Oracle Service-Oriented Architecture Suite ツールおよびミドルウェアの

Oracle Service-Oriented Architecture Suite
ツールおよびミドルウェアのベストオブブリード
Oracle SOA Suite
SOA ツールおよびミドルウェアのベストオブブリード
エグゼブティブ・サマリー
市場の変化、競争の激化、顧客ニーズの推移によって、IT はこれまで以上の柔軟性とスピードを
求められています。今日どの企業も、グローバルなビジネス環境での変化を予測し、競合他社に
いち早く対抗し、成長に向けて企業資産を最大限に活用する必要性に迫られています。このよう
な課題を受けて、主要企業がアプリケーションや IT 環境の複雑さを克服し目標を達成するため
の手段として採用しつつあるのが、サービス指向アーキテクチャ(SOA)です。SOA は、アプリ
ケーションの設計および開発、レガシー・ビジネス・アプリケーションとの統合を根本的に変革
するものであり、統合と再利用が容易なモジュール型ビジネス・サービスとしてのエンタープラ
イズ・アプリケーションの開発を促します。
Oracle Fusion Architecture は、この SOA をベースに構築されており、高品質な情報に裏付けられた
ビジネスの洞察と、SOA が実現する柔軟なビジネス・プロセスとを継続的に融合することによっ
て、持続可能な競争上の優位をもたらす次世代インフラストラクチャの作成を可能にします。そ
して、包括的な技術基盤を提供する標準 SOA コンポーネントの統一スイートによって Oracle
Fusion Architecture を実現するのが、Oracle SOA Suite です。
Oracle SOA Suite は、各コンポーネントを標準ベースで最適化したスイート製品であり、サービス
指向アプリケーションを構築し、任意のミドルウェア・プラットフォームにデプロイすることが
できます。構成内容は次のとおりです。(1)サービスを開発する統合サービス環境(ISE)、
(2)アプリケーションを統合するマルチプロトコルの Enterprise Service Bus(ESB)、(3)サー
ビスの検出やライフサイクル管理のためのサービス・レジストリ、(4)サービスをビジネス・
プロセスに結合する BPEL ベースのオーケストレーション・エンジン、(5)ビジネス・ポリシー
の取得と自動化を可能にするビジネス・ルール・エンジン、(6)サービスに関する認証および
認可ポリシーを実施し、サービスおよびプロセスの SLA 準拠を監視する、Web サービスの管理お
よびセキュリティ・ソリューション、(7)ソリューション、ビジネス・エンティティとその相
互活動をリアルタイムで視覚化してサービスの最適化を図る Business Activity Monitoring(BAM)、
(8)従業員、顧客、パートナーがコンテンツや関連パフォーマンス・メトリックにアクセスし、
ビジネス・プロセスとの対話を介して協調する企業ポータル。
Oracle SOA Suite は、業界のどのソリューションよりも強力に企業の柔軟性を向上し、コストと、
ミドルウェアの持つ複雑さを軽減します。そして最終的には、最高の TVO(投資価値)を達成で
きます。
1
2
概要
今日どの企業も、グローバルなビジネス環境での変化を予測し、競合他社の動向にいち早く対応し、
成長に向けて企業資産を最大限に活用する必要性に迫られています。既存のエンタープライズ・ア
プリケーション・インフラストラクチャが、ビジネス上のこうした課題に対応できる場合もあれば、
逆に変化を阻害していることも考えられます。有益なインフラストラクチャに必要なのは、以下の
ような条件です。
•
変化を予測し変化に対応する能力 - ビジネス上の事象を展望する能力を高め、新たなビジネス・
サービスを迅速に開発し公開できること。レガシー・システムおよびアプリケーションを刷新す
ること。市場の動向に応じてビジネス・プロセスを最適化できること。
•
組織の生産性の向上 - 正確なビジネス・インテリジェンスによる的確な意思決定を実現するこ
と。従業員が必要な情報を利用でき共有できるよう計らうこと。従業員にも顧客にも、必要なと
きに必要な場面で情報を提供すること。
•
情報技術環境の単純化 - 1 つに結集したインフラストラクチャとして作成およびデプロイされ、
監視、管理できること。
•
既存投資の有効利用 - モジュール化、オープン性と拡張性により、既存のシステムを無駄にす
ることなく追加して異種混合環境でも採用できること。
Oracle SOA Suite は、市場の動向に対する企業の予測および対応能力を向上し、企業の生産性を強化
します。また、既存の投資を無駄にすることなく、情報技術環境を根本から単純化できます。
本ドキュメントでは、Oracle SOA Suite の機能について概略します。
SOA の展望
流動的なビジネス要件、たとえば顧客価値提言の改善、プロセスの効率化をめぐる競争やエンド
ツーエンド・プロセスの供給、新しい規制に対するコンプライアンス、合併や事業統廃合、より的
確な洞察と監査の実現、変更サイクルの短縮化といった要件を達成しようとする IT の目標は、IT 業
界の細分化や技術情報自体の分断化によって阻害されています。
SOA を加速する要因
インフラストラクチャの細分化と複雑化が、IT におけるビジネス・ニーズの達成を阻んでいます。
多くの企業が、独立したレガシー・システムやパッケージ・アプリケーションを使い続けており、
そのほとんどは情報の相互運用性、統合、再利用といった点を考慮されてきませんでした。その結
果、IT 予算の大部分は現在の IT インフラのメンテナンスに費やされ、新たなビジネス機会を促すよ
うな新機軸に割り当てられる予算はごくわずかです。しかも、新たな可能性に対するわずかな予算
でさえ、その大部分は相互運用を満足にサポートできない既存システムに新機能を統合するコスト
だけで消えてゆくのです。実際、Gartner 社の「IT Spending and Demand Survey」でも、現状維持の結
果として企業は、真に新しい機能に対しては 10%足らず、統合にも 12%程度しか IT 予算を計上して
おらず、IT 予算の実に 80%以上がメンテナンスに費やされていると報告されています。
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従来のビジネス情報システムは機能指向で開発されてきたため、サービスと情報の分断化を招い
ていました。エンドツーエンドのビジネス全体では分断化したサービスや情報を幅広く扱わねば
ならないため、ビジネス・ニーズの変化に柔軟に対応できないという根本的な問題がありました。
情報はそれほど細分化され、各システムの奥深くに眠っていたのです。エンタープライズ・アプ
リケーション統合(EAI)など従来のミドルウェア・ソリューションは、システム間の通信を可
能にすることで部分的にはこの問題に対処しますが、問題を完全に解決するものではありません。
アプリケーションをまたがるビジネス・プロセスを作成できる能力が不十分で、ビジネス・プロ
セスの適応性も限定されます。さらに、従来のソリューションは非常にコストがかかります。
EAI と従来のミドルウェア・ソリューションの大多数はプロプライエタリなテクノロジーを利用
しているため、特殊なスキルを必要とされ、特定ベンダーの製品以外は選択できなくなります。
また、システムはきわめて密に連結されているので、インタフェースの変更が 1 つ発生しただけ
でも、他のシステムすべてを調整しなければなりません。つまり、こうしたテクノロジーは変更
が難しいというだけでなく、コスト自体がそれを許さないのです。
SOA の主な利点
細分化した IT 環境に対処し、IT インフラストラクチャとアプリケーションの分断化に伴う問題
点を改善するうえで、以下のような利点を持つ SOA の柔軟性が有効です。
1. 相互運用性の向上 - SOA とそれを支える業界標準によって、分断化している既
存のアプリケーションをシームレスに、そして従来の EAI ソリューションより
簡単な方法で相互運用できます。
「ソフトウェア・ソリューション
には、買うか作るかという選択の
ほかに、組み立てるという第3の
選択肢が加わった。新旧とりまぜ
2. 再利用性の向上 - レガシー・システムおよびアプリケーションをサービス対応
化すれば、それらのサービスの再利用が可能になり、後続の開発費の削減とカッ
トオーバーまでの時間の短縮につながります。また、サービスのオーケストレー
ションとして構築されたビジネス・プロセス自体もサービスとして公開できる、
というように再利用性は順次向上します。
たソフトウェアやデータから新し
3. ビジネス・プロセスの敏捷性 - SOA は、ビジネス・プロセスのモデルと実装と
の間のギャップを軽減します。そのため、すでにサービスのオーケストレーショ
ンとして実装されているビジネス・プロセスに変更があった場合、すぐにその変
更を把握し実装することができます。
かならない。ソフトウェア・エン
4. 可視性の向上 - SOA はビジネス機能をサービスとして公開することによって、
ビジネスの可視性を向上させます。また、BPM テクノロジーにより自動化され
たビジネス・プロセスの状況は、企業の意思決定を支援すべく、サービス対応の
企業ポータルに迅速に統合されます。
ズ・ソフトウェア・エンジニアリ
5. メンテナンス・コストの削減 - SOA の開発では、複数のアプリケーションやシ
ステムにまたがって重複しているビジネス機能(サービス)を、少数の共有サー
ビスに統合します。そのため、冗長なサービスは排除され、アプリケーション・
ロジックの変更点を絞り込むことでシステムのメンテナンス・コストも削減され
