人の生活の場で活躍する ロボットに関する研究

人の生活の場で活躍する
ロボットに関する研究
水内郁夫(東京農工大学)
http://mizuuchi.lab.tuat.ac.jp/
2014年6月17日
1
Mizuuchi Lab.
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大きな課題:「人間・生物とロボット」
 ⼈間や動物の⾝体構造や運動制御
 我々の⽇常における⾼度な知能
Mizuuchi Lab.
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東京農工大学水内研究室の研究
 ロボット技術
 産業⽤ロボットで成功(定型作業・⾼速・⾼精度)
 家庭⽤ロボットはこれから(判断能⼒・複雑操作)
我々のねらい:判断能力・複雑操作能力
人間に学ぶ (身体構造・情報処理・制御)
 主な研究
 ⾝体構造:筋⾻格、柔軟性、多⾃由度協調、…
 情報処理:実世界認識、⽚付け作業、果実収穫、…
 制御:動的運動、操縦学習、⾃律⾏動、…
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(1)柔軟性を持つロボット
• 物理的柔軟性
• ⾮線形ばね組み込み筋⾁ユニット
超⼩型コンプレッサ
• 空気圧アクチュエータ、柔軟な外装
• 弾性を仮定する構造材によるロボット構成
McKibben型⼈⼯筋
• ⼈や環境との安全な接触
• なじむ。衝撃吸収。
• 外⼒の急変を伴うタスク(クギ打ち、引き出し等)
• 構成法・制御法
• 家庭内活動可能な⾃⽴性(紐無し・⾃⼰充電)
• 柔軟性の調節法
• 弾性エネルギの蓄積・解放による瞬発⼒
• 構造が弾性を持つヒューマノイドの制御法
筋⾻格型ヒューマノイド
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コンプレッサ搭載型空気圧駆動筋骨格ヒューマノイドbuEnwa
広範囲,かつ長時間活動可能
後転跳びの実現に向けた後方跳
躍に適した筋配置
*筋肉 (赤, 緑, 紫, 橙)
脊椎の柔軟性によるブリッジ
骨格内がタンクに
なっている
空気
大腿,下腿,前腕
上腕の4ヶ所
前腕の断面図
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高圧(低流量)小型コンプレッサ開発
Output pressure [kPa]
1000
The prototype compressor
SQUSE MP-2-C
800
600
400
最⼤圧縮圧:958[kPa]
縮
200
0
0
200
400
600
800
Compression time [s]
1000
1200
コンプレッサ搭載型
跳躍ロボット試作
 質量:約4[kg]
 全⾼:52[cm]
 タンク容量:約2.8[L]
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(2) ロボット知能化ソフトウェア
※RT=Robot Technology
 RTコンポーネント
 「RTミドルウェア」に基づくソフトウェア部品
 企業単位・研究室単位だったロボットのソフトウェ
アを共有可能にする試み
 NEDO次世代ロボット知能化プロジェクト
 2007〜2011年度(5年間)
 プラットフォーム検証グループとして参画
 「⽣活環境情報収集知能モジュール」の開発
 研究室ロボットのシステム基盤として利⽤を推進
 OpenRTM-aist (産総研)
 ROS (⽶Willow Garage社)
知能化PJリファレンス
 OpenCV (Intel ⇒ Willow Garage)
ハードウェア(ロボット)
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(3) 家庭内実証的タスク実現
 実証的タスク実現
 実際の家庭内のような環境を研究室に⽤意
 タスクを試⾏錯誤する過程で実現法を抽出
 ロボット知能化PJのプラットフォームを基盤
システムとしてゆく。
 タスク例
 物品⽚付け⾏動
 家庭内物品認識
 家庭内⾃律移動ソフトウェア
 ⽬指す形態
 アームとカメラを持つRoomba
 ⾃由に動き回る柔軟⼦供型ロボット
 キッチンロボットとの連携
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ベルト潜り込み式玄関整理ロボット
平ベルト⽤プーリ
モーター
タイミング
ベルト
1
2
バッテリー
3
平ベルト
•
ボール
ローラー
平ベルト軸
⼨法[mm]…180W×275D×50H
•
⾞輪
タイミング
ベルト⽤プーリ
つま先から潜り込み,ベルトを逆回転
させることで可能
外部カメラから得られる情報を利⽤
すれば靴の向きも判断可能
試作機外観
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(4) キッチン作業支援
 画像などで概況を把握した後に、詳細情報をハンド埋め込み型センサによ
り得ながら、⾷器を取り扱う。
 テーマは「⼿探りアルゴリズム」
 壊れやすい⾷器の取り扱いが可能な、敏感なMEMS触覚センサ、⾮接触近
接覚センサ、⼒覚センサ等を複数埋め込み。
 ⾷後の⾷器が運ばれてくると、⼀つずつ濯いで⾷洗機に⼊れ、最後に⾷洗
機のふたを閉めてスイッチを⼊れる。
 システムの発展:滑り覚・接触⼒の⽅向(摩擦⼒の操作)
せん断力計測が可能な
MEMS触覚センサ(米粒大)
3軸⼒センサ×2
圧⼒センサ×8
6軸⼒センサ×1
近接覚センサ×5
キッチン据え付け7⾃由度アーム(スライダ含)
MEMS触覚センサ×4
多種センサ埋め込み型少⾃由度ハンド
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接触力の大きさと「方向」の制御
 接触⼒の⼤きさだけでなく、⽅向も制御する必要。
 初期滑りを検出して最少⼒把持を実現したい。
うまくつかむためには・・・?
