大谷石採掘場を見学して(研究室旅行)

YNU Geo Lab
IUI
現 場 見 学 の 記 録
Institute of Urban Innovation, Yokohama
2012 年 8 月 24~26 日
大谷石採掘場を見学して(研究室旅行)
栃木県宇都宮市大谷町 ほか
一柳 政充
福田 圭吾
HITOTSUYANAGI Masamitsu
修士課程一年
都市イノベーション学府
FUKUDA Keigo
学部四年
建築都市・環境系学科 都市基盤 EP
1.ゼミ旅行の概要
ゼミ旅行は、毎年夏休み中に行われる研究室
の一大行事である.地盤工学に関連する施設・
場所を見学して専門知識や理解を深めると共
に,留学生も含めた学生同士あるいは教員・ス
タッフの交流を図るために開催している.一昨
年は千葉の君津環境整備センター、昨年は大島
を訪れた.
今年は 8 月 24~26 日の 2 泊 3 日で栃木県の
奥日光に滞在した.参加メンバーは,教員 3
図―1 研究室旅行の集合写真
名、秘書、学生 23 名(うち留学生 4 名)の計
27 名であった.現場見学は,栃木県宇都宮市
大谷町にある大谷石の地下採掘場を訪問した.
2、大谷石の地下採掘場「石の里 希望」
大谷石産業株式会社のご協力を頂いて,栃木
県宇都宮市大谷町にある大谷石の地下採掘場
「石の里 希望」を見学した.この採掘場は現
在も採石が行われている生きた現場であり,基
本的に 1 週間のうち日曜日を除く 6 日間採掘が
行われている.
地下深くにある採掘場の中は,真夏日であっ
図―2 採掘された大谷石
たにも関わらず気温は 20℃以下と半袖では肌寒かった.現場で働いている方からは,採掘の際に
実際に使われる機材の説明や採掘の仕方などを説明して頂いた.当研究室では大谷石を使用した
Copyright © 2012 Geotechnical Engineering Laboratory, Yokohama National University, All rights reserved.
実験を行っている者も数名おり,産出量や採掘場
の位置による品質の差異に関する質問から採掘場
の力学的安定性や変位計測に関する専門的な質問
まで多くの質問が飛び交った.
最後に,今回見学させて頂いた採掘場は,普段
は一般公開されていないため,特別な機会がなけ
ればめったに立ち入ることができない.今回は本
学地盤研のために特別に貴重な見学会の機会を設
けて頂いた.我々の無理なお願いを快く引き受け
てくださった大谷石産業株式会社の皆さん,特に
図―3 見学会の様子
飯村さんと採掘場で働く社員の皆様方には大変お世話になりました.この場を借りて御礼申し上
げます。ありがとうございました.
3.大谷町での見学・観光~露天掘り採石場跡と大谷観音、大谷寺
大谷町では,大谷石にまつわる大谷観音・大谷寺・景
観公園などを観光した.大谷公園内に鎮座する平和観音
は大谷石の自然岩壁に彫られた観音で,戦没者の慰霊と
世界平和を祈念して昭和 23 年より 6 年をかけて総手彫り
で製作された巨大観音像である.観音の高さは 27m もあ
り圧巻の一言であった.また,大谷公園は露天掘りの採
石場跡であり,観音の周囲の切り立った岸壁からは当時
の採石の様子を感じ取ることができた。景観公園は大谷
石の岩壁が連なる奇観を一望できる公園となっており,
大谷石の表面の独特の風合いが肌で感じられた.
大谷町では,谷教授が電力中央研究所の研究員時代に
行った原位置三軸試験の大型供試体も見ることができた.
原位置試験は,実際の工事現場などで地盤の強度・変形
特性などを調査する際に,一度供試体を取り出して実験
図―4 大谷観音
室で室内試験を実施するかわりに原位置で直接試験を試
みるものである.今回,見学した供試体は試験実施後,
長い年月を経ており,大谷石のミソと呼ばれる黒い部分
が完全に無くなっていた.なお,大谷石は加工のしやす
さや独特の風合いの美しさから様々な建築物に使用され
てきたが,特に建築家フランクロイド・ライドが設計し
た旧帝国ホテルは有名である.供試体を見学した背後の
山は,同ホテルの建設に実際に使用された大谷石を採掘
したサイトとのことであった.
図―5 大谷寺
Copyright © 2012 Geotechnical Engineering Laboratory, Yokohama National University, All rights reserved.
4、その他のエピソード
今回の研究室旅行では,1 日目は宇都宮市内のレストラン・石の蔵(大谷石を使って建てられ
た蔵を改装したレストラン)でランチを取り,その後,向日葵畑を見学した.2 日目は自由行動
で,鬼怒川の川下り,中禅寺湖での魚釣り,ハイキング,男体山登山,日光東照宮見学など各自
が希望するコースで観光を楽しんだ.先述の採石場の見学や大谷町の観光は最終日であった.
a) 一柳の感想
幹事として見学場所から宿泊先までの詳細を決めるのに色々と苦労した.しかし,先生方のア
ドバイスもあり結果としては有意義な旅行とすることが出来た.自由行動のライン下りは,景色
も良く船頭さんのトークも面白かったため,30 分の乗車があっという間に感じられた.また,終
着場所の近くで食べた川魚の塩焼きは都会では味わえない天然の旨味が堪能できた.夜の飲み会
も連日大部屋を貸し切って行い,先生・先輩・後輩関係無しに大いに盛り上がった.
b) 福田の感想
栃木県日光市は初めて訪れた場所でした.とても自然が美しく,空気がおいしいと感じた。私
は今回の自由行動でハイキングを選択した.ハイキングコースは山あり谷ありと最初イメージし
ていたものとは異なったが,良い運動にもなり,日光市周辺の山々の壮大な景色を感じることが
でき大変貴重な経験となった.不運にも急な雨により最終目的地である戦場ヶ原と呼ばれる高層
湿原にはたどり着くことができず,また機会があれば挑戦してみたいと思っている.先輩方,先
生方との親睦も深めることができ楽しいゼミ旅行であった.
図―6 旅行中の各イベントの様子
Copyright © 2012 Geotechnical Engineering Laboratory, Yokohama National University, All rights reserved.