGOME SUSTAINAB ILIT Y 2014
事例
2
生鮮トマト・野菜分野での挑戦
経済価値
生鮮トマト・野菜に特化した農事業を、飲料・食品に続く新たな収益源に育てる
社会価値
国内農業の成長産業化への貢献
生鮮野菜事業の売上
2 012年度
89億円
課題認識
●
●
100億円
生鮮野菜事業の売上高の推移
(百万円)
2 014年度見込
12,000
10,000
規模
8,000
大規模ハイテク菜園による生鮮トマトの生産・販売に加え、機能性成分
や手軽さなどの特徴がある「カット野菜・パックサラダ」分野へ参入。
6,000
単収量の拡大、製販調整の精度向上、高付加価値商品の開発
による収益向上を目指した、
「強い農業」を実現する。
2,000
4,000
0
2009
2010
2011
2012
2013 2014
(年度)
(見込)
国内の流通量の10%を目指す、生鮮トマトの生産
カゴメの生鮮野菜事業は、加工用トマトの品種開発力、農業技術力を応用し、大規模
ハイテク菜園での環境保全型のコンピューター管理による新しい農業形態の確立を目
指してきました。事業開始から数年間は製販調整が軌道に乗らず、廃棄などのロスが発
生しましたが、2012年に黒字化を達成。カゴメの生鮮トマト「こくみトマト」などを全国
の小売店を通じて販売しています。現在の生鮮トマトのカゴメの供給量は約1万4千t
(国内の総供給量の2.5%程度)で、カゴメは10年以内に全体の10%の6万tまで増や
こくみトマト
大規模ハイテク菜園内部
すことを視野に入れています。2014年11月時点で大型菜園は11カ所(単収25〜
50t/10a)。現在、より高単収な最新型の大型菜園(目標単収70t/10a)の導入と、
夏季の安定供給が可能な供給体制の整備に着手しています。カゴメは本事業の拡大を
通じ、国内の農業の成長産業化と安定した雇用の創出を目指しています。
高リコピントマト
オレンジまこちゃん
機能性・手軽さに特化した高付加価値野菜へ参入
カゴメは、2014年から生鮮野菜事業の拡大に向けてさらなる一歩を踏み出しました。
その第一弾として3月に発売した「ベビーリーフ」は、成長した葉と比べ重量あたりの
栄養成分が多く含まれ、機能性野菜として海外では人気があり、国内でも洗うだけで
食べられる手軽さから市場が拡大しています。8月には「カット野菜・パックサラダ」事業
への参入を発表。美容に関心の高い女性や健康志向の高いシニア層をターゲットに、
高付加価値を特徴とするサラダ商材のシリーズ展開を行い、野菜を食べる機会の創出
を通じて野菜の消費量の増加につながる活動を継続しています。
栽培風景
2014年3月に発売した
「サラダバンクシリーズ」
大規模ハイテク菜園の環境保全の取り組み(一部の菜園のみの取り組みも含む)
● クリーンエネルギー
(液化石油ガス・LPガス・天然ガス)を使用
●
太陽光発電所の電気を活用(響灘菜園)
●
ボイラー燃焼時のCO 2を光合成に利用
●
温室内に和種クロマルハナバチを放し、自然受粉を促進し、生態系を保全
●
節水のため温室の屋根にたまった雨水を利用
●
除去した茎や葉は微生物で分解し、肥料として再資源化(いわき小名浜菜園)
10
特 集 サステナビリティへの取り組み
事例
3
地産全消で地域の農業を応援する
経済価値
地域特産品を使った特色ある商品を全国で販売し、商品と特産品の需要の裾野を広げる
社会価値
地域特産品のジュース原料購入による地域農業への経済的な貢献と特産品の知名度の向上
2013年販売本数実績
1億3,200万本/年
課題認識
地域の農業を応援し、日本の農業の持続可能性を高めるため、継続
的かつ計画的に地域特産品原料の調達、商品化を行い、無駄なく販
売することにより持続的な利益を確保し、全国での消費を促進する。
野菜生活100季節限定シリーズの販売本数と営業利益(百万円)
(百万本)
140
販売本数
120
営業利益
1億1,830万本
350
300
100
250
80
200
60
150
40
100
20
50
0
2010
2011
2012
2013
0
2014(計画)(年度)
季節限定商品に特有の製販調整が課題
日本国内には数多くの野菜やフルーツの特産品が存在します。カゴメは自ら国内の
地産全消商品の生産者・自治体・カゴメの連携
地 域
魅力をカゴメブランドの商品として全国にお届けする「地産全消」活動を2010年度
生産者
にスタートさせました。
「野菜生活100季節限定シリーズ」は、地産全消商品の代表と
協定
農業の活性化を担うのみならず、全国の自治体やJAと協定を結び、各地の特産品の
カゴメ
自治体
JA
して、2013年度には1.3億本を超える販売本数となりました。しかしながら、季節限定
商品のリスクの一つである販売の見込みと実績のギャップにより、利益の圧迫をまね
商品化
いています。カゴメでは今後も「地産全消」をシステムとして継続するために、営業部
門での小売店における販売予測の精度向上、原料調達のリードタイムの短縮などを
全国のお客さま
急務として、改善に努めています。また、2014年度は2010年の取り組み開始以来
の販売数量の減少が見込まれ、新たな地域の特産品の開拓に加え、商品の味の設計
に踏み込んだ改良を課題として認識しています。
デコポン/熊本
とちおとめ/栃木
さくらんぼ/山形
野菜生活100季節限定シリーズ
(2013年4月〜2014年10月)
「野菜生活100瀬戸内レモンミックス」〜広島県とカゴメの取り組み〜 広島県 総務局 経営企画チーム
広島県では、国産シェア約5割と生産量日本一を誇
11
ます。2012年にカゴメと「野菜生活100瀬戸内レモ
る「瀬戸内 広島レモン」を中心とした、かんきつ産地の
ンミックス」の商品化を含めた「瀬戸内レモン協定」
活性化を図るため、さまざまな取り組みを進めており、
を締結し、この商品は1,600万本もの販売を記録。
その一環として「瀬戸内 広島レモン」のPRを行ってい
県庁内でも印象深い取り組みとなりました。
広島県と
「瀬戸内レモン
協定」を締結
K AGOME SUSTAINAB ILIT Y 2014
事例
4
世界各地での農業の持続可能性を目指して
経済価値
トマトと野菜の垂直統合型ビジネスの規模拡大による安定した原料調達の実現と海外事業の成長
社会価値
世界各国の気候・土壌に適したトマトと野菜の栽培による農業の持続的な発展
2013年度海外事業売上高
280億円
課題認識
●
●
海外事業の売上高の推移
(百万円)
30,000
25,000
20,000
商品の原料の安定供給を持続的に行うため、各国の環境に適し
たトマトと野菜の品種の開発と栽培方法の確立を行う。
15,000
世界各国地域において、種子開発と農業から始まる地産地消型
の持続可能なトマトと野菜のビジネスを広げ、事業の拡大を図る。
5,000
10,000
0
2009
2010
2011
2012
2013
(年度)
※セグメント間取引は相殺消去した数値です
海外産原料の安定供給に向けた取り組み
カゴメグループは、1899年の創業以来、
トマトの生産にこだわり、2013年現在では
世界11位※の加工量を誇る企業に成長しました。その大きな要因には、自然の摂理を守
りながら持続可能性を目指した農業技術を推進してきたことが挙げられます。カゴメオー
ストラリア社は、先進的なユニリーバ社の持続可能な農業基準に100%対応しており、
点滴灌漑の利用による水や肥料の管理と輪作による土壌改善の設備・技術を導入し、長
期間にわたる栽培が可能な農業を進めています。HIT社(ポルトガル)もグローバル
GAP(Good Agricultural Practice)に基づいた農業を推進しています。また、カゴメ
は2013年に米国の種苗会社UG社(United Genetics)を子会社化し、栽培地域の気
候や土壌に適したトマトと野菜の品種開発と、栽培技術の確立に着手。さらなる安定供
給技術の高度化に向け、種子のレベルから取り組んでいます。
※出典:Tomatoland Information
Services, May 26, 2014
海外事業の拡大を通じたビジネス展開国の発展
カゴメは、1989年からトマト加工品(一次加工・最終製品)を北米において販売開始
し、現在では欧州、アジア、オセアニアの顧客に販売する事業も行っています。2013年
には、インドにおいて現地大手メーカーなどとルチカゴメ社を合弁で設立し、業務用を中
