北海道支部通信 - 日本山岳会北海道支部

日本山岳会
101
2014年11月15日発行 第
号
北海道支部通信
公益社団法人
日本山岳会
北海道支部
支部長
西山泰正
WEB「日本山岳会北海道支部」で検索 http://jac-hokkaido.com/
[事務局]〒 003-0026 札幌市白石区本通 1 丁目南 2-38 [事務局長]藤木俊三 E-mail: [email protected]
支 部 創 立
50 周年記念
角幡唯介さん講演会に130人
北海道支部創立 50 周年を来年に控えての “ プレ 50
化、そして、そりをひいて氷河や氷床を行く厳しい旅と、
周年記念事業 ” として 10 月 11 日午後 4 時 30 分から、 どれも興味深い内容で、聴衆はユーモアを交えた角幡
探検家・ノンフィクション作家である角幡唯介さんの講
さんの語り口に引き込まれていった。中でも人々の心を
演会が開かれ、会場のりんゆうホール(札幌市東区)は、 とらえたのは、角幡さんと旅をともにした 1 歳の犬ウヤ
三連休の初日にもかかわらず約 130 名で満員となった。 ミリック(イヌイット語で「首輪」の意味)との愛憎半
北海道芦別市出身で、「空白の 5 マイル」「アグルーカ
ばするようなふれあいの物語。反発しぶつかり合ってい
の行方」などの著書で大きな注目を集める角幡さんの
た人と犬の関係がやがて変化し、子供だった犬が旅を
話が聞けるとあって、支部会員以外の人も数多く詰めか
通して大人になっていく話に皆熱心に聴き入っていた。
けた。
講演終了後、海川会員があいさつに立ち、聴衆全員
この講演会が実現したのは、角幡さんの高校時代の
とともに角幡さんを激励。続いて 30 名が参加して懇親
恩師で、函館地区の支部会員である海川敏雄さん(右
会が行われ、親交を深めた。 (文・写真:田中健)
下写真・左側)の尽力によるもの。西山支部長による、
そのあたりの経緯も含めた紹介を受けて角幡さんが姿を
現すと、聴衆が大きな拍手で迎えた。
講演内容は、今年 1 月から 3 月のグリーンランド行
の報告が中心。ヤル・ツアンポー峡谷での死を見つめ
るような探検行の後、なぜ次の目標に極地を選んだの
か?どうして犬を一匹だけ連れて太陽の昇らない極夜の
北極圏を探検しようと思ったのか?を最初に語った。
今年のグリーンランド行は、来冬に計画している極夜
の旅の準備・偵察のために行ったもの。スライドを上映
しながらの角幡さんの講演は、グリーンランド北部の極
【目次】
◉年次晩餐会・新年交流会のご案内………P.2
◉山スキー山行のお知らせ…………………P.3
◉第 3 回・第 4 回岩登り研修報告………P.4-5
◉増毛山道トレッキング報告……………P.6-7
◉道南・お月見山行報告……………………P.8
◉支部合同会議/全国支部懇談会報告……P.9
◉幌尻山荘排泄物人力運搬 10 年…P.10-11
◉ビーコン操作講習会・雪崩講習会のお知らせ…P.12
寒の自然環境や、犬ぞりをはじめとしたイヌイットの文
編集・レイアウト:田中健
日本山岳会北海道支部通信
日本山岳会北海道支部
2014年度
年次晩餐会
今年も恒例の晩餐会を開催いたします。プレ 50 周年海外登山
の報告会なども予定しておりますので、皆様ぜひご出席ください。
【日時】
2014 年 12 月 13 日(土) 開宴 17 時 30 分
【場所】
ロイトン札幌 1 階「キャッスル」
札幌市中央区北 1 条西 11 丁目 TEL : 011-271-2711
地下鉄東西線・西 11 丁目駅 1 番出口より徒歩 3 分
【会費】
5,000 円
【申込締切】11 月 30 日(日)
【申込方法】添付の word ファイルを下記宛にご送信ください。
【申込先】E-mail:[email protected]
日本山岳会北海道支部
2015 年
新年交流会
北海道支部が創立 50 周年を迎える記念すべき年の幕開けを、
会員・会友の皆様とともに祝うべく新年交流会を開催いたします。
【日時】2015 年 1 月 14 日(水)18 時〜 21 時
【場所】ルーム白石
札幌市白石区本通 1 丁目南 2-38 秀岳荘白石店裏
【会費】3,000 円位 【申込締切】1 月 10 日(土)
【申込先】藤木俊三事務局長 TEL:090-1642-2725
E-mail:[email protected]
会員・会友の動向
○新入会員会友 重廣 恒夫 NO.74
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2014 年 11 月 15 日発行 第 101 号
2015 年 山スキー山行のお知らせ 事業担当:鈴木貞信
今冬の山スキー山行の詳細が決まりましたので、
お知らせします。
参加希望者は下記要領でお申し込みください。
なお、雪崩講習会未受講者 ( 机上講習のみの方を含む ) は、今年度支部主催の雪崩講習会の受講をお願いい
たします。また、受講済みの方も今年の受講をお勧めします。フカフカのパウダースキーを楽しみましょう!
