身近な生き物マップ

平成 19 年度版
身近な生き物マップ
∼ 生物モニタリング調査【魚類・両生類編】 ∼
タイリクバラタナゴ
ドジョウ
ヨシノボリ類
アマガエル
トウキョウダルマガエル
ウシガエル
印 西 市
せいぶつ
ちょうさ
生物モニタリング調査とは
印西市では、平成 15 年度から「生物モニタリング調査」を実施し、今回で5年目となります。
この調査では、「昆虫類」、「魚類と両生類」、「鳥類」について、毎年項目を変えて調査をおこなっ
ており、本年度は 2 回目の「魚類と両生類」調査となります。
「生物モニタリング調査」とは、市民のみなさんが身のまわりの生き物を調べることによって、
地域の自然の変化を知ろうというものです。この調査を通じて、身のまわりの生き物への関心を高
め、環境について考え、行動することを期待しています。
がくじゅつてき
※この調査は学 術 的 な目的でおこなったものではありません。
ちょうさ
「樹林地、水田、河川等」の分布
および「調査地域」
がいよう
調査の概要
平成 19年度の「生物モニタリング調査」は、魚類
と両生類の分布状況を調べることにより、印西市の
環境を把握することを目的としました。
調査の対象は、魚類と両生類の中でも、みな
さんがよく知っていて、環境との結びつきが
比較的わかりやすい 6 種類を選びました。
調査に先立ち、参加を申し込んでくださっ
た方には、
「調査のてびき」と「調査票」を配
布し、説明会をおこないました。
その後、参加者の方には印西市全域を 500
×500m で区分した 210 メッシュのうち調べ
てみたい場所を調査していただきました。
調査は、105 名のご協力をいただきました。
これらの調査結果を集計して、この『身近な生き物
マップ』が完成しました。
地図出典:印西市全図
(印西市役所)
さ ん か
参加してくれて
ありがとう!
平成 19 年度
7/22
調査の
申し込み
説明会
まずは参加!
調査の方法・
楽しみ方の伝授!
7/21∼8/31
現地調査
身近な生き物を
楽しみながら調査!
1
調査票の返送
結果のまとめ
みなさんの
汗と涙の結晶!
身近な
生き物マップ
完成!
ちょうさ
い
もの
調査した生き物
今回は水辺に生息する魚類と両生類を調査しました。調査の対象としたのは下の表に示した 6 種
で、それぞれの主な生息環境を目安として、市内の自然環境の分布状況を調査しました。
表1
調査した生き物
魚 類
※
すみかなど
目安とした環境
両生類
タイリクバラタナゴ
池や川のよどんだところ。
河川などの水辺
ドジョウ
川の中流から下流、用水路、水田など。
泥にもぐって生活している。
水田
ヨシノボリ類
池や沼、川や水路の流れのゆるいところ。
河川などの水辺
アマガエル
水田、湿地、草地、庭、公園の植え込みなど。
緑(草地など)
トウキョウダルマガエル
水田、湿地、浅い池など。
あまり水辺から離れないところで過ごす。
良好な水田
ウシガエル※
池や沼、流れのゆるい川など。
草の多い水辺
さかな
※は外来種を示す。
◎カエルのすみか
◎ 魚 のすみか
み ず べ
くさ
ちか
おお
水辺の草の近くにいることが多いよ。
ンゲゲゲ、
ンゲゲゲ
こえ
カエルは声 を
たよ
さが
頼 りに探 すの
いちばん
が一番!
クワッツ、
クワッツ・・・
かい
外 来 種 とは、日本にはもともといなかったものが、外国
う
産もうっと。
からやってきて住みついた種のことをいいます。
ペットとして持ち込まれたものが逃げたり、捨てられた
りするなど、人間の手によって持ち込まれたものがほとん
どです。
ざいらいしゅ
それは、外来種によってもともと日本にいた種(在 来 種 )
こゆうしゅ
や日本にしかいない種(固有種)の住みかがうばわれてし
ざっしゅ
ぜ つめ つ
まうことなどが起こります。
しゅ
こうざつ
まうことや、交 雑 によって日本固有の種が雑 種 になってし
え?
