バーコードプリンタの基礎 - 日本自動認識システム協会

《バーコードプリンタ基礎編》
(社)日本自動認識システム協会
プリンタ・サプライ部会
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目次
Ⅰ
バーコードプリンタの印字方式
◆バーコードプリンタの利点
◆バーコードプリンタへのデータ送信
Ⅱ
サーマル方式プリンタについて
Ⅲ
サーマルヘッドに関して
◆サーマルヘッドの形状
◆サーマルヘッド各形状の特徴
◆サーマルヘッド寿命
Ⅳ
用紙搬送方式について
◆センサー方式について
◆駆動モーターに関して
Ⅴ
メモリーについて
Ⅵ
インターフェイスについて
Ⅶ
サプライについて
◆用紙の種類
◆インクリボンについて
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Ⅰ.バーコードプリンタの印字方式?
プリンタには、レーザープリンタ・インクジェットプリンタ・ドットインパクトプリンタ等色々な印
字方式のものがあります。以前は印字方式によって分類することが多く、殆どのバーコードプリンタが
サーマル方式となっていましたが、最近ではインクジェット方式のバーコードプリンタ等があり、一般
的なプリンタとバーコードプリンタを区別する厳格な決め手が無くなってまいりました。
そこで私自身が社内にて講習等をする際には、バーコードプリンタとは本体のメモリ内に一定のフォ
ント(文字やバーコードフォント等)を内蔵しているプリンタを総称してバーコードプリンタと呼んで
います。
◆各バーコードプリンタの特徴
印字方式別に各内容について比較すると
印字方式
サーマル方式
インクジェット方式
レーザー方式
オフセット印刷
スループット
早い
印刷時間が遅い
イメージ生成が遅い
非常に早い
ランニングコスト
単価が安い
専用用紙が必要な場合
トナーを使用し高い
大量印刷時には安い。
機能により異なるが、安
非常に高い
が多い、単価が高い。
インクも必要
プリンタ価格
非常に安価∼高額
業務用は高額
価なものは少ない。
P-ON か ら 印 字 開
機器が立ち上げれば即
ヘッドクリーニングが
余熱時間が必要な為、か
発注から納品まで非常
始まで
印刷可能
必要な為遅くなる
なり遅い
に時間がかかる
対応用紙サイズ
幅 0.5 インチ∼12 インチ
幅 2 インチ∼12 インチ
A7 サイズ∼A3 サイズ
面付けにより極小から
極大まで可能
消耗品
サーマルヘッド
インク
(用紙は除く)
インクリボン
解像度
実用的には最高 600dpi
トナー
インク、型またはフィル
ム、
業務用では 600dpi 程度
600dpi 程度
-
程度
本体サイズ
小型∼中型
小型∼中型
中型∼大型
非常に大型
カラー印刷
カラーリボンにより多
カラー印字可能
連続紙には未対応
同印字大量印刷に効果
色印字可能※1
写真画質に対応
あり、オンデマンド印刷
2色感熱紙により可能
には向かない。
サーマル方式のバーコードプリンタは小ロッドずつ違うデータを印字する場合や、必要なもの
を必要な枚数だけすぐに欲しいといったオンデマンド印刷のような場合、また持ち運んで現場に
て発行即貼り付けする小型プリンタが必要な場合に非常に効果を発揮します。これがサーマル方
式のバーコードプリンタが広く活用されている理由となります。
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しかし他の印字方式も最近では弱点となる部分を改善し、用途によってはとても使いやすくな
っていたりしますので、フルカラー印刷等の付加価値を高めた印字方式でのバーコード印刷もも
っと活用される事になると考えられます。
インクジェット方式では、コンシューマー向けに培われた技術を業務用に応用するなどで、小
型低価格帯でオートカッター付のプリンタなどが開発されたりしています。
レーザープリンターでも小型の単枚の用紙に対応するような開発や、ランニングコストの圧縮
や本体サイズの小型化を行っています。
◆バーコードプリンタへの転送データ
バーコードプリンタはメモリ内にフォントを内蔵しているとお話いたしましたが、これにより
一般的なプリンタと大きく違う事があります。それは通常のプリンタへ印字したい情報を送ると
きには、プリンタのドットに合わせてそのドットが印字をするのかしないのかの情報を 1 ドット
ずつ送っていました。またそれを印字したいライン分繰り返し情報を送信します。実際はその情
報を色々な方法で圧縮して送信しますが、それでもその送信される情報量は非常に大きくなりま
