国際ボランティア貯金寄附金の 配分事業完了報告書集 平成 22 年度版 (平成 20 年度寄附金配分事業) 独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構 《目 次》 団体 団体名(実施国・地域) ページ 所在地 1・2 特定非営利活動法人 アプカス(スリランカ) 特定非営利活動法人 どさんこ海外保健協力会(カンボジア) 3 青森 特定非営利活動法人 プロ・ワークス十和田(ベトナム) 4 岩手 岩手県インドネシア友好協会(インドネシア) 5 宮城国際支援の会(タイ) 6 宮城国際支援の会(ネパール) 7 山形 特定非営利活動法人 8 福島 福島県障害児・者の動作学習研究会(マレーシア) 北海道 宮城 特定非営利活動法人 アロアシャ・プロジェクト(バングラデシュ) 黄土高原環境・緑化計画(中国) 茨城 財団法人 埼玉 アジア・アフリカと共に歩む会(南アフリカ) 12 特定非営利活動法人 東方科学技術協力会(中国) 13 特定非営利活動法人 NPOアジアマインド(タイ) 14 ベトナムの「子どもの家」を支える会(ベトナム) 15 特定非営利活動法人 ASAC カンボジアに学校を贈る会(カンボジア) 16 特定非営利活動法人 エル・エンジェル国際ボランティア協会(インド) 17 特定非営利活動法人 神奈川歯科大学南東アジア支援団(フィリピン) 18 特定非営利活動法人 神奈川歯科大学南東アジア支援団(タイ) 19 特定非営利活動法人 草の根援助運動(フィリピン) 20 特定非営利活動法人 国際援助団体 21 アイウエオサークル(ネパール) 神奈川 中国内蒙古沙丘・草原緑化研究会(中国) 22 特定非営利活動法人 23 ビラーンの医療と自立を支える会(フィリピン) ムリンディ/ジャパン・ワンラブ・プロジェクト(ブルンジ) 24 特定非営利活動法人 25 ラブ グリーン ジャパン(ネパール) CRI−チルドレンズ・リソース・インターナショナル(ブラジル) 東京 10 11 日本国際親善厚生財団(タイ) 千葉 山梨 9 26・27 ハイチ友の会(ハイチ) 28 特定非営利活動法人 アジア・レインボー(カンボジア) 29 特定非営利活動法人 アジア教育・文化・自然環境保護日本支援センター(スリランカ) 30 特定非営利活動法人 アジア教育友好協会(ラオス) 31 特定非営利活動法人 アジア地域福祉と交流の会(マレーシア) 32 特定非営利活動法人 アジアの障害者活動を支援する会(ラオス) 33 特定非営利活動法人 幼い難民を考える会 (カンボジア) 特定非営利活動法人 環境修復保全機構(カンボジア) 特定非営利活動法人 環境修復保全機構(タイ) 社団法人 銀鈴会(中国) 34・35 36 37・38 39 特定非営利活動法人 グリーンフォーラム(ラオス) 40 特定非営利活動法人 国際アマチュア無線ボランティアズ(モーリタニア) 41 特定非営利活動法人 国際開発フロンティア機構(フィリピン) 42 特定非営利活動法人 国際子ども権利センター(カンボジア) 43 社会福祉法人 国際視覚障害者援護協会(インドネシア) 特定非営利活動法人 国際市民ネットワ−ク(コソボ) 45 特定非営利活動法人 子供地球基金(クロアチア) 46 社会福祉法人 至愛協会(スリランカ) 47 特定非営利活動法人 シェア=国際保健協力市民の会(カンボジア) 48 特定非営利活動法人 ジェン(JEN)(スリランカ) 49 特定非営利活動法人 シャプラニール=市民による海外協力の会(バングラデシュ) 50 社団法人 シャンティ国際ボランティア会(タイ) 51 社団法人 シャンティ国際ボランティア会(ラオス) 52 スランガニ基金(スリランカ) 社団法人 東京 44 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(モンゴル) 53・54 55 特定非営利活動法人 地球の友と歩む会(インドネシア) 56 特定非営利活動法人 難民を助ける会(スーダン) 57 特定非営利活動法人 難民を助ける会(ミャンマー) 58 日・タイ親善交流グループ(タイ) 59 特定非営利活動法人 60 社会福祉法人 日本カンボジア友好協会(カンボジア) 日本国際社会事業団(カンボジア) 61 特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター(カンボジア) 62 特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター(スーダン) 63 特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター(パレスチナ) 64 財団法人 日本消防設備安全センター(ベトナム) 65 特定非営利活動法人 日本・バングラデシュ文化交流会(バングラデシュ) 66 特定非営利活動法人 日本フィリピンボランティア協会(フィリピン) 67 特定非営利活動法人 日本紛争予防センター(ケニア) 68 特定非営利活動法人 パルシック(スリランカ) 69 特定非営利活動法人 パルシック(東ティモール) 70 特定非営利活動法人 パレスチナ子どものキャンペーン(レバノン) 71 特定非営利活動法人 ハンガー・フリー・ワールド(ベナン) 72 特定非営利活動法人 ヒマラヤ保全協会(ネパール) 73 ひまわりの会(ペルー) 74 特定非営利活動法人 ヒューマンライツ・ナウ(タイ) 75 特定非営利活動法人 ラオスのこども(ラオス) 76 特定非営利活動法人 AMURT Japan(スーダン) 77 特定非営利活動法人 AMURT Japan(スリランカ) 78 特定非営利活動法人 JHP・学校をつくる会(カンボジア) 79・80 東京 富山 特定非営利活動法人 NGOアフリカ友の会(中央アフリカ) 特定非営利活動法人 NGO地に平和(パレスチナ) インドネシア教育振興会(インドネシア) 特定非営利活動法人 アジア日本相互交流センター(ICAN)(フィリピン) 特定非営利活動法人 オアシス(カンボジア) 自立のための道具の会・TFSR 愛知 Japan(スリランカ) スリランカ(スリランカ) 87 89 90 91 特定非営利活動法人 日本医学歯学情報機構(チュニジア) 92 特定非営利活動法人 日本医学歯学情報機構(ベトナム) 93 特定非営利活動法人 日本医学歯学情報機構(モンゴル) 94 特定非営利活動法人 日本口唇口蓋裂協会(インドネシア) 95 特定非営利活動法人 日本口唇口蓋裂協会(ミャンマー) 96 特定非営利活動法人 日本口唇口蓋裂協会(ラオス) 97 98 京都 特定非営利活動法人 99・100 DIFAR(ボリビア) リボーン・京都(ラオス) 101 アイユーゴー―途上国の人と共に―(タイ) 102 アイユーゴー―途上国の人と共に―(ベトナム) 103 アイユーゴー―途上国の人と共に―(マダガスカル) 104 社団法人 105 アジア協会アジア友の会(ネパール) アジア保育教育交流推進実行委員会(タイ) 106・107 関西日中交流懇談会 (中国) 108・109 関西バングラデシュ友好協会(バングラデシュ) 110 特定非営利活動法人 111 国際交流の会とよなか(TIFA)(ネパール) ネパールの星(ネパール) 112 特定非営利活動法人 緑の地球ネットワ−ク(中国) 113 特定非営利活動法人 モンゴルパートナーシップ研究所(中国) 114 特定非営利活動法人 モンゴルパートナーシップ研究所(モンゴル) 115 ラルパテの会(ネパール) 116 特定非営利活動法人 117 アジア眼科医療協力会(インド) アジア友好ネットワーク(ネパール) 奈良 85・86 チェルノブイリ救援・中部(ウクライナ) 三重 兵庫 84 特定非営利活動法人 ハイチの会(ハイチ) 大阪 83 88 オヴァ・ママの会(スリランカ) スリヤールワ 81・82 118・119 特定非営利活動法人 ギブ(ペルー) 120 特定非営利活動法人 国際エンゼル協会(バングラデシュ) 121 特定非営利活動法人 地球ボランティア協会(フィリピン) 122 特定非営利活動法人 アフリカ児童教育基金の会(ケニア) 123 特定非営利活動法人 AMDA社会開発機構(ネパール) 124 特定非営利活動法人 AMDA社会開発機構(ミャンマー) 125 岡山 特定非営利活動法人 広島 ひろしまルソン友好協会(フィリピン) 徳島 徳島ネパ−ル友好協会(ネパール) 129 愛媛 特定非営利活動法人 130 福岡 財団法人 佐賀 特定非営利活動法人 地球市民の会(ミャンマー) 132 鹿児島 特定非営利活動法人 DANKA 133 国・地域別索引 ハート・オブ・ゴールド(カンボジア) 126 岡山 東洋歯学友好会(ベトナム) 北九州国際技術協力協会(インドネシア) DANKA(セネガル) 127・128 131 スリランカ 特定非営利活動法人 アプカス 所在地:北海道 事業名:地滑り被災者に対する仮設住宅の建設及び自治組織の強化支援 配分額:7,357,000 円 あち 背景と目的 平成 19 年 1 月に発生した地滑りの被災者は、長く生活していた避難キャンプから、政府 が用意した移転地に移動を始めている。しかし、政府は予算の問題から、土地とわずか 5 万円程度の見舞金を提供するのみで、後は被災者が約 50 万円かかる住宅の建設を進めなけ ればならない。被災者の多くは零細農民であり、物価高騰から自ら住宅建設を進めること は難しい状況にある。 当団体が支援する被災者移転地区のある中部ヌワラエリヤ県ワラパネ郡は、山間部にあ り、雨が多く、気温の変化も激しいため、テントや仮設住宅の老朽化が急速に進んでいる。 今年度は 75 家族 255 名の所得の低い零細農民のため、住宅建設に必要なコンクリートブ ロックを提供し、また、雇用創出を目的とした、復興委員会を通してコンクリートブロッ クの生産を行うこととした。 王実施状況 平成 21 年 4 月 10 日、本年度の支援計画について復興委員会と話し合った。4 月 29 日、 30 日の 2 日間、3 名の被災者がブロック製作について国立建築研究所で学んだ。平成 21 年 5 月にはブロックの製作を開始し、10 名を雇用出来た。 1 軒分のブロックは約 1,000 個必要であり、ブロックの生産は 1 日 200 個、乾燥に 10 日 間から 14 日間の日にちを要するため、各被災者へのブロックの配布は平成 21 年 6 月から 開始した。配布されたブロックにより、住宅建設を開始し、6 月に 4 軒、7 月に 18 軒、8 月 に 15 軒、9 月は 21 軒が完成し、10 月には当初目的の 75 軒すべてが完成した。1 軒の床面 積 16 ㎡、部屋数 1 から 2 室の住宅は、被災者に移譲され、多くの被災者は、今回建設した 1 部屋をステップとして、増築の努力をしている。 日本からは、事業のプロジェクトマネージャーとして、平成 21 年 5 月 13 日から平成 22 年 3 月 31 日まで、スタッフを現地に派遣(実働 150 日間)し、現地政府との調整や自治会及 び復興委員会の指導に当たった。また、平成 21 年 9 月 7 日から 9 月 17 日の間、農村コミ ュニティ開発の専門家を派遣、平成 21 年 10 月 14 日から 10 月 28 日までスタッフを 2 名、 平成 22 年 2 月 13 日から 2 月 19 日までの間、環境学の専門家を派遣し、復興委員会への参 加や、ごみなどの環境問題に対する指導等行った。 効果と現地の反響 被災者からは、「今回の支援により、家でなくその一部が完成したと考えていますが、今 までの仮設住宅に比べると、格段に住環境が改善されました。今までは、雨風の強い日は、 雨漏りや住宅倒壊の危険があったのですが、その心配がなくなりました」、「この村でわが 子が将来も暮らせるのかと不安に思っていましたが、家が出来たことで、また、がんばる ぞという気持ちになった」など感謝の声が聞かれた。 政府関係者からは、「本事業を通して、被災者と良好な関係が構築・強化され、支援の公 平性が増したと思う。予算や支援の内容に制限があるため、今後も継続的な支援をして欲 しい」と要望が寄せられた。 1 スリランカ 特定非営利活動法人 アプカス 所在地:北海道 事業名:家庭菜園・有機農業普及のための農業研修センターの設立及び普及促進 配分額:9,410,000 円 あち 背景と目的 スリランカでは、昨今の物価の高騰に伴い貧困層は日々の食料の確保すら難しく、さら に気候変動に伴う食料危機の脅威にさらされている状況である。しかし、大都市を除き多 くの家には庭があるが有効利用されていない。また、家庭菜園や有機農業を始めたいが、 具体的な方法を学ぶ機会がないという問題がある。今まで家庭菜園を行っている地域でも 情報交換する拠点がないため、効率よい普及へとつながっていない。また農民にとって化 学肥料や農薬に頼っている農法では、経営や健康を悪化させる一方であると農民自身も感 じているが、その改善方法を体系的に学ぶことができる実験圃場を兼ね備えた研修センタ ーがないという問題がある。 今年度は、ウバ州モナラーガラ県タナマルヴィラ郡シーヌックワ地区において、食料セ ーフティネットの確立、自助努力による食料の確保のため、現在使っている簡易的な研修 圃場を農業研修センターへ発展させ、家庭菜園と有機農業技術の普及を促進し、人々が直 面している食料確保及び栄養の問題への解決策を提供することとした。 王実施状況 農業研修センターは、政府の建設許可がおりず、建設開始が平成 21 年 5 月から 7 月に遅 れた。当初は、地域住民との参加型で行う予定であったが、環境省の環境配慮に関する基 準に従い、専門の業者に頼むこととなり、現地の人を雇用するように業者と調整した。途 中、天候不順等で作業に遅れがでたが、なんとか建設が進み、平成 21 年 12 月に完成した。 家庭菜園技術普及研修は、平成 21 年 5 月から平成 23 年 3 月まで 24 回、計 525 名の参加 があり、約 550 世帯で実施されている。持続型農業技術普及研修は、平成 21 年 7 月から平 成 23 年 3 月まで 11 回実施され、計 217 名の参加があった。また、農村リーダー養成研修 は、5 日間の日程で平成 22 年 1 月と 2 月に実施され、43 名の参加があった。 日本からは、プロジェクトマネージャーを平成 21 年 5 月 13 日から平成 22 年 3 月 31 日 まで派遣(実働 150 日間)し、事業実施状況の確認を行った。また、スタッフを平成 22 年 2 月 3 日から 3 月 3 日まで 29 日間及び平成 22 年 2 月 7 日から 3 月 3 日まで 25 日間派遣し、 事業実施状況の確認を行った。 効果と現地の反響 家庭菜園技術普及研修の参加者からは、「私は、家庭菜園プログラムに参加しました。そ のプログラムは経済的に弱い私たちのような人々にとても大切だと思います。農業技術を 学べて、それをすぐ実践することができるからです。これからもこの様なプログラムを行 ってください。よろしくお願いいたします」、「家庭菜園研修プログラムはとても素晴らし かったです。僻地に住んでいる私たちにはこのような機会に恵まれることがないので、今 回はとてもよかったです」。持続型農業技術普及研修の参加者からは、「農業研修に参加し た私は色々なことを学べました。そのプログラムから学んだ事を活かして農業をやるつも りです」等感謝の手紙が寄せられた。 2 特定非営利活動法人 どさんこ海外保健協力会 カンボジア 所在地:北海道 事業名:小学校を教育の場とした地域住民(子ども、大人)に対する識字・計算教 育、生活改善・保健衛生指導の実施 配分額:1,899,000 円 あち 背景と目的 ラタナキリ州は少数民族の多い辺境の地域であり、首都プノンペンから州都バンルンま では陸路で 10 時間を要する。 ラタナキリ州は昨今、鉱物資源の開発や観光、プランテーション等を目的として、少数 資本家による土地の買占めが進んでいるが、クメール語(カンボジア語)も不自由で、今ま で教育を受ける機会のなかった村人たちは、半ば騙されるように土地を失いつつある。 当団体の活動地は、州都バンルンから悪路を西に 4 時間ほど行ったベトナム国境に近い ジャライ族という少数民族が生活するニャン集合村内の 3 村(ボンカム村・ダル村・タンセ ー村)である。この村では、もっとも近い小学校まで 8km も離れており、通学している子ど もはいない。また、日常生活では少数民族言語であるジャライ語を話し、クメール語の識 字率も低いことから、子どものみならず、大人にも識字、計算等の教育が必要であった。 本事業は 3 年計画で実施し、1 年目は、村人と協力して学校の建設を行い、2 年目にあた る本年度は、建設された学校の運営が適切に行われるよう支援するとともに、地域住民に 対する識字・計算教育、生活改善・保健衛生指導などを実施することとした。 王実施状況 学校が建設され、登録児童 108 名のうち、80%が登校していることが分かった。 成人教育の実施にあたり、平成 21 年 4 月 5 日に住民と話し合いを行った。団体は、小学 校を利用し定期的に実施することを提案したが、出来るだけ毎晩教育を受けたいとの意見 により、3 村それぞれの民家で行うこととした。5 月 20 日より 3 村それぞれで夜間の識字 教育を開始し、合計で平均 20 名から 30 名が参加している。子ども達も一緒に勉強し、昼 間学校で勉強したことの復習の場となっている。また、成人教育においては、識字教育の 他、ヘルスセンターから助産師を同行し、女性への保健指導や伝統的産婆教育も行い、母 子保健や危険な妊娠のサイン、妊婦検診の重要性なども教えた。 日本から農村開発の専門家 1 名を 1 年間(実働 200 日)派遣し、識字教育、健康教育の実 施内容のチェックや現地スタッフへの技術指導、各機関との調整を行った。また、医師を 1 名、平成 21 年 11 月 21 日から 11 月 30 日の間、平成 22 年 3 月 23 日から 3 月 31 日の間の 2 回派遣し、健康教育や母子保健等について指導を行った。 効果と現地の反響 村人からは、「学校建設のおかげで子ども達が登校できるようになった」、「子ども達には 勉強して、将来良い生活をして欲しい」、「夜間の識字教育が実施されて、仕事の後に勉強 できる」、「クメール語が書けるようになってうれしい」、「子ども達が学校で勉強するのは、 村の将来のためになる」、「伝統産婆さんがトレーニングを受けたので、お産の心配がなく なった」、「村の女性の中に、妊娠や出産の知識が広まるのは村にとって良いことだ」など意 見があった。 3 特定非営利活動法人 プロ・ワークス十和田 ベトナム 所在地:青森県 事業名:老朽化した村立幼稚園舎の建替え及び建設管理 配分額:3,231,000 円 あち 背景と目的 首都ハノイから北に約 90km のイエンズン県タンクオン村は、農業が基幹産業であるが、 農家の年収は約 6 万円と低く、ベトナムでは最も貧しい地域とされている。また、村には 100 名近い園児が学ぶ幼稚園があるが、築 50 年以上たち、老朽化が著しく進み、屋根には 穴があき、黒板は文字が見えない状態で、倒壊の危機にあった。 村人から建て替えを求める声は強くあるものの、行政も住民もその費用を負担すること は困難な状況であった。 当団体では、園舎の建物倒壊の不安を解消し、安全な教育環境を提供するため、園舎を 建て替えることとした。 王実施状況 園舎の工事は平成 21 年 9 月 24 日に着工し、敷地面積 2,514 ㎡、建物面積 267 ㎡、教室 3 室、会議室 1 室のタンクオン村立幼稚園が平成 22 年 1 月 1 日に完成した。建築完成後には タンクオン村に対して、幼稚園の運営管理、園舎引渡しを行い、覚書を取り交わした。 完成式典は、バンザン省教育委員長、イエンズン県知事、タンクオン村村長、ベトナム 法律新聞代表、幼稚園教師、園児、地域住民が約 500 名参加し、盛大に行われた。 日本からは、団体代表を平成 21 年 7 月 1 日から 7 月 21 日までの間、平成 21 年 9 月 13 日から 9 月 25 日までの間、平成 21 年 11 月 6 日から 11 月 25 日までの間、平成 21 年 12 月 27 日から平成 22 年 1 月 3 日まで間の 4 回、合計 57 日間派遣し、事業実施状況の確認を行 った。また、建築の専門家を平成 21 年 11 月 6 日から 11 月 25 日までの 19 日間派遣し、設 計図に基づき、建築状況の確認を行った。 効果と現地の反響 村では、立派な園舎に見合うよう行政でも可能な範囲で支援したいと、完成した幼稚園 の門や遊具を設置するなど行った。 タンクオン村の村長からは「長年の夢がかない 3,300 名の住民が今後、児童教育に力を 注ぎ、村の発展に努めることが出来ます。」と感謝の言葉があった。 完成式の様子が「ベトナム法律新聞」の平成 22 年 1 月 2 日版に掲載され、完成式で法律 新聞代表ホイ氏は「NGO プロ・ワークス十和田の援助により、タンクオン村というイエンズ ン県の貧しい村で幼稚園を立て替えるプロジェクトを実施しました。この事業は、日本と ベトナムの友好関係の証となる」と発表しました。 村の子ども達からは、タンクオン幼稚園児の絵やタンクオン村中学校絵画クラブの絵が 届き、感謝の意が伝えられた。日本からは、団体が小学生の絵等を送り、日本とベトナム との友好を深めた。 次年度は、オルガンや絵本、机や教材などの支援を行い、幼児教育をサポートする計画 である。 4 インドネシア 岩手県インドネシア友好協会 所在地:岩手県 事業名:農民のための持続可能型農業の技術指導及び牛銀行の実施 配分額:3,408,000 円 あち 背景と目的 スラウェシ島の南スラウェシ州ワジョー県にあるシンプルシア村では、肉牛飼養農家一 戸当りの飼養頭数が少なく、水稲及び肉牛の収入だけでは生活ができないうえ、飼養頭数 を増やすための自己資金が無く、県の補助も不足している状況にある。 このため、当団体では農家に毎年順次雌牛 10 頭分の購入資金を貸し付け、牛を借りた農 家は 3 年後に牛代金を返済する。これを基金として別の農家に貸し付ける「牛銀行」によ り、牛を増やし、総頭数 100 頭規模、繁殖グループ 2∼3 集団の育成を目指した。 本年度は 10 頭分の購入資金の貸付けのほか、簡易牛舎 2 棟の建設と熱帯地域の半地下サ イロを3ヶ所に設置する。完熟堆肥の作り方やトレンチサイロによるサイレージ給与方式 など、新技術の普及と定着化を図るとともに、31 戸の牛貸付農家から若い担い手農家 5 戸 を選定し、モデル農家として育成した。 王実施状況 牛銀行については、貸付モデル農家 10 戸に 10 頭の雌肉牛貸付けを行い、購入牛に「い わて、ワジョー22 号∼31 号」の耳票を取り付け、国際ボランティア貯金の寄附金配分を受 けた牛であることを明確にした。 施設整備では、簡易つなぎ牛舎 2 棟と半地下サイロ 3 基を地域住民参加で建設し、家畜 ふん尿コンポストづくりは、堆肥枠作りから実際の積み込みまで行った。 また、半地下サイロでとうもろこしサイレージの詰め込み貯蔵実技研修を貸し付け農家 (18 名)で行ったほか、飼養管理の技術向上研修は牛貸付農家や指導者を含めた合同研修 会を 4 回開催し、延べ 182 名が参加した。牛貸付農家の若い担い手 10 名を選定し、若手研 究会ワークショップを 5 回開催した。 日本からは平成 21 年 7 月 9 日から 19 日の間に 1 名、平成 21 年 7 月 9 日から 8 月 8 日の 間に 2 名、平成 22 年 1 月 8 日から 3 月 10 日の間に 1 名の専門家を派遣した。 効果と現地の反響 援助事業の内容が現地マスコミに大きく取り上げられ、南スラウェシ州の他県や地域か ら見学者が沢山訪れるようになり、牛貸付農家グループは牛飼いに自信をもち情熱を持っ て取り組むようになった。 隣県のソッペン県でもワジョー県同様の事業を行って欲しいという要望のほか、肉牛生 産振興の共同プロジェクトを立ち上げモデル事業として推進したいので協力して欲しいと ソッペン県知事から強く要望された。 サイレージ作りの原料とする畑のとうもろこし茎葉を搬出するためのトラック利用や展 示圃設置の機械運搬等については、ワジョー県農業事務所がトラックを購入し対応するな どの全面的な協力があった。 5 宮城国際支援の会 タ イ 所在地:宮城県 事業名:障がい者支援専門学校への車いす部材の送付及び車いす組立・修理技術の 指導 配分額:6,149,000 円 あち 背景と目的 タイでは、障がい者の支援まで行政の手が行き届かず、高価な車いすを所有ことの出来 ない障がい者がまだ多数いる。当団体では、平成 19 年度下期事業でパトンタニ県の公立中 高一貫学校の「ナンスクール」の敷地内に障がい者支援専門学校を建設し、障がい者のた めのリハビリ技術指導、車いすの製作・修理等車いす関連の技術指導を行ってきた。 今年度も日本から中古の車いすを現地に輸送し、車いす用のバッテリー等修理機材を購 入し、この障がい者支援専門学校において車いすの組み立てや修理、溶接機の技術指導を 行うと共に、日本の工業高等専門学校に相当するカレッジとの連携を推進し、修繕した車 いすをタイ国内及び近隣国の障がい者に供与することとした。 王実施状況 事業 2 年目の本年は、団体の呼びかけにより、日本国内で不要になった車いすが 150 台 寄せられた。中には、電動式や子ども用など種類も豊富であり、新品同様のものもあった。 当初は 7 月に現地に輸送する予定であったが、平成 21 年 4 月 20 日にタイに向け 150 台 の車いすの輸送を行った。溶接機材の整備と部材の調達により、送った全ての壊れた車い すの修理をすることが出来た。 日本からは、平成 21 年 7 月 1 日から 7 月 9 日の間及び 7 月 18 日から 8 月 8 日の間に当 会の代表及び専門家 3 名を派遣し、溶接機を使用した修理など車いすの修理技術を指導し た。また、平成 21 年 9 月 18 日から 9 月 23 日の間に技術者 1 名、平成 22 年 1 月 6 日から 1 月 17 日の間、2 月 13 日から 2 月 23 日の間に代表等を派遣し、車いすの修理指導や障がい 者支援専門学校の電気設備の点検、建物内配線の検査、機材の使用方法の指導を行った。 平成 21 年 8 月 3 日には、完成した車いすの配布式典をタイ政府の関係者や多くの障がい 者の参加のもと開催し、修理した車いすは全て、タイ及びラオスの障がい者に供与された。 効果と現地の反響 日本人専門家の指導により、生徒は、溶接など専門的な技術を身につけることができた。 また、日本から輸送した中古車いすは、全て障がい者に供与したが、なお、現地での要 望は多く、まだまだ配布台数では不足している状況である。 現地では車いすの配布式典にナンスクールをはじめ、協力校やタイの障がい者が多数集 まり、盛大な歓迎を受けた。今後はこの専門学校を一層有効活用して、障がい者関連の勉 強会や車いすの修理技術の指導を行っていきたいと現地教師からも期待されている。 6 宮城国際支援の会 ネパール 所在地:宮城県 事業名:地域住民の収入向上、生活改善のためのワークショップの開催、小学校の 運営支援、老朽化した小学校校舎の新築 配分額:10,635,000 円 あち 背景と目的 首都カトマンズの北西約 20km にあるバグマティ県オカルパウア地区のカガチ村で平成 16 年に開始した医療支援事業は、開設した診療所の運営を現地に引渡したが、住民の収入は 低く、医師の雇用を担うことは出来ない。 このカガチ村の診療所に医師を雇用し、医師の給与を援助し、診療及び現地住民の生活 改善のためのワークショップを開催させるほか、栄養補給のため、給食事業等教育、医療 支援を行うこととした。 同じ地区にあるトウロチトレ村マハカリ小学校は 28 年前ネパール政府により建設された が、老朽化が進み危険で使用できない教室が半数を超えている。マハカリ小学校で学習す るべき子ども達は 1,000 人を超えており、教室不足のため、教育を受けられない生徒が多 数いる。この老朽化したマハカリ小学校を新築し、教育環境の整備を行うこととした。 王実施状況 診療所医師は計画通り週 3 回(月・水・金)の診察を実施し、毎月平均約 500 名の住民を 診療した。また、診療所では毎月 1 回医師によるワークショップが開催され、健康や病気、 栄養や衛生に対する指導を行った。住民から要望の多かった出産に対する指導も行い、カ トマンズから医師が無償で出張し、診察を行った。また緊急出産にも対処した。 カガチ村小学校では月 2 回の給食を毎回カトマンズから食材を運び実施した。また、シ ュリーバワニ中学校では、4 名の教師の給与を援助したことにより、各学年 1 名の先生によ る授業を行うことが出来た。 トウレチトレ村マハカリ小学校は無事新築され、旧校舎の改築、トイレ、校庭も整備さ れて環境も整い、各学年 1 教室の授業が実施できるようになった。 日本からは、平成 21 年 10 月 11 日から 10 月 19 日の間に団体代表を、11 月 18 日から 11 月 22 日の間は、団体代表と建築士を現地に派遣し、診療状況や収入向上計画の会議、給食 の配布等を行い、建築中の小学校の図面の確認や構造のチェックを行った。また、平成 22 年 2 月 6 日から 2 月 17 日の間はスタッフ 2 名を派遣し、現地の住民の聞き取り調査を行っ た。 効果と現地の反響 毎月ネパール人の医師によりワークショップが行われた。雨季に下痢をする住民が多く いることから、その場合の対処法や、自宅出産の対処法など住民に理解しやすく説明し、 健康に対する知識が得られたと好評だった。 また、カガチ村への教育支援により、高校を卒業する生徒が出た。卒業生は高校卒業の 資格試験に全員合格し、教師としての資格を得た。このうち 3 名は大学の空き時間を利用 して、村の学校で子ども達を教えている。 7 特定非営利活動法人 アロアシャ・プロジェクト バングラデシュ 所在地:山形県 事業名:貧困農民に対する生産性向上のための農業技術研修の実施及び研修生宿泊 施設、種苗貯蔵庫の建設 配分額:4,487,000 円 あち 背景と目的 バングラデシュは洪水と干ばつを繰り返す地形的な影響や、化学肥料や農薬中心の農業 を長年続けてきたことから、農地が疲弊し、土地の生産性が低い。生産性を上げるために は、病気に強い良質の種苗を使用することが必要であるが、大多数を占める困窮農民は容 易に購入することが出来ない。そのため、農民の所得は低く、若者の農業離れが進んでお り、将来的には、人口増加と食料供給不足による食料難が懸念される。 農民の所得向上のためには、良質の種苗を提供するとともに、体系的な農業技術の習得 が必要であり、農民を指導する各村のリーダーの育成が必要とされる。 当団体では、各村のリーダー育成のための集合研修、研修生の宿泊施設の建設、良質の 種苗を貯蔵する種苗貯蔵庫の増設を行うこととした。 王実施状況 研修生宿泊施設等の建設は、建物は 1、2 階とも各 189 ㎡、1 階は種苗倉庫、2 階は研修 生の寄宿舎とした。工事は平成 21 年 11 月に着工し、平成 22 年 3 月に完成した。 寄宿舎には、ベッドのほか、食卓や調理器具、事務机等も配備し、40 名の研修生や講師 を収容できる施設が完成した。 農業技術研修は、平成 21 年 9 月から平成 22 年 3 月まで、毎月 6 日間実施され、延べ 43 日間、1,417 名が参加した。研修内容は特定作物研修とし、9 月、12 月、1 月、3 月にジャ ガイモの栽培、10 月、11 月、2 月にはイチゴ栽培の技術研修を行った。特定作物の研修は 直ぐに効果が表れるため、参加希望者が多いが、農村地帯全体の農業技術指導体制作りに は体系的な研修が効果的であることから、今後は、乾季に短期の特定作物研修を実施し、 農閑期である雨期に体系的農業研修を行うこととした。 日本からは、専門家を 3 回、4 名、延べ 43 日派遣し、研修内容やスケジュールの検討や 技術指導を現地専門家と共に実施した。 効果と現地の反響 種ジャガイモは、暑い雨期の間、冷蔵庫で保存する必要があり、一般農家は冷蔵業者に 保存を依頼していたが、種苗貯蔵庫が出来て安定的にジャガイモの生産が可能となった。 また、バングラデシュではタイやオーストラリアからイチゴの輸入を行っているが、今後、 イチゴの栽培技術が普及すれば、数年で酸味の強い輸入イチゴから国内産の甘みのある生 食用のイチゴに切り替わると期待されている。 現地の人々からは、「アロアシャが提供する安価で病気に強い種苗と、ここでの技術研修 のおかげで、収入の向上が見込まれると大変期待している」、現地のスタッフからは、「出 張農業指導はより広い地域への指導には無理があったが、寄宿舎の完成により遠距離から の研修生を受け入れることが出来る」、 「我々が抱えていた課題(より多くの農民に栽培方法 を指導したい)について、日本の協力で実現できた」など、感謝の言葉が寄せられた。 8 福島県障害児・者の動作学習研究会 マレーシア 所在地:福島県 事業名:障がい児への知識、技能向上のための訓練実施及び障がい者支援ネットワ ークの構築 配分額:2,675,000 円 あち 背景と目的 マレーシアの各州における障がい児の療育は、地域リハビリテーションセンター(CBR)で 行っているが、スタッフは障がい児の母親や兄弟姉妹などで、リハビリテーションの専門 的教育を受けているものはほとんどいない。そのため、保護者から、CBR における指導内容、 指導方法の充実に対するニーズは高く、その改善が強く求められている。また、療育の担 い手である保護者の連携は個人レベルに留まっており、総合的な障がい児のための療養シ ステムは構築されていない。 本年度は、セランゴール州、ネグリスンビラン州、ジョホール州、ケダ州及びトレンガ ル州において、CBR のスタッフ、障がい者収容施設スタッフ、障がい児、保護者を対象に障 害に対する知識、リハビリテーション技術の研修を行い、障がい者療養施設、CBR が一体と なった地域療育システムの構築を図ることとした。 王実施状況 障がい者収容施設アドバイザー養成研修会を、アドバイザー9 名を対象に平成 21 年 7 月、 8 月、10 月、平成 22 年 2 月、3 月の 5 回実施し、人間の発達、発達異常などの臨床心理学 やカウンセリング技法の研修を行った。障がい児及び保護者や CBR スタッフ、障がい者収 容施設スタッフ等の合同研修会を平成 21 年 7 月 20 日から 7 月 25 日と、9 月 28 日から 10 月 3 日の 2 回実施した。2 回の研修会への参加者は合計で、障がい者 48 名、障がい児の保 護者 36 名、CBR スタッフ 45 名、障がい者収容施設スタッフ 29 名、政府関係者 4 名が出席 し、日本からもリハビリテーションの専門家が 7 名参加し、指導を行った。 各州での保護者研修会を合計 8 回実施し、合計 121 名の保護者が参加した。また、CBR の 巡回指導も実施し、障がい児に対する指導、訓練方法の情報交換を行った。 日本からは、平成 21 年 7 月 18 日から 7 月 26 日の間、教員免許やトレーナー資格を有す る専門家を 4 名、平成 21 年 9 月 25 日から 10 月 18 日の間、専門家 3 名を派遣し、合同研 修会の指導者を務めるとともに、保護者や障がい児収容施設スタッフ等に動作法訓練の指 導等行った。また、平成 22 年 2 月 20 日から 3 月 12 日の間に専門家 2 名を派遣し、巡回診 療を行ったり、重度の障害を持つ座位保持が困難な子ども達の訓練など行った。 効果と現地の反響 障がい者施設のアドバイザー研修では福祉の面だけでなく教育的な分野も指導を行い、 受講生からは好評であった。合同研修会の実施により保護者、障がい者施設スタッフ、CBR のスタッフが情報交換するようになり、また、3 州で保護者連絡会が発足し、障がい者ネッ トワークの構築が図られた。 保護者からは「このような研修は子どもの教育やリハビリの知識が得られ、家でも続ける ことが出来ます」、トレーナーからは「動作法は障がい者にとても良い。リハビリセンター での子どもの訓練にとても効果があります」などアンケートの回答があった。 9 特定非営利活動法人 黄土高原環境・緑化計画 中 国 所在地:茨城県 事業名:生徒のための学校付属農場の整備及び周辺緑化 配分額:4,835,000 円 あち 背景と目的 寧夏回族自治区塩池県高沙窩鎮魏庄子地区は、ゴビ砂漠に接し、砂漠化の進行が著しい 地区である。浅井戸灌漑による塩害の発生と耕地の荒漠化及び流動砂丘の拡大が進み、就 学支援費用を賄う目的で整備された学校付属農場は荒廃し、使用を中止せざるを得なくな っている。また、砂漠化による貧困世帯の拡大や学校の資金難による就学困難児童が増大 している。 当団体は、これまで塩池県林業局、高沙窩鎮の協力を受け、高沙窩中学校と共同で砂丘 を固定化して高沙窩中学校付属農場の再整備、周辺緑化を行い、農業実習、牧草栽培、羊 養育などを行うことにより、就学困難児童の解消、学校教育環境の改善を行ってきた。 本年度は当事業の最終年であることを踏まえ、昨年に引き続き塩害が発生した耕作地の 土壌改良、牧草等の播種、経済林や防風林の植林などの緑化支援を行うと共に、生徒のた めの学校付属農場の作業棟を建設し、農場の最終整備を行うこととした。 王実施状況 学校付属農場の作業棟の建設は、高沙窩中学校付属農場に建設することとし、平成 21 年 7 月 13 日に着工し、10 月 26 日に 84 ㎡の作業棟が完成した。10 月 14 日には、当団体と高 沙窩中学校、高沙窩鎮政府、塩池県林業局で評議し、高沙窩鎮政府と高沙窩中学校が作業 棟の今後の運営を行うこととなった。 土地改良は、平成 21 年 4 月中旬に、大型耕運機を使用し 11.6ha を起耕した。苜蓿(ウ マゴヤシ)、蘇丹草(スダンソウ)、甘草、トウモロコシの種を購入し、4 月と 5 月に分けて 播種作付けを行った。経済林の植林は、春、秋の 2 回に分け、沙棗、桑、りんごなど 17,300 本を植樹した。防風林の植林は春、秋の 2 回に分け、新彊ポプラなど 66,260 本を植樹した。 日本からは、平成 21 年 4 月 14 日から 4 月 23 日の間、平成 21 年 6 月 29 日から 7 月 12 日の間、平成 21 年 10 月 12 日から 10 月 23 日の間及び、平成 22 年 3 月 20 日から 3 月 26 日の間に団体代表者等を派遣し事業の進捗状況の確認を行った。 効果と現地の反響 寧夏自治区政府において、当団体の活動が広く認知され、次の緑化サイト候補地の現地 調査の要請を受けるなど、現地での反響は大きくなった。 塩池県長、高沙窩鎮長、中学校長など県、高沙窩鎮の行政関係者から、直接感謝の言葉 や、今後も積極的に緑化に取り組むという意思表示があった。 高沙窩中学校付属農場では、昨年生まれた子羊 11 頭を販売した。その代金でプリンター 2 台を購入し、学校の教育設備改良に対する実質的効果が生まれた。 この具体的成果により、中学校生徒に緑化事業、農業環境整備事業に対する取り組みの 意義及び成果が具体的に示され、生徒達に未来につながる夢を与えたと好評を得た。 10 財団法人 日本国際親善厚生財団 タ イ 所在地:茨城県 事業名:ミャンマーからの流入者及び山岳民族に対する巡回医療、妊婦検診、ワク チン接種、医療技術指導の実施 配分額:14,314,000 円 あち 背景と目的 ミャンマーとの国境に位置する北部チェンライ県メーサイ地区は、多数のミャンマー人 が流入し、労働、生活している。メーサイ地区の人口 86,000 名の内、ミャンマー人は登録 されているだけでも約 4,500 名おり、未登録を含めるともっと多いことが予想されている。 また、タイ国の身分証明書を持たない少数山岳民族は約 9,000 名居住しているといわれて いる。 タイ政府は、タイ国民に対し、無償で医療を提供しているが、タイ国籍を持たないミャ ンマー人や山岳民族はこの恩恵を受けていない。また、メーサイ地区の医療の中心である 国立メーサイ病院には産婦人科の専門医が不在で、保健センターには医師がおらず、4 保健 センターの内、2 保健センターには看護師がいるが、残りの 2 センターには看護師もいない。 本年度はメーサイ病院の助産婦、看護師に医療技術の指導を行うと共に、4 か所の保健セ ンターで巡回診療を行い、妊婦検診のほか 4 歳児を対象とするワクチンの接種、医療技術 の指導等を行うこととした。 王実施状況 携帯用超音波映像診断装置や心電計、胎児測定装置などを現地に配備した。超音波診断 装置は、軽便で移動が容易であり、受診者に結果を分りやすく説明できることから、妊婦 に安心感を与え、極めて好評であった。巡回診療は 5 か所の保健センターにおいて 653 名 の妊産婦の検診、保健指導を実施した。平成 21 年 6 月から開始した産科巡回診療システム は、各保健センターでの診療の際に異常が認められた受診者は、メーサイ病院で再検・再 診が可能となり、システムは定着した。また、タイ語とミャンマー語を併記した母子手帳 を 1,000 部作成し、各保健センター及びメーサイ病院に配布した。 日本から産科の医師を 1 名平成 21 年 4 月、5 月、7 月、9 月、11 月、平成 22 年 2 月に派 遣し 53 日間現地で産科指導を行った。指導はメーサイ病院の産科病棟等の回診を通し、タ イ人助産師、看護師等へ、巡回診療においては保健センターの保健師、看護師等に対する 医療技術指導を行った。また、助産師 1 名を 1 年間現地に派遣し、現地医療スタッフと共 に月間約 300 名の妊婦検診にあたるとともに、実務指導を行った。 効果と現地の反響 巡回診療の受診者からは、「母体保護や保健衛生に関する知識を得ることが出来た」、「超 音波検診を受けることが出来たので、出産の不安が解消された」、「メーサイ病院に行くに は 1 日がかりであったが、山奥の村に居ながら検診を受けることができ、経済的負担も軽 減されてありがたかった」と感謝の声が聞かれた。 また、メーサイ病院のスラ院長からは、「メーサイ病院では 7 名の医師で毎日 500 名の患 者を診察している。患者の数に比べ医師の数が少なく、タイ人以外の患者への対応は手が 回らない状況であった。この支援により、ミャンマー人や山岳民族の妊婦が検診やワクチ ン接種等のケアが受けられ、大変有益であった」と感謝された。 11 アジア・アフリカと共に歩む会 南アフリカ 所在地:埼玉県 事業名:貧困地域の教師及び生徒に対する基礎教育の改善と向上のための図書活動 支援 配分額:6,490,000 円 あち 背景と目的 クワズールーナタール州・ンドウェドウェ地域の学校には図書室や実験室の設備が全く なく、水道や電気もほとんどきていない。特に本や教材が不足しており、基本的な読み書 きが出来ない生徒が数多くいる。また、教師自身が経験していないため、図書室の利用の 仕方を理解しておらず、本を読む習慣がない。州や国の行政の優先順位から外れている同 地域では、早急な基礎教育改善への支援が求められていた。 当団体では、日本から送った移動図書館車で、地域内の小学校を巡回し、教師の能力向 上への指導や教材の支援、読書後に感想文を書かせることで生徒の読み書きの能力の向上 など、基礎教育の改善を目的とした活動を実施することとした。 王実施状況 移動図書館の巡回は 30 校を選定したが、事業終了時までに参加希望があり 4 校増え、各 校を 1 学期に 2 回、年間 8 回訪問した。巡回は、研修会の際にスケジュール表を配布し、 他の教師も受入準備ができるようにした。低学年は担任教師がクラスで利用する本を選び、 高学年は順番にバスに来て本を選んだ。借りた本を友達と交換し合って読んでいるので、 年間で 10 冊以上の本を読むことができ、ルールやマナーを守り、破ったり文字を書き込ん だりしないで大切に利用している。 各校の「図書担当教師」に任命された教師を対象に、各学期 1 回計 4 回の研修会を開催 し、図書室の役割と管理の仕方、図書室の使い方、基本的な本の分類の仕方、本の有効な 利用法、各学年に適切な本の選び方の指導をした。教師たちは、生徒に本を読むよう指導 するにはまず教師自身からということを理解し、積極的に本を読み、授業にも活用してい る。また、各校に木製の本棚を 5 台ずつ寄贈した。 日本からは、平成 21 年 4 月 1 日から平成 22 年 3 月 31 日までの 1 年間、プロジェクトマ ネージャーを派遣した。また、平成 21 年 8 月 17 日から 8 月 23 日の 7 日間、専門家を派遣 し、事業の現地調整や進捗管理を行った。 効果と現地の反響 各校の校長や教師たちからは、「学校図書室設立という長年の夢がかなった」、 「プロジェ クトを実現させてくれた日本の皆さんに感謝します」等の言葉があった。学校図書室への 支援と同時に、移動図書館車での巡回訪問を継続して行っていることも喜ばれている。 教師は、感想文や研究発表などの活動によって個々の生徒の読み書き能力の把握ができ るようになり、それをもとに今後の指導を行っていきたいと話している。 これまで目立たなかった生徒が本を読む機会を得ることにより、能力を発揮したケースも あった。また、地域や学校に余暇を過ごす場所がなく、時間を持て余すことで、悪事に関 わる生徒がいるため、特に男子生徒が本に触れる機会を持てたことを喜んでいる。 12 特定非営利活動法人 東方科学技術協力会 中 国 所在地:埼玉県 事業名:農民のための無灌漑による塩地茅の栽培技術の確立と耐アルカリ性アルフ ァルファの栽培 配分額:3,534,000 円 あち 背景と目的 中国はめざましい経済発展を遂げ、今や「世界の工場」と呼ばれるほど急成長している。 その一方内陸部では開発の波に乗れず、未だ年収 1,500 元(約 22,000 円)程度の農民も多い。 吉林省大安市大崗子鎮はそのような地域であり、各農家の所有耕地面積が少なく、これ まで灌漑設備もない天水に頼る畑作農業を行っている。畑周辺は豊かな草原であったが、 強アルカリ性の土壌で降雨量が少なく、表土も薄く、人口増と羊の過放牧のため荒廃した。 その上地表が裸地になったため、乾湿の繰り返しを受け土壌のアルカリ化がますます進み、 不毛の大地に変貌した。この荒地で各農家は、餌不足に悩みながら羊の飼育を続けている。 当団体は、このような荒廃した 80 万 ha の荒地を自然治癒力(塩地茅の栽培)により修 復することを目的とし、修復した草地を再度荒廃させないため、農民にアルカリ性の土壌 の正しい扱い方、この地方にあった羊の飼育方法などの技術研修が必要と考えている。 今年度は、アルカリ性の土壌を修復する塩地茅の大規模無灌漑栽培法を確立する(20ha)。 また、耐アルカリ性アルファルファの栽培(20ha)を行い、現地農民にアルカリ土壌の扱 い方、羊の飼育などの技術研修を行うこととした。 王実施状況 自然治癒力による回復事業として、平成 21 年 5 月に塩地茅を 20ha 播種した。6 月の発芽 率は良かったが、8 月の旱魃により 9 月には塩地茅の株は全てなくなった。しかし、畝を造 成したことにより裸地に虎の尾草、蒙古松菜等が植生し、それらによる地表の被覆率は 60% を超えた。また、2 年目となる塩地茅の播種地は、新たに種子が発芽生育するだけでなく、 前年生えた塩地茅の株が大きく成長し、裸地に虎の尾草、蒙古松菜等が生育するなどから、 地表の被覆率が高まった(優に 60%を超えている)。耐アルカリ性アルファルファの展示圃 場 20ha 造成事業は、播種地に平成 21 年 6 月に施肥、補植、栽培管理を実施した。刈り取 りは、9 月の1回であったが、旱魃のため収穫量は 1ha 当り 2.0tにとどまった。 農民に対する人材育成事業は、平成 21 年 7 月 20 日から 7 月 29 日の 10 日間に屋外にお ける実地研修と 10 月 30 日から 12 月 8 日の 40 日間の屋内研修を行った。参加者は 20 歳代 から 50 歳代の 30 名の農民が参加し、吉林省農業科学院の職員が講師を務めた。 日本からは、平成 21 年 6 月に土壌の専門家等3名を 11 日間、平成 21 年 9 月に農業生命 学の専門家等 5 名を 8 日間派遣し、塩地茅やアルファルファの栽培状況の確認、荒廃地の 植生調査、土壌改良試験を実施した。 効果と現地の反響 共同で事業を実施している吉林省農業科学院からは、技術支援を続けて欲しいとの要望 が寄せられた。アルファルファは、施肥、補植後、旱魃の影響を受けたものの、展示圃場 全体でそれなりの成果があり、羊草からアルファルファへの転作に問題がないことを示し、 今後、農民の手本になるであろうと期待されている。 13 特定非営利活動法人 NPOアジアマインド タ イ 所在地:埼玉県 事業名:ろう学校教職員に対する研修会の開催 配分額:3,951,000 円 あち 背景と目的 タイのろう学校では、日本で実践されている聴覚口話法や早期教育(就学前相談)、聴能 訓練を教育現場に取り入れようとする姿勢が見られ、また、ヨーロッパやアメリカからも 良いところを学ぼうとする積極的な面がある反面、多くのものを取り入れようとするあま り、見通しや方向性、明確な指導方法をもっていない状況にある。補聴器の活用はあるも のの、学校が全体で取り組むシステムが確立していない。聴覚活用を学校全体の取り組み として定着させることが必要であり、こうした意味で、補聴システムの機器の導入と同時 に、それらの機器を十分活用できる教員の絶対数を増やす定期的な技術支援が必要である。 今年度は、バンコク特別区及びチョンブリー県それぞれのろう学校で研修会を開催し、 ろう学校の教師が基本的に身につけておくべき基礎知識と補聴器や必要な教育教材の取り 扱いを、さらにセカンドステップ研修として、ろう学校で「補聴器をどの場面で活用して いくか」、「聴覚障がい児に補聴器を装用し、言葉の拡充を図る」という視点から教育内容 のノウハウを移転することとした。 王実施状況 両校の研修で、音場聴力検査教室と必要機材を設置(設置のための計算ノウハウ等)し、 音場聴力検査により、児童の実際の聴力に合わせて補聴器をフィッティングできるように なったほか、補聴器を使用する児童の日常観察方法、児童へのアドバイス、補聴器管理や 使用方法の技術移転を行った。 セカンドステップ研修は、ろう学校の幼稚部の口話(言葉)、経験の言語化手話、発声、 発語指導全般の具体的指導方法について、日本の教育方法を中心に解説した。 日本からは、平成 21 年 7 月 28 日から 8 月 8 日までの間、ろう学校教師など専門家 4 名 を派遣してセミナーを開催し、音場聴力検査理論、実際の検査方法、補聴器の活用などに ついて指導した。 効果と現地の反響 今年は活動全体を総括する年度ととらえ、現地カウンターパート校の教員も、外国から の支援に頼るだけでなく、独自の研修体制を構築する重要性を認識するようになった。こ れまでの研修により、ろう学校の専門性や技術を向上させた学校も出てきた。 研修参加教員からは、 「聴力検査は、ろう学校である程度経験を持つ教員ならでき、児童 とのコミュニケーションのため正確な聴力レベルを知ることが必要だということが分かっ た」、「ろう教育について経験的に知っていることはあったが、聴力検査の方法や記録のと り方、記録の使い方など、専門的な知識が勉強出来て有意義な研修だった。難しい内容も あったが、丁寧に教えてもらったので大変よく理解出来た」、「現地にはろう教育の専門教 育機関がなく、日本のろう学校の先生が日本でやっていることを紹介してくれたのは本当 に良かった。新しい情報や機械の操作方法、指導(補聴器や発声、発語指導)方法等技術的 なことなど知らないことがたくさんあり、もっと勉強したい」等の意見が多数寄せられた。 14 ベトナムの「子どもの家」を支える会 ベトナム 所在地:千葉県 事業名:障がい児・ストリートチルドレンの自立支援のための職業訓練等の実施 配分額:5,782,000 円 あち 背景と目的 ベトナム中部にあるトゥアティエンフエ省とその首都フエ市周辺はベトナム戦争中に大 量に枯葉剤が散布された地域である。南のホーチミン市、北のハノイ市に比べ、著しく経 済発展が遅れ、若者の失業率も高い。地域の生活困難家庭の子ども達は、就職先がなく、 売春など違法な世界に足を踏み入れる子ども達もいる。 当団体は過去 14 年にわたりストリートチルドレンや障害児の支援プロジェクトを実施し てきた。また、平成 19 年上期、下期で取り組んだ「縫製研修センター」、「アクセサリー研 修センター」の訓練において、技術向上を目指した。 今年度はさらに研修の質を高め、製品の販売、輸出を可能とし、ストリートチルドレン の自立、自活を支援することとした。 王実施状況 「子どもの家」での職業訓練は、10 名のスタッフと 8 名の職業訓練・学習指導教師等によ り 52 名の子ども達を対象に行われ、10 名の子ども達が教師、ミシン工、アルミの窓枠作り 等の職を得て、自立していった。 縫製研修センターでは、8 名の主任スタッフ(裁断・縫製・仕上げ・検針等)が約 60 名の 研修生に縫製技術の指導を行った。研修生の多くは生活困難な家庭の若者である。 平成 20 年 5 月からは宇都宮縫製工業組合から専門の縫製技術指導員が常駐するようにな り、研修生の技術指導が常時行われるようになった。その結果、本年度は月産 7,000 枚の 婦人用ブラウスや若者向けパンツを生産し、日本向けに輸出が可能となり、その利益は研 修生の自立のために還元した。 