303号 - 結核予防会

第9回結核予防関係婦人団体中央講習会より
平成17年2月2日/メルパルク東京
平成17年2月2日(水)∼4日(金)
,メルパルク東京において標記講習会が開催されました。妃殿下は初
日の開講式にご臨席になり,結核予防婦人会の役割と活動の意義についてお言葉を述べられ,開講式の後,
会場付近に展示された結核予防会の活動紹介パネルや複十字シールを使った作品等をご覧になりました。
Message
Contents
前平山征夫支部長の後任として,平成16年10月
25日付けで支部長に就任致しました。
当支部は,昭和16年4月に設立されて以来63年
余に亘り,県と一体となって結核に対する知識の
普及啓発と結核を中心とした胸部疾患の早期発見
に尽力して参りました。この間,多様化する県民
の健康ニーズに対応するため,昭和53年10月には
財団法人新潟県公衆衛生検査センターとの統合に
より財団法人新潟県保健衛生センターを設立し,
今日に至っております。
当県は以前結核罹患率の高い県でしたが,昭和
53年には結核死亡率が人口10万対4.9で全国第6位
に,平成5年には1.5で全国第2位となり,それ以
降も死亡率は徐々に低下し,平成12年以降は1.2ま
でに低下しています。このことは,関係各位のご
努力の結果と感謝申しあげると共に,結核ゼロを
目指して更にご尽力頂きたいと存じます。
近年の結核を取り巻く環境変化にあわせて結核
予防法が大幅に改正され,平成17年4月に全面施行
されました。当県でも従来の結核対策の枠組みを
抜本的に見直し,結核を公衆衛生上の課題から解
消することを目標に結核予防計画が策定され,喀
痰塗抹陽性者の直接服薬確認治療率95%以上,乳
児のBCG接種率95%以上など具体的な数値目標が
示されたところであります。当支部も県のこれら
の施策に即応し,高齢者・ハイリスク層への結核
対策や,新生児のBCG接種率向上に向けた普及活
動に重点的に取り組んで参ります。生涯一度の
BCG接種のチャンスを逃すことのないようにして
ほしいと思います。
今,結核対策は大きく変わろうとしていますが,
全ての県民が健康で安心して活動できる地域社会
の実現に向けて,専心努力致す所存でございます
ので,今後とも関係各位の益々の
ご支援とご指導を賜ります
ようお願い申し上げ,
支部長就任のご挨拶
とさせて頂きます。
■メッセージ 支部長就任のご挨拶
■ずいひつ アッシシの大聖堂
泉田 裕彦………1
渋谷 みよ………19
■たばこ
■結核予防会ネットワーク事業
中野 静男………2
○世界のたばこ事情 ……………………………………20
○「結核予防会ネットワーク事業」担当者会議報告 ○2005年世界禁煙デー …………………………………21
○動き始めたネットワーク事業
………4
■国際結核セミナー報告
宮下 裕文………6
■思い出の人を偲んで 遠藤勝三先生
螺良 英郎………22
■シールだより
■全国結核対策推進会議に参加して 平良 あゆみ ……8
○杉田かおるさんJA TAボランティア大使任命式 …24
■第3回WHO東南アジア地域結核対策会議に参加して
○複十字シール国際協力拠出金として ……………… 25
大菅 克知………10
■第80回日本結核病学会総会 結核予防会の研究発表
■WHO東南アジア地域TB/HIV対策指導者養成研修
山田 紀男………11
▽予防会だより
………26
……………………………………………… 27
■平成17年度「結核予防会マンモグラフィ講習会」の
開催へ向けて 〔表紙〕「美人林」(新潟県松之山温泉)
星野 豊………12
■日本対がん協会と共催による診療放射線技師の
撮影者:堀川 春男氏
講習会開催
美人林は樹齢80年ほどの若々しいブナ林です。新緑の季節は
5月初旬から1ヶ月ほどです。遊歩道もあり、水鳥が泳ぐ池など
もあるのでバードウォッチングにも最適です。
赤松 曉………13
■世界結核デーシンポジウム開催報告 …………………14
■結核予防会カンボジアプロジェクト
伴 良香………16
■結核予防会支部紹介の頁 山形県支部 本間 隆宏………18
〔カット〕佐藤奈津江
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1
動き始めたネットワーク事業
結核予防会では,結核予防法の改正に伴う健診
の見直し,また,労働安全衛生法も視野に入れ,
「結核予防会ネットワーク推進委員会」を立ち上
げ今後の健診について検討を行ってきた。ここに,
平成17年4月,ネットワーク事業はスタートした。
また,先般,全国支部の「ネットワーク事業担
当者会議」も開催され,今後のネットワーク事業
のあり方を再確認したところである。
ネットワーク事業の基本的考え方は,全国規模
の組織力を持つ結核予防会がネットワーク事業を
通して,健診事業の全国展開化,営業力の強化を
目指し,サービス提供面では「個人の生涯健康管
理を支援するサービス(SSS: Self-Care Support
Service)」の実現を目標としている。
(表1)ネットワーク事業本部組織
事業推進委員会
支部名 役職名 氏 名
委員長
副委員長
本 会
専務理事
喜多村悦史
大阪府支部
常務理事
岡島 健三
本 会
事業部長
山下 武子
千葉県支部
副理事長
林 學
委 員
群馬県支部
常務理事(兼)事務局長
岡 英夫
神奈川県支部
専務理事(兼)事務局長
磯部 仁美
特別技術顧問
渋谷診療所
所 長
増山 英則
事業事務局
支部名 役職名 氏 名
事務局長
委 員
大阪府支部
常務理事
岡島 健三
群馬県支部
集検事業部副部長
中林 久伸
千葉県支部
渉外課長
津田 好一
神奈川県支部
事務局次長
平田 直俊
大阪府支部
堺高島屋内診療所事務部長
西田 智一
京都府支部
渉外企画部参与
小西美也子
総務部長
須田 勝吉
企画・情報部長
竹下 隆夫
本 会
第一健康相談所
事務担当
2
本 会
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●ネットワーク事業の本部組織
ネットワーク事業の本部組織(表1)は,まず事
業推進委員会が親組織としてあり,その下に実働
部隊の事業事務局が置かれている。事務局の中に
は渉外班( ① 営業活動 ② 報告書提出 ③ 支部と
の営業連携),システム班( ① データ管理 ② デ
ータ結果入力 ③ 読み合わせ ④ 仮打出力 ⑤ 総合
判定入力 ⑥ 報告書の作成),事業管理班( ① 事
業企画 ② 支部との連絡全般 ③ 広報・媒体作成 ④
事業に伴う出納,請求・出入金 ⑤ 契約業務)があ
り,それぞれ全国規模の業務を行っている。さら
に全国支部には窓口になるネットワーク業務担当
者をおき,ネットワーク事業が円滑に運営できるよ
う,本部支部間,各支部間の意思の疎通を図り,
緊急事態に迅速に対応できる体制を作っている。
●ネットワーク事業の背景
このネットワーク事業の背景としては,企業,
健康保険組合のニーズの変化があげられる。企業
や健保では健診においても中央一括管理で業務を
省力化,転勤等に対応した健診データの統一,つ
まり,全国どこでも同一基準で受診できる広域健
診機関,また,健診だけでなくその後のフォロー
アップの充実を希望する企業も多くなってきてい
る。このような変化に対し,結核予防会は全国展
開出来る組織を持っており,結核健診,総合健診
や生活習慣病健診等において永年実績を上げてき
ている。今後は社会ニーズに合った健診をさらに
推進する必要がでてきた。
他方,経済状況の厳しい昨今,各支部において
のコスト削減への努力は全国規模を活かし,医療
機器等のコスト削減を推進しなければならない。
現在,共同購入を前提に事前調査を行っていると
ころである。また,個人情報保護法に関連した共
同購入については既に各県支部にメーリングリス
トにて商品等の紹介をしているところである。
ネットワーク事務局
中野 静男
企画・渉外課長
品川 博已
●インドシナ難民健診でのネットワーク
情報システム課長
吉田 達也
普及課長
篠原 幸一
ネットワーク事務局
渡邊 和俊
日本政府は昭和53年から人道的支援のためイン
ドシナ三国(ベトナム,ラオス,カンボジア)よ
り,いわゆる「インドシナ難民」の日本定住支援
を行っており,都内にある「国際救援センター」
に受け入れ,6ヶ月間に日本語教育,社会生活適用
指導,就職斡旋を行っている。結核健診は従来,
入国後当該センターに入ってから実施していた。
しかし,平成15年に入国した人の中に「結核感染
者」がいて,センター内で数名が感染し,集団生
活を送る上で大きな問題となった事があった。
そこで難民事業本部からの要請により,入国時
の結核健診を行い,結核対策を水際から開始しよ
うという事業が始まった。(第一報:本誌299号
p.28参照)今回,成田空港(関西空港は大阪府支
部実施)で行われた難民健診が小規模のネットワ
ーク事業であるので,その内容を紹介する。
健診スタッフは本部から事務員,埼玉県支部か
らは胸部デジタル検診車(CR検診車)と放射線技
師,運転士が派遣された。第一健康相談所からは
結核菌検査のための臨床検査技師,看護師,運転
士が,千葉県支部からは医師が紹介され,CR検診
車で撮影された胸部画像をモニター診断した。
難民の健診受診者は49名,その中で2名が結核
の疑いありとして発見された。ここで,この2人
の方に対して健診後の対応についてご紹介する。
『ケース1』成田空港でのモニター診断で医師
から「結核の疑い」の指示がでた。即,この人が
これから居住することになる町の医療機関を探す
ため,結核予防会の該当支部に連絡し,「A福祉
事務所」を紹介してもらい,さらに保健所より結
核専門医療機関を紹介してもらった。受診者は第
一健康相談所の紹介状を持参し,A市の結核専門
医療機関を受診し治療となった。
『ケース2』健診現場でのモニター診断,その後
フィルムでの再読影でも異常は認められなかった。
しかし,結核菌検査では塗抹(−),培養(+),
同定検査の結果は陽性であった。受診者が居住予
定の結核予防会該当支部及び居住する「B保健福祉
事務所」に連絡をとり,結核専門医療機関を紹介
してもらい,受診者がB市の呼吸器専門外来を受診
し,胸部CT検査の結果,肺尖部に結核病巣が散布
状に認められ治療となった。
この2つのケースを振り返ってみると,今回の
健診は4施設の協力で実施され,受診者に対して
は,結核予防会本部,第一健康相談所,結核予防
会2支部,2保健所,アジア福祉教育財団難民事
業本部の本部事務所及び国際救援センター,A市
とB市の医療機関が関係したネット連携で,健診か
ら医療機関紹介まで大変スムースでスピーディに
対応できた良い例となった。
(今回,医療機関紹介等で両保健所には大変お
世話になりました。この誌面を借りてお礼申し上
げます。)
●ネットワーク事業今後の方向
現在,データ管理システムの一括管理,インタ
ーネットを利用した健康相談サービス,ネットワ
ークでの提携医療機関,メンタルヘルスや保健指
導の要望に対応する関係協力機関,旅行医学クリ
ニックの展開など計画は着々と進んでいる。
今後はフィルム画像管理による読影体制の一元
化,特に各施設の画像デジタル化の促進が課題と
なっている。また,「ネットワーク事業受注時」
の本部支部間の密接な連携,近県支部間同士の業
務応援体制などについて「ネットワーク事業マニ
ュアル」を作成し,ネットワーク事業が躍進する
よう事務局として準備しているところである。
ベトナム難民健診をCR検診車で行う
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3
「結核予防会ネットワーク事業」
担当者会議
4月22日/ホテル海洋(東京)
今年の4月より本格稼働したネットワーク事業
において,窓口となる全国の支部からの担当者を
集め,第一回目の担当者会議を東京のホテル海洋
にて開催された。ほとんどの支部が出席し,数多
くの意見が出て大変貴重な会議となった。
まず始めに,結核予防会喜多村専務理事より挨
拶とともに健診業界の現状及びネットワーク事業
発足の経緯についての話しがあった。(内容は本
誌302号p.18参照)
現在の進捗状況報告
次に第一健康相談所品川課長より現在のネット
ワーク事業の進捗状況について報告があった。現
時点で2ヶ所渉外を行っているところがある。一
つ目は東京に本社があり,全国に各営業所のある
企業である。今年の2月に先方へ健診の流れを伝
え,結核予防会支部の紹介をした。健診の流れと
しては,先方の各営業所より該当施設に直接予約
して頂き,支部より受診者及び結果を各営業所担
当者へ報告する。その後,支部より本部へ紙面で
結果報告を頂き,本部より入力しNTTデータへ送
信するというものである。3月には見積書と検査
項目の見直しを行い,一部の支部で対応出来ない
ため腹部レントゲン撮影を検査項目より削除した。
4月には人間ドック,定期健診,がん健診の料金
が決定し,先方の連絡待ちである。請求方法とし
ては,本部より一括して月末締めで翌月の第2営
業日の午前中に請求するので,それまでに支部よ
り受けた人数を提出頂きたい。この渉外結果は5
月上旬までには決定される予定。
二つ目は昨年の12月より大阪府支部の紹介で東
4
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京に本社のある会社であり,2月に先方より第一
健康相談所へ見学頂き,人間ドック項目の受診可
能な支部と料金を調査して紙面で報告をした。3
月には全国支部の健診状況を報告した。
以上の2つの会社との契約が決まり次第,該当
支部には連絡をするのでと協力を依頼。
ネットワーク事業失敗例から学ぶ
次に結核予防会ネットワーク事業事務局の中野
より今までに行った渉外での失敗例の報告を行っ
た。3月に宮城県支部より健診先が東北地区や関
東近県になるので,ネットワーク事業としての依
頼があった。すぐに依頼先の担当者に連絡し,打
合せをすることとなった。後日訪問した時に先方
より3月中に健診結果までを希望する,健診は34
歳以下である,勤務がシフト制なので,健診時間
帯を指定する等の厳しい提案が出された。事務局
としては,期限は厳しいものの健診機関として全
国のネットワークを持っているので,対応は可能と
回答した。打合せ後すぐに第一健康相談所と協議
し,胸部写真の読影と入力結果や報告体制等を決
定し,該当支部の担当者に連絡を取り,概ね了承
を得た。その後,依頼先より血液検査の希望が入
り,再度該当支部に対応の修正をお願いした。次
の日,依頼先より「他の健診機関に決定した」と突
然のキャンセルの連絡が入った。キャンセルの理
由は,緊急を要していたため返事の早かった他の
健診機関に決めたということであった。事務局は
そこで初めて先方が他の健診機関と同条件で依頼
していたことが分かった。当会のみに声がかかっ
ていると思いこみ,他者の存在に目がいかなったこ
とを反省点として挙げた。ネット組織が逆に対応
を遅らせてしまった可能性があると指摘。まだネッ
トワーク健診事業が浸透していないため,支部の担
当者不在や確認等で決定までに時間がかかった。
しかし,その反面緊急を要する中での連絡体制が
2日間でとれたことは,今後のネットワーク事業
への良い経験になったと言える。今後の対応とし
て,①本部が各支部の検査項目の把握,②基本的
健診料金の設定,③マニュアル作成等を挙げた。
支部における協力体制のお願い
①「本部⇔支部」連絡体制の確立のために
・ 連絡はメーリングリストやファックスで行うの
で,メールは毎日チェックして頂くこと
・ 担当者が変更した場合の連絡は徹底すること
・ 担当者不在時のサブ担当者の設置をすること
②ネットワーク事業受注時の迅速対応体制について
・ 基本的には一定ルールに沿ったものは本部で決
定する
・ 健診料金は基本的に本部一任(統一料金,個別
料金)させて頂く
・ 特別な場合のみ担当者に連絡をする
③各支部間での応援体制について
・ 該当県支部が対応出来ない時はその支部が責任
を持って近県の支部に対応してもらうか,又は
支部の提携健診機関に依頼すること
・ 健診の受注に対しては断らないことを基本とす
ること
④今後の課題として
・ ネットワーク事業マニュアル作成(営業,健診,
r 接遇)予定である
新たな展開(企画中!)