心に家庭用においても事業の拡大を目指しています。カゴメの海外におけるビジネス展
開は、マーケットイン・地産地消に加え、現地での人材育成を含め、持続可能な現地産業
としての成立を基本としています。これらを通じて、ビジネス展開国における農業生産体
制の強化、加工技術などの普及、雇用の促進などに貢献することを目指しています。
インド・ムンバイで行われた、ルチカゴメ社の調印式
Uni
ted Genet
ics社をカゴメグループに加え、垂直統合を前進
2013年11月、カゴメグループに加わった米国UG
としたカゴメグループの事業は、既存の拠点に加え、
社(デラウエア州)はトマトと野菜の非遺伝子組み換
北米、南米、南ヨーロッパ、インドにも広がり、それら
え種子を自社開発し、世界80カ国以上で販売事業を
の各国において安定した供給ならびに利益を生み出
展開する野菜種苗会社です。これにより種子を起点
す体制が整いました。
12
特 集 サステナビリティへの取り組み
Topics
1
トマトの品種開発の効率化/
食の安心・安全への対応を強化
カゴメ研究開発本部は、グループのバリューチェーンの源流として、研究
開発による技術的成長エネルギーの供給をミッションに、現在と将来に
わたり活用できる技術や情報を追求しています。
トマトの種子
遺伝子解析技術の活用により、
飛躍的に品種開発の対応力が向上
フードディフェンス視点での
食品危害物質分析体制を強化
カゴメでは現在、約7,500種のトマトの
2013年12月末に発覚した国内他社冷
遺伝資源を活用し、遺伝子組み換え技術を
凍食品工場での農薬混入事件以降、全社
用いずに加工用と生鮮用トマトの品種開発
的にフードディフェンス(食品への意図的な
をしています。現在は遺伝子解析技術の活
異物の混入を防止する取り組み)を強化し
用に力を入れており、品種開発が大幅に効
ています。食品安全部では、万が一問題が
率化しました。これにより市場のニーズへ
のすばやい対応が可能となるだけでなく、
病気に強い品種、国内の栽培面積の拡大
に対応した機械収穫に適した品種などの開
発生した際に、危害物質を迅速に特定でき
研究開発本部
農資源開発部 課長
伊藤 博孝
る分析方法の装備を進めています。同時に
緊急対応時の分析手順を定めるとともに、
365日分析ができる体制を整えました。
研究開発本部
カスタマーソリューションセンター
食品安全部 課長
森内 知男
発力が大幅にアップしました。
農資源開発部:農業のサステナビリティを目指す取り組み
●
食品安全部:商品の安全性を確保する取り組み
品質とおいしさの向上と収量性・病害抵抗性の両立した
●
食品に関するリスク予見活動情報の収集と管理への反映
トマトの品種開発
●
分析技術の装備(化学物質、微生物、香味・匂い成分等)
●
原料の安全性評価と定期的な検査(残留農薬・放射性物質等)
●
微生物の特性・挙動評価と制御条件確立ソリューション
● トマトの新規産地における作型研究。収穫機械の開発、
機械収穫に適した栽培技術開発。病虫害防除の技術開発
世界的な影響病害「トマト黄化葉巻病」に
対する抵抗性品種
カゴメと農機具メーカーの共同で開発した
日本型収穫機
放射性物質の分析
研究開発本部:最近の研究成果から(2013年4月〜2014年10月)
2013年7月
2014年10月
スルフォラファンに悪酔い軽減が期待できる効果を発見
ラクトバチルス・ブレビス・KB290(通称:ラブレ菌)を含む飲料の
〜米国Johns Hopkins医科大学と共同研究〜
(Alcohol and Alcoholism誌の電子版に掲載)
2014年3月
継続摂取によるインフルエンザ罹患率の低減を確認
〜インフルエンザ流行期に栃木県那須塩原市の小学校15校にて大
規模調査を実施〜(日本食品免疫学会設立10周年記念大会で発表)
便秘はいくつかの栄養素の吸収効率を低下させるとともに、老
化・がんの原因となる酸化ストレスを高める可能性が明らかに
〜女子大学生を対象に調査を実施〜(日本農芸化学会にて発表)
2014年7月
食事前、もしくは食事中の野菜ジュース飲用でメタボの原因とな
る食後の血糖値の急激な上昇が抑えられることを確認
(日本食品科学工学会第61回大会にて発表)
13
ラブレ菌
K AGOME SUSTAINAB ILIT Y 2014
Topics
2
東北の未来を拓く息の長い支援を
続ける東日本大震災復興支援活動
カゴメは、共助の精神に基づき、東日本大震災の被災地における人道支援・
農業再生支援を2011年から継続して行っています。
みちのく未来基金
「第3期生の集い」
安全が安心に変わるまで
「ふくしま産トマトジュース」
東北復興の担い手を育む
「みちのく未来基金」
カゴメは、加工用トマトの生産地として福
2011年にカルビー株式会社、ロート製薬
島県に大きな期待を寄せています。
「東日
株式会社と共同で設立した震災遺児のため
本大震災により福島県のトマト栽培を途絶
の進学基金、公益財団法人「みちのく未来基
えさせてはならない」という強い決意の下、
金」は4年目を迎え、基金給付生が300人を
2011年度と2012年度をかけ、福島産ト
超えました。2015年度も、約100名のエント
マトの 安 全 性を検 証し、2 0 1 3 年 1 1月に
リーが見込まれており、その後も毎年70〜
「ふくしま産トマトジュース」の発売が実現
100名の基金生を迎える見込みです。2014
年3月には、専門学校の課程を修了する46名
しました(福島産の加工用トマトは、本商品
のみで使用)。これからもカゴメは「ふくしま
産トマトジュース」を通じ、福島県の農業を
支援し、それに共感する人々の輪を広げて
が新社会人として基金を旅立っていき、これ
コンシューマー事業本部
商品企画部 部長
からの活躍が期待されます。現在、基金では
稲垣 慶一
岩手・宮城・福島県以外に移り住んだ震災遺
コーポレート・
コミュニケーション本部
東日本大震災復興支援室
北岡 祐治
児への情報提供を目的とし、全国の自治体や
いきたいと考えています。
支援団体を訪問する活動を続けています。
みちのく未来基金
「夏の集い」
ふくしま産
トマトジュース
Topics
3
子どもたちの豊かな食体験と心身の
健やかな成長を応援する食育支援活動
子どもたちの「食」への興味・関心を育み、食の楽しさを体験するきっかけ
づくりをしたいと考え、食育支援活動に取り組んでいます。
カゴメりりこわくわくプログラム
正しい食習慣を伝えるミュージカル
「カゴメ劇場」
トマトを通じた食農体験
「カゴメりりこわくわくプログラム」
りりこ
1972年から続く、夏休みにたくさんの親子を無料でご招待してい
全国の小学校や保育園などに、ジュース用トマト「凛々子」の苗と学習
るカゴメオリジナルのミュージカルです。食べ物の役割や健康の大切
用資料を無償で提供する活動です。食べ物を育てて調理して食べるこ
さを歌とダンスで楽しく紹介し、幼児期に正しい食習慣を身につける
とを通じ、命への関心と感謝の心を育むことを狙いとしています。1999
きっかけとなることを願って実施しています。
年から2014年度までの参加校は累計で45,563校・園を数えます。
43年間で、のべ341万人が
来場した「カゴメ劇場」
自分の手で育てた凜々子を
使った調理体験
14
私たちの事業展開
カゴメグループは国内をはじめ、世界各地を調査し、最適な栽培地を選び出し、海外においても日本で培ったノウハウ
をもとに事業を展開しています。カゴメグループはグローバルブランドを目指して、世界中の人々においしさと健康を
お届けしています。
Kagome Hongmei(Ningxia)
Agriculture Co., Ltd.
Vegitalia S.p.A.
2003年設立・イタリア
契約農家と共同で育てた地中海野
菜の加工・冷凍・販売
2013年設立・中国
中国国内生鮮トマトの生産・販売
Kagome Hong Kong
Co., Ltd.
United Genetics Turkey
Tohum Fide A.S.
フランス
2014年設立・中国
飲料、食品、生鮮野菜の輸入販売
1987年設立・トルコ
種子の生産・販売、および育苗事業
スペイン
ポルトガル
イタリア
トルコ
Kagome(Tianjin)
Food Industry Co., Ltd.
2013年設立・中国
フィルム容器入り調味料の製造・販売
Kagome(Hangzhou)
Food Co., Ltd.
