安 比 川 流 域 生 活 圏 整 安 比 川 流 域 生 活 圏 整 備 稲庭

稲庭・
稲庭 ・ 二戸高原地域農林業振興
二戸高原地域農林業振 興
プロジェクト計
プロジェクト計画
安 比 川 流 域 生 活 圏 整 備
平 成 2 0 年 3 月
岩 手 県 二 戸 市
は じ め に
このたび、平成 18 年度に策定した二戸市総合計画に基
づき、「安比川流域生活圏整備プロジェクト」と「稲庭・二戸
高原地域農林業振興プロジェクト」の計画書を作成しまし
た。
この二つのプロジェクトは、安比川流域圏の市民生活の
利便性や快適性の向上と賑わいある空間を創出するととも
に、稲庭・二戸高原の中山間地帯の特色を活かした農林
畜産業の振興と魅力ある農村社会の形成を推進するうえで
大きな役割を果すものとなっています。
近年、一つの事業を推進するにあたっても、その事業の
目的や効果が多岐の行政分野に複合的に関連するケース
が多く、総合的な視点での計画立案や相乗的な効果が発
現されるよう取り組むことが重要となっています。
これまで、策定委員会や調整委員会で本計画書を策定
する過程において関係部局を超えた議論を行い、また、今
後この計画書を各課に備え、職員が全分野の施策にわた
ってその内容を共有できることは、意義あるものだと思って
います。
二戸市が誕生して 3 年目を迎えました。厳しい財政環境
の中にあって、これまで以上に英知を結集し、本書をベー
スにしつつも時代の変化に応じて適宜修正を加えながら、
「活力と安心、歴史文化の薫る拠点都市」の実現に向け、
計画した事業を住民との協働の中に着実に推進して参りた
いと考えています。
計画策定委員長
二戸市副市長
清
川
明
彬
目
次
プロジェクトの位置づけと計画策定の目的
稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクト
○
プロジェクトの位置づけと計画策定の目的
1
○
将来像
○
計画書の構成
1
○
安全・安心な農産物の生産と販売強化・魅力ある農業農村づくり
○
計画策定区域の概況
2
安比川流域生活圏整備プロジェクト
87
89
○
環境と調和の取れた畜産業の振興
98
○
「漆」を活かしたまちづくり
105
○
森林整備と地域材の利用促進
111
○
地球温暖化対策と新エネルギー・省エネルギー対策の充実
○
将来像
3
○
幹線道路の整備・生活道路の整備
5
○
天台の湯周辺環境整備
122
○
上水道の整備
19
○
市民との協働で磨き上げる地域観光資源
129
○
下水道の整備
24
○
浄法寺診療所の整備検討
31
○
道の駅整備
36
○
策定委員会及び調整委員会
135
○
公共施設の集積とにぎわい空間づくり
51
○
計画策定の流れ
136
○
治山治水対策
63
○
策定委員会開催状況
137
○
教育環境の整備・充実
68
○
芸術文化の振興、文化財の保護・保存と活用
73
○
廃校舎の利活用
79
116
資
料
重点プロジェクトの位置づけと計画策定の目的
1 プロジェクトの位置づけと計画策定の目的
2 計 画 書 の構 成
平成 19 年 3 月に策定した「二戸市総合計画基本構想」では、本市の将来像を「活力と安心、歴
本計画書は、最初に「プロジェクトの位置づけと計画策定の目的」を確認し、基本となる二戸市
史文化の薫る拠点都市」と定め、平成 18 年度から 27 年度までの 10 年間のまちづくりの目標と
総合計画の大要を踏まえたうえで、プロジェクト計画圏域の将来像について、総合計画策定期間に
しています。
とらわれることなく描いています。また、重点プロジェクトとして掲げた主要事業については、そ
の内容をできるだけ具体化するように取りまとめることとしています。
また、この基本構想には、新市建設計画を踏まえ速やかな一体化と均衡ある発展を図るため、2
計画書は、
「 プロジェクトの位置づけと計画策定の目的」、
「 計画書の構成」、
「 計画策定区域の概況」、
つの重点プロジェクトを設けて推進する方針を掲げ、さらに、前期基本計画の分野別施策には、新
市建設計画で定めた関係事業を取り込むとともに、これらの事業を重点プロジェクトとして再掲し
2つのプロジェクト圏域の「将来像」、
「プロジェクト事業イメージ」、さらに各プロジェクトに掲げ
ています。
られた主要事業について、「将来像のすがた」、「これまでの取り組み」、「現状」、「課題・問題点」、
「基本となる施策の方向」、「これから取り組むべき施策」という構成となっています。
安比川流域生活圏整備プロジェクトは、浄法寺地域から御返地地域における市民生活の利便性や
快適性の向上を図るため必要な環境整備を進めるとともに、にぎわいのある空間づくりなどを推進
なお、2つのプロジェクトに掲げる個別事業の実施にあたっては、関係事業と相互に連携・補完
することとし、稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクトは、稲庭・二戸高原に広がる畑地や畜
し合うことの相乗効果や市民との協働による事業実施の円滑化を念頭に推進するものとされていま
産団地など中山間地域の特色を活かした生産性の高い農林業を振興するとともに、魅力ある農村社
す。
会の形成を目指しています。
総合計画に基づく本プロジェクト計画は、プロジェクトごとの圏域の将来像を一層鮮明化すると
ともに、この将来像の実現に向け実施予定となっている個別の事業内容をできるだけ具体化し、将
来にわたって効率的かつ円滑に事業が推進されるよう策定します。
安比川流域生活圏整備
主要事業の再掲
プロジェクト主要事業
二戸市総合計画
産業活動が活発なまちづくり
個別
事業
地域を担う人を育てるまちづ
くり
個別
事業
安全で安心して暮らせるまち
づくり
個別
事業
生活環境が整備されたまちづ
くり
個別
事業
市民とともに歩むまちづくり
個別
事業
スリムな行財政によるまちづ
くり
個別
事業
○ これまでの取り組みの検証
○ 現状と課題の把握
圏域で営まれる
住民生活の向上
の視点から
稲庭・二戸高原地域農林業振興
より具体的な
内容に取りまとめ
○ 将来像の検討と設定
相互に連携
補完し合う
プロジェクト主要事業
○ 基本となる施策の方向
○ これから取り組むべき施策
地域の特色を
活かした農林業
振興の視点から
主要事業の再掲
(注)実施に向け準備が整った事業や既に着手している事業については、計画と平行してその事業
推進の実務に重点を置くこととし、主管課等において計画策定済みの事業や関係各課等と協議調整
未了となったものについては、実施計画事業名の記載のみとしています。
1
重点プロジェクトの位置づけと計画策定の目的
3 計画策定区域の概況
本圏域は、安比岳(1,458m)に源を発し、南西から
北東へ流れる一級河川安比川に沿う地域であり、集落は
安比川とそれに注ぐ岡本川をはじめとする7本の支流
沿いに集落が形成されています。
地形的には、北上山系と奥羽山系の北端部にあたり、
標高約200m~400mの丘陵地帯が大部分を占め、
典型的な中山間地域畑作農業が展開されています。
また、総じて気象条件は不安定であり、夏期の異常低
温、晩霜、晩雪などに見舞われることがしばしばあり、
斗米出張所
このような気候が農作物に大きな被害をもたらすこと
もあります。
御返地出張所
二戸市役所
本圏域の人口は、昭和30年をピークとしてその後
年々減少し、出生率の低下、若年層の区域外流出、平均
寿命の伸長等により、高齢化が年々進んでいる状況にあ
り、今後もこの傾向は続くものと考えられます。
本圏域には就業の場が少なく、特に若年労働者が区域
外へ職を求める傾向が強いことから、人口の流出が続き
過疎化が進んできました。そのため、当圏域の基幹産業
である農業を振興させるべく各種の施策を図るととも
に、豊かな自然環境を活かした企業誘致や天台寺、漆、
稲庭高原などの地域資源を活かした第 2 次、第 3 次産
業振興に向けた取り組みも進められてきたところです。
交通は、圏域の中央部を流れる安比川と並行する形で
浄法寺総合支所
北東から南西に走る主要地方道二戸五日市線が、交通の
要になっており、新幹線の停車する JR 二戸駅まで約
浄法寺地域の人口推移(国勢調査)
35 分、JR 荒屋新町駅まで約 30 分でそれぞれ結ばれ
区 分
ています。
総
また、この路線から分かれて、青森県田子町に通じる
(単位:人、%)
昭和40年
昭和35年
実数
実数
昭和45年
増減率
実数
昭和50年
増減率
実数
昭和55年
増減率
実数
昭和60年
増減率
実数
増減率
数
9,103
8,727
△ 4.1
8,161
△ 6.5
7,588
△ 7.0
7,204
△ 5.1
6,772
△ 6.0
0 歳 ~ 14 歳
3,298
2,903
△ 12.0
2,219
△ 23.6
1,811
△ 18.4
1,545
△ 14.7
1,328
△ 14.0
15 歳 ~ 64 歳
5,316
5,232
△ 1.6
5,230
0.0
5,028
△ 3.9
4,800
△ 4.5
4,450
△ 7.3
2,140
1,924
△ 10.1
1,767
△ 8.2
1,671
△ 5.4
1,409
△ 15.7
1,075
△ 23.7
一般県道道前浄法寺線、一戸町に通じる一般県道一戸浄
うち15歳~29歳(a)
法寺線、これら県道 3 路線を基幹として市道が各集落
65 歳 以 上 (b)
489
592
若年者比率:(a)/総数
23.5
22.0
-
22.0
-
22.0
-
20.0
-
16.0
-
高齢者比率:(b)/総数
5.4
7.0
-
9.0
-
10.0
-
12.0
-
15.0
-
を結んでいます。
さらに、八戸自動車道浄法寺インターチェンジから盛
平成2年
区 分
岡インターチェンジまで約 50 分、八戸インターチェン
総
ジまで約 40 分と時間的距離の短縮が図られています。
実数
712
平成7年
増減率
実数
20.3
749
平成12年
増減率
実数
5.2
859
平成17年
増減率
実数
増減率
数
6,159
△ 9.1
5,737
△ 6.9
5,424
△ 5.5
4,966
△ 8.4
0 歳 ~ 14 歳
1,082
△ 18.5
876
△ 19.0
689
△ 21.3
563
△ 18.3
15 歳 ~ 64 歳
3,956
△ 11.1
3,528
△ 10.8
3,186
△ 9.7
2,698
△ 15.3
768
△ 28.6
636
△ 17.2
600
△ 5.7
501
△ 16.5
12.8
1,333
18.9
1,549
16.2
1,705
うち15歳~29歳(a)
2
21.1
65 歳 以 上 (b)
1,121
若年者比率:(a)/総数
12.0
-
11.0
-
11.0
-
10.0
-
高齢者比率:(b)/総数
18.0
-
23.0
-
29.0
-
34.0
-
10.1
14.7
994
15.7
安比川流域生活圏整備プロジェクト
幹線道路の整備・生活道路の整備
上水道の整備
下水道の整備
浄法寺診療所の整備検討
道の駅整備
公共施設の集積とにぎわい空間づくり
治山治水対策
将来像
安 比 川 の 清 流 沿 い に 広 が る 生 活 圏 域 、御 返 地 地 区 に は 市 内 小 中 学 校 に 給
食 を 提 供 す る 学 校 給 食 セ ン タ ー が 、岡 本 地 区 に は 天 台 寺 と 漆 を 核 と し た 道
の 駅 が 整 備 さ れ て い ま す 。バ イ パ ス と 直 結 す る 基 幹 道 路 が 整 備 さ れ た 浄 法
寺 地 域 の 中 心 部 に は 賑 わ い あ る 空 間 が 創 出 さ れ 、大 嶺 地 区 で は 福 祉 と 地 域
の宝をテーマに住民との協働が演出されています。
そ こ で は 、道 路 や 上 下 水 道 な ど 、基 幹 と な る 生 活 イ ン フ ラ が 整 備 さ れ る
こ と で 快 適 な 生 活 が 営 ま れ 、農 林 業 を 中 心 と し た 活 発 な 生 産 活 動 や 貸 し 工
場 の 拡 大 に よ る 雇 用 の 増 加 が 市 民 所 得 を 向 上 さ せ 、ス ポ ー ツ 、芸 術 ・ 文 化
など余暇を楽しむ光景が以前にも増して見られます。
さ ら に 、教 育 施 設 の 計 画 的 な 整 備 が 進 み 、診 療 所 を 中 心 と し た 地 域 医 療
や各種の福祉施策が充実し、まさに「活力と安心・歴史文化の薫る地域」
が実現されています。
教育環境の整備・充実
芸術文化の振興、文化財の保護・保存と活用
廃校舎の利活用
安比川流域生活圏整備プロジェクト
安比川流域生活圏整備プロジェクト事業イメージ
治山・治水対策の促進
土砂流出危険区域や河川の増水による浸水区域などを解消する
ため、砂防ダムや護岸工事などが進み、住民が安全・安心して暮
らせる地域づくりを進めます。
芸術・文化の振興と文化財の保護
天台寺をはじめとした文化財の保護を推進するとともに、地域で
伝承されている郷土芸能保存団体に対する支援を行います。
また、各地域の「宝」を活用した地域の活性化を図ります。
学校給食センターの整備促進
旧市町の給食センターは老朽化が著しいことから、御返地地区
に新しい給食センターを整備し、安全でおいしい給食を提供すると
ともに、地元食材の利用も図ります。
道路整備の促進
「まちの駅」整備
浄法寺総合支所を中心とした地区に、公共的機能を集積するとと
もに、周辺環境の整備を進め、住民と連携したにぎわい創りを推進
します。
主要地方道二戸五日市線浄法寺バイパスの整備を促進します。
また、地域内の市道についても計画的な整備を促進し、道路網
の整備を図ります。
天台寺
生活排水処理施設の整備促進
道の駅整備
中心部から向田地区の 65ha で公共下水道整備を促進するととも
に、生活排水処理施設整備事業による浄化槽設置の推進など、地
区内の水洗化率を高める事業を推進します。
地域の特色である「漆」「天台寺」などを核として、地域特性の情
報発信と玄関口の機能を備えた施設を、天台寺の入口である旧岡
本小学校敷地に整備します。
浄法寺総合支所
浄法寺診療所の整備検討
高齢化が急速に進むなか、地域医療を担う診療所が老朽化して
おり、医師確保や病診連携、訪問診療などの施策を推進しながら、
新施設の整備も検討します。
浄法寺小学校の整備促進
子どもたちが安全で楽しく学べるように、地域の木材や資源を取
り入れるとともに、太陽光発電などを備えた人と環境にやさしい学
校の建設を進めます。
市道役場線の整備促進
主要地方道二戸五日市線浄法寺バイパスと中心部をむすび、
「まちの駅」の中心路線となる市道役場線については、橋梁の架設
や路線の延伸など、整備を促進します。
廃校の利活用
学校統合により廃校となった施設の活用方法を、地域住民と一緒
に考えつつ、それぞれの立地や必要性に応じた利活用を推進しま
す。
4
安比川流域生活圏整備プロジェクト:幹線道路の整備・生活道路の整備
○
幹 線 道 路 の整 備 ・生 活 道 路 の整 備
(主 要 集 落 間 連 絡 網 整 備 、生 活 道 路 環 境 の向 上 )
○
浄法寺バイパスの完成・開通に合わせて市道に移管される主要地方道二戸五日市
線の市街地区間は、沿線住民や歩行者の利便性、安全性を優先的に配慮した路側帯
が確保されている。
また、一般県道の道前浄法寺線や一戸浄法寺線については、県道として必要最小
限の幅員が確保されている。
○
幹線道路については、円滑な通行と安全に配慮した整備がされており、交通量が
多い市道役場線や春日杉沢線、小池線など市街地の主要路線については、車両と歩
行者双方に配慮し最小幅員4m の車道と1.5m の歩道が整備されている。
特 に 、重 要 路 線 の 市 道 役 場 線 は 、浄 法 寺 バ イ パ ス か ら の 新 設 区 間 2 2 0 m と 既 設
区 間 1 5 0 m、市 道 春 日 杉 沢 線 ま で の 新 設 区 間 1 3 0 m の 総 延 長 5 0 0 m が す べ て
整備されている。
○
生活道路については、当該地区の住民要望を踏まえ、道路現況あるいは必要性・
緊急性などに応じて順次整備が進んでいる。
また、事業を円滑に推進していく住民との「協働」体制が整い、側溝の入替や砂
利・切削材を有効活用した維持補修などを住民と行政が連携して実施している。
○
橋梁の長寿命化計画を策定し耐震補強工事が行われ、車両や歩行者の安全に配慮
した対応が取られている。
主要地方道や一般県道の整備が進み、これを軸に各集落を結ぶ道路や集落内の生活
道 路 に つ い て も 、 歩 行 者 と 通 行 車 両 の 利 便 性 ・ 安 全 性 に 配 慮 し た 改 良 が 行 わ れ 、「 人 」
と「もの」の行き来、流通が円滑になり、経済活動の活性化にもつながっています。
1 将 来 のすがた
浄法寺地域中心部
県道に沿った地域に建物が密集している
5
安比川流域生活圏整備プロジェクト:幹線道路の整備・生活道路の整備
2 これまでの取 り組 み
○
○
二戸市内全域の道路状況について
(平成18年4月1日現在)
圏域内の安比川に架かる主な橋梁について
(平成19年4月1日現在)
橋
梁
名
市
道
路
線
名
架設年
経過年数
橋 長 (m)
構造
青
海
橋
中
田
青
海
線
S 8
74年
51.1
RC
大
簗
橋
似
鳥
福
田
線
S32
50年
45.6
鋼
路線数
延 長 (km)
改 良 率 (%)
舗 装 率 (%)
旧二戸市
622
565.1
29.5
43.7
袖
川
橋
似
鳥
福
田
線
S33
49年
40.8
RC
旧浄法寺町
112
206.5
59.1
56.1
似
鳥
橋
似
鳥
福
田
線
S34
48年
38.0
RC
新二戸市
734
771.6
37.4
47.0
川
原
橋
川
原
線
S37
45年
30.1
RC
大 清 水 橋
山
内
線
S38
44年
30.9
鋼
不
動
橋
馬
線
S42
40年
30.0
鋼
沢
口
橋
沢
線
S43
39年
49.9
鋼
安
比
橋
外
線
S47
35年
50.0
鋼
五 拾 年 橋
大
線
S50
32年
29.8
鋼
川
原
橋
安
線
S50
32年
45.0
鋼
春
吉
橋
春
線
S62
20年
80.1
PC
御
山
橋
御
線
H 1
18年
57.9
鋼
資料:建設整備部建設課
○
道路網整備計画について
旧 二 戸 市 で は 、平 成 13 年 度 に 農 道 を 含 む「 道 路 網 整 備 計 画 」
(整備予定路線の優先
順位程度)を作成したが、優先順位が下位の路線であっても緊急性や地元住民の強い
要望等を考慮しながら整備を行った路線もある。
○
主要地方道二戸五日市線について
浄 法 寺 バ イ パ ス 開 通 後 に は 、 現 在 の 県 道 区 間 が 県 か ら 市 へ 移 管 さ れ ( 平 成 14 年 3
月 6 日 付 け で 引 受 同 意 )、 市 道 と し て 管 理 す る こ と に な る が 、 引 き 受 け に あ た っ て 破
損箇所や老朽化した側溝の修繕等は事前に県で対応することを条件としており、舗装
の打ち換えや側溝の修繕等が行われている。
場
大
谷
地
口
川
砂
子
清
比
上
日
前
水
野
吉
山
川
田
原
資料:建設整備部建設課
※ ただし 、 道 路 の 移 管 に 際 し て は 、 現 状 の 設 備 の 補 修 等 に よる 引 渡 し が 条 件 と な っ て いるこ と か ら 、 新
たな設 備 等 の要 望 は困 難 である。
青海橋
架 設 後 70 年 以 上 が 経 過 し 老 朽
化が著しい
主要地方道二戸五日市線
車 道 幅 員 が 狭 く 、歩 道 も 設 置 さ
れていない
6
安比川流域生活圏整備プロジェクト:幹線道路の整備・生活道路の整備
3 現
4 課 題 ・問 題 点
状
主要地方道・一般県道
○
○
○
主要地方道・一般県道
御返地・似鳥地区はバイパスが開通し、整備がされている。
福田地区は両側歩道が付き幅員も広く概ね整備されてきているが、一部区間は幅
員が狭い状況である。
○
浄法寺地域の大動脈となる主要地方道二戸五日市線浄法寺バイパスの早期完成を
県に強く要望する必要がある。
○
主要地方道二戸五日市線や一般県道道前浄法寺線、県道一戸浄法寺線の改良や修
繕など、引き続き県への要望が必要である。
浄 法 寺 中 心 地 区 は 、 道 路 幅 員 が 5.0m 程 度 と 狭 く 歩 道 も な い た め 、 安 全 で 円 滑 な
通行が困難な状況にある。
○
浄 法 寺 バ イ パ ス の 工 事 進 捗 率 は 50% 程 度 に 留 ま っ て い る 。
( 平 成 20 年 1 月 現 在 )
○
大嶺地区(樋口・柿ノ木平周辺)は家屋が道路に近接しており、幅員が狭く大型
車両のすれ違いが困難である。
○
一般県道の道前浄法寺線は里川目地区から県境までの幅員が狭い状況である。ま
た、一戸浄法寺線の一部区間は、軽自動車同士でもすれ違えない箇所がある。
幹線道路
○
浄 法 寺 中 心 地 区 に お け る 市 道 役 場 線 は 、 そ の 沿 線 に 浄 法 寺 総 合 支 所 、 JR バ ス 東
北浄法寺駅をはじめ公共公益施設や金融機関、商店などが集積しており、地域の基
幹路線となっているが、歩道がなく路側帯も狭いため、歩行者の安全な通行が確保
されているとは言えない状況であり、浄法寺バイパスとの接続も遅延している。
浄法寺バイパス計画図
○
集落間を結ぶ主要な道路や公共施設までの路線については、概ね整備されている
が、部分的に幅員が狭い箇所や見通しの悪い箇所が見受けられる。
○
御返地地区は主要地方道二戸五日市線合川・似鳥工区の開通に伴い、市道堰代2
車両の円滑な通行を確保するために
早期開通が望まれている
せきしろ
か ざ わ た なかつぼ
幹線道路
号線や加沢田中坪線、二戸広域農道が整備されている。
生活道路
○
生活道路である集落内道路や防火道路等についても、整備が遅れている箇所があ
る。
特に、新二戸市立浄法寺小学校の建設予定地である海上田地区の市道川原線は、
未改良区間の延長が長く、狭い砂利道で大型車の通行は困難な状況である。
橋
○
梁
安比川流域地域内には多数の橋梁があり、その半数が建設から40年を経過して
いる。
7
○
浄法寺バイパスに接続する市道役場線は、新浄法寺小学校への乗り入れ路線とな
る こ と や 、「 ま ち の 駅 」 構 想 の 中 で も 最 重 要 路 線 と 位 置 づ け ら れ て い る 。 そ の た め 、
早期完成と同時に市道春日杉沢線までの延伸も必要である。
○
集落間の路線で見通しの悪い箇所については、カーブミラーの設置や視距改良な
ど順次整備を進める必要がある。
また、部分的に幅員が狭く大型車両等のすれ違いが困難な箇所についても、部分
拡幅や待避所の整備を進める必要がある。
安比川流域生活圏整備プロジェクト:幹線道路の整備・生活道路の整備
○
道路整備には、幹線道路、生活道路を問わず用地の確保が重要であり、該当地権
者をはじめとする地域との合意形成を図る必要がある。
○
幹線道路、生活道路ともに、重要性や緊急性などを総合的に検討し、優先しなけ
ればならない路線から順次整備に取り組んできたが、財政的な事情もあることから
未着手となっている路線がある。
5 基 本 となる施 策 の方 向
主要地方道・一般県道
○
主要地方道二戸五日市線浄法寺バイパスの早期完成と主要地方道二戸五日市線の
整備、県道道前浄法寺線と県道一戸浄法寺線の改良工事など県へ強く要望する。
幹線道路・生活道路等
生活道路
○
生活道路については、簡易改良工法(部分拡幅、隅切り、側溝整備など)による
整備を検討する必要がある。
○
旧市町で生活道路に対する市道認定の考え方が異なっていたため、認定外道路の
中でも整備が必要とされる路線については、市道認定を基本として、その整備手法
や着手路線の選定などについて対応する必要がある。
橋
○
○
まちの駅構想でも最重要路線に位置づけられている市道役場線の浄法寺バイパス
との接続及び市道春日杉沢線までの延伸に向けて、地域住民や地権者の理解が得ら
れるよう積極的に事業を推進する。
○
現 道 舗 装 や 待 避 所 の 整 備 、あ る い は 1.5 車 線 的 道 路 整 備 や 側 溝 整 備 な ど に あ た っ
ては、地域の課題に対応しながら創意工夫を活かした地域づくりが可能であり、財
政的に有利な補助事業を取り入れながら事業を推進する。
○
事業実施にあたっては、交通量、代替路線の有無、公共施設の配置状況など、そ
の路線の重要性、用地確保の見通しや工事の難易度など事業実施の確実性、各種計
画への登載状況や財源見通しなど、総合的に勘案し着手路線を定める。
○
下水道整備予定区域内、特に平成20年度からの事業着手を予定している地区に
ついては、特定環境保全公共下水道整備事業と整備区域・時期を調整し、効率的な
整備を進める。
また、この下水道整備と平行して路地の掘削部分を簡易舗装とする。
○
通行車両の状況やその橋梁の重要性、財政的な面を総合的に勘案し、長寿命化計
画を策定のうえ、順次対策を進める。
梁
老朽化した橋梁の整備については、巨額な費用を要するため長期的な計画が必要
である
市道役場線
歩行者と車両のすみ分けが出来ないた
め、歩行者の安全な通行が確保できない。
浄法寺バイパス予定地
市 中 心 部 へ の 接 続 路 線 と し て 、市 道 役
場線の橋梁整備などが予定されている
8
安比川流域生活圏整備プロジェクト:幹線道路の整備・生活道路の整備
6 これから取 り組 むべき施 策
市道役場線以外の幹線道路については、概ね整備が終わっているものの、車両と歩
行者のより安全な通行を確保するために、交差点部のすみ切りやすれ違いのための待
避所設置、歩道設置、部分拡幅など、路線の利用状況を把握しながら整備を推進する
必要がある。
整備路線の選定について
主要地方道二戸五日市線は、東北新幹線関連道路として整備が進められ、既に御返
地地域の合川・似鳥工区や福田工区については整備がほぼ完了しているが、浄法寺地
域の浄法寺バイパス工事は遅れており、一層整備促進を図る必要がある。
また、コンパクトシティの理念を基本とした「まちの駅」構想がある中心部とバイ
パ ス を 結 ぶ 路 線 と な る 市 道 役 場 線 に つ い て は 、地 域 内 住 民 の 日 常 生 活 を 支 え 、
「 人 」や
「もの」の交流を担う重要な路線であり整備を推進する必要がある。
御返地地域においては、市道足沢線や蒔前線、足沢大平線、二戸広域農道などの整
備が完了していることに加え、主要地方道二戸五日市線合川・似鳥工区の整備にあわ
せて、現主要地方道と市道似鳥福田線(旧主要地方道)を結ぶ市道も整備された。
整 備 路 線 の 確 認 に あ た っ て は 、こ の よ う な 状 況 を 踏 ま え て 検 討 を 行 い 、
「実施計画路
線」とした。
なお、生活道路については、路線の利用状況に応じた整備を進めるとともに、側溝
補修などの維持管理を地区住民との協働により進める。また、浄法寺中心地区につい
て は 平 成 20 年 度 か ら 事 業 着 手 さ れ る 、 特 定 環 境 保 全 公 共 下 水 道 事 業 の 下 水 道 管 埋 設
工事とあわせて簡易舗装などの必要な整備を進めることとした。
市道役場線
浄法寺バイパスと中心部を結ぶ橋梁整
備後のイメージ
9
安比川流域生活圏整備プロジェクト:幹線道路の整備・生活道路の整備
実施計画路線図
番号
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
実施計画路線
整備中路線
14
主な改良済路線
15
改良済であるが二次改良が
必要と思われる路線
16
主要地方道・一般県道
17
18
19
10
路線名等
市道役場線整備事業
新設整備事業 L=130m W=6.0(9.0)m
橋梁整備事業
L=220m W=6.0(15.5)m
市道春日杉沢線改良舗装事業
歩道設置工 L=650m
市道小池線改良舗装事業
L=180m W=4.0(5.0)m
市道寺ノ下糠塚線改良舗装事業
歩道設置工 L=700m W=4.0(7.0)m
市道下藤開拓線改良舗装事業
L=150m W=4.0(5.0)m
市道川原線改良舗装事業
L=400m W=3.0(4.0)m
市道上町線改良舗装事業
L=150m W=3.0(4.0)m
市道向田川又線改良舗装事業
L=1000m W=5.5(7.0)m
市道仲町小船線改良舗装事業
L=800m W=4.0(5.0)m
市道早坂及び二又早坂線改良舗装事業
L=2400m W=4.0(5.0)m
市道漆沢岡本線改良舗装事業
L=910m W=4.0(5.0)m
市道御山線改良舗装事業
L=1000m W=5.5(7.0)m
市道朝日ケ丘線改良舗装事業
L=700m W=4.0(5.0)m
市道長渡路長流部線改良舗装事業
路盤入替舗装工 L=300m
市道三ツ木平支線改良舗装事業
L=800m W=4.0(5.0)m
市道大森小泉線改良舗装事業
L=120m W=4.0(5.0)m
市道里川目線改良舗装事業
L=200m W=4.0(5.0)m
市道樋口大又線
整備中
市道槇木米内線
整備中
安比川流域生活圏整備プロジェクト:幹線道路の整備・生活道路の整備
1.市道役場線整備事業
事業概要
旧浄法寺地区は主要地方道二戸五日市線を中心に道路網が形成されている。二戸地方振興局では
中心部を迂回する形でバイパス工事を進めており、平成23年度の完成を目指している。当該路線はバ
イパスと平面交差する唯一の路線として、重要度の高い道路である。区間のバイパス側には浄法寺小
学校新校舎の建設計画があり、平成20年度より本格着工を予定している。当該路線の工事を行うこと
により、小学校への円滑な乗り入れが確保でき、緊急車両等の現場までの走行時間短縮が見込まれ
る。
路
線
役場線
名
総延長
路
線
内
その他市道
実延長
規格改良済区間
1
2
単位:m
未改良区間
舗装済区間
未舗装区間
訳
150.4
150.4
150.4
0
150.4
0
規格改良済車道幅員別実延長内訳
13.0m以上
9.0m以上
5.5m以上
40.8
改 良・未 改良
実
延
長
4.5m以上
68.2
4.5m未満
25.9
計
15.5
起点側(浄法寺バイパス) ~ 終点側
3
未改良車道幅員別実延長内訳
5.5m以上
4.5m以上
3.5m以上
2.5m以上
2.5m未満
中間付近(二戸五日市線) ~ 起点側(浄法寺バイパス)
150.4
4
計
0
U型蓋付き
U型蓋なし
L型(街渠)
その他
計
最小車道幅員
側溝延長内訳
109.8
利
用
状
114.7
224.5
4.25
役場線は、浄法寺地域の中心部を縦断する最も重要な路線の一つである。JRバスやタクシー、緊急
車両の発着路線でもあり、公共機関(浄法寺総合支所、社会福祉センター)や金融機関(JA奥中山浄
況
法寺支所)、商店もあることから大型車から乗用車まで交通量はかなり多い路線であり、歩行者も比較
的多い状況にある。
位 置 図
中間付近(JRバス東北浄法寺駅) ~ 起点側
4
3
浄法寺バイパス
2
1
L=500m
W=6.0m (12
(12.
12.5m)
11
終点側 ~ 中間付近
安比川流域生活圏整備プロジェクト:幹線道路の整備・生活道路の整備
2.市道春日杉沢線改良舗装事業
事業概要
旧浄法寺地区は主要地方道二戸五日市線と一般県道道前浄法寺線を中心に道路網が形成されている。
当該路線はそれぞれの道路を結ぶ路線であり、当該箇所は町内中心地に位置する。小中学校に程近くそ
の他商業施設が混在しており、また、先頃行われた小中学校の統廃合により歩行者及び車両の交通量が
増加したところである。現在、歩行者は幅の狭い路肩部分を歩行しており、 歩行者はもとより車両において
も細心の注意を図りながら通行している。更なる交通の安全を目指すため歩道を整整備し車両と歩行者の
すみわけを行いたい。
路
線
名
春日杉沢線
総延長
路
線
内
その他市道
実延長
1
2
単位:m
舗装済区間
未改良区間
規格改良済区間
未舗装区間
訳
4334.4
4334.4
4334.4
0
4334.4
0
規格改良済車道幅員別実延長内訳
13.0m以上
9.0m以上
21.1
改 良 ・ 未 改 良
実
延
長
5.5m以上
4.5m以上
2763.1
路肩を通行(小学校下校風景)
4.5m未満
1527.1
23.1
側溝上を通行(中学校登校風景)
計
3
4334.4
4
未改良車道幅員別実延長内訳
5.5m以上
4.5m以上
3.5m以上
2.5m以上
2.5m未満
計
0
U型蓋付き
U型蓋なし
L型(街渠)
その他
計
最小車道幅員
側溝延長内訳
3352.9
利
用
状
434.9
3787.8
4.40
春日杉沢線は、下春日町地区(41世帯)から松森地区(35世帯)・田屋地区(57世帯)・糠塚住宅(10世帯)を
通って、杉沢地区(33世帯)に至る、浄法寺地域を横断する重要な路線となっている。特に、町場付近は小
況 中学校や商店、医療機関などが点在し、交通量も多く歩行者も多い路線である。平成19年度は歩道設置の
ための用地交渉や測量が行われるなど20年度の早期完成を住民が強く望んでいる。また、19年度は上外
野付近に融雪システム工事が行われた。
中学校下校風景
位 置 図
L=650m
W= 5.5 m (9
(9 .5m)
3
4
1
浄法寺バイパス
2
12
路肩を通行(夕方の混雑風景)
安比川流域生活圏整備プロジェクト:幹線道路の整備・生活道路の整備
3.市道小池線改良舗装事業
事業概要
当該路線は二戸市立浄法寺診療所へ通じる路線として、生活に密着した道路である。 現在は砂利道に
加え幅員狭小なため、通院の歩行者と軽自動車の通行に留まっている現状にあり、不便を感じているところ
であり、部分的ではあるが拡幅 改良舗装を緊急に整備する必要がある。そのことにより診療所への緊急車
両等の効率的な運行を目指すものである。
路
線
名
小池線
総延長
路
線
内
訳
668.9
2級・その他市道
実延長
2
単位:m
規格改良済区間
661.1
1
452.1
未改良区間
舗装済区間
209.0
未舗装区間
511.7
149.4
規格改良済車道幅員別実延長内訳
13.0m以上
9.0m以上
5.5m以上
4.5m以上
54.6
改 良 ・ 未 改 良
実
延
長
4.5m未満
103.0
計
294.5
起点側 ~ 終点側
452.1
起点付近 ~ 起点側
未改良車道幅員別実延長内訳
5.5m以上
4.5m以上
3.5m以上
2.5m以上
2.5m未満
51.7
U型蓋付き
U型蓋なし
L型(街渠)
その他
157.3
計
3
計
4
209.0
最小車道幅員
側溝延長内訳
673.4
9.5
682.9
1.65
小池線は、総合支所から春日杉沢線を横断し診療所に至る重要な路線である。この舗装済みの沿線には
利
用
状
況 公共機関(総合支所・診療所・ほほえみセンター・森林管理所)や商店があることから、未改良区間の早期
完成が望まれる。幅員が狭く普通車同士のすれ違いが厳しい路線である。
中間付近 ~ 終点側
位 置 図
4
L=180m
W= 4.5 m (5
(5 .0m)
浄法寺バイパス
2
3
1
13
終点付近 ~ 起点側
安比川流域生活圏整備プロジェクト:幹線道路の整備・生活道路の整備
4.市道寺ノ下糠塚線改良舗装事業
事業概要
旧浄法寺地区は主要地方道二戸五日市線を中心に道路網が形成されている。当該路線は主要地方道二
戸五日市線と接続し、中間付近には二戸市立浄法寺保育園があり、特に朝夕は園児送迎のための車両が
頻繁に往来する。冬場は除雪による雪が路肩に堆積し幅員が狭まりすれ違いに苦慮しているところである。
部分的ではあるが拡幅改良舗装を緊急に整備する必要がある。そのことにより、安全かつ円滑な車両の通
行を目指すものである。
路
線
名
寺ノ下糠塚線
総延長
路
線
内
訳
699.1
その他市道
実延長
1
2
単位:m
規格改良済区間
699.1
未改良区間
699.1
舗装済区間
0
未舗装区間
699.1
0
規格改良済車道幅員別実延長内訳
13.0m以上
9.0m以上
5.5m以上
104.6
改 良 ・ 未 改 良
実
延
長
4.5m以上
4.5m未満
539.5
計
55.0
起点側 ~ 終点側 仮設落石防護柵設置により幅員狭小となる
699.1
未改良車道幅員別実延長内訳
5.5m以上
4.5m以上
3.5m以上
2.5m以上
3
2.5m未満
起点側 ~ 中間付近
4
計
0
U型蓋付き
U型蓋なし
L型(街渠)
その他
計
最小車道幅員
側溝延長内訳
333.9
81.6
14.0
429.5
4.15
寺ノ下糠塚線は、主要地方道二戸五日市線から糠塚市営住宅までの重要な路線となっている。沿線には
利
用
状
況 浄法寺保育園(園児約130人)や吉祥山福蔵寺、市営糠塚住宅・寺ノ下住宅、定住促進馬場住宅などがあ
り、交通量は多い路線である。
中間付近 ~ 起点側 冬期は除雪による雪が路肩部に堆雪し幅員狭小となる
位 置 図
L=700m
W=4.0 m (7
(7.0 m)
4
浄法寺バイパス
3
2
1
14
中間付近 ~ 起点側 保育所園児の散歩コースである
安比川流域生活圏整備プロジェクト:幹線道路の整備・生活道路の整備
5.市道下藤開拓線改良舗装事業
事業概要
当該路線の計画区間は生活道路であり、住家の奥には耕作地が広がっている。現在は砂利道に加え幅
員狭小なため、不便を感じているところであり、部分的ではあるが拡幅改良舗装を整備するものである。そ
のことにより、生活の快適化及び農畜産物輸送の円滑化が図られる。
路
線
名
下藤開拓線
総延長
路
線
内
訳
その他市道
実延長
3192.4
1
2
単位:m
規格改良済区間
3192.4
0
未改良区間
舗装済区間
3192.4
未舗装区間
0
3192.4
規格改良済車道幅員別実延長内訳
13.0m以上
9.0m以上
5.5m以上
4.5m以上
4.5m未満
計
0
改 良 ・ 未 改 良
実
延
長
起点側 ~ 中間付近
未改良車道幅員別実延長内訳
5.5m以上
4.5m以上
3.5m以上
19.6
U型蓋付き
U型蓋なし
197.3
L型(街渠)
2.5m以上
計
2.5m未満
2975.5
その他
3
3192.4
計
中間付近 ~ 終点側
4
最小車道幅員
側溝延長内訳
0
利
用
状
2.60
況 下藤開拓線は、主要地方道二戸五日市線から毛無森方面へ向かう路線である。
位 置 図
終点側 ~ 中間付近
1
2
4
L=150m
W=3 .0m (4
(4.0 m)
3
15
中間付近 ~ 起点側
安比川流域生活圏整備プロジェクト:幹線道路の整備・生活道路の整備
9.市道仲町小船線改良舗装事業
6.市道川原線改良舗装事業
路
線
川原線
名
路 線 内 訳
総延長
2級
実延長
508.3
508.3
単位:m
規格改良済区間
未改良区間
106.5
舗装済区間
401.8
106.5
路
未舗装区間
線
名
路 線 内 訳
401.8
仲町小船線
総延長
2級
実延長
2799.0
2799.0
規格改良済車道幅員別実延長内訳
13.0m以上
9.0m以上
5.5m以上
4.5m以上
4.5m以上
3.5m以上
2.5m以上
3.9
側溝延長内訳
4.5m未満
計
13.0m以上
106.5
改良・未改良
実
延
長
未改良車道幅員別実延長内訳
5.5m以上
U型蓋付き
U型蓋なし
L型(街渠)
2.5m未満
320.7
その他
77.2
計
42.9
計
側溝延長内訳
2.20
上町線
名
路 線 内 訳
総延長
その他市道
実延長
486.3
486.3
規格改良済区間
331.2
舗装済区間
155.1
9.0m以上
5.5m以上
4.5m以上
6.9
改良・未改良
実
延
長
332.3
未舗装区間
154.0
線
96.6
4.5m以上
3.5m以上
2.5m以上
U型蓋付き
U型蓋なし
L型(街渠)
3.5
側溝延長内訳
4.5m未満
223.6
2.5m未満
31.7
その他
119.9
計
166.8
名
路 線 内 訳
6534.0
1級・その他市道
実延長
6518.8
規格改良済区間
6518.8
舗装済区間
0
1.85
側溝延長内訳
9.0m以上
1002.9
改良・未改良
実
延
長
5.5m以上
1736.4
4.5m以上
2553.3
線
名
路 線 内 訳
1226.2
4.5m以上
3.5m以上
2.5m以上
U型蓋付き
3289.7
U型蓋なし
2244.5
L型(街渠)
735.3
その他
計
6269.5
1501.5
2.5m未満
923.2
その他
計
118.6
計
191.2
1297.5
最小車道幅員
2259.7
2.05
4757.7
110.7
単位:m
未改良区間
4647.0
舗装済区間
未舗装区間
104.1
4653.6
9.0m以上
5.5m以上
4.5m以上
4.5m未満
73.3
計
37.4
110.7
未改良車道幅員別実延長内訳
4.5m以上
U型蓋付き
3.5m以上
4.3
U型蓋なし
2.5m以上
94.1
L型(街渠)
890.2
その他
2.5m未満
計
3649.1
計
10.4
4647.0
最小車道幅員
10.4
1.55
二又早坂線
総延長
その他市道
実延長
1806.1
規格改良済区間
1806.1
0
単位:m
未改良区間
舗装済区間
1806.1
未舗装区間
10.1
1796.0
規格改良済車道幅員別実延長内訳
計
9.0m以上
計
側溝延長内訳
3.40
4.5m以上
4.5m未満
計
未改良車道幅員別実延長内訳
4.5m以上
3.5m以上
U型蓋なし
L型(街渠)
5.9
最小車道幅員
5.5m以上
0
改良・未改良
実
延
長
6518.8
0
側溝延長内訳
4757.7
5.5m以上
2.5m未満
217.3
規格改良済区間
0
未改良車道幅員別実延長内訳
5.5m以上
実延長
13.0m以上
4.5m未満
601.5
早坂線は、大台久保地区(6世帯)住民が利用している路線で、起点から高速道路付近までは急勾配で、幅員
が狭く現在は徒歩のみの利用となっている。したがって、この区間の車での通行は危険なため、住民や農作業
利 用 状 況
車は吉田桂平線を迂回している状況である。終点の早坂地区の住民は通常、二又早坂線を経由して、春日筍
平線を利用している。
未舗装区間
6518.8
計
その他市道
9.3
規格改良済車道幅員別実延長内訳
13.0m以上
総延長
5.5m以上
155.1
単位:m
未改良区間
早坂線
最小車道幅員
390.4
4.5m未満
92.3
2.5m以上
L型(街渠)
37.6
改良・未改良
実
延
長
計
路
向田川又線
総延長
33.8
U型蓋なし
2030.9
13.0m以上
331.2
8.市道向田川又線改良舗装事業
線
1261.8
規格改良済車道幅員別実延長内訳
上町線は、仲町小船線から上町地区(31世帯)を経由し、寺ノ下糠塚線に至る旧鹿角街道の一部である。お寺
の門までは、幅員が狭いが舗装されている。門から寺ノ下糠塚線は砂利道である。この区間は、降雨の度に路
利 用 状 況
面が損傷を受けることから、平成19年度には幅員は変わらないものの路盤入替と舗装工事を行い、一部待避
所を設けたものである。
路
3.5m以上
計
227.7
4.5m以上
712.1
4.5m以上
U型蓋付き
名
路 線 内 訳
未改良車道幅員別実延長内訳
5.5m以上
1537.2
10.市道早坂及び二又早坂線改良舗装事業
路
規格改良済車道幅員別実延長内訳
13.0m以上
未舗装区間
仲町小船線は、三区地区(15世帯)から仲町地区(20世帯)・松森地区(35世帯)・田屋地区(57世帯)を通り、
運動公園の脇から小船地区(9世帯)へ続く路線である。仲町付近には岩手銀行浄法寺支店や浄法寺郵便局な
利 用 状 況
どがあり、主要地方道二戸五日市線から春日杉沢線に通じる路線でもあることから、比較的交通量が多い。運
動公園から小船地区までは、未改良区間であり冬期間は積雪のため通行止めとなる。
単位:m
未改良区間
5.5m以上
81.1
4.6
7.市道上町線改良舗装事業
線
1297.5
舗装済区間
未改良車道幅員別実延長内訳
5.5m以上
最小車道幅員
42.9
9.0m以上
14.5
401.8
川原線は、㈱ユニフォーカーの従業員(34人)や川原地区(13世帯)の生活道路である。舗装済区間は川原橋
利 用 状 況 付近の約100mで、残りは未改良区間(狭い砂利道)となっている。一番狭いところで2.2mと大型車の通行は
困難な状況である。川原橋は架設から40年以上経過しており、重量制限(14トン)されている橋である。
路
1501.5
未改良区間
規格改良済車道幅員別実延長内訳
106.5
改良・未改良
実
延
長
単位:m
規格改良済区間
U型蓋付き
122.4
2.5m以上
2.5m未満
計
計
最小車道幅員
1677.8
その他
1806.1
0
2.50
二又早坂線は、主に早坂地区の生活道路であり、舗装済区間は春日筍平線との接続部分のみで、ほとんどが
利 用 状 況 未改良区間となっている。生活道路としての利用者は早坂地区の数軒のみであるが、集落までの間には耕作
地が存在しており農作業にも利用されている。
向田川又線は向田地区(33世帯)から宮沢地区(41世帯)・大久保地区(26世帯)を通り川又地区(47世帯)へ
続く、延長6500mの路線である。この沿線には100世帯を越す住民が常に利用し、スクールバスが通るなど
利 用 状 況 重要な路線であるが、宮沢付近の幅員が狭く、S字カーブなどで見通しが悪い状況にある。また、大久保集落の
手前の峠は、両サイドが杉林で日が当たらず、冬場の難所となっている。平成19年度には、大平地区まですべ
て舗装となり、二戸市街地へのアクセスとしては、便利になった。
16
安比川流域生活圏整備プロジェクト:幹線道路の整備・生活道路の整備
11.市道漆沢岡本線改良舗装事業
路
線
名
路 線 内 訳
14.市道長渡路長流部線改良舗装事業
漆沢岡本線
総延長
1級
実延長
1724.9
単位:m
規格改良済区間
1724.9
未改良区間
802.1
922.8
舗装済区間
806.4
路
未舗装区間
線
名
路 線 内 訳
918.5
長渡路長流部線
総延長
1級・その他市道
実延長
2977.3
2977.3
規格改良済車道幅員別実延長内訳
13.0m以上
9.0m以上
5.5m以上
142.5
改良・未改良
実
延
長
5.5m以上
4.5m以上
3.5m以上
4.5m未満
650.6
U型蓋付き
U型蓋なし
854.5
2.5m以上
273.7
L型(街渠)
計
9.0
13.0m以上
802.1
2.5m未満
計
計
最小車道幅員
635.5
その他
832.6
側溝延長内訳
2.75
路 線 内 訳
総延長
2級・その他市道
実延長
3565.5
4.5m以上
U型蓋付き
12.4
U型蓋なし
431.5
815.0
改良・未改良
実
延
長
規格改良済区間
3565.5
9.0m以上
45.7
1351.4
単位:m
未改良区間
2214.1
舗装済区間
路
未舗装区間
3565.5
線
名
路 線 内 訳
0
22.9
4.5m以上
115.0
側溝延長内訳
5.5m以上
4.5m以上
U型蓋付き
750.9
166.0
365.9
計
三ツ木平支線
総延長
1351.4
実延長
名
路 線 内 訳
3.5m以上
329.3
U型蓋なし
921.9
2221.8
292.6
2.5m以上
1664.0
L型(街渠)
2.5m未満
計
計
最小車道幅員
105.8
その他
実延長
690.1
規格改良済区間
292.6
9.0m以上
0
5.5m以上
3833.8
側溝延長内訳
利 用 状 況
205.0
1719.4
217.2
2.5m未満
計
計
最小車道幅員
1010.5
その他
199.4
1257.9
1445.9
2.55
規格改良済区間
0
単位:m
未改良区間
舗装済区間
748.7
未舗装区間
7.1
741.6
9.0m以上
5.5m以上
4.5m以上
4.5m未満
計
4.5m以上
3.5m以上
U型蓋付き
U型蓋なし
L型(街渠)
7.1
2.5m以上
2.5m未満
684.2
その他
計
51.7
計
748.7
最小車道幅員
0
2.15
利 用 状 況 三ツ木平幹線から松ケ平線に接続する三ツ木平支線は、周辺に集落は無く農作業車の利用がある。
路
単位:m
未改良区間
112.4
舗装済区間
180.2
未舗装区間
線
名
路 線 内 訳
112.4
4.5m以上
4.5m未満
4.5m以上
3.5m以上
U型蓋なし
2.5m以上
18.1
L型(街渠)
2.5m未満
53.2
その他
38.0
計
205.0
大森小泉線
総延長
3436.2
1・2級
実延長
3428.6
規格改良済区間
2245.5
単位:m
未改良区間
1183.1
舗装済区間
2229.1
未舗装区間
1199.5
規格改良済車道幅員別実延長内訳
13.0m以上
計
4.5m以上
32.5
112.4
最小車道幅員
側溝延長内訳
1.95
5.5m以上
572.0
4.5m以上
4.5m未満
1177.6
476.4
計
2245.5
未改良車道幅員別実延長内訳
5.5m以上
計
9.0m以上
19.5
改良・未改良
実
延
長
180.2
未改良車道幅員別実延長内訳
U型蓋付き
2.5m以上
L型(街渠)
5.7
3.15
180.2
3.1
側溝延長内訳
1540.0
0
2214.1
その他市道
改良・未改良
実
延
長
5.5m以上
計
未改良車道幅員別実延長内訳
5.5m以上
規格改良済車道幅員別実延長内訳
13.0m以上
151.4
4.5m未満
16.市道大森小泉線改良舗装事業
朝日ヶ丘線
総延長
4.5m以上
3.5m以上
748.7
改良・未改良
実
延
長
13.市道朝日ヶ丘線改良舗装事業
線
1257.9
その他市道
748.7
13.0m以上
御山線は、向田地区から歴史民俗資料館前を通り、天台寺の有料駐車場を過ぎ長流部地区に続く路線であ
る。そのため、天台寺の春と秋の2回の祭典や瀬戸内寂聴氏の法話の際は、交通量が非常に多くなる。参道の
利 用 状 況 入り口から長流部までは、幅員が狭く普通車同士がすれ違うのが困難な状況にある。通常は農作業車の通行
が主となっているので、通行に支障をきたすことは少ない。向田地区から参道の入口のロータリーまでは、マイ
ロード事業で整備された5.5m以上の立派な道路となっている。
路
未舗装区間
1719.4
規格改良済車道幅員別実延長内訳
4.5m未満
未改良車道幅員別実延長内訳
5.5m以上
舗装済区間
長渡路長流部線は、長渡路地区(38世帯)から長流部地区(34世帯)に至る延長約3000mの路線である。改
利 用 状 況 良舗装されている区間が1700mあるが、大部分は4.5m未満の狭い幅員となっている。この路線は、議会に
も陳情や請願など地元の要望が強い路線である。
規格改良済車道幅員別実延長内訳
13.0m以上
1257.9
15.市道三ツ木平支線改良舗装事業
御山線
名
5.5m以上
28.0
17.8
12.市道御山線改良舗装事業
線
未改良区間
未改良車道幅員別実延長内訳
5.5m以上
922.8
1687.1
9.0m以上
改良・未改良
実
延
長
漆沢岡本線は、岡本地区(32世帯)と宮沢地区(41世帯)は改良済みであるが、宮沢地区から漆沢地区(50世
利 用 状 況 帯)の約900mは未改良区間となっている。この区間は、主に農作業車が利用しており、冬期間は通行止めと
なる。
路
1719.4
規格改良済車道幅員別実延長内訳
未改良車道幅員別実延長内訳
13.6
側溝延長内訳
4.5m以上
規格改良済区間
単位:m
U型蓋付き
1048.4
U型蓋なし
705.1
3.5m以上
52.2
L型(街渠)
2.5m以上
2.5m未満
284.7
その他
813.7
計
1753.5
計
1183.1
最小車道幅員
1.00
大森小泉線は、滝見橋から大森地区(28世帯)・石橋地区(9世帯)・県道道前浄法寺線を横断し、小泉地区(8
世帯)を経由し、大清水高曲原線に至る路線である。石橋付近と小泉地区より西側が未改良区間となっている。
利 用 状 況
小泉の西側は最小幅員1mで民家も無い事から改良の目途が立たない状況にある。県立浄法寺高等学校があ
ることから通勤通学者の利用が多い路線でもある。
朝日ヶ丘線は、平成18年度に180mの舗装工事を終え、朝日ヶ丘地区(12世帯)住民や中学校の生徒及び職
員の重要な路線となっている。
17
安比川流域生活圏整備プロジェクト:幹線道路の整備・生活道路の整備
8 総 合 計 画 前 期 基 本 計 画 での位 置 づけ
17.市道里川目線改良舗装事業
路
線
里川目線
名
路 線 内 訳
総延長
その他市道
実延長
2093.5
2093.5
規格改良済区間
744.3
単位:m
未改良区間
1349.2
舗装済区間
744.3
1)現状と課題
本市は、馬淵川や安比川などにより市街地が分断されていることが、道路交通網の
整備や産業経済発展の阻害要素になってきました。
平 成 14 年 の 新 幹 線 開 業 に 合 わ せ て 、 生 活 や 産 業 の 基 盤 と な る 社 会 資 本 の 整 備 を 進
めてきましたが、主要地方道二戸五日市線浄法寺バイパスの早期完成や役場線の開設
が大きな課題となっています。
市道路線については総延長が長く、幹線道路をはじめ改良率・舗装率とも低い状況
となっています。また、これまで整備を進めてきた公共土木施設の中には、老朽化が
進んでいるものが目立ち始めていることから今後、施設の維持修繕や更新投資の割合
がますます大きくなることが予測されています。
そのため、地域との協働により、都市機能の充実と生活に密着した道路網の整備を
進めるとともに、橋りょうの整備、雨水排水機能に配慮し地域の特色を活かした計画
的なまちづくりを進めることが必要となっています。
( 総 合 計 画 前 期 基 本 計 画「 現 状 と
課 題 」)
未舗装区間
1349.2
規格改良済車道幅員別実延長内訳
13.0m以上
9.0m以上
5.5m以上
54.2
改良・未改良
実
延
長
4.5m以上
295.9
計
394.2
744.3
未改良車道幅員別実延長内訳
5.5m以上
4.5m以上
3.5m以上
U型蓋付き
U型蓋なし
L型(街渠)
2.5m以上
243.6
側溝延長内訳
4.5m未満
449.2
163.9
32.1
その他
2.5m未満
1073.5
計
613.1
計
1349.2
最小車道幅員
1.30
里川目線は、県道道前浄法寺線から里川目地区(20世帯)を経由して、再び県道道前浄法寺線へ続く路線で
利 用 状 況 ある。集落内までは整備がされているが、それ以降は昔のまま手付かずの状態であり、地元の農作業車以外
は利用していない状況にある。
2)施策の方向
幹 線 市 道 は 、産 業 振 興 や 集 落 間 を 結 ぶ 連 絡 網 と し て 重 要 な 社 会 資 本 で あ る こ と か ら 、
道路機能の維持向上を図り、未改良幹線道路について計画的な整備を促進します。
日々の暮らしに密着した生活道路については、地元の合意形成を基本とする「二戸
方式」等も活用し、地域住民の利便性と安全性に配慮した整備を進めます。
また、踏切横断を余儀なくされている生活道路については、踏切の新設改良に向け
て関係機関と検討を進めます。
住宅密集地の未整備道路は、地権者や地域との合意形成を図りながら、交差部の隅
切りや待避所の設置などポイント的な改良に努めます。
7 関 連 する施 策 ・事 業
まちの駅整備事業
市道役場線は、公共施設の空きスペースなどを活用し、様々な機能を集積すること
により中心部の活性化を図る「まちの駅」の中心路線となることから、市道春日杉沢
線までの延伸も含め整備を推進する。
3)主要施策
● 旧市町の主要集落間連絡網整備(集落間を結ぶ幹線道路改良舗装の実施)
● 生活道路環境の向上(足元道路の整備・市道の適正な維持管理、市街地内狭あい
道路の隅切り・待避所等整備など)
特定環境保全公共下水道事業
平 成 20 年 度 か ら 事 業 が 始 ま る 「 特 定 環 境 保 全 公 共 下 水 道 事 業 」 の 管 渠 埋 設 に あ わ
せ、舗装や側溝改修を推進する。
浄法寺小学校整備事業
海上田地区に整備が進む新浄法寺小学校整備にあわせ、通学路となる市道役場線や
市道川原線について、歩行者の安全に配慮した整備を推進する。
18
安比川流域生活圏整備プロジェクト:上水道の整備
2 これまでの取 り組 み
○ 上 水 道 の整 備
(浄 法 寺 地 区 上 水 道 情 報 一 体 化 工 事 、梅 田 川 地 区 水 道 の調 査 ・研 究 )
○
豊かな自然環境にあり水資源にも恵まれている中で、豊富で安全な水が安定的に供
給されています。
また、各集落の状況に適した汚水処理施設の整備が進むことで、圏域の住環境や河
川環境が向上し、自然環境と共生しながら快適な生活を営んでいます。
上水道情報一体化工事が完了し、水量等のデータや異常通報について、旧浄法寺
町の施設も含めて水道事業所でリアルタイム監視されていることから、頻繁に巡視
が必要であったものが不要となり、事務が軽減された。
○
御返地・川又・斗米簡易水道の概要について
平成19年4月1日現在
項
目
御
工事実施期間
1 将 来 のすがた
浄 水 場 (個 所 数 ・面 積 ㎡)
○
水道設備の更新が計画的に行われ、安全な水が安定的に供給されている。
浄
水
○
水道管についてはループ化されており、災害時等における安定供給が確保されて
いる。
○
未普及地域が解消され、住民が公平にサービスを享受している。
○
水道使用料の統一化が図られている。
施
設
返
地
川
又
斗
米
H4年 ~8年 度
H9年 ~10年 度
H14年 ~20年 度
1箇 所 RC 造 374
1箇 所 RC 造 39
1箇 所 RC 造 462
処 理 能 力 (計 画 一 日 最 大 給
780
水 量 )(㎥)
74
370
原水種別
表流水
湧水
表流水
急 速 ろ過
急 速 ろ過
消 毒 のみ
膜 ろ過
1箇 所 394
1箇 所 98
1箇 所 204
19,898
4,550
7,783
鋳 鉄 管 +塩 ビ管
ダクタイル鋳 鉄 管
硬 質 塩 化 ビニル管
H7.8.1
H11.4.1
H20.4.1
配 水 地 (個 所 数 ・容 量 ㎥)
管 路 総 延 長 (導 水 管 +送 水 管 +
配 水 管 )(m)
主 な管 種
給水開始年月日
給水区域内戸数
(A)
518
80
実績給水戸数
(B)
469
65
-
90.5
81.2
-
1,544
274
603
670
給 水 戸 数 割 合 (%)
(B/A)
給水区域内人口
194
計画給水人口
(C)
1,540
280
現在給水人口
(D)
1,301
250
-
84.5
89.3
-
70,941
9,075
-
185.6
20
-
17,562
1,949
-
1,747
315
-
普 及 率 (%)
(D/C)
18年 度 年 間 総 給 水 量 (㎥)
18年 度 一 日 平 均 給 水 量 (㎥)
18年 度 年 間 水 道 使 用 料 (千 円 )
18年 度 年 間 電 気 料 (千 円 )
資料:簡易水道課
子供たちのために、
いつまでも安全な水を
19
安比川流域生活圏整備プロジェクト:上水道の整備
○
梅田川地区簡易水道施設整備の検討に係るこれまでの経緯
年 月 日
内
平 成 4年 2月
平成20年1月実施「梅田川地区の簡易水道施設に係るアンケート」調査結果
現状
現状
整備
回答者
加入
回答者加
満足
不満
必要
必要率
希望
入希望率
(戸 )
(戸 )
(戸 )
(%)
(戸 )
(%)
100.0
12
5
12
66.7
12
66.7
7
87.5
1
6
7
100.0
7
100.0
20
18
90.0
11
5
15
83.3
17
94.4
田子内
25
8
32.0
5
3
6
75.0
7
87.5
伊崎沢
8
8
100.0
4
4
7
87.5
7
87.5
桧 ノ木
12
8
66.7
5
3
5
62.5
6
75.0
計
91
67
73.6
38
26
52
77.6
56
83.5
容
戸数
回収数
回収率
(戸 )
(戸 )
(%)
18
18
8
里川目
集落名
○梅 田 川 地 区 等 の簡 易 水 道 施 設 に係 るアンケート調 査 を実 施
(結 果 に つ いては下 記 参 照 )
梅 ノ木
平 成 18年 5月
平 成 18年 5月 ~8月
平 成 20年 1月
○
細
○総 合 計 画 策 定 に 係 る懇 談 会 を 梅 田 川 地 区 で開 催
・原 材 料 支 給 し、地 域 で整 備 の案 も提 示 したが、簡 易 水 道 で
の整 備 希 望 もあり 、内 部 で検 討
○上 下 水 道 部 内 での検 討
・総 合 計 画 策 定 に 係 る計 画 調 書 の作 成 と検 討
○梅 田 川 地 区 を 対 象 に ア ンケ ート を 実 施 (結 果 に つ いては下 記 参
照)
※
※
※
今回は桧ノ木も対象地区に加えてアンケートを実施している。
「 現 状 満 足 」 に は 、「 あ ま り 不 満 で な い 」 と い う 回 答 も 含 ま れ て い る 。
「 加 入 希 望 」 に は 、「 整 備 が さ れ た ら 、 い つ か は 加 入 す る 」 と い う 回 答 も 含 ま れ
ている。
※ 6集落の集計結果は、現状に満足が38戸(56.72%)であり、整備が必要
と 答 え た の は 5 2 戸( 7 7 .6 1 % )で あ っ た 。ま た 、加 入 希 望 者 も 5 6 戸( 8 3 .