す。このため、プリンタドライバを使用しての印刷等では印刷指示から発行開始をするまでに非
常に時間がかかってしまいます。
それではバーコードプリンタではどのように情報を送信しているかといいますと、一部は上記
と同じようにイメージデータとして送信をしていますが、殆どはメモリ内に搭載しているフォン
トを使用しますので、送信するデータではそのフォントをどのような条件で使用するかのパラメ
ーターを送信する事となります。
① 印字する座標(縦・横の印字原点が用紙の原点から相対的にどこに位置するかの情報)
② 文字種(文字やバーコード等どのフォントを使用するか)
③ 文字のサイズ(文字の倍率やバーコードの密度や高さ)
④ 文字の回転(印字原点を中心にどのくらい回転させるか)
⑤ 印字する内容
もっと細かな情報は有りますが、概ねこの程度の情報を送信すれば印字できます。
送信されるパラメーターは、プリンタメーカー毎に色々なコマンド体系を使用している為に、その
コマンドに添った設定を送信する必要がある。また、同じメーカーでも機種が違ったり特殊な動作
をする機種の場合には、コマンド体系が微妙に違ったり特殊コマンドを追加されていたりする事が
ある。詳細は各社が提供するコマンドリファレンスの記述を確認する事が必要である。しかしこの
コマンド自体を意識しなくても、通常はプリンタドライバを使用したり、プリンタメーカーやサー
ドパーティが用意している汎用や専用のアプリケーションソフトを使用することにより、簡単にレ
イアウト作成や発行作業が行えるようになる。
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《コマンドでの送信データとイメージデータを比較》
実際のデータで比較してみると(比較するコマンドは ZebraPrinter の ZPL2 を参考にします。)
例)JAN13 バーコードを高さ 20mmで印字する場合のコマンドとイメージデータのサンプル
●コマンドでの送信データ
^XA^MCY^XZ^XA^FWN^CFD,24^PW437^LH0,0^CI0^PR2^MNY^MTT^MMT^MD0^PON^PMN^LRN^XZ
^XA^MCY^XZ^XA^DFR:TEMP_FMT.ZPL^LRN^BY2^FO98,166^BEN,118,N,N^FD491234567890^FS^XZ
^XA^XFR:TEMP_FMT.ZPL^PQ1,0,1,Y^XZ^XA^IDR:TEMP_FMT.ZPL^XZ
●イメージデータを圧縮して送信したデータ
^XA^MCY^XZ^XA^FWN^CFD,24^PW279^LH0,0^CI0^PR2^MNY^MTT^MMT^MD0^PON^PMN^LRN^XZ
^XA^MCY^XZ
DGR:Img00021,03984,024,
HC0CF3C3C30F3FHC3FH3F0KC03030C303F30FCI3F0HC:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::HCgG0HCgG0HC:::::
DGR:Img00031,00048,004,,:06,0E,1A,32,62,7F80,02,:,:
DGR:Img00041,00096,008,,:3E0103F0FC060FC0630F06318C0E08,6103063H0C1A0B,6303H07038321HC03D03H0CH0C62H0600
1030181867F8040630306018C0218C03C0307F8F8020F80,:
DGR:Img00051,00096,008,,:1F1FC3E0F83F,21H0C6H18C61,6I086H1846180,7F0181E18C4180,61010630FH4180,610306180
46180,230206H18C63,1E0603E0F01E,,:
^XA^DFR:TEMP_FMT.ZPL^LRN
^FO56,16^XGImg00021,1,1^FS
^FO41,176^XGImg00031,1,1^FS
^FO74,176^XGImg00041,1,1^FS
^FO173,176^XGImg00051,1,1^FS
^XZ
^XA^XFR:TEMP_FMT.ZPL^PQ1,0,1,Y^XZ
^XA^IDR:TEMP_FMT.ZPL^XZ
上記のようにコマンドだけで送信した場合と、イメージデータを圧縮して送信した場合ではデータ量
は数倍から数十倍違いがある。(圧縮しなければデータ量は数百倍になることもある。)