2005年設立・中国
飲料の製造・販売
中国
日本
Ruchi Kagome
Foods India Pvt.Ltd.
Holding da Industria
Transformadora doTomate,
SGPS S.A.(HIT)
2013年設立・インド
トマト加工品の製造・販売
2007年設立・ポルトガル
トマトペーストやピザソース等のト
マト加工品の製造・販売
OSOTSPA
KAGOME CO., LTD.
Taiwan Kagome Co., Ltd.
2012年設立・タイ
商品開発ならびに美容健
康飲料等の製造・販売
1967年設立・台湾
調味料および飲料の製造・販売
Kagome Longson Sdv.Bhd.
2014年12月設立予定・マレーシア
ハラル対応業務用調味料の製造・販売
Kagome Australia Pty Ltd.
南アフリカ
会社概要
創
業 : 1899年(明治32年)
その他
設
立 : 1949年(昭和24年)
アジア事業
本
社 : 愛知県名古屋市中区錦3丁目14番15号
資 本 金 : 19,985百万円(2014年3月31日現在)
代 表 者 : 代表取締役社長
オーストラリア
事業セグメント別売上高構成比
東 京 本 社 : 東京都中央区日本橋浜町3丁目21番1号 日本橋浜町Fタワー
寺田直行
従 業 員 数 : 2,349名(2014年3月31日現在)
15
2010年設立・オーストラリア
加工用トマトの生産およびトマト
加工品の製造・販売
通販事業
ギフト事業
生鮮野菜事業
食品事業
グローバルトマト事業
0.9%
1.6%
4.3%
4.3%
5.0%
12.1%
12.9%
※2014年3月31日現在
※セグメント間取引は相殺消去した数値です
飲料事業
45.5%
業務用事業
13.3%
K AGOME SUSTAINAB ILIT Y 2014
原料生産国
事業拠点(社名)
※事業拠点、
原料生産国は
2014年10月現在の内容です。
事業内容
United Genetics Holding LLC
1990年設立・アメリカ
グロー バ ルにトマト、野 菜 および
フルーツの種子開発・生産・販売
Kagome Inc.
1998年設立・アメリカ
米国での大手レストランチェーン向
け業務用トマトソースの製造・販売
カゴメ(株)
1899年設立・日本
調味食品、保存食品、飲料、その他
の食品の製造・販売ならびに、種苗、
青果物の仕入れ・生産・販売
Kagome Foods, Inc.
支店
アメリカ
工場
2007年設立・アメリカ
各種業務用ソースに加え、マーガリ
ンや他の植物油ベースの製品の製
造・販売
菜園
本社
ブラジル
研究開発本部
東京本社
チリ
ニュージーランド
アルゼンチン
経営計画推進体制
※2014年10月現在
代表取締役社長
〈8本部〉
〈2カンパニー〉
トマト事業カンパニー
アジア事業カンパニー
通販事業本部
農事業本部
生産調達本部
業務用事業本部
コンシューマー事業本部
コーポレート・
コミュニケーション本部
経営企画本部
研究開発本部
16
私たちの価値創造基盤
カゴメの事業は、自然の恵みである「農産物の価値」を活かすことに立脚しています。そのため、
「畑は第一の工場」の
考えの下、農産物の生産と加工の段階で、
「良い原料と良い技術の最適組み合わせ」により最も大きな価値形成を
行い、品質管理を徹底して、採れたてのおいしさを活かした商品をお客さまにお届けする事業を営んでいます。
グループ売上
1,930億
(うち海外11%)
営業利益
事業活動への再投資
67億 7,500万円
うち設備投資額
69億 2,300万円
当期純利益
自然の恵みを活かした
食品の提供
株主配当
51億 500万円
21億 8,800万円
(個人株主数約19万人)
カゴメグループの事業活動(農産物の価値の最大化)
活動内容
事 業 プロセス
需要創造
(マーケティング・販売)
日 本
商品が持つ価値をお客さ
まに伝え、需要を創造する
価値伝達活動
良い原料と良い技術の最
商品生産
海 外
製造・販売
グループ内外から原料を調達し、商
品を製造・販売(企業向け、消費者向
け)
(事業拠点:ポルトガル、オースト
ラリア、インド、アメリカ、中国、イタ
リア、台湾、タイなど)
自社基準を満たした高品質
高品質な
農産原料供給
農
業
競争優位な
種苗の供給
品種開発・
種苗生産
研究開発
の農産原料のみを調達し、
農産原料生産
おいしさを損なわないため
環境配慮型の大規模農業で農産原料
を生産し、グループ内外に販売(事業
拠点:ポルトガル、オーストラリアなど)
指定品種による契約栽培と
での生鮮トマト栽培(右)
※上記の数値は2013年度のものです。
※2
52万トン
(世界第11位)
240.5ha
自社保有の農産物の遺伝
農業資源開発
資源を用い、交配法で有
新しい品種の開発・採種・育苗を行い、
用品種を創出し、競争力の
グループ内外に種苗を販売(事業拠点:
米国、
トルコ、イタリア、インドなど)
自然の恵みである農産物の価値を最大化し、人の健康長寿に
貢献するための一貫した研究開発を推進
(研究拠点:日本、ポルトガルなど)
17
トマト加工量
国産トマトジュース
の原料栽培面積
農業指導(左)、ハイテク菜園
ある種苗を生産・供給
※1
30.6%を供給
全製造拠点で
取得
料の価値を最大化する製
の一次加工を実施
日本のトマト
消費量の
国際品質基準を
適組み合わせで、農産原
造工程と品質管理
一次加工・
調達
特 徴
トマトの遺伝資源
日本
約7,500 種
研究員数
約200名
K AGOME SUSTAINAB ILIT Y 2014
このような当社の事業は、自然の恵み(農作物や農地などの自然資本)や農家(社会関係資本)など、多くのステーク
ホルダーとの協働の上に成り立っています。そのため、当社の事業の発展につながり、かつステークホルダーの課題
解決にもつながる事業活動を推進することが、当社の競争力を高め、持続的な成長・発展につながると考えています。
6つの資本
● 財務・製造資本 :総資産 1,836億円
● 知 的 資 本 :農業生産・製造加工等に関する
独自技術・ノウハウ、強いブランド
● 人 的 資 本 :社員(2,349名)
● 社 会 関 係 資 本 :生産者等との強いつながり
● 自 然 資 本 :豊かな農地、農作物の遺伝資源等
資本の維持・強化を通じた
価値創造基盤の強化
資本を活用した
事業の推進
ステークホルダー価値
人と社会と地球環境の
健康長寿への貢献
価値創造基盤
● 安心・安全な食品として日本で広く愛されているブ
ランド
● 素材の価値を活かす独自の製造技術
(無菌充填、成分変換技術 等)
● 素材のおいしさを保持し、食品の安心・安全を確保す
る徹底した品質管理
● 環境負荷の最小化に向けた管理、製造工程の効率化
● 非加熱濃縮など環境・栄養・おいしさに最適な一次加工
● カゴメの品質要求を実現できる最適栽培地の生産者
ネットワーク
● 調達先の畑や工場まで入り、品質・安全性を確認した
優良原料のみを仕入れる調達
● 食品安全・農業生産性・環境保全を確保する独自基準
に基づく農業
競 争 力の強 化 と 持 続 的 成 長の実 現
● 時代に先駆けた価値提案と強い需要創造力
消費者
● 心身ともに健康的な食生活の実現
● 安全で高品質な食品の摂取(原料トレーサビリティの確保)
● 野菜の新たな「おいしさ」
「健康価値」の発見
●(海外)栄養問題の解消(肥満、栄養不足など)
サプライヤー(原料生産、製造加工)
● 品質管理・生産技術の向上
● 経済価値の安定的な獲得
農家、地域社会
● 安定した農業経営の実現
● 農業生産のサポート
(優良品種の入手、野菜生産技術
や知見等の入手・利用)
● 農業を通じた地域の活性化
●(海外)雇用・所得の創出、農業技術移転、新産地形成 等
● 全量買い取りを前提とした指定品種による契約栽培
● 契約農家への栽培指導
株主・投資家
● 持続的な経済価値の獲得
●トマト等の遺伝資源を数多く保有
● 栽培地の生育条件に適した用途別の競争優位な品種
の開発力
社員
● 働きがいある仕事
● 種苗の生産技術と販売ネットワーク
● 農作物の価値を活かした商品づくりに向けた一貫し
た研究開発体制(農業〜素材の有用性研究〜製造・加
工技術〜商品開発)
● 世界各地に設置した研究ラボ
事業を通じた
ステークホルダー
への価値提供
● 労働環境の向上
自然環境
● 自然環境、農地生態系の保全
●トマト等の遺伝資源の保全
※1 農林水産省「食料需給表」
(H24年度版)、
「野菜生産出荷統計」
(H24年度)、財務省「貿易統計」
(H24年度) カゴメの供給量はH24年度使用実績より算出 ※2 Fresh Tomatoes Processed Tomatoland Information Services, May 26, 2014
18
私たちの戦略