ます。また SOA では、レガシー・システムやアプリケーションの段階的な停止
も考慮されています。レガシーを基盤とする、あるいは SOA の原理によってレ
ガシーに統合されるアプリケーションの中断は最小限にとどめられるので、新規
プロジェクト資金の余地も生まれます。
いビジネス・プロセスとビジネ
ス・トランザクションを組み立て
ることは、事実上、作るアプロー
チと買うアプローチの組合せにほ
ジニアリングのベスト・プラク
ティスは、"買う、作る、組み立
てる"のモデルに移行しつつある
と言える。今後のエンタープライ
ングでは、サービス指向の複合
アーキテクチャが主流になるだろ
う」
「Predicts 2004: Application
Integration and Middleware」
Gartner社、2003年12月
4
「Oracle SOA Suiteは、柔軟性と
短期ビジネス成果という当社の
要件を達成しうるきわめて動的な
システムを構築する、プロセス、
統合、ポータルの包括的なツー
最終的に SOA は、経営手順の適切な標準化を実現することによってコンプライアンスとガバナンス
を可能にし、包括的なセキュリティ・ソリューションの基盤となり、企業経営や例外条件の可視化
を向上させます。
大手の各企業が、複雑化したアプリケーションと IT 環境に対して、SOA によって取組もうとしてい
るのは、もはや当然の流れと言えます。
ル・セットを実現してくれます。
当社には、既存のCRMシステム、
バックエンドのSAP R/3財務
モジュール、Novell Single-Sign-On
およびNovell Directoryテクノロ
ジーなどから成る異機種IT環境が
存在し、Oracle SOA Suiteを
それにどう統合できるかが
重要でした」
Lufthansa Flight Training
統合サービス環境(ISE)では、サービスとしてアプリケーション機能を公開できます。Enterprise
Service Bus テクノロジーは、変更が必要な際にも堅牢なサービスの接続を維持します(たとえば、
論理名の構成によって、あるいはプロトコルやデータ形式からアプリケーションを分離することに
よって)。Business Process Execution Language(BPEL)ベースなどの Business Process Management
(BPM)ソリューションでは、ビジネス・プロセスへのサービスのオーケストレーションが可能で
す。BPM ソリューションを使用して構築したプロセスは、再利用し、ビジネス要件に応じて簡単に
変更することができ、リアルタイムのプロセス可視が可能です。Business Activity Monitoring ソリュー
ションでは、KPI および SLA の監視を実現し、企業は予防的な措置を講じることができます。これ
らの主要テクノロジーをあわせて使うことが継続的な改善の基盤となる---それがフュージョン効果
です。これを視覚的に示したのが、次の図 1 です。
Process Management
Wolfgang Schlott氏
フュージョン効果
多様な
インターフェース
相互運用性の向上
柔軟性の向上
ERP/
レガシー・
アプリケーション
ポータル
セキュリティ
信頼性
ロギング
フェイルオーバー
動的ルーティング
Web
アプリケーション
カスタム・
アプリケーション
およびサービス
WS
API
モニタリング
ユーザー・
インタフェース
Webサービス
オーケストレー
オーケストレー
ション/BPM
ション
サービス・バス
ビジネス・サービス
ビジネス・サービス
図 1: SOA とフュージョン効果
SOA による企業要件への対応
SOA が、柔軟なアプリケーションと適応性の高いビジネス・プロセスを確立する標準ベースのアプ
ローチであることは明らかにしましたが、これだけでは顧客の大きな関心への対応を十分に説明し
たことになりません。どう情報を活用すれば行動につながる洞察を得られるのか、人とプロセスと
システムを結ぶ協調的なワークプレースをどう構築するのか、統一的なサービスと ID 管理を通じて
いかにセキュリティを達成するのか、実行時にメインフレームと同レベルの"QoS"(サービス品質)
をどのように、しかも低コストの汎用ハードウェア上で提供するのか、といった問題です。SOA を
すべて包括しつつ、このような企業要件に対応しうる次世代のインフラストラクチャを構築するた
めの青写真を提供するもの、それが Oracle Fusion Architecture です(図 2 を参照)。
Oracle SOA Suite
SOA ツールおよびミドルウェアのベストオブブリード
5
図 2: Oracle Fusion Architecture
このアーキテクチャの要点は次のとおりです。
•
最大限の柔軟性と再利用性を得られるサービス対応およびイベント対応のアプリケーション
•
最高の生産性とカスタマイズ性を提供するモデルドリブンのアプリケーションおよび
ビジネス・プロセス
•
•
•
リアルタイムで意思決定を下し企業経営を最適化するためにアクションを実施可能なイン
テリジェンス機能
低コストのハードウェア上でメインフレームの"QoS"(サービス品質)を達成できるグ
リッド対応機能
異種アプリケーションおよびテクノロジー環境でも導入が容易な標準ベース、ポータビリ
ティ、ホットプラガブルなアーキテクチャ
以下の『Gartner Magic
Quadrants』で
トップにランキング
アプリケーション・プラット
フォーム・スイート
開発ツール
アプリケーション・サーバー
Webサービス・プラットフォーム
企業ポータル
ビジネス統合
ID管理
Webサービス管理
ETLデータ統合
包括的なテクノロジー基盤を提供する標準ベースのミドルウェア・コンポーネントから成る統合
スイート、すなわちアプリケーション・プラットフォーム・スイート(APS)によって Oracle
Fusion Architecture を実現するのが、Oracle Fusion Middleware です。Oracle SOA Suite は、Oracle
Fusion Middleware におけるベストオブブリードとなる主要コンポーネントの包括的パッケージで
あり、SOA に即したアプリケーションの作成とデプロイを企業に保証することにその主眼が置か
れています。Oracle SOA Suite は、サードパーティのアプリケーション・サーバー製品などを含む
既存の異種 IT 環境にシームレスに統合されます。そのため、SOA の成功を模索している企業に
対し、短期間の投資回収と、最低リスクのソリューションを約束します。
6
ORACLE SOA SUITE が提示する価値
「オラクルは他のいかなるベン
ダーよりも先んじています。
これは、現在提供している接続の
カテゴリにおいて、同社が
コアWebサービスや拡張Webサー
Oracle SOA Suite は、SOA テクノロジーの主なベストオブブリードから成る包括的なスイートであり、
異種 IT インフラストラクチャに組み込んで、段階的な SOA への移行を可能にします。スイートの
各コンポーネントは、単一のデプロイ/管理モデルとツール群、エンドツーエンドのセキュリティ、
統一メタデータ管理などの共通機能を利用しています。Oracle SOA Suite の優れている点は、統合さ
れた機能セット(メッセージング、サービス検出、オーケストレーション/BPM、アクティビティ監
視、Web サービスの管理とセキュリティ、ビジネス・ルール、サービス・ディレクトリ、開発ツー
ル、サービス対応ポータルなど)を提供するだけでなく、同時に既存のミドルウェア・テクノロ
ジー(サードパーティ製の J2EE アプリケーション・サーバー、開発ツール、メッセージ・キュー、
ESB など)もサポートすることです。したがって企業の IT 部門は、Oracle SOA Suite をトータルで導
入し、統合された機能セットを利用することも、あるいはコンポーネントごとに導入することもで
きます。Oracle SOA Suite のコンポーネントは図 3 に示すとおりですが、詳細は次の節で説明してい
ます。
ビスの仕様および標準も
含めて広範囲の接続プロトコルを
Portal
サポートし、高い評価を得ている
コンテンツ
ことによります。オラクルは、
コラボレーション
ワークスペース
分析
CEP
仲介と変更管理の分野でも
BAM
高い得点を獲得しました」
監視
「Forrester Wave - Enterprise
Service Bus, Q4 2005」
(Mike Gilpin、Ken Vollmer、John
Rymer、Forrester Wave共著)
JDeveloper
統合サービス
環境
Web Services
Manager
BPEL Process Manager
ネイティブ
BPEL
ヒューマン・
ワークフロー
ビジネス・
ルール
Enterprise Service Bus
App Dev
Framework
アダプタ
ルーティング
UDDI
レジストリ
セキュリティ
アプリケーション・サーバー
J2EE、
、WS-*、イベント・サービス
、イベント・サービス
図 3: Oracle SOA Suite
サービスの作成 - JDeveloper、
、ADF、
、TopLink
Oracle JDeveloper、Oracle Application Development Framework(Oracle ADF)および Oracle TopLink は
Oracle SOA Suite の開発コンポーネントであり、3 つをあわせてサービスの開発と編成、ビジネス・
プロセスへのオーケストレーションに使用する統合サービス環境(ISE)を形成します。ビジネス・