最後にネットワーク事業の新たな展開として結
核予防会企画・情報部竹下部長より女性の生涯に
わたる自覚的健康管理を支援するためのサービス
モデル事業(WSS: Women’s health Self-care
Support-service)についての説明があった。女性
は生涯の各ステージ(思春期・出産可能期・閉経
期以降)において男性とは異なる健康問題に直面
するが,健診や人間ドックの受診率が低い現状に
ある。そこで,結核予防会が個人会員となった女
性に「Web女性健康手帳」を無料で提供し,割引
価格で「女性ドック」を提供するというものであ
る。Web手帳では個人のデータを管理し,検査結
果の閲覧や,相談や指導のカウンセリングを受け
ることも出来る事業を検討している。
また,三菱化学ビーシーエルより子宮頚がん健
診受診率向上を目指してHPV検査についての説明
があった。HPV(ヒトパピローマウィルス)とは
子宮頚がん発生の原因となるウィルスであり,こ
の検査をすることにより将来子宮頚がんになる危
険性があるかどうかを予測できる。しかし,時間
がない,恥ずかしいという理由で子宮がん健診を
受ける女性が少ない。この現状を踏まえ,女性が
医療機関に受診に行かなくても簡単に自宅で検体
を採取することが出来,必要な方々を医療へつな
げる事業を展開する予定である。
以上3時間半の会議であったが,各支部の担当
者から活発な意見を頂き,時間が足りない程であ
った。ネットワーク事業は4月より始まっている。
今後も各支部からのご協力をお願いしたい。
文責 編集部
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第10回国際結核セミナー
3月3日/笹川記念会館
「新しい技術の応用と今後の結核対策のあり方」
をテーマに第10回国際結核セミナーが開催された。
基調講演「結核戦略−現場に活かせる新技術」を
結核研究所所長森亨先生よりご講演頂き,結核対
策の包括的見直しの重点をお話され,その中で新
たな技術の解説と応用可能性を示された。以下重
点項目ごとにほんの一部であるが,私の理解の範
囲で要旨を素描した。
1.BCG接種の簡素化
乳幼児期の接種については,①早期の接種の奨
励,②高い接種率の維持,③接種技術の向上が望
まれる。乳児期ツベルクリン反応検査の省略によ
る接種手続きの簡便化は意義あるが,弊害をでき
るだけ小さくするため,接種に先立つ結核感染源
との接触状況の問診を十分行うこと,接種後10日
以内に起こる事の多い「コッホ現象」への適切な
対応についてご解説頂いた。②について市町村に
おける未接種者に対しては早期の接種を勧奨する。
③については,地域の接種技術の評価を行う。こ
の評価の結果は必ず接種者側に還元されなければ
ならない。裏返せば接種率の低下や,任意接種で
個別接種となることが,接種技術の低下にならぬ
よう対策を,との示唆を感じた。現場としては市
町村,医師会に対しての働きかけをしていかねば
ならない。
2.化学予防の強化
現状の化学予防は効果や効率の面で問題がある。
さらに日本の推定結核既感染者の98%が30歳以上,
また結核発病者の約90%がやはり30歳以上である
ことを考えれば,発病予防の主要な標的はこれら
年齢層にあるべきである。この際,適応決定をツ
ベルクリン反応検査のみに依存して,BCG既接種
者の強い反応を「感染」とすれば,不必要な人に
も化学予防が行われる。今後は,「化学予防」か
ら「潜在感染の治療」にパラダイムをシフトすべ
きである。その際の新たな潜在感染の診断技術と
6
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して,今回テーマの「クウォンティフェロン(QFT2G)」がかなり有望である。
3.選択的健診の導入,接触者健診の強化
新法下での強化策として,強制力を背景にした
確実・一律の接触者健診の実施,接触者の把握,
患者と感染者への適切な対応があげられ,その実
現には,保健所間の連携の強化が必要であり,新技
術(QFT,RFLP)の利用を視野に入れる事を示
された。さらにはIS6110 RFLP分析に関しては,
抱える問題点を解決する手法としてMycobacterial
Interspersed Repetitive Units−Variable Number
Tandem Repeat(MIRU−VNTR)が紹介され,早く
て簡便で期待される技術と感じた。結核分子疫学
は様々応用が考えられており,我々がいかに現場
に適用できるかの問いかけとも受け取れた。
4.治療の強化
結核医療に関しては,治療期間を短く出来る新
薬の開発が様々に行われていることに新鮮な感覚
と希望を覚えた。結核に抱く暗く重いイメージを,
強く支えている「長期の療養」がいかに大きいか
は,接触者健診を行うたびに対象者と対話する中
で日々感じている。その長い治療期間が,他の感
染症に近づくならば,いかなる恩恵がもたらされ
るかは計り知れない。適正な治療はもとより,治
療が確実に患者に受け入れられるように患者を支
援することが重要で,直接服薬確認,規則的な受
療の確認が必要である。
結核対策が大きく変わろうとしている今,森先
生のご講演でご教示頂いた「戦略」を,我々現場
の者は,その戦略に資する「戦術」を工夫して実
践せねばならぬと感じた。
接触者健診への応用
午後は米国CDCよりジェラルド・マズレック先
生から「QFTについて」と題し,ご講演を頂いた。
先生はCDCのQFTガイドラインを作成された方で,
QFTの第一世代から第三世代まで原理とその利点
を分かりやすくご解説頂いた。「QFT」と言う時,
日本では第二世代を指しているが,欧米の文献で
登場するQFTは第一世代も含まれており,2003年
のCDCのガイドラインも第一世代に関するもので
ある。QFTは世代によらず共通する原理は,「全
血を抗原で刺激して,感作T細
胞から放出されるINFγを,
ELISAで測定する」であるが,
使う「抗原」が第一世代と第二
世代で大きく違う。その違いと
は第一世代はツ反で使う「PPD」
マズレック先生
を刺激抗原で使い,第二世代は
「ESAT-6,CFP-10」と言う結核特異抗原を使う。
つまり第一世代は,試験管でツ反をやるのと同じ
で,BCGの影響をツ反同様受けてしまうため,日
本 では 魅 力が 無い 。しかし第 二世 代 で 使用する
「ESAT-6,CFP-10」と言う抗原は結核菌には有
るが,BCGには無い分泌蛋白を使用するため,
BCG接種の影響を受けずに結核感染を診断できる。
ちなみに第三世代とは臨床使用に配慮した工夫を
加え,採血量も少なく,簡便化され,Mtb7.7を抗
原に加え感度を高めたもので,第二世代の普及版
と言った感じであった。
BCG接種者がほとんどの日本では,第二世代の
登場は本当に福音である。一回の採血で,ブース
ター効果も無く,ツ反のように接種,判定ともに
熟練を要することも無く,翌日に感染の評価が出
来る。今後の研究課題も理解できた。総じて,結
核に鋭く反応する検査で簡単に出来ることはよく
分かった。質疑も活発に行われ,内容も免疫機序
に関する事から臨床応用に関することまで幅広い
範囲に及んだ。接触者健診に従事する私には「何
歳からQFTは適応されるか」に「2歳以上」,「感
染成立からどの位の期間で陽性となるか」に「3ヵ
月後」の目安を頂き,接触者健診への応用に空想
を逞しくした。QFT−2G(第二世代)のCDCガ
イドラインが近く出るようであり,早く読んで見
たいと思ったのは会場の皆さんの感想ではないで
あろうか。 QFT実施事例報告では,2つの集団感染事例で
のQFTの使用事例が報告された。
一例目は茨城県保健福祉部本多めぐみ先生から,
精神病院での結核集団感染事案での応用例が提示
された。その中で感染状況をQFTで明らかにして
いくために,段階的にQFT対象者を増やしていく
過程とその方法が経時的に示され,更に予防内服
者の決定に際し,「疑陽性」を対象にすべき感染
状況がよく分かった。
二例目は横浜市港北福祉保健センター船山和志
先生より,大学での結核集団感染事例が提示された。
まず驚いたのが濃厚接触者の定義であった。「有
症状期間に初発患者と一度でも室内での接触があ
った学生と職員」?非濃厚接触群の間違えか?と
一瞬思った。いわゆる「highly infectious case」と
か「スーパースプレッダー」と呼ばれる事例であっ
た。それ自体でも興味深い事例であるが,QFTが
「最近の感染」に対して非常に鋭敏であること,
ツ反30mm以下でも予防内服が必要な者を,QFT
で落とさず拾えることを示された事例であった。
両先生の的確で,スマートなプレゼンテーション
を聞いていると,粛々と健診が進み,事案は沈静
化したように感じてしまうが,示されたグラフの
対象人数が400人を超えているのを見て,いかほど
のご苦労があった事か。貴重な知見をご提示頂い
たことに,心から感謝申し上げます。最後に平成
17年1月12日の「結核定期外健康診断に関する処理
基準について」
(結核感染症課長通知)の中の,「…
ツベルクリン反応検査等必要な検査を的確に実施
すること。」の「等」に「QFT」を読み込むのは,
会場の参加者で,私一人であろうか …
茨城県保健福祉部
本多めぐみ先生
横浜市港北福祉保健センター
船山和志先生
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7
平成16年度全国結核対策推進会議に参加して
3月4日/笹川記念会館
ドッツ
■結核予防法改正と日本版DOTSの推進について
午前の部ではまず,平成17年4月から施行され
た結核予防法の一部改正について,その背景や内
容を厚生労働省結核感染症課の佐藤愛先生が説明
された。平成16年度に結核医療に関する検討小委
員会が設立され,結核患者に対する適切な医療提
供のあり方及び化学予防や今後の結核病床のあり
方が議論されたとのことで,患者の入退院基準の
具体的な内容が示された。この基準が決定すると
入院期間が短期となるため,退院後の服薬支援が
より重要になると思われる。今回の法改正では,
服薬確認治療(DOTS)が第25条及び26条で具体
的に明文化されており,各地域における推進が期
待される。
■みんなで取り組もう日本版DOTS
−地域DOTSの展開−
続いて,日本版DOTSのポイントや方法につい
て結核研究所対策支援部の小林典子先生が講義さ
れた。DOTSの推進では,地域の特性に即した事
業を成立させ,患者のリスクに合わせた服薬確認
方法(DOTSタイプ)の選択することがポイント
である。また,DOTSカンファレンスやコホート
検討会での事業の評価では,保健所と医療機関で
共に考えることが大切である。DOTSは決して新
しいことではなく今までの保健師活動の延長であ
り,目の前の患者をどう支援するかというところ
から始めることだとお話しされた。
以下のように報告された。
①東京都福祉局健康安全室感染症対策課の椚時
子先生:東京都(区を除く)では,平成16年10月
から7保健所で「東京都版21世紀型DOTS戦略」
を開始した。都ではその準備として,平成15年度
に保健所と結核病院を対象にした事前調査と訪問
調査を実施。その後マニュアルの作成,DOTSノ
ートの作成,関係機関との連絡調整を行った。「東
京都版21世紀型DOTS戦略」では,アセスメント
票を用いてDOTSタイプを決定し,患者に合わせ
た支援方法を検討している。
②鳥取県中部総合事務所福祉保健局(倉吉保健
所)の田渕陽子先生:倉吉保健所では,平成15年
4月から「地域DOTS事業」を開始した。訪問服
薬支援を保健所職員の他に訪問看護ステーション
に委託する方法を取り入れている。訪問看護ステ
ーション看護師や訪問介護事業者(ヘルパー)等
を対象に服薬支援者研修会を開催し理解を得てい
る。今後は評価方法の検討が課題である。
■みんなで取り組もう日本版DOTS
−地域DOTSの取り組み−
午後の部は,実際に地域DOTSに取り組んでい
る自治体の先生4名から,その取り組みについて
8
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左から沖縄県 伊礼先生,鳥取県 田渕先生,兵庫県 岸本先生,東京都 椚先生
③兵庫県明石健康福祉事務所(明石保健所)の
岸本和美先生:明石保健所では,「明石版DOTS」
を実施している。DOTS開始後,患者の治療成績
が上がり,職員に意識の変化が見られた。また,
DOTSの必要性について医療機関や他保健所,県
庁にPRすることができた。今後は,対象者及び支
援方法の選定(アセスメント票の検討),支援メ
ニューの普遍化が課題である。
④沖縄県中部保健所の伊礼壬紀夫先生:より効
果的で継続可能な地域DOTSを実施するために体
制の整備に力を入れた。業務プロセスをルーチン
化し,業務の質を確保することが重要である。原
