株式市場も日銀依存 - しんきんアセットマネジメント投信

しんきんアセットマネジメント投信株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商) 第338号
Sh inkin Asset Management Co., Ltd 加入協会/一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会
〒104-0031東京都中央区京橋3丁目8番1号 URL:http:// www.skam.co.jp
投資環境
2016 年 8 月 19 日
株式市場も日銀依存
▣ 日銀は買入規模を倍増
8 月 18 日の株式市場は、TOPIXが前場に 0.38%下落したにもかかわらず、日銀のETF(指数連動型
上場投資信託※)買いが入らないとの観測から後場に大きく下落しました。図らずも、市場の日銀のETF買
いへの期待が大きいことを示すことになりました。
日銀は 7 月末にETFの買入れを年 3.3 兆円から 6 兆円に倍増することを決定しました。
8 月に入り、
2 日、
3 日は 347 億円のETF買入れだったものの、4 日、10 日には倍増の 707 億円を買い入れました(図表 1)
。
日銀は前場にTOPIXが下落した場合にETF買いを実施するとみられています。買入れが実施された 2
日、3 日、4 日、10 日の前場のTOPIXは、それぞれ 0.78%、1.39%、0.24%、0.41%の下落でした。
15 日は前場に 0.17%下落しましたが、日銀のETF買いが入らなかったことから、“前場に 0.2%以上下落
したら日銀がETF買いを実施する(0.2%ルール)”との見方が広がっていました。
図表1. 株価の騰落率と日銀のETF買入れ
8月1日
8月2日
8月3日
8月4日
8月5日
8月8日
前場の騰落率(%)
-0.11
-0.78
-1.39
-0.24
0.08
1.50
0.20
-0.41
0.32
-0.17
-0.05
0.41
-0.38
後場の騰落率(%)
0.04
-0.86
-0.79
1.11
-0.32
0.50
0.72
0.21
0.32
-0.32
-1.33
0.56
-1.18
347
347
707
日銀ETF買入れ(億円)
8月9日 8月10日 8月12日 8月15日 8月16日 8月17日 8月18日
707
(注)設備・人材投資企業を支援する指数連動型上場投資信託(ETF)を除く。株価はTOPIX
(出所)日銀、Bloombergよりデータ取得し、しんきん投信作成
▣ 日銀は売らない巨額の投資家
これまで日銀は、マネタリーベースの拡大や資産買入れの拡大など、量と質を拡大してきましたが、今回は
ETF買入額の倍増のみの決定でした。量の拡大がなかったことや金利低下の打ち止め感が広がったことに加
え、米国の利上げ観測の後退から、ドル円が一時 100 円を割り込むなどドル安・円高気味の動きになってい
ますが、株価の下落は限定的。日銀のETF買いへの期待や実際の買入れが株価を支えている格好です(図表
2)。
今後、日銀は月 5,000 億円ペースでETFを買い入れることになります。主要な投資家である海外投資家
の月間の買い越し、売り越し規模の平均(売買差引の絶対値の平均)は 2012 年以降で 7,737 億円、個人投
資家は 5,563 億円(図表 3)。海外投資家や個人投資家に近い規模で、売ることなく買い入れることから、株
式市場への日銀の影響は強力です。
22,000
図表2. 株価とドル円推移
(円)
2014/10/31
量的緩和拡大
2013/4/4
量的・質的金融緩和導入
20,000
2016/7/29
ETF買入枠倍増 (円)
130
120
18,000
110
16,000
14,000
100
12,000
90
2016/1/29
マイナス金利導入
10,000
8,000
80
70
日経平均株価(左目盛)
ドル円(右目盛)
16/7
16/1
15/7
15/1
14/7
14/1
13/7
13/1
12/7
12/1
6,000
(年/月、日次)
(出所)Bloombergよりデータ取得し、しんきん投信作成
※最終頁の「本資料に関してご留意していただきたい事項」を必ずご確認ください。
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16 日にはTOPIXが前場に 0.05%の下落にとどまったことから、日銀のETF買いが入らないとみて円
買い・株売りが仕掛けられた可能性が指摘されました。18 日には“0.2%ルール”が適用されなかったことから、
失望売りが広がりましたが、日銀が買いを入れるトリガーが不透明になったことで、日銀の買いの有無を見越
した仕掛け的な動きはやりにくくなったとみられます。
18 日にはETF買いが見送られましたが、株価下落時の日銀による巨額の買入れは安心材料です。ただ、
過度な期待からの失望売りには注意が必要です。国債市場と同様に、株式市場も日銀依存が強まっています。
図表3. 投資部門別株式売買状況
(億円)
(2市場、差引)
30,000
20,000
今後の日銀買入れペース
10,000
0
-10,000
-20,000
日銀
海外投資家
個人
17/1
16/10
16/7
16/4
16/1
15/10
15/7
15/4
15/1
14/10
14/7
14/4
14/1
13/10
13/7
13/4
13/1
12/10
12/7
12/4
12/1
-30,000
(年/月、月次)
(出所)Bloombergよりデータ取得し、しんきん投信作成
※設備・人材投資企業を支援する指数連動型上場投資信託(ETF)を除く
(注)日銀の指数連動型上場投資信託(ETF)の買入れは、日銀の保有残高が、年間約 6 兆円に相当するペース
で増加するよう行う。対象は指数連動型上場投資信託(ETF)であって、東証株価指数(TOPIX)または、
日経平均株価(日経225)またはJPX日経インデックス400(JPX日経400)に連動するよう運用され
るもの。また 2016 年 4 月から、設備・人材投資企業を支援する指数連動型上場投資信託(ETF)を年間約 3,000
億円の枠を設け、ほぼ毎営業日 12 億円の買入れが実施されている。この 3,000 億円はETF全体の買入れ額の 6
兆円に含まれる。
(シニアストラテジスト
※最終頁の「本資料に関してご留意していただきたい事項」を必ずご確認ください。
鈴木和仁)
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