このPDFをダウンロード - 国公私立大学図書館協力委員会(JULIB) β

共同制作からはじめる図書館広報グッズの作成
創造的な活用と共有をめざして
武尾
亮,遠山
清水弥生子,石川
有紀
敬史
抄録:私立大学図書館協会東地区部会研究部企画広報研究分科会では,図書館の現場ですぐに役立つツール
を創り,それらを図書館員や図書館間で共有する活動を行なっている 。 このうち図書館広報グッズの共同制
作は,グッズを安価に図書館間で共有できるため,広報活動に取り組む余裕のない 図書館でもグッズを活用
した広報活動が可能になった 。本稿では, (1)共同制作の歴史, (
2
) 2005,2007年度に行なった共同制作の
内容と方法, (
3
) 申込機関を対象にしたアンケート調査や活用事例を報告する 。
キーワード:図書館広報クッス,図書館広報,共同制作,葉,ポスター,私立大学図書館協会,企画広報研
究分科会,ブランド戦略
1
. はじめに
近年,多くの大学では広報戦略を強化し,ロゴ
マークやキャラクターの制作をしている 。例えば,
佐藤可土和によるプランデイング戦略(明治学院大
学)1) をはじめ,黒ウサギのキャラクター i
LavyJ
の制作 2)と絵本アイデイアコンペ(武庫川女子大学)
館における活用事例を紹介する 。
などがある 。 さらに,大学での研究成果を活かした
ブランド商品の販売もみられる 3。
) 大学図書館にお
2
. 共同制作の歴史 14)
いてもキャラクターの制作を行なっている図書館
2
.
1 共同制作の意義
(北海道大学べ和光大学 引など)6>,独自にグッズ
を作成し広報を行なっている図書館がある 。
国外でも,例えばアメリカ図書館協会 (ALA)
これらのうち,本稿では図書館広報グッズ(以下,
グッズとする)の共同制作について, 1
9
8
0年代から
始まった歴史を概観し, 2
0
0
5,2007年度に行な った
共同制作の内容と方法を報告する 。 また,申込機関
を対象にしたグッズに関するアンケート調査や図書
グッズの共同制作とは,ある組織が代表して立案
し,イラストレーターの選定と交渉,印刷,グッズ
の受付などを行ない,申込機関が印刷費と制作費を
では著名人を用いたポスターをはじめ,数多くの図
書館広報グッズ 7) を制作していることが知られてい
出し合う方法である 。 申込数が増えれば単価が下が
るO 仁上幸治(早稲田大学図書館)は, ALAの広
有でき ,広報活動に取り組む余裕のない図書館でも,
報戦略と比較して,日本の図書館における低調な広
報活動の問題点と課題を指摘している 810
高品質のグッズを活用した広報活動が可能になっ
他方,大学図書館の現場では ,専任職 員の減少,
こうした共同制作の取り組みは,分科会の前身で
予算の削減,業務委託化 など厳しい条件のもとで,
ある図書館サービス研究分科会の広報グループによ
る仕組みのため,広報グッズが安価に図書館間で共
た。
評価活動, 地域貢献,情報リテラシー教育など取り
り1983年に開始された 。 当時,図書館界で は広報
組むべき課題が多い。 こうした状況のなかで,図書
活動についての認識が不足していたため,単なる
館員は広報活動の重要性を認識しつつも,実際には
「お知らせ」に留 まらない社会的に通用する図書館
その取り組みを行なえない場合が多い。
広報をめざした。そこで,各図書館の予算的な制約
そのため,私立大学図書館協会東地区部会研究部
を克服するため,相互協力として大学図書館を対象
企画広報研究分科会 9) (以下,分科会とする)では,
にポスターを作成した。
図書館の現場ですぐに役立つツールを創り,それら
2
.
2 分科会による共同制作
表 1は,分科会が制作したグッズの種類,イラス
を図書館員や図書館間 で共有する活動を行なってい
る lヘ 近年は, ①「パスファ インダーパンク J
i
I
)の運
用
,
C
I
fLib.PR:図書館広報実践支援サ イト J(以下,
トレー ター・キャラクターである 。 これによると,
グッズの種類は,本の某(以下,某とする),ポス
L
i
b
.
P
Rとする ) の運用,③図書館広報グッズの共
ター,掲示用紙などに統一 され,イラストレーター
同制作, ④ 図書館広報実践講座の開催 13)がある 。
が毎年変化していた。
1
2)
12
大学図書館研究
表 2は
, ポスターと莱の参加館(申込機関数)と作
南仲坊
1
9
8
4, 1
9
8
5年 度 版 が
ポスター 5
0枚 ま で 5,
0
0
0円 (
5
0枚 以 上 1枚 1
0
0円
9
9
3年 版 は , ポ ス
増 ) で あ っ た lヘ そ の 後 , 例 え ば 1
6,
0
0
0円 (
3
0枚 ま で ), 某 1
5,
0
0
0円(1,0
0
0枚ま
ター 1
で), 掲 示 用 紙 1
6,
0
0
0円 (
1
0
0枚 ま で ) と な っ た 17)0
2
.
