標準報酬制度導入に伴う短期給付の改正について (休業給付等の算出方法の変更) 今回の改正において、特に影響が大きいと考えられるのが、傷病手当金と報酬との調整に 係る部分となります。 これまで病気休職(8 割)中の組合員については、 「傷病手当金の日額」が「給料日額」を 上回ることがなかったため傷病手当金の給付が発生しませんでしたが、標準報酬制への移行 により、 「傷病手当金の日額」が「報酬日額」を上回るケースが発生します。このことにより、 傷病手当金の支給期間がスタートすることから、無給休職期間の途中で支給期間が終了する こととなります。 一度支給が始まると、以後の期間については報酬日額が給付日額を上回ったとしても支給 期間(1 年 6 か月)を「食い潰す」こととなります。 目 次 はじめに ........................................................................................................................................................ 1 1 休業給付、災害給付の額の算出方法の変更 ........................................................................ 2 〈短期給付の改正点〉 .................................................................................................................... 3 〈標準報酬制移行による給付額への影響〉 ........................................................................ 4 2 傷病手当金と障害事由の年金等との調整 ............................................................................. 5 (1)障害事由の年金との調整について .................................................................................. 5 (2)障害一時金との調整について............................................................................................ 7 (3)施行日以後の傷病手当金の請求手続きについて ..................................................... 8 3 資格喪失後の傷病手当金と退職老齢年金給付との調整 ................................................ 9 4 傷病手当金等と報酬との調整 .................................................................................................. 10 (1)調整方法の変更点 ................................................................................................................. 10 (2)報酬日額の算出方法 ............................................................................................................ 11 (3)支払われた報酬額の確認方法......................................................................................... 12 (4)今後の傷病手当金支給事務について .......................................................................... 13 (5)報酬と障害事由の年金と傷病手当金との調整について.................................... 14 (6)その他 ......................................................................................................................................... 