Ⅶ.飼料設計の考え方

Ⅶ.飼料設計の考え方
!.基 本的 な推奨値 ・要求量 ・留意点
(1)乾 物摂取 の要求
‐
・
‐
表 1 乾 物摂取要求量 (体重比%)(1988.NRC)
子L量/体 重
9 kg
2.5
2.3
2.2
2.1
2.1
2.0
1.9
1.9
1.9
14
2.9
2.7
2.6
2.5
2.4
2.3
2.2
2.1
2.1
18
3.2
3.1
2.9
2.8
2.7
2.5
2.4
2.4
2.4
23
3.6
3.4
3.2
3.1
3.0
2.8
2.7
2.6
2.6
27
3.9
3.7
3.5
3.4
3.2
3.1
3.0
2.9
2.9
32
4.3
4.0
3.8
3.6
3.5
3.3
3.2
3.1
3.1
36
4.7
4.3
4,1
3,8
3.7
3.5
3.4
3.2
3.2
41
5.1
4.7
4.4
4'1
3.9
3.7
3.6
3.4
3.4
45
5.5
5.0
4.7
4,4
4.2
3.9
3.8
3.6
3.6
5.4
5.0
4.8
4.5
4.2
4.0
3.8
3.8
5.4
5.0
4.8
4.5
4.3
4.1
4.1
5.4
5.1
4.8
4.6
4.4
4.4
50
一 一
54
59
※ こ の表での乳量 は、 4%FCM乳
4%FCM=(0.15×
量で す。
乳脂肪率%+0.4)×
乳量 kg
l
L量
要す旱!よ
の年軍│の変わった部分の数値て求めます。
1準雫?す詳 彗摯のジ
体重 635kgで平L量45kgの場合、体重 比 で4.2%の 乾物要求早 IⅢ り事す oll‐
■
は
の求め方
L量
い
、表の中で
体重
と ,場 合
体車 と子 の条 件 の近 い数値 2つ 位 と
1,■‐
,99kg下れ 早‐
│・
見比 べt要 求量4.o%と ぃうような柔軟な考 えを します。 │ ‐
(2)栄 養含量の推奨値
│
表 2 栄 養含量推奨値 (%)(1988・ NRC)
コ
匡kg 500 600 700
ク
ト
脂肪%4.54.03.5
体重増加 .28.33.39
12
63
12
4.4
7.8
21
43
28
51
33
58
37
64
41
24
67
15
5.2
8.7
21
25
30
36
71
16
5.7
9.6
21
33
40
48
75
17
5.9
10.3
19
41
50
60
75
18
6.2
10.4
19
66
41
19
7.0
9.7
21
.77
48
27
.39
24
乾 予L 牛
12
.90
90
1.0
1.0
6
3 周
5
産褥 期 0 ∼
.90%
5
20
7
17
0 0 0 5 5
10
8 8 8 5 5
8
TDNI CP IUIPIDIPIADFINDFI Ca l P IMg l K
1.0
.65
※ 推 奨値 の求め方の例 を下記 に示 します。
3 0kgの場合、 T D N 7 1 の横の欄 を見 ます。
例 1 体 重 600kg脂 肪4.0%体 重増加 0.33kg ttL量
35kgの場合、 乳量 の欄 で3 0 k g と4 0 k g の中間
肪 4.0%体 重増 加0.33kg ttL量
例 2 体 重 650kg I旨
なのでT D N71と75の欄 の間 を計算 して求めます。
-82-
栄養要 求量
表 3 栄 養要求量 (1988.NRC)
364
3.97
386
4.24
406
4.51
428
4.76
449
3.0
28
078
2.73
1.68
3.5
301
084
2.97
1.83
4.0
322
090
3.21
1.98
4.5
343
096
3.45
2.13
5.0
364
101
3.69
2.28
0
2
19
49
20
20
53
21
一 一
0
5
6
0
0
7
体重 kg
18
一 一
0
0
6
後半 2カ 月の維持
46
一
.32
0
0
5
妊娠牛
17
一
増
――. 3 2
2.26
17
一 -2.17
42
一 減
重 l kg
16
8
2
0
0
7
体
15
6
2
0
5
6
牛乳 l kgに対 して
38
