高機能化学品のリーディングカンパニー www.dks-web.co.jp NEWS RELEASE 2003.1.20 色素増感太陽電池の実用化について 第一工業製薬株式会社 第一工業製薬㈱と三井物産㈱は、太陽電池などの研究開発を行う合弁会社「エレクセル株式会社」(代 表取締役 大谷隆允、本社 京都)を設立し、このたび、先端技術を保有する国内外の大学・研究機関と連 携し、次世代型の色素増感太陽電池の実用化に向けての開発に着手いたしました。 太陽光発電は二酸化炭素を発生しないクリーンエネルギー源として注目されており一般住宅用に需要が 急増しています。既存のシリコン系太陽電池では供給面、コスト面に課題があり、大量普及を実現するため に製造プロセスが簡単で材料費も安く低コスト型である有機太陽電池の早期実用化が期待されています。 有機太陽電池のうち、現在最も有望なものは、色素増感太陽電池です。太陽光を色素で増感し、太陽光 発電を行う原理自体は古くから知られており、この原理を利用して現在変換効率最高10%程度のものが 得られています。 色素増感太陽電池は、製造コストが大幅に削減でき、透明なものやフレキシブルなものができるなど大き な特徴を有しています。しかしながら、電解質に揮発性の液体を使用することから、耐久性などに問題があ り実用化はこれからの課題となっています。 第一工業製薬㈱は10年余りにわたりリチウム電池、コンデンサー、太陽電池などの材料である高分子固 体電解質の研究・生産・販売を進めてまいりました。一方、三井物産㈱は長年にわたって電子・電池材料ビ ジネスに携わっています。 このような背景から、両社はこのたび「有機太陽電池に関して個々に得意とする要素技術(ナノ材料、有 機材料、ポリマー電解質など)において卓越した成果をあげてきている国内外の大学・研究機関を、エレク セル㈱を軸に結集し、水平分業することにより短期間に高性能キーデバイスの実用化技術を確立する」と いう新しいビジネスモデルを提唱し、各大学・研究機関の合意を得ました。国内では㈱関西新技術研究所、 東北大学、横浜国立大学、関西大学、海外ではモントリオール大学、ケベック大学などです。 エレクセル㈱は、安全性、製品サイズ・デバイスの自由度が高いことから注目されているリチウムポリマー 電池の開発も同時に行います。また、この技術を応用して、太陽電池とリチウムポリマー電池を結合した画 期的な高機能デバイスの開発も実施いたします。 また、エレクセル㈱は、いずれも数千億円規模の市場性が見込まれる有機太陽電池及び中型〜大型の 動力用リチウムポリマー電池の実用化技術をいち早く確立し、国内外の電池・部品メーカーならびに完成 品メーカーなどに技術ライセンスし、製品の早期普及を促す計画です。 以 上 本件のお問い合わせ先 第一工業製薬㈱ 開発研究本部 常務取締役 大谷隆允 ℡.075-321-1441 第一工業製薬株式会社 広報室 〒604-8187 京都市中京区御池通東洞院西入る Tel. 075-255-0915 Fax. 075-255-1207 新会社概要 1.社 名 : エレクセル株式会社 2.事業内容 : 太陽電池及びポリマー電池、またそれらの原材料の開発を行う。開発したデバイスの 普及・供給のために、他社へのライセンス供与や共同事業会社を設立し事業展開を行う。 3.所在地 : 京都市下京区西七条東久保町55 第一工業製薬㈱研究所内 4.設 立 : 2002年11月7日 5.資本金 : 2億円 6.株 主 : 第一工業製薬㈱65%、三井物産㈱35% 7.社 長 : 大谷 隆允(おおたにたかみつ) 8.社員数 : 11名 ご参考 シリコン型太陽電池 大きく分けて、単結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池があり、p型半導体とn型半導体の 接合型太陽電池である。光電変換効率は単結晶で最高25%前後、アモルファスで12%と報告されている。 理論限界太陽エネルギー変換効率は29%である。現在普及している太陽電池は全てこのシリコン型太陽 電池である。 色素増感太陽電池 チタニア(酸化チタン)、色素、ヨウ素などを含む電解質から構成される太陽電池である。太陽光を色素が 吸収しチタニア層に電子が注入され、外部に取り出される。現在のところ最高変換効率は10%と報告され ているが、これは電解質に揮発性の高い有機溶媒を使用した場合である。理論変換効率は33%と、シリコ ン系太陽電池よりも高い。製造コストは単結晶シリコン太陽電池の 1/5〜1/10 とも試算されている。セルを構 成する材料はシリコン太陽電池に比べ、資源的な制約が少なく、製造プロセスも簡単である。また、リサイク ル製造も容易である。 第一工業製薬株式会社 広報室 〒604-8187 京都市中京区御池通東洞院西入る Tel. 075-255-0915 Fax. 075-255-1207
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