金融工学から人生を起動する 刈屋武昭 京都大学経済研究所客員教授 明治大学ビジネススクール www.kier.kyoto-u.ac.jp [email protected] 2006.7.10 刈屋 1 アジェンダ z z z z z 社会の進化に強い人生のプラットフォームを作 る 金融工学とは何か 金融工学から人生を起動して出口は 堺屋・刈屋・植草『あるべき金融』東洋経済新報社 自分を支配するものの考え方の改革 2006.7.10 刈屋 2 さらに進化する経済・経営環境 進化は過去を陳腐化する (過剰)資本、IT・技術、自由市場と、成熟社会の「個」の概 念を中心とした人間の価値観・実存感・幸せへの希求との相 互作用 高度の資本蓄積:量が資本主義の質を変える。 付加価値性の高い商品への進化:資本が知を需要 IT・技術が変える世界のビジネス構造 企業こそ基本的な社会的価値創造機構:知を結合する手段 企業:競争によるニーズ発見機能、イノベーション機能、資 本蓄積機能、将来世代への価値プラットフォーム、不確実性への 戦略的組織化 2006.7.10 刈屋 3 知識とリスクの経営思考法 広義の知識こそ価値創造の本源的要素 企業概念の進化:企業の境界の流動化、専門的人的資本の 組織化の戦略化、アライアンス、知識の連携 技術と資金と知識と人間の相互作用によるダイナミズム、加 速化・多様化・複合化 リスクは、複合化・巨大化・グローバル化 価値観・嗜好の進化の理解:商品性への戦略 進化との共生・先取り:プロアクティブな、不確実性への戦略 的コミットメント ERM経営 革新とは自己の過去を否定すること:概念、組織、文化、ビジネ スモデルなどを固定するリスク 制度で思考するな、機能で思考せよ 2006.7.10 刈屋 4 豊かになること:完全燃焼 ライフサイクル のリスクマネジメント したいこと、なりたいこと、ほしいもの 大学、就職、結婚、子供の教育、住宅ローン、転職、生涯学習、 退職、老後;親の介護問題 リスク:人生の目的に対して変動性を与えるもの、不確実性 生活:病気、事故、不動産の価格変動、所得減少、失業、倒産、 老後 資産:不動産の価格、インフレ、株価・金利・為替の変動 自己の競争力の陳腐化リスク プロアクティブな対応: 進化を見据えて、価値とリス クの関係を理解する能力:絶えざる学習 生活設計のための自己投資(知識貯蓄)を意識する 機会とリスク関係のリスクマネジメント能力(運力) 2006.7.10 刈屋 5 リアルオプション 不確実性への戦略 マネジメントテクノロジーの発展 企業経営の意思決定問題に内包する不確実性に対して、経営者に与えられ ている選択肢 1)不動産開発 【テナント、価格、景気などの不確実性】 2)研究開発投資 【知識技術に関する不確実性】: オプションをえるための 投資 3)IT関連事業 【競争相手の行動の不確実性】 (ゲーム論的不確実性) 4)石油・ガス開発 【価格、埋蔵量の不確実性】 5) M&A, 提携 6)コンピューターシステムの導入【内部組織】 実物投資の非可逆性を避け、柔軟性を確保 不確実性のもとでの意思決定に戦略性を与えて、リスク‐リターンの関係を理 解・戦略の構築 待機タイミングオプション、継続・撤退オプション、拡大・縮小オプション 操業(一時中止)オプション、成長オプション(複合オプションによる成長戦略)、 提携・合併オプション 2006.7.10 刈屋 6 不確実性・リスクの識別 株価下落イベント:MMCリサーチ93−98、1ヶ月以内に25%の株価下 落を伴った100企業 その58%が戦略的リスクに起因 (M&A,欠陥) 戦略的リスク:市場、競争、需要、規制、グローバル化、技術、戦略 的人材、株主、危機管理、M&A、ビジネスモデル、ソブリン、事業ポート フォリオ、プロダクトサイクル、組織構造、経営力、企業文化 長期的にCF に影響 操業的リスク:コスト効率性、不祥事(経営、従業員)、人材、営業、生 産、経営、サプライチェーン、顧客満足度、契約関係、知識マネジメント、 プロダクトサイクル、人材開発、製造物責任、情報伝達・コミュニケーション、 投資評価、 財務的リスク:資金調達、会計報告、金利変動 危機リスク:事故、テロ、地震、危機管理 BCM 