則として全症例を対象とし,コホート会議や所内
DOTS検討会は定期的に開催している。また,結
核予防婦人会に協力を依頼し,訪問DOTSの実施
やDOTS劇等の取り組みを行っている。
■ポスター展示
活動の延長であり,今目の前にいる患者さんをど
のように支援しようかという気持ちから始まるの
だということに改めて気づかされた。各自治体か
らの報告でも様々な事例を通してDOTSの体制が
整備されたとのお話しがあったが,できることか
ら始め実践の中で学ぶことが大切なのだ。もちろ
ん体制を整備することも重要で,患者を中心に医
療機関や地域の支援者との連携は不可欠である。
すでに推進されている自治体から学びながら,地
域の実情にあった方法を検討していきたい。
本会議は全国の結核対策に関わる者が集まり活
発な質問,意見,議論がなされ,参加者が相互に
エネルギーを吸収できたと感じた。平成17年4月
から施行された結核予防法の一部改正の中では「服
薬確認治療」の推進が明記され,今後ますます全
国で地域DOTSが浸透することが期待される。今
回の会議で紹介された一つ一つの事例から学び,実
践に生かしていきたいと考えている。
ホールではDOTS事業に取り組む12の自治体や
医療機関がポスターで報告を行った。院内DOTS
の紹介や医療機関と行政の連携についての報告,
また地域DOTSについて実際の方法を紹介し,担
当者が熱心に解説され,休憩時間には事例から多
くを学ぼうとたくさんの人で賑わった。
■おわりに
私は現在一担当保健師として保健所結核対策に
従事している。全国で地域DOTSの推進がされる
中,当保健所でも地域DOTSを検討したが,実施
するためには体制や様式などあれもこれも整備し
なければという気持ちがあり,それに気持ちが囚
われてしまっていたように思う。しかし,小林典
子先生がお話しされたように地域DOTSは保健師
ポスター展示の様子
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9
第3回 WHO 東南アジア地域結核対策会議に参加して
2月8日∼ 11 日/インド(ニューデリー)
者の70%を発見し,そのうちの85%の治療を成功させる
と中間目標を掲げている。今回の会議では,東南アジア
の国々の置かれている現状報告を踏まえ,上記の目標に
到達するためには今後何をすべきかが討論された。
東南アジア地域全体としては2003年末時点で,治療成
過去10数年間にわたり,世界保健機関(WHO)は
功率は85%を既に達成しているが,患者発見率は44%と
DOTS戦略を中心に途上国の最優先課題である結核対策
目標の70%にははるかに及ばない。未発見の患者の所在
を進めてきた。全世界に6つあるWHO地域事務所では,
は主に3カ国と推定され,その半数以上はインドであり,
結核対策の進捗状況を分析し,今後の地域戦略を各国の
インドネシア,バングラデシュがこれに続く。患者発見率
結核担当者と共に作成するために定期的に会議が開催さ
が低い理由には,喀痰検査施設の不足や信頼性の問題,
れている。2005年2月8日から11日までニューデリーで
報告の不要な私的医療機関(開業医等)で診断・加療が
開催された,WHO東南アジア地域(SEAR)の結核対策会
行われる患者が多い点,そして医療から阻害されている
議の概要をお伝えしたい。
人々の存在(囚人等を含む)などが考えられる。HIV結
会議は前半と後半に分かれ,前半は主としてWHO本
核重複感染の問題に関しては,結核患者の推定24%(タ
部と東南アジア地域職員に,地域の有識者(研究施設,
イ)から0.1%(バングラデシュ)がHIV陽性と幅がある
NGO等)を加えた技術作業部会(Technical
Working
が,現在タイ,ミャンマー,インドの6州でHIV感染が
Group Meeting)であり,この会議で地域の結核対策の
拡大している情況を考えると大いに危惧されるところで
問題点が討議され,それらの改善方法が検討された。後
ある。多剤耐性結核は地域の平均2%と考えられるが(イ
半はWHO東南アジア地域のメンバー国からの代表を加
ンドは3%以下),調査が十分ではないことから,この
えた結核対策担当者会議(NTP Managers Meeting)とい
点も今後は予断が許されない。
う位置付けであり,前半で準備された内容にさらに各国
このような現状分析を踏まえ,2006年からの5ヵ年計
代表者が検討を加え,より現実的な活動計画に結びつけ
画が議論された。最優先課題は結核対策を推進する有能
るという位置付けである。WHO本部(ジュネーブ)からは
な人材育成であること,世界基金に続くより長期的な財
5名,世界銀行から1名,WHO東南アジア地域から9
政的支援が必要であること,有病率調査・薬剤耐性調査・
名,各メンバー国は,インド,インドネシア,バングラ
HIV調査等を含む疫学的調査に加え,社会学ないし行動
デッシュ,ミャンマー,タイ,スリランカ,ネパール,
学的な知見を得るための積極的なオペレーショナルリサ
ブータン,モルジブ,東チモールの10カ国から15名が参
ーチの必要性等の点で,各国からの参加者の意見が一致
加した。
した。今後さらに議論を加え,東南アジア地域の結核対
上記10カ国に北朝鮮を加えた計11カ国を管轄する
策新5カ年計画は完成することになる。
WHO東南アジア地域は,15億の人口を有し,インド,
インドネシア,バングラデッシュ,ミャンマー,タイの
5カ国は,結核高蔓延国(世界で22カ国)に名を連ねてい
る。これに中国(WHO西太平洋地域)を加えると,全世界
の実に60%の結核患者はこれらのアジアの国々で発生し
ていることになる。結核はまさにアジアの病なのである。
世界は1990年代前半から,DOTS戦略で結核と取り組ん
できたが,21世紀に入るとエイズ・結核・マラリアの世界
の3大感染症への対策支援として世界基金が創設され,
また国連の21世紀開発目標には,貧困削減のためには感
染症対策が不可欠であると明記された。このように現在
の世界は感染症と真剣に取り組もうとしており,人類史
上重要な時期にあると言ってよい。国連の21世紀開発目
標は,2015年までに結核有病率と死亡率を半減するとう
たっているが,WHOは2005年までに塗沫陽性肺結核患
10
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WHO東南アジア地域TB/HIV対策指導者養成研修
2005年1月タイ国−結核研究所の貢献
WHO東南アジア地域で,WHO,タイ保健省,
アメリカ合衆国CDC,日本の結核予防会結核研究
所の共催で,TB/HIV研修コースが1月17日から
同28日の2週間実施されました。結核研究所から
は,タイでの国際共同研究(本誌289号p24参照)の
ためタイに滞在していた私と,共同研究者であり
現在結核研究所のリサーチフェローのジンタナ・
ナンビータヤポンが参加しました。
皆様ご存知のように結核とHIV/AIDSは個別で
も世界的に大きな問題ですが,HIVに感染するこ
とで結核の発病率が高まり,一方途上国で結核は
HIV感染者の主要な死亡原因でもあるというよう
に互いにその問題を増幅しています。よって,こ
の問題に対処するためには,結核対策とAIDS対策
が互いに協力する必要があります。しかし歴史的
にその協調は十分ではありませんでした。様々な
理由がありますが,一つには結核対策は結核患者
を治療することで地域での感染源を減らすという
DOTS戦略が主軸であり,AIDS対策は健康教育な
ど感染の予防に重点が置かれて来たことがあると
思います。現在,協力体制を促進するために,
WHOからTB/HIV共同対策の基本戦略パッケージ
が作られ,結核患者へのDOTSと共にHIVのカウン
セリング・死亡率を減少させるための抗エイズウ
イルス治療,HIV感染者への結核スクリーニング・
INH予防内服・抗エイズウイルス治療等が含まれ
ます。今回の研修は,当該地域内で各国の実情に
合わせてTB/HIV共同対策の実施を促進するため
に行われました。第一回目ですので今後各国が同
様の研修を自国内で行うためのTrainers Training
(指導者養成研修)としての役割があります。ま
た,この研修を通じて今後のTB/HIV対策研修に
利用できる研修カリキュラム・教材を作成するこ
とも大きな目的の一つでした。このように
TB/HIV共同対策のための研修ですので,研修生
は結核対策とエイズ対策の両方から参加している
ことが大きな特徴です。
ミャンマー,インドネシア,ネパール,タイの
4カ国から15名が参加しました。コースは,TB/HIV
基本戦略を中心としたTB/HIV対策の講義,フィー
ルド視察,行動計画作成の3つの柱からなってい
ます。フィールド視察研修は,HIV中蔓延地域と
HIV高蔓延地域の2つの地域で実施され,後者は
結核研究所の国際共同研究のフィールドとなって
いるチェンライ県で実施されました。チェンライ県
ではHIV蔓延化の結核の疫学研究・INH予防内服,
抗エイズウイルス治療の結核発病・予後への影響
に関する研究や,TB/HIV対策促進のための現地
保健従事者・HIV感染者の患者組織が主体となっ
て実施する参加型のアクションリサーチが実施さ
れています。そのため教科書的な知識の習得では
なく,研究結果に基づいた対策の効果・問題点や
保健従事者やHIV感染者が主体的に対策に取り組
んできた経験を学ぶことが出来,活発な討議が行
われ有意義な視察研修になりました。
結核研究所は40年以上の国際研修の実績があり
ます。またチェンライでの国際共同研究は今年で
10年目を迎えます。今回その研究活動も研修に活
用し,このように第3国で他の組織とも協力して
国際研修を実施し,結核研究所が世界のTB/HIV
対策に貢献出来たことは意義があると考えます。
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11
平成17 年度
「結核予防会マンモグラフィ講習会」の開催へ向けて
これからの乳がん検診
厚生労働省は,平成16年度から40歳以上を対象
とした乳がん検診に隔年毎のマンモグラフィ(乳
房エックス線検査)を推奨した。これは,乳がん
発生の著しい増加に対し,有効な検診の体制を構
築することが急務となっているからである。乳が
ん検診はマンモグラフィを中心とした検診に切り
替わり,高い発見率を実現するために様々な施策
が必要となっている。
これを受け,検診の実施主体となる自治体では
マンモグラフィの導入が進められているが,確か
な技術を持つ診療放射線技師(以下,技師)は,
まだ足りていないのが現状である。国の指針でも,
技師の撮影技術や画像管理技術を高めることが急
務とされている。そこで結核予防会では,NPO法
人マンモグラフィ検診精度管理中央委員会(以下,
精中委)に共催頂き,技師の技術レベルを高める
ための認定講習会を行うこととした。
結核予防会マンモグラフィ講習会
結核予防会でマンモグラフィ認定講習会を開催
するにあたり,検診への効果と受講生への学習効
率を優先させることを主眼とした。そのため当会
の講習会には3つの大きな特徴が備わっている。
1つ目は,講師の選定において,マンモグラフィ検
診の啓発活動を積極的に行っている医師,技師,
機器工業会の方々の中から,全国の講習会で活躍
している一流の講師陣に協力を仰いだことである。
2つ目は,学習効果をより高める目的で「3日間
の講習会」として行っていることである。3日間
の濃密な講義や実習を通して基礎的な内容を再確
認し,個人ごとの足りない部分を補うことができ
る。これは結核研究所に付帯している宿泊施設を
使った「合宿制の講習会」という側面も併せ持っ
ている。3つ目は,撮影技術を効率よく習得して
もらうため,装置メーカーと緊密に連携してマン
モグラフィ撮影装置を3台用意することとし,そ
れぞれを広い部屋に設置したことである。技師に
とって,実際の検診業務に最も重要なのは撮影技
術でありポジショニングである。撮影装置1台あ
12
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たりの受講生を少人数に絞り,広い部屋で仔細に
実習を行うことで効率よく個々の技量を高めるこ
とができる。
受講生が講習会終了後に記載したアンケートに
よると,「3日間の講習会により重要な部分がよ
く判った」,「講師の教え方が巧く,ポジショニ
ングがとても解りやすくて感動しました」など,
当会の特徴である「優秀な講師陣」,「3日間」,
「装置3台」という部分について極めて効果が高
かったことがうかがわれる。
認定講習会を受講希望される方々へ
最近は認定取得を目指す技師も増えてきたが,
そのためには単なる机上の学習だけでは意味がな
い。それは,乳房の臨床・病理・読影などの幅広い
知識はもちろん,なによりも「精度管理業務の経験」