中期経営方針
当社は、東海地域の一企業から日本のナショナルブランド
へと転換を図った年から50年目にあたる2013年に、世界の
コストの増加や国内の天候不順および増税への対応等が遅
れたことが原因です。
人々のより健康的で豊かな食生活の実現と食・農業・健康など
しかし、より長期の視点で見ると過去にも好調時の業績を
に関わる社会課題の解決に貢献するグローバルブランドへと
維持できずに収益を低下させており、当社の本質的な課題は
飛躍するため、2013年度からの中期経営計画「Next50」を
「安定した収益を確保する基盤」が脆弱であり、外部環境の
策定しました。
変 化に弱 い 点にあるとの 認 識を深 めました 。これを受け 、
しかし、計画初年度、主力の飲料事業が減収減益となり、
「Next50」は計画の前提となる自社の実力の見極めが不十
連結売上高が前期比1.6%減の1,930億円という厳しい結
分であったとの考えから白紙化し、グローバルブランドへの飛
果となりました。また2014年度も減収減益となる見込みで
躍を目指す長期的視点は継承しつつ、
「働き方の改革」と「収
す。これは、過去最高益を記録した2012年のトマトジュース
益構造の改革」を開始しました。この改革により、持続性のあ
ブームの反動と他の飲料との競合激化による既存商品の魅
る収益基盤の構築を目指します。
力度の低下を新商品でカバーできず、
トマト原料の海外調達
当社を取り巻く主な外部環境動向
国
内
海
外
●
アベノミクス、消費税増税、円安
●
世界人口の増加と資源・食料不足、格差の拡大
●
食品機能性表示の規制緩和
●
気候変動等の環境問題の深刻化
●
農業の規制緩和、TPPと関税撤廃
●
経済の重心変化とアジア等の新興国におけるトマトの需
●
流通の巨大化、ネット通販・宅配チャネルの拡大
●
●
要増(ライフスタイルの変化と食の欧米化、肥満等の過剰
2020年東京オリンピック・パラリンピック(緩やかな成長、
コストアップ)
●
途上国における栄養問題
急激な社会構造変化(人口減少、超高齢社会、社会保障費と
●
FTA等の自由貿易圏拡大
国の債務問題、都市部への集中と地方の衰退)
●
国境を越える企業活動とサプライチェーン
●
ICTの発達
●
社会課題解決への社会要請拡大
● ライフスタイルの変化(働く女性と少人数世帯の増加、家庭
で料理を作る世帯の減少、価値観の多様化)
●
栄養問題)
農業環境の変化(農家の高齢化、後継者不足、脱稲作) 等
● トマトは「販売金額1位の野菜」
「好きな野菜1位」
● トマトは世界で消費量No.1の野菜
●
今後、毎年100万トンずつ消費量が増加予測
事業機会
国内外で健康的な食生活へのニーズが拡大。
「トマトのことなら何でもカゴメに」と言っていただける
状況を実現し、さらにトマトで培った強みをほかの野菜にも展開することが、当社の事業機会に直結
19
K AGOME SUSTAINAB ILIT Y 2014
方針策定における基本的考え方
国内事業は、主力の飲料事業を含めてトマトの国際相場の
環境面での制約が強まると考えられます。このような変動の激
変動や円安等による輸入原料コストの増加で今後さらなる原
しい時代に持続的に発展し、社会に価値を提供し続けるため
価上昇が見込まれるため、単年度のコスト削減だけでは安定し
には、社会の変化を予測し、その時代の要請を事業戦略に組
た収益の確保は十分とは言えません。また、当社の強みとして
み込むことで、当社ならではの方法で社会課題の解決に貢献
きた「自主自立」
「人中心の経営」などの企業文化は、働きやす
し、経済的価値の創出につなげる「プロダクトアウト型」から
い職場づくりにつながる反面、部門を超えた連携が進まない、
「ソリューション型」への事業の発想の転換が不可欠になると
責任の所在を曖昧にするなどの風潮を生み、競争力低下の要
考えています。
因になっていたとの認識の下、
「持続的な利益獲得力の構築」
このような基本認識の下、新たな中期経営方針では持続的
には組織と社員一人ひとりの仕事の中身にまで踏み込んだ
な利益獲得力の構築に向けて、
「働き方の改革」と「収益構造
「働き方の改革」と「収益構造の改革」が必要です。
の改革」を行い、2015年度は経常利益率4%、2016年度に
また、これからの50年を見据えた時、日本では超高齢社会
は5%を目指します。改革の3つの重点課題である「バリュー
の到来など、大きな社会変化が予想されており、世界でも全人
アップ」
「生産性の向上」
「イノベーション」に取り組むことで、
口の増加と経済発展および、気候変動に伴う資源・エネルギー
持続的な利益獲得基盤の構築を推進していきます。
問題や栄養問題(肥満、栄養不足等)が深刻化するなど、資源・
(重点課題の具体的内容は、
トップメッセージをご参照ください)
中期経営方針(2015年度〜2016年度)
現 状
安定した収益を確保する基盤が弱く、外部環境の変化に弱い
目標
働き方の改革と収益構造の改革(定量目標: 経常利益率 2015年度 4%、2016年度 5%)
目標達成に向けた基本視点❶
目標達成に向けた基本視点❷
働き方と収益構造の改革による「生産性の向上」
社会変化を見据えた「重点成長領域への経営資源の集中」
重点課題1
重点課題2
重点課題3
バリューアップ
生産性の向上
イノベーション
既存事業や既存商品群における
利益の改善を図る。
● 広告投資の効率化
中期的な重点成長領域に資源を集中させ、
事業組織間の連携強化による成長を目指す。
● スマートPET化
● コストダウン
●トマトジュースのプレミアム化
等
● 商品の絞り込み
● 利益マネジメントの見直し
● グローバルトマトサプライヤーの実現
等
● 農業の成長産業化
● 国内業務用事業の拡大
● フレッシュ化への挑戦
●
等
配当政策
連結業績を基準に、配当性向40%を目安に安定配当。
20
事業部門別の戦略と業績
コンシューマー 事 業 本 部
関連セグメント
飲料
食品
ギフト
今後の戦略
コンシューマー事業は、
トマトや野菜のおいしさや価値を、
まで事業別だった営業の連携を進め、価値提供マネジメントの
飲料・食品・ギフトの各事業を通して日本の消費者の皆さまに
強化に取り組みます。また、原価低減活動や広告投資の効率
ご提供することをミッションとしています。
化、商品の絞り込みなどのコストダウンへの取り組みを進めつ
2013年度は主力の飲料事業で減収となったことを踏まえ、
つ、需要や業績予測の精度向上や、より効率的かつスピー
2 0 1 4 年 度より「 収 益 力の向 上 」を最 優 先 課 題とし、
「イノ
ディーな現場情報の把握と利益マネジメントの仕組みを強化
ベーション」の促進による新しい成長エンジンの創出と「バ
することで、外部環境にかかわらず持続的に収益を獲得する
リューアップ」による既存事業領域の成長力と収益力の回復
力を高めていきます。
を進めています。具体的には、チルド温度帯(5℃以下)の商品
開発など、当社にしか提供できない鮮度訴求型商品を開発す
る「フレッシュ・イノベーション」、また、
「旬の時期にしか味わ
えない国産・ストレートのトマトジュース」を従来と異なる商品
ラインで提供する「プレミアム化」や、ペットボトル野菜飲料を
二人世帯でもおいしく飲み切れる容量で提供する「スマート
PET化」など、既存商品の価値向上を通じた「バリューアップ」
の推進です。さらに、今後の日本は外食・中食市場が拡大し、
消費者のライフスタイルや価値観・嗜好も多様化するなか、
当社の提供価値を明確化し、事業の垣根を超えてお客さまと
の関係をより強固にしていくことが必要です。そのため、これ
21
小林 寛久
執行役員
コンシューマー事業本部長
K AGOME SUSTAINAB ILIT Y 2014
2013年度の業績概況
飲料
野菜飲料カテゴリーでは、
「野菜生活100」シリーズにおい
これらの施策を行いましたが、野菜飲料カテゴリー合計で
て、重点マーケティングテーマ「地産全消」を象徴する、地域色
は、価格制度の変更もあり減収となりました。また、実質的にも
が豊かで季節感の溢れる期間限定商品が好調に推移しました。
トマトブームの反動によるトマトジュースの落ち込みをカバー
「野菜一日これ一本」シリーズについては、缶商品の賞味期限を
しきれず、前期を少し下回りました。乳酸菌カテゴリーについて
「野菜の保存食」としての価値
3.5年※に延長したことを契機に、
は、8月までは前年を下回る水準が続いていましたが、第3四半
を提案し、これまで取引のなかったチャネルへの普及が進みまし
期以降(2013年10月1日〜2014年3月31日)は前期比
た。
トマト飲料については、8月に毎年好評いただいている新物
108%と好調に推移しました。その結果、飲料事業の売上高
のトマトジュースにて、
トマトのフレッシュなおいしさを実現した
は、価格制度の変更による減少を含めて、前期比8.6%減の