絶えざるイノベーション経営=プロアクティブ ERM‐IA経営 :収益から分離可能リスク、分離不能リスクの識別 2006.7.10 刈屋 7 人生の起動の仕方 z z z z 不確実性と人生 人生の選択と非可逆性を意識する オプション性の高い、知的ハードルの高い、しか し陳腐化リスクの影響が小さい領域からの出発 金融工学の世界は人生に多様なオプションを与 える 2006.7.10 刈屋 8 金融の機能的視点 金融環境は絶えず進化している 1) 高度に蓄積された資本がその有効利用(収益性)を求めて 世界を動く 2) グローバル化: ITとFTを備えた資本は世界の国・市場を結 び、国家や国の概念を相対化していく 3) 世界の資本市場は、PCのスクリーン結ばれ経営されている 3) 規制緩和とBIS規制は金融・銀行の競争の激化と資本のリ スクに対する有効利用を進化させている 4) 金融の機能的パラダイムが進む More Competition & More Efficiency 2006.7.10 刈屋 9 何が金融を作るのか ? •機能的アプローチvs業態的(制度的)アプローチ •機能的アプローチでは、金融を作るのは金融機関で なく、金融資産、金融商品であるとみる。それらは3つ の基本属性をもつ: リターン、リスク、時間. •金融資産・商品の背後にあるリスクは、重要な属性で、 商品の違いを作る. •リターンとリスクと、時間に関して、人々は資産・商品 ポートフォリオの最適化をすることを望む •そこで利用されるのが、金融技術、金融工学である 2006.7.10 刈屋 10 価値創造ダイナミズムの活性化 投資信託等 損保 金融とは何かを 理解する 家計 銀行預金 最終的リスク・テイカー 間接資本市場 (銀行) 直接資本市場 企業 (証券発行・流通) 価値創造リスク・リターン 株式・社債・投資信託・国債 生保 国が大きなお金を持つことはリスク 郵便貯金 政府 2006.7.10 公的年金 刈屋 11 金融工学のパラダイム(思考法) 金融工学 (FE)はリスクの科学で、資本の有効 利用の視点から金融の機能的有効性・効率 性についての概念・思考法、知識・技術を創 造する. 1) リスクリターンの関係から最も有効な資本の利用法 2) 世界の中でリスクに照らして資本の有効配分 し、企 業の価値創造機能や家計の安定性を高める 3) 機能的金融思考法と数学的・統計的モデリングやシ ミュレーション技術などを基礎とした金融技術は金 融の機能的効率性を高める. 2006.7.10 刈屋 12 金融工学は学際的科学 z z z z z 金融工学はリスクと価値の科学: 学際的領域:経済 学、会計学、工学、数学、法学、経営学、情報学など フォワードルッキングな分析によるリスク・リターンの 思考法を育成:ポートフォリオ理論と無裁定理論:ノー フリーランチの哲学 金融工学的視点は社会を変える 金融の機能的視点:金融を作るのは金融商品(資金 とリスクの最適ポジション) 事業リスク経営への発展−ERM :エンタープライズ リスクマネジメント 刈屋『金融工学とは何か-リスクから考える』岩波新書 2006.7.10 刈屋 13 いろいろな領域・いろいろな職業 z 金融商品設計・(リスク)プライシング(派生商品、社債、 株式、証券化商品、国債等) 地震リスクの証券化、天候デリバティ ブ、不動産投資信託、不動産価値評価 z z z z リスク管理(信用リスク、市場リスク、事業リスク、保険 リスク) ALM, 統合リスク管理 投資分析(ポートフォリオ最適化、年金・生保資産運 用、投資信託等) ファンドオブファンズ リスク・金融市場設計 電力取引 リアルオプション(経営戦略論) 石油、不動産、薬品などの研究 開発 z 事業リスク経営学 ERM z 無形資産価値評価:M&A,ブランド、知財 CERM・ROIAM 価値創造の経営プロセス z 2006.7.10 刈屋 14 金融工学の発展:投資・デリバティ ブ理論からリスクの科学へ z z z z z z 金融の機能的視点の合理性 金融商品の特性「リターン、リスク、時間」に関し て、個人(家計)、企業、政府の最適ポジションを可 能にする 供給者主体から需要者主体へ 非完備制度の完備化 金融競争力の基礎的思考法 