処理時間を改善し、「全国3000店体制」に向けた 成長を

お客様事例
: : 小売
コメリグループ/株式会社ビット・エイ
処理時間を改善し、「全国3,000店体制」に向けた
成長を支える新DWH/BIプラットフォームを構築
国内最大の店舗網を展開するホームセンター・チェーン
導入前の課題
全国規模でホームセンターの出店数を順調に増して
いくのに伴い、情報系システムの中核であるDWH
の性能、処理レスポンスが低下。社員の業務効率に
多大な影響を期していた。また、旧来のBIツールの
機能・性能不足に加えて、部門ごとに独自に作成し
た帳票をBIツールに取り込んで管理を行う方法を
とっていたことから、その業務効率や帳票管理の正
確性などの面でも問題を抱えていた。
導入後の効果
システム性能低下の解決と、近い将来に到達する
全国3,000店体制を支えるキャパシティの確保に向
けて情報系システムを更改し、新しいDWH/BIプ
ラットフォームを導入。クエリー処理やログイン
にかかる時間の劇的な短縮や定型分析メニューの
迅速な構築が可能になった他、DWHとBIツールの
組み合わせによる店舗在庫参照機能も追加され、
店舗側での機会ロス極小化と顧客満足度向上の両
立が図られた。
株式会社コメリは、ホームセンター業界で国内最大の店舗網(*1) を展開する
チェーンストア企業である。住関連商品のジャンルで、とりわけプロの建築業者・
農業従事者向けの資材・建材に強みを持ち、出店地域の消費者から支持されてい
る。さらに業界では類を見ないスピードで出店を増やし、事業を拡大している。
同社の成長をIT面から支えてきた情報系システムは近年、業務データの蓄積
が進み、店舗増に伴ってユーザー数も増加。その影響でデータウェアハウス
(DWH)の性能低下の問題が顕在化していた。コメリグループのシステム開発
と運用を担う株式会社ビット・エイ 取締役 統括部長の小林禎氏は、当時の状況
を次のように話す。
「特にログイン性能の低下が著しく、週明け月曜のような負荷のかかる状況
では1時間以上待たされるケースもありました。DBの検索処理性能も徐々に低
下していて、DWHの定型メニューをクリックしても数分間待たなければなりま
せんでした。また、夜間バッチ処理も長時間化し、翌朝のサービス開始に支障
が出ていました」
また、当時は各部門のユーザーがローカルな帳票を独自に作成し、そこにBIツー
ルから抽出したデータを取り込んで管理していた。そのため、定型帳票で管理して
いる数字との食い違いが見られるケースもあった。2013年4月、このような問題の
解決を図るため、コメリはDWHとBIツールの刷新を核とした情報系システムの更
改を計画した。
*1:2015年2月末現在、1,163店舗。
複数DBを統合し、大量データを多面的・網羅的に
分析できる新DHW/BIプラットフォームを構築
コメリグループは近い将来、全国に計3,000店舗を展開することを計画してい
る。だが、旧システムが管理していた販売・在庫・受発注などのデータ量は、当
時の店舗数である約1000店分で、新しいDWHでは、データ量が現行の3倍程度に
増加してもパフォーマンスが低下しないことが要件となった。なおかつ、定型メ
ニュー画面やBIツールの業務レスポンスの改善も重視した。
また、今後の需要予測や商圏分析の精度を上げていくため、今回のシステム更
改を機に、業務データの保持期間を2年から5年に拡大することも決定した。ちな
みに、コメリの小規模店舗であるコメリ・ハード&グリーンを例にとると、店舗
で扱うアイテム数は1万5000∼2万もあり、こうした膨大な数の商品の管理を含め
て、過去5年分のビッグデータを自在に扱えるようにすることもDWHの必須要件
となった。
「ホームセンターでは市場の状況に応じて商品カテゴリを移し替える場合があ
ります。その際、商品ごとの過去の集計データすべてに洗い替え処理をかける必
要があり、大変な工数がかかっていました。そこで新しいDWHには、この煩雑な
処理を高速で実行できる性能が不可欠だったのです」と小林氏は説明する。
こうした諸要件を満たすDWHとして選ばれたのが、DWHアプライアンスの
「IBM® PureData System for Analytics」(以下、PureData for Analytics)であ
る。「最新バージョンでクエリーのパフォーマンスが大幅に向上することを知
り、洗い替え処理の円滑な実行をはじめ、我々が思い描いていた素早いレスポン
スと臨機応変な運用が可能になると確信できたのです」(小林氏)
BIツールには、ユーザーへのサービスレベル向上を主眼に検討がなされた結果、
「MicroStrategy 9」が採用された。「業務に必要な機能や帳票をビット・エイで
迅速に開発できるようにしたかったのです。以前のBIツールでは、ユーザーから依
頼を受けて新しい帳票を作成し、新しいメニューを追加するまで3カ月程度かかる