が問われているからである。それぞれの施設が精
度管理や線量測定を実際に行っていなければ,乳
がん検診の精度向上とはならないのである。特に,
マンモグラフィの撮影経験が全くない方には,ま
ずは日本放射線技術学会発行の「乳房撮影精度管
理マニュアル」などを読み,実際に精度管理業務
を行うことをお勧めする。また,臨床実習などで
撮影業務を経験してから受講を考えて頂きたい。
結核予防会では,精中委の共催を頂いて,平成17
年度も複数の認定講習会を開催する予定である。
多くの技師がこの講習会を修了され,乳がん検診
の精度向上に繋がることを期待している。
平成17年度マンモグラフィ講習会日程一覧
名称
日 程
第3回
6月 3日∼ 5日
第4回
8月26日∼28日
第5回
9月30日∼10月2日
第6回
11月25日∼27日
第7回
平成18年1月13日∼15日
第8回
平成18年2月24日∼26日
第1回
読影
講習会
年度内に1回程度開催予定
(受付終了)
(日程未定)
*詳細は結核予防会ホームページに随時掲載(http://www.jatahq.org)
平成17年3月9日(水)∼11日(金)3日間,結核研
してこの胃がん健診で胃がんを見つけ出す熱い気持ちが
究所において,結核予防会と日本対がん協会共催による
大切であるということでした。
診療放射線技師講習会が開催されました。
教養関係の講義では,「上部消化管のデジタル化」と題
結核予防会では技師協議会に講習会を委託し過去32回
して慶応義塾大学の杉野吉則先生が現状のデジタル機器
開催しており,胸部健診から超音波技術,消化管撮影技
と画像そして今後のデジタルの応用等を話されました。
術等を広い分野にわたり講習を行ってきました。又日本
又「がん予防」と題して東北大学の坪野吉孝先生は,がん
対がん協会も消化管をはじめ乳がん,肺がん健診の技術
に効能がある様に宣伝されている食物のアガリニクス,
向上を目指し講習を行ってきました。各都県支部は日本
お茶等は本当にがんに効果があると証明されたものが多
対がん協会との組織合併が進んでおり,現在では36支部
いことを話されました。
が統合しております。今回,支部からの要望等もあり,
「健診の今後」国の動き等について野口雄司先生より
共催する運びとなりました。
個人情報保護法において産業界からみた健診事業等の話
参加者は,北海道対がん協会から沖縄県支部までの71
があり,真新しい内容でした。「新しい結核予防法での
名であり,朝9時から夕方6時40分まで各界の著名な方
胸部健診」について結核予防会中野静男先生,「放射線
を講師に迎え長時間で充実した講習会となりました。
被曝の考え方」について結核研究所星野豊先生等より技
1日目は8時45分から開講式が行なわれ,主催者代表
師として知っておかなければならない話がありましたが,
で結核予防会仲村英一理事長の挨拶があり,早速講義に
改めて認識した参加者も多かったようです。
入りました。
最後に参加者の撮影した胃部間接撮影フイルム評価を
最初は「がん健診の重要性」と題して,国立がんセン
世話人が中心となり行いましたが,他施設のフイルムを
ター名誉院長市川平三郎先生の話でした。「先生の名前
見ることにより反省する参加者も多く,また自分の撮影
は知っているが話を聞くのは始めて」と言う方も多く,
したフイルムを指導して頂くことにより,今後の健診の
皆さん興味津々の中,対話方式で「がんとは何ですか」
勉強になったことと思います。
から始まり,胃がんで死亡する人を少なくする使命が胃
今後も引き続いてこのような講習会が必要であると改
がん健診であること,内視鏡でも疑陰性が多いことを話
めて感じました。
されました。また今後もがんを見つけるために努力して
くださいと熱いメッセージを送られました。
次に「肺がんの診断と治療」と題して,東京から肺癌
をなくす会の畠山雅行先生は,健診としての低線量CT
写真について10症例を展示され,胸部単純写真とCT写
真に対して技師の理解度テストが実施されました。
そして「結核予防法の改正」について結核研究所所長
の森亨先生は,大きく変わる結核予防法とその背景等を
話されました。
消化管撮影技術では,「胃がん健診の精度管理」と題
して横浜市立市民病院がん検診センター所長今村清子先
生,「消化管における技師読影」と題して神奈川県労働
衛生福祉協会の石渡良徳先生,「前壁二重造影撮影の工
夫」と題して労働医学研究会の木村俊雄先生の話があり,
共通する内容は,良い胃部写真を撮影すること,良い胃
部写真を撮影するには写真の読影力を向上すること,そ
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世 界結 核デー
シン ポジ ウム
HIV/AIDSは結核の問題
∼アフリカ・サンビア,インドネシア,タイから日本への提言∼
3月24日/世界銀行東京開発ラーニングセンター
3月24日はロベルト・コッホが結核菌を発見し
た日であり,「世界結核デー」と制定されている。
結核予防会はこの日に日本リザルツとの共催で世
界結核デーシンポジウムを開催した。
シンポジウムを2つのセッションに分け,前半
はアフリカのザンビアとタイの現場からの提言と
しての講演と,後半は専門家によるパネルディス
カッションでインドネシアとテレビ討論も行い,
有意義な2時間となった。
ネルソン・マンデラ氏のビデオスピーチ
開会に先立ち,女優の杉田かおるさんのJATA
ボランティア大使の任命式を行った。(詳細はp.24
参照)その後,南アフリカ元大統領のネルソン・
マンデラ氏によるビデオスピーチを放映した。こ
のスピーチは結核とHIVの二重感染拡大を受け,
2004年7月に行われた国際AIDS会議でマスコミに
発表されたものである。「AIDSと闘うには結核へ
の対策なしには勝てない。AIDSの人々にとって,
結核にかかることはほぼ死を意味するものである。
結核を治療するという意思と,結核を迅速に診断
し必要な治療が行える資金が欠けている。AIDSば
かりでなく,結核への闘いも忘れてはならない。」
という内容であった。
に立って感染症や結核,HIV/AIDSに取り組み,
資金援助を期待すると述べた。
次にタイ結核・エイズ研究NPO代表ジンタナ・
ナンビータヤポン氏より世界の結核とエイズの現
状についての講演であった。世界で毎年8百万人
が結核に感染し,そのうち2百万人が亡くなって
いる。HIV感染者のうち3分の1が結核に感染し
ており,結核患者の半分がアジアの6カ国(中国,
インド,インドネシア,パキスタン,バングラデ
シュ,フィリピン)に集中している。アメリカで
の結核患者の半分が移民であり,特にアジアの人
々である。これは日本にも言えることであり,き
ちんと治療をしなければ,1人の結核患者から1
年間で10∼15もの人が新規に結核患者になってし
まう。また,エイズではアフリカでの感染が多い
が,結核患者の多いアジアでもアフリカの次に
HIV/AIDSの感染者が約1千万人もいる。HIV患者
の3分の1は結核にも感染しており,発病する割
合は50倍もある。HIVと結核感染者は薬と心理的
サポートが必要である。日本は資金,技術,政策
等の支援で結核とHIV/AIDSに貢献することが出
来ると思うと述べた。
結核対策なくしては,HIV/AIDS対策はあり得
ない!現場からの証言
セッション1は最初にザンビアのHIV/AIDS,
結核問題活動家のウィンストン・ズル氏より講演
を頂いた。彼は1990年にHIV/AIDSに感染し,97
年に結核にも感染した。彼は結核の薬を投与する
ことが出来,完治した。しかし,同じように二重
感染した彼の4人の兄弟が結核薬をもらえずに亡く
なった。結核は治療により治るのにもかかわらず,
きちんと治療を受けられる結核患者は3分の1し
かいない。このような状況の中で日本がG8の先頭
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セッション 1
今,結核−HIV/AIDS対策に我々は何をすべき
なのか
後半のセッション2では,国連人口基金東京事務
所池上清子所長の司会で,結核とエイズに取り組む
専門家5人とパネルディスカッションを行った。
結核予防会島尾顧問は,この20年間で結核患者
数は増加傾向にあることを訴えた。20年前にアメ
リカで多くの受刑者が多剤耐性の結核に感染した
り,HIVとの二重感染になったりしたことがあっ
た時に,結核への研究費や対策費を50∼100倍にし
て,それを押さえつけることに成功した。この研
究費のおかげで結核の新しい診断の技術等目覚し
い進歩を遂げた。結核は今やHIVにかかった人の
一番危険な感染症であり,結核とエイズはエボラ
出血熱を上回るような危険な急性感染症に変わっ
てきていると言えるのではないか,と述べた。
外務省国際社会協力部の角茂樹参事官は,エイ
ズ・結核・マラリア対策基金の日本の貢献につい
て述べた。2002年1月にジュネーブを本として世界
基金が設立されてから,この3年間で33億ドルが
集められ,誓約は60億ドルを超えるというものに
成長している。この資金のうち6割はHIV/AIDS,
2割は結核,そして残りの2割がマラリアに対し
て使われている。日本はこの基金に対して2億6
千万ドルを出資しており,アメリカは11億ドル,
フランスは3億2千万ドル,そしてヨーロッパ連
合は4億5千万ドル出資している。この基金の重
要性が強く認識され,各国は出資金を増やす状況
にある。このような中で,日本がこの基金に引き
続きどのくらい関与し,資金を供給出来るかとい
うことが今世界の最大の関心事となっている。こ
の問題を国民にも広めて欲しいと訴えた。
アフリカ日本協議会稲場雅紀理事は,コミュニ
ティの結核対策について述べた。HIV/AIDS問題
と結核問題に対して,保健医療だけではなく,コ
ミュニティを巻き込んだ対策が必要である。結核
患者に対して治療を継続出来るように精神的にも
サポートすることが大事である。治療を続けると
いうことにおけるコミュニティの重要性,家族や
地域コミュニティがきちんと維持されて,治療を
前向きにサポートしていく体制が重要である。ア
フリカなどの発展途上国においてのHIV/AIDSの
治療についても同じようなことが言える。日本は
コミュニティという観点からも援助することが可
能ではないかと述べた。
SHARE国際保健協力市民の会沢田貴志副代表は,
現場でどのように取り組むか,感染症を引き起こ
す状況をきちんと把握することが必要であると述
セッション2
べた。日本におけるHIV発症者の4分の1は外国
人であり,その半分は結核でHIVを発症している。
どちらも社会的立場の弱い人がかかっていること
が多いのである。言葉が不自由,経済的困難等の
深刻な状況がある。治療には,医療側の視点から
だけでは分からない部分があるので,様々な状況
に対処し,多国間の協力や地域と医療者の連携が
必要である。厳しい条件のある人に対してどのよ
うに医療者が関わっていくかが重要である。
最後にインドネシア保健省結核課のイラワン・
コサシ氏はインドネシアの結核とエイズの状況を
述べた。結核は30年以上も問題となっていたが,
日本の援助等もあり,1995年にはわずか8%であ
った患者発見率が2004年には52%となった。今の
対策には新規感染者の発見と新しい研究所,高度
な技能を有したスタッフの育成が重要となってい
る。さらに,今回の津波の影響で結核の薬が流さ
れてしまった。結核対策を続けるためには様々な
機器が必要である。結核を無視してはいけない。
将来のためにも“HURRY UP!”と述べた。
討論では,日本は何が出来るのであろうかとい
う内容で,結核やHIVが多くの国で特に発展途上
国で広がっていることを認識しなければならない,
日本の国民が感染症にもっと関心を持ち,身近な
問題として考えることが必要である,結核研究所
では国際研修での人材育成において42年間もの実
績があるが,これらを活用した人的資源の育成も
必要である等の意見が出た。
このシンポジウムで結核とHIV/AIDSの現状及
び日本が何をしなければならないのかが分かり,
今後の対策につなげることが出来ればいいと感じ
た。参加者も予想より大幅に上回り,質疑も多く
出て大変有意義なものとなった。
文責 編集部
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結核予防会カンボジアプロジェクト
平成17年4月1日から,カンボジア・日本の結
核予防会共同プロジェクトが始まりました。プロ
ジェクト開始に当たって,平成17年3月19日から
21日にカンボジア王国へ赴き,プロジェクトの合
同文書調印と,複十字シール募金から今年度プロ
ジェクト費100万円の寄付をしてまいりました。
●太陽の恵みの国,カンボジア王国
カンボジアは,国境をタイ・ラオス・ベトナム
に接しており,首都はプノンペン。世界遺産に登
録され,国旗やカンボジア紙幣に見ることができ