❶ 1 月15日(木)◉ カムイスキーリンクス ネイチャーゾーン ゴンドラ利用
【集合場所・時間】スキー場センターハウス 9:00 【申込締切】1 月 8 日(木)
❷ 2 月 4 日(水)◉ 熊見無名峰(1327.9m 峰)南尾根 登り 1.5H(下り 0.5H)
【集合場所・時間】国道 274 号線・三国の沢覆道日高側 P 10:00 【申込締切】1 月 28 日(水)
❸ 2 月18日(水)◉ ニセコアンヌプリ 西斜面 登り 2.5H(下り 1.0H)
19日(木)◉ ニトヌプリ 南斜面 登り 2.5H(下り 1.5H)
【集合場所・時間】五色温泉奥道路除雪終点 P 10:00 【申込締切】2 月 11 日(水) 【宿泊】五色温泉別館 素泊まり@ 5,000 円 自炊共同食(夕食・朝食)
❹ 2 月28日(土)◉ 三段山 白銀荘コース 登り 3.0H(下り 1.0H)
3 月 1 日(日)◉ 富良野岳 ジャイアント尾根 登り 3.5H(下り 1.0H)
【集合場所・時間】白銀荘駐車場 10:00 【申込締切】2 月 21 日(土)
【宿泊】白銀荘 素泊まり@ 2,750 円 自炊共同食(夕食・朝食)
❺ 3 月 7 日(土)◉ 白井岳 北斜面 登り(ゴンドラ利用後)3.5H(下り 1.0H)
【集合場所・時間】札幌国際スキー場スキーセンター 8:30 【申込締切】2 月 28 日(土)
※実施日を当初予定の 1 月 21 日から変更しました。
【個人装備】ヘルメット(全コース)三種の神器、スキーシール、スキーアイゼン(❷〜❺)
【申込方法】締切までにメールまたは FAX 等で下記宛に、氏名・年齢・住所・携帯電話番号・車両№を連絡願います
【申込先】鈴木貞信会員 山スキー ML または E-mail:[email protected]
FAX:011-372-3687 TEL:090-5988-1839
2015 年 スノーシュー登山とアイスクライミング研修の予告 事業担当:京極紘一
今冬は、岩登り研修を発展させてアイスクライミングの研修を設けました。通称フルーツガーデン氷壁と呼ば
れる、札幌市南区豊滝付近の豊平川右岸にできる高さ 20 m位の氷壁でアイスクライミングを体験してみませ
んか?初心者大歓迎!ロープ、アイスバイル、アイスハーケン等は用意しますが、アイゼン、ハーネス、ヘルメッ
トは各自用意してください。2月上旬の氷の良い状態の日に設定いたしますのでご期待下さい。 また、冬山支部山行のスノーシュー登山は白井岳としました。 ※詳細は次号でお知らせいたします。
●スノーシュー登山・白井岳
【日時】1月21日(水)
【CL】京極紘一 【サポート】坂上信之 他1名
●アイスクライミング研修
【日時】2月上旬 【講師】京極紘一、益田敏彦、植田拓史
「ヌプリ」45 号 原稿募集
2015 年 4 月に支部報「ヌプリ」45 号を発行します。紀行文やエッセー、山の歴史や評論などの原稿
をお寄せください。下記担当者にお問い合わせの上、1 月 31 日までに原稿をお送りください。
[ヌプリ担当]京極紘一 TEL / FAX:011-723-2833 E-mail:[email protected]
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日本山岳会北海道支部通信
岩登り研修報告
第 3 回岩登り研修 9 月 9 日
文:橋本一郎 写真:京極紘一
天気予報は小樽方面が午後から雨となっているが、赤
岩は快晴で海の青が美しく、雨になるとは思えない。総
員9名を3グループに分け、Aは沼崎・佐藤・島田、B
は益田・杉浦・植田拓史、Cは京極、植田惇慈、橋本と、
各3人組で、
中リス、
カラス岩、
ダブルバンドへと分散した。
まずはトップロープによるクライミングで体を慣らす。
ルートを移動して、リードとフォロー、ラストと交代しな
がら行動。次に、分散していた 3 グループが奥リスに集
合し、ノーマルルートを登って、到達点から懸垂下降。
熱心に指導する沼崎講師(右手前)
になった。私のクライミングシューズは泥がこびりついて、
休憩後、ファイヤーマンへ移動し、順次クラックルー
トに挑戦した。大変手強く、大抵のメンバーがスパイダー
フリクションが不調だった。用具の手入れと足運びが肝
講師の指示、アシスタントの行動も明解だ。
○講師 沼崎勝洋
を聞いた。予報通りの天候になった。しかし 13 時前に
○参加者 植田惇慈、植田拓史、杉浦良文、島田靖子、
マンのようにこなすので、驚き、感心し、勉強になった。 心であると、反省した。講師陣とメンバーに感謝。
○アシスタント 京極紘一、益田敏彦
12 時頃、急激に暗雲が襲い、雨になった。遠く雷鳴
橋本一郎、佐藤竜也
終了して、帰途、集合地での反省の頃には、雨は小降り
今回参加の 12 名は4パーティーに分かれ、西壁の
第 4 回岩登り研修 10 月 7 日
複数ルートからのマルチピッチ登攀のトレーニングを
文:佐藤竜也 写真:鈴木貞信
行いました。私は今回も沼崎講師、島田靖子さんとの
パーティで、西奥壁で指導を受けました。私はまだま
晴天に恵まれた 10 月 7 日(火)、岩登り研修の最
だ経験不足・訓練不足で、とにかく必死に登ることに
終回(第 4 回)が赤岩にて行われました。今年の岩
集中するあまり、どこをどう登ったのか記憶がおぼろ
登り研修の集大成である今回は、12 名の参加。全 4
げなことがあり、実は今回も今ひとつ…。そんな状態
回で延べ 42 名の参加になったとのことです。
なので報告が短く拙いことをお許し下さい。
私は今年の 9 月に会友として入会しました。岩登
今回登った西奥壁ノーマルルートは 3 ピッチ目か
りは、9 月 1 日に沼崎講師、植田惇慈副支部長、杉
らハーケンが見当たらず、やむなく行ったトラバース
浦良文さんに初めてご指導頂き、その後、9 月 9 日
に行われた第 3 回岩登り研修会、そして今回の参加で、 は大変緊張しました。やはり「ここで落ちたらヤバい」