3 日本図書 館 協 会 に よ る 共 同 制 作
1
9
9
2年 度 以 降 は , 図書 館 界 全 体 で の 共 同 制 作 を 探
成枚数である O グッズごとに毎年 30~40 館の安定
した申込があった。
表 1 分科会制作のグッズ一覧
年度
イラストレーター
種類
1
9
8
4 ポスター
ポスター A
ポスター B
ポスター A
ポスター B
1
9
8
6
本の莱 A
本の莱 B
1
9
8
5
ポスター A
1
9
8
7 ポスター B
本の莱 A
本の莱 B
ポスター
1
9
8
8
本の莱
ポスター
1
9
8
9
本の莱
ポス ター
本の某
1
9
9
0
掲不用紙
ブックカノ tー
南イ申坊
り , 広 報 ツ ー ル を 広 く 普 及 さ せ る た め , 日 本 図書 館
協 会 の 協 賛 に よ り 制 作 さ れ た lヘ
久住昌 之
図書 館 協 議 会 , 全 国 学 校 図 書 館 協議 会 等 が , さ ら に
高橋留美子 C
f
うる星やつ ら』 より )
久住昌之
杉浦日向子
早稲田大学図書
一館西垣文庫 より
水木しげる・ 滝本淳助 (写真)
fゲゲゲの鬼太郎』 より)
水木しげる C
久住昌之 -車也
久住昌之
掲不用車~
ポス ター
フジイフランソワ
掲示用紙
ポス ター・本の莱)15)
表 2 作成枚数 (
z
す
﹀ 目 句コ
コ
﹃
叶d
v
討に
え
え
年度
1
9
8
4
1
9
8
5
1
9
8
6
1
9
8
7
1
9
8
8
1
9
8
9
1
9
9
0
1
9
9
1
1
9
9
2
1
9
9
3
1
9
9
4
ポスター
枚数
参加館
1
5
2
1
3
7
4
0
4
4
3
9
3
4
3
3
3
4
3
8
4
0
9
6
0
1
.
41
5
2
.
3
7
5
2
,
7
5
0
2
,
5
7
0
2
.
0
3
5
1
.
8
5
5
1
,
6
0
0
1
,
7
5
0
,
15
6
0
,
12
3
5
I
一分 科
19) な 状
の 現 状 以 上 の 展 開 は 不 可 能 な こ と は 明 ら かJ
1
9
9
5年 に 日 本 図 書 館 協 会主 催 の事
業 へ と 移 管 さ れ た 。1
9
9
5年度の共同制作の協賛には,
況になったため,
私 立 大 学 図 書 館 協 会 , 全 国 公 共 図 書 館協議会, 専 門
紀 伊 国屋 書 庖 が 後 援 と な っ た 却)
。
表 3 日本図書館協会制作のグ ッズ一覧
イラストレーター
安野光雅 (
Wさか さま』福音館書庖
刊より )
ポス ター B コーチはじめ
本 の某 A
安野光雅
旅の絵 本 II
.福 音館書
庖刊より )
1
9
9
5
本の莱 B
コーチはじ め
掲不用紙 A 安 野光雅
ふ しぎなえ
』 福音館書
庖刊より )
掲示用 紙 B コーチはじめ
ポス ター A コーチはじめ
ポス ター B 吉清花
本の 某 A
コーチはじ め
吉i
青花
1
9
9
6本の 莱 B
掲不用紙 A コー チ はじ め
掲不用紙 B 吉清花
1
9
9
5年 の各種グ ッズ も販売。
ポスタ ー
木原庸佐
本 の某
(
コニー ちゃ ん 『ポンキ ッキJよ
1
9
9
8
掲示用紙
り)
1
9
9
5, 1
9
9
6年の各種グ ッズ も販売。
ポス ター
木原庸佐
(コニーち ゃん 『ボンキ ッキj よ
本 の某
り)
1
9
9
9掲示用紙
1
9
9
8年版のコニーち ゃんグ ッズ を販売。
1
9
9
5, 1
9
9
6年の 一部 グッ ズを販売。
年度
種類
ポスター A
r
(
NHKr
ひょっ こり ひょ うた ん島 jより
1
9
9
4 本の莱
しかし,
会 の 作 業量 は 自 ず と 限 ら れ た も の で あ り , 共 同 制 作
u
久住昌之
掲示用紙
ポスター
1
9
9
2 本の莱
掲示用紙
ポス ター
1
9
9
3 本の莱
価格は,共同制作の初期の
沢野ひとし
小林まこと c
r
What
'sM
i
c
h
a
e
lリ より )
高野文子
小林まこと c
rWhat
'sM
i
c
h
a
e
l
リ より )
高野文子
高橋留美子 (響子さん 『
めぞん一刻』よ
り)
ポス ター
1
9
9
1 本の莱
LXXXV(
2
0
0
9
.
3
)
本 の莱
参加館
枚数
*
*
2
3
*
*
4
0
.
0
0
0
3
4
3
3
2
9
2
7
2
9
3
1
3
4
3
0
5
4,
0
0
0
5
4,
0
0
0
4
3
.
0
0
0
4
4
.
8
0
0
4
0,
9
0
0
4
3,
6
0
0
4
2,
6
0
0
3
9.
70
0
表 3は
, 1
9
9
5年 か ら 1
9
9
9年 ま で 日 本 図 書 館 協 会
が 主 催 し て 制 作 し た 広 報 グ ッズ で あ る 2九 これによ
る と , 新 作 を 制 作 し つ つ , 前 年 制 作 し た グ ッズ も 継
続的に販売していた。 1
9
9
5年 版 の 申 込 機 関 数 は
7
7
館 22) で あ り , 価 格 は 申 込 枚 数 に よ り 異 な る が , ポ ス
ター
1
6,
0
0
0円 (
3
0枚 1組), 某 1
6,
0
0
0円(1,0
0
0枚 1
1
3
共同制作からはじめる図書館広報グッズの作成
組),掲示用紙 1
3,
000円 (
1
00枚 1組)であった。
受付期間は ,概ね大学におけるオリエンテーショ
ン期間にあわせ,秋冬に募集し 3月に納品としてい
たが, 1998年から「年度を通じて活動する事とし,
「全国図書館大会」を最大のイベントとして把え,
制作物発表の場とする」幻}ことになった。
1998年度はメジャ ー なキャラクターを用いたた
め,大変好評を得たが, 1
999年度も同じ作品であっ
たため,申込数が激減してしまった 。その後,日本
図書館協会によるグッズの共同制作は行なわれてい
ない。
2.