58%)となっている。
※ 今回のアンケートでは、加入時の工事費や給水に係る使用料などの住民負担につ
いての事前説明はしていない。
平成4年2月実施「梅田川地区の簡易水道施設に係るアンケート」調査結果
現状
現状
整備
回答者
加入
回答者加
満足
不満
必要
必要率
希望
入希望率
(戸 )
(戸 )
(戸 )
(%)
(戸 )
(%)
95.0
11
8
15
78.9
8
42.1
9
90.0
8
1
6
66.7
3
33.3
23
14
60.9
12
2
10
71.4
1
7.1
田子内
27
22
81.5
16
6
14
63.6
5
22.7
伊崎沢
9
3
33.3
2
1
2
66.7
1
33.3
計
89
67
75.3
49
18
47
70.1
18
26.9
戸数
回収数
回収率
(戸 )
(戸 )
(%)
梅 ノ木
20
19
細
田
10
里川目
集落名
田
5集落の集計結果、現状に満足が49戸(73.1%)であり、整備が必要と答え
たのは47戸(70.1%)であった。しかし、加入希望者は18戸(26.9%)
にとどまっている。
20
安比川流域生活圏整備プロジェクト:上水道の整備
3 現
○
状
4 課 題 ・問 題 点
上水道情報一体化工事が完了し、水量等のデータや異常通報について、旧浄法寺
町の施設も含めて水道事業所でリアルタイム監視されている。
水道事業所では取水量などを
リアルタイムで監視
○
上水道は、拡張計画が完了し維持管理の時期に入っており、水道施設の老朽化が
進んでいる箇所もある。
○
圏域の簡易水道については、給水を開始している御返地地区、川又地区に続いて
斗米地区の整備が進められており、平成20年4月から供用開始予定である。
○
梅田川地区の自家水道(井戸水・山の湧き水)については、同じ集落内でも水量
が十分な箇所と、時期によっては不足している箇所が見受けられる。
○
合併後の水道事業認可申請にあたり、上水道事業基本計画、水道ビジョンを平成
19 年 度 中 に 策 定 の 予 定 で あ る 。
○
旧二戸市と旧浄法寺町で異なっていた水道使用料については、平成20年4月に
統一される予定である。
21
○
公 共 下 水 道 の 整 備 や あ ら た な 企 業 誘 致 な ど 、給 水 量 の 増 加 も 見 込 ま れ る こ と か ら 、
今後も安全な水を安定的に供給するためには、水源地の適正な管理や施設の計画的
な更新が必要である。
○
浄法寺区域は、幹線となる水道管が1系統のため、途中で漏水があれば当該箇所
から下流側が断水してしまい、また、水道管から各戸までの給水管延長が長い箇所
や給水管の連合線が多いなどの課題がある。
○
梅田川地区を始め、水道未普及地域の解消に向けた整備を進めるためには、人口
減少などの地域特性を踏まえた上で整備手法を選択する必要があるとともに、整備
に 伴 う 住 民 負 担 、 加 入 率 ( 需 要 度 )、 財 政 収 支 な ど を 見 通 し た 検 討 が 必 要 で あ る 。
安比川流域生活圏整備プロジェクト:上水道の整備
5 基 本 となる施 策 の方 向
○
6 これから取 り組 むべき施 策
○
二戸市総合計画や平成19年度に策定された上水道事業基本計画(水道ビジョ
ン)に基づき、施設等の計画的な整備・更新を推進する。
上 水 道 施 設 整 備 基 本 計 画( 水 道 ビ ジ ョ ン )に 基 づ く 施 設 等 の 計 画 的 な 整 備・更 新 。
○
○
管網の整備促進
浄法寺地域においては、水道管の複線化や管経の拡大など、災害や断水も考慮した
給水経路を検討するとともに、新小学校や市道役場線の橋梁整備などの公共施設整備
にあわせた、計画的な水道管の布設を促進する。
ループ化に伴う本管整備については、市道春日杉沢線歩道整備事業や特定環境保
全公共下水道整備事業などが予定されていることから、道路や下水道整備事業担当
課と綿密な連携を図り、整備時期を調整するなど効率性に配慮して事業を推進する。
○
水源の確保
浄法寺地域においては湧水を水源としているが、上水道事業では水源の確保が重要
であり、今後、あらたな誘致企業の立地や公共下水道整備などにより使用量の増加が
見込まれることから、安定した水量を確保するために必要な調査を実施し、安定供給
を図るために必要な整備を促進する。
○
未普及地域の解消
梅田川地区をはじめ水道未普及地域の生活用水は、沢水、井戸等に依存しているこ
とから、安全な水を安定的に供給するためにも、地区住民の意向を十分把握したうえ
で、水道配水管布設経路や整備手法について検討を進め、未普及地域の解消を図る。
水道管の埋設が予定されている
市道春日杉沢線
○
「梅田川地区簡易水道整備」については、平成19年度のアンケート結果等を参
考 に し な が ら も 、 住 民 負 担 、 加 入 率 ( 需 要 度 )、 財 政 収 支 な ど を 見 通 し た 上 で 、 原
材料支給による整備も含め引き続き検討する。
○
緊急時にも安定した給水対応ができるようにするため、耐震化工事等にあわせ、
水道管の複数系統化(ループ化)や給水管の口径確保を進めるなど、整備水準の引
き上げを図る。
おいしい水はこの稲庭岳の
麓から
22
安比川流域生活圏整備プロジェクト:上水道の整備
7 関 連 する施 策 ・事 業
幹線道路整備事業
役場線の新設橋梁への水道管添架や春日杉沢線歩道設置にあわせた水道管布設など、
他の生活基盤整備事業と調整を図りながら事業を推進する。
8 総 合 計 画 前 期 基 本 計 画 での位 置 づけ
1)現状と課題
本市の水道は、上水道と簡易水道により供給が行われています。
平 成 17 年 度 末 の 上 水 道 と 簡 易 水 道 を 合 わ せ た 計 画 給 水 区 域 内 の 水 道 普 及 率 は
93.52% 、 行 政 区 域 内 の 普 及 率 は 81.1 2% と な っ て い ま す 。
上水道は拡張計画が完了し、維持管理の時代に入っています。また簡易水道は、給
水を開始している御返地地区簡易水道、白鳥・坂本地区簡易水道および川又地区簡易
水道に続いて斗米地区の整備を進めており、未給水地区解消に努めています。
安全・安心な水の安定的な供給を図るため、漏水防止対策などの施設整備や緊急時
における水の供給確保、耐震化の整備が求められています。
2)施策の方向
水道は、日常生活を維持していく上で欠くことのできない基幹的な施設です。安定
的な給水の確保を図るため、給水人口の伸びや産業活動、宅地開発等の動向を見極め
ながら、計画的な施設整備を進め、企業会計の健全化に務めます。
併せて、簡易水道施設等の整備により、水道未普及地域の解消に努めます。
3)主要施策
● 上水道浄化施設および配水施設の整備ならびに更新(浄法寺地区上水道情報一体
化工事など)
● 簡易水道施設等の整備推進(梅田川地区水道の調査・研究など)
梅田川地区水道の調査・研究
23
安比川流域生活圏整備プロジェクト:下水道の整備
○
○ 下 水 道 の整 備
(浄 法 寺 地 区 の汚 水 処 理 計 画 の見 直 しと事 業 推 進 、農 業 集 落 排 水 事 業 の
計 画 策 定 および導 入 )
モデル事業(未普及解消クイックプロジェクト)導入以外の地区には、農業集落
排水事業や現在行っている生活排水処理施設整備事業など地域の特性にあった整備
方法の導入が進んでいる。
2 これまでの取 り組 み
豊かな自然環境にあり水資源にも恵まれている中で、豊富で安全な水が安定的に供
給されています。
また、各集落の状況に適した汚水処理施設の整備が進むことで、圏域の住環境や河
川環境が向上し、自然環境と共生しながら快適な生活を営んでいます。
○
1 将 来 のすがた
○
浄法寺地域の浄化槽の設置状況
・設置基数(18年度末)
300基(うち個人設置分の寄付30基)
・19年度設置予定基数
25基
・水洗化率
27.4%
・水洗化人口
1,427人
・水洗化率推移
生活環境の改善と公共用水域の水質保全を図るため、圏域内の水洗化率が向上し
ている。
浄法寺区域の水洗化率の推移
(%)
※ 水洗化率目標
平 成 17年 度 末 40.5パーセント⇒平 成 22年 度 末 44.8パーセント
30.0
○
浄法寺地域の住宅密集地域や浄化槽設置困難な場所においては、特定環境保全公
共下水道事業のモデル事業(未普及解消クイックプロジェクト)が導入され、以下
の効果が得られている。
27.4
25.0
21.0
25.0
20.0
水
洗
15.0
化
率
18.8
12.5
10.0
8.2
5.0
0.0
平成13年度
平成14年度
平成15年度
平成16年度
平成17年度
平成18年度
年 度
主要地方道二戸五日市線
沿線の住宅密集地域
○
①
短期間で整備されることにより、事業区域内における水洗化率も早期に向上し
ている。
② 事業区域内の全世帯の接続が可能となっている。
③ 個々の浄化槽処理と異なり、高度な集合処理が行われることによって、放流水
質の向上及び安定が図られている。
④ 処理に係る維持管理費の縮減が図られている。
⑤ 浄 化 槽 の 設 置 場 所 、放 流 水 の 放 流 先 確 保 、臭 気 対 策 等 の 課 題 が 解 消 さ れ て い る 。
24
御返地地域の浄化槽の設置状況
・設置基数(18年度末)
51基(住宅用途以外も含む全基数)
・19年度設置予定基数
7基
・水洗化率
13.2%
・水洗化人口
222人
安比川流域生活圏整備プロジェクト:下水道の整備
3 現
○
状
4 課 題 ・問 題 点
【浄化槽設置における立地上の課題・問題点】
○ 浄化槽による整備の場合、主要地方道二戸五日市線沿線の住宅密集地域について
は、宅地形状等による以下の問題点から浄化槽整備が困難な世帯があり、年度ごと
の計画設置基数の整備が難しい状況となっている。
① 住 宅 の 間 口 が 狭 く 建 物 も 近 接 し て お り 、浄 化 槽 設 置 ス ペ ー ス が な い 。
( 約 44 世
帯)
② 住 宅 の 前 面 が 道 路 境 界 に 接 し て お り 、浄 化 槽 設 置 ス ペ ー ス が な い 。
( 約 54 世 帯 )
③ 住 宅 の 背 面 が 急 傾 斜 地 で あ り 、 浄 化 槽 設 置 ス ペ ー ス が な い 。( 約 7 世 帯 )
浄 法 寺 地 域 の 汚 水 処 理 に つ い て は 、 平 成 12 年 度 に 策 定 し た 「 生 活 排 水 処 理 基 本
計 画 」 に 基 づ き 、 全 域 約 1,50 0 世 帯 ( 約 5,00 0 人 ) を 対 象 と し て 、 平 成 1 3 年
度から市町村設置型の浄化槽整備である生活排水処理施設整備事業(浄化槽市町村
整備推進事業)により整備を進めてきた。
事業概要(当初計画)
事 業 計 画 年 度
平 成 13 年 度 ~平 成 2 7 年 度 (15 年 間 )
計 画 設 置 基 数
1,500基
計
画
人
口
4,600人
総
事
業
費
1,642,500千 円
○
浄 法 寺 地 域 ( 平 成 18 年 度 末 人 口 5 , 2 0 2 人 、 1 , 6 2 6 世 帯 ) の 浄 化 槽 の 平
成 1 8 年 度 末 時 点 の 水 洗 化 率 は 27.4 パ ー セ ン ト と な っ て い る 。
○
御 返 地 地 域 ( 平 成 18 年 度 末 人 口 1 , 0 9 4 人 、 693 世 帯 ) に お い て も 浄 化 槽 整
備 設 置 事 業 が 行 わ れ て お り 、 平 成 1 8 年 度 末 時 点 の 水 洗 化 率 は 13. 2 パ ー セ ン ト と
なっている。
【浄化槽維持管理の課題・問題点】
○ 浄 化 槽 に よ る 整 備 の 場 合 、設 置 世 帯 と 市 の 双 方 と も に 維 持 管 理 上 の 問 題 点 が あ る 。
① 処理水の放流先水路が個人設置の水路や道路側溝であるため、悪臭発生等の苦
情 が 寄 せ ら れ る こ と が 多 々 あ る 。( 年 間 約 20 件 )
② 法定点検等の維持管理費の負担が、市にとっても住民にとっても重荷となって
いる。
住宅の前面が道路境界に接しており、
浄化槽の設置が困難である
主要地方道沿線では狭いスペースに
浄化槽を設置
25
安比川流域生活圏整備プロジェクト:下水道の整備
【特定環境保全公共下水道事業等の推進に係る課題・問題点】
○ 特定環境保全公共下水道事業のモデル事業(未普及解消クイックプロジェクト)
を進めるにあたって、事業の公益性や利点、受益者負担金や下水道使用料金などの
制度や仕組み、さらに融資斡旋・利子補給制度等についての十分な説明を行い、住
民の理解を得る必要がある。
○
事業導入地区内の既に市が管理している浄化槽使用者(63基)への対応や浄法
寺浄化センター(汚水処理場)周辺住民の理解が得られるよう十分説明する必要が
ある。
【その他の課題・問題点】
○ モデル事業(未普及解消クイックプロジェクト)導入以外の地区でも、地域の特
性にあった整備手法や財政面を十分に考慮した汚水処理方法を検討するとともに、
住 民 に 下 水 道 の 利 点 や 環 境 保 全 に 対 す る 理 解 を 求 め 、水 洗 化 を 促 進 す る 必 要 が あ る 。
5 基 本 となる施 策 の方 向
○
特定環境保全公共下水道事業計画区域では、モデル事業(未普及解消クイックプ
ロジェクト)によって得られる様々なメリットの周知徹底を図るとともに、地区住
民 が 抱 え る 不 安 に 対 し て は 十 分 な 説 明 を 行 い 、理 解 と 協 力 得 な が ら 事 業 を 推 進 す る 。
○
モデル事業(未普及解消クイックプロジェクト)導入以外の地区においては、今
後も生活排水処理施設整備事業による整備を計画的に進めるが、各地区の土地利用
状況や地域特性に応じた整備手法を検討し、整備コストの縮減や各汚水処理施設の
維持管理費の削減を図る。
モデル事業では安比川の左岸に
枝線管渠が布設される
26
安比川流域生活圏整備プロジェクト:下水道の整備
6 これから取 り組 むべき施 策
●
●特定環境保全公共下水道事業モデル事業(未普及解消クイックプロジェクト)の概
要
○
○
計画区域
6 5 ヘ ク タ ー ル( 下 林 ・ 三 区 ・ 仲 町 ・ 上 町 ・ 田 屋 ・ 朝 日 ケ 丘 ・ 松 森 ・
上荒町・下荒町・上春日町・下春日町・上岩渕・下岩渕・岡本・向
田・宮沢)の全て又は一部(次ページ参照)
水洗化率向上に向けた取り組みとして、公共下水道への接続に係る利子補給制度
のほか、浄化槽を新設する場合の補助制度を継続する。
浄 化 槽 設 置 整 備 事 業 ( 個 人 設 置 ): 旧 二 戸 市 区 域
住民負担が60%に対し、国や県、市が残り40%を補助する制度
住 宅 の延 床 面 積
人槽
補助金額
130㎡(約 40坪 )以 下 →小 家 族 住 宅 用
5人 槽
352,000円
7人 槽
441,000円
10人 槽
588,000円
○
計画人口
約1,000人(約370世帯)
130㎡(約 40坪 )超 え→小 家 族 住 宅 用
○
総事業費
1,398百万円
台 所 及 び浴 室 が2箇 所 以 上 →二 世 帯 ・大 家 族 住 宅 用
○
事業年度
平成20年度~24年度
○
施設整備計画
25年度全部供用開始
○
浄 化 槽 市 町 村 整 備 推 進 事 業 ( 市 町 村 設 置 ): 旧 浄 法 寺 町 区 域
浄化槽の設置や保守点検、清掃に関わる手続きを市が行う制度
住 宅 の延 床 面 積
施設名称
H 19
処理場
H 20
H 21
設計
工事
H 22
H 23
H 24
供用開始
幹線管渠
設計
設 計 ・工 事
工事
枝線管渠
設計
設 計 ・工 事
設 計 ・工 事
設 計 ・工 事
工事
工事施工予定
施
工
規
模
事
業
費
処 理 場
県代行
300 ㎥/日
220 百 万 円
幹線管渠
県代行
2, 600m
385 百 万 円
枝線管渠
二戸市
8, 100m
793 百 万 円
○
利子補給制度
台所、風呂場、トイレの水洗化等の改修工事を行う経費に対して、指定金融機関へ
の融資斡旋と融資を受けた場合の利子補給制度を実施している。
・個人住宅の場合の融資額 1世帯当り 100万円を限度
・アパート等の場合の融資額 1世帯当り 60万円を限度
27
専 用 ・併 用 住 宅 等 の
標準工事費
個 人 負 担 額 (1割 )
5人 槽
882,000円
88,200円
130㎡(約 40坪 )超 え→普 通 住 宅 用
7人 槽
1,104,000円
110,400円
10人 槽
1,495,000円
149,500円
台 所 及 び浴 室 が2箇 所 以 上 →二 世 帯 ・大
工事
浄化槽設置
130㎡(約 40坪 )以 下 →小 家 族 住 宅 用
家族住宅用
○
人槽
安比川流域生活圏整備プロジェクト:下水道の整備
二戸市特定環境保全公共下水道
全体計画区域 65.0ha
処理施設
凡例
計画区域
幹線管渠
28
安比川流域生活圏整備プロジェクト:下水道の整備
7 関 連 する施 策 ・事 業
参 考 資 料
●二戸市汚水処理基本構想の概要(再掲)
道路整備事業
特定環境保全公共下水道事業の地区内では、下水管の埋設に伴い市道の掘削が行わ
れることから、現状復旧にあわせて簡易舗装などの道路整備を推進する。
第1章
二戸市下水道基本構想策定の目的と概要
1.1
二戸市下水道基本構想策定の目的
平 成 18 年 1 年 1 日 に ( 旧 ) 二 戸 市 と 浄 法 寺 町 が 合 併 し , 現 二 戸 市 が 誕 生 し た 。
二戸市は,岩手県内陸部の北端(二戸地区)及び岩手県北部,奥羽山脈の北端部
( 浄 法 寺 ) に 位 置 し , 面 積 420.31( k m 2 ), 人 口 31,480 人 ( 平 成 17 年 国 勢 調
査速報値)を有する。
道の駅整備事業
公共下水道の処理施設整備予定地が道の駅敷地内に予定されていることから、下水
道施設を熱源とした融雪システム整備やトイレの洗浄水などへの利用を図る。
二 戸 市・浄 法 寺 町 合 併 協 議 会 は ,市 町 村 の 合 併 の 特 例 に 関 す る 法 律( 合 併 特 例 法 )
( 昭 和 40 年 法 律 第 6 号 ) 第 5 条 に 基 づ き ,『 新 市 建 設 計 画 』 を 作 成 し た 。
この中で新市の将来像を,
8 総 合 計 画 前 期 基 本 計 画 での位 置 づけ
「活力と安心,歴史文化の薫る拠点都市」
1)現状と課題
本 市 の 下 水 道 に つ い て は 、公 共 下 水 道 と 浄 化 槽 設 置 に よ り 整 備 を 進 め て お り 、汚 水 処
理 普 及 率 は 40.50 % と な っ て い ま す 。
今 後 、馬 淵 川・ 安 比 川 な ど の 汚 濁 防 止 と 快 適 な 居 住 環 境 の 確 保 を 図 る た め 、公 共 下 水
道 事 業 、浄 化 槽 設 置 整 備 事 業 、農 業 集 落 排 水 施 設 事 業 な ど 、地 域 の 状 況 に 合 わ せ た 処 理
方法による整備が求められています。
(総合計画前期基本計画「現状と課題」)
とし,
「 新 幹 線 や 高 速 自 動 車 道 を 最 大 限 活 か し な が ら ,歴 史 あ る 風 土 の 中 で 多 彩 な 産
業や安心,快適な生活環境による県北の拠点都市」の実現を目指している。
そこで,8つの分野別の方向として,
○地域資源を活かした創造産業によるまちづくり(産業の振興と雇用の確保)
○地域を担う人を育てるまちづくり(教育文化の充実)
○安全で安心して暮らせるまちづくり(保健,医療,福祉の充実)
○豊かで住み良いまちづくり(生活環境の充実)
○自然と共存するまちづくり(自然環境の保全と活用)
○市民とともに進めるまちづくり(開かれたまちづくりの推進)
○都市基盤の整備されたまちづくり(都市基盤の充実)
○スマートな行財政による新しいまちづくり(行財政改革の推進)
を示している。
この7つ目である「都市基盤の整備されたまちづくり」を実現するための主要事
業のひとつとして,上下水道の整備を挙げている。
2)施策の方向
生活環境の改善、公衆衛生の向上および公共用水域の水質保全を図るため、二戸市
汚水処理計画に基づき、公共下水道事業、浄化槽設置整備事業、農業集落排水事業等
の調整に努めながら、その地域の状況に合った効率的かつ適切な整備手法を選択し、
水洗化を推進します。
3)主要施策
● 公共下水道事業の計画的推進および維持管理・運営の適正化(事業の進捗に伴う
変更認可の策定、幹線管渠・枝線管渠の計画的な布設工事など)
● 浄化槽設置整備事業の計画的推進および適切な維持管理(浄化槽設置事業の計画
的推進、生活排水処理事業の計画的推進と適正管理など)
● 農業集落排水事業の計画策定および導入(農業集落排水事業の計画策定、農業集
落排水事業の導入など)
● 浄法寺地区の汚水処理計画見直しと事業推進(浄法寺地区における汚水処理方法
の検討、汚水処理計画の見直しなど)
したがって,現在の下水道整備状況,計画,課題点を踏まえつつ,下水道等各種
汚水処理施設の整備を計画的,効率的かつ適正に実施してゆくための,基本方針及
び施策を明らかにすることにより,
『 新 市 建 設 計 画 』で 目 指 す ま ち づ く り に 寄 与 す る
ために,二戸市下水道基本構想を策定する。
29
安比川流域生活圏整備プロジェクト:下水道の整備
1.2
二戸市下水道基本構想 下水道計画区域の概要
本 構 想 に よ り 定 め た 下 水 道 計 画 区 域 の 概 要 を 表 1.2-1 に 示 す 。
表 1.2-1
旧二戸市
二戸市下水道基本構想
下水道計画区域の概要
計
画
名
称 汚水処理実施計画
基本構想
策
定
年
次
平成16年度
平成18年度
目
標
年
次
平成32年度
平成32年度
行
政
人
口
25,300
人
25,300
人
下 水 道 計 画 人 口
19,000
人
20,400
人
農業集落排水計画人口
1,800
人
800
人
浄 化 槽 計 画 人 口
4,500
人
4,100
人
基本構想
計
画
名
称 生活排水処理基本計画
策
定
年
次
平成13年度
平成18年度
目
標
年
次
平成27年度
平成32年度
旧浄法寺町 行
政
人
口
4,600
人
4,600
人
下 水 道 計 画 人 口
0
人
1,760
人
農業集落排水計画人口
0
人
900
人
浄 化 槽 計 画 人 口
4,600
人
1,940
人
30
安比川流域生活圏整備プロジェクト:浄法寺診療所の整備検討
2 これまでの取 り組 み
○ 浄 法 寺 診 療 所 の整 備 検 討
○
健康に対する意識の向上や疾病予防事業の充実、乳幼児から高齢者まで、症例に応
じた適切な診療や看護が行われることで、圏域住民が安心して生活を送っています。
二戸市国保浄法寺診療所の過去 5 年間の利用状況について
延患者数
(人 )
1 日 当 たり
利用者数
(人 )
診療
収入額
(千 円 )
単年度
収支
(千 円 )
一般会計
繰入金
(千 円 )
年度末
累積
赤字額
(千 円 )
245
27,856
114.7
257,200
△41,079
62,954
64,671
平 成 15 年 度
245
20,967
85.6
218,749
△54,074
67,071
53,135
平 成 16 年 度
243
15,088
62.1
170,053
△53,882
40,000
68,597
平 成 17 年 度
243
12,561
51.7
164,527
△53,551
122,783
0
平 成 18 年 度
242
12,003
49.6
161,725
△39,349
40,500
0
診察
日数
(日 )
平 成 14 年 度
区
分
1 将 来 のすがた
○
○
地域の一次医療機関である浄法寺診療所や民間医療機関と二次医療機関である県
立二戸病院(広域基幹病院)や県立一戸病院(地域総合病院)の役割分担が確立さ
れ、それぞれの機能・役割に応じた施設整備や医師をはじめとする医療スタッフの
充実が図られている。
御返地診療所の廃止にともない御返地地区や上斗米地区なども医療圏となった浄
法寺診療所では、高血圧症や高脂血症、軽い糖尿病、骨粗しょう症などの慢性疾患
の対応や腰・膝・肩の痛み、軽い外傷、感冒といった一次医療について適切な対応
が行われている。
○
一次医療と二次医療の役割分担が確立され、地域住民の医療体制についての理解
が進むことで、症例等に応じた医療機関の適切な利用が図られている。
○
外来患者の増加と施設のコンパクト化による維持管理コストの削減により、浄法
寺診療所の経営が安定化しつつある。
○
※ 平 成 15 年 度 ま で は 医 師 2 人 体 制 、 16 年 度 は 応 援 医 師 対 応 に よ る 医 師 2 人 体 制 、
17 年 度 か ら 医 師 1 人 体 制 。
浄法寺診療所の患者数と診療収入の推移
(千円)
(人)
30,000
各種検診や予防接種、健康指導等について、浄法寺診療所と保健師、住民が連携
することにより、地区住民の健康維持が図られている。
300,000
27,856
25,000
250,000
257,200
20,000
218,749
20,967
患
者 15,000
数
診療収入
200,000
170,053
164,527
15,088
12,003
12,561
患者数
10,000
161,725
5,000
50,000
0
0
平成14年度
県立二戸病院
広域基幹病院として地域医療を担っている
31
診
療
150,000
収
入
100,000
平成15年度
平成16年度
年 度
平成17年度
平成18年度
安比川流域生活圏整備プロジェクト:浄法寺診療所の整備検討
● 平 成 18 年 度 二 戸 市 国 保 浄 法 寺 診 療 所 の 月 別 利 用 状 況 に つ い て
月別
診 察 日 数 (日 )
延 患 者 数 (人 )
4月
20
925
46.3
5月
20
999
50.0
6月
22
996
45.3
7月
20
1,043
52.2
8月
20
1,007
50.4
9月
20
936
46.8
10 月
21
1,013
48.2
11 月
20
1,154
57.7
12 月
20
1,072
53.6
1月
19
932
49.1
2月
19
910
47.9
3月
21
1,016
48.4
計
242
12,003
49.6
3 現
状
1 日 当 た り 利 用 者 数 (人 )
○
圏域には、歯科医院を除いて、二戸市国保浄法寺診療所のほか、内科の民間医療
機関が開業されている。
○
浄法寺診療所は、昭和29年に「浄法寺町立国保診療所」として開設され、その
後 、 昭 和 49 年 に は 建 物 が 新 築 さ れ 、 平 成 1 3 年 ・ 1 4 年 に は 建 物 改 修 が 行 わ れ て
いる。
施 設 等 の概 要
敷 地 面 積
建 物 構 造
延 床 面 積
5,004.13平 方 メートル
鉄 筋 コ ンク リ ー ト 一 部 2 階 建 て
9 1 5 . 7 1 平 方 メー ト ル
職員構成
医
看
護
放 射 線 技
事 務 職
窓 口 業
1人
5人
1人
2人 (事 務 長 は兼 務 )
2人 (委 託 )
師
師
師
員
務
●平 成 18 年 度 患 者 輸 送 車 年 間 利 用 者 調 べ
運行日数
往路利用者
利用延人数
内 /歯 科 医 院
内 /民 間
医療機関
4月
20
405
811
46
37
5月
20
402
774
29
43
6月
22
478
942
31
34
7月
20
398
806
30
32
8月
20
437
866
26
44
9月
20
417
834
37
36
10 月
21
436
884
34
43
11 月
20
459
919
28
53
12 月
20
484
962
28
43
1月
19
450
936
62
35
2月
19
445
924
40
36
3月
21
511
1,030
56
40
計
242
5,322
10,688
447
476
昭和49年に建設された
浄法寺診療所
32
○
浄法寺診療所の診療科目は、内科、外科、小児科、整形外科の4診療科となって
いる。
○
圏 域 は 農 林 業 を 主 と し た 中 山 間 地 で 、高 齢 者 も 多 い こ と か ら 、生 活 習 慣 病 や 腰 痛 、
膝痛、肩凝りなどの疾患が多い。
安比川流域生活圏整備プロジェクト:浄法寺診療所の整備検討
○
浄 法 寺 診 療 所 は 、建 設 当 時 入 院 患 者 が 17 人 、1 日 の 外 来 患 者 も 平 均 170 人 、多
い と き に は 200 人 余 り が 利 用 し て い た が ( 昭 和 49 年 9 月 時 点 の 旧 浄 法 寺 町 の 人
口 : 8 0 0 4 人 )、平 成 1 6 年 4 月 か ら 入 院 は 行 っ て お ら ず 、1 日 の 外 来 患 者 も 平 均
50 人 と 年 々 減 少 傾 向 に あ る 。( 平 成 20 年 1 2 月 末 現 在 の 浄 法 寺 地 区 の 人 口 : 5 ,
163人)
※ 開所日数
○
○
○
現在の施設は、老朽化に伴って維持管理費が増高していることに加え、入院休止
で使用していない部分にも、ある程度維持管理経費がかかっていることから、維持
管理経費を削減するため、診療所施設のコンパクト化や新築・移転について住民の
理解を得ながら検討を進める必要がある。
○
建物とともに医療機器の老朽化が進んできており、計画的な更新・整備が必要で
ある。
○
外来患者が減少傾向にある一方、高齢化に伴って寝たきりなどの通院できない患
者が増えるものと予想される。このことから、今後とも引き続き訪問診療や訪問看
護 体 制 を 維 持 し て い く た め 、継 続 的 な 医 師 の 確 保 と と も に 、二 戸 訪 問 看 護 ス テ ー シ ョ
ンや関係機関等との連携を強化する必要がある。
○
一次医療機関である浄法寺診療所や民間医療機関と二次医療機関である県立二戸
病院や県立一戸病院などとの間における地域医療機関としての役割分担について、
地域住民から必ずしも理解されていないため、症例等に応じた医療機関の適切な利
用が図られていない。
5日 (月 ~金 、火 ・木 は半 日 )/週
浄 法 寺 診 療 所 に お い て 平 成 5 年 か ら 始 め て い る 訪 問 診 療 は 、廃 用 症 候 群 や 脳 卒 中
後 遺 症 、 認 知 症 な ど の 対 象 者 21 人 ( う ち 寝 た き り の 高 齢 者 が 11 人 ) に 対 し て 原
則 1 ヵ 月 に 1 回 、医 師 と 看 護 師 が 計 画 的 に 自 宅 を 訪 問 し 、診 察 や 薬 の 処 方 な ど を 行 っ
ている。
※ 訪問日数
○
4 課 題 ・問 題 点
2日 (火 ・木 の半 日 )/週
訪問診療と同じく浄法寺診療所において平成 5 年から始めている訪問看護は、6
人 の 対 象 者 に 対 し て 原 則 1 週 間 に 1 回 、看 護 師 1 人 が 訪 問 し 、血 圧 や 呼 吸 、皮 膚 の
状態など健康状況の全体把握を行うとともに、必要に応じて医師と連絡をとりなが
ら 処 置 を 行 う な ど 、 24 時 間 体 制 が 取 ら れ て い る 。
公 共 交 通 機 関 に 乏 し い 地 域 に は 昭 和 43 年 度 か ら 患 者 輸 送 車 の 運 行 を 行 っ て い る 。
現 在 は 民 間 業 者 に 委 託 し て 10 地 区 を そ れ ぞ れ 週 2 回 ず つ 運 行 し て お り 、運 行 延 べ
日 数 は 年 間 242 日 で 、 各 地 区 と も 平 均 22 人 が 利 用 し て い る 。
※ 現 在 、県 立 二 戸 病 院 は、常 勤 医 師 29人 、研 修 医 3人 体 制 で運 営 されていることに加 え、診 療 所
でも十 分 対 応 できる症 例 患 者 や救 急 ではない救 急 患 者 への対 応 などによってパンク状 態 にある。
○
○
浄法寺診療所や民間医療機関は、広域基幹病院である県立二戸病院に脳梗塞や脳
内出血、心筋梗塞などの重篤な急患を紹介するとともに、浄法寺診療所や民間医療
機関では広域基幹病院を退院した回復期の患者に対して治療やリハビリを行うなど、
「病診連携」を行っている。
○
これまで浄法寺診療所では、ほほえみセンターと連携して各種検診や予防接種を
行ってきたが、平成20年度から始まる新たな医療制度のもとにおいても、浄法寺
診療所と保健師、住民が連携した健康指導体制を整え、引き続き地区住民の健康維
持を図る必要がある。
浄法寺診療所は、住民の健康管理のためほほえみセンターと連携して、健康教室
などの事業を行っている。
約 40 年 間 続 け て い る
患者輸送車の運行
ほほえみセンターでの
乳児検診の様子
33
安比川流域生活圏整備プロジェクト:浄法寺診療所の整備検討
5 基 本 となる施 策 の方 向
○
安比川流域生活圏域の中心的な一次医療機関である浄法寺診療所について、地域
医療体制を充実させるための一環として、その整備について検討する。
○
民間医療機関や二次医療機関である県立二戸病院などとの連携を強め、それぞれ
の役割分担に応じた適切な利用が図られるように、連絡体制の整備とともに地域住
民への周知活動を強化する。
○
全国的な医師不足の中、地域医療体制を継続的に維持していくため、関係機関と
の連携を含めた医師等の確保に向けた取り組みを強化する。
○
6 これから取 り組 むべき施 策
○
浄法寺診療所の整備検討
安比川流域生活圏域の中心的な一次医療機関としての役割や今後の利用見込みな
どを勘案した上で、最小限にして必要とする機能と設備を備えた施設とするため、
新築移転を含めた整備について検討する。
なお、検討にあたっては、過疎地域自立促進計画に診療所の整備が登載されてい
ることなどを踏まえ、国の各種支援制度を有効に活用することを視野に置くととも
に、ほほえみセンター及び総合支所への移転などについても可能性を探るものとす
る。
○
浄法寺診療所の周辺環境整備
現在の診療所に通じる市道小池線について道路幅員が3m以下と非常に狭い上に
砂利道であることから早急に改良舗装を行うなど、
「 ま ち の 駅 」グ ラ ン ド デ ザ イ ン に
基づいた環境整備を進める。
○
県立二戸病院等関係機関との連携強化
浄法寺診療所と県立二戸病院等の間における各種検診データの共有化とインター
ネットによる情報交換について検討を進める。
○
医師の確保
現在実施している二戸市医師養成事業(奨学金制度)を継続するとともに、医師
派遣にかかる県への要望を継続強化する。
○
赤字解消の推進
診療所施設のコンパクト化を図ることによる削減コストの試算を行うとともに、
金田一診療所と連携した医療機器や医薬品等の共同購入などを早急に実施する。
診療施設会計の健全化を図るため、運営及び維持管理経費の縮減についての検討
を強化する。
34
安比川流域生活圏整備プロジェクト:浄法寺診療所の整備検討
7 関 連 する施 策 ・事 業
参 考 資 料
※浄法寺診療所樋口所長による診療所が必要とする機能と設備の提案
●現在の診療内容に合わせた場合の新浄法寺診療所
1.診療時間内での一次医療、訪問診療の実施。
2.入院、夜間・休日診療は行わない。
3.研修医の受け入れを行う。
4.CTを使用する。
まちの駅整備事業
中心部の賑わいを取り戻すために、住民や関係団体との意見交換や協議を行いなが
ら、道路整備や公共施設の集積を進める浄法寺総合支所周辺への移転・新築について
検討する。
●上記を行う場合に必要な設備等
診 察 室( 感 染 症 予 防 、研 修 医 対 応 で 2 室 )、処 置 室 、X 線 ・ C T 室 、腹 部 エ コ ー ・
内視鏡室、点滴患者用観察室、検査室、理学療法室、薬局、事務室、待合室、医
師 待 機 室 ( 医 局 )、 職 員 休 憩 室 ( 食 堂 )、 リ ネ ン 室 、 洗 濯 室 、 滅 菌 室 、 ト イ レ 、 応
接室、遺体安置室
8 総 合 計 画 前 期 基 本 計 画 での位 置 づけ
1)現状と課題
地 域 医 療 に 対 す る 要 望 が ま す ま す 多 様 化 す る 中 で 、県 立 二 戸 病 院 等 の 医 療 機 関 と 連 携
した医療体制の整備充実が必要となっています。
一 方 、医 療 費 は 、人 口 構 造 の 高 齢 化 、慢 性 疾 患 患 者 の 増 加 、医 療 技 術 の 高 度 化 な ど か
ら増加傾向にあり、国民健康保険の財政運営は年々厳しくなっています。
国 民 健 康 保 険 制 度 は 、個 人 で 負 担 し き れ な い 部 分 を 社 会 全 体 で 分 か ち 合 う こ と を 目 的
に つ く ら れ た も の で あ る た め 、行 政 サ ー ビ ス と 税 の 相 関 性 の 視 点 に 立 っ て 地 域 の 将 来 を
考 え て い く 政 策 形 成 が 必 要 で あ り 、保 健 予 防 に 力 を 入 れ 、医 療 給 付 費 を 抑 え て い く こ と
が求められています。
(総合計画前期基本計画「現状と課題」)
2)施策の方向
浄 法 寺 診 療 所 は 、 町 立 国 保 診 療 所 と し て 昭 和 29 年 度 に 開 所 以 来 、 浄 法 寺 地 区 の 医
療中核施設として大きな役割を果たしてきました。
高齢化が進むこの地域にあって、療養型病床の整備や患者輸送バスの運行など住民
への利便性向上に努めてきましたが、施設の老朽化が著しいことから、公共施設の集
積が見込まれる中心地域への新設移転も含めて診療所の整備を検討します。
3)主要施策
● 浄法寺診療所の整備検討
● 県立二戸病院等関係機関との連携(多様化する医療ニーズに対応するための関係
機関との連携)
4)関連主要施策
公共施設の集積とにぎわい空間づくり(まちの駅整備)
35
安比川流域生活圏整備プロジェクト:道の駅整備
○ 道 の駅 整 備
○ 「道 の駅 」利 用 台 数 20 万 台 /年 (平 成 27 年 度 )
(漆 と天 台 寺 を中 心 とした関 連 施 設 整 備 )
○ 商 店 集 積 (浄 法 寺 IC~向 田 地 区 ) 9 軒 (平 成 19 年 度 )⇒20 軒 (平 成 27 年 度 )
地域情報発信の場、当地を訪れた人々の憩いの場、地域住民との交流の場であり、集
客 性 を も 備 え た 施 設 と し て 有 効 に 機 能 し 、来 訪 者 の 地 域 に 対 す る 関 心 が 深 ま る と と も に 、
交流人口が着実に増加して、
「 漆 」や「 天 台 寺 」を 核 と し た 新 し い 観 光 の あ り 方 が 確 立 さ
れています。
ま た 、こ の こ と が 地 域 の 魅 力 を 高 め 、地 場 産 業 の 活 性 化 や 若 者 の 定 着 な ど に も つ な が っ
ています。
2 これまでの取 り組 み
「 道 の 駅 」は 、新 市 建 設 計 画 に お い て「 交 流 人 口 の 拡 大 を 図 る 」た め 、
「観光を主とし
た産業振興の核」として整備するとされたものであり、これを踏まえて総合計画前期基
本計画に主要施策の一つとして位置づけられたものである。
なお、天台寺周辺環境整備の一環として旧岡本小学校跡に「道の駅」を整備する計画
については、旧浄法寺町時代に一帯の測量調査・構想図の作成・廃校施設の解体設計・
温泉源調査を進めてきたが、厳しい財政状況の中で、費用対効果はじめ市民が納得でき
る施設とするためには、規模や運営経費も含めた検討が必要となっている。
このため、市民や関係者との協議を行い、どのような施設とするべきか提案してもら
うことで、市民やボランティア団体による整備後の施設の管理運営への協力体制の構築
なども視野に入れた整備計画を策定する必要があり、地域住民との意見交換会や内部で
の検討を重ねてきた。
1 将 来 のすがた
○
天台寺を起点として、安比川・馬淵川流域に点在する観光資源への玄関口としての
地位が確立している。
○
天 台 寺 、 滴 生 舎 、「 道 の 駅 」、 天 台 荘 、 浄 法 寺 地 区 中 心 市 街 地 、 キ ッ チ ン ガ ー デ ン 、
浄南ママ直センター、天台の湯などの施設や商店街などが線としてつながり、天台寺
を訪れた交流人口が地域に経済的・社会的波及効果をもたらしている。
○
学校統合により廃校となった旧岡本小学校敷地に、
「 天 台 寺 」や「 漆 」を は じ め と し
た地域特性を発信する施設が整備され、地域イメージの発信基地として有効に活用さ
れている。
○
天 台 寺 の 歴 史 や 文 化 が 地 域 の 資 源 と し て 、地 域 住 民 に 理 解 さ れ る と と も に 、
「信仰の
場」として多くの参拝者が訪れている。
○
従来のおいしい食事や温泉・名所旧跡を求める観光のスタイルから、地域の生活・
風土に根ざした「漆」や「天台寺」などをテーマとした物語性のある観光のスタイル
が 定 着 し 、「 道 の 駅 」 が そ の 新 し い 観 光 の 窓 口 と し て 有 効 に 機 能 し て い る 。
○
瀬戸内寂聴師の志を継ぎ、天台寺境内はもとより周辺環境の景観保全や環境整備に
天台寺・地域・行政が一体となって取り組んでいる。
○
「道の駅」が地域に住む市民にとっても身近な存在となっており、管理運営をはじ
めその利用においても市民やNPO・ボランティアグループなどの市民団体が積極的
に関わっている。
○
「道の駅」が起爆剤となって県道沿いや市道御山線沿いに商店などが集積し、産業
や雇用の場が創出されている
旧岡本小学校校舎
天 台 寺 の 入 口 に あ る が 、学
校統合により廃校となった
【成 果 目 標 】
○ 天 台 寺 交 流 (観 光 )人 口 10 万 人 /年 (平 成 27 年 度 )
(100 万 人 の交 流 人 口 が 1,900 人 の定 住 人 口 に匹 敵 する経 済 効 果 を生 むという試 算 結 果 が山
形 県 企 画 観 光 課 から出 されている。)
36
安比川流域生活圏整備プロジェクト:道の駅整備
【経緯】
これまで旧浄法寺町時代に「瀬戸内寂聴さん」の集客能力や強い働きかけがきっかけ
となり、天台寺境内地の整備として庫裏修復・あじさい植栽・本堂大屋根修復・参道石
段 修 復・伝 長 慶 天 皇 御 陵 墓 整 備・霊 園 整 備・護 摩 堂 建 立( 以 上 、事 業 主 体 天 台 寺 )や「 み
ろくの森」整備(県事業)など、周辺環境整備として「御山橋」や「マイロード」など
の 道 路 ・ 橋 梁 整 備 、「 滴 生 舎 」 や 「 桂 庵 」 な ど の 施 設 整 備 を 行 っ て き て い る 。
ま た 、こ れ ら の 整 備 と あ わ せ て 、法 話 は も ち ろ ん の こ と 、
「 不 滅 の 法 灯 」分 灯 や 灯 篭 流
し、小学生を対象とした「寂聴サマーキャンプ」や成人式、舞楽復興やあじさいまつり
開催など、天台寺、地域、関係団体、行政が様々な形で事業を展開してきたところであ
る。
3 現
○
状
主要地方道二戸五日市線の浄法寺地区、特に天台寺の玄関口である向田地区に自動
車通行者のための休憩施設がない。
※ 主 要 地 方 道 二 戸 五 日 市 線 浄 法 寺 地 区 交 通 量 ( 平 成 17 年 度 平 日 調 査 )
浄 法 寺 地 点 3,812 台 /日 、似 鳥 馬 場 野 地 点 6 ,756 台 ( 交 通 量 の多 さの基 準 は約 5 千 台 / 日 )
※ 浄 法 寺 IC利 用 台 数
平 成 14 年 度 478 台 / 日 ・ 平 成 15 年 度 530 台 ・平 成 16 年 度 551 台 ・ 平 成 17 年 度 601 台
○
平 泉 の 世 界 遺 産 登 録 ( 平 成 20 年 7 月 登 録 見 込 み ) に よ り 、 県 内 へ の 観 光 客 が 飛 躍
的に増加することが見込まれる。
○
「天台寺」への来訪者が、浄法寺地区中心部や他の市内観光地へ流れていない。
○
平 成 17 年 4 月 、旧 浄 法 寺 町 で 小 中 学 校 統 合 が 行 わ れ 、天 台 寺 の 玄 関 口 に 立 地 し て
いた旧岡本小学校(現在は公民館分館)が実質的には遊休施設となっている。
○
天台寺は古代最北の仏教文化の中心地であり、糠部(奥州)三十三観音巡礼札所の
詣り納めの寺院として主に旧南部領内の人々の篤い信仰を集めているとともに、天台
寺境内地と周辺地域は当時の景観をとどめ、周辺環境との調和も保たれている。
○
天 台 寺 は 、 国 指 定 3 件 、 県 指 定 10 件 、 市 指 定 23 件 の 仏 像 、 建 造 物 、 工 芸 品 な ど
を抱えており、県内では平泉中尊寺に継ぐ文化財の宝庫である。
○
天台寺住職を退任し名誉住職となった瀬戸内寂聴師の法話日は大勢の人が訪れ賑わ
い を み せ て い る が 、年 間 の 観 光 客 数 は 減 少 し て き て い る 。
( 平 成 19 年 度 は 5・6・9・
10 月 の 4 回 開 催 )
平 成 18 年 1 月 の 合 併 後 は 、 新 二 戸 市 の 総 合 計 画 に も 観 光 振 興 の 施 策 と し て 「 道 の 駅
整備事業」が盛り込まれるとともに、重点プロジェクトとしても掲げられた。
平 成 19 年 度 は 「 道 の 駅 」 に つ い て 、 地 域 住 民 や 商 店 関 係 者 、 天 台 寺 や 漆 の 関 係 者 な
どとの意見交換会を進めながら、庁内組織である「計画策定委員会」で、施設整備につ
いての基本的な方向性について検討を重ねて来た。
この中で、施設の規模や内容についての意見をはじめ、施設の運営や活用についても
様 々 な 意 見 が 出 さ れ た 。( 意 見 交 換 会 で 出 さ れ た 主 な 意 見 に つ い て は 参 考 資 料 参 照 )
発 言 者 の 立 場 に よ り 、多 様 な 意 見 が あ っ た が 、分 散 し て い る 地 域 の 資 源 に 人 を「 誘 導 」
する機能を中心に施設整備をすることで、施設内容や運営についての検討を進めること
となった。
【検証】
寂聴さんが住職に就任してから、天台寺の周辺環境が大幅に改善され、法話に訪れる
人も増加してきた。
しかし、住職を離任した後は、観光客が減少しており、天台寺が本来持っている「信
仰の場」としての魅力を活かした振興策が必要となっている。
※ 平 成 13 年 度 52 ,712 人 ・ 平 成 14 年 度 46,7 24 人 ・ 平 成 15 年 度 49,3 04 人 ・ 平 成 16 年 度 54,6 05 人 ・
平 成 17 年 度 37 ,966 人
また、
「 漆 」に つ い て も 、様 々 な 場 で 取 り 上 げ ら れ る こ と が 多 く な っ て き た が 、生 漆 や
漆器の生産・販売について、生産者・制作者の確保をはじめとした体制整備を進める必
要がある。
37
○
瀬 戸 内 寂 聴 師 の 天 台 寺 住 職 就 任 か ら 20 年 が 経 過 し 、
「 天 台 寺 」の 名 前 が 全 国 的 に 知
られるようになった。
○
浄法寺の地域特性である「漆」が単に漆器の塗装材ではなく、縄文時代から日本人
の生活と文化を支えてきた素材であり、その独特の採取技法をはじめ、国宝や重要文
化財の修復に不可欠であること、
「 漆 」の 様 々 な 効 用 な ど に つ い て は あ ま り 知 ら れ て い
ないうえ、情報の発信も不足している。
安比川流域生活圏整備プロジェクト:道の駅整備
瀬戸内寂聴さんの法話
天台寺の知名度は上がっ
たが、法話回数の減少によ
り観光客も減少した
○
○
財政状況が厳しいため、初期投資額を軽減させる整備が必要である。
○
「天台寺」や「漆」など地域の特性を活かした観光スタイルが確立されていない。
○
現在の天台寺参拝者の大半が瀬戸内寂聴名誉住職の法話を目的としているが、法話
に替わる集客手段が構築されていない。
○
議会においても「記念館」の建設に向けた質疑があり、施設整備にあたっては検討
が必要である。
○
「うるし博物館を考える会」からの「浄法寺の地にうるし博物館の設置を求める請
願 」が 二 戸 市 議 会 平 成 18 年 9 月 定 例 会 で 採 択 さ れ て い る こ と と 合 わ せ て 、具 体 的 な
施設内容の検討が急がれている。
○
通 常 、「 道 の 駅 」 の 利 用 者 は 食 事 や 地 域 の 特 産 品 な ど の 買 い 物 を 目 的 と し て い る が 、
既存施設と競合しない独自の商品あるいは商品開発の動きがない。
○
歴史や文化、日常生活を「資源」と捉え、それを「商品」としていくために、観光
客のニーズにあった柔軟なコース設定が必要である。
○
第 3 セクターはあるものの浄法寺地区にはNPOやボランティアグループなどの市
民団体の存在が少なく、市民との協働を念頭に置いた整備後の施設の管理運営体制の
検討が進んでいない。
○
交通量が多く恒常的に地域外の方々の利用が見込めるという場所ではないため、年
間を通して地域住民の利用も図られる施設が望まれる。
平 成 18 年 11 月 に 16 名 の 会 員 で 構 成 さ れ る 「 天 台 寺 観 光 ボ ラ ン テ ィ ア ガ イ ド の
会」が設立されている。
※ ガイド 実 績
平 成 17 年 度 21 回 4 66 名 、平 成 18 年 度 (4 月 29 日 ~11 月 4 日 )30 回 907 名
○
○
天台寺や漆をはじめとした、地域特性を活かしたまちづくりを進めるための住民意
識が醸成されていない。
4 課 題 ・問 題 点
○
整備施設にあわせて展開すべきソフト事業の検討が必要である。
○
「漆」や「天台寺」に関連した商品をはじめ、地域の生活習慣も含めて「商品」と
するための、方法や手段が確立されていない。
また、漆器に使用される木地の生産者や塗師など、意欲のある技術者を受け入れる
体制も整っていない。
○
土 地 の 流 動 化 が 進 ま ず( 特 に 市 道 御 山 線 沿 い )、ま た 地 域 の 商 工 関 係 者 の 体 力 も な い
た め 、「 門 前 」 の に ぎ わ い を 演 出 す る ま で の 商 店 集 積 が 進 ん で い な い 。
○
「地産地消」を推進するため、施設整備にあたって地域材等を積極的に活用する必
要がある。
天台寺を核とした交流人口が、必ずしも地域に経済効果をもたらしていない。
○
既存民間施設と競合する可能性が高い食事や買い物(産直)施設を除いた場合、集
客効果が高くセールスポイントとなる施設内容が絞り込めていない。
○
政教分離の原則を前提として天台寺及び周辺環境整備を進めるものであるが、天台
寺、地域、行政それぞれの役割分担が必ずしも確立していない。
38
安比川流域生活圏整備プロジェクト:道の駅整備
○
5 基 本 となる施 策 の方 向
施設の基本的機能
新 市 全 体 の 観 光 拠 点 と な る 資 源 は 広 い 範 囲 に 分 布 し て お り 、分 散 し て い る「 宝 」
・
「漆」
・
「天台寺」などの地域資源に人を「誘導」し地域の活性化を図る必要があるため、施設
整備計画の策定にあたっては、
①
地域特性を発信する機能
○
初 期 投 資 を 抑 制 し な が ら も 地 域 の 特 色 を 出 し た「 道 の 駅 」と す る た め 、
「 寂 聴 記 念 館 」、
「うるし博物館」については独立させずに、施設の一部として整備する。
○
「 寂 聴 記 念 館 」の 内 容 に つ い て は 、
「 作 家 」と し て よ り も「 住 職 」と し て の イ メ ー ジ
が本地域では強いことから、地域と天台寺住職としての関わりを展示テーマの中心に
するとともに、来場者との関わりも持たせるために、例えば「天台寺豆地蔵」の製作
及び展示コーナーを設置する。
○
「うるし博物館」の内容については、既存施設である「滴生舎」や「浄法寺歴史民
俗 資 料 館 」、 あ る い は 八 戸 市 に 2011 年 度 開 館 予 定 の 「 仮 称 是 川 縄 文 館 」 の 内 容 と 重
複しないようにテーマを絞り込むとともに、
「 日 本 う る し 掻 き 技 術 保 存 会 」、
「岩手県浄
法 寺 漆 生 産 組 合 」、「 滴 生 舎 共 同 販 売 組 合 」、「 う る し 博 物 館 を 考 え る 会 」 及 び 「 漆 を 活
かしたまちづくり」所管部局との協働・連携を前提としたものにする。
○
市 内 外 の 民 間 事 業 者 や N P O 、 関 係 機 関 等 と の 連 携 に よ る 「 天 台 寺 」・「 漆 」 な ど 地
域資源に絞った新たな観光商品の開発を進め、当該圏域のイメージ形成を図る。
施 設内 です べて が完結 する よう に機 能を集 約す るの では なく、分散し てい る 拠点
に人を「誘導」し地域の活性化を図る地域の玄関口としての機能
②
地域特性である「天台寺」と「漆」の情報を、地域の歴史や人との関わりを含め
提供する地域特性を発信する機能
③
地域住民による「市」の開催や郷土食の提供など、地域住民の交流の場としての
機能
を持った施設とする。
整備にあたっての方向性
前
○
○
提
道路からのアクセス、景観及び施設の効率的な配置という観点から、旧岡本小学校
校舎・屋内体育館については撤去する。
※ 例 え ば、瀬 戸 内 寂 聴 師 が天 台 寺 に晋 山 し た 5 月 5 日 を「 寂 聴 記 念 日 」 とし 、例 大 祭 の前 夜 祭 とし た
「寂 聴 フェスティバル」を開 催 など。
夜間の交通量が少なく利用率が低いと見込まれることから、光熱水費等の維持管理
経 費 抑 制 を 図 る た め に 、ト イ レ・駐 車 場 を 含 め て 利 用 時 間 を 制 限 す る こ と を 検 討 す る 。
○
※ こ の場 合 、「 道 の駅 」 とし ての要 件 を満 たさ なくなる。
地域の玄関口としての機能
○
情 報 提 供( 施 設 )に つ い て は 、天 台 寺 を 始 め と し た 市 内 観 光 地 へ の 誘 導 を 図 る た め 、
タクシー会社との連携も視野に入れた「車」での移動を意識したものに絞り込むとと
もに、ボランティアガイド待機所的な機能を含んだものとして整備する。
○
車での移動を考慮しルート設定を行うとともに、誘導標識の統一など関係団体が一
体となった整備を行う。
○
施 設 内 容 の 素 案 が 出 さ れ た 段 階 で 、施 設 利 用 見 込 者 の 意 向・動 向 分 析 、旅 行 エ ー ジ ェ
ントへのヒアリングなど、ニーズ分析やマーケティング調査を実施する。
視覚効果や宣伝効果があり「立ち寄ってみたい」気持ちを喚起させることができる
シンボル施設を検討。
(例えば、
「 寂 聴 か ら く り 人 形( 時 計 )」
「鳥居」
「漆塗り木製自動
車」など)
39
「道の駅」を起点とした圏域の歴史・文化などを背景とする情報発信(圏域イメー
ジの発信)を繰り返すとともに、地域のホスピタリティ醸成の学習会などを継続実施
し、観光施設・宿泊・飲食・交通分野などでの民間消費を拡大する。
安比川流域生活圏整備プロジェクト:道の駅整備
地域住民の交流の場としての機能
○
産直施設については、地域による自主的運営を前提とした強い要望があった場合に
整 備 を 検 討 す る も の と す る が 、当 面 、地 域 住 民 が 自 由 に 活 用 で き る 空 間 と し て 、
「道の
駅」内に「市」の開催スペースを確保する。
○
計画・設計・施工の各作業段階において、地域住民・関係団体(天台寺観光ボラン
ティアガイドの会・うるし博物館を考える会・滴生舎共同販売組合等)に関わっても
らうことにより、管理運営への参画機運を醸成する。
○
イメージを体現できる地域資源の整備・コース設定を行い、イメージの語り部とな