という感覚は、忘れていた感覚を呼び覚ましてくれる
日本山岳会としては 3 回目の参加となりました。
気がします。もちろん、とても怖いですが。
今回も赤岩の風はとびきり気持ちよく、本当に来て
良かったと感じさせてくれました。今年度の最後です
ので、今回参加の皆さんのコメントをご紹介します。
* * * ●久しぶりの西壁のマルチピッチ、とても楽しく登攀
できました。トップをやらせていただき、良い経験に
なりました。来年につなげたい(植田拓史)
●みんながケガなく楽しい岩登りを目指していけれ
ば、来年も期待できるのではないか(植田惇慈)
●今年は 2 回しか参加できませんでしが、天気に恵
秋晴れの赤岩峠にて
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2014 年 11 月 15 日発行 第 101 号
まれてよかったです。今日登った西壁のカンテルート
つか登ってみたいと思っていて、今回は念願を果たせ
●西壁は何度か登っていますが、奥のクラックルート
○講師 沼崎勝洋
楽しく登れました。先月はナメコスラブも登ることが
○参加者 植田惇慈、植田拓史、鈴木貞信、一鐡巌、
は初。新しいルートを登れてよかったです
(鈴木貞信) ました。来年は東大壁をお願いします(笑)(一鐡巌)
は初めて。
上部は若干怖いところもありましたが(笑)、 ○アシスタント 京極紘一、益田敏彦
杉浦良文、今田美知子、銭亀三佐子、
でき、充実した岩登りでした(杉浦良文)
島田靖子、佐藤竜也
●今年は 4 回参加させてもらいました。けがをして
から岩が遠のいて、なんとなく億劫になっていたとこ
ろ、チャンスをいただけました(益田敏彦)
●最終回、皆さん見事でした。ここまで充実した内容
になるとは思っていませんでした。若い人たちも育っ
てくれたし、来年は楽ができるんじゃないかと(笑)。
今日は沼崎さんが非常に良いところをリードしてくれ
た。来年はこれを生かして若い人がリーダーになって
いただきたい(京極紘一)
●今日は、お二人の力で上げてもらった感じでした。
大きな楽しみを頂いて感謝しています(今田美知子)
●心配だったお天気と私の体力(笑)、お天気には非
常に恵まれました。西壁は 5 年くらい前に登って以
来だったので、
とっても楽しかったです(銭亀三佐子)
●超怖いルートを体験しました(笑)。沼崎さんに手
取り足とりお世話になりました。以前西壁は正面ルー
トを登ったんですが、今回は初めての西奥壁のルート
で「ええっ!ここ登るの!?」って感じだったんです
けど(笑)
、色々と勉強になりました(島田靖子)
●今年は 2 回参加。以前海岸に白貝を採りにいって
た時、そこから西奥壁を登っていた若者が見えて、い
西壁側面カンテルート登攀中
支笏湖復興の森づくり作業に参加して
文:芳賀孝郎
10 月 5 日、新妻元支部長に誘われて私は初めて森
本部より電話が入り、北海道支部のメンバーが雪崩で
の仲間と共に空ゆく雲を眺めながら作業を楽しんだ。
7 年の歳月でエゾ松が大きく育った。この木々の成
遭難したとの知らせを受けたのだった。
づくり作業に参加した。秋晴れの好天に恵まれ、参加
長は、遭難事故を忘れないようにと表現しているよう
湖畔の道路から林道に入り、広大な土地の中を走る
に思った。これは支部会員が継続して毎年精魂込めて
こと 10km 余でようやく JAC 北海道支部の植林地に
育て上げた証であろう。この森づくりは単にエゾ松を
到達した。火山灰のその地にエゾ松がすこやかに生育
育て上げるだけではなく、JAC 北海道支部の歴史と
していた。私は 2001 年、東京・高尾山の JAC の森
共存しているように感じた。
づくりに参加したことがある。その山の急斜面に、滑
昨 年 の エ ゾ 松 の 平 均 の 高 さ は 80cm、 成 長 は
り落ちないよう注意しながらサクラともみじの苗木を
12.5cm であった。今回の調査で、今年のエゾ松の平
植えたことを思い出した。この支笏湖畔の雄大な土地
均高さは 96cm となり、16cm 成長したことがわかっ
は、高尾山とは比較にならない大きさだ。
た。エゾ松は来年も成長することであろう。北海道支
JAC 北海道支部がこの「復興の森づくり」活動に
部も同じように成長したいものである。
参加したのは 2007 年からだと聞いた。私は即座に
◯参加者 新妻徹、赤石喜恵子、日下部賢治、
2007 年 11 月に起きた上ホロカメットク山雪崩遭難
武田一生、土屋繁、波田初子、阿部美子、
事故が頭に浮かんだ。私はこの時、チベット鉄道に乗っ
芳賀孝郎
てチョモランマの BC へ向けて旅行中であった。JAC
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日本山岳会北海道支部通信
定例山行報告
写真:黒川伸一
いにしえに思いをはせながら古 道をたどる山 旅
増毛山道トレッキング 9 月 28 日
ノーマルコース班
文:日下部賢治
いつだったか夏季交流会で海老名名保さんから増毛
山道のことを教えられ、以後、道庁にパネル展を見に
行ったり、新聞の関連記事を興味深く読んだりしていた。
2 年前に留萌山岳会の A さんと濃昼山道を歩いたとき、
来年は増毛山道に行こうと誘ったところ、増毛山道は一
般開放されておらず、「増毛山道の会」同行による「増
毛山道体験トレッキング」に参加しないと歩けないと聞
かされた。体力的な衰えもあり、断念かと思っていたと
武好駅逓跡に往事を偲ぶ
浜益川で秋サケ釣りを見物、釣り上げるところを見るこ
ころ、支部通信 99 号に今回の「トレッキング」の案内
があり、早速ノーマルコース(10km)に申し込んだ。
とができた。駐車場には 7 時前に到着。朝食を摂って
ち雨」
。うす暗い中、朝 4 時 30 分、集合場所の岩老温
全員が集合した時点で記念撮影した後、リーダーの板
いると、続々車が集まって来る。
9 月 28 日(日)、天気予報では留萌地方は「晴れの