低温度帯の商品を数量限定で発売し、好評をいただきました。
878億11百万円となりました。
食品
トマトのおいしさ・楽しさを新発見・再発見してお客さまにお
必要のないストレートタイプとして、お客さまの利便性を高め発
届けしていく活動「トマト・ディスカバリーズ」をテーマに商品を
売した結果、好評をいただきました。パスタソースについては、
発売し、プロモーションを展開しました。
トマトケチャップにおい
人気の瓶入りパスタソース「アンナマンマ」シリーズから3品の
ては、ナポリタンスパゲティのメニュー提案に注力したことなど
フレーバーを8月に発売しました。手軽に、
トマトの濃いおいし
により、前期を上回りました。2013年11月にはメニュー提案
さをお楽しみいただけることに高い評価をいただき、発売以降
の取り組みを象徴するイベントとして、全国の絶品ナポリタンを
好調に推移しています。ソースについては、堅調に推移しまし
集めた「ナポリタンスタジアム」を横浜にて開催し、好評をいた
た。食品事業合計では価格制度の変更のために減収となりまし
だきました。
トマト調味料については、2013年3月に発売した、
たが、実質的には前期を少し上回りました。その結果、食品事
使いやすく環境負荷の低い紙容器「トマトパック」シリーズの育
業 の 売 上 高 は 、価 格 の 変 更による減 少を含 めて 、前 期 比
成に注力しました。
トマト鍋については、本年度より水を加える
15.5%減の232億77百万円となりました。
ギフト
中元・歳暮市場全体は縮小という厳しい環境下、当社では
移しました。またトマトの焼き菓子「トマッティーニ」やトマトの
各流通チャネルにおいて高い採用率を獲得し、過去最高の売
ゼリー「Frut
toma
(フルットマ)」といったスイーツギフトによ
上高となりました。野菜飲料ギフトや国産フルーツジュースギ
り、母の日や手土産といった中元・歳暮期以外の需要を開拓で
フト、および歳暮期に導入したフリーズドライのスープギフトに
きました。その結果、ギフト事業の売上高は、前期比5.1%増
加え、企業限定などプレミアム感を打ち出した商品が好調に推
の83億38百万円となりました。
※2015年度 賞味期間5.5年の商品発売予定
22
事業部門別の戦略と業績
農事業本部
関連セグメント
生鮮野菜
今後の戦略
農事業本部は、カゴメにおける「トマトと農のエキスパート集
急拡大するなど、数年のうちに1兆円規模になるのではと予想
団」として、国内におけるトマトジュースの原料となる「加工用ト
する(量販店役員や卸業者さまの)声も聞こえています。このよ
マト」の生産に契約農家の皆さまと取り組むとともに、スーパー
うな状況を踏まえ、③「野菜領域」への本格進出を進めており、
マーケットなどでお買い求めいただける「生食用トマト」を全国
2014年3月に販売を開始した「ベビーリーフ」および8月に発
11カ所の大規模ハイテク菜園で生産・販売するなど、
「農産原
表した「カット野菜・パックサラダ事業」への参入は多くの量販
料の生産技術の高度化」
「トマトや野菜の生産と他の事業部門
店、卸業者さまからお問い合わせをいただきました。今後も、高
への供給」、そしてお客さまに生鮮野菜を直接販売する「生鮮
品質・機能性野菜を特徴とする新たなサラダ商材「サラダバンク
野菜事業」を担っています。
シリーズ」の販売を推進します。
近年は「ジュース用トマト原料の全量国産化」を目指して、
日本の農への貢献に取り組むとともに、総面積53haにおよぶ環
このような生鮮野菜事業の拡大を通じて、日本の農業の成長
産業化と消費者の皆さまの健康長寿に貢献してまいります。
境配慮型の大規模ハイテク菜園で独自ブランドの「生鮮トマト」
の生産に取り組み、最初の菜園設立から10年以上を経た2012
年に初の黒字化を実現。2013年度は96億円を超える売上の
事業に成長しました。
今後は、当社の農を基盤とした垂直統合型ビジネスモデルの
強みを活かし、①生鮮トマトの供給基盤拡充と機能性訴求による
生鮮トマト事業の拡大、②加工用トマトの機械化収穫の確立と北
海道などでの栽培を含む、ジュース用トマト原料の国内産地拡大
を推進します。また、近年、働く女性や単身・二人世帯の増加など
で、カット野菜やパックサラダといった生鮮型加工食品の需要が
藤井 啓吾
執行役員
農事業本部長
2013年度の業績概況
生鮮野菜
店頭では、
「ダブルトマトでおいしく!」をテーマに「トマトフェ
さまに配布することで、スポーツシーンでのトマト摂取を提案し
ア」や「カゴメフェア」など野菜飲料や食品と連動した展開の機
ました。また、生鮮トマトの収穫量を増やし、供給を増やすことが
会を獲得できました。プロモーションとしては、昨年に引き続き
できたこともあり、過去最高の売上高となりました。
2014年2月に、東京マラソンに協賛し、
「高リコピントマト」と
「ちいさなももこ」を東京マラソン公認トマトとしてランナーの皆
23
その結果、生鮮野菜事業の売上高は、前期比8.4%増の96億
83百万円となりました。
K AGOME SUSTAINAB ILIT Y 2014
通販事業本部
関連セグメント
アジア
通 販
今後の戦略
通販事業本部は、IT化の進展に伴う新たなビジネスチャネ
盤の確立を進めます。また、新規顧客獲得のための広告・プロ
ルに対応し、通信販売専用商品の開発・販売を通じて、お客さ
モーションの見直しや既存のお客さまとのコミュニケーション
まの健康長寿と食の楽しさの提供に貢献することをミッション
の充実を図ると共に、お客さまのご要望により柔軟に対応で
としています。現在、100万人以上のお客さまとコミュニケー
きるサービス基盤の整備を進め、お客さまとのつながりを一
ションを行っており、お客さまのお声を直接いただくことで、
層強化していきます。
「カゴメへの期待」や「新たなニーズ」を把握し、カゴメの事業
全体にフィードバックする役割も担いつつあります。
現在は、お客さまの利用メディアの変化や増税の影響で足
元の市場成長率はやや鈍化しているものの、2013年度は希
少な旬の採れたてのジュースをお届けする「旬シリーズ」など
が好調で過去最高の売上高となりました。当事業の中心購買
層が食生活と健康への意識の高い比較的高い年齢層である
ことを考えると、高齢化が進む今後の日本において、当事業は
高い成長ポテンシャルを持っていると考えています。
今後は、お客さまの生活に寄り添ったより長く愛飲・ご利用
いただけるカゴメならではの魅力的な商品を提供していく計
画で、
「つぶより野菜」のようなほかの商品と差別化できる特
高野 仁
徴のある野菜飲料の開発や、これまでカゴメが培ってきたラ
執行役員
通販事業本部長
ブレ菌やリコピンなどの機能を生かしたサプリメント事業の基
2013年度の業績概況
通販
主力商品「毎日飲む野菜」については、2014年6月に新た
「旬シリーズ」の販売も好調でした。加えて、サプリメントなど
なお客さまを獲得するための広告手段を追加したことにより7
の商品ラインナップを強化したことも、売上高の増分に寄与
月以降の販売量が増加し、好調に推移しました。また、商品供
しました。
給体制が整い3年ぶりに再発売した数量限定商品「桃しぼり」
や甘みと栄養がたっぷりの旬の冬ニンジンをジュースにした
その結果、通販事業の売上高は過去最高となり、前期比
7.5%増の82億77百万円となりました。
「冬しぼり」など、希少な旬のとれたてジュースをお届けする
24
事業部門別の戦略と業績
業務用事業本部
関連セグメント
業務用
今後の戦略
業務用事業本部は、
「トマトや野菜を中心とする業務用食
組みました。このような新たな需要創造への継続的な取り組み
品」の開発・販売事業を担っており、日本で消費されるトマトの
を通じて、より良い食生活の実現に貢献し、事業の安定的な成
16%にあたる約17万トン※を供給しています。
長を実現していきます。
日本は働く女性の増加や高齢化で、宅配食を含む外食・中食
の食支出に占める割合が上昇しています。多くの人々の「日々
※トマトの供給量は、
トマトケチャップなどのトマト加工品に使用しているトマト原料を
生トマトに換算した数値です。
の食」を外食・中食が支えるようになるなか、
「食を通じた健康」
や「おいしさ」へのニーズも年々高まっています。当社は、強み
である「トマトや野菜」を中心とする食品にフォーカスし、この
分野で顧客企業の多様化するニーズに 深く 対応すること
で、事業の拡大を図っています。
2013年度は、大手企業向けのチーム営業・開発体制を一層
強化したほか、スイーツなどのほかの食品分野の企業との協業
で新しい商品開発に取り組みました。また、コンシューマー事業
本部と協働でナポリタン日本一を決めるイベント「ナポリタンス
タジアム」を開催し、
トマトケチャップの需要喚起になどに取り
山口 聡
執行役員
業務用事業本部長
2013年度の業績概況
業務用