14 【Ⅰ 病気休職(8 割)期間中の傷病手当金計算例】 -傷病手当金支給額 0 円のケースー .............................................................................. 15 【Ⅱ 病気休職(8 割)期間中の傷病手当金計算例】 -傷病手当金が一部支給となるケースー ..................................................................... 17 【Ⅲ 病気休暇による給料半減の際の傷病手当金計算例】 ........................................ 19 5 介護休業手当金と報酬との調整 ............................................................................................. 21 はじめに 被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成 24 年法律第 63 号。以下「一元化法」という。)による厚生年金保険法(昭和 29 年法律第 115 号。以下「厚年法」という。 )及び地方公務員等共済組合法(昭和 37 年法律第 152 号。以 下「地共法」という。 )の改正により、平成 27 年 10 月1日(以下「施行日」という。)以 後の地方公務員の年金のうち 2 階部分については原則として厚年法が適用されることとなり、 平成 27 年 10 月時点で既に裁定された一元化法による改正前の地共法に基づく年金等につ いては、一元化法附則の規定により、なおその効力を有することとされました。 また、地方公務員等共済組合法及び被用者年金制度の一元化を図るための厚生年金保険法 等の一部を改正する法律の一部を改正する法律(平成 24 年法律第 97 号。以下「新 3 階法」 という。 )により、施行日以後は、新たな公務員制度としての年金給付として年金払い退職給 付(法律の規定上は「退職等年金給付」という。 )が創設されました。 以上の経緯により施行日以後の地共法は、短期給付及び年金払い退職給付に特化した法律 となります。このことから、地方公務員等共済組合法施行令(昭和 37 年政令第 352 号。以 下「施行令」という。 ) 、地方公務員等共済組合法施行規則(昭和 37 年自治省令第 20 号。 以下「施行規則」という。 ) 、地方公務員等共済組合法施行規程(昭和 37 年総理府・文部省・ 自治省令第1号。以下「施行規程」という。)についても法律と同様、短期給付及び年金払い 退職給付に特化した内容となるよう改正が行われました。 なお、一元化法附則の規定によりなお効力を有すること等とされた、一元化法による改正 前の地共法の年金等の取扱いについては、別途、被用者年金制度の一元化等を図るための厚 生年金保険法等の一部を改正する法律および地方公務員等共済組合法及び被用者年金制度の 一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律の施行 に伴う地方公務員等共済組合法による長期給付等に関する経過措置に関する政令(以下「経 過政令」という。 )により、経過措置が設けられました。 1 1 休業給付、災害給付の額の算出方法の変更 短期給付における休業給付(傷病手当金、出産手当金、休業手当金、育児休業手当金、介 護休業手当金)及び災害給付(弔慰金、家族弔慰金、災害見舞金)については、これまで給 料日額又は給料月額を用いて給付額を算出していましたが、施行日以後、手当率制から標準 報酬制へ移行することに伴い、標準報酬日額又は標準報酬月額を用いて給付額を算出するよ うに変更されます。 施行日をまたいで休業給付が継続する場合、施行日前後における給付日額が異なることと なりますが、加えて給付日額が下がることが想定されます。 これは、手当率制(手当を一律給料の 25%として給付計算を行う。 )から標準報酬制(実 際に支給された手当で給付計算を行うと、公立学校共済組合の平均手当は給料の 15%とな る。)へ取扱いが変更されることによるものです。 施行日以後、休業給付の金額が下がる可能性があることについては、 『共済フォーラム9月 号』においても触れています。 施行日以後、基本給(給料の調整額及び教職調整額が含まれます。 )が同じ場合でも、実際 に受ける諸手当(地域手当・扶養手当・通勤手当・住居手当・超過勤務手当など)の額によ って個人ごとの給付額に増減が生じます。 諸手当の割合が基本給に対して 25%より低い方は、現行よりも給付額が下がることにな ります。教育職の諸手当の割合の全国平均は約 15%ですので、多くの人が現行よりも給付 額が下がることが見込まれます。 