垣さんから本日の行動計画等が話され、8 時にバスで出
泉駐車場に向けてスタート。途中、到着が早すぎるので
発。増毛山道との交差点まで林道を 1 時間くらい走ると
のこと。車中では
「増毛山道あれこれ」
の DVD が流され、
増毛山地の山並みも見えて退屈しなかった。
下車地点の交差点からは、雄冬山は雲で隠れていて
見えない。9 時、いよいよ山道に入る。予想したより幅
が広く、地面もしっかりしていて、これだけ整備するには
大変な苦労をしたに違いない、と思って歩く。途中、林
の隙間から台形の山が見える。天狗岳だとのこと。私の
天狗のイメージとは異なる。しばらく歩くと、
「武好駅逓」
に到着。写真では見たことがあるが、かなり広い面積。
どの様にして資材を運んだのか?興味が尽きない。ここ
からは普通の山道。悪路もあり、変化に富んでいた。雨
が降り出し、カッパの世界に入り込む。
岩尾分岐(I-36 =岩尾コース 36/100 地点・少し離
れて B-66 =別刈コース 66/100 地点)でオプション班
と分かれる。あとは下るのみ。林道との交差点付近から
は雨も上がり、山ぶどう、コクワを採ったりして楽しみな
がら、標識の数が早く 100 に近づくことを願いながら、
ひたすら歩く。14 時 30 分、標識 B-100 に到着。道
すがら電信柱、水準点、石積み遺構、武好駅逓跡等の
説明をしてくださったスタッフ、そして同行してくださった
会員に、楽しく歩けたことを感謝。夕陽荘で汗を流し、
15 時 30 分、札幌への帰路についた。
コース上には番号入りの標識が設置されている
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2014 年 11 月 15 日発行 第 101 号
オプションコース班
文:片岡次雄
9 月 28 日(日)11 時 12 分、岩尾分岐(I-36)で
ノーマルコース班と分かれて雄冬山オプションコース
へ向かいます。暑寒沢林道へ出て数分下降したところ
から再 度山道へ入ります。 一 等 水 準 点 8466( 標 高
694.7632m)を通過。12 時 35 分に標高 860 m付
近の水量のある小沢の両側に分散して食事をし、13 時
に撤退することに。暑寒沢林道に出て 13 時 56 分に岩
尾分岐に戻りました。小休止して合羽を取り、14 時に
出発。数分で尾根筋を乗り越し、長い下降に入ります。
岩老温泉前で
14 時 15 分に岩尾側の林道に出たところで、これ見よが
置されていて、利用者の便宜に資する心遣いを嬉しく思
しに山ブドウが呼んでいる ? 暫し休憩し、秋の味覚を堪
いました。また、ところどころで展望が開け、天狗岳・
能しました。小沢では、石積みの橋脚遺構を数カ所確
雄冬山・暑寒別岳方面を見ることができ、心の安らぎを
認しました。古えの人たちの苦労を垣間見ることができ、 覚えました。進むにつれて、大小の樹木が山道に傾いて
感動です。16 時 25 分に 8 人全員が岩尾口 (B-100・
いて歩きにくいところもありますが、路面がしっかりして
I-1) に到着しました。
いる上に、笹が綺麗に刈り払われていて、頭上注意・足
元注意で、大した問題もなく通過することができました。
この作業を実施してくれた方々に感謝しています。浜益・
幌まで増毛山道全線の開通が待たれるところです。
私の体調が悲鳴を上げ、当初予定の標高 950m の手
前で撤退することになってしまったのを申し訳なく思って
います。
* * * ◯参加者
〈ノーマルコース班〉
SL 海老名名保、植田惇慈、日下部賢治、横川政行、
金子由美子、三戸部清文、岡田秀二、今田美知子、
岡田智子、竹内正明、鈴木幹、石原重隆(増毛山道の会)
雄冬山へ向かってオプションコースを行く
山道は 99.9% が樹林帯で、緩やかな斜度を保ち、快 〈オプションコース班〉
適に歩くことができました。この日は曇りから雨模様で
CL 板 垣 望、SL 神 埜 和 之、 黒 川 伸 一、 一 鐵 巌、
したが、天気が良いときでも直射日光を浴びることは少
ないと思います。電信柱がノーマルコースの全線にあり、
銭亀三佐子、大畑博子、藤木俊三、片岡次雄
朽ちて倒れたもの、斜めになっているもの、現役のまま
今回のトレッキングと前後して、当日参加した 2 人の
きました。
れました。
の表示や、駅逓の写真と説明文の展示もあって昔を偲ぶ
朝刊に「増毛山道 進む復元」という記事が、そして夕
と思われるものがあって、往時の文化を感じることがで
支部会員により、増毛山道が新聞とテレビでとりあげら
武好駅逓跡はよく保存されており、ロープでの間取り
トレッキングに先立つ 9 月 26 日の北海道新聞には、
ことができ、感動しました。オプションコースでは、水
刊では一面の「今日の話題」というコラムに黒川伸一会
準点 8466 の少し上方に墓石遺構があり、刻字もあり
員の署名記事が掲載されました。
ますが、意味不明でした。私にとって水準点の見聞は
トレッキング終了後の 10 月 3 日には、北海道放送
初めてだったので、今は機能を停止しているそうですが、 (HBC)の夕方の番組「今日ドキッ!」の中で、藤木俊
そのエピソードを聞いて得をした気分でした。
三会員の取材による「増毛山道で歴史体験」というタイ
山道の各所のフォトポイントにはスチール製の台が設
トルのテレビ放送がありました。
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日本山岳会北海道支部通信
道南・お月見山行報告
写真:藤木俊三
強い。頂上を少し下り巻いたところに鳥居があり、
「恵山
恵山 ◆ 10 月 25 日 文:八木橋貞美
権現堂」がある。15:00 に下山開始。登山道のすぐわ
恵山は一昨年のお月見山行のときに、強風のために
きに噴煙を上げているところが何カ所かあり、手をかざ
は、函館地区やマイカーの皆さんの出迎えを受け、定刻
