電子書籍市場の最新動向

NO 2649
電子書籍市場の
電子書籍市場 の 最新動向
目
次
1.電子書籍市場の概況
(1)電子書籍とは
(2)市場動向
2.市場規模
(1)デジタルコンテンツとしての電子書籍
市場
(2)拡大する携帯向け電子コミック市場
3.業界の動向
(1)携帯電話向け電子書籍サイト
(2)携帯電話向け電子コミックサイト
(3)パソコン向け電子書籍サイト
(作成:2008年12月)
資料提供:(株)東京商工リサーチ
資料作成:
同
-1-
本社営業本部・BSS
本社・市場調査部
~電子書籍市場の
電子書籍市場の最新動向~
最新動向~
1 . 電子書籍市場の
電子書籍市場 の 概況
(1)電子書籍とは
電子書籍とは、書籍の内容をデジタルデータ化し、パソコンやPDAなどの携帯情報端
末、携帯電話、電子書籍端末などで読める形にしたものである。
1986年に設立された日本電子出版協会(JEPA)による電子出版の定義は、「文
字・画像情報をデジタルデータに編集加工して、CD-ROMなどの電子メディアやネット
ワークにより配布する出版活動」となっているが、特にネットワーク上でダウンロード販
売される小説やエッセイなどの読み物、コミック(マンガ)、写真集などの書籍系デジタル
コンテンツが「電子書籍」「eブック」などと呼ばれている。従来は既存の書籍を電子書
籍化したものが多かったが、近年は新作として電子書籍の形で発売されるケースも増加し
ている。
紙の書籍と比較した場合の電子書籍の利点・欠点を以下にまとめた。
■電子書籍の利点・欠点
また、近年大きな話題となっている「ケータイ小説」と、携帯電話で読む電子書籍(ケ
ータイ読書)は一見似ているが実際は異なるものであると言われる。前者は携帯電話から
一般の人が閲覧・投稿できる小説作品の総称で、携帯サイトにアクセスすれば誰でも無料
で読むことができ、修正や削除も容易に行われる。後者は実際の書籍・印刷物をデジタル
データ化したものが多く、閲覧は有料である。小説だけでなくコミックや写真集など多岐
にわたり、原則的には著作権保護機能がかかった一定のフォーマット形式で読むもので、
携帯電話からの修正や削除はできず、ファイルによっては機種が違う携帯電話では読めな
い場合もある。
(2)市場動向
2004年、ソニーと講談社、新潮社、大日本印刷、凸版印刷など15社による電子書
籍配信サービスが本格的にスタートし、続いて松下電器産業も同分野へ参入を果たすなど、
電子書籍は新しい市場として脚光を浴びた。当時の電子書籍はパソコンと電子書籍端末で
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~電子書籍市場の
電子書籍市場の最新動向~
最新動向~
のダウンロード・閲覧を主体とし、ソニーは2004年に専用端末「LIBRIe(リブ
リエ)」、松下電器産業は2004年に「ΣBook」、2006年に「Words Ge
ar」をそれぞれ発売した。
しかし、いずれも価格が4万円前後と高額であり、利用できる書籍コンテンツの数も少
なかったために普及が進まなかった。その間に携帯電話による電子書籍市場が急成長し、
シェアを拡大していったため、専用端末を使った電子書籍市場は縮小の一途をたどった。
ソニーは2007年、松下電器産業は2008年に専用端末の生産とパソコン・専用端末
向け配信サイトの運営を打ち切り、専用端末による電子書籍市場から撤退した。
現在、国内における電子書籍市場は携帯電話が主流となりつつある。中でもコミックの
占める割合が急速に拡大しており、電子コミックが市場の牽引役となることが指摘されて
いる。一方、すでに販売台数2,000万台を突破している「ニンテンドーDS」や20
08年7月に発売された米アップル社の「iphone」が、新しい電子書籍端末として
市場へ参入を開始している。大日本印刷は2008年8月、「ニンテンドーDS」向けの
出版・映像コンテンツ配信事業を開始した。専用キットを購入し、ネット経由で小説やマ
ンガ、ショートフィルムなど約100タイトルをDS端末にダウンロードするもので、同
社は2008年内に1,000タイトルを目指すとしている。また、家庭用ゲーム機「W
ii」を利用した電子コミック配信も始まりつつある。2008年7月、角川書店、講談
社、集英社、小学館といった大手出版社が共同出資して新会社を設立、「Wii」を利用し
たデジタルコミック配信サービスに着手しており、今後の展開が注目される。
2 . 市場規模
(1)コンテンツ市場における電子書籍市場規模
急速な成長が見込まれるデジタル商品分野において、電子書籍は音楽・映像配信に続い
て今後拡大していくと目されている。
「デジタルコンテンツ白書 2007」(財団法人デジタルコンテンツ協会)によれば、
2006年の国内デジタルコンテンツ市場規模は2兆7,699億円であり、前年比8.