るボランティアガイドの活動を強化するとともに、観光客のみならず地域住民をも対
象とした体験・学習型のイベントを実施し、沿線の施設やイベントとのネットワーク
を確立する。
○
観光商品の開発や圏域のイメージ形成、沿線の施設やイベントとのネットワーク確
立、民間消費の拡大などが誘因となって期待される民間投資や公共投資による基盤整
備 に よ り 、「 門 前 」 の に ぎ わ い を 取 り 戻 す た め の 「 天 台 寺 周 辺 環 境 」 を 完 結 さ せ る 。
○
工房兼住宅の整備による技術者の定住促進と、他地域との交流による新商品開発、
流通経路の拡大に向けた検討。
40
安比川流域生活圏整備プロジェクト:道の駅整備
6 これから取 り組 むべき施 策
2
○
「道の駅」整備事業
天台寺の入口に位置する旧岡本小学校用地を活用し、地域特性を発信し人の交流を活
発にする「地域の玄関」となる施設を整備する。
(仮称)うるしの里工芸館
1
施設の全体的な方向性
観 光 拠 点 と な る 資 源 は 広 い 範 囲 に 分 布 し て お り 、分 散 し て い る「 宝 」・「 漆 」・「 天 台 寺 」
などの地域資源に人を「誘導」し地域の活性化を図る必要があるため、次の3つを基本
に施設整備や施設運営を行う。
整備に係る基本的な方向性について
①
施 設 内 で す べ て が 完 結 す る よ う に 機 能 を 集 約 す る の で は な く 、分 散 し て い る 拠
点に人を「誘導」し地域の活性化を図る地域の玄関口としての機能
施設整備の考え方
こ れ ま で の 観 光 は 、 名 所 ・ 旧 跡 を 「 見 る 」 観 光 が 主 体 と な っ て い た が 、 近 年 、「 見 る 」
だけの観光地は入り込み客数の減少が著しくなっている。
その一方で、体験型施設や体験プログラムを備えた施設の需要は高まっている。
しかし、この体験型観光は、観光客の需要と提供できる体験が一致することが必要であ
り、一つの施設にすべての体験プログラムを用意することは不可能である。そのため、
観光客の需要にすべて応えることはできない。
また、整備された体験型観光施設についても、地域との関係が希薄で、どこにでもあ
るような体験の羅列に過ぎないものも多く見られる。
【方向性】
他の地域で既に整備された「道の駅」には、産直施設や食堂等が整備されているが、
二戸五日市線の交通量が少ないことから、一般的な「道の駅」ではなく、地域情報を発
信し、その情報により訪れた人が地域内に流れ込む役割を担う機能を中心に整備するこ
とが望まれている。
また、周辺には天台寺・滴生舎等の施設はあるものの、浄法寺地域の観光拠点となる
資源は広い範囲に分布しており、施設内ですべてを完結させる機能を集約するのではな
く、分散している拠点に人を「誘導」し地域の活性化を図る整備が望まれている。
このような中で、他の地域と差別化を図り、この地域の特性を活かすために、地域が
有する歴史・文化資産、産業資産などを活用し、訪れた観光客が地域の生活やイベント
に参加することで、地域住民をはじめとした地域の担い手と交流を行い、その地域の歴
史、風土、生活、産業などを感じ、体験することによって、地域そのものへの理解を深
める観光を目指すことが必要となる。
そのため、施設の整備にあたっては「地域固有の資源や生活習慣を活用し、地域文化
の発信機能」を備えた整備を行う必要がある。
【効果】
地域内の情報を提供し、地域内に点在する観光施設や飲食施設等へ人を流すことによ
り 、 施 設 内 に 同 種 の 機 能 ( 例 え ば 「 漆 」、「 飲 食 」 な ど ) を 整 備 す る 必 要 が な く な る と 同
時に、既にある施設(天台寺、滴生舎、民間事業者)を効果的に活用できる。
また、
「 な に ゃ ー と 」は 新 幹 線 な ど の 公 共 交 通 機 関 を 利 用 す る 来 訪 者 を 対 象 と し て い る
のに対し、自家用車を対象とした施設とすることで、機能分担を図ることが出来る。
このことにより、地域住民にとって日常的な生活や活動が、訪れる観光客にとって非
日常的であり、驚きや感動を生む要素となり、自然や農業体験に限らず、街並、遺構を
は じ め 、現 在 稼 働 し て い る 産 業 施 設 も 観 光 対 象 と す る こ と が で き 、地 域 住 民 に と っ て は 、
自分たちの生活の中で見過ごしていた地域の特徴を掘り起こすことで、地域の良さを学
ぶことが可能となる。
②
地 域 特 性 で あ る 「 天 台 寺 」 と「 漆 」 の 情 報 を 、 地 域 の 歴 史 や 人 と の 関 わ り を 含
め提供する地域特性を発信する機能
【方向性】
地 域 特 性 と し て 盛 り 込 む べ き も の と し て は 、「 天 台 寺 」「 漆 」 が 揚 げ ら れ る 。
「天台寺」は瀬戸内寂聴名誉住職の法話に伴って、観光拠点としての位置づけが大き
くなったが、本来は信仰の場として周辺の賑わいを創出してきたものである。しかし、
天台寺が平泉文化に先行する古代最北の仏教文化の中心地であり、仏像を始めとして数
多くの文化財を今に伝えていることの情報が不足している。
41
安比川流域生活圏整備プロジェクト:道の駅整備
また、
「 漆 」に つ い て も 浄 法 寺 地 域 が 国 内 生 産 量 の 6 割 を 占 め る 良 質 な 漆 の 産 地 で あ り 、
その漆が縄文時代から日本人の生活と文化を支えてきた素材であり、その独特の採取技
法 を は じ め 、国 宝 や 重 要 文 化 財 の 修 復 に 不 可 欠 で あ る こ と 、
「 漆 」の 様 々 な 効 用 な ど に つ
いては情報提供が不足している。
この2つについては寂聴記念館やうるし博物館といった構想が民間あるいは行政内部
で幾度か議論された経緯もあり、他の地域と差別化を図るうえでも欠かせない要素とな
る。
「 天 台 寺 」に つ い て は 、瀬 戸 内 寂 聴 名 誉 住 職 の 足 跡 や 天 台 寺 そ の も の の 文 化 的 価 値 を 、
「漆」については生漆の生産や漆器製造をはじめ、文化財や住民生活との関わりなどを
情報として発信する。
【来訪者・観光客】
・感動、感銘
・漆掻き体験
・特産品の購入 など
【効果】
地域特性を新たな角度で見直しそれを発信することにより、新たな交流が生まれ、そ
れが「人」や「商品」のさらなる交流や広がりを持つことで地域の活力が生まれる。こ
のことにより、流行にとらわれない継続的な地域活性化が可能になる。
・観光ニーズの提供
・よそ者の目からの情報提供 など
情報収集・提供
交 流
地域の玄関口
地域特性の発信
・地域のガイド
・特産品の販売
・飲食の提供 など
③
・「行って見たい」
・「やってみたい」
・「知りたい」
・観光ニーズの把握
・天台寺や漆など地域の情報発信
・移動経路の整備 など
地域住民の交流
「 天台寺」 「
天台寺 」 「漆
」 「 漆 」
地 域住 民に よる「市」の開 催や 郷土 食の提 供な ど、地 域 住 民の 交 流 の場 と し
【行政】
【地域住民】
ての機能
・資源の発掘
・資源の維持
・人の育成
地域固有の資源・生活習慣を活用
し、地域文化を発信する
・情報の収集と提供
・活動の助成
・案内標識などの整備
協 働
【方向性】
地域住民の交流を図る機能の代表的なものとして「産直施設」が揚げられるが、二戸
五 日 市 線 沿 線 に は 既 に 「 小 菊 の 里 」、「 キ ッ チ ン ガ ー デ ン 」、「 浄 南 マ マ 直 」 が あ り 、 購 買
需要はほぼ充足されている。また、地区内に野菜等の生産農家が少なく販売品目・数量
の確保には、集荷範囲を拡大する必要がある。
従 っ て 、常 時 農 産 物 を 販 売 す る よ う な「 産 直 施 設 」で は な く 、不 定 期 に 開 催 さ れ る「 市
日」を開催できるような機能を整備し、地域住民主体で取り組む基礎を作っておき、将
来は定期的に農産物や郷土食の提供を地域住民が行えるようにすることが望ましい。
また、
「 地 域 住 民 の 交 流 」と い う 視 点 か ら 見 れ ば 、浄 法 寺 地 域 を は じ め 二 戸 地 域 の 住 民
との相互交流を推進するための機能も持つことが求められる。
・新たな資源の発掘
・資源の維持
・地域活動の推進 など
・住民活動への助成
・資源維持への助成
・ガイド育成の支援 など
全体的な方向性イメージ図
な お 、敷 地 内 に は 公 共 下 水 道 の 処 理 場 が 整 備 さ れ る こ と か ら 、下 水 道 管 を 熱 源 に し た 、
ヒートパイプ方式の無散水融雪システムの駐車場への導入や、浄化した水のトイレ洗浄
水への利用など、維持経費の軽減を図る施設として整備する。
【効果】
地域住民が自発的に農産物等を販売できる「場所」の提供を行うことで、施設と住民
の接点を持たせることが出来るとともに、
「 市 」に 出 品 す る 他 地 域 の 住 民 と の 交 流 も 生 ま
れる。
スペースの活用については、農産物等の「産直」はもとより、フリーマーケットの開
催や地元商店のイベント出店など、形にとらわれないものとすることで、住民交流を促
進することが可能となる。
42
安比川流域生活圏整備プロジェクト:道の駅整備
3
施設の整備内容と果たすべき役割
全体的な方向性で示した3つの機能を中心に、施設の各部分がどのような役割を担うかの概略を示すと次のとおりである。
施
区
設
分
サービス
地域の
玄関
情 報
発 信
集 客
住 民
交 流
収 益
運 営
駐
車
場
・県 道 利 用 者 、施 設 来 訪 者 の休 憩 所 となることから、安 全
で使いやすい整 備 が必 要
・冬 期 間 も開 放 する場 合 は、除 排 雪
の経 費 がかかる
ト
イ
レ
・公 共 施 設 であり、高 齢 者 、妊 産 婦 、障 害 者 などへ配 慮 し
た整 備 が必 要
・冬 期 間 も開 放 する場 合 は、凍 結 防
止 などの対 策 が必 要
・施 設 の軒 先 を利 用 し気 軽 に利 用 できる休 憩 所 や室 内 の
情 報 コーナーと一 体 となった整 備 が必 要
休
・創 作 活 動 の展 示 や販 売 など住 民 活 動 の場 として活 用 できる整 備 が
必要
憩
・通 過 型 の利 用 者 に対 しては、地 域 に興 味 を持 ってもらう導 入
口 となるため、インパクトのある整 備 が必 要
情
提
報
供
・地 域 内 へ人 を誘 導 するために、拠 点 までのルートや、モデル
コースなど、車 での移 動 を考 えた整 備 が必 要
・様々な情 報 を伝 えるためボランティアガイドなど、「人 と人 」の
交 流 がある整 備 が必 要
・天 台 寺 や漆 に関 連 した拠 点 、飲 食 店 、産 直 、宿 泊 施 設 など
の情 報 で、興 味 を引 き出 すような整 備 が必 要
・ボランティアガイドの待 機 所 を設 置
し、有 償 でガイドを行 うことで、活 動 資
金 が集 められないか検 討 する
連
・日 常 生 活 の「生 活 空 間 モデル」となる部 屋 を再 現 し、漆 を使 った工
芸 品 などの展 示 により人 と漆 の関 わりを解 説 することが必 要
(「漆」と文 化 ・文 化 財 、「漆 掻 き」)
・漆 器 などの生 産 過 程 が見 学 できる工 房 を整 備 し、来 訪 者 の興 味 を
引 き、「知 りたい」ことに対 応 する整 備 が必 要
天 台 寺
(寂聴さん)
関
連
・瀬 戸 内 寂 聴 名 誉 住 職 と古 くから信 仰 の対 象 となった天 台 寺 につい
て、施 設 内 に「茶 室 」を整 備 し、天 台 寺 の歴 史 や瀬 戸 内 名 誉 住 職 と
の関 わりを中 心 に紹 介 する整 備 が必 要
漆
関
住
協
・工 房 兼 住 宅 については、職 人 が不
在 となる場 合 などの対 応 について検
討 が必 要
・住 民 団 体 による「茶 会 」の開 催 など、「見 る」だけでなく、「使 う」施 設
として整 備 することが必 要
・法 話 のCD販 売 など収 入 を上 げるための検 討 が必 要
・住 民 主 体 によるフリーマーケットなどの開 催 に使 用 できる一 定 のスペー
スを屋 外 に確 保 する整 備 が必 要
・花 壇 の管 理 などを地 域 住 民 と協 働 して行 う体 制 整 備 が必 要
民
働
・地 域 住 民 による農 産 物 や特 産 品 を販 売 する「市 」やイベントの開 催 が出 来 るように、施 設 周 辺 や屋 外 に
スペースを確 保 する整 備 が必 要
・漆 を含 めた地 域 の工 芸 品 や
広 域 圏 (県 北 部 )の工 芸 品 を展
示 販 売 することなどで、施 設 と
して収 益 をあげるための検 討 が
必要
特産品販売
・通 常 のレストラン営 業 では収 支 の均 衡 が見 込 めないため、地 域 住
民 ・団 体 の屋 台 による軽 食 提 供 ・販 売 に対 応 できる整 備 が必 要
飲
そ
食
の
他
・単に展 示 のみでは、「見 た」だけで終
わるため、次 につながる工 夫 が必 要
・自 動 販 売 機 による軽 食 提 供
や「かつら庵 」の移 設 も含 め検
討 を行 うことが必 要
・観 音 像 のような宗 教 要 素 の強 いものについては、天 台 寺
あるいは民 間 で設 置 することになるため検 討 が必 要
(寂 聴 からくり時 計 など)
43
・使 用 料 等 の徴 収 が必 要 か検 討 する
・他 市 町 村 の物 産 販 売 を行 う根 拠 に
ついて検 討 する
・使 用 料 等 の徴 収 が必 要 か検 討 する
安比川流域生活圏整備プロジェクト:道の駅整備
4
施設の運営等について
①
②
③
施設の内容については、今後の基本設計を踏まえ、財源などを検討しながら規模を
決定するが、
「 地 域 の 玄 関 」と し て の 機 能 を 十 分 に 発 揮 す る た め に は 、施 設 の 規 模 よ り
も、そこで展開される「ひと」と「ひと」の交流が重要な要素になる。
特 に 、他 の 地 域 か ら 訪 れ た 観 光 客 に 対 し 、そ の 需 要 に 応 え る「 サ ー ビ ス 」を 担 う「 ひ
と」については、地域の観光資源についての理解や経験、コミュニケーション能力な
どが求められることから、施設の完成後に向けて今から体制づくりを進めていく必要
がある。
また、地域との関係を重視するためにも、地域住民が担い手となる運営方法を検討
する必要がある。
○
「 天 台 寺 」と「 漆 」を 中 心 に 、文 化 や 歴 史 、生 活 習 慣 を 資 源 と し た 、
「 ひ と 」と「 ひ
と」がふれ合う住民活動の推進。
○
ボランティアガイドによる「有料案内」の実施へ向けた体制整備と、施設運営へ
の参画方法の検討。
○
漆の植林地・採取地をはじめとした関連箇所整備や見学コース設定など、受け入
れ態勢の整備の検討。
中心的な団体を選び、その団体が全般的な調整を行いながら運営する方法
各団体が定期的に調整を行いながら運営する方法
各団体を統一した団体をつくり、その団体が運営する方法
など、住民が参加しやすい運営主体を検討するとともに、自分たちが活動することに
よって収入が得られる方法を検討する必要がある。
また、住民が主体的に運営するとしても、行政からの一定の支援は必要であり、そ
の仕組み作りを進める必要がある。
天台寺や漆については、
「 観 光 」と い っ た 要 素 だ け で は な く 、産 業 や 文 化 と い っ た 要
素も含まれていることから、関係する部署が十分に連携しながら、それぞれが積極的
に関わることで、住民活動を支援して行く必要がある。
このような「ひと」の育成には、時間が必要であると同時に、その確保も必要とな
る。しかし、役割を強制的に割り当てると、義務感だけが高まり継続的な活動に結び
つきにくい。そのため、将来地域を担うべき子どもも含め、地域についての理解を深
め る と と も に 、ま ず「 や れ る 」
「 や っ て み た い 」と い う メ ニ ュ ー を 提 示 し 、継 続 的 な 活
動が可能な取り組みを行っていく必要がある。
参加のきっかけとなるメニューについては、
・天台寺や漆についてのお話し会の開催
・住民同士の天台寺や漆討論会の開催
・生涯学習(公民館事業)メニューとして地域の歴史講座を開催
・子どもが描く浄法寺地域の未来予想図
・天台寺や漆の探検
・地域住民による農産物販売やフリーマーケットの開催
・合唱、茶道、絵画など趣味活動の発表会
・趣味の作品展示、販売
・ほほえみ工房などの福祉活動施設による作品や製品の展示、販売
・岩手県北の工芸家の作品展示、販売
など、勉強会や講習会といった内容ではなく、出来るだけ生活の延長として参加出来
る も の を 取 り 入 れ 、多 く の 人 に 地 域 の 良 さ や 特 色 を 発 見 し て も ら う 工 夫 が 必 要 で あ る 。
施設は、天台寺と漆といった地域特性を中心に整備を進めることとなるが、それに
携わる「ひと」が広範囲に及ぶため、
44
安比川流域生活圏整備プロジェクト:道の駅整備
「道の駅」整備
イメージ
実 演 工 房 ・住 居
展 示 室 イメ ージ
軒 先 を利 用 した
「市 」・「軽 食 」
情 報 コーナー
販 売 コーナー
道 の駅 基 本 設 計 の パースを加 工 した もので
実 際 の完 成 イメージ とは異 なります
45
安比川流域生活圏整備プロジェクト:道の駅整備
「道の駅」整備スケジュール表 (案)
H20
H21
H22
H23
H24
特定環境公共下水道 浄化槽設置工事
下水道事業団 5月発注・7月工事開始
文部科学大臣承認(撤去)
旧校舎解体撤去
事業認定(租特法特別控除関係)
測量・調査
用地交渉
用地買収
用地造成
予算等の
予算等の関係で
関係で遅れる場合
れる場合あり
場合あり
用地造成
施設整備内容調整
基本設計
基本設計
実施設計
実施設計
特定佳境保全公共下水道の浄化施設
埋設位置によっては、用地買収を先行さ
せる必要があるが、その際は関係課でス
ケジュールを再度協議する。
継続費調整(予算)
継続費調整(予算)
工事発注準備
工事発注準備
建築主体・建築設備工事
建築主体・建築設備工事
駐車場工事
駐車場工事
外構・植栽・その他工事
外構・植栽・その他工事
設置条例・指定管理検討
設置条例・指定管理検討
※ 施設整備を国交省所管の「まちづくり交付金」で実施する場合で作成しています。
46
安比川流域生活圏整備プロジェクト:道の駅整備
7 関 連 する施 策 ・事 業
8 総 合 計 画 前 期 基 本 計 画 での位 置 づけ
1)現状と課題
観光を取り巻く環境は、自然、ふるさと志向、国内旅行意欲の高まりなどから、自
然回帰型への志向が強まっており、少人数で地域の歴史文化などを訪ね歩くことや、
農を中心とした体験観光など、
「ぬくもり」
「 も て な し 」と い っ た き め 細 や か な 質 的 サ ー
ビスが実感できる観光地が求められています。
本市の観光においては、天台寺、九戸城趾、折爪馬仙峡県立自然公園、稲庭岳、金
田一温泉など多彩なフィールド(分野)を有しています。
特に、天台寺は、北辺の地に花開いた古代から続く仏教文化の中心地として広く知
ら れ て お り 、 瀬 戸 内 寂 聴 師 が 昭 和 62 年 に 住 職 就 任 以 来 、 定 期 的 に 青 空 法 話 を 開 催 す
るなどの付加価値を得て、本市浄法寺を訪れる観光客は飛躍的に増加し、ふもとには
浄法寺漆芸の殿堂「滴生舎」が整備されるなど、本市を代表する観光スポットとなっ
てきました。
しかし、一方においては、観光振興にとって大きな飛躍のチャンスと期待された新
幹線二戸駅開業は、駅および二戸広域観光物産センターにおいて、利用客の増加や土
産品の販売で一定の成果はみられたものの、市内や周辺地域には人の流れはなく、新
幹線や高速道路を利用した広域圏内の有名観光地までの通過点となっています。
また、活性化が叫ばれて久しい金田一温泉もさまざな取り組みがなされてきたにも
かかわらず宿泊客は伸びない現状のなか、さらにここにきて、瀬戸内寂聴師の天台寺
住職退任があり、その後の観光客は減少しているため対応が急がれています。
特定環境保全公共下水道事業
施設の敷地内に、特定環境保全公共下水道事業の処理施設を整備する。
トイレの洗浄水への処理水の活用や、融雪システムの熱源としての活用が見込まれ
る。
親水公園整備事業
施設の対岸に、住民が川に親しみながら憩える施設として、親水公園の整備を検討
する。
この事業については、
「 水 辺 空 間 創 造 事 業 」と し て 、平 成 6 年 度 に 県 が 事 業 主 体 と な
り事業着手したものの、一部用地を取得できずに断念した。
し か し 、( 仮 称 ) う る し の 里 工 芸 館 整 備 に あ わ せ 、 周 辺 を 一 体 的 に 整 備 す る こ と で 、
施設から滴生舎、天台寺といった施設への回遊性が高まることから、施設を中心とし
た面的な広がりを持った効果が期待できる。
こ の こ と か ら 、事 業 メ ニ ュ ー の 検 討 や 県 と の 調 整 な ど 、整 備 に 向 け た 検 討 を 進 め る 。
浄法寺地区における市民協働の宝さがしの実施
浄 法 寺 地 域 で 平 成 18 年 度 か ら 実 施 さ れ て い る 「 宝 を 活 か し た ま ち づ く り 」 を 推 進
する。
この事業は、地域の自然や人、伝統行事や伝統技術などを「宝」として再認識し地
域活性化を図ることを目的としていることから、この事業により見つかった「宝」の
情報を施設で発信することで、その地域に人が流れ地域の活性化が期待される。
2)施策の方向
昭 和 62 年 、 瀬 戸 内 寂 聴 師 の 晋 山 を 機 に 天 台 寺 は 大 き く 様 変 わ り し 、 県 内 で も 有 数
の観光スポットになりました。
このにぎわいの根底にあるのは、平安時代から続く篤い信仰とみちのくの仏教文化
を象徴する数多くの文化財の存在、そしてそれらを包み込んできた他に替えがたい環
境です。
そうした特性を持つ天台寺は貴重な地域資源でもあり、その活用によっては天台寺
の ふ も と に と ど ま ら ず 、御 返 地 地 区 か ら 浄 法 寺 地 区 、さ ら に は 二 戸 市 全 域 へ の 社 会 的・
経済的効果も期待できます。
天 台 寺 が 信 仰 の 場 で あ っ た だ け で な く 、地 域 の 社 交 場 で あ り 、と き に は 市 場 で も あ っ
たように、かつてのにぎわいを取り戻すことを基本的な考え方として「道の駅」を中
核とする天台寺の周辺環境を整備します。
3)主要施策
● 道の駅整備事業(旧岡本小学校跡地を活用した道の駅整備、漆と天台寺を中心と
した関連施設整備など)
47
安比川流域生活圏整備プロジェクト:道の駅整備
は何 があると い っ た、情 報 発 信 し てはど う か?
・よそで も 、大 し たも ので ない のに大 げさに宣 伝 し てい る。そのよう に、ネタを 提 供 する施 設 で あれ
ばい いと 思 う 。
参 考 資 料
【意見交換会で出された主な意見】
○施 設 の規 模
・ あ る 程 度 お 金 を か けな い と ダ メで はない か ?も ち ろ ん 、校 舎 は壊 し て 、 後 ろ の 田 んぼ を 買 う な ど
考 え てほし い 。
・学 校 敷 地 だけで なく、周 辺 を 整 備 し て、道 の駅 に商 店 を 集 積 し た方 が良 い と 思 う 。
・集 客 のためには、温 泉 も必 要 だが天 台 の湯 との競 合 も考 えられる。また、何 よりも「入 りやす
さ」が重 要 で 間 口 を 広 くし て欲 しい 。
・建 物 が大 きけれ ば人 が入 ると は、限 らないと 思 う 。
・道 の 駅 は急 い で 作 るので はなく 、時 間 を か けて考 え てはど う か? 岡 本 学 区 の 学 校 も 無 く なっ た
が天 台 寺 は何 百 年 経 っても無 くならない。もっともっと時 間 をかけてふさわしいものを作 っては
ど う か?
・日 本 の人 口 が減 っ て、学 校 も 減 っ ているのに、建 物 を 増 やすこと に無 理 があると 思 う 。やっ ぱり、
も う 少 し 考 え た方 がいい と 思 う 。
・あまり建 物 にお金 をかけないほうがいいと思 う。維 持 管 理 で赤 字 を背 負 うのであればなおさら
だ。
○施 設 の運 営
・立 派 で なくても 「小 さくても 、細 く長 く」続 けてい けれ ば良 い と 思 う 。
・道 の駅 の運 営 は経 営 のプロに任 せた方 が良 い と 思 う 。
・作 り手 の顔 が見 え る販 売 方 法 がベストで ある。
・「浄 法 寺 」の名 前 の重 さを 大 切 にし てい きたい 。
・記 念 館 は将 来 的 に人 がくるため にも 、ここにし かないも ので なければならない 。
・道 の駅 の経 営 は、民 間 で 経 験 を 積 んだ人 がやるべきだ。
・(農 産 物 は)この地 区 だけで は、量 的 に供 給 で きないと 思 う 。特 に、冬 場 は何 も 無 い 。
・町 内 に産 直 を 一 本 化 にし てはどう か?
・物 産 を 大 きくやると赤 字 。小 さすぎても 面 白 くない 。
・行 政 と し ては、赤 字 を 覚 悟 で 運 営 し て、波 及 効 果 が生 まれ るのであれ ば、いい と 思 う 。
○施 設 の活 用
・道 路 脇 に1反 歩 ぐらい の漆 を 掻 い た後 の木 を 見 学 で きる場 所 を 確 保 し てはどう か。
・道 の駅 は漆 に特 化 せず、広 域 的 に「う るしロード」と し て紹 介 を する施 設 が良 い と 思 う 。
・物 を 売 るだけで なく、イ ベントので きる広 場 も 欲 しい 。
・安 比 川 の観 光 ヤナを やっ てはど う か?また、川 下 りなど もおもし ろい と 思 う 。
・あじ さい 祭 りやお茶 会 など 季 節 ごと のイ ベントを やっ てはどう か?
○施 設 の内 容
・お客 を引 き止 める話 術 や施 設 があれば良 いと思 う。滴 生 舎 によってもらおうとしてもバスのお
客 さんは「バスが出 発 するから!」といって直 ぐ帰 ってしまう。もっと観 光 会 社 にアピールをする
必 要 があるので はないか。
・天 台 寺 は観 光 だけで なく、信 仰 の対 象 としての「御 山 」で あっ てほし い 。
・ 博 物 館 はと も あれ 、漆 日 本 一 で あ る こと から 、 漆 の施 設 は 必 要 で あ ると 思 う 。 今 の歴 史 民 俗 資
料 館 を道 の駅 へ移 転 しても良 いと思 う。2箇 所 に同 じようは資 料 館 があるのは、好 ましくないと
思 う。
・人 の流 れ を 天 台 寺 や滴 生 舎 に「誘 導 」する役 割 と なっ てほしい 。
・道 の駅 で 郷 土 料 理 など おいし いも のを 提 供 し てはどう か?
・道 の駅 に工 房 や居 住 、実 演 販 売 施 設 を造 っ て欲 しい 。
・寂 聴 さんだけを 考 えてい てはダ メだと思 う 。
・道 の駅 に入 ると 天 台 寺 に拝 観 し たくなるような施 設 にし て欲 し い 。
・地 域 の誇 りと なるような、文 化 財 コーナーを設 けてはど う か。
・ 施 設 内 で 地 元 の 四 季 の ビ デ オ を 流 し て い た 。 そ の ビ デ オ を 見 た人 は 、 ま た そ こ へ 行 っ て み た く
なると 思 う 。
・リピ ーターのため には、長 時 間 滞 在 し てもらう ため の玉 (観 光 スポッ ト)が必 要 と なる。
・地 元 の商 店 の 人 が運 営 を か ねて 、日 用 品 や 食 料 品 など 買 え る よう な施 設 が あれ ば 、良 い と 思
う。
・公 の施 設 がで きたこと によっ て、我 々の首 が絞 め られ るよう なも のであれ ばい けない と 思 う 。
・物 を売 らなくても、寂 聴 記 念 館 だけでも作 ってはいかがか?道 の駅 は時 代 遅 れで、現 在 の歴
史 民 俗 資 料 館 のようなものではダメだと思 う。また、道 の駅 の食 堂 はその辺 のお母 さんが作 っ
てい ると 言 う イ メージがあり、あまり良 くない 。
・記 念 館 が主 軸 と なれ ばいい と 思 う 。
・岡 本 小 学 校 の跡 地 には、何 かが必 要 かと 思 う 。その周 辺 の情 報 提 供 がで きる施 設 と なれ ばい
いと思 う。例 えば、自 分 が実 際 体 験 してみて思 ったことが、町 内 の大 昌 園 の冷 麺 やどこどこに
○その他
・道 の駅 にこ だわ らな くても い い ので はない か と 思 う 。通 過 台 数 が少 ない のに2 4時 間 も 人 を 置 い
て、開 けておくのは無 駄 だと 思 う 。
・イ ンターチ ェンジ正 面 に滴 生 舎 や天 台 寺 の看 板 が欲 し い と 思 う 。
・旧 安 代 から 天 台 寺 まで の道 路 整 備 が不 十 分 で あ ると 思 う ので 、 早 期 に バイ パス なり 道 路 改 良
を し たうえ で 、道 の駅 建 設 と なれ ば良 い と 思 う 。
・人 それ ぞれ 、小 さい 夢 を 持 っ てい るので 、それ らの 夢 が一 つで も か なう よ う に 、 この 意 見 交 換 会
を また開 催 し て欲 しい と思 う 。
・ 高 速 の 長 者 原 S Aは E T C 車 に 限 り 、 出 口 が あ る 。 ま た 、湯 田 の よう に 高 速 を 曲 げ て持 っ て き て
はど う か。バイ パスができると 交 通 量 が変 わってくると 思 う 。
48
安比川流域生活圏整備プロジェクト:道の駅整備
【地域づくりについての考え方】
いまは、そうしたマタギの老 人 たちがみずからをきちんと語 らなくては存 在 を否 定 されてしまう時
代 な ん で す ね 。 自 然 保 護 の 人 た ち か ら 野 生 動 物 の 虐 待 な ど と い っ て非 難 さ れ る 。で す か ら 、か れ
ら自 身 が言 葉 を持 ち始 めているんです。地 域 の語 り部 たちがきわめてリアルな形 で登 場 している。
大 人 の旅 人 たちがかれ らと 出 会 っ たと きに、本 物 の語 りに触 れ ること が で きる。そう い う 光 景 が少 し
ずつ生 まれ 始 め てい るんだと 思 い ます 。
赤坂憲雄「観光と文化」
(『 東 北 祭 り イ ベ ン ト ガ イ ド 2006「 秋 冬 」』 N T T 東 北 電 話 帳 株 式 会 社 ) よ り
これ か らは 文 化 と 観 光 が手 を 携 え て進 んで い く時 代 が始 ま ると い う 予 感 の なかで 、青 森 県 が文
化 観 光 立 県 宣 言 を出 しました。それから、東 北 六 県 がまとまって文 化 観 光 立 国 宣 言 を出 してい
ます。大 きな流 れとしては、おいしいものを食 べて、温 泉 につかり、バスに乗 って名 所 旧 跡 をいく
つ か 訪 ね ると い っ た 、 これ まで の観 光 の ス タイ ル に た い し て 、い まは その 土 地 の 歴 史 や 文 化 と の つ
ながりを意 識 して、旅 そのものが演 出 されなくてはいけないという認 識 が、かなり広 く共 有 されるよ
うになっている。いろいろな場 面 で、そうした文 化 と観 光 をいかにつなぐかというテーマが動 き出 し
てい ますね。
旅 や観 光 が新 し い 時 代 の中 で 地 域 の歴 史 や文 化 を 拠 りど ころと し ながら、 日 本 文 化 のア イ デン
ティティとか、あるいは東 北 、仙 台 でも山 形 でもどこでもいいんですが、地 域 に生 きるアイデンティ
ティを 形 成 するため の大 切 な方 法 と して意 識 され 始 め てい るとい う こと で す。
※ アイ デ ンテ ィテ ィ / らし さ 、 独 自 性
―中 略 ―
やはりこれ からの時 代 は、みずからを 深 く知 ってい る人 間 が勝 ち組 になるんだと 思 う んで す 。
―中 略 ―
地 域 がみずからの歴 史 や文 化 や風 土 をとことん知 って、その上 でそれを観 光 に活 用 する。そう
し た創 意 工 夫 が地 域 の将 来 イ メージを 決 める時 代 になっ ているので はない かと 思 いますね 。
赤坂憲雄
―中 略 ―
1953 年 生 まれ。東 北 芸 術 工 科 大 学 大 学 院 長 ・東 北 文 化 研 究 センター所 長 。福 島
県 立 博 物 館 長 。民 俗 学 専 攻 。著 書 『異 人 論 序 説 』『山 の精 神 史 』『東 北 学 へ』『東 西 /南 北 考 』
など。
パック旅 行 を演 出 してきた旅 行 業 界 は、ひたすら地 域 を受 身 の立 場 に置 いていますね。都 会
からやってくる旅 人 こそが主 役 なんです。そういう発 想 から抜 け切 れないんです。だから、旅 人 の
側 の ニ ーズ だと か 欲 望 だ と かを ア ン ケー ト 調 査 す る んで す 。 そう する と 、 大 人 の 旅 人 た ち の 登 場 だ
なんて言 う連 中 がいるようだが、現 実 はそうじゃない、観 光 をめぐるアンケートなんかでは、依 然 と
して「おいしい食 事 と温 泉 」が圧 倒 的 に求 められている、といった結 果 が得 られる。たしかに大 人
の旅 人 はまだ少 数 派 なので す。し かし 、その 10%の少 数 派 のあり方 こそが、新 し い 未 来 の観 光 を
暗 示 し ているのかもし れません。
ですから、主 役 は観 光 客 なのか、旅 人 なのか。そんな問 いかけが必 要 なのです。むしろ地 域 が
み ず か らを 問 い か け る動 き の なかで 、 地 域 を 再 発 見 し てい く 、それ が 観 光 と い う シー ン に反 映 さ れ
てい くよう な時 代 が訪 れてい るので はない か。だから、旅 と か観 光 が観 光 客 だけのも ので はなくて、
地 域 に暮 らす人 たちとの、ある意 味 では対 等 な交 流 のなかで新 しく組 み立 て直 される時 代 に
入 っ てい るのかも しれ ません。
そ の 地 域 の本 当 の 魅 力 を 語 れ るの は 、 やはり そ の 地 域 に 暮 らし てき た 人 た ちで すね 。し かも 、 か
れ らが自 覚 的 にみずか らと は何 かと い う 問 い か けのなかで 地 域 を 再 発 見 し てい くプ ロセ ス があ っ て
初 め て、そうい う 新 し い旅 や観 光 が可 能 になるのだと 思 い ます。
―中 略 ―
たとえば秋 田 県 の阿 仁 の周 辺 にマタギの文 化 が豊 かにありますね。名 所 旧 跡 型 の観 光 からは
取 り残 されていた地 域 でしょう。そこでマタギの老 人 が民 宿 をやっていたりする。かれらは町 の観
光 ガイドとして登 録 されていて、観 光 客 が訪 れたときに、炉 端 で狩 猟 のこととかいろいろなことを
訥 々と話 すわけです。クマの毛 皮 が敷 かれていて、鉄 砲 が置 いてあったりとか、そのリアルさは格
別 で す。きっ と マ タギ た ちは語 るは ずで すよ 。 自 然 と い う のは 鑑 賞 す るも のじ ゃ ない 、少 し だ け人 間
が傷 つけた自 然 が最 も 豊 かなんだと か。
49
安比川流域生活圏整備プロジェクト:道の駅整備
「東海地域における観光の振興に向けてⅡ~「学び」の視点からの提言~」
(『 D B J T o k a i V o l . 4 』 平 成 17 年 1 月 日 本 政 策 投 資 銀 行 東 海 支 店 ) よ
り
地 域 が持 つ資 源 、担 い手 をどのように結 びつけて活 用 し、地 域 の固 有 性 や独 自 性 をどのよう
な手 法 で 観 光 客 にアピールするかが地 域 の知 恵 の絞 りど ころと 言 え る。
観 光 客 が求 める満 足 には、その地 域 でしかできない生 の体 験 、本 物 の体 験 、普 段 できないよ
う な貴 重 な体 験 、その 地 域 にし かない 生 活 の 知 恵 、風 習 の由 来 など を 知 ること によっ て感 動 や感
銘 を 得 ること が大 きな要 素 と し て考 え られ る。
団 体 旅 行 型 から家 族 や小 グループ中 心 の少 人 数 化 が進 むとともに、観 光 の目 的 も周 遊 見 物
主 体 の旅 行 から個 人 や家 族 の興 味 や関 心 を満 足 させることを目 的 としたテーマ型 観 光 に旅 行
目 的 も 変 化 し てきてい る―中 略 ―従 来 から の 名 所 や旧 跡 を 周 遊 ・見 学 するだけ の「 見 る」観 光 で
は満 足 し ない観 光 客 に対 応 で きてい ない 観 光 地 は入 込 客 の減 少 に直 面 し ている。
―中 略 ―
観 光 客 と 担 い 手 のコ ミュニ ケーショ ンも 大 き な要 素 を 占 め る。担 い 手 側 にホ スピ タリテ ィ の 意 識 を
持 っ て対 応 する こと が 求 め られ るのは 当 然 で あるが、 双 方 向 のコミュ ニ ケーション が確 保 さ れ ること
によっ て、観 光 客 が求 め るニ ーズにきめ 細 かく対 応 すること が可 能 となる。
―中 略 ―
有 力 な観 光 資 源 を有 していない、いわば観 光 の空 白 地 帯 や通 過 地 域 に体 験 型 観 光 施 設 が
開 設 され るケ ース が 増 え てきてい る 。 これ ら の 中 に は、地 域 固 有 の 資 源 や 生 活 習 慣 を 活 用 し 、地
域 文 化 の発 信 機 能 を 兼 ねた 施 設 も あるも のの 、 中 に は地 域 と の 関 係 が 希 薄 で あっ た り、ど こ に で
もあるような体 験 の羅 列 に過 ぎないものも散 見 されるのが実 際 であり、「体 験 」観 光 ブームの表 層
を なぞっ ただけと 言 わ ざるを 得 ない のも 事 実 である。
―中 略 ―
「学 びの観 光 」は地 域 固 有 の歴 史 ・風 土 ・文 化 ・生 活 の独 自 性 を資 源 として活 用 するものであ
り、地 域 そのものを観 光 資 源 として考 えるソフトウェアの観 光 振 興 策 である。そのためには、観 光
業 界 だけの対 応 では十 分 ではなく、地 域 住 民 や企 業 、自 治 体 など、地 域 を構 成 する各 主 体 が
連 携 し た全 体 で の取 り組 みが必 要 と なっ てくる。
ま た、 「 学 び の観 光 」に 必 要 な 資 源 ・ 担 い 手 ・ 仕 掛 け づく りと い っ た要 素 は地 域 づ くり 、 地 域 お こ
し に 求 め られ る 要 素 と 共 通 す る 部 分 を 有 し てお り 、 「 学 び の 観 光 」 によ る 観 光 振 興 は 結 果 と し て 、
観 光 を 通 じ た地 域 づくり、地 域 おこし で あると考 え られ る。
―中 略 ―
体 験 を売 り物 とする観 光 施 設 は既 に東 海 地 域 でも多 くの施 設 が開 業 しており、今 後 、施 設 間 、
地 域 間 の競 争 が激 しくなると予 想 される。そうした中 で、同 地 域 が有 する歴 史 ・文 化 遺 産 、産 業
資 源 といった観 光 資 源 を活 用 することにより、一 層 の観 光 客 を誘 致 する観 光 振 興 策 として、体
験 型 観 光 を さらに一 歩 進 め た「学 び」の観 光 を提 案 し たい 。
「学 び」の観 光 とは、見 るだけの観 光 に飽 きたらない目 の肥 えた観 光 客 の、観 光 に対 するニー
ズ の 変 化 を 受 けて 、 観 光 客 自 ら が 訪 れ た 土 地 の 地 域 の 生 活 やイ ベ ン ト に 参 加 す る こ と によ っ て 、
地 域 住 民 をはじめとする地 域 の担 い手 とのコミュニケーションを交 わしながら、その土 地 の歴 史 、
風 土 、生 活 、産 業 を 生 で 感 じ 、体 験 すること に よっ て、多 様 な 個 性 を 持 つ地 域 そのも のへの 理 解
を 深 め る観 光 と 考 え られ る。
地 域 住 民 にとってはごく日 常 的 な生 活 や活 動 が、訪 れる観 光 客 にとっては非 日 常 的 であり、
驚 きや感 動 を生 む要 素 となりうると考 えられる。また、自 然 や農 業 体 験 に限 らず、街 並 観 光 、産
業 遺 構 などあらゆる観 光 の局 面 においても応 用 が可 能 であり、さらには現 役 の産 業 施 設 である
工 場 設 備 等 の生 産 現 場 そのも のも 観 光 の対 象 に加 え ること が可 能 で ある。一 方 、地 域 の 住 民 に
と っ ては 、自 分 たち が住 み 、暮 らし 、働 く日 常 の 中 で 見 過 ご し て い た 地 域 の特 徴 を 掘 り起 こ す こ と
で 、地 域 住 民 もまた地 域 の良 さを まなぶこと になると 考 え られ る。
―中 略 ―
街 づくりの観 点 から観 光 振 興 を行 うためには、「その持 てる自 然 や人 的 ・物 的 資 源 の相 対 であ
る「地 域 力 」を 最 大 限 に活 用 」すること が必 要 で あると されてい る。
―中 略 ―
50
安比川流域生活圏整備プロジェクト:公共施設の集積と賑わい空間づくり
2 これまでの取 り組 み
○ 公 共 施 設 の集 積 とにぎわい空 間 づくり
(まちの駅 整 備 )
「まちの駅」は、新市建設計画において「賑わいのある空間づくりに努める」ため、
「コンパクトで便利な地域の核」として整備するとされたものであり、これを踏まえて
総合計画前期基本計画に主要施策の一つとして位置づけられたものである。
なお、この整備については、旧浄法寺町時代に、現JRバス浄法寺駅を多目的な施設
とすることで「まちの駅」としての機能を持たせることができないか検討してきたもの
である。
また、事業計画に関する地域住民や関係既存施設利用者に対する説明・意見交換も必
要 だ が 、こ れ ま で の 経 緯 、
「 ま ち の 駅 」整 備 関 連 19 年 度 実 施 事 業 に つ い て は 以 下 の と お
りである。
浄法寺総合支所を中心として公共施設や商業施設などが集積しているエリアでは、基
幹道路・上下水道などの基盤整備や公共施設等の集積、効率的な活用が進み、住民の利
便性が向上するとともに、個性ある景観形成と合わせた四季折々の催しが開かれ、活力
あるにぎわいに満ちた空間が創出されています。
1 将 来 のすがた
○
総合支所のワンストップ機能が充実しているとともに、青少年から高齢者、さらに
健常者、障害者の分け隔てなく集い、人と人の出会いと交流の場として公共施設が有
効に活用されている。
○
学校をはじめ図書館や体育館などの教育環境や学童保育などの子育て環境、診療所
などの保健医療施設が市街地に集中して整うことで、子どもたちを中心とした賑わい
が生まれている。
○
公共施設等が集中する市道役場線から春日杉沢線沿いに商店が集積し、地域の身近
な商店街として有効に機能している。
○
浄法寺バイパスの開通によって主要地方道二戸五日市線が歩行者優先道路となり、
また、まちの「宝」の活用とともに沿線の景観形成に地域特性が反映されることで当
該道路の歩行者数が増えている。
○
雨水・汚水が適切に処理されることで安比川の水質改善が進むとともに、住民の居
住環境に対する満足度が向上している。
○
商店と公共(的)施設が相互に補完し合い、住民や来訪者が求める地域情報が様々
な形で提供されている。
○
「道の駅」が導入口となって交流人口が市街地にも流れ込み、新たな出会いと交流
の中で様々なイベントが企画されるなど、地域全体が活気を帯びている。
【目標値・目標年次】
・浄法寺区域の水洗化率
24.7 パ ー セ ン ト ( 平 成 18 年 度 )
⇒
・主要市道歩行者数
44 人 / 日 ( 平 成 17 年 度 ・ 平 日 昼 間 )
経
合 併 に と も な い 策 定 さ れ た 、新 市 建 設 計 画 で 重 点 プ ロ ジ ェ ク ト の 主 要 事 業 と な っ た「 ま
ち の 駅 整 備 事 業 」に つ い て 、平 成 18 年 度 に お い て は 、新 二 戸 市 総 合 計 画 策 定 に 向 け て 、
地域住民をはじめ、商工会などの関係団体や市内部の事業関係部署で意見交換や協議を
行った。
平 成 19 年 度 に お い て は 、
「 ま ち の 駅 整 備 事 業 」が 新 二 戸 市 総 合 計 画 で も 、重 点 プ ロ ジ ェ
ク ト の 主 要 事 業 と し て 位 置 づ け ら れ た こ と か ら 、よ り 具 体 的 な 整 備 方 向 を 検 討 す る た め 、
浄 法 寺 総 合 支 所 を 中 心 と し た 地 区 の 将 来 図 を 示 し な が ら 、 平 成 18 年 度 と 同 様 に 、 地 域
住民、関係団体、市関係部署で意見交換や協議を継続して行った。
このように将来のグランドデザインを検討しながら、
「 ま ち の 駅 整 備 事 業 」と し て 浄 安
森 林 組 合 と 浄 法 寺 土 地 改 良 区 の 総 合 支 所 へ の 移 転 な ど を 、 平 成 19 年 度 で 実 施 し た 。
平 成 19 年 度 の 実 施 事 業
1.公共施設の集積関係
(1)総合支所の活用
有効活用が求められている総合支所に、住民が、行政のみならず他の分野においても
1箇所で用を足すことができるワンストップサービスを受けられるように、公共的団体
(浄安森林組合・浄法寺町土地改良区)の事務所が3階に移転した。
(2)総合支所周辺の公共施設
総合支所周辺の賑わい空間をつくりだすために、旧勤労者体育センターを、NPO法
人 浄 法 寺 サ ポ ー ト セ ン タ ー が 障 害 者 の 就 労 支 援 を 行 う 障 害 者 支 援 事 業 所「 ほ ほ え み 工 房 」
に改修した。
40.0 パ ー セ ン ト ( 平 成 27 年 度 )
⇒
緯
70 人 / 日 ( 平 成 27 年 度 平 日 昼 間 )
・生活環境の満足度(住民アンケートによる)
70 パ ー セ ン ト ( 平 成 27 年 度 )
51
安比川流域生活圏整備プロジェクト:公共施設の集積と賑わい空間づくり
2.生活環境の整備関係
(1)道路の整備
① 市道春日杉沢線歩道設置工事
商業施設が混在し、小中学校の統廃合も行われたことにより歩行者・車の交通量が
増加していることから、歩行者の安全と冬期間の交通安全を確保するために歩道と融
雪システムの整備を実施した。
・ 歩 道 設 置 施 行 延 長 650m( う ち H19 実 施 延 長 300m)、 歩 道 幅 員 2.0m
・ 融 雪 シ ス テ ム 設 置 施 行 延 長 200m
(2)特定環境保全公共下水道事業関係
浄法寺地区の汚水処理は市町村設置型の合併浄化槽で整備を進めてきたが、地区中心
部は、排水先が確保できない、埋設箇所が確保できないなど、立地や管理の課題がある
ため、国土交通省所管の特定環境保全公共下水道事業により整備することとし、この事
業の社会実験モデル地区として採択された。
平 成 19 年 度 は 翌 年 か ら の 整 備 に 向 け て 、 地 区 で の 住 民 説 明 会 を 開 催 す る と と も に 、
事業認可を受けるための計画策定や詳細設計を実施した。
全体計画、認可計画の策定、詳細設計
②
市道役場線設計業務委託
浄法寺地区中心部から浄法寺バイパスへのアクセス道路となる、市道役場線新設工
事の県代行事業採択を進めるため、設計業務を実施した。
・設計業務委託
( 延 長 220m 、 う ち 橋 梁 71m 、 車 道 幅 員 6.0m 、 歩 道 幅 員 3.5m )
予定事業年度
平 成 20~24 年 度
予定事業規模
下 林 地 区 ~向 田 地 区 、約 65ha
事業費
約 14億 円 (うち県 代 行 約 6億 円 )
対象人口世帯
人 口 約 1,200人 、世 帯 約 370世 帯
露出配管
管きょ径 φ150mm
延長 L≒450m
本管メインルート
極小規模処理施設
規模 300m3/日
旧岡本小学校敷地内
安比川
区域概略図
検
証
このような取り組みの結果、出生・死亡といった今までの手続きに加え、農地や山林
についての手続きが、総合支所庁舎1カ所で出来るようになったこと、障害者も含めた
幅 広 い 住 民 交 流 の 基 礎 が 形 作 ら れ る な ど 、賑 わ い を 取 り 戻 す た め の 基 盤 が 出 来 つ つ あ る 。
市道春日杉沢線
平 成 19 年 度 か ら 歩 道 設 置
工事が開始された
52
安比川流域生活圏整備プロジェクト:公共施設の集積と賑わい空間づくり
3 現
○
○
状
浄法寺地区中心市街地には、総合支所をはじめ公共施設が点在している。類似施設
の存在、行政のスリム化を図るための職員削減によって各施設の空き空間が増えてお
り、今後も公共的団体の合併などによってこの傾向が進むものとみられる。
○
市道春日杉沢線は、浄法寺中学校の通学路になっているとともに沿線への商店の移
転が進んできており、一定の歩行者や交通量があるものの、道路の幅員が狭い上に歩
道がない。
○
二戸市の中でも、浄法寺地区については人口減少と平行して少子高齢化が急速に進
んでいる。
市街地には、点在して位置するものの、JR浄法寺駅、浄法寺診療所、総合支所、
カシオペアセンター、浄法寺小学校、浄法寺中学校など、地域住民の利用に供されて
い る 施 設 が 半 径 600m 以 内 に 集 中 し て い る 。
【参考】浄法寺地域の人口
平 成 7年
区
○
JRバス浄法寺駅を中心とした区域は、時間帯や曜日によるものの、バスや商店あ
るいは市日の利用者が集う場所となっているが、青少年から高齢者まで幅広い年代の
人々が気軽に集い交流したり、地域情報を得られる施設がない。
※JRバス浄 法 寺 駅 乗 降 客 数 47人 ( 平 成 19年 6月 20日 調 査 、高 速 バス除 く)
○
高齢化社会の中で、独居老人世帯など遠距離移動が困難な住民がいる。
分
平 成 12年
人 口 (人 )
割 合 (%)
人 口 (人 )
割 合 (%)
2.7
173
3.5
うち 65 歳 以 上
116
2.1
149
3.0
5,424
100.0
4,981
100.0
資 料 :国 勢 調 査
○
車社会となって郊外のショッピングセンターなどで買い物をする市民が増え、身近
な 商 店 街 の 衰 退 が 進 ん で い る が 、 平 成 24 年 度 開 通 予 定 と な っ て い る 浄 法 寺 バ イ パ ス
と連結する役場線の完成、市道向田川又線と足沢大平線の改良舗装などにより、一層
の郊外・市中心部への流出が見込まれる。
分
商店数
(店 )
割 合 (%)
人口
(人 )
割 合 (%)
876
15.3
691
12.7
563
11.3
16 歳 ~64 歳
3,528
61.5
3,184
58.7
2,713
54.5
65 歳 以 上
1,333
23.2
1,549
28.6
1,705
34.2
5,737
100.0
5,424
100.0
4,981
100.0
計
○
主要地方道二戸五日市線沿線には集合駐車場がなく、また道路幅員が狭いために歩
道スペースの確保も困難な状況にあり、車両通行者・歩行通行者の両者にとって当該
沿線商店の利用にあたっての利便性を欠いている。
○
主要地方道二戸五日市線沿線の市街地は、合併浄化槽による生活排水処理が困難な
宅地が多い。
○
市街地は、浄法寺の地名の由来である浄法寺氏の居城であった「浄法寺城」の城下
に広がっており、街道や堀、町並みなどに当時の面影が残されている。
○
従業者数
(人 )
販売額
(億 円 )
売 り場 面 積
(㎡)
平成 6 年
114
391
約 62
4,321
平 成 11 年
103
344
約 70
4,796
平 成 16 年
91
318
約 46
4,409
資料:商業統計調査
53
市街地ではあるが、集落内の結びつきが強く互助精神が息づいている。
○
「2」の付く日は定例の市日が開催され、近郷近在から多くの人が買い物に訪れて
いる。
○
市街地ではあるが、安比川やその支流、田畑として利用されている河岸段丘、丘陵
な ど に 囲 ま れ て お り 、中 山 間 地 特 有 の 景 観 が 、生 活 空 間 や 時 間 に ゆ と り を 与 え て い る 。
○
「 浄 法 寺 城 」の 城 下 町 で あ り 、
「 漆 」、
「 天 台 寺 」を 代 表 と す る 地 域 資 源 や 自 然 環 境 を
持 ち な が ら 、「 ま ち 」 に そ の 地 域 特 性 が 感 じ ら れ な い 。
【参考】旧浄法寺町商店状況
区
人口
(人 )
平 成 17年
145
計
割 合 (%)
資料:国勢調査
60 歳 以 上
合
人口
(人 )
平 成 17年
0 歳 ~15 歳
合
【 参 考 】 浄 法 寺 地 域 の 高 齢 単 身 者 数 ( 60 歳 以 上 の 単 身 者 数 )
区
分
平 成 12年
安比川流域生活圏整備プロジェクト:公共施設の集積と賑わい空間づくり
○
4 課 題 ・問 題 点
○
○
浄法寺社会福祉会館は、JR浄法寺駅、浄法寺分署、そして浄法寺総合支所に挟ま
れ た 一 等 地 に 立 地 し て い る も の の 、 借 地 で あ る こ と 、 利 用 度 が 低 い こ と 、 昭 和 43 年
の建築で老朽化が進んでいることなどから撤去し、用地取得のうえ住民からの要望と
しても上げられている駐車場や小公園などへの転用を検討する必要がある。
ただし、撤去費用、用地費、平成5年に改修した起債の繰上げ償還など、相当な財
政負担を伴うことが予想されることから、計画的に進める必要がある。
※ 参 考 : 「 浄 法 寺 町 地 域 活 性 化 計 画 策 定 事 業 報 告 書 『 快 適 な田 舎 暮 らしを求 めて』」( 平 成 1 2 年 3
月 、編 集 ・ 発 行 浄 法 寺 町 商 工 会 )
○
平 成 23 年 度 の 浄 法 寺 バ イ パ ス 開 通 に よ り 、 現 在 の 主 要 地 方 道 二 戸 五 日 市 線 の 市 街
地区間を通過している大型車両数は減少することが予想され、歩道がない状況の中で
歩行者にとっては安全性が増すメリットがある。
一方、市道春日杉沢線沿線への店舗移転が進みつつあり、浄法寺バイパス、現二戸
五日市線、春日杉沢線を結ぶ役場線は、地域住民の生活を支える重要な路線となる。
このため、役場線については春日杉沢線までの延伸を図るとともに、役場線に接続
する仲町小船線や千代小路線などの一体的な整備が必要である。
○
浄法寺地域中心部の県道沿いの宅地は、トイレが道路より低い場所にある、浄化槽
の設置スペースが確保できない、浄化槽からの排水先がないなど、従来の市町村設置
型合併浄化槽整備事業では、汚水処理が困難であり、これに変わる方法を検討する必
要がある。
○
道路や歩道あるいは生活排水・汚水処理など行政が責任をもって取り組むべき基本
的な都市的生活環境の整備とあわせて、地域住民などによる自主的な地域づくり(コ
ミュニティー活動)やイベント開催、特徴のある景観形成、さらには既存商工業者の
経営努力に対する支援やベンチャー起業家の育成・受け入れを積極的に進める必要が
ある。
○
JR バ ス 東 北 ㈱ に よ り 運 行 が 行 わ れ て き た 浄 法 寺 ~ 荒 屋 新 町 間 の 一 般 定 期 路 線 バ ス
