【最終版】2015-05-23_CJS_Graduation.docx 1 留学生別科 修了式 2015年5月23日(土) 13:00~ 留学生別科修了式 学長挨拶 Flatten Hall 留学生別科を修了された皆様、おめでとうございます。そして、在 学中に留学生を支えてくださったHost Familyの皆様、地域社会の 皆様、本当にありがとうございました。今年もまた別科の修了生を世 界に送り出すことができるのは皆様のお陰です。心から感謝を申し 上げます。 さて、別科のプログラムを無事に終了した皆さん、おめでとうござ います。本当にご苦労様でした。皆さんはたぶん分かっていると思 いますが、日本語を学ぶことに「終了」という言葉は無意味です。もう 45年間頑張っている私ですが、やはりNeverending Storyです。「お めでとうございます。ご苦労様でした」で終わることではありません。 むしろ、南山大学で学んだことを生かしながら、皆さんは末永く日本 語との戦いを続けるでしょう、と私は確信しています。 ところで、私の学部の授業であれば、試験前の最後の授業でチョ コレートを配る伝統があります。私の授業を履修してくださった学生 に対する感謝の印であると共に、授業評価を甘くするという狙いもあ ります。だから、別科の厳しい教育に堪え忍んだ皆さんにもプレゼン トをあげたいと思いますが、これは口で食べるモノではなく、耳で聞く モノ、皆さんに考えて頂きたいお話です。 テーマは「試験」です。多少抽象的なテーマに聞こえるかもしれま せんが、皆さんにとって実に身近な内容です。具体的には、皆さん が身につけた日本語の語学力を測るテストはあるのでしょうか?あ れば、どのようなテストでしょうか、というような内容です。 皆さんが別科で受けた教育はある意味で息の長いテストではない かと私は思います。何故かというと、色々な授業を受け、課された宿 題をやり、文法のルールに従って発言したり、文章を書いたりして、 つまり先生が教えてくださったルールに従って動いたので、皆さん は別科のプログラムを無事に終了することが出来たのです。考えて みれば、これはビデオゲームのレベルに似たような構造です―自分 が現在どこのレベルで止まっているのかわかるのです。修了証に書 いてある数値は、今日、2015年5月23日の時点で獲得した語学力 のレベルを表す数値です。 【最終版】2015-05-23_CJS_Graduation.docx 2 留学生別科 修了式 言うまでもなく、これで全て終わりと言う意味ではありません。日本 語という言葉に「これで十分だ」という到達点はないからです。しか し、ここで皆さんにもう一つ考えていただきたいことがあります。 この修了式から始まる、一生涯のチャレンジは単なる語学力のレ ベルアップだけではありません。南山大学で学んだ日本語と日本文 化は皆さんのキャリアに役立つ基礎となっているに違いありません。 しかし、南山で過ごした時間を振り返るときには何を学んだかよりも、 誰と一緒に学んだかはもっと大事のではないかと私は思います。 「は」と「が」の違いを理解しようとする苦労と挫折を一緒に味わった 仲間、日本文化に出会って、自分がいつまでも「外人」ではないかと いう戸惑いの向こうに見えてきた人間関係こそ、人と人とを結ぶ絆と なり、皆さんにとっても試験では評価できない、本当の価値がある力 になると思います。 別科のプログラムは終了しましたが、試験はまだ終わっていませ ん。互いの違いを積極的に受け入れる「人間の尊厳」、国境を越え た相互の理解と友情が今後の皆さんにとって人生の試験に挑む際 の原動力となることを祈って、餞(はなむけ)のことばとします。
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