3%の伸びを示している。
内訳は、CD・DVD・PC用ゲームソフトなどのパッケージコンテンツが67.5%、
インターネット配信コンテンツが16.7%、携帯電話向けコンテンツが15.9%とな
っている。しかし、パッケージコンテンツは各アイテムとも年々縮小傾向にあり、逆にイ
ンターネット配信コンテンツや携帯電話向けコンテンツが伸びている。インターネット配
信では映像が15.7%増、音楽が33.3%増、オンラインゲームが23.6%増とな
っている。中でも電子書籍の伸びが特に大きく、インターネット配信の電子書籍は前年比
69.7%増、携帯電話向けの電子書籍は前年比331.3%増と著しく増加している。
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~電子書籍市場の
電子書籍市場の最新動向~
最新動向~
■メディア別に見たデジタルコンテンツ市場シェアの推移
0%
20%
40%
2002年
60%
80%
6.3
81.3
2004年
2005年
15.9
16.7
67.5
2007年
15.5
14.0
70.5
2006年
14.1
11.2
74.8
17.3
18.6
64.1
12.4
13.1
9.3
77.6
2003年
100%
(予測)
パッケージコンテンツ
インターネット配信コンテンツ
携帯電話向けコンテンツ
出所:「デジタルコンテンツ白書2007」
■電子書籍市場規模推移
推計値(億円)
インターネット配信
対前年伸び率(%)
推計値(億円)
携帯電話配信
対前年伸び率(%)
2003年
18
1
2004年
33
88.6
3
500.0
2005年
48
45.5
16
433.3
2006年
81
69.7
69
331.3
2007年(予測)
94
15.2
117
69.7
出所:「デジタルコンテンツ白書2007」
2007年に行われたモバイルビジネスに関する総務省の調査においても、同様の傾向
が見てとれる。2007年12月時点での携帯電話ネットワーク上における公式サイト数
は16,042サイトで、事業者数は4,298社、モバイルビジネス市場規模は1兆1,
464億円、前年比23%増(2,179億円増)と大きく拡大している。このうち、「着
メロ、着うた、モバイルゲーム、電子書籍、占い、待ち受け」といったモバイルコンテン
ツ市場は4,233億円(前年比16%増)、「物販(通販)、サービス(チケット予約な
ど)、証券取引、オークション」などのモバイルコマース市場は7,231億円(前年比2
9%増)となっている。
モバイルコンテンツ市場について見てみると、「着うた」が1,074億円(前年比42%
増)、「モバイルゲーム」が848億円(前年比13%増)を占める一方で、「電子書籍」が前
年比220%増の221億円と急速に拡大を見せている。携帯電話向けコンテンツの中で、
「電子書籍」は今や注目すべき商品となっているのである。
ここ数年のインターネットの利用状況について見てみると、携帯電話やPHSなどの移
動端末からの利用者は、2005年末には7,000万人近くに達し、パソコンからのイ
ンターネット利用者を逆転している。総務省の「平成19年通信利用動向調査」によれば、
2007年末時点での携帯電話・PHS及び携帯情報端末からのインターネット利用者は
7,287万人で、インターネット利用者全体の82.7%を占め、前年の7,086万
人から201万人増、2.8%増となっている。
携帯電話からのインターネット利用が伸びている要因として、近年の3G(第3世代)
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~電子書籍市場の
電子書籍市場の最新動向~
最新動向~
携帯電話の普及によるデータ通信の高速化や安価なパケット料金定額制が挙げられる。こ
れに加え、コンテンツプロバイダの相次ぐ参入によるコンテンツサービスの拡充が電子書
籍市場拡大の背景にもなっていると言える。
■モバイルコンテンツ市場規模推移
(億円)
4,500
4,233
4,000
3,661
3,500
3,150
3,000
2,603
576
492
225
103
412
201
236
123
2,500
2,000
1,500
248
158
16
1,167
848
589
562
759
1,048
843
2005年
2006年
3
227
182
221
69
748
1,000
500
1,122
836
1,074