( 高 速 バ ス を 除 く )が 、利 用 者 の 減 少 か ら 平 成 2 0 年 3 月 末 で 廃 止 さ れ る こ と と な り 、
沿線住民の交通手段の確保が必要な状況にある。
ま た 、用 途 が 限 定 さ れ た 患 者 輸 送 車 で は な く 、誰 で も 自 由 に 利 用 で き る コ ミ ュ ニ テ ィ
バスの運行が求められている。
○
既存のイベント等は、単独で開催するケースが多く、住民と商店や行政が連携して
取り組む体制整備について検討する必要がある。
今 後 15 年 間 で 平 成 18 年 度 対 比 マ イ ナ ス 30 パ ー セ ン ト の 職 員 削 減 方 針 を 受 け て 、
浄法寺地区住民の間で浄法寺総合支所の機能低下や職員数の減による活力の低下を心
配する声があり、
「 ワ ン ス ト ッ プ サ ー ビ ス 」の 確 保 と 適 正 な 人 員 配 置 、空 き ス ペ ー ス の
有効活用が求められている。
浄法寺総合支所
空きスペースの有効活用のため、
機能集積が求められている
○
浄 法 寺 総 合 支 所 を 中 心 と し た 地 域 に は 、カ シ オ ペ ア セ ン タ ー 、J ホ ー ル 、JR 浄 法 寺
駅などが集中しているが、浄法寺診療所はやや離れた場所にある。このため、高齢化
が進む中で、特に移動手段を持たないお年寄りの利便性を確保するため、出来るだけ
JR浄法寺駅を中心とした区域への移転整備が求められている。
社会福祉協議会浄法寺支所が入居しているふれあいセンターは老朽化が著しく、こ
の施設で行われている放課後児童クラブやおもちゃ図書館などの事業にも影響が出て
いる。
また、隣接する旧分庁舎は、物置などにしか利用されておらず、施設の有効利用が
求められている。
54
安比川流域生活圏整備プロジェクト:公共施設の集積と賑わい空間づくり
5 基 本 となる施 策 の方 向
まちの駅整備の目的は、賑わいの核となる施設を整備することではなく、人口減少が
進む中で、既存施設の集積や歩行空間の確保などにより、従来「まち」が持っていた住
民間の交流機能を取り戻すことである。
このため、行政においては公共施設、公共的団体の集積と道路整備を進めることで、
住民が「集まりやすい」環境を整える必要がある。
また、住民と商店が一体となったイベントの開催など、地域が一体となった取り組み
を行うことで、浄法寺地域内をはじめ、天台寺への来訪者など、地域外住民との交流も
促進されることで、
「 ま ち 」の 機 能 を 維 持 し な が ら 、よ り 一 層 の 活 性 化 が 図 る こ と が で き
る。
このような考え方をもとに「まちの駅グランドデザイン」を住民や関係団体に示した
ところ、市道役場線の延伸をはじめ、公共施設の集約や歩行者動線確保のための歩道整
備などについて、積極的に進めるべきとの意見が多数を占めた。
このことから、公共施設の機能と規模、老朽化による維持管理経費の増嵩などを検討
しながら、計画的に公共施設の集積を進めるとともに、急速に進展する高齢化に配慮し
た歩行空間の確保に努める必要がある。また、あわせて、住民の自主的な取り組みを進
めるために、従来は単独で行っていたイベントの同日開催や町内会との合同開催、世代
間交流イベントなど、既存組織が一体で取り組める環境づくりを進める必要がある。
○
浄法寺総合支所については、
「 ワ ン ス ト ッ プ サ ー ビ ス 」の 充 実 を 図 る た め 、行 政 機 能
だ け で は な く 森 林 組 合 、 土 地 改 良 区 ( 以 上 、 平 成 19 年 5 月 入 居 済 み )、 商 工 会 浄 法
寺支所などの入居を積極的に進める。
○
旧 勤 労 者 体 育 セ ン タ ー に つ い て は 、NPO 法 人 浄 法 寺 サ ポ ー ト セ ン タ ー の 運 営 の も と
に 障 害 者 の 方 々 の 就 労 支 援 作 業 所「 ほ ほ え み 工 房( パ ン 工 房 )」と し て 活 用 し 、あ わ せ
て子どもから高齢者まで幅広い層の住民が集える場として位置づける。
○
○
浄 法 寺 バ イ パ ス と 市 街 地 を 結 ぶ「 市 道 役 場 線 」に つ い て は 、
「 ま ち の 駅 」の 中 心 と な
る路線であり、橋梁整備をはじめ春日杉沢線への延伸を図り、子どもや高齢者をはじ
め、歩行者と車両が安全に通行できるように整備を進める。
ま た 、 役 場 線 に 接 続 す る 「 市 道 春 日 杉 沢 線 」 や 「 市 道 仲 町 小 船 線 」、「 市 道 千 代 小 路
線」などについては、歩道設置、部分的な拡幅改良、融雪システム設置など、歩行者
が安心して通行可能な整備を進めることにより回遊性を確保し、
「 ま ち の 駅 」機 能 の 高
度化を図る。
○
現在の浄法寺小学校の移転に伴い、空き地となる学校敷地については、運動場、公
園、公営住宅などの公共用地として活用することを検討しつつ、有効な活用方法が見
いだせない場合は、一般住民への宅地分譲、民間への売却処分などを含めた検討を進
める。
○
浄化槽の設置スペース及び放流先の確保が困難な世帯が多い主要地方道二戸五日市
線沿線の市街地は、現行の生活排水処理整備手法ではなく、国土交通省のモデル事業
で あ る「 特 定 環 境 保 全 公 共 下 水 道 事 業( 未 普 及 解 消 ク イ ッ ク プ ロ ジ ェ ク ト )」の 導 入 を
図り、大型浄化槽による集合処理方式により汚水処理を行う。
浄法寺分署新築移転を検討する。
○
浄法寺社会福祉会館及び社会福祉協議会浄法寺支所が入居しているふれあいセン
ターについては、老朽化が進んでいることなどから撤去し、住民からの要望としても
上げられている駐車場や小公園などへの転用を検討する。
また、利用率の高いカシオペアセンターについては図書室の拡大を、ふれあいセン
ターにある、放課後児童クラブとおもちゃ図書館は旧分庁舎への移転を検討するとと
もに、歩行者の安全確保のために歩道設置も検討する。
○
老朽化が著しい浄法寺診療所について、利便性の向上や利用者の増を図るため、定
期 市 や JR 浄 法 寺 駅 の 利 用 者 な ど で 最 も 賑 わ い を 見 せ る 市 街 地 中 心 部 へ の 新 築 移 転 を
検討する。
特定環境保全公共下水道事業
平 成 20 年 度 か ら 、 下 水 管 の
埋設工事などが開始される
55
安比川流域生活圏整備プロジェクト:公共施設の集積と賑わい空間づくり
○ 市街地から安比川はもとより、市街地を囲む山林に至るまで美しい環境が保たれる
よう、二戸市環境基本計画の策定とあわせて住民の環境保全意識の啓発・向上を図ると
ともに、自然保護に対する住民意識の醸成と住民の憩いの場として、主要地方道二戸五
日市線隣接地に(仮称)二戸市森林公園を整備する。
○
住民の交通手段の確保については、浄法寺地区に合ったバス運行方法を検討し、各
地域と市街地(にぎわい空間)との移動手段を確保する。
○
計画づくりから地域住民・関係団体(商工会・社会福祉協議会・老人クラブなど)
に関わってもらうことにより、整備後の「賑わい空間づくり」への協働参画機運を醸
成する。
○
「 宝 」 を 活 か し た イ ベ ン ト を 開 催 す る と と も に 、 地 域 特 性 (「 天 台 寺 」・「 漆 」 ほ か )
に沿った市街地の景観形成を進め、地域イメージの向上を図る。
○
出 会 い や 交 流 の 拠 点 と な る べ き 施 設 の 職 員( 市 職 員 、商 店 主 、公 共 的 団 体 職 員 な ど )
が 、地 域 が 本 来 持 っ て い る ホ ス ピ タ リ テ ィ( 思 い や り・も て な し・他 人 へ の や さ し さ )
の発信者となれるように学習会を開催するとともに、商店・飲食店・旅館など相互の
ネットワークを確立する。
○
観 光 の 起 点 と な る「 道 の 駅 」と の 連 携 を 図 る と と も に 、
「 天 台 寺 」や「 漆 」を 目 的 と
した交流人口であっても市街地にも流れるように、飲食店、商店、旅館などの特徴や
「 売 り 」、あ る い は 各 種 情 報 を 記 載 し た 手 作 り マ ッ プ を 作 成・配 布 す る な ど 積 極 的 な 誘
導策を講じる。
56
安比川流域生活圏整備プロジェクト:公共施設の集積と賑わい空間づくり
6 これから取 り組 むべき施 策
「まちの駅」グランドデザイン
・浄法寺小学校移転
浄法寺
小学校
・社会福祉協議会
・デイサービスセンター
・シルバー人材センター
・保健センター等
・保健センター
・デイサービスセンター
浄法寺地区
まちの駅
診療所
ほほえみ
センター
田舎
の家
農協倉庫
手づく
り工房
ほほえみ
センター
・融雪システム設置
右門
歯科
ケイアイ
マート
田舎
の家
中崎
チキンハウス
岩銀
支店
高田
手芸
Jホール
駐車場
カシオペア
センター
大森
ガス
屯所
山口
美容
長岐
履物
理容
いずみ
テーラー
シシナイ
角田
写真
理容
中島
三浦
米殻
むら
まつ
樋口
電器
浄法寺
タクシー
アサヒ
化粧
JR
バス駅
ステーション
消防
分署
久保田
建設
●●
商店
●●
商店
●●
商店
●●
商店
樋口
金物
フミヤ
洋品
北斗
商店
ケイアイ
マート
中勝
商店
たかか
ん書店
・社会福祉協議会
・シルバー人材センター
・デイサービス
・ 放 課 後 児 童ク ラ ブ
・おもちゃ図書館 等
郵便局
岩銀
支店
1F:市 民 生 活 課 、 健 康 福 祉 課 等
2F:地 域 振 興 課 、 建 設 管 理 課、 産 業 振 興 課 等
3F:地 域 教 育 課、 会 議 室 等
高田
手芸
田 口ク
リーニング
●●
商店
●●
商店
●●
商店
・道路拡幅
林商店
中崎
家具
●●
商店
JA支所
カシオペア
センター 旧 分
庁舎
Jホール
児童
公園
・放課後児童クラブ
・おもちゃ図書館
診療所
・障害者事業所
・交流施設 等
多目的
広場
駐
車
場
駐車場
・公民館
・図書室
・会議室
金田一
倉庫
島田
電気
・歩道設置
駐車場
白坂
技研
・社会福祉協議会移転
・撤去し児童公園
小公園
大森
ガス
屯所
山口
美容
長岐
履物
理容
いずみ
市
道
役
場
線
テーラー
シシナイ
浄法寺
タクシー
アサヒ
化粧
一力
食堂
高林
魚店
JR
バス駅
・分署移転
ステーション
角田
写真
理容
中島
三浦
米殻
むら
まつ
久保田
建設
鈴木
豆腐
大昌園
理容
ヤマモト
樋口
電器
靴屋
市役所部課、土地改良区、
商工会、森林組合、
情報発信施設、会議室 等
・社会福祉会館撤去
ロー
ソン
小野
商店
●●
商店
・道路拡幅
清川
商店
信金
支店
ドラック
ふじや
さかえ
食堂
大昌園
小 田 島 スズラン
工務店 美容
ホ ン ダ Cars
岩手北
ノ
主要地方道二戸五日市線
泉専
酒店
●●
商店
●●
商店
(仮称)ほほ
ヤマ
休 憩 えみ工房
舘保険
鈴木
豆腐
理容
ヤマモト
靴屋
中崎
チキンハウス
右門
歯科
・歩道設置
駐車場
ロー
ソン
一力
食堂
高林
魚店
ふれ
あい
センター
・役場線延伸
・歩道設置
阿部
農機
メルシー
電器
社会福祉会館
市
道
役
場
線
分
庁
舎
・道路拡幅
田屋
公民館
白坂
技研
多目的
広場
JA支所
駐
車
場
岩銀 商工
車庫 社宅 会
さかえ
食堂
清川
商店
林商店
かのや
旧勤労者 ヤマ
休 憩 体 育 センター
ノ
舘保険
郵便局
・公民館
・図書室
・会議室
駐車場
メルシー
電器
中勝
商店
たかか
ん書店
ドラック
ふじや
金田一
倉庫
島田
電気
・森林組合
・土地改良区
・体育室
スーパー
しんゆう
農協倉庫
手づく
り工房
・歩道設置
市道春日杉沢線
ホ ン ダCars
岩手北
田屋
公民館
将来図
・商工会館撤去
・駐車場撤去
・岩銀社宅移転
市道春日杉沢線
阿部
農機
浄法寺地区
まちの駅
・改良舗装
2006
スーパー
しんゆう
・診療所移転
小 田 島 スズラン
工務店 美容
田口ク
リーニング
信金
支店
小野
商店
(仮称)市道浄法寺中央線
理容
中島
山口
呉服
泉専
酒店
関歯科
樋口
金物
北斗
商店
フミヤ
洋品
中崎
家具
安 比 川 ⇒
理容
中島
山口
呉服
関歯科
安 比 川 ⇒
ユニフォーカー
ユニフォーカー
浄法寺
小学校
森林公園
清水尻地区
・役場線延伸
・歩道設置
主要地方道二戸五日市線・浄法寺バイパス(工事中)
主要地方道二戸五日市線・浄法寺バイパス
・ (仮 称 )二 戸 市 森 林 公 園
57
安比川流域生活圏整備プロジェクト:公共施設の集積と賑わい空間づくり
浄法寺総合支所周辺
①
②
③
④
ほほえみセンター周辺
浄法寺総合支所
現在の浄法寺総合支所の空きスペースを有効活用し、利用者の便宜を図るため
森林組合や土地改良区、商工会などを浄法寺総合支所へ集積する。
⑨
ほほえみセンター
二戸市社会福祉協議会浄法寺支所とし、現在行っているディサービスなどの運
営や管理業務を一体化することで事業の効率化を図る。
※ 総合支所勤務職員数
⑩
現浄法寺診療所
老朽化等に対応するため、移転を含めた整備を検討。コンパクト化を図ったう
えで移転する場合は、⑫を候補地として検討を進める。
⑪
市道小池線改良舗装
ほほえみセンターや診療所等重要な公共施設に通じる市道小池線は道路幅が3
m 以 下 と 非 常 に 狭 い 砂 利 道 で あ る こ と か ら 、 平 成 20 年 度 に お い て 一 部 拡 幅 し 改
良舗装により整備する。り、早急に改良舗装をする。
H18.1.1 51 人
H18.4.1 47 人
H19.4.1 37 人
社会福祉会館
文化交流センターが建設されてからは使用頻度が激減し、改修を加えたとはい
え 建 設 か ら 40 年 を 経 過 し て お り 、建 物 は 撤 去 し 小 公 園 と す る 。な お 、借 地 と な っ
ている敷地は公有化する。
現浄法寺分署移転
老朽化に伴い、手狭な立地条件を解消するため移転する。現在の土地はJRバ
スの所有であり、移転後の利活用等については、JRバスと協議する。
※ 改 良 予 定 区 間 L=180m W=4.0(5.0)m
⑫
ほほえみ工房
平 成 19 年 度 に 旧 体 育 セ ン タ ー へ 移 転 。障 害 者 福 祉 作 業 所 と し て 、N PO 法 人 浄
法寺サポートセンターが運営している。将来は、軽食喫茶などの事業を行うこと
で、障害を持つ人と地域の住民が交流できるような場ともなる。
新浄法寺診療所
現浄法寺診療所を移転整備する場合は、駐車場や施設が集積しており、利用者
にとっての利便性向上や商店への波及効果が見込める、現在、市所有の駐車場と
岩 手 銀 行 社 宅 、商 工 会 浄 法 寺 支 所 が 位 置 す る 場 所( 約 1000 ㎡ の 敷 地 面 積 )を 整
備予定候補地として検討を進める。
カシオペアセンター周辺
市道春日杉沢線
⑤
⑥
ふれあいセンター
現 在 の 建 物 は 建 設 か ら 30 年 以 上 経 過 し 、 雨 漏 り な ど 老 朽 化 が 著 し い た め す べ
て撤去し、児童公園とする。
⑬
カシオペアセンター
立地条件に恵まれており、付近の公共施設の中で利用者が最も多いため、手狭
となっている図書室等の拡張を行う。
歩道設置
市 道 春 日 杉 沢 線 の 農 協 倉 庫 側 に 2.0m の 歩 道 を 設 置 し 、 児 童 生 徒 及 び 高 齢 者 の
歩 行 の 安 全 確 保 を 図 る 。 平 成 19 年 度 工 事 着 手 。
※ 歩 道 設 置 区 間 L=650m
W=6.0(9.0)m
整備後道路横断イメージ
⑦
旧分庁舎
現 在 、1 階 は 物 置 、2 階 は 物 置 と 閉 架 図 書 置 き 場 、3 階 は 会 議 室 と な っ て い る 。
これら1階から3階までと隣の児童公園を活用して、放課後児童クラブとおも
ち ゃ 図 書 館 と す る 。児 童 た ち は 新 校 舎 か ら 春 吉 橋 を 渡 り 、小 野 商 店 脇 の 道 を 通 り 、
約 400m で こ の 施 設 に 到 着 で き る 。 参 考 : 現 在 は 約 750 m
路 側 帯 1.0m
⑭
⑧
市道保育所線歩道設置
市道保育所線の沿線には、ほほえみ工房や浄法寺診療所、Jホール、カシオペ
ア セ ン タ ー な ど の 公 共 施 設 が あ る こ と か ら 、 片 側 2.5m の 歩 道 を 設 置 し 、 児 童 生
徒及び高齢者の歩行の安全確保を図る。
車 道 6.0m
歩 道 2.0m
融雪システム設置
市道春日杉沢線は交通量が増加傾向にある重要な路線であり、冬期間は凍結に
よるスリップ事故が多発し難所となっている。そこで、交通の安全確保を図るた
め に 平 成 19 年 度 延 長 200m に 融 雪 シ ス テ ム を 整 備 す る 。
※ 融 雪 システム設 置 区 間 L=200m W=5.5(6.5)m
58
安比川流域生活圏整備プロジェクト:公共施設の集積と賑わい空間づくり
浄法寺小学校
市道役場線
⑮
役場線延伸
市道役場線をバイパスから市道春日杉沢線まで延伸し、両側もしくは片側に
2.5 m の 歩 道 を 設 置 す る 。 バ イ パ ス と 市 街 地 を 最 短 で 結 ぶ 唯 一 の 道 路 と し て 重 要
な路線となる。
※
⑱
県 代 行 区 間 L=220m W=6.0(12.5)m
現道区間
L=150m W=6.0(9.0)m
延伸区間
L=130m W=6.0(9.0)m
※
現浄法寺小学校移転
新校舎が海上田地区に建設されると、現在の校舎・屋内運動場は取り壊されて
更地となる予定である。空き地となる学校敷地については、運動場、公園、公営
住宅などの公共用地として活用することを検討しつつ、有効な活用方法が見いだ
せない場合は、一般住民への宅地分譲、民間への売却など処分を含めた検討を進
める。
【整 備 予 定 】
校 舎 :木 造 、屋 内 運 動 場 :木 造 、校 庭 、プール等
(整 備 予 定 年 次 等 については、「教 育 環 境 の整 備 充 実 」参 照 )
その他の市道
【現 敷 地 】
⑯
市道仲町小船線道路拡幅
道路幅が狭く、十字路も見通しが悪いことから交通の安全と利便性の向上を図
る た め 、 平 成 19 年 度 に 市 道 仲 町 小 船 線 の 一 部 を 道 路 拡 幅 す る 。
※ 道路延長
⑰
学 校 用 地 13,882 ㎡
プール用 地 2,392 ㎡
森林公園
○
L=800m W=4.0(5.0)m うち交 差 点 部 分 の拡 幅 改 良
市道千代小路線道路拡幅
市道千代小路線は市道役場線と市道仲町小船線(岩手銀行浄法寺支店や浄法寺
郵便局など)を結ぶ重要な路線であり、比較的交通量も多く歩行者の安全のため
部分的に拡幅(4mから6mへ)する。
(仮称)二戸市森林公園整備
地球温暖化などの問題もあり、環境や自然に対する住民意識は近年非常に高
まっており、まちの駅として公共施設や機能の集積が進む中心部に近い場所に気
軽に立ち寄れ、自然観察などが出来る公園整備が望まれている。
こ の よ う な「 自 然 保 護 」
「 環 境 保 全 」に 対 す る 住 民 意 識 の 醸 成 を す す め 、利 用 者
に憩いと安らぎをあたえる場として、主要地方道二戸五日市線に隣接する清水尻
地 区 に 、( 仮 称 ) 二 戸 市 森 林 公 園 を 整 備 す る 。
※ 拡 幅 予 定 延 長 L=95.0m W=4.0(6.0)m
コミュニティバスの運行
○
地区内の市道
歩行者と車両の安全に配慮し
た、一体的な整備を進める
59
地 域 住 民 の 交 通 手 段 確 保 の た め 、 誰 で も 自 由 に 利 用 で き る JR 浄 法 寺 駅 を 起 点
としたコミュニティバスの運行を平成20年4月から開始する。
廃止代替コース
浄法寺~荒屋新町間(浄法寺線)
医療機関コース
各地区~医療機関等(手倉森開拓線、梅ノ木線、下沢線、
長流部線、漆畑線、駒ヶ嶺線、田子内線)"
安比川流域生活圏整備プロジェクト:公共施設の集積と賑わい空間づくり
7 関 連 する施 策 ・事 業
8 総 合 計 画 前 期 基 本 計 画 での位 置 づけ
「道の駅」整備事業
1)現状と課題
効率的で利便性の高い都市生活の実現を図るためには、四季の変化に富む本市の
風土に適応した住環境の整備、自然環境の保全など、自然や生活、歴史文化に配慮
したまちづくりが必要となっています。
また、市民と来訪者に公共施設や観光地等の案内誘導を図るための表示サインの
配置が求められています。
「天台寺」と「漆」を中心として、浄法寺地域の特色を情報発信する「道の駅」
で、飲食店などの情報もあわせて発信することにより、観光客の中心地区への誘導
を図る。
幹線道路整備事業
2)施策の方向
浄 法 寺 総 合 支 所 、市 立 図 書 館 分 室 、浄 法 寺 文 化 交 流 セ ン タ ー 、J R バ ス 浄 法 寺 駅 、
浄法寺郵便局、金融機関などが集積する浄法寺地区の中心エリアをコンパクト(こ
じ ん ま り )で に ぎ わ い の あ る 空 間 と す る た め 、
「交流促進」
「情報発信」
「テーマ設定」
を コ ン セ プ ト( 概 念 )に 、交 流 拠 点 と し て の 整 備 を 検 討 し ま す 。整 備 に 当 た っ て は 、
既存施設の積極的な利活用や民間との協働を念頭に置きつつ、公共施設の集積化を
図りながら、浄法寺総合支所を中心とした周辺一帯のにぎわいづくりの調査・研究
を進めます。
市道役場線は、主要地方道二戸五日市線浄法寺バイパスと中心部を結ぶ路線であ
り、移転新得される浄法寺小学校、総合支所などの公共施設へのアクセス道路であ
り、また、春日杉沢線と接続することで住民の利便性が増すことから整備を推進す
る。
また、海上田地区に整備が進む新浄法寺小学校整備にあわせ、市道役場線とあわ
せって通学路となる市道川原線について、通学児童の安全に配慮した整備を推進す
る。
このように、市道役場線、市道春日杉沢線など、中心市街地沿線には総合支所や
文 化 交 流 セ ン タ ー( J ホ ー ル )、カ シ オ ペ ア セ ン タ ー 、浄 法 寺 診 療 所 、浄 法 寺 中 学 校
などの公共施設が多く立地しており、交通量も増加していることから、歩行者の安
全確保を図るための歩道設置や見通しの悪い交差点などの局部改良、冬期間の安全
確保を図るための急勾配区間への融雪システム整備を進める。
3)主要施策
● ま ち の 駅 整 備 事 業( 交 流 促 進・ 情 報 発 信・ テ ー マ 設 定 の 3 つ の 機 能 を 持 つ に ぎ
わい空間づくり、浄法寺総合支所を中心とした既存施設の有効活用など)
60
安比川流域生活圏整備プロジェクト:公共施設の集積と賑わい空間づくり
○ 役 場 線 の延 伸 は必 ずやって欲 しい。診 療 所 まで延 ばしても良 いと思 う。歩 道 には漆 の木
を。
参 考 資 料
意 見 交 換 会 で 出 さ れ た 主 な 意 見 ( 平 成 19 年 度 実 施 分 )
○ 市 が土 地 を 買 収 して商 店 を 集 積 させてはど う か。
○ 浄 法 寺 地 区 の中 心 部 に子 ど も の遊 び場 や公 園 がない ので 整 備 し てほしい 。子 ど も たちはJ
ホール前 で 遊 んで い る。車 の通 行 量 は少 ないが非 常 に危 険 と 感 じ てい る。
○ 自 治 会 や団 体 の人 が活 動 で きる場 を作 っ て欲 しい 。
○ 社 会 福 祉 会 館 を祭 りや運 動 会 の反 省 会 に使 用 し てい るので、なくなると 困 る。
○ サ ーク ルも 含 め て、若 者 が気 軽 に集 い 楽 し め る場 、遊 ぶ場 がほし い 。
○ 浄 法 寺 分 署 がエ リア外 に移 転 するのは残 念 だ。
○ 浄 法 寺 地 区 中 心 部 が暗 い 。街 灯 を 設 置 し てほし い 。
○ 浄 法 寺 地 区 中 心 部 に駐 車 場 が必 要 である。
○ 二 戸 市 の 宝 の案 内 板 、 車 で 通 れ ば 見 え な い し 、車 を 止 め て 見 る 場 所 も ない 。浄 法 寺 に 建
てる場 合 は、見 え るような工 夫 を し てほしい 。
○ 社 会 福 祉 協 議 会 の「ふれあいサロン」が移 るとまちから離 れてしまう。まして、診 療 所 も移
転 すると 寂 し くなる。
○ まちの駅 の中 で も漆 器 を 売 る場 所 が必 要 で はないか。
○ 児 童 ク ラブと 社 会 福 祉 協 議 会 が離 れ ると職 員 がバラバラになり不 便 になる。
○ エ レベーターがあり便 利 だから、総 合 支 所 に自 由 なスペースを 設 けて欲 し い 。
○ Jホールなど の公 共 機 関 の案 内 表 示 (大 きく・目 立 つ)を し て欲 しい 。
○ その施 設 だけの駐 車 場 で なく、駐 車 場 から各 施 設 へ歩 い ても らう 事 も いい と 思 う 。
○ カシオペアセンター図 書 室 の拡 張 計 画 があるが、小 中 学 生 からの利 用 が多 いので、ぜひ
拡 張 し てほし い 。
○ 全 体 的 な 環 境 の 整 備 は 市 役 所 に お 願 い し な けれ ば な ら な い け れ ど も 、 そ の 後 の 活 用 に つ
い ては、個 々の商 店 の努 力 次 第 で はない か
○ カシオペアセンター(旧 分 庁 舎 )3階 の大 会 議 室 へのアクセスが不 便 である。旧 分 庁 舎 玄
関 からも 入 れ るよう にしてほし い 。
○ 患 者 バス・スク ールバスに弾 力 的 に乗 車 させるなど 、コミュニ ティバスを 運 行 し てほし い 。
○ 漆 の木 にもっとこだわってもいい。街 路 灯 に漆 の木 の加 工 品 を飾 るとか、漆 の木 のプラン
ターに花 を 飾 ると か、漆 の木 の表 札 と か、訪 れた人 が注 目 するよう にし たらど う か。
○ ほほえ みセ ンターで検 診 を 続 けるので あれば、バス対 応 を 考 え た道 路 を 整 備 し て欲 しい。
○ 春 日 杉 沢 線 に歩 道 を 設 置 す る ので あれ ば 、 融 雪 や除 雪 のこ と も 一 緒 に 考 え て 整 備 し て ほ
しい。
○ 春 日 杉 沢 線 に歩 道 を設 置 してほしい。起 点 部 分 (横 浜 石 油 付 近 )と主 要 地 方 道 の交 差
点 が危 険 なので 改 良 で きないか。
○ 総 合 支 所 から春 日 杉 沢 線 まで の道 路 、狭 い のに通 行 量 が多 く、歩 行 するのが怖 い 。
○ 役 場 線 の延 伸 は 重 要 だと 思 う 。特 に大 型 バス対 応 の広 い 道 路 を 作 っ て欲 し い 。道 路 は一
番 で ある。
○ 役 場 線 の延 伸 は 商 店 と すれ ば「大 賛 成 」で 、市 道 役 場 線 は最 低 限 必 要 。欲 を 言 え ば、横
軸 の道 路 も 立 派 にし て欲 し い 。
○ 役 場 線 は春 日 杉 沢 線 までで はなく農 協 倉 庫 を 壊 し て、診 療 所 まで 通 し て欲 しい 。
61
安比川流域生活圏整備プロジェクト:公共施設の集積と賑わい空間づくり
市 活 動 を 密 度 の濃 いものと すること と なるはずで ある。
今 日 の地 方 都 市 においては、豊 か な 資 源 を 守 り 、 少 し ず つ 創 り 、 今 あ る も の を 育 て
コンパクトシティとは(東北地方整備局HPから)
て い く プ ロ グ ラ ム が 必 要 となる。そのためにはフ ロ ー 中 心 か ら ス ト ッ ク 中 心 の 施 策 に
シ フ ト していかなければならない。それは新 た な 空 間 を つ く る と い う 事 業 か ら 今 あ る 空
UR L http : //w w w. thr.m lit. go . jp /co m p act-city/co ntents/w hat_is/ w hat_is. htm l
間 を 育 て る プ ロ ジ ェ ク ト へ と シ フ ト し て い く こと を 意 味 する。い わ ば「 ま ち づ く り 」 で
は な く 、「 ま ち 育 て 」 の 発 想 で ある 。それ が 、 コ ンパク トシ テ ィ 形 成 の ため の 鍵 と な る こと を 強
○コンパクトシティのイメージ
調 し たい 。
現 在 、日 本 の都 市 の多 くは都 心 部 に高 層 建 物 と老 朽 した木 造 住 宅 が密 集 した地 区 が混
在 しており、環 境 や防 災 上 の問 題 を抱 えている一 方 で、利 用 されていない土 地 があちこちに
散 在 するなど、無 駄 の多 い姿 になっています。また、市 街 地 の無 秩 序 な拡 大 は、都 市 を取 り
巻 く農 地 や緑 地 の消 失 を 招 い てい ます。
街 なか居 住 研 究 会 で は、高 層 化 を し なくても 、都 心 部 を 有 効 に 活 用 すること によっ て 都 市 全
体 を コンパク トにでき、これ らの問 題 を 解 決 できると 考 え てい ます。
都 市 がコンパクトになれば、近 郊 の緑 地 や農 地 が保 全 できます。また、都 心 居 住 を進 めるこ
と に より、 職 場 と 自 宅 が近 く なり (職 住 近 接 ) 、通 勤 によ る渋 滞 を 緩 和 す る こと がで きると と も に、
高齢者などの自家用車を利用しにくい人々が、歩いて商店街や公共公益施設を利用
す る こ と が で き る よう になります。
さらに、都 市 の 中 心 部 に さ ま ざ ま な 機 能 を 集 め る こ と に よ っ て 、 相 乗 的 な 経 済 交 流
活動が活発になり、中心市街地の活性化も期待できます。このことは、空洞化が深
刻 な 東 北 の 地 方 都 市 の 都 市 部 に お い て 、 よ り 重 要 な 視 点 で あると いえ ます。
○「コンパクトシティ」とは
(1)市 街 地 の拡 大 ベクトルを 抑 え ること が真 に必 要 か、そし てそれは可 能 か
-略 -
(2)美 し い 農 村 、郊 外 を 形 成 し てい く必 要 性
-略 -
(3)公 共 公 益 施 設 の計 画 的 配 置 と ストッ ク活 用
市 民 に対 して内 向 きのベクトルを誘 導 する施 策 をとって、地 域 内 でストック活 用 のコンセンサ
ス形 成 を図 りながら、公 共 公 益 施 設 の配 置 がフロー主 義 によって市 街 地 の無 秩 序 な拡 大 を
招 く よう な矛 盾 は、 避 けら れ な けれ ば な らない 。逆 に 言 え ば 、 自 治 体 が率 先 し て市 街 地 内 部 の
空 間 を 活 用 し てい く施 策 を 提 示 し てい く必 要 がある。
し かも 、それ は中 心 市 街 地 を 区 画 整 理 や再 開 発 事 業 によりリニ ュ ーアルし てい く中 で 公 共 施
設 を内 包 させていくといった従 来 の開 発 手 法 (右 肩 上 がりの時 代 における正 攻 法 の方 策 )の
財 政 的 限 界 を 乗 り越 え るため の工 夫 を 盛 り 込 んだ政 策 と な らなけれ ばならない 。それ は端 的 に
言 え ば、既 存 ス ト ッ ク の 再 生 ・ 活 用 と い う 視 点 で あ る し 、場 合 に よ っ て は 、別 の 機 能
を持ち込むことにより、地域内で新たな施設として生まれ変わるような取り組みも
考 え られ る。
したがって、都 市 行 政 の各 部 門 が管 理 する各 種 公 共 施 設 の配 置 に関 して総 点 検 を行 う中
で、機 能 の複 合 化 を伴 うリニューアル・プロジェクトを中 心 市 街 地 内 部 で構 想 していくことが、
それに伴 う民 間 の内 向 きベクトルを誘 発 することにもつながり、結 果 的 にコンパクトシティの都
62
安比川流域生活圏整備プロジェクト:治山治水対策
3 現
○ 治山治水対策
(安 比 川 河 川 整 備 事 業 の促 進 、親 水 施 設 の整 備 促 進 )
○
安比川の護岸整備、氾濫常習箇所の河川改修が進み、台風や豪雨の際でも安全で安
心な環境が整っているとともに、河川の修景や親水空間が整備されることで、住民に
憩いと潤いがもたらされています。また、急峻な沢や急傾斜地などの土砂災害につい
ても必要な防災対策が整えられ、災害を未然に防いでいます。
状
一 級 河 川 の 安 比 川 沿 い で は 、台 風 や 集 中 豪 雨 に よ り「 門 崎 地 区 」や「 海 上 田 地 区 」、
「大簗地区」で度々水害が発生している。平成19年9月の大雨では、海上田地区
で床上浸水や床下浸水、一部では避難勧告が出された。
1 将 来 のすがた
安比川
穏やかな流れの安比川
(海上田地区)
○
安比大簗橋上下流域など圏域における重要水防区域について、護岸工事等が進み
増水による災害が減少している。
○ 「道の駅」整備にあわせて親水公園の整備も進められ、地域住民が河川に親しむ
こ と が で き る 環 境 が 整 う と と も に 、河 川 の 観 光 資 源 と し て の 利 活 用 も 図 ら れ て い る 。
排水不良地域
○
通水断面が小さいため豪雨時に水があふれる箇所や、安比川との高低差が少ない
ため排水不良が生じていた地区について、改修工事や水路の切り替え工事が進み、
排水不良が解消されている。
土石流危険渓流等
○
似鳥地区のような急峻な沢には砂防ダムが整備され、台風や集中豪雨の際に危険
を防止し、地域住民の安全が図られている。
○ 圏域内の急傾斜地崩壊危険箇所や土石流危険渓流への対応としては、岩手県によ
る土砂災害情報相互通報システムが導入され、災害を未然に防ぐ体制が整備されて
いる。
○ 保水機能が期待される森林について、計画的に植栽や部分林契約の更新が行われ
ている。
増水した安比川
(上の写真と同じ場所:平成19年9月)
圏域における重要水防区域及び警戒水位
重 要 水 防 区 域
河川名
位
置
2 これまでの取 り組 み
○
○
岩 手 県 で は 、 暫 定 的 で は あ る が 、 平 成 18 年 度 に 大 簗 地 区 の 氾 濫 箇 所 に つ い て 、
「安比川筋御返地地区河道掘削工事」を施工。
※ 工 事 延 長 75m 、 一 部 か さ 上 げ 50c m
安
安比川
門
比 大 簗 橋 上 流 200m
下 流 100m間
(左 岸 )
崎 門 崎 橋 下 流 500m
春 日 町 春 吉 橋 上 流 500m
下 流 200m間
似鳥地区の砂防ダム整備に向けて、平成19年度に岩手県により似鳥地区戸ノ平
周辺の調査が行われている。
延 長
警戒水位
300m
1.7m
(左 岸 )
500m
1.7m
(右 岸 )
(右 岸 )
700m
1.7m
資料:二戸市地域防災計画より
63
安比川流域生活圏整備プロジェクト:治山治水対策
4 課 題 ・問 題 点
安比川
○
安比川については、管理者である岩手県において河川改修計画を作成していない
うえ、本格的な改修になると河川断面を広げなければならず、相当の用地買収が必
要になるなど、多額の投資を必要とする。
○
増水危険箇所等の改修を県に要望するため、また住民に周知するため、実害があ
る雨水・排水ポイント(地区)など、安比川流域の危険箇所を点検・確認し、重点
地区を設定する必要がある。
農地や家屋に被害のあった
門 崎 地 区( 平 成 1 9 年 9 月 )
○
御返地小学校のすぐ側
まで増水した安比川
(平成19年9月)
安比川には多くの支流があるが、向田地区を
流れる宮沢川のように通水断面が小さいため豪
雨時に水があふれる箇所があるとともに、生活
排水路についても、安比川との高低差が少ない
漆沢地区などでは、排水不良箇所が見受けられ
る。
排水不良地域
○
向田地区を流れる宮沢
川
市の所管にかかる安比川支流域や道路側溝等についても、実害が生じている地点
の点検・確認を行い、危険箇所の状況を把握するとともに、道路整備と平行した側
溝などの雨水・排水整備を進める必要がある。
土石流危険渓流等
○
圏域には、急傾斜地崩壊危険箇所や土石流危険渓流が多数あり、その多くは安比
川 沿 い に 集 中 し て い る 。特 に 、似 鳥 地 区 の 一 部 は 、裏 山 が 急 峻 な 地 形 と な っ て お り 、
台風や集中豪雨の際、短時間に大量の水と土砂が流れてくる。
※ 圏域内の急傾斜地崩壊危険箇所(自然斜面・人工斜面)と土石流危険渓流につい
て 、平 成 1 2 年 度 に 岩 手 県 が 調 査 を 行 っ て お り 、そ れ を 基 に 位 置 図 を 作 成 し た 。( 次
ページ参照)
64
○
岩手県が進めている似鳥地区の砂防ダム建設について、早期完成に向けて県へ働
きかける必要がある。
○
保水機能が期待される森林について、伐期を迎えている山林(部分林を含む)が
あるが、伐採後の植栽や部分林契約の更新意欲が衰えており、治山治水への影響が
懸念される。
○
早期避難の通知体制を整えるため、土砂災害情報相互通報システムなどの整備が
必要である。
安比川流域生活圏整備プロジェクト:治山治水対策
5 基 本 となる施 策 の方 向
6 これから取 り組 むべき施 策
安比川
○
○
安比川流域の危険個所の点検・確認を進めると同時に、当面、市地域防災計画に
重要水防区域として位置づけられている安比大簗橋地点などについて、部分的な護
岸工事や河床掘削、中洲の撤去工事などを県に要望する。
○
安比川支流域や道路側溝等については、実害が生じている地点の点検・確認を行
うとともに、危険度の高い箇所の選定・整備促進と道路整備など関連事業にあわせ
た側溝などの雨水・排水整備を進める。
また、道路形状等の関係で水が溢れる地区の流末処理(側溝整備)については、側
溝整備だけではなく、地下浸透方式の工法による整備も検討する
○
浄 法 寺 地 区 に お け る 土 砂 災 害 情 報 相 互 通 報 シ ス テ ム 整 備 に つ い て は 、 平 成 19 年
度から着手された県事業を引き継ぎ、市として平成20年度の完成を目指す。
○
県事業として実施予定である似鳥地区の砂防ダム整備については、平成20年度
の詳細設計、平成21年度の用地買収、同年の工事着工に向け、県に対して強く要
望する。
な お 、砂 防 ダ ム の 建 設 予 定 箇 所 に つ い て は 、具 体 的 に は な っ て い な い が 、6 6 ペ ー
ジの「土石流危険渓流の⑬⑭のエリア」に位置するものである。
○
砂防ダム事業と平行して、早期に市道中道馬場野線の数百メートルについて、雨
水・排水処理能力向上のための側溝工事を実施する。
安比川流域の危険箇所を点検・確認した上で重点地区を設定し、それぞれの状況
に対応した河川改修整備を県に要望する。
排水不良地域
○
安 比 川 支 流 域 や 道 路 側 溝 等 に つ い て も 、排 水 等 不 良 地 域 に つ い て の 点 検・確 認
を進めると同時に、雨水・排水整備を推進し、増水危険箇所等の解消に努める。
土石流危険渓流等
○
○
似鳥地区の砂防ダム整備については、事業主体となっている岩手県に対して、早
期完成に向けて強く要望する。
浄法寺地区について、避難勧告等に有効な土砂災害情報相互通報システムを早期
に整備する。
外の計測器から情報が
リアルタイムに表示される土砂
災害情報相互通報システム
(御返地出張所)
砂防ダム建設予定地の
戸ノ平周辺
○ 伐採後の植栽や国有林における部分林契約の更新意欲を高めるため、林業振興と
連携した地域材の利用促進などの施策を推進する。
65
安比川流域生活圏整備プロジェクト:治山治水対策
圏域内の急傾斜地崩壊危険箇所等位置図
急傾斜地崩壊危険箇所:自然斜面
番号
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
1
2
3
急傾斜地崩壊危険箇所:自然斜面
(保全人家戸数5戸以上及び公共施設)
急傾斜地崩壊危険箇所:人工斜面
(保全人家戸数5戸以上及び公共施設)
土石流危険渓流
(保全人家戸数5戸以上及び公共施設)
66
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
箇所及び渓流名
小字名
小
原
木
小
原
青 海 越 戸
青 海 越
漆
沢
-1
漆
漆
沢
漆
岡
本
ウ
ト
岡
本
-1
岡
岡
本
-2
岡
岩
淵
岩
下 前 田 ( 2 )
小
下
前
田
小
上
外
野
上
外
清
水
尻
清
水
海
上
田
海
上
寺
ノ
上
八
幡
八
幡
舘
八
幡
小
又
小
海
上
海 上 前
下
谷
地
下
谷
下
沢
下
急傾斜地崩壊危険箇所:人工斜面
安
比
道
長
渡
路
長
渡
漆
沢
北
土石流危険渓流
多 々 良 沢
季 ケ 平 開
多々良沢(2)
季 ケ 平 開
手 倉 森 の 沢
手
倉
手倉森の沢(2)
手
倉
手倉森の沢(3)
手
倉
馬 洗 場 の 沢
馬
洗
海 上 の 沢
海
小 船 の 沢
小
田 屋 の 沢
田
田屋の沢(2)
田
御 山 の 沢
御
小 原 木 の 沢
小
原
似 鳥 の 沢
似
似鳥の沢(2)
似
似鳥の沢(3)
似
似鳥の沢(4)
似
福 田 の 沢
福
大 向 の 沢
大
浅 石 の 沢
浅
木
戸
沢
沢
坂
本
本
淵
池
池
野
尻
田
舘
舘
又
田
地
沢
上
路
村
拓
拓
森
森
森
場
上
船
屋
屋
山
木
鳥
鳥
鳥
鳥
田
向
石
安比川流域生活圏整備プロジェクト:治山治水対策
7 関 連 する施 策 ・事 業
「道の駅」整備事業
旧岡本小学校用地に整備予定の「道の駅」に関連し、対岸への親水公園整備を検討
するとともに、整備についても県へ要望していく。
8 総 合 計 画 前 期 基 本 計 画 での位 置 づけ
1)現状と課題
宮 城 県 沖 地 震 や 三 陸 沖 地 震 の 発 生 率 が 高 ま る な か 、一 方 で は 地 球 温 暖 化 な ど に 起 因 す
る 異 常 気 象 に よ り 、世 界 的 規 模 で の 台 風 や 大 雨 、寒 波 や 大 雪 な ど に よ る 自 然 災 害 が 多 発
しています。
本 市 に お い て も こ れ ま で 、風 水 害 や 豪 雪 、土 砂 災 害 な ど さ ま ざ ま な 自 然 災 害 が 発 生 し
ており、防災は重要な課題となっています。
災 害 に 強 い ま ち づ く り を 進 め る た め に も 、二 戸 市 地 域 防 災 計 画 に 基 づ い た 防 災 対 策 の
充 実 が 求 め ら れ て い ま す 。ま た 、火 災 や 災 害 が 発 生 し た 際 に 、迅 速 か つ 的 確 に 対 応 で き
る消防体制の整備強化も必要となっています。
(総合計画前期基本計画「現状と課題」)
2)施策の方向
急 し ゅ ん な 沢 、急 傾 斜 地 お よ び 地 滑 り 地 帯 の 土 石 流・崩 壊 等 の 危 険 防 止 を 図 る た め 、
健全な森林づくりを進めるなど、総合的な治山治水対策による自然災害の未然防止に
努めます。
また、河川整備については、自然との調和を図りながら事業主体である県との情報
の共有に努め、事業を促進します。
3)主要施策
● 砂防事業・治山事業による整備(砂防・治山事業の促進)
● 急傾斜地崩壊対策事業による整備(急傾斜地事業の促進)
67
安比川流域生活圏整備プロジェクト:教育環境の整備・充実
○ 教 育 環 境 の整 備 ・充 実
(浄 法 寺 小 学 校 建 設 )
ふ る さ と の 山 河 に 囲 ま れ つ つ 、安 全・安 心 で 充 実 し た 教 育 環 境 が 整 備 さ れ る こ と で 、
子供たちそれぞれの個性や特性に応じた教育が進められ、次代を担うにふさわしい人
材が育っています。
1 将 来 のすがた
○
浄法寺地区の児童たちは、新校舎の完成により新しい充実した教育環境の中で快
適な学校生活を送っている。
○
御返地小学校と御返地中学校の耐震補強工事が施され、児童生徒は安全で安心な
環境の中で学校生活を送っている。
○
浄法寺中学校の校庭について暗渠排水整備や拡張工事が行われ、充実した教育環
境の中で学校行事やクラブ活動などが行われている。
○
新学校給食センターでは、市内小中学校の児童生徒に安全でおいしい学校給食を
提供している。
耐震補強が済んだ
浄法寺中学校
●
圏域小中学校の耐震診断概要
浄法寺小学校
建築年
2 これまでの取 り組 み
○
○
○
○
構 造
浄法寺地域における小中学校について、
「 学 校 教 育 は 、適 正 規 模 の 学 級 数 の 中 で 切
磋琢磨して学ばせ、充実した施設の中で伸び伸びとした教育が可能な環境を整える
べ き で あ り 、 複 式 学 級 編 成 を 早 期 に 解 消 す る 必 要 が あ る 」 と の 考 え か ら 、 平 成 17
年 4 月 1 日 を も っ て 6 小 学 校( 分 校 1 校 、小 中 併 設 校 1 校 を 含 む )と 2 中 学 校( 小
中 併 設 校 1 校 を 含 む ) を 、 そ れ ぞ れ 現 校 舎 を 活 用 し て 「 浄 法 寺 小 学 校 」、「 浄 法 寺 中
学校」に統合した。
Is値
「 浄 法 寺 小 学 校 」に つ い て は 、
「 耐 震 性 能 に 問 題 が あ る 」な ど の 理 由 か ら 、統 合 条
件として新校舎を建設することとして現在に至っており、海上田地区への移転新築
計画が進められている。
※
御返地小学校
( 平 成 19 年 1 2 月 2 8 日 現 在 )
浄法寺中学校
昭 和 52年
(体 育 館 53年 )
鉄 筋 コンクリート 鉄 筋 コンクリート 鉄 筋 コンクリート
造 (体 育 館 は鉄 造 (体 育 館 は鉄 造 (体 育 館 は鉄
骨造)
骨造)
骨 造 ・特 別 教 室
は木 造 )
0. 33~3. 60
0. 28~7. 11
0. 86~1. 07
(一 部 を 除 いて
(一 部 を 除 いて
平 成 17年 度 耐
耐 震 性 能 に問 題 耐 震 性 能 に問 題 震 補 強 工 事 実
があ る。)
があ り 、体 育 館
施済
は倒 壊 、崩 壊 す
る危 険 性 があ
る。)
昭 和 44年
昭 和 42・48年
御返地中学校
昭 和 48年
(体 育 館 49年 )
鉄 筋 コンクリート
造 (体 育 館 は鉄
骨造)
0. 36~0. 71
(体 育 館 は倒
壊 、崩 壊 する危
険 性 があ る。)
Is値(構造耐震指標)とは、建物の耐震性能を表わす指標である。文部科学省の基準では、
地震時の児童生徒の安全性、被災直後の避難場所としての機能性を考慮し、補強後のIs値が概
ね0.7を超えることとしている。
浄法寺中学校については、統合にあたって「現校舎を引き続き使用する」とされ
た こ と か ら 、 耐 震 診 断 結 果 に 基 づ き 平 成 17 年 度 に 校 舎 及 び 体 育 館 の 耐 震 補 強 を 含
む大規模改修工事を実施している。
○
「御返地小学校」と「御返地中学校」については、平成16年度と17年度に耐
震一次診断を行ったが、
「 耐 震 性 能 に 問 題 が あ る 」と さ れ た た め 、平 成 1 9 年 度 に お
いて、耐震二次診断を実施している。
68
学校給食センターについては、合併協議において「新市において統合し、整備す
る 」 と し 、「 二 戸 市 総 合 計 画 前 期 基 本 計 画 」 に お い て も 、「 二 戸 ・ 浄 法 寺 学 校 給 食 セ
ンターは両施設とも老朽化が進み、安全・衛生管理面が危惧されていることから、
「学校給食衛生管理の基準」に対応した、環境にやさしく、より安全で快適・衛生
的な新しい施設を整備し、安全でおいしい学校給食を提供します」として、現在に
至っている。
安比川流域生活圏整備プロジェクト:教育環境の整備・充実
3 現
○
●
○
状
本 圏 域 の 児 童 生 徒 数 は 、 平 成 19 年 5 月 1 日 現 在 で 小 学 生 287 人 、 中 学 生 170
人 と な っ て お り 、 10 年 前 と 比 較 し て 小 学 生 で は 160 人 、 中 学 生 で は 117 人 減 少
している状況にある。
圏域内における小中学校児童生徒数(浄法寺小中・御返地小中学校)
(人)
700
圏域内の児童生徒数の推移
664
628
603
600
569
550
517
500
児
童 400
・
生
徒 300
数
小学校児童数
500
455
390
447
376
352 361
435 423
416
390
327 319
380
352
304
287
293
272
239
200
321
318
292
287
226 232 224 222 213
205 197
中学校生徒数
昭和44年に建設された
現在の浄法寺小学校
170
100
0
H01 H02 H03 H04 H05 H06 H07 H08 H09 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19
年 度
○
御 返 地 地 区 の 小 中 学 校 は 、 御 返 地 小 学 校 で 建 築 後 33 年 ~ 39 年 、 御 返 地 中 学 校
で 32 年 ~ 33 年 を 経 過 し て い る が 、 耐 震 一 次 診 断 に よ り 耐 震 性 能 に 問 題 が あ る と
されたため、平成19年度において御返地小学校・御返地中学校の校舎・体育館の
耐震二次診断を実施している。
○
市内には昭和47年3月に建設された二戸学校給食センターと昭和55年11月
に建設された浄法寺学校給食センターの2施設があり、御返地小学校と御返地中学
校は二戸学校給食センターから、浄法寺小学校と浄法寺中学校は浄法寺学校給食セ
ンターから配食されている。
資料:学校基本調査
●
統合により浄法寺地区唯一の小学校となった浄法寺小学校は、建築後37年を経
過しており、耐震性能に問題がある。
圏域内における今後の児童生徒数の推移について
単位:人
年度
浄法寺小
御返地小
小学校計
浄法寺中
御返地中
中学校計
19
206
74
280
133
33
166
20
199
80
279
126
34
160
21
199
70
269
113
36
149
22
213
68
281
106
36
142
23
206
56
262
100
45
145
24
194
58
252
98
36
134
25
196
51
247
100
38
138
※この数値は、平成19年4月1日現在の住民基本台帳年齢別人口より算出した推計値である。
69
安比川流域生活圏整備プロジェクト:教育環境の整備・充実
4 課 題 ・問 題 点
5 基 本 となる施 策 の方 向
○
学校統合から3年を経過しようとしているが、新浄法寺小学校移転新築は統合条
件であり耐震性能にも問題があるため、新校舎の整備を早急に進める必要がある。
○
平 成 17 年 度 に 統 合 し た 浄 法 寺 小 学 校 の 教 育 環 境 の 向 上 を 図 る た め 、 二 戸 市 浄 法
寺町海上田地内に新校舎の建設を推進する。
○
新浄法寺小学校建設にあたっては、森林保全や地球温暖化問題に配慮して、地域
材を有効に活用するとともに新エネルギーの一つである太陽光発電設備を取り入れ
るなど、環境に配慮した施設整備が必要である。
○
新浄法寺小学校の建設にあたっては、子どもたちの情操の涵養と森林保全や地球
温暖化問題に配慮し、可能な限り地域材の利活用および新エネルギーの導入を検討
する。
○
新浄法寺小学校に通う児童の安全な通学を確保するため、通学路となる市道役場
線や市道川原線の早期整備が必要である。
○
御返地小学校と御返地中学校の耐震補強工事については、計画的に事業を推進す
る。
○
学校施設等の老朽化が進んでいることから耐震化への対策も踏まえた早急な対応
が求められており、圏域に位置する御返地小学校と御返地中学校については、耐震
補強工事を早急に実施し、建物の再生整備を図るうえでも併せて老朽改造工事を検
討する必要がある。
○
浄法寺中学校の校庭について、拡張整備や暗渠排水整備を進めるとともに、隣接
する市営相撲場についても、中学校の校庭拡張の必要性から、縮小・移転を含めた
整備を検討する。
○
新二戸学校給食センターは、二戸学校給食センター、浄法寺学校給食センターを
統合し、学校給食衛生管理の基準に適応したドライシステム導入の新学校給食セン
ターとして、二戸市似鳥字田中坪地内に新築する。
○
浄法寺中学校の校庭は、狭小な上に排水が不良であることから、校庭の拡張整備
と同時に暗渠排水整備が必要である。
○
二戸学校給食センター、浄法寺学校給食センターともに老朽化が著しく、設備に
おいては現在の基準に十分適合しているとは言い難い状況にあることから、早急に
安全で安心な学校給食を効率的に提供できる施設整備を進める必要がある。
○
現在の浄法寺学校給食センター
70
現 在 の 浄 法 寺 小 学 校 用 地 と 給 食 セ ン タ ー 用 地 に つ い て 、有 効 な 活 用 策 を 検 討 す る 。
安比川流域生活圏整備プロジェクト:教育環境の整備・充実
○
6 これから取 り組 むべき施 策
○ 新浄法寺小学校の整備促進
【 浄 法 寺 小 学 校 建 設 事 業 年 次 計 画 ( 予 定 )】
●平成19年度
用地測量、用地購入
●平成20年度
建築設計、敷地造成
●平成21年度
校舎・屋内運動場、現浄法寺小学校校舎等解体撤去
●平成22年度
供用開始、校庭・外構等整備
○
浄法寺中学校の校庭拡張および暗渠排水整備の促進
通学路となる市道役場線の新設整備・橋梁整備、市道川原線の改良舗装、市道春
日杉沢線の歩道および融雪システム整備
(幹線及び生活道路の整備計画参照)
耐震補強工事が予定されている
御返地中学校
新浄法寺小学校の建設予定地と
なっている海上田地区
○ 御返地小・中学校の計画的耐震補強工事の促進
【 御 返 地 小 中 学 校 耐 震 補 強 事 業 年 次 計 画 ( 予 定 )】
●平成20年度
御返地小学校耐震補強設計
●平成21年度
御返地小学校耐震補強工事・御返地中学校耐震補強設計
●平成22年度
御返地中学校耐震補強工事
耐震補強工事が予定されている
御返地小学校
71
安比川流域生活圏整備プロジェクト:教育環境の整備・充実
○
新学校給食センターの整備促進
7 関 連 する施 策 ・事 業
【学校給食センター建設事業】
●平成19年度
用地測量、用地購入、建築設計
●平成20年度
敷地造成、学校給食センター建設工事
●平成21年度
学校給食センター建設工事 8月中旬供用開始
項
建設予定地
建築面積
約 1,592㎡
延床面積
約 1,829㎡
構
鉄 骨 造 、2階 建 て
調理能力
3,000食 /日
熱
全電化方式
源
8 総 合 計 画 前 期 基 本 計 画 での位 置 づけ
1)現状と課題
学 校 教 育 施 設 等 の 老 朽 化 は 日 増 し に 進 ん で お り 、耐 震 化 へ の 対 策 も 踏 ま え た 早 急 な 対
応 が 求 め ら れ て い ま す 。児 童 生 徒 の 安 全 を 確 保 す る た め 、老 朽 化 し た 校 舎 の 改 築 や 耐 震
化 を 図 る と と も に 、破 損 箇 所 の 補 修 な ど 計 画 的 な 整 備 を 進 め る こ と が 必 要 と な っ て い ま
す。
(総合計画前期基本計画「現状と課題」)
2)施策の方向
教育施設は、学校教育はもちろんのこと、地域におけるさまざまな活動の場となる
ことから、児童生徒数の推移も見定めながら、重点的に改築・改修・耐震化の整備等
を図り、良好で安心できる学校教育環境の充実に努めます。
少子化の進展に伴い、児童生徒数の減少傾向は、地域により差異はあるものの、全