ポートフォリオ理論と無裁定価格理論(経済学均 衡概念からの進化) 2006.7.10 刈屋 15 価値創造とリスクの科学としての 金融工学への発展 z z z z z 投資技術はきわめて検証可能的(工学的) vs派生商品技術はいまだ規範的:リスクテイキングでは データとの融合可能な発展のニーズ 個別的リスクマネジメントと集合的リスクマネジメントの 統合的利用:「リスクプール主体」では無裁定価格理論 とポートフォリオ理論の有効活用 リスクのバリュエーションへの発展:プロジェクト価値、企 業価値、不動産価値、天候など 事業リスクマネジメントの更なる発展の可能性 2006.7.10 刈屋 16 金融業の複合化・流動化 z z z z z z 金融製造業(リスク分解・組成・評価)と小売業(フィービ ジネス)の分業化: 家計対象の銀行窓口(小売業)は金融商品コンビニ 化:決済機能を持つ銀行の優位性(保険、証券、投資 信託、ローン)、コングロマリット化へ 家計のリスク・リターンの最適化とリスクテイキング機 能を充実、家計のリスクマネジメント、ライフサイクルと 年金(銀行窓口コンサルティング) 各種業態と金融業の合流:商業と金融業、自動車業と 金融、リース業と金融、商社と金融、クレジットと金融 企業買収・再生リスク、事業ポートフォリオの再構築支 援 証券化、プロジェクトファイナンス 2006.7.10 刈屋 17 金融工学のさらなる発展の背景 資本の高度蓄積とグローバル化とIT z z z z z z 資本の合理的利用への理解の進展 合理的利用を可能にする技術へのニーズ 企業のガバナンスと情報開示 事業リスクマネジメントへの技術へのニーズ 資本は自ら収益性を求めて「知識」資本を需要 するーリスクへの視点の明確化 「知識とリスク」の時代:価値創造の源泉と価値 毀損の可能性 2006.7.10 刈屋 18 金融リスクマネジメントの進化は事 業リスクマネジメントへ 金融の自由化 リスクの拡大と 多様化 経営効率性に 対する意識向上 ・ ROE, EVA ・ RAROC ・ 金融のグローバル化 ・ 商品の高度化、複雑化 時価会計の導入 金融業界 規制監督面から の要請 ・ バーゼル委員会、BIS規制 ・ 金融庁、日銀 コンピュータ・通信 技術の発展 ・ 含み損益の概念の変化 ・ 配当可能原資への影響 ・ 格付への影響 統合リスクマネジメント 2006.7.10 刈屋 19 ERM:企業全体のリスク経営へのパラダイムシフト 価値創造への総合的理解をもたらす経営思考法 価値とリスクは表裏一体 リスクと機会の整合的理解 プロアクティブ(vsリアクティブ) ノーリスク、ノーマネジメント 企業価値:将来の (不確実な)キャッシュフ A ローの現在価値 (DCF)の確率分布。 確率分布による思 考法の採用:ROと 不確実性の関係 ROによるDCF確率分布の 形状の戦略的変化 リスク・リターン B 横軸:将来の利益キャッシュフローの現在価値 M 20 2006.7.10 刈屋 日経225社「有価証券報告書におけるリスク情報開示 状況分析レポート2005」インターリスク総研 z z z トップ20リスク:為替変動、製品市況、規制・法制改正、景 気変動、原材料市況、金利変動、事業戦略の失敗、暴 動・テロ、地震・津波、資産運用、株価、戦争、カントリー、 研究開発、製品事故、税制、信用リスク、他社・自社知 財侵害 自然現象に起因するリスクの中では自然災害が大半:地 震・津波(17%)、洪水・内水氾濫(11)、台風(11)、落雷 (5)、雪害(5)、豪雨(6)、天候不順(9) 異常気象:キャット(収益変動)vsノンキャット(資産価値 毀損) 2006.7.10 刈屋 21 財務諸表からみるリスク(ガス会社) −貸借対照表− 環境問題 自然災害 株価変動 信用リスク 為替レート変動 燃料価格変動 貸借対照表 固定資産 有形固定資産 製造設備 供給設備 業務設備 その他の設備 建設仮勘定 固定負債 社債 転換社債 長期借入金 退職給与引当金 流動資産 現金・預金 売掛金 たな卸資産 その他の流動資産 流動負債 1年以内の固定負債 買掛金 短期借入金 未払金 負債合計 少数株主持ち分 資本金 資本準備金 連結剰余金 資産合計 資本合計 投資等 2006.7.10 