つつ、15:40 に火口原駐車場着。16:00 にバスで紅葉
すと熱かった。御嶽山の噴火を思い、自然の脅威を感じ
断念した山で、今回はリベンジである。札幌からのバス
を若干オーバーして、海風の強い火口原駐車場に到着。 たけなわの恵山を後にした。
早速、西山支部長のご挨拶等の後、13:10、海川さん
を先導に出発。荒々しい火口原を見ながら、
「賽の河原」
と呼ばれる火山噴出物が流失してできた不思議な空間を
歩く。恵山は古くから霊場として信仰の場となってきたと
ころという。10 分も歩くと権現登山口で、石灰を撒いた
ような白い階段を上ると、奇岩の合間に高山植物の群れ
が見られる。登山道はよく整備されていた。
「山頂まで 1640 米」の標識に達すると、再び噴煙が
見え、強い硫黄臭に襲われた。口元を覆いながら進むと、
登山道左手から津軽海峡が目に飛び込んできた。海は穏
やかに見えるが風は強い。ほどなく 13:20、山頂に着く。
金色に輝く津軽海峡をバックに記念撮影。とにかく風が
強風の恵山山頂で記念撮影
しながら全員クリア。函館の海川さんが「この一枚岩を
蝦夷松山・雁皮山 ◆ 10 月 26 日 文:新井田幸子
全員クリアできれば今日の登山は成功です」と話されて
朝 7 時 30 分、まずまずの天候のなか、蝦夷松山・
いたのが印象的でした。
日の先達は野納さんです。枯葉のじゅうたんのなかを、
「土
かな景色が心をなごませます。風が強く吹きつけるよう
傾斜の緩やかな道から、登りが少しずつきつくなる岩
錐型で、蝦夷松山からは恰好よく見えます。ところどころ
9 時 30 分、蝦夷松山に全員登頂。函館地区の柔ら
雁皮山に向けて総勢 29 名で登山口を出発しました。今
になってきました。雁皮山に出発です。雁皮山頂上は円
はやわらかいな」などと話しながら登ります。
場地帯に入り、蝦夷松山の頂上直下へ。おっと出ました、 岩場になった痩せた尾根を慎重に進みます。根曲平を越
え、ちょっときつい登りを頑張り、10 時 40 分、リタイ
垂直な一枚岩の登り。脚やからだを引き上げるのに苦労
ア組を除く 24 名が雁皮山に登頂。ほとんどの方が初め
ての頂上で、みなさんうれしそうです。健闘をたたえあ
いながらお昼ごはん。
11 時 10 分に下山開始。ぬれ落ち葉に脚をとられ、
足の置き場に気を配りながら、慎重に下山です。岩場も
なんとかこなし、蝦夷松山の手前で登りとは別ルート「花
の道」に入ります。途中から再び、登ってきた道と合流し、
緩やかな道になります。
乾いた枯葉がたくさん落ちていて、
「ガサガサという音がいいね」と話しながら無事13時
30 分、全員登山口に到着です。天候もまずまずで、み
なさん仲良く楽しい山行でした。
蝦夷松山への登山道で
◯参加者 石田栄子、今田美知子、稲垣正策、植田惇慈、植田拓史、海川敏雄、大崎勝子、大畑博子、片岡次雄、
神埜和之、日下部賢治、佐生冠治、助田梨枝子、鈴木貞信、鈴木幹、竹内正明、田島祥光、土屋繁、新井田幸子、
西山泰正、増子麗子、三戸部清文、芳賀孝郎、芳賀淳子、藤木俊三、野納邦昭、八木沼陽子、八木橋貞美、横川政行
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2014 年 11 月 15 日発行 第 101 号
平成 26 年度 支部合同会議、東京で開催
文:藤木俊三
9 月 20 日(土)、21 日(日)の 2 日間、東京・四谷で、 ちなみに北海道支部の平均年齢は 69 歳となっています。
2 日目には、会員獲得の取り組みや会友制度などにつ
日本山岳会の平成 26 年度支部合同会議が開かれまし
た。この会議は、これまで別々に開催していた本部主催
いて各支部が報告。どの支部も会員の獲得、特に若い
と今後の課題などを話し合うもの。当支部からは西山支
公募の登山教室やイベントなどの参加者に声かけるなど
会員の獲得には苦慮しているようでした。多くの支部は、
の支部長会議と事務局長会議を一本化して、会の現状
して勧誘しているようですが、これは、という決め手には
部長と事務局長の藤木が出席しました。全国 32 の支部
なっていないようです。日本山岳会に入ることのメリット
からほぼ 2 人ずつが出席、森会長以下本部役員や事務
局関係者を含め総勢 80 名を超える大会議となりました。 をアピールするために、スキー場や山小屋、登山用品店
の会員割引制度を作れないか検討している支部もありま
会議の大きなテーマは「会員増強」「次世代リーダー
した。若手会員の増強は当支部にとっても喫緊の課題で
の育成」です。8 月末現在の会員数は 3356 名で、平
均年齢は 68 歳。最も平均年齢が高いのは秋田、越後、 あり、地道ではありますが、あらゆるチャンネルを通して
福岡の 3 支部の 72 歳、最も低いのは東九州の 61 歳。 会員を増やしていかなければならないと思いました。
第 30 回全国支部懇談会(埼玉)に参加して
文・写真:長谷川雄助
10 月 18 日(土)、埼玉県秩父市内のナチュラルファー
ムシティ農園ホテルに全国各支部から 160 名が集まっ
て、全国支部懇談会(通称:支部懇)が開催された。
北海道支部からは長谷川雄助、一鐵巌、銭亀三佐子、
竹内正明、土屋繁、常本良一の 6 名が参加した。
支部懇とは、全国の支部の持ち回りで年一度開催さ
れ、会員であれば自由に参加できるもの。旧知の会員と
の再会を喜び、他支部会員と話を交わして新たな知己を
得て全国に友人の輪を広げ、会員同士の絆を強めるとい
う日本山岳会ならではの重要な行事である。
北海道ゆかりの山友も含め 24 名が壇上に
北海道支部は全員が、襟に「北海道支部」と染め抜
崎などから11 名の北海道支部会員会友が参加しており、
目を集め、自然と人の輪ができて「先日、北海道の山を
纏の周りに人が集まり、楽しげな交流が行われた。
久方ぶりの再会に話が弾む。また、北海道名入りの半
いた半纏を着用して会場入りし、他支部の参加者から注