般的に学校の小規模化を進行させています。
学校の小規模化には、目のゆきとどいた教育を進め個性の伸長が図られるという利
点がある反面、学校教育本来の機能である「より多くの集団の中で切磋琢磨できる機
会を与え、社会性・協調性のある子どもの育成を図ること」などに大きな影響を及ぼ
すため、人口動向や地域特性を踏まえながら適正規模・適正配置等を推進します。
さ ら に 、情 報 活 用 能 力 の 育 成 を 図 る た め 、情 報 機 器 等 の 整 備 充 実 に 努 め ま す 。ま た 、
高校教育の充実のために関係機関と連携を図るとともに、進学指導の強化および育英
資金貸与制度の充実に努めます。
3)主要施策
● 小・中学校建設事業
● 小・中学校耐震化事業(耐震診断の実施、耐震補強の実施など)
● 小・中学校改修事業(小中学校の施設改修、大規模改造の実施など)
● 学校の適正規模・適正配置(検討委員会の設置、地域懇談会の開催など)
● 情報機器の整備(小中学校教育用コンピュータの更新)
● 学校運営の充実(学校図書の充実)
● 遠距離通学者への支援(通学費の補助、スクールバスの運行など)
● 育英資金貸与事業(高校・大学生への学業資金の貸与)
● 就学前教育の支援(私立幼稚園就園奨励費補助、私立幼稚園運営費補助など)
二戸市似鳥字 田中坪 地内
約 4,629㎡
炊飯設備
有
現況地目
田 ・畑
主 な設 備
○
・ ドライシ ステム導 入 の学 校 給 食 衛 生 管 理 の基 準 に
適 応 した施 設 整 備
・食 育 の推 進
・献 立 内 容 の充 実
・地 元 食 材 の積 極 的 な活 用
敷地面積
造
主要地方道二戸五日市線浄法寺バイパスと中心部を結ぶ路線であり、移転新築され
る浄法寺小学校へのアクセス道路である市道役場線の整備を促進する。
また、当面通学路となる市道川原線について、通学児童の安全に配慮した整備を推
進する。
学 校 給 食 センター整 備 の概 要
目
設計概念
市道路整備事業
・厨 房 設 備 ・電 気 設 備 ・空 調 換 気 設 備 ・給 排 水 衛 生 設 備
・浄 化 槽 設 備 ・廃 水 処 理 設 備
給食センターにおける地元食材の利用促進に向けた関係課との連携強化
72
安比川流域生活圏整備プロジェクト:芸術文化の振興、文化財の保護・保存と活用
○ 芸 術 文 化 の振 興 、文 化 財 の保 護 ・保 存 と活 用
芸術や文化が生活空間の中に溶け込み、圏域住民に楽しさや感動、安らぎ、喜びと
いった精神的な潤いをもたらしています。また、地域の自然や風土、暮らしの中で育
まれ守られてきた生活文化や歴史、文化財についても、圏域の誇れる共有の財産とし
て、住民が中心となった保存、継承活動が進められています。さらに、これらの芸術
文 化 、文 化 財 が 地 域 資 源 と し て 教 育 や 観 光 、ま ち づ く り に も 有 効 に 活 用 さ れ 、
「歴史文
化の薫る」景観が形成されています。
1 将 来 のすがた
【芸術・文化】
○ それぞれの世代に合った芸術文化活動を通して、楽しさや感動、安らぎ、喜びと
いった精神的な潤いが生じ、生活空間の中に趣味・興味を活かした活動の場が広が
りつつある。
○
芸術文化団体や各種サークルなどによる自主的活動の支援施設として浄法寺文化
交流センターが有効に機能し、芸術文化の振興が進められている。
○
市民の芸術文化活動が福祉や商業活動などにも反映されることにより、まちづく
りに欠かせない地域に対する誇りや愛着、地域住民同士の連帯感が強まっている。
○
地域の自然や風土、暮らしの中から生まれ、培われてきた文化芸術(宝)や天台
寺の瀬戸内名誉住職の功績に対する顕彰が行われ、新たな芸術文化活動の創造に向
けた機運が醸成されつつある。
【文化財】
○ 地域の豊富な歴史・文化遺産を保護・保存、伝承するために、行政(埋蔵文化財
センター、歴史民俗資料館、市史編さん室、地域づくり推進課)と地域住民、関係
機関(文化庁、岩手県、市文化財調査委員会など)が連携した「宝」の発掘と調査
が進められている。
○
地 域 の 歴 史・文 化 遺 産 が 市 民 に 公 開 さ れ る と 同 時 に 、広 く 内 外 に 情 報 が 発 信 さ れ 、
市民が誇れる共有の財産となることにより、これらの保存、伝承に向けた住民意識
が高まっている。
○
住民意識の高まりを受けて、各種保存会やボランティア、学校、地域などが中心
となった組織が結成され、または発展し、行政との協働による保存、伝承活動が始
まっている。
○
圏域に点在する歴史・文化遺産を「学び」の場として活用することで、人材の育
成を始め、交流人口の増加にも結びついている。
似鳥八幡宮で行われる
「サイトギ」
73
安比川流域生活圏整備プロジェクト:芸術文化の振興、文化財の保護・保存と活用
3 現
2 これまでの取 り組 み
○
旧 浄 法 寺 町 で は 、平 成 7 年 に 町 民 の 文 化 ・ 芸 術 活 動 の 拠 点 施 設 と し て 浄 法 寺 町 文
化会館(現浄法寺文化交流センター)を整備した。
○
浄 法 寺 地 区 に は 地 域 の 文 化 的 シ ン ボ ル「 天 台 寺 」や 日 本 の シ ン ボ ル と も 言 え る「 漆 」
をはじめ、駒ヶ嶺新山神楽・杉沢えんぶりなどの民俗芸能、福蔵寺に伝わる猫塚伝
説や滝見橋伝説などの口承文芸、上杉沢遺跡や浄法寺城跡に代表される縄文時代か
ら中近世に至る埋蔵文化財など数多くの歴史・文化遺産があり、旧浄法寺町では、
これまで指定の推進、保存施設の整備、資料の収集・調査、後継者の育成などを進
めてきた。
【芸術・文化】
○ 芸術文化活動の拠点施設として平成 7 年に整備された浄法寺文化交流センターで
は、音楽会・演劇公演・映画会・講演会などの自主事業を開催しているとともに、
各 種 サ ー ク ル 活 動 (「 J サ ー ク ル 」 8 団 体 ) の 拠 点 と も な っ て い る 。
※自 主 事 業 予 算 及 び自 主 事 業 開 催 本 数 、鑑 賞 者 数 の推 移
年 度
平 成 15 年
平 成 16 年
平 成 17 年
平 成 18 年
平 成 19 年
予 算
3, 133 千 円
3, 810 千 円
2, 560 千 円
3, 290 千 円
3, 000 千 円
本 数
7本
8本
2本
2本
2本
鑑賞者
1, 570 人
1, 664 人
1, 235 人
647 人
438 人
(1 本 分 )
○
平 成 20 年 1 月 現 在 、旧 二 戸 市 と 旧 浄 法 寺 町 の 文 化 団 体 の 統 合 が 行 わ れ て い な い
ため、二戸市芸術文化協会加盟団体38団体とは別に浄法寺町文化団体連絡協議会
が あ り 、協 議 会 に 所 属 す る 芸 術 協 会( 7 部 会 )・芸 能 協 会( 8 団 体 )・文 化 懇 談 会( 7
部会)が、浄法寺地区を中心に活動を展開している。
○
浄法寺地域では天台寺の保存復興を目的として精力的な住民活動を展開してき
た 「 天 台 寺 保 存 会 」、 梅 田 川 地 区 の 子 ど も た ち と 保 護 者 が 中 心 と な っ て 活 動 し て い
る 「 梅 田 川 太 鼓 」、 さ ら に 全 国 の オ ー ト バ イ 愛 好 者 有 志 の 集 い で あ り 、 地 域 活 性 化
センターの遊休施設を活用して開設した歴史的二輪車展示館「みちのく記念館」の
運 営 母 体 と な っ て い る 「 愛 輪 塾 」、「 浄 法 寺 さ ん さ の 会 」 な ど 、 多 様 な 芸 術 文 化 団 体
が活動している。
○
一部の団体を除いてリーダーやメンバーの高齢化が進んでいる。
【文化財】
○ 本 市 に は 、 国 指 定 6 件 ( う ち 浄 法 寺 地 区 4 件 )、 県 指 定 12 件 ( う ち 浄 法 寺 地 区
11 件 )、 市 指 定 84 件 ( う ち 浄 法 寺 地 区 30 件 ) 合 計 10 2 件 の 有 形 ・ 無 形 の 指 定
文化財がある。
こ の う ち 国 指 定 4 件 、 県 指 定 1 1 件 、 市 指 定 35 件 は 天 台 寺 に 集 中 し て お り 、 ま
た 、こ の 他 に も「 日 本 う る し 掻 き 技 術 保 存 会 」が 国 の 選 定 保 存 技 術「 日 本 産 漆 生 産 ・
精 製 」 技 術 の 保 存 団 体 に 認 定 さ れ て い る と と も に 、 平 成 19 年 3 月 に は 、「 浄 法 寺
漆 林 」 が 文 化 庁 の 「 ふ る さ と 文 化 財 の 森 」 第 1 号 に 設 定 さ れ る な ど 、「 天 台 寺 」 と
「漆」に関する資料を中心として、県内でも屈指の豊富な文化財が存在する。
神明社例大祭で
舞を披露する
杉沢えんぶりの皆さん
○
状
平 成 4 年 か ら 旧 二 戸 市 の「 二 戸 市 楽 し く 美 し い ま ち づ く り 推 進 委 員 会 」に お い て 、
「 宝 」 と い う 視 点 に よ る ま ち づ く り が 進 め ら れ て き た が 、 平 成 18 年 1 月 の 合 併 以
後、 「宝を活かしたまちづくり」の一環として浄法寺地域の「宝」さがしが行わ
れている。
74
安比川流域生活圏整備プロジェクト:芸術文化の振興、文化財の保護・保存と活用
4 課 題 ・問 題 点
[芸術・文化、文化財全般]
○ 豊 か で 潤 い の あ る 生 活 空 間 の 実 現 を 図 る た め に 、歴 史 や 優 れ た 文 化・芸 術 に 触 れ 、
楽しみ、生活に活かすことができる環境の整備が必要である。
○
これまでの成果を活かして経済活動の活性化、人材の育成、交流人口の増加など
へもつなげていくなど、地域の固有の資源である芸術・文化、文化財を「まちづく
り」へ積極的に活用する必要がある。
特に、天台寺と漆については、地域の重要な観光及び産業資源であると同時に、
平 泉 の 世 界 遺 産 登 録 に 向 け た 動 き と 連 動 す る 文 化 遺 産 で あ る こ と か ら 、「 ま ち づ く
り」への積極的な活用が求められている。
○
芸術・文化・文化財は地域住民の生活と密接に関わることから、伝承や保存、振
興については、地域づくり推進課や教育委員会をはじめとした関係各課が連携して
取り組む必要がある。
[芸術・文化]
○ 新たな市民文化の創造と自主的・主体的な芸術文化活動の推進を図るため、市民
が芸術文化に接する機会の拡充と芸術・文化団体の育成・支援が求められている。
○
市指定無形民俗文化財の
福田の人形祭り
○
○
[文化財]
○ これまでの文化財保護施策は、旧二戸市では埋蔵文化財、旧浄法寺町では「漆」
と「天台寺」が中心となっていたことから、今後は、その他の有形・無形の文化財
についても調査・研究及び保護・継承を進める必要がある。
埋蔵文化財包蔵地は、旧二戸市約250、旧浄法寺町約350、合計約600遺
跡 が 確 認 さ れ て い る が 、 こ れ ら の う ち 当 該 圏 域 に か か る も の は 約 390 遺 跡 と な っ
て お り 、そ の 時 代 は お よ そ 1 万 年 前 の 縄 文 時 代 草 創 期 か ら 近 世 江 戸 時 代 に ま で 及 ぶ 。
○
これまで守られてきた有形・無形の文化財(文化資源)の保護・保存と継承を図
りながら、これらの文化財を通して住民の郷土に対する愛着と誇りを一層育む必要
がある。
特に、天台寺については国の重要文化財指定を受けている本堂と仁王門の傷みが
進んでいるため、早急な解体修理に向けた体制づくりが求められている。
○
有形民俗文化財(民具等)の収集・保存にあたって、現在の施設では収蔵・展示
能力の限界をはるかに超えてしまうため、その対策が求められている。
浄 法 寺 歴 史 民 俗 資 料 館 の 入 館 者 が 、 瀬 戸 内 寂 聴 師 の 天 台 寺 住 職 就 任 年 ( 1987 、
昭 和 62 年 ) を ピ ー ク に 年 々 減 少 し て い る 。
【有料入館者数の推移】
昭 和 62 年
平成 2 年
平成 7 年
平 成 12 年
平 成 15 年
平 成 17 年
平 成 18 年
平 成 19 年
8,688 人
3,663 人
1,294 人
811 人
604 人
365 人
366 人
483 人
浄法寺文化交流センターは、主に旧浄法寺町域住民及び団体を対象として事業を
展開せざるを得ない状況にあり、
「 安 比 川 流 域 生 活 圏 」と し て の 一 体 感 を 醸 成 す る た
めの機能と役割の見直しが必要である。
75
安比川流域生活圏整備プロジェクト:芸術文化の振興、文化財の保護・保存と活用
5 基 本 となる施 策 の方 向
6 これから取 り組 むべき施 策
【芸術文化の振興】
○ 芸術文化活動の拠点施設である浄法寺文化交流センターを核として、関係機関・
施設との連携と事業等の拡充を図る。
○
○
【芸術文化の振興】
○ 浄法寺文化交流センターとカシオペアセンター(図書室を含む)を圏域における
芸術文化活動の拠点として位置づけ、施設の維持と内容の充実を図るとともに、圏
域住民が利用しやすい弾力的な運用に努める。
「J サークル」等芸術文化団体など、自主的な住民の芸術文化活動に対する支援
と住民自らが企画・運営・参加できる環境整備を推進する。
浄法寺文化交流センターを会場とした芸術文化事業の開催や県立美術館や県民会
館などの事業への積極的参加など、圏域住民が気軽に優れた芸術・文化に触れる機
会を充実させる。
○
芸術文化団体やサークルなどによる自主的活動について、指導者の紹介や各種イ
ベントへの協力などを通じて支援と連携を強化し、圏域住民自らが企画・運営・参
加できる環境の整備を推進する。
○
歴史的・伝統的な文化資源の保存と伝承に努めながら、二戸市への愛着を育むと
と も に 地 域 に 根 ざ し た 個 性 豊 か な 芸 術 文 化 活 動 の 展 開 を 進 め る た め 、( 仮 称 )「 二 戸
市文化懇談会」を設置し、文化芸術に接する機会の充実と市民の自主的な活動への
支援を行う。
○
「道の駅」整備と関連した(仮称)「先人顕彰コーナー」の開設に向けた検討を
行うとともに、関係機関・関係課等との連携を図る。
( 仮 称 )「 先 人 顕 彰 コ ー ナ ー 」の 開 設 に 向 け て 、小 田 島 孤 舟 、瀬 戸 内 寂 聴 、今 東 光
氏などの資料収集を進める。
【文化財の保護・保存と活用】
○ 指定文化財、特に「天台寺本堂・仁王門」など国指定文化財の維持管理を強化す
るとともに、未調査・未発掘の文化財や未指定の文化財については、関係機関等と
連携した発掘、調査を行い、指定に向けた取り組みを推進する。
○
文化財を地域固有の地域資源として有効に活用するため、文化財保護関係団体等
との連携や支援を強め、生涯学習の場での利用や観光資源としての活用を進める。
○
埋蔵文化財については引き続き、文化財保護法の周知徹底を図るとともに関係部
局や関係機関との円滑な連絡調整を推進し、開発事業等による遺跡の破壊を防ぎ、
必要に応じて発掘調査を行うなど、その保護に努める。
○
○
【文化財の保護・保存と活用】
○ 圏域の有形・無形の文化財について、市文化財調査委員会の調査機能を高めると
と も に 、「 宝 」探 し と 連 動・連 携 し た 各 種 未 発 掘 文 化 財 の 調 査 を 行 う と と も に 、国 ・
県・市指定に向けた取り組みを進める。
浄法寺歴史民俗資料館による資料収集を強化し、展示内容の充実を図るとともに
展示スペースには限界があることから収集資料の収蔵施設の確保について検討する。
○
地域の伝統文化や芸能、生産・生活文化などの継承に向けて、子どもから高齢者
まで幅広い市民が参加できるように、学校教育や社会教育の場での活用を進める
浄法寺歴史民族資料館
展示スペースが限られる
う え 、12 月 か ら 3 月 の 冬
期間は閉鎖となる。
駒ケ嶺新山神楽
76
安比川流域生活圏整備プロジェクト:芸術文化の振興、文化財の保護・保存と活用
○
観光資源等としての活用の促進を図るため、郷土芸能保存団体、日本うるし掻き
技 術 保 存 会 、天 台 寺 保 存 会 な ど の 各 種 保 存 会 や 天 台 寺 観 光 ボ ラ ン テ ィ ア の 会 、学 校 、
地域などに対する支援と連携を強化する。
○
天台寺の文化財については、所有者との緊密な連絡を取り合い、その保存と活用
に積極的に取り組む。特に、国の重要文化財指定を受けている本堂・仁王門は傷み
が進んでいるため、
( 半 )解 体 修 理 を 念 頭 に 置 い た 対 策 を 検 討 す る と と も に 、天 台 寺
の関連重要遺跡である「土踏まずの丘」についても史跡としての環境整備を検討す
る。
解体修理の必要性がある
天台寺仁王門
○
浄法寺歴史民俗資料館(漆文化財収蔵庫を含む)について、二戸歴史民俗資料館
との連携や役割分担の確認を進め、展示内容を「漆」と「天台寺」にテーマを絞り
込むとともに、圏域内における各種文化財資料の収集機能を向上させる。
一方、資料の収蔵能力が限界に達しているため、圏域内の遊休施設の活用も含め
て施設の拡充整備を検討する。
○
開発事業等による遺跡の破壊を防ぎ、必要に応じて発掘調査を行うとともに、上
杉沢遺跡や浄法寺城跡など全国的にも貴重な遺跡については、恒久的な保存・整備
に向けた施策を策定し、国史跡指定を促進する。
77
安比川流域生活圏整備プロジェクト:芸術文化の振興、文化財の保護・保存と活用
● 埋蔵文化財センター体験学習事業の推進(土器作り、古代食調理体験など)
● 優れた芸術鑑賞のための自主文化事業の実施(音楽・寄席・演劇の開催)
● 芸 術 文 化 活 動 等 の 支 援 (市 文 化 祭 ・ 各 団 体 発 表 会 の 開 催 支 援 )
● 歴史民俗資料館の機能向上と充実の検討
4)関連主要施策
● 日本うるし掻き技術保存会など文化財保護関係団体への補助金交付事業
● 歴史民俗資料の収集と研究・活用の推進(民俗資料の収集・分類・保存・展示活
用)
● 地域伝統行事・民俗文化財の記録・研究活動の推進
● 市史編さん事業の推進(資料の収集・編集、史料そう書の発行など)
7 関 連 する施 策 ・事 業
「道の駅」整備事業
地域特性である「天台寺」と「漆」の情報を、地域の歴史や人との関わりを含め情
報として発信させるとともに、地域特性を新たな角度で見直し、それを発信すること
により、
「 人 」や「 商 品 」の 交 流 が 広 が り 地 域 の 活 力 が 生 ま れ 継 続 的 な 地 域 活 性 化 が 可
能になる。
8 総 合 計 画 前 期 基 本 計 画 での位 置 づけ
1)現状と課題
本 市 は 、国 指 定 史 跡 九 戸 城 跡 や 八 葉 山 天 台 寺 な ど の ほ か 、多 く の 文 化 財 に 恵 ま れ 、こ
れらが文化の薫り高い落ち着いたまちの雰囲気を醸し出しています。
こ の よ う な 歴 史 と 風 土 の 中 で 、市 民 の 芸 術 文 化 に 対 す る 関 心 と 創 造 意 欲 は ま す ま す 高
まっています。
価 値 あ る 市 民 文 化 の 創 造 と 自 主 的・主 体 的 な 芸 術 文 化 活 動 の 推 進 を 図 る た め 、市 民 が
芸 術 文 化 に 接 す る 機 会 の 拡 充 と 芸 術・文 化 団 体 の 育 成・支 援 に 努 め て い く こ と が 必 要 と
なっています。
ま た 、文 化 財 に つ い て は 、郷 土 に 対 す る 市 民 の 理 解 を 深 め る た め 、歴 史 的 ・ 伝 統 的 な
文 化 資 源 の 保 存 と 伝 承 に 努 め る と と も に 、ま ち づ く り と の 調 和 と 観 光 資 源 と し て の 再 評
価・活用を図りながら、本市への愛着を育む環境づくりが求められています。
(総合計画前期基本計画「現状と課題」)
参 考 資 料
【天台寺修繕事業】
平 成 19 年 度 ~ 天 台 寺 修 繕 事 業 に 向 け て 「 文 化 財 天 台 寺 本 堂 ・ 仁 王 門 修 復 調 査 検 討
委員会」を立ち上げ(清川明彬委員長、ほか会員27名)
平 成 20 年 度 ~ 仮 称 「 天 台 寺 修 繕 基 金 」 の 造 成
平 成 25 年 度 ~ 天 台 寺 本 堂 ( 仁 王 門 ) 半 解 体 修 理 設 計
平 成 26 年 度 ~ 天 台 寺 本 堂 ( 仁 王 門 ) 半 解 体 修 理 工 事
【遺跡発掘調査事業等】
① 市内遺跡発掘調査事業
周知遺跡に該当する個人住宅建築予定地等の緊急発掘調査(随時)
② 重要遺跡発掘調査事業
浄法寺城跡等重要遺跡の史跡指定及び保存・活用のためのデータ集積を目的とし
た 学 術 調 査 の 再 開 継 続 ( H 17 以 降 中 断 )
③ 浄法寺小学校建設予定地緊急発掘調査事業
新 築 が 予 定 さ れ て い る 浄 法 寺 小 学 校 用 地 の 埋 蔵 文 化 財 緊 急 発 掘 調 査 ( H 20 単 年 度
の予定)
④ 給食センター建設予定地緊急発掘調査事業
新 築 が 予 定 さ れ て い る 給 食 セ ン タ ー 用 地 の 埋 蔵 文 化 財 緊 急 発 掘 調 査 ( H 20 単 年 度
の予定)
⑤ 過去に市内で実施した発掘調査の出土品の整理・活用のためのデータベースの作
成事業
2)施策の方向
天台寺や浄法寺城跡などの文化財の保存、漆文化・郷土芸能など地域に根ざした伝
統文化の保存、伝承に努めます。(新市建設計画)
市 民 が 生 涯 を 通 じ て 身 近 な 場 で 芸 術・文 化 に 接 し 、地 域 に 根 ざ し た 個 性 豊 か な 芸 術 ・
文化活動が展開できるよう、地域の芸術文化団体や指導者との連携、地域間の交流を
推進します。
文化財については、貴重な文化遺産・天然記念物・民俗芸能等の保護・保存および継
承を図りながら、市民に親しまれるよう積極的に公開・活用を進め、文化財愛護の普
及に努めます。また、文化財保護団体等の関係団体との連携を図るとともに、指導者
を 育 成 し ま す 。( 総 合 計 画 前 期 基 本 計 画 「 施 策 の 方 向 」)
3)主要施策
● 天台寺文化財修繕事業の促進(国重要文化財“天台寺本堂・仁王門”等の解体調
査、修繕・復元工事の設計および施行など)
● 史 跡 ・ 名 勝 関 連 事 業 の 展 開 (土 地 買 上 事 業 、 史 跡 追 加 指 定 の 推 進 な ど )
● 埋蔵文化財発掘調査事業の推進
● 芸術文化団体・郷土芸能保存団体の活動助成事業の推進(芸術文化団体活動実態
調査、郷土芸能祭の開催など)
● 漆掻き技術者養成研修および技能練磨事業の推進(日本うるし掻き技術保存会の
事業活動支援)
78
安比川流域生活圏整備プロジェクト:
廃校舎の利活用
2 これまでの 取 り組 み
○ 廃 校 舎の 利 活 用
経
か つ て 地 域 住 民の 交 流の 場と し て も そ の 役 割を 果し て い た 校舎 や そ の 土地 が 、地 域
の 提 案に よ る新 しい 交 流 施 設と し て、 福 祉 施 設や 漆の 振 興・ 観光 の 玄関施設 と し て 、
そ れ ぞ れ の 立地 や必 要 性に 応じ て 生ま れ変 わ り、 有効 な 利 活 用が 図ら れ て い ま す 。
平 成 17 年 4 月 か ら 、 浄 法 寺 地 域 の 小 中 学 校 が 各 1 校 に 統 合 さ れ た こ と に よ り 、 小
学 校 3 校 ( 岡 本 ・ 太 田 ・ 川 又 )、 小 学 校 分 校 1 校 ( 梅 田 川 )、 小 中 学 校 併 設 校 1 校 ( 大
嶺 ) の5 校 が廃 校と な り、 こ れ ま で そ の有 効 な活 用 策 に つ い て検 討 を進 め て き た と こ
ろである 。
1 将 来 の すがた
○
廃校 と な っ た学 校 が、 か つ て 地域住民 の 交流 の場 で あ り 、賑 わ い の 場で あ っ た よ
う に 、再 び 地域 の住 民 活 動 の拠 点 と な っ て い る。
○
地域 の 提案 を踏 ま え つ つ、 地 区 住 民の 活 動 計 画に 見 合っ た改 修 がなされ 、 地 域 住
民 が 主 体 的 に管 理 運 営 を行 う こ と で、 積 極 的 な利 用が な さ れ て い る。
○
地 域 主 体に よ る 有 効な 利 活 用 が見 込ま れ な い 廃 校 施 設 及 び跡 地 に つ い て は 、以 下
の 活 用 等 に 向け た検 討 及び 具 体 化 が進 ん で い る。
緯
こ の 中 で 、 旧 太 田 小 学 校 に つ い て は 、 平 成 17 年 7 月 19 日 に 「 ぬ く も り の 里 ・ 浄
法 寺 構 想 ∼ ふ る さ と 再 生 介 護 予 防 プ ロ ジ ェ ク ト ∼ 」と し て 地 域 再 生 計 画 の 認 定 を 受 け 、
民 間 事 業 者 が高 齢 者 福 祉 施 設と し て活 用し て い る 。
ま た、 旧 岡 本 小 学 校 に つ い て は 、二 戸 市 総 合 計 画に お い て 重点 プ ロ ジ ェ ク ト の主 要
事 業 と さ れ た「 道の 駅 」整 備に 向 け、 校舎 ・ 体 育 館に つ い て は解 体 撤 去 の う え 、学 校
敷 地 を施 設 予 定 地と し て活 用す る こ と と し て 検討 を進 め て い る。
さ ら に 、 旧 大 嶺 小 中 学 校 に つ い て は 、活 用 方 法 を検 討 する 住 民 組 織か ら の 提 案を 受
け 、 地 域 住 民、 社 会 福 祉 協 議 会 、 行政 の三 者 に よ る検 討 を行 っ て き た 。
一 方、 学 校 敷 地が 借 地と な っ て い る 旧 梅 田 川 分 校に つ い て は、 校 舎・ 体 育 館 を撤 去
の う え、 土 地を 所 有 者 に返 還す る こ と を基 本 的な 考え 方 とし て、 地 域や 地 権 者 との 協
議 を 行ってきた 。な お 、旧川又小学校 については 、具 体 的な 検討 がなされないまま 現
在 に 至っている 。
①
天 台 寺 や 漆 、「 宝 」 と い っ た 地 域 の 情 報 を 発 信 し 、 地 域 の 玄 関 口 と な る 施 設 と
し て 活用 されている 。
(旧岡本小学校 )
② 運 動 場 、公 園、 公 営 住 宅な ど 公共用地 と し て 活用 さ れ て い る
一般住民 へ の宅 地 分 譲 など 民間 へ の売 却が 進 んでいる 。
(浄法寺小学校 )
③ 民間 へ の貸 与あるいは 売却 により 雇用 の 場が 創出 されている 。
( 旧 川 又 小 学校 )
④ 借地 に つ い て は 、 地 権 者の 意 向を 踏ま え つ つ 、支 障 物 件 の撤 去 など 原状 回 復の
う え 、返 還 されている 。
(旧梅田川分校 )
検
証
旧太田小学校
民 間 事 業 者が 高 齢 者 福 祉 施 設 「 にこ ト ピ ア 浄 法 寺」 と し て 、グ ル ー プ ホ ー ム や居 宅
介 護 支 援 事 業 所 を開 設 し、 地 域 住 民を は じ め 近 隣 高 齢 者 の介 護 支 援 事 業 所と し て活 用
されている。
ま た、 施 設で は地 域 住 民 と利 用 者の 交 流 会 が開 催さ れ る な ど、 住 民 交 流の 場 と し て
も 活 用さ れ て い る。
旧岡本小学校
校 舎・ 屋 体 等 を解 体 の う え、 天 台 寺 や漆 と い っ た地 域 の情 報を 発 信し 、地 域 の玄 関
口 と な る 施 設と し て 整 備す る こ と で、 地 域 住 民や 関 係 団 体な ど と の 意見交換 を 行う と
と も に、 市内部 での 検 討を 進めている 。
(※ 詳細 は「 道 の駅 」整備事業参照 )
旧大嶺小中学校
平 成 17 年 の 学 校 統 合 後 、地 区 住 民 に よ り「 旧 大 嶺 小 中 学 校 校 舎 利 用 を 考 え る 会( そ
の 後 、旧 大 嶺 小 中 学 校 校 舎 利 用 実 行 委 員 会 に 名 称 変 更 )」が 組 織 さ れ 、地 区 住 民 か ら 出
さ れ た活 用 内 容 に沿 っ て、 住民 ・ 社 会 福 祉 協 議 会 ・行 政 の三 者で 協議 を 行っ て き た。
こ の結 果 、地 区 住 民 から 要望 の あ っ た「 高 齢 者 の支 援 施 設 」に つ い て は、 社 会 福 祉
協 議 会が 運 営 主 体と な り地 区 住 民 もボ ラ ン テ ィ ア とし て 参加 し、 事 業を 実施 す る こ と
で 、 隣 接 す る 旧 大 嶺 保 育 所 を 平 成 19 年 度 に 改 修 し た 。
79
安比川流域生活圏整備プロジェクト:
廃校舎の利活用
3 現
校 舎 に つ い て は 、地 域 活 動 や 公 民 館 活 動 を 行 う 2 階 部 分 を 、住 民 参 加 に よ り 平 成 19
年 度 に簡 易 な修 繕を 行 い、 食堂 や 厨房 、ト レ ー ニ ン グ 室 への 改 修 要 望の あ っ た 1階 部
分 に つ い て は 、 平 成 20 年 度 に 改 修 を 行 う こ と と し て い る 。
こ の よ う に、 既に 高 齢 者 福 祉 施 設と し て 活 用さ れ て い る旧 太 田 小 学 校 を は じ め、 3
校 に つ い て は活 用 方 法 が具 体 化 、 あ る い は 具 体 化 さ れ つ つ あ る が 、 旧 川 又 小 学 校、 旧
梅 田 川 分 校 については 、活 用 方 法 が見 いだせない 状況 である 。
こ の2 校 に つ い て は 、今 後も 活 用 方 法に つ い て 検討 を 進め る が 、 旧 梅 田 川 分 校に つ
い て は 、敷 地 が 借 地 で あ り 校 舎 も 昭 和 45 年 に 建 設 さ れ 老 朽 化 が 進 ん で い る こ と か ら 、
解体撤去 に 向け て地 権 者と の協 議 を続 け る こ と と な っ た 。
状
○
旧 浄 法 寺 町 の 小 中 学 校 が 平 成 17 年 に 小 学 校 1 校 、 中 学 校 1 校 に 学 校 統 合 さ れ た
こ と に よ り 、 小 学 校 3 校 ( 岡 本 ・ 太 田 ・ 川 又 )、 小 学 校 分 校 1 校 ( 梅 田 川 )、 小 中 学
校併設校 1 校( 大嶺 ) の5 校が 廃 校と な っ た 。
○
旧 太 田 小 学 校は 、 地 域 再 生 計 画の 認定 を 受け 民 間 事 業 者 が福 祉 施 設 と し て 改修 し
運 営 を行 っ て い る。
○
旧 岡 本 小 学 校は 、
「 道 の 駅 」予 定 地 で あ り 、整 備 に あ た っ て 校 舎 や 体 育 館 な ど 旧 学
校 施 設は 解 体 予 定で あ る。
○
旧 大 嶺 小 中 学 校 は 、地 域か ら 活 用 策に つ い て の提 案 を受 け、 検討 を 進め て い る。
○
平 成 20 年 1 月 現 在 、 旧 太 田 小 学 校 以 外 は 、 公 民 館 分 館 と し て 位 置 づ け て い る 。
○
旧 梅 田 川 分 校の 土 地は 借地 で あ る 。
※ 地権者 2 名
○
借 地 面 積 6,931平 方 メートル
年 間 賃 貸 借 料 289,300 円
現浄法寺小学校 も 新 築 移 転 後は解 体 撤 去 の予 定で あ る。
【 浄 法 寺 地 区 に お け る廃 校と な っ た 校 舎の 築 年 月 と 利 用 状 況 一 覧 表】
区分
1
旧学校名
大嶺小中学校
建築年月
S5 0 . 6
(校 舎 )
大嶺小中学校
利用状況
スポーツ少 年 団
169 日
陶 芸 サークル
S5 4 . 6
(体 育 館 )
延 べ 4 , 2 2 5 人 (校 庭 )
15 日
延べ
4 0 人 (校 舎 )
老 人 クラブ運 動 会
2 日
延べ
2 0 0 人 (校 庭 )
地区運動会
1 日
4 0 0 人 (校 庭 )
※1 2 月 か らグラウンドゴルフ練 習 場
3回 / 週 (体 育 館 )
2
太田小学校
H4 . 3
3
岡本小学校
S4 7 . 1 2
4
川又小学校
S5 7 . 1 2
「にこトピア浄 法 寺 」として利 用
育成会
1 日
検診
2 日
ゲートボール
4 2 人 (体 育 館 と校 庭 )
1 1 9 人 (体 育 館 )
2 4 日 延 べ 2 6 4 人 (校 庭 )
※ 冬 期 間 は 体 育 館 を利 用
5
梅田川分校
S4 5 . 1 2
使 用 実 績 なし
資 料 :教 育 委 員 会
旧大嶺小中学校
地域住民 の 協力 を得 て 、2 階 部 分 の
改修工事 を 行っ た
80
安比川流域生活圏整備プロジェクト:
廃校舎の利活用
4 課 題 ・問 題 点
【 浄 法 寺 区 域 に お け る 公 民 館 分 館 の 管 理 費 一 覧 表 ( 平 成 19 年 度 予 算 )】
( 単 位: 千 円)
区分
水道料
大嶺
96
電気料
電話料
442
48
建物
消防
警備
受水槽
土地
共済
点検
委託
清掃
賃借
39
41
286
47
0
999
岡本
48
132
0
23
41
0
0
54
298
川又
96
293
0
50
41
0
32
0
512
梅田川
0
93
0
12
41
0
26
290
462
計
240
960
48
124
164
286
105
344
○
旧 岡 本 小 学 校 と 旧 梅 田 川 分 校 は 、施 設 解 体 に 伴 い 文 部 科 学 省 の 承 認 が 必 要 で あ り 、
場 合 によっては 補助金返還 を伴 う こ と が あ る 。
○
学 校 施 設の 改修 や 解体 には 、 多額 の経 費 が必 要と な る。 特に 、 解体 に つ い て は 財
源 を 確保 す る の が難 し い。
○
各 地 域 には 集 会 所 が整 備さ れ て お り、 基本的 に旧 校 舎を 活用 し た新 たな 集会所 を
必 要 と し て い な い。
○
改 修 後 の継 続 的 な 活動 や管 理 運 営 を行 う た め に、 地 域 住 民を 中 心と し た 組 織を 立
ち 上 げる 必 要がある 。
○
今後 の 活 用 策を 見 込み な が ら 、公 民 館 分 館と す る か コ ミ ュ ニ テ ィ ー セ ン タ ーと す
る か の検 討 が必 要で あ る。
○
旧梅 田 川 分 校に つ い て は、 解 体 撤 去を 前 提に 地 権 者 への 土 地 返 還 協 議を 進 める 必
要がある 。
○
交 通 事 情に 恵ま れ て い な い 廃 校 舎 に つ い て は 、民 間 事 業 者の 参 入に よ る 利 活 用 も
難 し い。
計
2,271
資 料 :教 育 委 員 会
廃 校 と な っ た学 校
梅 田 川 分 校と 川 又 小 学 校
81
安比川流域生活圏整備プロジェクト:
廃校舎の利活用
5 基 本 となる施 策 の 方 向
○
○
○
6 これから取 り組 むべき施 策
文 部 科 学 省 通 知 の 検討 を行 い 、解 体に 伴 う補 助 金 返 還が 不用 と な る よ う に 、関 係
部 署 の連 携 を図 る。
新た な 施設整備 が 見込 ま れ る 場合 には 、 解体 についても 補 助 金 や起 債な ど の財 源
が 見 込めるため 、整備年次 を調 整 する 。
○
町 内 会 等を 母体 と し て 、利 用 関 係 団 体 を 含め た組 織 を構 築す る。
○
年間 の 事業計画 や 資金計画 を 定め 、生涯学習活動 と 連携 した 活動 を 行う 。
○
施設 の 利用 に あ た っ て は、 維 持 管 理や 設 備 更 新を 考 慮し た利 用 料を 徴収 す る こ と
で 収 入 確 保 を図 るとともに 、地 域 づくりに 関 連す る事 業 の実 施に 対 する 行政 の 支援
体 制 に つ い て も あ わ せ て検 討す る 。
○
旧 川 又 小 学 校に つ い て は、 雇 用の 場を 創 出す る た め の民 間へ の 貸与 あ る い は売 却
や 周 辺 地 域 の住 民 活 動 と連 携し た 宿 泊 体 験 施 設と し て の 活用 を視 野 に入 れ つ つ 、当
面 は 公 民 館 分 館 と し て の利 用 促 進 を図 る。
一 般 財 源に よ る 解 体に つ い て は、 維 持 管 理 経 費と 解 体 経 費を 比 較・ 検討 の う え 財
源 確 保に 努 める 。
○
改修 に あ た って は 、地 域の 実 情に 沿っ た 改修内容 と し、 検討 す る過 程で 住 民に よ
る 運 営 組 織 の立 ち上 げ を図 る。
○
住民 の 利用実態 に 合わ せ、 公民館 ・集 会 施 設 等の 位 置づけや 役 割を 検討 す る と と
も に 、住 民 活 動 への 助 成 体 制や 助 成 方 法に つ い て も検 討 を進 める 。
○
旧大嶺小中学校 については 、 住民 と連 携 し簡 易な 修 繕を 実施 す る と と も に 、地 域
住 民 と検 討 した 内容 で 改修 を進 め る。
○
民 間 事 業 者 の参 入 が難 しい 廃 校 施 設に つ い て は、 よ り効 果 的 な 活用方法 に つ い て
継 続 して 検 討す る。
○
移 転 後 の浄 法 寺 小 学 校 用 地 に つ い て は 、 運 動 場と し て の 活用 の ほ か 、宅 地 と し て
住 民 や民 間 事 業 者へ の 売却 を含 め 検討 を進 め る。
○
旧 梅 田 川 分 校に つ い て は、 解 体 撤 去を 基 本と し、 土 地 返 還の 時 期 等 に つ い て地 権
者 と の協 議 を進 める 。
○
移 転 後 の浄 法 寺 小 学 校 敷 地 に つ い て、 具 体 的 な活 用 方 法 を検 討す る 。
旧大嶺小中学校
地域住民 による 特別教室改修作業
旧太田小学校
民 間 が福祉施設 と し て 活用 し て い る
82
安比川流域生活圏整備プロジェクト:
廃校舎の利活用
7 関 連 する施 策 ・事 業
利 組 織 )な ど 、地 域 社 会 を 構 成 す る 主 体 が 協 働 し な が ら ま ち づ く り を 進 め る と と も に 、
市 民 と行 政 が対 等の 関 係に 立っ て 協力 し、 相 互に 補 完 的 な関 係を 築 き上 げ て い く こ と
が 必 要で す 。
こ の た め 、市 民や 団 体な ど が 行 政の パ ー ト ナ ー と し て 、協 働し て ま ち づ く り を進 め
て い く た め の活 動や 交 流を 支援 す る と と も に 、開 か れ た 市政 を推 進 するため 、 市民 と
の 情 報の 共有化 を図 ります 。
ま た、 常 に市 民の 視 点に 立っ た 行政 サ ー ビ スの 維 持 向 上を 図る と と も に、 窓 口や 施
設 等 を中 心 と し たサ ー ビ ス 環境 の 向上 に努 め ま す 。
「 宝 」を 活 か し た ま ち づ く り事 業
平 成 18 年 1 月 の 合 併 以 後 、「 宝 を 活 か し た ま ち づ く り 」 の 一 環 と し て 浄 法 寺 地 域
の 「 宝」 さ が し が行 わ れ て おり 、 この 「宝 」 の展 示や 活 用を 含め 地 域 住 民の 活 動 拠 点
と し て、 住 民の 自 主 的 な活 動を 支 援す る。
8 総 合 計 画 前 期 基 本 計 画での位 置 づけ
○ 主要施策
・ 公 共 施 設 管 理 運 営 の 合 理 化( 遊 休 施 設の 有 効 活 用、 施 設 管 理 業 務 の担 い手 の 地 元 調
達 の 検討 、 庁 舎 維 持 管 理 経 費の 縮 減な ど)
・ 市 民 活 動 支 援 の推 進 (市 民 活 動 の促 進、 市 民と の協 働 に よ る事 業の 推 進な ど)
・ 市 民 参 加 に よ る市 政 の推 進( 協 働マ ニ ュ ア ルの 策定 、 協働 の あ り方 の 検討 など )
・ 活 動し や す い 環境 づ く り の推 進 (地 域 住 民 が活 動し や す い システム づ く り と活 用)
○
現状 と 課題
急 速に 進 む少 子 高 齢 化による 人 口 減 少 社 会 の到 来と と も に 、三 位 一 体 改 革 に 伴う 国
庫 補 助 負 担 金や 地 方 交 付 税 の削 減 な ど に よ っ て、 本市 の 財 政 状 況 が 非常 に厳 し く な る
一 方 、情 報 化、 国 際 化 な ど の急 激 な進 展や 多 様 化 、高 度 化す る市 民 ニ ー ズ等 に よ り 新
た な 行 政 需 要が 今後 ま す ま す増 加 し て い く こ と が 予想 さ れ て い ま す。
ま た、 地 方 分 権の 進 展に 伴い 、 権限 の拡 大 とともに 地 方 自 治 体 が 果た す べ き 役割 と
責 任 は増 大 し て き て お り、 自 己 決 定・ 自 己 責 任が 求め ら れ る 分 権 社 会に お い て 、本 市
の 都 市 像 で あ る 「活 力 と安 心、 歴 史 文 化の 薫 る拠 点 都 市 」を 実現 し て い く た め に は 、
真 に 自立 できる 足腰 の 強い 行財政基盤 を確 立 していくことが 必要 となっています 。
こ の た め 、 行 政 運 営 全 般 に つ い て も 、 計 画 ( Plan)、 実 施 ( Do)、 検 証 ( Check)、
改 善 ( Action) の 改 革 サ イ ク ル を 徹 底 す る こ と に よ り 、 仕 事 の や り 方 や 組 織 ・ 機 構 の
見 直 しを 進 め、 さ ら に 職員定数 の 削減 、民 間 委 託 の推 進 など 内 部 努 力を 徹底 し 、行 政
の ス リ ム 化 を図 る こ と が求 め ら れ て い ま す 。
併 せ て 、行 政 を 経 営 す る と い う 視 点 か ら 、あ ら ゆ る 分 野 に お い て 発 想 の 転 換 を 図 り 、
従 来 の考 え 方や 仕事 の 進め 方を 根本的 に見 直 し、 コ ス ト 意識 や経営感覚 を取 り 入れ た
行 政 運 営 を 行う と と も に、 意欲 あ ふ れ る職 場 の醸 成、 便 利で 分か り や す い市 民 サ ー ビ
ス の 提供 、 そ し て、 市 民と の協 働 に よ る行 政 運 営 の推 進 を図 る こ と が で き る よ う に 、
よ り 効 率 的 ・効 果 的 な 行政 シ ス テ ムの 確立 に 向け た行 財 政 改 革に 取 り組 む こ と が必 要
となっています 。
○ 施策 の 方向
■ ス リ ム な 市 役 所を 目 指し た経 営 体 制 の確 立
限 ら れ た 行 政 資 源 で 多 様 化し 高 度 化 する 市 民ニ ー ズ に 的確 かつ 迅 速に 対応 し 、持 続
的 な 発展 を 続け る た め に は 、民 間 に お け る 発 想や 手法 の 中の 利点 を 効 果 的に 活 用し た
ニ ュ ー ・ パ ブ リ ッ ク ・ マ ネ ジ メ ン ト (注 )等 を 導 入 し 、 事 務 事 業 評 価 、 コ ス ト 意 識 、 民
間 活 力の 活 用、 意 志 決 定の 迅 速 化 など 効 率 的 な行 政 経 営 システム を 確立 し て い く こ と
が 必 要で す 。
このため、
「 新 二 戸 市 行 財 政 改 革 大 綱・ 実 施 プ ロ グ ラ ム 」に 基 づ き 、中 長 期 的 な 展 望
に 立 った 行 財 政 運 営 を 図る と と も に、 社 会 経 済 環 境の 変 化に 即応 し た組 織の 構 築や 定
員 抑 制、 人 事・ 給 与 制 度の 見直 し や人 材 育 成 を行 い、 職 員の 資 質 向 上、 意識 の 改革 に
努めます 。
■ 市 民の 視 点に 立っ た 行政 サ ー ビ スの 推進
分 権 社 会 に ふ さ わ し い 地域 の特 性 を活 か し た 創 造 的で 活 力に 満ち た ま ち づ く り を進 め
て い く た め に は 、民 間 と行 政が 役 割 分 担を 明 確に し、 市 民、 企業 、 N P O ( 民 間 非 営
83
安比川流域生活圏整備プロジェクト:
廃校舎の利活用
参 考 資 料
● 当 面 は、現 在 の公 民 館 分 館 の位 置 付 けとし、地 区 で極 力 使 うように 努 めることとする。今 日
は1回 目 の懇 談 ということで、3月 にそれぞれの行 政 区 で常 会 渡 しが行 われると思 うので、その
場 で廃 校 利 活 用 についても、話 題 に出 していただきたい。それらを踏 まえて2回 目 以 降 の懇
談 ということになろうかと思 う。
【 地 区( 梅田川 ・川 又 )懇談会 に おけ る意 見 】
( ○ は地 区 民、 ●は 市 側の 発言 )
平 成 19 年 2 月 1 5 日 ( 木 )
川 又 地 区 生 活 改 善セ ン タ ー
<地 区 出 席 者 > 16 名
平 成 19 年 2 月 1 6 日 ( 金 )
梅田川地区生活改善 センター
<地 区 出 席 者 > 5 名
地 区 懇 談 会 の開 催 趣 旨 、浄 法 寺 地 区 内 の廃 校 施 設 の現 状 、廃 校 施 設 利 活 用 の市 の考 え方
などを説 明 した上 で質 問 ・活 用 案 など、意 見 交 換 を行 ったものである。
地 区 懇 談 会の 開 催 趣 旨、 浄 法 寺 地 区 内の 廃 校 施 設の 現 状、 廃 校 施 設 利 活 用 の 市の 考
え 方 な ど を 説明 し、 特 に梅 田 川 分 校に つ い て は、 敷地 が 借地 で あ る こ と 、建 物 も古 い
こ と 、公 民 館 分 館 と し て の 活 用 が 年 1 回 だ け だ っ た こ と か ら 、建 物 を 撤 去 し て 土 地 を
地 権 者に 返 還す る方 向 で進 め た い 旨 説 明し た 上で 質問 ・ 活 用 案な ど 、意 見 交 換 を行 っ
た も の で あ る。
○ 旧 大 嶺 小 中 学 校 は福 祉 施 設 を要 望 しているという説 明 だったが、どのような福 祉 施 設 を考
えているのか。
● 介 護 保 険 対 象 者 は もちろん、要 介 護 状 態 にならないための予 防 活 動 、筋 力 トレーニングな
ども行 うような施 設 を考 えているようである。併 せて2階 は趣 味 や 伝 承 の部 屋 、3階 は学 校 の思
い出 の部 屋 などを考 えているようである。今 後 、地 区 ・社 会 福 祉 協 議 会 ・行 政 の3者 で役 割 分
担 や運 営 方 法 などを協 議 していくこととしている。
○ 学 校 の教 室 を利 用 して、漆 器 の木 地 作 りもいいのではないか。
● 産 業 振 興 に繋 がる企 業 に使 っていただくのが一 番 いいと思 うが、現 実 は 非 常 に厳 しい状 況
である。川 又 小 学 校 の場 合 は、用 途 を変 更 すると約 9千 万 円 もの補 助 金 返 還 も発 生 すること
も考 えられる。木 地 作 りは、近 くの大 野 村 に工 場 がありそこから滴 生 舎 は 仕 入 れている。浄 法
寺 地 区 で木 地 から塗 りまで行 うのは理 想 だが、採 算 性 が心 配 である。趣 味 として行 う程 度 であ
ればいいと思 うが、産 業 としてはなかなか難 しいと思 う。
○ 陶 芸 はどのような状 況 か。
● サークル が旧 大 嶺 小 中 学 校 で活 動 している。釜 はカシオペアセンター のものを利 用 している
が、燃 料 費 等 はサークル で負 担 している。
○ 旧 川 又 小 学 校 のプールはどうするのか。
● プールとしては現 在 使 えなくしている。緊 急 の場 合 の用 水 の要 望 もある。
○ 安 全 面 が心 配 である。水 を抜 いてもらいたい。
● 水 を抜 くとプール機 能 が壊 れてしまう。
○ ゲートボール競 技 者 が利 用 しているプールのトイレの汲 み取 りは、市 で行 ってほしい。
● 適 宜 対 応 したい。
● 現 在 は、公 民 館 の川 又 分 館 としての位 置 付 けであるが、実 質 は形 だけである。冬 の間 だけで
も何 かに利 用 できればいいが。当 面 、地 区 の行 事 ができないか。
○ 会 合 等 は、生 活 改 善 センター で間 に合 っている。
○ 小 学 校 があればこそ 学 区 で集 まったが、統 合 により学 区 での集 まりはなくなった。何 でも常 会
止 まりである。
○ 廃 校 施 設 の利 活 用 の視 察 をしてもいいのではないか。
● 大 嶺 の考 える会 が実 施 するということで我 々 も参 加 した。八 幡 平 市 の五 日 市 、宮 古 市 の新
里 を見 学 した。
○ 農 産 物 加 工 業 がいいとは 思 うが。大 豆 加 工 、豆 腐 ・納 豆 作 りなどもいい。
● 実 際 に販 売 して商 売 にするということになると、なかなか難 しい面 もある。
● 旧 川 又 小 学 校 は、今 は 電 気 料 だけがかかっている。水 道 や 電 話 は止 めた。
○ 旧 川 又 小 学 校 は避 難 場 所 になっているので、毛 布 など必 要 なものをそろえておいてほしい。
○ 利 用 価 値 がないのであれば、更 地 にして地 権 者 に返 した方 がいいと思 う。お年 寄 りの遊 び 場
という声 もあるようだが、伊 崎 沢 からは 遠 いし、そのために送 り迎 えをするのは無 理 である。
○ (大 嶺 地 区 がボランティアで福 祉 施 設 を支 えていく案 を出 していることを受 けて)仕 事 に追 わ
れているので、地 区 で運 営 するのは 無 理 である。
○ 介 護 度 をもった人 が通 うデイサービスがいいと思 う。国 からの補 助 が確 実 に入 ってくるし、この
地 区 にも若 いヘルパー 資 格 を持 った人 がたくさんいるので、その人 たちの働 く場 にもなると思 う。
江 牛 ・小 船 地 区 も含 めたこの 地 域 に、介 護 度 をもった人 がどれぐらいいるか 調 べてみてはどう
か。
○ 愛 輪 塾 の展 示 場 や 梅 田 川 太 鼓 の練 習 場 という声 も聞 いたことがあるが。
● その話 は 聞 いているが、どちらの代 表 者 も地 区 の協 力 がないとやっていけないと言 っている。
(大 嶺 の活 用 案 のボランティアとしての参 加 等 の説 明 )
○ ボランティアとしての参 加 は、この地 区 は無 理 である。
○ 社 会 福 祉 協 議 会 の会 長 が、旧 学 区 ごとに「ひなたぼっこ」みたいな施 設 を整 備 する予 算 が
議 会 を通 ったという話 をしていた。梅 田 川 分 校 は 他 の学 校 とは 違 って規 模 が小 さいので、改
修 するにも安 い値 段 でできるのではないか。せっかくヘルパーの資 格 を取 っても、社 会 福 祉 協
議 会 の予 備 登 録 の人 も多 い。その人 たちの働 く場 としても、デイサービスとして整 備 した方 が
いい。
● 廃 校 の利 活 用 は別 として、そういった 福 祉 施 設 の要 望 があったことは 担 当 課 に伝 える。
● 今 日 は1回 目 の懇 談 ということで、3月 にそれぞれの行 政 区 で常 会 渡 しが行 われると思 うので、
その場 でも話 題 に出 していただきたい。それらを踏 まえて2回 目 以 降 の懇 談 ということになろう
かと思 う。
84
安比川流域生活圏整備プロジェクト:
廃校舎の利活用
【 旧 大 嶺 小 中 学 校の 改 修 内 容に つ い て 】
本 文 の経 緯 でも触 れたように、旧 大 嶺 小 中 学 校 の利 活 用 については、平 成 17 年 の学 校 統 合
後 、「旧 大 嶺 小 中 学 校 校 舎 利 用 を考 える会 (その後 地 区 実 行 委 員 会 に名 称 変 更 )」を中 心 に
利 活 用 方 策 の検 討 がなされ 、「子 どもから高 齢 者 までが気 軽 に集 まり、賑 わいを取 り戻 せ る施
設 」という趣 旨 で、食 堂 や 厨 房 、トレーニング室 、高 齢 者 の介 護 支 援 などが可 能 な施 設 へ の改
修 が提 案 された。
一 方 、旧 大 嶺 小 中 学 校 が 位 置 す る本 地 区 は 、旧 浄 法 寺 町 の幹 線 道 路 (県 道 二 戸 五 日 市
線 )に面 し、旧 安 代 町 (現 八 幡 平 市 )とは 古 くから文 化 的 にも経 済 的 にも深 いつながりを持 ち
続 けてきた 地 域 であり、地 域 住 民 の交 流 の場 であり賑 わいの場 でもあった学 校 を核 となる施 設 と
して整 備 し、相 互 の交 流 を図 ることは大 変 重 要 である。
こうしたことから、地 域 での利 用 はもとより、隣 接 す る旧 安 代 町 で伝 承 されている郷 土 芸 能 や 伝
統 工 芸 を通 した交 流 を進 めるとともに、近 年 、高 齢 者 の健 康 維 持 に対 する関 心 が高 まっている
ことなどを受 け、これ らの目 的 を達 成 するための旧 校 舎 の改 修 とトレーニング機 器 の整 備 を行 うこ
とを念 頭 に、住 民 ・社 会 福 祉 協 議 会 ・行 政 の三 者 で先 進 事 例 の視 察 や 改 修 内 容 についての協
議 を行 ってきた。
この中 で、「高 齢 者 の支 援 施 設 」について、社 会 福 祉 協 議 会 から近 接 する老 人 福 祉 センター
(海 上 の湯 )や 旧 太 田 小 学 校 を改 修 した介 護 支 援 施 設 (にこトピア浄 法 寺 )の兼 ね 合 いから、小
規 模 施 設 を改 修 することが提 案 された。
この結 果 、社 会 福 祉 協 議 会 が運 営 主 体 となり地 区 住 民 もボランティアとして参 加 し、事 業 を実
施 することで 、隣 接 する旧 大 嶺 保 育 所 を平 成 19 年 度 に改 修 した。
校 舎 については、地 域 活 動 や 公 民 館 活 動 を行 う2階 部 分 を、住 民 参 加 により平 成 19 年 度 に簡
易 な修 繕 を行 い、食 堂 や 厨 房 、トレーニング室 へ の改 修 要 望 のあった 1階 部 分 については 、平
成 20 年 度 に改 修 を行 うこととしている。
このように 、旧 大 嶺 小 中 学 校 については、地 域 住 民 の積 極 的 な取 り組 みがあり、活 用 へ 向 けた
改 修 が行 われることとなったが、住 民 が主 体 となった管 理 運 営 を行 い継 続 的 な活 用 を図 るため
には、実 行 委 員 会 を母 体 として組 織 を再 構 築 する必 要 がある。
また、市 としても公 民 館 活 動 として社 会 教 育 やまちづくりの事 業 展 開 を図 り、住 民 活 動 を支 援
する必 要 がある。
学 校 統 合 により廃 校 となった小 中 学 校 については 、整 備 時 の国 庫 補 助 金 返 還 等 の関 係 から、
「公 民 館 分 館 」とされ る場 合 がほとんどであるが 、各 地 域 には既 に地 区 集 会 所 などが整 備 されて
いる。
このため、「公 民 館 」や「コミュニティセンター」、「地 区 集 会 所 」など、市 が整 備 した集 会 施 設 の
機 能 分 担 や管 理 運 営 方 法 について検 討 を進 めるとともに、市 役 所 内 部 の関 係 部 署 が連 携 し、