2 <短期給付の改正点> 休業給付 給付名 傷病手当金 (法第68条) 出産手当金 (法第69条) 休業手当金 (法第70条) 育児休業手当金 (法第70条の2、附第 17条の2) 介護休業手当金 (法第70条の3) 現行(平成27年9月まで) 移行後(平成27年10月から) 1日につき 給料日額×2/3×1.25 1日につき 給料日額×2/3×1.25 1日につき 給料日額×60/100 1日につき 給料日額×50/100×1.25 1日につき 標準報酬日額×2/3 1日につき 標準報酬日額×2/3 1日につき 標準報酬日額×50/100 1日につき 標準報酬日額×50/100 1日につき 給料日額×40/100×1.25 ※給料日額 =給料の1/22の額 1日につき 標準報酬日額×40/100 ※標準報酬日額 =標準報酬月額の1/22の額 ※育児休業手当金は、育児休業開始から180日までの給付率は67%となります。 災害給付 給付名 弔慰金及び家族弔慰金 (法第72条) 災害見舞金 (法第73条) 現行(平成27年9月まで) 弔慰金:給料の1月分×1.25 家族弔慰金:給料の1月分× 1.25×70/100 給料×損害の程度に応じ定めら れた月数×1.25 移行後(平成27年10月から) 弔慰金:標準報酬月額 家族弔慰金:標準報酬月額× 70/100 標準報酬月額×損害の程度に応 じ定められた月数 附加給付 給付名 一部負担金払戻金 家族療養費附加金 ※ 現行(平成27年9月まで) 上位所得者に該当する者: 給料月額が424,000円以上 移行後(平成27年10月から) 上位所得者に該当する者: 標準報酬月額が530,000円以上 育児休業手当金及び介護休業手当金の給付上限相当額について、施行日前後におけ る金額の変更はありません。 3 <標準報酬制移行による給付額への影響> 例:基本給30万円に対する諸手当の割合の違い(Aさん15%、Bさん25%、Cさん35%)による給付増減額 現行 A、B、C共通 基本給 給料日額(基本給×1/22) (10円未満四捨五入) 傷病手当金 (1日につき) 出産手当金 休 (1日につき) 業 休業手当金 給 (1日につき) 付 育児休業手当金 (1日につき) 介護休業手当金 (1日につき) 災 弔慰金 害 給 家族弔慰金 付 300,000円 基本給が同じでも、実際に受ける諸手当(地域 手当・扶養手当・通勤手当・住居手当・超過勤 務手当など)の額によって、個人ごとの給付額 に増減が生じます。 13,640円 11,367円 11,367円 8,184円 8,525円 6,820円 375,000円 262,500円 移行後(平成27年10月から) A (諸手当=基本給×0.15) 給付増減額 B C 給付増減額 給付増減額 (諸手当=基本給×0.25) (諸手当=基本給×0.35) 基本給 300,000円 300,000円 300,000円 諸手当 45,000円 75,000円 105,000円 掛金の標準となる給料 (基本給+諸手当) 345,000円 375,000円 405,000円 標準報酬月額 340,000円 380,000円 410,000円 15,450円 17,270円 18,640円 標準報酬日額(標準報酬月額×1/22) (10円未満四捨五入) 傷病手当金 (1日につき) 出産手当金 休 (1日につき) 業 休業手当金 給 (1日につき) 付 育児休業手当金 (1日につき) 介護休業手当金 (1日につき) 災 弔慰金 害 給 家族弔慰金 付 給付額 10,300円 -1,067円 11,513円 146円 12,427円 1,060円 10,300円 -1,067円 11,513円 146円 12,427円 1,060円 7,725円 -459円 8,635円 451円 9,320円 1,136円 7,725円 -800円 8,635円 110円 9,320円 795円 6,180円 -640円 6,908円 88円 7,456円 636円 340,000円 -35,000円 380,000円 5,000円 410,000円 35,000円 238,000円 -24,500円 266,000円 3,500円 287,000円 24,500円 減少 ほぼ同等 4 増加 2 傷病手当金と障害事由の年金等との調整 (1)障害事由の年金との調整について ① 施行日前 傷病手当金については、同一の傷病について障害共済年金や障害基礎年金(以下「障 害共済年金等」という。 )の支給を受けることができる場合、支給額が調整されています。 現行制度では、傷病手当金の受給者が組合員として在職中の場合、障害共済年金は原 則、支給停止(年金の月額と給料等の月額の合計額に応じて一部支給される場合もあり ます。 )となるため、障害共済年金等との調整を行うケースはほとんどありませんでした。 傷病手当金【日額】 (給料日額×2/3×1.25(特別職は1) 障害共済年金が支給停止 となる場合、傷病手当金が 全額支給される。 障害共済年金(障害基礎年金)【日額】 (年金額×1/264) 障害共済年金については、在職中 は原則、支給停止となる。 ② 施行日以後 厚年法による障害厚生年金には、在職中の支給停止制度がないことから、組合員とし て在職中の場合についても支給を受けることができます。 障害共済年金も障害厚生年金と同様の取扱いへ変更され、組合員として在職中の場合 についても支給を受けることができることとなります。したがって同一の傷病について 障害事由の年金等の支給を受けることができる場合、傷病手当金との調整を行う必要が あります。 傷病手当金【日額】 (標準報酬の日額×2/3) 障害厚生年金(障害基礎年金)【日額】 (年金額×1/264) 5 傷病手当金と障害厚生 年金等を日額で比較し、 差額を傷病手当金として 支給する。 【施行日以後に傷病手当金と調整を行う障害事由の年金イメージ】 平成27年10月以降に 受給権が発生 平成27年9月までに 受給権が発生 H27.9までの H27.10以降の 組合員期間 組合員期間 経過的 職域加算額 年金払い 退職給付 3階 職域部分(旧職域加算額) 2階 障害共済年金 障害厚生年金 1階 障害基礎年金 障害基礎年金 ※ 太枠囲み部分・・・傷病手当金との調整が必要な部分となります。 ※ 網掛け部分・・・・在職中は停止となります。 ※ 年金払い退職給付(退職等年金給付) ・・・傷病手当金との調整の対象になりません。 6 (2)障害一時金との調整について ① 施行日前 障害一時金の支給を受けることができる場合、傷病手当金の累計額が障害一時金の額 に達するまでの間は、傷病手当金を支給しないこととされていますが、 「退職」が障害一 時金の支給要件となっていたことから、調整を行うケースはほとんどありませんでした。 一元化に伴い、施行日の前日において地方公務員共済組合の組合員であった者(同日 に退職又は死亡した人を除く。 )で、同日において退職するとしたならば、障害一時金の 受給権を有することとなる者については、同日に退職したものとみなして障害一時金が 支給されることとなりますので、傷病手当金との調整を行う必要があります。 障害一時金は退職日が支給事由発生日となり、退職日の翌日以後、傷病手当金と調整 を行うことから、平成 27 年9月30日を退職日とみなし、10 月1日以後の傷病手当金 と調整を行うこととなります。 【平成 27 年 9 月 30 日に退職したものとみなし、10 月1日以後の傷病手当金と 調整を行う障害事由の年金イメージ】 平成27年10月1日 障害一時金 傷病手当金 10月分 11月分 12月分 (中略) 5月 分 6月分 5月分から一部支給可 ・・・傷病手当金の支給が停止される部分 ・・・傷病手当金が支給可能な部分 ② 施行日以後 厚年法による障害手当金についても障害一時金と同様の調整を行うこととなります。 (注)障害手当金は、支給要件に「退職」がないことから、組合員として在職中の場合におい ても調整を行う必要があります。 7 (3)施行日以後の傷病手当金の請求手続きについて 平成 27 年 10 月分の傷病手当金から、障害事由の年金等との支給の調整を行うに当 たり、次にご留意ください。 傷病手当金と障害共済(厚生)年金を両方満額受けることはできません ・ 傷病手当金と障害共済(厚生)年金との調整については、障害共済(厚生)年金が優 先して支給され、傷病手当金が調整されます。 ・ 障害共済(厚生)年金よりも傷病手当金が先行して支給されることが多く、障害共済 (厚生)年金は、請求してから決定までに一定の時間を要することから、遡って決定さ れることが多くあります。その場合、傷病手当金の過払い分をお返しいただく必要があ ります。 ・ 平成27年10月分以後、同一の事由により障害共済(厚生)年金を受けている方や 請求中の方は、傷病手当金の請求時にお申し出ください。 8 3 資格喪失後の傷病手当金と退職老齢年金給付 との調整 施行日以後も従来と同様の調整が発生します。算定方法については、6 ページに記載した とおり、資格喪失後の傷病手当金日額と年金日額(年金額×1/264)を比較します。 また、障害事由の年金と異なり、資格喪失後の給付に限定されることから、職域部分につ いても調整対象となります。 【施行日以後に傷病手当金と調整を行う退職老齢年金給付のイメージ】 平成27年9月までに 受給権が発生 平成27年10月以降に 受給権が発生 H27.9までの H27.10以降の 組合員期間 組合員期間 経過的 職域加算額 年金払い 退職給付 3階 職域部分(旧職域加算額) 2階 退職共済年金 老齢厚生年金 1階 老齢基礎年金 老齢基礎年金 ※ 太枠囲み部分・・・傷病手当金との調整が必要な部分となります。 ※ 年金払い退職給付(退職等年金給付) ・・・傷病手当金との調整の対象になりません。 9 4 傷病手当金等と報酬との調整 (1)調整方法の変更点 改正前地共法において、傷病手当金、出産手当金、休業手当金、育児休業手当金又は 介護休業手当金(以下「傷病手当金等」という。 )の支給期間に係る「給料」の全部又は 一部を受ける場合には、その受ける金額の限度で調整を行う旨規定されています. 