登ってきた」とか「今度北海道のあの山に行きたいが、 最後に各支部が壇上に上がり、支部活動等を発表。
交通手段は?」などと、北海道の山への憧れを聞かされ、 北海道が最初で、壇上に 6 名とともに会員会友や北海
道ゆかりの山友を呼び集めて 24 名が並ぶと、会場がど
もてはやされるのである。特に、席順が抽選で決まり各
支部会員が入り交じって着席する懇親会は、名札だけで
よめいた。「来年、北海道支部は 50 周年を迎える。記
14 時から開会式。支部長歓迎挨拶、来賓の開催地
喝采を浴びた。しんがりで、来年 4 月の支部懇を担当す
念事業に多くの会員の参加を望む」などとアピールし、
は所属支部が判然とせず、半纏の威力は大きい。
市長挨拶の後、講演会となり、埼玉県警山岳救助隊副
る四国支部が参加要請を行い、中締めの乾杯で閉じた。
パーク推進協議会員の「日本地質学発祥の地・秩父か
山の両神山に登った。白井差(しらいざす)コースは、
ちかねた懇親会。埼玉副支部長の開会挨拶の後、森武
こつと登山道の整備を行っており、沢筋を行く登山路に
支部の活性化の必要性、来年の 110 周年に向けた事業
紅葉の始まった秋の登山を楽しんだ。下山後、南アルプ
翌日は、快晴の登山日和。北海道支部は、日本百名
隊長の「埼玉県の山岳遭難事例と安全対策」、秩父ジオ
頂上直下まで個人所有の土地で、所有者が一人でこつ
らの報告」という有意義な講演を聞く。18 時からは待
は手作りの橋や梯子が掛けられ、昇竜の滝、ぶな平など
明会長が挨拶し、会員の増強、若い会員の獲得による
ス・鳳凰三山を目指し、青木鉱泉に宿泊。翌日から 2
展開と、必要財源に対する寄付の要請が述べられた。
日間、小雨の中を、地蔵ヶ岳、観音ヶ岳、薬師ヶ岳(薬
鏡割りの後、重廣恒夫関西支部長の音頭で乾杯。会
師小屋泊)と縦走して帰道した。
場には、森会長他、首都圏、東海、関西、北九州、宮
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日本山岳会北海道支部通信
一個人や一団体では守れない幌尻岳の山岳環境
10 年 間の日高 山 脈 ・ 幌 尻 山 荘 排 泄 物 人 力 運 搬を終えて
日高山脈ファンクラブ事務局長 高橋健
■ ボランティアによる排泄物人力運搬は今年で終了
日高山脈ファンクラブの幌尻山荘排泄物人力運搬は、今年
で 10 年目となりました。9月に 23 名のボランティアの協力を
得て実施し、210kg の排泄物を担ぎ下ろし、便槽を空にしま
した。昨年までの9年間には、延べ 333 名のボランティアの
協力により、約 4016㎏もの排泄物を担ぎ下ろしています。
当会(日高山脈ファンクラブ)がこの事業を続けていくことは、
ボランティア運搬を固定化させ、山岳環境保全の対価を受益
者に負担してもらう方法が検討されないことにつながることか
ら、10 年目の区切りとなる 2014 年をもって、当会主催の幌
尻山荘排泄物人力運搬事業は終了する決断をいたしました。
山のトイレを考える会の愛甲哲也事務局長によれば、道内
で、人力のみによる排泄物運搬が行われてきたのは幌尻岳だ
けだそうです。なぜボランティアによる人力運搬が行われるよう
になったのか?その経緯と今後の方策について触れることで、
多くの登山者への問題提起としたいと思います。
今年の人力運搬作業の様子
当会の結成は 2000 年。当時は日本百名山ブームにより幌
尻岳の登山者が急増していた時期でしたが、どのくらいの登
山者がいるのか、登山者の影響はあるのか、という点につい
て、国定公園の管理者である北海道庁、土地の所有者であ
る林野庁、どこも把握していませんでした。そこで、研究者の
協力とさまざまな助成金を得て、ヌカビラルートへの入山者カ
ウンターの設置、幌尻山荘周辺の水質調査、幌尻山荘利用
者へのアンケート調査、北海道大学大学院生による幌尻山荘
周辺の土壌調査を行うとともに、清掃登山も毎年実施してきま
した。さらに、道外の事例や意見を広く聞くために、2004 年
と 2005 年に幌尻岳フォーラムを開催しました。
そして 2005 年 2 月、調査およびフォーラムでの検討結果
を踏まえ、
「幌尻岳」の山岳環境保全と持続可能な利用方法
について、関係機関や団体、企業、登山者等への提言を下
記のようにまとめ、配布しました。
地化が進み、また平地植物の進入が危惧される。なお幌
尻岳周辺カール、稜線は国定公園特別保護地区および日
高中央部森林生態系保護地域保存地区に指定されている。
④ 登 山 口や 水 場・ 稜 線 にトイレが ない。そのため 路 肩
や樹林帯、草地に排泄跡が見られ、視覚的によくない。今
後は高山植物の富栄養化や水質への影響が危惧される。
⑤ 幌 尻 山 荘トイレは地 下 浸 透 式で、 糞 便は山 荘 周辺に
埋立処理をしている。その結果、土汚染が垂直方向に進行
していることが、当会調査の共同調査者であった北海道大
学大学院・田中あすか氏 ( 当時 ) の調査によって明らかに
なっている。また山荘周辺水質へも微量ながら影響が出て
いる。
⑥登山口までの公共交通機関が未整備なことから、登山
者の車両による駐車渋滞がおきている。緊急車両の通行に
支障をきたす恐れが高い状況にある。
⑦ 渡 渉など日本 百 名山のなかでは、もっとも登山技 術を
必要とするが、登山技術を習得していない、また無理な日
程による事故があとを絶たない状況である。
●日高山脈ファンクラブ調 査による幌 尻 岳における現 状
および問題点
① 寒 冷 積 雪 地および 登 山ルートの条 件( 渡 渉 等 )によ
り、登山期間が夏季 ( 7月〜9月 ) に限定され、とくに海の
日からお盆までの期間に登山者が集中している(夏季3ヵ
月間の登山者 2,500 人、ピーク時の1日の登山者数 130
人)
。
② 幌 尻山荘周辺は、 国 定 公 園 第2種 特 別 地 域 及び日高
中央部森林生態系保護地域保存利用地区指定区域である
が、夏季のピーク時においては山荘の定員(50 人)を超