住 民 の地 域 づ くりへの取 り組 み に対 する支 援 策 を検 討 する必 要 がある。
85
安比川流域生活圏整備プロジェクト:
廃校舎の利活用
【旧 大 嶺 小 中 学 校 改 修 工 事 の 内 容 】
2階
1階
単位 : m、㎡
4.00
4.00
4.00
4.00
4.00
便所
物置
便所
32.00
32.00
4.00
印刷
16.00
8.00
32.00
8.00
94.00
2.35
理科室
10.85
校長室
職員室
26.00
78.00
196.80
音楽室
8.50
68.00
休憩室
保健室
普通教室
26.00
26.00
52.00
4.00
4.00
8.00
86.80
6.50
12.00
4.00
8.00
ー
区 分
厨
房
ィ
デ
カ
ウ
ン
タ
風
呂
設
置
ー
ー
オ
ン
カ
壁
新
設
既
存
壁
撤
去
理科室
換
気
扇
テ
ン
教材室
家庭室
この部分を福祉施設へ改修する予定でしたが、社会福祉協議会か
らの提案で、隣接する旧大嶺保育所を福祉施設とすることになりま
したので、当面は現状のままで活用します。
中 1教 室
区 分
改
音楽室
現 状 のまま
校長室
現 状 のまま
保健室
休憩室
共通
準備
14.00
準備
14.00
52.00
普通教室
(中1)
52.00
4.00
4.00
8.00
8.00
普通教室
(中2)
52.00
普通教室
(中3)
52.00
8.00
8.00
6.50
玄関
ア
コ
普通教室
家庭室
8.00
4.00
職員室
教材 24.00
2.35
修
内
容
床 :厨 房 用 (水 回 りに適 した)の 床 に改 修
壁 :クロス貼 り、塗 装
天 井 :塗 装
床 :塗 装
壁 :クロス貼 り、塗 装
天 井 :塗 装
床 :塗 装
壁 :クロス貼 り、塗 装
天 井 :塗 装
備
考
中 2教 室
中 3教 室
食 堂 ・厨 房
※伝 統 料 理
共通
健康増進室
改
修
老 朽 化 した電 気 設 備 の 補 修 (蛍 光 灯 、コンセント等 )
玄 関 :バ リアフリー 化
廊 下 :手 すりの 設 置
86
容
床 :塗 装
壁 :クロス貼 り、塗 装
天 井 :塗 装
調 理 台 :撤 去 (水 道 ・ガスの配 管 も含 む)
現 状 のまま
床 :塗 装
壁 :クロス貼 り、塗 装
天 井 :塗 装
調 理 台 :撤 去
床 :塗 装
「地 域 の 宝 」展 示 ・
壁 :クロス貼 り、塗 装
伝承活動等
天 井 :塗 装
床 :塗 装
壁 :クロス貼 り、塗 装
天 井 :塗 装
床 :塗 装
壁 :クロス貼 り、塗 装
天 井 :塗 装
階 段 の 手 すり塗 装
老 朽 化 した電 気 設 備 の 補 修 (蛍 光 灯 、コンセント等 )
平 成 20 年 度 当 初 予 算 で の 改 修 内 容
小会議室
休養室
内
備
考
伝 統 芸 能 稽 古 ・衣 装 保
管
※ 駒 ヶ嶺 新 山 神 楽
地 域 の「宝 」展 示
公 民 館 活 動 ・地 域 活 動
※ 伝 統 工 芸 (ぞうり・つま
ご)等 の 創 作 ・伝 承
公 民 館 活 動 ・地 域 活 動
※学 校 活 動 の記 録 展 示
公 民 館 活 動 ・地 域 活 動
※ 会 議 室 、集 会 室
稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクト
安全・安心な農産物の生産と販売体制の強化
魅力ある農業農村づくり
環境と調和の取れた畜産業の振興
「漆」を活かしたまちづくり
森林整備と地域材の利用促進
将来像
稲 庭 ・ 二 戸 高 原 に 広 が る 畜 産 団 地 や 畑 地 の あ る 中 山 間 地 帯 、広 大 な 放 牧
地 を 活 用 し た 畜 産 業 と 葉 た ば こ 、野 菜 、花 き を 中 心 と し た 農 業 が 、環 境 へ
の 調 和 と 安 全 ・ 安 心 な 農 産 物 の 生 産 を 耕 畜 連 携 の も と に 実 現 し 、意 欲 的 に
展開されています。
ま た 、地 域 の 自 然 ・ 芸 術 ・ 文 化 や 生 活 を ベ ー ス に グ リ ー ン ツ ー リ ズ ム が
推 進 さ れ 、交 流 と 農 家 所 得 の 向 上 へ と つ な が り 、活 力 あ る 農 村 社 会 が 形 成
されています。
稲 庭 高 原 に は 壮 大 な 風 車 と 牧 歌 的 な 自 然 風 景 、稲 庭 岳 と キ ャ ン プ 場 の ア
ウ ト ド ア 、麓 に は パ ー ク ゴ ル フ 場 で の ス ポ ー ツ と 天 台 の 湯 で の 癒 し 、こ れ
ら の 自 然 や 施 設 が 一 体 と な っ て 、そ こ に 訪 れ る 人 々 の 目 的 に 応 え 、に ぎ わ
いが生まれています。
さ ら に 、ウ ル シ と い う 地 域 素 材 が 活 か さ れ 、生 漆 や 漆 工 芸 品 な ど の 生 産
業 と し て 発 展 す る と と も に 、漆 の 森 ・ 漆 掻 き 風 景 ・ 漆 文 化 資 料 な ど 地 域 の
ト ー タ ル と し て 漆 の 里 ミ ュ ー ジ ア ム を 形 成 し 、観 光 資 源 と な っ て 地 域 全 体
の活力に貢献しています。
地球温暖化対策と新エネルギー・
省エネルギー対策の充実
天台の湯周辺環境整備
市民との協働で磨き上げる地域観光資源
稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクト
稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクト事業イメージ
グリーンツーリズムの推進
畜産業の振興
肉用牛の飼養頭数拡大に向けて、広大な牧草地を活用した低コ
スト化を進めます。
また、採草地の更新などにより自給粗飼料の確保や、粗飼料の
安定供給体制の整備を推進します。
耕畜連携の推進
農業体験など、地域ならではの体験プログラムを造成し、都市住
民との交流を積極的に展開することにより、地域の活性化を図りま
す。
環境保全型農業を推進するために、畜産農家と耕種農家による
堆肥供給システムの確立を図るとともに、耕畜連携に取り組んで
いるモデル地区を支援します。
農業生産基盤整備の推進
農業従事者の高齢化が進み、後継者が不足している中山間地域
での農業振興のため、道路や土壌改良、用排水路などの農業基
盤施設の整備を推進します。
林業振興
継続的な林業経営ができるよう、適切な造林、保育、伐採を推進
するとともに、経費の軽減や労働力の軽減のために作業路開設な
どを支援します。
また、公共施設等への地域材利用を推進します。
天台の湯
稲庭岳
浄法寺「漆」の振興
稲庭岳での観光振興
自然に恵まれた稲庭岳の魅力をPRし、交流人口を増やすため
に、既存キャンプ場などの施設の充実を図ります。
また、森林浴などが楽しめるよう、ブナ林を活用した登山ルート
の開設などを進めます。
浄法寺総合支所
生漆生産量確保のための植林や漆掻き研修の実施により、生産
量日本一を誇る「漆」の振興を図ります。
また、「滴生舎」や各地のイベントで情報発信をすることで、漆器
の販売促進を図ります。
天台の湯周辺環境整備の促進
稲庭岳の麓に広がる恵まれた自然を活かして、パークゴルフ場
の整備を促進します。
また、集客増加を図るために、天台の湯の交流室増築も検討し
ます。
風力発電施設整備の検討
地球温暖化など、環境に対する住民意識が高まっており、クリー
ンエネルギーである風力発電の事業化に向けた調査を継続すると
ともに、市営風力発電の設置による公共施設への電力供給につい
ても検討します。
意欲的な経営体の支援
地域ぐるみで農業に取り組むために、集落ビジョンの策定や組
織の立ち上げなどを推進するとともに、基幹作物の生産や意欲あ
る経営体、集落営農実践地区への支援を強化します。
農道・林道の整備
地域の農産物や木材を輸送するための基盤となり、地域住民の
生活を支える道路となる、農道や林道の整備を促進します。
88
稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクト:安全・安心な農産物の精査と販売強化、魅力ある農業農村づくり
○ 安 全 ・安 心 な農 産 物 の生 産 と販 売 強 化 ・魅 力 ある農 業 農 村 づくり
目標値(平成27年度)
(新 いわて農 業 担 い手 支 援 総 合 対 策 などによる支 援 、中 山 間 地 域 総 合 整 備 などに
よる農 業 生 産 基 盤 の 整 備 )
・
・
・
・
・
・
集落営農が進み、担い手が中心となって規模拡大が図られ、効率的で生産性の高い
農業が展開されている。また、集落営農を契機に集落の連帯感が一層醸成され、地域
の伝統文化の継承や農村景観が保持されています。
1 将 来 のすがた
耕畜連携が実施されている地区数
認定農業者
農地の利用集積率
畑地かんがい面積
新規就農者数
集落水田農業ビジョン策定地区数
50 地 区
375 人
60.7%
92h a
30 人
50 地 区
( 18 年 度 現 在
( 17 年 度 現 在
( 17 年 度 現 在
( 17 年 度 現 在
( 17 年 度 現 在
( 19 年 度 現 在
22 地 区 )
250 人 )
53.7 % )
17h a)
2人)
36 地 区 )
2 これまでの取 り組 み
営農部門
○
○
営農部門
意欲と能力のある認定農業者や担い手、シルバーパワーの積極的な参画により、
葉たばこ・園芸・雑穀・畜産など、中山間畑作地帯の特色を生かした個性のある産
地が形成されている。また、後継者や新規就農者の定住も促進され、積極的な農業
が展開されている。
○
有機農業などによる食の安全基準を遵守するため、ポジティブリスト制に配慮し
な が ら 、堆 肥 と 稲 わ ら 等 の 交 換 な ど に よ り 環 境 保 全 型 農 業 ※ 1 の 取 り 組 み が 行 わ れ て
いる。
担い手支援事業・農業振興事業
・葉たばこ生産のコスト低減対策(機械導入)
・リンドウ生産のコスト低減対策(苗木、生産資材、機械導入)
・野菜生産のコスト低減対策(生産資材、機械導入)
・雑穀生産のコスト低減対策(脱穀機・製粉機械一式導入)
機械導入、資材の購入費支援などにより労力の省力化をはじめ、生産コストの低減
が図られ、大規模農家や中核農家が確立されてきている。
また、葉たばことの輪作作物として、そばの作付けも進められてきている。
※1 環 境 保 全 型 農 業
農 業 の持 つ物 質 循 環 機 能 を活 かし、生 産 性 との調 和 などに留 意 しつつ、土 づくりを通 じて化 学 肥
料 、農 薬 の使 用 などによる環 境 負 荷 の軽 減 に配 慮 した持 続 的 な農 業
(旧 浄 法 寺 町 分 )
○
○
第一次・二次・三次産業関係者の連携により、活発な商品開発や取引が行われ、
地域農産物の高付加価値化のため、農産物加工施設が整備され特産品の製造販売が
行われている。
新規農作物の導入、特別栽培農産物の生産など、消費者ニーズに対応した売れる
農産物づくりが推進され、消費者からの高い評価を受けており地域内外で販売され
ている。
種
別
葉 たばこ
野
立枯病、いもち病など病害虫の対策を講じながら、低農薬での農作物が生産され
ている。
花
き
○
その他
農地の利用集積やほ場整備が進んだことにより、遊休農地や耕作放棄地が解消さ
れ、豊かな自然のもとで快適な農業農村社会が形成されている。
農道や用排水路が整備され、農地の適正な管理が行われている。
89
畝 立 同 時 マルチ 5台
マルチ 巻 取 機
1台
平 成 18 年 度
畝 立 同 時 マルチ 5台
平 成 19 年 度
残幹処理機
心土破砕機
薬剤散布器
19 台
8台
2台
ア スパラボ イラー 1台
菜
基盤整備部門
○
平 成 17 年 度
リ ンドウ 苗 植 栽
85, 660 本
生産資材 一式
花 卉 冷 蔵 庫 1台
そば脱 穀 機
1台
リ ンドウ 苗 植 栽
98, 670 本
生産資材 一式
角 パイプハウ ス 4棟
リ ンドウ 苗 植 栽
94, 270 本
生産資材
一式
ユリ 根 堀 取 機
1台
菌床椎茸資材 一式
稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクト:安全・安心な農産物の精査と販売強化、魅力ある農業農村づくり
(旧 二 戸 市 当 該 エリ ア分 )
種
別
○
平 成 17 年 度
畦間作業者
プライソラ
1台
1台
葉 たばこ
野
き
その他
○
畦間作業者
プライソラ
高架作業者
マニ ア スプレッ ダ
3台
1台
1台
1台
ク ロ ー ラ ス プ レ ヤ ー 3台
パイプハウ ス
3棟
菜
リ ンドウ 苗 植 栽
約 6, 700 本
生産資材 一式
花
平 成 18 年 度
平 成 19 年 度
タンクススプレヤー2台
プラソイラ
2台
同 時 マルチ 被 覆 機 1台
団体営農道整備事業
・ 農道葛川線
3,359m
○
県営農道整備事業
農道里川目線、農道小舟線、農道第2太田線、農道五日市湯沢線の4路線の改良舗
装を実施してきたが、2路線において用地問題により一部未施工部分が残り、市単独
事業により施工しなければならない。
ク ロ ー ラ ス プ レ ヤ ー 2台
○
特定中山間保全整備事業(調査事業)
平 成 18 年 度 に 浄 法 寺 地 区 の 9 集 落 の 事 業 要 望 調 査 を 実 施 し た と こ ろ 、 基 盤 整 備 が
遅れていることから、区画整理、用排水路整備、暗渠整備、農道整備等の要望が多く
出されている。
リ ンドウ 苗 植 栽
3, 360 本
生産資材 一式
フ ラ ワ ー バ イ ン ダ ー1台
下草刈機
1台
マルチ スプレヤー1台
特 定 中 山 間 保 全 整 備 事 業 (緑 資 源 機 構 事 業 )要 望 取 りまと め量
工
雑 穀 汎 用 コンバイン1台
担い手等育成事業
・ 葉たばこ振興協議会補助金
・ 認定農業者振興会運営費補助金
・ 担い手育成総合支援協議会運営費補助金
・ 農業農村指導士会、農村青年クラブ等運営費補助金
・ 新規就農者支援対策補助金
・ 産業後継者等支援対策補助金
・ アグリレディース育成補助金
・ 浄法寺農村青年クラブ連絡協議会育成補助金
事
種
業
量
水田
畑
17. 0ha
区画整理
7 地区
10 カ所
68. 0ha
用水路整備
5 地区
6 カ所
55. 0ha
排水路整備
6 地区
7 カ所
65. 0ha
暗渠排水
5 地区
7 カ所
38. 0ha
道路整備
7 地区
15 路 線
除 れき
2 地区
3 カ所
10. 0ha
工
種
事
業
量
客土
-
-
ため池 整 備
-
-
10. 0ha
直売所
-
-
17. 0ha
観光農園
-
-
7. 6km
農業用施設
2 地区
2 カ所
7. 0ha
その他 (開 畑 )
1 地区
10ha
○
耕 畜 連 携 推 進 事 業 補 助 ( 22 地 区 )
足 沢 540a、川 代 100a、舌 崎 20a、安 比 990a、根 森 1 ,51 5a、杉 沢 田 子 内 170 a、
山 内 315a、 門 崎 下 藤 260a、 大 清 水 柿 ノ 木 平 1,010a、 小 泉 1,491a 等
市 内 22 地 区
合 計 15,448a( 平 成 18 年 度 )
基盤整備部門
○
中山間地域総合整備事業(御浄地区)
・ 排水路整備
13.0h a( 大 簗 地 区 )
・ 農道整備
4,330m ( 杉 沢 1 号 線 他 4 路 線 )
・ ほ場整備
87.5h a( 太 田 他 4 地 区 )
・ 農業集落道
1,294m ( 手 倉 森 線 他 4 路 線 )
・ 飲雑用水整備
1カ所(江牛地区)
・ 太田地区活性化施設
529.88 ㎡
・ 季ケ平農村公園
3,000 ㎡
市内で着実に農業産出額を伸ばしている
キュウリ栽培(釜沢地区)
90
稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクト:安全・安心な農産物の精査と販売強化、魅力ある農業農村づくり
3 現
市 内 の葉 たばこ生 産 状 況
状
年
営農部門
○
○
農 家 数 は 平 成 17 年 時 点 で 2,659 戸 で あ り 、 10 年 間 で 485 戸 減 少 し 、 そ れ に
伴い経営耕地面積も減少している。
産地間競争の激化、米の過剰基調による米価の低迷、担い手不足、農業労働者の
高齢化により、生産意欲が低下し、遊休農地や耕作放棄地が増加している。
ブ
ロ イ
葉
た
ラ
ば
平 成 16 年 産
平 成 17 年 産
5,280
4,630
4,770
4,800
こ
2,960
3,130
2,590
2,730
570
1,280
1,140
1,000
米
果
実
890
1,040
930
940
野
菜
890
880
720
880
肉
用
牛
700
740
810
780
耕
種
計
5,690
6,710
5,740
5,910
畜
産
計
7,020
6,220
6,410
6,420
市 全 体 の産 出 額
12,710
12,930
12,150
12,330
約 596ha
543 戸
約 1,516 ㌧
平 成 19 年 産
約 585ha
533 戸
約 1,426 ㌧
次
販
売
代
金
平 成 18 年 産
1,797 円 /㎏、 255㎏/10a、 457,6 38 円 /10a
平 成 19 年 産
1,829 円 /㎏、 244㎏/10a、 446,2 03 円 /10a
1kg 当 たり買 い入 れ 価 格
(全 種 類 平 均 )
国 内 葉 たばこ耕 作 面 積
平 成 18 年 産
ー
販売重量
葉 たばこ耕 作 面 積 ・ 買 い入 れ価 格 など
(単 位 :百 万 円 )
平 成 15 年 産
農 家 数
※ 岩 手 県 たばこ耕 作 組 合 資 料
二 戸 市 の主 要 農 業 産 出 額
農産物名
作付面積
平 成 18 年 産
年
本市の基幹作物は、売上日本一の葉たばこや米、果樹、それとこの地域の特産で
あるブロイラーや肉用牛も安定した産出額で推移している。
また、本地域は寒暖の差が大きい気候条件を活かした野菜や、花きなどいろいろ
な農作物が生産されている。
近 年 、リ ン ゴ で は「 黄 香( お う か )」、
「 シ ナ ノ ゴ ー ル ド 」、ブ ル ー ベ リ ー で は「 チ ャ
ンドラー」などの新品種の導入も図られている。
次
平 成 18 年 産
平 成 19 年 産
平 成 20 年 産
1,845 円 59 銭
1,845 円 59 銭
1,845 円 59 銭
18,737ha
17,960ha
17,101ha
※ 平 成 20 年 産 は 見 込 み
(日 本 たばこ産 業 葉 たばこ審 議 会 より)
(出 典 : 岩 手 県 生 産 農 業 所 得 推 計 )
○
葉 た ば こ ( バ ー レ ー 種 ) の 販 売 代 金 は 、 平 成 18 年 産 (27 億 2500 万 円 )、 19
年 産 ( 26 億 90 0 万 円 ) で 、 2 年 連 続 日 本 一 と な っ た 。
し か し 、葉 た ば こ 生 産 は 国 内 有 数 の 産 地 を 誇 る 一 方 で 、
「 立 枯 病 」の 発 生 が 多 く 見
受けられる。葉たばこ栽培における立枯病の被害を抑制し、地力のあるほ場条件を
構 築 す る た め 二 戸 市 葉 た ば こ 振 興 協 議 会 、日 本 た ば こ 産 業 、岩 手 県 た ば こ 耕 作 組 合 、
二戸地方振興局、市等関係機関で構成する「立枯病対策協議会」を設置している。
一面に広がる葉たばこ畑
(浄法寺地区)
○
91
山々に囲まれた典型的な中山間畑作地域農業であり、葉たばこを中心に、水稲な
どが耕作されている。
稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクト:安全・安心な農産物の精査と販売強化、魅力ある農業農村づくり
基盤整備部門
○
○
緑資源機構による馬淵川上流地域(八幡平市安代地区、一戸町、二戸市浄法寺地
区)の特定中山間保全整備事業が、緑資源機構の廃止により中止となり、この事業
での農業生産基盤整備は不可能な状況となっている。
なお、基本計画調査事業は、県北沿岸振興対策の一環として継続することが決定
している。
幹線的農道の整備は進んでいるものの、枝線はほとんどが未改良である。
4 課 題 ・問 題 点
営農部門
○
農業後継者等対策と集落営農の推進
農業従事者の高齢化による規模縮小や兼業農家割合の増加などにより、農業後継者
が減少し続けている状況であり、耕作放棄地も増加傾向にあることから、地域でまと
まりを持って取り組む集落営農組織の立ち上げや新規就農者をどのように発掘するか
対策を講じなければならない。
次年度以降に影響が出る
葉たばこの立枯病
○
環境保全型農業対策
安全・安心な農作物づくりには、土台となる土づくりが欠かせない。農薬・化学肥
料の使用量を抑制し、有機肥料を使用した農作物が消費者から求められているが、有
機農業については、病害虫等による収量の低下などの課題を有することから、取り組
む農家が少ない状況である。
また、有機農業を進めるうえで有機栽培の技術体系の確立や、安定した堆肥(耕種
農家の望む堆肥)の供給システム構築が求められている。
基盤整備部門
○
特定中山間保全整備事業
緑資源機構の解散と事業廃止により、特定中山間保全整備事業の実施が不可能と
なったことから、基盤整備等の代替事業での実施が求められている。
○
販売強化対策
農産物の売り上げを伸ばすためには、いろいろな販売経路の強化、拡大が求められ
ている。
○
集落ビジョンの推進
食生活の多様化などによりコメの消費量が減り、コメの余剰がみられることから米
の価格低迷を引き起こしている。生産調整を行ううえで「集落水田農業ビジョン」を
策定し、減反政策に対応している集落もあるが、ごく一部の集落にとどまっているこ
とから、集落ビジョンの策定集落を拡大するとともに、転作作物として高収益農産物
の導入を図ることが求められている。
○
病害虫防除対策
葉たばこの「立枯病」の発生が多く見受けられ、主産地を脅かす重大な課題である
ことから、その対策が求められている。
92
稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクト:安全・安心な農産物の精査と販売強化、魅力ある農業農村づくり
5 基 本 となる施 策 の方 向
○
環境保全型農業対策
農薬・化学肥料の使用量を抑制した特別栽培・本田無化学肥料栽培、有機農産物生
産による付加価値化を推進し、農家所得の向上を図る。
営農部門
○
①
農業後継者等対策と集落営農の推進
効 率 的 か つ 安 定 的 な 経 営 を 促 進 す る た め 、認 定 農 業 者 の 充 実・組 織 体 の 法 人 化 等 、
農業を核とした意欲的な経営体の育成支援を推進する。
② 就 農 を 志 向 し て い る 人 (新 規 就 農 者 )や 、 農 家 の 後 継 者 の 「 相 談 窓 口 」 を 設 置 し 、
就 農 相 談 体 制 の 充 実 強 化 を 図 る 。( 別 紙 資 料 )
③ 効率的な生産体制を構築するため、労働力や機械などを効果的に利用できる共同
体的機能の確立を推進する。
④ 規 模 拡 大 に 意 欲 的 な 担 い 手 な ど で 構 成 す る 農 作 業 受 託 の 組 織 化 な ど を 促 し 、農 業 者
以外の人も就労できる環境の構築を促進する。
⑤ 集 落 ビ ジ ョ ン を 実 践 し て い る 集 落 を「 モ デ ル 地 区 」と し て 選 定 し 、
「集落営農計画」
の策定を支援することで、集落営農の優良事例集落を確立し、他地区へ波及させな
がら低コスト農業の推進を図る。
○
生産性の向上と販売の強化
特 定 野 菜 の 「 キ ュ ウ リ 」、「 ミ ニ ト マ ト 」、「 リ ン ド ウ 」、「 雑 穀 」 の ブ ラ ン ド 化 や 、 園
芸作物等の新規導入・特産品開発などを支援する。
○
病害虫防除対策
葉たばこ栽培における立枯病の被害対策の周知徹底、普及啓発、指導・支援をして
いく。
基盤整備部門
○
基盤整備の手法
特 定 中 山 間 保 全 整 備 事 業( 緑 資 源 機 構 事 業 )に 替 わ る 新 規 事 業( 創 設 )の 要 望 を 国 ・
県に働きかけるとともに、整備要望箇所のとりまとめを進める。
○
集落ビジョンの推進
山内や門崎、大清水集落では、リンドウを中心に集落ビジョンが策定され実践され
ている状況であり、特に山内集落は、集落型経営体の育成のための「重点集落」と位
置 付 け ら れ 、リ ン ド ウ 栽 培 で の 共 同 防 除 の 共 同 作 業 、水 稲 栽 培 の 担 い 手 へ の 作 業 委 託 、
稲わらの畜産農家への集積による堆肥交換などの耕畜連携のシステムづくりを進めて
お り 、「 集 落 の 行 動 計 画 」 が 確 立 さ れ よ う と し て い る 。
ま た 、 農 事 組 合 法 人 の 先 進 事 例 と し て 、 金 田 一 営 農 組 合 (組 合 員 7 名 )が あ る 。 組 合
では特別栽培米による酒造好適米「ぎんおとめ」の生産をはじめ、大豆、ソバの生産
や 約 20h a の 水 田 の 作 業 受 託 を 行 っ て い る 。
今後、これらを先進事例とし、市内の各集落に集落営農の推進を促す。
【参 考】
◎「農業経営基盤の強化の促進に関する基本的な構想」
・ 目標値
年 間 所 得 400 万 円 、 年 間 労 働 時 間 2,100 時 間
・ 自主的努力を助長することを目的とし、意欲と能力のあるものが農業経営の発展
を目指すにあたって支援する農業経営基盤強化整備事業などを促進する
・ 農業協同組合、農業改良普及センター、農業委員会と連携し、農業の将来展望と
それを担う経営体を明確にするため徹底した話し合いをする。
・ 農業者が主体性を持って自らの地域の農業の将来方向について選択判断を行う。
・ 土地利用型農業による発展の場合は、農業委員会の農地貸借あっせん活動で集積
を進める。
・ 農作業受託による作業単位の拡大を促進することで、意欲的な農業経営の規模拡
大につなげる。加えて、品種改善による高収益化や新規作目の導入を促す。
・ 地域の維持発展、農村コミュニティの醸成を図り、地域全体としての発展に結び
つくよう理解と協力を求めていく。
お盆、彼岸の時期にあわせてリンド
ウ が つ み 取 ら れ て い く (山 内 地 区 )
93
稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクト:安全・安心な農産物の精査と販売強化、魅力ある農業農村づくり
◎「二戸地方農業担い手育成プラン」での具体的経営類型のモデル
(例その1)水稲+工芸作物等
○特徴:水稲を委託し、高収益作物である葉たばこ主体の類型
○ 経 営 の 目 標 所 得 額 : 概 ね 500 万 円
具体的営農類型
水 稲 +工 芸 作 物
等
モ デル例
水 稲 1. 0ha
葉 たばこ2. 0ha
水 稲 1. 0ha
葉 たばこ2. 0ha
雑 穀 0. 5ha
個別経営類型
の課 題 (育 成
に あ たってのポ
イント )
・省 力 化 、規 模
拡大
・立 枯 病 対 策
・農 業 機 械 の
経費節減
・水 稲 育 苗 、基
幹 3作 業 の委
託
6 これから取 り組 むべき施 策
農業後継者等対策と集落営農の推進
経営体数
現
状
25
・輪 作 体 系 の
確立
目
標
①
生産方式の高度化や経営管理の複雑化に対応できる高い技術を有する人材の育成
強化を図る。
② 担い手としての女性の能力を十分に発揮させるための研修を通じ、経営を担う人
材の育成を図る。
③ スムーズに就農できるよう「新規就農者受入体制」を整えるものとする。また、
新規就農者等の重点指導や先進的な法人経営体等での実践的な研修を支援して行く。
④ 集落営農により必要最小限の施設・機械での低コスト生産を促進し、高齢者や兼
業農家の方々にもその労力を園芸部門や畜産部門に向けていただき、それぞれの役
割を持って営農に参加する仕組みを普及する。
⑤ 農作業の受委託を組織的に促進する上で必要な条件の整備を図る。
ア 農業協同組合その他農業に関する団体による農作業の受委託のあっせんの促進
イ 効率的な農作業の受委託を行う生産組織又は農家群の育成
ウ 農作業、農業機械の効率化等を図るため農作業受託の促進の必要性について
の普及啓発
工 農用地利用改善事業を通じた農作業の効率化を図るため、農作業の受委託の組
織的連携の強化
オ 地域及び作業ごとの事情に応じた部分農作業受委託から全面農作業受委託、さ
らには利用権の設定への移行の促進
力 農作業の受託に伴う労賃、機械の償却等の観点からみた適正な農作業受託料金
の設定
⑥ その他
担い手が、個々の経営状況に応じた農業経営や技術的相談、法人化の支援、農地の
利用調整等あらゆる相談の窓口を一本化することによって、相談者が効率的に問題解
決 で き る よ う に す る た め に 、「 担 い 手 育 成 総 合 支 援 協 議 会 ※ 2 」 が 窓 口 と な り 、 ワ ン ス
トップサービスを実施する。
具 体 的 な誘 導 、育
成方策
137 ・ト ラクター作 業 が可
能 な葉 たばこほ場 整
備
・農 業 機 械 の共 同 所
有 、共 同 利 用
・立 枯 病 対 策 (輪 作
の検 討 )
・水 稲 育 苗 、基 幹 3
作 業 の委 託 推 進
・雑 穀 機 械 化 栽 培 の
確立
・除 草 技 術 の確 立
(例その2)水稲+野菜(葉菜) 又は水稲+野菜(葉菜)+肉用牛(繁殖)
○特徴:自家水稲を委託し、肉用牛(繁殖)とほうれんそう主体の類型
○ 経 営 の 目 標 所 得 額 : 概 ね 550 万 円
個別経営類型 経営体数
の課 題 (育 成 に
具 体 的 な誘 導 、育
具体的営農類型
モ デル例
現
目
あ たってのポ イ
成方策
状
標
ント )
水 稲 +ほうれんそう
水 稲 +肉 用 牛 (繁
殖 )+ほうれんそう
水 稲 1. 0ha
ほうれんそう
0. 35ha
・高 温 期 の安 定 3
生産
・雇 用 労 力 の確
保 (ほうれんそう)
水 稲 1. 0ha
・公 共 牧 場 への 0
肉 用 牛 (繁 殖 ) 預 託
30頭
・キャト ルセンター
ほうれんそう
を 利 用 した規 模
0. 1ha
拡大
・高 温 期 の安 定
生産
・雇 用 労 力 の確
保 (ほうれんそう)
6
13
・経 営 規 模 別 課 題 の
抽出
・ハウ ス増 棟 に よる規
模拡大
・遮 熱 資 材 の利 用 等
に よる反 収 向 上
・低 コスト 牛 舎 に よる
施設整備
※2 担 い手 育 成 総 合 支 援 協 議 会
市 農 林 課 ・農 業 委 員 会 、農 協 、振 興 局 農 政 部 、農 業 改 良 普 及 センターで組 織 。
環境保全型農業対策
①
②
生産者と消費者との交流やPRを図る。
耕種農家と畜産農家の連携による「土づくり運動」の展開のため、耕種農家 の
求める堆肥づくりや、供給システムの確立を進める。また、発酵鶏糞の活用の促進
を図る。
③ 耕畜連携を推進しているモデル集落を支援し、耕畜連携システムを確立すること
により、徐々に本地域全体に広げる。
④ 有 機 農 業 を 推 進 す る た め に 関 係 機 関 と 連 携 し 、有 機 栽 培 の 技 術 体 系 の 確 立 を 図 る 。
※ 経 営 体 数 「 現 状 」 は 、 認 定 農 業 者 の 各 経 営 改 善 計 画 書 ( 平 成 18 年 7 月 末 現 在 ) の
中 で 、モ デ ル 例 に 相 当 す る 面 積 を 経 営 し て い る 戸 数 。
「 目 標 」は 平 成 22 年 度 に モ デ
ル例の概ね半分の面積を経営している戸数を示す。
94
稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクト:安全・安心な農産物の精査と販売強化、魅力ある農業農村づくり
病害虫防除対策
販売強化対策
①
特 定 野 菜 の 「 キ ュ ウ リ 」、「 ミ ニ ト マ ト 」、「 リ ン ド ウ 」、「 雑 穀 」 の ブ ラ ン ド 化 や 、
園芸作物等の新規導入・特産品開発などを支援する。
② 雑穀の省力化栽培の普及や、機械導入、販路拡大を支援する。
③ 野 菜 で は 「 キ ュ ウ リ 」「 ミ ニ ト マ ト 」「 促 成 ア ス パ ラ 」 を 、 花 き で は 「 リ ン ド ウ 」
「スプレーギク」等を推奨し、また、冬春作物の作付けを推進し一年を通した営農
を進めるため、県、農協、生産者と市が連携して生産規模の拡大、販売額の増加を
目指す。
④ ブルーベリー、イチゴなどの地域特産品の生産振興のため、研究会活動支援、機
械等導入支援を図る。
⑤ 加工、流通の効率化を図るため、農産物加工施設など流通販売機能の整備検討を
進める。
⑥ 地域でつくられた農産物などを地域で消費する「地産地消」が叫ばれており、こ
れを最も広められる学校給食をはじめ、市内の飲食店等における農畜産物の食材利
用の促進を図る。
⑦ リンドウのオリジナル品種の開発を支援し、産地ブランドの確立を図ることで、
産地の拡大を目指す。
①
地力のあるほ場条件を構築するため、今後も関係機関と連携し、立枯菌を「残さ
な い 」「 増 や さ な い 」「 拡 げ な い 」 運 動 を 展 開 す る 。
② 県単事業を活用し、機械導入による省力化防除体制の推進、耕盤破砕などによる
土壌環境の改善、残幹根の早期撤去による病害の拡大防止を図る。
事業名
○二戸市葉たばこ振興協議会補助金
そ
の
他
①
限 界 集 落 ※ 3 を 発 生 さ せ な い た め に 、国 に よ る 農 山 漁 村 の 活 性 化 支 援 の 活 用 や 、振
興局農政部、農業改良普及センター、農協等関係機関と連携してあらかじめ集落の
特徴を押さえ、集落営農のための園芸品目等の導入を促進し、営農支援することに
より、モデル地区として地域農業の復活を目指す。
② 農 業 委 員 の 協 力 を 得 て 遊 休 農 地 パ ト ロ ー ル を 実 施 す る な ど 、農 地 の 現 状 を 把 握 し 、
耕作放棄地の解消や遊休農地対策の徹底を図る。
事業名
○新規就農者支援対策事業
○産業後継者支援対策事業
○強い農業づくり交付金事業
○新いわて農業担い手支援総合対策事業
・葉たばこ畝立同時マルチ等導入支援
・リンドウ苗植栽、生産資材等導入支援
・施設野菜用ハウス等導入支援
○新規作物導入等支援対策事業
・高収益、高付加価値型作物導入及び緊急防疫・防除対策を支援する。
※3 限 界 集 落
65 歳 以 上 の高 齢 者 が集 落 人 口 の半 数 を超 え、冠 婚 葬 祭 をはじめ田 役 、道 役 などの社 会 的 共 同
生 活 の維 持 が困 難 な状 態 に置 かれている集 落 (大 野 晃 、2005、「限 界 集 落 -その実 態 が問 いかける
もの」、『農 業 と経 済 』2005 年 3月 号 、5頁 、昭 和 堂 )
基盤整備の手法
①
ほ場整備
中山間地域総合整備事業(県営事業)等の活用も検討する。
整備要望地区の組織化を支援し、農地集積を促進させる。
② 農道整備
県営農道整備事業や、中山間地域総合整備事業(県営事業)等の活用も検討する。
なお、緊急性の高い路線については、市単独事業により順次整備するものとする。
集落ビジョンの推進
①
集落営農や農業法人化を目指す団体等へ、県、農協等関係機関の協力を得ながら
「行動計画」の策定支援や、実践指導を進める。
② 水稲の過剰生産による価格低迷が問題となっており、米よりも所得の上がる野菜
などの作付けや、手間のかからない「飼料米等」の検討など、転作作物の品目選定
を進めることにより農業所得の向上を図る。
事業名
○地域間連絡強化農林道整備事業
・農林道整備(優先地区から着手)
事業名
○中山間地域等直接支払事業
○農地・水・環境保全向上対策事業
95
稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクト:安全・安心な農産物の精査と販売強化、魅力ある農業農村づくり
7 関 連 する施 策 ・事 業
・
・
・
3)主要施策
● 意欲的な経営体の育成支援(認定農業者の充実・組織体の法人化等農業を核とし
た経営体の育成支援)
● 集落営農の推進と明るい農村社会の構築(集落営農の計画的策定、農村社会の構
築など)
● 新規就農者・農業後継者支援と情報の提供(情報窓口の開設、新規就農者等支援
委員会の開催など)
● 農業生産基盤の整備と環境保全対策の支援(国営馬淵川土地改良事業をはじめと
する農業生産基盤の整備、環境保全対策など)
● 環境保全型農業の推進による特産化の支援(農薬・化学肥料の使用量抑制による
特別栽培農産物の付加価値向上・農家所得の向上)
● 地域特性を活かした園芸作物等の新規導入支援(園芸作物の新規導入、特産品の
開発など)
● 安全・安心な農作物の生産と販路拡大支援(顔の見える販売の強化・産地化)
● 病害虫防除対策の情報収集と関係機関との連携強化(情報提供、立ち枯れ病への
対応)
二 戸 市 農 業 振 興 地 域 整 備 計 画 (平 成 20 年 3 月 )
二 戸 地 方 農 業 担 い 手 育 成 プ ラ ン (平 成 19 年 ・ 二 戸 地 方 農 林 水 産 振 興 協 議 会 )
農 業 経 営 基 盤 の 強 化 の 促 進 に 関 す る 基 本 的 な 構 想 (平 成 18 年 )
8 総 合 計 画 前 期 基 本 計 画 での位 置 づけ
1)現状と課題
本市の農業は、葉たばこや米、果樹などの栽培が盛んであり基幹作物となっている
ほ か 、こ の 地 域 の 特 産 で あ る 若 鶏( ブ ロ イ ラ ー )や 肉 用 牛 も 安 定 し た 産 出 額( 販 売 額 )
で推移しています。しかし、産地間競争の激化、米の過剰基調による米価の低迷、担
い手不足、農業労働者の高齢化、遊休農地や耕作放棄地の増加等により、農業経営が
厳しい状況となっています。
このようななか、本市の農業は、典型的な中山間地域農業となっているため、農業
生産の維持には農地の利用集積と農業生産基盤の整備を図りながら、意欲的な経営体
の育成と地域特性を活かした独自の政策展開が求められています。
このため、中山間地域の気候・風土を活かした新たな生産販売システムの構築、高齢
化の進展・女性の社会進出に伴う起業化やグループの育成、眠っている地域資源の活
用などを進めることが必要になってきています。また、全国的な特産品開発競争の中
で、多様化し個別化する消費者ニーズや流通の変化に対応できる体制の確立を図りな
がら、付加価値の高いブランド(商標)品の開発、販路拡大が求められています。
2)施策の方向
本市の農業は、典型的な中山間地域農業となっているため、農地の利用集積と農業
生産基盤の整備を図りながら、集落営農組織や認定農業者・農業後継者の確保など意
欲的な経営体の育成と地域特性を活かした農産物の生産拡大を推進します。
また、農業農村が持つ豊かな自然や生態系、美しい景観などを維持・保全し、潤いと
安らぎのある環境の整備や自然との共生を図りながら、中山間地域らしい農村社会の
形成とライフスタイル(生活様式)の向上に努めます。
食 の 安 全 基 準 を 遵 守 す る た め ポ ジ テ ィ ブ リ ス ト 制 (注 ) に 配 慮 し な が ら 、 環 境 保 全 型
農業への取り組みを促進するとともに、新規農作物の導入や特別栽培農産物の生産な
ど、消費者ニーズに対応した売れる農産物づくりを推進します。
そのため、広範なマーケットを視野に入れた販路拡大や宣伝活動の強化を図りなが
ら 、需 要 の 動 向 に 対 応 し た 計 画 生 産 と 出 荷 体 制 の 確 立 に 努 め る と と も に 、新 鮮 で 安 全・
安心な農産物を消費者に供給するシステムの構築と産地形成を目指します。
ま た 、工 芸 作 物 で あ る 葉 た ば こ 生 産 は 、国 内 有 数 の 産 地 を 誇 る 一 方 で 近 年 、
「立ち枯
れ病」の発生が多く見受けられ、主産地を脅かすことが懸念されることから、その対
応策については関係機関との連携のもとに対策を講じます。
(注)ポジティブリスト制
残留基準の設定されていない農薬が残留する食品の流通を禁止すること。これまで
は、農薬の残留基準を超えた食品の流通を禁止するネガティブリスト制を採っていた
が、この方式では残留基準が設定されていない農薬については規制できず問題になっ
ていた。
96
稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクト:安全・安心な農産物の精査と販売強化、魅力ある農業農村づくり
参 考 資 料
市町村における就農相談体制図
就農相談に係る関係機関・団体の機能と相談の流れ
農
市町村農
政担当主
務課
業
管内各J
A
を
や
り
市町村農
業委員会
た
就農相談活動の方針
① 就 農 志 向 者 か ら 相 談 を 受 け た 場 合 は 、市 町 村 主 務 課( 相 談 窓 口 )へ 連 絡 す る 。
②市町村主務課は、関係機関団体と就農志向者を含めた面接等の相談会(市町
村担い手育成総合支援協議会を活用)を開催し、就農の意向及び経営方針並
びに必要な支援事項と支援の分担等を確認し合い、円滑な就農の支援に努め
る。
③面接等の相談会は、農外からの新規参入者に限らず、農家出身の後継者が就
農する場合も同様に実施し、円滑な農業担い手の育成確保に努める。
い
振興局農
政部
農業改良
普及セン
ター
農地斡旋/相談
営農指導/資材供給/融資
連携
相談を受けた機関は就農相談カードに相談内容を記録
検討協議の場
(市町村担い手育成総合支援協議会)
担い手アクションサポート事業
各農業協同組合
営農担当課
金融課
各支所
各部会(研究対応等)
市町村農業委員会
農外からの新規就農者
に限らず、農家後継者
対策含む
・就農意向の確認
・就農受け入れの可能性と判断
・研修等支援事項と確認と分担
(相談者も同席することが望ましい)
主体:市町村農政主務課
市 町 村 、J A 、
知識・技術の習得
普及センター
担い手対策企画/補助事務
連携
就農後の経営実践状況
の定期的な検討も行う
【総括窓口】
市町村農政主務課
市町村担い手育成総合支援
協議会
連携
研修先の紹介
就農支援資金借入指
企画調整/補助奨励事務
融資関係事務
就農計画・相談/技術指導
二戸農業改良普及センター
農業委員会、
市町村、普及
就農地への定住・就農準備
農地の斡旋、住宅の
斡旋、
二戸地方振興局農政部
連携
JA、普及セ
ンター
農業経営の開始
営 農 資 材 の 準 備 指
導、実践
(二戸地方農業担い手育成プランより)
97
稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクト:環境と調和の取れた畜産業の振興
2 これまでの取 り組 み
○ 環 境 と調 和 の取 れた畜 産 業 の振 興
(耕 畜 連 携 による循 環 型 農 業 の推 進 ・意 欲 的 な経 営 体 の育 成 支 援 )
○
広大な放牧地やキャトルセンターの効率的利用によって肉用牛の増頭が計画的に進み、
家畜排泄物は有機農業を営む耕種農家で有効に活用されるなど、耕畜連携のなかで安
全・安心な農産物の生産と環境と調和の取れた畜産業が営まれています。
1 将 来 のすがた
○
○
○
肉用牛振興
① 公共牧野を利用した夏場の放牧や、耕作放棄地を活用したパドック設置による牛
の ス ト レ ス 解 消 に 努 め 、1 年 1 産( 380 日 間 隔 )を 実 現 す る こ と に よ り 、所 得 の 向
上が図られている。
② 受精卵移植の活用により、乳用牛や短角牛から、黒毛和種の優良な肉用素牛の生
産や、2個の胚移植による双子生産がされている。
③ 自家保留、特別導入事業、全農預託事業を活用した1戸1頭増頭運動の展開や、
新規参入者による増頭、飼養管理の省力化及び低コスト生産が図られている。
④ オーナー制を活用することで、日本短角種の頭数維持(保存)が図られている。
⑤ 放牧地の整備が進み、肉用牛や乳用牛が放牧され低コストでの畜産経営が推進さ
れている。
②
③
黒毛和種
ア 法人経営体等の組織化による団地化の整備
川 代 地 区 に 「 か し ら ぎ 和 牛 の 会 」 が 平 成 18 年 度 に 設 立 さ れ た 。
イ キ ャ ト ル セ ン タ ー 整 備 ( 平 成 19~ 20 年 度 ) が 進 め ら れ て い る 。
低コストによる簡易牛舎、堆肥舎等整備事業
(浄 法 寺 分 )
年
次
平 成 17 年 度
繁殖牛舎
良質粗飼料の生産
① 畜産担い手育成総合事業による飼料基盤整備により、草地の開発及び草地の更新
が計画的に行われ、飼料が安定的に供給されている。
② 越冬飼料の確保のため、市営牧野での飼料生産体系の拡充による低価格で良質な
粗飼料(乾草)の供給がされている。
2棟
事業内容
平 成 18 年 度
繁殖牛舎
2棟
肥育牛舎
1棟
簡 易 パドック
2カ所
ジャンボテッタ
1台
平 成 19 年 度
繁殖牛舎
1棟
簡 易 パドック 1カ所
(二 戸 分 )
年
耕畜連携の推進
① 家畜排せつ物は堆肥や土壌改良資材として活用され、資源循環型農業が実践され
ている。
② 有機農業による食の安全基準を遵守するため、ポジティブリスト制に配慮しなが
ら、堆肥と稲わら等の交換などにより環境保全型農業の取り組みや新規農作物の導
入、特別栽培農産物の生産などを行うモデル地区が形成され、消費者ニーズに対応
した売れる農産物が生産されている。
○ 目 標 値 ( 平 成 27 年 度 )
・ 耕畜連携推進事業実施集落
肉用牛振興
① 日本短角種
ア ETプロジェクト(受精卵移植)事業
平 成 16 年 度 か ら 3 年 間 事 業 が 実 施 さ れ 、 受 精 卵 移 植 技 術 の 向 上 と 低 コ ス ト で
の高価格仔牛生産による所得向上を図るという目的で、日本短角種に黒毛和種の
受精卵を移植し黒毛の仔牛の生産が行われ、その成果が出ている。
イ 仔牛販売状況
(19年実績)
純粋種(日本短角種)
260千円
交 雑 種 ( 日 本 短 角 種 ×黒 毛 和 種 )
210千円
受精(黒毛和種)
500千円
次
事業内容
④
50 集 落
○
その他(ブロイラー振興)
生産のみならず、品質においても安全安心な鶏肉の生産供給に取り組むとともに、地
域経済の発展及び雇用の確保に寄与している。
98
平 成 17 年 度
繁殖牛舎
肥育牛舎
4棟
3棟
平 成 18 年 度
繁 殖 牛 舎 1棟
肥 育 牛 舎 1棟
平 成 19 年 度
繁殖牛舎
2棟
放牧地の活用
ア 短角種の飼養頭数の減少により、放牧地が有効に利用されていない。
イ 放牧頭数の減少により、地区外からの受け入れを行っている。
稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクト:環境と調和の取れた畜産業の振興
○
良質粗飼料の生産
市では粗飼料確保を目的として、乾草調製業務を実施し畜産農家に供給している。
葉たばこや花き等と肉用牛繁殖を兼業で行っている農家の多い当地区では、乾草調製の
時期と葉たばこなどとの重複作業を行うことが困難である。これらを考慮し、市では良
質な乾草を安定的に供給することにより、農家は葉たばこ等との兼業がスムーズに行な
われている。
3 現
○
日本短角種
① 全国的に飼養頭数の減少が進む中、本市においても畜産農家の高齢化や黒毛和種
への移行により減少傾向が続いている。
② 岩 手 県 で は 、需 要 の 高 ま っ て い る 日 本 短 角 種 の 生 産 振 興 の た め 、
「 い わ て 牛 」と と
もに地域団体商標に登録された「いわて短角和牛」を全国にPRし消費拡大を図る
とともに、生産拡大を推進する計画を進めている。
③ 近年、健康志向の高まりから安全安心でヘルシーな牛肉として消費者の脚光を浴
び、メディアや雑誌などで大きく取り扱われており、市場での評価も高くなってき
ている。しかし、消費者ニーズに見合った生産体制が整っていない状況である。
○
黒毛和種
① 本地域の肉用牛生産は、畜産農家の高齢化や後継者不足のため、経営の基礎とな
る繁殖雌牛の頭数が減少傾向にあることから、川代地区においては経営体の組織化
が 進 め ら れ 、「 か し ら ぎ 和 牛 の 会 」 が 設 立 さ れ た 。
② 食生活の多様化を背景とした需要のなかで、食の安全・安心や品質に対する指向
の高まりなどにより、肉用牛の販売価格が安定してきたことから、飼育規模の拡大
を希望する農家も出てきている。
③ 黒 毛 和 種 優 良 雌 牛 の 導 入 に あ た っ て は 、市 が 貸 し 付 け す る「 特 別 導 入 事 業 」及 び 、
全農が貸し付けする「全農預託事業」があり、導入支援体制は整備されているもの
の一頭あたりの導入費用が高額である。
粗 飼 料 の生 産 量 (市 営 牧 野 )
(単 位 :kg)
年 次
○
平 成 17 年 度
平 成 18 年 度
平 成 19 年 度
浄法寺分
318,620
286,425
312,370
二戸分
108,480
172,160
128,000
耕畜連携
安全・安心な農産物の生産のため、有機堆肥の活用が図られてきている。
・ 耕畜連携推進事業実施集落
22 集 落 ( 平 成 18 年 度 現 在 )
足沢、川代、舌崎、安比、根森、杉沢田子内、山内、門崎下藤、大清水柿ノ木平、
小 泉 な ど 市 内 22 地 区
状
貸 付 制 度 の概 要
事 業 名
貸 し付 け主 体
返済期間
貸 し付 け上 限
支 払 い方 法
利 子 の有 無
特別導入事業
二戸市
3年 または5年
60 万 円
一括払い
無
全農預託事業
全
4年
無
分割払い
有
農
二 戸 市 内 の頭 数
種
類
地
二
戸
区
地
生産戸数
生産頭数
区
47 戸
328 頭
浄 法 寺 地 区
39 戸
371 頭
区
1戸
1頭
浄 法 寺 地 区
54 戸
292 頭
二
区
20 戸
572 頭
浄 法 寺 地 区
9戸
264 頭
肉 牛 (黒 毛 和 種 )
二
戸
地
肉 牛 (日 本 短 角 種 )
乳
戸
地
牛
(平 成 20 年 2月 1日 現 在 )
99
稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクト:環境と調和の取れた畜産業の振興
市 内 の各 牧 野 の利 用 状 況
○
飼料確保
① 原油の高騰などから外国産の配合飼料が値上がりし、市内の畜産、酪農関係者は
さらに厳しい経営を迫られている状況である。
② 肉用牛、乳用牛の餌である乾草収穫作業に使用している市所有の機械は、老朽化
してきており年次的に更新していくことが必要である。
○
堆肥の活用
① 堆肥の成分が明らかでないことから、耕作農家による「土づくり」に活かされて
いない。
○
その他
① ブロイラーは、経営が安定していることから、今後においても産地としての持続
が期待される。
② ブロイラー鶏舎は、老朽化等により建て替えが必要となってきている所もある。
現在地に建て直す場合、周辺の生活環境等を考慮しなければならず、周辺の理解が
得られない場合は移転候補先を確保しなければならない。
その 1(牧 野 面 積 )
面
積 (ha)
番
号
団地名
1
市 営 上 川 代
2
稲 庭 牧 野
3
市 営 高 曲 原
4
漆 沢 牧 野
125
50
226
276
5
市 営 杉 沢
70
28
14
42
6
太 田 牧 野
100
40
13
53
7
大 清 水 牧 野
230
92
4
113
8
大 又 牧 野
42
17
100
117
9
湯 沢 牧 野
207
83
24
107
10
筍 平 牧 野
85
34
5
65
11
梅 ノ 木 牧 野
87
35
178
213
1,215
482.5
603.9
1,215.1
合
放牧可能頭数
親 子 (組 )
計
備考
放牧地
62
20.5
207
83
-
採草地
兼用地
13.8
その他
20.9
計
34.9
90.1
5
88
51
51
17
26
107.8
20.9
その2(放 牧 利 用 状 況 )
利 用 状 況 (頭 数 )
番
号
団地名
1
市 営 上 川 代
112
90
98
122
110
2
稲
201
174
169
170
181
3
市 営 高 曲 原
4
漆
沢
牧
野
83
104
82
97
107
5
市
営
杉
沢
6
太
田
牧
野
83
87
83
31
18
7
大 清 水 牧 野
181
159
141
184
135
8
大
又
牧
野
36
38
40
41
42
9
湯
沢
牧
野
238
258
236
208
209
10
筍
平
牧
野
71
62
66
70
62
11
梅 ノ 木 牧 野
50
40
44
35
30
1068
1055
1012
958
894
備
H15
合
庭
牧
計
野
H16
H17
H18
考
H19
100
稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクト:環境と調和の取れた畜産業の振興
4 課 題 ・問 題 点
○
○
肉用牛振興
① 黒毛和種
ア 黒毛和種は、農繁期と重なる放牧可能期間であっても牛舎での飼養管理が必要
であり、その間の餌の確保が必要である。
イ 増頭するうえで自家保留を推進しているが、自家保留した場合の初産子販売ま
での期間は3年を要する。
② 日本短角種
黒毛和種と比較すると販売価格が低額であることから、頭数が減少している。
○
放牧地の確保及び管理
① 放牧地の面積不足により牧区分けが難しく、また、頭数の確保が困難な牧野利用
組合もある。
② 黒毛和種の飼養頭数は増加しているものの、黒毛和種は、仔牛の放牧をしないこ
とから、放牧地の管理運営が厳しい状況にある。
○
良質粗飼料の生産
① 配合飼料の価格が上昇していることから、自給飼料の増産による低コスト化を図
る必要がある。
② 市では冬期間の粗飼料確保として、乾草調製業務に取り組んできたが、夏場に使
用する粗飼料の確保も求められている。優良粗飼料の増産体制構築のため、採草地
の更新や拡大、採草用機械の整備等を迅速に行わなければならない。
○
耕畜連携の推進
家畜排せつ物の適正処理と耕畜連携
の強化により、農薬・化学肥料の使用
量抑制による農作物の付加価値向上を
行う必要がある。
堆 肥 舎 で 牛 ふ ん を 、か く 拌 す る こ と に
より完熟堆肥ができる
101
その他(ブロイラー振興)
ブ ロ イ ラ ー 産 業 は 30 年 以 上 も 歴 史 が あ り 、 当 時 建 設 さ れ た 鶏 舎 は 老 朽 化 が 進 み 、
大雪などによる倒壊の被害が懸念されている。地域経済を牽引している当地のブロイ
ラー産業の維持発展のためにも、鶏舎の建て替えが課題となっている。また、居住区
近くに隣接し、環境問題が発生する恐れがあり、経営の継続や規模拡大には、鶏舎移
転をしなければならない状況にある。老朽化した鶏舎の建て替えに伴う、相談窓口担
当業務が必要である。
稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクト:環境と調和の取れた畜産業の振興
○
5 基 本 となる施 策 の方 向
○
耕畜連携の推進
耕種農家と畜産農家との稲わらと堆肥の交換等、ネットワーク化の推進に努める。
肉用牛振興
① 肉用牛の飼養頭数の拡大
特別導入事業や全農預託事業の制度を活用し、年に1戸1頭増頭運動を展開する。
また、新規参入による増頭を推進する。
② 低コストによる生産施設等整備
春から秋までの間、牧野に放
牧する肉用牛(黒毛和種)
○
その他(ブロイラー振興)
未開発地域が多く残り、畜産業が古くから盛んな稲庭二戸高原地区に鶏舎を誘導する
ことで、ブロイラー産業の生産基地と位置づけ、さらなる生産拡大が望まれる。
ブロイラーを核とした雇用の拡大、人口の定着、他産業への波及効果など地域経済に