559
0
2004年
着メロ市場
着うた市場
モバイルゲーム市場
電子書籍市場
2007年
占い市場
待受系市場
その他
出所:総務省
■携帯インターネット利用人口推移
8,000
(%)
100.0
(万人)
6,000
4,000
73.3
51.8
2,439
82.7
44.8
40.2
2,504
80.0
60.0
58.0
4,484
2,000
80.9
5,825
7,086
7,287
40.0
20.0
2,794
0
0.0
2001年
2002年
2003年
2004年
2005年
2006年
2007年
出所:総務省「平成19年通信利用動向調査」
(2)拡大する携帯電話向け電子コミック市場
「電子書籍ビジネス調査報告書2008」(株式会社インプレスR&D)によれば、2
008年3月期の電子書籍市場規模は355億円と推計され、2007年3月期の推計値
182億円からほぼ倍増している。このうち、携帯電話向けの電子書籍市場規模は約28
3億円と、前年同月の約112億円から約2.5倍に拡大している。電子書籍市場全体に
占める割合も前年は約6割程度であったのが、2008年はほぼ8割を占めるに至り、大
幅な拡大となっている。
さらに電子コミック市場について見てみると、2003年の電子コミックの配信サービ
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~電子書籍市場の
電子書籍市場の最新動向~
最新動向~
ス開始以降、人気作品が次々に電子コミック化されるなど市場は急速に拡大した。200
8年3月期の電子コミック市場規模は255億円と前年同月の106億円から約2.4倍
増、電子書籍市場全体の約7割を占めている。さらに携帯電話向け電子コミックの市場規
模は229億円と、前年の82億円から2.8倍増と急速に拡大しており、携帯電話向け
電子コミックだけで電子コミック全体の約65%、携帯電話向け電子書籍の約81%を占
めているとされる。これまで文芸系作品が中心だった電子書籍市場だったが、電子コミッ
ク配信の急速な拡大に伴い、今後は電子コミックが市場の中心となっていくものと見られ
ている。
■電子書籍市場規模推移
(億円)
400
350
300
250
283
200
150
112
100
50
0
46
12
33
48
70
72
10
0.5
17.5
2002年度
2003年度
2004年度
2005年度
2006年度
2007年度
パソコン向け電子書籍市場
携帯電話向け電子書籍市場
出所:「電子書籍ビジネス調査報告書2008」
3 . 業界の
業界 の 動向
(1)携帯電話向け電子書籍サイト
ここ2、3年で携帯電話向け電子書籍サイトの数は急増している。2007年の携帯電
話向け電子書籍サイトの数は約400以上と見られ、今後も増加の一途をたどるものと予
想される。特に出版とは関係のない異業種からの参入が相次ぎ、中でも多くの登録会員を
擁する携帯電話向けコンテンツプロバイダの参入が競争を激化させている。2006年に
(株)ビットウェイが携帯電話向け電子書籍市場における取次システムを開発するなど、
配信や流通が効率化・円滑化されつつあることも、参入を容易にしている。
(株)テレビ東京などが出資するコンテンツ配信事業のテレビ東京ブロードバンド(株)
は2008年5月、テレビ東京公式携帯電子書籍サイト『テレビ東京BOOKS』をオー
プンした。テレビ東京の人気番組のオリジナル電子書籍やアニメやドラマの原作電子書籍
など約100タイトルの電子書籍を販売し、1年後には500タイトルまで増やす予定と
している。今後も幅広いジャンルでの電子書籍の販売展開や、取次サービス、電子書籍販
売システムのレンタルなど、携帯電子書籍事業を強く推進していく。
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~電子書籍市場の
電子書籍市場の最新動向~
最新動向~
■代表的な電子書籍関連サイト
サイト名
運営企業
概要
電子書店パピレス
(株)パピレス
4キャリア向け総合電子書籍サイト、タイトル数15,831(有料13,831点
、無料2,000点)
100シーンの恋
(株)ボルテージ
オリジナル恋愛小説、コミック 4,000話を配信
魔法の図書館plus
(株)ドワンゴ、(株)魔法のiらんど
「魔法の図書館」の人気ケータイ小説をブックサーフィン方式で読める
どこでも読書
(株)モバイルブック・ジェーピー