える利用があり、山荘に泊まれない登山者の幕営等により、
オオバコやセイヨウタンポポなど平地植物が繁茂している。
③日高山脈 襟 裳 国定公園の稜線付近では幕営が登山者
の判断に任せられている。幕営等により高山植物群落の裸
●「 幌 尻 岳 」山岳 環 境 保 全と持 続 可 能な利用について
の提言
① 入山規 制は必 要であるとの認 識であるが、その実 施に
あたっては関係機関、団体、地域住民、登山者等関係各
位の検討組織を設立すること。
② 山 岳 環 境 保 全と持 続 可 能な利 用を促 進するために基
礎的な調査および情報収集(入山者数の把握や利用状況
など)が必要不可欠であり、管理関係機関においてその適
切な調査および情報収集をすること。
③ 地 元自治 体 単 独での山 岳 環 境 整 備は好ましい状 況と
は言えず、管理関係機関および受益者による負担をすすめ
ること。
④ 未 組 織 登山者 への啓 発のため旅 行 会 社・ 登山用品 店
等を通じてマナーガイドの配布やホームページを通じての情
■ 2005 年に提言まとめ、人力汲み下ろしを開始
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2014 年 11 月 15 日発行 第 101 号
報発信を行うとともに、登山教育施設設置の可能性を検討
すること。
⑤ツアーおよびグループ 登 山は、 単 独 登 山 者よりも登 山
環境への負荷や他の山荘利用者へ影響を及ぼす可能性が
高いことから、20 人以下の少人数とされるよう関係者の自
主努力を促すこと。
⑥登山口だけでもトイレ設置が必要との認識から、その設
置および維持管理について関係者間で協議すること。
⑦ 山 荘トイレ排 泄 物 運 搬は、 ヘリと人力を併 用して実 施
し、今後への検討材料とすること。
では幕営が登山者の判断に任せられている」点について今年、
北海道庁日高振興局の日高山脈襟裳国定公園担当者に聞い
たところ、
「日高山脈稜線には幕営指定地がないのだから幕営
はできない。幕営はされていないものと認識している」との回
答でした。果たして現状はどうでしょうか?稜線上やカール内
においては、幕営のために土地が開削され、高山植物帯が裸
地化し、カール内にはハイマツを切った焚き火跡が散見されま
す。現状を見ずして「問題は無い」と言い切る態度が悲しい
です。
当会の言う関係機関とは、林野庁、平取町役場だけではな
く、北海道庁や隣接自治体も含まれます。これらの関係機関
その後、平取町役場が幌尻山荘トイレ及び屋外に貯留式ト を包含し、北海道庁が事務局を担う日高山脈襟裳国定公園
イレを2基設置し、林野庁が幌尻山荘屋外にバイオトイレ1 連絡協議会という組織がありますが、日高山脈襟裳国定公園
基、その電源となる小型水力発電機を平取町役場が設置しま には重要な案件が存在しないという理由から組織を解散する
した。
と聞いています。
当会では、この提言の実現に向けて自ら努力することを提
登山者個人、登山愛好団体が山岳環境の保全のために活
言書に明記し、2002 年に事務局長である私と幌尻山荘管理
動していくことは必要だと思いますが、一個人や一団体だけで
人の稲垣さん(当時は当会理事、現在は副会長)が実体験
山岳環境の保全を図っていくことは難しいと感じています。や
した岩手・早池峰山の排泄物人力運搬をアレンジ。元々実施 はり日高山脈襟裳国定公園の山岳環境をどのようにしていきた
していた清掃登山を拡大し、2005 年から、幌尻山荘トイレ いのか、という点を関係機関、団体、登山者が協議して実践
及び屋外の貯留式トイレ2基の排泄物人力汲み下ろし登山や、 していく、そうしなければ山岳環境を次世代に引き継ぐことは
ヌカビラ登山口への仮設トイレの設置などに取り組んできまし できない、10 年間の日高山脈幌尻山荘排泄物人力運搬を通
た。
して、そう感じています。
■ 今後は受益者=登山者の負担が不可欠
■ 登山者の利便性向上よりも優先されるべき山岳環境保全
幌尻山荘管理者である平取町役場には、利用料金値上げ
日高山脈への登山者は、世界自然遺産にも匹敵する日高山
=受益者負担での、ヘリ運搬または地元業者等による人力運
脈の山岳環境を求めているのであって、日本アルプスのような
搬、あるいは携帯トイレの普及を早急に検討して欲しいと思い 便利なものを登山者が求めているとは思えません。もし登山者
ます。1,000 円値上げ × 利用者3千人= 300 万円で運搬代
が利便性を求めてきても、新たな登山道を造成したり、自家
や携帯トイレの処理費用を捻出できます。受益者(ほとんど
用車の乗り入れをさせたり、など利便性を高めるという観点に
が道外在住者)の多くは、自分たちの排泄物をボランティア 立つのではなく、世界自然遺産に匹敵する優位性を日高山脈
が人力運搬していることを知らずに幌尻山荘を利用しています。 の山岳環境が持ち続けているという観点に立って、持続可能
過去の当会のアンケート調査によれば、幌尻山荘利用者の大
な利用方法を検討し実践していくことこそが、結果的には永続
多数を占める道外在住者は、1,500 円という山荘利用料が安
的に登山者を得ることになり、地域振興にもつながると思いま
すぎると感じているのですから、
「利用者が減るから利用料の す。
値上げはできない」という意見がもしあるとするなら、それは 近年、山岳地も観光資源という観点から登山客を増加させ
的外れだと思います。
ようという取り組みが全国各地で行われています。登山客を誘
客するのであれば、登山者が増加することの弊害(山岳環境
■ 求められる道庁はじめ関係機関の連携と真剣な取り組み の悪化)も事前に検証し、その対策を講じなければ片手落ち
幌尻岳ヌカビラルートでは 10 年以上かけて、多くのボラン だと思います。登山者が増えることによる山岳環境の悪化はト
ティアと林野庁、平取町役場との連携により、山岳環境の改 イレ問題に限りませんが、皆様はどのように思われますか?