プロセスはデプロイおよび登録して、デスクトップ・クライアント、ブラウザ、携帯機器や Telnet
機器など各種のインタフェースから利用することができます。
SOA ツールおよびミドルウェアのベストオブブリード
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Oracle JDeveloper は ISE の一部であり、サービスに基づくコンポジット・アプリケーションのモ
デリング、作成、検出、アセンブル、オーケストレーション、テスト、デプロイ、メンテナンス
が可能です。JDeveloper は、SOA の主要機能と XML Web サービス標準に加え、従来の Java、
J2EE および PL/SQL コンポーネントとモジュール化コード・メカニズムをサポートしています。
Oracle ADF はモデルドリブンの SOA フレームワークであり、ビジネス・サービスやデータ・
サービスを自動化および管理し、JSR 227 ベースの標準データ・バインディングおよびサービス・
バインディング・レイヤーを提供して、プロセス・フロー、ページ・フロー、サービス呼出しな
どからサービスを簡単に利用可能にします。Oracle ADF 自体も SOA の設計思想を実装しており、
ユーザー・インターフェースを、サービスと同程度の疎結合にすることができます。Oracle
TopLink はリレーショナル・データと XML データにアクセスできるデータ・アクセス・フレーム
ワークです。オブジェクトからリレーショナル、およびオブジェクトから XML のマッピングを
実行するためのビジュアルなマッピング・ツールが用意されています。Oracle TopLink と Oracle
ADF の両フレームワークを使うことで、サービス指向アプリケーションのリッチな Web インタ
フェースから呼び出せるビジネス・サービスやデータ・サービスを、簡単に作成することができ
ます。
Oracle JDeveloper、Oracle ADF、Oracle TopLink をあわせて使用すれば、SOA をスムーズに導入し、
アプリケーションおよびサービスを生産的に配信できます。開発後のアプリケーションの変更も
簡単で、異機種環境の既存投資を保護しながら開発できます。
JSF および BPEL 開発の実例は、図 4 の画面ショットに示してあります。
7
「ADFフレームワークを採用
し、開発サイクルに導入したこ
とによって、予想以上に多くの
メリットがありました。その
ひとつは、プロジェクトの実際
のコーディングが高速化された
ため、組織が抱えている緊急の
課題に集中できるように
なったことでしょう」
- Associated Wholesalers社
プロジェクトチーム・リーダー
Les Morton氏
JSFアプリケーション
アプリケーション
WSDL
LoanFlowプロセス
プロセス
図 4: JSF ベースの Web アプリケーションと JDeveloper における BPEL プロセス・フロー
Oracle JDeveloper、Oracle ADF および Oracle TopLink の一体が包括的な統合サービス環境およびフ
レームワークとなり、モデルドリブンのアプリケーションやビジネス・プロセスの構築を可能に
します。これらのアプリケーションやビジネス・プロセスは、アプリケーション、サービス、ま
たはビジネス・プロセスとして Oracle SOA Suite コンポーネントにデプロイ、登録されます。
主な機能は、次のとおりです。
•
ビジネス・サービスの作成 - WSIF バインディングをサポートすることで、ネイティブに
呼出し可能な Java、EJB、Java Message Service(JMS)や、Java Connector Architecture(JCA)
アダプタを介して接続されるエンタープライズ・アプリケーションを、サービスとして公
開することができます。REST(REpresentational State Transfer)ベースのサービスもサポー
トされるほか、J2EE 1.4 準拠の Web サービスの開発もサポートされ、JAX-RPC クライアン
トおよびサービス、WS-Security、WS-Reliability、WS-Management の作成も可能です。メタ
データ・タグを介したボトムアップ・サービスと、WSDL エディタによるコントラクトド
リブンの開発もサポートされています。
8
•
ビジネスおよびユーザー・インタフェース・ロジックの作成
ビジネスおよびユーザー・インタフェース・ロジックの作成 - JDeveloper では、バックエンドの
ビジネス・ロジックと永続性マッピング機能を単純化する EJB 3.0 がサポートされています。EJB
3.0 コンポーネントの生成には JDeveloper の新しいウィザードを使用し、ビジネス・メソッドの
追加の開発やアノテーションのマッピングにはプロパティ・エディタを使用します。Web アプリ
ケーション構築のためには JSF がサポートされているので、リッチなユーザー・インタフェース
を作成できます。その他、JSF WYSIWYG エディタによるビジュアル UI コンポーネントの編集、
JSF コンポーネントをページ上に配置するドラッグ・アンド・ドロップ機能、JSF ナビゲーショ
ンを簡単に開発できるビジュアル・ページフロー図など、各種のツールも用意されています。
•
ユーザー・インタフェースとサービスのバインディング - JDeveloper では、ユーザー・インタ
フェースをデータ・ソースおよびサービスにバインドするための JSR 227 がサポートされていま
す。バックエンド・ビジネス・システム(サービスおよびビジネス・プロセス)を公開している
データ・コントロール・パレットからユーザー・インターフェースに、属性、コレクション、オ
ペレーションをドラッグ・アンド・ドロップすることもできます。また、Oracle ADF Faces コン
ポーネントとバックエンド・ビジネス・サービスおよびビジネス・プロセスとのデータ・バイン
ディング機能もサポートされています。
サービスの検出 - サービス・レジストリ
Oracle SOA Suite Service Registry は、Oracle SOA Suite における、Web サービスのための、構成可能で
スケーラブル、高セキュリティのリポジトリで、プロビジョニング、検出、管理が可能です。他の
スイート・コンポーネントが提供する SOA 機能を補完し、利用可能なサービスの公開と管理を行う
メカニズムを提供します。Service Registry は、OASIS の Universal Description, Discovery and Integration
(UDDI)v3 標準を完全サポートする製品であり、次のような機能があります。
•
サービスのプロビジョニング
サービスのプロビジョニング - Service Registry を使用して、Web サービスのプロバイダはサービ
スや関連データを公開し、サービス利用者に提供できるようになります。包括的なタクソノミー
管理機能を使ってサービスをカテゴリ分け、あるいは分類することができ、既存のビジネス・タ
クソノミーのインポートや、カスタム分類の作成も可能です。
•
サービスの検出 - Service Registry はその性質上、サービスのディレクトリとして機能し、サービ
ス記述の基準、および Oracle SOA Suite インスタンスで使用できるエンドポイントを提供します。
Service Registry のユーザーは、一定の基準を満たすサービスを検索したり、プロバイダから利用
可能なサービスを参照したりすることができ、その際に基礎となる UDDI のデータ構造を理解す
る必要はありません。サービスへのアクセスは制御されているため、サービスに対する適切な責
務・権限が保証され、機密事項に属するサービスの表示は制限することができます。
•
SOA のガバナンスおよびライフサイクル管理 - Service Registry では、SOA のガバナンスをシング
ルポイントで管理できるため、企業全体でサービス提供の品質と一貫性が保証されます。品質管
理ワークフローの機能が組み込まれており、サービスはまずステージング・レジストリに公開さ
れ、次に企業の定めるチェック完了後に利用者がアクセスできる本番レジストリに移動されます。
サブスクリプション・メカニズムによって、利用者はサービス変更の通知を受け取るので、サー
ビスの再利用が促され、既存機能を再作成するような無駄も防ぐことができます。
•
フュージョン統合 - SOA ライフサイクルにおける検出、オーケストレーション、保護、および
管理をより簡潔にするという最終目標のために、Service Registry と Oracle SOA Suite の各コンポー
ネント(Oracle BPEL Process Manager、Oracle JDeveloper、Oracle Web Services Manager)、ひいては
Fusion Middleware プラットフォームとを統合する作業が、現在も進行中です。また Oracle SOA
Suite Service Registry は、サービスの公開および検出だけでなく、インストールも管理するような
Web ベースのユーザー・インタフェースを提供する予定です。
Oracle SOA Suite
SOA ツールおよびミドルウェアのベストオブブリード
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サービスの統合 - Enterprise Service Bus
Oracle SOA Suite は、Enterprise Service Bus(ESB)を備えています。エンタープライズ・アプリ