3キャリア向けサイト、16,000タイトル
文庫読み放題
(株)角川デジックス、バンダイネッ
トワークス(株)
横溝正史、赤川次郎、石田衣良など約700作品が読み放題
ちょく読み
(株)角川モバイル
角川グループ4社のコミック、ライトノベルを揃える
最強読書生活
ワーズギア(株)
iモード、Ezweb向け電子書籍販売サイト yahoo!ケータイ向け電子コミ
ックサイト「最強☆コミック」
やっぱり本が好き
フリュー(株)
プリクラシール機製造販売シェアNo.1企業が運営する女性向け電子
書籍サイト 女子高生中心のシール機ユーザー約300万人のメルマガ
会員を擁する
ケータイ読書館
シャープ(株)
3キャリア向けサイト
theどくしょplus
(株)集英社
3キャリア向け「ケータイ総合読み物サイト」
新潮ケータイDX
(株)新潮社
毎月定額で15~20作品を読める「読み放題DX」、ポイント購入の「新
潮ブックストア」がある
よみっち
大日本印刷(株)
3キャリア向け電子書籍サイト 3,500タイトル、毎月新刊200タイトル
出所:「電子書籍ビジネス調査報告書2008」及び各サイトHP
(2)携帯電話向け電子コミックサイト
前章でも述べたとおり、電子書籍市場の中でも著しい成長を示しているのが電子コミッ
ク市場である。中でも携帯向け電子コミック市場は、20歳代前半から30歳代の女性の
利用が6割から7割を占めるといい、恋愛ものなど女性向けの品揃えが中心となっている。
「電子コミックビジネス調査報告書2008」(株式会社インプレスR&D)によれば、
2007年度の携帯電話向け電子コミックのタイトル数は約2万点と推定される。
NTTソルマーレが運営する国内最大の携帯電話向け電子コミックサイト「コミックⅰ
/コミックシーモア」は、2004年8月にサービスを開始、2008年5月時点での累
積ダウンロード数は3億を突破した。
また、携帯電話用ゲームの開発・販売会社である(株)Bbmfが、2006年4月に
スタートした携帯電話向け電子コミックサイト「ケータイ★まんが王国」、大手音楽配信
サイト「music.jp」を手がける(株)エムティーアイが、2006年9月にスタ
ートした「comic.jp」など、後発組の躍進も目立つ。
一方、出版社も電子コミックサイトの運営に積極的な姿勢を見せている。2005年に
白泉社、小学館が電子コミックサイトをオープン、続いて2006年には集英社、200
7年には双葉社がサイトを立ち上げた。また、これまで大手電子コミックサイトに販売を
委託する体制をとっていた講談社も、2008年2月に自社の携帯電話向け電子コミック
サイト「講談社コミックプラス」を立ち上げた。さらに同年4月に創刊した「月刊少年ラ
イバル」の掲載作品を、従来の単行本に加え、パソコン向けの電子コミック、携帯電話向
けの電子コミックと3つの形態で同時展開する。コミック作品を読者が自分の好きな形で
読めるようにすることで読者の選択肢を増やし、作品に触れる機会を増やす方針だ。
大日本印刷(株)も、2007年に携帯電話向け電子コミックサイト「まんがこっち」
を開設、同年7月に携帯電話向けまんが雑誌「週刊アンジー」を独占配信するなど、市場
参入を本格化させた。
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~電子書籍市場の
電子書籍市場の最新動向~
最新動向~
■代表的な携帯電話向け電子コミックサイト
サイト名
運営企業
概要
コミックi/コミックシーモア
NTTソルマーレ(株)
国内最大の電子コミックサイト 人気マンガ約7,500タイトルを揃える
ケータイ★まんが王国
(株)Bbmf
タイトル数約9,500
Handyコミック
(株)ビットウェイ
タイトル数約6,500
Comic.jp
(株)エムティーアイ
タイトル数約6,000
まんが堂
(株)シーエー・モバイル
電子コミックがユーザー無料で読めるプロモーションサイトサイト『枕草子
』をもち、そこで提示配信される広告などに何らかのアクションを起こす
ことでポイントが獲得でき、そのポイントで電子コミックを購入できる
まんがこっち
大日本印刷(株)
3キャリア向け電子コミックサイト 2007年7月、ケータイまんが雑誌「週
刊アンジー」創刊
集英社マンガカプセル
(株)集英社
2006年5月スタート 集英社の自社コミック配信サイト 「ドラゴンボー
ル」「ワンピース」など大ヒット作品を投入
電子書店パピレス★コミック館
(株)パピレス