4 図書館利用教育委員会の動き
日本図書館協会図書館利用教育委員会(以下,委
員会とする)では, ALA グッズの展示と紹介を継
続的に行なった 。主に,委員会が初めて全国図書館
図 1 本の某 (
2
00
5年度)
大会の部会を主催した 1995年(新潟県) から 2002
年(群馬県) の部会の終了まで続け, 1997年の全国
図書館大会(山梨県)では ALAのグッズのカタロ
某の 裏面は無地とし,各館が独自に利用者への
グを配布した 則。2000年の全 国図書館大会 (
沖縄県)
メッセージや PRの印刷を可能とした 。 この裏面は,
では 「りてらしい T シャツ 」 の販売を企画し お 1
0
L
i
b
. PRに雛形を公開し,申込機関が活用できるよ
月でも気温が高い沖縄で完売した 2
うにした。
ヘ
委員会は,図 書館利用教育の普及以外に,広報
グッズ制作の重要性を図書館界に提示していた。
(
3)価格と申込件数
価格は, 表 4のように 100枚を 1セットとし,印
刷数 (
申込数)に応じて単価が下がる仕組みとした 。
3
. 新たな共同制作の取り組み
分科会では 2005年度に共同制作の取り組みを再
開し, 2007年度においても継続して 実施した 。
3
.
1 2005年度の共同制作 m
表 4 セット別の価格
申込セ ット数
lセット価格
(1)共同 制作の再開
0期 (
2004-2005年度 )28) において,
分科会の第 1
1
0
0セット
2
,
0
0
0円
2
0
0セット
1
,
2
8
1円
最小 で強力なツールである某のインパクトや図書館
3
0
0セット
9
5
2円
界におけるグッズ制作への要望などを再考し,過去
の共同制作のノウハウを踏まえ,某の共同制作を再
受付は 2005年 10月中旬から開始し,受付状況を
開した 。特に共同制作の案内通知について,以前は
分科会の HPに掲載・随時更新した 。最終的に 5
1機
郵送が中 心 であ ったが,近年は Webやメール等 に
関から 合計 470セ ッ トの申込があり
より数多 くの図書館へ速やかに案内できることも,
価が 800円にな った。
共同制作を再開する 一つの要因であ った。
(4)反響 ・評価
(
2
) 莱のイラストと仕様
某のイラストの選定基準には,図書館をアピール
できること,性別による好みに偏りがないこと,学
生の関心をひく点が考慮され,フ ジモトマサル氏 却
によるオリジナルのデザインが用いられた (
図 1)
。
2005年 8月にはイラストレーターと打ち合わせを
行ない,デザイン,納品,支払等 について検討した 。
検討の結果, B5判のシートに 8カ ッ トの動物キャ
ラクターが描かれた某を制作することにな った。用
紙は,フジモトマサル氏が指定したアラベール紙を
使用した 。
14
1セ ッ トの単
某を購入した機関を対象に,簡単 なアンケート調
査を 実施した。 このうち,申込の理由については表
5の通りである 。
大学図書館研究 LXXXV (
2
0
0
9
.
3)
表 5 申込理由
のになった 。特に,某はパステル調の明るい色使い
回答数
理由
イラストが気に入ったため
21
値段が手ごろなため
1
6
自館で作成できないため
1
2
その他
1
1
になり, 学生 の感覚に近いデザインになった(図 2)0
某のサイズは前回の企画と同様であり, B5版の
シー トに 8カットのイラストが表面に印刷された 。
また, 裏面も前回と同様に無地とし, Li
b
. PRで公
開されている雛形を用いて,各館で、
利用者へのお知
005年度に
らせなどを自由に印刷できる 。用紙は, 2
(主な回答)
使用したアラベ ール紙を石 川氏が気に入ったため,
広報活動に利用したいため 。
今回も継続して使用した。
図書館を利用する人へのサーピス,アピールのため。
ビニールバ ッグ は A4サイズで,カサカサと 音の
しない白地の LDPE製(低密度ポリエチレン )の素
図書館広報として利用 。
材を使用した 。 デザインは,片面に 1カ ッ トでシン
図書館アピ ールのため。
プルであるが,図書をやわらかく印象づけている
図書館改築予定で PR強化を検討中でした 。
(
図 3)
。
利用者満足度のため。他
無回答
これによると,
1
0
I
イラストが気に入 った J
,I
値段
が手ごろ」の回答数が多い傾向にあった 。 また,そ
の他の回答として,図書館の広報活動として活用す
るという回答が多かった 。 「好評ですぐになくなっ
も聞かれ,多くの図書館から好評を得た 。
3.
2 2007年度の共同制作 制
2005年度に制作した某は好評であ ったため ,2006
年以降も共同制作の要望が分科会へ数多く寄せられ
1期 (
2
0
0
6-2007年度)31) において
た。そこで,第 1
車望
企L
qωも均 "{fy~
札
?制民
たJ
,I
全種類欲 しがる利用者も 多かった」などの声
叶
‘
.
.
.
“
‘
一
.
.
"
伊 H.
・
・
,
.
.
,
、
.
.
.
‘
.
:
.
.
,
‘
.