ケーション・インフラストラクチャを結ぶ接着剤として機能する統合プラットフォームが、あら
ゆるデータ・ソースから情報を集めて企業を動かす基盤になります。Oracle ESB は、SOA とイベ
ントドリブン・アーキテクチャ(EDA)を実現したもので、分散アプリケーションが疎結合パラ
ダイムで統合されます。ESB のコアではメッセージングが実装されており、同期と非同期の両方
のメッセージベース・パラダイムでサービスが統合されます。また、ESB にはルーティング機能
があるため、メッセージ・コンテンツと任意の外部要因を管轄するルールに基づいて、適切な
サービスにメッセージがルーティングされます。第三に、ESB はメッセージ変換も実現します。
ESB では実行時にルーティングおよび変換のロジックを変更でき、ESB の使用時にはサービス接
続が堅牢になるため、メンテナンス性の高いアプリケーションを構築することができます。
Oracle ESB の主な機能は、次のとおりです。
信頼性の高いマルチトランスポート・バス - Oracle ESB は、SOAP、HTTP(HTTPS)、JMS など
の業界標準プロトコルをサポートする柔軟なリアルタイム・エンタープライズ・バックボーンを
提供します。同じ仮想マシン内でサービスが呼び出される際には、自動的に特別なメモリー内最
適化が行われます。そのため、ポイントツーポイント方式およびパブリッシュ/サブスクライブ
方式の両方を使って、高速でスケーラブルな 1:1 メッセージ配信が保証されます。Oracle ESB で
は、メッセージ・トランスポートとして Oracle 独自の JMS、または Oracle アドバンスト・キュー
イング(AQ)を使用しますが、IBM MQ、Sonic MQ、Tibco など他のメッセージング・プロバイ
ダも動作保証されています。
•
複雑なビジネス・メッセージ変換 - 企業では、システムごとに独立したデータ・モデル
を柔軟に組み合せられる必要があります。Oracle ESB は、JDeveloper 内に用意された標準
ベースのデータ・マッパー機能を使って、再利用性の高い XSLT 言語で変換テンプレート
を作成します。この自動マッピング機能では、以前実施した変換と共通のマッピングが記
憶され再利用できるようになるので、ユーザーの生産性が向上します。
•
包括的な管理およびデプロイ・インフラストラクチャ - Oracle ESB では、設計時に参照リ
ポジトリ(UDDI など)内に仮想サービス名を作成し、デプロイの際に定義される実際の、
または物理アプリケーション URL に後からバインドすることができます。Oracle ESB のダ
イアグラマとトポロジ・ビューアを使用すると、サービス間の関係を構築および視覚化し
たり、依存関係のグラフや、予定されているシステム変更による影響分析を作成したりで
きます。このビューアには、無制限に条件を指定してアダプタやメッセージ、アクティ
ブ・プロセスなどのコンポーネントを検索できる、全 ESB 検索機能もあります。分散アプ
リケーションの集中管理機能は、Oracle ESB の主要コンポーネントです。
•
広範囲なエンタープライズ・システム接続 - アダプタは、エンタープライズおよびレガ
シー・システムのメタデータに対する接続性と検出機能を提供し、オブジェクトを ESB に
おけるリアルタイム・イベントにマッピングします。データベース、Oracle AQ、JMS、電
子メール、FTP およびファイル用のほか、Oracle E-Business Suite、PeopleSoft、JD Edwards、
SAP などのエンタープライズ・アプリケーションや、CICS、IMS、TPF などのレガシー・
システム用にもビルトインのアダプタ・ウィザードが用意されています。どのアダプタも、
大手インテグレーション・ベンダーが採用している J2EE Connector Architecture(JCA)の
オープン標準に準拠しています。
「SOA環境でオラクルのような強
力なパートナーと、特にオラクル
のJBI実装を使用して協調すること
は、現在の統合上の問題を解決
し、SOAメディエータたる当社の
サービス・バックボーンのような
ベストオブブリードのSOA
プラットフォームを
改善する上で有益だ」
- Deutsche Post社、
SOPグループ、
Michael Herr氏
10
•
コンテンツベースの柔軟なルーティング - ESB の最適な管理のためには、メッセージのコンテン
ツに基づいてデータをフィルタリングおよびルーティングできることが必須です。Oracle ESB で
は、設計時のデプロイメント・ディスクリプタ定義でルーティングを設定し、実行時にそれを変
更してアプリケーション効率を調整できるため、再デプロイによるオーバーヘッドを最小限に抑
えることが可能です。たとえば、システム需要の増大を受けてクラスタにサーバーを追加する場
合、通貨、地域、製品名など任意のコンテキスト・データのコンテンツに基づいてトラフィック
を動的にルーティングできます。Oracle ESB は、Oracle Business Rules、外部プロバイダなど様々
なルール機能によるフィルタリングをサポートしています。コンテンツ・フィルタリングは、構
成可能なフィルタベースのサブスクリプションやメッセージ・セレクタを使用する JMS などの
メッセージング・システムでも実装できます。
サービスの構成とオーケストレーション - BPEL Process Manager とワークフロー
「BPEL は、Web サービスのフロー
構築について業界をリードする標準
となるだろう(おそらく 0.8 で)」
- Gartner 社
David Smith 氏
Oracle BPEL Process Manager では、ビジネス・プロセスをモデリング、自動化、監視できます。モデ
ル化されたビジネス・プロセスから実装コードを生成して、その後実行するという手法ではなく、
Oracle BPEL Process Manager に搭載されたネイティブ BPEL(Business Process Execution Language)エ
ンジンが定義されたプロセスをそのまま実行します。このアプローチが、再利用を促すのみならず、
個別レベルでも集計レベルでも(後者は Oracle BAM によって提供)進行中のビジネス・プロセスに
対する可視性を実現し、ビジネス・プロセス管理、プロセス改善およびコンプライアンスのための
基盤となります。Oracle BPEL Process Manager は、自動化およびヒューマン・ワークフローを持つア
プリケーションをまたがるビジネス・プロセスを作成、デプロイおよび管理できる標準ベースで使
いやすい包括的なソリューションです。BPEL 標準で定義されるサービス指向ビジネス・プロセスが、
高いパフォーマンスと信頼性で実行されます。BPEL、XML、XSLT、XPATH、JMS、JCA、Web サー
ビスなどの標準をネイティブでサポートしているため、真に複数プラットフォーム間でのポータビ
リティに優れた統合ビジネス・プロセスを作成できる理想的なソリューションと言えます。完了し
たプロセスと進行中のプロセスのどちらについても監査証跡と、プロセス履歴が作成されるので、
プロセスの改善にも活用できます。しかも、Oracle BPEL Process Manager は 100%ネイティブ BPEL
エンジンであり、既存のミドルウェア・テクノロジーやプラットフォームとも親和性が高いため、
プロセスのポータビリティとベンダー対応の柔軟性は他に類を見ません。BPEL Process Manager のグ
ラフィック機能は、図 5 に示しました。
Oracle BPEL Process Manager の主な機能は、次のとおりです。
•
統合のためのリッチなツール群 - Oracle BPEL Designer は、BPEL をネイティブ・フォーマットで
使用する点が特長です。つまり、BPEL Designer で構築したプロセスは 100%のポータビリティを
保証されるということです。Oracle BPEL Process Designer は、Oracle JDeveloper 環境のプラグイン
として提供されており、統一的な設計環境でユーザー・インタフェースやオーケストレーショ
ン・サービスを開発することができます。ビルトインの統合サービスによって、開発者は標準
BPEL プロセスから高度なワークフロー、接続性、および変換の各機能を簡単に利用できます。
これらの機能には、XSLT および XQuery 変換のサポート、JCA アダプタや WSIF を使うネイティ
ブ・プロトコルを通じた多数のレガシー・システムへのバインディングのサポートなども含まれ
ています。拡張性の高い WSDL バインディング・フレームワークによって、SOAP 以外のプロト
コルやメッセージ・フォーマットへの接続性も保証されています。JMS、email、JCA、HTTP の
GET および POST など、他にも多くのプロトコルでバインディングが可能なため、多くのバッ
クエンド・システムに対する接続性も万全です。こうしたアプローチが、比類ないパフォーマン
スと簡便な開発を同時に実現しました。単純および複雑なヒューマン・ワークフロー・ステップ
の設定や、アダプタの構成、複雑な変換マップの定義にも、ユーザーフレンドリーなウィザード
が標準サービスとして用意されています。タスク管理、通知管理、ID 管理といったヒューマ
ン・ワークフロー・サービスは、ビルトインの BPEL サービスとして提供されているので、人と
手動タスクを BPEL フローに統合することも容易です。
Oracle SOA Suite
SOA ツールおよびミドルウェアのベストオブブリード