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このようにバーコードプリンタでは予めプリンタ内部にフォントを搭載する事により、スループット
を向上することができる。
※スループット
印刷指示を行った時からデータがプリンタに転送されて、印字が完了するまでにかかる時間をスループット
といいます。スループットに関係する項目は、1)ホストの処理時間、2)転送時間、3)プリンタの各処理時
間、4)用紙の搬送時間(単枚の場合に関る)、5)印字スピードの 5 項目がありプリンタだけのスペックを比
較する場合では 1)2)を考慮しない場合が多い。
Ⅱサーマル方式プリンタについて
上記のようにバーコードプリンタでは、サーマル方式が圧倒的に多く流通していますので、今回はサ
ーマル方式のバーコードプリンタについて詳しくお話を致します。
サーマル方式のプリンタでも大別すると、インクリボンを使用する熱転写方式とインクリボンを使用
しないダイレクトサーマル(感熱)方式があります。それぞれの特徴は以下のようになります。
印字方式
ランニングコスト
熱転写方式
ダイレクトサーマル方式
高い/インクリボンを使用するため若干ア 安価/用紙自体はコストアップするが、イ
ップする。
ンクリボンを使用しないため安価。
高い/インクリボンを巻き取る機構が必要 安価/機構が簡単な為安価に設計できる。
機器本体価格
機器大きさ
印字物の耐候性
使用用途
※1
な為機器本体価格はアップする。
大きい/インクリボン巻取り機構があるた 小さい/機構が簡単な為、小型化しやす
め大きくなりやすい。
い。
強い/耐候性は使用するリボンにより違い 弱い/耐光性、耐熱性、耐擦過性どれも熱
があるが、比較的強い。
転写方式より弱い。
※1
アパレル、薬品等(貼付期間が長時間にな 食品、物流等(使用量が多く、貼付期間
るもの)
が短時間になるもの)
最近は従来に比べて耐候性に優れた感熱紙があり、日に晒されてもあまり変色しないものもある。
Ⅲサーマルヘッドに関して
サーマルヘッドを使用して印字する原理の簡単な説明としては、サーマルヘッドを構成している一本
ずつの細かい発熱抵抗体に電流を流して、変換された熱がインクリボンを溶かしたり、感熱紙を発色
させることによって印刷を行います。
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この発熱抵抗体の大きさが印字の細かさにつながり、ドット密度や解像度といった表現をされます。
サーマルヘッドのミリ8ドットとか12ドットというものは、1mmの中に何本の発熱抵抗体がある
のかを、表す単位です。デジカメ等で30万画素とか200万画素等、言われますが、当然画素数が
多ければ、キメ細やかに表示しやすい様にサーマルヘッドのドット密度も 1mmの中に多ければ多い程、
滑らかな文字を表現できます。例えばミリ8ドットのサーマルヘッドで、1ドットで印字すると細すぎ
て、2ドットだと太すぎたものが、ヘッド密度を12ドットにすれば、2ドットでちょうど良い太さ
になるということもあります。
ちなみにドット密度と印字の太さは以下のようになります。(注:印字濃度により変化します)
ヘッド密度
1ドット
2ドット
3ドット
4ドット
8 ドット/mm(203dpi)
0.125mm
0.250mm
0.375mm
0.500mm
12 ドット/mm(304dpi)
0.083mm
0.167mm
0.250mm
0.333mm
16 ドット/mm(406dpi)
0.063mm
0.125mm
0.188mm
0.250mm
24 ドット/mm(609dpi)
0.042mm
0.083mm
0.125mm
0.167mm
※小数点第 4 位で四捨五入
単位はドット/ミリやドット/インチ(dpi)の両方の表現が混在していますが、最近はドット/インチ
(dpi)の表現が主流と感じます。プリンタ業界ではミリ単位よりインチ単位の方が多く使用されて
いるからです。
過去は 150dpi から 200dpi が殆どでしたが、現在は 300dpi のサーマルヘッドの価格がこなれてきた
関係もあり 200dpi から 300dpi が大多数を占めています。これは「できるだけ省スペースにできるだ
け多くの情報を」といった市場の要求を満たす為に、高密度のバーコードや 2 次元バーコードが必要
となってきた事に関係します。
高密度のサーマルヘッドとして、販売されているプリンタでは24ドット/ミリ(600dpi)が最高密
度値となっています。
※dpi であらわすと微妙に数値が違うものが存在するが、1 インチは 25.4mmであるから、12 ドット/