も,グッズの共同制作を継続した 。
堅多
q
(
1
) グッズの種類とイラス トレーターの選定
2007年度は某のデザ インの改訂に加えて,新しい
図 2 本の莱 (
20
0
7年度)
グッズの制作を検討した 。その結果,雨の日に本を
濡らさず持ち歩けるビ、ニールバッグの制作を新たに
企画することにした 。
某とビニールバッグのイラストは,イラストレー
ターの石川ともこ氏に依頼した 。石川氏は,これま
でに図書・雑誌の表紙や挿絵,カードや Webのイ
ラストなども手掛けていた泣)
。 石川氏のイラストは,
暖かく落ち着いた雰囲気で性別,年齢を問わず親し
まれるイラストであり, 大学図書館以外の館種から
の申込も想定した分科会の考えと合致していた 。
分科会では 2007年 6月に直接打ち合わせを行な
事
い,納期やデザインなどについて話し合った 。 その
際,最も重要な点は分科会の共同制作活動への理解
と価格の交渉であ った 。
(
2) デザイン
某とビニールバッグのデザインは,図書館や本,
読書にやわらかく,ほのぼのとした印象を与えるも
容
図 3 ビニールバッグ (
2
0
0
7年度)
15
共同制作からはじめる図書館広報グッズの作成
(
3
) 価格と申込件数
(4)反響・評価
価格の考え方は前回と同様に,某とビニールバッ
2
0
0
7年度の申込機関に対しても,前回 (
2
0
0
5年
グについて 1
0
0シートを 1セットとし, 表 6, 7の
度)と同様に,グッズの評判や今後どのようなグッ
ように,申込数に応じて単価が下がる仕組みにした 。
ズを希望しているかを把握するため,アンケート調
査を実施 した 。
某とビニールバッグの反応・評判について,例え
表 6 本の某の価格表
総申込セット数
ば下記のような回答があった 。
1セット価格
1
0
0セットまで
1
.
2
0
0円
3
0
0セットまで
8
4
0円
5
0
0セットまで
6
0
0円
1
.
0
0
0セットまで
5
0
0円
[本の某]
・莱は学生に「可愛い」と好評でした。猫のキャラ
クターが良かったようです。
・どの絵柄にするか,うれしそうに選んでいる様子
を何度もみました 。
-おおむね好評です。
表 7 ビニールバッグの価格表
-好評です 。デザインの評判がよいためか,リピー
総申込セット数
lセット価格
8
0セットまで
1
.
8
0
0円
・良好。毎回楽しみにしている学生がいる 。
1
5
0セットまで
1
.
6
0
0円
・デザインについて,利用者から好評を得ている 0
2
0
0セットまで
1
.
5
5
0円
.イラストがかわいいと好評です。特に女子学生や
3
0
0セットまで
1
.
4
5
0円
ターが多く,全種類集める方もいらっしゃいます 0
オープンキャンパスでの高校生に人気がありま
す。
[ビニールバ ッグ ]
66セット(lセット
最終的な申込数は,某が 3
・ビニールバ ッグは ,反 エ コ で は ? と い う 意 見 が
6
0
0円),ビニールバッグが 2
9
3セット(lセット
1
.
4
5
0円)となった 。
申込機関種別は表 8の通りである 。主に大学・短
-袋は,もう少し大きなサイズがあると良い 。
大図書館が中心であるが,公共図書館や学校図 書館
・バ ッグは,マチがあるとか,持ち手がハー ドだと
あった 。 ビニールだと持ち手がのびてしまう 。
・パ ンフや莱を入れて渡すと喜ばれる 。
からの申込もあった 。地域別にみ ると,関東 ・甲信
更に使い易いと思います。 しかし,好評で追加発
越地方以外に,北海道,近畿,九州地方からの申込
注しました 。
も多数寄せられた 。
某,ビ、
ニールバ ッグともに「かわいいと評判」と
いう回答が最も多かった 。特に某については,否定
表 8 申込機関別
機関種別
大学 ・短大図書館
申込機関数
│
6
3
的な回答がほとんどなか った。
ビニールバッグについては,デザインは某と同様
に好評であったが,持ち手の部分や大きさなど,機
学校図書館
2
公共図書館
2
専門図書館
l
4
. 図書館広報グッズの活用方法
図書館友の会
l
4
.
1 活用方法の傾向
2
0
0
7年度の申込機関へのアンケート調査から,発
6
9
合計
能面に関する指摘が目立 った。
注した図書館の具体的な活用方法を紹介する 。
(l)配布対象
申込時には,各図書館から「とても素敵な試みだ
r
某とビニールバッグともに,ほぽ全ての図書館が
r
r
図書
と思いました j, イラス トが可愛 らしい」という感
「学生 j, 利用者全般」と回答した 。 その他,
s
a
h
i
.
c
o
m に取り上げら
想を受けた 。 とりわけ, a
館見学者 j, オープンキャンパス来場者」があった 。
れたことにより,申込数や問い合わせがさらに増加し
(
2
) 配布方法
3
3
l
た。
r
r
「貸出の際にカウンターでの手渡し j, 自由に取
れるコーナーの設置」を併記, もしくはどちらかー
1
6
大学図書館研究 LXXXV (
20
0
9
.
3)
方を回答した図書館が最も多かった 。 また,
I
ガイ
ダンスやオリエンテーションでの配布 J
,I
バッグに
資料を入れて配布」などもあった 。
また,某の裏面に他学部の学生も利用できるとい
うコメントを作成し,大学図書館,文学部の各研究
特徴的な配布方法として,本の莱については「入
学式・卒業式にメッセージを添えて配布」や,
ンターを利用できるコメントを印刷した 。
1
8
科,キャンパス内の書庖,教務部,就職部などに配
布を依頼した 。依頼先については,某という形態の
種類集めてみましょう」というポスターを作成して
特性を生かし,本に関連する場所や図書館を利用し
掲示した図書館もあった 。
ない学生の目にも留まるように,学生がよく訪れる
他方,ビニールバ ッグについては「貸出時」ゃ
I
オープンキャンパス
参加者 J
,I
ガイダンス参加者 J
,I
館内での貴重品入
れとして配布 J
,I
ペッ トボトル等をお持ちの方には
「雨の日に配布」が最も多く,
部署を選択した 。
(
2
) ビニールバッグの活用
「梅雨の 雨の日は,本を借りよう 」というキャン
ペーン(ポスターは図 4参照)を行なった 。梅雨入
ビニールバッグに入れて持ち歩いていただく」と回
りの日から梅雨明けの日において,雨が降っている
答した図書館があった 。
時間帯に本を借りた学生へビニールバッグを配布し
(
3
) 本の某の活用方法
たため,ほとんどの学生に好評であった 。
某の裏面は自由に印刷できるという特徴があるた
また,大学の広報誌に本の某とビニールバッグの
め,印刷事例に関する回答が目立った 。最も多かっ
配布を周知したため 3ペ 広 報 誌 を 読 ん だ 家 族 の 要 望
たのは利用マナーとサービス紹介であり,学部生・
で来館する学生もいた 。
大学院生・見学者など,対象者を分けて個別にメッ
セージを作成している事例もあった 。
梅雨の
その他,下記のような回答があった 。
6
穏の日は、
-図書館 HPの QRコード等を印刷して配布 0
.時期によって印刷内容を変えている 。
本を借りよう。
.