アクセサリー研修センターは平成 19 年に設立し、責任者を 1 名配置し、専用ペンチの使 い方、部品の取り付け、分別など基礎研修や日本からの専門技術者の指導を受け技術研修 を行ってきた。研修生 15 名は全員船上生活者である。平成 21 年 4 月及び 12 月に日本のア クセサリー会社から各 2 名の技術員の派遣を受け、2 回の技術指導が行われた。 日本からは、年間を通じて団体代表及びスタッフが現地に駐在し、事業の現地調整や進 捗管理を行った。 効果と現地の反響 平成 22 年 1 月 15 日に、本事業はベトナム教育訓練省から文部大臣表彰を受賞した。授賞 式には、大統領も参加し、事業状況はテレビで放送され、ベトナム全土の人々が、国際ボ ランティア貯金のプロジェクトを知るところとなった。 また、平成 22 年 1 月 29 日には、当団体とフエ市人民委員会の間で、「ストリートチルド レンや生活困難な家庭の子弟を共同して救済するプロジェクトを今後 10 年更に進める」こ とで合意し、調印式を行った。 縫製研修センターの技術水準は、現在では海外輸出も可能な水準に到達した。今後はベト ナム国内外への販路の拡大を目指していく。 15 カンボジア 特定非営利活動法人 ASAC カンボジアに学校を贈る会 所在地:千葉県 事業名:住民のための識字教育の実施及び識字教師の育成 配分額:2,463,000 円 あち 背景と目的 カンボジアにおける 15 歳から 44 歳の非識字率は 21%であり、当団体の支援するコンポ ンチャム州にあるタンクロサン地区は 15 歳から 45 歳の住民 5,935 名の内、 964 名(16.2%)、 トムノ地区は 4,244 名の内、590 名(13.9%)が非識字者で全国に比べれば高くないが、村に より差があり、20%を超える村もある。また、小学校を退学する子どもが 4 割を超える状 況であり、毎年非識字者が増える状況にある。 本年度は、このタンクロサン地区及びトムノ地区の特に非識字率の高い 7 村で識字教師 各村 1 名を選出し、識字教師へのトレーニングを行った後、各村において、週 6 日(月曜日 から土曜日)毎日 2 時間、6 か月間の識字教室を開催することとした。 王実施状況 タンクロサン地区及びトムノ地区の村では、平成 21 年 7 月 9 日に日本人スタッフ、識字 スーパーバイザー等が 7 村を訪問し現地の教師を選出した。8 月 3 日から 8 月 26 日までの 21 日間、識字教師トレーニングを行い、平成 21 年 9 月 10 日から、8 クラス 202 名の住民 を対象に識字教室を開始した。6 か月の開講期間中にテストを 3 回実施し、生徒の習得状況 を確認するとともに、成績により、閉講式に修了証書を発行することとした。識字教室終 了の平成 22 年 3 月の時点で、181 名がクメール語の読み書きや基礎的な計算が出来るよう になり、172 名の生徒が修了証書を受け取った。クメール語の読み書き等の定着を図るため、 平成 22 年 2 月には生活日誌を配布し、日誌の付け方を毎日指導した。また、修了時には、 本を配布し、日常的に文字に触れさせる機会とした。 日本からは専門家を平成 21 年 7 月 1 日から 8 月 31 日の間、平成 22 年 2 月 1 日から 3 月 31 日の間、派遣し、識字教師の選出等事業の管理を行った他、平成 21 年 9 月 9 日から 10 月 18 日の間、事務局長を、平成 21 年 9 月 28 日から平成 22 年 1 月 31 日の間、専門家(元 高校教師)を派遣し、現地の識字スーパーバイザーや識字教師との月例会議など事業の推 進に当たった。 効果と現地の反響 識字教室の生徒のボンベン村のコーンさんからは、「生活日誌を書くようになってから、 私の生活は大きく変わりました。お金をいくら使って、いくら収入があったか分かり、支 出を計画的にし、貯めることが出来るようになりました」、クトゥム村のエンさんからは、 「識字教室に通って、お経の本が読めるようになった。文字が読めて計算が出来るようにな り、商いにとても役立っている」など多くの生徒から感想が寄せられた。 識字教師のブンペイン氏は「このコースを終了した生徒は 181 名(女性 132 名)、試験に 合格した生徒は 172 名(女性 126 名)で、このような良い結果が出せてうれしく思います」 とコースの修了にあたり挨拶した。 また、トロペアン・スノー村の村長のセイムソ氏からは、「この村は僻地にあり大きな市 場から離れていて、住民の 30%は非識字者です。村には新聞や雑誌という読み物はありま せん。今後も識字教室を開催して欲しい」と感謝の意と、事業継続への期待が寄せられた。 16 イ ン ド 特定非営利活動法人 エル・エンジェル国際ボランティア協会 所在地:神奈川県 事業名:ストリートチルドレンのための児童養護施設の建設及び運営 配分額:9,747,000 円 あち 背景と目的 アンドラプラデッシュ州スリカクラム地区は、人口 240 万人、面積 5,837 ㎢の地域であ る。この地域は広大な農地とベンガル湾に面した漁業が主な産業で、そこに住む大多数の ストリートチルドレンは、農業を営み災害又は作物の不作のため借金生活に陥り、田畑を 手放した結果生活苦により両親が失踪した者、漁業で生計をたてている両親が水難事故に あって孤児になった者、あるいはエイズにより両親が若くして病死した孤児が多い。子ど も達が一番ぬくもりの欲しい時期に親がいず、住むところ、勉強するところもない。 当団体は、スリカクラム地区には彼等を収容する施設がないため、20 名の孤児を受け入 れられる施設を建設し、助け合いながら生活することの大切さを学ばせることとした。 王実施状況 エル・エンジェルチャイルドホームの建設は、平成 21 年 4 月 4 日に着工し、平成 22 年 3 月 25 日に完成した。施設の規模は、敷地面積 約 401 ㎡、建物総面積 約 306 ㎡、部屋数 は 6 室(男子部屋、女子部屋、学習室、食堂、キッチン、小型収納庫、管理人室)、トイレ(男 子 2、女子 2)、収容人員 20 名である。孤児たちが生活するのに必要な木製簡易寝台、ベ ッド、化粧テーブル、木製ロッカーなどを配備した。また、孤児たちの衣服、靴など日常 生活必需品を購入し、平成 22 年 5 月から孤児を受け入れる体制作りを行った。 日本からは、スタッフ 1 名を平成 21 年 4 月 1 日から 4 月 6 日まで、1 名を平成 21 年 4 月 3 日から 4 月 6 日まで、スタッフ 2 名を平成 21 年 9 月 28 日から 10 月 3 日まで、団体代表 及びスタッフ 2 名を平成 22 年 3 月 22 日から 3 月 25 日までの計 4 回、16 日間派遣し、事業 実施の確認等を行った。 効果と現地の反響 これまで、スリカクラム地区には児童養護施設がなく、路上で寝起きするストリートチ ルドレン等飢えに苦しんでいる子ども達への対応が大きな社会問題となっていた。 現地の人々からは、「このたびの児童養護施設完成は彼らの非行防止等にも効果があり、 地域の教育、福祉、安全等で大きな改善が期待でき、日本の皆さんの方々には大変感謝し たい」との意見が寄せられた。 また、ビシャカパトナム、スリカクラム両地域を統括するビシャカパトナム都市開発局 副議長からは、「ボランティア貯金の寄附金配分を受け、建設した児童養護施設の完成に敬 意と感謝を表したい」との言葉をいただいた。 平成 22 年 3 月 23 日に開催した児童養護施設落成式には、複数の現地新聞社が来所して 活動状況などを取材し、翌日の多くの現地新聞に記事として取り上げられ、また、当日夜 のテレビでも放映された。 英文紙「THE HINDU」では、「子ども達は 18 歳の年齢になるまで、技術的なトレーニング や教育を受け、その後、彼らの成績によっては、更なる教育の資金提供が受けられる。優 れた子ども達は、更に日本での高等教育の支援も受けられる」と活動を紹介された。 17 特定非営利活動法人 神奈川歯科大学南東アジア支援団 フィリピン 所在地:神奈川県 事業名:口唇口蓋裂患者の治療及び手術技術移転 配分額:3,940,000 円 あち 背景と目的 フィリピンでは、貧困と社会福祉制度の未発達、手術技術者不足により口唇口蓋裂児は ほとんど手術が受けられない状況にある。口唇口蓋裂手術が出来る医師がほとんどいない ことも問題であるが、約 80%の貧困層の家庭では経済的な理由により治療を受けることが 出来ない。 これにより、発音障害等で就学、社会参加に支障をきたしている子ども達が数多くいる。 本年はネグロス島東部並びに周辺の離島の住民を対象とし、約 20 名程度の子ども達の手 術を行い、口唇口蓋裂児の社会的偏見からの救済並びに就学・就職等の社会復帰を支援す ることとした。 王実施状況 事業を開始するに当たり、平成 21 年 4 月に短期医療許可の申請をフィリピン政府に行っ た。患者の募集に当たっては、現地のラジオ、協会、保健所を通して周知や募集を行った 後、平成 21 年 5 月に、現地小児科医が応募してきた患者の検診を行った。 事前検診は、当初、日本から医師を派遣して行う予定であったが、新型インフルエンザ の発生による渡航自粛のため、現地医師が行った。 日本からは、平成 21 年 8 月 3 日から 8 月 9 日の間、歯科医師及び口腔外科医を 10 名、 看護師 1 名を派遣し、口唇裂 9 名、口蓋裂 7 名、残存ろう孔 1 名の計 17 名の手術を行った。 また、平成 22 年 2 月 15 日から 2 月 20 日の間、歯科口腔外科医を 1 名派遣し、手術した 患者の家庭を訪問し、手術後の診察を行った。 効果と現地の反響 当団体では、毎年、医師団を派遣して手術を行っているので、現地では市民の認知度も 高まっている。 手術を受けた子ども達はいずれも経過良好であり、親を含め皆喜んでいる。 手術後、学校に復帰するもの、言葉を話すようになるもの、職を得るもの等さまざまで あるが、子ども達だけでなく、その家族は、手術前とはまったく異なった人生を歩み始め ている。 18 特定非営利活動法人 神奈川歯科大学南東アジア支援団 タ イ 所在地:神奈川県 事業名:住民のための歯科医療サービス(検診・治療)の提供 配分額:8,752,000 円 あち 背景と目的 現在タイでは、好調な経済状態を背景として、欧米系の食料が流入することにより、食 習慣が急激に変化している。この、食習慣の急激な変化により、小児う蝕が急増し、平成 20 年 7 月の検診結果では、幼稚園児の 81.8%が虫歯に侵されていた。 当団体では、地域全体の経済状況が概して豊かでなく、医療サービスを受ける機会が少 ない住民が大多数を占める、バンコクのクロントイ・スラム地区で事業を実施することと した。 まずは、口腔衛生概念の向上と歯科予防の重要性の認識を高めることを当面の課題とし、 幼稚園や小学校の児童と地域住民の口腔検診、歯みがき指導を行い、特に児童にはフッソ による歯の強化を図ることとした。 王実施状況 医療従事者の絶対的な不足を補うには、最小限の資源で最大の効果が期待できる疾病予 防が効果的であることから、幼稚園児、小学生を中心に歯科検診、ブラッシング指導、フ ッ素による健全歯の予防、紙芝居による歯科予防指導を、平成 21 年 5 月から平成 22 年 2 月の間に 7 回、インフルエンザ等による日程変更を行いながら、歯科医師等を延べ 43 名派 遣して実施した。 当初 2,000 名を対象に歯科活動を行う予定であったが、日程の変更、現地の依頼により 人数が増え、3,094 名に歯科検診・指導・予防を実施した。 日本からの 7 回の派遣は平成 21 年 5 月 2 日から 5 月 6 日までの間、歯科医師 2 名、歯科 技工士 2 名を、7 月 25 日から 7 月 31 日までの間、歯科医師 8 名を、8 月 12 日から 8 月 16 日の間、歯科医師 2 名、歯科衛生士 6 名を、9 月 18 日から 9 月 24 日の間、歯科医師 11 名、 11 月 8 日から 11 月 12 日までの間、歯科医師 3 名、歯科衛生士 2 名を、12 月 16 日から 12 月 20 日の間、歯科医師 5 名を、平成 22 年 2 月 17 日から 2 月 21 日の間、歯科医師 2 名を 派遣した。 効果と現地の反響 治療活動の実施場所に行くと「Welcome KDC-SAS」のボードが掲げられ、日本語で「こ んにちは」と挨拶され、花の首飾りで迎えてくれた。また、現地保健所長は一緒に最後ま で活動を行った。 学校教育者達からは「歯の大切さが良く理解できた。今後校内で食後の歯ブラシ習慣を 取り入れていきたい。」 、母親達からは「私達が歯科医院でフッ素をした場合、800 バーツか ら 1,000 バーツ(日本円で約 2,000 円から 3,000 円)程度かかります。子どもの成長期に歯 を守ることはよくわかっていますが、生活だけで大変です。このような活動を開いてくれ てありがとうございました。」など感謝の言葉が聞かれた。 19 フィリピン 特定非営利活動法人 草の根援助運動 所在地:神奈川県 事業名:地域住民のための環境保全・回復活動(禁漁区の設置と植林)の実施及び 代替生計手段の確保 配分額:7,551,000 円 あち 背景と目的 近年のフィリピン経済は好調であるが、漁業従事者からの聞き取り調査では、平均月収 は約 2,000 ペソと平成 15 年当時と変わりなく、これはフィリピン国家統計局が示す国民の 平均年収の 7 分の 1 程度しかなく、住民の生活は非常に苦しい。 当団体がマニラ湾沿岸で平成 12 年から平成 15 年に実施した環境回復と生計手段の確保 を目的とした「マニラ湾沿岸漁村における沿岸資源管理システム形成プロジェクト」を実 施し、一定の成果を得た。しかし、平成 20 年 8 月の調査で、不法漁法による被害、マング ローブの減少、禁漁区の曖昧化、住民組織や意識の疲弊等による漁業資源回復力の低下、 漁獲量の減少が大きな問題となっていることが判明した。 本年度は、マニラ湾沿岸の 5 町村において、住民主導による漁場の環境保全・回復運動 を実施し、併せて代替生計手段の確保を支援することとした。 王実施状況 平成 21 年 5 月、9 月及び平成 22 年 2 月・3 月に住民や地方自治体や漁業学校、現地企業 など多くの参加を得て、53,000 本のマングローブ苗の植林を実施し、25,000 本の育苗も行 った。禁漁区については、カビテ州ナイク、カビテ州サンタメルセデス、バターン州オリ オン等で漁民組織ミーティング他各種ミーティングを繰り返し実施した。ナイクでは平成 21 年 11 月 16 日に、自治体とカビテ州立大学ナイク校の協力を得て、20ha の禁漁区を設置 し、現在もマネジメントチームにより維持運営されている。サンタメルセデスでは現存す る 50ha の禁漁区に消失していたブイの再設置を行った。オリオンでは現存する禁漁区に竹 を立て、禁漁区であることのマーカーとし、大型ブイの設置、禁漁区プロジェクトについ て周知する看板も立てた。アマモの植草は、バターン州オリオンおよびカビテ州サンタメ ルセデスにおいて、日本人専門家が協力し、アマモの固定と植生調査を行った。 日本からは平成 21 年 4 月 13 日から 4 月 24 日の間に 1 名、平成 21 年 5 月 13 日から 5 月 19 日の間に 4 名、平成 21 年 8 月 8 日から 8 月 29 日の間に 2 名、平成 21 年 11 月 15 日から 11 月 27 日の間に 1 名、平成 22 年 2 月 25 日から 3 月 11 日の間に 1 名のスタッフや海洋資 源専門家、国際社会開発学の専門家を派遣し、事業の調整や現地の指導に当たった。 効果と現地の反響 住民代表は、「マングローブの植林は少しずつだが成果が上がっている」。オリオン町長 からは、 「この支援をしてくれる日本の人々に感謝の意を表したい」。ナイクの漁民代表は、 「数年前の台風で禁漁区が無くなったとき、私は大泣きした。今回禁漁区の支援により今 度こそ海の資源を守っていきたい」。現地スタッフからは、「私は海洋関係の専門家だが、 プロジェクトに係わるまではマングローブが海洋環境にとって大切だということを知らな かった。薪や建材として利用する住民もいるので、このプロジェクトが大いに意義のある 支援と感じている」等の声が寄せられた。 20 特定非営利活動法人 国際援助団体 アイウエオサークル ネパール 所在地:神奈川県 事業名:パブリック校(10年制の公立学校)の教師に対するインストラクション 技術向上のためのトレーニングの実施 配分額:5,009,000 円 あち 背景と目的 完了報告書未提出のため不明 王実施状況 完了報告書未提出のため不明 効果と現地の反響 完了報告書未提出のため不明 21 中国内蒙古沙丘・草原緑化研究会 中 国 所在地:神奈川県 事業名:沙漠化防止のための植林及び飛沙防止策の実施 配分額:2,750,000 円 あち 背景と目的 中国内蒙古自治区に広がるホルチン沙地の西端にある烏蘭敖都(ウーランアオジュ)村は 北京から列車で約 11 時間の赤峰市からバスで 2.5 時間の場所にある。 見渡す限りの平原で風沙をさえぎるものがなく、年間の降雨量も 300mm と少なく、水田 はあるものの、水田に隣接している 100ha の移動、半移動沙丘や 200ha の沙化草原地(放牧 にも採草にも使わない状態となった植生退化地)からは北西風が絶えず飛沙を運び、春の田 植では砂塵が強く、収穫の秋には風害による伏倒で収穫減になる等住民の唯一の希望であ る米の自給を脅かしている。 当団体は、地域住民からの「水田西側の沙化草原地をポプラ林で被い風沙の被害を防ぎ たい」との強い要望により、沙化草原地の周囲を家畜被害のための牧柵で囲い、井戸を設 置し、ポプラなどの植林を行い、農業環境整備を目指すこととした。 王実施状況 春の活動は、家畜被害を防ぐための牧柵は水田の回りの全長 6km を 3m ごとに支柱を立て、 ハリガネを張った。牧柵の内側に 6 列の溝を掘り、この溝に沿って、2m 間隔でポプラの苗 木を植林した。潅水用の井戸を 3 か所掘り、溝に沿ってホースで水を流す方法をとった。 牧柵の設置は、相当な力作業であるが、村人の熟練した集団が、比較的ひまな時期を選 んで組仕事で行い、24 日間で完成した。ポプラの植林は住民 60 人が約 20 日間かけ 24,000 本を植樹した。 夏の活動は、当地は高温で日差しが強烈なため、移動沙丘の固定化のため、草方格作り を主な作業とした。草方格は沙地に格子状にワラを埋め込み、飛沙を防ぐもので、その内 側にカラガナ(マメ科、猛暑の時期でも灌漑無しで育つ貴重なもの。沙地の緑化のため最初 に播くと良い)を播き、1ha の草方格が完成した。 日本からは平成 21 年 5 月 2 日から 5 月 10 日までの間と 8 月 1 日から 8 月 8 日までの間 に、代表を含め、スタッフ、ボランティアを派遣し、緑化セミナー、草方格作り、潅水作 業等を行った。 効果と現地の反響 当団体がこの村の支援を開始し 15 年が経過した。今回の事業は、村の共同水田が平原に あって風害沙害がひどいため、村長、書記らが懇願してきたものであり、村人は積極的な 関与と協力を惜しみなく行ってくれた。 緑化については非常に喜ばれており、住民との懇談会においても、 「草方格を設置したこ とにより飛沙が少なくなった」、「家の中に入ってくる砂が減った」と感謝の言葉が多く聞 かれた。 村人とは個人的な繋がりも深まり、忌憚ない話し合いも出来るようになったが、農業環 境整備については、未だ満足できる状態ではなく、今後多くの課題が残されている。 22 フィリピン 特定非営利活動法人 ビラーンの医療と自立を支える会 所在地:神奈川県 事業名:地域住民のための簡易水道施設の建設及び管理組合の支援 配分額:906,000 円 あち 背景と目的 ミンダナオ島南部サランガニ州マルンゴン町ゴメロ村は、住民の 70%がビラーン民族か らなる先住民族の居住地である。山岳部であり、小規模湧き水がすべて涸れる乾季、不潔 な溜まり水を使う雨季、ともに清潔な水が得られないため、皮膚病、胃腸障害などの患者 が減らず、乳幼児は下痢、赤痢、回虫症等の罹患率・死亡率が高い。また、一部世帯で始 まった野菜栽培が、乾季の水不足で育ちが悪く、病気予防の栄養改善ができない。さらに、 乾季の長距離水汲み労働は、妊産婦の場合は流産などの原因になっている。 当団体では、水不足に起因する高い死亡率や貧困問題解決のために、簡易水道施設を建 設し、その管理維持とともに今後の農業や衛生など自立支援研修の受け皿ともなる水道管 理組合を組織することとした。 王実施状況 現地協力組織の代表交代により、簡易水道施設の本工事開始時期が遅れたが、平成 21 年 7 月より水源保護工事、パイプ延伸作業が急ピッチで開始され、中旬にはとりあえず水源の 水を集落まで通水することができた。分水塔の仮設置は 7 月に実施したが、水圧不十分で 水の出ない蛇口があり、8 月に分水塔の設置場所変更などの工事を実施し、9 月に水道管埋 設作業を行い、平成 21 年 11 月末に事業は完了した。 計画通りに 15 か所の水のみ場、洗濯場が設置され、貯水槽新設予定はなかったが、数年 前に設置されて使われていなかった古い貯水槽を利用し、安定的給水を図ることにした。 水道管理組合は事業開始時に発足し、役員、作業ローテーションの決定など作業の過程 ですでに機能していた。事業完了後は、3 か月に 1 度の集会を通じて、使用料徴収を含む維 持管理を実施している。 日本からは、団体代表を平成 21 年 6 月 8 日から 6 月 14 日まで、スタッフを平成 21 年 8 月 5 日から 9 月 10 日まで、団体代表を平成 21 年 11 月 11 日から 11 月 18 日までの 3 回派 遣し、事業開始の準備、実施状況の確認等を行った。 効果と現地の反響 住民は簡易水道の設置を 4 月から待ちわびていた。平成 21 年 6 月 29 日に村にパイプが 届くと、農作業は後回しして皆で協力しパイプを水源まで引っ張り、朝早くから夜遅くま での突貫工事を行った。そのため、約 1 週間で水源の水が中心集落まで届いた。 現地の人々からは、「水道が使えるようになって洗濯が楽になりました。水を汲みに行か なくてよくなった分、農場で働ける時間が増えました。キャベツ、トマトなど野菜をたく さん作っています。水はタンクに汲んで畑にまいています」、「家の近所で洗濯ができ、水 を汲むことができます。本当にありがとうございます。以前のように水を飲んでお腹が痛 くなったりしなくなりました」、 「3 月に巡回診療を手伝ったときに重度の皮膚病の子どもが 何人かいて気の毒だった。十分水浴びが出来るようになって良かった」など感謝の言葉が 多数寄せられた。 23 ムリンディ/ジャパン・ワンラブ・プロジェクト ブルンジ 所在地:神奈川県 事業名:上下肢障がい者のための義肢装具・杖などの製作 配分額:3,988,000 円 あち 背景と目的 ブルンジでは、植民地政策によってもたらされた民族対立が続いており、道路整備や水 道・電気などのインフラも整っておらず、開発が遅れている。紛争のため敷設された地雷 の被害に遭う人や紛争に巻き込まれ手足を失う人が非常に多い。また医療の不足からポリ オなどの病気や事故で上下肢が不自由な人が多いが、障がい者が自立をするための手段の 一つである義肢装具を手に入れることのできる場所は国内にはない。障がい者の多くは、 障害により就業の機会を得ることが出来ず、収入もなく、家族や知り合いに生活を頼って いる。 そこで当団体では、平成 19 年 9 月に首都ブシュンブラ市に義肢製作所を設け、上下肢障 がい者に対し、義肢装具・杖などの製作と配布を行ってきた。国内にはまだたくさんの義 肢装具を必要としている障がい者がおり、今後も事業を継続していく必要がある。 7 年計画の 2 年目である本年度は、120 名の上下肢障がい者に対し義肢装具を製作・配布 するとともに、240 本の杖の製作・配布を行うこととした。 王実施状況 主な義肢材料(プラスチックパイプ、足部、関節部品等)はケニアで調達し、長距離バス で輸送し、その他の部品はルワンダ・ブルンジで購入し、自分達の車で運んだ。外国で調 達した材料等は政府の配慮により無税で通関手続ができた。 基本的に作業は首都ブジュンブラにある当団体の運営する義肢製作所において行い、当 初の目標を上回り義肢装具 124 本、杖 248 本の配布は達成することができた。 平成 21 年 10 月には、政府の好意により、義肢製作所となる場所を提供され、引越しを したが、提供された場所は一般の交通機関のアクセスが悪いため、障がい者の受付は以前 からの事務所で行い、義足の仮合せや歩行訓練時などには、自分たちの車で障がい者を提 供された場所まで移動させた。 また、申請時には予定していなかったことだが、政府の依頼により、地方に住む障がい 者に対して義肢装具製作のための巡回診療を行った。 日本からは、平成 21 年 7 月 16 日から 11 月 15 日の間、及び平成 22 年 2 月 2 日から 2 月 18 日の間の約 4 か月半専門家を派遣し、義肢装具製作に携わった。 効果と現地の反響 ブルンジには当所以外に義肢装具を製作している場所がないため、連日多数の障がい者 が製作所を訪れた。製作した義肢の品質については概ね好評だが、車いすを欲しがる障が い者が多くいた。 巡回診療で地方を訪れた際には、多くの障がい者が義肢を求めてやってきたが、障がい 者の数に対し、供与できた人数が少なかったため、巡回診療で受け付けることのできる障 がい者の数を増やしてほしいという声が多く聞かれた。 また、障がい者の雇用の機会を増やしてほしい、また障がい者を対象とした職業訓練を 行ってほしいという意見も非常に多く聞かれた。 24 特定非営利活動法人 ラブ グリーン ジャパン ネパール 所在地:神奈川県 事業名:農民のための有機農法の研修指導及び農業用施設の設置 配分額:7,615,000 円 あち 背景と目的 首都カトマンズから東へ 50km 行ったカブレ郡のパンチカール渓谷にあるアナイコット村 で女性たちのために有機農業研修センターを建設し、住民たちの悩みであった水の供給の ため、貯水槽、灌漑設備を建設し、土砂崩落の防止事業を現在実施している。 有機農法研修施設が整備され、住民たちは現金収入を得る手立てが見えてきたことによ り、自ら村を変えていこうという積極性が生まれてきた。有機野菜や家畜のミルクの生産 性も向上してきたが、備蓄設備がないため、生産物が廃棄されるという問題があった。 こうした問題を解決するため、今年度は、有機野菜や家畜のミルクを保管する寒冷備蓄 設備を整えた施設設置し、管理する事業を実施することとした。 王実施状況 野菜・ミルクの寒冷蔵施設の建設は、事業途中で設計に変更が生じ、予定より工事が遅 れた。平成 21 年 5 月より、測量、掘削、基礎工事を開始し、建設工事は 10 月より開始さ れ、平成 22 年 3 月に完成した。家畜のミルクは保存期間が短く、保存するには寒冷設備が 不可欠であった。寒冷蔵施設の建設により、住民は確定した販売収益が得られるようにな り、新鮮な有機野菜や乳製品の消費者期待の高まりから、将来性は期待される。 有機農法の研修は、平成 21 年 4 月より有機農業研修センター及びデモ農場を活用して、 月 2 回、講師により実施した。研修の成果としては、女性たちの参加が増加したこと、有 機野菜の品質が向上したことである。 日本からは、団体代表と専門家を平成 21 年 10 月 8 日より 10 月 21 日の 10 日間派遣し、 事業実施状況の確認等を行ったほか、平成 22 年 1 月より日本人スタッフ 1 名をカトマンズ に常駐させた。 効果と現地の反響 本事業により、寒冷備蓄倉庫が完成して、住民は乳製品の保管管理が可能になった。乳 製品の新鮮な状態での出荷、有機野菜栽培法を専門家から学習することによって、首都圏 への乳製品や換金野菜の出荷も可能となる。 こうした展望を持てることに、寒冷設備付き備蓄倉庫使用者グループの「ハリ・カティ ワダ事務局長」及び「トゥルシ・サプコタ代表」より、全使用者グループを代表して「私 たちアナイコット村の住民は、村にとって大変有用な寒冷設備付き備蓄倉庫の設置プロジ ェクトに、多大なるご支援をいただきましたこと、大変感謝しております。このプロジェ クトの完了後は、住民たちは売れる質の良いミルクの備蓄をすることが可能になりました。 そして、備蓄倉庫は収入源のひとつとして活用できるようになりました」との感謝状が寄 せられた。 この地域活動はネパール政府関係者からも注目されており、住民の経済的な自立の可能 性は大いに期待できるとしている。 25 CRI−チルドレンズ・リソース・インターナショナル ブラジル 所在地:神奈川県 事業名:貧困地域の子どものための託児所建設と教育者、保護者に対する教育に関 する啓発活動の実施 配分額:10,110,000 円 あち 背景と目的 サンパウロ州サンパウロ市モンチ・アズール地区は、ファベーラと呼ばれる貧民街が広 がり、農漁村地域から移住してきた貧しい人達が生活している。彼らは安価で厳しい労働 に従事しており、乳幼児のいる家庭でも共働きであることが多い。そのため乳幼児を受け 入れる施設や学童保育所が求められているが、保育園は老朽化し、早急な建て直しが必要 であったため、「モンチ・アズール託児所」を建設することとした。また、建設事業と平行 して公立小学校の教師 100 名を対象に「教育向上キャンペーン」を、また現地協力団体職 員 200 名を対象に「子育て支援向上講座」を開催し、教育者や保護者を対象とした教育に 関する啓発活動を実施することとした。 王実施状況 託児所は、平成 21 年 4 月に現地建設職人と施行打合せ、5 月に建設業者の選定を行い、 中旬に老朽化した建物の取り壊しを開始し、6 月 15 日から建設作業を開始した。建設作業 には現地建設職人 6 名と職業訓練も兼ねて現地青年 2 名を雇い、現地職員 3 名、現地団体 のボランティア 7 名も参加し、現地の子ども達も建設現場体験を実施するなど住民参加型 を取り入れた。平成 22 年 2 月 28 日に建築総面積 264.2 ㎡、16 名収容可能な託児所用教室 2 室、24 名収容可能な保育園用教室 1 室の託児所が完成した。 「教育向上キャンペーン」は、貧困地域における、就学しても進級できずに退学にいた る子どもが多くいるという大きな問題に対して、地域レベルで「子ども時代の大切さ」を 訴えていく必要性の認識を促すために、サンパウロ市内の公立小学校教師を対象として、 延べ 2 回、延べ 152 名を対象に実施した。 「子育て支援向上講座」は「なぜ、幼児にとって人形遊びなどの遊びが必要なのか。」を テーマに、参加者一人ひとりに人形キットを用意して、なぜ幼児教育に良い効果をもたら すかを説明しながら、人形作りを少人数制のワークショップ 3 回に分け、現地協力団体モ ンチ・アズールが支援する地域住民 91 名、現地職員 29 名を対象に行った。 日本からは、スタッフを平成 21 年 4 月 15 日から平成 22 年 3 月 20 日まで 1 名を、平成 22 年 2 月 8 日から 3 月 11 日まで 1 名を、平成 22 年 3 月 1 日から 3 月 17 日まで 1 名を派遣 した。 効果と現地の反響 託児所建設について、保育士や保護者からは、「子ども達や働く人たちにとって、調和の とれた空間であることを期待します。教室は素晴らしくきれいで快適で、私たちの教育活 動に調和をもたらし、よい仕事ができそうです」、「働く間、子どもを預ける場所のない親 にとって、保育園はとても重要だと思う。あまり高額な費用がかからないといいなと思い ます」、「日本の皆さんがたくさんの労力と愛情を注いで作ってくれたこの新しいスペース で、子ども達がたくさん遊んでくれることを期待しています」などと感謝の言葉が寄せら れた。 26 CRI−チルドレンズ・リソース・インターナショナル ブラジル 所在地:神奈川県 事業名:貧困地域の青少年のための職業訓練の実施 配分額:2,643,000 円 あち 背景と目的 ブラジル北東部にある漁村エステーヴァン村は、世界中からの観光客が集まるカノア・ ケプラーダ地区に隣接しており、観光化・近代化の波に大きく影響を受けている。そのた め、村民自らが押し寄せる観光地化の波に対抗して生きていく力、次世代を担う子どもや 青少年たちが自ら将来を選択していく力を育成する必要がある。 今年度は職業訓練を通した人材育成及び経済的な自立を図るため、調理師育成のための 料理講座、木工職人育成のための講座を開設することとした。 王実施状況 貧困地域の青少年のための職業訓練はカノア・ケプラーダ地区に住む青少年を対象に、 新たな職業を経験し技能を身につけることにより雇用の拡大を図ることを目的に、平成 21 年 5 月から平成 22 年 3 月までに 12 回に分け、ワークショップを 36 日間開催した。講師と して現地専門家(木工、アクセサリー、家具修繕、料理、編み物等の職人)を雇用し、青 少年延べ 165 名が参加した。 ワークショップの内容としては、木材を使用した家具・玩具・遊具の製作及び図案作り、 アクセサリー作りと販売体験、家具の修繕(家具リフォーム)、調理指導及び保育園への給 食提供、環境問題への取組み及び植林、毛糸による人形等の制作などである。 現地市政府との協力体制により、ブラジル国内の職業訓練事業に係る講師を招聘するな ど、充実した活動となり、今後の継続した活動が可能となった。また、漁師だけでは生活 が成り立たず、観光地として近隣地域が発展する中、どのように新たな人生を切り開くか など大きな課題を持つ青少年が、自ら興味を持ち、学びたいと感じさせるため、講座の内 容を共に企画した。 日本からは、平成 21 年 5 月 20 日から平成 22 年 3 月 31 日までの間、専門家 1 名を派遣 し、ワークショップの開催等事業の進捗管理を行った。 効果と現地の反響 青少年は調理師への期待が大きく、観光地のレストランで働くことの他、自宅や売り歩 きによる軽食販売の可能性を強く感じている。自営するようになったとき困らないため、 今回は調理実習のほか会計や帳簿の付け方を教えたが、調理は好きだが計算は苦手という ことで、不満の声が聞かれた。 木工講座に関しては期待が大きい中、「家具の修復・修繕の講座は視野を広めることがで きた」という声の反面、 「講座を何回重ねても日常的に指示を仰げる人が側に居ないことで 技術や技能が定着しない」という声も聞かれた。また、観光地ということを踏まえ、そこ に見合った職業訓練の実施を試みたが、技術、技能を磨き、その職業を身に付けた後、そ れを生かしていける場所がないという住民からの意見もあった。 27 ハ イ チ ハイチ友の会 所在地:山梨県 事業名:地域住民のハリケーン被害復興のための植林及び農業支援 配分額:1,626,000 円 あち 背景と目的 南部ニップス地区のチビー村では、連年のハリケーンによる洪水のため、土壌流出が進 み農業、植林へのダメージが大きい。また、食料危機を乗り切るための農作物の生産が必 要とされている。 このため、コーヒー、広葉樹、果樹などの植林によって土壌流出を防ぎ、野菜などの植 付けにより食料不足を回避し、これまでの現地協力団体との連携、責任者としての役割を 果たせるようになった住民等現地の人的資源を活用し、農業復興を目指すこととした。 王実施状況 現地協力団体の農業専門家が平成 21 年 6 月から平成 22 年 4 月までの間に計 9 回、延べ 48 日チビー村を訪問し、カシア・マンゴー・コーヒー・アボカド等の苗木の育成、接木の 準備や指導を行った。 コーヒー苗の育成では、3,500 本分の種を植えたが大雨で全滅したため、1,615 本分を再 度植えたが日照りで 300 本が育たず、最終的に 1,315 本を 78 家庭に分配した。 森林再生用樹木の植林では、カシア 1,200 本を育成し 81 家庭に配布し、1,300 本を育苗 している。 果樹の育成では、マンゴーは種を入手できたが日照り、高温のため成長が遅れ事業期間 中に分配されなかったため、次年度に分配することとした。アボカドは 600 本苗床で育成 され、そのうち 550 本が 67 家庭に分配され、残り 50 本が接木終了後分配されることとな った。ナス、マンゴー、アボカドの接木研修には 9 名が参加し、うち 6 名が受け取った苗 で合計 514 本の接木を行った。また、ヤムイモ栽培の技術指導では、20 名が参加し種芋の 作り方、植え方を ORE(環境復興団体)の農業専門家から指導を受けた。 日本からは、平成 21 年 4 月 1 日から 4 月 17 日までの間、及び 10 月 31 日から 11 月 16 日までの間に代表を派遣し、現地協力団体及び現地コーディネーターとの打合せ、農業技 術指導等を行った。 効果と現地の反響 平成 17 年に植林したカシアが林を形成し、コーヒーが実をつけ始めたことは住民に刺激 となっている。食料状況が厳しい中、接木によって収穫されたナスは全て家庭内で消費さ れ、接木された果樹は商品価値のある木としてだけでなく、食料確保の糧になっている。 特にヤムイモはこの地方の名産であり、現金収入に結びつく可能性が期待される 村をまわると、受益者が誇らしげに植林した苗や接木した木を案内してくれ、受益者な どから、「木を増やすことは村にとっていいことで、満足している」、 「まだまだ木を増やし たいし、苗木の数は村の住民に行きわたるには十分ではない」という意見があり、事業の 継続を熱心に訴えていた。 コーヒー苗については、「一度ほとんど絶えたが復活しつつある」という住民の声にある ように、伝統作物の復活と捉えられている。 28 カンボジア 特定非営利活動法人 アジア・レインボー 所在地:東京都 事業名:貧困地域の住民に対する職業訓練センター開校及び運営指導 配分額:2,857,000 円 あち 背景と目的 首都プノンペン市トゥールコックは貧困住民が多く居住する地域であり、バイクタクシ ー運転手や市場の物売り等日雇いの仕事に従事する住民が多い。 カンボジア全体では、成人の約 30%が非識字者であり、42%が初等教育を終えていない。 また、毎年 30 万人の若者が労働市場で働くが、そのほとんどが中途退学者であり、退学理 由は経済的理由により働くことを余儀なくされたためである。 当団体では、若者が就業の機会を得るため、プノンペン市の貧困地域に職業訓練センタ ーを設立し、多くの失業者が毎月確実に収入を得られる生活の糧となる技術を習得させる ことが急務である。 王実施状況 平成 21 年 7 月、プノンペン市トゥールコックにレインボー職業訓練センター(RVC)を 開校した。バイク修理 1 名、縫製 3 名、美容 1 名の教師の他、職員 13 名を雇用した。地元 の要望の多いバイク修理、縫製、美容の 3 クラスとし、各クラス午前・午後の 2 部制であ るが、縫製については、特に受講希望者が多いことから、夜間を加え 3 部制とした。 各クラスとも随時入所でき、1 日 4 時間(月∼金曜)を 6 か月で修了するプログラムにな っており、事業実施期間内に、バイク修理 38 名、縫製 153 名、美容 41 名が入所し、バイ ク修理 19 名、縫製 67 名、美容 12 名にカンボジア政府発行の修了証が授与された。 日本からは、代表を平成 21 年 5 月 8 日から 5 月 30 日までの間、9 月 10 日から 9 月 30 日 までの間及び平成 22 年 2 月 9 日から 3 月 1 日までの間派遣し、職員の採用、訓練センター のシステム化、運営の問題点の解決等にあたった。 、縫製 効果と現地の反響 修了証が授与された 98 名の内、就職した者は 17 名、店を出す資金を貯めるため工場で 働いている者が 67 名、求職中が 10 名、上級クラスで勉強中の者が 4 名となっている。 研修生からは、「授業料が高額でなく自分でも払える額なので、昼間学校で勉強して夜工 場で働いている。先生は詳細に教えてくれる」 (縫製クラス) 、 「先生は丁寧に教えてくれる。 研修器材が揃っており、教材も豊富にあるので、技術が習得できる。忘れたことがあって も教科書を見れば修理できる」(バイク修理クラス)、「メイク、カット等の技術が習得でき るか心配だったが、習得できた。特にカット技術は日本から専門家が来て教えてくれて勉 強になった」 (美容クラス)等の声が寄せられた。 研修生を対象におこなったアンケートによると、回答者全員が「6 か月学べば、しっかり 技術が習得できる」と考え、8 割が「自分の店を持ちたい」と答えている。また教師の質の 高さ、豊富な設備、安価な授業料についても 8 割の学生が評価している。 29 特定非営利活動法人 アジア教育・文化・自然環境保護日本支援センター スリランカ 所在地:東京都 事業名:貧困地域の小学校のトイレ・配水設備整備、世帯のトイレ設置及び衛生指導 配分額:9,664,000 円 あち 背景と目的 スリランカ北中部州のポロンナルワ県ニッサンカマッラプラ村は、貧困世帯が多い地域 で、トイレのない世帯が多数あり、衛生環境が整備されていない。また、カルタラ県ホラ ナ市のパルピティゴダジュニア学校では、国の予算不足や、周囲からの協力も得にくいこ とからトイレがない状態が続いていた。 当団体では、ニッサンカマッラプラ村のトイレのない 68 世帯にトイレを建設するほか、 パルピティゴダジュニア学校にトイレと配水設備工事を行い、地域の衛生環境整備を目指 すこととした。また、学校内に果樹の苗を植え、収穫した果実を販売し、学校運営に役立 てることを目的とした。 王実施状況 パルピティゴダジュニア学校のトイレと配水設備工事は、平成 21 年 5 月 19 日に着工し、 10 月 28 日に完成した。トイレピット掘り工事は生徒保護者が中心となって行った。雨が多 く、作業が出来ない日が続き、完成予定より 1 か月程度遅れたが、2 つの個室のあるトイレ と、貯水量 1,000 リットルのタンクが完成した。9 月からは、保健担当教諭による衛生指導 を週 1 回程度行い、トイレを使うためのルールや手洗いなど基本的な指導を行った。また、 バナナの苗を 40 本植え、各生徒が担当の木を決めて世話をしている。 ニッサンカマッラプラ村の 68 世帯のトイレ工事は、平成 21 年 5 月 18 日、対象住民によ るトイレピット掘り工事を開始し、平成 22 年 3 月 22 日に幅 6 フィート、奥行き 4 フィー ト、高さ 8 フィートの 68 世帯分のトイレが完成した。トイレピットを掘る重労働が確保出 来ない家庭や地盤が硬くて掘るのに大変な場合は、近隣住民が協力し合って作業した。 また、平成 21 年 9 月 14 日と 9 月 29 日に保健所から指導員を招き、現地住民を対象とし たトイレのきれいな使い方など、基本的な衛生指導を行った。 日本からは平成 21 年 4 月 24 日から 5 月 7 日の間、8 月 17 日から 9 月 7 日の間、12 月 10 日から平成 22 年 1 月 4 日の間に代表他 2 名を派遣し、工事の進捗状況の確認や運営指導等 を行った。 効果と現地の反響 パルピティゴダジュニア学校では、「以前はトイレがほとんど使用できない状態で、トイ レを使用するためには井戸で水を汲んでから行かねばならず、井戸も小さい子どもは転落 の危険があったが、今はトイレまで水が引いてあるので安心して使える」、「衛生的なトイ レが出来たことで、安心して学校に通うことが出来る」、「校舎に近いところに水があるの で手洗いにも助かる」と喜びの声が多数聞かれた。 ニッサンカマッラプラ村では、 「夜ジャングルの中で用を足すのは毒蛇などの危険が多く、 怖かった」、「家の直ぐ近くにトイレが出来て安心だ」、「衛生指導で、トイレをきれいに使 うことを学んだので、大切に使っていきたい」など感謝の声が聞かれた。 30 ラ オ ス 特定非営利活動法人 アジア教育友好協会 所在地:東京都 事業名:教育を受けられない地域の中学生のための教室新設及びトイレの増設等施 設整備 配分額:1,801,000 円 あち 背景と目的 南部のサラワン県タオイ郡パチュドン村には以前は小学校がなく、子ども達は 4 つの村 から 50 名程度が集まる小さな「寺子屋」で勉強していた。 当団体は平成 17 年から平成 18 年にかけ小学校(パチュドン村で初めての公式な学校) と併せて職業訓練、換金作物栽培奨励のため学校菜園、家畜飼育施設等を建設し、2 年を経 た現在は 10 か村から寮生を含む 186 名が通う学校に成長した。今年 4 月に中学校が新設さ れ教員も派遣されたが、校舎はなく小学校の教室を使っている。校舎の不足により、中学 生に必要な教育を施すことが難しく、教室の不足は子ども達や地域の人々に根付きつつあ る教育に対する意欲、協力姿勢の後退をもたらしかねない。 この地域の人々の言語はタオイ語であり、公用語であるラオス語を話せる人は 5%程度で ある。自立するためにはラオス語を話せる人を増やすことが重要であり、中学校まで進め る環境を整えることは地域住民の自立促進のため重要な施策である。 当団体では、地域の要請も強いことから、中学校の校舎 3 教室を新設、トイレの増設を 行うとともに、小学校の小規模補修を行うこととした。 王実施状況 学校施設等の建設は、平成 21 年 7 月に着工し、平成 22 年 3 月に完成した。 山岳地帯僻村における建設工事は、重機を使わず、すべて手作業で行うため、住民参加 型が欠かせないが、村の住民参加型の活動は建設労働奉仕の形で顕著に見られる。村の資 源(隣村からの木材調達、川底から砂と小石を調達など)を利用するなど、経費削減だけ でなく、村人の期待の高さがうかがわれる。また、パチュドンの村人だけでなく、パチュ ドン分校群に子どもを通わせる近隣 10 村の村人は、製材・資材・土運び・整地・基礎工事 などの作業に協力をし、パチュドンの先生・寮生は、作業地の清掃、仮小屋で寝泊りしな がら工事する棟梁たちの食事の世話をした。 日本からは、団体代表を平成 21 年 4 月 4 日から 4 月 18 日までの間と、平成 22 年 2 月 8 日から 2 月 20 日までの間の 2 回、合計 21 日間派遣し、事業実施状況の確認を行った。ま た、スタッフを平成 21 年 9 月 19 日から 9 月 27 日まで 7 日間派遣し、建設状況の確認をし た。 効果と現地の反響 貧困や、教育環境の不整備から、殆どの児童生徒が小学校を修了することさえ難しいタ オイ郡において、2 校目の中学校が建設され、教育の機会が広がった。より多くの児童生徒 がより高い教育を受けられるようになれば、若手リーダーが育ち、地域の自立につながる。 パチュドン中学校長からは、「中学校が出来て、各学年がそれぞれの教室で授業を受けら れるようになり、環境が整備された。先生も 8 名に増え、勉強できる環境が整いました。 本当にありがとうございました」と感謝の言葉が述べられたほか、サラワン県教育局副局 長、タオイ郡教育局長から感謝状が贈られた。 31 マレーシア 特定非営利活動法人 アジア地域福祉と交流の会 所在地:東京都 事業名:障がい者のためのデイセンター運営と生活改善のための養魚場開設 配分額:2,403,000 円 あち 背景と目的 マレーシアは安定した経済成長を実現し、東南アジアの優等生と言われているが、都市 部と地方部の地域格差は大きい。このため、社会的弱者である障がい者を対象とした福祉 サービスはまだまだ充足しているとは言えず、特に市街地を離れた地域などでは教育や職 業訓練を受ける機会が極めて少ない現状である。 当団体は、東マレーシア(ボルネオ島)サラワク州の州都から陸路で約 400km の小都市シ ブから車で 1 時間のところに位置するバワン地区に居住する少数民族のイバン族の村に、 主に知的障がい者のためのデイセンターを建設し、平成 20 年から運営を開始した。この施 設の利用者は、イパン族のロングハウスに住み学校教育を受けていないか、中途退学者が 大半である。障がい者は将来の自立的な生活に向け技術を身につける必要があるが、この 地域は農林地帯(ジャングル)のため、就業の機会も少ない。 本年は、デイセンターの運営を定着させるとともに、約 650 ㎡の養魚場(池数 2)を造成 し、養魚による栄養改善の道を試みると共に、今まで行ってきた創作織物の製品化を目指 すこととした。 王実施状況 デイセンターでは、10 歳から 55 歳までの男性 9 名、女性 4 名が利用し、スタッフはケア ワーカーなど 7 名を雇用した。スタッフの研修は毎週金曜日の午後に行い、障がい福祉論 を講義・討論し、ケース会議を実施した。また、外部研修にはケアワーカー2 名が参加した。 養魚場は平成 21 年 9 月に着工し、11 月に 2 つの池が完成した。平成 22 年 1 月 10 日には 稚魚 800 匹、1 月 20 日には 600 匹を放流した。現地スタッフと利用者、住民などの協力に より、自己負担で、養魚池の約 2 分の 1 にフェンスを巡らすことができた。 住民の健康改善として、昨年度整備した診察室は毎月 1 回定期開設し、住民の健康改善 を図る計画であったが、医師は無給のボランティアとしたため、開設したのは 7 回であっ た。 日本からは、理事長が事業期間中常駐し、現地で障がい者家族の相談やスタッフの指導、 織物製品の製作指導等事業の進捗管理にあたった。 効果と現地の反響 本事業に対する地元の人々の関心は高く、クリニック開設日の来訪、共同作業に対する 協力度も高い。 現地の住民を代表し、現地 NGO ラジャン地域福祉協会(RCS)副議長のマイケル氏から、 「養 魚池の建設や診療所、デイセンターの運営、給食材料など支援していただき、感謝してい ます。養魚池は立派に完成し、現在、約 1,000 匹の魚を養殖しています。今後も国際ボラ ンティア貯金の寄附金配分事業が続くことを心から希望します」と感謝の手紙が届いた。 32 ラ オ ス 特定非営利活動法人 アジアの障害者活動を支援する会 所在地:東京都 事業名:点字印刷製作所の一元化と視覚障がい児の教育改善プログラムの実施 配分額:1,650,000 円 あち 背景と目的 2005 年の国勢調査によれば、ラオスには、視覚障がい者が約 13,000 名いるが、盲学校は 全国で 2 校、生徒はそれぞれ 30 名程度しか通っておらず、その他の学齢児童・生徒は普通 校に通うか、全く教育を受ける機会がない。しかし、普通校に通う視覚障がい児に対し、 点字教科書が配布されていないため、多くの視覚障がい児は学校の授業についていくこと ができず、途中で学校をやめてしまうことがほとんどである。 ビエンチャンにある国立リハビリテーションセンター内の盲学校には点字印刷機材は完 備しているものの技術者スタッフが不足している。一方、IT ワークショップの現地スタッ フは障がい者であり、点字教材製作訓練を終え、基本的な技術を身につけている。 今年度は、この両者の点字印刷ワークショップの一元化を図ることとし、スタッフの更 なる育成、ボランティアの増員、点字を打ち込める視覚障がい技術者のためのコンピュー ター指導を中心に実施することとした。 王実施状況 カウンターパートである IT ワークショップと国立リハビリテーションセンター(NRC)盲 学校の点字印刷ワークショップの一元化は、IT ワークショップへの点字教材製作技術の移 転が終了しており、IT ワークショップと NRC との関係も良好なことから順調に進捗した。 ラオス唯一の視覚障がい児教育の専門家である NRC 盲学校長が、①点字教材の不足とマン パワー不足を以前から問題視していたこと、②盲学校の卒業生が普通校に統合されたあと のフォローの必要性を訴えていたことのほか、教師への PC 技術向上の必要性を提唱してい たことから、一元化及び PC 技術向上のための ICT 訓練の実施が受け入れられた。 これにより、平成 21 年 8 月 23 日と 24 日の 2 日間、第 4 回目となる視覚障がい者教育振 興セミナーを開催し、平成 22 年 1 月 22 日と 23 日の 2 日間、視覚障がい者リーダー育成セ ミナーを実施した。 日本からは、専門家を平成 21 年 4 月 1 日から 5 月 5 日までの間、スタッフを平成 21 年 8 月 15 日から 8 月 25 日までの間、団体代表を平成 22 年 1 月 17 日から 1 月 26 日までの 3 回、 51 日間派遣し、事業実施に携わった。 効果と現地の反響 視覚障がい者プロジェクトは以前より頻繁にラオスの新聞やテレビでも報道され、活動 全般は広くラオスの人々に好意的に受け入れられている。今では少しずつであるが、一般 の高校生、大学生などがセミナーやワークショップにも介助という形で参加するようにな り、ボランティア活動サークルも小さいながらも結成された。このようなボランティアサ ークルのようにラオスにおける障がい者活動支援に大変興味を持ち、本プロジェクトにぜ ひとも関わりたいという若い学生なども段々増えてきている。 しかし、ラオスの人々による活動はまだまだ不十分であるので、今後も定期的に視覚障 がい当事者と連絡、連携を取り、ボランティアとして週末など、点字教材製作の際の読み 合わせボランティアとして参加してくれる人数を更に増やすことを目指している。 33 特定非営利活動法人 幼い難民を考える会 カンボジア 所在地:東京都 事業名:就学前教育の充実のための教材配布と活用指導 配分額:8,813,000 円 あち 背景と目的 カンボジア国教育省の 2006 年度統計によると 3 歳から 5 歳までの幼児が就学前教育を受 ける機会は、13%と大変少ない。政府の教育方針では、問題となっている小学校低学年で のドロップアウトを防止するため、2015 年までに、5 歳児の 75%が就学前教育を受ける包 括的な幼児教育環境の改善に力を注ぐ方針が表明された。