mmでは 12×25.4=304.8 となる。逆に 300dpi をmm単位であらわすと 300÷25.4≒11.8 ドット/mm
とあらわせる。
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◆サーマルヘッドの形状
メディア(用紙)や条件によって使用するサーマルヘッドの形状は幾つか種類があります。
大別すると、平面タイプ(フラットタイプ)、端面タイプ、エッジタイプの 3 種類があります。
PIC-1:平面タイプ
PIC-2:平面タイプ側面
PIC-3:端面タイプ
PIC-4 端面タイプ側面
PIC-5:エッジタイプ
PIC-6:エッジタイプ側面
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◆サーマルヘッド各タイプの特徴
平面タイプ
加工精度
端面タイプ
エッジタイプ
製造・加工が比較的容易 製造・加工が難しい。先 製造・加工はやや難しい
な為、歩留まりがよい
端部分に平行に発熱体 ので、比較的容易なニア
を配置する事が
取り付け位置調整
エッジが主流
取り付け位置は前後に 発熱体部分が先端に着 容易さは平面タイプと
ずらすオフセットの調 いているため、取り付け 端面タイプの中間。
整だけでよい。
位置の調整が難しい場
合がある。
加圧
用紙(メディア)に接す 用紙に接する部分が線 単位過重は両タイプの
る部分が面になる為、同 になる為、単位面積あた 中間、性質は端面とほぼ
じ過重であれば,単位面 りの過重が大きくなる。 同等。
積あたりの過重が少な 表面の粗いメディアで
い。表面が粗いメディア 谷の部分に食い込むこ
の時に押し潰せない。
特徴
とが出来る。
用紙(メディア)を曲線 用紙(メディア)をまっ 平面と端面の双方のよ
に搬送しながら印字を すぐに搬送する事がで いところを兼ね備えて
行う。
きる。ヘッドの直後にセ いる。反面
発熱体と用紙センサー ンサー等を配置する事
の位置を離れて配置す ができるので、印字位置
る事が難点。
精度が出やすい。カード
プリンタ等で使用され
ることが多い。
形状の簡略図
形状以外にサーマルヘッドでは発熱体をカバーする保護膜部分により、圧膜方式・薄膜方式がある。
薄膜方式では、用紙やインクリボンに熱が伝わりやすくなるが、反面保護膜部分が薄い為に耐磨耗性
が劣る。また蓄熱に弱い為に、履歴制御等により熱効率が均等にかかるよう履歴制御等の機能を有し
ている場合が多い。
圧膜方式では、耐磨耗性や放熱効果が高いが、微妙な熱調整が難しく履歴制御等の機能は有していな
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い。
◆サーマルヘッドの寿命
このサーマルヘッドは基本的に消耗部品と考えられています。非常に高額でバーコードプリンタの根
幹をなすパーツでは有りますが、使用すればするほど消耗し最終的に破損してしまいます。
この寿命に影響する要因は幾つかあります。
① 電気的負荷
② 印字内容
③ 放熱処理(蓄熱)
④ サーマルヘッドの汚れ
⑤ 印字スピード
⑥ インクリボンの成分/バックコート
⑦ 用紙の成分/表面加工
⑧ 印字圧力(ヘッドアップダウンをする場合には衝撃も含む)
⑨ 静電気
また寿命とは電気的な「パルス寿命」と物理的な「走行寿命」があります。上記の影響の中で①∼⑤
は「パルス寿命」に影響し、⑤∼⑧は「走行寿命」に影響します。また、⑨はサーマルヘッドの電気回
路の破損にもつながります。
1) パルス寿命:1×107∼108 パルス(ヘッドの種類により異なります。)
発熱抵抗体が指定されたエネルギーで何回の発熱ができるかというも
のです。寿命がつきると抵抗値のUPまたは抵抗体の破損に至ります。
※参考 1
200dpi のプリンタで 100mm/s で縦方向の罫線を連続印字した場合、パルス寿命が 1×108
ならば約 34 時間(12.5km)で寿命になります。一般にタグ印字の縦方向の印字密度は 1/5
以下ですので、約 173 時間(62.5km)以上の寿命
とみなされます。
※参考 2
パルス寿命は電球に例えると理解しやすいと思います。
電球内のフィラメントが古くなってくると、抵抗値が高くなって段々暗くなってきます。それ
をもっと使用すれば切れてしまいます。
サーマルヘッドの場合も同じように段々と抵抗値が高くなってゆき、平均抵抗値の 15%程度
(プリンタメーカーや機器により違う)高くなると、発熱体の破損(ドット抜け)と認識します。