刈屋 格付変動 金利変動 流動性リスク 流動性リスク 株主対策 M&A.TOBリスク 22 東京ガスの2005リスクプロファイル z z z 1)製造・供給支障事故 2)自然災害 3)原料調達支障 4)市場 5)天候の変動:収益変動(ノンキャット) vs 資産価値(キャット) z z z z 6)規制緩和(競合激化、既存需要の減少、 制度変更) 7)新規事業への進出 8)情報漏洩 9)基幹システムの停止・誤作動 10)環境、コンプライアンス 11)CS/お客様対応 2006.7.10 刈屋 23 リスク分析:定量分析(収益分布EaR、損失分布):概念 分離可能リスク(出典:Eddie McLaughlin(Marsh)) リスクの優先付け 重要リスクの選択 個別リスクモデリング 株主価値 へのリンク 統合リスクモデリング Distribution for Risk A1 FORMULA / output expected/H46 X <=1691.56 5% 1.8 X <=9531.54 95% 1.6 Mean = 5259.036 Values in 10^ -4 1.4 1.2 1 0.8 0.6 0.4 0.2 0 0 5 10 15 20 Values in Thousands Distribution for Risk A1 FORMULA / output expected/H46 X <=1691.56 5% 1.8 X <=9531.54 95% 1.6 Mean = 5259.036 Values in 10^ -4 1.4 22 21 22 21 54 41 57 60 15 53 37 23 28 43 44 40 24 61 30 32 39 X <=9531.54 95% 1.6 7 11 6 16 29 17 13 36 5 4 31 14 41 54 57 15 43 2 9 35 48 58 8 20 10 47 5933 56 34 19 45 62 52 51 42 27 49 18 26 55 12 28 29 6 17 7 11 # バリュードライバー 重要指標 Mean = 5259.036 1.4 0 0 5 10 15 20 Values in Thousands Distribution for Risk A1 FORMULA / output expected/H46 X <=1691.56 5% 1.8 X <=9531.54 95% 1.6 16 1.2 1 0.8 0.6 0.4 Mean = 5259.036 1.4 Values in 10^ -4 4 14 0.6 0.2 1 3 Values in 10^ -4 2 9 35 48 58 8 20 10 5933 56 47 34 19 45 62 52 51 42 27 49 18 26 55 12 63 50 X <=1691.56 5% 1.8 0.8 1 3 38 1 0.4 46 46 25 Distribution for Risk A1 FORMULA / output expected/H46 1.2 0.2 1.2 1 0 0.8 0 0.6 5 10 15 20 Values in Thousands 0.4 0.2 0 0 5 10 15 20 Values in Thousands ●情報リスク Distribution for Risk A1 FORMULA / output expected/H46 不良債権 ● X <=1691.56 5% 1.8 X <=9531.54 95% 1.6 Mean = 5259.036 1.4 発生 確率 ●交通事故 Values in 10^ -4 ●取引先倒産 ●PL 0.6 0.2 0 0 5 10 15 20 Values in Thousands ●大規模火災 ●セクハラ 1 0.8 0.4 ●ストライキ ●労働災害 1.2 ● ●水害 不 買 ●環境汚染 ●不正行為 運 ●地震 動 ●契約不履行 ●戦争・紛争 2006.7.10 影響の大きさ 刈屋 24 デュポン社 EaR分析 全エクスポージャー($11,400) リスクファクターによるアーニングアトリスク寄与度 100%=$25百万EAR A.