「トマト素材」
「トマトソース」
「野菜素材」
「野菜飲料」を重点
銀座コージーコーナーと協働しました。両社の強みを活かして
商品カテゴリーに設定し、売上拡大を図りました。大手ユー
共同開発したメニュー・商品は、同社の店舗にて提供・販売さ
ザーや産業用に向けたサポート体制を強化してきた成果が表
れ、好評をいただきました。このほかにも、カルビー株式会社と
れ、売上高は順調に推移しました。
トマト・ディスカバリーズの取
の初めてのコラボレーション商品として「ポテトチップス カゴメ
り組みとしましては、既述の「ナポリタンスタジアム」の開催に
トマトケチャップ味」が同社より発売されました。
あたり食品事業との連携を強化し、ナポリタンスパゲティのメ
ニュー普及に努めました。また他社との連携としては、
「トマト×
スイーツ」の新しいおいしさ・楽しさを提案するために株式会社
25
その結果、業務用事業の売上高は過去最高となり、前期比
2.9%増の257億64百万円となりました。
K AGOME SUSTAINAB ILIT Y 2014
アジア 事 業カンパニー
関連セグメント
アジア
今後の戦略
当カンパニーのミッションは、
トマトや野菜を中心とする食の
究成果、おいしく安全な商品設計力と、信頼できる現地企業
提供を通じて、アジア36億の人々の健康長寿に貢献し、カゴメ
のノウハウや製造インフラ、現地スタッフを中心とする営業力
グループの成長に寄与することです。
を掛け合わせ、現地の人々の嗜好に徹底的に合った商品を
そのためアジア全体の市場を見据え、中国、台湾、香港、
タイ、マレーシア、インドに拠点を構え、
トマトと野菜を中心とす
リーズナブルな価格で提供し、着実にお客さまを増やしてい
きたいと思います。
る飲料・業務用調味料、生鮮野菜などの商品を、その国に最も
合った形で提供し事業を進める計画です。
具体的には、業務用事業とコンシューマー事業に分かれます
が、業務用ビジネスでは、カゴメの強みであるグローバルなト
マト原料の供給力、個別のお客さま向け商品の開発力を駆使
し、アジアで展開されるグローバル企業や日系企業のみなら
ず、現地企業にも良質で安価な商品を提供し、早期の事業展開
を進めます。また、アジアでは経済成長に伴う社会環境やライ
フスタイルの変化のなか、
「安心・安全な食」、
「より健康的な
食」へのニーズが急速に高まりつつあります。このため、コン
シューマー向けビジネスでは、
トマトや野菜の効用に関する研
児玉 弘仁
取締役 常務執行役員
アジア事業カンパニーCEO
2013年度の業績概況
アジア
Taiwan Kagome Co., Ltd.は、円安に伴い円換算での売
上高が増加しましたが、現地通貨ベースでの売上高も前期を上
回る水準で推移しました。Kagome(Hangzhou)Food Co.,
Ltd.は、香港市場向けの野菜飲料の生産量が増えていることに
小瓶入りワンショットトマト健康飲料「Tomato Essence」を発
売しました。
その結果、アジアにおける売上高は、前期比35.0%増の31
億19百万円※となりました。
加えて、円安の影響もあり売上高が増加しました。なお、タイに
おける飲料の商品開発・販売業を展開しているOSOTSPA
KAGOME CO., LTD.については、9月にコンシューマー向けの
※セグメント間取引は相殺消去した数値です
26
事業部門別の戦略と業績
トマト事 業カンパニー
関連セグメント
グローバルトマト 米国・欧州・豪州
お客さまのニーズに合わせた加工、パッケージング
トマト栽培
今後の戦略
トマト事業カンパニーは、
トマトという商材を使ったグローバ
ネスを構築できるだけでなく、全プロセスにカゴメが関わること
ルな事業展開を担っています。先達が追求してきた「トマトが持
で垂直統合による当社独自の競争力創出や「安全・安心な食」
つ価値をお客さまに提供し、広めていく」ことを通じて、持続的
の提供を当社自身で確保できるようになり、世界レベルでのト
に収益を上げるだけでなく、世界の皆さまから支持される「そ
マトの持続可能な地産地消に貢献することが可能となります。
の地域になくてはならない企業」となり、カゴメをトマトで世界
今後は、各国の気候や土壌に適した種苗などトマトの価値創
No.1の企業にすることが当カンパニーの役割です。
造に向けた革新的な研究開発も進めていきます。また、グロー
そのために、私たちは事業エリアを11の戦略地域に分けて
バルな事業の推進を実現する上で最も重要なカゴメの価値を
います。①良質なトマト原料の生産・調達の可否、②トマト原料
共有し継承できる人材の育成に向けて、世界共通の人事制度
の加工基盤の有無、③市場の有無(消費スタイル、成長性な
で公正な評価・処遇を実現するとともに、世界中のスタッフとカ
ど)、という3つの条件で各地域を評価し、進出の優先順位や
ゴメの価値観を共有し、多様な地域での業務を経験してもらう
市場での成功要因を見極めることで、それぞれの地域に最も
ことで、事業を牽引する幹部人材を育成し、グローバルレベル
合った戦略を立案して事業を推進しています。
での成長を加速させていきます。
当カンパニーは、当社グループの中長期の成長に大きく貢
献すると考えています。その理由の一つは、
トマトがすべての
野菜の中で最も消費量が大きく、今後も年率2.5%で成長する
有望な商材だからです。そのため、価格競争ではなく、カゴメの
強みである品質・付加価値面における競争で、利益率の高い事
業の実現が可能です。もう一つは、当社グループが持つ垂直統
合型ビジネスモデルの強みを活かせることです。2013年に米
国の種苗会社を買収し、
トマトを扱う企業としては唯一、競争優
位性のあるトマトの品種開発から、農業生産、商品開発、加工、
販売までの全てのプロセスを持つ「自然の恵みと消費者を直接
結びつけることができる企業」となりました。その結果、グルー
プの資源・ノウハウを組み合わせることで、各市場に合ったビジ
27
住友 正宏
常務執行役員
トマト事業カンパニーCEO
K AGOME SUSTAINAB ILIT Y 2014
2013年度の業績概況
グローバルトマト 米国・欧州・豪州
米国では、円安に伴い円換算での売上高が増加に加え、
上高が増加しました。豪州では、主要顧客へのトマト加工品の
現地大手顧客向けの出 荷も順調に推移しています。ポルト
販売時期後ろ倒しに伴い、売上高が前期を下回りました。その
ガルでは、Holding da Industria Transformadora
結果、米国・欧州・豪州における売上高は、前期比32.6%増の
do Tomate, SGPS S.A.の連結子会社化に伴い、売上高が
249億63百万円※となりました。
純増しました。また、イタリアでは、円安に伴い円換算での売
※セグメント間取引は相殺消去した数値です
海外CEOメッセージ
ステークホルダーの方々のお力添えもあり、私たちは25年にわたり
私たちは、85カ国の市場に商品を提供しており、野菜種子におけ
高品質な商品を展開してきました。現在では、米国の大手レストラン
る世界のベストカンパニーを目指しています。私たちの野菜は遺伝
チェーンなどへの販売だけでなく、世界40カ国で私たちの商品が使
子組み換えではなく、伝統的な品種改良技術を基に開発されており、
われています。これからも顧客のニーズに合った革新的なトマトベース
そのための革新的な研究が成長を支えています。これまで過去5年
のソースの開発と製造に注力することで事業を成長させていきます。
間にわたって、2桁台の力強い成長を享受することができました。今
また、2007年に買収により米国の両岸に拠点を持ち、さまざまなタイ
後は、さらなる地域展開と高付加価値商品の展開を進める予定で
プの商品や容器形態を提供できるようになりましたので、今後もこうし
す。特に、より高い利益が見込まれる温室向けの品種において、競争
た利点を生かし、総合的なサービスを提供していきます。
力のある製品群の開発に力を入れていきます。
米国
Luis DeOliveira
執行役員
Kagome Inc.(USA)
President CEO
米国
Remo Ludergnani
United Genetics Holding LLC
President CEO
冬に雨が多く、夏に乾燥したポルトガルの気候はトマト栽培に特に
オーストラリアの事業は、
トマトの栽培から始まり、収穫、食品メー
適しています。私たちはそうした自然が与えてくれる価値を生かすだ
カー向けのペースト、ダイス加工まで手掛ける、垂直統合型のビジネ
けでなく、農業慣行の改善や水利用の効率性へ特段の配慮を実施し
スです。農業、食品製造業に渡る、サステナビリティ、食品の安全に関
てきました。ここ数 年は、そうした気 候のおかげで生まれるフルー
する数々のグローバルな認証を取得し、原料からのバリューチェーン
ティーで甘いという特徴を生かし、さまざまなトマトの開発を行ってき