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2) 走行寿命
:30∼150km(ヘッドの種類により異なります。)
発熱体を保護する保護膜が、タグ等で削られたり、ヒビが入って、抵抗値のUPま
たは、抵抗体の破損に至ります。環境(ほこり)・リボンの材質・タグの厚さ等に
よりかなり変化します。
※参考 3
印字スピードを 100mm/s で連続印字を行った場合、走行寿命が 30kmならば約 83 時間
で
寿命になります。
Ⅳ用紙の搬送方式に関して
◆センサーについて
プリンタでは用紙(メディア)を一枚ずつ搬送しながら印字を行っていますが、その一枚ずつをど
のように認識しているかというと、フォトセンサーという発光部と受光部を持ったセンサーを使用
して一枚ずつを検地しています。フォトセンサーには透過式センサーや反射式センサーを使用しま
す。また、ロール式の用紙の場合に一枚毎の分け目がない連続した用紙を使用する場合があり、こ
の場合はプリンタ自身の持っているドットピッチによって送りピッチを計算して印字を行ってい
ます。但し、センサー方式の場合もこのドットピッチによって原点からの距離を計算して、指示さ
れた位置に印字を行うようにしています。
正確な位置情報を得る為には、正確に用紙を搬送する必要がありこのために駆動用モーターにパル
スモーター(ステッピングモーター)を使用しています。
PIC-7:透過センサー
PIC-8:反射センサー
※透過式センサーと反射式センサーについては、用紙の種類の項目を参照
◆駆動モーター(ステッピングモーター)について
プリンタに使用している駆動用モーターはパルスモーター(ステッピングモーター)といって、プラモ
デルのモーターのように通電している間中、回転しているDCモーターと違って信号(パルス)を受け
るごとに決められた角度分回転するようなモーターです。これによって何回信号を送れば、何度回転
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しその駆動力が、用紙(メディア)を何ミリ搬送したかが認識できます。
Ⅴメモリーについて
プリンタには動作する為に各種のメモリを実装しています。メモリには RAM(ランダムアクセスメモ
リー)・ROM(リードオンリーメモリー)があり、RAM にも SRAM や DRAM、FLASH といった種類が存在す
る。プリンタでは動作する為に必要なプログラムや印字レイアウトを展開する為の領域、受信したデー
タを一時的にためて置くバッファ等いろいろなメモリを使用しています。
以前は、プログラムデータは ROM に保存して、バージョンアップ等の場合は ROM の交換をする必要があ
り、専門の技術員が作業を行っていました。現在は殆どのプリンタがフラッシュメモリーにプログラム
を保存している為、一定の手順を行えばパソコンとケーブル等により接続されていることを条件に、プ
ログラムをダウンロードしてバージョンアップが可能となりました。
プリンタに保存(登録)されている情報は、パソコンと比較するとわかりやすくなります。
<パソコン>
<プリンタ>
BIOS
ローダープログラム(以前はエンジン ROM 等であった。)
OS(Win98、Me、XP 等)
メインプログラム(ファームウェアとも言う。以前はアプリケーション ROM 等であった。)
各種ソフト
各種レイアウト(フォーマットレイアウト等/スタンドアロンプリンタの場合)
コントロールパネル(Windows)
各種設定項目
Ⅵインターフェイスについて
インターフェイスとはホストとプリンタがデータを送受信する入出力装置や入出力方法と考えて
ください。
通常はシリアルポート(RS-232C/485、USB 等)、パラレルポート、LAN、無線(IrDA、Bluetooth、
WLAN/IEEE802.11a/b/g)、また SCSI や IEEE1394 等々送信方法や規格にさまざまな種類があります。
最初にお話を致しましたが、かつてはバーコードプリンタでのデータ転送はコマンドでの転送が多か
ったので、それ程転送速度が速くなくても対処する事ができました。しかし最近はカラー印字や画像
等のイメージでの印字が多くなりましたことと、転送速度が高速化した規格が標準でパソコンに搭載
されている事が多くなった為に、プリンタも各種のインターフェイスに対応するようになりました。
プリンタは受け取ったデータを受信バッファに一時的に溜めてから、少しずつデータを取り出して解
析をします。問題がなければ、イメージ展開エリア(イメージバッファ)にて印字データを展開して