金利($5,500) D D A.ケミカル価格(46%) B.金利(12%) C.通貨(26%) D.エネルギー価格(16%) B.商品($1,500) C.通貨:純貨幣資産($1,550) A C A D.通貨:FCST純エクスポー ジャー($2,850) C B B リスクカテゴリーによる全EAR SBUによるアーニングアトリスク寄与度 100%=$25百万EAR A D C C B A..ビジネスユニット1(23%) B.ビジネスユニット2(30%) C.ビジネスユニット3(20%) D.ビジネスユニット4(27%) 2006.7.10 B 刈屋 A A.外国為替(51%) B.商品(32%) C.通貨(17%) 25 商品外購 人材 買 ウォルマートの ERMプロセス 商品外購買 商品購買 プロアクティブな経営 戦略計画 含ボード、CEO ロジスティックス 営業 情報システム ウォーカー・シェンカー・バートン『戦略的事業リスク経営』東洋経済新報社 ビジネス ビジョン マーケット シェア 個人の尊重 顧客への サービス 洗練の あくなき追求 ビジネス 目標 リスク フレームワー ク 統制活動の モニター リスク リスク ワークショップ 評価 ユニバース マネジメント の確定 ワークショップ 経営拡大機 会 リスクの分類 分 散 基本フレーム ワーク データ整理 ディスカッショ ン 参 照 データの共有 追加的リスク スケジュール ワーク ショップ リスクの 優先度付け 顧客サービス 保持力 開拓 利害関係者 の調査 部門横断 リスクの評価 既存の コントロール 不足 アクション プラン 活動と 時間表 進捗のモニタ ギャップの 処理 結果の レポート 責任体制 リーダー シップ 2006.7.10 刈屋 26 地震債券の構造 地震リスクの証券化 東京海 上火災 再保険プレミア ム キャッシュ市 場 条件付支払い 元本、利子 利益 再保険プレミアム Swiss Re US Parametric Re 条件付支払い リターン 現金 投資家 投資 Swiss Re Financial Products 2006.7.10 刈屋 27 巴川製紙所:主力製品:IC部材、液晶用フィルム、トナー、特殊紙など 16/3期売上高430億円(連結) 2006.7.10 刈屋 28 2006.7.10 刈屋 29 天候リスク:デリバティブとリスクマネジ メント z z z z z ヤマダ電機のエアコン販売:気温保証キャッシュ バック 神社・寺院の正月の雨ヘッジ 電力取引と天候(気温) セブンイレブン:仮説検証ぷろせす 電力会社とガス会社のリスクスワップ 2006.7.10 刈屋 30 東京電力と東京ガスの ゼロコストリスクスワップ z 等価なリスクを算定 冷夏リスク回避商品の購入 当社と東京ガスの事業収益構造比較 収支 東京電力の気温感応度 事業収益 東京ガスの気温感応度 購入費用 受け取り 冷夏 平均気温 猛暑 基準温度 逆方向の リスク 同方向の リスク 冷夏・猛暑リスクの交換 受け取り 0.0 5.0 春・秋 10.0 日平均気温 15.0 20.0 夏 25.0 30.0 収支 冬 等価リスクの交換 支払い 35.0 冷夏 2006.7.10 刈屋 平均気温 猛暑 31 東京と大阪の夏の気温の相関は0.8813 東京電力と大阪ガスのリスクスワップ 刈屋編著「天候リス経営」朝倉書店(05) 1000 900 800 700 600 500 400 300 200 100 0 大阪 23 23.3 23.6 23.9 24.2 24.5 24.8 25.1 25.4 25.7 26 26.3 26.6 26.9 27.2 27.5 27.8 東京 2006.7.10 刈屋 32 住宅金融公庫RMBS 貸付債権担保住宅金融公庫債 発行者: 住宅金融公庫 担保: 投資家を受益者としたローンプールの信託設定 特徴: 。信用リスクの遮断 。月次パススルー 長期固定金利融資 債務者 元利金返済 銀行 債券売却 買取代金 MBS発行 住宅 金融 公庫 発行代金 投資家 元利金 元利金 債権信託 MBS担保 信託銀行 2006.7.10 刈屋 33 刈屋・加藤・内山・諏訪部(2003) 商業用店舗不動産の経営 z z z z 商業用不動産の価値評価 最適賃料契約・テナント入替ルールの導出 新借家法の政策評価 テナント・マネジメントによって創出される、商業用店舗 不動産の価値を分析 1. 