作りに努めています。また2014年には、ベータカロテンの含有量の
ました。今後は、そうした特色のさらなる改善に加え、リコピン含有量な
高いニンジンの栽培・加工を始めました。2015年には、豪州国内およ
どさまざまなトマトの特徴を改善することに力を入れていく予定です。
び東南アジア市場をターゲットとした、フードサービスへの商品供給を
これからも高い技術と品質により成長機会を生かしていきます。
開始し、さらなるバリューチェーンの拡大をしてまいります。
欧州
Martin Stilwell
執行役員 CTO
Holding da Industria
Transformadora do Tomate, SGPS S.A.
President CEO
豪州
John Brady
Kagome Australia Pty Ltd.
President CEO
28
主要な財務・非財務パフォーマンス
連結決算財務パフォーマンス
売上高/海外売上高比率 ※1
売上高
(百万円)
営業利益/営業利益率
海外売上高比率 (%)
(百万円)
営業利益
営業利益率 (%)
200,000
20
10,000
10
160,000
16
8,000
8
120,000
12
6,000
6
80,000
8
4,000
4
40,000
4
2,000
2
0
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013(年度)
0
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013(年度)
自己資本当期純利益率
一株当たり当期純利益
(%)
(円)
10
80
8
60
6
40
4
20
2
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013(年度)
0
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013(年度)
非財務パフォーマンス
従業員数 ※2
(名)
2,400
エネルギー使用量 ※3
(千GJ)
2,000
2,000
1,600
1,600
1,200
1,200
800
800
400
400
0
29
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013(年度)
0
2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013(年度)
K AGOME SUSTAINAB ILIT Y 2014
当期純利益
総資産/純資産
(百万円)
総資産
(百万円)
7,000
純資産
200,000
6,000
160,000
5,000
4,000
120,000
3,000
80,000
2,000
40,000
1,000
0
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013(年度)
0
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013(年度)
一株当たり配当金/配当性向
(円)
一株当たり配当金
一株当たり純資産
配当性向 (%)
25
100
20
80
15
60
10
40
5
20
(円)
1,200
1,000
800
600
0
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013(年度)
400
200
0
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013(年度)
※1 セグメント間取引は相殺消去した数値です
CO 2 排出量 ※3、※4
(t)
水使用量 ※3
(千t)
100,000
5,000
80,000
4,000
60,000
3,000
40,000
2,000
20,000
1,000
0
2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013(年度)
0
2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013(年度)
※2 対象範囲はカゴメグループ ※3 対象範囲はカゴメ本体+国内グループ会社(カゴメ不動産、
カゴメ物流サービス、4菜園) ※4 CO2計算値における電気換算係数は社内管理固定係数:0.421kg-CO2/kWhを使用
30
コーポレート・ガバナンス
基本的考え方
カゴメは、
「開かれた企業」を目指すという企業理念の下、
「経
営の透明性の実現」
「経営責任の明確化」
「スピーディーな意思決
定」
「経営監視機能の強化」をコーポレート・ガバナンスに関する基
本的な考え方として据えており、グループ各社に適用されています。
コーポレート・ガバナンス体制
2014年10月現在、
「取締役会」は10名の取締役で構成さ
れ、全社の経営戦略の決定と業務執行の監督を行っています。
31
「経営戦略の決定」
「業務執行の監督」、執行役員は「部門業務
の執行」に専念できる体制を整備しています。
取締役の任期は1年とし、経営責任を明確化しています。2014
なお、カゴメは監査役会設置会社であり、4名の監査役(うち
年度より当社の経営判断・意思決定の過程で、その知識と経験
2名は社外監査役)が「取締役会」をはじめとする重要な会議に
に基づいた助言・提言をいただくことを目的に社外取締役を3名
出席し、意思決定プロセスやその内容、業務執行の状況をチェッ
新たに選任しています。また、執行役員制度を採用し、取締役は
クすることで、経営の健全性と透明性を確保しています。
氏 名
地 位
西 秀訓
代表取締役会長
寺田 直行
代表取締役社長
担当、主な職業および重要な兼職の状況
ダイナパック(株)社外取締役、長瀬産業(株)社外取締役
大嶽 節洋
代表取締役副社長
児玉 弘仁
取締役常務執行役員
アジア事業カンパニーCEO
渡辺 美衡
取締役常務執行役員
経営企画本部長
佐藤 邦彦
取締役常務執行役員
研究開発本部長
三輪 克行
取締役常務執行役員
蟹江 睦久
常勤監査役
村岡 明高
常勤監査役
江尻 隆
監査役
弁護士法人西村あさひ法律事務所社員、
(株)安藤・間 社外監査役、
ディップ(株)社外監査役
村田 守弘
監査役
村田守弘会計事務所代表、住友ゴム工業(株)社外監査役
近藤 誠一
社外取締役
近藤文化・外交研究所代表、外務省参与(国連安保理非常任理事国選挙担当大使)
橋本 孝之
社外取締役
日本アイ・ビー・エム(株)会長
明関 美良
社外取締役
マルトモ(株)代表取締役社長
United Genetics Holding LLC 会長
生産調達本部長
ダイナパック(株)社外監査役
K AGOME SUSTAINAB ILIT Y 2014
社外取締役の選任
社外からのガバナンス強化のため、2014年6月18日開催
の第70回定時株主総会で社外取締役3名(うち2名を独立
ンス強化に加え、社外取締役3名それぞれの持つ知見を最
大限経営に活かしています。
役員として)を選任しました。従来から取り組んできたガバナ
独立役員の選任方法
当社としての独立性に関する基準または方針はないものの、選任にあたっては、
東京証券取引所の独立役員の独立性に関する判断基準等を参考にしております。その内容は以下の通りです。
ア.当社または当社の関係会社の業務執行者でないこと
イ.当社を主要な取引先とする者または業務執行者でないこと
ウ.当社の主要な取引先またはその業務執行者でないこと
エ.当社から役員報酬以外に多額の金銭その他の財産を得てい
るコンサルタント、会計専門家、法律専門家でないこと
オ.当社の主要株主でないこと
カ.当社または当社の関係会社の会計参与でないこと
監査役監査および内部監査の状況
カゴメは、2006年4月の取締役会において、
「内部統制に
関する基本方針」を決議し、
「業務の有効性・効率性」
「財務
報告の信頼性」
「法令等の遵守」
「資産の保全」の達成に向け
継続的に取り組んでいます。
当社の監査役会は、監査役4名で構成されます。取締役の
な情報交換や意見交換を行うなど、緊密な相互連携をとって
おります。
当社の内部監査は、内部監査室3名で組織され、各事業所
の業務活動が、法令、諸規程および経営方針・計画に準拠し、
適正かつ効率的に運営されているか否かを検討し、経営の合
職務執行について、監査役会の定める監査方針および分担に
理化・業務効率の改善向上に資することを目的としております。
従い、各監査役が監査を実施しております。また、当社が監査
監査において発見された問題点については、都度情報交換・
契約を締結している名古屋監査法人から年間会計監査計画
意見交換を行い、必要な対策または改善措置を立案・実行し