I
本を大切に 」等を印字。
‘
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似
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-裏面に印刷しない方が人気があるため,無地にし
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‘
ました 0
..φ1 L<
' .t. ~"l
・偉人の残した名言を載せました
l~'・, ・ e ・ . . n明 . -.・H 嗣,
0
-図書館への意見等を書いてもらい投函して頂く
4
l
!
句
J、‘・". ・ ...“'t l; ‘..‘4 ・宅~ .... ~. )~
t恥
.返却期限やイベントを印刷。
0
・ガイダンスの参加者に,参加賞として渡す(裏面
にガイダンスの 一言 まとめを 書 く)。
-裏面に図 書館利用のマナーやルール,お知らせを
.
n
ふ叫ともこ氏デ ザイ ンのピエ
ユω ルパッ グを ;
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げてい"1'
.
印刷して,小さな PRツールにしている O 季節に
よりパージョンがある 。
4
.
2 活用事例
ー
術1
1
1の山町 1にi
1 院内包シタ舗
ーでみを冊ワたJjに 、
図 4 ポスター「梅雨の雨の日は,本を借りよう」
4
.
2
.
2 東洋学園大学図書館
ここでは 3つの図 書館を 事 例 に , 主 に 2007年 度
東洋学園大学図書館では, 2006年度から「情報リ
に共同制作したグッズの具体的な活用事例をあげ
テラシー」と「エンパワーメント J
却 の 2つのプロ
る341。
ジェクトを柱にした「利用者支援プログラム」を実
4
.
2.
1 学習院大学法学部 ・経済学部図書センター
施している O 共同制作の某は,学生と本とを結びつ
(
1
) 某の活用
学習院大学には大学図書館のほかに,法学部・経
済学部図 書 センター(以下,図書センターとする)
などの学部図書館がある O このうち図書センターは
ける目的で某の裏面を活用し,学生の読書意欲を高
めることに貢献している O
2005年度版の某は,卒業式に配布する卒業後の図
書館利用申込のチラシに,某の 8種類の動物イラス
全学生が利用できるが,他学部 ・専攻の学生には敷
トに合わせたクイズを掲載し,チラシの裏面に回答
居が高い印象を抱かれていた 。 そこで,新入生オリ
を印昂リした 。
エンテーションの配布資料の中に某を入れ,裏面に
2007年度版の某は,表面の猫のイラストに合わせ,
は入学のお祝いメッセージとともに,誰でも図書セ
裏面に次のような小説やエッセイの一部や詩などか
17
共同制作からはじめる図書館広報グッズの作成
ら猫にまつわる文章の 一節と出典を印刷し,学生と
。
図書を結びつける役割を果たした(図 5)
.
r
吾輩は猫である J(夏目散石)
が哩り
本
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J
械
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う1
よ
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.
r
どんぐりと 山猫 J(宮沢賢治)
.
r
ネコの住所録 J(
群 ょうこ )
.
r
猫にかまけて J(町田康)
.
r
フィンランド語は猫の 言葉 J(稲垣美晴)
.
r
とらちゃん 的日常 J(中島らも)
図書置Gci~白2与を保し 1:3ゆ参i岬う.
〈あ定歩芭却 I
l
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白
砂=白羽ド!>
「
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0
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いれていたという .
とら句苧んは~らしい.
ヰぬらも『とら%ゃん的口術』より
l
箔 .1~/l ß.~*Q)
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どうでもいいようなことで忽しんだ勿怠。た句しているとき、
な こ .があるニとを歓えてくれた、
たことがあるa うらの"舗のトヲにもちゃんと鮮みがあ。た.
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『ネ.の l
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i録』より
え..泊、 }
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5
. 図書館広報グッズへの希望
5
.
1 グッズの種類
2005年度と 2007年度の申込機関を対象としたア
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谷川 t釜本館依『よりぬ~-..ザグス H 勾
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1
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本のしおりを探そう!!J配布用紙
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る.ニれは人同椅砲のむのだと,'!"'>ていた.
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図書3陪 (
361.
5
1十)
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ンケートによると,今後,共同制作を希望するグツ
ズは表 9,
10のようになった 。
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f,i';,のかたもより
表 9 希望するグッズ [
2
0
05年調査]
図 5 猫にまつわる文章の一節 (
裏面)
また,本郷キャンパス図 書館では,企画展示「本
郷の街を知ろう」で展示した図書や本郷にゆかりの
ある文学者の紹介を某の裏面に印刷している 。
4.
2.