4
2
0
0
6
肪
14
2
2
0
5
5
脂
ン D
3.7
g
ヽ
ヽ
ヽ
タ
kg
0
0
5
生 産
ビ A
C a
kg
重 kg
体
C P
P g
項目
維 持
TDN
0
5
7
.978
33
20
38
15
5.62
1.074
39
24
46
18
5.97
1.12
43
26
49
20
6.31
1.165
46
28
53
21
6.65
1.209
49
30
57
23
4.9
※ 要 求量の求め方 は、維持の項 目では該当体重の横並 びの数値。生産の項 目では該当脂肪%の
横並びの数値 に予L量をかけ算 する。体重増 減については、l kg当た りの数値 に変化す るであ
ろう数値 をかけ算する。
要求量 =維 持 十生産 +体 重増減
体重635kg脂 肪3.8%な どの場 合 は下記の換算式を使 い計算 します。
TDN((0.0432×
脂肪%+0.155)X ttL量 )+0.0054X体 重 +0.997(kg)
C P((10.36×
脂肪%+45.867)×
ジL量)+0.566×
体重 +151.66(kg)
(4)そ の他項 目
① NFC(非
表 4 NFC要
構造性炭 水化物 =糖 分、.\,
+v, f>-/>)
求量 (体重比%)
大
消化速度 ‖ 最 小 1最
糖 → ペ クチ ン→ デン プ ン
小麦→大麦→エン麦→コーン→ソルガム
1.4
中
1.0
速や かに
0.8
※ 栄 養濃度 は DM中
1 . 1
図 l NFCの
1.0
35∼40%と
遅
速
し、
分解速度
繊維含量の高 い副産物飼料利用時 は40∼45%に する。
② NDF摂
取量
表 5 NDF摂
取可能量 (体重比 %)
表 6 切 断長 に対す る割引 率
1率(%)
グ ラスヘ イ
0
3
10
20
t\,f + r*7
※ 飼 料中の全NDF量
の75%は 粗飼料か ら確保する。
※ ND・ Fは 全て有効NDFで
考 える。
不明の場合には、一律 12%と 考 える。
※ 穀 類や副産物飼料の有効NDFが
但 し、綿実は18%と する。
※ 粗 飼料のNDFは
DIP・
③ UIP・
DIPは
切断長によって有効率が変わるので表 6に 基 づ き勘案する。
SIP
CP中 の60∼70%。 内 SIPは
50%。
タンパ ク質 (CP)の 要求濃度が高 い程、 UIPの
比率を高 くする。
UIP:DIP(SIP)
40ハΨ30
60^ウ70
④ 環 境要因による摂取可能量
飼養環境の条件によって、摂取できる栄養量に違いが生 じます。
環境 とは物理的な環境 と、マネージメン ト環境 との総合的な環境で考 える。
表 7 環 境要因別摂取可能量
DMI %BW
4.0
3.5
3.0
ENDF
30.0
28.0
25.0
NFC
43.0
36.0
30.0
全炭水化物
73.0
64.0
55.0
※ 環 境 が悪 い程 UIPの
比率を高 くす る。
表 8 脂 肪必要量
③ FAT
給与限度 は条件 によって全飼料 中の 3∼ 7%。
内平均 2∼ 3%は 粗飼料 中 に存在 す る。
植物性脂肪
3.0
3.0
2.5
脂肪添加 は植 物性 50%、 動物性 50%の 比率 が望 ま
動物性脂肪
0
2.0
2.5
しい。
バ イパ ス油脂
0
0
2.0
3.0
5.0
7.0
バ イパ ス油脂は、
ルー メンで不活性 であ る ことが証
合
計
明されて い るものを使用 し、2%を 越 えな いこと。
ー
④の環境要 因の違 い による不足分の エ ネルギ を、脂肪 で補 う場合の必要量 は表 8に 示す ように
なる。
油脂を添加 した場合には、UIPの
比率 を高 くし、 Ca、 Mgを 増給 す る。
│
飼料 設計例
2
(1)_配 合飼料 を使 った設計例
維
042
持
生 産
966
体重増減
077
計
96
1483
設
体 重
定
乳 量
条
F%
件
149
12
063
475
3〈
190
77
058
311
04XM +15XM XF%
必 要 量
0 37
栄 贅 率
粗飼料率
5583%