2008 年から 3 年間に 5 歳児を対 象に公立幼稚園に通えない子どもが就学前教育を受けられるよう、10 州に 450 か所の公立 地域幼稚園を開設することとしているが、幼児教育への予算は限られているため教材等が 不足している。また、事業を実施しているガンダール州では幼児教育にかける予算が少な く、2007 年から 2008 年は 5 歳児クラスに 1 人 1 年間に 1.5 ドルの予算がついた程度であり、 支援の緊急性が高まっている。 当団体は政府方針に共鳴し、試作済みの 5 歳児のための教材(3 種)を全ての公立地域幼稚 園やガンダール州公立幼稚園、本会が運営する地域保育園 8 か所等に配布し、就学前教育 の充実を図ることとした。 王実施状況 3 種類の保育教材は、「はははのはなし」と「クメール語子音パズル」 、「車パズル」、「紙 芝居」の 4 種類に増やし、2009 年 4 月から 5 月にカンボジア教育省幼稚園局と協議し、「は ははのはなし」は 1,000 冊、「クメール子音パズル」は 7,400 枚、「紙芝居」は 1,000 冊、「車 パズル」は 2,600 個製作した。作成された保育教育教材は、カンボジア教育省幼稚園局の管 理のもと、3 回に分けて配布された。教材の配布された時期を見計らって、教材の使用目的、 使用方法などについて各地域にて研修会を開催した。研修会は、州の幼稚園局事務局長や、 本団体の保育事業マネージャー、日本人幼児教育専門家が現地に出向き、教材の使用方法 の説明や使用状況の確認を行った。 日本からは幼児教育の専門家及びスタッフを 1 年間現地に派遣したほか、2009 年 6 月 8 日から 6 月 12 日の間、9 月 14 日から 9 月 20 日の間、2010 年 1 月 6 日から 1 月 21 日の間、 スタッフを 1 名派遣し、現地との調整や事業のフォローアップを行った。 効果と現地の反響 カンダール州幼児教育事務所長のサウ・チャンターさんからは、「子どもは、絵本、紙芝 居でお話を聞くことがとても好きです。また、車パズルは遊びやすく、いろいろな色があ るので、子どもの大好きな教材です。先生方は、教える教材、遊べる教材があるので、子 どもも理解しやすく、先生にとってもいい勉強になりました。さらに、保護者にとっては 幼稚園に子どものための教材、遊具があるようになり、子どもの成長の早さがうれしく、 幼稚園に通わせることを楽しみにしています。子どもが勉強できる、遊べる教材があれば、 子どもの身体も神経ももっと成長すると思う。子どもは、教材で遊びながら、順番や判断 力など社会のルールが学べます。先生方は、教材の正しい使い方を覚え、壊れた教材の修 理なども覚え、長く、多くの子ども達が学べるようにしなければならない」など、喜びや責 任の声が伝えられた。 34 カンボジア 特定非営利活動法人 幼い難民を考える会 所在地:東京都 事業名:農村女性に対する織物技術の巡回指導 配分額:4,357,000 円 あち 背景と目的 当団体は、カンボジアの伝統織物の盛んなタケオ州の農村部で、女性の経済的自立と伝 統文化の保存・復興を目的とし、織物の技術研修を平成 15 年から実施している。 近年、カンボジアにおいては、絹絣織りは結婚式やフォーマルな晴れ着として、都市部 で需要が増え、シーズンには高く売れることが分かった。新たに織物を始める村が増えて おり、織物を始めた女性達は、簡単な絣模様の見本を何人かの織り手の間で貸し借りし、 同様の模様を織っている。 しかし、伝統的な、複雑な模様や絵絣などを教える熟練者が少ないことから、新しい模 様や高度な技術を身につけたいという要望は強い。 本年度は 2 週間又は 5 日間の短期間の織物指導巡回研修を 6 回行い、約 130 名の織物従 事者に絣模様の括り方、絣糸の染色方法など新しい絵柄の指導や草木染めの指導をし、10% の収入向上を目指すこととした。 王実施状況 巡回織物指導はタケオ州の 6 村に織物の専門家を順次派遣し、研修を行うこととした。 巡回研修の第 1 回はトウナウ・ダイ村、第 2 回は、トラム・ソーソー村、第 3 回はトラ ム・ソーソー村プロフー小学校、第 4 回はクランカンチャーン村バンテアイリィ寺、第 5 回はチャンプー地区、第 6 回はルセイトゥメイ村で行った。第 1 回、第 2 回、第 4 回∼第 6 回の研修には 20 名の織り手が集まり、伝統的な模様の括り、草木染めの研修を行い、第 3 回は 30 名に対し縦糸の準備方法と実習を行い、合計 130 名が参加した。また、各回とも、 研修実施後、1 か月以内にフォローアップ研修を行い、必要に応じた技術指導を行った。 日本からは 1 年間カンボジア事業の調整員 1 名を現地に派遣するとともに、スタッフを 平成 21 年 11 月 24 日から 12 月 4 日まで、平成 22 年 3 月 15 日から 3 月 21 日まで、各 1 名 を派遣し、事業の調整を行った。 効果と現地の反響 研修後に実施したフォローアップ調査の結果、6 回の巡回研修参加者のうち、80 名が研 修を受けた絣柄を自宅で織り、販売ができた 29 名は平均 15%から 40%も収入が増加した と報告を受けた。 トナールダイ村の村長からは、「当村の住民を支援し、村の特産品となるような織物製品 の製作工程を研修してくださったことを誇りに思います」と感謝の言葉があった。また、 アシスタントのヴォーン・ニットさんからは、 「移動研修は大変良かったです。どのように 絣織りを点線で描き、括り始めるか理解する手助けとなったからです」。クロッ村の村長の ブット・ポーンさんからは、「村人の期待は、研修を通して、自分たちの収入を増やし、ほ かの人に依存することなく、自立することです。移動研修の結果、85%の参加者は、収入 が増加しています。全研修生を代表して感謝申し上げます」。他にも何人もの研修生から感 謝の気持ちを表す手紙が届いた。 35 特定非営利活動法人 環境修復保全機構 カンボジア 所在地:東京都 事業名:小学生及び小学校教員に対する環境教育の推進活動 配分額:2,441,000 円 あち 背景と目的 カンボジアでは、内戦終結後の 1990 年代以降、近隣諸国と同様に自給自足型農業から輸 出型農業に変貌する過程にあり、農業生産性を高めるための化学肥料及び農薬の大量使用 が、土壌の劣化、水環境の汚濁を進行させ生態系や生活環境にも悪影響を生じさせている。 これらの汚染源となっている農業生産域において、有機農業の推進を図るとともに、水 環境の修復保全が急務となっている。農村域の子どもは貴重な労働力となるため、中学校 への進学率は全国平均の 16.6%を大きく下回っており、農業の担い手となる子ども達に向 けた初等教育における環境教育の推進の必要性が認識されている。 当団体では、プノンペン市及びコンポンチャム州の小学校において、初等教育における 環境教育の推進活動、持続的な環境保全型農業の素地づくりを目的とし、ワークショップ の開催、生物起源防虫液の普及、エコ・コンテスト等を実施することとした。 王実施状況 プノンペン市及びコンポンチャム州の小学校 5 校の生徒及び教員延べ 388 名を対象に、 ワークショップ「土・水環境保全に取り組もう」を各小学校で年 2 回開催した。持続的農 業を通した土づくりや水環境保全を軸とした環境教育の推進に関する改訂版パンフレット を配布し、内容を平易な言葉で説明し理解を促した。 事業対象の 5 小学校に大型バケツ合計 30 個を配布し、小学生・教員と協働で木炭酢や唐 辛子等を基本に有機農法における生物起源防虫液作りを推進した。さらに各小学校に合計 15 台の噴霧器を配布し、小学校の有機菜園で防虫液の施用を試みた。また、小学生を対象 にエコ・コンテストを実施し、174 名から野菜作りに取り組んだ経験をもとにした絵画の応 募があり、優秀作 3 作品を表彰した。 事業対象の 5 小学校の教員、協力機関である王立農業大学、及び本団体で構成される環 境教育編集委員会を開催し、小学生向け環境教育の教材開発の打合せを行った。 持続的農業や水環境保全を軸とした環境教育の推進に関する改訂版パンフレットを 1,000 部作成し、ワークショップの参加者、近隣小学校に無料配布した。 日本から持続的農村開発の専門家 4 名を延べ 19 回、114 日間派遣し、指導を行った。 効果と現地の反響 ワークショップに参加した小学校教員の中には、高い積極性をもって環境教育実施に取 り組み始め、相乗的に他の教員にも関心が高まった。 小学生においては、エコ・コンテストの実施により持続的農業や水環境保全への理解が 深まった。8 月及び 12 月に実施したアンケートでは、さらに身につけた知識をもとに自宅 の農地で防虫液を施用してみたいという小学生が 94.2%、また、全ての小学生が週に 1 回 以上、34%以上の小学生が週 4 回以上自宅の農作業を手伝っていることが分かった。 小学校教員においては、環境教育指導者育成研修終了後のアンケートで、エコ・コンテ スト実施を良かったとする回答が 99%あり、取り組みへの関心が伺えた。 36 特定非営利活動法人 環境修復保全機構 タ イ 所在地:東京都 事業名:森林再生による環境修復と持続的農業生産環境(有機農業)の構築 配分額:7,921,000 円 あち 背景と目的 ナン県プア地域では森林伐採や火入れによる森林開発が盛んに行われており、特に近年、 降雨強度の高い豪雨によって斜面崩壊や崩落などの土砂災害が頻発化している。また、森 林を開墾して造成された傾斜畑では、開墾後数年以内で肥沃度が低下して放棄される事例 が多い。この開畑後における肥沃度の急激な低下は、主に雨期の降雨強度の高い豪雨によ る有機物を多く含む表土の流亡に起因している。さらに農地では収穫後の作物残渣への火 入れが盛んに行われるとともに、化学肥料や農薬が多量に施用されており、農地が下流域 に対する面的汚濁源となっている。一方、化学肥料の購入価格の高騰は農業経営を圧迫す る傾向にあり、農家は購入量を削減できる有機農業に関心を持っているものの、知識・資 金不足により具体的に有機農業に取り組むには至っていなかった。 今年度は、ナン県プア地区の広域において森林の重要性を啓蒙し、森林再生による環境 修復を図り、有機農業を中心とした持続的農業生産環境の構築を目指し、堆肥加工センタ ーの設置・運用アグロフォレストリー(混農林業)を軸とした有機農業の推進、ワークショ ップの開催などに取り組むこととした。 王実施状況 堆肥加工センターは、平成 21 年 5 月 2 日に着工し、8 月 1 日に完成した。センターには、 ペレット堆肥(粒状に加工した堆肥)が安定供給され持続的に利用されるように、事業対 象地の農家が自由に使うことができる大型のペレット堆肥作成機を備え付けた。 これまで土壌浸食の進行している裸地化した放棄地 5ha に植林を行ってきたが対象地を さらに 5ha 拡大して、植林・補植を実施した。植林地には現地農家と協働で、草本で構成 される植生帯 50,000 本を設置するとともに、10,000 本の活着に相当する木本の種子を播手 した。 森林再生・保全と持続的農業の実施を目指し、アグロフォレストリーの技術及び有効性 を啓もうし、現地農家の圃場に混農林業モデル区画を設置し、現地農家と協働でアグロフ ォレストリーの実践を試みた。 ワークショップ「森林再生と有機農業に取り組もう」を開催し、現地農家延べ 248 名を 対象に現地農家グループ毎の有機農業の取り組み発表を行い、グループ間の意見交換を行 うとともに、堆肥加工センターにおけるペレット堆肥作成の実演を実施した。 日本から持続的農村開発の専門家を 4 名、延べ 18 回派遣し、有機農業、堆肥加工センタ ー、モデルファーム等の指導を行った。 効果と現地の反響 平成 21 年 8 月に行ったアンケートでは、90%の農家がすでにペレット堆肥を使用してお り、一部の農家では前年度配備した小型のペレット作成機を使用して作成したペレット堆 肥を販売していた。12 月のアンケートでは、化学農薬の代わりとなる生物起源防虫液を 94% が施用していた。また、 「誰でも利用できる堆肥加工センターが出来てうれしい」との意見 が多かったほか、アグロフォレストリーを実践してみたいという意見があった。 37 特定非営利活動法人 環境修復保全機構 タ イ 所在地:東京都 事業名:環境保全型農業(有機農業)の技術指導(堆肥作り、指導者育成研修等) 配分額:5,139,000 円 あち 背景と目的 スコタイ県キリマット地区では、化学肥料や農薬に依存した農業が展開されており、乾 期には作物残渣の火入れも行われているため、土壌の劣化とともに池沼等の富栄養化によ る水質汚濁が深刻な状況であり、土地生産性の回復と水環境の修復保全が緊急の課題とな っている。また、化学肥料の価格が高騰し、その購入費が農業経営を圧迫している。現地 農家は化学肥料の購入量を削減できる有機農業に関心を持っているものの、知識や資金不 足により具体的な取り組みに至っていない。 本団体では平成 17 年から継続して有機農業の支援を行い、平成 20 年 2 月には「堆肥加 工センター」を建設した。 本年度は、現地農家が自立して環境保全型農業を営める環境を構築することを目指し、 近隣地域の農家や小中学生へ有機農業の普及啓もうを行うため、ワークショップの開催、 指導者養成研修を行うとともに、モデルファームや堆肥加工センターの運営指導に取り組 むこととした。 王実施状況 有機農業グループの農家が主体となり、近隣地域の小中学生を対象にワークショップ「有 機農業に取り組もう」を 3 回実施した。 これまで設置したモデルファーム 20 圃場において、有機農法による作物栽培を継続して 取り組んだ。栽培作物の販売に成功している農家も増え、自発的にファームを拡充する農 家もあり、モデルファームの運営経験が有機農業への取り組み意欲を高めている。 現地指導者養成研修は平成 21 年 8 月と 12 月に合計 12 日間開催し、堆肥・ペレット堆肥 作りの普及方法や、持続的農業の普及方法を指導した。 そのほか、 「堆肥化を軸とした有機農業に関するガイドブック」を 4,000 冊作成し、県内 広域に無料配布し、有機農業の啓もうを行った。また、有機農業に関する改訂版パンフレ ット 2,000 部を作成し、ワークショップ参加者のみならず、キリマット地区広域の農家に 無料配布した。 日本からは、農業専門家 4 名を定期的に派遣し、合計 70 日間モデルファームの指導、ワ ークショップの準備、現地指導者養成研修の実施などの活動を行った。 効果と現地の反響 本事業は平成 17 年から開始し、本年が 5 年目の最終年である。 本年実施した現地指導者養成研修時にアンケート調査の結果、これから有機農業を始め る農家にとって重要なことは、「有機農業の実践技術の情報を収集すること」との回答が 60%あった。また、地域の消費者を増やすため、どのようにアピールするか「有機農産物 の説明や消費者との意見交換」、「モデルファームの見学」、「有機農産物の物産展」などの 回答が多かった。今後有機農業を普及する最も良い方法としては「キリマット地区の活動 を見てもらう」が 54%あり、自分たちの取り組みに自信を持った農家が多いことが分かる。 今後は、本活動で得た知識を他の農家にも活かせるような仕組みづくりを実践したい。 38 社団法人 銀鈴会 中 国 所在地:東京都 事業名:喉頭摘出者のための発声(食道発声)指導及び発声指導員の育成 配分額:2,209,000 円 あち 背景と目的 中国の首都北京はオリンピックの開催など大きく発展をしているが、その反面、車の増 加などによる環境汚染や喫煙の害による喉頭がんは増加の傾向にある。 咽頭摘出者は中国全土では約 100,000 名、北京には 5,000 名超えると言われている。し かし、喉頭がんの手術費は大変高額であるため、低所得者、貧困層の患者は、摘出手術を 受けても、手術後の訓練費用や交通費を捻出できずに、声を失ったまま社会復帰できない 人々が多くいる。 当団体では、これらの生活が崩壊状況にある人々を救済するため、食道を利用した食道 発声法による発声リハビリの啓発や普及を行い、社会福祉の促進に寄与することとし、併 せて指導員の育成を図ることとした。 王実施状況 日本から専門家(食道発声指導員)を派遣し、北京で研修会を 2 回開催した。第 1 回目は 平成 21 年 11 月 27 日から 12 月 11 日の間、日本から食道発声指導の専門家を 3 名派遣し、 7 日間の研修を行った。 研修会には 352 名が参加した。今後指導員として活動する適任者を 50 名選び、面接によ り、初級クラス 19 名、中級クラス 15 名、上級クラス 16 名の 3 クラスに分けた。参加者の 中には、自宅から研修会場まで 20 時間から 30 時間かかる人々も多く、親戚宅やホテルに 宿泊するなど参加者によっては大きな経済的負担となった。研修生の選出にあたっては、 今後の咽頭摘出者のリハビリ費用の負担を考え、地方に居ても地元で発声リハビリを可能 とするため、研修生の 7 割を地方から選出した。 第 2 回目は平成 22 年 3 月 8 日から 3 月 22 日の間、専門家を 3 名派遣し、7 日間の研修を 行い、350 名が参加した。2 回目は、指導員として活動する適任者を初級クラス 17 名、中 級クラス 16 名、上級クラス 17 名を選出した。 効果と現地の反響 この 2 回の研修により、初級クラス 17 名は全員声が出るようになった。中級クラス 16 名中 3 名は上級クラスに昇格する発声力があり、2、3 か月自分で練習を続ければ、全員日 常会話が可能となる状況となった。上級クラスは 17 名中 10 名を食道発声指導員として、 天喉者再声会に推薦する実力を身につけた。 研修後の感想文には、「私は手術後 16 か月の間、完全に声が出ない状態で、大変不便で 生活の質も下がりました。今回の研修に参加し、自分でもコツコツ練習して、やっと発声 でき、以前の孤独感も消えました。先生方の貢献に感謝しています」、「私は河北省農村か ら来た喉摘者です。平成 20 年に手術を受け、命は取り留めたが声を失い、社会復帰が出来 ずに非常に苦しんだ。研修を受け、簡単な会話を交わすことが出来るようになり、大変う れしい。今後、もっとがんばって、同じような人に発声法を教えたい」などと書かれてい た。 39 特定非営利活動法人 グリーンフォーラム ラ オ ス 所在地:東京都 事業名:地域住民の生活改善と環境保全のためのヒノキ苗圃場(ほじょう)整備と 植林 配分額:1,800,000 円 あち 背景と目的 ラオスヒノキはご神木として崇められてきたラオスを代表する銘木であるが、現地の伐 採量の多くは、日本の神社仏閣用に消費してきた。また、伐採後の山は放置され、植林も されていない。将来貴重な木材資源としてラオスの経済に貢献し、同時に焼き畑を減らし、 環境保全に役立つよう植林の必要があるが、現在のラオスでは、植林に必要なラオスヒノ キ苗木生産の技術さえも確立していない。現地の苗木商が販売している苗木は、山で自然 に生育したもので本数が少ない。 当団体は、 ラオス農林省が目標としている 2020 年までに 50 万 ha の緑化再生計画に併せ、 ラオスヒノキ等の伐採と焼畑農業による荒廃した山岳部の緑化を図るために、ホアパン県、 サムヌア市周辺にラオスヒノキの苗用圃場の整備、実生苗、挿し木苗の生産と植林を行う こととした。 王実施状況 事業開始にあたり、平成 21 年 5 月 20 日から 7 月 7 日の間に理事長を派遣し、7 月 1 日に ホアパン県農林省と 3 年間の活動を定めた覚書を締結した。 ラオスヒノキの圃場は、サムヌア市郊外のホイメン湖畔に、ホアパン県農林省の敷地を 4,000 ㎡借り、420 ㎡の遮光シート付きの圃場を建設した。本年度はヒノキの花が咲かず、 実がならないため、実生苗の生産、挿し木の生産が出来なかったが、昨年採取した実から 生産した実生苗 8,000 本を育てた。山取り苗の採取、購入を増やし、次年度の植林に備え た。 ラオスヒノキの植林は、ラオス政府との覚書の締結が 7 月となり、植林の適期を逃した ため、桑の木の試験植樹を行い、ラオスヒノキについては次年度に持ち越すこととした。 日本からは、平成 22 年 2 月 14 日から 3 月 6 日の間に理事長が現地を訪問し、植林用地 の確認や苗の購入交渉等を行った。 効果と現地の反響 ホアパン県の人々の反応は予想以上に良好で、ラオスヒノキの圃場は地域社会から期待 を集める施設となり、この圃場が出来ていからは、本団体の事業への意気込みが住民に理 解され、一緒に作業をする喜びが人々の間に生まれるとともに、住民や行政サイドの期待 の大きさが感じられた。 また、桑の木の試験植樹は、衰退した絹織物への原資供給に役立つと期待感が高まって いる。しかし、苗畑と圃場の建設は達成したが、灌水は山の水源では十分な水量を確保で きない事が判明し、来年度は湖から水を確保する工事を行うこととした。 40 特定非営利活動法人 国際アマチュア無線ボランティアズ モーリタニア 所在地:東京都 事業名:無医村に対する医薬品の提供・RADIOPHARMACY の構築(医薬品の管理用無線 連絡網) 配分額:13,834,000 円 あち 背景と目的 モーリタニア・イスラム共和国は、国土の 75%が沙漠であり、都市部以外は道路や病院 はもとより電力や電話などのインフラ手段が整備されていない。また、医薬品の不足、病 院へのアクセスが極めて困難な状況にあり、急病人に対する緊急治療体制の向上、無医村 地域に対する医薬品の提供の向上が求められている。 当団体では、これまで構築してきた首都ヌアクショットとサハラ砂漠の僻地村落を結ぶ 緊急無線連絡網を活用して、日本からの供与医薬品をベースに「RADIO PHARMACY(緊急医 療無線薬局)システム」を構築することとした。 王実施状況 11 月にカウンターパートの代表と日本から派遣したサブリーダー、看護師が無線薬局の 改善提案について検討した。これにより、昨年試験的に僻村数村に配備した薬はそれぞれ 使用量が異なり、在庫にアンバランスが生じ非効率であることから、ティシット協会ヌア クショット中央局内に薬戸棚を設置し、一元管理することに決定した。また、購入した薬 品は効能別に 10 グループに分けて保管管理した。昨年配備した 60 品目の使用実績を踏ま え、本年は 48 品目に絞って配備した。 薬の在庫管理については昨年の詳細な在庫管理表を現地で的確に扱うことは難しいとい うことから、本年は効能別グループ管理に移行した。 報告は年 2 回、ラジオ・ドクターよりティシット協会あてに行い、現地からカウンター パートのリマム代表より当団体へ報告することとした。 日本からは、平成 21 年 11 月 26 日から 12 月 17 日までの間、アマチュア無線技士及び看 護師の計 7 名を派遣し、サハラ砂漠南部のウルドイエンゲ地区を中心に無線局 7 局を新設 したほか、医薬品の購入、仕分け等を行った。 効果と現地の反響 これまでは現地の住民は十分な医療サービスを受けることが出来ず、病気やけがをして も自然治癒が主体であったが、前回無線薬局網を構築し薬品を供与した結果、無線連絡網 を活用したラジオ・ドクターによる治療薬の投与が可能になった。 今回訪問したガウイヤ村・チジクジャ村の村長からは、「幼児が高熱を出した際、アスピ リンを投与し、速やかに解熱し助かった。砂嵐による網膜炎症に対し配備された目薬を投 与し、多くの村民が快方に向かった。近年増えてきたマラリア患者に薬を処方したことで 治癒した」という感謝の手紙を頂いた。 41 特定非営利活動法人 国際開発フロンティア機構 フィリピン 所在地:東京都 事業名:貧困地域住民の生活改善のための豚及びヤギ飼育とロンガニーサ作りの技 術指導 配分額:1,678,000 円 あち 背景と目的 首都マニラから 800km 離れたルソン島南部のアルバイ州は、70%の農民がココナツ産業 に携わる 2ha 以下の小規模農家であり、貧困ラインとされる月収 6,000 ペソ以下の 2,000 ペソ(約 4,000 円)という最貧困州の1つである。中でも、ティウイ町、ギノバタン町周 辺の村々は大部分が零細農業であり、半自給的な暮しをしている。 地域の貧困削減を目的として、とくに女性の収入創出事業として、豚及びヤギ飼育と肥 育した豚肉による伝統加工食品ロンガニーサ(ソーセージ)作り販売を行い、地域の子ども の教育費、医療費、栄養欠乏等の生活改善を図るとともに、その中核として参加者による グループの機能集団化を図ることとした。 王実施状況 豚飼育については、比較的順調で、ティウイ町ホロワン村では 3 サイクル行われ、年 6,000 から 12,000 ペソの収入を上げた。20∼50%の収入増を図ることができ、90∼100%の達成 率となったが、ギノバタン町ドニャメルセデス村では 1 サイクルの実施で 30∼40%の達成 率にとどまった。 ヤギの飼育は、山の傾斜地やココナツ林で放し飼いにしているが、販売できるまで 2 年 近くかかるため、まだ収入はない。 ロンガニーサ作りについては、ホロワン村では 2 回実施・販売が行われたが、ドニャメ ルセデス村の豚は飼育中のため実施できなかった。 グループの機能集団化については、養豚組合立上げのため組織強化、運営指導を行った。 経理・組織運営に対する責任感・主体性等が向上しているが、自立までには至っておらず、 達成率は 30%である。 日本からは、平成 20 年 5 月 26 日から 6 月 26 日の間、7 月 26 日から 12 月 15 日までの間 にそれぞれプロジェクトコーディネータを 1 名、平成 20 年 8 月 20 日から 8 月 30 日までの 間、11 月 17 日から 12 月 7 日までの間、平成 22 年 3 月 13 日から平成 22 年 3 月 22 日まで の間にそれぞれ農村開発等の専門家 2 名を派遣しプロジェクト運営指、導豚・ヤギ肥育、 ロンガニーサ普及等の指導を行った。 効果と現地の反響 プロジェクトの参加者には夫を亡くした女性、多くの家族を抱えている人等生活困窮者 がいるが、「参加したことにより子どもの養育費、食生活・台所の生活改善、家族の医療費 等の収入が得られるようになった」等の発言があった。 また、配合飼料は肥育コストがかかることから現地材料(キャッサバ、イモ等)の餌づ くりの指導を求める声もある。一方、ロンガニーサ作りには関心が高く、本格的ロンガニ ーサ工場を作り、一村一品的な考えで取り組みたい等前向きな意見が聞かれた。 42 特定非営利活動法人 国際子ども権利センター カンボジア 所在地:東京都 事業名:貧困地域の子どものための労働防止等の意識啓発研修、生活改善のための 牛貸出し、農業指導等の実施 配分額:8,571,000 円 あち 背景と目的 スバイリエン州チャントリア郡及びコンポンロー郡の貧困地域では、小学校低学年も含 め、多くの子ども達が集団でベトナムに物乞いなどの出稼ぎに行くが、出稼ぎの過程にお ける人身売買のリスクはよく知られていない。また、児童労働は子どもの権利侵害という 意識が低く、親により労働を強いられ、教育を受ける権利を奪われている子どもが多い。 中途退学率も高く、平成 19 年度は小学校全生徒 11,599 名のうち、386 名が退学している。 本年度は、チャントリア郡およびコンポンロー郡で子どもの人身売買、児童労働、性的 搾取を防止するために学校を拠点とした子どもと教師の人身売買防止ネットワーク(SBPN) と地域のリーダーやキーパーソンからなる同ネットワーク(CBPN)を結成し、メンバーが啓 発活動を行うための研修や生活改善のための牛の貸し出し、農業指導を行い、自立促進を 図ることとした。 王実施状況 当団体では、学校を拠点とした SBPN と、地域を中心とした CBPN を結成し研修を行った。 SBPN への研修は平成 21 年 8 月から平成 22 年 2 月までの間、毎月延べ 14 日間実施し、254 名の教師及び生徒が参加した。内容は、子どもの権利条約、児童労働、人身売買の手口、 ドラッグの弊害等であり、メンバーの子どもたちはこれらについて学校や地域で啓発した。 また、女生徒が学校に行きやすくなるよう 2 校にトイレ 2 基を設置した。 CBPN への研修は 4 日間実施し、138 名のコミューン長、村長、評議会議員等が参加し、 SBPN と同様の内容を研修し、メンバーはこれらについて地域で啓発した。 収入向上のための家庭菜園指導及び牛の貸し出しは、コミューン長や村長、評議会議員 等で会合を開き、20 家庭を選出した。野菜栽培研修は野菜栽培の利点、種まき前の耕作か ら種の選び方、害虫駆除、収穫、堆肥等内容で 4 回開催し、延べ 156 名が参加した。牛の 貸出しは 20 家庭にそれぞれ牛 1 頭を貸し出し、飼育方法に関する研修を 9 日間行ったほか、 担当者が、飼育家庭を巡回し指導した。その他、貧困家庭の子どもの労働による中途退学 を防止するため、米や学用品を 100 名に支給し、家計を助けることにより、子どもが学校 で勉強を続けるための支援を行った。 日本からは、平成 21 年 4 月から平成 22 年 3 月まで 1 名、平成 21 年 8 月から平成 22 年 3 月までスタッフ 1 名を派遣し、現地の調整や指導にあたった。 効果と現地の反響 SBPN に参加した生徒からは、「子どもの権利について、十分な医療、食事を得られる権利、 出生登録の権利、虐待や児童労働から守られる権利、学校に行く権利、啓発活動やミーテ ィングに参加する権利があることを学んだ」、収入向上プログラムの参加者からは、「子ど もが 4 人いて農業では家族を養えず、ベトナムに妻と出稼ぎをしていたが、農業研修を受 け、雌牛と野菜の種を貰い、収入が向上し出稼ぎは中止した」など感謝の声が寄せられた。 43 社会福祉法人 国際視覚障害者援護協会 インドネシア 所在地:東京都 事業名:視覚障がい者の自立のためのマッサージ技術の指導 配分額:1,627,000 円 あち 背景と目的 アジアの開発途上地域では、視覚障がい者の経済的な自立は非常に難しい状況にある。 視覚障がい者が安定した職業を得て、経済的に自立するにはマッサージ技術を身につける ことが最適であるといわれている。しかし、インドネシアでは、マッサージ師の養成体制 が十分に進んでいないため、マッサージ技術が未熟で、視覚障がい者の能力が十分に発揮 できていない状況である。 日本においては、視覚障がい者があん摩・マッサージ・指圧・鍼灸の技術を用いて職業 的に自立し、社会に貢献してきた。これを受け、インドネシアの視覚障がい者に日本のマ ッサージ等の技術、最新の医学知識、治療院の経営手法などを技術移転することにより、 埋没している潜在的能力を引き出し、経済的自立を目指すこととした。 技術指導は、観光地であり、マッサージ需要の多いバリ島のデンパサール市で行うこと とした。 王実施状況 研修は、平成 21 年 8 月 30 日から 9 月 11 日までの 10 日間、セコラ・ルア・ビアサ・ネ デリ・バディアル盲学校で実施した。20 名の受講生(盲学校の教師、学生等)に対し、日本 から派遣した 4 名の講師(鍼灸師 2 名および指圧師 2 名)によりあん摩、マッサージの実技 研修(座位、臀部、左上の側臥位、背臥位の基本技能)を中心に前半 A グループ(10 名)、後 半 B グループ(10 名)の 2 班に分けてスケジュールどおりに行われた。研修最終日には、講 師の講評とともに、研修に参加した 20 名全員に修了証を授与した。 講師のほか日本からは、専門家 1 名を平成 21 年 8 月 29 日から 9 月 13 日までの間、専門 家 3 名を平成 21 年 8 月 29 日から 9 月 6 日までの間、専門家 2 名を平成 21 年 9 月 5 日から 9 月 13 日までの計 3 回、14 日間派遣し、あん摩、マッサージの実技研修や事業実施状況の 確認等を行った。 効果と現地の反響 バリのデンパサールで、このようなマッサージセミナーを日本側が開催したことは今回 が初めてであったが、開催場所のセコラ・ルア・ビアサ・ネデリ・バディアル盲学校の校 長先生をはじめ職員の方々と、親密な友好関係を築くことが出来た。 地元の新聞 2 紙から取材を受け、 開講式の翌日にセミナーを歓迎する記事が掲載された。 視覚障がい者が経済的に自立するための職業として「あん摩、マッサージ」が適しており、 このようなセミナーを今後とも続けて欲しいとの要望が強く出された。 また、セコラ・ルア・ビアサ・ネデリ・バディアル盲学校からは、 「私たちの最も大きい 感謝とねぎらいを心から申しあげたいです」との感謝状が寄せられた。 今回研修を受講した 20 名の視覚障がい者は、現在施術所で働いている者や学生等、職業 は様々であるが、学んだ日本式あん摩・マッサージ技術を実際の施術に生かすことにより、 視覚障がい者の生活向上へ向けた基礎作りができたと大変好評を得ている。 44 コ ソ ボ 特定非営利活動法人 国際市民ネットワ−ク 所在地:東京都 事業名:地域住民に対する職業訓練及び民族宥和プロジェクトの実施 配分額:8,879,000 円 あち 背景と目的 コソボは国連の暫定統治機構による暫定統治下におかれているが、未だ、紛争後のセル ビア人とアルバニア人の民族宥和が図られていない。貧困と失業が民族問題と結びついて いることから、民族宥和を図るには研修等による宥和策とともに就業や生活レベルの向上 が必要である。極端に交通事情が悪いため流通が滞り、移動手段がないことが教育、就職 活動、衛生健康教育、商業のネックになり、それが貧困と失業(50%∼80%)の改善を妨げ ている。バスが 1 日 2 本しかなく、中高生は学校の始業、終業に合わない、村の巡回診療 ができない、役場に行けない、農民は卵や野菜を売り歩くことができない等の状況にある。 当団体は自転車を使えばこのような交通事情を緩和できると考え、自転車組立修理職業 訓練事業を実施して貸自転車業、修理業の起業に結び付ける一方、対話、共同生活による 民族宥和をすすめるため、セルビア人、アルバニア人の青少年が参加する 1 週間の合宿を 計 8 回行い、国際平和の学習、音楽やスポーツなどの民族宥和プログラムを実施し、民族 紛争の土台を改善し、共存社会を作ることを支援することとした。 王実施状況 自転車組立修理技術を学ぶ研修生の選定は、研修生自身が持続的な職業訓練が可能であ り、かつ昨年の当団体における実習生が講師を務める事も可能である地域に所在している 非営利の公的組織という観点から、ミトロビッツア北部、ミトロビッツア南部、ノボブル ドの 3 校を選んだ。自転車組立修理技術の職業訓練事業は、当団体主体となり実施するの ではなく、研修生自身にどのような職業訓練を実施していってもらうのかに主眼を置いた。 このため、直接の技術指導については、今後各学校がどのように実施していくのか参考 にするための「サンプル授業」を 1 週間程度実施するにとどめた。 また、民族宥和事業は、紛争や独立宣言の影響で断絶しているコソボの民族関係を改善 し、将来に起こりうる紛争を予防する一助となる事を目的とし、同じ地域の(アルバニア系、 セルビア系、ボスニア系、ロマ系等)多様な民族が、1 週間隣国マケドニアのオフリドで一 緒に過ごす合宿形式でのワークショプを計 8 回にわたって実施した。 日本からは、平成 21 年 5 月 6 日から 10 月 13 日までの間、及び平成 21 年 5 月 16 日から 9 月 30 日までの間それぞれ専門家 1 名を派遣し、事業実施に携わった。 効果と現地の反響 サンプル授業を実施した 3 校においては、いずれも参加した生徒が高い興味を示した。 受け入れた学校側も既に学校で教えている技術を流用できる部分が多い事、それを自転車 という形で具体化でき、事業化も容易である事から、自転車修理技術指導には大きな発展 の可能性を見出している。民族宥和事業の参加者は、ワークショップの初日こそ、お互い に探り合っている感じで、活発なコミュニュケーションは見られないこともあった。しか し、ワークショップ中のインタビューでは多くの参加者が、「相手方の民族に対して持って いたネガティブな印象が変わった」、「違う民族でも、同じような問題を抱えている事がわ かった。一緒に問題に取り組んでいこうと思う」との感想を述べていた。 45 特定非営利活動法人 子供地球基金 クロアチア 所在地:東京都 事業名:戦争被災地域における児童・青少年に対する生活、教育向上、民族差別意 識の除去のための教育活動施設の整備と運営支援 配分額:10,801,000 円 あち 背景と目的 クロアチアでは、独立に伴う紛争の混乱からすでに復興したと一般的には言われている が、戦後格差が広がっているのが実情である。事業実施地のグボーズド市はクロアチア南 東部に位置し、このような復興を遂げていない地域では紛争の被害は大きく、現在も埋設 された地雷が残存している。都市部から遠く離れ、公共交通機関が整備されていないため、 住民の多くは地域外に出る機会は少ない。 このような復興の立ち遅れから、識字率や教育レベルは低く、離婚や麻薬、アルコール 依存、家庭内暴力など問題を抱える家庭が多い。その上、国境に接していることから、ボ スニアやセルビアからの難民や帰還民も多く、民族間、異なる文化間で、相互理解の機会 がないため、民族間の敵対意識は根深く、深刻な問題となっている。 当団体では、紛争終了後から現在まで、児童・青少年に対し、民族間の差別意識の除去、 生活や教育向上のため、活動を行ってきた。しかし、戦後 10 年を経ても政治、経済は安定 せず、子どもたちは将来に大きな希望を見出すことは難しい。教育活動施設を建設し、児 童・青少年の生活並びに教育向上、安全な環境の整備・確保を図り、他民族や他宗教への 差別をなくし、心のケアを行うこととした。 王実施状況 今年度は、子どもたちの保護施設「キッズ・アース・ホーム」をグボーズド市中心部の 小学校近くに建設した。建設許可の遅れから、平成 21 年 12 月 7 日に着工し、平成 22 年 3 月 31 日に完成した。建物は多目的に使える部屋 2 部屋、キッチン、障がい者用・健常者用 トイレ、シャワールーム、倉庫等を備え、収容人員 60 名の子ども達が安心して教育を受け、 活動できる施設が出来た。 「キッズ・アース・ホーム」の活動は、スタッフ 4 名、専門分野の指導員 7 名を雇用し、 コンピューター、音楽、映像製作、美術や演劇、裁縫などを子どもたちに教えるとともに、 「境界線と権利」、「地球の温暖化」、「高校進学と目標」、「働くことと職業」、「自尊心・性別 役割・衛生」、「人種差別・偏見」等々のワークショップを行った。 日本からは、平成 21 年 4 月 4 日から 4 月 6 日の間、平成 22 年 4 月 7 日から 4 月 9 日の 間、代表及びスタッフを派遣し、教材のチェックや施設運営管理訓練、実施プログラムの 指導を行った。 効果と現地の反響 子どもたちをはじめ、地域住民は「キッズ・アース・ホーム」の完成を喜んだ。この施設 で行われる芸術・創作活動や教育プログラム等の活動は、子どもたちの楽しみでもあり、 この活動に参加することにより、読み書きなど、自分達の出来ることが増え、子どもたち の顔が生き生きしてきた。また、「キッズ・アース・ホーム」で仲の良い友達ができ、何で も相談できる大人が身近にいることで、子どもたちの心のケア、サポートに良い効果が上 がっている。子どもたちから感謝の手紙、絵などが数多く寄せられた。 46 社会福祉法人 至愛協会 スリランカ 所在地:東京都 事業名:偏った教育を受けた子ども達に対する基本的な人権等の教育の実施 配分額:4,848,000 円 あち 背景と目的 東部のバッティカロア県のワッカイ村は、数年ほど前まで反政府武装勢力に占拠されて いた地域である。子ども達は当該勢力によって、「シンハラ人と接触すると数か月で死んで しまう」などときわめて偏った教育を受けており、偏った価値観や社会観で人間形成がされ、 将来大きな障害となる可能性がある。この偏った社会観のため、地域では、シンハラ人と タミル人の間で交流がない。 当団体は、この地域の 12 歳から 18 歳までの青少年 600 人を 6 回に分けコロンボにある 施設に招き、シンハラ人とタミル人が偏見なく共存できることを目的とした平和教育を行 うこととした。 王実施状況 平和教育は 1 回につき、100 名から 135 名の青少年を全国幼児教育財団のキャンパスに招 き、5 泊から 6 泊する方法で 7 回行った。 平成 21 年 5 月 18 日から 5 月 23 日までの 6 日間を第 1 回とし、平成 22 年 3 月までの間 に、計 7 回、青少年 761 名、スタッフ延べ 149 名が参加して平和教育を行い、計画を 1 回、 161 名上回ることが出来た。 子ども達は、平和教育の授業のほか、遊び、スポーツ、ダンスを楽しんだ。また、これ まで行く機会のなかった動物園やショッピングセンターなどの訪問をシンハラ人、タミル 人がともに行い、シンハラ人は敵でなく、同じ人間であることを学習した。また、夜には、 タミル人の歌手を招き、タミル語やシンハラ語の指導をしてもらい、紛争地以外では、タ ミル人とシンハラ人は共に仲良く暮らしていること等を伝えた。 日本からは、平成 21 年 6 月 29 日から 7 月 4 日の間に社会福祉士を 1 名、平成 21 年 9 月 12 日から 9 月 19 日の間に社会福祉士と保育士を各 1 名派遣し、事業の調整や交流、保育・ 教育について指導した。 効果と現地の反響 参加した子ども達からは、「私たちを癒すために、場所や食べ物、衣服、音楽会、ダンス などいろいろな恵みを与えてくださり、大きな愛と慈しみを示してくれました。私たちの ために、大きな恵みを与えてくださった日本の皆様に感謝します」、「私たちはすべてのこ とを忘れました。与えられた恵みを決して忘れません。支援をしてくださった日本の皆様、 ありがとうございます」、「私の初めてのコロンボ訪問です。なんて素敵でしょう。私は、 これまでに決してこのような楽しさを感じたことはありません。日本の皆様ありがとうご ざいます」など感謝の手紙や絵が届いた。 キャンプ終了後、子ども達の言動が見事に好転している姿を見て、地域住民も、「平和教 育の大切さ、平和は心の中の問題」であることを考えるいい機会となっている。 47 カンボジア 特定非営利活動法人 シェア=国際保健協力市民の会 所在地:東京都 事業名:地域住民のための保健センターの施設改善、 配電・配水システムの整備 配分額:1,548,000 円 あち 背景と目的 発展の進むアジア諸国のなかで、いまだ厳しい保健医療状況に置かれているカンボジア では、乳児死亡率は 65(対出生 1,000 人)で、タイは 7、ベトナムは 15 となっており、妊産 婦死亡率はカンボジア 470(対 100,000 人)に対し、タイ 24、ベトナム 160 となっている。 保健センターは住民に最も身近な公的保健医療施設として、人口約 10,000 人あたりに 1 か所という割合で配置されることになっているが、保健センターの中には、建物もなくス タッフが自宅で診療を行っているセンターもあり、保健省から交付される機材、薬剤も限 られることから、住民は十分な保健サービスを受けることが困難な状況である。 また、コンポンチャム州スレイセントー・コーンミア郡では昨年、郡保健行政局の努力 により新たに 2 棟の保健センターが建設された。しかし、保健省による建物の規格では配 電・配水システムが含まれていないため、電気が使えず、早朝や夜間の患者の診療や電気 を使用した医療機器は使用できない。また、配水設備がないため、診療や出産に雨水や川 の水を使用することになり、非常に不衛生と言わざるを得ない。 当団体では、この 2 棟に配電・配水システムを設置し、管轄地域住民(約 20,000 人)に対 する保健医療サービスの改善を図ることとした。 王実施状況 バライ保健センター及びリアパイ保健センターの配電・配水システムの設置工事は、平 成 21 年 6 月 25 日に開始し、7 月 23 日に完成した。工事開始前に、郡保健局及び保健セン ター、地域住民代表の三者で配電・配水システムの設置工事及び工事後の維持・管理につ いて協議を行い、覚書を取り交わした。 配電・配水システムの管理・運営は保健センタースタッフが担い、地域住民の代表から なる「保健センター運営委員会」と監督機関の郡保健局で定例会議の場を通し、情報共有 を行うこととした。また、修理の必要が生じた場合は、郡保健局が責任を負うこととした。 今後の運営にあたっては、①郡保健行政局は、両保健センターにおける運営状況を監督 し、適切な対応、②郡保健行政局は、配電・配水システムの使用状況の記録の管理、必要 により開示、③両保健センターは、配電・配水システムを保健センターサービス提供とい う目的にのみ使用し、運営委員会、郡保健行政局と情報を共有することとなった。 日本からは、地域保健の専門家の看護師を 1 名、平成 21 年 4 月 5 日から 11 月 23 日まで の間派遣し、郡保健局や保健センター、住民との調整、確認を行った。 効果と現地の反響 バライ保健センター長のウン・シンさんからは、「配電・配水システムの設置によって、 一番大きく変わったことは、夜間の分娩介助が可能となったことです。これにより、保健 センターサービスに対する地域の住民の満足の声も、聞かれるようになりました。配電・ 配水システムの維持・管理は保健センターのスタッフが責任をもってあたります。今後も より良い保健センターサービスを地域の人々に提供できるよう、引き続きがんばっていき ます」と感謝の意が述べられた。 48 特定非営利活動法人 ジェン(JEN) スリランカ 所在地:東京都 事業名:住民のための衛生施設(トイレ)の設置と衛生教育 配分額:5,414,000 円 あち 背景と目的 バティカロワ県ワカライ郡では、長く続いた内戦と津波の被害により、8 回もの避難生活 を余儀なくされ、避難民となっていた人々が、平成 19 年の前半に元の居住地の帰還し、生 活を再建している。帰還後、国内外の援助機関が、帰還民に対する緊急支援・再定住支援 を行ってきたが、いまだニーズの充足度には格差があり、格差を埋める支援が求められて いる。ワカライ郡の大部分の村では、国内外の支援によりほぼ全ての世帯にトイレが設置 され、平成 20 年 9 月の時点ですべての援助機関はトイレ再建事業を完了した。しかし、サ ラティブ村全世帯の 25%(50 軒)にはトイレがない。トイレがないために屋外で排泄をし、 家と家との距離が近いため不衛生な生活環境により、雨期には約 80%の人が 1 週間に 1 度 以上に下痢に悩まされている。 当団体では、このトイレがない 50 世帯について、トイレ建設を行い、衛生環境を改善す るとともに衛生教育を併せて行うことで帰還民の健康状態を改善することとした。 王実施状況 トイレ建設は、平成 21 年 5 月から 7 月の間に、現地行政との事業実施に対する合意、ト イレの有無の確認と受益者の選考、施行業者の入札、受益者へのブリーフィングを行い、 11 月中旬には予定していた 50 基すべてのトイレの設置が完了した。住民は 5 世帯ずつの相 互扶助グループを作り、受益者が積極的に参加して、汚水層の穴掘り作業を行った。 衛生に関するワークショップは、トイレの設置完了後、受益者 50 世帯を 25 世帯ずつの 2 グループに分け、平成 21 年 10 月 22 日と 11 月 5 日に実施した。屋外で排泄をすることに よる問題点、排泄後の手洗いの重要性等について講義やグループディスカッションを行い、 94%の参加率であった。 日本からは、平成 21 年 4 月 1 日から 12 月 13 日までの間、スタッフが滞在し、15 日間、 建設現場の進捗確認、事業調整等を行った。 効果と現地の反響 トイレの完成は、村の衛生状態の改善に貢献した。平成 20 年の雨季には 30%の受益者が 1 週間に 2 回以上下痢をすると回答していたが、事業が完了した平成 21 年の雨季には 1 週 間に 2 回以上下痢をしていると回答し受益者はわずか 2%に減少した。更に、排泄後に手を 洗う人は、トイレ設置前は 45%であったのが、トイレ設置後には 98%に増加した。 現地の人々からは、「先日、支援によりトイレが完成しました。必要なときに、いつでも すぐにトイレに行けるようになり、とても助かっています。衛生状態も良くなっているの でうれしいです」、「これまで、トイレがないことが健康的な生活を送ることができない原 因だと考えていましたが、その問題が解決しました」、「私は紛争で夫を亡くし、子どもと 一緒に住んでいます。去年の雨季にはトイレもなく、衛生状態を改善することで防げる病 気の知識もなかったため、頻繁に下痢などに悩まされていました。今年はこのプロジェク トで、安心して雨季を迎えられそうです」など喜びの声が聞かれた。 49 バングラデシュ 特定非営利活動法人 シャプラニール=市民による海外協力の会 所在地:東京都 事業名:住民グループ及びコミュ二ティの育成のための持続的な農村開発事業 配分額:7,491,000 円 あち 背景と目的 ノルシンディ県は首都ダッカとのアクセスが比較的良いことから、多くの地域では野菜 等の換金作物の栽培が盛んになり、経済は順調な進展を見せている。しかし、一方「チョ ール」と呼ばれる中洲地帯は全体的に貧困状態が改善しておらず、他の地域との格差がこ れまで以上に広がっている。ライプーラ郡のチョールには少なくとも 150 年前からは人々 が定住し、現在 54,000 名ほどが居住する巨大な中洲であるが、医師が常駐する医療施設は 機能しておらず、また教育機会は限定されている。また、行政は貧弱で昔ながらの有力者 たちが勢力を争い、外部とのコミュニケーションが少なく、耕作面積も極めて少ないなど の問題を抱えている。 本年度は貧困層や思春期の少女たちなどの相互互助グループの結成と育成を進め、メン バー自身の生活向上を図ると同時に、識字教室等通じてコミュニティへの働きかけを行う ことにより、地域社会が自主的かつ持続的な変化を進める啓発を行うこととした。 王実施状況 住民グループ育成については、平成 21 年 4 月からグループの結成と育成を開始し、20 の 最貧困層グループ(計 438 名)が 2 週間に 1 回ミーティングを実施。保健衛生やエイズ、ヒ 素の問題などについて学んだ。また、25 の少女グループ(計 375 名)は 2 週間に 1 回ミー ティングを実施し、若年層の結婚や持参金といった身近なテーマについて学んだ。 識字教室は、9 月まで教材開発と教師の研修を行い、10 月から 6 か月間、週 6 日の識字 教室(4 センター)で計 80 名が学び、出席率は 97%と高く、全員が卒業試験に合格した。 児童教育は、新しいセンター3 つを含む 8 センターで計 229 人が児童補習学級(公立学校 の授業を補完し、途中退学を防ぐための教室)に参加した。児童補習学級の授業は年間で 453 回実施され、出席率は 96%と高かった。 障がい者支援では、360 名に対し理学療法を施し、これまで手の動きが不自由だった子ど もが服を自分で着られるようになり、食事を 1 人で取ることができるようになった等の成 果をあげている。日本からは、2 名のスタッフが年間を通じて活動した他、短期専門家を計 3 名派遣し、事業の進捗管理等を行った。 効果と現地の反響 最貧民層グループメンバーの女性は、グループ活動の中で小額のマイクロクレジット(貯 金活動)により 5,000 タカを借り受け、家具作りのための資材を買い、竹細工づくりの研 修を受けて得た技術で商売を始めることができるようになった。収入を得る手段を得たこ とで、息子と娘は学校に通わせることができるようになり、「子どもたちが教育を受け、将 来は社会にとって望ましい人間となってくれることを夢見ています」と語ってくれた。 50 社団法人 シャンティ国際ボランティア会 タ イ 所在地:東京都 事業名:難民キャンプの教育環境改善のための図書館活動の実施 配分額:6,612,000 円 あち 背景と目的 紛争や人権弾圧を逃れるため、ミャンマーからタイへ難民の流出が続いており、約 14 万 人の難民がメーホンソン県、カンチャナブリ県、ラチャブリ県などの 9 か所のキャンプで 避難生活を送っている。 当団体は、これまで教育施設が乏しい難民キャンプ内で、難民が自分らしく生きていく ための知識や態度、技能などいわゆる「ライフスキル」を高める場として、カレン族中心の 7 か所のキャンプで図書館を運営してきた。難民キャンプでは、第三国定住政策の影響で運 営管理を担う図書委員会や熟練した図書館員などの人材流出が続いており、新たな人材の 雇用、育成が求められている。 本年度は、4 か所のキャンプの 12 図書館の 24 名の図書館員に対する「平和構築」、「ライ フスキル」など各種研修を実施し、定期活動・行事活動の中に浸透させていくこととした。 王実施状況 図書館員の研修は、4 か所のキャンプの延べ 142 名の図書館員、コーディネーター等に対 し、図書館、平和構築、性的暴力防止、出版と著作権、読み聞かせなどをテーマとして延 べ 13 回実施した。 図書の配備は、日本やタイで出版された絵本などの児童書 41 種類をミャンマー語やカレ ン語に翻訳し訳文を貼った延べ 1,236 冊を 12 の図書館に配備し、また雑誌、単行本、週刊 新聞などの一般向け書籍 6,645 冊を配備した。 各図書館での文化学習は、図書館員の指導により、折り紙、塗り絵、お絵かき、おもち ゃ工作、詩・作文など様々な学習活動を行った。