るアンコールワットは,シェムリアップというと
ころにあり,訪れる観光客の中に日本人を多く見
かけます。季節は,11月から3月までの乾期と,
4月から10月までの雨期に分かれます。国内を流
れるトレサップ河は世界で唯一,年に一度流れが
逆になるという面白い現象が見られます。マーケ
ットには,太陽の恵みをたくさん受けて育った色
鮮やかな野菜,果物,花が並んでいます。10年前
にプノンペンを訪れたことのある結核予防会青木
正和会長は,時間の流れがゆっくりとした農村の
イメージを持ったそうですが今では車・オートバ
イの量がとても増え,その発展ぶりは目を見張る
ものがあります。
プノンペン市内の町並み。早朝なので人通りが少ない。朝夕の
ラッシュ時間帯、週末は市外に遊びに行く人々の車やオートバイ
の流れが多い。
●カンボジア結核予防会と新規プロジェクト
カンボジア王国は,世界で結核の高蔓延国22カ
国の一つに挙げられます。そのような状況の中,
2003年11月にカンボジア結核予防会(Cambodia
Anti-Tuberculosis Association, CATA)が発足し
16
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ました。まだ設立されて間もないカンボジア結核
予防会に期待される役割は非常に大きく,そこか
ら差し伸べられる手を待っている人々はたくさんい
ます。CATAで結核対策の活動の中心となってい
るのは,非常に穏やかなコンキンサン先生です。
それ以外のワーキンググループとして5人の医師
が活躍しています。彼らは現在CATAの少ない財
源のもとで,週末も休み返上でボランティアに近
い形で活動しているようでした。その熱心さは,
「限られた活動費の中で,どれだけ自分たちの活
動を人々に理解してもらえるか一生懸命に努力し
ている」,「何も行動しなければ,何も生まれな
い。自分たちはお金がないけれども,行動を起こ
すことは出来る。そして,たとえその活動が小さ
くても,自分たちの活動を有効的に人に伝えてい
きたい」と語られる姿から伝わってきました。
プノンペン市内には約300の工場があり,およそ
20万人が産業衛生のまだ整っていない劣悪な職場
環境の中で働いています。工場ではまだ結核対策
は行われておらず,地域には他の病気への対応も
含めたヘルス・ポストはありますが,結核の調査
や診断・治療の専門技術はまだ十分ではありませ
ん。労働職業訓練省と関連のある職業健康管理部
の活動はまだ未成熟のようでしたが,組織は一応
作られていました。労働者は90%以上が18歳から
35歳の女性で,そのほとんどが地方出身者で,小
学校に行ったことがないか数年しか通わなかった
人たちです。そのため,結核についてマスメディ
アや新聞・本から適切な知識を得ることや,文字
が読めない故に情報を入手することが出来ず,結
核ばかりでなくHIV/AIDSなどの感染危険の高ま
る環境になってしまっています。
プノンペンを訪れたのは週末で工場がお休みだ
ったため実際に工場を訪問することが出来ません
でしたが,平日はどこからこんなに女性が集まっ
てくるのか,と思うくらいに工場に出勤してくる
そうです。紡績工場での女性の活躍や結核の状況
は日本の『女工哀史』と重なり,家族を支えるた
めに働きに来ている女性たちが多くいるのではな
いかと感じました。
プロジェクトは,複十字シール募金から毎年100
万円を拠出して実施されることになります。工場
地域と高齢者及び弱者グループでの小規模な2つ
の結核モデルプロジェクトで,実施期間は3年間
の予定です。
2005年3月19日共同プロジェクト調印式(プノンペン)
●寄贈胸部検診車の活躍
2001年に結核予防会茨城県支部より贈呈された
胸部検診車は,2002年の全国結核実態調査,2003
年のプノンペン市有病率調査に使用された後,結
核病床や菌検査室はあってもレントゲンのない旧
郡病院などへ出張健診に出掛け,主に木曜日と金
曜日に,貧しく中央の病院まで行けない患者さん
たちへのサービス,それ以外の日は調査研究など
にプノンペン市内や郊外で,大活躍しているそう
です。2004年は年間1824名のレントゲン撮影が実
施され,患者発見は226名(12%)だったそうです。
今回新しく始まったプロジェクトでも人々のニー
ズに応えてくれそうです。
●国王と謁見
この度,2004年10月に新しく戴冠したシハモニ
国王に謁見するという貴重な機会がありました。
国王が住んでいらっしゃる王宮はプノンペン市内
のトレサップ河に面したところにあり,王宮前は
広い芝生が広がっていて週末になると人々の憩い
の場にもなっています。また,河沿いにカンボジ
アの国旗をはじめ,世界各国の大きな旗が風に揺
られてはためいています。王宮でコンキンサン先
生よりカンボジア王国の結核の現状や結核対策へ
の取り組みなどが王様へ報告されました。結核予
防会青木正和会長より,今回の訪問の目的・日本
での結核予防会と皇室との関係,総裁秋篠宮妃殿
下に結核予防関係婦人団体中央講習会で直接お言
葉を頂き,婦人会員が心を一つに活動に励んでい
ることなどをお伝えしました。国王より,結核予
防会のカンボジア結核対策への協力に感謝と敬意
を示してくださるお言葉を頂戴しました。
●国際研修生の活躍
プノンペンで,結核対策にかかわっている医師
やボランティアの方々とお会いしました。途中「日
本に行った時に,あなたに会いましたよ」という
青年に出会いました。私もどこかでお会いしたこ
とがあるような,「どこで会ったかしら?」と尋
ねたら,「清瀬の結核研究所での研修に参加した
ことがあって,研修中本部を訪問した時に会いま
した」と言われました。他にも国際研修卒業生で
ある医師に出会い「先生方はお元気ですか?」と
質問を受け,研修生当時の思い出を楽しくお話し
て下さいました。結核研究所では,国際研修が42
年にわたり行われ,今日までに93カ国およそ2000
人の卒業生を輩出しています。彼らが世界各地で
の結核対策の第一線で活躍しています。その姿を
カンボジア王国で実際に目にすることが出来,研
修の意義・目的が果たされていることについて世
界に羽ばたいていった研修生の活躍を頼もしく,
また大変嬉しく感じました。
●複十字シール募金
今回,新しいプロジェクトに役立つ複十字シー
ル募金は,年間を通して全国から集められたもの
です。募金者の方々から励ましのメッセージを頂
くことも多々ありますが,「結核がなくなります
ように」という皆様のお気持ちを大切にして善意
の募金を結核対策や結核予防の活動に今後も生か
していけたらと思います。
カンボジア王国は,日本人にとって同じアジア
とはいっても,まだ馴染みの薄い国かもしれませ
ん。プノンペン市内のホテルの中は,日本と全く
変わりません。しかし,一歩外に出ると地雷で手
足を失った人たち,現実の厳しさの中にも真剣に
生きる人々の姿,川に飛び込んでのびのびと遊ぶ
子供たちの姿を目にします。日々刻々と変化して
いるカンボジア王国に深い関心を持ってプロジェ
クトを長い目で見守っていきたいと思います。
マンゴーの木の下で暑さをしのいでたたずむ牛
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結核予防会支部紹介のページ
山 形 県
支 部
より良い健診の提供を目指して
庄内検診センター
山形県支部は,事務局の他,五つの検診センタ
ーと細胞診センターを整備し,県民の福祉向上に
寄与すべく事業を展開しております。
そのひとつ庄内検診センターは,昭和61年に地
元市町村と医師会等関係機関の要請のもと,おい
しい庄内米と白鳥の飛来数日本一を誇る酒田市に
整備いたしました。(翌年4月業務開始)
設置以来,施設内では人間ドック,定期健康診
断,政府管掌健康保険生活習慣病予防健診等,施
設外では基本健康診査,各種がん建診,呼吸器健
診(肺がん・結核),学校健診等を行っています。
また,受診者の増加に伴い,迅速な結果処理を
図るためコンピュータシステムの導入を早期から
行い,さらに,老人保健法施行による健診項目の
増加等に対応すべく,建物の一部改修を順次行い
ながら健診検査体制の確立,機能の充実・強化を
図ってきました。
しかし,健診の多様化やプライバシー保護の問
題等に対応するには,現在の建物では狭隘であり
実施主体や受診者に不便をかけ,業務を効率よく
行うことが困難になり,新たな場所に用地を求め
建設することになりました。
新庄内検診センターの基本構想
支部内に,新しいセンターの基本設計及び健診
機器の整備に関する検討委員会として,建設委員
会及びプロジェクトチーム,ワーキンググループ
を組織し,基本構想を検討しました。その一部を
18
5/2005 複十字 No.303
ご紹介します。
・健診関係では,健診エリアを人間ドックや定期
健康診断等の複数の事業が同時に行われても対応
できる配置といたしました。
女性のプライバシー保護の重視を図るため,レ
ディースホールを設けました。ホール内には,子
宮がん健診室・乳房X線撮影室,トイレ,更衣室
があり,安心して健診が受けられるよう配慮しま
した。
・事務関係では,施設にいる職員が全員スタッフ
となり,受診者サービスを行えるように事務室と
受付の一体化を図りました。
・癒し部門では,受診者に「驚き・感動・安らぎ」
を感じて頂くため,健診部門と事務部門の間に自
然木や庭石等による中庭を配置し,四季折々の変
化が楽しめる癒し空間を設置しました。
・機器の整備では,画像診断の向上と迅速な比較
読影の精度充実を図るため胃部・呼吸器デジタル
X線撮影装置を導入しました。
より良い健診の提供を目指すために
健診事業を取り巻く環境は,がん健診の一般財
源化及びがん健診の有効性に関する報告書の答申
等,健診の受診率低下が懸念される状況です。
新検診センター建設により,受診者のニーズに
対応すると共に,効果的な健康管理のお手伝いを
行えるように職員一丸となり邁進しているところ
であります。
ず
い ひ つ
アッシシの大聖堂 1990年6月ローマを出発地として南に下り,山
越えをしながらアドリア海に面したバリ,アルベ
ロベーロの白い家並みを楽しみ,イタリア中央山
岳地帯の四角いロマネスク建築の教会から,ペル
ジャーの地下都市と訪ねながら,アメリカ,イギ
リス,スイス,オーストリア,ドイツそれに加え
て私日本人の一行は,その日アッシシの大聖堂の
前にいた。
女性専門職と企業経営者による組織“国際ゾン
タ”の主催するイタリア・スタディツアーの20名
とガイド兼通訳のジョバンニ。参加者の出身国は
様々だが,国際ゾンタの本部はアメリカ・シカゴ
にあり公用語は英語なので,ジョバンニの仕事は
イタリア語から英語への通訳となる。歯切れの良
いジョバンニの英語は,私には分かりやすくて助
かっていたが,英語圏の会員たちには,不平があ
った。
いわく“ファサーダー”と言うから何のことか
と思ったら“ファサード”のことなのよ。と色々
ある毎日だったが,その日は聖堂事務局のお手配
で,アメリカからこの聖堂に留学している司教候
補生が説明役を勤めてくれることになった。
ファサードの説明に始まり,やがて大聖堂の中
に入った私たちは,日ごろの研鑽ぶりを,この時
とばかりよどみなく上品な英語で披露する彼に付
き合うことになった。
礼拝堂の祭壇に向かって左壁には旧約聖書,右
壁には新約聖書に由来する題材の,大きなモザイ
クの壁画が連なっている。かつて聖堂に集まる住
民のほとんどが文盲であった時代,これらの壁画
が聖書であり教材であったことを前置きにして,
この若き聖職者の説明は延々と続く。
長時間に渡った説明に疲れ果て,立ち続けて痛
む足を引きずるように聖堂をあとにした私たちを
素晴らしい夕焼けが迎えてくれた。
旧約聖書と新約聖書を1日で通読した仲間たち。
バスに戻ってからも,今晩何を食べに行こうか,
と言い出す元気もなかった。
年が過ぎた。あれから15年。
退職し,永年暖めていた世界の美術館を訪ねる
旅を始めた私が,いつとはなしに聖書の中で語ら
れている事象の一つ一つが,絵の中にどのように
表現されているかに興味を持ち始めたのは,この
アッシシの一日に関係があるのではないか。と思
えるようになった。
特に抽象性の高い,精霊降臨,処女受胎告知,
etc。“エマンへの巡礼”のテーマで描かれている
夜の食卓。主キリストの神格化をどのように表現
するか。画家のアイデアを楽しむことになる。
世界の美術館を訪ねる旅は,当分終わりそうも
ない。
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世界のたばこ事情
2月27日にWHOの策定により「たばこ規制枠組み条約」が発効された。日本では電車
や飲食店,職場等での分煙や路上喫煙の廃止等の喫煙対策が次々と取られている。日本
だけでなく、世界各地でもたばこの消費削減を目指し,様々な取り組みが行われている。