ことがありました。そこで、その期間を1週間に短縮することを目標に掲げ、これ
を実現するための最適なツールがMicroStrategyだと判断しました」(小林氏)
必要な機能の迅速なメニュー化に加えて、過去5
年分の店舗別・単品別販売データや各店舗の在庫
データ、カード会員(*2)の購買データおよび属性
情報、オンラインショップの販売データなど、多
様なデータソースを分析対象にできるスケーラビ
リティも、MicroStrategyを選ぶ決め手となった。
「どういったご職業のお客様が、どの商品を、ど
のぐらいの頻度で、どのような手段でお買い上げ
になっているかを分析して、お客様の満足度をよ
り向上させていく」(小林氏)という目的を実現
するためのツールとして評価されたわけだ。
両製品を連携させた、新しい情報系システムの
構築を担うベンダーにはNECが選ばれた。NEC
は、PureData for Analyticsの構築で国内No.1の実
績を持ち、MicroStrategyについても専任の営業・
サポートチームを組織化している。また、SEの
経験が豊富で信頼に足る人材がそろっていたこと
も評価された。
DWHアプライアンス「IBM PureData System for Analytics」と
BIツール「MicroStrategy 9」を連携させた、株式会社コメリ様の新しい情報系システム(イメージ図)
*2:グループ企業の株式会社コメリキャピタルがカード業務を担っている。
検索処理時間を劇的に改善し、リアルタイムで店舗在庫を参照できる新機能がCS向上に寄与
コメリの情報系システム更改プロジェクトは順調に進み、2014年1月から本番稼働を開始。上述した多種多様な業務DBを統合
し、大量のデータを多面的・網羅的に分析できるDWH/BIプラットフォームとして、本部および全国店舗に勤務する約3,000人に活
用されている。
課題だった検索処理にかかる時間は劇的に改善された。小林氏によれば、定型化された検索なら、メニューをクリックすれば1秒程
度で結果が得られ、複雑な処理を行う非定型検索の画面でも5∼10秒で結果が得られるようになったという。また、ログイン性能は、
負荷状態が高い時でも3秒程度で完了している。
また、新システムには、基幹系システムから提供される店舗在庫データを2時間おきにDWHへ取り込み、MicroStrategyで最新の状況
を参照・分析できる店舗在庫参照機能が追加されている。「ホームセンター業界では当社が初めて実現した機能です。お客様は、どの
お店に行けば欲しい商品の在庫があるのかが、あらかじめインターネットで検索でき、お取り置きも可能です。利便性が上がったこと
でお客様からご好評を頂いており、また我々にとってもチャンスロスが少なくなっています」と小林氏は強調する。
スマートデバイスとの連携を強化して
蓄積データを予測分析に活用し、新たな事業機会を創出
コメリグループ/
(株)ビット・エイ
取締役 統括部長
小林禎氏
会 社プロフィール
株式会社コメリ
http://www.komeri.bit.or.jp/
本社:新潟県新潟市
資本金:188億 200万円(2014年3月期)
代表取締役社長:捧 雄一郎
株式会社ビット・エイ
http://www.bit.or.jp/
本社:新潟県新潟市
資本金:5000万円
代表取締役社長:捧 雄一郎
「コメリグループには以前から、データを分析・活用することでお客様の満足度を高
め、売上・利益の拡大にもつなげていこうという文化がありました。しかしながら情報
系システムの性能が追いついていないという面があったのです。今回の更改で、ようや
く我々のやりたいことが自在に、しかも迅速に行えるようになりました」(小林氏)
そして、各部門が独自に作成していた帳票類は、システム更改を機にビット・エイ
が開発・提供する定型メニューに集約された。一方で、マーケティング担当者には、
非定型の帳票をMicroStrategyで自由に作成できる権限が与えられた。担当者は、
MicroStrategyの直感的なUIから、多様な切り口からの顧客分析や売上分析、新規出店
を目的とした近未来のシミュレーションなどを容易に実行することが可能になり、BI
ツール活用の範囲と深度が広がっている。
小林氏は今回整備した新しいDWH/BIプラットフォームを情報系システムとはとらえ
ず、「決して止まってはいけない、基幹系システムと同じくらい重要なもの」(同
氏)として位置づけている。「近い将来、3000店舗体制になっても問題なく稼働・運
用できると確信しています。また、スマートデバイスとの連携も強化し、業務のレス
ポンスをさらに高めていく考えです。蓄積データを予測分析に活用することで、世の
中の変化を的確にとらえ、新たなビジネス・チャンスを開拓していきたいですね」と
小林氏は将来を展望する。
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