母親層への読書推進研修は、「絵本を通じ た母と子のふれあい」をテーマに延べ 6 回 422 名を対象に実施したが、新たに難民として キャンプへ移住してきた人々に図書館活動を紹介する機会ともなった。また、伝統楽器の タナキクロ、カナの 2 種とカレン舞踊の教室を開催し、上達した青少年グループのパフォ ーマンスは近隣のタイ村での行事に招待されるようになった。 保育園教員等を対象とした移動図書館研修では、子どもの心理発達やお話の効用などを テーマに、に延べ 4 回 141 名の研修を実施した。 日本からは、平成 21 年 5 月 1 日から平成 22 年 2 月 28 日までの間、スタッフ 1 名が常駐 し、各事業の進捗状況の確認やモニタリングなどを行った。 効果と現地の反響 住民自治組織との連携体制が構築され、図書館活動の意義が高い評価を得て、自治組織 の教育機関を中心に、図書館活動のマネジメントに住民の参加を促進した。 図書館の利用者からは、「両親は図書館だったら遊びに行っても良いと言ってくれます」 (男子 11 歳)、「先生になりたいと思っています。図書館には週に 2、3 回来ます。世界で何 が起こっているか知りたいので、ニュースや雑誌を読むのが好きです」(女子 16 歳)、「母 親向けの研修で子どもの気持ちになって考えることが重要と学びました。夫にも受けさせ たいと思いました」(母親 45 歳)などの声が寄せられた。 51 ラ オ ス 社団法人 シャンティ国際ボランティア会 所在地:東京都 事業名:小学校の教室不足を解決するための校舎建設 配分額:6,638,000 円 あち 背景と目的 ラオス政府及び教育省は「万人のための教育」計画に則り、教育機会の拡大等に取り組 んでいるが、首都と地方の格差は大きく、教育省の発表する平成 17 年度の入学率は 83.9% となり、農村部の貧困地域では、46%と非常に低くなっている。ボリカムサイ県は首都の 隣に位置する農村部であり、ターパバーツ郡ホアイルック村では大半の人々が稲作を営ん でいるが、1 年分の米を収穫できない家庭もあるなど、年間平均収入は約 31,900 円と非常 に少ない。 ホアイルック村の小学校の全児童 154 名は、3 年生から 5 年生は元中学校であった 3 教室 を、就学前準備クラスと 1、2 年生は古い木材会社の宿舎であった建物を使用している。 当団体では、児童の人数に対応でき、安全に学習できる環境を整えるため 6 教室の校舎 1 棟を建設し、管理・運営のための研修を開催することとした。 王実施状況 小学校建設は、平成 21 年 5 月に校舎建設に使用する木材の調達を開始し、12 月に完成し た。平成 22 年 3 月、校舎の運営管理責任をホアイルック村に移管した。 工事は建設会社が中心になり進めたが、簡易的な労働や一部の木材調達は村人が参加し、 校舎の梁や机・いすに使用する木材は村人が提供した。 天候不順と村人たちによる木材調達が遅延し、工期は遅れたが、事業期間内に瓦屋根・ 鉄筋コンクリート煉瓦造りの平屋校舎(6 教室)が完成した。 日本からは、平成 21 年 4 月 1 日から平成 22 年 3 月 31 日までの間、スタッフ 1 名が常駐 し、教育省、ボリカムサイ県教育局、ターパバーツ郡教育局との打合せや学校建設事業の 進捗確認、完成後の使用状況確認等を行った。 効果と現地の反響 ホアイルック小学校児童代表による贈呈式のスピーチでは、 「雨が降っても大きな音がし ない屋根の下で、穴が開いたり傾いてない机やいすがある、とても素敵な校舎で勉強がで きてとてもうれしいです」と感謝の言葉が述べられた。 保護者からは、 「親が安心して通わせることができる校舎を支援頂きありがとうございま した。新しい校舎ができたことで、さらに子ども達の教育が大切だという理解を広めたい と思います」との声が聞かれた。 ホアイルック小学校教員からは、「児童はもちろんのこと、私たち教員も新しい校舎の完 成をとても喜んでいます。よりよい学習環境で児童達に教育を行うことを誇りに思ってい ます。ラオスの教育環境向上のために努めて参ります」などの感謝の言葉が寄せられた。 52 スランガニ基金 スリランカ 所在地:東京都 事業名:子どもの栄養、健康状態の向上のための給食プログラムの実施及び家庭の 台所衛生環境の改善 配分額:5,640,000 円 あち 背景と目的 スリランカ東部州バティッカロア県では、長引く内戦と平成 16 年 12 月のスマトラ沖大 地震によって発生した津波の影響を受けて、多くの住民が厳しい生活を強いられている。 当団体では子ども達に焦点をあてた支援を平成 16 年から実施してきたが、未だ、幼児を 中心に栄養不良や慢性疾患が多く見られる。母親の栄養や衛生にかかる知識が低いため、 不衛生な台所で調理が行われ、学校では給食調理環境の悪さ、調理担当者の衛生観念の低 さから支給食料の貯蔵環境も劣悪であり、ネズミや虫が発生している。また、農場では有 機野菜を生産しているものの、栄養など価値が分からず、効果的に利用されていない。 本年度は、給食を実施できる設備を整え、母親への調理指導とともに給食を実施し、有 機野菜を使用した調理講習会の実施や看護師や保健師の参加による栄養・衛生指導などを 行うこととした。 王実施状況 給食ホールの建設は、平成 21 年 7 月 16 日に着工し、建物面積 54.05 ㎡の調理室、倉庫、 食堂広間スペースが 8 月 25 日に完成し、清潔な環境で給食の調理がはじまった。 保健師による栄養・衛生指導を月 1 回から 2 回実施し、母親に対する栄養指導や各家庭 を訪問して台所の衛生状況を調査、助言を行った他、野菜や近海の魚を使った料理の紹介 や、医師と連携し慢性疾患の子どもへの医療支援を行った。 平成 21 年 12 月 20 日から 2 日間、子どもの病気や事故、食育、栄養や環境の整備などに ついて、ワークショップを開催し、プレスクールに子どもが通う保護者等住民の他、保育 士、学校関係者など多数参加した。 また、村の収穫できる材料を使って栄養価の高い料理を作る調理実習や、現地スタッフ のアイデアからレシピの冊子を配布し、医師と保健師による健康診断も実施した。 日本からは、幼児教育の専門家を 1 年間現地に駐在させ、現地との調整や学校の給食調 理環境を教師達と話し合ったり、家庭訪問により栄養や衛生に関する指導や調査を行った。 効果と現地の反響 大型冷蔵庫を備えた衛生的な給食棟が完成し、農場の収穫物を給食に利用できるように なった。村人の参加態度が少しずつ変化してきたが、長い間の習慣を変えることは容易で はない。 ワークショップに参加した住民からは、「5 月はハエが多いが、台所を清潔にすることで、 ハエの発生が減ることが分かった」、「魚や野菜に含まれている栄養についてよく理解でき た」、「新しい料理方法によりいつも口にしない食材を子どもが食べて、うれしい」などの 感想が聞かれた。また、地区の学校長からは、 「WFP からの配給食の調理をこの厨房で行い たい。関係省庁の許可を依頼する。給食を残さず、全部食べる子どもが増えたことで、清 潔な環境整備は子ども達の成長に影響していることがわかった」と感謝の意見があった。 53 スランガニ基金 スリランカ 所在地:東京都 事業名:プレスクールの衛生環境整備と保健衛生のための講習会実施 配分額:4,918,000 円 あち 背景と目的 スリランカ政府は幼児教育の発展に力を入れ、遊具や教材の配布や指導を進めているが、 衛生環境整備への取り組みは遅れており、トイレ設置などは後回しにされている。 小学校入学前教育を行うプレスクールにはトイレがない。大部分の各家庭にもトイレは なく、家屋の外に掘った穴を使ったりしているため、衛生環境が悪く、衛生習慣の教育も 出来ない状況である。 本年度は、東部州アンパーラ地区、南部州エンビリピティヤ地区の 60 のプレスクールに トイレ・手洗い場を建設し、衛生環境の整備を図るとともに保健衛生の講習会を開催し、 地域全体の衛生環境の向上を図ることとした。 王実施状況 プレスクールのトイレ建設は平成 21 年 5 月 1 日から平成 22 年 3 月 10 日までかかり、2 地区の 60 のプレスクールに個室型のトイレが完成した。建設に当たっては、2 地区の保育 士会議を開き、建設の方法等説明した。また、保育士と保護者会が建設コスト削減のため 資材の運搬等の作業を引き受けた。 保育士に対する衛生に関する講習会はアンパーラ地区では平成 21 年 9 月 23 日から 9 月 26 日の 4 日間、エンビリピティヤ地区では平成 21 年 10 月 28 日から 10 月 31 日の 4 日間に 実施し、幼児の健康、疾病、保健衛生と衛生環境の整え方などの講習を行い、参加人員は 2 地区で 64 名であった。 日本からは平成 21 年 4 月 1 日から平成 22 年 3 月 31 日までの間、幼児教育の専門家を常 駐させ、業務調整や衛生習慣確立のための講習会などを行った。 効果と現地の反響 現地のスタッフからは、「スリランカの地方で活動している私達は、衛生状況の悪いプレ スクールをいつも目にしていました。保育士達も気にしているものの、資金不足でトイレ は作ることが出来ませんでした。そのため、草むらをトイレ代わりにしていました。今回 保育士達が保護者と協力をしてトイレを作りました。私達も子ども達にトイレの使い方を 教えることが出来ました」。保育士からは、「トイレ建設には保護者からの労力提供が予想 以上に受けることが出来ました。保護者もトイレの必要性を認識していることがわかりま した。保健衛生に関する講習会では、楽しみながら衛生環境を整備する大切さを学びまし た。これからはトイレを衛生的に保ち、子ども達の衛生環境の向上に努力したい」など感 謝の言葉があった。 各プレスクールの教師からは、「今までトイレがなく、子ども達は我慢したり、外でした りしていた。トイレができたことで、行くのを我慢していた子どもも皆行くようになりま した。心からお礼申し上げます」、「日本の皆様からのご支援に深く感謝します。今では子 ども達はとても楽しそうに新しいトイレを使っています」など感謝の手紙が届いた。 54 社団法人 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン モンゴル 所在地:東京都 事業名:ゲル集落の子どもの生活支援等(「地域ぐるみの子ども保護センター」の運 営)及び子どもの保護体制確立のための人材育成 配分額:13,488,000 円 あち 背景と目的 モンゴルの首都ウランバートル郊外には、ゲル集落と呼ばれる低所得者居住区が広がっ ている。居住者の多くは、市場経済化の恩恵を受けようと地方から移住してきた者である が、上下水道、電気、暖房システム等が未整備の地域に「ゲル」と呼ばれる大型の移動式テ ントを持ち込み日雇い労働や廃棄物収集により日々の生活をしのいでいる。集落では、慢 性的失業やアルコール中毒により、家庭内暴力やネグレクト(育児放棄)が行われており、 ストリートや施設での生活を余儀なくされ、非行や窃盗といった犯罪に巻き込まれる子ど もが少なくない。 当団体は、チンゲルテイ地区、ソンギノ・ハイルハン地区、ドルノド県ケルリン村でそれ ぞれ「地域ぐるみの子ども保護センター」を運営してきた。本年度は、このセンターを活 用し、ソーシャルワーカーや子ども指導員による子どもへの生活支援・指導等及び地域レベ ルの子ども保護体制確立のための人材育成等を行うこととした。 王実施状況 ゲル集落の子どもに対する生活支援・生活指導・ライフスキル教育のため、3 か所の子ど も保護センターの職員がそれぞれの地区の小学校や役場、警察署において定期的にさまざ まな生活・技術指導など(思春期教育、公衆衛生、子どもの権利、手工芸教室等)子ども たちが健やかに成長する権利を保障するための教育活動を延べ 252 回実施した。 また、住民参加型啓発活動として、各子ども保護センターにおいて、地域で啓発活動を 推進する「子ども保護専門チーム」を保護者中心に立ち上げ、 「子どもの権利と子ども保護」、 「暴力が子どもに与える身体的精神的影響」、 「体罰のない子育て」等テーマで延べ 61 回セ ミナーを開催し、訓練を受けた子ども保護専門チームは延べ 18 回啓発イベントを開催した。 ソーシャルワーカーに対する研修は、各地域の子どもに係る官民双方のソーシャルワー カーを対象に、子ども保護センターごとにケースカンファレンスを 9 回、職場巡回技術指 導を 4 回、出張講義を 9 回実施した。子ども保護専門チーム機能の強化と研修のため、子 ども保護法アドバイザーによる現場での直接個別指導と定期ミーティングを、月 1 回開催 した。また、専門的知識、技術向上のための特別研修を同様に 6 回実施した。 日本からは、 平成 21 年 4 月 1 日から 8 月 31 日までの間、7 月 4 日から 7 月 8 日までの間、 9 月 1 日から平成 22 年 3 月 31 日までの間、平成 22 年 1 月 14 日から 1 月 27 日までの間に それぞれ専門家 1 名を派遣し、現地スタッフへの指導、進捗状況管理等を行った。 効果と現地の反響 物質的欠如のみならず虐待や暴力から保護されることにより、90%の子どもに変化が見 られ、学力の向上、自尊感情の高まり、対人関係等に改善が見られた。 13 歳の男子生徒からは、 「子ども保護センターはいつ来ても暖かいなと感じます。設備が 整い、雰囲気がフレンドリーになりました。先生はためになる話をしてくれるので毎回楽 しみです」と感謝の言葉があったほか、警察官や保護者からも感謝の言葉が寄せられた。 55 特定非営利活動法人 地球の友と歩む会 インドネシア 所在地:東京都 事業名:農民のための給水、灌漑施設建設、農業技術の指導 配分額:8,512,000 円 あち 背景と目的 当団体では、平成 4 年からインドネシアのスンバ島で植林事業を行ってきた。しかし、 自然環境が厳しいうえ、農業技術や知識がない、灌漑設備等インフラが整備されていない ことなどがあり、農業の生産性は低い。 支援地のカタラ・ハム・リング郡は東スンバ県でも、一番西に位置しており、行政の方 策が行き届いていない。また、スンバ島はサバンナ気候で雨量が少ないが、近年はさらに 降雨量が減少し、農業用水の不足から農業生産は上がらず、食料不足となっているため、 農民が農業での生産性を上げ、持続的に農業が行える環境作りが急務となっている。 本年度はコンバパリ村など 5 村に灌漑施設の建設を行い、農業技術習得のため、堆肥作 り等の研修や、農業人材育成のための農民グループ研修を行うこととした。 王実施状況 灌漑施設の建設としては、井戸をマンダス村に 7 か所、ライララ村に 6 か所を建設した。 各井戸は「直径 1m×深さ 20m」で、地上部にはセメント製の汲みくみ上げ装置を設置した。 また、給水タンクは、コンバパリ村に 5 か所、ライララ村に 4 か所、マンダス村に 4 か所 を建設した。各タンクは「縦 5m×横 5m×高さ 5m」で建設工事はすべて各村の住民が協力し て行った。給水のための灌漑用水路はコンバパリ村に 400m、マタワイアムフ村に 250m、プ ライバルク村には 50m 建設し、合計 160ha の水田や畑に給水し、426 世帯が受益者となり、 各施設の管理は利用者が共同で管理することとなった。 有機農業研修は各村において毎月実施し、植物や牛糞、鶏糞を有効利用する有機肥料作 り、もみ殻の燻炭肥料作り、害虫駆除液作り、成長促進液作り等を中心に行い、毎回 30 名 程度の男性が参加した。農民グループ研修は、平成 21 年 4 月に農民グループの組織化に向 けて活動概要の説明を実施し、その後、毎月行った。野菜種の共同購入や建設した灌漑設 備の管理方法、生活用水の確保、有機農業研修の成果の確認等を実施するとともにリーダ ーシップトレーニングも行った。 日本からは、スタッフを平成 21 年 4 月 12 日から 4 月 24 日までの間、7 月 8 日から 7 月 22 日までの間、11 月 15 日から 11 月 29 日までの間、平成 22 年 3 月 17 日から 3 月 31 日ま での間の合計 54 日間派遣し、各村を回り農民グループと協議した。 効果と現地の反響 住民からは、「13 の井戸と 13 の給水タンクが建設されました。農村のコミュニティが協 力して建設できたことは素晴らしい」、「これまでは乾期の時は 5 リットルの水を汲むため、 3km 以上歩かなければならなかったが、今は給水タンクが出来、時間を活用できる」、「400m の灌漑用水路が出来て、10ha まで農業用水が届きます」と喜びの声が聞かれた。 また、タカラ・ハム・リング郡長のアブラハム・コリ氏からは、「この郡は平成 19 年 11 月 20 日に設置され、インフラ開発や交通機関が未だ不十分です。インフラ施設の開発には 人材育成が必要であり、プライベート組織、団体、NGO などの役割が必要です。貴団体のプ ログラムに多くの住民が参加しています」と感謝の言葉が寄せられた。 56 特定非営利活動法人 難民を助ける会 スーダン 所在地:東京都 事業名:地域住民のための簡易診療所の運営支援及び保健医療サービス提供者の育 成 配分額:6,107,000 円 あち 背景と目的 スーダンでは、23 年に及ぶ内戦の結果、大部分の保健医療施設が破壊され、また、保健 医療サービスを担う人材や予算が絶対的に不足し、保健医療インフラ整備は進展していな い。他方で内戦中に近隣諸国に逃れていた難民が大量に帰還しているため、急激に人口が 増加し、基礎的な社会インフラが急務となっている。広大な土地に対し、不足する保健医 療施設に加え、道路インフラが未発達なため、住民は医療施設へのアクセスは困難を極め、 乳幼児死亡率は 10%、5 歳未満死亡率は 13.5%、妊産婦死亡率は 2%と深刻な状況にある。 当団体は、東エクアトリア州ラフォン・ロパ郡において、これまで 3 棟の簡易診療所を 建設した。本年は、この簡易診療所の運営を支援するとともに、地域保健の改善を担う中 核メンバーとなる地域保健員等の人材の育成を行うこととした。 王実施状況 保健医療サービスの人材育成は、地域保健員研修、伝統的産婆研修、地域保健ボランテ ィア研修を実施した。地域保健員研修は、保健省が定める資格基準に準拠した指導内容で、 平成 21 年 5 月、11 月、平成 22 年 1 月、2 月に合計 63 日間実施し、44 名が参加した。 伝統的産婆研修は、まず医師と団体の保健スタッフが産婆を訪問し、妊産婦や乳児の死 亡原因について議論し、研修内容を準備した。平成 21 年 9 月と 10 月に合計 30 日開催し、 22 名が参加した。研修の前半は母親の栄養改善、妊娠中の健康維持方法、出産前の健康管 理、後半は家の衛生管理、妊娠の早期発見等行った。 地域保健ボランティア研修は、平成 21 年 6 月 8 日から 1 か月間実施した。内容は、人体 解剖学、生理学、応急処置等で基本的な知識をグループワークや実技指導も交えて行った。 また、簡易診療所の医療サービスの質を維持するため、医薬品や産婆キット(安全な分娩に 必要な品物をセットにしたもの)を州保健省に供給を依頼し、3 つの診療所に搬送した。 日本からは保健専門家を 1 名、平成 21 年 8 月と平成 22 年 2 月に合計 35 日派遣し、診療 所の運営状況を評価するとともに、研修内容について検証、提言を行った。またスタッフ をおよそ 10 か月派遣し、業務調整を行った。 効果と現地の反響 地域保健ボランティア研修に参加したダニール氏からは、「研修で学んだことを診療所で 活かしたい。ただ、幼児用シロップ剤等医薬品が不足しています」、ピーター氏から「もう 2 年以上も保健ボランティアをやっています。今後も村の人と信頼関係を築き、診療所を守 っていきます」、伝統的産婆研修に参加したアルベルト氏からは、「簡易診療所を建設し、 研修も行っていただき、感謝しています」など、感謝の言葉が寄せられた。 57 特定非営利活動法人 難民を助ける会 ミャンマー 所在地:東京都 事業名:障がい者のための職業訓練校の運営及び就職支援活動の実施 配分額:6,750,000 円 あち 背景と目的 ミャンマーでは、軍事政権の影響により経済は停滞し、欧米からの経済制裁で状況が悪 化する中、就労の機会がきわめて少ない障がい者とその家族は、貧困層の中でも、特に困 難な生活を強いられている。有料の職業訓練校が存在するが、貧困層の障がい者の多くは、 学費を支払うことが困難なため、職業訓練を受ける機会は限られている。また、障がい者 を対象とした訓練校は、負傷兵を主な対象者とする政府訓練校が全国で 1 校あるのみであ る。 当団体は平成 11 年に障がい者のための職業訓練校を、ヤンゴン市に設置し、平成 12 年 から同市内にモデルショップ 3 店(洋裁 2 店、美容理容 1 店)を運営してきた。今年度は障 がい者のための職業訓練校を運営するとともに、障がい者の就労支援活動を行うこととし た。 王実施状況 今年度は平成 21 年 5 月から 8 月まで、9 月から 12 月まで、平成 22 年 1 月から 4 月まで の 3 期に分け職業訓練を行った。洋裁コース、美容理容コースの 2 コースを設けて訓練生 を全国から募集し、洋裁コースは 46 名、美容理容コースは 45 名が入学し、双方で 89 名が 卒業した。卒業生の就業率は、洋裁コースが 91%、美容理容コースは 92%であった。 訓練生には訓練期間中に 3 回、自己開業や今後の計画などのカウンセリングを行い、31 名の訓練生は、訓練校が提供するローンプログラムを利用して、ミシン、理容用いす、洗 髪台、鏡等を購入し開業した。また、洋裁モデルショップ 2 店にて 8 名、美容理容モデル ショップ 1 店にて 6 名が実地研修を受けた。訓練生は技術や接客スキルを実践することで、 希望や自信を持つことが出来た。 日本からは、洋裁の専門家を平成 21 年 10 月 9 日から 10 月 16 日の間、平成 22 年 2 月 14 日から 2 月 20 日までの間、スタッフを平成 21 年 10 月 11 日から 10 月 20 日、平成 22 年 2 月 12 日から 2 月 24 日までの間派遣し、技術指導や事業評価や管理、業務調整を行った。 効果と現地の反響 美容理容コースを卒業したス・ルウィン・コ氏は、生後 3 か月でポリオに感染し、右肢 体に障害があるが、現在は自宅に店を開業している。月々40,000 チャットの収入を得て自 立した生活を送り有名デザイナーになるとを夢見て「今、自信に満ちています。いつの日か 夢が叶うと信じています。心から貴団体に感謝します」と語った。また、洋裁コースを卒業 生したモエ・ティダ氏は 17 歳の時、階段から落下し聴覚障がい者になったが、現在は自宅 で開業し、月々30,000 チャットの収入を得ている。「私は幸せな人生を送っています。いた だいた支援のことは、決して忘れません。これからも邁進します」。洋裁コースを卒業した 聴覚障がい者のチン・エー・マー氏は、現在モデルショップのアシスタントをしており、「モ デルショップの実地研修のおかげで腕を磨くことが出来ています。特にドレスや子ども服 を中心とした流行のデザインが勉強出来、感謝します」など、多くの卒業生から喜びの声が 聞かれた。 58 日・タイ親善交流グループ タ イ 所在地:東京都 事業名:老朽化した学校(幼稚園、小中学校)校舎の建替え及びトイレ棟の建設 配分額:2,515,000 円 あち 背景と目的 タイ北部チェンライ県メースワイの山間部に 11,000 坪の学校敷地が広がり、適度な起伏 を生かした地形にメーパクレー学校の建物が点在している。 メーパックレー学校には、幼稚園児 32 名、小学生 118 名、中学生 63 名が在籍している が、山間部に点在する建物は、いずれも老朽化しており、中には使用に耐えられず閉鎖し たものもある。 県や国など行政からの資金援助は受けられず、教室は不足し、生徒は厳しい教育環境で 勉強することを強いられていたことから、当団体は、安全に教育を受けることができるよ う教室及びトイレ棟の建設を行うこととした。 王実施状況 老朽化した幼稚園・小中学校の建て替え及びトイレ棟の建設は、平成 21 年 4 月 1 日に着 工し、平成 22 年 2 月 22 日に完成した。施設の規模は、校舎は 14m×9 m で 4 室、126 ㎡、 トイレは 9m×6m、男女各 3 室の個室がある。学校長の責任の元、現地の工務店が施工する 中、保護者や村人達も労働力の提供等交替で協力した。今後の運営・維持管理等などは学 校が行うこととなった。 日本からは、平成 21 年 6 月 14 日から 6 月 20 日(1 名)、6 月 14 日から 6 月 27 日(1 名) と、平成 21 年 10 月 11 日から 10 月 21 日までの間に代表やスタッフを派遣し工事の進捗状 況等の確認作業を行った。また、平成 22 年 2 月 19 日から 2 月 24 日の間に代表をはじめス タッフ 5 名が自費で渡航し、村人や父兄、学校関係者、生徒とともに完成したメーパック レー学校の落成式典に参加した。 効果と現地の反響 落成式典には、この地区数校の学校長、自治体の役員、教育関係者、村長、アカ族の民 族衣装を纏った女性教師や生徒達、村人達が多数参列して行われた。ここに集まった全員 が心ひとつになって喜びを分かち合い、地域の住民や父兄達からは感謝の言葉が聞かれた。 生徒達からは、「新しい校舎とトイレを造ってくださりありがとうございました。この事 は私がダイヤモンドを貰うより嬉しい気持ちでした。校舎やトイレは末永く使えるように 大切に使いたいと思います。今まで以上に勉強ができるような気がして、感謝いたします」、 「私たちは恵まれた教育環境で勉強ができることを幸せに思います。この建物は、色々な ことができます。新しい環境で友達と喜んで利用しています。日本の皆さまからの支援を 心から感謝しております。トイレもきれいでサバーイ(気持ちがいい)です」、「私たちが 快適に勉強できる建物を造ってくれてありがとうございます。トイレや教室を大事に使い たいと思います。教室やトイレが少ないときは大変不便をしていましたが、今ではこのき れいな建物に住みたい気持ちです。何よりもトイレがきれいなのは嬉しいです」等の感謝 の手紙が多数寄せられた。 59 特定非営利活動法人 日本カンボジア友好協会 カンボジア 所在地:東京都 事業名:熱帯性熱病予防のための巡回指導及び特殊蚊帳、医薬品の配布 配分額:7,649,000 円 あち 背景と目的 カンボジアでは古代から今日まで蚊が媒介する熱帯性熱病(マラリアやデング熱等)に苦 しみ続けてきた。カンボジアのことわざには、 「マラリアに罹りたければバタンバンに行け」 という表現があるように、バタンバンはマラリアが最も多く発生する地域であり、しかも マラリアの中でも最も死亡率の高い脳性マラリアが多いことで知られている。 バタンバン州は首都プノンペンから遠く離れており、電話・電線などの通信施設もほと んどない状態であり、かつて NGO が建設した病院などがあるが予算不足から地域医療体制 は実質的に機能していない。 医療関係者においても熱帯性熱病の罹患は宿命と考えられ、発症後の治療と投薬に専念 してきたが、正しい知識と適切な予防措置の普及により、発生数を大幅に減少させること ができることが周知されつつある。 蚊の不妊薬を薫蒸により染み込ませた特殊な蚊帳を用いるとその蚊に接触した蚊が不妊 症となり、蚊の発生数を大幅に減らせることから、当団体は、バタンバン州で予防のため の巡回指導及びそれに必要な特殊蚊帳と医薬品などの配布を行うこととした。 王実施状況 平成 21 年 7 月 23 日にサンカェー県チュニッ村の住民 355 名に、また、翌日 24 日には、 スポング村の住民 525 名に対して巡回指導を実施し、特殊蚊帳を手渡した。平成 21 年 11 月 26 日には、コアス・クララ県オブ・レック村(村民約 260 名)とロム・アッチ村(村民約 300 名)、また、翌日 27 日には、同県サムロン・ルー村(村民約 270 名)とマ・カック村(村 民約 200 名)を訪問し、診療所に医薬品を供与し、村民に対して、巡回指導を実施し、特殊 蚊帳を手渡した。平成 22 年 3 月 19 日には、ロタナク・モンドル県プック村(村民約 350 名) とスノール村(村民約 250 名)、また、翌日 20 日には、同県のプレイ・プチ村(村民約 230 名)とダムナック・アムピル村(村民約 170 名)を訪問し、診療所に医薬品を供与し、村民に 対して、巡回指導を実施し、特殊蚊帳を手渡した。巡回指導は、マラリアやデング熱等は 蚊が媒介して引き起こす病気であり、蚊帳や服装により蚊にさされないこと、ボーフラが 発生しないように注意すること等、予防に重点を置くことが重要であることを指導した。 日本からは、平成 21 年 7 月 19 日から 7 月 26 日の間、11 月 21 日から 11 月 29 日の間及 び平成 22 年 3 月 15 日から 3 月 22 日の間にスタッフ 2 名を派遣し、特殊蚊帳や医薬品の配 布を行った。 効果と現地の反響 当協会が行っている人道的援助活動は現地の人々から熱烈に歓迎され、大変感謝されて いる。しかし、当協会の支援は、現地の実情からすれば、まさに「焼け石に水」の域を出 ず、また、規模からいっても熱帯性熱病で困っている人々の極わずかの部分にしか過ぎな い。現地の人々の切実な願いは、「援助を打ち切るようなことは決してしないで欲しい。今 後も是非続けて欲しい」ということであり、熱帯性熱病による感染者がいなくなるまで、 援助を末永く続けて欲しいとの希望を持っている。 60 社会福祉法人 日本国際社会事業団 カンボジア 所在地:東京都 事業名:貧困家庭の子どものための識字教育及び母親への自立訓練(給食)の実施 配分額:5,359,000 円 あち 背景と目的 カンボジアの首都プノンペンでは、極貧のため住居を借りることが出来ない人々は路上 やスラムで生活をしている。親がいないために路上で生活し、労働によりわずかな収入を 得ている子どもも多い。また働いても多くは物売りや農業の手伝いで、1 日の子どもの収入 は平均 4,000 リエル(約 80 円)程度である。十分な食事が取れない金額であり、ほとんどの 子どもが栄養失調であり、やせ細っている。また、食事すら十分に無い中で、学校に行く よりも空き瓶や空き缶拾いで現金を得ることが求められており、就学年齢であっても自分 の名前が書けない子どもや年齢が言えない子どもが数多くいる。 当団体は、毎日 50 名前後の子どもを対象とした朝食と昼食の給食付の識字教室を開いて いる。また、子どもの母親を対象とした識字教育を行う他、自立訓練の第一歩として掃除 や整理整頓等衛生的な生活の重要性を周知した。年間延べ約 15,000 名の子ども達がプログ ラムに参加して、カンボジア語の読み書きや算数、及び英語の基礎知識を習得することを 目指すこととした。 王実施状況 ウナロム寺院の敷地内にある教室で、子ども達が朝食と昼食の給食と教育を受けるとい う自立支援プログラムを実施した。参加する子ども達は 30 名から 70 名、平均 50 名程度で あった。朝、何もする気がなく、落ち着きのない子ども達が朝食を食べると静かにプログ ラムに打ち込む姿には、識字、衛生教育とともに栄養教育の大切さを実感した。また、中 には食事の摂れない家族のために自分の分の昼食を持ち帰る子どももいる。 また、近隣の人に活動の内容を知ってもらうために、オープン授業を行い、歌や踊りも 披露して、学校にもプログラムにも参加していない子ども達の参加を呼びかけるとともに、 親たちにも理解を得るために識字教室の大切さを説明した。 日本からは、スタッフ 1 名が常駐し、業務調整や運営管理を行った他、平成 21 年 6 月 27 日から 7 月 3 日までの間、7 月 25 日から 8 月 3 日までの間、10 月 17 日から 10 月 23 日の 間にそれぞれ専門家 2 名を、また、平成 21 年 12 月 18 日から 12 月 28 日の間、平成 22 年 3 月 23 日から 3 月 30 日の間にそれぞれ専門家 3 名を派遣し、ストリートチルドレンの生活 環境や働く現場を、子ども達から生活状況について話しを聞くなどしたほか、各プログラ ムに参加し、現地スタッフと協議・検討した。 効果と現地の反響 現地の人々は当初何を始めるのかと遠巻きに見ていたが、学校に通うことの出来ない貧 困家庭の子どもの支援を始めたことで、大変好意的になった。お寺の中に教室があるので、 毎日僧侶が足を止め、熱心に見ているだけではなく、自分もプログラムに関わりたいと数 人からの申し出があった。 朝 6 時から来る子どももいるのでスタッフは大変だが、子ども達の能力に応じたプログ ラムを作り、朝早くから子どもを受け入れているので、親たちからは安心できると活動に 対し、高い評価を得ている。 61 特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター カンボジア 所在地:東京都 事業名:学校の生徒と農民対象の環境教育及び学校教員向け環境教育ファシリテー ター養成講座の実施 配分額:6,319,000 円 あち 背景と目的 30 年にもわたる長い内戦後のカンボジアでは急激な人口増加のため、燃料用に村周辺の 森林伐採が進んでいる。また、収入を得るため、化学肥料や農薬を乱用する農民が増え、 地域の環境を破壊するだけでなく、農民の借金の原因となっている。農民は食べることに 精一杯で、自然資源の適正な利用まで考える余裕がない。農閑期になると季節労働者とし て都市部への出稼ぎが増え、自分たちの住む地域の自然環境などについて考え、改善する 機会がなく、地域でリーダーとなる人材も不足している。 本年度は小学校や農村地域で環境教育を行うとともに、村を離れることが少なく、兼業 農家が多い学校の教員を環境教育ファシリテーターとして養成することとした。 王実施状況 日本から専門家を派遣し、現地スタッフと協力して 4 つの小学校の教員 24 名を環境教育 ファシリテーターとして養成した。教員を対象とするものの、学校だけでなく地域でリー ダーシップを発揮できる人材を養成することを目的とし、環境とは何か、エコロジーの基 本概念、開発と環境など研修した。研修後、実際に環境教育に必要なカリキュラムを作成 し、小学校において環境教育を行った。 小学校及び農村における環境教育、環境保全活動は、4 つの小学校で約 1,200 名の児童を 対象に毎週 1 回行った。また、児童が自ら書籍などで調べたりすることで環境などに関心 を高められるよう、各小学校の図書館を改修し、4 つの小学校に 610 冊の書籍、121 枚のポ スター、406 冊の雑誌等を配布した。 また、プノンペン市にある資料・情報センターを運営し、環境や生態系農業に関する資 料・情報を収集し、この分野に関心のある人々に無料で開放した。平成 20 年度の利用者は 664 名で、平成 21 年度の利用者は 1,158 名であった。また、環境などを学ぶ大学生や若手 の NGO 職員を対象に環境と開発に関する連続講座を開催し、219 名が参加した。 日本からは平成 21 年 4 月から平成 22 年 3 月まで、環境教育や農業の専門家 2 名を派遣 し、環境プログラムの作成や農業研修の企画を行った。そのほかに、平成 21 年 9 月 25 日 から 10 月 10 日までと平成 22 年 1 月 4 日から 1 月 19 日まで、開発経済の専門家を派遣し 活動状況の確認を行った。 効果と現地の反響 環境教育ファシリテーターの養成研修を受けた教員から「環境が人々の生活に関係して いることを具体的に理解できた。もっと環境教育の教材ややり方を学びたい」、環境教育を 受けた小学生は「校内でごみはごみ箱に捨てるように伝えている。環境教育で初めて野菜を 植えたが育っていくのを見るのが楽しみ」、資料・情報センターを利用した農業省職員は「こ れほどの農業や農業技術に関する資料が蓄積されている資料室はカンボジア国内にはなく、 農業技術発展のためには、極めて重要な施設です」など感謝の言葉があった。 62 特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター スーダン 所在地:東京都 事業名:帰還民(難民から戻った人)及び住民に対する自動車整備技術研修及び労 働安全衛生指導 配分額:5,698,000 円 あち 背景と目的 南部スーダンでは 20 年以上の内戦を終結させ、平成 17 年から包括的和平合意に基づい た新たな国づくりを進めている。難民となっていた住民は平成 17 年から現在まで 17 万人 以上が周辺諸国からスーダンに戻り、職を求める若者らが街中にあふれている。 これらの人々の中には、難民時代に自動車整備士として就労した経験のあるものや技術 教育を受けたものも多いが、帰還してさらなる技術学習や、整備関係の就職を希望しても 基礎レベルで就労出来るような受け皿がない。 本年度は、このような潜在的人材が就労することを視野に入れ、再学習の機会、技術向 上の機会として技能研修を実施するとともに労働安全衛生の指導を行い、将来地域で働く 人材を育成することとした。 王実施状況 技術研修及び労働安全・衛生研修は、平成 21 年 4 月に技術教育学習経験者及び元自動車 整備工を 10 名募集し、平成 21 年 12 月まで実施した。また、現地で働く国際 NGO などでは、 自動車整備関係の研修の希望が多く、団体の現役運転手または整備士を対象に、短期研修 を行うこととし、平成 21 年 10 月に指導員を 2 名増員し、10 月から 12 月の 3 か月間、8 名 に短期技術研修を行った。当初、研修期間は平成 21 年 4 月から平成 22 年 2 月までの 11 か 月間実施する計画であったが、平成 22 年 2 月に現地で総選挙が実施されることなり、政情 不安が予想されることから、カリキュラムを変更し、12 月までの 9 か月間の研修とし、そ の後は研修内容の補習や修了生の個人面談及び就労支援活動を行った。 日本からは、平成 21 年 4 月から平成 22 年 3 月までの 1 年間、現地にスタッフを常駐さ せ、現地スタッフを監督指導するとともに、安全管理を行った。また、平成 21 年 6 月 22 日から 7 月 17 日まで、スタッフを派遣し、事業の運営、安全管理について助言を行った。 効果と現地の反響 研修を受けた整備士のアレックス・アレム氏は、「バッテリー液の補充時には希硫酸を使 用するが、従来はマスクも着けずに作業し、健康を害する同僚が多かった。研修を受け、 換気窓を設置、作業中はマスクを着用することが徹底され、安心して作業できるようにな った」。研修修了生のダニエル・ウプリ氏は、「研修科目には溶接作業もあった。これまで 溶接をすると目を痛めると研修生は怖がっていたが、ゴーグルを使った安全な作業方法の 指導を受け、溶接技術を習得できた」。南部スーダン地雷除去委員会のラド・ヘンリー氏は、 「政府の各省庁、部局には多くの整備士や運転士兼整備士がいるが、ほとんどは十分な整備 技術を持っていない。運転士兼整備士を 1 名この研修に参加させたが、このような機会は、 政府にとってもありがたい」。遠隔地で活動する団体のグレゴル・シュミット氏は、「遠隔 地で活動しており、車両事故時の対応に苦慮していた。運転士 1 名を研修に参加させ、簡 単な修理なら出来るようになり、非常に助かっている」など、感謝の声が聞かれた。 63 パレスチナ 特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター 所在地:東京都 事業名:地域住民の健康保持・増進・健康意識高揚のための巡回保健指導・健康診 断実施 配分額:6,166,000 円 あち 背景と目的 平成 18 年のパレスチナ自治政府の政権交代に伴うイスラエル及び国際社会からの経済制 裁によって、パレスチナ経済は危機に陥り、人口の約半数は 1 日 2 ドル以下の生活を強い られている。また、東エルサレム地区では、「分離壁」の建設が進んでおり、周辺に巨大な イスラエル人入植地も点在するため、パレスチナ居住区の住民が医療や教育、職場へのア クセスが困難になり、地域の経済、住民の健康状態がますます悪化している。 当団体は、平成 19 年上期から継続して事業を行っているが、本年は、保健医療機関への アクセスが困難な地域の子どもや教師の健康保持のため、学校や幼稚園を拠点に巡回保健 指導や健康診断を行うこととした。 王実施状況 学校における保健教育指導は、46 の学校で 945 回の研修を行い、合計 21,746 名が参加し た。保健指導員を各学年に分け、栄養、喫煙や薬物の害、糖尿病、早婚、血圧、エイズな どについて講習した。救急法の指導は、26 の学校で 7 年生から 10 年生を対象に 585 回の研 修を行い、1,267 名が参加した。また、母親等の依頼により地域の教師に対する指導を 16 か所で 185 回行い、355 名が参加した。学校及び幼稚園における健康診断は、21 の学校で、 1,593 名に健康診断、視力検査、身長・体重測定を行い、中耳炎、皮膚炎等の一般的な病は 処方箋を発行し、視覚障害、心臓障害、皮膚がん等が疑われる場合は、専門医を紹介した。 そのほか、医療デーを設け、成人の血糖値、血圧測定、医療相談を行い 593 名が参加し た。また、10 か所でサマーキャンプを実施し、健康診断のほか、けがや熱射病の対応など 健康教育を行い、769 名が参加した。女性センターでは母親に対し高血圧や乳がん等の検診 を 9 か所で実施し、ベドウィン(遊牧民族)集落で 17 回巡回診療を実施した。 日本からは、平成 21 年 4 月から 1 年間スタッフが常駐した他、平成 21 年 7 月 23 日から 平成 22 年 3 月 31 日までの 8 か月間スタッフを 1 名、平成 21 年 12 月 4 日から 12 月 18 日 まで看護師を 1 名、平成 22 年 2 月 28 日から 3 月 14 日まで、看護師とスタッフを各 1 名派 遣し、カウンターパート及び医療関係者と共に、業務調整や現地の情報収集等を行った。 効果と現地の反響 シルワンに住む女性からは、「パレスチナ人の家には強制破壊命令が出ている。最近は子 ども達が警察に突然逮捕されることもあった。救急法講習はこの地域で緊急時の備えにな っている」。ザイエムの学校長からは、「分離壁が学校のすぐ近くに建設され、子ども達は エルサレムの病院に行くことが困難になった。子ども達の健康診断は、このような状況化 では特に大切だ」、ベドウィン集落で障がい児を持つ母親からは、「子どもを町の病院まで 連れていくのは大変。住んでいる場所で診察してもらえるので安心できる」、介護職員対象 の救急法講習を受けた女性は、「救急法について実践的な知識を得ることが出来た。何かあ った時、安心で、仕事に自信を持てた」など、感謝の言葉が寄せられた。 64 財団法人 日本消防設備安全センター ベトナム 所在地:東京都 事業名:自主消防力強化のための初期消火技術、応急救護技術及び火災予防の指導 配分額:7,059,000 円 あち 背景と目的 ベトナムの首都ハノイ市のタン・スアン区には 32 万人が居住するにもかかわらず、消防 署がない上、自主消防組織には消火活動の技術及び知識も不足している。 このため、当団体では自主消防組織に対し、初期消火技術等を指導することにより住民 が自らの手で火災から生活を守ることができるよう、タン・スアン区の自主消防組織等地 域住民を対象とした 2 日間の初期消火技術、応急救護技術及び火災予防の指導をのべ 14 日 間、250 名に実施し、受講者が消火活動の技術及び知識を習得することを目標とした。さら に、平成 22 年 3 月末までに受講者の中から 10 名の指導者を育成することを目指すことと した。 王実施状況 平成 21 年 4 月から 8 月までの間に、テキストの作成及び訓練用機材の発注、輸送を行っ た。 基礎訓練は、平成 21 年 8 月 26 日から 9 月 15 日までの間に、参加者 292 名が 7 班に分か れ(平均 40 名)、各 2 日間の訓練を受けて訓練用機材の使用方法、初期消火、応急救護及び 火災予防の技術知識を習得した。また、指導者育成訓練は、26 名が参加して平成 22 年 1 月 19 日から 1 月 21 日までの 3 日間実施し、26 名の指導者を養成した。 平成 21 年 10 月から平成 22 年 3 月の間に毎月 1 回の定期自主訓練を実施した。 日本からは、平成 21 年 8 月 26 日から 9 月 15 日の間、専門家 4 名を派遣し、初期消火、 応急救護技術及び火災予防の技術指導を実施した。また、平成 22 年 1 月 15 日から 1 月 23 日の間に専門家 2 名を派遣し、指導者育成訓練の指導を行うとともに、自主訓練状況を確 認した。 効果と現地の反響 基礎訓練、指導者養成訓練とも目標を上回る参加者があり多くの人々が技術及び知識を 取得でき、また、指導者を育成することができた。 基礎訓練参加者からは、「火災に対処する正しい知識を持っていなかったが、訓練を受講 したので、火災が発生した場合、初期消火活動や応急救護ができる」、「外国から様々な援 助を受けてきたが、可搬ポンプや消火器の取扱方法を教えてもらったのははじめてだった」 。 また、指導者育成訓練参加者からは、「指導技術を身につけたことにより、初期消火技術を 人に伝えることができる。このことは地域の安全につながる」との反響・意見があった。 訓練開始にあたり、ベトナム消防局長より、 「受講者が自宅や勤務先において習得した技 術を実践すること、伝承していくことを期待する」との言葉があった。なお、訓練で使用 した機材はベトナム消防局に引渡したが、その際同局長より、「今後、ベトナム消防局主導 の下、訓練参加者が身につけた技術や訓練機材を活用して自主的に訓練を行っていくこと により、各地域の自主消防組織に技術が継承され、ハノイ市の火災による被害の減少に繋 がっていくことを期待する」とのコメントがあった。 65 日本・バングラデシュ文化交流会 バングラデシュ 所在地:東京都 事業名:女性の経済的自立と社会参加のための職業訓練の実施 配分額:16,909,000 円 あち 背景と目的 バングラデシュの女性の多くは、貧困、仕事の種類が少なく仕事を得られない、女性の 社会参加の機会が非常に少ないため、原油高騰による物価高の苦悩や子どもに教育を受け させる費用及び病気の治療費がない等経済的、社会的に弱い立場におかれている。 このような女性達の自立を促進するためには、職業訓練を受ける機会を与え技術を身に つける、安定した収入を得る等の施策が必要である。当団体では、本年度はシャシャ郡に おいて、女性達に手刺繍、草木染、裁縫の職業訓練を受ける機会を作り、収入を得ること 目指した。また、女性達が作製した手工芸品を大豆加工食品をとともに販売する販売セン ターを運営することにより地域産業として発展させ、経済的自立と社会参加を目指すこと とした。 王実施状況 職業訓練の実施は、一般型押一般草木染研修、縫製研修、ろうけつ染研修、草木型押染 研修、一般染研修、ノクシカタ刺繍研修をそれぞれ 8 名ずつ、7 日間の日程で実施した。各 研修とも高い技術をもつ指導者により行われ、内容的にレベルの高い研修となった。 女性達の自立を目指したワークショップは、平成 21 年 4 月から平成 22 年 1 月の間、シ ャシャ郡の 12 か村で、ノクシカタ刺繍や染めについて行い、各 50 名が参加した。 日本からは、平成 21 年 8 月 5 日から 9 月 6 日のまでの間と、平成 21 年 12 月 6 日から平 成 22 年 2 月 12 日の間に代表の他スタッフを派遣し、職業訓練の技術指導や農村巡回指導 を行った。 効果と現地の反響 研修に参加し、すでにノクシカタ刺繍で生計を立てているポシュチムコタ村のハミダ カ トンさんからは、 「今では私はノクシカタ刺繍で安定した収入を得ることができるようにな りました。夫の収入に加え私の収入もあるので生活が楽になりました。少しは貯金もでき るようになり、生活する力がついてきました」。また、ニシチントプール村のナズマ カト ンさんからは、「今私は私の収入で子どもの教育などの支出をまかない、ニワトリやヤギ、 牛も買えるようになりました」。ラズノゴール村のハシナ カトンさんからは、「私は未亡人 で、肉体労働をして家族を養っています。私を含めて 3 人家族です。ノクシカタ刺繍研修 を受けるまでは全然やったことがありませんでした。今は刺繍ができるようになり、家族 を養うのに必要な収入を得られるようになりました。また、子どもの教育費も作れていま す」。ガティパラ村のソキナ カトンさんからは、 「縫製研修に参加し、研修の後は自分ので きる範囲で自分ができるようになりました。今では洋服も作れるようになり、自分の仕事 で収入を得、私と夫の収入で家計がうまくいっています」との感謝の手紙が寄せられた。 66 フィリピン 特定非営利活動法人 日本フィリピンボランティア協会 所在地:東京都 事業名:農民のための農業セミナーの開催(農業技術・経営など) 配分額:1,612,000 円 あち 背景と目的 ミンダナオ島の高地であるダバオ市マリログ地区のマラハン周辺は、乱伐の直後 1970 年 代まではコーヒーなどの換金作物の収穫があったが、現在は土壌流出のため収穫が悪くな っている。また、海抜 1,000m という高地のため野菜が生産されているものの、市場の仲買 人に安く買いたたかれ、住民は厳しい生活を強いられている。 当団体では、このような人々の生活改善につなげるため、平成 19 年度上期に寄附金配分 を受け完成したセミナーハウスを活用し、傾斜地農法などの農業技術、作付け計画、農業 経営など、農業改善に関係するセミナーを開催することとした。 王実施状況 農業セミナーは、平成 21 年 4 月から平成 22 年 3 月までの間に 12 回実施した。セミナー の内容は、山羊のための栄養飼料の作成、有機肥料の生産、プロテクションハウス建設実 技指導、山羊小屋の増築実技指導、マーケティング、ごみ処理、ナマズ及びティラピアの 養殖、有機肥料講義、ミミズ堆肥の生産、マネジメント講義、コミュニティ・ビジネスと 社会マーケティング及びコンピューターの使い方トレーニング等多岐にわたった。 セミナー実施後は、傾斜地農法の等高線柵や有機肥料の利用について徐々に普及し始め ている。また、共同農場で飼育している山羊や共同出荷している農家が収入を得る機会が 増えてきたほか、山羊の育成が進んだため、山羊の糞を使った有機肥料を生産できるよう になった。 日本からは、平成 21 年 6 月 3 日から平成 22 年 4 月 5 日まで専門家 1 名を派遣し、セミ ナー等に携わった。また、平成 21 年 4 月 4 日にスタッフ 1 名、平成 21 年 4 月 12 日から 5 月 28 日までの間、平成 21 年 6 月 7 日から 6 月 12 日までの間、平成 21 年 6 月 20 日から 10 月 13 日までの間及び平成 21 年 10 月 17 日から 10 月 23 日までの間にそれぞれスタッフ 1 名を派遣し、セミナーの実施、派遣者、カウンターパートとの打合せ等を行った。 効果と現地の反響 セミナー参加者からこれまでの成果の聞き取りを行い、今年度のセミナーのアイデアを 集めたところ、セミナー参加者のアセンチスタ氏より「等高線の傾斜地農業のノウハウや、 キダパワンなど農業で先進的なところの見学が役に立っている」、オビス氏より「コンポス トを使った有機肥料が役に立っている」、バロ氏より「もらった山羊は、まだミルクをとっ たり肉を売ったりしていないが、山羊の糞が有機肥料として非常に役に立っている」等の 成果があったことが報告された。 また、今後のセミナーとしては、肥料、手工芸品、傾斜地農業、山羊飼育、ミミズ堆肥、 養殖、養豚、先進的な農場の見学などを引き続き行ってほしいとの意見が出たり、共同作 業として、プロテクションハウスの建設と共同出荷用のレタスの栽培、養豚、養殖池等に 賛成するセミナー参加者がいて、ヤギ小屋の増築を望む声もあった。 67 ケ ニ ア 特定非営利活動法人 日本紛争予防センター 所在地:東京都 事業名:ケニアの国内暴動による避難民の生活復興支援(飲料水確保、住居建設) 配分額:15,338,000 円 あち 背景と目的 平成 19 年 12 月末に実施された大統領選挙において、開票結果に不満を持った民衆とそ の動きを弾圧する警官隊を巻き込んだ大規模な暴動が発生した。これにより国内全土で殺 害、暴行、女性や子どもに対する性的暴力、住居の焼き打ちが行なわれ、1,000 人余りの死 者、約 30 万人の国内避難民が発生した。事態の沈静化を受け政府と国際社会の支援は打ち 切られ、避難民キャンプの閉鎖により、31600 世帯は僅かな政府の補助金でリフトバレー州 マイマヒウ郡に土地を共同購入したが、避難民は荒地にビニールシートのテント生活を強 いられ、水、食料、住居といった基本的なニーズすら満たされていない。 当団体では、国内避難民に対する再定住を支援するため、給水パイプの導入・運営、全 600 世帯への住宅用資材の供給、避難民キャンプ内の異なる部族間対立の和解促進啓発活動 を行うこととした。 王実施状況 給水システム設備の建設は、平成 21 年 8 月 21 日に着工し、平成 22 年 1 月 20 日に完成 した。工事には延べ 100 名の現地住民が臨時労働者として参加し、パイプの敷設作業や、 水源保護設備等の建設補助に携わった。また、水管理委員会を設置し、その運営について の研修を行った。 住居建設は、平成 21 年 10 月 5 日に着工し、平成 22 年 2 月 8 日に土壁の住居が完成した。 