修 正 (率)
TDN
C P
UIP
DIP
SIP
ADF
NDF
NFC
FAT
P
K
Mg
D M
里合率(給与量)
「
20
17
ll
13
0
7
0
0
5.41
036
052
486
033
2 96
0.48
0
14 94
lllll
0
0
343
0
379
487
022
0.15
097
056
0.84
045
0.37
038
017
0 25
0
0
ルーサンペ レット
90
配
90
大
96
リ
0.45
560
007
038
0
0
270
20 0
361
061
017
538
90
057
015
0
1804
180
333
263
117.0
5 85
165
3.52
0
39,9
212
0
058
1252
949
385,7
ll17
203
456
109
奏
ン
カ
ル
グラスサイレージ
902
2 76
007
0
047
008
0.16
0
025
51.2
0
054
234
220
飼 料 名
グラスサイレージ
3
ルーサンペ レット
配
4
合
大
0.12
リ
2127
合
充
麦
カ
ン
ル
計
足
率
給与方法は分別給与 を想定 し、粗飼料の栄養価 と粗飼料率を勘案 し平均30蛇の乳量 とした。 グ
ラスサイ レー ジの分析値 は、出穂直前位 に刈 り取 りされたであ ろうものの平均的な もの とした:
NDFは
給与方法及 び環境要因 を勘案 し、摂取可能量 を体重比 1%と した。また、表 中に示 し
表 6に 基づ きE一 NDFと した。
必要量の求め方が維持 ・生産 ・体重増 と栄養率に分かれてい るのは、表 3を 使 って求め る場合
た飼料中NDFは
TDNoCP・
ミネラル以外は膨大に計算式を使わなけ ればな らず、手計算では とて も困難で コ
ンピュー タ=を 利用 しなければな らないため。
TDN・
CP・ ミネ ラル以外は、配合飼料のみで徴調整を行 うのは とて も困難なため単味飼料
を組み合わせなければな らない。
DM必 要量中の粗飼料割合の考 え方は、30kg以上の乳量に もある程度対応 できるように粗飼料
率 として55%以 上に設定で きるようにする。
-85-
(2)単 味飼料 を使 った設計例
持
設 定 条 件
維
生 産
体重増減
体 重
乳
6311
量
F%
計
XM XF%
04XM +
0 63
475
必 要 量
058
037
栄 養 率
粗飼料率
修 正 (率)
TDN
C P
UIP
DIP
SIP
ADF
NDF
NFC
4
8
4
3
7
l
11
3
5
7
7
4
P
K
Mg
D M
配合率(給与量)
0 59
025
90
ルーサンペ レット
0 09
90
ビ ー トパ ル プ
90
大
038
003
031
047
0.15
0 37
88
9
0
0
0
0
607
035
014
0∞
O l16
0.04
019
008
0.24
053
093
059
0
0
1493
322
0.34
019
0
0
425
546
064
037
0 22
012
0.12
396
0.12
0.06
003
029
0
0
0
123
豆
ビ ー トパ ル プ
023
065
123.3
973
127
ll16
ル
ルーサンペ レット
大
32.6
粕
カ
478
004
15.3
ン
グラスサイレージ
l
0
755
大
2024
0 27
016
挽 割
リ
99
006
006
llXl
32
405
008
628
0
麦
コ ー ン
麦
195
528
挽 割 コ ー ソ
24.6
107
大
0
0_19
3044
448
21.15
105
100
リ ン
充
粕
豆
カ
△ロ
465
005
0
飼 料 名
グラスサイレージ
56
3
87.7
llXl
Ca
3
3
066
FAT
5659%
ン
計
足
率
給与方法は混合飼料給与 を想定 し、配合飼料 を使用 した設計 と同様 に平均30kgの乳量 とした。
粗飼料 について も、同様 に同 じ栄養価の ものを使用 しNDFに ついても同 じ考 え方 で 1%と した。