接触力
摩擦円錐
重力
力の大きさ・方向 が重要
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触覚・滑り覚に基づく接触力制御
サーボモータ
滑りセンサ基板
6軸力センサ
光学マウスセンサ
光学マウスセンサを⽤いた
滑り覚センサ基板(新規開発)
接触面
6軸⼒覚・滑り覚
を埋め込んだ指先
接触面(ゴムシート)
24mm
6軸センサ取り付け穴
光学マウスセンサ
センサと接触平面
レンズ(裏面)
50mm
fx:押し付け力
fz:摩擦力
fx
fz
8.0m
m
アクリル板(1~2mm位)
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(6) 植物ロボット化、農業ロボット
動物
特徴:
⾃ら⾷料を得るために、移動
能⼒と操作能⼒を有する。そ
のための感覚系と情報処理系
も発達している(脳)。
アクチュエーション: 移動、操作、⽣殖
センシング:多様なセンサ、神経細胞、脳の情報処理
植物
特徴:
種⼦や根を介して、世代を超える
ことでしか、移動できない。⾷糧 アクチュエーション:世代をまたいだ移動、
に相当するのは、CO2と⽔と光。
わずかな操作、⾃⼒ではない⽣殖
感覚系・情報処理系は、ハードワ
イヤードな形のメカニズム。
センシング: 限定的なセンサと固定的な反応系
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植物ロボット化(自律移動植物ポット)
ロボット導⼊による⽣産の効率化
農⼯⼤キャンパスファクトリー概略図
春
早春
夏
冬
⾃律移動植物ポットの開発
秋
晩秋
・早春 春 夏 晩秋 秋 冬を再現した環境制御室
・個々のポットを移動させることにより栽培
Sensor
温度
重量
輝度
CO2
カメラ
⽔分計
e.t.c.
Pot
・植物や環境情報をセンシング
・状況に応じて自律移動
・生産の効率化・省力化を実現
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太陽光の時間的空間的有効活用
1.日向への高密度化
2.日向日陰間の入れ替わり
So good!!
光合成能力
太陽光を有効活用(光合成能力を高く維持)するには?
温度
Too cold.
Sunlight
Sunlight
Too hot !!