3キャリア向け電子コミックサイト タイトル数は2,578点 女性向けが充
実
コミック小学館ブックス
(株)小学館
2005年12月スタート 「ドラえもん」「名探偵コナン」など人気作品220
タイトルを揃える 2007年5月電子コミック誌「モバイルフラワー」創刊
白泉社e-コミックス
(株)白泉社
2005年9月スタート 約130タイトルを揃える 10~30代の女性が主
な利用者
eBook Japanコミック
(株)イーブック・イニシアティブジ
ャパン、プライムワークス(株)
女性向け電子コミックサイト 「ベルばら」など名作少女コミック中心に2
60タイトルを揃える
アニ読メ
(株)トムス・エンタテインメント
TVアニメや劇場公開アニメを電子コミック化 約27タイトル
楽天コミックモバイル
楽天(株)
楽天のIモード向け電子コミックサイト 楽天のポイントが貯まる
コミックリイド
(株)リイド社
2005年11月スタート 「ゴルゴ13」など100タイトルを揃える
出所:「電子書籍ビジネス調査報告書2008」及び各サイトHP
(3)パソコン向け電子書籍サイト
携帯電話向け電子書籍市場が拡大する一方、パソコン向けの電子書籍市場はやや成長が
鈍り つ つあ る 。2 0 0 8年 3 月期 の パソ コ ン 向け 電 子書 籍 市場 規 模 は7 2 億円 で 前年比
3%増にとどまった。すでに、ソニーと松下電器産業は2008年内にパソコン向けの電
子書籍配信事業から撤退し、携帯電話向けの事業に絞ることを発表している。
日本最大の電子書籍販売サイトを運営するパピレスは、1995年に日本で始めての電
子書籍のダウンロード販売をスタートさせて以来順調に業績を伸長、2008年 1 月時点
での協力出版社は420社、掲載冊数は8万タイトルに及ぶ。また、同社は2007年4
月にパソコン向けの電子コミックサービスとして、電子コミックレンタルサイト「電子貸
本
Renta!」をスタートさせている。税込105円の電子チケット1枚で単行本1
冊分の電子コミックをレンタルし、ブラウザ上で読むことができる。当初24時間だった
レンタル期間を利用者の要望に応えて48時間と1年間に延長し、クレジットカード決済
のほか、携帯電話の通話料と合算して支払えるシステムがある。2008年3月より手塚
治虫の448作品382冊を電子コミックでレンタル開始し、合わせて1冊税込315円
でダウンロード販売も行っている。今後も人気漫画家の作品のラインナップに注力する方
針だ。
現在、パソコン向け電子書籍販売はダウンロード方式による販売が主流となっている。
一度ダウンロードすれば半永久的に閲覧できるものの、専用ビューアのインストール、ダ
ウンロード、解凍保存など、パソコンに慣れ親しんでいない利用者にとっては煩雑な手間
がかかる点がネックとなっている。パピレスのレンタルサービスはウェブ上での閲覧とな
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最新動向~
るため、こういった手間が不要な点が特徴となっている。
■代表的なパソコン向け電子書籍サイト
サイト名
運営企業
概要
電子書店パピレス
(株)パピレス
電子コミックのレンタルサービス電子貸本「Renta!」を展開中
電子文庫パブリ
電子文庫出版社会
出版社8社が共同運営、参加出版社13社 2006年に携帯電話版
eBookJapan
(株)イーブック・イニシアティブジャパ
総タイトル数20,000のうち90%がコミック
ビットウェイブックス
(株)ビットウェイ(凸版印刷関連会社)
パソコン、PDA向け電子書籍サイト 取り扱い作品数40,000点以上
ウェブの書斎
大日本印刷(株)
文芸、ビジネス書中心、タイトル、ジャンルとも範囲を拡大中
Space Townブックス
シャープ(株)
自社開発のフォーマットXMDFが特徴 パソコン、携帯電話の他、ザウル
スや電子辞書、液晶テレビAQUOSにも対応
PDABOOK.JP
(株)モバイルブック・ジェーピー
取次サービスでは140社のコンテンツを320サイトに配信
楽天ダウンロード
楽天(株)
楽天会員向け 楽天スーパーポイントが使える
DMM.com
(株)デジタルメディアマート
動画配信サイト大手、登録会員数150万人 2007年ケータイ電子書
籍サイトスタート
出所:「電子書籍ビジネス調査報告書2008」及び各サイトHP
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