3 湖北短期大学図書館
湘北短期大学図書館では,某を単に配布するので
はなく,図書館ガイダンスの中で活用している 3九
このガイダンスは,
I
宝探しゲーム<本のしおりを
グッス名
回答数
ポスター
2
0
ブックカノくー
1
4
クリアファイル
5
その他
ショッピングバッグ,絵葉書,マウスパッド,スク
リーンセイパー P
C用壁紙,メモ用紙,カレンダー,
鉛筆,うちわなど
f
無回答
1
7
!
>
J というタイトルで,新入生を対象とし
探そう !
た導入教育(必修科目)のひとつとして実施された 。
その具体的な内容は, ①学生 に資料名と請求記号が
記 載 さ れ た 用 紙 (図 6)を配布 ,②学生 は用紙に記
表 10 希望するグッズ [
2
0
0
7年調査]
グッズ名
フ守ツクカノくー
回答数
1
2
載された資料を 書架から探す, ③該当 する図書 には
クリアファイ jレ
さまれている某をプレゼントとして受け取る,とい
フラットフ ァイル
う流れであり,ゲーム感覚で図書を探す内容になっ
ノくッグ
7
付議
4
ている 。
め
8
携帯ストラップ
2
参加した新入生が楽しみながら本を探していたた
マウスパッド
2
2年生からは「自分たちも参加したかった」と
クリアケース
2
いう声もあった 。
9年度学
この発想は,国立情報学研 究 所 の 平 成 1
術情報リテラシー教育担当者研修謝 において他館の
受講者から紹介された「新入生 向けの本を探すゲー
その他
クリップ,音声,香り,ランチョンマッ ,
ト シール,
ボールペン,鉛筆,ぬいぐるみ,缶バッジ,ポスター,
絵葉書,カレンダーなど
ム」を参考に,某をプレゼントする案を独自に組み
合わせたものである 。
これによると, 文房具,
PC関係の用品,バッグ,
バッジなど,多種多様なグッズがあげられているが,
18
大学図書館研究
LXXXV(
2
0
0
9
.
3)
総体的に利用者にとって実用性のあるものへの期待
は,興味を引くイラストである点も必要で、ある 。今
がうかがえる 。
回のグッズのイラストは有名なキャラクタ ーではな
とりわけ,ブックカバーやクリアファイルの回答
いが,
I
かわいい」という意見に代表されるように
が多い 。特にブックカバ ーに ついては,図書館から
好評であった 。 こうした意味において,利用者が手
借りた図書を「電車の中で本を読む時などはタイト
に取りたいと思わせるグッズが制作できたといえ
ル等を 他の人に見られたくない方が結構多いと思い
る。
ます」という意見に代表されるように,館種を問わ
ず希望が多いと推定される
5
.
2 デザ、イン・イラストレーター
しかし,配布方法の事例で共通していることは,
図書館員がグッズを手にしてもらう工夫をしていた
O
ことである 。 イラストの知名度やキャラクター,
2
0
0
5年度のアンケートには,今後希望するデザイ
グッズの斬新性に甘えることなく,グッズを活用し
ン,イラストレーターに関する設聞があった 。 同答
て,いかに自館のサービスを発信できるかという図
1で
は多様なものになったが,整理したものが表 1
書館員の創造性が試されている 。
6
.
2 課題と展望
グッズの共同制作には多くの課題があるが,最も
大きな課題は,どの機関(組織)が主催して制作す
9
8
6年に「すでに一分科
るかである 。 この問題は, 1
会の力量をこえているのであるから・.(略)・・図
書館界の有力な上部団体が代わってくれることが望
まれるj3
9) と指摘されていた 。 1
9
9
5年に日本図書館
ある O
表1
1 希望するイラストレーター [
2
0
0
5年調査]
こみねゆら
上野直大
和田誠
沢野ひとし
山本容子
木内達郎
山口マオ
山田詩子
荒井良二
協会が共同制作を始めたものの 1
9
9
9年に終了して
西原理恵子
中山大輔
しまい,現在も解決されていない 。 ここに日本の図
二ノ宮知子
松本大洋
100%ORENGE
その他の意見
-トトロ,名探偵コナン,サザエさんなど,国民的な
メジャーなキャラを続々と登場させてほしい。
-今流行のマンガ,イラストであれば。
-絵本の作家など。
書館界における広報活動の現状をうかがい知ること
カfできる 。
だが,図書館の現場で働く視点からみると,この
他にもグッズの制作には 多くの課題がある O 例えば,
下記の点をあげることができょう 。
① ただ漠然と利用者全体を対象とするのではなく,
これによると,名前があがった中には絵本作家や
漫画家もいるが,全体的に線画がメインの優しいイ
メージ、の作品を描くイラストレーターが多い傾向に
ある O これに対して,誰でも知っている有名なキャ
ラクターを望む意見もあった 。ただしこのアンケー
トは,共同制作したグッズを購入した図書館員の要
望であるため,大学図書館における広報戦略の対象
となる学生からの希望が含まれているかどうか不明
である点を考慮する必要がある 。
誰に, どのような目的でイ可をプロモーションした
いのか明確にすること 。
② 誰にでも知られている有名なキャラクターを活用
するのかどうか。
③ 利用者層を細分化して各層に求められるグッズの
開発を行なうこと O そして,幅広い利用者層に対
する総合的なグッズ制作を展開すること 。
④ 各図書館が独自に作成した広報グッズに関する全
図的な調査がなく,創造的な実践の経験も共有さ
れないため,各図書館が試行錯誤して作成してい
6
. 共同制作のこれまでとこれから
6
.