施行日以後、この調整を「給料」ではなく「報酬」と行い、調整の際に「給料」に乗 じていた手当率(1.25(特別職は1))は乗じないこととなります。 調整は、報酬を日額になおし、当該報酬の日額(以下「報酬日額」という。)と「標準 報酬日額(標準報酬月額の 22 分の1)」に支給割合(2/3)を乗じて得た日額(以下「給 付日額」という。 )を比較することにより調整します。 【施行日前】 給料日額≧給付日額……傷病手当金を支給しない 給料日額<給付日額……給付日額から給料日額を控除した額を傷病手当金として支 給する ※ 給料日額を計算する際に給料×手当率(1.25(特別職は1) )を行い、日額を求め ていた。 【施行日後】 報酬日額≧給付日額……傷病手当金を支給しない 報酬日額<給付日額……給付日額から報酬日額を控除した額を傷病手当金として支 給する 10 (2)報酬日額の算出方法 傷病手当金(給付日額)を算定する際の「標準報酬日額」の算定は、標準報酬月 額の1/22となりますが、比較の対象となる「報酬日額」については、給料等を 次表(例)の区分に応じて算出します。 ※ 国家公務員の給与等を参考にしています。手当等の種類の区分については、 都道府県及び市町村の休職時の給与に関する法令等の規定により異なります。 なお、道費負担職員の方の手当等の算出に用いる率については、全て「勤務 を要する日数分の 1」となります。 報酬日額の算出方法 (国家公務員の給与の例) (手当等の金額に乗じる率) 区分 手当等の種類 算出に用いる率 日々の勤務に対して支給さ れると考えられるもの 給料月額 勤務を要する (日額で支給されるもので、勤 給料の調整額 日数分の1 務しない日について減額して 地域手当 支給されるもの) 教職調整額 日々とは関係なく支給され 給料の特別調整額 るもの 初任給調整手当 (月額で支給されるもの) 扶養手当 (一定の期間を対象として支 住居手当 払われるもの) 通勤手当 単身赴任手当 等 11 22分の1 【調整対象となる報酬の考え方】 一定の期間を対象として支給される報酬で、傷病手当金等の算定の基礎とする日以外 の日も含めて報酬の対象としているもの【※ 通勤手当 等】 ※ 一定の期間を対象として支給される報酬のうち調整対象とする報酬は、当該 報酬が月額で支給される場合、当該報酬の月額に 22 分の 1 に相当する金額を 日額として算出するものとする。 一定の期間を対象として支給される報酬であっても、実際に支給を受ける報酬の額が 日割り計算で算出されており、傷病手当金等の算定の基礎とする日以外の日を対象とし て算出されている場合は、傷病手当金等との調整は行わない。 【調整対象とならない報酬の例】 傷病手当金等の算定の基礎とする日以外の日の勤務実績に基づいて翌月以後に支払 われるもの【超過勤務手当、休日給、宿日直手当、特殊勤務手当 等】 (注)これまで国家公務員共済組合においては、超過勤務手当等を調整の対象として いたところですが、平成 27 年 4 月 1 日以後の期間を算定の基礎とする傷病手 当金等から、勤務実績に基づいて翌月以後に支払われる手当を調整の対象としな い旨、運用方針を改正しています。これは、健康保険法又は雇用保険法の取扱い に合わせたことによるものです。 (3)支払われた報酬額の確認方法 施行日以後の傷病手当金の支給については、療養のため勤務できない期間に対し て報酬が支払われている場合、報酬日額と給付日額を比較する必要があることから、 組合員から報酬に関する書類を徴することとなります。 今後は、新たに『報酬支給額証明書』(別添ファイル)を提出していただくこと となります。 12 (4)今後の傷病手当金支給事務について 施行日以後は、休職(8 割)期間中においても傷病手当金の一部支給が発生する 可能性があることから、毎月、確認事務を行うこととなります。 《 休職(8割)期間中に傷病手当金が発生する場合の説明 》 ① 休職(8 割)期間に入った時点(施行日前から8割休職の場合には、施行日以後、 初回支給となる 10 月分の傷病手当金請求時点)において、勤務を要する日が 20 日~23 日の場合の試算を『試算シート』(別添ファイル)を活用して行い、その 結果を所属所及び当支部において管理し、一部支給が発生する組合員を把握するこ ととなります。 ② 月によって勤務を要する日が異なる(20~23 日)ことから、給付が発生する 月と給付が発生しない月があります。給付が発生しない月の傷病手当金請求書につ いては、提出する必要はありません。 しかし、一度支給が発生した月(起算日)から支給期間(1 年 6 か月)がはじ まり、給付が発生しない月(傷病手当金請求書の提出が不要)も支給期間としてカ ウントされ、支給期間を食い潰すこととなりますのでご注意ください。 【移行前】 標準報酬制移行前は、例えば病気休職(8割支給)期間中の場合、傷病手当金が発生しなかった。 