2. 売上高にリンクした変動賃料 不動産価値向上のための積極的なテナント入替 2006.7.10 刈屋 34 z 賃料に占める変動賃料の割合αを変化させた場合の 分布形状の変化 α 0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 平均 317.0 329.7 342.5 355.2 368.0 380.8 393.5 406.3 419.1 431.8 444.6 標準偏差 下方偏差 49.04 59.72 89.43 125.29 163.30 202.25 241.69 281.41 321.31 361.32 401.42 31.74 28.00 29.78 33.79 39.22 45.64 52.78 60.41 68.40 76.63 85.04 最小値 下位5%点 下位10%点 173.1 245.4 176.1 251.1 168.2 246.5 160.4 237.9 148.5 226.5 131.8 212.8 115.2 197.5 98.5 181.0 81.8 163.3 2006.7.10 65.1 145.1 41.3 126.2 258.4 264.5 260.7 252.8 242.2 229.7 215.8 201.0 185.3 刈屋 169.4 153.2 中央値 312.3 322.0 325.3 326.4 326.8 327.0 327.8 328.6 329.6 331.2 332.7 上位10%点 上位5%点 381.1 402.1 437.1 482.0 530.4 580.8 631.4 683.5 735.2 787.5 839.9 404.5 432.4 490.6 563.8 641.1 720.4 799.3 879.1 958.7 1038.9 1119.3 最大値 680.3 1903.5 3545.7 5187.9 6830.2 8472.4 10114.6 11756.8 13399.1 15041.3 16683.5 35 六本木ヒルズストラクチャー テナント (オフィス・住宅・店 舗・ ホテルなど) 六本木六丁目地区 市街地再開発組合 参加組合員負担金 保留床取得 賃料等 転貸借 不動産信託 信託受益権 賃貸・管理委託 森ビル 建設資金貸付 六本木ヒルズ・ リースサポート (回収代行SPC) 信託受益権譲渡 三菱信託銀行 (受託者) 信託配当 六本木ヒルズ・フィナンシャルコープ(SPC) 建設資金貸付 民間建設ローン 金融機関 建設資金貸付 (完工後ノンリコース) 日本政策投資銀行 2006.7.10 刈屋 ノンリコースローン (コミットメント) 民間パーマネントローン シンジケート 36 いろいろな領域・いろいろな職業 z 金融商品設計・(リスク)プライシング(派生商品、社債、 株式、証券化商品、国債等) 地震リスクの証券化、天候デリバティ ブ、不動産投資信託、不動産価値評価 z z z z リスク管理(信用リスク、市場リスク、事業リスク、保険 リスク) ALM, 統合リスク管理 投資分析(ポートフォリオ最適化、年金・生保資産運 用、投資信託等) ファンドオブファンズ リスク・金融市場設計 電力取引 排出権取引 リアルオプション(経営戦略論) 石油、不動産、薬品などの研究 開発 z 事業リスク経営学 ERM z 無形資産価値評価:M&A,ブランド、知財 CERM・ROIAM 価値創造の経営プロセス z 2006.7.10 刈屋 37 人生力を意識する z 知力、体力、運力(リスクと機会の把握能力) z z 進化の潮流を理解する プロアクティブなマネジメント 3つのアイ(Impetus、Incentive、Intelligence) z したいこと、なりたいこと、ほしいもの 思考のOSの陳腐化を意識する z 金融工学はその実践で人生力を構築できる領域 z 2006.7.10 刈屋 38
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