1 評価と有効性
2
0
0
5,2
0
0
7年度に共同制作したグッズは,おおむ
ね成功したといえる 。 その要因には,安価であり,
自館で独自に広報グッズを 作成する時間を節約でき
ることとともに,大学図書館におけるサービス活動
のさまざまな場面において活用できるコンパクト
性,機能性を有したグッズであったことがあげられ
る。
他方で,グッズを利用者に手にしてもらうために
ること O
2
0
0
7年度の共同制作グッズを購入した山中湖情報
創 造 館 40) は , 国 内 の 公 共 図 書 館 が ミ ュ ー ジ ア ム
ショップのようなグッズの制作をほとんどしてこな
かったことを指摘し,広報活動の先行事例調査とし
て購入した O 山中湖情報創造館によると,独自に
グッズを制作する場合,
I
広告収入源としての媒体
にすることも考えたい」と指摘している O 一方
で
、
,
単に「広告媒体に対するクライアントを募る」ので
1
9
共同制作からはじめる図書館広報グッズの作成
はなく,地域性を考慮し「図書館活動に対するスポ
館(短期大学図書館を含む)は, 2
008年 1
1月現在
ンサー」であるという意識を図書館とスポンサーと
で 9館をホームページで確認することができた 。
で持つことを重視しているという
O
すなわち,図書館界の持続的な広報活動における
グッズの活用とともに,図書館設置主体(学校法人,
自治体など)における広報・ブランド戦略をどのよ
うに活かしていくのかという視点が重要であろう 。
広報グッズの制作のみに媛小化されない総合的な図
書館広報戦略が求められる 。
7
. おわりに
近年,グッズ、への関心の高まりがある O 例えば,
①(社)埼玉福祉会による ALAグ ッ ズ の 日 本 代 理 販
売,②国立大学図書館協会における広報に関する研
Li
b+L
ive2009J
<
へ
修会ベ③山中湖情報創造館の i
④委員会による情報リテラシー某の作成, ⑤ 東 京 都
図書館協会の研究助成による「ライブラリー・グツ
ズの調査・研究と企画・開発」削 などの動きがある O
また,国外の学術誌・電子ジャーナルの版元がさま
ざまなノベルティーグッズを制作していることも良
く知られている O
今後もこうした活動の中から,グッズ作成のヒン
トや,各図書館のユニークな活用 事 例 な ど が 共 有 化
されていくことが期待できる 。
謝 辞
本稿執筆にあたり,仁上幸治氏(早稲田大学図書
館), 戸 田 光 昭 氏 ( 駿 河 台 大 学 名 誉 教 授 ) よ り , 貴
重なご指摘をいただきました。
1)斉藤一誠.大学広報におけるブランデイング戦略:
明治学院大学のプロジェクト推進と広報活動への
展開私学経営.2
0
0
8,no.
40
1,p.
2
0
2
8.
2)“武庫川女子大学 [MukogawaWomen'sU
n
i
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e
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i
t
y
]
Lavyのベ一ジ
Women'sU
n
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.
j
p/gakuin/lavy/lavy.htm (accessed
2
0
0
8
-1
2
2
7
)
3)食の学園祭:大学は 美味しい!!.小学館, 2
0
0
8,1
0
8
p
.,
(DIMEvo
.
1
2
3,nO.
5増刊号)•
4) “キャラクター紹介: HUSCAP",北海道大学学術成
t
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p:
/
/eprints.
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果コレクション HUSCAP. h
hoku
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8
1
2
2
7
)
5)荒谷宏美ロゴ&マスコットキャラクラー募集はひ
と粒で何度もおいしい.大学の図書館. 2
0
0
8,vo
.
1
2
7,
n
o
.
9,p.
17
6
1
7
8
.
6)この他には,筑波大学附属図 書館,お茶の水女子
大学附属図書館などがある
また, 2008年中に
キャラクターの募集もしくは公表をした大学図 書
O
20
7) American L
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・2
7
)
2
0
0
8
1
2
8) 仁 上 幸 治 図 書 館 グ ッ ズ が 利 用 者 と 館 員 を 変 え
る イ メ ー ジ 戦 略 の 先 進 事 例 . 第 9回図書館総合
展フォーラム講演会, 2007年 1
1月 8日(於.パシ
フィコ横浜)
9)企画広報研究分科会は,私立大学図書館協会東地
区部会研究部における分科会のひとつである 。分
科会の種類として,この他に,分類,情報リテラ
シー, レファレンスなどがある 。 これらの分科会
は 2年を 1期として分科会員の募集が行なわれ
ている 。
1
0
) 私立大学図 書館協会東地区部会研究部企画広報研
究分科会編.図 書館広報実践ハンドブック :広報
戦 略 の 前 面 展 開 を 目 指 し て . 日本図 書 館協会,
2
0
0
2,3
0
3
p
.
1
1)私立大学図 書館協会東地区部会研究部企画広報研
究分科会パスファインダーパンク h
t
t
p:
/
/www
.
l
o
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g/e-kenkyu/kikaku/
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0
0
8
1
2
2
7)
1
2)企画広報研究分科会. L
i
b.
PR :図書館広報実践支援
サイト. h
t
t
p:
/
/www.jaspu
.
l
org/e-kenkyu/kikaku/
1e
)(
a
c
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0
8
1
2
2
7
)
l
i
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p
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0
1
1
1
il
1
3)石川敬史ほか.学んだ知識とヒントを活かすのは
実践 力 す ぐ で き る こ と か ら 主 体 的 に . 図 書館
雑
誌
,
'
t
.2
0
0
7,vol
.
l0
1,no.
11,p.
7
6
97
7
0
.
1
4)共同制作の歴史については,次の文献にまとめら
れている ① 前掲 1
0,②仁上幸治.広報活動におけ
る相互協力の拡大:ポスター ・本の某の共同制作
の歩み.私立大学図 書館協会報. 1
986,1
1
0
.
8
6,p
.
6
5
O
1
1
0
.
) 企画広報研究分科会私
1
5)企画広報研究分科会(12
立大学図書館協会会報 1
9
9
4
.no.
10
2,p.