それわたしの・・・。
こう ざ つ
ょうか。
交 雑 による種 の絶 滅
では外来種が住みつくとどのようなことが起こるのでし
げんしょう
生 息 環 境 の減 少
たまご
これに 卵 を
がいらいしゅ
せいそ くかんきょう
※外来種(がいらいしゅ)
お!いい 貝
じゃん。
あれ?
ざっしゅ
雑種になっちゃった。
ちょうさ け っ か
調査結果のまとめ
みなさんに調査していただいた結果は、調査対象種別にまとめました。各メッシュの調査回数と確
認回数を集計して発見率※を求めました。発見率は 5 段階に色分けしています。色の濃い所が発見率
の高い場所となっています。みなさんの調査した場所はどうでしたか?
多くの方の参加により、市内の水辺に生息する生き物がどのように分布しているかが分かりはじめ
ました。それぞれの種の分布状況について次のページ以降にまとめました。
※発見率(%)=確認できた回数÷調査した回数×100
2
さんらんき
ぜんちょう
産卵期:3 月∼9 月
タイリクバラタナゴ
全 長 :6cm∼8cm くらい
食べ物:植物プランクトンや石についたコケなど
調査した 63 メッシュのうち 14 メッシ
ュで確認されました。確認メッシュは少な
かったが、下手賀沼のほか戸神川、浦部川
周辺などで発見率が高い結果となりまし
た。
タイリクバラタナゴは、ある程度水深の
ある場所に生息しているために捕獲が難
しかったことも考えられますが、産卵する
二枚貝が生息できるような川底が砂地の
環境が減ってきていることも考えられま
す。平成 16 年に実施した調査では師戸川
でも確認されていましたが、今回は見られ
ませんでした。
なかま
にまいがい
たまご
う
タナゴの仲間は二枚貝に 卵 を産むよ。
かい
るい
いどう
貝 のこどもはヨシノボリ類のヒレにくっついて移動するんだ。
じゅみょう
おお
ねん
寿 命 は多くが 2年くらいだよ。
ちゅうごく
わたしたち、中国か
らやってきたのよ。
さんらんき
産卵期 に ブ ツ ブ ツ
あらわ
が 現 れる。
お
(オス)
ぼし
(メス)
(追い星)
さんらんき
産卵期は
さんらんかん
産卵管
いろ
さんらんき
オスはきれいな色
はら
をしているよ。
ヤリタナゴ
あらわ
(産卵期に 現 れる。)
まえがわ
しろ
かい
せん
たまご
う
くだ
貝 の中に 卵 を産む管 。
フンやゴミじゃないよ。
腹ビレの前側に白い線がある。
ぜんちょう
全 長 :8cm くらい
ち ば け ん
かくにん
千葉県で確認されたタナゴのなかま
・タナゴ
・ヤリタナゴ
たいこう
体高
・アカヒレタビラ
・ミヤコタナゴ
・タイリクバラタナゴ
ぜんちょう
・ゼニタナゴ
全長
たいこう
さんこう
ぜんちょう
タイリクバラタナゴ
>
ち ば け ん どうぶつし
ち ば け ん せいぶつ がっかい
参考:千葉県動物誌 (千葉県生物学会,1999)
体高/全長 の大きさ
ヤリタナゴ
3
さんらんき
産卵期:4 月下旬∼6 月下旬
ドジョウ
ぜんちょう
全 長 :11cm∼12cm
食べ物:小さいエビ類やイトミミズ、植物の根や茎
調査した 63 メッシュのうち 22 メッ
シュで確認されました。浦部川、亀成川
周辺の発見率が高くなっています。
平成 16 年は、市内の広い範囲で確認
されましたが、今回は確認メッシュ数が
減少し、特に市南部で目立ちました。
ドジョウは水田や水路などに多く生息
しており、印西市の環境を考えると、ま
だ多くの場所に生息している可能性が考