の提出・会計監査実施結果の報告を受けるほか、適宜、会計
ております。また、内部監査室による監査に監査役が立ち会う
監査人による監査に立ち会うとともに、会計監査人と定期的
など、監査機能の精度向上や連携を図っております。
役員報酬
当社の役員報酬等は、基本報酬および業績に連動した役員
経常利益率と役員個人の貢献度を基にして決定しております。
賞与、ストックオプションにより構成されており、役位別に基本報
なお、当社は、役員報酬などの決定の透明性および客観性
酬と役員賞与、ストックオプションの構成割合を定めています。
を高めるために取締役会の諮問機関として報酬委員会を設
基本報酬は、株主総会で決議された総額の範囲内におい
置しています。また、監査役報酬については、株主総会にて決
て、使用人の最高位の年収を基礎とし、その職位ごとに役割の
議された総額の範囲内において、監査役会の協議により決定
大きさに応じて決定する固定報酬としております。
しています。
役員賞与およびストックオプションは、全社業績としての連結
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社外取締役メッセージ
カゴメに愛着をもちつつ、厳しい目で見ていきたい
個人や組織が自由で競争的な経済活動(投資)を行うことで発展する現代社会において、経済
のエンジンたる企業は、利益を社会に還元する「良き企業市民」でなければなりません。そして、そ
うした資質を備えることが「ガバナンス」です。しかし、組織は時に、過去のしがらみに縛られ、身内
でかばい合い、結果として社会的公正を欠くことになりがちです。だからこそ、会社から一定の距
離をおいて監視し、適切にアドバイスすることを任務とする人が必要であり、これが社外取締役の
役割であると考えます。
カゴメのことを知り、愛着をもちつつ、厳しい目で見て、耳の痛いことであっても率直に意見して
いくことが、社外取締役としての私の役目だと認識し努めてまいります。
選任目的
カゴメグループはトマトに関する商品やサービスを、垂直統合型のビジネスモデルで世界に提
供することを目指しています。同氏の中央省庁での豊富な海外経験や経済への知見を活かして、
当社の海外事業の拡大やダイバーシティに貢献いただきます。
近藤 誠一
近藤文化・外交研究所代表
外務省参与
(国連安保理非常任理事国選挙担当大使)
経営の可視化を推し進め、妥協なき姿勢で臨みたい
「開かれた企業」という企業理念の下、社外取締役の導入1年目から、取締役会を中心に活発
な議論が行われています。昨今の経済、政治、地球環境の変化に伴う自然災害など、変転極まり
ない経営環境下において、ステークホルダーの期待に応え成長し続けるためには、軸足をしっか
りと据え、その存在意義を常に認識し、変えないものと変えるべきものを明確化し、スピード感を
もって変革することが要求されます。そのための的確な判断を促すために、―層の経営の可視化
を推進し、社外取締役として妥協なき姿勢で議論を尽くしてまいります。また、多様性を取り入れ
さらなる価値を創造できる、インクルーシブな風土の醸成にも注力してまいります。
選任目的
グローバルにビジネスを展開するIBMは、ダイバーシティについても先進的で、一貫した考え
を有しています。こうした企業をリードしてきた同氏の知見を活かして、変化に強い組織作り、
多様性を持った人材の最適配分を可能にする新たなグローバル人事制度の設計・導入に寄与い
ただきます。
橋本 孝之
日本アイ・ビー・エム株式会社
会長
女性、母親、若年者の視点でもサポートしていきたい
カゴメの取締役の皆さんは、会社とトマトをこよなく愛し、メンバー同士もとても仲が良く、良い
雰囲気であることから、イメージ通りの「良い会社」という印象を受けました。
トマトや農産の専門
知識のない社外取締役でも、偏らない判断ができるように、現地視察や勉強会などの機会を積極
的に設けていただいています。これからのカゴメは、
「おいしさ」に「感動」を加えた価値を、生産
者、取引先、消費者と一緒になって生み出していくことで、社会で必要とされる企業であり続け、
それが企業価値の一層の向上につながると考えます。ライフスタイルが変化する中で、その一助
となるよう、経営者としてはもちろん、女性、母親、若年者の視点でも取締役会の意思決定をサ
ポートしていきます。
選任目的
マルトモ株式会社は、かつお削りぶしをはじめとする、水産天然資源を利用した商品開発に取り
組んでいます。企業経営の一線を担いながら、育児を両立させてきた同氏の知見を活かして、世界
中の顧客に対して新しい価値提案を目指す当社の経営に貢献いただきます。
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明関 美良
マルトモ株式会社
代表取締役社長
K AGOME SUSTAINAB ILIT Y 2014
リスクマネジメント
リスク管理体制
総合リスク対策会議
カゴメは、リスク管理の統括機関として、総合リスク対策会
議です。また、
「コンプライアンス委員会」
「情報セキュリティ委
議を設置しています。総合リスク対策会議は取締役、一部の執
員会」
「品質保証委員会」
「研究倫理審査委員会」
「投資委員
行役員、監査役をメンバーとして、リスク対応方針や重要リス
会」の5つの委員会を設置し、リスク管理体制の充実を図って
ク対応課題について検討し、迅速な意思決定を図るための会
います。
主要なリスクと対策
リスク
認識と対策
当社グループは、原材料および一部の商品を、複数の国から調達しています。これらの調達にあたっては安定
的な調達を行うため、さまざまな対策を実施していますが、世界的な食料需給構造変化に伴う、安定的な価格
原材料、商品の
調達に関するリスク
や調達量確保に対するリスクおよび調達先の国における下記のリスクが内在しています。
●
予期しない法律または規制の変更
●
政治、経済の混乱
●
テロ、戦争等による社会的混乱
これらの要因は、当社グループにおける調達価格の上昇や供給不足の原因となるリスクをはらんでおり、業績と
財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、商品の品質、安全性を経営の最重要課題のひとつだと考えており、そのためにさまざまな活
動を行っています。具体的にはトップ参加の品質保証委員会を毎月開催し、商品クレーム、事故の発生防止活
安全性に
関するリスク
動、商品表示の適正化に取り組んでいます。また、いわゆる「フードディフェンス」の考え方を取り入れ、意図的
な異物混入を防御するとともに異常がないことを証明できる体制づくりを行っていますが、異物混入などの被害
によりブランドイメージを損ね、回収費用や訴訟・損害賠償などにより業績と財政状況に悪影響を及ぼす可能性
があります。また、商品の品質や安全性を確保するためのトレーサビリティの強化などは、そのシステム構築に
多大な費用がかかる可能性があり、これらも業績と財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、販売促進キャンペーン、通信販売などにより多数のお客さまの個人情報を保持しています。
当社グループは、これらの重要な情報の紛失、誤用、改ざんなどを防止するため、システムを含め情報管理に対
情報システムに
して適切なセキュリティ対策を実施しています。しかしながら、停電、災害、ソフトウエアや機器の欠陥、コン
関するリスク
ピューターウイルスの感染、不正アクセスなど予測の範囲を超える出来事により、情報システムの崩壊、停止ま
たは一時的な混乱、顧客情報を含めた内部情報の消失、漏えい、改ざんなどのリスクがあります。このような事
態が発生した場合、営業活動に支障をきたし、業績と財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、生産ラインの中断による潜在的なリスクを回避するため、必要だと考えられる定期的な災
天災リスク
害防止検査と、設備点検、さらにサプライチェーンの複線化などの災害対策を行っています。
しかしながら、天災
などによる生産施設における災害を完全に防止できる保証はありません。こうした影響は、売上高の低下、コス
トの増加を招く可能性があり、業績と財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
CSRマネジメント
ISO26000の活用
カゴメでは、社会的責任に関する国際規格であるISO26000
を活用し、CSRマネジメントを推進しています。2013年度は「組
者課題」
「コミュニティへの参画及びコミュニティの発展」の7つ
のテーマについて取り組みの現状を分析しました。
織統治」
「人権」
「労働慣行」
「環境」
「公正な事業慣行」
「消費
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