・光合成の温度依存性を考慮
・光合成に最適な温度となるように自律移動
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植木鉢型ロボット制作・実験環境構築
制御検証⽤植⽊鉢型ロボット
果樹栽培⽤植⽊鉢型ロボット
仕様
幅:120[mm]
⾼さ:80[mm]
仕様
直径:600[mm]
⾼さ:480[mm]
・卓上サイズ
・差動駆動輪型
・制御アルゴリズム
検証⽤
・無線通信
・耐荷重:30kg
・果樹栽培⽤
・全⽅位移動台⾞
・ソーラーパネル
⾃⼰発電
・植物⼯場での実験
・無線通信
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熟度判定に基づくブルーベリー収穫
RGB値から
⻘⾊抽出
1
蛍光灯
DepthSense311
(RGB & 3D距離カメ
ラ)
2
柔かさ測
定
3
ハフ変換
による円検出
距離画像
RGB画像
もぎ取り易さ
に基づく収穫
空気圧制御
もぎ取り易い実
もぎ取りにくい実
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果樹の3次元枝構造認識
• 果⽪に特徴がなくても枝には
特徴がある
• ⻑さ、⽅向、つながり情報
• 枝構造に基づく個体識別
• 枝の繋がり情報の利⽤
実A
枝a
・3次元情報
・画像情報
・⽅⾓情報
枝b 枝c
枝d
枝e
実B
実A:枝a,枝b,枝d,枝e
実B:枝c,枝d,枝e
・・・
ICタグ付や印字を行わず、果皮に特徴のない実への適用を目指す
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(7)身体の柔軟性(安全性と瞬発力)
 弾性( F
 kx )、粘性( F  cv)
瞬発力利用動作
 ゴムやバネ
 ⼒の急変に対応
 衝突時⇒安全性(従来から想定されてきた)
 静⽌摩擦から動摩擦に切り替わる瞬間
⾛る
 「しなり」を利⽤した動作(本研究のねらい)
 投球,テニスのサーブ,サッカーのキック,…
 瞬間的な、⼤きな速さや、⼤きな⼒
 低性能のアクチュエータで瞬間的⾼性能
 難しさ
投げる
跳ぶ
 適切な弾性(k)は?
 適切な⼒の⼊れ⽅は?(テイクバック,投球モーション)
 何に依存するか? ⇒ 慣性,弾性,粘性,⼒,…
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モータ+直列弾性要素⇒瞬間的高速
SMCS:
Spring-Motor
Coupling System
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20
弾性を有する跳躍用装具装着による
ヒューマノイドの跳躍運動 ⼈間⽤跳躍⽤装具
Jumping Stilts
研究概要
ヒューマノイドが⾛⾏や跳躍など、⾼速・⾼出⼒な運動を⾏
うためには、⾼出⼒なアクチュエータや頑丈な機構が要求さ
れます。これに対し本研究ではヒューマノイドの装具装着に
よる⾼い運動能⼒の発揮を⽬指して研究しています。
ヒューマノイド⽤装具の製作
計算モデルによる運動解析
実機による実験
ヒューマノイド
k=1304[N/m]
装具
実機での跳躍に成功
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(8) 人間の上達に学ぶロボット上達・発達
 双⽅向型のロボット操縦環境
 ロボットのセンサ・モータ情報の詳細ログが残る。
 操縦者がしだいに上達する。
 上達過程のデータ
 センサベーストな動作の発達過程
 「上達後の成果をロボットに移植」のみならず、
「ロボットが⾃動的に上達する仕組み」へ
 タスク例:物体操作、動的動作
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ウェアラブルロボット操縦デバイス「腱人」
 ⼒覚の提⽰:各種センサ統合⾮線形ばね特性筋型ユニット
 姿勢の計測:各部の筋⻑の関係
ヒューマノイド
操縦実験
センサ統合
筋型ユニット




腱人
素体:柔軟なプロテクタ・⼿袋・ベルト
17⾃由度:⽚⼿7(肩3・肘1・⼿⾸3)・背⾻3
28本の筋:⽚⼿12(肩6・肘2・⼿⾸4)・背⾻4
重量:5.5kg (制御⽤PCと電源を除く)
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まとめ
 ロボットの⾝体構造の研究
 コンプレッサ搭載型空気圧⼈⼯筋駆動ロボット
 多関節筋を含む筋配置の最適化
 複雑操作能⼒の研究
 弾性を活⽤するロボットの⾝体構成法と制御法
 弾性・慣性・重⼒エネルギの分配法
 ヒトの感覚運動系・上達過程に学ぶ
 実⽤的タスク実現
 家庭内家事⽀援(⽚付け・物品記憶・物体操作)
 農業⽀援(植⽊鉢ロボット、収穫ロボット、⽣育管理)
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本技術に関する知的財産権




発明の名称:植物栽培⽅法と植物栽培システム
出願番号:特願2012-116626(特開2013-242777)
出願⼈:国⽴⼤学法⼈東京農⼯⼤学
発明者:⽔内 郁夫、湯浅 雅⼈




発明の名称:収穫装置と収穫⽅法
出願番号:特願2012-115862(特開2013-240299)
出願⼈:国⽴⼤学法⼈東京農⼯⼤学
発明者:⽔内 郁夫、國芳 隼平
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お問合せ先
東京農工大学
先端産学連携研究推進センター
TEL 042-388-7550
FAX 042-388-7553
e-mail [email protected]
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