及ぼす影響は大きい。ブロイラー産業は、典型的な企業系列の産業であり、系列化され
た個々の農家は、生産から管理まですべて企業の影響下にあるため、移転及び経営拡大
についても、企業の指導力が大きいので、企業に対し、稲庭・二戸高原地区への誘導を
働きかける必要がある。
整備が進むキャトルセンター
(川代地区)
○
放牧地の確保及び管理
放牧地の有効活用
日本短角種の飼養頭数の減少等により、隣接牧野との再編整備(統廃合)を視野に
入れた牧場管理体制を確立する。
○
良質粗飼料の生産
① 粗飼料増産による自給飼料の確保
② 年間を通して粗飼料を安定供給する体制の確立、荒廃による収量減を解決するた
めに、採草地を更新し、収穫量を増やす。
102
稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクト:環境と調和の取れた畜産業の振興
6 これから取 り組 むべき施 策
○
放牧地の確保及び管理
広大な牧草地を活用した低コスト生産基盤整備の促進
① 他地区からの牛の受け入れを可能にし、放牧頭数の確保を図ることで、牧野組
合等の健全な運営を図る。
② 放牧地の有効活用を図るために計画的な草地更新や、草地造成を実施すること
で面積を拡大する。
○
良質粗飼料の生産
① 採草地の更新などによる粗飼料の確保及び安定供給体制の整備
ア 共同利用機械の導入により生産効率を向上させることで生産コストの軽減に
努める。
イ 飼料生産コントラクター組織の育成などにより、効率的でゆとりある肉用牛
経営の実現を図る。
② 市営牧野による乾草供給
畜産農家の支援対策という観点から、市営牧野で乾草生産を行っている草地や
乾草生産機械の計画的更新を実施する。
○
耕畜連携の推進
環境保全型農業推進のため、耕畜連携をモデル集落支援及び連携システムの確立
ア 環境保全型農業を広めるために、耕畜連携を推進しているモデル集落を選定
し支援する。
イ 集落内共同堆肥舎整備(堆肥舎・運搬車等)を展開する。
肉用牛振興
① 日本短角種の拠点地区の確立及び、日本短角種や乳用牛を利用した、受精卵移
植を活用しての黒毛和種生産による所得向上
② 生産農家の法人化、キャトルセンター(肉用牛生産団地)や低コスト牛舎など
の畜産生産基盤の整備を支援する。
(日本短角種)
① 和牛間交雑種の生産や、受精卵移植事業も交え、今後も生産技術の改良等検討
しつつ、所得向上につなげる。
② 繁殖経営については、生産規模の維持を図るため、優良雌牛牛群の生産の継続
や指定交配による優良繁殖雌牛の生産供給、さらには、二戸市で生産された優良
子牛が肥育、精肉、販売、食と、すべての分野で連携し、二戸市日本短角種一貫
生産体制を確立させ、産地としてブランド化を目指す。
③ 旧浄法寺町地域は、県内でも有数の日本短角種生産地域であるが、近親交配が
多くなり、将来、奇形子牛の出生率が高まることが予想される。種の保存を行う
ために、関係機関の協力やDNAデータを活用して、指定交配を行い基礎雌牛の
改良を目指す。
さらに、この地域に基礎雌牛の改良を実施した日本短角種の群れを形成し、優
良雌牛の供給拠点をつくることで、優良子牛生産地帯としての確立を目指す。
(黒毛和種)
① 黒毛和種繁殖経営の生産規模拡大を図るため、稲庭岳すそのに広がる広大な牧
草地を活用した低コスト生産を推進するため、草地基盤整備を促進する。また、
他品種への受精卵移植技術を活用した黒毛和種子牛の生産なども拡充し、畜産農
家の所得向上を図る
② 肉用牛経営の基礎となる繁殖牛の飼養規模拡大を図るため、生産農家の法人化
やキャトルセンター(肉用牛生産団地)などの畜産生産基盤整備を促進させる。
事業名
○耕畜連携推進事業
円滑に耕畜連携を行うため、実施地域に対し支援する。
事業名
○畜産振興事業
○畜産基盤再編総合整備事業
キャトルセンター(牛の預託施設)の整備をすることにより、畜産農家の労働力
負担を減らすとともに、繁殖牛の増頭を目指す
○岩手県畜産振興総合対策推進指導事業
特別導入事業などで優良雌牛を導入し、畜産経営の拡大を目指す。
※
・
・
・
・
○
キャトルセンター概要
場所
二戸市上斗米川代地区
牛舎面積
107,81 1 ㎡
運営者
農 事 組 合 法 人 か し ら ぎ 和 牛 の 会 ( 会 員 数 : 41 人 )
預 託 で き る 牛 繁 殖 牛 約 100 頭 、 子 牛 約 100 頭 ( 哺 育 牛 約 30 頭 )
103
稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクト:環境と調和の取れた畜産業の振興
7 関 連 する施 策 ・事 業
・
二 戸 市 酪 農 ・ 肉 用 牛 生 産 近 代 化 計 画 ( 平 成 18 年 3 月 )
8 総 合 計 画 前 期 基 本 計 画 での位 置 づけ
1)現状と課題
本市の畜産業については、農業産出額の4割近くを占め本市農業の根幹を担ってお
り、中でも養鶏業は、民間主導による産地化が形成され、安定的な事業経営が行われ
ています。
肉用牛の生産は、生産者の高齢化や後継者不足のため経営の基礎となる繁殖雌牛の
飼養頭数が減少傾向にあることから、経営体の組織化の気運が高まっています。
このため、個人経営を基本としながらも、法人経営体等の組織化による団地化の整
備が求められています。また、畜産は、食生活の多様化を背景とした需要の中で、食
の安全・安心や品質に対する信頼に応えながら、中核農家の育成や飼育規模の拡大を
希望する農家が増えており、畜産経営の副産物である家畜排せつ物の利活用が求めら
れています。
2)施策の方向
本市の畜産は、農業産出額の5割強を占めており、市内経済に及ぼす波及効果が高
く、関連する地元企業による雇用の拡大が期待されています。
収益性の高い魅力とやりがいのある畜産業を展開するためには、生産基盤である施
設の建て替えが急務ですが近年、都市化が進行する中で現在地への建て替えは生活環
境的にも厳しい状況にあることから、移転候補地の確保等を図ります。
また、法人経営体等の組織化による団地化を推進するとともに、意欲的な経営者を
育成しながら、経営コストの軽減と良質な食肉・生乳の生産を支援します。
さらに、畜産経営の副産物である家畜排せつ物による良質な堆肥生産を促進しなが
ら、耕畜連携による循環型農業システムの構築に努めます。
3)主要施策
○ 畜 産 経 営 環 境 総 合 対 策 の 支 援( 老 朽 化 し た 畜 産 施 設 等 の 移 転 候 補 地 確 保 、環 境 保 全・
規模拡大を目指す農家経営の支援など)
○意欲的な経営体の育成支援(経営体の育成強化、畜産経営を目指す農業者に対する
情報提供など)
○耕畜連携による循環型農業の推進(堆肥の農地還元による良好な土づくりの支援)
104
稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクト:「漆」を活かしたまちづくり
2 これまでの取 り組 み
○ 「漆 」を活 かしたまちづくり
(漆 振 興 の支 援 ・特 用 林 産 物 の生 産 ・販 売 体 制 の確 立 )
○
漆原木の確保
漆苗木の購入費に対する単独助成や漆掻き職人で構成される「浄法寺生漆生産部分
林組合」
・日 本 文 化 財 漆 協 会 に よ る 国 有 林 を 活 用 し た 漆 造 林 の 促 進 な ど 、こ れ ま で に 一
定の漆造林面積が確保されてきた。
日本一の生産量と品質を誇る生漆と漆器をはじめとした漆工芸品の生産が振興され、
雇用と所得が向上するなど地域産業として一定の地位を確立するまでになっている。
さらに、漆の里づくりが進められ観光振興につながっています。
うるし造林実績
(単 位 :本 )
1 将 来 のすがた
昭 和 53年
19,590
○ 浄法寺漆
① 地域内の遊休農地等を活用した「漆」の植林が推進され、漆原木が安定して確
保されている。
② 日 本 一 を 誇 る 生 産 量 と 品 質 を 今 後 も 確 保・維 持 し 、
「 浄 法 寺 漆 」が ブ ラ ン ド と し
て国内外で確立している。
③ 漆 掻 き の 後 継 者 が 二 戸 市 に 定 住 し 、漆 掻 き 技 術 が 次 世 代 へ と 受 け 継 が れ て い る 。
④ 需要の増加により安定した収入が確保され、生産者が意欲と誇りを持って生産
に取り組んでいる。
○ 浄法寺漆器
① 「浄法寺漆器」がブランドとして国内外で確立している。
② 常に消費者の視点で捉え、新しい発想に立った市場価値・付加価値の高い漆器
の開発が進み、高い支持を得ている。
③ 安定した販売収入が確保され、製作者が意欲と誇りを持って製作に取り組んで
いる。
④ 地域内の飲食店や、観光施設で浄法寺漆器の利用が図られている。
⑤ 塗師・木地師が二戸市に定住し、漆工房村が形成されている。
54年
5,900
55年
2,950
56年
4,800
57年
4,700
58年
14,950
59年
15,470
60年
25,720
平 成 1年
2,560
2年
6,780
3年
10,910
4年
4,210
5年
4,160
12年
4,070
13年
2,388
61年
5,800
62年
7,790
63年
27,810
6年
810
7年
1,610
8年
18,210
9年
900
10年
4,390
11年
6,670
14年
10
15年
2,310
16年
2,960
17年
1,790
18年
40
19年
50
合計
210,308
こ の よ う に 、 浄 法 寺 地 域 内 で の 約 110h a・ 約 21 万 本 と い う 植 栽 状 況 か ら 生 産 可
能 量 を 単 純 に 算 出 し た 場 合 、 総 量 で は 42 ㌧ と な り 、 20 年 サ イ ク ル 更 新 で 年 間 2.1
㌧の生産供給可能な原木量となる。しかしながら、土壌など植栽地の環境によって、
生育状況に大きな差があり、実際には掻き職人による生産原木の確保が容易ならざる
状況となっている。また、掻期の漆原木価格が低迷していることもあって、近年、植
栽が進んでいない状況となっている。
○
後継者の養成
高齢化等の要因により漆掻き職人が年々減少している状況を受け、平成9年度から
日本うるし掻き技術保存会による漆掻き技術者養成研修事業が行われ、一定の成果を
上げている。
研修生の実績
○目 標 値
・漆 生 産 量
900kg (平 成 27 年 度 )
・滴 生 舎 販 売 額
2,500 万 円 (平 成 22 年 度 )
(単 位 :人 )
県 内 (うち市 内 )
7(5)
県外
15
計
22
研修を修了した者の中には、その後、地域の後継者として漆掻き職人に従事してい
る者もあるが、生漆生産を専業とし、そこから上がる収益のみで年間の生活費を得る
ことは困難であり、兼業による一定所得の確保や定年退職者等の参入も含め、さらに
対策を検討する必要がある。
浄法寺漆器はいくつもの工程を
経てできあがる
105
稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクト:「漆」を活かしたまちづくり
○
品質向上
昭 和 54 年 か ら 毎 年 開 催 し て い る 浄 法 寺 漆 共 進 会 は 、 漆 掻 き 職 人 の 生 産 意 欲 と 品 質
向 上 に 大 き く 貢 献 し て い る 。開 催 当 初 は 、出 品 者 に よ っ て 品 質 に 大 き な ば ら つ き が あ っ
たが、最近はどの出品物も高質均一であり、審査員・参観者から一定の評価を得てい
る。
需 要 を 高 め る た め の 取 り 組 み と し て 、輪 島 市 な ど の 漆 器 生 産 地 へ の 売 り 込 み 、チ ュ ー
ブ入り生漆の製造による全国の漆芸家への直接販売、文化財修理・修復への使用促進
のための文化庁への働きかけ、市内公共施設への活用、滴生舎における浄法寺漆使用
品に限定した販売などを行ってきたが、その量は一部にすぎず、大半は仲買業者への
流通ラインによる消費となっている。
平 成 19 年 、 日 光 東 照 宮 な ど の 修 復 用 と し て 大 量 の 注 文 が あ り 、 一 気 に 需 要 が 拡 大
している。
○
漆器等漆工芸品の振興
平成6年度に木材工芸品等加工販売施設(滴生舎)を建設し、平成7年度からこの
施設を核として漆器等の製作・展示・販売を行うなど漆工芸品の生産振興に取り組ん
できた。
(取り組みの具体例)
① 滴生舎が作っている商品は、全工程に浄法寺漆を使用することを製作のコンセ
プトとしている。
② 滴生舎製作品以外の販売商品は、製作する業者・作家等で構成する「滴生舎共
同販売組合」の組合員が製作したものに限定している。そのうち、漆器は、浄法
寺漆が使用し製作したものを販売している。
③ 首 都 圏 で の 展 示 販 売 促 進 会 ( 平 成 18 年 度 か ら )
④ 市 内 ( 平 成 18 年 度 )、 県 内 ( 平 成 19 年 度 ) に お け る 漆 器 モ ニ タ リ ン グ 事 業
⑤ 県工業技術センターとの連携による新商品の開発
⑥ パ ン フ レ ッ ト 、 イ ン タ ー ネ ッ ト を 活 用 し た PR
品質を確かめる浄法寺漆共進会
こ れ ま で の 審 査 方 法 は 、専 門 家 の 長 年 の 経 験 と 感 覚 に よ る も の で あ っ た が 、今 後 は 、
化学的分析手法も併用して取り入れることも検討する必要がある。
過 去 5 ヵ 年 の 滴 生 舎 販 売 額 は 、 次 表 の と お り と な っ て い る 。 平 成 19 年 度 は 在 庫 品
の確保が間に合わず、需要に即応できない状況となっている。このことから、早めに
生産体制を強化充実する必要がある。
○
生産の振興
国産漆の需要は、漆器の代替品の普及や安価な外国産漆の輸入によって大きく低下
してきている。それに伴い価格の下落もあり、岩手県内での生漆生産量も減少してき
て お り 、 平 成 13 年 度 以 降 の 生 産 量 の ほ と ん ど が 二 戸 市 の 漆 掻 き 職 人 に よ る 生 産 と
な っ て い る 。 ( 平 成 19 年 浄 法 寺 漆 の 生 産 量 915kg )
(kg)
1,200
2,000
600
2,386
2,190
岩手県
浄法寺町
1,940 1,880
2,250
1,875
1,500
1,363
800
2,705
2,500
1,280
1,191
1,000
3,060
3,000
1,534
1,400
漆生産量
3,500
漆器類販売額(滴生舎)
(万円)
1,600
1,855 1,800
1,500
1,000
500
644
H 14
H 15
400
200
1,700 1,300 1,360
1,144
967
1,200
1,150
1,080
900
664
0
985
923
985
923
750
800
800
750
800
800
H 16
H 17
H 18
H 19 (年度)
・ 平 成 19 年 度 の販 売 額 は 19 年 4月 から平 成 20 年 1月 までの金 額
・ 平 成 18 年 度 は浄 法 寺 漆 、漆 器 の普 及 啓 発 (取 材 対 応 、講 演 、漆 器 のモニタリング事 業 、ホームペー
0
H3
H4
H5
H6
H7
H8
H9
H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17
ジ開 設 等 )に取 り組 んだことから、前 年 度 と同 じ人 員 体 制 の中 で漆 器 の製 作 数 が減 り、販 売 額 が減
(年)
少 したと考 えられる。
(出 典 「浄 法 寺 漆 振 興 戦 略 」報 告 書 ほか)
106
稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクト:「漆」を活かしたまちづくり
3 現
状
○
浄法寺漆
浄 法 寺 漆 は 、独 特 の 採 取 技 術「 殺 し 掻 き 」に よ っ て 浄 法 寺 町 周 辺 で 採 取 さ れ た 漆 で 、
主成分のひとつであるウルシオールの含有率が高く、良質な漆として知られている。
① 二戸管内には多くのウルシ原木が賦存している。統計上からみると、二戸管内
で 約 200h a・ 42 万 本 が 植 栽 さ れ て お り 、 そ の う ち 浄 法 寺 地 域 は 約 110h a・ 約
21 万 本 と な っ て い る 。
② 国内生産量の約6割を産出している。
③ 浄法寺漆は、品質において漆工芸家等の漆関係者から高い評価を得ているもの
の、一般消費者には広く知られていない。
④ 市 内 に は 20 人 の 漆 掻 き 職 人 が 在 住 す る も の の 、 漆 掻 き 職 人 の 高 齢 化 が 進 ん で
お り 、こ れ を 担 う 後 継 者 が 不 足 し て い る 。
(平成9年度から全国を対象に漆掻き技
術者養成研修を行っているが、浄法寺地域で従事する人は少ない)
⑤ 外国産(主に中国)漆と代替塗料の普及により国産漆の取引価格が下落してい
る。
⑥ 日 光 東 照 宮 の 修 復 用 と し て 大 量 の 注 文 ( 平 成 19 年 よ り 6 年 間 。 使 用 予 定 量 4
㌧超)が入っている。
⑦ 浄法寺の漆掻きと浄法寺塗の「用具及び製品」が国の重要有形民俗文化財に、
「日本産漆生産・精製」技術が文化庁の選定保存技術に認定されている。
⑧ 市内には「ふるさと文化財の森※1」に設定されている「浄法寺漆林」がある。
ウ ル シ の 木 1 本 か ら 約 200g の
生漆が採取される
漆 掻 き 職 人 、 漆 器 製 作 従 事 者 の 年 齢 構 成 ( 平 成 19 年 現 在 )
(単 位 :人 )
漆 掻 き職 人
※1 ふるさと 文 化 財 の森
文 化 庁 が実 施 する「ふるさと 文 化 財 の森 システム推 進 事 業 」の一 環 。文 化 財 建 造 物 の修 理
に必 要 な資 材 のモ デル供 給 林 及 び研 修 林 をさす。平 成 18 年 度 に全 国 で 8ヵ所 選 定 。(文 化
庁 のHP より)
20 代
30 代
0
○ 浄法寺漆器(認知度、材料、需要、塗り師)
① 浄 法 寺 塗 は 、経 済 産 業 大 臣 指 定 の 伝 統 的 工 芸 品 と な っ て い る 。
( 昭 和 60 年 5 月
22 日 指 定 )
② 全 国 の 漆 器 23 品 目 の な か で 「 浄 法 寺 塗 」 の 知 名 度 は 最 下 位 と な っ て お り 、 そ
の認知度は低い。
( 平 成 18 年 度 版 伝 統 的 工 芸 品 に 関 す る 消 費 者 意 識 調 査( 財 団 法
人伝統的工芸品産業振興協会)調べ)
③ 発 注 す る 木 地 業 者 の 事 情 も あ り 、漆 器 に 使 う 木 地 が 不 足 し て い る 。
(滴生舎で発
注する手作り木地の供給)
④ 漆芸の殿堂「滴生舎」では、下地から上塗りまで全ての工程に浄法寺漆を使っ
た漆器を製作している。
⑤ 市内の漆器製作者は7人いる。
⑥ 市内には浄法寺漆器販売店が4店舗ある。
40 代
3
50 代
2
60 代
0
70 代 以 上
4
計
11
20
漆器製作従事者
20 代
30 代
2
107
40 代
2
50 代
1
60 代
1
70 代 以 上
0
1
計
7
稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクト:「漆」を活かしたまちづくり
4 課 題 ・問 題 点
5 基 本 となる施 策 の方 向
○ 浄法寺漆
【原木の確保】
① 漆原木の植林場所が、管理の行き渡らない山林などに多い。また、植林した漆
の木がすべて順調に生長していないため、掻くことができる木の本数を正確に把
握し、必要な原木量を確保する必要がある。
当 面 の 方 向 性 と し て 、漆 生 産 量 の 維 持 、
「 浄 法 寺 漆 」及 び「 浄 法 寺 漆 器 」の 生 産 に 携
わ る 後 継 者 の 育 成・支 援 、県 内 外 に 対 す る 情 報 発 信 の 強 化 と 販 路 拡 大 を 目 指 す と 共 に 、
浄法寺地域を「漆の里」として確立させるため、漆林の拡大や、浄法寺漆器の地域内
での利用拡大を推進する。
(1) 計 画 的 な 植 栽 と 漆 原 木 の 安 定 的 な 供 給 体 制 の 構 築
① 漆原木の賦存量を調査し、その生産可能量を把握するとともに、将来的・年次
的な需要に対応できるよう植栽を推進する。
② 生漆を適正価格で安定的かつ計画的に出荷できる状況をつくりながら、漆原木
価格の向上と安定を図る。併せて、漆造林への市の単独助成を継続し、植林が推
進される環境を整える。
【漆掻き職人の確保】
① 高齢の漆掻き職人が多く、後継者の確保が深刻な状況であり、その対策が重要
な課題となっている。
② 漆掻き職人を志す人たちの定住環境を整備する必要がある。
【需要と価格の向上】
① 品質の維持向上に努めながら文化財修復への使用を推進し需要を高めるととも
に、生漆の精製加工にも取り組みながら価値を高める必要がある。
② 生漆の精製販売事業を視野に入れながら、流通ルートへの参画を検討する必要
がある。
(2) 後 継 者 の 養 成 ・ 育 成 策 の 推 進
① 日本うるし掻き技術保存会が実施している漆掻き技術研修の継続による後継者
の養成を基本とする。
② 漆 塗 師 の 後 継 者 の 育 成 策 を 強 化 す る 。( 滴 生 舎 の 研 修 施 設 と し て の 機 能 強 化 )
○ 浄法寺漆器
【製作コンセプトの確立】
① 浄法寺塗の知名度を上げる必要がある。
② 浄法寺漆器の規格を統一する必要がある。
③ 漆器の企画、販売などのマーケティングを強化する必要がある。
(3) 需 要 拡 大 と 価 格 の 向 上 ・ 安 定 策 の 推 進
① 日光社寺修復後においても、継続して文化財修復への使用を働きかけながら、
需 要 の 拡 大 を 推 進 す る と と も に 、品 質 の 維 持 向 上 に 努 め な が ら 価 格 の 安 定 を 図 る 。
② 生漆の精製販売事業を展開しながら、流通販路の拡大に参画し、価格の安定を
図る。
③ 滴生舎における漆器製造事
業については、全作業工程に
浄法寺漆を使用する製作コン
セプトのなかで絶えず高品質
化への取り組みを推進する。
④ 国内他産地との漆の差別化
により商品価値を高めるとと
もに、ブランド化と情報発信
に努める。
⑤ 「滴生舎共同販売組合」を
核としながら、浄法寺漆を使
用する工芸家等の底辺拡大に
努める。
国 内 に と ど ま ら ず 、国 外 で も
【生産と販路の拡大】
① 浄法寺漆器を買う場所が限定されている。
② 消費者ニーズに沿った漆器をつくることが必要である。
【後継者の育成】
塗師・木地師などの職人や漆器製作にかかわる民間事業者(個人を含む)の参入が
進んでいない。
漆への関心は高まっている
(4) 情 報 発 信 と 漆 の 里 づ く り の 推 進
漆の里(漆の木のまち・漆の資料のまち・漆掻きのまち・漆工芸品のまち)として
の イ メ ー ジ 形 成 を 進 め 、漆 を 活 か し た 観 光 振 興 に つ な げ る と と も に 、こ れ ら を 通 じ て 、
浄法寺漆・浄法寺漆器の知名度を高め、生漆産業・漆工芸品産業の振興を総体的に促
進する。
後継者が必要な漆掻き
職人
108
稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクト:「漆」を活かしたまちづくり
②
③
市内の漆器工房と連携した研修体制の構築
研修を終え独立して製作に取り組もうとする人が市内に居住しやすいように、
空き家屋の利活用や工房兼住宅の整備など定住環境を整える。
④ 漆 工 芸 な ど の 専 門 学 科 が あ る 美 術・工 芸 大 学 な ど へ 、
「 漆 の 里 」を P R す る こ と
で移住者の募集をする。
6 これから取 り組 むべき施 策
○ 漆原木の適正価格の設定と造林補助制度の継続
【原木の確保】
① 県との連携による二戸地域全体の漆原木賦存量調査と基礎資料のデータベース
化に取り組む。
② 漆植栽計画をつくり、生漆生産と供給計画を確立する。
③ 漆生産組合による適正な原木価格の基準設定。
④ 苗木購入費に対する単独助成制度の継続。
⑤ 遊 休 農 地 等 を 活 用 し た 漆 原 木 の 植 栽 を 推 進 す る 。( 農 地 転 用 の 手 続 き が 必 要 )
○ 需要拡大と価格の向上・安定策の推進
1浄法寺漆
① 文化財修復への継続的な供給のため、文化財建造物等修復計画の事前把握(文
化庁との連携)と、修復現場での利用促進を図る。
② 漆共進会の継続開催
③ 生漆出荷体制の確立
生 漆 の 入 荷( 価 格 安 定 )→ 精 製 漆 の 製 造( 付 加 価 値 )→ 全 国 へ の 出 荷( 安 定 供 給 )
④ 浄法寺漆認証制度の活用
⑤ 漆 消 費 地 へ の PR 活 動
○ 後継者の養成・育成策の推進
【漆掻き職人の確保】
① 漆掻き技術の保存と伝承のため、日本うるし掻き技術保存会が実施している研
修生の受け入れを継続することや、漆掻きに意欲のある定年退職者等の新規参入
など、後継者の養成に努める。
② 漆掻きは季節就労となるため年間所得の確保が難しく、後継者が育成されない
原因の一つとなっている。このことから、一定の年間所得が見込まれる兼業体系
の実例案などを提案し後継者の確保に努める。
例 1 漆 掻 き業 務 + 漆 精 製 業 務 + 漆 器 等 製 作 業 務 の 就 労 体 系
月
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
漆 掻 き 業 務
11
2浄法寺漆器
【生産】
① 製作技術研修の計画的な実施と高品質化の推進
② 消費者ニーズの把握と新しい発想に立った新商品の開発
③ 製作コンセプトの確立と、ブランド化の推進
④ マーケティング調査の実施
【販路の拡大】
① 高級料亭をターゲットにした売り込み
② 大手百貨店での展示・販売促進会の開催
③ 大都市圏でのギャラリー展示会
④ インターネットによる販売
12
漆精製業務
漆 器 等 製 作 業 務
漆器等
例 2 漆 掻 き業 務 + 森 林 作 業 の就 労 体 系
月
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
○ 「うるしの里」づくりの推進等
① う る し の 里 づ く り 事 業 の 実 施 (「 地 方 の 元 気 再 生 事 業 ※ 2 」 申 請 予 定 )
② ふるさと文化財の森システム普及啓発事業の実施
③ 市内の一般家庭の日常生活における漆器等使用推進
④ 市内におけるマイ箸運動の推進
⑤ 市内の公共施設への漆活用推進
⑥ 地域内の飲食店や観光施設での浄法寺漆器の利用推進
⑦ 雑穀・濁酒などの地場産品の推進と連携した漆器の使用推進
⑧ 県内の産学官民による連携組織を設置し、情報の共有、多角的な視点による漆
振 興 策 の 提 案 、平 泉 の 世 界 遺 産 登 録 を 視 野 に 入 れ た 海 外 へ の 情 報 発 信 を 推 進 す る 。
⑨ 文化財保存修復研究国際センター研修会の受け入れ
漆 掻 き 業 務
森 林 作 業 業 務
森
例 3 漆 掻 き業 務 + 年 金 +(農 作 業 )の 就 労 体 系
月
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
漆 掻 き 業 務
年
金
11
12
(農 作 業 業 務 )
③
遊休市有施設や遊休民間家屋の利活用により定住環境を整え、全国的な範囲か
ら漆掻き職人を招致する。
※2 地 方 の元 気 再 生 事 業 (平 成 20 年 度 創 設 )
地 域 の住 民 や民 間 団 体 の創 意 工 夫 や発 想 を起 点 にしたプロジェクトを立 ち上 がり段 階 において支
【漆塗師の育成】
① 年間を通じて技術研修を兼ね製作業務を行える体制(非常勤職員の任用)を構
築し、計画的に雇用する。
援 する新 たな取 り組 みである。これまで包 括 的 ・総 合 的 な支 援 が必 ずしも十 分 になされてこなかった、
専 門 的 な人 材 の派 遣 、社 会 実 験 の実 施 などのソフト分 野 を中 心 に、国 が集 中 的 に支 援 を行 う。
109
稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクト:「漆」を活かしたまちづくり
ま た 、 市 内 で 浄 法 寺 漆 の 漆 器 を 使 う 家 庭 や 飲 食 店 は 少 な い こ と か ら 、「 マ イ 箸 運 動 」
を契機として「浄法寺漆器」を身近な什器として普及させ、市民とともに「うるしの
里・浄法寺」のイメージを創りあげていこうとするものである。
7 関 連 する施 策 ・事 業
・
「 浄 法 寺 漆 振 興 戦 略 」 報 告 書 (平 成 19 年 2 月 、 岩 手 県 )
4
8 総 合 計 画 前 期 基 本 計 画 での位 置 づけ
2)施策の方向
歴史的文化的背景を持ち全国的にも知られた本市の「浄法寺漆」は、日本一の生産
量と品質を誇るものであり、国内的に高い評価を得ているのはもちろん、世界に向け
て発信できる地域特有の素材です。
この「漆」を本市のまちづくりに最大限活かすため、伝統産業としての振興をはじ
め、観光資源としての活用、さらに地域に根ざした伝統文化としての保存・伝承に積
極的に取り組みます。
当面、漆の生産量維持、地産地消による需要の確保など、日本産漆生産の保護と振
興を図るために、浄法寺漆および浄法寺漆器の生産に携わる後継者の育成・支援に取
り組みます。
また、内外に対する情報発信の強化を図り、併せて、浄法寺漆および浄法寺漆器の
販路拡大を目指した施策を展開します。
事業効果
(1) 「 か ぶ れ る 」 と い う 漆 に 関 す る イ メ ー ジ を 一 新 す る こ と ( 抗 菌 作 用 が あ る 、 修
繕 す る こ と が で き る 、長 く 親 し み を 持 っ て 使 う こ と が で き る な ど )が 可 能 で あ る 。
(2) 子 供 た ち が 使 用 す る こ と で 、 保 護 者 、 家 族 等 の 浄 法 寺 漆 器 に 対 す る 理 解 が 広 が
る。
(3) 浄 法 寺 漆 器 の 購 入 増 加 が 見 込 め る の で 、地 域 内 で の 浄 法 寺 漆 の 消 費 量 が 増 え る 。
(4) 森 林 は 洪 水 を 防 ぎ 渇 水 を 緩 和 す る 、 水 を 浄 化 す る 、 土 砂 崩 れ を 防 ぐ 、 地 球 温 暖
化を防ぐ、そして人間にとって必要な安らぎや癒しをつくるのも森林の役割とい
えることから、森林保護や地球環境問題にも寄与する。
5
実施に当たっての課題等
(1) 「 漆 は か ぶ れ る 」 と い う イ メ ー ジ が 定 着 し て い る た め 、
・ 各施設から理解と協力を得られるか
・ 保護者からの理解が得られるか
・ 実際に箸を使う子どもたちがかぶれないか
等々懸念される。
(2) 子 ど も た ち の 成 長 に 合 わ せ 箸 も 新 し い も の を 提 供 し な け れ ば な ら な い た め 、 滴
生舎の生産体制に合わせた事業展開が必要である。
(3) 漆 に 親 し み や す く 、子 供 に 受 け 入 れ ら れ る 箸 の デ ザ イ ン( 大 き さ 、色 、模 様 等 )
が 必 要 で あ る 。販 売 す る 箸 を 市 民 が 買 い 求 め や す い 価 格 に す る こ と が 必 要 で あ る 。
高額に設定するならば、行政の補助が必要となる。
3)主要施策
・ 漆 振 興 の 支 援 (「 浄 法 寺 漆 」 生 産 者 団 体 に 対 す る 支 援 、 漆 共 進 会 の 開 催 な ど )
・ 滴生舎の維持管理および運営(首都圏等における展示・販売の促進など)
6
・
具体策(一例)
箸の製作は、滴生舎共同販売組合で行う。下地から上塗りまで浄法寺漆のみを使
用する。
・ 販売は滴生舎で行い、インターネットでも販売を検討する。時には、イベント時
の出張販売も行う。
・ 市 民 だ け で な く 、多 く の 人 に 使 っ て も ら え る よ う デ ザ イ ン も 3 ,4 種 類 検 討 す る 。
・ 箸 の 販 売 に 加 え 、 箸 入 れ ( 箸 袋 )、 お 椀 な ど の セ ッ ト 販 売 を 検 討 す る 。
・ 浄法寺漆を使用した箸に愛着を持ってもらうため、箸づくりの体験会を開き、参
加者を募集する。
参 考 資 料
○市内におけるマイ箸運動推進(案)について
1
事業目的
浄 法 寺 漆 器 に 触 れ る こ と で“ 日 用 の 伝 統 工 芸 品 ”を 身 近 に 感 じ 、ひ い て は 浄 法 寺 漆 、
浄法寺漆器の地元での振興発展につながるとともに、森林保護や地球環境問題につい
ても関心を持ってもらう。
2
事業内容
環境教育、食育教育などと組み合わせた地産地消活動の一環として、市内関係機関
と連携した浄法寺漆の箸を使った「マイ箸運動」を推進する。
3
事業を行う背景
日 本 で の 年 間 割 り 箸 使 用 量 は 約 250 億 膳 で あ り 、 一 人 当 た り に 換 算 す る と 、 年 間
約 200 膳 と な る 。 こ の 大 量 の 割 り 箸 は 約 97% が 海 外 ( 主 に 中 国 ) か ら の 輸 入 で ま か
なわれており、製造するために森林伐採が進み、これが森林破壊につながり大きな環
境問題となっている。また、割り箸には防カビ剤や漂白剤が使われていることから、
健康的にも割り箸を使用しないことは、身体にやさしく安全で安心なことといえる。
110
稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクト:森林整備と地域材の利用促進
⑤
○ 森 林 整 備 と地 域 材 の利 用 促 進
(森 林 の整 備 と地 域 材 の活 用 )
公共施設や畜産施設への木材利用と製材から発生する端材の有効活用が推進される
なか、林家の造林、保育・間伐が意欲的計画的に進み、持続安定した良質材の生産・
供給が図られています。
緑資源特定森林圏整備事業
・ 浄法寺・田子区間
15.6km ( 平 成 19 年 度 完 成 )
・ 葛巻・浄法寺区間
緑資源機構による葛巻方面の林道整備は、緑資源機構の廃止により、岩手
県が「山のみち地域づくり交付金事業」で整備する予定。二戸市の整備区間
は 6.4km で 、 平 成 27 年 度 完 了 予 定 で あ る 。
○
その他の取組
二戸市ふるさと振興(株)が事業主体となり、山ぶどうを活用したワインやジュー
スの商品化を図り、商品販売を行っている。
1 将 来 のすがた
○
森林整備
地域林産物を持続的・安定的に供給するため、森林組合等林業事業体への作業委託
が進み、雇用が拡大されたことに伴い、若い作業員により木材需要に応じた造林、保
育および除間伐等が適正に行われている。
○
地域材の活用
公共施設や建て替えが見込まれる畜産施設(鶏舎・牛舎等)への地域材の利用が促
進され、さらに、間伐材や製材所などから発生する端材等を活用したチップボイラー
やペレットストーブが普及することにより、農業用施設(ビニールハウス)等への暖
房にも利用されている。
○
特用林産物
生漆・山ぶどうをはじめとする特用林産物の生産、販売体制が確立されることで、
新たな森林資源の商品化を目指すグループも出ている。
○
目 標 値 ( 平 成 27 年 度 )
・ 森林整備面積(1年間の森林整備面積)
276h a
2 これまでの取 り組 み
○
これまでの実施事業
① 森林整備面積
221h a( 17 年 度 )
② 森林整備地域活動支援交付金事業
10,000 円 /1h a( 平 成 14~ 18 年 度 )
5,000 円 /1 h a( 平 成 19~ 23 年 度 )
③ 森林づくり交付金事業
・ 作業道整備等
・ 林業機械整備
④ 間伐対策事業
・ 間伐事業および資源循環利用間伐事業に対して、市において1割を助成して
いる。
整 備 が 完 了 し た 大 規 模 林 道 (浄 法 寺 ~ 田 子 間 )
( 平 成 19 年 11 月 )
111
稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクト:森林整備と地域材の利用促進
3 現
状
本 市 の 森 林 面 積 は 31,184h a で 総 面 積 の 74.19 % を 占 め 、 そ の う ち 人 工 林 は
12,837h a( 49.92 % )で 、天 然 林 と ほ ぼ 半 々 で あ る 。ま た 、民 有 林 の 割 合 は 76.9%
であり、樹種も多種にわたる。
○
林業従事者の減少・高齢化、間伐経費の増大、国産材需要の低迷、木材価格の低
迷等から林業経営意欲の減退が見られ、生産活動は停滞傾向にある。
○
一部の林家は、森林組合等林業事業体への作業委託を行っているものの、大半は
施業未実施の状態である。つまり、伐採最適期の木材を切らない、売らないという
事態が起こっている。
○
○
高齢級の木材も間伐で対応しているため、再造林できない状態である。伐採届け
を申請する人は皆伐した後、経費がかかるため植林を希望せず自然に生えてくるの
を待つ人が増加している。
○
山林を管理するには長い年月を要するので、生計を成り立たせるのは難しい。
林業従事者は、若者の林業従事意欲の衰退や高齢化が進んでおり、山の手入れを
行う人、山に入る人は少数となっている。
○
本市の特色として生漆の生産量が日本一となっているが、国産漆の需要の低迷に
よりその生産量も年々減少している。
また、漆の原木が減少傾向であり、浄法寺町地域活性化センターに植栽されてい
る 「 ふ る さ と 文 化 財 の 森 」 も 平 成 20 年 か ら 掻 く 予 定 に 組 み 込 ま れ て い る 。 行 政 で
は原木確保のために漆を植栽する際の苗木代に対して補助を行ってきているが、希
望する人が少ない。また、漆掻き職人も減少するとともに高齢化が進んでおり、後
継者育成等その対策が急務となっている。
○
森林は国土の保全、水源かん養、自然環境の保全さらに市民生活に潤いと癒しを
与える保健機能が再認識されている。
○
将来の木材需要への対応が心配されることから、植林や間伐に対して補助金を奨
励するなどして山の維持を保っている。
森 林 整 備 の 促 進 の た め 、間 伐 作 業
を行う
112
山ぶどうの品種が多種化している。
稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクト:森林整備と地域材の利用促進
4 課 題 ・問 題 点
○
森林整備
① 林業従事者が不足しているため、適切な保育・間伐等、適正な管理が停滞して
いる。
② 作業路網の整備が不十分である。
○
地域材の活用
① 公共施設や畜産施設への利用が進んでいない。
② 分収林の森林整備が停滞している。
③ バイオマス資源として林地残材等の供給体制が確立されていない。
○
特用林産物
① 山ぶどうは、県内の生産状況を見ると供給過剰となっており、これに対応した
流通販売体制を確立しなければならない。
② 漆の植栽が進んでいないことから、今後、原木の不足が心配される。
○
5
その他
① 環境の保全や地球温暖化への対応など、森林の持つ公益的機能について国民の
関心や認識が高まり、長期的展望に立った林業振興が求められてきている。
② 森林の持つ生活環境保全、森林浴効果などの多面的機能に大きな期待が寄せら
れていることから、稲庭高原を中心とした森林環境教育、市民の憩いの場として
の再整備が求められており、周辺施設(キャンプ場、天台の湯等)との一体的な
利活用を推進することが課題である。
施 策 の基 本 的 な方 向
○
森林整備
① 地域牽引型経営体の育成と活用
現在、森林組合等事業体を対象に地域森林経営プラン作成などの講習会が開催さ
れ、指導者の育成が図られている。
今後はこの指導者を中心として、地域牽引型経営体が地域森林経営プランを策定
し、これを基本として森林所有者に働きかけ、地域の森林整備や安定した木材供給
を目指す。
② 森林づくり交付金活用による森林整備
上記交付金を活用し、森林の作業路網などを整備していく。
③ 高性能林業機械導入支援
間伐等の適切な森林施業の実施や林産物の搬出経費の軽減・労働力の省力化を図
るために欠かせないことから、引き続き事業を支援して行くものとし、併せて林業
事業体の育成を推進する。
○
地域材の活用
① 地域材の利用促進
振興局が地域の素材生産者と「二戸地域木材安定供給連絡会議」を設置し、的確
に需要を把握するとともに、それに基づく森林所有者への円滑な素材供給の働きか
けを実施する
○
特用林産物
① 特用林産物の生産・販売体制の確立
生産体制・販売体制が未確立なので、確立方法を検討する。
樹 木 を 成 長 さ せ る た め 、枝 打
ちを定期的に行っている
道路沿いに整備された森林
(石橋地区)
113
稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクト:森林整備と地域材の利用促進
6 これから取 り組 むべき施 策
○
○
森林整備
① 森林組合等事業体への委託施業による適正な施業の推進
森 林 所 有 者 に 対 し 林 業 施 業 の 重 要 性 に つ い て 啓 蒙 活 動( パ ン フ レ ッ ト 等 配 布 な ど )
を行い、理解を得るとともに、森林組合等事業体への委託施業により、各森林の状
況に応じた適正な施業を推進し、伐採や植林を推進する。
② 森林施業共同化重点的実施地区の設定による事業展開の推進
森林整備の必要性を啓蒙するための地域懇談会を開催し、複数の森林所有者が相
互に協力して共同管理や共同施業を実施することにより、事業経費の軽減、労働負
担の軽減、効率的・継続的で地域にあった特色ある森林整備を促進する。
③ 適切な森林施業の実施と林産物の搬出経費の軽減・労働力の省力化のための作
業路網の整備支援
高性能林業機械等導入や作業路網の整備について、
「 森 林 づ く り 交 付 金 事 業 」等 を
活用することにより支援して行く。
④ 公益林等管理の方向
ア 生態系保全森林(悠久の森)
・ 原生的な自然林等は、自然の遷移に委ねることを基本とする。
・ 人工林は、森林生態系の保全を図るため混交林を含む複層状態の森林へ誘導
す る こ と を 基 本 と す る 。( 特 別 地 域 )
イ 生活環境保全森林(ふれあいの森)
・ 生活環境保全及び風致機能の高い森林については極力伐採を控える。
・ ふれあいの場となっている森林は、利用形態に合わせた管理を行う。
ウ 県土水源保全森林(ほぜんの森)
・ 天然生林は、基本的に手を加えないこととする。
・ 有用広葉樹林、人工林は、長伐期、混交林化を指向しつつ、植栽及び伐採。
なお、伐採は、択伐又は小面積の伐採を基本とする。
エ 資源循環利用森林(循環の森)
・ 天然生林は、小面積伐採。また跡地は天然更新を基本とする。
・ 人工林は、適正な保育管理、伐採、再造林を繰り返し、適正な齢級構成を維
持する。
上記四要素に森林を区分し、それぞれに対する森林整備を推進する。
地域材の活用
① 公共施設等における地域材の活用の拡大
市も県と一緒になって公共施設等において木材利用の拡大を図り、民間部門の先
導 役 と し て の 役 割 を 果 た し て い く 。 ま た 、「 木 づ か い 推 進 運 動 ( 10 月 )」 を 中 心 に
各種イベント等で「木づかい運動」をPRし、木材利用の拡大を推進する。
② 畜舎等の建設に対し、間伐材等の活用を奨励する。
114
○
特用林産物
① 生漆・椎茸・山ぶどう等の特用林産物の生産・販売体制確立への支援
・ 漆植栽の苗木購入に対し、補助金等支援を継続する。
・ 山ぶどうの品種の統一化を進める。
・ 山ぶどうの加工業者との契約販売など、販売体制の確立や特産品開発への支
援をすることにより、流通体制の整備を構築する。
○
その他
① 木質バイオマスの利用促進
・ 木質バイオマス燃料の原料の安定確保のため、林業事業体の育成支援
・ 木質バイオマス活用施設として公共施設、農業施設へのチップボイラー、ペ
レットボイラー導入促進のための普及啓発
② 県、森林組合と連携した森林整備や森林施業の普及啓発
稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクト:森林整備と地域材の利用促進
7 関 連 する施 策 ・事 業
・
・
・
二 戸 市 森 林 整 備 計 画 (平 成 16 年 ( 平 成 18 年 変 更 ) )
馬 淵 川 上 流 地 域 森 林 計 画 (平 成 16 年 ( 平 成 18 年 変 更 )、 岩 手 県 )
二 戸 地 域 バ イ オ マ ス 利 活 用 マ ス タ ー プ ラ ン (平 成 18 年 3 月 、 岩 手 県 )
8 総 合 計 画 前 期 基 本 計 画 での位 置 づけ
1)現状と課題
本市の林業は、林業労働者の高齢化、国産材需要の低迷等で林業生産活動は停滞傾
向にあるなか、地域の林産物を持続的、安定的に供給するため、木材需要に応じた樹
種、径級の林木を育成するための適切な造林、保育および間伐を推進するとともに、
地産地消の観点から、今後需要増が見込まれる畜産施設(鶏舎・牛舎等)への地域材
利用の促進が求められています。
一方、森林の持つ生活環境保全、森林浴効果などの多面的機能に大きな期待が寄せ
られていることから、市民の森を中心とした森林環境教育、市民の憩いの場としての
再整備が求められており、周辺施設(金田一温泉・折爪岳等)との一体的な活用を推
進することが課題となっています。
2)施策の方向
本 市 の 7 割 を 占 め る 森 林 に つ い て は 、地 域 林 産 物 を 持 続 的・安 定 的 に 供 給 す る た め 、
木材需要に応じた造林、保育および除間伐を推進するとともに今後、建て替えが見込
まれる畜産施設(鶏舎・牛舎等)への地域材の利用を促進します。
また森林は、国土の保全、水源かん養、自然環境の保全さらに市民生活に潤いと癒
しを与える保健機能空間としての役割が再認識されていることから、森林資源の質的
充実と公益的機能の一層の拡充を図るため、
「 市 民 の 森 」を 中 心 と し た 森 林 教 育 の 実 施
と 市 民 の 憩 い の 場 と し て の 再 生 に 努 め る と と も に 、周 辺 施 設( 金 田 一 温 泉・折 爪 岳 等 )
との一体的な利活用を推進します。
さらに、生漆・山ぶどうをはじめとする特用林産物の生産、販売体制の確立を図る
とともに、新たな森林資源の商品化を目指します。
3)主要施策
○ 森林の整備と地域材の活用(適期伐採の促進、地域材の住宅等への活用など)
○ 市民の森の利活用と周辺施設との連携(金田一温泉・市民の森・青少年の家・折
爪岳の有機的連携による交流人口の拡大、観光資源としての充実など)
○ 特用林産物の生産・販売体制の確立(生漆・山ぶどう等の特用林産物の生産・販
売体制の確立支援)
115
稲庭・
二戸高原地域農林業振興プロジェクト:地球温暖化対策と新エネルギー・
省エネルギー対策の充実
(2)風 向 出 現 率
1 年 を 通 じ て 南 西 ∼ 南 南 西 方 位 の 風 向 出 現 率 が 約 67% と 、 風 向 が 安 定 し て い る と
言 わ れ る 風 向 出 現 率 が 約 60% の 基 準 を 満 た す 結 果 と な っ て い る 。
○ 地 球 温 暖 化 対 策 と新 エネルギー・省 エネルギー対 策 の 充 実
(風 力 発 電 の 推 進 )
風 況に 恵 ま れ た環 境 が活 か さ れ 、民 間 企 業 に よ る風 力 発 電 事 業 が 計 画 的に 進 ん で い
ま す 。ま た 、市 営に よ る風力発電施設 も整 備 され 、そ の 電力 が公共施設 に有 効 に活 用
さ れ る な ど 、地 球 環 境 へ の 貢 献 と 風 車 景 観 を 利 用 し た 観 光 振 興 に も つ な が っ て い ま す 。
(3)乱 れ 強 度 ・ 風 速 の 出 現 率
乱 れ強 度 、風 速の 出現率 とも 基 準を 充分 に 満た し て お り、 安定 し て い る と 評 価さ れ
て い る。
(4)そ の 他
風 力 発 電 施 設 建 設 に あ た り、 地 形 地 質、 資 材 搬 入 道 路 は問 題な い も の と判 断 さ れ る
が 、 変 電 所 ま で の送 電 線 工 事が 嵩 む こ と が 懸 念さ れ る 。
なお、風力発電事業化には独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構
( NEDO ) の 地 域 新 エ ネ ル ギ ー 導 入 促 進 事 業 ( 設 置 費 1/2 補 助 ) を 活 用 す る こ と で 、
採 算 性は 充 分あ る と 評 さ れ る と の 報告 が さ れ て い る。
1 将 来 の すがた
(1)風 力 エ ネ ル ギ ー
① 風 力 発 電 エ ン ジ ニ ア リ ン グ 会社 の誘 致 に よ り、 大 規 模 風 力 発 電 施 設が 設 置さ れ
て い る。
② 「 稲 庭 交 流セ ン タ ー 」周 辺 施 設 の電 力 は、 市で 建 設し た風 車 に よ る風 力 発 電 に
よ り 、電 力 の ほ と ん ど が賄 わ れ て い る 。
( 平 成 27 年 度 の 目 標 値 )
売 電に よ る売上額
市 内の 新 エ ネ ル ギ ー 導入状況 は 風力発電 の ほ か に、 公 共 施 設で は 、福 岡 小 学 校に 太
陽 光 発 電 、 市 役 所、 二 戸 地 方 振 興 局 等 に木 質 バ イ オ マ ス を利 用し た ペ レ ッ ト ス ト ー ブ
が 導 入さ れ て い る。
年 間 52,500 千 円
(2)そ の 他
農 業 用 施 設ハウス 等 への 「木 材 チ ッ プ ボ イ ラ ー 」が 普 及し 、暖 房 経 費 の削 減 が図 ら
れ 農 業 所 得 も伸 び て い る。
2 これまでの 取 り組 み
旧 浄 法 寺 町 で は「 第 三 次 浄 法 寺 町 総 合 開 発 計 画 」に お い て 、
「人 間 と自 然が と け あ っ
た ま ち、 住 む人 が健 康 で、 豊か で 、生 き が い と創 造 性 に 満ち た生 活 を営 める 」 と い う
ま ち づ く り の基 本 方 針 の も と、 後 期 計 画に お い て 風 力 発 電と 地域 エ ネ ル ギ ー 導 入の 検
討 を 進めたほか 、省 エネルギー の 普及 ・啓 発 にも 努めてきた 。
平 成 1 2 年 に は 、岩 手 県 企 業 局 が 稲 庭 高 原( 高 曲 原 )に 風 車 3 基( 事 業 費 : 7 億 円 )
を 設 置 し 稼 働 し て お り 、 市 に は 17 年 間 で 約 7,000 万 円 (約 411 万 7 千 円 / 年 )の 固
定資産税 の 収入 が見 込 まれている 。
ま た 、 平 成 15 年 11 月 か ら 1 年 を か け て の 「 風 力 発 電 フ ィ ー ル ド テ ス ト ( 風 況 精
査 )」や「 浄 法 寺 町 新 エ ネ ル ギ ー ビ ジ ョ ン 」の 策 定 、事 業 化 実 現 に 向 け て の「 浄 法 寺 町
ウ イ ン ド フ ァ ー ム 事 業 化 可 能 性 調 査 」実 施 な ど 、一 連 の 風 力 発 電 に 係 る 調 査 を 通 じ て 、
稲 庭 高 原 に お け る風 力 発 電 所 設 置 の可 能 性 を 検討 し て き た。
○ 事 業 化 可 能 性 調 査 結 果 ( 平 成 16 年 度 )
(1)平 均 風 速
稲 庭 高 原 で の 地 上 高 30m に お け る 年 平 均 風 速 は 6.6m/s で あ り 、 月 平 均 速 度 は
5.7m/s( 9 月 ) ∼ 7.6m/s( 2 月 ) と な っ て お り 、 そ の 変 動 幅 は 約 1.3 倍 と ほ ぼ 安 定
し た 風況 で あ っ た。 こ の数 値は 、 風況精査 マ ニ ュ ア ル に よ れ ば風 力 発 電 が有 望 と判 断
さ れ る 年 平 均 風 速 6.2m/s を 上 回 る 結 果 と な っ て い る 。
116
稲庭・
二戸高原地域農林業振興プロジェクト:地球温暖化対策と新エネルギー・
省エネルギー対策の充実
3 現
状
二 酸 化 炭 素 の 増 加 に 伴 う 地 球 温 暖 化 は 、人 類 の 生 存 基 盤 を 脅 か す 重 大 な 問 題 で あ り 、
こ の ま ま 温 室 効 果ガ ス の排 出が 続 いた 場合 、 気候 の変 化 、海 面の 上 昇、 自 然 環 境の 変
化 、 そ し て 人間 の居住環境 や経 済 、社 会システム へ重 大 な悪影響 が も た ら さ れ る と い
われている。
良 好な 環 境を 将来 の 世代 に引 き 継ぐため 、 環境 に関 わ る基 本 計 画 を策 定し 温 室 効 果
ガ ス の削 減 を図 る と と も に 、新 エ ネ ル ギ ー ・ 省エ ネ ル ギ ー対 策に 取 り組 み、 地 域を あ
げ て 実 質 的 な行 動を 取 る こ と が 求 め ら れ て い る。
本 市に お い て は、 二 戸 市 環 境 基 本 計 画や 地 域 新 エ ネ ル ギ ー ビ ジ ョ ンを 策定 し 、新 エ
ネルギー 導 入の 可 能 性 と導 入 方 針 を検 討してきた 。
今年度 、 風力発電事業化検討委員会 を開 催 し、 今後 の 風力発電所設置 の可 能 性に つ
い て 、検 討 を進 めているところである 。
稲 庭 高 原で 3基 の 風力発電 が 稼
働している
(1)風 力 エ ネ ル ギ ー
① 浄 法 寺 地 域に お け る 風力 エ ネ ル ギ ー につい
て は 、導 入 の可 能 性 を 具体 す る た め「 ウ イ ン
ド フ ァ ー ム 事 業 化 可 能 性 調 査」 を 実施 し、 稲
庭 高 原 や 筍 (た け の こ )平 (だ い ら )牧 野 で の 有
望 性 が明 らかである 。
② 風力発電 の売電先 と見 込まれる 東北電力
( 株 )の 募集要件等 ※ 1の 条件 か ら、 風 力 発
電 施 設 建 設 に係 る経 費 は約 2倍 に な る こ と や 、
蓄 電 池の 耐 用 年 数が 明 ら か に な っ て い な い な
ど の 問題 があり 、民 間 企 業 等に よ る事 業 参 入
が 控 え ら れ る状 況が 続 いている 。
③ 平 成 12 年 よ り 稲 庭 高 原 ( 高 曲 原 ) に お い
て 、岩 手 県 企 業 局 の 風 車 が 3 基 稼 働 中 で あ る 。
( 稼 働 状 況 は資 料1 )
※1
東 北 電 力 で は 、 2,000kW 以 上 の 大 規 模 風
力 に つ い て は 、「 出 力 変 動 緩 和 制 御 」( 蓄 電 池
等 の 出力制御 により 出力変動 を 緩和 するも
の ) の併 設 を義 務づ け て い る。
(2)そ の 他
① 太 陽 光 発 電、 ペ レ ッ ト ス ト ー ブ やチ ッ プ ボ
イ ラ ーの 設 置 費 用が 高 額と な っ て い る 。
② 地 球 温 暖 化 問 題 が注 目さ れ て き て い る 。
117
稲庭・
二戸高原地域農林業振興プロジェクト:地球温暖化対策と新エネルギー・
省エネルギー対策の充実
4 課 題 ・問 題 点
6 これから取 り組 むべき施 策
(1 )風 力 エ ネ ル ギ ー
風 力に よ る発 電は 、 風な ど の 自 然 条 件に よ り出 力が 大 きく 変動 す る た め、 蓄 電 池 の