その世界各地で行われている対策の一部を紹介する。
ブータン
世界で初めての禁煙国を目指している。昨年の12月から家の外での喫煙は禁止され,た
ばこの販売も禁止された。国外からの持込は100%の関税が課せられるようである。これに
加え,国王自らが喫煙者であると公表したが,家族のためにも禁煙したいと言っている。
キューバ
2月より公共施設等での禁煙条例が発令され,禁煙や分煙が広がっている。キューバ
は「愛煙国」と言われるほど,成人の喫煙率が高い。喫煙率は5割を超えている。カス
トロ国家評議会議長が約20年前から禁煙するなどを始め,今後少しずつ禁煙者が増えて
いくであろう。しかし,葉巻はキューバの名産品であり,年間約2億ドルもの収入のあ
る輸出品なので,今後葉巻と禁煙とでどのような対策に取り組んでいくのであろうか。
フランス
ある地方では,現在普及している携帯電話を利用して面白い対策が試験的に取り組ま
れた。それは,事前に登録した禁煙したい人の携帯にメールを,たばこの害の事例や禁
煙に対する激励や助言等の内容で毎日一回送ることであった。その結果,このメールが
きっかけで禁煙した人が出たと言う。このような禁煙活動の取り組みの中,フランスで
は1999年から5年間で約2百万もの喫煙者がたばこをやめたという調査結果が出た。
アメリカ
ミシガン州にある企業が社員全員に就業時間以外での禁煙規制をした。社員の健康を
守るための対策であり,自宅での喫煙を調べようと検査をしたところ,拒否した社員を
解雇したという,厳しい対策をとった。また,アメリカでは10もの州が公共建物での喫
煙を禁止するという法律を持っている。
ベルギー
来年から仕事場での喫煙が禁止になることに先駆け,ある企業では社員が就業中に喫
煙のため屋外に出る場合,15分間の残業の義務を課すことにした。
他にアジアの国々でも禁煙活動が行われている。シンガポールでは1970年より喫煙対
策がとられており,今後はパブやバー等の全面禁煙を検討中である。また,タイでは国
王が若者に対して禁煙を呼びかけ,ベトナムでも禁煙キャンペーンを行った。中国では
2008年の北京五輪を「禁煙大会」にすることを目指している。
(2005年1月∼各種新聞記事より) 文責 編集
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2005年世界禁煙デー(5月31日)
「たばこ規制における保健医療専門家の役割」
(WHOテーマ)
“ The role of health professionals on tobacco control”
毎年5月31日は世界禁煙デーである。今年の
WHOが示したテーマは“The role of health
professionals on tobacco control”「たばこ規制に
おける保健医療専門家の役割」(和訳は厚生労働
省作成)である。
たばこを効果的に規制するには,法律や料金を
規制するだけでなく,教育やキャンペーンを通し
て健康への影響を認識させることも必要である。
人口の高い割合を占めている保健医療専門家がこ
のような禁煙活動に積極的に支援することが可能
である。専門家は人々の習慣を変える手助けをし,
助言や指導を行うことにより禁煙に導く機会があ
る。専門家により喫煙の危険性や禁煙の重要性を
人々に認識させることが一番効果的である。
また専門家が子供たちにたばこの危険性を広め,
子供たちの健康増進を図っていくことも大切であ
る。
たばこ対策において専門家に自分たちの役割を
考えてもらい,医師,看護師,歯科医,薬剤師等
がたばこについて指導することを願う。
※WHOのホームページより編集 文責 編集部
お知らせ
世界禁煙デー
記念シンポジウム
●日 時:平成17年5月31日(火) 13:00∼16:00(開場12時30分より)
●場 所:科学技術館サイエンスホール(東京都千代田区北の丸公園2−1)
●テーマ:「たばこ規制における保健医療専門家の役割」
●共 催:厚生労働省,日本医師会,日本歯科医師会,日本薬剤師会,日本看護協会,
たばこと健康問題NGO協議会<がん研究振興財団,結核予防会,健康・体力
づくり事業財団,日本食生活協会,日本対がん協会,母子衛生研究会,日本
公衆衛生協会,日本心臓財団>,「喫煙と健康」WHO指定研究協力センター
●対 象:国民一般,行政・保健医療・教育関係者,その他
*お申込やプログラム等の詳細は結核予防会のホームページにて掲載いたします。
文責 編集部
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思い出の人を偲んで
えんどう
しょうぞう
遠藤 勝三 先生
結核予防会大阪府支部名誉支部長
平成16年10月2日逝去,享年82歳
文:結核予防会大阪府支部顧問
結核予防会大阪府支部56年間のお勤め
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
昭和21年に大阪大学医学部を卒業し,昭和23年
に結核予防会大阪府支部の内科医員となられ,昭
和30∼39年の間は西宮市立西宮市民病院内科医と
なられたが,その後は結核予防会ひとすじに勤め
られた。勤務医で転職された同輩の多くの方に比
し,結核予防会ひとすじに働かれ,数々の貢献,
業績を残し,多くの関係者に惜しまれつつ去られ
たのは遠藤先生ならではのことである。実は亡く
なられる数カ月前から身体の不調を訴えられてい
た。先生が自ら先頭に立ってそれまでの老朽化し
た木造の結核療養所を昭和51年に結核病床を含む
近代的病院に改装させた思い出の寝屋川市の大阪
病院に入院されて,精査をうけて肺癌と診断され
た。既に転移もあり小倉剛病院長(支部長)以下
の治療の甲斐なく病状は急速に進展して鬼籍に入
られた。告知するまでもなく自覚して従容として
闘病されたのも先生ならではの心の強い一面を物
語っていた。結核予防会大阪府支部生活56年目で
あった。
結核予防会大阪府支部での先生のご略歴
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
結核予防会大阪府支部内科医員 (昭和23∼30年)
〃 堺‹島屋内診療所所長(昭和39年)
〃 附属療養所所長 (昭和42年)
〃 常務理事 (昭和48年)
〃 相談診療所所長 (昭和51年)
〃 結核研究所所長 (平成元年)
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螺良 英郎
〃 副支部長 (昭和63年)
〃 支部長 (平成3年)
〃 顧問,名誉支部長 (平成11年∼)
結核予防会大阪府支部で相談診療所が開設され
るや,阪大第三内科教授今村荒男支部長の委嘱を
うけて,相談診療所に赴任し,結核の集団健診の
中心医師として勤務された。
爾来結核予防会を通じて,その生涯を国ならび
に大阪府等で結核予防対策の実践のために精力を
尽くされた。
結核集団健診の鬼としての先生のご活躍
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
遠藤先生のライフワークは結核の集団健診におけ
る胸部間接撮影法の技術改良と読影技術である。
数々のアイデアを生み出されてその面では自他共
に許す第一人者であった。
昭和55年頃より,100ミリ間接撮影用フィルムを
使用した健診を支部のテーマとして取り組み,自
らグラデーション方式による蛍光板の改良や,高
電圧X線装置の導入による被曝線量の軽減化に取
り組まれた。幾多の試行錯誤の果に被曝線量が少
なく,かつ直接撮影レントゲン写真に迫る診断価
値のある方式を樹立された。
先生の結核胸部X線写真の読影の力量,技術,
判定は到底真似の出来ないものであった。50年余
に及んで読影された数は優に数百万枚を越してい
るのではなかろうか。恐ろしいスピードで次々と読
影を夜遅く,時には自宅に持ち帰ってでもなさっ
た先生の姿は近寄り難い,正に鬼気迫るものであ
った。
そうした体験にもとづく豊富な知識は多くの方
の指導に貢献し,健診の在り方にも胸部X線写真
の撮影現像技術その他の機器の改良に数多くの功
績を残された。
結核予防会事業と関連してのお仕事
しての先生の積極的なご意見は,先生ならではの
経営感覚にもとづくものであったと聞いている。
大阪府支部のみならず全国的な先生の結核対策
に対して平成15年3月宮城県の結核予防全国大会
で秩父宮妃記念結核予防事業功労賞を総裁秋篠宮
妃殿下より受賞された。
遠藤先生のお人柄
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
大阪府下の各保健所の結核診査協議会では,長
年委員として中心的な役割を課された。大阪府衛
生対策審議会結核対策専門部会委員としては全国
最悪の結核事情の大阪にあっての結核対策につい
て,島尾忠男先生の絶大なご支援の下,大阪府結
核病学研究会の会長として行政へ反映する活動を
なさった。
また,昭和61年に大阪府結核検診精度管理委員
会の会長として結核健診の効率的な実施方法やレ
ントゲン写真等の精度の向上や,結核予防従事者
の資質の向上に多大な功績があった。
大阪府の集団検診協議会理事長として結核健診
精度向上に取り組まれた。健診機関技術者への講
習会の実施やフィルム評価会も先生ならではのア
イデアとご努力によるものであった。
昭和60年に始まった財団法人大阪から肺がんを
なくす会にも委員,理事として参画され,肺がん
の予防,早期発見について指導的役割を果たされ
た。
山陰の旧家のご出身と聞いている。いつも温顔
を湛えられて話し好きであった。しかし,人の言
うことをじっくり聞いて判断も的確であった。物
事を判断し決断されると誠に強固に実行に移され
た。強靭な意志をお持ちになっておられた。例え
ばかつて組合交渉でその強い意思と迫力が発揮さ
れたと聞いている。ともかく経理に明るく,専門
知識も豊富で鋭い経営理念を貫いてられた。この
ことが先生の下で仕事をした方々の信頼と尊敬を
集めた所以であろう。
結核や肺がんの専門医でありながら,若い時か
ら愛煙家というよりヘビースモーカーであった。
仕事中もタバコを次々ふかしてられた。それが晩
年のある朝,不整脈発作で救急入院されるとピタ
リと禁煙された。驚くばかりであった。また饅頭
好きで夜の残業中も口にしておられ,お酒も好き
でいろいろとお酒の知識も豊かであった。それが
糖尿病が進んだことが分かるとピタリと絶たれ,
これには奥様も驚かれた位である。
ともかく仕事人であった先生は休みをとること
を嫌がっておられた。海外旅行も英語が苦手だと
欧米を避け,かつては専ら中国であった。ところ
が支部長も退かれてご夫妻でアメリカ旅行されて
から考えがすっかり変わった。これも先生らしい
お人柄の一面であろう。亡くなられるまで結核予
防会ひとすじの道を頑固に歩まれた先生への憶い
は盡きない。
顕彰について
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
先ず昭和57年に大阪府結核予防功労者として,
平成3年に公衆衛生関係功労者として,それぞれ
大阪府知事の表彰を受けられた。結核予防対策の
実績に尽力し,わが国の結核事情の改善に貢献さ
れたことを顕彰して,平成9年11月に勲四等瑞宝
章受章の栄に浴された。
平成4年来,結核予防会常任理事として毎月一
回定例常任理事会に出席されていた。常任理事と
5/2005 複十字 No.303
23
…………………………………………
シール だより
杉田かおるさん
JATAボランティア大使任命式
3月24日世界結核デーシンポジウム 於:世界銀行東京開発ラーニングセンター
去る3月24日世界銀行東京開発ラーニングセン
ターで行なわれた世界結核デーシンポジウム(関
連記事本誌p.14)の開会に先立ち,JATAボランテ
ィア大使の任命式が執り行なわれました。大使とし
て任命されたのは女優の杉田かおるさんです。結
核予防会仲村英一理事長から任命証が手渡された
●シールぼうやの秘密●
後,「このたびJATAボランティア大使として任
命されました杉田かおるです。日本や世界の結核
についてこれからコツコツと勉強して,誰よりも
関心をもつ一市民としてお役に立ちたいと思いま
す。よろしくお願いいたします。」と挨拶があり
ました。
杉田さんはその後のプログラムのシンポジウム
に参加,アフリカのザンビアでのHIV/TBの患者
であった結核問題活動家ウィンストン・ズル氏の
自らの体験に基づいた講演を熱心に聞いた後,「ズ
ルさんは私と同じ年齢です。自分自身のことをお
話するのはとても勇気のいることですね。」と感
激しておられました。
水色の爽やかなスーツで会場に立たれた杉田さ
んは,控えめで真面目で笑顔がステキな方でした。
これからたくさんの結核予防の活動にご参加頂く
ことで,多くの方
にも関心を持って
頂けることと期待
しています。 事業部資金課
シンポジストと一緒に
Q.ひたいの渦巻きは何?