ツールおよびミドルウェアのベストオブブリード
11
「私の見るところ、BPELは統合
の未来形だ。なぜなら、アプリ
ケーションの統合方法だけではな
く、そこからサービスを作成し、
さらにビジネス・プロセスに組み
込む方法を提示しているからだ」
- Forrester Research社
副社長
John Rymer氏
図 5: BPEL によるビジネス・プロセスのグラフィカルな開発
によるビジネス・プロセスのグラフィカルな開発
•
包括的な監視および管理 - Oracle BPEL Process Manager Console は、BPEL サーバーにデプ
ロイされたプロセスを監視、管理、およびデバッグできる、ユーザーフレンドリーな Web
ベース・インタフェースです。監査証跡とプロセス履歴/レポート情報は自動的に保持さ
れ、BPEL Process Manager Console 上で、あるいは Java API を介して利用できます。ワーク
フロー・タスクのリストとプロセス履歴分析レポートも、同じコンソール上に統合されて
います。
•
比類ないスケーラビリティと可用性
比類ないスケーラビリティと可用性 - コア BPEL エンジンは、現在実装しうる最高のス
ケーラビリティと堅牢性を持つ BPEL サーバーです。Oracle BPEL Process Manager は、標準
の BPEL プロセスを実行してデハイドレーション機能を提供するため、実行期間の長いフ
ローの状態も自動的にデータベースに保持され、フェイルオーバーとスケーラビリティを
目的としたクラスタリングを可能にします。BPEL サーバーは、基礎となる J2EE アプリ
ケーション・サーバーとして Oracle Containers for J2EE を利用しますが、BEA WebLogic や
JBoss などの主要なアプリケーション・サーバーもサポートしています。
12
ビジネス・ルールの自動化 - Business Rules
「Lufthansa Flight Training のための
コンポジット・アプリケーションを
実装するために、当社は Oracle BPEL
Process Manager と SAP Adapter、
Business Activity Monitoring、Portal
などから成るオラクルの SOA Suite を
選択しました。外部ビジネス・パート
ナーに対する販売チャネルなど、
"Competence Training"と呼ばれる
新しい業務部門のプロセス自動化を
実現しました」
Lufthansa Flight Training
Process Management
Wolfgang Schlott 氏
敏捷性は、SOA と BPM がもたらす最大の効果のひとつであり、企業内で生じる変化に対応して迅
速にプロセスを変更できる能力のことです。これはプロセスに対する変更とは限らず、プロセスを
動かすルールに対する変更でもあります。一般的なビジネス・プロセスには多くの決定ポイントが
含まれており、その決定ポイントがプロセスのフローを左右するのが普通です。たとえば、低金利
融資が承認されるかどうかは、信用の格付けによって決定されます。こうした決定は、一定の条件
や事実に基づいて評価されますが、その条件や事実はビジネス・プロセスの内部と外部どちらの場
合もあり、また事前定義された企業ポリシーやルールであることもあります。Business Rules エンジ
ンでは、エンタープライズ・アプリケーションを動かす決定ロジックを一元的に簡単に定義、自動
化、管理、更新することができ、その際にコードを記述したり、コードを呼び出すビジネス・プロ
セスを変更したりする必要がありません。ルール・エンジンは、自動化の時間の短縮、変更の容易
性、ビジネス・ポリシーおよびルールのメンテナンス性などを達成することによる敏捷性にかか
わってくるため、SOA の構築に当たる設計者にとっては重要な関心事項です。BPM テクノロジーと
ルール・エンジンは当然ながら密接に関連しており、BPM が柔軟なビジネス・プロセスを自動化し、
ルール・エンジンが柔軟なビジネス・ポリシーを実現します。
Oracle Business Rules の主な機能は、次のとおりです。
•
全アプリケーションにわたるビジネス・ポリシーの取得
全アプリケーションにわたるビジネス・ポリシーの取得 - 従来、ルール・エンジンは主として、
高度な推測を要求する複雑な問題を解決するための技術として利用されていましたが、最近では
このような傾向が変化し、ビジネス・ポリシーを実装するためにルールが利用されるようになっ
てきました。Oracle Business Rules では、SOA に即して設計されたアプリケーションに限らず、ど
んなアプリケーションからでもビジネス・ポリシーを抽出することができます。Oracle Business
Rules は Jess Rules Engine をベースにしていますが、JSR-94 にも準拠しているため、Java による
ファクト定義が可能です。
•
ビジネス・プロセスにおけるビジネス・ポリシーの自動化 - ビジネス・プロセスには通常、意
思決定のステップが含まれています。Oracle Business Rules では、ビジネス・プロセスから意思決
定およびビジネス・ポリシーを抽出することができ、一元的なポリシー管理および変更が可能で
す。モノリシックな BPM スイートとは異なり、ファクト定義をビジネス・プロセス外部に配置
し、ビジネス・ルールの評価だけを実施できます。ルールはプロセス・ロジックから切り離され
ているため、ロジックに影響することなく独立して変更できます。この点が、ビジネス・プロセ
スを堅牢なものにしています。すなわち、ルールの変更はルール対応のプロセスやアプリケー
ションの変更あるいは再構築を必要とせずにデプロイできるということです。開発を容易にし、
生産性を上げてアプリケーションの敏捷性を向上するためには、Oracle JDeveloper を使用して、
ビジネス・プロセスを Oracle BPEL Process Manager で作成し、関連するビジネス・ポリシーを
Oracle Business Rules で作成します。
•
ルール、プロセス、ポータル、アクティビティ・モニタリング間での共有メタデータ - ルール
は、ドキュメント・フロー、ビジネス・プロセス、およびアクティビティ・モニタリングと関連
しています。Oracle BPEL Process Manager、Oracle BAM、Oracle Portal の各アプリケーションは
Oracle Business Rules およびそのルール定義を利用できます。つまり、それぞれのアプリケーショ
ンごとの複数のルール・エンジン間でルールを同期化するという必要がなく、インテグレーショ
ン、BAM、ポータルおよび他のアプリケーション間で共通のルール・セットを使うことができ
ます。たとえば、BPEL で定義されたプロセスとして実装されている融資アプリケーションで利
率を計算するビジネス・ルールは、当月に類似の顧客に承認された融資の合計額を考慮する必要
があるかもしれません。こうしたデータは、アクティビティ・モニタリング(BAM)から取得
するようにできます。
SOA ツールおよびミドルウェアのベストオブブリード
Oracle SOA Suite
BAM
ルール
ビジネス・
アナリスト
ssssss
ビジネス・プロセス
Star
作成
カスタマイズ
アサート
Credit
ssssss
No
決定
ルール・
エンジン
意思決定サービス
としてのルール
ssssss
ルール
File/D
en
決定の
作成
プロセスの
設計
ルールおよび
ファクトの定義
プロセス
開発者
図 6: ビジネス・プロセスの意思決定サービスとしての Business Rules
サービスの保護と管理 - Web Services Manager
Oracle Web Services Manager(OWSM)では、SOA におけるサービスやサービス間のやりとりを効
果的に監視、管理、および保護できます。OWSM が提供する各ツールで、新規または既存のアプ
リケーションや Web サービス上に配置可能なセキュリティおよびオペレーション・ポリシーを構
築し、アプリケーション間またはサービス間でのコールを捕捉してそれらのポリシーを実行しま
す。また、実行時にはダッシュボードでポリシーを監視して、サービス・レベルと潜在的な問題
を確認し、警告を発して適時の修正行動を可能にします。Oracle Web Services Manager は、アクセ
ス・ポリシー、ロギング・ポリシー、コンテンツ検証など Web サービスの操作を制御するポリ
シーを集中定義し、各ポリシーをサービスにラップすることができます。このとき既存の Web
サービスに対する変更は必要ありません。また Oracle Web Services Manager は、サービス・レベル
およびセキュリティを保証するために、監視統計を収集して Web ダッシュボードで表示します。
これらの結果として、Web サービスの管理性と可視性の向上を図ることができます。
13
14
Oracle Web Services Manager の主な機能は、次のとおりです。
Oracle Web Services Manager
(OWSM)では、アクセス、
•
ポリシー管理 - OWSM の Policy Manager は、セキュリティおよびオペレーション・ポリシーを新
規作成し保存するためのグラフィカルなツールです。ランタイム・エージェントやゲートウェイ
へのポリシーの配布と更新もこのツールで管理できます。Policy Manager は、クライアント側と
サービス側のどちらに対してでもポリシー強制機能の設定をサポートしているため、どのような