8割休職【1年】 無給休職【2年】 給付日額 ≦ 給料日額 傷病手当金【1年6月】 附加金【6月】 【支給開始日】 無給休職に入り 給付日額>給料日額 となり支給が始まる。 【移行後】 標準報酬制移行後は、例えば病気休職(8割支給)期間中であっても、傷病手当金の一部支給が 発生する場合がある。 8割休職【1年】 給付日額≦給料日額 無給休職【2年】 傷病手当金【1年6月】 【支給開始日】 8割休職中ではあるが、 給付日額>給料日額 となり差額分の支給が始まる。 13 附加金【6月】 無給休職期間中の給付期間 が短くなる。 (5)報酬と障害事由の年金と傷病手当金との調整について 前述のとおり、障害共済年金に係る在職中の支給停止制度がなくなることから、 障害厚生年金(障害共済年金)と報酬の併給が可能となります。 傷病手当金については、障害厚生年金(障害共済年金)・障害基礎年金と報酬の いずれか高い額と調整することとなります。調整方法については、次のとおりとな ります。 傷病手当金の支給に係る調整フロー 障害事由の年金あり 報酬あり 年金 日額 < 報酬 日額 年金 日額 ≧ 報酬 日額 傷手日額-報酬日額 傷手日額-年金日額 【差額を支給】 【差額を支給】 障害事由の年金なし 報酬なし 報酬あり 傷手日額-年金日額 傷手日額-報酬日額 【差額を支給】 【差額を支給】 報酬なし 調整なし 年金日額・・・障害共済年金(障害厚生年金) ・障害基礎年金/264 報酬日額・・・ (2)報酬日額の算出方法 参照 (6)その他 傷病手当金と報酬との調整を行っている場合、給与改定や手当額の修正等により 報酬額に遡及訂正が発生すると、傷病手当金の給付額を調整する必要があります。 傷病手当金の給付額を調整するためには、組合員から報酬額の修正に係る報告が必 要となります 14 【Ⅰ 病気休職(8割)期間中の傷病手当金計算例】 -傷病手当金支給額0円のケース- ・ 休職時の給与の支給については、条例等により定められていますので、各給与支給 機関においてご確認ください。 (以下の例と異なる場合もあります。) 前提 土日が週休日の組合員が病気休職(8 割)を取得した場合 平成28年 3 月1日~3月 31 日 勤務を要する日23日(祝日 1 日含む) 【標準報酬月額】 給料月額 扶養手当 地域手当 住居手当 通勤手当 超過勤務手当 313,700 円 16,000 円 39,564 円 1,000 円 4,320 円 20,000 円 標準報酬月額 第 22 級 休職前の金額 休職中の金額 380,000 円 備 考 給料月額 313,700円 250,960円 扶養手当 16,000円 12,800円 地域手当 39,544円 31,651円 住居手当 1,000円 800円 通勤手当 4,320円 - 支給なし 超過勤務手当 20,000円 - 支給なし 合 計 394,584円 296,211円 12%地区 ※ 休職中に給与額が減少しても、標準報酬月額は改定されません。 15 計 394,584 円 【休職中(8 割)も支給される給与】 給与種目 合 ア 3月における報酬の額 (ア)給料月額 313,700 円×80/100=250,960 円 ………………………………㋐ (イ)扶養手当 16,000 円×80/100=12,800 円 …………………………………㋑ (ウ)地域手当 39,564 円×80/100=31,651 円(円未満切捨て)………………㋒ (エ)住居手当 1,000 円×80/100=800 円 ………………………………………㋓ (オ)総支給額 ㋐+㋑+㋒+㋓……296,211 円 イ 支給日の決定 (ア)休職(8割)期間(23 日)の報酬日額 (給料) (地域手当) (250,960 円+31,651 円)×1日/23 日 + (扶養手当) (住居手当) (12,800 円+800 円)×1日/22 日(注) =12,287.43 円+618.18 円=12,905 円(円未満切捨て)………A (注) 標準報酬日額の算定については、 標準報酬月額の 22 分の 1 となりますが、 休業給付と調整する報酬日額の手当等の種類の区分の考え方については、都 道府県及び市町村の休職時の給与に関する法令等の規定により異なります。 (11 ページ) (イ)給付日額 (標準報酬月額) 380,000 円÷22 日=17,270 円(5円未満の端数は切捨て、5円以上 10 円未満の端数は 10 円に切り上げる) 17,270 円×2/3=11,513 円(円未満四捨五入) ……………………B (ウ)AとBを比較して傷病手当金の支給対象日を決定 A>Bであるので、支給対象日は……0 日 ウ 休業給付支給決定額 11,513 円×0 日=0 円 16 【Ⅱ 病気休職(8割)期間中の傷病手当金計算例】 -傷病手当金が一部支給となるケース- ・ 休職時の給与の支給については、条例等により定められていますので、各給与支給 機関においてご確認ください。 (以下の例と異なる場合もあります。) 前提 土日が週休日の組合員が病気休職(8 割)を取得した場合 平成28年 3 月1日~3月 31 日 勤務を要する日23日(祝日 1 日含む) 【標準報酬月額】 給料月額 扶養手当 地域手当 住居手当 通勤手当 超過勤務手当 319,900 円 21,800 円 10,251 円 6,000 円 9,545 円 80,000 円 合 計 447,496 円 標準報酬月額 第 24 級 440,000 円 【休職中(8 割)も支給される給与】 給与種目 休職前の金額 休職中の金額 備 考 給料月額 319,900円 255,920円 扶養手当 21,800円 17,440円 地域手当 10,251円 8,200円 住居手当 6,000円 4,800円 通勤手当 9,545円 - 支給なし 超過勤務手当 80,000円 - 支給なし 合 計 447,496円 286,360円 17 3%地区 ア 3月における報酬の額 (ア)給料月額 319,900 円×80/100=255,920 円 ……………………………㋐ (イ)扶養手当 21,800 円×80/100=17,440 円 …………………………………㋑ (ウ)地域手当 10,251 円×80/100=8,200 円(円未満切捨て) ………………㋒ (エ)住居手当 6,000 円×80/100=4,800 円 …………………………………㋓ (オ)総支給額 ㋐+㋑+㋒+㋓……286,360 円 イ 支給日の決定 (ア)8 割休職期間(23 日)の報酬日額 (給料) (地域手当) (255,920 円+8,200 円)×1日/23 日 + (扶養手当) (住居手当) (17,440 円+4,800 円)×1日/22 日(注) =11,483.47 円+1,010.90 円=12,494 円(円未満切捨て)………A (注) 標準報酬日額の算定については、 標準報酬月額の 22 分の 1 となりますが、 休業給付と調整する報酬日額の手当等の種類の区分の考え方については、都 道府県及び市町村の休職時の給与に関する法令等の規定により異なります。 (11 ページ) (イ)給付日額 (標準報酬月額) 440,000 円÷22 日=20,000 円 (5円未満の端数は切捨て、5円以上 10 円未満の端数は 10 円に切り上げる) 20,000 円×2/3=13,333 円(円未満四捨五入)……………………B (ウ)AとBを比較して傷病手当金の支給対象日を決定 A<Bであるので、支給対象日は……23 日 ウ 休業給付支給決定額 B-A=13,333 円-12,494 円=839 円 839 円×23 日=19,297 円 18 【Ⅲ 病気休暇による給料半減の際の傷病手当金計算例】 ・ 休職時の給与の半減については、条例等により定められていますので、各給与支給機関に ご確認ください。 (以下の例と異なる場合もあります。) ・ 俸給の半減と 5 割休職では、報酬の額の計算方法が異なりますので、5 割休職の場合には、 8 割休職の計算例を参考にしてください。 前提 土日が週休日の組合員が病気休暇により給料半減となった場合 平成28年 3 月1日~3月 31 日 勤務を要する日23日(祝日 1 日含む) 【標準報酬月額】 給料月額 扶養手当 地域手当 住居手当 通勤手当 超過勤務手当 313,700 円 16,000 円 39,564 円 1,000 円 4,320 円 20,000 円 合 394,584 円 標準報酬月額 第 22 級 380,000 円 【半減期間中も支給される給与】 給与種目 半減前の金額 半減後の金額 備 考 給料月額 313,700円 163,669円 扶養手当 16,000円 16,000円 減額なし 地域手当 39,564円 21,560円 12%地区 住居手当 1,000円 1,000円 減額なし 通勤手当 4,320円 - 支給なし 超過勤務手当 20,000円 - 支給なし 合 計 394,584円 202,229円 19 計 ア 3 月における報酬の額 (ア)給料月額 313,700 円×1日/23 日+313,700 円×1/2×22 日/23 日 =163,669 円 ………………………………………………………㋐ (イ)扶養手当 16,000 円 ………………………………………㋑ (ウ)地域手当 39,564 円×1日/23 日+(313,700 円×1/2×12% +16,000 円×12%)×22 日/23 日=21,560 円 …………㋒ (エ)住居手当 1,000 円…………………………………………㋓ (オ)総支給額 ㋐+㋑+㋒+㋓ = 202,229 円 (注)上記の例は勤務を要する日数 23 日のうち国民の祝日に関する法律に規定される日が、 3月は1日あるので半減期間 22 日、全額支給日1日となる。 