えられます。
くち
ほん
ふゆ
口ひげは 10本あるよ。
さんらんき
るい
ヨシノボリ類
どろ
なか
とうみん
冬は泥の中で冬眠するよ。
産卵期:5 月∼7 月
ぜんちょう
全 長 :7cm くらい
ようちゅう
すいせい
食べ物:カゲロウやトビケラ、ユスリカの幼 虫 などの水生
こんちゅう
昆虫
調査した 63 メッシュのうち 19 メッシュ
で確認されました。市の北部と南部で比較的
多く発見されました。
ヨシノボリ類は、生まれるとすぐに海また
は湖に下り、成長すると再び川や池に戻って
きて生活する魚です(市内に多いトウヨシノ
ボリは湖沼陸封のものもいる)。
平成 16 年と比べて確認メッシュはやや
減少しました。
むね
きゅうばんじょう
胸のところに吸盤状のヒレがあるよ。
※ヨシノボリ類は千葉県内に 5 種生息し、千葉県北部では主にトウヨシノボリが生息していますが、本調査では区別していません。
4
はんしょくき
たいちょう
繁殖期:4 月∼7 月
アマガエル
体 長 :2∼3cm
食べ物:クモ類やハエなど
調査した 63 メッシュのうち 33 メッシ
ュで確認されました。平成 16 年同様、市
内の広い範囲で確認されました。
ようせい
アマガエルは幼生(オタマジャクシ)の
時期に水田や水路、またはもっと小さな水
せいたい
たまりにも生息しています。成体(親)に
なると水辺から離れて草地などで生活す
るものもいます。このように多様な環境に
生活するため、市内に広く分布していると
考えられます。
かんきょう
あ
からだ
いろ
環境に合わせて 体 の色をかえるよ!
はんしょくき
トウキョウダルマガエル
繁殖期:4 月∼7 月
たいちょう
体 長 :4∼7cm くらい
食べ物:ハエ類や幼虫、クモ類、貝類、小型のカエルなど
調査した 63 メッシュのうち 27 メッシ
ュで確認されました。主に河川沿いで確認
され、浦部川、師戸川周辺で発見率が高く
なっていますが、平成 16 年に確認の多か
った亀成川では発見率は減少しています。
トウキョウダルマガエルは、一般にアマ
ガエルやウシガエルよりも自然の残され
た環境で見られます。このことから、発見
率が高かった河川周辺は、比較的良好な自
然が残っていると考えられます。
5
はんしょくき
ウシガエル
繁殖期:5 月∼9 月上旬
たいちょう
体 長 :12∼18cm くらい
食べ物:昆虫、カタツムリや小魚、ネズミなどなんでも
食べる。アメリカザリガニが好物
調査した 63 メッシュのうち 22 メッシ
ュで確認されました。両生類の前 2 種より
も、確認場所が少ない結果となりました。
ウシガエルは、流れが緩やかでヨシなどが
密生する河川や池を好むために分布が限
られたと考えられます。
平成 16 年と比較すると、浦部川や亀成
川での分布を広げていました。外来種であ
るウシガエルが増えすぎると、もともと日
本にいた他のカエル類や小型の生物の数
が減少することも考えられ、注意が必要で
す。
おいらは、アメリカ
しゅっしん
出身だよ。
た
はっけん
その他の発見
みなさんが生物モニタリング調査で発見した生き物は、魚類・両生類以外にも鳥類(アオサギ、
カワセミなど)、爬虫類(ニホントカゲ、アオダイショウなど)
、昆虫類(ゲンゴロウ、タイコウチ)
がありました。魚類・両生類を含む水辺の生物は表 2 に示したように、調査対象種以外に 60 種の
記録が寄せられました。
確認された種の中には、シュレーゲルアオガエルやメダカ、ヤリタナゴなど、最近では生息数の