スケールと複雑さのアプリケーション・デプロイ環境でも、管理者は運用ルールを設定して適切
なポリシー実施側コンポーネントに伝播することができます。OWSM では、認証および認可に
HTTP Basic 認証、Oracle COREid、Netegrity、LDAP、X.509 Certificates を使用でき、ロールベース
の呼出しアクセスには Oracle COREid、LDAP、Netegrity を利用できます。また、異なるセキュリ
ティ・システム間の相互運用には、Security Assertion Markup Language(SAML)がサポートされて
います。
•
ポリシーの強制
ポリシーの強制の強制 最大限に柔軟なデプロイを保証するために、OWSM では 2 種類のポリシー強制
コンポーネント、Policy ゲートウェイおよび Policy エージェントが用意されています。Policy ゲー
トウェイは、アプリケーションまたはサービス・グループの前に配置され、ポリシーの各ステッ
プを実施するためにそのアプリケーションへの着信要求を捕捉して、すでにデプロイされたアプ
リケーションにセキュリティなどの運用ルールを追加します。Policy エージェントは、アプリ
ケーションやサービスに直接プラグインするとによって、権限に応じたセキュリティを追加しま
す。OWSM は、真にエンドツーエンドのメッセージレベルでのセキュリティを実施します。暗
号化や署名などの認証およびメッセージレベル・セキュリティについては WS-Security をサポー
トし、完全または部分的な暗号化および復号化のステップをサポートしています。
•
監視 - Monitoring Dashboard は、ポリシー実行時にゲートウェイとエージェントからデータを収
集し、その結果をグラフィカルに表示します。管理者はこれを利用して、各アプリケーションに
ついてサービス品質レベルを設定できます。アプリケーションが設定されたターゲットを超える
と、Monitoring Dashboard に警告が表示されます。また、IT オペレーション・スタッフには、ビ
ジネス・プロセスのエンドツーエンドの監視など、重要な Web サービスの状態、パフォーマン
ス、セキュリティ、使用状況などがリアルタイムで示されます。実施コンポーネントのリアルタ
イム・データ収集機能を利用して、管理者は Monitoring Dashboard 上でリアルタイムに、予測と
実際のパフォーマンスの違いを分析し、IT 運用のベストプラクティスが達成されているかどう
かを監視することができます。これには、Web サービスごと、オペレーションごとのセキュリ
ティ違反の監査も含まれています。最終的には、企業とパートナーの全体にわたって、アプリ
ケーションやサービスの開発方法とは無関係に、あらゆるアプリケーションおよびサービスのベ
ストプラクティスのセキュリティおよびオペレーションが達成されます。
•
各プロトコルとサードパーティ・プラットフォームの包括的なサポート - OWSM は、BEA
Systems、IBM、Microsoft、Netegrity、TIBCO、VeriSign など多くの Web サービス・プラット
フォームおよびプロバイダと協調します。たとえば、TIBCO BusinessWorks を使用するサイトに
OWSM エージェントを導入し、Web サービス・ポリシーを実施する SOAP インターセプタとし
て機能させることができます。OWSM は、HTTP、HTTPS、JMS、IBM WebSphere MQ など複数の
プロトコルと、同期および非同期メッセージングを含む複数のメッセージング・モデルをネイ
ティブ・サポートしています。また、メッセージ・キューイング、フェイルオーバー・ルーティ
ング、構成可能なメッセージ再試行機能など、コンテンツベースのルーティングとビルトインの
障害対策も備えています。
認証、ロギング、ロード・バラン
シングなどWebサービスの操作を
制御するポリシーを定義し、
それらの各ポリシーをWebサービ
スにラップすることができる。
Oracle SOA Suite
SOA ツールおよびミドルウェアのベストオブブリード
サービスの最適化 - Business Activity Monitoring
Oracle Business Activity Monitoring(BAM)は、クリティカルな業績指標にリアルタイムでアクセス
して、企業経営の迅速性と効率を改善するための支援情報を提供し、予防的な警告を発します。
BAM と既存システムを統合してプロセスを追跡し、ビジネス・イベントを取得することによって
ビジネス・プロセスのボトルネックを特定して、プロセスの監視と最適化が可能になります。ま
た、サービス・レベルの適切な管理とリアルタイムの可視性を通じて、優れた顧客満足度が達成
されます。すなわち、サービスの最適化を実現できるということです。
Oracle BAM は、イベントを集計し相関付けるプラットフォームとなるため、企業経営の KPI に影
響する様々な事象と事象の関連を定義するステート・モデルを構築できます。また、ビジネス環
境の変化に応じてビジネス・プロセスを変更し修正措置を講じることもできます。BAM のアーキ
テクチャでは、メッセージング、データ統合、高度なデータ・キャッシング、分析監視、警告生
成、レポーティングなどのテクノロジーを利用して、イベントの発生やステータス変化から数秒
以内に必要な情報が配信されます。
Oracle BAM の主な機能は、次のとおりです。
•
パーソナライズしたダッシュボードのリアルタイム・ストリーミング - Oracle BAM は、
リアルタイムのオペレーション・ダッシュボードを構築し、Web 上でアプリケーションの
監視と変更が可能な完全ソリューションです。BAM がもたらす視覚的にリッチなビジネ
ス・インテリジェンスと、アクティビティ・ダッシュボードによって、ビジネス・プロセ
スとデータ・ソースにおけるボトルネックを簡単に特定できます。データは、オラクルが
特許を持つ Active Data Cache テクノロジーを利用してリアルタイムにダッシュボードに配
信されるため、ダッシュボードには増分のデータ更新を送信するだけで、他の類のないス
ケーラビリティを得ることができます。アーキテクチャの中心であるメモリーベースの永
続キャッシュが受け取れる更新は、毎秒数万回にも及びます。Oracle BAM によって、複雑
なイベント処理とビジネス・インテリジェンス、そして履歴上およびリアルタイムのデー
タとイベントを報告する高度なリアルタイム・レポーティングが提供されます。
•
リッチな視覚化と使いやすさ
リッチな視覚化と使いやすさ - Oracle BAM では、業務効率の改善に有効な、あるいは情
報に基づく意思決定に有用なビュー、ダッシュボード、ビジネス・アラートを通じて、重
要なビジネス・パラメータに関する情報をビジネス・ユーザーに提供します。Active Studio
は、ビジネス・ユーザーが警告付きのレポートを作成し、他のユーザーと共有することの
できる、シンでリッチな Web アプリケーションです。レポートには 1 つ以上のビューも
利用でき、様々なデータ・オブジェクト(Active Data Cache 内)を監視できます。Oracle
BAM には現在、グラフィック形式のデータ表示に使用できる 38 種類のビュー・タイプの
ライブラリがあります。ビュー・タイプには、各種のリスト、グラフ、多桁式レポート、
クロス集計、アローKPI、スプレッドシート、ファンネル・チャート、3D グラフ(棒、折
れ線、エリア、コンボ、パイ、株価の各グラフ)、SPC グラフ、市場アロー・ダイアグラ
ム、行列クロス集計、サマリー・クロス集計、アクション・リスト(ラジオ・ボタン)、
折りたたみリスト、アクション・フォームなどがあります。
15
「BAMは、クリティカルな業績
指標へのリアルタイムのアクセス
を可能にし、企業経営の
スピードと効率を改善します」
- Gartnerグループ
アナリスト
Bill Gassman氏
16
ある小売店の全国チェーンは、
業務主体のBIアプリケーションを
使用して、POSデータと在庫の関
係を監視している。在庫過小の
警告が発生すると、ユーザーは
製品およびサプライヤの履歴を
調べ、数時間以内に在庫の移動に
対応できる。Oracle BAMとOracle
Business Intelligenceである。
•
既存環境の上に簡単に配置できるレイヤー
既存環境の上に簡単に配置できるレイヤー - Oracle BAM は、SOA を実装しようとする企業に短
期間での ROI をもたらします。Oracle BAM では、開発者が簡単にイベント・ソースを作成でき、
データベースのホスト、パッケージ・アプリケーション、外部システムからイベントを収集でき
ます。既存 IT 環境への統合も、Web サービスやメッセージング(JMS、Oracle AQ、IBM MQ、
SonicMQ、Tibco)、データベース、XML データ・ソース、フラット・ファイルなど多様な標準
ベースのメカニズムを通じて、また標準 JCA ベースのアダプタを介したパッケージ・アプリ
ケーションを通じてスムーズに実現されます。Oracle BAM は、ポータルやモバイル・デバイス
に、あるいは Web サービスを介して他のエンタープライズ・アプリケーションに警告を配信し
ます。また、Oracle BPEL Process Manager には、進行中のビジネス・プロセスからイベントを収
集できるセンサー・フレームワークがあらかじめ用意されているので、予防措置を講じてビジネ
ス・プロセスにおける異常事態または条件を処理することができます。
次の図 7 は、Oracle BAM におけるリッチな画面を示したものです。
図 7: リアルタイム情報、履歴情報、警告およびアクションを組み合せた