ケニア政府及び国連難民高等弁務官事務所の要請を受け、住居 1 世帯あたり土地の広さは 100×50 フィート、家屋の大きさは 10×20 フィートの規定を適用したため、当初予定して いたマイマヒウ地区での 600 軒の住居建設変更の必要が生じ、キコペイ地区に 95 軒の住居 を建設した。 和解促進啓発活動は、平成 21 年 7 月の組織運営研修の中で啓発ワークショップを実施し た。8・9 月に研修参加者よりアイデアを募り、和解促進啓発用のポスター3 種類を計 1,200 枚作成し、1 月に水管理委員会を通じてに配布した。 日本からは、平成 21 年 4 月 1 日から平成 22 年 3 月 31 日までの間スタッフ 1 名が常駐し、 年間を通して、プロジェクト統括として現地の調整等にあたった。 効果と現地の反響 暴動が沈静化した現在も、再定住を果たした国内避難民の生活状況は生活の糧の確保が 依然厳しい状態が続いている。しかし、今年度実施した給水システムの導入支援や簡易住 居支援は、対象地域の国内避難民の生活基盤を根底で支える大きな変化をもたらした。給 水システム導入により、安全で衛生的な水が確保され、子どもを育てる安心感を持ち、砂 埃まみれの子ども達の体を洗う習慣が出来たことで、衛生状態が大幅に改善された。 住居建設支援では、これまで風雨によるテントの倒壊、雨漏りや寒さによる病気の心配 があった人々が、再定住した土地での新たな一歩を踏み出す土台を築くことができた。小 さな子どもを持つ母親からは、「子ども達が夜安心して眠れ、病気にかかる心配がなくなっ た」との声が多く聞かれ、人々の中に安心感や将来への希望が生まれることにつながった。 68 特定非営利活動法人 パルシック スリランカ 所在地:東京都 事業名:内戦被害を受けた学校に対する住民参加型修復の支援 配分額:5,388,000 円 あち 背景と目的 スリランカ北東部、トリンコマリー県ムトゥール郡では 20 年以上も続いた内戦のため、 国内避難民となった人々が帰還しているが、生活はいまだに不安定な状態が続いている。 帰還民は避難期間中に破壊されてしまった自宅の修復を行うなど最低限の生活基盤を整え つつあるものの、学校施設は帰還民の一時的な住居に使用されたり、内戦により破壊され た建物も多い。また、教育に対する意識の高いスリランカでは、学校で授業が再開されて いるものの、施設の復旧は完了していない。また、帰還民は長期にわたりを離れていたた め、避難前に構築されていた結束力が弱まっている。 当団体では、トリンコマリー県ムトゥール郡内の 24 校のうち、特に被害の深刻な 12 校 を修復することとし、修復にあたっては、各地域の住民とワークショップを行い、住民参 加型の復興支援を行うこととした。 王実施状況 平成 21 年 4 月より修復対象校 12 校の損壊状況等を再度確認し、現地雇用したプロジェ クトコーディネータ等と各校校長により修復希望内容等について協議を開始した。各校に は教師、保護者で形成される School Development Society(SDS)という組織があり、7 月に は SDS メンバーに本事業の概要説明と実施スケジュールの確認、修復用資機材リストの作 成方法、見積り、支払いなどについて協議と確認を行った。8 月より順次修復計画案の作成 と資材リストの作成、見積りを開始した。各校は、それぞれの損壊状況に応じて、屋根の 修復、壁の修理、新教室の建設、井戸や水飲み場の修復もしくは建設、トイレの新設を希 望しており、修復や建設はおもに SDS メンバーにより行った。 当初雨季が本格化する 11 月までに修復もしくは建設を終える計画であったが、SDS メン バーの地域行事や農作業への従事、校長、教師を対象とした研修の実施などにより修復作 業が遅れがちとなり、修復・建設が概ね終了したのは 12 月であった。1 月からは修復・建 設の状況確認を行った。 日本からは、平成 21 年 9 月 19 日から平成 22 年 3 月 31 日までの間にスタッフ 1 名を派 遣し、プロジェクトの全体進捗管理を行った。また、平成 21 年 11 月 22 日から 12 月 5 日 及び平成 21 年 12 月 19 日から平成 22 年 1 月 5 日までの間、各専門家 1 名を派遣し、学校 建設状況の確認等を行った。 効果と現地の反響 空爆により校舎の一部が破壊され建物に入れない学校や、銃弾の残る壁、同じく銃弾に より穴のあいた床など、教育を受ける環境としては劣悪といえる設備の中で子ども達は授 業を受けていたが、本事業によりそうした校舎が修復され、子ども達が走り回っても安全 な床や雨が降っても移動の必要のない教室で安心して授業を受けられるようになり、感謝 の言葉が寄せられている。また地域住民によって形成される SDS を主体として事業を実施 したことにより、帰還民や国内避難民の多い当該地域において地域の結束力を高める一助 となった。 69 特定非営利活動法人 パルシック 東ティモール 所在地:東京都 事業名:コーヒー生産者の収入向上のための農業技術指導、コーヒー加工技術指導 配分額:5,099,000 円 あち 背景と目的 独立から数年しかたっていない東ティモール政府は、経験及び人材が不足しており、コ ーヒーが主要産業にも関わらず、生産者協同組合形成支援や農業指導といったサービスを 遠隔地まで届けることができない。アクセスの悪い遠隔地ほど住民のニーズは高く、貧困 の程度がより深刻なのが現状である。アイナロ県マウベシ郡では、コーヒー豆の加工施設 もなく加工技術・知識も不十分であり、そのためコーヒー豆を低価格で販売せざるを得ず 貧困から抜け出すことができない。 当団体では、マウベシ郡の 3 村でコーヒー生産者を組合組織化し、JAS 規格を満たすコー ヒー加工技術を移転し、加工したコーヒーをフェアトレード価格で買い取ることにより、 生産者たちの収入の向上及び安定を目指すこととした。 王実施状況 事業開始当初、再度の調査を実施したところ、実施予定の 3 村中 2 村で地滑りによる道 路封鎖で加工場建設の資材が運べないといった問題や事業実施が困難なことが判明した。 そこで、前年の調査時に加工場建設と技術指導のニーズがあった村で行うことの変更承認 を得て事業組合を組織し、事業を開始した。 当団体が平成 14 年より開始しているマウベシ郡のコーヒー生産者協同組合コカマウへの 参加者を各村で募り、組合役員の選定及び組合運営指導のワークショップなどを実施した。 6 月からは各集落で加工場の設計及び資材調達を開始し、組合員が参加して加工場の建設を 開始した。また、それぞれの圃場地図を作成し、有機認証研修へ向けての準備を開始した。 8 月に有機栽培に関する研修を実施。9 月からはコーヒー加工を本格的に開始し、現地スタ ッフにより豆の選別、水洗、乾燥について指導とモニタリングを行った。村の代表者との 間で加工場建設地などの協議が遅れていたカヌレマ村に関して、コーヒー加工期が終了し た 12 月以降から加工場の資機材の調達・建設を開始し、平成 22 年 3 月に終了した。 日本からは、平成 21 年 4 月 1 日から平成 22 年 3 月 31 日までの間、スタッフ 1 名が常駐 し、事業全体の進捗管理を行った。また、平成 21 年 8 月 2 日から 8 月 11 日までの間と平 成 22 年 2 月 17 日から 2 月 28 日までの間に専門家を各 1 名派遣し、有機栽培に関する研修 や建設された加工場の確認等を行った。 効果と現地の反響 集落で利用できる加工場を建設し、コーヒー生産者共同組合に加入して、有機栽培の研 修、コーヒー加工の適切な指導と質の高い豆の生産・加工方法を学んだことで、当該地域 の住民の収入は総体的に増加した。リティマ集落での聞き取りでは、 「集落のほぼ中央に位 置する開けた平地を囲むようにコーヒー林があり、コーヒーの実の収穫量は多いが近くに 加工場がないため、チェリー(生豆)のまま仲買人に売り、山を登って一番近いリタ村の加 工場まで持って行かなければならなかった。加工場を建設してもらい、質の高いコーヒー 豆を作るための適切な加工方法やコーヒー林の手入れなどを教えてもらったことで、今後、 コーヒーの収穫量が増えて収入も増加することが嬉しい」などの意見が聞かれた。 70 レバノン 特定非営利活動法人 パレスチナ子どものキャンペーン 所在地:東京都 事業名:難民キャンプの子どもや家族に対する支援プログラムの実施及びソーシャ ルワーカー、指導員の育成 配分額:10,717,000 円 あち 背景と目的 パレスチナ難民は世界で最も多い難民と言われ、約 40 万人がレバノン国内で避難生活を している。平成 18 年のイスラエルによるレバノン全土への空爆、平成 19 年には北部の難 民キャンプで、外部から来たイスラム過激派とレバノン軍との戦闘により、4 万人が「国内 避難民」となり、再難民化している。難民は就労の機会が乏しく、社会サービスも大きく制 限されているために、心理ケアを必要とする住民は増加しているが、心理専門家の数は少 なく、十分なケアを受けることが困難である。また、経済的な理由により学校をドロップ アウトする子ども達も多い。レバノンでは難民の就労に厳しい制限があり、義務教育を修 了しなければ職に就くことが出来ないため、若者は将来に大きな不安を抱えている。 本年度は、難民キャンプの子どもや家族に対し、ドロップアウト防止のための補習クラ スなど支援プログラムを実施するとともに、現地のソーシャルワーカーや指導員の育成研 修を行うこととした。 王実施状況 地域での研修は、北部(トリポリ市内)、南部(エルバス市内)、ベイルート市内の 3 か所 で 5 回の心理サポート研修を実施し、各回 50 名以上の参加者があった。ベイルート市内で 3 回合計 10 日間の集中研修を行い、ソーシャルワーカーや指導員 38 名が参加した。 家族向けの活動として、母親向けワークショップを事業期間内毎月 1 回、8 か所の難民キ ャンプで実施し、参加者は各回 20 名以上であった。また、8 名のソーシャルワーカーが 1 人年間約 200 軒以上の家庭訪問を行い、各家庭の相談に対応した。 子ども向けの活動として、8 か所の難民キャンプで補習クラスと心理サポートプログラム を平成 21 年 4 月から 6 月、9 月から平成 22 年 3 月までの 10 か月間、毎週 6 日間、午前、 午後 3 時間の 2 交代で実施し、参加者は小学 1 年生から 3 年生で合計 966 名が参加した。 日本からは平成 21 年 10 月 19 日から平成 22 年 3 月 24 日の間にスタッフ 3 名をのべ 49 日間派遣し、研修の運営や事業の調整にあたった。また、平成 22 年 3 月 8 日から 3 月 17 日までの間に臨床心理士を 1 名、3 月 3 日から 3 月 13 日の間にアラビア語の通訳を 1 名派 遣し、現地の研修の指導やソーシャルワーカーからの聞き取りを行った。 効果と現地の反響 補習クラスに通うイッサ君と母親からは、「僕は 8 歳で 2 年生です。僕は学校が好きです が、英語はとても苦手です。成績を上げるのには、助けが必要だけれど、家にはお金があ りません。補習クラスに通い、英語がわかるようになりました」、「私には 5 人の子どもが いて仮設住宅で暮らしています。長時間労働をしているので、子ども達の勉強を手伝う時 間がありません。無料の補習クラスで、先生方が熱心に教えてくれ、息子は英語が上達し ています。パレスチナの子ども達のための支援に感謝します」と感謝の手紙が届いた。 71 ベ ナ ン 特定非営利活動法人 ハンガー・フリー・ワールド 所在地:東京都 事業名:中学校校舎の増築と井戸の設置 配分額:5,943,000 円 あち 背景と目的 ベナン南部のアトランティック県ベト村では、最も近い中学校でも 9km 離れているため、 徒歩通学はむずかしい。家庭に経済力がないため、寮費や交通費を負担することが出来ず、 多くの子ども達は進学をあきらめざるを得ない状況にある。平成 17 年に地域住民から資金 を集め 1 棟 2 教室の中学校をスタートさせたが、建築状況が悪く使用不能となり、平成 19 年に 1 棟 3 教室を増設した。しかし、ベナンでは 7 学年制中高一貫教育制度であるため、 平成 20 年に中学 3 年生が進級すると教室が不足する。また、中学校には井戸がないため、 衛生的な環境を保ち、生徒の衛生意識を高めることが出来ない。 本年度は平成 21 年 9 月の新学期までに、1 棟 4 教室及び校長室を増築するとともに、生 徒が安全な水にアクセスし、衛生環境を向上させるため、学校敷地内に井戸を建設するこ ととした。 王実施状況 中学校校舎の増築は、平成 21 年 6 月 16 日に着工し、10 月 16 日に完成した。木材価格の 高騰から、窓、ドアの設置が遅れたが、未完成のまま使用を開始した。校舎の建設にあた り、床の土盛作業は住民参加で行われ、施工業者の宿泊場所や食事は住民から提供された。 井戸建設は、平成 21 年 6 月 16 日に着工し、7 月 14 日に完成した。工事は重機による深 さ 68m の深井戸建設であったため、住民は参加出来なかったが、掘削作業員の住居や食事 の提供を積極的に行った。 校舎増築後、学校及び井戸の管理を地域住民からなる保護者会組織と地元の教育局にそ の運営を移管した。保護者会組織は中学校の保護者から選挙で選出されたメンバー及び教 員の代表 11 名で組織され、教育局とのやり取りも保護者組織が責任を持って行った。また、 保護者会メンバーにより井戸の利用方法、ポンプの修理に関する研修を実施した。 日本からは、平成 21 年 8 月 1 日から 8 月 20 日の間、平成 22 年 1 月 21 日から 1 月 31 日 の間、平成 22 年 2 月 21 日から 2 月 26 日の間、それぞれスタッフを 1 名派遣し保護者会、 施工業者との打ち合わせ等業務調整を行った。 効果と現地の反響 新校舎は新学期から使用し、現在 4 学年 547 名が学んでいる。当初、6 学年を受け入れる 計画であったが、下の学年の希望者が多く、学校側の要望により、4 学年となった。 ベト村中学校保護者会代表のマーセリン・ベト氏からは、「中学校が地域にないことが子 ども達の教育の障害になっていることが分かり、地域の住民から資金を集め、2 教室の建設 にこぎつけ、教育局に教員の派遣を交渉しました。今回の支援で教室が増築されたことに より、自分たちで出来ることは自分たちでやるという気持ちを起こさせてくれました」。ベ ト中学校長のイト・エティエン氏からは、「ベト中学校はベト村だけでなく、この地域の子 ども達に広く教育の機会を与えています。また、建設事業に保護者が参画したこともあり、 中学校に対する期待も高く、学校が必要とするときは一丸となってサポートしてくれます」 と喜びの声が寄せられた。 72 特定非営利活動法人 ヒマラヤ保全協会 ネパール 所在地:東京都 事業名:住民のためのゴミ収集施設の建設及び環境教育 配分額:2,808,000 円 あち 背景と目的 ネパールでは、急速に進む近代化の中、山村住民の生活様式は変容し、これまで生じな かった乾電池、ビニール、ペットボトル、アルミ缶などの生活廃棄物が多量に発生してい る。住民は廃棄物に対する知識が乏しく、ゴミは自然に還るものと信じており、いたると ころに放置されている。これらのゴミは、土壌や河川・地下水などを汚染し、住民の健康を 損なうだけでなく、唯一の収入源である観光資源をも破壊する原因になっている。 当団体では、ダウラギリ県ミャグディ郡の 2 村にゴミ箱等を設置し、ゴミ処理システム の確立及び地域の美化を図ることとした。 王実施状況 ゴミ収集施設の整備・建設については、平成 21 年 9 月から平成 22 年 3 月の間に、キバ ン村及びナルチャンレク村にドラム缶を半分に切ったサイズのゴミ箱 18 個、15m×5m のゴ ミ集積場 2 基を住民参加型で建設した。 環境保全・生活改善のための普及指導員の養成講座を平成 21 年 8 月と 12 月に 6 名が参 加し、開催した。ゴミの生分解性とそうでないものの理解、非生分解性のゴミ(電池、ゴ ム、プラスチック等)の取扱方法、ゴミの観光及び健康への影響、生活ゴミ管理委員会の 設立等について学習し、環境調和型の観光開発のための組織運営指導、普及指導員を育成 するとともに生活ゴミ委員会を結成し、住民の自立を進めた。 環境教育ワークショップを平成 21 年 12 月から平成 22 年 1 月の間で村人 50 人が参加し、 開催した。主婦、生徒を対象に家庭における有害なゴミの処理方法(プラスチックの焼却 や電池放棄等)について具体例を示し、有害な理由、適切な処置方法を理解させたほか、 トレッキング・ルート沿いを中心に散乱するゴミを回収し、ゴミ集積場に廃棄するクリー ンアップ活動を実施した。 道路沿いに英語とネパール語で「きれいな村、見てください」と書いた看板を掲出し、観 光客へのアピールとともに、村人のゴミ意識を高めることとした。 日本から、平成 21 年 4 月 24 日から 5 月 11 日までの間に専門家 2 名、4 月 24 日から 5 月 18 日までの間に専門家 1 名、11 月 5 日から 11 月 24 日までの間、12 月 20 日から平成 22 年 1 月 3 日までの間、2 月 19 日から 3 月 7 日までの間それぞれ専門家 1 名を派遣し、資材の 選定・購入、環境教育などを行った。 効果と現地の反響 クリーンアップ・キャンペーン実施中に通りかかった観光客から、賛美の言葉をいただい た。ゴミ処理委員会が中心となって、月 1 回キャンペーンを実施することになった。 住民からは、 「ゴミ箱・ゴミ集積場についての重要性が分かった」、 「道路とトレッキング・ ルート、地域美化を有機的に結び付けて観光開発を進めたい」、「放置された電池からの液 漏れ、プラスチックを燃やした時のガスや灰が有害であるということを知った」 、ゴミが散 乱していると観光客に対する印象が悪く、観光客が減ることから、トレッキング・ルート を中心に村内の美化を維持したい」等の意見が寄せられた。 73 ペ ル ー ひまわりの会 所在地:東京都 事業名:障がい者のための就労支援、障がい者自立支援センターの運営支援 配分額:3,535,000 円 あち 背景と目的 ペルーでは、国としての障がい者の自立へ向けての施策が皆無に近い状況下あり、障が い者は勿論、障がい者の親、親類、関心を持つ人々は如何に障がい者の自立を図るかが、 課題となっている。 当団体では、これまで、リマ市プエブロリブレ区で障がい者を対象に地域リハビリテー ションの考えに基づき、支援訓練とそれに必要な技術移転を行ってきた。 今年度は、これまでの事業に加え、障がい者の自立のための福祉作業所(日本における「障 がい者就労継続支援事業A型」)の開設及びレスパイトサービス(障がい者を一時的に預か り家族の負担を軽くする援助サービス)を立ち上げることとした。 王実施状況 訓練予定施設に瑕疵が見つかり修理が必要となったため、従前使用していた施設で今ま での活動と今回予定する訓練をうまく組み合わせて実施した。 福祉作業所では、障がい者 20 名を対象に、織物と工芸の訓練を行った。訓練に必要な機 材として、織り機の他、作業用テーブルや椅子、などを配備した。自分達の子どもの将来 を考える親が熱心に取り組み、基本的なレベルに達することができた。 レスパイトサービスについては、国内においては実施するのはもちろん、概念としても 知られていないことからワークショップを開催し、親をはじめとする関係者に周知し、理 解を得ることから始めた。生活環境の違いもあり、なかなか理解してもらえず時間を要し たが何とか実施できる体制を作ることができた。機材としては、各利用者が家庭で過ごす と言う認識下にあるよう、食堂セット、リビングセット、ベッド等の家具や使用機器とし ての掃除機、ガスコンロなどを配備した。 日本からは、平成 21 年 4 月から 5 月の間に専門家 3 名、9 月に専門家 1 名、11 月に専門 家 4 名、平成 22 年 3 月に専門家 2 名を派遣し、カウンターパートとの打合せ、スタッフの 確保、カリキュラムの指導、諸機材を利用した訓練方法の技術指導等を行った他、一部対 象者への具体的な実施を行った。 効果と現地の反響 障がい者がいつも通える場所を確保するという考えが、高い評価を得た。また、障がい 者が常時働ける場所が確保できたという安心感を持つことができるようになった効果は大 きい。 親の会から、「教えてもらったことを一生懸命思い出しながら活動しています。自分達だ けでは不安なところがありますが、スタッフも親たちも配備された機材が使えるようにな り、有効に使っています」と感謝の手紙が寄せられた。 74 特定非営利活動法人 ヒューマンライツ・ナウ タ イ 所在地:東京都 事業名:タイに居住するビルマ人難民に対する人権・権利に関する基礎的教育への 支援 配分額:1,872,000 円 あち 背景と目的 ミャンマーと川一つを隔てるタイのターク県メイソットには、ミャンマーの戦禍や人権 侵害、経済的困窮から逃れてきた多くの難民が流入し、3 つの難民キャンプがある。キャン プには若者も少なくなく、その多くは貧困、紛争、人身売買や強制労働、暴力などの人権 被害から逃れてきたものであり、タイの NGO はこうした若者達を保護し、精神・医療的ケア などを行おうとしているが、重要なニーズである教育はなかなか満たされていない。特に ミャンマーにおいては、日本では初等教育で教える、人間が生まれながらにして持つ人権 に関する教育が否定されており、逃れてきた青少年は自らが持つ権利を知らないでいる。 タイに本拠を置くビルマ法律家協会がピースローアカデミー校(PLA)を開設し、このよ うな青少年の教育を行っていたが資金不足により現在は閉鎖している。 当団体は、このPLAを再開し、タイ国内に居住するミャンマーの青少年を対象に、人 権・権利など基礎的教育を行うほか、将来これらの教育を行うことができる現地スタッフ を育成することとした。 王実施状況 PLA を再開し、日本から派遣した弁護士、スタッフ及び現地で雇用した教員、スタッフに より、人権という概念すら知らなかった生徒 25 名に対し、人権の存在・概念を教えること ができた。 現地の教員が、法学、ビルマ法、憲法及び連邦制度、刑法及び人権、国際人権などを担 当し、日本の弁護士が「人権宣言や国際人権法など人権全般について」、「日本の弁護士会 や弁護士の活動について」、「人権全般、子供の権利、憲法及び日本における難民保護の状 況について」、「憲法及び難民問題について」、「インターネットセキュリティーについて」 等の講義を行った。 日本から、平成 21 年 5 月 3 日から 6 日までの間、6 月 10 日から 29 日までの間、8 月 3 日から 13 日までの間、9 月 5 日から 13 日までの間、9 月 8 日から 14 日までの間に専門家 を各 1 名、10 月 15 日から 20 日までの間に専門家を 2 名、11 月 13 日から 23 日までの間、 11 月 17 日から 12 月 3 日までの間に専門家を各 1 名派遣し、世界人権宣言、国際人権法、 憲法、難民、子どもの権利に関するなどの講義等を行った。 効果と現地の反響 生徒達からは、「誰も自分が苦しんでいるのが人権侵害だということを知らず、ひたすら に耐えている。帰国したら私が人権について伝えたい。不当な目に遭わないように、自分 達を守るために」、 「学校は無償ではない。生徒はたくさんの教材を買わなければならない。 教材を買えない人は学校に行けない」など、支援に対し感謝の言葉を述べられた。 また、講師派遣だけでなく教材費用等の援助がなされたことについて、生徒及びカウン ターパートから多くの感謝が寄せられ、今後も継続してほしいとの強い要望があった。 75 ラ オ ス 特定非営利活動法人 ラオスのこども 所在地:東京都 事業名:小学校における基礎的応急手当に関する教員研修の実施 配分額:728,000 円 あち 背景と目的 ラオス政府は、保健衛生分野については学校での啓発が必要と認識し、保健省と教育省 がタイアップして啓発事業を進めている。そのひとつとして WHO とユニセフが学校での衛 生教育教材の配布に取り組んできたが、その教材は詰込み型のものであり、予防を目的と したものが多く、現状の問題への対処が十分でなかった。 学校を取り巻く状況は厳しく、特に農村部では、学校に水がない、トイレの使い方を知 らない、衛生的でない水を飲んでしまう、基本的な救急法の欠如、増え続けるゴミの問題、 健康診断精度の未整備等問題が山積している。また、教員は保健についての知識が無く、 対処方法が分からない状況にある。 当団体では、このような問題を解決するために、教育省の学校保健プロジェクトが基礎 的な応急手当に関するハンドブックを製作していることから、このハンドブックを印刷し、 全国の小学校に配布する際に教員研修を実施することとした。 王実施状況 平成 21 年 4 月から 7 月に、教育省学校保健プロジェクトの担当者と「応急手当ハンドブ ック」の内容等について調整し、8 月にハンドブックと付属ポスター2,000 部が完成した。 首都ビエンチャン以外の地方での研修は、研修講師が多忙で地方開催のスケジュール調 整が困難なため、各講師の日程の確保しやすいビエンチャンで全ての研修を開催すること とした。8 月 17 日から 27 日の間にハンドブックの配布に合わせ、127 名の学校教員、子ど も文化センター職員等を 5 回に分け、ハンドブックの使用方法、内容に関する講義と実習 について 2 日間の研修を実施した。 ハンドブックは、読書推進セミナーや学校図書活用セミナー、小学校、新規開設学校図 書室、県教育局、子ども文化センター、子ども教育開発セミナー、NGO へ配布し、活用方法 については、図書管理と同様に適切に管理するよう、研修時に説明を行った。 日本からは、平成 21 年 5 月 24 日から 6 月 4 日までの間と、8 月 12 日から 22 日までの間 にそれぞれ事業調整スタッフ 1 名を派遣し、現地スタッフ、トレーナーとの打合せ、ハン ドブック配布セミナーの実施状況確認などを行った。 効果と現地の反響 研修参加者からは、「これまで医者に直接質問する機会はなかったので、自分ができる範 囲で対処している状況である。学校で実際にあった事例をもとに、どのように対処したら よいか、質問をして答えを得ることができとても良かった」、「包帯の巻き方やけが人の運 び方など、講師から説明を受けながら実習を行ったので、よく理解できた」などの意見が あった。 また、研修後のフォローアップでは、「多くのことをセミナーから学び、他の教員や生徒 にトレーニングを行った」、「今回のセミナーはとても良い実践的なトレーニングだった。 過去に誤った処置をしたが、今回正しい処置の仕方が分かった」、「セミナー後いくつか事 故があり習ったことがすぐに役立った」などの意見があった。 76 特定非営利活動法人 AMURT Japan スーダン 所在地:東京都 事業名:衛生環境改善のため、市場にトイレ、ゴミ箱、井戸を設置するとともに公 衆衛生に関するワークショップを開催 配分額:10,238,000 円 あち 背景と目的 平成 17 年の包括的和平合意以来、様々な復興活動が実施され、南スーダンの農村市場に はいろいろな商品が流通するようになり、市場が地域社会の生活と復興が中心となってい る。一方、公共施設は未発達で、市場には公衆トイレは設置されておらず、市場利用者は 周辺で排泄を済ますのが一般的であり、トイレやゴミ処理施設の未整備は、深刻な衛生環 境悪化の原因となっている。WHO の平成 18 年調査によれば、年間 1 万人以上がコレラや急 性水様性下痢症に感染しており、池や川等汚染された水の利用が原因とされる。 今年度は、ノーザン・バル・アル・ガザール州アウェイル・イースト郡の 3 市場にトイ レ、ゴミ箱、井戸を設置するとともに、衛生管理意識の向上を図ることとした。 王実施状況 トイレ建設は、1 市場が建設地の選定に時間を要し着工が遅れたが、2 市場は 7 月から建 設開始した。雨季が例年より大幅に遅れ土台部分の掘削時期と重なったため、崩れた穴の 補修作業に時間がかかり、建設が遅れた。また、土壌が堅く掘削用重機がないため手掘り で遅れが生じた市場があったが、すべての市場に 6 個室を備えたトイレが 11 月に完成した。 井戸は、1市場掘削候補地の帯水層が長期使用に適さないことが判明し、掘削地の再選 定を行った。衛生上の観点から井戸をトイレから離れた場所に設置するため、トイレ建設 地も再選定の必要性が生じたこと等により、工事に遅れが生じたが、10 月中旬に 3 市場す べてで設置作業が完了した。 3 市場のゴミ箱設置は、6 月に利便性を考慮してデザイン、材料を変更したことで、10 月 中旬よりゴミ箱製作を行い 11 月初めに 12 個のゴミ箱が完成し、1 市場 4 個ずつ配備した。 ワークショップ及びキャンペーンは、衛生管理委員会メンバー、衛生普及員の選出が 5 月下旬になったことで、初回の開催が遅れたが、10 月中に各市場ともそれぞれ予定の 3 回 を終了し、トレーニング・ワークショップは延べ 205 名、公衆衛生ワークショップは延べ 801 名、公衆衛生キャンペーンは延べ 818 名が参加した。 日本から、平成 21 年 5 月 1 日から 6 月 22 日までの間と、6 月 4 日から 12 月 17 日までの 間にスタッフを派遣し、カウンターパートとの打合せ、地方行政機関への届出等を行った。 効果と現地の反響 市場での定例ミーティングに参加した行政官からは、「本事業は、市場の衛生環境改善と 人々の衛生意識を向上させ、井戸を建設することで近隣住民の水供給環境も改善した」と感 謝の言葉があった。ワークショップの参加者からは、「トイレを使う重要性を認識した。家 にもトイレを作ろうと思う」、「トイレ、井戸、ゴミ箱の設置は、市場が抱える問題を解決 できる」、「井戸を柵で囲ったり、綺麗に掃除をするといった維持管理は、私たち自身で担 当します」、「トイレの設置は、コレラやその他のハエが媒介する感染症を減らす手段にな る。井戸の掘削は、水不足を解消し、清潔な環境を維持することができる」など感謝の言 葉が寄せられた。 77 特定非営利活動法人 AMURT Japan スリランカ 所在地:東京都 事業名:知的障がい者の自立促進のための家庭菜園活動の支援 配分額:6,508,000 円 あち 背景と目的 スリランカでは、居住地域の社会開発と連動した障がい者の自立に向けた支援が欠如し ており、社会復帰を目指すための環境は厳しい。知的障がい者は、障がい者全体の 25%を 占めているが、身体障がい者に比べ家族への依存度は高く、家族も周囲の目を気にして自 立の機会を与えない場合が多い。また、知的障がい者への効果的な自立支援制度は未整備 で、知的障がい者は家族が守り、家族に依存して生活することが、当然のようになってい る。 当団体では、植物や菜園活動を利用して心身の状態をより良い方向に導き、障がい者の 社会性を刺激し、自立促進を促すと同時に、基本的運動能力の維持増進を図り、安定した 生活が送れるように支援することとした。 王実施状況 ゴール県内のアクメーマナ、ゴールフォーグラベッツ、イマドゥワ、ハバラドゥワの 4 地域から男性 111 名、女性 90 名、年齢は 13 歳から 58 歳の合計 201 名を選出し、専門指導 員として、県農業局のスタッフ 17 名、福祉施設のスタッフ 3 名を選出した。 平成 21 年 6 月に専門指導員養成コースと、知的障がい者のための菜園指導のカリキュラ ムを農業学校講師や園芸療法のセラピスト等により作成し、平成 21 年 7 月に 15 名、8 月に 5 名の専門指導員を対象とした、知的障がいを持つ子どもの基礎知識や対応方法、ホームガ ーデン作り等についてのトレーニングを行った。 専門指導員による合宿型菜園指導は、平成 21 年 8 月 10 日から平成 22 年 1 月 17 日の間、 参加者 201 名を 20 グループに分け、 各グループ 5 日間のトレーニングを実施した。内容は、 作付する農作物の選び方、堆肥の作り方、農作物の管理から収穫、収穫後のパッキングや 等級付け等菜園に関するレクチャーを行い、障がい者だけでなく、保護者も 154 名が参加 した。また、自宅で野菜栽培が出来るように、指導合宿を終えた参加者にスコップや鍬、 剪定鋏、苗や野菜の種、作業着や手袋等のツールキットを配布し、指導員と団体スタッフ による合宿後の家庭訪問によるフォローアップも行った。 日本からは平成 21 年 5 月、11 月、12 月、平成 22 年 3 月の 4 回、合計 46 日間、5 名のス タッフを派遣し、合宿指導の把握や受益者の家庭訪問、事業の進捗状況の確認を行った。 効果と現地の反響 合宿参加者を訪問し、モニタリングを実施した結果、参加者の 99%が各家庭で菜園活動 を始めていた。合宿に参加したレスリー・ニシャンカさんの保護者は、「合宿後自宅でパパ イヤ、レモン等を栽培している。息子が庭の世話を一人で行うようになり、自分の時間が 持てるようになった。栽培したものは自宅で消費しているが、今後は栽培種類を増やし、 市場に出すことを目指している」、8 月の合宿に参加したトゥシャーン・ラクシータさんの 保護者は、「畑に興味が湧き、草取りやコンポストの世話を行うようになり、畑だけでなく 皿洗いや学校の宿題も以前より積極的に行うようになった。収穫した野菜は販売し、息子 名義で貯金している」等感謝の言葉が聞かれた。 78 特定非営利活動法人 JHP・学校をつくる会 カンボジア 所在地:東京都 事業名:小中学校教員及び教員養成学校教員に対する子どもの成長に欠かせない情 操教育(音楽教育)技術指導及びインストラクター養成 配分額:1,605,000 円 あち 背景と目的 カンボジアは独立後、内戦により壊滅していた学校教育が読み書きと数学の教育を再開 した。しかし、音楽、美術といった子どもの成長に欠かせない情操教育を実際に指導でき る技術を持つ教員が不足しており、教員の人材育成が急務となっている。 当団体は、教員養成学校の教員や地方の現職教員に対して、音楽指導法を教授出来るイ ンストラクターを養成することとし、一昨年よりトレーニングを開始した。一方、現地で はより多くの教員のトレーニングが要望されているが、カンボジア教育省では教員養成の 予算が確保されていない状況にある。 本年度は、教員養成学校教員や現職小中学校教員、地域インストラクターの育成トレー ニングを行い、質の高い音楽教育の出来る人材の育成を行うこととした。 王実施状況 現職小中学校教員対象トレーニングは、プノンペン県のコンポンリエウ郡など 5 郡の小 中学校教員及び郡教育局スタッフ、合計 33 名に、4 日間のトレーニングと 10 日間のワーク ショップを行い、音楽基礎理論、楽器演奏方法、カンボジア及び外国の歌の研修を行った。 現職小中学校教員既卒者フォローアップトレーニングは、コンポンチャム県など 6 県と プノンペン市で合計 14 日間行い、現職小・中・高の教員や教員養成学校の教員、教育局ス タッフ、合計 160 名が参加し、音楽コンテストの課題曲、鍵盤ハーモニカ、太鼓等の楽器、 リズム、楽譜の読み方等、過去に行ったトレーニングのフォローとともに、平成 22 年 1 月 から 3 月に行われる音楽コンテストの説明を行った。 教員養成学校教員フォローアップトレーニングは、10 日間実施し、幼・小・中学校教員 養成学校の教員とプノンペン市教育局スタッフ、合計 42 名が参加し、音楽基礎理論、楽器 演奏方法、カンボジア及び外国の歌の研修を行った。 地域インストラクター育成トレーニングは、過去に本音楽トレーニングを受講した経験 のある現職教員 15 名に 5 日間、音楽基礎理論、楽器演奏方法、カンボジア及び外国の歌の 研修を行った。 日本からは平成 21 年 4 月から 12 月まで、平成 22 年 1 月から 3 月まで、それぞれ事業コ ーディネーター1 名を派遣し、業務調整業務等を行った。 効果と現地の反響 研修に参加したコンポンスプー県モニキリウド中学校教員からは、「トレーニングでリコ ーダーを習い、吹けるようになってうれしい。これから上手に吹けるように努力したい」。 タケオ県ウドンソリヤ小学校教員からは、「トレーニングを受け、音楽の知識をさらに深 めることが出来ました。また、リコーダーの演奏が上達しました」などの感想が寄せられた。 79 カンボジア 特定非営利活動法人 JHP・学校をつくる会 所在地:東京都 事業名:小学校教員養成学校の教育環境改善のための教室棟の建設 配分額:15,200,000 円 あち 背景と目的 教師不足が問題となっているカンボジアでは、教員養成に力を入れているが、バッタン バン県オークチュエイ村のバッタンバン県小学校教員養成学校では教室不足のため、寄宿 室 16 室のうち、10 室を教室として使用し、1 室を荷物置場としている。このため、約 100 名の女性寄宿生は 5 室で生活し、約 80 名の男性は近隣の小学校の教室で生活している。 本年度は、1 棟 10 教室の教室棟を建設し、バッタンバン県小学校教員養成学校の教育環 境、寮生活環境の改善等を図ることとした。 王実施状況 バッタンバン県小学校教員養成学校は、地震の強度チェックに時間がかかったが、平成 21 年 4 月 23 日に着工し、総面積 390 ㎡、2 階建て 10 室が 11 月 30 日に完成した。建築地 の表土取りや完成後の周りの整地、清掃は住民と生徒が協力して行った。 これにより、バッタンバン県小学校教員養成学校は、6 棟 25 室、トイレ 13 室の校舎と、 2 棟 16 室、トイレ 16 室、シャワー6 室の学生寮からなる、収容人員 450 名の教育環境が整 った。 建設後の建物の維持・管理に当たっては、学校関係者、郡教育局、保護者、地元住民が 協力して行うこととなり、平成 22 年 1 月 13 日にバッタンバン県小学校教員養成学校贈呈 式が開催され、教育省に引き渡された。 日本からは平成 21 年 7 月 15 日から 7 月 23 日まで、1 級建築士を派遣し、コンポンスプ ー教員養成学校寮(国際ボランティア貯金の寄附金配分を受けて平成 20 年 11 月完成)やバ ッタンバン県小学校教員養成学校など 6 校を回り、建築状況の検査、確認を行ったほか、 平成 21 年 4 月から平成 22 年 1 月までスタッフを現地に派遣し、事業の進捗状況の調整を 行った。 効果と現地の反響 贈呈式では、ハッサンリー教育省次官より、「この新校舎で勉強する生徒達は、いずれ教 員となり、カンボジアの人材を育てていく立場となります。そのような生徒の学習環境を 改善していただき、お礼申し上げます。平成 5 年から当国における学校建設事業を牽引し ていただき、特に地理的に不便な地域で、今日までに 242 棟 1,128 教室、トイレ 177 棟 767 室、ブランコ 80 基、井戸 82 基を建設してくださいました。ありがとうございました」と挨 拶があった。 教員養成学校の教頭のリム・ブンリー氏は、「以前は教室と寄宿舎の数が足りず、寄宿舎 を教室として使い、寄宿生は不便であった。新教室棟が完成し、運営面が多大に改善され、 新校舎の質も良く、本当に感謝している」。同校教員のテップ・チューロアット氏は、「寄 宿室が足りなかったが、新校舎が出来て、ともに改善された」。同校学生のチュオン・シナ ー氏は、「教室と寄宿室が使い勝手が悪かったが、今はとても良くなった。教室として専用 に使えることで、教育環境は本当に良くなった。学生を代表して、この校舎建設に感謝し ます」とインタビューに対し、喜びの声が寄せられた。 80 中央アフリカ 特定非営利活動法人 NGOアフリカ友の会 所在地:東京都 事業名:HIV・AIDS 感染拡大防止のための保健指導員等の巡回指導 配分額:4,248,000 円 あち 背景と目的 中央アフリカにおける成人の HIV 感染率は 13.8%でアフリカ大陸中央部の中では一番高 く、そのほかにも母子感染児として生まれた子どもの数は計り知れない。識字率も低く、 多くの人々は貧しさゆえに、エイズの知識を得ることも、抗エイズ薬を飲むことも、働く ことも出来ず、感染症など様々な病に罹り若くして亡くなっていく。 当団体では集団での HIV エイズ予防教育を試みたが、地域住民は情報手段がなく、識字 率も低いため、理解力に個人差が大きく、集団での教育は効果が薄いことから、個々への カウンセリングによる予防教育が必要であることが分かった。また、感染者を調査したと ころ、感染前に HIV エイズ予防に関する正しい知識を持った人はほとんどいなかった。こ のことから感染者に対し、感染源とならない生活をする意識教育が必要となっている。 本年度は、当団体が養成し、認定試験に合格した保健指導員により、各家庭を個別に訪 問し、60,000 名に対し、HIV 感染予防の啓発教育を行うこととした。 王実施状況 HIV エイズ予防啓発教育は、医師 2 名、看護師 5 名と当団体が養成した 100 名の保健指導 員がバンギ市及び周辺地域の住民 93,680 名を対象とした。保健指導員は 10 名を 1 グルー プとして、そのうち 7 名から 10 名が週に 3 日各地域で、積極的に個別訪問を行い、根気よ く啓発教育を行い、重ねて個々へのカウンセリングを行うことにより、HIV 感染予防の知識 を行動に結びつけるまで、確実に指導した。この指導により、血液検査を行う住民が増え たことは、啓発教育の成果が出ているものと思われる。また、村からの要請で、少人数で の集団教育も各村や学校で実施した。 保健指導員に、新たな知識の習得と指導力の向上を目指し、研修会を開催した。平成 21 年 7 月 30 日から 7 月 31 日に 50 名、8 月 4 日から 8 月 5 日に 50 名、HIV エイズの感染状況、 コミュニケーションのテクニック等の再教育を行った。 日本からは、平成 21 年 7 月 15 日から 8 月 15 日までの間と、平成 22 年 3 月 3 日から 3 月 27 日までの間に専門家を派遣し、各地域を回り啓発活動の実施、実施状況の把握を行っ た。 効果と現地の反響 啓発教育を受けたマンダバ アランさんからは、「昨年、母が、今年の 12 月には父がエ イズで亡くなりました。保健指導員の方が村に来て、私達は初めてエイズは死ななくてよ いものだと知りました。私達兄弟は皆で検査に行き、弟は薬を飲むことになりましたが、 父母のように死ななくてすみます。嬉しいです。弟に薬を飲ませ続けていきます」という手 紙が届いた。また、研修会参加者からは、「エイズの本当のことが分からなくて怖かった。 薬を飲めば死なないと教えてもらい、検査のあることも知った。頑張って検査します」、「父 も母もエイズで死んだので、エイズはとても怖いものと思っていました。きちんと知るこ とが出来てありがとう」、「家に帰ったらお父さんの剃刀は一緒に使わないように、お父さ んに痰を吐かないように言います」など感謝の声が寄せられた。 81 特定非営利活動法人 NGOアフリカ友の会 中央アフリカ 所在地:東京都 事業名:貧困により栄養失調となった子どもの栄養改善と健康回復のための給食実 施 配分額:3,500,000 円 あち 背景と目的 中央アフリカ共和国では、貧困によりきちんとした栄養が摂取できず、蛋白質の不足に よる低蛋白症や痩せ細った栄養失調児が多く、乳幼児の死亡率も高い。首都バンギ市には、 国の人口の 1 割が集中しているため、特に栄養失調児が多い。 本年は、バンギ市にある当団体のブエラブ栄養失調児センター、ゴボンゴ栄養失調児セ ンターにおいて 200 名の子どもを対象として週 4 日、お粥の給食サービスの他にミルクと オイルサーディンを与え、貧困により栄養失調となり、1 年間に新規登録される約 1,000 名 の栄養失調児の 8 割の子ども達の栄養改善と健康改善を図ることとした。 王実施状況 給食のメニューはピーナッツバター入りお粥、ミルク・オイルサーディンを定番のメニ ューとした。その他ヨーグルト、週に 1 度特別食として、カレー味のおじやや魚を煮込ん だご飯、豆や肉を炊き込んだご飯等多種にわたるメニューを提供し、1 人当たり毎回平均 600 から 700 カロリーを摂取させた。本事業期間内に給食を受けた子ども達は、ブエラブ栄 養失調児センターで延べ 21,504 名、ゴボンゴ栄養失調児センターで延べ 18,958 名、クロ レラを飲ませた子ども達は両センターで延べ 16,490 名であった。 調理はブエラブ栄養失調児センターに 3 名、ゴボンゴ栄養失調児センターに 3 名の賄い 婦を雇った。この賄い婦には生活支援のため、HIV 感染者を起用した。また、栄養失調児セ ンターに併設している保健センターでは、医師 1 名、看護師 4 名、ソーシャルワーカー1 名 を雇用し、すべての子ども達に毎週体重測定と医療相談を実施し、親達の不安を取り除い た。 日本からは、平成 21 年 8 月 12 日から 9 月 12 日までの間、栄養担当コーディネーター1 名を派遣し、食材や調理内容の確認など栄養指導の管理を行った。また、看護師 1 名を平 成 21 年 6 月 10 日から 9 月 10 日までの間と、平成 22 年 3 月 3 日から 3 月 27 日までの間に 派遣し、本事業の調整や診療介助、現地の学生の指導に当たった。 効果と現地の反響 給食を開始し、栄養失調児は少しずつ食べることが出来るようになり、新規登録者 1,278 名の 75%、958 名の子ども達の栄養改善が図られた。 給食を受けた子どもの母親であるジベッチ エリサベッタさんからは、「私の 1 歳の娘は、 食べることが出来ずに痩せてしまい、神に召されるのを待つばかりでした。遠い親戚の者 からこのセンターに行けば、助けてくれると聞き、毎日ブエラブまで行きました。ドクタ ーと看護師に治してもらい、食事や薬ももらい、娘は元気になりました。助けてくれてあ りがとう」という感謝の手紙が届いた。他の子どもの家族からは、「子どもは 7 人産みまし たが、3 人死にました。この子も死ぬと思っていたのに元気になりました。ありがとう」、「僕 は弟を背負って、いつもここに来ます。ここに来ると弟はご飯が食べられます。弟の病気 が治るようにいっぱい食べさせます。給食をありがとう」など感謝の声が寄せられた。 82 NGO地に平和 パレスチナ 所在地:東京都 事業名:女性の経済的自立のための刺繍小物作成と販売プロジェクト及び共同組合 の設立 配分額:8,375,000 円 あち 背景と目的 イスラエルは 40 年を越えるパレスチナの軍事占領を止めず、和平交渉は依然難渋を極め、 中でもパレスチナ難民問題は最も解決困難である。50 か所を越える難民キャンプの生活環 境は悪化し、男性住民のほぼ全員は失業、生活は国連機関のわずかな食料配布に依存する 他はない状況であり、女性による収入創出活動の必要は増大している。 当団体は、平成 12 年からヨルダン川西岸地区のデヘイシュ難民キャンプ内で、伝統刺繍 小物作成・販売プロジェクトを実施し、現在刺繍をする人は 100 名に増加し、質素でも毎 日のパンを得る人数は約 1,000 名になった。本年度は製品の販売収入によって生産経費・ 運営費を賄い運営の安定を図るため、昨年に続き「デヘイシェ難民キャンプ刺繍共同組合」 の基本構造を完成させ、活動の安定を図り、自立運営の具体案を立てることとした。 王実施状況 昨年度設立された「デヘイシェ難民キャンプ刺繍共同組合」の組合員の女性 100 名を今 年度も継続させ、間接受益者 1,000 名の食事を確保した。100 名の組合員が高技術を要する 製品と初歩的な製品を各自の技術に合せて配分し、年間平均 100 個の刺繍小物を作成し、 年度内全体で 10,000 個を上回った。組合員が作成した刺繍小物製品の販売を現地で販売す ることは、政治情勢が悪化したことから改善は困難であった。 平成 21 年 6 月に現地協力団体「イブダ」は理事会改選に伴い組織改革を決議した。当団 体が主催している女性収入創出事業である刺繍小物作成販売が発展していることから「デ ヘイシュ難民キャンプ刺繍共同組合」を発展解消させ「イブダ」から独立させることを計 画した。パレスチナ難民キャンプという特殊な政治状況下での新組織の可能性を探り、平 成 22 年 1 月 1 日、「シュルク」(日の出)と名付ける仮組織を発足させた。 日本からは、平成 21 年 4 月 1 日から 4 月 4 日までの間、12 月 23 日から 12 月 30 日まで の間に代表を派遣し、事業進捗の確認、管理等を行った。また、平成 21 年 8 月 23 日から 9 月 1 日までの間と平成 22 年 3 月 20 日から 3 月 29 日までの間、代表及びスタッフを派遣し、 事業進捗状況の確認等を行った。 効果と現地の反響 昨年度からの継続的事業は、経済的自立を志向する難民女性に顕著な効果を発揮し、共 同組合としての新組織 NGO「シュルク」を成立させた。現在は、作業場等の移転中で、組織 が落ち着くのはこの夏になるが作業は不断に実施されている。刺繍作成は視覚的に美しい 仕事なので、物理的に困難な状況、特に難民キャンプという困難な環境にある女性たちに とって心理的に大きな助けになると繰り返し表明されている。 手紙など書ける状況にない女性が多く、既婚のムスリム女性として写真を撮ることも難 しいが、当団体の派遣者やグループの訪問時には多くの困難を克服して歓迎のために集ま り、楽しい一時を過ごすための工夫をする力もついてきている。 83 インドネシア教育振興会 インドネシア 所在地:富山県 事業名:貧困スラム世帯の子ども・女性に対する最低限の教育を受ける権利保障をす るための図書館整備と児童会設立・運営指導 配分額:1,758,000 円 あち 背景と目的 当団体は 8 年前から西ジャワ州バンドン市マレベレウタラ地区の子ども達の支援を行っ ている。この地域はスラム地区であり、昨今の物価高が住民の職を奪い、貧困層を拡大さ せ、教育を受ける権利が脅かされた子どもや女性が多く存在している。 今年度は、この地域の子どもや女性に最低限の教育を受ける権利を保障するため、図書 館を整備し、勉強の場の確保と運営及び権利の保障を住民が主体的に出来るようにするた め、児童会を設立することとした。 王実施状況 事業開始にあたり、平成 21 年 4 月 1 日から 4 月 24 日までに、地域・町内会長、地域の 宗教指導者と打ち合わせを 5 回実施し、意思の疎通を図ったうえで、平成 21 年 4 月 25 日 に第 1 回住民向けプロジェクト説明会を開催し、7 月 31 日までに女性団体、地区などへ 15 回の説明会を行い、住民延べ 150 名が参加した。 図書館改装工事は平成 21 年 8 月 3 日着工し、住民延べ 90 名がボランティアで協力し、 総面積 35.8 ㎡、室数 2 部屋、トイレ 2、手洗い 1、収容人員 30 名の図書館が 11 月 29 日に 完成した。また、図書館司書等専門家 4 名を延べ 37 日間雇用し、住民に対し図書館の管理 方法、利用方法、マナーなどを指導した。 平成 21 年 8 月から平成 22 年 2 月に図書館運営の主体となる児童会の設立・運営の勉強 会を開催し、住民や子ども延べ 80 名が参加した。勉強会終了後、児童会組織を発足させ、 10 名の運営・管理スタッフを選出した。 日本からは、平成 21 年 5 月、6 月、8 月、11 月、平成 22 年 1 月に合計 31 日間、スタッ フを 1 名派遣し、現地政府や地域住民と協議するほか、子どもや女性に対する教育の必要 性や図書館運営に必要な人材育成の指導を住民に行った。 効果と現地の反響 地域役員や地域指導者からは、「私達に出来なかった教育の場を確保していただき、あり がとうございます」と感謝の声が寄せられた。 また、何よりも子ども達が大喜びで、まだ開館していない図書館に毎日集まり、掃除や 今後の運営など真剣に話し合っていた。母親達も数名ずつ図書館に立ち寄り、子ども達を 見守るようになった。毎日子ども達が改装した図書館に集まり、自分たちの居場所、勉強 の場所が出来たことの喜びを絵で表現し、多数の絵が当団体に届けられた。 なお、次年度は改装された図書館に蔵書を確保し、子どもと女性の教育の場として確立 させることとしている。 84 フィリピン 特定非営利活動法人 アジア日本相互交流センター(ICAN) 所在地:愛知県 事業名:路上で生活する子どもたちのための包括的生活改善事業の実施(カウンセ リング、教育、医療、保健活動等) 配分額:11,517,000 円 あち 背景と目的 フィリピンでは、経済的困窮あるいは家庭の問題により、路上で生活する子ども達はあ とを絶たない。子ども達は暴力や病気、けがなど、命の危険と隣り合わせの生活をし、望 んでも経済的理由から学校には戻れず、空腹をシンナーで紛らわせ、さらに体調を壊す悪 循環に陥っている。このような悪循環を断ちきるためには、大人の信頼回復、路上で生き 延びる術、保健知識の取得、教育活動、栄養改善等包括的な支援が求められている。 今年は、マニラ首都圏ケルン市及びマニラ市で路上でのカウンセリングや教育活動、保 健、医療活動、職業訓練等包括的に生活改善事業を行い、自立の促進を図ることとした。 王実施状況 路上カウンセリングはソーシャルワーカー3 名を延べ 555 日間雇用し、300 名の子ども達 のカウンセリングを実施した。そのうち、固定してカウンセリングに参加している 200 名 の子どもに対してはカウンセリングシートを作成し、子どもの背景、問題点を把握した。 教育活動はストリートエデュケーター3 名を延べ 383 日間雇用し、子どもの人権や道徳、 災害時の対応、警察などに補導された時の対応等を、ゲームや寸劇、絵やグループ活動な ど毎日工夫し行い、毎週 200 名が参加した。