善を図ってきました。山岳環境を改善、維持するために利用
(写真:藤木俊三)
調整も取り入れていただきました。
幌尻山荘を含む幌尻岳一帯は日高山脈襟裳国定公園に指
定されています。国定公園の管理者は都道府県ですので、幌
尻岳一帯の公園管理者は北海道庁になりますが、当会結成
以来、北海道庁が真剣になって幌尻岳一帯の公園管理をして
きたとは到底思えません。前記の「幌尻岳における現状およ
び問題点」に明記した「日高山脈襟裳国定公園の稜線付近
2014 年 日高幌尻岳清掃登山/幌尻山荘排泄物人力運搬事業
9 月 13 日(土)〜 15 日(月・祝)
◯日本山岳会北海道支部会員参加者
13 日〜 15 日:鈴木貞信、藤木俊三、高橋健
15 日日帰り:植田拓史
今年 9 月 14 日、日高幌尻岳の山頂で
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日本山岳会北海道支部通信
ビーコン操作講習会と雪崩講習会のお知らせ
❶ビーコン操作講習会
【日時】12 月 12 日(金)10:00 ~ 12:00
【場所】札幌・中島体育センター前敷地(札幌市中央区中島公園 1-5 /地下鉄南北線・幌平橋駅下車)
※なるべく公共交通機関利用のこと
【講習内容】2 つの埋没ビーコンの捜索方法
【装備】ビーコン、プローブ、シャベル、スノーソー(できれば)を持参。
※ビーコンのない方は 4 台まで貸し出し可
【募集】15 人 【申込締切】11 月 28 日(金) 【申込先】植田惇慈雪崩研修委員長 ※連絡先は下記
●雪崩講習会 ※冬山へ入る方は受講をお願いします 【講習内容】
机上講習:雪崩発生のメカニズム、雪崩危険予知と行動判断、各種テスト方法と観察、コンパニオンレスキューなど
実地講習:ビーコン装着、ピットテスト、雪崩に対する危険度判断、ビーコン捜索、コンパニオンレスキューなど
【装備】ビーコン、プローブ、シャベル、スノーソー(できれば)、筆記用具、講習会テキスト、観察カード、
15 倍ルーペ、山スキー(シール含)あるいはスノーシュー(③のメムロスキー場リフト乗り場では
スキー着用)を持参。
※ビーコンのない方には貸し出しますが、冬山に入る方はできるだけご持参ください。
【参加費】テキストを持っていない方はテキスト代 1500 円+観察カード代 200 円がかかります。
③帯広・北網地区と④函館地区で宿泊希望の方は別途宿泊費がかかります(各地区の項参照)。
※会員外の方は各自傷害保険に入っていること。希望される方にはご紹介します。
❷札幌地区 2015 年 1 月 31 日(土)~ 2 月 1 日(日)
【募集】20 人 【申込締切】1 月 16 日(金) 【申込先】植田惇慈雪崩研修委員長 ※連絡先は下記
【日時】2 月 1 日(日)8:00 ~ 15:45
【場所】藻岩山スキー場横東斜面
(札幌市南区藻岩下 1991)りんゆう観光事務所集合
※車の方はスキー場第 3 駐車場利用のこと
実地講習
机上講習
【日時】1 月 31 日(土)13:00 ~ 18:20
【場所】りんゆうホール
(札幌市東区北 9 条東 2 丁目
りんゆう観光 3F)
❸帯広・北網地区 2015 年 2 月 14 日(土)~ 2 月 15 日(日)
【日時】2 月 14 日(土)13:00 ~ 17:45
【場所】芽室南地区コミュニティセンター
(芽室町西 2 条南 6 丁目 1)
実地講習
机上講習
【募集】15 人 【申込締切】1 月 23 日(金)
【申込先】植田惇慈雪崩研修委員長 ※連絡先は下記
【日時】2 月 15 日(日)8:00 ~ 15:45
【場所】新嵐山スキーリゾート・メムロスキー場
(芽室町中美生 2 線 42)
【宿泊】福井旅館(芽室町西 6 条 9 丁目 1)1 泊 2 食付 5,000 円(暖房費別・飲み物などは各自持参)
❹函館地区 2015 年 1 月 24 日(土)~ 1 月 25 日(日)
【日時】1 月 24 日(土)13:00 ~ 17:45
【場所】北海道立森少年自然の家・ネイパル森
(森町駒ヶ岳 657-15)
実地講習
机上講習
【募集】15 人 【申込締切】12 月 12 日(金) 【申込先】海川敏雄会員 ※連絡先は下記
【日時】1 月 25 日(日)8:00 ~ 15:45
【場所】ネイパル森周辺・駒ケ岳山麓
【宿泊】ネイパル森 1 泊 2 食付 2,200 円
【申込方法】氏名、年齢、住所、電話番号、宿泊希望の有無(③④)を明記して下記宛にお申し込みください
【申込先】①②③:植田惇慈雪崩研修委員長
TEL: 011-711-7106 FAX: 011-731-1456 E-mail: [email protected]
④:海川敏雄会員 TEL・FAX: 0138-52-1473 E-mail: [email protected] 12