Oracle BAM のダッシュボード
BAM は、業務主体のビジネス・インテリジェンス(BI)の課題に対処するソリューションでも、必
須コンポーネントになりつつあります。これは、業務スタッフを対象とした、BAM のリアルタイム
機能と BI インフラストラクチャの集束と言えます。ビジネス・プランナーや役員といった従来の BI
ユーザーは、変動の緩やかな指標や傾向を監視していましたが、業務主体の BI アプリケーションを
使うユーザーには、そのような古いデータに基づいて決定を下している余裕はありません。彼らに
必要なのは、過去を理解することではなく、現在を把握することなのです。Oracle BAM ベースのオ
ペレーション・ダッシュボードを使用すれば、各事業マネージャが独自のダッシュボードを簡単に
定義および変更できるので、複数のビジネス・アプリケーションにわたるリアルタイムの洞察に
よって、主な業務活動の監視が可能になります。標準の Web ブラウザから売上、マーケティング、
サービスの各業績にアクセスして監視することができます。データはリッチなビジュアルで表示さ
れ、パフォーマンス・メトリックに基づいて取引の詳細までドリルダウンも可能です。分析からそ
のままアクションに移ることが可能で、ビジネス・アプリケーションへのシームレスでリアルタイ
ムな統合を実現できます。
Oracle SOA Suite
SOA ツールおよびミドルウェアのベストオブブリード
17
Oracle を選ぶ理由
Oracle SOA Suite は、業界で唯一の包括的に統合された SOA スイート製品です。他のベンダーに
も類似のプラットフォームは存在するとされていますが、Oracle SOA Suite のもたらす独自な機能
は、他社製品の追随を許しません。
企業の柔軟性向上を実現
Oracle SOA Suite は、以下に示す 3 つの点において、業界のどのソリューションよりも強力に企業
の柔軟性を向上させます。
•
サービス指向アプリケーション - Oracle SOA Suite は、サービス指向アプリケーションの迅
速な開発と、堅牢な SOA プラットフォームでのデプロイおよび管理を可能にします。ま
た、既存のアプリケーションやレガシー・システムは、再コーディングせずサービスとし
てラップすることができます。
•
ビジネス・プロセスの最適化 - Oracle SOA Suite は、企業全体にわたってビジネス・イベン
トへの可視性をもたらすので、イベントに対応するようにビジネス・プロセスを最適化す
ることができます。
•
統一的なワークプレース - Oracle SOA Suite は、企業ポータルによって従業員の生産性を改
善します。企業情報、サービス、ビジネス・プロセス、ビジネス・インテリジェンスに統
一的にアクセスできるため、情報の検索速度が向上し、相互協力の負担も軽減されます。
Oracle SOA Suiteのサポート対象:
IBM WebSphereやJBossをはじめ
とする多様なアプリケーション・
サーバー。Ilog Jrulesや
ミドルウェアの複雑さを軽減
Oracle SOA Suite は、他ベンダーのどのソリューションよりも強力にコストを削減し、ミドルウェ
アの複雑さを軽減します。単一の製品として技術的に完成された業界唯一の SOA スイートであ
り、以下の 5 つの点で他のソリューションを大きく引き離しています。
•
単一の開発フレームワーク - Oracle SOA Suite は、1 つに統合された設計環境を提供する唯
一の SOA スイートです。エンタープライズ・アプリケーションの開発、Web サービスの
構成、企業ポータルの作成、ビジネス・プロセスのオーケストレーションがすべて可能で
ありながら、それら全プラットフォームを対象に 1 つのツールを学習するだけです。
•
単一の開発アーキテクチャ - Oracle SOA Suite は、スケーラビリティ、可用性、負荷分散、
リソース管理、セキュリティ、メタデータ管理を 1 つの共通アーキテクチャで実現してい
る唯一の SOA スイートです。ミドルウェア・インフラストラクチャの統合に要する時間
も短縮されます。
•
単一の管理アーキテクチャ - Oracle SOA Suite は、ID 管理とシステム管理に共通のアーキ
テクチャを持つ唯一の SOA スイートです。ユーザーもシステムも集中的に監視と管理が
可能なため、コスト削減とセキュリティ向上が保証されます。
Corticonなどの主要ビジネス・
ルール・エンジン。Active
Directory、iPlanet、Novellなど
LDAP V3準拠のディレクトリ。
Oracle AQのほか、IBM MQ、
SonicMQ、Tibcoなどの主要
メッセージング・サービス。
18
•
単一のメタデータ管理システム - Oracle SOA Suite は、全コンポーネントを通じで共通のメタ
データ管理システムを利用する唯一の SOA スイートです。そのため、アプリケーション開発の
速度が向上し、メンテナンス性の高いアプリケーションが約束されます。
•
簡単な導入 - Oracle SOA Suite のコンポーネントはすべて、業界標準に基づいて構築され業界標
準をサポートしているため、段階的な導入が可能であり、既存の情報技術インフラへの統合も容
易です。Oracle SOA Suite は、既存の IT 環境にもシームレスに統合されます。これが、ホットプ
ラガブル・アーキテクチャです(図 8 を参照)。
「Oracle BAMは、あらゆるビジネ
ス・プロセスの監視と測定によっ
て、永続的な最適化と改善のための
ビジネス価値をもたらすだろう」
Lufthansa Flight Training
Process Management
Wolfgang Schlott氏
BAM
JDeveloper
Eclipse
監視
BPEL Process Manager
ネイティブ
BPEL
ワーク
フロー
Web Services Manager
ルール
ILog JRules
Corticon
セキュリティ
Oracle Directory
Active Directory
LDAP
UDDI
レジストリ
Oracle AQ
Tibco
MQ Series
Enterprise Service Bus
アダプタ
ルーティング
アプリケーション・サーバー
(Oracle、WebLogic、WebSphere、JBoss)
図 8: Oracle SOA Suite のホットプラガブル・アーキテクチャ
最高の TVO(投資価値)を達成
(投資価値)を達成
Oracle SOA Suite では、以下に示す 3 つの戦略によって、最高の TVO(投資価値)を達成することが
できます。
•
アプリケーション開発とデプロイの高速化 - 市場で唯一の統合 SOA スイートである Oracle SOA
Suite は、アプリケーションの設計から開発、デプロイ、管理までの全体的なコストを大幅に削
減します。アプリケーションの構築と製品化の時間、それに伴う利益回収期間も短縮されます。
経費が削減され、ソフトウェア・エンジニア費も研究開発資金も、スムーズに次の製品に割り当
てることができます。
•
アプリケーション・デプロイ・コストの削減 - Oracle SOA Suite は、グリッド・コンピューティ
ングの活用を前提に設計された唯一の SOA スイートです。モジュール型で低コストのハード
ウェアおよびストレージにエンタープライズ・アプリケーションをデプロイすることで、コスト
を削減できます。
•
メンテナンスおよび管理コストの削減 - Oracle SOA Suite は、システム・グループ間でソフト
ウェアのプロビジョニングを自動化し、システムの監視と管理を集中化することによって管理コ
ストを削減します。セキュリティ管理のコストも、ID およびアクセス管理の集中化により削減
されます。
Oracle SOA Suite は、開発コストとデプロイ・コストを削減し、その後のメンテナンス・コストも削
減することによって、最高の TVO を達成し、最速の ROI を約束します。
Oracle SOA Suite
SOA ツールおよびミドルウェアのベストオブブリード
19
顧客による実証
Oracle Fusion Middleware は、28,500 以上のユーザー数を誇っており、その多くが包括的なホットプ
ラガブル・アーキテクチャを利用してサービス指向アーキテクチャを構築しています。
ING 社
ING Lease Belgium 社は、リース業界のパイオニアであり、世界屈指の金融サービス企業である
ING グループの完全子会社です。ING 社は、末端顧客へのカー・リースの提供などで既存の製品
を新しい顧客にも提供する一方、不動産リースといった新機軸を打ち出すことによっても常に業
績拡大を図っています。ING Lease 社は、Oracle SOA Suite のコンポーネントを導入して、顧客識
別などのフロセス・ステップで 2〜3 倍の時間短縮を実現しました。
ING Lease 社は、サービス提供対象の顧客数だけでなく、買収によっても顧客数を伸ばしてきま
した。その結果、AS 400(I-シリーズ)の課金アプリケーションやクライアント・サーバーなど、
3 種類のバックエンド・システムに分断化された IT インフラストラクチャを引き継ぐことになり
ました。ビジネス・ニーズの変化により、既存のビジネス・プロセスにおけるボトルネック、た
とえば複数システムに顧客データが分散している状況などが明白になります。ING Lease 社は、
ビジネス・プロセスを最適化する必要に迫られました。
同社は、SOA と BPM、そして同社の SI パートナーである Accelior が開発した Agile SOA