また、路上生活の子ども達が自分を尊厳ある 存在であると自信を持てるよう自身を理解するワークショップや元路上生活をしていて今 は奨学生になった子どもから体験報告などを行った。また、2 月には、6 か所の事業地から 子どもの代表 5 名を集め、2 日間のリーダー研修を行った。 保健、医療活動は医師を 67 日間雇用、保健師を 255 日雇用し、保健師によるプライマリ ヘルスケア、リプロダクティブヘルス、HIV、結核等の感染症対策、反薬物教育や、給食の 提供、シャワーと医療の提供等の保健活動などを行い、毎週 200 名が参加した。 職業訓練は、132 日間講師を雇用し、30 名の 16 歳以上の子どもや親に加工食品技術、製 菓技術、美容技術、Tシャツ印刷等の研修を行った。 日本からはソーシャルワーカーを平成 21 年 5 月 16 日から平成 22 年 3 月 28 日までの間 に 1 名派遣し、現地スタッフや子どもや保護者に対する指導、モニタリングやフォローア ップを行った。また、地域開発学の専門家を 126 日間派遣し、関係者と活動内容の調整等 行った。生活向上専門家を 80 日間派遣し、職業訓練活動を行った。 効果と現地の反響 15 歳のグレースは、「お姉さん(ソーシャルワーカー)やお兄さん(エデュケーター)、私た ちのことを気遣ってくれてありがとう。アイキャンで過ごす時間はとても貴重です。毎日 アイキャンがあればよいと思います」。11 歳のタクシは、「私たちの世話をしてくれてあり がとう。おかげでいろいろ上手に出来るようになりました。お姉さんはお母さんみたいで す。いつも私たちの側にいてくれます。時には、友達との間に誤解が生まれたりしますが、 私は大丈夫です」とスタッフやソーシャルワーカーに感謝の手紙が届いた。 85 フィリピン 特定非営利活動法人 アジア日本相互交流センター(ICAN) 所在地:愛知県 事業名:先住民族の教育・生計向上のための支援事業実施(学校給食、学校設備充 実、織物技術訓練等) 配分額:6,682,000 円 あち 背景と目的 ミンダナオ島ジェネラル・サントス郊外の村に住むブラアン族は独自の文化・慣習を持 ち、畑作や炭焼きなどを生業とし、山岳地帯に住んでいる先住民族である。経済的に貧し いため、子ども達の多くは、空腹により通学意欲を失い、小学校さえ途中退学をし、卒業 する子どもは一握りに過ぎない。中途退学をした子ども達は親とともに農業に従事したり、 市内に出て家事手伝いなどをして低賃金で稼ぎ、家計を助けている。 今年度はブラアン族の子ども達が通う 5 つの村の小学校において、学校給食や教材等の 充実により学校機能を充実させ、就学率を 90%以上に向上させるとともに、通学の持続性 を高めるために学校菜園や母親への織物技術訓練等の生活向上支援事業を行うこととした。 王実施状況 平成 21 年 7 月から平成 22 年 3 月までの間に、対象の小学校 5 校の 500 名に対し学校給 食を実施した。また、子ども達に鉛筆、ノート、消しゴムなどの学用品を配布し、学校に は教材図書等を配備し、給食に必要な炊事場などの設備や調理器具を整備した。また、給 食の持続のため、学校菜園と家畜(ヤギ)の飼育を行った。学校菜園等の収穫物は給食材料 としたほか、余剰分は販売した。 生活向上活動として、各校の保護者 10 名、合計 50 名からなる母親グループ形成し、各 グループに対し 20 日間の手工芸品作成の技術研修を行った。また、平成 22 年 2 月から 3 月に各グループ 4 日間の実践販売訓練を行った。ジェネラル・サントス市内のイベント広 場で各グループの代表 4 名が、技術研修で製作した商品を販売し、商品ディスプレイや帳 簿管理、接客など学んだ。また、子どもの権利研修を 50 名の母親に 2 日間ずつ行い、子ど もの権利である「遊ぶ」「学ぶ」等子どもの発育にとって必要な知識を学習した。 日本からは平成 21 年 5 月 16 日から平成 22 年 3 月 31 日までの間に 1 名と平成 21 年 5 月 25 日から 5 月 27 日までの間、平成 22 年 2 月 12 日から 2 月 14 日までの間に 1 名のスタッ フを派遣し、学校の整備や給食、家庭菜園、家畜飼育、各研修のフォローアップを行った。 効果と現地の反響 給食や教材などを充実させた結果、平成 21 年 3 月時点で 72%だった就学率は 22 年 3 月 には 90%に達した。 1 年生のアンジェリン・サロサルちゃんからは、「給食を提供してくれてありがとうござ いました。おかげで体重が増えました」。同じく 1 年生のエリカ・ティランちゃんからは、 「学校に食器を提供してくれてありがとうございます。家から食器を持ってくる必要がなく なり、スプーンを失くさないようになりました」と感謝の手紙が届いた。 また、アスパン小学校からは、「学校給食、生活向上活動、学校整備などの成功に貢献す る様々なサービスとサポートに対し感謝の気持ちをここに表彰します」と学校長、村長、教 育省のファティマ郡長の連名の表彰状が届いた。 86 特定非営利活動法人 オアシス カンボジア 所在地:愛知県 事業名:小学校児童に対する教育環境整備のための教室増築及び自然環境保全教育 の実施 配分額:3,603,000 円 あち 背景と目的 ポルポト政権崩壊後カンボジアの人口構成が一変し、子どもの数が全人口の 43%を占め、 教室不足が深刻な状況となっている。シェムリアップ州ポウ地区タックルベル町の 7 村は 専業農村で、人口は 9,891 名で子ども達の通学するチャイ小学校は児童数 825 名、午前、 午後の 2 部制で授業をしているが、教室が足りず、屋根はビニールで覆い、壁はヤシの葉 で囲んだ雨漏りのする小屋で急場を凌いでいる。行政は財政が厳しく、学校には予算がな いため、補修・増築は困難であり、これらの問題解決に乗り出せないでいる。 今年度は、1 棟 5 教室の建設の基礎工事を行い、まず、雨漏りのする小屋で勉強をしてい る 75 名の子ども達のため、平成 21 年 10 月までには 2 教室の完成を目指し、11 月からは 150 名が新教室で学べる環境を整えることとした。 王実施状況 工事は平成 21 年 4 月 27 日に着工し、溜池を埋め立て、22m×26m×0.7m の 5 教室分の基 礎工事を行い、初期 2 教室が 10 月 31 日に完成した。教室には、児童用机、いすを 40 組、 教師用の机、いすを 2 組設置し、定規やコンパスの他、文房具も子ども達に配布した。平 成 21 年 11 月 6 日には竣工式を行い、記念にマンゴーの木 3 本を植樹した。 また、平成 21 年 11 月 5 日には、チェイ小学校で、129 名の子ども達にクメール語の翻訳 教本の「森はともだち」を配布し、団体代表が自然環境保全教育を行った。さらに、教員 16 名を対象にコンパス、三角定規、分度器を使った算数の授業の技術指導を行った。 日本からは、平成 21 年 10 月 29 日から 11 月 12 日までの間、団体代表やスタッフを 3 名 (教育専門家含む)派遣し、建築物の確認や自然環境教育、定規を利用した算数教育、現地 の学校状況の調査を行った。 効果と現地の反響 竣工式で来賓のシェムリアップ州副知事からは、「カンボジアの教育に貢献いただき、と ても感謝している」と挨拶があり、カンボジア政府教育・青少年・スポーツ大臣賞とメダル が授与された。日本大使館の川村公使からは、「現在、カンボジアの小学校数は約 6,500 校、 その 8 割が 2 部制と聞いている。教育の環境改善はカンボジアの子ども達にとって重要な ことで、チェイ小学校の 2 教室増築は非常に有意義な事業であった」と挨拶があった。 子ども達からは、「学校敷地内にあった池の上に新校舎が建ち、雨でも安心して勉強でき る」、「新校舎の方が、明るくて授業が受けやすくなった」。高学年の子どもからは、「もら ったコンパスや分度器、三角定規を使って、算数の授業を受けて、とても勉強になった」。 教員からは、「コンパス、定規、分度器を使った算数の授業の技術指導を受け、とても勉強 になりました」。住民や学校長からは「増築で、子ども達の勉学意欲が向上し、収穫期後の 登校率は 100%近くなった。教室不足問題が解決されて大変うれしい」など、多くの喜びの 声が聞かれた。 87 オヴァ・ママの会 スリランカ 所在地:愛知県 事業名:養護施設(ホームレス児童受入れ、地域の幼稚園)の安全面、衛生面改善 のための改修・修繕 配分額:3,062,000 円 あち 背景と目的 南部州マータラ県ケナカドゥラ村にある養護施設「オヴァ・ママ チルドレンヴィレッ ジ」は、平成 5 年及び平成 6 年に国際ボランティア貯金の配分を受けて建設した。これま で保護が必要な児童のための①心身の健康回復、②学業の向上、③社会性の涵養を図って きたが、建築後 15 年を経て、施設・設備の老朽化が進み、また損傷も著しい状態である。 このため、貧困、内戦や津波等の災害による家庭崩壊によって保護すべき児童が多数い るにもかかわらず、受け入れを見合さざるを得ない事態に陥っている。また、地元の要請 により開設した幼稚園の規模も縮小している状態である。 当団体では、施設・設備の老朽化や損傷が著しい箇所を改修・修繕し、定員どおりにホ ームレス児童の受け入れ・中学卒業時及び高校卒業時の全国統一テストに合格できる学力 をつけさせるとともに、併せて幼稚園の規模を現状維持することを目的とすることとした。 王実施状況 施設改修工事は、施設を管理運営しているカウンターパート「オヴァ・ママ アソシエ ーション」が業者に委託をして、平成 21 年 10 月 1 日に着工し、平成 22 年 3 月 31 日に完 成した。 改修工事により、目標としていたケアを受けている児童やスタッフの安全面・衛生面で の環境が改善された上、メインホール、幼稚園、図書室及び集会所が養護施設周辺の住民 に開かれた場所として、一層積極的に活用することができるようになった。 日本からは、平成 21 年 8 月 25 日から 8 月 31 日までの間にスタッフを 1 名派遣し、事業 実施の準備等を行った。また、平成 21 年 12 月 26 日から平成 22 年 1 月 2 日までの間、ス タッフ 2 名を派遣し、改修工事の進捗状況等を確認した。平成 22 年 3 月 8 日から 3 月 15 日までの間、スタッフ 2 名を派遣し、改修工事を含め実施した施設・設備を詳細に点検し た。 効果と現地の反響 援助事業の実施によって、雨漏り、給水施設の漏水を防止することができ、快適な居住・ 労働環境が戻ったことに、養護施設の児童、スタッフ、さらに併設している幼稚園の職員 は心から感謝している。また、周辺の住民にとっても養護施設を諸集会や検診の会場とし て使用しやすくなったことを歓迎している。他方、カウンターパート「オヴァ・ママ ア ソシエーション」は、施設設備の改善によって水道料金の軽減、地元の幼稚園児の受入枠 の増加を見込むことができる等、財政基盤の充実にも効果があると期待している。 88 自立のための道具の会・TFSR Japan スリランカ 所在地:愛知県 事業名:大工職人のための鉋(かんな)の作成、使用方法、メンテナンス技術指導 と職人育成指導 配分額:1,615,000 円 あち 背景と目的 南部州マータラ地区ぺリアッタ村や(中部州キャンディ地区)ワラッラ村には、大工職 人が集まって住む村があり、150 名以上の大工を職とする職人が一緒に住んでいる。しかし、 道具のない人、道具を持っていても少ない人がおり、技術についても支援を求める声が大 きくある。また、大工村では多くの職人がいるが、彼らの後継者として若い職人の養成に 力を入れたいと、組合の幹部から要請があった。 今年度は、大工村に住む大工を職とする人に、日本の優秀な鉋刃を用いた鉋を作ること から初め、その使い方、メンテナンスの仕方を含め指導を行うとともに、若い職人を養成 するためのワークショップも開催することとした。 王で 実施状況 木工ワークショップは、平成 21 年 9 月 21 日から 9 月 23 日の 3 日間、ペリアッタ大工村 で 10 名の参加者で実施した。研修内容は、昨年実施した内容と同様で、日本から持参した カンナの刃と現地で簡単に手に入る木材による「コラボレーション」 、台木に鉋刃を入れる 穴掘り、失敗した人には「修正方法」を教え、鉋刃の砥ぎについても日本から持参した砥 ぎ石(荒砥ぎ石と仕上げ砥ぎ石)により説明指導等を行った。また、平成 21 年 12 月 30 日 から平成 22 年 1 月 2 日の 4 日間、ワラッラ大工村で 19 名の参加者で実施した。研修内容 は、ペリアッタ大工村でのワークショップを有効に生かすため「腰掛作り」を行うことで 日本の優れた技術移転を行った。「腰掛作り」をするためには日程的に厳しいので、事前に 部材作りを行ったが、専門家が現地大学で指導した教え子が場所及び作業工具の提供をし てくれたおかげで順調にできた。 日本からは、平成 21 年 9 月 12 日から 9 月 26 日までの間と平成 21 年 12 月 26 日から平 成 22 年 1 月 7 日までの間に専門家を 2 名、スタッフを 2 名派遣し、ペリアッタ大工村とワ ラッラ大工村でのワークショップで技術指導を行った。 効果と現地の反響 ペリアッタ大工村では、前回のワークショップを踏まえ参加者に再度確認をしながら進 めた。新しい参加者と 2 度目の参加者がいたことにより職人たちの協調というものが生ま れたようであった。現地の大工職人たちは少ない道具や整備道具で作業を行っていて、必 然的に製品の仕上がり程度も満足なものとは言えなくなっている。日本からの技術指導と 道具提供により、職人たちの営業に大きなプラスになる事が期待できるとの話が出た。 ワラッラ大工村では、今回は前回までの「鉋作りと加工指導」から、より専門的な技術 を用いて「腰掛」製作を実施した。このための事前準備が大変な作業となったが、日本の 職人によるきめ細かな作業と製品仕上げに関する考え方は参加者に大きなインパクトとな ったようで、 「新しい技術や外国の知識を勉強することができて大変良いワークショップだ った」、「日本のきめ細やかな仕上げについて大変感動した」等の反響を得られた。 89 スリランカ スリヤールワ スリランカ 所在地:愛知県 事業名:津波被災者のための託児所の運営指導及び施設の増築 配分額:2,386,000 円 あち 背景と目的 当団体は、津波災害のあった南部ハンバントタ地区で復興支援のため平成 17 年度に託児 所を建設し、運営を行っている。この地域は津波被害以前から経済活動に恵まれず、幼児 教育の関心も薄かったが、経済も少しずつ良くなり保護者も幼児教育を重視する傾向に変 わってきた。 現地の要望により、平成 20 年 1 月からは定員を 50 名に増員したが、定員 25 名から始ま った託児所のためトイレの不足や教室が狭くなり、日常の園児教育が十分にできなくなっ ている。 このため、今年度は託児所に 1 教室の増築を行い、地域の期待に応えることとした。 王実施状況 増築工事は平成 21 年 5 月から開始し、託児所の正月休みを利用して行い、年間の授業日 数を減らすことなく 7 月に完成することができた。これまでは年少組と年長組の 2 クラス を 1 教室で教えていたが、増築が完成したことで年少組と年長組を完全に分けて教えるこ とが可能となり、今年度は 58 名の子どもを受け入れている。 教育スタッフにはベテランの主任保育士 1 名のほか、若い保育士 1 名、補助員(保育士 資格取得)1名、警備員 1 名をそろえ、高い幼児教育を実施する体制ができた。 平成 21 年 5 月 11 日から 5 月 23 日まで、7 月 4 日から 7 月 11 日まで、12 月 5 日から 12 月 19 日までの間、それぞれスタッフ 2 名を派遣し、現地スタッフへのミーティング及び運 営指導、園児への保育指導、保護者との懇談会等を行った。 効果と現地の反響 増築後に託児所で地域の有志を招き正月行事を行った際、シティオフィスの代表から、 「未来のスリランカを担う子どもの教育支援は、今、形にこそ見えませんがこれほど大きな 支援はありません。子どもは国の宝です。本当にありがとうございます」と感謝の言葉が述 べられた。 主任保育士からは、「託児所には現在 58 名の子ども達がいます。家に十分なお金がなく 幼児教育を受けられなかった子ども達が、グランドの沢山の設備や 2 つの教室を使い歌や ダンス、テキストを使った知識も勉強しています。貧しく小学校すら勉強していない親た ちにとっても、託児所は地域の宝です。今までに 100 名の子どもが託児所で勉強し、小学 校へ行きました。小学校では皆優秀な子どもとして評価されています」。保育士の一人から は、「この託児所から子ども達が、初めて勉強のチャンスを頂いたことは幸せなことです。 スリランカで見ることのできない、良い教材を日本から持ってきてくれました。私は昨年 大学を卒業し、この託児所で実習をして先生の資格を取得することができました。子ども 達だけでなく、私たちもこの託児所から素晴らしいものをいただいています」。母親からは、 「子どもの遊具や公園、託児所の明るい建物全てが、創造性豊かな子ども達を育む素晴ら しい環境にあります。日本の皆様に感謝します」など、感謝の言葉が寄せられた。 90 ウクライナ 特定非営利活動法人 チェルノブイリ救援・中部 所在地:愛知県 事業名:チェルノブイリ原発事故被曝者のための農地改善及び農業技術指導 配分額:3,824,000 円 あち 背景と目的 ウクライナのジトーミル州ナロジチ地区はチェルノブイリ原発事故で放出された放射能 で汚染された地域である。本来であれば移住するべき住民が、今なお 10,300 名居住し、汚 染土壌から収穫した野菜、果物を食し、体内被曝が続いている。放射能汚染や農機具の燃 料不足で、10,000ha の農地が休耕地として放置され、住民は困窮に陥り、医療機器や医薬 品の支給のみでなく、土壌の浄化による農業の復活と住民の自立が求められている。 当団体は、平成 19 年から地域自給による農業及び産業復興の基盤となるシステム確立を 目指し、放射能吸収能力の高い、菜種栽培による土壌の浄化、菜種油を用いたバイオディ ーゼル油製造による燃料供給、バイオガス生成装置による放射能を含むバイオマスの安全 処理の実証試験に取り組んでおり、今年度も、農地改善等同様の取組を行うこととした。 王実施状況 菜種栽培は、ナイロジ地区スタールシャルノ村の 4ha で連作障害を避けるため、春蒔き を 2ha、秋蒔きを 2ha 栽培した。菜種の収穫量は、春蒔き菜種が 1.5t/ha に対し、秋蒔き 菜種が 3t/ha と収穫量が多いことがわかった。栽培途中の菜種の植物体内で、セシュウム の移動など科学的に新たな発見もあった。菜種と土壌の化学分析は予定どおり行われたが、 放射能分析は測定器故障のため、次年度に行うこととなった。 搾油した菜種油から、バイオディーゼル燃料を製造する装置は、試運転に成功したが、 搾油装置の不調や建屋の補習で定常運転に至らなかった。油粕を処理するバイオガス製造 装置は平成 21 年 5 月に専門家を派遣し、保湿装置など一部を除いて、ナイロジ地区ラスキ 村の農場内に 3 か月かけて完成させた。発酵槽内に牛糞を入れ、発酵が始まったのは 11 月 になってからであったため、気温が低下し、バクテリア活動が弱まったため、本格運転は 保湿装置の完成する次年度に延期した。 日本からは、現地駐在員 1 名が年間を通じて滞在した他、電気・機械設備技師であり、 バイオガスの専門家を平成 21 年 4 月から 6 月、9 月及び平成 22 年 2 月に合計 101 日派遣、 大工を平成 21 年 4 月 21 日から 5 月 10 日の間派遣し、バイオガス発生装置の建設を指導し た。また、平成 22 年 2 月 14 日から 2 月 25 日の間、放射能分析等の専門家を派遣し事業の 調整を行った。さらに、平成 21 年 4 月 19 日から 6 月 15 日の間と 8 月 27 日から 10 月 6 日 の間、ロシア語の専門家を派遣し、現地で聞き取りなど情報収集を行った。 効果と現地の反響 菜の花プロジェクトは 3 年目を迎え、現地での認知度は高まった。しかし、バイオディ ーゼル油製造装置やバイオガス発生装置については、身近にこの燃料で動いているディー ゼル駆動車やバイオガスの使用状況を目にする機会がないため、現地ではなじみが薄いが、 詳細な質問をしてくる人もいた。ジトーミルの学生は、「エコロジーはエコノミーに先立つ ものではなく、経済危機にあえいでいる我がウクライナでは、まだ重きを置かれていない が、国にとっては必ず必要となる技術である」と、卒論にこのテーマを選び、各種実験を団 体のプラントを利用して実施することになった。 91 チュニジア 特定非営利活動法人 日本医学歯学情報機構 所在地:愛知県 事業名:口腔先天異常疾患患者の無料手術の実施、手術手技等の移転 配分額:1,425,000 円 あち 背景と目的 チュニジアの首都チュニスの病院は設備が整っているが、小さな町や村には十分な設備 を持つ病院はなく、口腔先天異常など口腔の重度疾患治療をはじめとする口腔外科分野に 関する機材が配備されている病院はほとんどない。 本事業では、チュニスの南 140km にあるスース市のソホール病院において、経済的な理 由で治療を受けられない子ども達に「話す」「食べる」など人としての基本的機能を確保させ る無料手術を行うとともに、医療機材の援助、現地医療スタッフへの技術移転を行い、現 地の障がい児を中心とした治療体制の基盤を築くこととした。 王実施状況 平成 22 年 2 月 12 日から 2 月 26 日までの 14 日間、口腔外科医 5 名、麻酔医 1 名、歯科 医(自費参加)1 名、看護師 2 名(1 名自費参加)を派遣した。 派遣にあたり、事前に患者の診察記録様式を現地に送り、手術前の準備を行った。 ソホール病院において、カナダ、イタリア、アメリカチームと協力して、合計 40 例(日 本チーム 10 例)の口唇口蓋裂患者を中心とする口腔先天異常疾患の無料手術を行った。手 術は、ビデオやライブで医局全体に放映され、チュニジア全土から集まった医師に中継さ れた。また、麻酔医による、全身麻酔の管理、局所麻酔における麻酔補助、周術期におけ る麻酔技術の指導を行った。 手術は比較的設備の整った大病院で行ったため、医薬品の援助は麻酔関連の医薬品、局 所麻酔薬のカートリッジ、糸、針など手術に必要な消耗品を持参した。 効果と現地の反響 毎年のことではあるが、治療を望む患者の多さに驚かされた。 本事業は 5 年計画の 5 年目ということもあり、一定程度の技術移転が進み、手術を主体 的に教示する段階から、共同して進めていく段階に移行し、技術移転の成果が感じられた。 また、チュニジア各地から集まった患者の術後管理は、一部は数日後に他大学の口腔外 科、病院などに転院して管理されたが、ソホール病院が一括して管理しているため、電話 による指導等で問題なく行われ、拠点病院と地域病院との連携が進んだ。 医療活動終了後、ロータリークラブ主催のパーティーが開催され、各派遣者に記念品と 感謝状が手渡された。 92 特定非営利活動法人 日本医学歯学情報機構 ベトナム 所在地:愛知県 事業名:口腔先天異常疾患患者の無料手術の実施、手術手技等の移転及びモニタリン グセンターの建設 配分額:10,717,000 円 あち 背景と目的 ベトナムでは、ホーチミン市など一部地域の経済発展の一方で、経済的理由で、適正な 時期に適正な治療を受けられず、障害を抱える多くの患者が未だ存在する。また、ベトナ ム戦争時に大きな被害を受けた地域では、戦後、障がい児が多く出生し、現地の医療技術 では治療を行うことが困難であるため、口腔先天性異常疾患の手術を希望する多くの患者 がいる。成人した患者にとっては、自身の治療に留まらず、結婚、出産に伴う次世代への 影響に不安を抱えている。 今年度は、ホーチミン市等に専門家を派遣し、現地で無料手術を実施し、「話す」「食べる」 など人としての機能を獲得するとともに、自立した現地医療に向けて、現地の医師に、手 術手技、先天性異常による口腔障害治療に必要な専門知識の移転を行い、ホーチミン市ツ ーヅー病院に先天異常モニタリングセンターを開設することとした。 王実施状況 第 1 次派遣は、平成 21 年 11 月 23 日から 12 月 5 日までの間に口腔外科医 4 名、麻酔医 2 名、小児歯科医 1 名をホーチミン市のオドントマキシロフェイシャルセンターとヴェンロ ン省総合病院に派遣した。口唇裂手術や口蓋裂手術、正中上唇裂手術など、44 例をカナダ チームとともに実施した。 第 2 次派遣は、平成 21 年 12 月 18 日から平成 22 年 1 月 2 日までの間、口腔外科医 8 名、 麻酔医 5 名、小児科医 1 名、看護師 4 名をベンチェ省グエンデンチュー病院に派遣し、口 唇裂手術や口蓋裂手術、外鼻形成手術など 50 例を実施した。また、各手術は現地の医師が ともに実施し、直接的に手技を見せることにより、技術移転を行った。 先天異常モニタリングセンターは平成 21 年 9 月に着工し、ベトナム南部の基幹病院であ るツーヅー病院内に総面積 34 ㎡、3 室からなるセンターが 12 月に完成し、口腔先天異常の データを収集、分析、保管するための拠点となった。 効果と現地の反響 ホーチミン市のオドントマキシロフェイシャルセンターのヴィエット口腔外科長からは、 「日本隊の手術結果が一番優れています。ベトナムの子ども達が待っていますので、来年も 来てください」と何度も申し出があった。 ヴェンロン省総合病院では、3 週間前の他の診療隊による悲惨な初回手術の状況を目の当 たりにした。当団体の支援に対する感謝状の授与式における挨拶では、病院長より、「口唇 裂の初回手術は、その子の一生の顔の個性を決める大切な手術である。その手術によって 不幸な結果がもたらされることがあってはならない」と力説し、暗に経験不足の医師による 初回手術を戒めた。その後、副病院長から手術成功の感謝の言葉が寄せられた。 93 特定非営利活動法人 日本医学歯学情報機構 モンゴル 所在地:愛知県 事業名:口腔先天異常疾患患者の無料手術の実施、手術手技等の移転及びモニタリ ングセンターの建設 配分額:4,343,000 円 あち 背景と目的 モンゴルでは、口腔先天的異常については、治療を受けられないまま放置されているこ とが多い。特に僻地では深刻で、患者は哺乳困難により、栄養失調や感染症罹患率も高く、 乳幼児の死亡率を押し上げている。また、貧富の差が大きく、牧畜で生計を立てている住 民は、医療サービスを受けることが難しい。一方、富裕層は中国や欧米などで手術を受け ることを希望するため、国内の医療技術も育成されない状況にある。 本年度は、国立母子病院やモンゴル健康科学大学で、また、先進国の援助が少ない砂漠 地帯にあるドルノゴビ県やホブド県の僻地で、経済的な問題により治療できない先天的な 口腔障害に苦しむ子ども達に「話す」「食べる」など人として基本的な機能を獲得させる無料 手術や、現地医療関係者を対象とした技術指導・移転を行う。また、モンゴル健康科学大 学及びがんセンター内に先天異常モニタリングセンターを、母子病院にはその分室を開設 し、口腔先天異常のみならず、がんセンターがケアしている患者のデータベースセンター として、生活習慣や、それに起因すると考えられる口腔先天異常疾患の発生予防の拠点と することとした。 王実施状況 第 1 次派遣は、平成 21 年 8 月 9 日から 8 月 23 日までの間、歯科医師 2 名、歯科衛生士 1 名を派遣し、オルホン県エルデネト市、ウランバートル市ティムレル孤児院において、263 名の無料歯科診療や初期う蝕治療、歯磨き指導を行った。また、現地の歯科医師にトゥー スホワイトニングの指導や歯科衛生管理指導等行った。 第 2 次派遣は、平成 21 年 8 月 29 日から 9 月 5 日までの間、口腔外科医 5 名、麻酔医 1 名、看護師 1 名を派遣し、ホブド県にて 14 名の術前診察を行い、7 例の口唇や口蓋の形成 手術、顔面形成術等を実施した。また、モンゴル母子病院にて、4 名の術前診察を行い、1 例の口唇形成術を行った。 手術には、現地医師、看護師が立ち会い、介助・補助を行うことにより実践的技術移転 を行った。また、術後の回診もともに行い、術後の管理について指導を行った。 モンゴル国立健康科学大学内口腔先天異常モニタリングセンターは、平成 21 年 8 月に着 工し、総面積 18 ㎡の 1 室が平成 22 年 2 月に完成した。また、国立がんセンター内の肝が んを中心とした先天異常モニタリングセンターは、平成 21 年 8 月に着工し、12 月に総面積 18 ㎡の 1 室が完成した。 効果と現地の反響 現地では日本人医師による手術を希望する患者が多く、全ての希望に応えることは困難 であったが、手術を施した患者及びその家族から大変感謝された。ホブド県の人々は診療 隊が再びこの地を訪れることを切望していた。また、現地医療関係者からは、僻地での口 唇口蓋裂手術をもっと多くできるように、日本からの援助を求めているとの意見があった。 94 特定非営利活動法人 日本口唇口蓋裂協会 インドネシア 所在地:愛知県 事業名:口唇口蓋裂、口腔疾患患者への無料手術の実施及び医療従事者への技術指 導 配分額:2,806,000 円 あち 背景と目的 インドネシアでは、経済的理由等で手術を受けられない口唇口蓋裂の患者が放置されて いる。また、島が多いことや、政情により、支援が行き届いていない上に、度重なる地震 や津波の影響から病院機能が低下しており、外傷への対応から高い技術を持つ医師の養成 が急務である。 本年度は、首都ジャカルタの南東約 200km のバンドン市において経済的な理由で治療を 受けることが出来ない口唇口蓋裂患者の無料手術を行うこととした。飲食・話す等の日常 生活機能を改善し、審美障害を軽減することを目指した。また、度重なる地震による顎顔 面損傷患者への治療を行うと共に、現地医療関係者に口腔疾患治療の技術移転することを 目的とした。 王実施状況 平成 21 年 11 月 14 日から 11 月 24 日までの間、口腔外科医 6 名、麻酔医 2 名、看護師 1 名をインドネシア、スラウェシ島南部バンタエン及びマカッサルへ派遣し、37 例の口唇整 形術や口蓋整形術、口唇修正術の無償手術を行った。引き続き、平成 21 年 11 月 24 日から 11 月 27 日までの間に、残留した口腔外科医 4 名、麻酔医 2 名、看護師 1 名をスラウェシ島 のトラジャへ派遣し、12 例の口唇整形術や口蓋整形術、口唇修正術の無償手術を行った。 現地では口腔外科医 11 名、麻酔医 6 名、看護師 8 名が参加し、手術や治療に協力し、日 本人医師や看護師は、現地医療関係者に対し、技術指導を行った。この結果、現地医師が 執刀した患者を含むと 120 名を超える患者の無償手術を行った。 効果と現地の反響 現地訪問時には、当初予定していたより多く患者が集まり、現地での反響の大きさを感 じた。 インドネシアの地方部では、現在でも宗教的理由等で体表異常に対し、外科的治療を行 わない社会環境が存在している。無償手術活動を行うことで、これまで手術に否定的であ った患者や家族が正しい知識を得る機会となった。また、手術により審美障害、言語障害 等が改善されるだけでなく、社会環境の改善に大きく寄与した。 現地の医療スタッフは地域により技量に差があるものの、準備や治療等、全てに対し、 積極的に協力した。現地医師とともに処置できたことで、意思の疎通がスムーズとなり、 患者や家族の不安が取り除かれた。 バンタエンでは新聞報道やテレビ取材を受けた。マカッサルの大学では講演やラジオ出 演して活動を紹介する機会があり、日本の治療レベルの高さに大きな反響があった。 バンタエンの郡長は期間中毎日病院を訪れ、患者からの、「学校に行きたいと思っていた が、口唇裂があり恥ずかしくて学校に行かれなかった。手術を受けたことで学校に行ける ようになりとても喜んでいる」との喜びの声を伝えてくれた。 95 特定非営利活動法人 日本口唇口蓋裂協会 ミャンマー 所在地:愛知県 事業名:口唇口蓋裂、口腔疾患患者への無料手術の実施及び医療従事者への技術指 導 配分額:2,702,000 円 あち 背景と目的 ミャンマーでは古くから噛みタバコの習慣があり、口腔癌が著しく多い国で、潜在的に 口腔疾患患者は多いが、治療技術は大変遅れている。また、口唇口蓋裂の発現率は黄色人 種の平均で、出生 500 名に対し 1 名と黒色人種の 3 倍という高い率を示しているが、国の 経済状況が回復せず、年々住民の生活は圧迫されていることから、治療費用や交通費が工 面できない患者が多く存在する。 今年度は、経済的な理由で治療を受けることの出来ない患者に歯科診療及び口唇口蓋裂 の手術を無料で行い、「話す」「食べる」という基本的な機能を獲得させるとともに、現地医 師に口腔疾患治療の技術移転を行うこととした。 王実施状況 第 1 次派遣は、平成 21 年 8 月 8 日から 8 月 19 日までの間、歯科医 1 名を派遣し、カロ ー地区にて 300 名の患者の診察、治療を行い、インプラント埋入治療の技術移転も行った。 第 2 次派遣は、平成 21 年 12 月 13 日から 12 月 28 日までの間、口腔外科医 2 名、麻酔医 2 名、看護師 2 名を派遣し、口唇や口蓋形成術等 61 例を実施した。内訳は、新たに建設さ れた首都ネピドーのネピドー総合病院で 51 例の口唇口蓋裂児の無料手術を、サガイン僧侶 病院にて 8 例の口唇口蓋裂患者と骨折患者 1 例、エナメル上皮腫患者 1 例の手術であった。 第 3 次派遣は、平成 22 年 1 月 26 日から 2 月 7 日までの間、歯科医師 1 名を派遣し、カ ロー地区にて現地医師とともに 235 名の患者の診療、治療、歯磨き指導等行った。 現地からは口腔外科医 17 名、麻酔医 3 名、看護師多数が参加した。また、縫合糸、抗生 剤等をヤンゴン歯科大学やマンダレー歯科大学、サガイン僧侶病院に配備した。 効果と現地の反響 現地政府から強い要望があり、サガイン地区とネピドー地区で無料診療を実施した。こ の地区は、日本の医療援助隊による活動は初めての地域であった。 ネピドーは、首都ではあるが、最も貧しい地域であり、患者はこれまで治療の機会に乏 しく放置されていたため、訪問時には医療大臣夫人や医療省の役人、現地医療スタッフ、 患者、家族が出迎えてくれ、歓迎会が催された。また、患者交通費、入院費の補助を受け ることが出来たため、経済的負担がなく、無償で治療を受けられたことから、患者や家族 は大変喜んだ。 サガイン地区では、地区の地方新聞に当団体の診療チームによる活動を期待する記事が 掲載された。 96 特定非営利活動法人 日本口唇口蓋裂協会 ラ オ ス 所在地:愛知県 事業名:口唇口蓋裂、口腔疾患患者への無料手術の実施及び医療従事者への技術指 導 配分額:10,612,000 円 あち 背景と目的 多くの少数民族から構成されるラオスは、経済発展の遅れが改善されず、特に山岳地帯 では、治療費や病院までの交通費が工面できない患者が多く存在する。また、口腔疾患治 療においてはその技術が低いため、治療できない症例は放置されているのが現状である。 今年度は、患者の交通費、入院費も補助し、経済的に治療を受けられない患者の無料手 術を行い、「食べる」「話す」という基本機能を獲得させるとともに、将来のラオスの医療を 支える現地医師への医療技術の移転を首都ビエンチャンにあるラオス健康医療大学、セタ ティラート病院及び南部パクセーにおいて行うこととした。また、医学教育向上を目的と した研修棟を、ラオス健康科学大学に建設することとした。 王実施状況 第 1 次派遣は、平成 21 年 9 月 7 日から 9 月 11 日までの間、口腔外科医 1 名を派遣し、 セタティラート病院の口腔外科医や現地スタッフと 11 月に行われる診療活動の打ち合わせ を行い、医療機材、薬剤等の調整を行った。 第 2 次派遣は、平成 21 年 11 月 22 日から 12 月 6 日までの間、口腔外科医 5 名、麻酔医 1 名、看護師 1 名を派遣し、パクセーのチャンパサック県病院やセタティラート病院で 21 例 の口唇形成術、口蓋形成術、口唇修正術の手術を行うとともに、現地医師に技術移転を行 った。また、術後患者の回診も現地医師と連携して行い、抜糸や創部消毒など術後ケアの 指導を行った。 第 3 次派遣は、平成 22 年 3 月 7 日から 3 月 10 日までの間、口腔科医 1 名、口腔外科医 1 名、スタッフ 1 名を派遣し、ラオス健康科学大学研修棟の工事状況の確認や歯学部学生や 教員に講義を行った。 ラオス健康科学大学研修棟の建設は、平成 21 年 10 月に着工し、総面積 129 ㎡、2 階建て、 教室 1 室、図書室 1 室、会議室 1 室の研修棟が平成 22 年 3 月に完成した。 効果と現地の反響 現地では患者が診療、手術を心待ちにし、遠方からも費用を工面し、治療を受けに来て いた。現地医療関係者は、どの地域でも熱心に取り組み、手術手技を積極的に学んだ。 今年度建設したラオス健康科学大学研修棟は、昨年建設した手術棟と合わせて、健康科 学大学の学習施設として、多くの学生に学習の機会を与え、今後の医療活動の拠点となる。 今回の無料診療、治療では、低年齢の患者が多かったと感じた。また、現地からは、「無 料診療や治療の日程をもう少し早く周知してほしい」、「もっと多くの地域で診療を実施し てほしい」と要望が寄せられている。 97 ハイチの会 ハイチ 所在地:愛知県 事業名:貧困農民に対する生産向上のための農業技術指導 配分額:1,706,000 円 あち 背景と目的 ハイチは、約 800 万人の国民全体の約 76%が 1 日 2 ドル以下で生活する最貧国で、国民 の大部分が慢性的な貧困に苦しんでおり、中央県エンシュ市(人口 8 万人)ボナビ村は特に 貧困家庭が多い地域である。1 日 1 食すらも摂れない慢性的な食料危機に陥っている。住民 の能力(技術や知識)には限界があり、食料増産には技術、経営等の指導が必要である。 当団体は、平成 16 年から同地域で活動する住民グループ KFP (住民家族共同体)を支援し ている。KFP は、エンシュ市中心部のシテ・シランス区の住民 19 家族、農村部のボナビ村、 セルペット村、ドロカル村及びロッシュ・ア・ピエール村の住民 203 家族、合計 222 家族 の食生活を支え、また平成 19 年に開校したボンソベール小学校の約 300 名の生徒の給食を 補助しなければならず、農業経営に未熟な住民では技術がなければ完全な自立の目処が立 たない状態である。そこで、今年度から 5 年間の「自立を目指す自給自足農園プログラム」 を実施し、栽培技術の向上、農場の整備、農業経営の習得を図り、食料の自給自足、農園 の自立経営を目指すこととした。 王実施状況 栽培技術の習得は、優良品種の種を随時購入し、定期的に堆肥を作成した。ほぼ適切な 時期に種や農機具を購入し、多くの住民が協力して作物の栽培を行うことができた。農機 具の確保、堆肥の使用等により、それぞれの農地で収量が上がった。 平成 21 年 11 月に点滴灌漑の設備を設置し、平成 22 年 1 月に貯水槽が完成し、2 月に井 戸を修理した。貯水槽の建設により水の確保が容易になった。 しかし、平成 22 年 1 月 12 日には死者 30 万人以上とされるハイチ大地震が発生し、当団 体の支援地域も大きな被害を受けた。現地メンバーの家族の死亡、派遣した専門家の宿泊 ホテルも全壊し、数日間の野宿、ドミニカに避難、日本大使館の指示により、事業途中に 帰国となった。このことにより、今年度は新たな養鶏場の建設を見送ることとした。 日本からは、平成 21 年 12 月 18 日から平成 22 年 1 月 23 日までの間、専門家 1 名を派遣 し、点滴灌漑施設の設置や農業経営指導を行った。当初は 2 月末まで滞在し、事業の指導 をする予定であったが、ハイチ地震によりやむを得ず帰国した。 効果と現地の反響 KFP のプロジェクト担当者からは、 「集中豪雨、干ばつ等の不安定な気候により、今年は 明らかに昨年よりも収穫量が減少している。本事業による支援がなければ、十分な収穫が 得られず、かなり困窮した状況になっていた」と反響があった。しかし、大地震後、復旧 は遅々として進まず、コレラ、ハリケーンの被害も重なり、政情は混とんとしている。そ の中にあって、地道な農業支援はハイチの人々にとって、希望の灯と言われている。 98 DIFAR ボリビア 所在地:三重県 事業名:生ごみリサイクル(有機堆肥づくり)及び有機野菜栽培指導、堆肥販売に 向けた試肥試験の実施 配分額:4,000,000 円 あち 背景と目的 当団体が平成 19 年度上期から実施している生ごみリサイクル事業はコマラパ市役所、住 民とともに興味関心が高まりつつある。現在 300 家族のコマラパ市住民が生ごみとそれ以 外のごみを分別し、週 1 回の回収日に生ごみを出し、それを回収して堆肥場に運び堆肥化 を行っている。参加している 300 家族については、ごみは従来に比べ 50%減量されたとし ているが、市全体としてはまだ 20%と少ない。 今年度は、現在の 300 家族に加えた合計 450 家族の生ごみ処理・有機堆肥作りを行い、 堆肥販売を行うための堆施肥試験、土壌検査、マーケティング等を実施することとした。 王実施状況 今年度の実施目標であった「450 家族の生ごみ回収」は、堆肥場の許容量から、400 家族 以上に増やすことは難しい状況だったが、堆肥熟成期間を短縮することで現在の堆肥場の ローテーションを組むことで達成できた。 対象者は個人の家庭、コマラパ市の幼稚園、保育園、老人ホーム、病院、学校と広がっ てきている。分別、収集も昨年に続き、今年も祝日なども休まず週 1 度の収集をコンスタ ントに行った結果、受益者家族の中でも「木曜日は生ごみの日」が定着し、ごみ出し、収 集もスムーズに行われている。また、400 家族を超えた時点から回収トラックを 2 台に増や すことで、回収をスムーズに行うことができている。現在 3∼4t/週の生ごみを受け入れて おり、平均 15 t/月の量になる。これはコマラパ市のごみ全体量の約 20%にあたる。 堆肥を使った施肥試験、土壌検査等については、コマラパ近辺の農民が「有機堆肥」と して使用しているのは「鶏糞堆肥」であり、その鶏糞堆肥と生ゴミ堆肥との施肥効果の差 を比較したところ、生ごみ堆肥は鶏糞堆肥に比べて遜色ない質ということがわかった。ま た、育苗試験の結果、順調に生育し育苗用土としても使用可能ということがわかった。 日本からは、平成 21 年 4 月 8 日から平成 22 年 2 月 4 日までの間、専門家 1 名を派遣し、 生ごみリサイクル・有機野菜栽培・施肥試験等を行った。 効果と現地の反響 平成 21 年 8 月から平成 22 年 2 月まで、受益者家族にアンケートを実施した結果、プロ ジェクトの継続についての質問には 100%「継続してほしい」という回答があり、生ごみ分 別が参加家族についても大きなメリットを感じているのが分かった。ごみの廃棄量につい ては、分別前は 77.2%の家族が 2 袋/週以上廃棄し、中には 20 袋という家族もあったが、 分別後は、2 袋/週以上という家族は 52.9%であり、最高でも 5 袋/週であった。 生ごみ堆肥を受益者に配布しているが、評判がよく、完熟堆肥は常に売り切れ状態とな っている。また、資源ごみの回収についても、各家庭で出される資源ごみ質、量を調査し、 資源ごみリサイクルセンターまでの輸送費、回収方法等を現地 NGO や住民と協議し、平成 22 年に本格的な回収を行うこととした。 99 DIFAR ボリビア 所在地:三重県 事業名:エコサントイレ(糞尿を肥料化するバイオトイレ)の設置及び堆肥利用の 指導 配分額:5,880,000 円 あち 背景と目的 当団体は、6 年前からコマラパ市周辺の村落に住む先住民の生活改善を目的に活動してお り、平成 16 年から川の汚染防止、感染症や不衛生な生活状況を改善するため 13 村で 300 基近くのトイレを建設してきたが、トイレのない家庭は野外で用を足しているのが現状で ある。 今年度はこの事業の締めくくりとして、残りの家族を対象とした 100 基のエコサントイ レ建設及び副資材である人糞堆肥の利用について安全かつ有効な利用ができるように農家 指導を行うとともに、建設に伴う各種トレーニングを行うこととした。 王実施状況 トイレ建設は、平成 21 年 6 月着工を開始し、平成 22 年 3 月に完成した。トイレ建設の 始まりは例年と同じで、村に存在する組織(主にシンディカットと呼ばれる全員参加の労働 組合)の会合に参加をし、そこでトイレ事業の説明などを行ったが、トイレの知名度はます ます上がっており住民の関心も高く、副産物の人糞堆肥の質問もあった。 毎年、支援部分の便槽の工事が終わってから受益者家族の自助努力部分の壁が始まるの であるが、その仕上がりがいつも予定より遅れることから、今回は開始を早めた。結果的 には雨期をまたぎ、作業が遅れ、最後の 2 村は建設が 3 月いっぱいまでかかった。3 年間の トイレ建設数は市役所の自助努力分と合わせ 393 基となり、13 村の普及率は、それぞれ概 ね 70∼90%となった。 トレーニングはテーマを 6 回に分けて、紙芝居を主に使用し受益者家族と時間を調整し ながら行った。トレーニングの内容は、①野外で用を足すことの危険性について・感染ル ート②エコサントイレとは?利点。③エコサントイレの使用に当たり準備するもの④トイ レの適切な使用方法、手洗いデモンストレーション⑤トイレの維持管理について、掃除を 家族で分担しよう⑥人糞堆肥の収穫(便槽から取り出す)と使用方法についてであった。 日本からは、平成 21 年 4 月から平成 22 年 3 月までの間、スタッフ 1 名を派遣し、エコ サントイレ建設等に携わった。 効果と現地の反響 この 5 年間のトイレ建設は、現地の人たちからの反響が全体に良く、エコサントイレと いう新しい仕組みにもスムーズに対応していたので、毎年援助事業を継続する結果となり、 また新しい村からの要望もあった。 トイレ建設の一部は受益者が負担することになっていたため、労働力の提供が厳しい家 族もあった。また、各家庭に一基。基本的には住居に建てるという方針であったが、村人 の大半は畑で過ごすことから、畑にトイレの設置が必要という意見も多くあった。 フォローアップで家庭訪問をした際、子どもに「トイレある?」と聞くと、「トイレある よ。使ってもいいよ」と連れていってくれ、お母さんは「掃除できていないのだけど…」 と言いながら掃除を始めた。 100 ラ オ ス 特定非営利活動法人 リボーン・京都 所在地:京都府 事業名:農村地域の住民のための職業訓練の実施 配分額:1,548,000 円 あち 背景と目的 首都ビエンチャンの北約 100 ㎞にあるヒンフープ郡ビエントーン村はベトナム戦争の戦 禍を逃れて移住した者が起した村で、118 世帯、660 名(うち女性 324 名)の住民はほとんど が農業で生計を立てているが、乾季は現金収入が乏しく、農業で得るわずかな収入を補う ために女性は織物をして副収入を得ている。しかし、他村から市場に持ち込まれる織物と の競合もあり、農閑期には買い取り価格が下がり収入に結びつかない。 経済的な理由により、中学校を途中までしか行かせられない家庭も多く、村人は収入が 増えれば子どもの教育に費やしたいと切望している。女性の収入を得る手段としては、家 庭で出来る織物や洋裁技術の習得が着実であり、そのために、国際的に通用する織物の品 質向上、デザインの多様性やオリジナル性、織物を服や小物に加工する洋裁の技術が必要 とされている。また、洋裁技術を習得することで、仕立ての需要の多い民族衣装「シン」 や学校の制服の仕立て等、近隣の村からも受注が入り、即現金収入へと繋がることから、 日本から専門家を派遣し、染色・織物と洋裁の技術指導を行うこととした。 王実施状況 第 1 回は平成 22 年 1 月 15 日から 30 日までの間、織物と洋裁の専門家各 1 名と調整員を 派遣し、女性 16 名が参加して、染色・織物と、織物をインテリア雑貨に加工する洋裁を主 軸とした指導を行った。村で採集できる草木(合歓の木の葉や芯、にがい豆や花梨の木の 皮)で糸を染め、新しいデザインのスカーフを製作し、古い絹の着物や浴衣を用いた裂織 の布地からバッグやランチョンマットを製作した。また、村人が普段足を踏み入れること のない、ビエンチャン市の高級織物店を訪れ高品質でデザイン性の高い織物を視察し、外 国人の好みを学んだ。 第 2 回は平成 22 年 3 月 17 日から 4 月 1 日までの間、洋裁専門家及び調整員各 1 名を派 遣し、女性 16 名が参加して、服を縫う技術を主眼に置いた指導を行った。縫製技術指導で は、リバーシブルベストやブラウス(2 種)等を製作しながら、洋裁の基本を学んだ。また、 訓練生が織った布を用いて、民族衣装「シン」の製作に取り組んだ。手芸品は、手さげバ ッグや携帯電話ケースを作製した。 効果と現地の反響 研修生は次第に難易度の高い洋裁製作に取り組み、村の年長者に染料となる植物を聞き、 染色を試み、材料の配分や薬剤、時間等を記録するなど、真剣に取り組む姿勢が伺えた。 女性リーダーから「今後も積極的に仕事をしていきたい。織ることや洋裁などの仕事を 依頼されてできれば良いと思っている。何でも注文してください」という要望があった。 村長からは「草木染に全く未経験であった女性たちが身近な材料で多様な色を出せるよう になった。貧しい村だったが明るく活性化した」と感謝の言葉があった。観光で村を訪れ る外国人が、当会が指導した草木染のスカーフを、化学染料で染めたスカーフより高く評 価し、良い値段で購入してくれたと村人は喜んでいる。また、スカーフのデザインも本を 参考にしたり、女性たちの工夫が見られ、製品製作を取り組む姿勢が大きく進歩した。 101 アイユーゴー―途上国の人と共に― タ イ 所在地:大阪府 事業名:貧困農村(少数民族)に対する有機栽培指導による生活向上支援 配分額:2,381,000 円 あち 背景と目的 タイ北部のメーホンソン県パーンマパー郡タムロート区には、カレン族、赤ラフー族な どの少数民族が集落を作り居住している。居住地は山岳地帯で耕地のほとんどは傾斜地で あり、急斜面で陸稲栽培がおこなわれているが、ここ数年、洪水などで地面が削られ、収 穫は年々減少し単位面積当たりの収穫は水稲の数分の一しかない。また、耕作地にはフェ ンスがないため家畜の進入による被害があるほか、同区周辺では農薬を用いて契約栽培を 取り入れる村人も多く、農地荒廃と同時に農薬使用による村人の健康被害が問題になって いる。 このようなことから、既存の畑地をパイロットファーム化し、その保護のためのフェン ス設置、農業実地指導のための農具や、コーヒー、ニームの苗木の購入等、農業技術の習 得と有機農業をしやすくする環境整備を行い、村人の就農率の向上、収穫した生産物の市 場化により農民の経済的自立を安定させることとした。 王実施状況 フェンス設置は、平成 21 年 4 月に資材を購入し、5 月に設置予定地の確認、設置協力者 の人数等の検討の上、6 月 10 日、現地専門家とワナルワン村の住民 10 名が協力して設置工 事を開始し 6 月 20 日工事が終了した。 パイロットファームにおいては、有機栽培指導と植栽の指導を併せておこなった。平成 21 年 7 月から 10 月までは雨期をテーマにした農業指導を行い、コーヒー6,000 本、マンゴ ー6,500 本、ニーム(薬木)6,000 本を植栽した。平成 21 年 11 月から平成 22 年 3 月までは、 乾期をテーマにした農業指導を行い、コーヒー樹木の手入れ、収穫方法、腐葉土等を利用 した有機肥料の作成方法を指導した。また、農業指導は樹木の植栽のみにとどまらず、土 地により、野菜の栽培指導も行った。 日本から、平成 21 年 5 月 2 日から 7 日までの間、7 月 27 日から 30 日までの間、平成 22 年 3 月 13 日から 17 日までの間に専門家を各 1 名派遣し、フェンス設置場所の確認、植栽 現場日確認・指導等を行った。 効果と現地の反響 フェンスの設置により、農民から「センター内の農具などが盗まれなくなった」、「牛な どの動物が侵入しなくなった」、「作り始めた野菜などが、他人や動物から守られている」 など感想が述べられた。 特にコーヒーの植栽はタムロート区 38 村のうち 37 村が実施した。 平成 22 年 3 月にスタッフのよるモニタリングでは、村人は、苗木・肥料・野菜の栽培方法 の指導により、各村で実践が開始され、成功例や失敗例の報告により、農業への取り組み が向上した。また、メーウモン村では、コーヒーの収穫∼出荷∼販売により収益が得られ るようになった。また、バントライ村では、キャベツの指導を受け、安定した栽培が行わ れ、収穫が間近となった。 農民の間に、自然に生育するものを刈り取るという生活から、栽培して育て収穫すると いう意識が高まった。 102 アイユーゴー―途上国の人と共に― ベトナム 所在地:大阪府 事業名:貧困農村(少数民族)に対する有機栽培指導による生活向上支援(農業情 報支援センター建設) 配分額:3,857,000 円 あち 背景と目的 ベトナムのラムドン県カチェン地区(郡)ダックフォ集落は、ナン族、タイ族、モン族な どの少数民族が多数居住する地域で、品質の低い米、コーン、キャッサバ等を栽培してい るが収穫量は少なく、市場での価格は低い。このため、生活苦は恒常的で県下では最も貧 しい集落とされる。 