[アイディ英文教室 連載コラム] 2014 年 8 月号 柴田耕太郎 アイディ英文教室には姉妹講座で通信教育もあります。通学制の英文教室は程度が高い と考える方には、基礎力錬成の通信講座をお勧めします。 今回は、通信講座教材「幸福の王子」をちらっと覗いてみましょう。 High above the city, on a tall column, stood the statue of the Happy Prince. He was gilded all over with thin leaves of fine gold, for eyes he had two bright sapphires, and a large red ruby glowed on his sword-hilt. オスカー・ワイルドはイギリスの詩人で劇作家でもあります。1854 年、アイルランドのダ ブリンに生まれました。この『幸福の王子』はワイルド 33 歳のとき、二人の息子のために 書き上げられました。 美しい「王子の像」は知り合いになった燕に託し、自分の身に着けているものを次々と 可哀そうな人たちに与えてゆきます。そのうち、身はボロボロに崩れ、越冬の機会を逸し たツバメもその王子の像の傍らで凍え死んでゆくのです。 私はその小説『ドリアングレイの肖像』が好きです。美貌の青年ドリアングレイは悪徳 を重ねますが、その若さは衰えず一方自分の肖像画は醜くなってゆきます。思い余ったド リアングレイは肖像画を切り刻みます。すると自らの老いさらばえた姿が鏡に映るのでし た。ユダヤの皇女サロメの倒錯した愛を描く戯曲『サロメ』も人気で、現代でもたびたび 上演されています。 訳のヒント: ①High above the city high は前置詞ではありません。 「高い町の上に」は明らかな誤訳。high は副詞で大まかな 位置を、次の前置詞句で具体的な場所を示しているのです。 ②the Happy Prince 何で H と P が大文字になっているのでしょうか。語頭の大文字は固有名詞化と覚えてくだ さい。 ③fine 易しいことばほど意味が多いのです。いちいち全部覚えるのは大変。語源を知れば、その 変化のあとをたどるのも簡単です。ラテン語 finis(終わり、限界)から意味が広がってきます。 「最後のもの」→「完成した」 「申し分ない」 「見事な」 。金に「素晴らしいもの」と「素晴 らしくない」ものがあるはずはありません。ここ、純度のことをいっているのです。 ④sapphire と ruby この二つどう違うのでしょう。じつは学問的には同じものです。百科事典には「六方昌系、 菱面体昌族の鉱物。硬度 9 でダイアモンドに次いで硬い。青いものをサファイア(青玉)、赤 いものをルビー(紅玉)という」とあります。サファイアは 9 月の誕生石、ルビーは 7 月の誕 生石。世界最大のルビーとして、ロシア皇帝の王冠についていた 414,3 カラットのものが 有名です。深い色合いを秘めた眼の青、刀を飾る赤、思うだけでも引き込まれそうですね。 *講座では、この後に詳細な構文分析と Q and A、添削が示されます。ご興味ある方は、本 ホームページ冒頭の「開講講座一覧」をクリックし、出てきた「開講講座一覧」の一番下 「英文精読通信講座」をクリックしてください。
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