26
2
9
4②参照
1
6
) 前掲 1
1
7)前 波 尚 樹 ポ ス タ ー デ ザ イ ン 決 定 広 報 手 段 の 共
同制作参加館募集開始.図 書館雑誌 1
992,vo
.
1
86,
1
1
0
.
1
2,p
.
9
2
5
1
8)企画広報研究分科会.完成
I
ひょうたん島」のポ
ス タ ー : 本 の し お り ・ 掲 示 用 紙 も . 図 書 館雑誌.
1
9
9
2,vo
.
1
8
6,1
1
0
.
4,p
.
2
4
6
2
4
7
.
1
9)企画広報研究分科会(13)企 画 広 報 研 究 分 科 会 私
立大学図書館協会会報.1
9
9
5,1
1
0
.
1
0
4,p.
32
3
5
2
0
) 日本図書館協会.図 書館の広報活動に:ポスター,
掲示用紙,しおり.頒布開始のご案内図書館 雑 誌
1
9
9
4,vo
.
l8
8,1
1
0.
12
,目次前付けページ
21
)1
9
9
5,1
9
9
8年版は,分科会の OBの仁上幸 治(早稲
回大学図 書館),小田切良友(相模女子大学 附属図
書館)らがコンサルティングを引き受けた 。
22) 日本図書館協会.9
6年版図書館広報ツール製作・頒
布のご案内.図書館 雑 誌 1
9
9
6,vo
.
1
9
0,1
1
0
.
1,目次前付
大学図書館研究 LXXXV (
2
0
0
9
.
3
)
けページ.
2
3
) 日本図書館協会.図書館の広報ツール.制作 ・頒布
のお知らせ.図書館雑誌.1
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) 眺 め て 楽 し く , 注 文 す る と も っ と 嬉 し い : ALA
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) 予約をしませんか.オリジナル「りてらしい JT
シャツ.利用教育委員会通信.2
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6)仁上幸治.りてら式人生 :旅は情報活用術の良い応
用 問 題 .利 用 教 育 委 員 会 通 信 . 2
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) 秋山朋子ほか.図書館広報手段と I
広報実践支援サイト」の立ち上げについて:図書
館のベンリ!を利用者に伝える.私立大学図書館協
済学部図書センター,東洋学園大学図書館)と,
2007年度申込館を対象に実施したアンケート調査
において独特な活用法を回答した 1館(湘北短期大
学図書館)から選んだ。
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) 学習院大学通信: COMPASS.2
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) エンパワーメントプログラムとは,学生に本を読
む面白さを知ってもらい,知的世界への興味を引
き出すことを目的としたものであり,図書の企画
展示など様々な試みを実施している 。
3
7
) 今回のアンケートに回答した後,ビニールバッグ
の活用方法も決定されている 。 「マナーアップ&読
書週間キャンペ ーン」と連動させてクイズ回答者
へのプレゼントとして利用者に提供している 。
“図書館からのお知らせ平成 2
0年 度 湘 北 短 期 大 学
図書館案内所. h
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)第1
0期のメンバーは次の通りである(図書館名は
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) 国立情報学研究所学術基盤推進部基盤企画課教育
1
洛)。奥原由美子(専修大学).前之園香世子(昭
研修事業担当“教育研修事業ーカリキュラムおよ
和女子大学),山田 美佐子(青山学院大学),中村
び過去の講義資料/成果物
因子(東洋学園大学),中沢恵子(日本女子大学)。
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)フジモトマサル フジモトマサルの仕事.
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) フジモトマサル氏は, 2
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5年 1
2月まで 『月刊ちくま j (筑摩書房)の表紙
を手がけていた。
3
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) 石川敬史ほか.図 書館広報活動の共有 化と相 互支
援:現場の力を活かし可能性を探る私立大学図書
館協会会報 2
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31)第 1
1期のメンバーは次の通りである(図書館名は
略)。 富田喜恵(中央学院大学),萩原朝子(東洋
英和女学院大学),高橋瑞江(桜美林大学),関口
千登世(城西大学),中山絵里(東洋大学),鏑木
恵美(東京国際大学),生野諭(多摩 美術大学),
遠山有紀(学習院大学),清水弥生子(東洋学園大
学),石川敬史 (工学院大学)。
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) Tomoko Ishikawamoo's g
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)図書館を活用しよう:広報グッズはネットで.
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)
1期分科会メンバーの所属館のうち特徴
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) 3館は,第 1
的な活用法を実践した 2館(学習院大学法学部・経
平成 1
9年 度 カ リ キ ュ
ラムおよび講義資料¥国立情報学研究所教育研修
事業. h
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) 前掲 1
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) 山中湖情報創造館は,山中湖村教育委員会より,
NPO法人地域資料デジタル化研究会へ指定管理者
として運営を委託されている 。
41)国立大学図 書館協会東京地区・関東甲信越地区合
同事業.大学図書館職員研修.a
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! ライブラリー:
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9年 1月 2
9日 (於:
大学図書館効果的広報戦略 2
東京大学総合図書館)
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) 図書 館 の 未 来 を つ く る ワ ー ク シ ョ ッ プ
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)I
ライブラリー・グッズの調査・研究と企画・開発」
(研究期間 :平成 2
0年 1
2月から平成 2
1年 1
1月ま
で)主要研究者:戸田光昭(駿河台大学名誉教授),
仁上幸治(早稲田大学図書館),石川敬史(工学院
大学図書館)ほか
<2009.
1.
9 受 理 た け お りょう 女子栄養大学図書
館,とおやま ゆき 学習院大学法学部 ・経 済学図書
センター,しみず
やえこ
パス図書館,いしかわ
東洋学園大学本郷キャン
たかし
工学院大学図書館>
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共同制作からはじめる図書館広報グ ッズの作成
TAI{EORyo,TOYAMAYuki,SHIMIZUYaeko,ISHIKAWATakashi
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