から印字を開始いたします。
この受信バッファは最近かなり大容量になってきましたが、それでも大量にデータを送信する場合
は印字処理速度を上回るデータ転送となり、受信バッファが一杯になってしまいます。受信バッファ
が一杯になってもデータ転送がそのまま継続しますと、受信できなかったデータが欠落してしまい正
常な印字を行えなくなる現象が発生します。これを防ぐ為にホストとプリンタの間では、受信バッフ
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ァが一杯になるとデータ転送を一次停止し、受信バッファに空きができると転送を再開します。これ
をハンドシェイク(フロー制御)といいます。
インターフェイスによっても方法は違いますが、双方向通信が可能な場合は幾つか方法があります
ので、ご紹介します。
●X-ON/OFF 制御
機種によって違いますが、受信バッファの残容量が 10∼20%程度になったら X-OFF(13hex)信号
をプリンタからホストに送信し、逆に残容量が 80∼90%に回復すると X-ON(11HEX)信号をプリンタ
からホストに送信します。※X-ON/OFF の時に送信する信号は場合によっては、違う事があります。
●ハードウェア制御
DTR(Data Terminal Ready)や RTS(Request to Send)の信号線を使用して、電源投入後や各種テスト
終了後に信号線を ON にし、プリンタがデータ受信可能になった場合にも信号線を ON にしてホスト側
に送信許可状態を知らせます。また、受信バッファと連動してバッファフルになった場合には信号線
を OFF にします。
●ステータス制御
上記の制御とは違い、ホストが要求をした場合にプリンタの現在の状況を返信することで、ホスト
がデータ送信をしてもよいかの判断をする方法です。
機種によって返信できる項目は違いますが、残バッファ容量・使用中バッファ容量・未印字枚数・未
印字バッチ数・印字中ファーマット名・印字中バッチ名・プリンタの状態(停止中・発行中・エラー
発生中等)等を返信します。
Ⅶサプライについて
用紙(メディア)には紙や PET のようなカード等色々な材質や形状があります。また、インクリボ
ンにも種類が多くあり、この組み合わせにより最終的にアウトプットされたものが、皆さんの要望に
あったものになるかどうかが変わってしまいます。用紙の材質はあまりにも多種ございますので、こ
こでは加工された形状を解説させていただきます。また、インクリボンは材質の特徴を理解して頂こ
うと思います。
◆用紙(メディア)について
用紙は、ロール上になったものや、折りたたんであるもの、一枚ごとに成型されたもの等があり
ます。また、シールになっているラベルや厚紙となっているタグ等があります。
・ ロール
・ ファンフォールド
・ 単枚(シート・カード等)
用紙搬送の項目にてお話を致しましたが、プリンタは 1 枚毎の用紙を正しく認識する事によって、
正確な位置に印字を行うことができます。そのために用紙には、センサーが検地できる為のマーク
等を一枚毎につけて成型されています。
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このマーク等が幾つかありますので、ご紹介いたします。
マークの種類
使用できるセンサー種
ブラックマーク(裏マーク等)
形状
反射センサー(場合によって
透過センサー)
アパーチャー(切り欠き、Uカ 透過センサー(場合によって
ット等)
反射センサー)
糸穴(丸い穴、四角ホール等)
反射センサー、透過センサー
マークのないもの (連続紙、テ
なし
ープ、カード等)
◆インクリボンについて
インクリボンには材質的にワックス系・ワックスレジン系(セミレジン)・レジン系があります。
種類
特徴
ワックス系
インク構成の主成分がワックス系であり、耐候性は弱い半面、少ないエネルギー
にて転写されコストも安い。高感度である。
ワ ッ ク ス レ ジ ン 系 ワックス系よりも耐候性が強く、耐擦過性に優れている。ワックス系より若干コ
(セミレジン系)
ストが高い。一般的に高速印字・高品位印字に対応している。
レジン系
多層構造になっている事が多い。耐候性はかなり高いが、高エネルギーを必要と
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する。特に耐熱性と耐溶剤(薬品)性に優れている。コストは一番高い。
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