当団体では、グリーンハウスを含む、農業情報支援センターを建設し、耕作、家庭菜園、 土壌改良等の情報提供をし、野菜など約 10 種類の有機栽培の技術指導をすることで、およ そ 3,500 人の村人の生活改善を図り、貧困状態からの脱却を目指すこととした。 王実施状況 農業支援センター及びグリーンハウスの建設は、地区内の幹線道路の橋の補修工事の遅 れ及び例年より多い雨により着工が遅れたが、6 月 26 日にセンターとグリーンハウスの建 設を同時に始め、順次、センターの床面、側面、屋根工事、窓枠の取り付けなどを行った。 また、グリーンハウスは最後に苗床の設置をして、9 月上旬に完成した。 農業指導については、講習内容についてセンター長と検討し、少数民族(コー族)の農 家を訪問し参加を呼びかけ、9 月及び 10 月に各 3 回、11 月から 3 月まで各月 2 回、計 16 回講習会を開催した。講習内容は、ジャックフルーツ、マンゴスティン、アボカド、カカ オ、カシュナッツ等樹木の植栽、なす、オクラ等の栽培について、 「肥料」 、 「樹木」、 「土壌、 樹木の植栽方法」、「マンゴー、樹木の植栽方法」、「堆肥、樹木の植栽方法」、「カシュナッ ツの樹木の管理」、「自生種の胡椒とゴマの収穫、樹木の栽培方法」「堆肥の作り方」を指導 した。 日本から、平成 21 年 4 月 17 日から 4 月 20 日まで、8 月 23 日から 8 月 28 日まで、12 月 20 日から 12 月 24 日まで、平成 22 年 1 月 30 日から 2 月 3 日までの間、スタッフを各 1 名 派遣し、センター等の建設地の確認、建設状況の把握、講習内容の確認等を行った。 効果と現地の反響 カチェン地区の店を見るとバイクや工事に必要な道具などを売る店は無く、野菜なども 数種類しか並べられていない店があり、人々の経済状態がわかる。このような地区の少数 民族の人たちが、「日本人が来てくれたことを誇りに思う。今後の指導を期待している。自 分たちは可能なことはなんでも挑戦したい」と言って、強く握手を求めてきた。 また、センター長のダン氏は「自分の持っている知識、経験をすべて農民に捧げたい」 と述べ、生産物を販売できるようにし、郡全体の経済的活性化を図りたいと意欲的であっ た。 103 アイユーゴー―途上国の人と共に― マダガスカル 所在地:大阪府 事業名:貧困農村に対する農林複合経営の導入による生産性向上支援 配分額:2,450,000 円 あち 背景と目的 マダガスカルは後開発途上国、低所得の島国であり、貧困所帯は全体の 90%が農村地域 に集中している。村落は自給自足農業を主体とした伝統的農業で成り立っているが、1 人当 りの生産高も低く、所得水準の低さに現れている。 地域の生活水準の向上を図るために、資金、生産技術と器具・用具の提供、農産物の販 売促進のマーケットの開発、生産性の高い農業経営の実現が求められている。 アンタナリボ州で最も発展が遅れたフィハオナナ区 6 村では、狭い谷あいに田畑を開き、 これまで米キャッサバなどを栽培していたが、新たにパイナップルとシナモンの木の植林 を行い、稲作との農林複合経営を導入し、生産性の向上を図り地域住民の生活水準の向上 を図ることとした。 王実施状況 パイナップルとシナモンの植林をするにあたり、平成 21 年 5 月から、植栽方法の指導や 防火帯、苗床等の開懇、試験植栽等をおこなった。 当初パイナップルを 180,000 本、シナモンを 1,800 本購入し、植林する計画であったが、 現地の物価高騰のため、パイナップルは 100,000 本、シナモンは 400 本購入し、平成 21 年 12 月から平成 22 年 2 月にフィハオナナ地区の 5 村で植林を行った。 また、貯蔵庫の建設は平成 21 年 11 月 2 日に開始し、11 月 20 日に完成した。 日本からは。平成 21 年 4 月 28 日から 5 月 1 日までの間、8 月 15 日から 8 月 21 日までの 間及び平成 22 年 2 月 27 日から 3 月 5 日までの間代表を派遣し、現地との覚書の締結、植 栽区画の確認、植栽準備、植栽状況の確認等を行った。 効果と現地の反響 植栽は、当初や雨の少ない 7 月、8 月に実施する予定であったが、調整員、地区の人々を 交えて協議の結果、全員一致で植栽に適した 11 月、12 月を中心に行うこととなった。 現地調整員は、「植林は村人で行い、アンタナリボの極めて貧しい青年達を雇用し、彼ら が収穫したパイナップルなどを市場や公園などの数か所で販売し、その収入を植栽した村 人、販売した青年などに配分する農林複合経営を行いたい。」と事業の方針を延べた。 また、現地を訪問した際に、各村の植栽にかかわった村人に会った。村人は、ただ無心 に植柴現場を見せ、「うれしいです。植栽をはじめて元気が出てきた。」と感謝の言葉を述 べた。 104 社団法人 アジア協会アジア友の会 ネパール 所在地:大阪府 事業名:住民に対する生活改善のためのバイオガスプラントの普及及び環境保全指 導 配分額:11,174,000 円 あち 背景と目的 ネパールでは、全国民 2,600 万人の 8 割が農業従事者である。また、資源がなく内陸国 であるため「木(薪)」を主要な燃料としており、農村地域では、薪を森の中で探し、何十 キロもの薪を集めるのが日課となっている。また、人口増加に伴い薪の使用量が急激に増 えたことで、森林破壊が進み、農業に必要な森の恵みを得ることができなくなり、それが 農業低迷につながっている。その歯止めとして代替燃料の確保が急務となっている。 バイオガスプラントは、家畜等の糞を原料としてメタンガスを発生させ、それを日常の 燃料として活用できるだけでなく、副産物の「スラリー(液状きゅう肥)」を肥料として利 用でき、さらに女性等の労働の軽減を図ることができるなど、ネパールの農民に対する生 活改善が図られることから、バイオガスプラントの普及促進と環境保全のための指導を行 うこととした。 王実施状況 バイオガスプラントの設置に先立ち、希望者向けの啓蒙普及トレーニングを、平成 21 年 8 月 13 日から平成 22 年 3 月 28 日の間で計 11 回開催し、既バイオガスプラント設置者が積 極的に参加してバイオガスによるメリット、デメリット、故障及び対策の話などして、希 望者の不安を取り除いた。 設置工事は、ダーディン郡の 3 か村に、平成 21 年 9 月 14 日着工し、平成 22 年 3 月 26 日に計 115 基、バクタプール郡の 1 か村には、平成 21 年 10 月 30 日着工し、平成 22 年 3 月 31 日に 131 基、カブレ郡の 1 か村には、平成 21 年 10 月 30 日着工し、平成 22 年 3 月 28 日に 34 基、ノールパラシィ郡の1か村には、平成 21 年 10 月 5 日着工し、平成 22 年 3 月 30 日に 55 基の合計 335 基を設置完成することができた。 小学校での環境授業と環境セミナーは、平成 21 年 8 月 11 日から 12 月 27 日までの間に 計 4 回実施し、各対象地域の子ども約 350 名(生徒)、村民約 380 名が受講した。 日本からは、平成 21 年 7 月 2 日から 7 月 9 日までの間、 8 月 6 日から 8 月 19 日までの間、 10 月 31 日から 11 月 10 日までの間、12 月 23 日から平成 22 年 1 月 5 日までの間、3 月 15 日から 3 月 23 日までの間、専門家 1 名を派遣し、バイオガスプラントの設置等に携わった。 効果と現地の反響 ここ 2 年ほどの間にバイオガス利用による生活が浸透し、希望者数も増え今年度は 335 基設置し、本プロジェクトによる設置数は計 785 基となった。本プロジェクト支援を始め た当初はほんの数名しか希望者がいなかったことを考えると、夢のようにも感じる。 バイオガスプラントを設置した家の女性たちからは、「長年苦痛になっていた腰痛が、薪 運びの軽減、薪による調理で屈み通しだった姿勢が必要なくなったことでなくなった」、 「煙 により目が年中痛かったが、そのような状況が回避され、台所が清潔になった」など喜び の声が聞かれた。 また、ネパールバイオガス推進員会を始めとして多くの団体から感謝状が送られた。 105 アジア保育教育交流推進実行委員会 タ イ 所在地:大阪府 事業名:少数民族の初等教育整備のための学生寮建設及び保育園の改修 配分額:3,405,000 円 あち 背景と目的 タイのターク県ターソンヤン郡は西部に長いミャンマーとの国境線を持ち、面積が 1,600 ㎢、人口 99,000 人を擁するが、同郡の大部分は高地に位置し、7 つの行政区にカレン族の 村々が山の中に点在している。現在、小学校 20 校、中学校 9 校、高校 1 校が行政により運 営されている。中心部から遠く離れた 200 人規模の村の多くでは小学校 6 年間の教育を提 供できないため、3 年生以上は他村の学校に通うために寮に入らなければならないが、約 3 割の子どもは寮に入れないために、教育を受けることが出来ず、家で農業の手伝いをして いる。中学に至っては、さらに登校できる範囲は狭まり、高校に至っては、ターソンヤン 郡での通学者は 167 名に過ぎない。また、保育園は、行政からの運営費用供給が滞り補修 がままならないため、施設の老朽化ともあいまって、子どもの日常的な生活の場が劣悪な まま放置されている状況である。 当団体は、自宅から通学可能の距離に学校がないことにより就学の機会を奪われている 子ども達のための学生寮の建設とメーソン地区の保育園 19 か所のうち、施設・設備が特に 劣悪な状況にある保育園 3 か所について改装・改修を行うこととした。 王実施状況 学生寮の建設は、事前調査に基づき、学生寮の必要性が高く、現在の寮がきわめて劣悪 な環境にある学校として、チョムチョンバーンターソンヤン幼稚園・小・中学校を選定し、 平成 21 年 10 月に完成した。学生寮の概要は、定員:60 名、2 階建てコンクリート造りで、 1 階 1 部屋、2 階 2 部屋(教師用の個室含む)である。 保育園の改修は、事前調査に基づき、より劣悪な環境にある 3 か所の幼稚園を選定し、 地元の行政事務所の了承・協力を得て実施した。 セークラ保育所は、平成 21 年 10 月に 1 階建て 2 部屋・倉庫、保育士 1 名、定員 25 名の 建物の改修が完成した。また、ボボキー保育所は、平成 21 年 12 月に 1 階建て 2 部屋・倉庫、 保育士 1 名、定員 28 名の建物の改修が完成した。フェイマノック保育所は、平成 21 年 12 月に 1 階建て 2 部屋・倉庫、保育士 1 名、定員 34 名の建物の改修が完成した。 日本からは、平成 21 年 5 月 2 日から 5 月 7 日までの間と 12 月 14 日から 12 月 20 日まで の間にそれぞれスタッフ 2 名を派遣し、学生寮の建設や保育園の改修に携わった。 効果と現地の反響 新しい学生寮は、採光もよく明るく、清潔な生活環境となり、若干のフリースペースも 確保できたことで学習環境が整ったと教師や生徒からも好評を得ている。寮生からは、「ベ ッドが広くなり少し余裕ができて嬉しい。自分の私物を置く場所をベッドの下に確保でき た」との声があった。 保育園の改修は、改修する保育園の立地条件が 3 か所とも街の中心から遠く山奥の入っ たところに位置したため、資材の運搬に想定以上の経費がかかることになったため、保育 所の床がコンクリートの打ちっ放しのままとなった。保育園の父兄からは、「コンクリート のままの床を何とかしてやりたいが費用を負担するのは難しい」との声があった。 106 アジア保育教育交流推進実行委員会 タ イ 所在地:大阪府 事業名:スラム地区、少数民族居住地区の保育園・図書館スタッフのスキルアップ 研修の実施及び保育・幼児教育研修センターの設置 配分額:3,529,000 円 あち 背景と目的 タイは経済的な発展を遂げているが、都市と農村、富裕層と貧困層の格差が存在し、バ ンコクにあるスラム地区では、家庭における経済的な理由から子ども達の教育・保育の機 会、絵本などに接する機会が奪われている。そのような中で、子ども達が幼い頃から友達 と遊びを共有し、想像力や思考力を積み上げる遊びの活動の場として保育園や図書館活動 の提供が重要となっている。保育園・幼稚園では生活面の指導と共に、3 歳位からドリルを 活用して子どもに教える方式が主流であり、子どもと保育者が共に遊び、遊びを通じて育 つ力を積み上げるという保育観が弱いため、牛乳パックなど身近な生活廃材を活用して教 材を作ることをしない。 このため、昨年に引き続き、現地の NGO と連携し、保育園・図書館スタッフのスキルア ップを図るための研修を実施するとともに、「保育・幼児教育研修センター」を設置し、自 立した研修事業の継続・運営を目指すこととした。 王実施状況 平成 21 年 9 月1日から 9 月 5 日までの間、バンコクで一般公募による保育教育者(82 名)、 カウンターパートのスタッフ(21 名)、教育関係者(42 名)を対象とした研修を開催した。保 育教育者には、4 日及び 5 日の 2 日間で、 「子どもの育ち」、 「手作りおもちゃ」、 「集団遊び」、 「絵本を楽しもう」、「手作り絵本」をテーマに研修を行った。また、平成 22 年 2 月 19 日 から 2 月 21 日までは、ターソンヤン郡の保育園・保育士を対象とした研修を開催した。参 加者 65 名に、「子どもの育ちの保障」、「手作りおもちゃ」 、「集団遊び」、「絵本の読み聞か せ」、「手作り絵本」をテーマに研修を行い、グループディスカッションなどを行った。 研修教材開発センターは、平成 21 年 9 月に完成した。面積は 33 ㎡、図書は、保育園補 充用絵本 1,000 冊、参考書籍・参考絵本 333 冊を揃え、教材は、布絵本 10 冊、エプロンシ アター30 セット、手作りおもちゃ 20 種、素材(フエルト、刺繍糸など)を備えた。 日本からは、平成 21 年 8 月 31 日から 9 月 6 日までの間と平成 22 年 2 月 17 日から 2 月 24 日までの間に専門家やスタッフを派遣し、指導を行った。 効果と現地の反響 バンコクでの一般公募による保育教育者を対象とした研修では、昨年から引き続いての 参加者は数人で、新たな参加者が大半であった。各保育園、幼稚園は体制を工夫し、新た な参加者を研修に参加させたと思われる。参加者の感想としては、子どもとのコミュニケ ーションの大事さ、「絵本」を読み合う意義、子どもが楽しめる保育所にしたい等の意見が 出されていて、研修開催の意義、開催趣旨は十分伝えられた研修となった。 研修教材開発センターは、研修に参加した保育園や図書館などのスタッフが教材の作り 方やその材料に触れる場所として、また、スタッフの交流の場として位置づけられ、自立 的な活動の契機が作られていると大いに歓迎されている。 107 関西日中交流懇談会 中 国 所在地:大阪府 事業名:小学校の教育環境向上のための未整備運動場の整備 配分額:4,357,000 円 あち 背景と目的 湖南省の桑植県麦地坪白族郷の農民 1 人当たりの年収は約 1,351 元(21,494 円)で桑植県 の平均年収約 1,724 元(27,412 円)より低く、湖南省の農民の平均年収の 3,906 元(62,112 円)と比べると、大きな格差のある貧困地域である。学校や現地政府に財源はなく、学校整 備は途中で据え置かれている。 麦地坪白族郷中心小学校は村で唯一の文教施設であり約 200 名の子ども達が学んでいる が、校舎、学生宿舎、教職員宿舎、食堂の建物があるのみで、校門、外塀もない。校庭は 段差のある地面が 2 面あるのみで、子ども達が一直線に走れる距離は 20m 程度しかない。 水はけが悪いため、雨が降るとぬかるみができ、歩くとドロドロになる。 このため、子ども達がのびのびと体を動かして体育授業を受け、遊戯をすることができ、 健康と体力向上が図れるよう、運動場を整備し、教育環境を整えることとした。 王実施状況 麦地坪白族郷中心小学校運動場の工事は平成 21 年 4 月 1 日に着工し、総面積 2,500 ㎡の 運動場が 6 月 30 日に完成した。 平成 21 年 4 月 1 日から 4 月 30 日には運動場の地面掘削、土砂の埋め戻し、排水工事、 フィールド内コンクリート打ち等敷地の基礎工事を行い、作業員 23 名を雇用した。4 月 30 日から 5 月 15 日には、環状トラック工事、栗石敷き詰め、石炭殻敷設等などグランドの主 体工事を行い、作業員 48 名を雇用した。6 月 15 日から 6 月 30 日には花壇設置、植栽、砂 場施行等装飾工事を行い、作業員 30 名を雇用し、学生 204 名、教師 15 名、住民 60 名が協 力した。花壇、樹木の世話は教育の一環となり、それぞれに樹木名と担当クラス名の名札 を付け、水やりなどが行われた。 日本からは、平成 21 年 4 月 1 日から 4 月 7 日の間、5 月 13 日から 5 月 19 日の間、6 月 22 日から 6 月 27 日の間、スタッフをそれぞれ 1 名派遣し工事状況の確認を行った。 効果と現地の反響 事業終了後、子ども達から感想文が届いた。鐘吉祥さんからは、「工事が始まった時、車 が 2 台とブルドーザーが 1 台学校に入ってきました。ブルドーザーが土を掘り起こし、土 は車に積まれて河に運ばれました。10 日ばかり経つと土はすっかり掘り起こされ、運動場 作りが始まりました。僕達もレンガ運びを手伝いました。ずいぶん経って運動場は出来あ がりました。これからここはもっと素晴らしいみんなの楽園になるでしょう」。鐘江翡さん からは、「真新しく整備された運動場を見ながら、私はたくさんの想いが生まれてきます。 トイレの前の一面に生い茂った草を見ながら、よく悲しくなりました。自分の学校の校庭 が、他の学校のようであればどんなにいいだろう。長さ 50m、幅 10m の運動場。周りには色 とりどりの花々、校庭が鳥の言葉や花の香りで満ちた世界になればどんなにいいだろう、 そう思ったものです。4 月 2 日、私のそんな遠い夢が現実となりました。私たちは大人にな ったら、立派な人間になります」など、感謝の気持ちが書かれていた。 108 関西日中交流懇談会 中 国 所在地:大阪府 事業名:学校の生活用水安定供給のための水道施設建設(取水場、導水路、貯水池) 配分額:6,162,000 円 あち 背景と目的 湖南省桑植県橋自湾郷地域は、カルスト地層で雨水は地中に吸収され、恒常的な水不足 に悩んでいる。郷政府は水道を設置し、生活用水の供給を行っているが、水源の水が不足 しているため、橋自湾学校には、毎日 2 時間の供給しかなく、夏場は水のない状態となり、 1 か月の休校を余儀なくされている。しかし、橋自湾郷農民 1 人当たりの年収は 1,474 元 (23,451 円)で桑植県の平均年収約 1,724 元(27,412 円)より低く、湖南省農民の平均収入の 3 分の 1 強にしかならないという貧困地域であるため、学校や現地政府に財源がなく、取り 残されたままとなっている。 本年度は、橋自湾学校の約 1,000 名の学生や教員が安心して学校生活、学習を行えるよ う生活用水の安定供給のため、学校内に水道施設を建設することとした。 王実施状況 水道設備工事は平成 21 年 4 月 1 日に着工し、取水場容積 50 ㎥、貯水池容積 150 ㎥、導 水管長さ 6,000m の水道設備が 7 月 30 日に完成した。 平成 21 年 4 月 1 日から、整地、土木掘削、岩石爆破等貯水タンク建設工事を開始し、28 名の作業員を雇用し、6 月 23 日にタンク工事を完了した。タンクにつなぐ導水管の荷降ろ し、運搬は学生、教員 157 名が協力した。取水口工事は平成 21 年 4 月には雨が多く 5 月に ずれ込んだ。取水口は苦李樹湾取水口(山頂部の小さな湧水)と黄二潭取水口(小渓谷の滝つ ぼ)の 2 か所とし、苦李樹湾取水口は平成 21 年 5 月 20 日着工、山頂部のため、荷揚げは馬、 ロバを利用し、25 名の作業員を雇用し、6 月 3 日に完了した。黄二潭取水口は、平成 21 年 5 月初旬、滝つぼの流水止め堰と足場固めの工事を行い、7 月 1 日、取水枡工事着工、25 名 の作業員を雇用し、7 月 15 日に完成した。導水管工事は取水口から学校まで 6,000mの工 事を、平成 21 年 6 月 2 日に着手し、50 名の作業員を雇用し、6 月 23 日に完了した。 日本からは、平成 21 年 4 月 1 日から 4 月 7 日まで、5 月 13 日から 5 月 19 日まで、6 月 22 日から 6 月 27 日までの間、それぞれスタッフを 1 名派遣し、工事状況の確認を行った。 効果と現地の反響 平成 21 年 4 月 13 日の現地新聞「張家界日報」に橋自湾学校水道施設工事が始まったこと が報じられ、人々の関心は高まり、次第にでき上がっていく貯水タンクを見て、住民は協 力を惜しまなかった。6 月 15 日に貯水タンクが満水になり、試験的にタンクから水が流さ れた。寄宿生活をしている学生たちは、生まれて初めてシャワーを浴びて、興奮で沸き返 った。学生の向君からは、「水は私たちにとって極めて貴重で、夏でも体を洗うのは数日お きがやっとでした。もう決して水不足に悩まされることはなく、勉強に集中できます」と感 謝の言葉を表明された。 平成 21 年 6 月 25 日には橋自湾学校水道施設の竣工式で、橋自湾郷共産党書記の張祥勝 氏から「橋自湾郷は厳しい自然環境のため、水資源は非常に貴重であり、水不足のため、何 度も休校に追い込まれていた。中日の友情による当プロジェクトが、この学校に教師、学 生に恩恵を与えた。中日友好が時とともに発展することを願います」と挨拶があった。 109 関西バングラデシュ友好協会 バングラデシュ 所在地:大阪府 事業名:高校の建設、地域住民に対する識字教育、保健衛生指導の実施 配分額:4,224,000 円 あち 背景と目的 バングラデシュのマイメイシン県バルカ市ダクリア村は、首都ダッカから車で北に 3 時 間のところに位置しているが、子ども達が通える範囲に日本の中高等学校にあたるハイス クールが少ない。バングラデシュのハイスクールは 6 年生から 10 年生までの 5 学年である が、多くの子ども達は小学校教育を受けるのみでハイスクールへの進学を断念していた。 当団体は平成 16 年からこの村に、ハイスクールの建設をし、教育環境の改善を目指して いる。今年度は平成 22 年 3 月までに、400 名の子ども達が学べるハイスクールを完成させ るとともに、地域住民に対する識字教育や保健衛生指導を行うこととした。 王実施状況 学校建設は、以前から建設中であったが、配分を受けた平成 21 年 4 月から平成 22 年 3 月に総面積 1.2 エーカー、12 教室、400 名収容の「SHAHED KUTUBUDDIN HIGHSCHOOL」が完 成した。 平成 21 年 4 月と 5 月には、トイレの建設を行い、女子トイレ 4 室と男子トイレを建設し た。6 月から 11 月までは 2 階の 6 教室を完成させた。平成 21 年 12 月から平成 22 年 1 月ま では、1 階の 3 教室の内装を行った。2 月に、階段の整備を行い、3 月に備品の黒板や机、 いす、ベンチなどを購入、設置し、ハイスクールが完成した。完成後、事務員 2 名、警備 員 1 名に対し、研修を実施した。 保健衛生指導と識字教育は、平成 22 年 1 月 16 日から 1 月 20 日の間と、2 月 13 日から 2 月 17 日の間の合計 10 日間実施し、住民が各 20 名参加した。研修内容は、食前やトイレ後 の手洗いや食後の歯磨き、衣類、寝具、ベッドの衛生管理等であり、日頃の衛生的な生活 が疾病予防につながることを理解させた。 日本からは、平成 21 年 5 月 4 日から 5 月 17 日までの間、スタッフ 1 名を、平成 21 年 10 月 31 日から 11 月 14 日までの間、スタッフ 2 名を派遣し、工事状況の確認や識字教育、保 健衛生指導方法について、打ち合わせを行った。 効果と現地の反響 このハイスクールに通うジュエル・ラナ君から、「この村の子ども達は、この学校がなけ れば遠い学校まで通わなければなりませんでした。そのせいで、毎日学校に行かなくなっ た生徒もいたと思います。皆さんの援助でこの学校が出来て、村の子ども達に勉強の場を 与えてくれました。パキスタンとの戦争で 30 万人の人が亡くなり、この国が独立出来まし た。独立後、 『SHAHED KUTUBUDDIN』が村人の教育のため頑張っていましたが、志半ばで暗 殺されました。皆さんがこの人の名前を学校の名前にしたので、村の人たちは大変喜んで 勉強しています。私もこの学校で学ぶことが出来、大変誇りに思っています。本当にあり がとうございました」と感謝の手紙が届いた。 また、住民からは、「近くにハイスクールがないため、行くのを諦めるか、または遠くに 通学していたので、みんな大変喜んでいます」、「この国を良くするのには、勉強が必要で あると思っていたので、子どもをハイスクールに行かせることが出来て、夢のようです」な ど感謝の声が聞かれた。 110 特定非営利活動法人 国際交流の会とよなか(TIFA) ネパール 所在地:大阪府 事業名:住民のための診療所の増築、運営支援、衛生教育の実施 配分額:4,305,000 円 あち 背景と目的 ネパールのジャクナプール県シンズリ郡ドダウリ村は、雨季にはコブラなどの毒蛇被害 者が多発するが、既存の医療施設から取り残された地域である。この地方には医師・看護 師がいないため、村人、村の拠出金でインドから毒蛇専門医師を雇って診療所運営を始め たが、医療設備・医薬品などは不足している状況にある。また、村人が妊娠・出産時原因 の病気について集まって学ぶ場所がない、死亡率が高いという問題のほか、医療知識を持 つ補助者の育成等多くの課題を抱えている状況である。 当団体では、地域に必要な医療活動が村人の力だけで可能となるための支援を実施し、3 年計画の 2 年目の今年度は、診療所の 2 階に病室、医療衛生教育のできる場所、医療応援 者の宿泊室を増築するとともに、診療所の運営支援、衛生教育の実施を行うこととした。 王実施状況 診療所の増築は、平成 21 年 8 月着工、11 月 30 日に完成した。1 階で診療を続けながら、 村人達の協力で診療所の 2 階部分とトイレの増築を完成させた。 診療所の運営支援としては、血圧・心電図の医療機器や医薬品などの提供を行ったほか、 日本人看護師が自立に向けて来所患者の対応、経営方法の改善について指導し、現地協力 団体の HANDS と現地看護師が協力して取り組んだ。また、日本人看護師は簡単な医療処置 はできるように現地看護師を実地指導した。 衛生教育については、日本人看護師が村人のグループ対象に衛生指導・予防指導を実施 し、村人たちの衛生意識・病気予防意識の向上を図るとともに、医療従事者を育成した。 日本から、平成 21 年 4 月 24 日から 5 月 2 日までの間、代表を派遣し、医薬品等提供し たほか、現地看護師らと事業の調整を行った。12 月 12 日から 12 月 20 日までの間、代表及 びスタッフを派遣し、診療所の増築部分の確認等を行った。12 月 12 日から平成 22 年 3 月 7 日までの間、専門家 1 名を派遣し、診療所の運営支援、衛生教育の実施等を行った。 効果と現地の反響 日本からの看護師の派遣・医療器具・医薬品の援助は有効であったが、医者が常駐して いないため、出来る処置が限られた。重大な患者は遠くの病院まで行かなければならず、 村人からの要望として、 「遠くて歩いて病院まで来ることができない患者のために、搬送用 の救急車が必要」、「医者を常駐させてほしい」の 2 つがあがっている。 日本人看護師と現地看護師が行った健康診断・衛生指導・病気予防指導は多くの人たち に役立ち、村の健康状態アップに貢献した。 診療所の利用者からは、「人々のために病院を作って、この地域のために大きな助けとな っています。いろいろな検査がここで出来るようになりました」、「支援により病院をここ に作ってもらい、住民たちは遠くまで行かなくて良くなりました。検査を受ける人々は、 いつも帰る時にお礼を言って帰ります」との感謝の声が届けられた。 111 ネパールの星 ネパール 所在地:大阪府 事業名:住民の診療、衛生教育及び巡回診療活動の自立運営のためのサポートセン ター建設 配分額:7,970,000 円 あち 背景と目的 首都カトマンズの東約 100km にあるラメチャプ郡ソロンブ村は山岳地域にあり、険しい 山道を車で約 5 時間を要し、雨季には 1 日 2 便のバスも運休になるなど交通の便が悪く、 人々は社会や文明からかけ離れた生活をしている。自給自足に近く現金収入がないため、 医療費を払えない人も多く、教育が行き届かず、医療に関する知識もないために、ちょっ としたケガや病気で死に至ることがある。また近くに医療施設も薬局もない。町の病院に 行くには、病人を戸板や背負いカゴに乗せ、徒歩で険しい山道を運搬するしかない。 当団体は、これまで診療所を建設し、巡回診療活動を支援してきた。今年度は、村の特 産物をまとめて販売し、その利益を医薬品等の購入、医師・看護師の雇用費など診療所の運 営費に充てられるようにするため、村人から特産物を買い上げて一時保存する食料貯蔵所 を備えたサポートセンターを、現在建設中のソロンブ診療所の隣に建設することとした。 王実施状況 サポートセンターの建設は、平成 21 年 5 月に村人、巡回診療を行っているデュリケル病 院関係者、現地スタッフにサポートセンターとその運営について説明し、建設地確認を行 って建設に着手した。8 月に再度村の代表者たちやデュリケル病院関係者にサポートセンタ ーの必要性と将来ビジョンなどについて説明を行い、建物は、平成 22 年 3 月に完成した。 例年、4 月から 8 月は雨季で道路が寸断され、また悪路のため搬送車が立ち往生している が、今年は特に集中豪雨が多く、雨季も長いことから資材搬送に手間取り、思いどおりに 工事が進まず、途中、3 月末の完成が危ぶまれたが、後半ピッチを上げ完成することができ た。 日本からは、平成 21 年 5 月 2 日から 5 月 6 日までの間に代表とスタッフ 1 名を派遣し、 完成したソロンブ診療所の確認等を行った。平成 21 年 8 月 13 日から 8 月 18 日までの間、 スタッフ 1 名を派遣し、サポートセンター建設の状況確認等を行った。 効果と現地の反響 診療所に続いてサポートセンターが出来たことで、村人たちの意識は少しずつ変わって きている。どうすれば自分たちも協力することができるか、自分たちの診療所は自分たち の力で運営していきたいという意欲が出てきており、そのための推進母体がこのサポート センターであることはよく理解している。今後は、自分たちが食べる分だけ作っていた野 菜や果物を、販売できるだけの量に増やす努力をし、これまで作ったことのない野菜や果 物をテスト栽培することで、時間がかかっても、これまでにない村の特産物を作りあげて いくこととしている。 サポートセンターの建物は完成したが、今後は農産物をスムーズに出し入れするために、 周辺の崖やセンターへの侵入路を整備するほか、外来者や付添いの人のための食堂、売店 の設置を急ぐ必要がある。 112 特定非営利活動法人 緑の地球ネットワ−ク 中 国 所在地:大阪府 事業名:集中豪雨による土壌浸食により沙漠化が進む地域への植林 配分額:3,409,000 円 あち 背景と目的 山西省大同市大同県聚楽村の年間降水量は平均 400mm だが、大半が夏に集中し短時間の 豪雨となり、土壌浸食を引き起こしている。温暖化に伴ってその頻度が増し、土壌が劣化 して作物や植物が育たなくなり沙漠化が進んでいる。2003 年には土石流により下流の村で 4 名が犠牲になっている。土壌浸食と沙漠化により環境破壊と貧困の悪循環が続き、一人当 たり年間所得が日本円で 15,000 円未満の農村が多い。 土壌浸食と風砂の軽減が求められていることから、当団体は、この地方の環境に適合し た緑化のモデルを作って周辺にも広げ、沙漠化防止・農村の自立にもつなげる植林を行う こととした。 王実施状況 整地作業は 2009 年 8 月後半から 9 月にかけて実施した。本来ならばもう少し早く実施し たかったが、この年の中国北部は記録的な大旱魃で、特に大同県の属する大同市北部は年 間降水量が 200mm 台の前半にとどまったため、土が乾燥して固く、作業が困難だった。 2010 年 3 月に合計 16,500 本の植樹を行った。アブラマツ(油松)、モンゴリマツ(樟子松) が大部分だが、そのほかに落葉広葉樹を数種類、試験的に植栽し、また少量の花木をまぜ た。この年は春の訪れが遅く、寒かったために作業は難航したが、雪や雨が多かったので、 活着率と初期の生育は期待できる。 日本からは、2009 年 4 月に専門家 2 名、スタッフ 3 名を、7 月にスタッフ 2 名を、8 月か ら 9 月までの間に専門家 6 名及びスタッフを 2 名、12 月にスタッフ 3 名を、2010 年 3 月に 専門家及びスタッフ各 1 名を派遣し、整地や植栽の点検、事後の管理方法などについて、 打ち合わせとアドバイスを行った。 効果と現地の反響 土壌浸食と沙漠化、風砂、さらに土石流の防止と改善のために緑化が欠かせないが、今 回植えた苗木は小さいので、すぐにその効果が現れるわけではない。しかし、5 年もすれば、 2m 近くに育ち、土壌浸食や土石流の防止にも役立つようになる。 現地の人々からは、「日本の友人たちとは 2001 年春から、ここでいっしょに汗を流して きた。普段は都会で生活している人たちで、スコップを持ったこともない人が多いのだろ うが、真剣さは伝わってくる。何年後かにはまたやってきて、樹木が生長している様子を 見て欲しい」 、「何年か前、土石流が発生し、下の村では 4 名の死者が出、経済的な被害も 大きかった。一抱え以上もある楊樹(ポプラ)や柳樹(柳)が倒されたし、大きな岩まで転が っていった。このあたりの山に木が育っていたら、あれほどの被害は出なかっただろう。 頑張って木を増やしていきたい」、 「去年はひどい旱魃だったが、2010 年は春からよく雪や 雨が降っている。そのために植えた松なども本当によく活着し、初期生育も大変すばらし い」などの反響があった。 113 特定非営利活動法人 モンゴルパートナーシップ研究所 中 国 所在地:大阪府 事業名:遊牧民のための環境保全型牧畜運営の技術指導と普及 配分額:2,286,000 円 あち 背景と目的 中国西部の乾燥地域に属する内蒙古自治区額済納旗では、近年沙漠化が深刻になってお り、遊牧民による過放牧がその原因と考えられ移民政策がとられてきた。飼料栽培を前提 とした畜舎飼育が推奨されたため、畜舎飼育用の飼料に新たな費用が必要となった上、技 術トレーニングの提供も無かったため、移民世帯の経済状況が著しく悪化し、また水資源 への負荷が増大している。 このため、これまでの環境保全型牧畜運営試験に加え、環境教育・技術普及センターを 整備し、環境保全型牧畜運営技術の指導と普及を行うこととした。 王実施状況 環境保全型牧畜運営試験は、額済納旗ナリンゴル村および巴音桃来農場で平成 21 年 4 月 から平成 22 年 3 月まで通年行い、牧畜運営に関わる技術指導を行った。 環境教育・技術普及センターの整備については、8 月に本棚および書籍の整備を行った。 環境保全型牧畜運営技術の指導と普及については、農業・畜産技術育成研修の第 1 回を 9 月に 3 日間開催し、30 名に対して土壌改良や灌漑技術の指導を行い、第 2 回を 12 月に 3 日 間開催し、31 名に対して牧草栽培や畜舎飼育を中心とした畜産技術の指導を行った。環境 教育ワークショップの第 1 回は 8 月に 3 日間開催し、34 名に対し教材等の講習資料を配布 して水環境問題と農業開発のあり方について講演した。第 2 回は 12 月から平成 22 年 1 月 にかけて 3 日間開催し、28 名に対して黒河流域の経済開発と環境問題について講習を行っ た。また、平成 22 年 3 月に法律研修を 2 日間開催し、42 名に対し農地の貸借に関連する講 習を行い、参加できなかった世帯には訪問して資料を配布した。 日本から、平成 21 年 8 月 8 日から 22 日までの間、専門家 2 名を派遣し、牧畜運営試験 の確認及び環境教育・技術普及センターの整備を行い、環境教育ワークショップを開催し た。平成 21 年 12 月 28 日から平成 22 年 1 月 4 日までの間、専門家 1 名を派遣し環境アセ スメントなどの実施、環境教育ワークショップを開催した。 効果と現地の反響 住民からは、 「今まで政府も農業・牧畜技術の研修を企画してくれるが、理論的なものが 多くよく分からなかった。今回の研修は、私たちの土地にあった方法を提案してくれるの で、直ぐ適用できる知識ばかりでわかりやすい。地元のハミ瓜名人を呼び、畑で苗の確認 をしながら説明してくれたのは分かりやすかった」、「これまでは口頭か簡単な契約書のみ の契約のため、争議になると収拾がつかなかったが、今回弁護士の話を聞いて、契約書の 作り方や国の土地利用に関する法律など、大変勉強になりました」、「モンゴル語の本を沢 山整備してくれたおかげで、中国語が下手な人でも借りて読むことができた」、「今回 100 名強の学生が社会調査および作文コンテストに参加することで、彼らは祖父母世代との話 のチャンスができ、モンゴル人の伝統的な暮らしと地域環境との調和について理解が深ま った」といった感想が寄せられた。 114 特定非営利活動法人 モンゴルパートナーシップ研究所 モンゴル 所在地:大阪府 事業名:遊牧民のための教育環境の整備(黒板配布)及び技術指導 配分額:3,525,000 円 あち 背景と目的 モンゴルはかって高い就学率を誇っていたが、民主化後、教育年限の長期化、小規模近 隣学校の閉鎖など教育サービス全体の市場化が進み、地方部の学校の教育環境は劣化して いる。国際的な教育開発の援助として IT 化がモンゴルでも進められているが、安定した電 力が得られないモンゴルの草原では、現在も黒板が最も実質的な教育設備である。しかし、 地方の学校の予算は緊縮傾向にあって、50 年余を経た老朽化した黒板が用いられている。 また、教師の教授方法等に関するセミナーなどは実施されていない状況である。 このため、今年度は、セレンゲ県、ボルガン県、オルホン県及びフブスグル県の小学校 のうち 50 校に黒板を送付するとともに、日本から小学校教諭を派遣し、教育技術の指導を 行うこととした。 王実施状況 黒板配布は、平成 21 年 4 月配布校を決定し、5 月黒板製作(100 枚)を発注、6 月黒板製 作完了し、国際ボランティア貯金配分金表示のネームプレート 100 枚を発注し、ネームプ レート製作が完了するとともに配布を開始した。 7 月 27 日、ウランバートル市バガハンガイ地区で黒板を配布し、7 月 31 日から 8 月 7 日 までの教員派遣にともない、セレンゲ・アイマグ、ズーンブレン・ソムに黒板 2 枚配布し た。8 月 18 日から 9 月 1 日フブスグル県(31 校) 、8 月 22 日から 31 日ボルガン県(22 校)、 9 月 2 日から 6 日オルホン県(9 校)、9 月 29、30 日ウランバートル市(市内・郊外)で黒 板を配布した。 また、教育環境の整備の一環として、運動場のトラック整備を行った。トラクターで掘 り起こす作業から始めるが作業がはかどらず、トラクターが故障したため、人力に頼るし かなく、うまく平らにすることしかできなかった。 教育指導はセレンゲ県ズーンブレン・ソムのデンベレル 12 年制学校で行い、第 1 回目は、 日本の伝統遊びと歌の紹介、「南中ソーラン」の指導を行い、こいのぼりを掲げた。第 2 回 目は、日本語、習字、ドッチボールや野球の指導等を行った。授業参観・技術指導への教 諭参加は、一回あたり 6 名から 15 名、児童の参加は一回あたり 10 名から 38 名だった。 日本から、平成 21 年 7 月 24 日から 8 月 7 日までの間スタッフ 1 名を、7 月 31 日から 8 月 7 日までの間専門家 5 名を派遣し、黒板・プレートの製作確認、デンベレル 12 年制学校 での技術指導等を行った。 効果と現地の反響 デンベレル 12 年制学校の校長先生からは、「教授法や経験を教え、日本の学習の特徴、 日本の習慣、文化についてわが校の生徒たち、教師達に興味を持たせてくれた皆さんに感 謝します。黒板を十分に活用し、生徒たちの学習成果も向上しています」という感謝状が贈 られたほか、黒板を贈られた学校の校長先生達から感謝の言葉が寄せられた。 115 ラルパテの会 ネパール 所在地:大阪府 事業名:障がい児、その家族及び現地の理学療法士等に指圧・マッサージ・鍼治療・ 遊戯療法などを併用した治療とトレーニング及びリハビリテーションの技 術指導 配分額:1,779,000 円 あち 背景と目的 ネパールには理学療法士や作業療法士を養成する機関が無く、国立病院で働いている理 学療法士などもインドで勉強している。当団体では、平成 19 年度に日本から作業療法士を 派遣し、病院や各種機関でリハビリに関わっている人たちを対象にワークショップを開催 したが、作業療法というものを知らない人がほとんどであった。 障がい児の機能回復を図るため、今年度も首都カトマンズ市のバラジュ地区でワークシ ョップを開催し、現地の専門家の技術を向上させ、用具の制作方法や技術を伝達するとと もに、リハビリテーションの継続や学校での講演活動などを通じて、周囲の人たちの障害 に対する誤った認識の改善、トレーニングの必要性や児童の能力開発等、保護者への啓も う活動を行うこととした。 王実施状況 平成 21 年 4 月 1 日から平成 22 年 3 月 7 日までの間に、指圧、マッサージ、鍼治療、遊 戯療法などを併用したリハビリテーションを、児童 10 名を対象に専門家 2 名、アシスタン ト 4 名で、50 回行った。4 年目になり、保護者もリハビリのやりかたをよく理解し、アシ スタントもそれぞれの役割を分担し、治療がうまくできる体制が出来てきた。 ワークショップは、第 1 回目を平成 21 年 8 月 24 日から 26 日までの 3 日間、現地鍼灸師、 現地専門家、障がい児及び保護者など 40 名を対象に、第 2 回目は、平成 22 年 1 月 15 日及 び 16 日に現地鍼灸師、現地専門家、 障がい児及び保護者など 10 名を対象に、自閉症児に ついての講演、 障がい児が訓練で使うおもちゃの製作などを行ったが、1 月はストライキ のため、参加者が減少した。 日本から、平成 21 年 8 月 18 日から 29 日までの間専門家 3 名、8 月 18 日から 31 日まで の間スタッフを 2 名、平成 22 年 1 月 11 日から 20 日までの間専門家 2 名及びスタッフ 1 名 を派遣し、それぞれワークショップを開催したほか、家庭訪問を行い 障がい児および保護 者にリハビリの指導、家庭での状況の把握を行った。 効果と現地の反響 現地コーディネーターからは、 「障害は病気ではないので、注射や薬で治るものではない。 リハビリを続けることがとても大切だということを、保護者やセンターで働いている人が 理解することができました。家庭訪問では、今まで経験したことのないアドバイスをいた だき、すぐに子ども達の変化につながることをみて驚きました」。現地鍼灸師からは「鍼灸 師や団体から派遣された専門家の技術が素晴らしく、このようなプログラムに参加できた ことを喜んでいます」、障がい児の保護者からは、「このプロジェクトはリハビリの方法を 教えてくれるだけでなく、保護者のネットワーク作りにも役立ち、子ども達の成長への関 心を持つことができるようになりました」と感謝の言葉があった。 116 特定非営利活動法人 アジア眼科医療協力会 イ ン ド 所在地:兵庫県 事業名:チベット難民居住区における眼科医療、医療従事者に対する技術指導 配分額:4,542,000 円 あち 背景と目的 ダラムサラは、インド北西部ヒマラヤ山麓最西部の標高 1,200m から 2,000m に位置する 辺境の町で、チベット亡命政府が置かれている。この地は白内障による失明率が高いが、 チベット眼科医が不在で、チベット亡命政府を基にして成り立つという性質上、政府間援 助の手が伸びにくい。また、チベット難民(特に難民 1 世)は、言語や文化の違いから、イ ンド社会に対する障壁を感じ視力低下を自覚しながらも、インド人医師が勤務するインド 政府立 Zonal 病院を受診せず、失明するものが多くいる。 当団体は 9 年前からダラムサラでアイキャンプ(白内障患者の開眼手術)を実施し、5 年前 からダラムサラ及び周辺で白内障患者発掘のためのスクリーニング活動を開始した。この スクリーニングのパートを現地のデレク病院のチベット人眼科助手と Zonal 病院のインド 人眼科医に協働させることにより、デレク病院から Zonal 病院へ患者の紹介が円滑に行わ れつつある。 今年度もダラムサラに居住するチベット難民に対するアイキャンプを実施し、医療従事 者に対する技術指導を行った。 王実施状況 アイキャンプ活動に先立ち、スクリーニングを平成 21 年 11 月から 12 月の間にチベット 人眼科助手とインド人眼科医がダラムサラの老人ホームや難民コロニーで行い、52 名の白 内障手術適応患者を選別した。日本からは、平成 21 年 12 月 19 日から平成 22 年 1 月 1 日 の間に、眼科医 4 名、看護師 2 名、薬剤師兼通訳 1 名、スタッフ 1 名を派遣し、平成 21 年 12 月 25 日及び 26 日にスクリーニングで選別された患者を含む 360 名の診察を行い、手術 適応の者 62 名を選別し、12 月 26 日から 12 月 28 日の 3 日間に 61 件の手術を行った。 現地のデレク病院からは、眼科助手 1 名と看護師 5 名、ボランティア 3 名が参加し、イ ンド政府立 Zonal 病院からはインド人眼科医師 1 名が参加し、協働した。 配備予定であった、後発白内障患者治療のためのヤグレーザーは、現地業者の手配遅延 により中止となった。 効果と現地の反響 デレク病院のツェテン医師とダワ院長は「ハイクオリティな白内障の手術を受けたチベ ット人達は非常に喜んでいる。インド人眼科医のプリ医師への技術移転も確実に進んでい る。貧困層にある多くのインド人たちは恩恵を受けている」と感想を述べた。 また、デレク病院の眼科助手のテンジン氏から、平成 22 年 2 月 12 日に届いた術後報告 のメールでは、白内障手術を受けた全ての患者は合併症もなく、経過は良好とのことであ った。 117 アジア友好ネットワーク ネパール 所在地:兵庫県 事業名:ストリートチルドレンのためのチャイルドケアハウスの建設、運営指導 配分額:4,232,000 円 あち 背景と目的 ネパールはアジアの最貧国のひとつであり、生活環境、教育環境は低位のまま推移して いる。カトマンズなどの都市には、親や家を失った子ども達が学校にも行かず、路地や公 園でその日暮らしを続けており、行き先を失っているストリートチルドレンは約 5,000 人 を超えていると言われ、その内 300 名程度は保護施設に収容されているが、多数の子ども 達はいまだ路地の生活を続けている。 本年度はこれらのストリートチルドレンのため、カトマンズから車で 1 時間の場所にあ る、カブレ県バクタプール市に総面積 360 ㎡、2 階建て、食堂、医務室、シャワー、宿泊室 等のあるチャイルドケアハウスを建設することとした。 王実施状況 建築開始にあたり、ケアハウスの代表者とケアハウス管理委員会で協議し、計画概要を 作成して建設地のバクタプール市に提出した。市から屋外階段を屋内に設置するように等 の指導があり、設計変更を余儀なくされ、建物は 2 階建てから 3 階建てに変更し、建設規 模が拡大した。 再度ケアハウスの代表者、管理委員会と協議を行い、計画概要を確認し、平成 21 年 8 月 に着工した。11 月には 1 階部分が出来、建物は平成 22 年 3 月末には総面積 540 ㎡、室数 13、収容人員 50 名のチャイルドケアハウスが完成し、4 月末には入所が可能となった。 チャイルドケアハウスの施設運営は、代表者シバ・サルカル・ネパリ氏を中心に養護員 や警備員など 6 名が行うこととし、31 名の親兄弟がいない子ども達が入所した。 日本からは、平成 21 年 10 月 28 日から 11 月 14 日の間、福祉行政の専門家や児童福祉の 専門家を派遣し、ケアハウス管理委員会と協議を行った。 効果と現地の反響 平成 21 年 10 月 31 日に、建築中のケアハウスについて、ストリートチルドレンに聞いた ところ、13 歳のクマリ・マガルさんは、 「私達のために新しい自分のホームを作ってくれて 嬉しい。遊び、食事、勉強のテーブルなどもお願いしたい」、15 歳のアイダ・バハドル・タ マンさんは「私達の家を作ってくれると聞いて幸せです。女性は、トイレとシャワーがない と大変でした。将来はコンピューターの仕事をしたいので、ケアハウスにはコンピュータ ーがあってほしい」、と感想を述べた。 また、工事途中に見学に来た、14 歳のラル・バハドル・アイデさんは、「日本の人たちに 感謝します。私達の家を見て、嬉しいです。早く出来てほしい」。15 歳のススーマ・ネパリ さんは、「私達親のない子どものため家が出来ると聞きました。話だけの時は嘘かなと思っ ていました。行ってみて安心しました」。17 歳のナビル・グルム君は、「私達の家に行って みました。場所は静かで、空気も良く、遊ぶところもたくさんありました。日本の皆さん のおかげで、新しい家に泊まれることが本当によくわかりました。感謝します」等の感想文 が届いた。 118 アジア友好ネットワーク ネパール 所在地:兵庫県 事業名:老朽化した校舎(小・中・高一貫校)の再建と建設に対する助言、指導及 び教育体制に対する実地指導 配分額:1,048,000 円 あち 背景と目的 ネパールはアジアの最貧国のひとつで、教育水準は低位のまま推移している。学校も十 分整備されておらず、識字率も 40%と言われている。 教育制度は、小学校は 5 歳で入学し、1 年生から 5 年生まで、初等中学校は 6 年生から 8 年生、高等中学校は 9 年生から 10 年生で、義務教育は小学校と初等中学校である。 カブレ県ブダカニ村はカトマンズから車で 6 時間、徒歩 2 時間程度のところにあり、そ こに建つ「シリ グラモナティ高等学校」は小学校から中学、高校まで併設されているが、 校舎の老朽化が激しく、雨季には授業が出来ない状況にある。547 名が通学する規模の大き な学校であり、遠方からの通学生も多く、歩いて 2 時間程度の通学は普通の状況である。 本年度はシリ グラモナティ高等学校に学ぶ 574 名の子ども達のために、約 265 ㎡、教 室数 8 教室の学校を建設し、教育体制に対する実地指導を行うこととした。 王実施状況 学校建設は平成 21 年 9 月 1 日に着工した。学校建設地は日常的に交通手段がなく、電気 もなく、水も川まで汲みに行くようなところであり、道路も途中の村までしか通っていな いため、資材は人力で運搬するしかない。開発が遅れた村に対する国の振興策として電気 送電プロジェクト、道路建設プロジェクト等 5 つのプロジェクトが重層して実施されてい たため、工事作業員が手薄となったが、無事平成 22 年 3 月 31 日に完成した。 日本からは、平成 21 年 10 月 28 日から 11 月 25 日の間、福祉行政の専門家や児童福祉の 専門家を派遣し、「シリ グラモナティ高等学校」の授業参観、職員との会議、校長と学校 運営について懇談を行った。 効果と現地の反響 建設後、 「シリ グラモナティ高等」学校に学ぶ 7 年生のサミチャ モクタンさんからは、 「この学校が出来る前は、小さな暗い部屋で勉強していました。学生は 100 名以上でしたの で、勉強は大変でした。先生の声は全然聞こえず、教育は将来を明るくするものと言われ ていましたが、私達は暗い所で勉強していました。新しい学校が出来て、広くて明るいと ころで勉強が出来ます。ありがとうございます」。10 年生のカルパナ モクタンさんは、「こ れからは大きく明るい部屋で勉強が出来ます。2 時間かけて通学してきて、座るところがな かった時、後ろに立って勉強するのはとても辛かった。これからはこの問題はなくなりま す」。9 年生のスディナ タパさんは、「今まで私達が勉強しているところは暗い所で、学生 はいっぱいで早く行かなければ座るところがありませんでした。これから、明るく大きな 部屋で勉強できることは楽しみです」。8 年生のスヨグ ビカさんからは、「今までは狭く、 雨が入ってくる部屋でした。100 名の学生が小さな部屋で勉強していました。新しい学校は 窓も大きく、勉強がしやすく、とてもうれしいです」と感謝の感想文が届いた。 119 特定非営利活動法人 ギブ ペ ル ー 所在地:兵庫県 事業名:住民のための衛生改善指導、生活支援教育及び集会場の建設 配分額:8,110,000 円 あち 背景と目的 リマ県カニェテ郡のウナヌエ村及びロス・アンヘレス集落では、近年、日雇いで働く女 性が増え、子ども達が家で留守番をするケースが目立つ。また、テロから逃げて来た人々 は村で孤立しているケースがあり、コミュニティの変化に住民たちは戸惑いや不安を感じ ている。また、ウナヌエ村の集会所は狭隘となり、ロス・アンヘレス集落の集会所は震災 で破壊されたまま再建できないでいる。 