A.シールぼうやは実は巻き毛の金髪。赤い頭巾からはみ
出しているのは前髪です。
知ってください
ぼくのこと Qどうして耳があるの?
近頃とても有名になったシールぼう
やついてのご質問にお答えします。
A.結核菌と闘う複十字の剣と複十字マントを大切にして
A.この耳は特製の猫の耳です。結核菌のつぶやきを聞き
漏らさないためにあります。
Q.宝ものは?
います。
Q.誰と暮らしているの?
Q.いつ生まれたの?
A.友達のインコと暮らしています。(内緒の話)
A .平成13年9月24日てんびん座です。
Q趣味は?
Q.うまれた場所は?
A.世界の複十字シールを集めています。
A .上野恩賜公園で複十字シール運動50年を記念して誕
Q.夢は?
生しました。
A.もちろん世界中の結核や胸の病気を撲滅することです。
お知らせ
24
5/2005 複十字 No.303
結核予防に関係するパンフレットやリーレットなどにぼくのイラストがご利用できます。
●問合わせ先:TEL03-3292-9287 結核予防会事業部資金課
………………………………………………………
複十字シール国際協力事業
バングラデシュから研修生を招聘しました
平成14年度より本会支部複十字シール益金より
予算を拠出して頂き, 次年度に国際協力事業を行
っておりますが, 平成16年度はバングラデシュか
ら研修生を招聘しました。
1月17日∼2月4日に結核研究所で行いました
『結核対策リーダーシップ訓練コース』
(Leadership Training in Tuberculosis Programme
Management)にバングラデシュよりDr.
Milan
Kanti Baruaを研修生として招聘しました。このコ
ースは3年に1回開催しており、開発途上国の結
核対策推進のために各国より結核対策に影響力の
あるトップクラスの方が対象と
なっております。
バルア先生はバングラデシュ
最大のNGOであるBRAC(バン
グラデシュ農村向上委員会)で
健康問題に取り組んでいます。
バルア先生よりメッセージが届
バルア先生
きましたので、紹介します。
「結核予防会並びに結核研究所のご支援及び結
核対策リーダーシップ訓練コースに参加させて頂
いたことに感謝申し上げます。
コースでは、世界の結核とエイズの現状、日本
の結核対策、結核疫学、アドボカシー、NGOの役
割、人材管理、DOTS拡大、各国の結核対策に対
しての政策や戦略等いろいろなことを学びました。
また、異なった文化や状況を持った世界中の人た
ちとどのように協力しあうかということも学びま
した。
総裁秋篠宮妃殿下を始め、各省庁の役員方、結
核予防会の役員、そして婦人会の方々にもお目に
かかれて大変光栄に思います。結核対策に対して
の日本の取り組みが世界的にも広がっていることを
改めて認識しました。京都や奈良での見学では、
他国からの人々には同じような問題があり、それ
に奮闘している様子が印象に残りました。京都と
奈良等の観光も楽しみました。また、見学を通し
て協力頂いた施設や、経験や活動を紹介して下さ
った方々に感謝申し上げます。
日本で学んだテーマや経験を職場やバングラデ
シュで結核対策に関わっている施設等に伝えたい
と思います。また、結核予防会や結核研究所、そ
して日本に滞在している間ご支援を頂いた方々に
再度感謝申し上げます。最後に結核予防会並びに
結核研究所に引き続きご支援を頂きたくお願い申
し上げます。」
帰国後、BRACでの結核対策におけるワークプ
ランを作成したようです。今後のバルア先生の活
躍が期待されます。
(資料提供:国際協力部) 文責 編集部
たくさんの募金を
ありがとうございます!
3月4日に結核研究所主催の全国結核対策推
進会議(詳細p.8参照)にて、参加者へ市町村合併
にともなう今後の複十字シール募金へのご協力に
ついて呼びかけました。募金用資材として用意した
シール坊やのぬいぐるみも好評であっという間にな
くなりました。募金頂いた方に感謝申し上げます。
事業部資金課
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第80回日本結核病学会総会 研究発表
(平成17年5月12∼13日,
埼玉県さいたま市にて開催)
結核予防会本部・支部では,
結核に関する様々な研究が行われています。
第80回日本結核病学会総会にて,
結核予防会職員が発表した演題を紹介します。
本学会の報告記事は,
次号(No.304/平成17年7月号)に掲載予定です。
日本結核病学会発行『結核』
Vol.80 No.3 March 2005より抜粋
特別講演・教育講演・要望課題・一般演題
主任研究者
特別講演・教育講演・要望課題・一般演題
主任研究者
複十字病院
本部
医療機関における結核のリスクマネージメン
ト
(特別講演)
青木 正和
結核 温故知新(特別講演)
島尾 忠男
結核研究所
ツベルクリン判定
−世界の常識・日本の常識−
石川 信克
モルモットに対する2次結核菌感染
宇田川 忠
沖縄県RFLP分析をもとにした性・年齢階級・
居住地別Transmission Indexの推定
内村 和広
地域の結核対策改善のために結核菌DNA
分析を応用することの有用性に関する検討
−1996年から2004年−
大角 晃弘
中 国 河 南 省におけるエタンブトール 耐 性
M.tuberculosis遺伝子のWAVE解析
大友 幸二
結核患者の発見の遅れの傾向と背景要因に
関する研究
大森 正子
市町村別結核統計の検討
加藤 誠也
結核化学治療時におけるQuantiFERON2Gの経時的変化に関する研究
阿萬久美子
第一健康相談所
学校結核健診2年目の精検率
小海 奏子
結核の外来治療成績
中園 智昭
渋谷診療所
山谷に於ける結核外来治療とDOTS治療の
評価
シンポジウム
今村 昌耕
発表者
Ⅱ.
非結核性抗酸菌症の治療
非結核性抗酸菌症に対する標準術式とは
白石 裕治
発表者
ミニシンポジウム
Ⅰ.
インターフェロンγの未来
「服薬支援看護システム」を活用したDOTS
の普及について
永田 容子
結核予防法改正前の社会福祉施設等への
胸部健診の現状
中野 静男
特殊公衆浴場における結核集団感染事例の
R
QuantiFERON TB-2Gを用いた検討
結核化学療法および予防内服終了者におけ
R
るQuantiFERON TB-2Gのパフ
ォーマンス
原田 登之
QuantiFERON R TB第二世代の基礎的特性
原田 登之
QuantiFERON-TB第二世代の臨床・疫学
的応用
鈴木 公典
Ⅱ.
結核の外来性再感染
樋口 一恵
結核の外来性再感染−文献的考察
尾形 英雄
Ⅲ.
DOTSの効果・評価
近年の20歳代の結核蔓延状況に関する検
討
星野 斉之
ヌードラットを用いた結核菌感染実験
水野 悟
「服薬支援看護システム」における治療評価
について
山内 祐子
既存のパネルテストスライド作製法の検証と
新規人工喀痰スライドの可能性
山田 博之
和田 雅子
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和田 雅子
Ⅳ.