この設計例を用 いた場合、 セ ミコンプ リー トと位置 づける ことで繋 ぎ飼 いにおいて も様 々な応
用が考 えられる。乳量 の多 い個体 に対 しては、産褥期 を除 く多 くの場合食 い込み量 も多 くな るの
で、粗飼料 を十分食 い込 ませた上で多 くなった栄養要求量 をバ ランスをとって与 える。
また、群分け しTMRを
行 う場合には、 B群 用の餌 として も利用できる。
※ 実 際 に配合 もしくは単味 を使 って設計する場合、細 かな ところまで手計算で合わ せるのは と
て も時間がかか ります。
さらに単味の設計 には、細 かいノウハ ウがた くさんあ ります。今後飼料設計を考 えて い る方
は、ぜひ普及所 へ問 い合わせて ください。
-86-
T
‐
‐‐‐¨‐……Ⅲ…日中Ⅱ¨口・ロロロ■■■■ ■
■ ■■■■■■■■口■■■■│口│口││││││口 │││││││││││││││││││││││││││││││││
(3)飼 料 設計 表
表 9 飼 料設計表 (村上式改定)
設 定 条 件
③
飼料設計表
■■
Fχ
α4XM +15XM XFχ
合
必 要 ■
C P
K
C
①
室
農
場
普
及
所
名
晨 計 日
栄■睾
発 注 日
修 正 (事)
茨日予定日
配合率(給与■o
南 根
飼
料
6)
名
実難
霧注■
僣
考
τ
設 計 日 ・発 注 日 ・次回予 定 日
設計を した 日、配合飼料や単味飼料 ・ビタミン等を発注 した日。
基本的に次回予定 日は牛群状態を確認 しなか ら、定期的に行 います。
②
設定条件
設計 しようとする牛群または個体 についての、体重 ・乳量 ・平L脂肪率を設定 します。
乳量についての考 え方は、現在出て い る予L量よりも今後出るであろう、 もしくは出て欲 しい乳量に合わせて
③
設定する想定子L量が実際的です。
栄養 要 求 ・含量
必要量 の求める方法 として二 つあ ります。ただ しDM要 求量については、表 1よ り求めます。
し配合飼料 (内容成分が全 て把握できるものを除 く)を 利用する場合や個体毎 の現状に合わせ設計する場合。
表3よ り維持 ・生産 ・体重増減に必要な栄養量を求め、ハDF・ NDF・ Mg等 につぃては表 2・ 4∼ 8
より求め必要量の項 目欄 に記入する。
・内容成分が全 て把握で きる配合飼料 や単味飼料 を利用する場合、群飼 いやTMR(セ
ミコンプ リー トを含
む)で 想定乳量 を設定 し設計する場合。
表 2よ り推奨値を求め栄養率の項 目欄 に記入、 DM必 要量 にかけ算 して求めた量を必要量の項 目欄 に記入
する。
④
飼料 名
実際 に利用 しようとする飼料名を記 入 します。
基本的 にはまず手持ちの飼料 を記入 し③ の必要量 と栄養量が間に合 うか見比
べ て、足 りない分 を他の飼料で
合 わせる方法を取 ります。
⑤
配 合 率 (給与 量 kg)
④ に記入 した飼料の配合率または給与量 を記入 します。また、記入欄が三 カ所あるので配合率 を記入
し隣 に
実際 の給与量を記 入するか、その反対 もで きます。
⑥
栄養成分
各飼料 の栄養成分を記入 します。
入 します。
実際の手法 としては、まず各飼料 の成分含量を記 入 しそれから配合 もしくは給与 される成分量を記
それか ら合計 と充足率を求 め、③の必要量 と見比 べ配合率 や給与量 を見直 します。 この繰 り返 しが実際の飼
料設計 の作業 とな ります。
⑦
購入飼料の発注
飼料設 計 が終 わ り購 入 しなければ な らな い飼料 が決定 したな ら、使 用 す る実袋数、単価 、発注数
一
その金額 を記入 します。 この時 に備考 に 袋 当 た りの重 さを記 入 して お くと便利 です。
③
をかけ算 し
この シ‐ 卜は実際に様 々な局面で使用 できるように、あえて細部の書 き方を規定 しないように してあ ります。
に合 った使 い方 を見
実際 の使用に当た ってはあまり枠 に とらわれずに使 うな り、普及員 と相談 しなか ら自分
つけて ください。
-87