イ 支給日数の決定 (ア)給料半減期間(22 日)の報酬日額 (給料月額) (地域手当) (半減) (地域手当) {(313,700 円+37,644 円)×1/2+1,920 円}×1日/23 日+ (扶養手当) (住居手当) (16,000 円+1,000 円)×1日/22 日 = 7,721.39+772.72=8,494 円(円未満切捨て)…………………………A (ア‘)給料全額支給期間(1日(注) )の報酬日額 (給料) (地域手当) (地域手当) (313,700 円+37,644 円+1,920 円)×1日/23 日 (扶養手当) (住居手当) +(16,000 円+1,000 円)×1日/22 日 =15,359.30+772.72=16,132 円(円未満切捨て)………………B (注) 標準報酬日額の算定については、標準報酬月額の 22 分の1となるが、休業給付と調整 する報酬日額については、前述のⅠ、Ⅱと同様となります。 道費負担職員の方は国民の祝日に関する法律に規定される日は給料が半減されません。 (イ)給付日額 (標準報酬月額) 380,000 円÷22 日=17,270 円 (5円未満の端数は切捨て、5円以上 10 円未満の端数は 10 円に切り上げる) 17,270 円×2/3=11,513 円(円未満四捨五入)…………………C (ウ)AとC、BとCを比較して休業給付の支給対象日を決定 A<C、B>Cであるので、休業給付の支給対象日は……22 日 ウ 休業給付支給決定額 (標準報酬日額) (控除額) 11,513 円×22 日-8,494 円×22 日=66,418 20 5 介護休業手当金と報酬との調整 介護休暇により出勤しなかった期間の給与額等については、勤務時間一時間あたりの給与額 から当該勤務しなかった期間の時間数を乗じて得た額を減額することとなっています。 時間単位による介護休暇取得者については、介護休業手当金は支給されません。 具体的には、次の数式によって勤務しなかった期間に支払われた報酬の額を計算します。 国家公務員の給与等を参考にしています。 休暇時の給与の支給については、北海道及び市町村において条例等により定められていま すので、ご確認ください。 (以下の例と異なる場合もあります。) 【参考】勤務しなかった期間に支払われた報酬の額(国家公務員の給与減額方法の場合) (給料月額+減額の対象となる手当)×1日 介護休暇を取得した月の要勤務日数 (勤務時間1時間当たりの給与額 円未満四捨五入) (1日当たりの勤務時間) (給料月額+減額の対象となる手当)×12月 - × (7時間45分×5日)×52週 7時間45分 × ※網掛け部分がマイナスとなった場合は0円とする + 減額対象外の手当×1/22 (円未満切り捨て) 【介護休業手当金計算例】 平成 27 年 11 月1日~11 月 30 日 勤務を要する日 21 日(土日が週休日の場合) 給 料 地域手当 住居手当 通勤手当 334,000 円 40,080 円 10,000 円 5,000 円 標準報酬月額 (事例 介護休暇取得日数 計 389,080 円 第 22 級 380,000 円 10日の場合) 給料額 地域手当 合 (給料…334,000 円) 12%地区 (40,080 円) 住居手当 (10,000 円) 通勤手当 (5,000 円) 21 介護休暇取得日数 ア 出勤しなかった期間に支払われた報酬の額 E A(給料額 334,000 円+地域手当 40,080 円)×1 日/要勤務日数 21 日 C B (給料額 334,000 円+地域手当 40,080 円)×12 月 - 7 時間 45 分×5 日×52 週 (円未満四捨五入) ×7 時間 45 分(1日当たりの勤務時間) + D(住居手当 10,000 円+通勤手当 5,000 円)×1/22 (円未満切捨て) × 介護休暇取得日数 10 日 = 12,280 円 A (334,000+40,080)×1/21=17,813.33 B ((334,000+40,080)×12)÷(7.75×5×52) =4,488,960÷2015=2227.77(円未満四捨五入)⇒ C 2,228 B×7時間 45 分=2,228×7.75=17,267 D (10,000+5,000)×1/22=681.81 E A-C+D=17,813.33-17,267+681.81=1228.14 円未満切捨て)⇒1,228 出勤しなかった期間に支払われた報酬の額 イ 1,228×10 日=12,280 介護休業手当金支給決定額 給付日額 (標準報酬月額) 380,000 円÷22 日=17,270 円 (5円未満の端数は切捨て、5円以上 10 円未満の端数は 10 円に切り上げる) 17,270 円×40/100=6,908 円(円未満四捨五入) 6,908 円×10 日-12,280 円=56,800 22
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