そこで当団体は、住民に協力を呼びかけて、活動の場となる集会所を建設し、栄養改善・ 生活支援教育事業及びリーダー育成事業により、村の女性達が自分達の持っている能力と 意欲を発揮し、震災後の作りの基盤を築くこととした。 王実施状況 集会所の建設は、新型インフルエンザの影響で建設時期が遅れた。ウナヌエ村は、平成 21 年 11 月 2 日に着工し、2 室、1 台所と倉庫、2 トイレの施設が平成 22 年 2 月 28 日に完 成した。また、ロス・アンヘレス集落は、平成 21 年 10 月 21 日に着工し、3 室、1 台所、2 トイレの施設が平成 22 年 3 月 25 日に完成した。 リーダー育成事業は、平成 21 年 10 月 21 日から平成 22 年 3 月 15 日までの間、毎週火曜 日と木曜日に各村の女性 10 名ずつを対象に合計 40 回開催した。衛生・栄養改善指導、生 活支援教育事業は、平成 21 年 10 月から平成 22 年 3 月に実施され、ウナヌエ村では女性 70 名、子ども 100 名、ロス・アンヘレス集落では女性 60 名、子ども 90 名が定期的に参加し た。各村で、栄養改善のクラス 13 回、生活支援の手芸クラス 20 回、子どもの栄養補助食 を約 60 回行った。 日本からは、平成 21 年 10 月 21 日から 11 月 7 日までの間にスタッフ 1 名を派遣し、ま た、平成 22 年 2 月 18 日から 3 月 12 日までの間、スタッフ 2 名及び大学生ボランティア 2 名を派遣し、集会所の建設状況の確認や研修等を行った。 効果と現地の反響 集会所の建設に対し、村の住民らは非常に感謝して式典を開催し、村長やリーダーから の感謝の言葉だけでなく、日本人全員にお礼の花束や手作り品が贈られた。また今後、周 辺の集落の女性たちも集会所での活動に参加することが可能となるため、ロス・アンヘレ ス集落の隣接集落の女性たちからは、「私どもの村のために集会所を建ててくださり、皆様 の寛大さと協力に心より感謝いたします。私たちは瓦礫の片付け作業等を手伝いに行かせ てもらいましたが、皆様には直接お会いすることができずとても残念です。しかし、皆様 の援助をとても嬉しく思い、心より感謝しています」との感謝状が寄せられた。 衛生・栄養改善指導、生活支援教育事業の活動に、女性や子どもたちは今後も継続参加 することから、わずかながらも参加費を払うこととし、手芸のクラスでは、各自少なくと も作品を 2 個仕上げ、1 個は資金集めのために販売する、また材料を持ち寄り、販売用の料 理を作ることとした。リーダーたちは講師の指導の下に、学んだことを村の女性に伝え、 数名は積極的に弁論大会に参加し、自分の意見を述べる勇気を身につけた。 120 特定非営利活動法人 国際エンゼル協会 バングラデシュ 所在地:兵庫県 事業名:地域児童生徒の教育環境充実のための新校舎建設 配分額:10,988,000 円 あち 背景と目的 バングラデシュの教育システムは、1 年生から 5 年生が初等教育、6 年生から 10 年生が 中等教育となっており、10 年生を終えた段階で全国一斉の中等教育卒業試験が行われる。 当団体の所在するガジプール県コナバリ村周辺に多数存在する中等学校は、敷地・校舎 の規模により、8 年生までとなっているが、バングラデシュでは中等教育を卒業するために は 10 年生まで行かなければ、卒業試験が受けられない。この卒業試験に合格しなければ、 学校に通っていたという正式な証明書が無いに等しく、就職にも多大な影響が出るため、 保護者からは、ぜひ 10 年生までの教育環境を整えて欲しいとの要望が多数寄せられている。 当団体ではこれまでに地元の人たちの強い要望で「YURIKO エンゼルスクール」を開校し、 現在幼稚園から 6 年生までが在籍しているが、現校舎のままでは 8 年生を迎える平成 22 年 には教室が不足することから、新校舎建設を行うこととした。 王実施状況 新校舎の建設は、平成 21 年 4 月 22 日に着工し、イスラム教の断食、犠牲祭の際に工事 作業員が田舎に帰ったため内装が若干遅れたが、平成 22 年 1 月 5 日に建物総面積 1,426 ㎡、 4 階建、12 教室と講堂、女子用、男子用トイレが完備した校舎が完成した。1 月 12 日には 新学期が始まり、教室もゆったりとした空間で生徒たちは教育を受けられるようになった。 学校も平成 21 年 1 月には初等部(1 年生から 5 年生)が現地文部省に登録され、本校生徒 の 5 年生 21 名が全国一斉の卒業試験(平成 21 年から初めて実施される)を受けて、優秀な 成績で卒業した。新校舎の完成や、教育も確かさが近隣の人たちに認められ、平成 22 年の 新入生が約 130 名増え、全校生徒(1 年生から 8 年生)は 406 名になった。 日本からは、平成 21 年 4 月 15 日から 5 月 5 日までの間にスタッフ 2 名、6 月 25 日から 7 月 11 日までの間にスタッフ 1 名、9 月 2 日から 9 月 18 日までの間にスタッフ 2 名、12 月 14 日から 12 月 31 日までの間にスタッフ 1 名、平成 22 年 1 月 16 日から 1 月 24 日までの間 にスタッフ 2 名を派遣し、新校舎現場の工事現場を視察し、工程などを確認した。 効果と現地の反響 平成 17 年開校当初は、各学校行事を行うと学校にごみなどが散らかったりしていたが、 近年は生徒たちも意識して校庭や教室にごみが落ちていればごみ箱に入れるようになり、 徐々に道徳教育が浸透してきている。また、登下校時には挨拶を交わすようになった。 保護者からは、「立派な新校舎が完成して本当に嬉しく思います。娘もきれいな校舎に通 えると毎日のように話してくれています。授業の方もぜひ力を入れて勉強をさせてくださ い。」、生徒からは、「以前は YURIKO エンゼルスクールに通っていましたが、両親の関係で 転校をしなければなりませんでした。その学校はごみが散らかっていたり、トイレも汚れ ていたりして勉強への意欲もわかず、毎日両親に YURIKO エンゼルスクールに戻りたいとお 願いしていたところ、やっと私の話を聞いてくれて戻ることができました。新校舎が建設 され、10 年生までここで勉強できるのが本当にうれしい」との感謝の手紙が寄せられた。 121 フィリピン 特定非営利活動法人 地球ボランティア協会 所在地:兵庫県 事業名:貧困地域住民に対する収入増加のための特産品の開発支援 配分額:3,465,000 円 あち 背景と目的 フィリピンのバタンガス州タナウアン市は、一部が工業団地であり、残る大部分が農業 を営む村落である。現在の貧困率は約 20%で、この 5 年間増加傾向にある。ここ 10 年間、 他州から州内の工業団地への雇用等を求めて労働者が流入し、人口が増加しているが、雇 用ニーズがそれにおいつかないため、失業率も約 20%と増加傾向にある。貧困率、失業率 に相関して、治安面の悪化も見られ、この 3 年窃盗や身代金要求などの犯罪件数も増加し ている。 当団体は、タナウアン市がマニラ首都圏に車で 1 時間半程度の距離、また近くに工業団 地が点在するといった立地を生かして、特産品の品質改善・開発や販路開拓支援を行うこ とにより貧困世帯の収入向上を図り、ひいては貧困の解消につなげることを目指すことと した。 王実施状況 プロジェクト実施場所は、マニラから 68km 南下したところにあるタナウアン市に属す、 5 つの村で、ターゲットグループは、それぞれの村に存在する協同組合にできた特産品の 5 つの有志グループである。 活動内容としては、運営能力を向上させるため、リーダーシップ、簿記、マネジメント 等の研修を行い、特産品生産活動の強化策として、有機肥料を使用したサトウキビ・キャッ サバの栽培研修と地鶏の飼育研修を行った。特産品を加工する際の調理器具を揃え、5 村の 1 村 1 品の特産品として、 バレル村のキザニ大根の甘煮漬、トラピチュ村の鶏肉真空パック、 バグバグ村の椰子の実パイ、ブート村の竹細工、マビニ村の野菜の酢漬けを製品化し、パ ッケージ方法を考え、商品ラベルも作成した。また、販売促進ツールを準備し、特産品の 見本市に出展し、テスト販売を行った。 日本からは、平成 21 年 8 月 19 日から 8 月 30 日までの間、11 月 25 日から 12 月 3 日まで の間、平成 22 年 2 月 14 日から 2 月 17 日までの間にそれぞれスタッフを派遣し、研修、特 産品プロジェクトの指導等を実施した。 効果と現地の反響 タナウアン市のバックアップのもと、近隣の村々で、一村一品の動きが広がっている。 今回のプロジェクトで取り上げた 5 村を成功事例として、啓発活動を行っている。将来的 には、同市内の全 43 村に特産品による生活改善事業を広げていくとのことである。 キザミ大根の酢漬け参加者からは、「始めは味付けのバラツキが出たり、煮方が不足した りトラブルがあったが、だんだんコツを掴み、すばらしいパッケージもできて村の大切な 事業になりました」。バグバグ村の村長からは、「村の特産品が、あちこちの店頭に並ぶの を見て、感動したがいろいろと努力した甲斐があった。これからは、もっと近隣の村にも 参加を呼びかける」。タナウアン市長からは、「特産品プロジェクトがもたらしたのは、所 得向上だけではなく、皆で努力すれば、大きなことができるという経験と信念で、これは 大きな資産になるでしょう」と感謝の言葉をいただいた。 122 ケ ニ ア 特定非営利活動法人 アフリカ児童教育基金の会 所在地:奈良県 事業名:医療援助活動の充実及び有機物を活用した自然再生型農業の普及と生活環 境向上のための援助 配分額:15,396,000 円 あち 背景と目的 ケニアでは、国民のエイズ感染率は 7.8%(約 234 万人)、当団体の活動事務所があるエン ブ県はやや低く 4.1%(約 2 万人)となっている。エイズ感染と結核は密接なつながりがあり、 結核の症状からエイズの感染を発見するケースが多いが、エンブ県内にレントゲン診療施 設が 2 か所しかなく、公共交通機関もほとんど無いうえ、患者は交通費も無く、遠くの病 院で診察を受けることが困難である。また、母親が妊娠中にマラリアなどにかかり、治療 薬の副作用から障害を持って生まれる新生児も多い。 農業の分野では、外国から輸入した化学農薬・肥料に依存してコーヒーなどの栽培をして きたが、ヨーロッパなどの輸入国は、有毒で残留する化学農薬・肥料の使用を急激に規制し ている。 このようなことから、今年度は、引続きエナ・ヘルスセンターを運営し、レントゲン機 器、超音波診療機器等を配備するとともに、有機農業トレーニングセンターにおいて、有 機農法のセミナー開催、生活用、農業用等の井戸を掘削することとした。 王実施状況 エナ・ヘルスセンター及びエイズ・ケアセンターを運営し、エナ・ヘルスセンターでは 平成 21 年 4 月から通常診療と、産科、歯科診療を開始し、エイズ検査・学校検診も含め 1 年間で 23,099 名の診療を行った。1 月には、2 日間住民への無料診療サービス(メディカ ル・キャンプ)を実施し 1,500 名を超える住民受診した。レントゲン室の建築は 6 月に開 始し 12 月に完成、2 月にレントゲン機器、超音波診察機械、その他備品を設置し、3 月か らレントゲン診療等を開始した。エイズ・ケアセンターは、平成 21 年 4 月、現地スタッフ の採用、検査機械の整備、各種検査薬品を調達のうえ開設し、エイズ疾患の治療、エイズ 患者の家庭訪問巡回等を実施した。 有機農業トレーニングセンターの運営は、1 年間の基礎コース、1 年間の上級コース、地 元農民への有機農法の知識と技術普及講習会(ショートコースセミナー)を毎月実施した。 10 月には刑務所服役者の出所後の生活支援のため、刑務所敷地内の農場で、有機肥料を製 造、使用して主食や野菜を栽培する研修会を開催した。 日本から、平成 21 年 4 月 1 日から平成 22 年 3 月 31 日までの間、診療所責任者 1 名、農 業研修所責任者 1 名、農業研修所会計担当者 1 名を派遣し、運営に当たった。 効果と現地の反響 ヘルスセンター及びエイズ・ケアセンターによる医療援助事業の実施は、近隣の貧しい 患者とその家族はもちろん、保健省、教育省、市役所関係者にも大変感謝された。 外国製の化学農薬・殺虫剤は、貧しい農民には資金的に大きな負担であったが、講習会 で安価で安全、有効な有機肥料の知識と技術を習得でき、製造した有機堆肥と有機物によ る害虫抑制剤を講習会参加者が使用した結果、主食(トウモロコシ)、各種芋類及び野菜、 果物等の収穫量が平均約 1.5 から 2 倍に増加する効果を上げた。 123 特定非営利活動法人 AMDA社会開発機構 ネパール 所在地:岡山県 事業名:新生児と妊産婦の健康改善のための保健衛生教育及び妊産婦検診の実施 配分額:9,400,000 円 あち 背景と目的 ネパール中西部に位置するルパンデヒ郡は、インドと国境を接し、人口約 71 万人の比較 的大きな郡である。中でも、プトワール市は東西南北の幹線道路が交わる場所に位置し、 郊外には少数民族のタル族やマシデと呼ばれるインドからの移民が住んでいる。 妊産婦に関し、WHO は適正時期に最低限 4 回の受診を推奨し、ネパール政府も 4 回の無料 妊産婦検診を実施している。しかし、遠隔地の農村地域に住む少数民族のにおいては、慣 習や知識レベルの低さ、貧困などを背景に妊産婦検診を適切に受診することはなく、現在 でも家庭分娩が 9 割以上占め、ハイリスクの出産を行っている。 当団体では、本年度プトワール市近郊の農村に住む少数民族の女性を対象とした、保健 教育活動や妊産婦検診を行い、母子の健康改善に寄与することとした。 王実施状況 女性グループを対象とした保健教育・啓発活動は 4 つの村の 16 において妊娠・授乳中の 女性及び母親・姑を中心とするグループを形成し、各からリーダーを 6 名選出した。この リーダーの育成を行うとともに、各グループは、そのグループの保健問題の意見を反映し た 5 つの話題について研修を実施した。また、リーダー研修を受けた各リーダーがグルー プメンバーにロールプレイやクイズ、体重測定のツールを用いて、研修のフィードバック を行い、全ての妊産婦が検診を受けるようになった。 妊産婦への産前検診は保健教育・啓発活動を通し、受診の啓発を推進した。また、受診 した妊産婦 1 名に 1 回 350 ルピーの交通費を支給した。このうち 300 ルピーをグループの 共有基金(健康基金)として積み立て、さらにメンバーも毎週小額を積み立て、受診をサ ポートし合うことが可能となった。 日本からは、看護師、助産師の資格者を平成 21 年 8 月 8 日から 8 月 22 日の間と平成 22 年 2 月 12 日から 3 月 2 日の間、各 1 名を派遣し、妊産婦ケア研修、分娩介助研修、周産期 ケア、小児ケアの技術指導等を行った。また、国際開発の専門家又はスタッフを平成 21 年 4 月 1 日から平成 22 年 3 月 31 日までの間に延べ 4 人・302 日間派遣し、保健教材の作製や ワークショップの開催、現状の分析等行った。 効果と現地の反響 保健教育活動に参加したグループリーダーは、「このプロジェクトに参加して、周産期女 性が気をつけなければならない知識が身につきました。例えば、栄養、妊産婦検診に何回 行くべきか、予防注射や出産について学びました。自分の子どもの体重を量り、栄養状態 が深刻なことに気づき、病院に連れて行きました。健康基金は少しずつ貯めることが習慣 になり、妊産婦検診の交通費補助が健康基金として貯蓄され、健康問題や緊急時に容易に お金が借りられるので助かっています」、プニタ・ハリジャンさんは、「一番良かったこと は、グループや村の住民と話し合って物事を決められるようになったことです。基金の運 営で問題が起こった時も、自分たちで解決できるようになりました」と感謝の気持ちを述 べた。 124 特定非営利活動法人 AMDA社会開発機構 ミャンマー 所在地:岡山県 事業名:貧困世帯女性に対する自立支援のための生活改善事業 配分額:6,138,000 円 あち 背景と目的 マンダレー管区メティラ県メティラ市は熱帯気候に属するミャンマーの中央乾燥地に位 置し、年間降雨量は 750 ㎜程度と極めて少ない。乾燥した気候に加え、土壌も肥沃ではな く、農業収入の不安定性は常態化している。多くの農家は現金収入の安定化を図るため、 農業に加え、畜産などによる副収入に頼らざるを得ない状況にある。 保健分野では、乾燥気候に起因する呼吸器疾患や皮膚疾患、不衛生な水の飲用・利用に 起因する下痢や赤痢などの感染症が顕著である傍ら、平成 20 年には出血性デング病などの 感染症が 5 歳以下の子どもを中心に流行した。保健医療機関へのアクセスは容易でなく、 適切な治療を受けるために数時間かけて移動する患者も多い。このため住民にとっては、 日頃から疾病予防や感染症に対する自己防衛策、事故や蛇咬傷(同市の死因第 1 位)などへ の初期対応に関する知識を身につけることが重要である。 本年度は生活改善事業として、保健教育、農業技術研修、畜産研修を行うこととした。 王実施状況 保健教育は 37 村 1,515 名の女性に同市の疾病罹患率上位 5 位ならびに季節的な流行性を 考慮した 5 つのテーマ(栄養、デング熱、HIV/AIDS、公衆衛生、応急処置)について、毎月 2 回実施し、中でもデング熱の症状と対処方法についての知識が 25%から 80%へ向上した。 村落巡回型の農業技術研修は平成 21 年 5 月 21 日から 9 月 16 日まで、34 村で 2 日×28 回実施し、559 名が参加した。少量の水で苗を作る「ダポック方式」という苗作技術は、降 水量が少なく乾燥した当地において歓迎され、メティラ市以外にも紹介されて試験農地が 開設されるなど、波及効果が確認できた。また 95%の受講生が、学んだ「ボカシ肥」を使用 し効果が確認できた。村落巡回型の畜産技術研修は平成 21 年 10 月 1 日から平成 22 年 1 月 22 日まで、35 村で 2 日×28 回、1 日×3 回実施し、養豚研修に 648 名、養牛研修に 705 名、 延べ 1,353 名が参加した。特に繁殖、防疫、飼料配合など、講義と実習を通して指導した。 日本からは平成 21 年 8 月 3 日から平成 22 年 1 月 31 日までスタッフを派遣し、現地スタ ッフの管理や事業の調整を行った。また、社会開発の専門家を平成 22 年 2 月 22 日から 3 月 23 日まで派遣し、保健教育の指導やモニタリングを行った。 効果と現地の反響 保健教育に参加者は、 「私の夫は運転免許取得の際、私は出産の際の血液検査で HIV 感染 が分かり、ショックを受けました。保健教育で感染者や家族がすべきことを教えてもらい、 近隣の人にも HIV/AIDS に関する教育を実施してもらったことで、村の人達も私達とどのよ うに一緒に村で生活していくかについて理解してくれました」。農業技術研修に参加者は、 「平成 21 年 8 月に受講し、ボカシ肥、有機防虫剤、酸素菌など有機農法について学びまし た。研修後さっそくボカシ肥を畑に使ってみたところ、土が柔らかくなるという効果があ りました」、畜産技術研修に参加者は、「平成 21 年 11 月に受講し、家畜の選び方、繁殖方 法、出産や伝染病予防などを学びました。適切な種付け時期や飼料についての知識はとて も役立っています」とそれぞれ感謝の言葉を寄せている。 125 カンボジア 特定非営利活動法人 ハート・オブ・ゴールド 所在地:岡山県 事業名:小学校の合同巡回指導を通じて、指導要領に沿った保健科授業の確立 配分額:4,161,000 円 あち 背景と目的 カンボジアでは平成 18 年に「学校教材政策」、 「学校保健政策」が発表されたが、現在ま で、保健体育科の指導要領および指導書が作成されたにすぎない。当団体で平成 18 年から 平成 20 年まで、教育省の担当者を支援する形でイラストを多用するなど授業方法を分かり やすく理解するための保健科指導書を作成し、9 校に試験的に配布した。配布した際に、保 健科授業の現状と計画的授業の方策などを現場から聞き取ったところ「学校長をはじめ、 現職教師が保健科の授業を受けた経験がなく、指導書の配布により、教員は理解できるも のの、実際に指導書の内容を授業に反映させることが大きな課題となっている」との結論 になり、教育省の行政官を中心に現場の指導者を育成することが必要となっている。 本年度は、保健教育専門家による現職教員及び教員育成校の教官に対するワークショッ プ及び合同巡回指導を行い、保健科授業の確立を図ることとした。 王実施状況 プロジェクトチームの育成ワークショップは平成 21 年 7 月 14 日から 7 月 17 日までの 4 日間と 7 月 31 日、8 月 10 日から 8 月 12 日の 3 日間に、12 名の教育省保健局関係者に実施 し、保健科教育の目的、意義、概要や取り巻く現状、具体的指導案の作成、模擬授業など、 保健科授業計画を普及させるための手段等を指導した。 教員育成講習会は 2 回実施し、第 1 回目は平成 21 年 8 月 19 日から 8 月 22 日まで行い、 スバイリエン郡の 3 小学校の校長 3 名と教員 36 名、小学校教員養成校の校長 1 名と教官 4 名が参加し、保健科授業の指導書を活用した授業の展開方法を学んだ。 第 2 回目は平成 21 年 12 月 28 日から 12 月 31 日まで行い、同数の参加があり、授業の展 開や HIV/AIDS の正しい知識、カード・ゲーム等で楽しく学ぶ指導法など学んだ。日本から は保健科教員 3 名、看護学博士 1 名、養護教員 1 名(自費参加)と学生 1 名(自費参加)を派 遣し指導した。 伝達講習会は平成 21 年 10 月 27 日から 10 月 30 日まで行い、スバイリエン郡の 3 小学校 の教員、教員養成校の教官等 88 名が参加した。内容は第 1 回目教員育成講習会で学んだこ とを、具体的な授業の進め方など、学年ごとの模擬授業を通し学んだ。 日本からは、1 年間プロジェクトオフィサーとしてスタッフと現職の教員を派遣し、教員 育成講習会の講師や事業の運営に努めるとともに、日本からは保健科(現小学校教員)の 教員 5(延べ人数)や看護学博士 1 名、看護科学生 5 名大学生1名(自費参加)を派遣した。 効果と現地の反響 プロジェクトチームリーダーのギィ・ソマリー氏は、「保健科教育に必要な良い教材を手 にした。これにより、教員は指導能力がついて、指導書にそって、指導案を作成し、授業 を行っていることが確認できた」、プロジェクトチームのソク・ブッティー氏(調査研究局) は、「校長や教員は保健科教育の知識を得られた。日々の児童の生活習慣の変更につながり、 教育省や県教育局等はこの結果に満足している」等、本事業に対する感想が述べられた。 126 フィリピン ひろしまルソン友好協会 所在地:広島県 事業名:災害(地滑り)防止、水源涵養のための植林及び管理指導 配分額:5,582,000 円 あち 背景と目的 ルソン島北部のサンタフェ町バクネン・バランガイ地区にはバギオ大地震の被災者のた め、フィリピン政府や国際赤十字が仮設住宅を建設し提供した住民を含め、2,000 名が生活 している。かつては森の恵みにより暮らしも豊かであったが、森林伐採が主な原因で、洪 水による土砂災害、渇水による農産物の不作等により、住民の経済状況は大変厳しい。 当団体は、平成 13 年からこの地で植林を開始し、現在までに約 43 万本の苗木を植樹し、 森を育ててきた。しかし全体から見るとほんの一握りで、木のない山々が広がっている。 本年度は、地滑り防止、水源涵養のための植林を行うとともに、住民の「森を蘇らせよ う」という動きを支援するため、森林の管理指導を行うこととした。 王実施状況 植林はラタン 3 万本、ナラ 4 万本、マホガニー2 万本、メリーナ 1 万本、チーク 2 万本、 オーク 5 千本、ゴスト 1 万本、バナバ 5 千本、カッシュナッツ 100 本、カカオ 200 本で合 計 14 万 300 本の植林を行った。育った木の枝打ち、間伐等によって得られた木は、薪、机 等に使われている。 石垣作りは、谷の横の斜面の土が流されていることから、「ハッピーの森」の民家に近い 場所で工事を行い、平成 21 年 12 月 7 日から平成 22 年 2 月 20 日までかかり、斜面の土を 削り、河原で石を集め、鉄筋も入れた強固なものが完成した。 スーパーかまど作りは平成 21 年 8 月、11 月、12 月と 3 回実施した。特に、3 回目のバリ リン小学校での実施は、朝食を食べて来ない子どもや弁当を持って来られない子どもが多 いため、校長から強い要望があったものであった。 植林地での環境学習は、平成 21 年 7 月 18 日にサンタフェナショナルハイスクール生、8 月 24 日にバヨンボン州立大学生、8 月 29 日にバクネン小学校生、10 月 3 日にシナパワン 小学校生、平成 22 年 1 月 23 日にバリリン小学校生、2 月 13 日にPNRC地区の児童・生 徒を招いて実施し、合計 137 名が参加した。 日本からは、平成 21 年 4 月から平成 22 年 3 月まで、植林・保全・育苗の専門家 1 名を 派遣し、苗作りや環境学習等事業の指導や調整を行った。また、平成 21 年 8 月 20 日から 8 月 26 日まで、植林・メンテナンスアドバイザー2 名を派遣し、植林作業やメンテナンス作 業のアドバイスを行った。 効果と現地の反響 住民のミリショウ・パルマ氏からは、「この地域の住民は、この取り組みによって仕事を 得ました。その収入によって、日々の生活に必要な物資を購入することが出来ました。ま た、子ども達が学校に通い、生活していける家も持つことが出来ました。生活に欠かすこ とのできない薪も森の大きな木の枝を使い炊飯をしています」。アマド・コセブ氏からは、 「このプロジェクトで植えた木は、ずいぶん大きくなり、私達の山は森となりました。この 木々の枝を、薪に利用できるようになり、植えられた木々は地域を潤しました。私達フィ リピン人は木々の大切さを自覚していなかったようです」と感謝の手紙が届いた。 127 フィリピン ひろしまルソン友好協会 所在地:広島県 事業名:デイケアスクールの運営及び小学3年生コースの新設のための校舎増築 配分額:5,353,000 円 あち 背景と目的 ルソン島北部のサンタフェ町バクネン・バランガイ地区にはバギオ大地震の被災者のた め、フィリピン政府や国際赤十字が仮設住宅を建設し提供した住民を含め、2,000 名が生活 しているが、森林伐採が主な原因による土砂災害、農産物の不作等が続き、人々の経済的 な自立は困難な状態である。住民が自立するためには、森の復元と次世代を担う子ども達 の教育が重要課題であることから、平成 16 年にはデイケアスクールを開設し、平成 20 年 5 月に新園舎が完成、6 月に小学校もスタートさせた。 現在、幼稚園の年少コース、年長コース、小学校の 1 年コース、2 年コースが学んでいる。 児童の成長には読書が大切であるにもかかわらず、一家に一冊の本も無いという家庭がほ とんどである。 今年度はこのデイケアスクールの運営を実施するとともに、小学校 3 年コースのための 校舎を増築し、図書室を設け蔵書を充実させることとした。 王実施状況 デイケアスクールの幼稚園年少コースは 6 名、年長コースは 6 名、小学校は 1 年生 10 名、 2 年生 5 名、3 年生 9 名の合計 36 名の子ども達が学んだ。 平成 22 年 1 月に実施されたヌエバビスカヤ県の学習コンテストには、1 年生、2 年生、3 年生の代表が各 2 名参加した。コンテストの内容はフィリピンの地図について、いろいろ な角度から学ぶものであったが、参加した 6 名の成績は上位となり、子ども達は自信をつ けた。 校舎の増築は、平成 21 年 4 月 6 日に着工し、6 月 6 日に建築総面積 128 ㎡、室数 2、収 容人員 30 名の校舎が完成した。職員室兼用の図書室ができ、図書を充実させた。教員は特 に英語からタガログ語へ、タガログ語から英語への辞書を中心に大変活用している。また、 平成 21 年 6 月 8 日から 10 月 3 日にかけて、校舎周辺の石垣工事を実施し、周辺を整備し た。 日本からは、スタッフを平成 21 年 4 月 1 日から平成 22 年 3 月 31 日まで 1 年間派遣し、 増築工事やデイケアスクールの運営を指導した。また、平成 21 年 8 月 20 日から 8 月 26 日 まで、教員 2 名を派遣しデイケアスクールで授業を行った。 効果と現地の反響 校舎の増築工事には、地域住民の 90%以上が携わり、学校長は朝の会などで、 「この学校 は多くの方々の真心の支援で作られたもので大切に使っていきましょう」と話した。 デイケアセンターの評議員会の委員長のロミオ・ブグトン氏からは、 「私達、評議委員会 のメンバーは何としてもこの学校を続けていきたいと懸命になっています。学校を運営し ていく資金をどうするのか何度も話し合い、魚の養殖、苗作り、養豚、アヒルの飼育、野 菜作りなどを行っています。また、私は委員長であると同時に、保護者です。息子は小学 校 1 年生です。修了式では読むことが上手であると表彰されました。嬉しかったです。私 は委員長として、保護者としてベストを尽くします」と感謝の手紙が届いた。 128 徳島ネパ−ル友好協会 ネパール 所在地:徳島県 事業名:農業労働軽減のための荷物運搬用索道の建設 配分額:7,667,000 円 あち 背景と目的 ネパールのアンナプルナエリアの最奥にあるブジュン村は、住民が生活する住居区域と 生活の糧を得る田畑の区域が標高差で 350m もあり、必要資材の運搬及び生産物の移動は全 て人による荷揚げ、荷下ろしに頼っており、それに要する労力は膨大なものとなっている。 ブジュン村では主要な働き手である成年男子の多くがインドやマレーシア、シンガポー ル、中近東へ 3 年から 5 年の長期にわたって出稼ぎに出ている。必然的に農業労働は女性、 老人、子ども等が担わざるを得ず、牛やヤギなど家畜の飼養頭数も減少している。また、 穀物等の収量は低く、低年齢者での労働に起因して発育不良の子どもが多い。 当団体では、必要資材、肥料とする家畜のふん尿、飼料用生草等の運搬を容易にし、荷 物運搬作業の軽労働化を図るため、田畑地域と住民居住地域の間を結ぶワイヤーロープに よる索道を建設することとした。 王実施状況 荷物運搬用索道の建設は、平成 21 年 4 月に着工し、日本及びインドで購入した資材も使 用し、主索 1,000m、中間支柱 1 基、起終点支柱 2 基が 12 月 3 日に完成し、現地村民は索道 を目の当たりにして感嘆した。雨期に入るのが遅れ田植え、稲刈等の作業が例年より相当 遅れ、このため建設作業が農作業と重なった。少ない日数の中現地オペレーターが何とか 運転できるまで訓練をしたが、索道を完成させることに精一杯でワイヤーのメンテナンス や機器の修理等の教育については不十分であった。 使用開始後、現地から、ウィンチが動かない、モーターが回転しない、中間支柱の傾斜 が大きくなった、運搬できる重量が低下したなどの問題点が発生したが、現地代理人と日 本側との協議結果による指示による作業と、日本からの専門家の派遣等により解決した。 日本からは、平成 21 年 4 月 2 名、10 月に専門家 3 名を派遣し、索道建設工事の測量等を 行った。また、平成 21 年 11 月 22 日から 12 月 6 日までの間、専門家 7 名を派遣し、索道 建設工事の指導にあたった。平成 22 年 2 月 10 日から 2 月 19 日までの間は、専門家を 1 名 派遣し、索道完成後に生じた問題点の解決にあたった。 効果と現地の反響 ネパールは急峻な山岳地帯であるにもかかわらず、これまで索道が殆ど利用されておら ず、村民も見たことがない施設であったため、当初の我々の説明にも反応が鈍かった。 建設が進むとともに、目の前に施設の全貌が明らかになるにつれて、関心が高まり、試 運転の段階では、老若男女数百人が施設の周辺におしかける状態となり、危険防止に苦慮 したほどであった。他の村からの見学者も訪れ、施設の見学をしている。 利用をはじめると、その威力は絶大であり、運搬物は予想を遙かに越え、川原から砂、 石等の建築資材を運ぶまでに及んでいる。 また、従来は資材運搬用の架設道路を建設し、これが山腹崩落の原因となっていたこと から、近年ネパールで進んでいる電源開発の工事用資材の運搬に索道を利用したいとの希 望も寄せられており、農業用にとどまらない利用展開が期待される。 129 特定非営利活動法人 東洋歯学友好会 ベトナム 所在地:愛媛県 事業名:貧困地域住民のための歯科医療設備の整備、巡回歯科診療の実施及び技術 指導 配分額:16,930,000 円 あち 背景と目的 ホーチミン市内外の対象 7 地区は大きく 2 分類される。地区病院(公立)と民間歯科医院 が混在している市街地で住民間の経済格差が著しい 3 地区と、住民のほとんどが貧困層で 民間歯科医院がほとんどない絶対的貧困地域 4 地区である。前者では、前年度に比べ当団 体からの寄贈事業でレントゲン装置も拡充されてきている。後者では、地域の絶対的貧困 のため、歯科治療といえば抜歯がほとんどで、保存治療は満足にされていない状況である。 一方多くの地区において最近になって、我々の巡回無料診療に啓発されたためか、学校や 障がい者施設に積極的に出向いて問題を解決しようとする意欲がみられることから、固定 式のもののほか携帯式の歯科治療機器等が必要となっている。 このため、これら 7 地区におけるすべての地区病院施設に対し、歯科医療基盤の整備を 図るとともに、巡回歯科診療及び口腔内資源の効率的活用を図る技術移転を行うこととし た。 王実施状況 市内、省部合計 21 か所の総合病院、医療センター、診療所等の貧困患者支援医療歯科施 設に対し実情に合わせ、不足する固定式歯科診療台、固定式レントゲン装置、携帯式歯科 器械、小物器械及びレントゲンフィルム等の器材薬品の供給を行った。 歯科巡回診療は、日本人歯科医師、歯科技工士、薬剤師および医師が年に 3 回、7 地区を 巡回し、各回原則 1 日で現地歯科医師、スタッフに省資源的歯科医療システム(歯を保存す るところからはじめる治療)と技術を実際の診療を通じて指導した。治療患者数は、第 1 回: 58 名、第 2 回:55 名、第 3 回:59 名の計 172 名であった。巡回診療では薬剤師および医師 は直接診療に関わらず服薬指導、診療補助などの後方支援や一般健康相談にあたった。 今年度は歯科事業に加え日本人医師による地区病院救急科における診療を実施し、治療 患者数は、第 1 回:1,953 名、第 2 回:2,122 名、第 3 回:480 名の計 4,555 名であった。 派遣者の内訳としては平成 21 年 7 月 18 日から 7 月 25 日までの間が専門家 4 名、10 月 31 日から 11 月 8 日までの間が専門家 5 名および平成 22 年 3 月 20 日から 3 月 27 日までの 間が専門家 4 名であり歯科巡回診療にあたった。医科では、平成 21 年 7 月 28 日から 10 月 24 日までの間が専門家 1 名、11 月 10 日から平成 22 年 2 月 12 日までの間が専門家 1 名お よび平成 23 年 2 月 24 日から 3 月 19 日までの間が専門家 1 名であり救急科で診療、技術指 導を行った。 効果と現地の反響 現地関係者からは、「事業実施に対して非常に感謝している」、「まだまだ地域は貧困のた め独り立ちできないので援助を継続して欲しい」、「物資面での援助のみならずスタッフ教 育をしてほしい」、「貧困地域は他にもあり援助地域を広げてほしい」という意見が寄せら れた。 130 財団法人 北九州国際技術協力協会 インドネシア 所在地:福岡県 事業名:住民に対する衛生環境向上のための廃棄物収集システムの構築 配分額:2,415,000 円 あち 背景と目的 当団体では、インドネシアのスマラン市において、昨年度より生ごみ堆肥化と資源ごみ の分別を通じたごみ収集システムの構築のための事業を実施しているが、人口 7,000 人の ツグレジョ地区は、市の郊外にあるため、市の廃棄物収集がなされていない町内会が多く、 ごみ投棄により住環境が悪化している。 住民に等しくごみ収集サービスが提供され、衛生的な住環境が確保されることが望まれ るが、市の処理システムの大幅な変更は難しい。このため、当団体では、モデル町内会を 選定し、住民主体の生ごみの堆肥化、資源ごみの分別によるごみ減量化を進める廃棄物収 集システムを構築することとした。 王実施状況 平成 21 年 7 月、ツグレジョ地区 RW1 及び RW5 をモデル地区に選定し、区長、住民組織、 モデル地区住民を中心に廃棄物管理組織を結成し、中心となるファシリテーター及びファ シリテーターの補助をする環境指導者を選任し、廃棄物管理活動のサポート体制を作った。 平成 21 年 8 月には、廃棄物管理活動のリーダーを担うファシリテーター3 名に対しての 研修会及びファシリテーターを補助する環境指導者 33 名に対しての研修会を実施した。 ファシリテーターが中心となり環境指導者がサポートしながら、住民主体の生ごみの堆 肥化および資源ごみの分別活動によるごみの減量化に取り組み、ごみ収集の仕組みを作っ た。また、住民に対するごみ管理のモニタリング及び指導を、現地協力団体(ビンタリ財 団)と協力し実施した。 11 月にはムクティハルジョ・キドゥル地区 RW4 をモデル地区に選定し、ツグレジョ地区 と同様に廃棄物管理組織を組織し、ファシリテーター2 名、環境指導者 24 名に対し研修会 を実施した。また、9 月にツグレジョ地区に、2 月にムクティハルジョ・キドゥル地区に資 源ごみ分別収集保管小屋を建設したほか、堆肥化容器をそれぞれ 60 個配布した。 日本からは、平成 21 年 6 月 28 日から 7 月 4 日までの間、11 月 16 日から 11 月 22 日まで の間、平成 22 年 2 月 15 日から 2 月 21 日までの間に専門家 2 名を派遣し、モデル地区の選 定、事業進捗状況の確認等を行った。 効果と現地の反響 ごみの分別の習慣がなく、これまで川や空き地に捨ててきた住民の中には、分別に手間 がかかるので面倒だとか、今までどおりで問題ないだろうと思っている者も多かった。フ ァシリテーターの話によると、活動を継続するうちに、少しずつ住民の環境改善の意識に 向上が見られ、地区がきれいになるだけではなく、ごみを分別することで資源ごみがお金 に変わることを知り、積極的に活動に参加するようになったとのことである。 生ごみの堆肥化は、容器の配布数に限りがあり、モデル地区全体に行きわたっていない ため、2∼3 世帯で 1 個を使用するなど工夫して減量化を図っている。使用者からは、 「簡単 で楽しい」、 「臭いも無く処理できてよい」という一方、「面倒くさい」と言って熱心に取組 まない住民もいるので、ファシリテーター等の指導の下、継続していくことが重要である。 131 特定非営利活動法人 地球市民の会 ミャンマー 所在地:佐賀県 事業名:地域住民に対する循環型農業研修と普及及び情報発信拠点のためのコミュ ニティセンターの設置 配分額:10,309,000 円 あち 背景と目的 ミャンマーの南シャン州ポオー地域の周辺に住む人々は農業で生計を立てているが、長 年の化学肥料多投により収量が低下し、しかも急激な物価高騰により生活経済は逼迫して いる。平成 16 年からタンボジ村を拠点の一つに、持続的な循環型農業の普及活動として研 修、指導、作物研究等を行ってきた。徐々に化学肥料の弊害や循環型農業の基本理念につ いて理解が得られ、関心が高まって来ている。しかし、全ての村で頻繁に研修を実施する ことは不可能であり、研修があっても日程が合わず参加できない者もいる。また、作物に 関する十分な情報、農業資材・物資の安価な取得などが求められている。 このため、ポオー地域各村での循環型農業研修及びモデルファームを継続実施するとと もに、タンボジ村にコミュニティセンターを開設し、ポオー地域における循環型農業普及 促進及び情報発信の拠点とすることとした。 王実施状況 平成 21 年 4 月から平成 22 年 3 月までに農民や学生を対象とした循環型農業の指導・研 修を 15 回実施し、延べ 461 名が参加して、循環型農業、自然畜産の基礎知識、土着菌堆肥 の作り方などを学んだ。セレーモデル農園では、土着菌堆肥作成、ボカシ肥作成等を継続 実施し、ヤーコン・ヒマワリ・キャベツ・トウガラシ・トウモロコシ・ねぎ・豆・サツマ イモ・タマネギ・インドマメ等の作付けを行った。 タンボジコミュニティセンターの建設は、平成 21 年 5 月政府から建設の許可がおり、5 月 16 日に着工し、精米所、アンテナショップ、セミナーホールを備えた広さ約 550 ㎡の建 物が 9 月 15 日に完成した。基礎工事をエンジニア指導のもと、住民約 150 名が参加した地 域住民参加型で行い、基礎工事以降を業者委託型で実施した。 日本からは、平成 21 年 10 月 15 日から 10 月 20 日まで及び平成 21 年 12 月 14 日から 12 月 21 日までの間、それぞれ専門家及びスタッフ各 1 名を派遣し、事業のモニタリングやモ デル農園の指導等を行った。 効果と現地の反響 研修参加者からは、「今までは高くても化学肥料を使うしかないと思っていたが、研修で 他の方法があることを知り、大変勉強になった」、「これからの世代のために、自然の肥料 を使う必要がある。」 、「今回の研修で学んだことを他の村の人にも教えてあげたい」、「農業 と環境保全は深いつながりがあることが分かった」、「化学肥料が土に悪いということを知 らなかった」などの感想が寄せられた。 コミュニティセンターについては住民より、「他の精米所より安く精米できるので、家計 が助かる」、「センターから必要な資材を安価に購入できると聞いて、循環型農業を実践し たい気持ちが更に高まった」、「いつでも農業技術について質問することができる」、「たく さん研修を開催して欲しい」などの喜びの声や感想が寄せられた。 132 特定非営利活動法人 DANKA DANKA セネガル 所在地:鹿児島県 事業名:貧困所帯住民の自立促進効果のための多目的共同作業場の増設、設備充実、 職業訓練及び識字教育の指導 配分額:5,252,000 円 あち 背景と目的 当団体では、平成 15 年にディエス州クルイサ村に、簡易共同作業場を建設し、慢性的な 貧困状態にある女性達や仕事のない若者たちを対象に染色・木工の職業訓練を実施した。 作業場は村人たちによく利用されているが、建物が小さいうえに電気・水道設備が整備さ れておらず、住民の様々な職業訓練の要望等に応じることはできないでいる。 女性の現金収入向上を目指した果樹農園では、マンゴーやオレンジの木が順調に育ち、 接木や剪定が必要な時期に入った。また樹間を利用した野菜栽培も可能になったが、現地 スタッフは果樹・野菜栽培の知識が足りなく適切な処置が施せないでいる。 また、雨期にはマラリアが蔓延し、乳幼児をもつ母親や体力の衰えた高齢者が、蚊帳を 必要としているが、輸入品で高額な上に需要が多く、入手困難な状況となっている。 このため、多目的共同作業場を増設し、設備の充実を行って職業訓練を行うとともに、 作業場を利用して現地スタッフや近隣村住民を対象とした識字教育を行うほか、蚊帳の配 布、果樹栽培の指導等を行い、地域住民の生活改善を目指すこととした。 王実施状況 多目的共同作業場増築工事は平成 21 年 5 月 1 日着工し、宿直室・縫製室・調理兼染色室・ 事務室の 4 室を備えた 96 ㎡の建物と井戸が平成 22 年 3 月 30 日に完成した。 縫製訓練では、週 5 日、7 名を対象に、型紙製作、蚊帳や洋服等の製作指導を行った。マ ラリア対策普及活動及び蚊帳の普及は、周知のための路上劇を広報ツールとして、自転車、 ロバ等を利用して村々を巡回し、蚊帳を安価で配布した。果樹・野菜研修は、8 日間、周辺 村の 9 名を対象に、マンゴー接ぎ木・剪定・野菜栽培等を指導した。識字教育は、週 3 日、 午後 9 時から 1 時間、6 名を対象に小学校低学年用の教科書を教材にして行った。 日本からは、4 回計 117 日間、専門家 1 名を派遣して各プロジェクトの進捗管理、作業場 建設の監督等を行ったほか、熱帯果樹指導員を派遣し、マンゴー栽培の指導等を行った。 効果と現地の反響 共同作業場は部屋が増設され、継続作業や訓練が可能になった。また、電気により夜間 の活動も可能になり利便性が増し、井戸により水が確保でき衛生的な環境となった。近隣 からも水を汲みに来ており、遠くの井戸から水を運ぶ労働が軽減され喜ばれている。 縫製室では常時作業が行われ、村人が服の注文に訪れている。評判も良く、現金収入向 上に繋がった。識字教育は夜間に行い、昼間働いている村人やスタッフの識字能力はゆっ くりだが着実に向上している。果樹栽培指導では、接木と剪定の初歩的な技術が習得出来 た。剪定により 3 年後に収量が増加すると、効果への期待を寄せている。蚊帳の販売は事 業期間中、政府から無料配布があり困難になったが、近隣の村々への配布により、若者が 関心を持つことでネットワークが広がり、当事業が周知されるという相乗効果があった。 133 国・地域別索引 アジア 特定非営利活動法人 エル・エンジェル国際ボランティア協会 兵 庫 特定非営利活動法人 アジア眼科医療協力会 岩 手 岩手県インドネシア友好協会 東 京 社会福祉法人 国際視覚障害者援護協会 44 東 京 特定非営利活動法人 地球の友と歩む会 56 富 山 インドネシア教育振興会 84 愛 知 特定非営利活動法人 日本口唇口蓋裂協会 95 福 岡 財団法人 北九州国際技術協力協会 インドネシア カンボジア 17 神奈川 インド 117 5 131 3 北海道 特定非営利活動法人 どさんこ海外保健協力会 千 葉 特定非営利活動法人 ASACカンボジアに学校を贈る会 16 東 京 特定非営利活動法人 アジア・レインボー 29 東 京 特定非営利活動法人 幼い難民を考える会 34・35 東 京 特定非営利活動法人 環境修復保全機構 36 東 京 特定非営利活動法人 43 東 京 特定非営利活動法人 シェア=国際保健協力市民の会 48 東 京 特定非営利活動法人 日本カンボジア友好協会 60 東 京 社会福祉法人 日本国際社会事業団 61 東 京 特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター 62 東 京 特定非営利活動法人 JHP・学校をつくる会 愛 知 特定非営利活動法人 オアシス 岡 山 特定非営利活動法人 ハート・オブ・ゴールド 宮 城 宮城国際支援の会 茨 城 財団法人 日本国際親善厚生財団 11 埼 玉 特定非営利活動法人 NPOアジアマインド 14 神奈川 特定非営利活動法人 19 東 京 特定非営利活動法人 環境修復保全機構 東 京 社団法人 シャンティ国際ボランティア会 51 東 京 日・タイ親善交流グループ 59 東 京 特定非営利活動法人 ヒューマンライツ・ナウ 75 大 阪 アイユーゴー―途上国の人と共に― 102 大 阪 アジア保育教育交流推進実行委員会 106・107 茨 城 特定非営利活動法人 黄土高原環境・緑化計画 10 埼 玉 特定非営利活動法人 東方科学技術協力会 13 国際子ども権利センター 79・80 87 126 6 神奈川歯科大学南東アジア支援団 タイ 37・38 中 国 中 国 ネパール バングラデシュ 神奈川 中国内蒙古沙丘・草原緑化研究会 22 東 京 社団法人 銀鈴会 39 大 阪 関西日中交流懇談会 大 阪 特定非営利活動法人 緑の地球ネットワ−ク 113 大 阪 特定非営利活動法人 モンゴルパートナーシップ研究所 114 宮 城 宮城国際支援の会 108・109 7 国際援助団体 アイウエオサークル 特定非営利活動法人 神奈川 特定非営利活動法人 ラブ 東 京 特定非営利活動法人 ヒマラヤ保全協会 大 阪 社団法人 アジア協会アジア友の会 105 大 阪 特定非営利活動法人 国際交流の会とよなか(TIFA) 111 大 阪 ネパールの星 112 大 阪 ラルパテの会 116 兵 庫 アジア友好ネットワーク 岡 山 特定非営利活動法人 AMDA社会開発機構 124 徳 島 徳島ネパ−ル友好協会 129 山 形 特定非営利活動法人 アロアシャ・プロジェクト 東 京 特定非営利活動法人 シャプラニール=市民による海外協力の会 50 東 京 日本・バングラデシュ文化交流会 66 大 阪 関西バングラデシュ友好協会 110 兵 庫 特定非営利活動法人 国際エンゼル協会 121 グリーン ジャパン 神奈川歯科大学南東アジア支援団 25 73 118・119 8 18 神奈川 特定非営利活動法人 神奈川 特定非営利活動法人 草の根援助運動 20 神奈川 特定非営利活動法人 ビラーンの医療と自立を支える会 23 東 京 特定非営利活動法人 国際開発フロンティア機構 42 東 京 特定非営利活動法人 日本フィリピンボランティア協会 67 愛 知 特定非営利活動法人 アジア日本相互交流センター(ICAN) 兵 庫 特定非営利活動法人 地球ボランティア協会 広 島 ひろしまルソン友好協会 青 森 特定非営利活動法人 プロ・ワークス十和田 千 葉 ベトナムの「子どもの家」を支える会 15 東 京 財団法人 日本消防設備安全センター 65 愛 知 特定非営利活動法人 日本医学歯学情報機構 93 大 阪 アイユーゴー―途上国の人と共に― 103 愛 媛 特定非営利活動法人 東洋歯学友好会 130 福 島 福島県障害児・者の動作学習研究会 フィリピン ベトナム マレーシア 21 神奈川 85・86 122 127・128 4 9 マレーシア 東 京 特定非営利活動法人 アジア地域福祉と交流の会 32 東 京 特定非営利活動法人 難民を助ける会 58 愛 知 特定非営利活動法人 日本口唇口蓋裂協会 96 岡 山 特定非営利活動法人 AMDA社会開発機構 125 佐 賀 特定非営利活動法人 地球市民の会 132 東 京 社団法人 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン 55 愛 知 特定非営利活動法人 日本医学歯学情報機構 94 大 阪 特定非営利活動法人 モンゴルパートナーシップ研究所 東 京 特定非営利活動法人 アジア教育友好協会 31 東 京 特定非営利活動法人 アジアの障害者活動を支援する会 33 東 京 特定非営利活動法人 40 東 京 社団法人 シャンティ国際ボランティア会 52 東 京 特定非営利活動法人 ラオスのこども 76 愛 知 特定非営利活動法人 日本口唇口蓋裂協会 97 京 都 特定非営利活動法人 リボーン・京都 ミャンマー モンゴル ラオス グリーンフォーラム 101 1・2 北海道 特定非営利活動法人 アプカス 東 京 特定非営利活動法人 アジア教育・文化・自然環境保護日本支援センター 30 東 京 社会福祉法人 至愛協会 47 東 京 特定非営利活動法人 ジェン(JEN) 49 東 京 スランガニ基金 東 京 特定非営利活動法人 パルシック 東 京 特定非営利活動法人 AMURT 愛 知 オヴァ・ママの会 愛 知 自立のための道具の会・TFSR 愛 知 スリヤールワ 東 京 特定非営利活動法人 パルシック 53・54 スリランカ 東ティモール 115 69 Japan 78 88 Japan 89 90 スリランカ 70 中近東 東 京 特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター 64 東 京 NGO地に平和 83 東 京 特定非営利活動法人 パレスチナ子どものキャンペーン 71 パレスチナ レバノン アフリカ 日本紛争予防センター スーダン 68 東 京 特定非営利活動法人 奈 良 特定非営利活動法人 アフリカ児童教育基金の会 東 京 特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター 63 東 京 特定非営利活動法人 難民を助ける会 57 東 京 特定非営利活動法人 AMURT 77 ケニア Japan 123 セネガル 特定非営利活動法人 DANKA 中央アフリカ 東 京 特定非営利活動法人 NGOアフリカ友の会 81・82 チュニジア 愛 知 特定非営利活動法人 日本医学歯学情報機構 92 神奈川 ムリンディ/ジャパン・ワンラブ・プロジェクト 24 ベナン 東 京 特定非営利活動法人 ハンガー・フリー・ワールド 72 マダガスカル 大 阪 アイユーゴー―途上国の人と共に― 南アフリカ 埼 玉 アジア・アフリカと共に歩む会 12 モーリタニア 東 京 特定非営利活動法人 国際アマチュア無線ボランティアズ 41 ブルンジ DANKA 133 鹿児島 104 中南米 山 梨 ハイチ友の会 28 愛 知 ハイチの会 98 ハイチ ブラジル 神奈川 CRI−チルドレンズ・リソース・インターナショナル 東 京 ひまわりの会 兵 庫 特定非営利活動法人 ギブ 三 重 DIFAR 74 ペルー ボリビア 26・27 120 99・100 欧州・NIS ウクライナ 愛 知 特定非営利活動法人 チェルノブイリ救援・中部 91 クロアチア 東 京 特定非営利活動法人 子供地球基金 46 コソボ 東 京 特定非営利活動法人 国際市民ネットワ−ク 45
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