Methodology に目を向けました。ビジネス・プロセスをバックエンド・システムから切り離し、既
存のバックエンド・システムは見積り、契約、請求、監査などのサービスとして公開する必要が
あります。Oracle BPEL Process Manager を使用して、これらをエンドツーエンドのビジネス・プロ
セスへとオーケストレーションしました。また、自動化されたビジネス・プロセスの業績と KPI
の監視、そしてボトルネックと改善点の発見には Oracle Business Activity Monitoring を導入してい
ます。この組合せによるソリューションが、リース自動化と最適化の統一プラットフォームを実
現したのです(コアのリース・プロセスのための"見積りから契約まで")。Accelior 社の SOA
Methodology は、Oracle SOA Suite を利用して 6 か月間でシステムを本稼働しました。
「Oracleは、今後とも当社の戦略
的なSOAプラットフォームで
す。ING Lease Belgium社は、
Oracle BPEL Process Managerを
利用して、SOAベースのリース
自動化プロジェクトの実装に成功
を収めました。包括的なベストオ
ブブリードのSOAスイートで
は、Web Services Manager、
BAM、Rules Engine、および
ESBは自然に導入されます。
事実、当社の次期プロジェクトで
はBPEL上にOracle BAMの実装を
計画中です」
ING Lease Belgium社 SOAP
プロジェクト担当アーキテクト
Accelior社、Geoffroy DeLamalle氏
20
Webster 銀行
銀行業界は、払戻し、送金、流動資金管理などの業務を世界で最も堅固な情報システムに依存して
います。これらの主力システムは、膨大なスケールで精度と信頼性の高い処理を実行していますが、
顧客と取引先は、金融サービス業者に対して、バッチ処理を超えるもっと柔軟な選択肢を求めてい
ます。払戻しシステムの大部分は、30〜40 年も前に構築されたものであり、Web 対応のソフトウェ
ア・アプリケーションに今日の顧客が求めるような柔軟性や反応は不足しています。Webster 銀行は、
Oracle SOA Suite を使用して払戻し処理システムを実装しました。その結果、さらに精度の高くなっ
た払戻しシステムが、顧客の取引を簡単にしたばかりでなく、エラーの減少によって短期間での
ROI も達成することになりました。
「Oracle SOA Suite は、SOA
ソリューションの開発、監視、
および管理に必要なあらゆるも
のを提供してくれるので、分散
したテクノロジーの統合やサ
ポートについて私たちが煩う必
要はありません。Webster
Financial の情報技術チーム
は、Oracle JDeveloper の
BPEL モデリング・ツールを
使って、払戻し処理アプリケー
ションを作成しました」
- Webster 銀行
vice president of e-commerce
Greg Jacobi 氏
Webster 銀行は SOA を導入し、Oracle BPEL Process Manager を使って新しい払戻しシステムを作成し
ました。このシステムは、払戻しのルーティングや勘定の照合などのバックエンド・プロセス(そ
の多くは他の企業やサービス・プロバイダが提供)をとりまとめる Web サービスに基づいています。
BPEL プラットフォームの利用によって、新たなアプリケーション開発のための反復的な開発プロセ
スの精度が向上し、IT グループは承認者たちに、実際のモデリング環境でワークフローのデモを行
うことができます。Webster 銀行は、Oracle BPEL Process Manager によって開発者とビジネス・アナ
リストの共同作業が改善されたことを高く評価しています。BAM がビジネス・プロセスへの洞察を
もたらすため、各マネージャは見逃しがちな点を簡単に確認できます。Oracle BAM が、KPI と各メ
トリックに対するリアルタイムな可視性を実現することでクリティカルなビジネス・イベントを提
示するので、非効率はただちに検出され是正されます。
新しい払戻しシステムに関する評価はきわめて高く、Webster 銀行はこの機能を顧客とパートナーに
も拡大する見通しです。システムの作成には SOA を使用したため、アプリケーションの一部をイン
ターネット上で他の企業にも公開し、それらのアプリケーションの適用範囲を拡大することができ
ます。
Lufthansa 社
Lufthansa Flight Training(LFT)は、Lufthansa AG の完全子会社であり、パイロット訓練などを 40 社
以上の航空会社に提供している、世界有数の航空訓練サービス業者です。LFT は、営業管理システ
ムを必要としていました。当初は、ERP ベンダーの販売および流通モジュールの導入が検討されま
したが、営業部門などの従業員は、既存パッケージの利用かその拡張が望ましいと考えました。
ユーザーは既存のアプリケーションを好み、改めて習熟が必要になる複雑な CRM モジュールの導入
を敬遠したのです。そこで、段階的なアプローチが最善と判断され、ERP ベンダーから追加モ
ジュールを購入する計画は破棄され、既存の ERP およびパッケージ・アプリケーションを有効活用
できるコンポジット・アプリケーションの構築に焦点が当たりました。同社は Oracle SOA Suite を採
用し、Oracle BPEL Process Manager で販売と流通の(コンポジット)アプリケーションを構築し、
Oracle BAM でビジネス・プロセスの監視と最適化を図りました。また、使いやすいユーザー・イン
タフェースには Oracle Portal、認証および認可ポリシーの実施には Oracle Identity Management が導入
されました。また LFT は、オラクルの SAP Adapter を使用して、既存の ERP との統合、Novell
eDirectory との統合も実現しました。
このプロジェクトの結果、さらにカスタマイズが必要な ERP モジュールよりも、SOA に準拠したコ
ンポーネント・アプリケーションを構築する方が効果的であると LFT と結論付けています。Oracle
SOA Suite で導入されたソリューションにより、LFT は段階的に開発し、必要があれば後から変更、
最適化できるという柔軟で敏捷性の高いソリューションを手に入れました。これは、マイルストー
ンを達成しつつ必要な機能を確保できる革新的なアプローチです。
Oracle SOA Suite
SOA ツールおよびミドルウェアのベストオブブリード
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結論
Oracle SOA Suite は、標準ベースのベストオブブリード・スイートであり、サービス指向アプリ
ケーションの構築と、任意のミドルウェア・プラットフォームへのデプロイを可能にします。
Oracle SOA Suite は以下のコンポーネントで構成されます。
1. サービス開発のための統合サービス環境(ISE)
2. アプリケーションを統合する、マルチプロトコルの Enterprise Service Bus(ESB)
3. サービスのライフサイクルを検出および管理する、サービス・レジストリ
4. サービスをビジネス・プロセスに結合する、BPEL ベースのオーケストレーション・エン
ジン
5. ビジネス・ポリシーの取得と自動化を可能にする、Business Rules Engine
6. サービスに対する認証および認可ポリシーを実施し、サービスおよびプロセスの SLA コン
プライアンス状況を監視および管理する、Web サービスの管理およびセキュリティ・ソ
リューション
7. ビジネス・エンティティに対するリアルタイムの可視性を実現し、サービスとビジネス・
プロセスを最適化する、Business Activity Monitoring(BAM)
8. 従業員、顧客、パートナーがコンテンツにアクセスし、関連する業績メトリックにアクセ
スして、ビジネス・プロセスとのやりとりを介した協調を実現する、企業ポータル
Oracle SOA Suite と各コンポーネントのホットプラガブル・アーキテクチャにより、各機能は既存
の IT 環境にもシームレスに統合できます。Oracle SOA Suite のベストオブブリード・コンポーネ
ントは、段階的な導入が可能なため、明らかになった問題の解決に個別に利用することも、企業
規模に拡大導入することもできます。Webster 銀行の e コマース・バイス・プレジデント Greg
Jacobi 氏が言うように、「Oracle SOA Suite を利用して作成したシステムは、柔軟なビジネス・モ
デルを実現するだけでなく、将来的に多くの選択肢を与えてくれる」のです。未来に向けた無限
の選択肢を手に入れるために、今、Oracle SOA Suite を導入をお勧めします。
「Oracle SOA Suiteは、柔軟性と
短期ビジネス成果という当社の要
件を達成しうるきわめて動的なシ
ステムを構築する、プロセス、統
合、ポータルの包括的なツール・
セットを実現してくれます。当社
には、既存のCRMシステム、バッ
クエンドのSAP R/3財務モジュー
ル、Novell Single-Sign-Onおよび
Novell Directoryテクノロジーなど
から成る異機種IT環境が存在し、
Oracle SOA Suiteをそれにどう統
合できるかが重要でした」
Lufthansa Flight Training
Process Management
Wolfgang Schlott氏