コホート分析による治療評価−情報の精度管理−
コホート分析による治療評価の必要性結核
森 亨
*施設ごとの発表者名は50音順
標準治療における肝障害(教育講演)
維持期間歇療法の有用性と副作用
維持期間歇療法を用いた調剤薬局DOTの
試み
予防会だより
新総務部長就任
(すだ かつよし)
4月1日に総務部長に就任いたしました須田でござい
ます。
今まで厚生労働省に勤務しておりましたが,その間公
衆衛生,生活衛生,老人保健,精神保健福祉そして厚生
科学などの分野の業務に携わり,東海北陸厚生局健康福
祉部長を最後に公務員生活を終えました。
●「結核予防会ネットワーク事業」担当者会議
標記会議は4月22日(金),13:30∼17:00,ホテル海洋にお
いて開催された。議題は以下の通り。詳細は本誌p.2∼3参照。
挨 拶 結核予防会専務理事 喜多村 悦史
議 事
1.結核予防会ネットワーク事業の経緯とスタート
結核予防会専務理事 喜多村 悦史
2.結核予防会ネットワーク委員及び事務局紹介
3.「結核予防会ネットワーク事業」報告及び確認事項
①現在のネットワーク事業進捗状況
結核予防会第一健康相談所企画・渉外課長 品川 博己
②ネットワーク事業失敗例
結核予防会ネットワーク事務局 中野 静男
③ネットワーク事業各支部担当者の紹介
結核予防会第一健康相談所企画・渉外課長 多額のご寄付を下さった方々
〈指定寄付等〉(敬称略)
近藤弥次郎(保生の森),今村昌耕,板
垣寶淵(複十字病院),岩渕英子(第一健
康相談所),手島建夫(宮城県支部),
日本ビーシージー製造,日本ビーシージ
ーサプライ,有隣特殊工業(本部)
〈複十字シール募金〉(敬称略)
宮城県−コセキ,日本病理研究所,東日
本メディカルシステム,三栄舎印刷,柏
木クリニック,阿部和工務店,篠田クリ
ニック,枡メディカルサービス,三浦消
化器内科,太白医院,吉田レディースク
リニック,河合塾文理,五十嵐産婦人科
医院,141布袋屋,大場電装,仙台厚生病
院,氏家会計事務所,梅屋楽器店,さと
う音楽事務所,仙都会計センター,チバ
器械,大春,武田薬品工業,たん家旨味
太助,東北発電工業,銅谷建設,ナショ
ナルエレベーター工業,町田歯科,東北
オフィスマシン,フジカ電機,鳳月ビル,
星ケアサービス,山口医院,宮城商事,
宮城日化サービス,フロンティア産業,
旭化学工業,那智が丘クリニック,福室
クリニック,高橋鉄工設備,熊谷小児科
医院,ディスカウント木材ショップ,ニ
就任以来,各事業所の皆様に熱意を持って業務説明を
して頂きましたが,果たすべき役割の重要性を認識して
身の引き締まる思いであります。初心の緊張感を持続し
つつ,これまでの経験を新しい業務に生かし,より明る
く活力のある職場作りに皆様と協力して精一杯努めたい
と思っています。また,人の和を大切にし,出来る限り
ムリ,ムラ,ムダの少ない業務遂行を心掛けたいと思っ
ています。
出身は秋田県です。
趣味は体を動かすことで,昨年までは看護学生も入っ
た若い人たちと自分の年齢も忘れて夢中になっていたバ
レーボールと言いたいところですが,月1回程度のゴル
フです。
皆様のご指導ご鞭撻をよろしくお願い致します。
品川 博己
④「結核予防会ネットワーク事業」各支部における協力
体制のお願いについて
結核予防会ネットワーク事務局 中野 静男
4.新たな展開
①ネットワーク事業の新たな展開に関連して
結核予防会企画・情報部長 竹下 隆夫
②HPV検査の新たな展開 三菱化学ビーシーエル
17:00∼18:30
懇親会 ●第56回結核予防全国大会
4月26日(火)・27日(水)の2日間,千葉県千葉市におい
て標記大会が開催された。詳細は次号に掲載予定。
ッシン食販,仙台駅東口大槻眼科,住吉
台耳鼻咽喉科,水産物精算,木村医院,
不二ビルサービス東北支店,藤木こども
医院,かづま内科クリニック,宮田医院,
渡辺内科胃腸科医院,菅野経路治療院,
ケーキハウスフレーズ,伊藤医院,東日
本急行,本郷医院,阿部勝自動車工業,
太田内科,大川屋本店,山家内科小児科
医院,平井内科,石垣病院,小野寺内科
医院,前澤医科歯科クリニック,公孫樹
会,いけの医院,中正会本間医院,松本
損害保険事務所,小畑恭雄司法書士事務
所,豊衛会佐藤医院,阿部歯科医院,古
川星陵病院,松林商事,我妻建築設計事
務所,岩島産業,大衡エコーライオンズ
クラブ,朝日工業,みちのく歯科診療所,
さくら皮膚科医院,アクテックス,大雄
寺,栽松院,柳徳寺,珠光寺,金勝寺,
秋保大滝不動尊,安養寺,実相寺,常念
寺,東泉寺,徳泉寺,竜角寺,普門院,
阿弥陀寺,東秀院,妙心院,宝照寺,金
蔵寺,普誓寺,瑞川寺,芳賀仁吉,内海
麻子,行方きゑ子,三浦洋,高地昭二,
石川正光,鈴木勝雄,青木譲,小野昭一,
金子廣子,久光正徳,黒川千鶴子,本良
いよ子,佐々木光,伊藤哲男,千葉静江,
小野寺清,森俊彦,小林光吉,砂金正則,
森田稔,山下三郎,藤野茂,大泉文男,
桂島教子,佐久間重利,本宮雅吉,萱場
倫夫,中鉢喜久男,鈴木治,中川廣澄,
三升正直,桑原健次,人見浩,舟山常之
助,青木静,伊藤規雄,茄子川浩,佐々
木健
新潟県−杉田医院,喜多町診療所,石田
医院,むとう医院,佐藤昭英,黒木尚義,
寒河江一雄,丹羽正之,新潟県民共済生
活協同組合,斉藤内科消化器科医院
大阪府―山川英治郎,‹井博康,大嶋一
徳,島武男,降籏森,吉田岸雄,宮原正
利,東野一彌,常盤義澄
福岡県―福岡県庁職員,福岡県警察職員,
福岡県教育庁職員,福
岡市教育委員会職員,
北九州市保健所職員,
北九州市衛生総連合
会,小竹町職員互助
会,築城町職員,
福岡県嘉穂保健
福祉環境事務所,
福岡県企画振興
部職員,福岡
県鞍手保健
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予防会だより
福祉環境事務所,福岡県久留米保健福祉
環境事務所,福岡県久留米県税事務所,
福岡県京築保健福祉環境事務所,福岡県
税事務所,福岡県総務部職員,福岡県田
川保健福祉環境事務所,福岡県地域農業
改良普及センター,福岡県筑紫保健福祉
環境事務所,福岡県土木部職員,福岡県
土木事務所,福岡県農政部職員,福岡県
農業総合試験場,福岡県農林事務所,博
多警察署職員,福岡県保健福祉部職員,
福岡県宗像保健福祉環境事務所,福岡県
八女保健福祉環境事務所,福岡市城南区
保健福祉センター,福岡市中央区保健福
祉センター,福岡市博多区保健福祉セン
ター,福岡市東区保健福祉センター,三
輪町役場,吉富町職員,若宮町職員組合・
職員互助会,飯塚市婦人会,浮羽郡地域
婦人会,浮羽町婦人会,大川市連合婦人
会,宗仁会奥村病院,小郡市婦人会,遠
賀郡婦人連絡協議会,粕屋郡宇美町婦人
会,粕屋郡粕屋町婦人会,粕屋郡新宮町
婦人会,粕屋南病院,粕屋郡久山町婦人
会,嘉穂郡婦人会連合会,三井会神代病
院,北九州市歯科医師会,鞍手郡婦人会
連絡協議会,社会保険久留米第一病院,
久留米大学医療センター,陽明会御所病
院,井上会篠栗病院,自衛隊福岡病院,
十全会十全病院,医療法人十全会本部,
天神会新古賀病院,誠愛リハビリテーシ
ョン病院,西南学院大学,太宰府市婦人
会,聖峰会田主丸中央病院,向陽会筑後
川温泉病院,筑紫南ヶ丘病院,千代校区
婦人会,つくし会病院,南当仁校区婦人
会,那珂川町婦人会,中間市婦人会,西
日本産業衛生会若杉病院,西日本シティ
銀行一同,西日本シティ銀行公務金融法
人部,直方市食生活改善推進会,健康保
険直方中央病院,直方鞍手医師会,直方
鞍手薬剤師会,直方歯科医師会,直方商
工会議所,堀川公平会野添病院,箱崎校
区婦人会,箱田病院,文佑会原病院,福
津市地域婦人会福岡聖恵病院,松風会二
日市共立病院,正信会水戸病院,秦病院,
南区地域婦人会,美野島校区婦人会,泯
江堂三野原病院,芳英会宮ノ陣病院,宗像
歯科医師会,柳川市婦人会,山門郡婦人会
連絡協議会,八女市連合婦人会,八女・
筑後地区食生活改善推進会連絡協議会,
冷泉校区婦人会,渡辺病院,明石美津子,
平成17年5月15日 発行
複十字 2005年303号
編集兼発行人 山下 武子
発行所 財団法人結核予防会
〒101-0061 東京都千代田区三崎町1-3-12
電話 03(3292)9211(代)
印刷所 日本印刷株式会社
東京都千代田区外神田6-3-3
電話 03(3833)6971
結核予防会ホームページ
URL http://www.jatahq.org
秋富成子,安部文雄,伊崎駿,石蔵富士
子,石橋清助,石橋欣一,いちのせ小児
科・内科医院,伊東道子,伊藤内科医院,
猪原整形外科医院,入江整形外科医院,
入江内科小児科医院,入江信行,岩橋信
夫,上野まさ子,江崎佐規,エスアール
エル西日本,エンゼル病院,浄土宗円相
寺,大久保雅,太田良實,大脇久和,岡眼
科医院,岡税務会計事務所,おかだ外科
胃腸科クリニック,遠賀ライオンズクラ
ブ,カイゲン福岡営業所,甲斐電気工事株
式会社,かどもと眼科医院,金田招重,
紫泉会金隈病院,加納内科医院,蒲池徹
志,蒲池医院,鴨川隆彦,川合辰雄,河
野建築設計事務所,河野弘道,菊池クリ
ニック,北九州中央病院看護師,北原靖
久,九州建設技術管理協会,教法寺,工
藤耳鼻咽喉科医院,倉田豊,クリスタル
ビルクリニック,黒瀬純子,小財スチ−
ル,小林政人税理士事務所,小宮公認会
計士事務所,佐田内科循環器科医院,シ
ー・アール・シー,重松外海,白石和久,
柴田稔,城島産業株式会社,白水清三,
城浜保育園長,新栄会病院看護師,真光
寺,鈴木内科小児科医院,疋田平三郎,
高崎喜代子,高橋内科医院,高比良昌一,
田口外科医院,田中医院,田中丸善司,
千鳥橋病院看護師,辻税理士事務所,東
和メディカルサ−ビス,友口,トヨタカ
ロ−ラ博多,中尾泰子,永松歯科医院,
中村医院,なかむら産家医院,中山幸一,
楢崎毅,縄田義夫,西島公子,西村眼科
クリニック,野田尚武税理士事務所,梅林
寺,林法生,原医院,春光会はるた医院,
久野循環器科内科,平尾山病院,平田耳
鼻咽喉科医院,深江保子,福岡県信用保
証協会,福岡腎臓内科クリニック,弘医
会福岡鳥飼病院,福岡徳洲会病院看護師,
福元孝三郎,富士フイルムメディカル,
扶桑薬品工業福岡支店,法研九州,法蓮
寺,穂積会計事務所,まつざきクリニッ
ク,的野歯科医院,三浦医院,南アサノ,
二宮医院,宮内貴博,むとう内科クリニ
ック,村上歯科医院,村松正俊,村本陽
子,森山誠哉,安永朋喜,山田康輔,山
本駿一,湯田医院,吉住正子,分山久子,
和田外科医院,和田幸枝
本部―浜田寛子,濱達夫,林恵美,原あ
やめ,原桃介,百瀬博文,百瀬雄次,日
根野妙子,廣谷郁,広野卓蔵,服部弘太
郎,深澤能里子,深須禧一,福田均治,
福田泰二,福井憲彦,藤井源七郎,藤田
敏光,藤田信子,藤田義人,藤田禮造,
藤枝よ志,藤巻博教,古田有子,古屋長
子,古林誠,平川秀雄,平岡啓佑,平井
林三,本田厚子,平沢久男,平井孝,平
山茂博,平野孝雄,平林千江,岡井治,
保坂誠,堀口一男,堀田シナ,堀内恵美
子,堀内雅子,本村和子,本田稔,本多
平四郎,本多友彦,本橋達朗,益井輝也,
万代恭嗣,前田節子,前田須磨,牧元夫,
増山熱子,松井謙介,松田敏江,松田守,
松本元博,松室三郎,松鵜光子,丸山敏
子,丸山光政,峯島茂兵衛,水野文雄,
水林澄雄,南部光徹,宮崎政春,宮下錦,
宮下英夫,宮崎茂治,宮田耕作,宮本克
已,寒松院,村林富子,無藤隆,村上英
心,村松福子,門野達夫,守谷譲,杜多
徳雄,守山祐弘,森茂,森京子,森学隆,
森本豊子,森田恭一,森村武雄,八木美
代子,屋代晶子,柳川彰男,柳川祚三惠,
山岡建夫,林田光永,山岸芳輝,山口寿
夫,山口智道,山口喜久子,山崎君代
結核予防会役員人事(敬称略)
支部
発令日 支部名
17.3.31
福島県
氏名
発令内容
穴沢 正行
副支部長の委嘱を解く
支部長の委嘱を解く
17.3.31
栃木県
鈴木 康裕
17.4.1
栃木県
富永 17.3.30
山梨県
山本 栄彦
支部長の委嘱を解く
17.3.30
山梨県
大久保幹雄
支部長を委嘱する
17.4.6
福井県
西浦 幸男
支部長の委嘱を解く
17.4.7
福井県
松田 尚武
支部長を委嘱する
5/2005 複十字 No.303
支部長を委嘱する
17.3.26
大阪府
増田 國次
副支部長を委嘱する
16.8.10
岡山県
宇都宮 啓
副支部長の委嘱を解く
16.8.11
岡山県
宮嵜 雅則
副支部長を委嘱する
17.3.25
岡山県
井上 17.3.25
岡山県
高野 葵
副支部長を委嘱する
(重任)
元
副支部長の委嘱を解く
17.3.31
福岡県
水原 博之
副支部長の委嘱を解く
17.4.1
福岡県
松崎 義和
副支部長を委嘱する
本部
発令日 氏名 発令内容
17.2.25 酒井 幸一 評議員を委嘱する 本誌は皆様からお寄せいただいた複十字シール募金の益金により作られています。
複十字シール運動
みんなの力で目指す,結核・肺がんのない社会
平成16年度複十字シール
複十字シール運動は,結核や肺がんなど,胸の病気
をなくすため100年近く続いている世界共通の募金活
動です。複十字シールを通じて集められた益金は,
研究,健診,普及活動,国際協力事業などの推進に
大きく役立っています。皆様のあたたかいご協力を,
心よりお願いいたします。
運動の輪を広げてください。シールは,はがきや,手紙や包装の封印,何にでも使えます。
問合せ:資金課 TEL03-3292-9287(直)
28
慶