少なくなった生き物が確認されました。また、ブラックバス、ブルーギルなどの外来種も生息して
いました。
表 2 その他の発見(魚類・両生類、水辺の生物)
分類群
種 名
分類群
種 名
分類群
種 名
魚 類 カゼトゲ
魚 類 ヘラブナ
甲殻類 アメリカザリガニ
クチボソ
ブルーギル
エビ
グッピー
メダカ
カニ
コイ
モツゴ
カワエビ
シマドジョウ
トウヨシノボリ
ザリガニ
タナゴ
ヤリタナゴ
サワガニ
ドジョウ
稚魚
スジエビ
ナマズ
両生類 アカガエル
テナガエビ
ニゴイ
オタマジャクシ
ニマイガイ類 シジミ
ヌマチチブ
カエル
ドブガイ
ハゼ
シュレーゲルアオガエル
マキガイ類 カワニナ
ヒメダカ
ダルマガエル
タニシ
フナ
トノサマガエル
ジャンボタニシ
ブラックバス
ニホンアカガエル
ヒル 類 ヒル
※記録の中には地方での呼び名や総称(ハゼ、カエルなど)、誤字や分布上疑問のある種などが含まれて
いますが、記録用紙に書かれていたままの表記としました。
6
さんかしゃ
こえ
参加者の声
身近に生き物を
見ることが出来
た 。家族と一緒
に楽しむことが
出来た。
みんなと協力でき
てよかった。
今年の夏は、蒸し
暑くて厳しい天
候条件でした。
まさか、しかけでエ
ビがかかると思わ
なかったが、かかっ
た!
自然に触れ合え、
新たな発見などが
出来た。
子供に自然を感
じてもらう良い
機会になると思
い、参加しまし
た。
ドロドロになる所
が楽しかった。
魚が入らなかっ
たのがくやしか
った。もっと入る
までやりたかっ
た。
タナゴがなかなか
家族で仕掛けに
魚が入ったか確
認するときが楽
しかった!
ウシガエルを見つ
けたかったです。
いなかった。
みんな
はっけん
い ろ い ろ な 発見
をしてくれたよ!
今度は、生き物調査
隊のグループで行
きたいです!
ちょうさ
調査のまとめ
調査の対象とした 6 種は市内の広い範囲でみられました。ドジョウやトウキョウダルマガエルの
分布から、印西市には比較的自然度の高い水田環境が多く残されていることが分かりました。
今回の調査と平成 16 年の調査結果を比較すると、全ての種で調査したメッシュの数が少なくな
っていました。確認メッシュ数の減少が市内の環境の悪化によるものとは一概にはいえませんが、
水辺に生息している生き物は、すみかを移動することが難しいため、現在は広く分布している種で
あっても、急激な環境の変化により、いなくなってしまう可能性があるのです。「生物モニタリン
グ調査」を通じて、環境と生き物の結びつきを理解し、自然の豊かさや都市化の状況などの変化を
敏感に感じとりましょう。そして、魚採りができる川やカエルの声が聞こえる水辺といった自然環
境をこれからも守っていきましょう。
(前回までの結果は、市のホームページでみることができます。http://www.city.inzai.chiba.jp)
らいねんど
し
来年度のお知らせ
「平成 19年度 生物モニタリング調査【魚類・両生類】」に参加・協
力いただきまして、ありがとうございました。
来年度の「生物モニタリング調査」は「
【鳥類】」を調査する予定ですの
で、みなさんぜひ参加してください。
問合せ先
印西市役所
市民経済部
カワセミ
生活環境課
環境保全班
〒270-1396 千葉県印西市大森 2364−2
TEL(0476)42−5111(代表) 内線 368
FAX(0476)42−5339