設 置 が義 務 づ け ら れ て い る 。こ の 蓄 電 池は 現 在、 風 車 建 設 費 と同 額 程 度 の高 額 な経 費
を 必 要とするために 、 設備経費 が 嵩む 状況 に な っ て い る 。
ま た、 現 状の 安価 な 売電単価 で は大 幅な 販 売 利 益が 望 め な い こ と な ど か ら 、 事 業 化
に 向 け て の 様々 な課 題 や障 害が 生 じている 。
①
民 間 企 業 に も 評 価 さ れ て い る 「 稲 庭 高 原 」、「 筍 平 牧 野 」 へ の 企 業 誘 致 促 進
風 力 発 電 施 設 誘 致 は 、消 耗 品 等 の保 管 場 所 設 置 やメ ン テ ナ ン ス の 直 営 化に 結 び つ く
ほ か 、継 続 的な 雇 用 創 出と 地 域 産 業の 活 性 化 が期 待さ れ る こ と か ら 、市 の事 業 参 画 も
含 め て積 極 的な 事業 の 推進 を図 っ て い く こ と が重 要に な っ て い る 。
②
市 営 風 力 発 電 に よ る 「 天 台 の 湯 」「 パ ー ク ゴ ル フ 場 」 等 へ の 活 用 の 検 討
電 力を 風 車による 発 電で 賄うことで 、環境共生 のまちづくりを 進 めるため 、 市 直 営
に よ る風力発電施設 の 整備 を検 討 する 。
(2)そ の 他
チ ッ プ ボ イ ラ ーの 導 入 価 格が 高 額で あ り 、 農 業 用ハ ウ ス等 の暖 房 用と し て 普 及し て
い な い。
③
市 民 風 車フ ァ ン ド 設置 に よ る 風 力 発 電 施 設 建 設の 検 討
市 民か ら 出資 を募 り 「市 民 風 車 ファンド 」 を立 ち上 げ 、市民風力発電施設 の 建設 が
全 国 的に 展 開さ れ て お り、 当市 に お い て も 可能性 を検 討 する 。
5 基 本 となる施 策 の 方 向
○
○
○
風力発電事業参入企業 の誘致促進
風力発電事業化検討委員会 の 立ち 上げ
市 営 風 力 発 電 施 設 の設 置 検 討
④
風 力 発 電 参 入 希 望 者に よ る 風 況 調 査へ の 協力 の継 続
民 間 企 業 等の 誘致 に 向け 引き 続 き、 風 力 発 電 参 入 希 望 業 者 に よ る 風況調査 へ の協 力
等 を 継続 し て い く。
⑤
その 他
石 油に 替 わる 燃料 と し て の間 伐 材・ 製 材 所 くず ・家 畜 の糞 尿 等 を 原料 と す る バ イ オ
マ ス 発電 プ ラ ン トか ら の熱 回 収 と 熱 供 給、 チ ッ プ ボ イ ラ ー導 入に よ る施 設 暖 房 を活 用
し た 農 産 物 の生 産 等 の 可 能 性を 検 討す る。
※ 事 業 実 施 の た め に 活 用 可 能と 考 え ら れ る 補 助 事 業( 風 力、 太 陽 光)
① 地 域 新エ ネ ル ギ ー導 入 促 進 対 策 費 補 助 金( 2分 の 1)
( 独 立 行 政 法 人 新 エ ネ ル ギ ー ・ 産 業 技 術 総 合 開 発 機 構 ( NEDO ))
② 東 北 グ リ ー ン 電 力 基 金 ( 2 分 の 1 、 1 kw5 0 万 円 × 2 0 kw の 低 い 額 )
( 財 団 法 人 東 北 産 業 活 性 化セ ン タ ー )
③ 省 エ ネ ル ギ ー 施 設 園 芸 設 備 導 入 モ デ ル 事 業 費 補 助 金( 2分 の1 )
( 農 林 水 産 省 農 業 生 産 地 球 温 暖 化 総 合 対 策 事 業)
日本短角種が 放牧さ れ る高曲原 で風 力
テ ス トが 行 われている
118
稲庭・
二戸高原地域農林業振興プロジェクト:地球温暖化対策と新エネルギー・
省エネルギー対策の充実
7 関 連 する施 策 ・事 業
・
・
・
・
参 考 資 料
二 戸 市 新 エ ネ ル ギ ー ビ ジ ョ ン (平 成 13 年 3 月 、 旧 二 戸 市 )
浄 法 寺 町 新 エ ネ ル ギ ー ビ ジ ョ ン (平 成 15 年 3 月 、 旧 浄 法 寺 町 )
ウ イ ン ド フ ァ ー ム 事 業 化 可 能 性 調 査 報 告 書 (平 成 17 年 2 月 、 旧 浄 法 寺 町 )
二 戸 市 環 境 基 本 計 画 ( 平 成 20 年 3 月 策 定 )
○ 天 台の 湯 における 風 力 発 電の 可 能 性
1.目 的
(1)天 台 の湯 及 びパークゴルフ場 施 設 へ の風 力 発 電 の導 入 検 討
(2)東 北 電 力 (株 )への余 剰 電 力 売 電
8 総 合 計 画 前 期 基 本 計 画での位 置 づけ
2.検 討 条 件
(1)風 力 発 電 機
(2)設 置 位 置
(3)風 速
(4)その他
1 ) 現状 と 課題
現 代 社 会 に生 きる 私 た ち は、 さ ま ざ ま な 環 境 問 題を 抱 え て い ま す 。中 でも 地 球 温 暖
化 問 題は 、 その 予想 される 影響 の 大きさや 深 刻さ か ら み て、 人類 の 生存 に関 わ る最 も
重 要 な課 題 の一 つ と な っ て い ま す 。
現 在 、地 球 全 体 で 発 生 し て い る 平 均 気 温 の 上 昇 や こ れ に 伴 う 海 面 水 位 の 上 昇 な ど は 、
地 球 温 暖 化 の影 響が 原 因の 一つ と 指摘 されており 今後 、 異常気象 の 増加 や生 態 系へ の
悪 影 響の 拡 大などが 懸 念されています 。
温 暖 化 の 主な 原因 は 、社 会 活 動 に よ り排 出 さ れ る温 室 効 果 ガス の 大 気 中 濃 度 の上 昇
で あ り、 こ の解 決に は 温 室 効 果 ガ スの 排 出 量 を削 減し 、 濃度 を一 定 レ ベ ルで 安 定 化 さ
せ る こ と が 必要 です 。
一 方、 天 然 資 源が 少 ないわが 国 に お い て は 、石 油 資 源 の節 約、 石 油 資 源に 左 右さ れ
な い エ ネ ル ギ ー 効率 の 向上 が必 要 で あ り、 温 室 効 果ガ ス な ど を排 出 し な いク リ ー ン な
エ ネ ル ギ ー の導 入 促 進 が求 められています 。
本 市に お い て も、 良 好な 環境 を 将来 の世 代 に引 き継 ぐため 、市 民 ・企 業・ 行 政が 連
携 し て温 室 効 果 ガス の 削減 を図 る と と も に 、 新た なエ ネ ル ギ ー対 策 と し て、 本 市の 地
域 特 性や エ ネ ル ギ ー の 需給状況 、 新エ ネ ル ギ ーの 賦 存 状 況 等 の調 査 を基 に し た 新エ ネ
ル ギ ー・ 省 エネルギー 対策 に取 り 組みます 。
ENERCON 社 製 E82 2000kW 1基
遠野牧野
ウインドファーム事 業 化 可 能 性 調 査 (平 成 16 年 度 結 果 )
風 力 発 電 設 備 の発 電 する電 力 量 の経 済 性 の検 討
3.結 果
(1)「天 台 の湯 」の消 費 電 力 削 減 効 果
平 成 18 年 度 使 用 電 力 量
475,862kWh/年 (H18 7,425 千 円 )
E82 風 力 発 電 機 予 想 発 電 量
6,308,585kWh/年
自家消費後余剰電力量
5,832,723kWh/年
(2)自 家 消 費 後 余 剰 電 力 売 電 の経 済 性
建設資金
670,000 千 円
年間売電収入
52,500 千 円
平均年間支出
47,100 千 円
17 年 間 収 益 (税 引 前 )
91,000 千 円
17 年 後 売 電 収 入 利 益 率
10.2 %
(3)活 用 助 成 制 度
NEDO の地 域 新 エネルギー導 入 促 進 事 業 (設 置 費 1/2 補 助 )
2)主要施策
○ 温 室 効 果 ガス の 排 出 量 削 減 (公 共 施 設 の排 出 削 減 、民 間 事 業 所が 実施 す る新 エ
ネ ル ギ ー の 利 活 用の 推 進な ど)
○ 新 エ ネ ル ギ ー ビ ジ ョ ン策 定 お よ び事 業 実 施 (風 力 発 電 事 業 化 検 討 委 員 会 開 催 、
風 力 発 電 参 入 希 望 者 に よ る 風 況 調 査へ の協 力 、太 陽エ ネ ル ギ ーの 発 電 利 用 促 進 な
ど)
4.まとめ
(1) 風 力 発 電 導 入 に伴 う経 済 性 では 、「天 台 の湯 」及 び 周 辺 施 設 (パークゴルフ場 )での消 費
電 力 分 の大 半 を賄 い、且 つ 、余 剰 電 力 での売 電 収 入 は、17年 間 で 91,000 千 円 の利 益 が生
まれることから、合 計 で約 150,000 千 円 程 度の効 果 が出 るものと予 想 される。
(2) 本 地 点 での風 力 発 電 を導 入 することは 、立 地 条 件 も良 いことから経 済 効 果 は 大 きいと思 わ
れる。
※ 風 力 発 電 機 設 置 には、NEDO の地 域 新 エネルギー導 入 促 進 事 業 により、1/ 2の助 成 を見
込 んでいる。
建 設 単 価 315 千 円 / kW × 2,000kW = 630,000 千 円
送 電 等 工 事 費 4㎞
= 40,000 千 円
計
670,000 千 円
− 消費税分
≒ 638,000 千 円
補 助 金 638,000 千 円
×
1/2
= 319,000 千 円
119
稲庭・
二戸高原地域農林業振興プロジェクト:地球温暖化対策と新エネルギー・
省エネルギー対策の充実
5.風 力 発 電 導 入 の課 題
東 北 電 力 における風 力 発 電 の募 集 は年 1回 行 われているが「大 規 模 風 力 (出 力 2,000kW以
上 )の募 集 量 は、70,000kW」、「中 規 模 風 力(出 力 2,000kW未 満 )の募 集 量 は、10,000kW」と
募 集 枠 が少 ないことから、毎 年 10倍 超 の申 し込 みがあり、抽 選 での決 定 方 式 であることから、思
うような導 入 促 進 が難 しい状 況 となっている。
また、着 手 する前 に「環 境 調 査 」に1年 間 の期 間 を要 するとともに、調 査 経 費 も必 要 なことから、
申 し込 み 抽 選 に当 選 しない場 合 には 事 業 着 手 が進 められないため、完 成 までの費 用 の積 算 が
困 難 となっている。
※ 抽 選 当 選 後 、5年 以 内 での建 設 期 間 となっている。
当 選 後 の ス ケ ジ ュ ー ル( 資料 2 )
資料
1
平成19年度 稲庭高原風力発電所月別供給電力量
単位 (kWh)
4月
5月
目標電力量
526,760
266,877
265,802
211,613
232,213
231,311
427,889
474,435
618,104
544,291
目標電力量(累計)
526,760
793,637
1,059,439
1,271,052
1,503,265
1,734,576
2,162,465
2,636,900
3,255,004
3,799,295
実績電力量
277,060
432,630
203,930
208,080
254,030
311,200
323,330
296,220
342,610
525,970
411,070
実績電力量(累計)
277,060
709,690
913,620
1,121,700
1,375,730
1,686,930
2,010,260
2,306,480
2,649,090
3,175,060
3,586,130
3,586,130
52.6
162.1
76.7
98.3
109.4
134.5
75.6
62.4
55.4
96.6
129.8
0.0
75.7
計画値(m/秒)
7.9
6.8
6.0
5.2
5.6
5.7
6.7
8.0
8.9
8.3
8.1
8.7
7.2
実績値(m/秒)
6.2
7.9
5.4
5.2
5.8
6.4
6.5
7.8
6.7
8.0
8.0
達成率(%)
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
1月
2月
3月
年度計
316,596
621,462
4,737,353
4,115,891
4,737,353
3,586,130
-
(参考)平均風速
6.2
平成19年度 稲庭高原風力発電供給電力量
千kWh
千kWh
1,200
6,000
1,000
5,000
800
棒
グ
ラ
フ
600
︵
︵
電
力
量
累
計
4,000
電
力
量
3,000
︶
折
線
グ
ラ
2,000
フ
︶
400
200
1,000
0
0
4月
5月
6月
7月
8月
目標電力量
9月
実績電力量
10月
11月
目標累計
12月
実績累計
120
1月
2月
3月
稲庭・
二戸高原地域農林業振興プロジェクト:地球温暖化対策と新エネルギー・
省エネルギー対策の充実
資料
2
風力発電施設建設スケジュール案
初年度
1
2
3
4
5
6
7
2年度
8
9 10 11 12
1
2
3
4
5
6
7
3年度
8
9 10 11 12
・事業会社発足
・環境アセスメント
動植物調査
電波障害調査
騒音調査
景観調査
その他
・基本設計
・事業申請
・電力会社入札
・実施設計
・機器発注
・建設工事
・発電事業開始
121
1
2
3
4
5
6
7
8
9 10 11 12
稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクト:天台の湯周辺環境整備
2 これまでの取 り組 み
○ 天 台 の湯 周 辺 整 備
(パークゴル フ場 整 備 )
旧浄法寺町総合発展計画において、稲庭岳周辺の雄大な自然を資源として活用する
ことで、山村と都市との交流、スポーツ・イベントを楽しみ、くつろいだ時間を過ご
せるような、快適性を提供できる山村滞在型の総合保養的施設エリアを構築する計画
で 進 め ら れ た 、「 パ ス ト ラ ー レ 稲 庭 プ ロ ジ ェ ク ト 」( 稲 庭 山 麓 ふ る さ と 交 流 村 構 想 ) の
核施設として稲庭交流センター「天台の湯」が整備された。
現在まで滞在型森林健康促進事業などにより、森林公園(キャンプ場)や交流セン
ターに隣接する公園の整備、農村公園などの整備を進め、観光客の誘致を図ってきた
ところである。
稲庭岳キャンプ場やパークゴルフ場など周辺の施設整備・拡充が進み、観光客、ス
ポーツ客、宿泊客が天台の湯周辺に集まり、総合保養的エリアが構築されています。
1 将 来 のすがた
(1)稲 庭 高 原
① 稲 庭 岳 の 豊 か な 自 然 や 恵 ま れ た 地 域 資 源 を 活 か し 、自 然 を 眺 め る だ け で は な く 、
そこを訪れた人が学び、遊び、ふれあいを通じて農業や林業の体験ができる身近
な森林公園・緑地等の施設が整備され、人々がくつろいでいる。
② 春は、山菜採りや野草の観賞、夏は、涼を求め登山やアウトドア、秋には、キ
ノコ取りや紅葉狩りを楽しむなどで訪れる方々が、大自然を満喫している。
稲庭交流施設年度別利用実績
項
利用
(2)パ ー ク ゴ ル フ 場 【 36 ホ ー ル ( 約 50,000 ㎡ )】
① 町内会の親睦、職場や老人クラブ等いろいろな大会が開かれ、人々のふれあい
などコミュニケーションが図られ、コースからは笑い声が絶えない。
② よく歩くということから運動不足の解消、医療費の抑制、リハビリの効果につ
ながり、心身の健康増進が図られている。
③ 施設では、各地からのパークゴルフツアーにより、市町村の垣根を越えた愛好
者の往来があることから、地域経済に幅広い効果があらわれている。
④ 冬期は、スノーランドが整備され、雪上では、スノーモビル、スキーやそり遊
びが行われ、親子のふれあいが図られており、子供たちの歓声が上がっている。
者数
運営
経費
・ 天 台 の湯 利 用 者 数
宿 泊 者 数 (人 )
3,857
60,451
平 成 21 年 度
4,000
61,000
平 成 25 年 度
4,500
65,000
平 成 28 年 度
5,000
70,000
・ パークゴル フ場 利 用 者 数 (平 成 28 年 度 )
14年 度
15年 度
16年 度
17年 度
18年 度
40,000
50,849
42,542
58,036
56,108
60,838
60,451
宿泊者
4,000
3,504
4,089
3,570
3,723
3,498
3,857
合 計
44,000
54,353
46,631
61,606
59,831
64,336
64,308
収 入
112,400
123,856
132,838
132,463
134,087
130,515
139,788
支 出
111,700
119,252
123,748
128,893
134,297
130,977
126,685
700
4,604
9,090
3,570
△210
△462
13,103
(ソフト事業)
○稲庭高原まつり(稲庭岳山開き。5月最終週の日曜日)
・ 登山マラソンを開催しているものの、参加者が低調であり集客力に欠ける。
○稲庭スノーフェスティバル(2月)
・ スノーモビル試乗体験・そり大会は、好評ではあるが、盛り上がりに欠ける。
○そば打ち体験の受け入れ
・ PR不足
○釣り堀体験
・ 土日の利用者が若干見受けられる。
○スノーモビルの貸し出し
・ 台数も少ないことから、利用実績がない。
入 浴 者 数 (人 )
平 成 18 年 度
13年 度
(ハード事業)
○滞在型森林健康促進事業
・ 森林公園等整備(多目的広場、遊歩道、親水公園、遊具設置)
・ 稲庭キャンプ場整備(登山道、炊事場、展望施設、広場)
○中山間地域総合整備事業
・ 農村公園整備
○民間企業誘致によるスキー場整備も計画したが、バブル崩壊や経費が膨大になるた
め計画を断念した経緯がある。
○目標値
度
計画数
入浴者
収支計
(3)公 園 等 の 整 備
① 四季折々の草花が咲き誇り、散策することにより心が癒される空間がある
② 釣り堀では、子供たちの歓声が上がっている
③ 収穫した山菜・キノコや魚を調理しながら自然の恵みの味をみんなで楽しんで
いる
年
目
(単 位 :人 ・千 円 )
年 間 30 ,00 0 人
122
稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクト:天台の湯周辺環境整備
3 現
○
春には稲庭岳山開きに併せた「稲庭高原まつり」や、冬期間は積雪も多いことか
ら、雪を活かした「稲庭スノーフェスティバル」を開催している。
○ 近年は、全国各地で健康増進を目的に良好な自然環境の中での野外活動として
パ ー ク ゴ ル フ が 盛 ん に な っ て き て お り 、ま た 、市 民 か ら の 強 い 要 望 も 出 さ れ て い る 。
○ 「健康で心通い合う住みよい地域社会の形成」をめざす一環として、パークゴル
フ場を中心に市民の憩いの場を設置する計画が進められている。
状
○
天台の湯より少し登ったところに、真夏でも手を切るような冷たい清水が大量に
湧 き 出 て い る 「 岩 誦 坊 ( が ん し ょ う ぼ う )」 が あ り 、 さ ら に 登 っ て い く と 肉 用 牛 の 放
牧地や稲庭キャンプ場がある。湧き水を汲む人、牛の放牧を見学する人、また、春
や秋には、山菜を摘む人や山野草の観賞を楽しむ人々で賑わう。
○ 稲 庭 岳 (標 高 1,078m )に 、岩 手 県 企 業 局 が 建 設 し た 風 力 発 電 3 基 が 稼 働 し て い る 。
○ 平 成 13 年 5 月 に 開 業 し た 稲 庭 交 流 セ ン タ ー 「 天 台 の 湯 」 の 利 用 客 は 年 間 約 6 万
4千人で、計画数(4万4千人)を大幅に上回っているものの、宿泊者数は約3千
8百人と、計画数(4千人)を下回っている。
○ 施 設 運 営 を 受 託 し て い る 二 戸 市 ふ る さ と 振 興 株 式 会 社 が 、 平 成 19 年 に 市 内 2 カ
所 目 と な る 濁 酒 の 製 造 免 許 を 取 得 し 、利 用 客 に「 ど ぶ ろ く 」を 提 供 で き る よ う に な っ
た。
○ 天台の湯は、入浴者が大部分で営業利益の獲得には結びついていない。
大自然のなかを爽快にすべる。
子供達もおおはしゃぎ
稲庭高原まつりの目玉である
10km マ ラ ソ ン
123
稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクト:天台の湯周辺環境整備
4 課 題 ・問 題 点
5
(1)稲 庭 岳 キ ャ ン プ 場
① 森林の公益的機能の維持増進や、稲庭岳のレクリエーション利用、森林の多目
的な利用の促進が不十分である。
② キャンプ場の飲用水は夏に不足していることから、水の確保と、トイレの維持
管理方法を検討する必要がある。
○
○
○
施 策 の基 本 的 な方 向
稲庭キャンプ場施設等の充実
パ ー ク ゴ ル フ 場 整 備 事 業 ( 36 ホ ー ル )
稲庭交流センター交流室等増設(交流室
100 畳 )
(2)稲 庭 交 流 セ ン タ ー
① 既存の公園等の有効活用が必要。
② 交流室が狭く、大人数の団体や複数の団体の受入ができない。営業利益の向上
には、宿泊客や飲食利用客を増やすことが不可欠だが、交流室などの受け入れ施
設が少ないため、施設を整備する必要がある。
③ 交流施設や隣接地は、農林水産省の補助事業により整備したものであり、容易
に建物を増設することは難しい。
④ 瀬戸内寂聴師の「法話」の開催日数の減により観光客が減少した。
⑤ イベントが集客力に欠けていることからイベント内容の改善が求められている。
(3)パ ー ク ゴ ル フ 場
① 稲庭交流センター「天台の湯」周辺は優良農地であるため、公園等の整備につ
いて地権者の理解や協力を頂き、用地確保を進めなければならない。
② 隣接する稲庭交流センター「天台の湯」と「パークゴルフ場」の管理運営は一
体的な管理運営を行うことが理想であり、二戸市ふるさと振興株式会社を指定管
理者の候補とし、パークゴルフ愛好者団体またはNP0等の協力体制の確立を図
る必要がある。
(4)公 園 等 の 整 備
① 季節に応じた草花の手入れができていない。
② 釣り堀の利用者数が伸び悩む。
潜在的な地域資源を持っている
天台の湯とその周辺
124
稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクト:天台の湯周辺環境整備
(5)情 報 発 信
① 稲庭岳の魅力やパークゴルフ場、交流センターの情報を「道の駅」で発信する
ことにより、観光客の集客を進める。
6 これから取 り組 むべき施 策
大きな地域資源となっている稲庭岳を利用し、キノコ園の開設や、炭焼き体験施設
の設置などにより楽しくレクリエーション活動ができるような環境づくりや、インス
トラクターの養成、さらには都市部からの観光客を招いて農林業等も体験できるグ
リーンツーリズムなどの受入体制を整備することにより交流人口の増加を図り、宿泊
客の増員に努める。
周辺整備を進め、
「 道 の 駅 」の 情 報 コ ー ナ ー を 利 用 し て 、稲 庭 高 原 の す ば ら し い 景 観
や 「 岩 誦 坊 」 そ れ に 「 天 台 の 湯 」 を 中 心 と し た 「 農 村 公 園 」、「 パ ー ク ゴ ル フ 場 」 な ど
の情報を発信することで、観光客の集客を図る。
・
・
(1)稲 庭 キ ャ ン プ 場
① ブナ林を活用した新登山ルートの開設検討
キャンプ場に隣接する国有林には、ブナ原生林が残されており、この貴重なブナ
原生林を活用することで、稲庭岳の魅力は倍増するものと考えられることから、新
登山ルートを設置することにより観光客の増大が期待される。
② 水源確保のための調査と、水洗トイレ等の検討
夏場には飲料水が不足していることから、他水源地からの補給が必要であり、早
急に調査を進め飲料水の確保を進める。
また、トイレについては維持費が嵩むことから、おがくずを利用して糞尿を処
理するバイオトイレ等の検討が必要である。
(2)パ ー ク ゴ ル フ 場
① パークゴルフ愛好者団体などとの協働による施設運営方法の検討
愛好者団体と他施設の視察などを実施し、ゴルフコース設定や施設運営について
意見をいただきながら、協働での施設運営方法の構築を推進することで、健全な運
営を目指す。
② 全国的なパークゴルフ大会の誘致や各種大会の開催などにより、入込客の増大
を図る。
(3)稲 庭 交 流 セ ン タ ー
① 稲庭交流センター増築の検討
パークゴルフ場開業に伴い飲食客等の増加が見込まれることから、交流室や食材
供給室が手狭であり、増築を図るものとする。
② グリーンツーリズムなどによる交流人口の増加
グリーンツーリズムなどにより訪れる観光客の宿泊場所・休憩場所としての活用
を進め、地域との交流の核施設と位置付けていく。
(4)公 園 等 の 整 備
① 公園内に四季折々の花が楽しめるような植栽の実施
② 農村公園の有効活用のため、果樹等の植樹により収穫などを楽しめるように施
設の充実を図る。
125
パークゴルフ場整備事業(資料1)
稲 庭 交 流 セ ン タ ー 「 天 台 の 湯 」 増 築 事 業 ( 平 成 22 年 度 計 画 )
稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクト:天台の湯周辺環境整備
7 関 連 する施 策 ・事 業
・
・
・
・
参 考 資 料
二 戸 市 新 エ ネ ル ギ ー ビ ジ ョ ン (平 成 13 年 3 月 、 旧 二 戸 市 )
浄 法 寺 町 新 エ ネ ル ギ ー ビ ジ ョ ン (平 成 15 年 3 月 、 旧 浄 法 寺 町 )
ウ イ ン ド フ ァ ー ム 事 業 化 可 能 性 調 査 報 告 書 (平 成 17 年 2 月 、 旧 浄 法 寺 町 )
二 戸 市 環 境 基 本 計 画 ( 平 成 20 年 3 月 策 定 予 定 )
稲庭交流センター「天台の湯」周辺整備(市営パークゴルフ場)計画概要(案)
開 発 計 画 の基 本 方 向
稲 庭 山 麓 ふるさと交 流 村 の開 発 計 画 の基 本 的 な考 え方 は、稲 庭 岳 周 辺 の雄 大 な自 然 を資
源 と し て活 用 すること で、山 村 と 都 市 と の交 流 、市 民 の休 養 など を 基 本 に快 適 性 を 提 供 で きる山
村 滞 在 型 の総 合 保 養 的 施 設 エ リアを構 築 する計 画 で ある。
このため、現 在 まで滞 在 型 森 林 健 康 促 進 事 業 等 により、森 林 公 園 や宿 泊 研 修 施 設 ・入 浴 施
設 に隣 接 する公 園 の整 備 、農 村 公 園 など の整 備 を 図 っ てきたと ころで ある。
し かし 、稲 庭 交 流 セ ン ター「天 台 の 湯 」の 入 り 込 み客 が 頭 打 ち の状 況 にあ ること か ら、 交 流 人 口
の増 大 を 図 る一 環 と し て「パーク ゴルフ 場 」を 設 置 すること で 、 利 用 者 の増 加 を 図 ろう と す るも ので
ある。
パークゴルフは、全 国 各 地 で健 康 増 進 を目 的 に良 好 な自 然 環 境 の中 での野 外 活 動 として盛
ん に なっ てき てお り、 また 、 市 民 か らの 強 い 要 望 も 出 され てい る状 況 に あ る こと か ら 、「 健 康 で 心 通
い 合 う 住 みよい 地 域 社 会 の形 成 」を め ざす一 環 と し て、パーク ゴルフ場 を 中 心 に市 民 の憩 い の場
と し ての花 の公 園 等 を設 置 する計 画 と する。
8 総 合 計 画 前 期 基 本 計 画 での位 置 づけ
1)施策の方向
稲庭岳の豊かな自然や恵まれた地域資源を活かした癒しの空間を創造するため、自
然を眺めるだけではなく、そこを訪れた人が学び、遊び、ふれあいを通じて農業や林
業の体験ができる身近な森林公園・緑地等の施設整備を推進します。
また、多彩なプログラムを提供することで、生涯の趣味づくりに役立てられるよう
努めます。
2)主要施策
○ 森林の公益的機能の維持増進(稲庭岳のレクリエーション利用、森林の多目的な
利用の促進など)
○ 公園等の整備(市民の憩いの広場・緑地の整備検討)
○ 交流施設の充実(グリーンツーリズムや地域交流の推進、稲庭交流センターの充
実など)
Ⅰ.場 所 と概 要
1.場
所
二戸市浄法寺町野黒沢地内
当 計 画 地 は 、 浄 法 寺 地 域 西 部 に ある 稲 庭 岳 よ り流 れ 出 る 多 々 良 沢 上 流 部 に 位 置 し 、町 中 心
部 から車 で 約 10~15分 程 度 に位 置 する、稲 庭 交 流 セ ンター「天 台 の湯 」に隣 接 し てい る。
4)関連主要施策
○ スポーツ施設の整備・充実(新施設整備、既存施設整備など)
2.概
要
・パーク ゴルフ 場
・花 の公 園
4コース・36ホール(公 認 コース)と する。
全 国 規 模 の大 会 を 開 催 するため には、最 低 36ホール必 要
ク ラブハウ ス(管 理 棟 )
1棟
四 季 折 々の花 や、山 野 草 等 の観 察 園 を 整 備 する。
3.計 画 地 周 辺 の特 徴
・隣 接 する稲 庭 交 流 センターの目 の前 には既 に森 林 コミュニティ整 備 事 業 により森 林 公 園 が
整 備 され ており、四 阿 や展 望 台 、遊 具 など が整 備 され てい る。
・周 辺 は畑 や牧 草 地 など が広 がり、のど かでゆっ たりとし た牧 歌 的 な雰 囲 気 で ある。
126
稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクト:天台の湯周辺環境整備
Ⅱ.施 設 計 画 地 の特 性 と整 備 の考 え方
1. 特 性
① 稲 庭 交 流 施 設 「天 台 の湯 」が隣 接 し ており、相 乗 効 果 が期 待 で きる。
② 市 道 に張 り付 い ているため 、アクセ スが容 易 である。
③ 自 然 豊 かな稲 庭 岳 をはじ めと する観 光 資 源 が点 在 し てい る。
④ 市 民 のレ ク リエ ーションの場 と し て活 用 が図 れる。
Ⅳ.開 発 運 営 手 法
開 発 は市 で 行 う
運 営 は、二 戸 市 ふるさと 振 興 (株 )へ委 託 予 定
Ⅴ.開 発 期 間
工
期 平 成 20年 度 ~ 平 成 22年 度
オ ープン 第 1期 18ホール 平 成 21年 10月 予 定
第 2期 18ホール 平 成 23年 5月 予 定
2. 整 備 方 針
① 稲 庭 交 流 施 設 「天 台 の湯 」と 連 携 で きる一 体 的 な施 設 づくり
② 周 辺 の活 動 的 レ ク リエーション資 源 と 対 応 した施 設 づくり
③ 地 域 と のコミュニ ケーションの場 と し ての施 設 づくり
④ 現 況 の自 然 を で きる限 り保 全 ・活 用 し た施 設 づくり
3. パーク ゴルフ 場 の検 討
・現 在 、 県 北 ( 軽 米 町 や洋 野 町 など が中 心 )で 盛 ん にパーク ゴ ルフ が行 わ れ てい る。ま た、 競 技
人 口 も 年 々増 加 し ている。(2006年 現 在 100万 人 )
・パーク ゴルフ は「世 代 や年 齢 または地 域 など の隔 たりが無 く、誰 もが手 軽 に楽 し め
交 流 で きる」と い う 性 格 がこれ からの社 会 条 件 に合 致 し てい る。
・地 形 条 件 にあまり左 右 され ず、自 由 なレ イアウ トが行 え る。
・県 内 陸 北 部 における拠 点 規 模 の施 設 を作 りスケールメリッ トによる施 設 アピ ールも ねらう。
・「天 台 の湯 」と セッ トで の P R が可 能 で あり、双 方 の集 客 効 果 が期 待 で きる。
4.パーク ゴルフ 場 の必 要 性
パーク ゴルフ 場 は全 国 に 1,000 カ所 を 超 え るコースがあり、親 、子 、孫 の3世 代 が楽 しみながら
交 流 できるコミュニティースポーツとして注 目 されており、愛 好 者 数 は100万 人 を超 えていると言
わ れ てい る。
美 し く柔 らかな芝 生 の上 で 伸 び伸 びと プレ イ で きるため 、病 院 や介 護 施 設 で リハビリ健 康 回 復 ・
促 進 の 一 環 と し てパー ク ゴルフ を 採 用 する ケ ースも 多 く見 受 け られ 、 精 神 面 も 含 め た健 康 効 果 が
益 々注 目 を 集 めてい る。
県 北 においても中 高 年 層 を中 心 に人 気 が高 まっており、子 供 から高 齢 者 まで気 軽 に楽 しめる
こと や、健 康 で 生 き生 きと し た生 活 を 送 るためにも 最 適 なスポーツと して今 後 さらに愛 好 者 が 増 加
するも のと 予 想 され る。
しかし、二 戸 市 内 にはパークゴルフ場 が無 く、このままだと愛 好 者 は県 内 外 に出 かけなければ
ならなく、市 民 に不 便 や負 担 を かけさせることになる。
それらを解 決 するためにパークゴルフ場 を設 置 しようとするものであるが、市 民 に限 らず県 内 外
か ら の 利 用 者 も 確 保 する た め 、周 辺 環 境 に優 れ た 本 エ リ アに 魅 力 的 な 施 設 を 整 備 する こ と と し 、
併 せて大 規 模 な大 会 も開 催 で きるよう 公 認 コースを 取 得 で きる施 設 と する。
Ⅲ.施 設 配 置 計 画 図
別 紙 図 面 のと おり
127
稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクト:天台の湯周辺環境整備
パークゴルフ場コース配置イメージ
1
2
3
4
5
6
7
8
9
計
Aコース
55
40
50
30
40
50
35
60
80
440
1
2
3
4
5
6
7
8
9
計
Cコース
60
45
65
35
50
100
40
50
45
490
m
m
m
m
m
m
m
m
m
m
m
m
m
m
m
m
m
m
m
m
1
2
3
4
5
6
7
8
9
計
Bコース
50
95
55
35
50
30
40
60
35
450
m
m
m
m
m
m
m
m
m
m
1
2
3
4
5
6
7
8
9
計
Dコース
75
50
35
95
30
65
25
45
60
480
m
m
m
m
m
m
m
m
m
m
二戸市営「天台の湯パークゴルフ場」整備計画スケジュール表
平成20年
用地購入
地形測量
園地実施設計
第1期工事(18ホール)
パークゴルフ場工事(造成)
第1期工事(18ホール)
芝張り及び園路整備
建築実施設計
クラブハウス建設
第1期工事18ホール開業
第2期工事(18ホール)
パークゴルフ場工事(造成)
第2期工事(18ホール)
芝張り及び園路整備
第2期工事18ホール開業
128
平成21年
平成22年
平成23年
平成24年
稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクト:市民との協働で磨き上げる地域観光資源
2 これまでの取 り組 み
○ 市 民 との協 働 で磨 き上 げる地 域 観 光 資 源
(グリーン・ツーリズム の推 進 )
○
門崎地域
盛岡市月が丘町内会との交流は定着したことから、今後は他の地区との交流も検討
していく方針である。
農業体験、地域の伝統食、農村景観や地域の資源をベースにグリーン・ツーリズム
が推進され、農家民宿を通じた農産物の消費拡大と交流を通じて農産加工品の直送へ
とつながり、地域の活性化が図られています。
○
杉沢地域
地 域 住 民 が 中 心 と な っ て 、5 月 に「 稲 庭 高 原 ま つ り 」、2 月 に「 稲 庭 ス ノ ー フ ェ ス テ ィ
バル」の運営に参画をし、杉沢地域の活性化の一役を担っている。稲庭高原まつりで
は 、優 勝 す る と ホ ノ ル ル マ ラ ソ ン に 出 場 で き る 10km の 登 山 マ ラ ソ ン 、イ ワ ナ と ニ ジ
マスの釣り堀、民謡ショー等を実施している。稲庭スノーフェスティバルでは、そり
を 使 っ た 2 km の 滑 降 レ ー ス 、 雪 合 戦 ( 19 年 度 は 雪 上 フ ッ ト サ ル )、 ス ノ ー モ ー ビ ル
運 転 体 験 、ス ノ ー ラ フ テ ィ ン グ (ス ノ ー モ ー ビ ル に 引 か れ た ラ フ テ ィ ン グ ボ ー ト に 乗 っ
て 、雪 上 を 滑 る こ と )等 を 行 っ て い る 。参 加 者 は 小 学 生 か ら 大 人 ま で 幅 広 い 年 齢 層 で あ
る。
1 将 来 のすがた
○
豊富な地域資源は、地域の人たちや思いのある市民などの協働によって、磨き上
げられ、保存が図られており、ハンズオン(体感・体験型)の観光資源として活用
され、多くの観光客が訪れている。
○
都市住民の農業に対する関心の高まりを受け、農業体験をさせながら農業の楽し
さを知っていただくためにも、市民農園や貸し農園の開設もされ、地元の方々の指
導を受けながら、にぎやかな菜園となっている。また、収穫期には、それぞれが収
穫物を持ち寄って、地元の方々と一緒になって「収穫祭」も行われている。
○
モデル集落
① 門崎地域
都 市 住 民 と の 交 流 が 拡 大 し た こ と に よ り 、「 浄 南 マ マ 直 セ ン タ ー 」( 産 直 施 設 ) で
の農産物の販売や、宅配などが増大している。また、農家民宿を経営する農家も出
てきている。
②
杉沢地域
ブナ原生林が残る稲庭岳、緑あふれる稲庭高原、清らかな岩誦坊の湧き水など豊
富な地域資源を活用した交流イベントが定着したことや、パークゴルフ場のオープ
ンにより観光客の入り込みが増大し、地域の活性化が図られ農産物の販売や、特産
品の開発などが積極的に展開されている。
③
足沢地域
豊かな自然と山の恵み、人々のつながりを武器に、最も自然が残る上流域の農山
村文化の発信と交流により足沢ファンが増加したことで、農産物や加工食品の販売
が拡大している。
( 平 成 24 年 度 の 目 標 値 )
・ 門崎地域への受け入れ数
・ 杉沢地域への受け入れ数
・ 足沢地域への受け入れ数
100 人
170 人
1,000 人
稲庭高原の自然を生かしたエコ
ウ ォ ー キ ン グ (駒 形 神 社 に て )
129
稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクト:市民との協働で磨き上げる地域観光資源
○
足沢地域
収穫祭では、地域で育てた農作物の収穫体験、地域の食材を盛り込んだ昼食会、近
くの川で魚のつかみ取りなどを実施している。
小正月では、ミズキ団子飾り、スノーモービル運転体験、スノーラフティング、ソバ
打ち体験などを行っている。市内、二戸広域のほか、盛岡や八戸からも訪れている。
○
その他
二戸市観光協会では、戦国時代の歴史に思いを馳せ、演奏、舞いを見ながら、食事
をし、満月を眺める「月見の宴」を開催している。また、JR東日本旅行商品「駅か
らハイキング」の企画に協力している。
・ 男神岩・女神岩をハイキングして、折爪岳のヒメボタル鑑賞。
・ 九戸城・天台寺を巡って折爪岳のヒメボタル鑑賞。
・ 稲庭岳を巡ったコース。
○
杉 沢 、 足 沢 地 域 の イ ベ ン ト 参 加 者 数 ( 平 成 19 年 度 )
行
農作物収穫体験の様子
(足沢の旬を楽しむ会)
○
イベント主催側の意見・要望
・ 行政との協働事業で行い、イベントのPRをしてもらえれば。
・ 金銭的に支援を受けていないので、継続的に行うには、一定の収入・若干の利
益がないと大変である。
・ 少しずつ内容を変えながらイベントを行っていく。来る人たちの要望に応えら
れるようなイベントにしたい。
・ 修学旅行生を受け入れ、農家に泊まらせて交流を深めていきたい。
・ 後継者育成にも力を入れていきたい。
130
事
名
実施日
参加者数
稲 庭 高 原 まつり
5月 27日
約 650 人
足 沢 の旬 を楽 しむ会
9月 23日
約 200 人
稲 庭 スノーフェスティバル
2月 3日
約 550 人
足 沢 の小 正 月
2月 17日
約 200 人
かた雪 ツアー
3月 23日
約
50 人
稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクト:市民との協働で磨き上げる地域観光資源
3 現
③
足沢地区
十 文 字 川 を さ か の ぼ っ た 沢 沿 い の 小 集 落 で 、 世 帯 数 は 約 5 0 戸 、 人 口 約 180 人
の農業主体の地域。昭和60年、いち早く農家女性らによる豆腐と味噌の加工施設
を建設、自らの地域で取れたものを材料に出荷販売している地域である。
地 域 住 民 が 中 心 と な り 、 9 月 に 「 足 沢 の 旬 を 楽 し む 会 」( 収 穫 祭 )、 2 月 は 「 足 沢
の小正月」を開催し、都市住民と交流を図っている。
この地域では、
「 ぎ ば っ て 足 沢 70 の 会 」が 実 施 主 体 と な り 、事 業 を 行 っ て き て い
る。
状
稲庭・二戸高原地域は、日本一の葉たばこ生産を中心に、畜産業や野菜、雑穀づく
りが盛んに行われている地域であり、農林畜産業や地域の伝統芸能、食文化に触れて
もらうことによって、都市と農村との交流を活発化し、交流人口※1を生み出すこと
ができる環境がある。
※1 交 流 人 口
通 勤 、通 学 、文 化 、スポーツ、買 い物 、観 光 などを目 的 として、市 外 からくる人
※ ぎばって足 沢 70 の会
○
こ れ ま で の「 見 る 観 光 」か ら「 体 験 す る 観 光 」
「 学 ぶ 観 光 」へ と 需 要 が う つ っ て き
ている。また、国は「子ども農山漁村交流プロジェクト」を推進することから、農
山漁村において体験して学ぶことができる体験学習などが盛んになってきている。
平 成 15 年 にコミュニティビジネスの起 業 を目 指 して発 足 。発 足 以 前 より商 工 会 、大 学 と連 携 して、「新
しい田 舎 暮 らし」を展 開 している。現 在 行 っている「タルージャの集 い」(収 穫 祭 )、「足 沢 の小 正 月 」は平
成 13 年 から行 われている。
名 称 の由 来 は「ぎばって(頑 張 って)、集 落 戸 数 を盛 期 の 70 戸 に復 活 させよう」と意 味 合 いが込 められ
※ 子 ども農 山 漁 村 交 流 プロジェクト
ている。(市 勢 要 覧 より)
総 務 省 、文 部 科 学 省 、農 林 水 産 省 が連 携 し、学 ぶ意 欲 や自 立 心 、思 いやりの心 、規 範 意 識 などを
○
育 み、力 強 い子 どもの成 長 を支 える教 育 活 動 として、小 学 校 における農 山 漁 村 での長 期 宿 泊 体 験 活 動
を行 う。
○
地 域 の 食 文 化 で あ る 「 串 も ち 作 り 」、「 そ ば 打 ち 」 な ど の 体 験 メ ニ ュ ー や 、「 漆 」、
「 浄 法 寺 塗 」 と い う 魅 力 的 な 地 場 産 品 を 活 用 し て の 「 漆 掻 き ・ 漆 塗 り 」、「 う る し 染
め」体験などを取り入れている。
○
グリーン・ツーリズムについては、門崎地区、杉沢地区、足沢地区において都市
住民との交流が行われている。
① 門崎地区
自分たちの集落を元気にしようと村づくり協議会を立ち上げ、集落の清掃、花な
どの植栽による環境整備や、東屋、水車小屋、炭焼き窯の建設などを行い、盛岡市
の月が丘地区の住民と、花き・野菜等の収穫、炭焼き体験などにより、交流を深め
ている。
② 杉沢地区
稲庭岳頂上からの景色はもちろんこと、巨大なブナ林の中にひっそりと立つ「駒
形 神 社 」、 名 水 「 岩 誦 坊 ( が ん し ょ う ぼ う ) 」、 ふ る さ と の 山 「 稲 庭 岳 」 の 素 晴 ら し さ
を多くの観光客に知って欲しいという熱い思いから、地域住民が中心となって登山
道 の 下 刈 り や 、頂 上 へ の 展 望 台 の 設 置 、
「 岩 誦 坊 」周 辺 の 整 備 を 行 っ て い る 。5 月 に
は「 稲 庭 高 原 ま つ り 」、2 月 は「 稲 庭 ス ノ ー フ ェ ス テ ィ バ ル 」の 運 営 に 参 画 し 、都 市
住民との交流を図ることで、杉沢地域の活性化の一役を担っている。
こ の 地 域 で は 、「 岩 誦 坊 ク ラ ブ 」 が 実 施 主 体 と な り 、 事 業 を 行 っ て き て い る 。
※ 岩 誦 坊 クラブ
約 30 年 前 に発 足 。稲 庭 岳 登 山 道 の整 備 ・刈 払 いや「稲 庭 高 原 まつり」「稲 庭 スノーフェスティバル」の
企 画 及 びスタッフ協 力 を行 うほか、阪 神 淡 路 大 震 災 の復 興 支 援 など活 動 は多 岐 にわたる。(二 戸 市 観
光 ビジョンほか より)
131
その他
① 全国的に知られている観光地としては「天台寺」がり、九戸城趾、折爪馬仙峡
県立自然公園、稲庭岳、金田一温泉などの優れた観光資源を有しているものの、
あまり知られていない。
② 新幹線開業から5年が経過したが、市内の観光地や周辺地域には人の流れがな
く、広域圏の有名観光地への通過点となっている。
③ 自 動 車 利 用 の 旅 行 者 か ら 、 観 光 地 へ 向 か う サ イ ン ( 標 識 ) が 「 無 い 」・「 分 か り
づらい」などの指摘があり、早急な改善が求められている。
稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクト:市民との協働で磨き上げる地域観光資源
4 課 題 ・問 題 点
5 基 本 となる施 策 の方 向
○
観光客の来訪が地域経済の活性化につながっていないため、豊かな地域資源を活
か し 、他 産 業 と 連 携 し た 観 光 メ ニ ュ ー づ く り と 宣 伝 に よ る 誘 客 の 推 進 が 必 要 で あ る 。
○
滞留型観光を目指し地域資源ネットワーク構築や観光産業を支える人材の育成な
どを推進する。
○
住民と協力して発掘し続けている「地域の宝」をどう活用していくか検討する
必要がある。
○
道の駅へのボランティアガイド設置など、観光客の地域への誘導や利便性の向上
を図る。
○
地域観光資源の魅力を情報発信するPR不足や、受け入れ態勢の整備が整ってい
ない。
○
門崎、杉沢、足沢各地区などをモデル集落として位置づけ、受け入れ態勢の充実
を図る。
○
リピーター客の獲得が図られていない。
○
イベントを継続的に行っていくためには、主催者側に一定の収入、若干の利益が
ないと厳しい。
○
グ グ リ ー ン ・ ツ ー リ ズ ム け 入 れ の た め の 人 材( イ ン ス ト ラ ク タ ー )・ 農 地( 貸 し 農
園)の確保や宿泊者受け入れ先(宿)の確保を図る必要がある。
○
道の駅整備事業と連携した観光案内システムづくりを進めなければならない。
○
モデル集落の課題
① 足沢地域
・ 足沢地域の魅力を十分に伝え切れていない
・ 地 域 資 源 を 活 か し た プ ロ グ ラ ム メ ニ ュ ー 、ツ ア ー メ ニ ュ ー が 確 立 し て い な い 。
・ 発掘した地域資源を紹介できる人がほとんどいない。
② 杉沢地域
・ 稲庭岳の魅力の情報発信が不充分
・ 資源(風景、水、ブナ原生林、天台の湯、食 等々)の商品化(観光活用、
体験できる仕掛け)がほとんどない。
・ 旅行者受け入れに対し地元受け入れ側のメリットが少ない。
・ 受け入れ側の体制(経営感覚の醸成、組織体制等)の整備が必要。
・ 受 け 入 れ 側 の 活 動 で き る 時 期 が 限 ら れ て い る ( 農 繁 期 以 外 の 活 動 )。
・ 拠点活動の一つとなる天台の湯と地元(岩誦坊クラブ等)の連携が不充分で
ある。
稲庭岳で記念撮影
( 平 成 18 年 7 月 )
132
稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクト:市民との協働で磨き上げる地域観光資源
○
足沢地区の取り組み計画
① 地 域 づ く り 団 体 「 き ば っ て 足 沢 70 の 会 」 と 連 携 し た 収 穫 祭 、 小 正 月 な ど の 情
報発信イベントを開催し、足沢のファンを増やす。
② 田舎暮らしなどツアー等旅行者の受け入れ
③ 巨木などめぐるトレッキングコースの設定
④ 農家民泊の実施
⑤ 水や伝統食を生かした新たな体感プログラムづくり(大豆など雑穀、山菜摘み
取り、味噌づくり等の体験)
⑥ 地域資源をガイドできる人材の育成
(具体例)
・ 秋の収穫体験
・ 足沢の小正月
等
6 これから取 り組 むべき施 策
○
観光モデルルートの確立のための地域実験の推進
八戸市、盛岡市など近隣からの集客に向けた、ねらいの明確な観光商品の企画立案
を進めていくことが重要であることから、
「 観 光 モ デ ル ル ー ト 」確 立 の た め 、地 域 実 験
を繰り返して実施する。
(参考)
近年では、二戸地方振興局が盛岡方面を対象に、足沢地区の収穫祭、小正月イベン
トツアーを募集した。さらに八戸方面を対象に、今年度、足沢小正月のイベント、金
田一温泉を巡るツアーを募集した。
○
インストラクターやボランティアガイドの養成研修会の実施
受け入れ態勢の充実を図り、グリーン・ツーリズムの先進事例を作ることにより、
他地区への波及効果を図るとともに、受け入れのためのインストラクターの養成研修
会等により、人材育成を図る。
○
二戸市農業ファンづくりの推進
「心の豊かさ」や「ふるさと」を求める人々のニーズに対応するため、農業体験修
学旅行などグリーン・ツーリズムの受入体制の確立、また、市民農園や貸し農園の開
設も検討するものとする。
○
門崎地区の取り組み計画
① 浄門庵(水車)を活用した旬を堪能できる山里食の提供
② 稲庭岳や風車の景色を望むトレッキングコースの設定
③ 山里の暮らし、炭焼き、農作業などの体感プログラムの造成
④ 農家民泊の実施
○
杉沢地区の取り組み計画(天台の湯周辺にかかわる取り組み計画は省略)
① 地域づくり団体「岩誦坊クラブ」などと連携し、稲庭岳頂上からの壮大なパノ
ラマを体感できるトレッキングコースを活用することによる誘客。
② 岩誦坊の湧き水の活用、山菜やきのこなど旬を堪能できる伝統食の提供、 ど
ぶろく特区を活用した誘客
③ 岩誦坊クラブの活動できる時期が限られているので、関係機関と協力して、山
の恵みと暮らしを体感できるプログラムの設定。
(具体例)
・ 駅からハイキング
・ かた雪マタギ体感ツアー 等
133
稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクト:市民との協働で磨き上げる地域観光資源
○
地域をトータルで見せる「宝の磨き上げ」と仕組みづくり(市民との協働による
地域観光資源の磨き上げと発信、受入体制の充実など)
○ 来 訪 者 に や さ し い 観 光 地 づ く り(「 ぬ く も り 、も て な し の 心 」の 醸 成 促 進 、分 か り
やすい観光サインの充実、観光情報のシステム化など)
7 関 連 する施 策 ・事 業
・
・
二 戸 市 観 光 ビ ジ ョ ン ( 平 成 20 年 3 月 )
県 北 地 域 観 光 産 業 ア ク シ ョ ン プ ラ ン ( 平 成 19 年 3 月 )
(注 )グリーン・ツーリズム
8 総 合 計 画 前 期 基 本 計 画 での位 置 づけ
都 市 の住 民 が余 暇 を利 用 して農 村 に滞 在 しつつ行 う、農 作 業 の体 験 その他 農 業 に対 する理 解 を深
1)現状と課題
観光を取り巻く環境は、自然、ふるさと志向、国内旅行意欲の高まりなどから、自
然回帰型や体験型への志向が強まっており、少人数で地域の歴史文化などを訪ね歩く
こ と や 、 農 を 中 心 と し た 体 験 観 光 な ど 、「 ぬ く も り 」「 も て な し 」 と い っ た き め 細 や か
な質的サービスが実感できる観光地が求められています。
このような中で、本市の観光においては、天台寺、九戸城趾、折爪馬仙峡県立自然
公園、稲庭岳、金田一温泉など多彩なフィールド(分野)を有しています。
特に、天台寺は、北辺の地に花開いた古代から続く仏教文化の中心地として広く知
ら れ て お り 、 瀬 戸 内 寂 聴 師 が 昭 和 62 年 に 住 職 就 任 以 来 、 定 期 的 に 青 空 法 話 を 開 催 す
るなどの付加価値を得て、本市浄法寺を訪れる観光客は飛躍的に増加し、ふもとには
浄法寺漆芸の殿堂「滴生舎」が整備されるなど、本市を代表する観光スポットとなっ
てきました。
また、体験交流の担い手となる観光ボランティアも活躍しており、東北最古の石垣
を擁する国指定史跡「九戸城趾」や、北東北最大級のヒメボタルの生息地として有名
な県立自然公園「折爪岳」においては、もてなしの心が観光客に伝わるなど好評を得
て い ま す 。 加 え て 、 平 成 18 年 に は 、 広 く 市 民 に 親 し ま れ て い る 馬 仙 峡 県 立 自 然 公 園
男神岩・女神岩が国の名勝地の指定を受けるという明るい話題がありました。
しかし、一方においては、観光振興にとって大きな飛躍のチャンスと期待された新
幹線二戸駅開業は、駅および二戸広域観光物産センターにおいて、利用客の増加や土
産品の販売で一定の成果はみられたものの、市内や周辺地域には人の流れはなく、新
幹線や高速道路を利用した広域圏内の有名観光地までの通過地点となっています。
また、活性化が叫ばれて久しい金田一温泉もさまざまな取り組みがなされてきたに
もかかわらず宿泊客は伸びない現状のなか、さらにここにきて、瀬戸内寂聴師の天台
寺住職退任があり、その後の観光客は減少しているため対応が急がれています。
めるための活 動
2)施策の方向
本市の観光資源と位置づけられるものは、自然的、歴史的遺産に加えて、古くから
の食文化や郷土芸能、そして地域が持つ景観形成などであり、もとをたどれば先人か
ら受け継ぎ、次の世代につないでいかなければならない地域の宝となっています。そ
して、これらは、そこに暮らし、そこに思いがある人によって受け継がれてきたもの
です。
こうした地域の人たちや思いのある市民との協働により資源を磨き上げ、保存を図
りながら、ハンズオン(体感・体験型)の観光資源として活用します。
3)主要施策
○ 魅力ある滞留型観光地づくり(金田一温泉・市民の森・折爪岳・県北青少年の家
をリンクさせた自然・体験・交流型観光の充実、グリーン・ツーリズム(注)の推
進、観光ネットワークの構築、観光産業を支える人材の育成など)
134
資 料
(調整委員会)
1 策定委員会及び調整委員会
第6条
策定委員会の設置
それぞれの計画について、計画内容の事前調整等を行うために、調整委員会を置く。
2
調整委員会は、別表2に掲げる職にある者をもって構成する。
3
調整委員会に、調整委員長を置き、浄法寺総合支所長の職にある者をもって充てる。
4
個別課題の調整等が必要な場合は、調整委員の中から関係する委員及び担当者等を招集して調
整委員会を開催することができる。
平成 18 年 1 月 1 日の合併により二戸市の組織機構が再編されましたが、新市建設計画に掲げら
れた2大プロジェクトを推進するため、本庁に「プロジェクト推進班」、浄法寺総合支所に「プロジ
(庶務)
ェクト推進室」が設置され、平成 18 年9月 26 日には「安比川流域生活圏整備プロジェクトチー
第7条
ム及び稲庭・二戸高原地域農林業振興プロジェクトチーム」が立ち上げられました。
(その他)
第8条
その後、
「総合計画」の策定を受けて行われた平成 19 年4月1日の組織機構改革により、重点プ
策定委員会の庶務は浄法寺総合支所プロジェクト推進事務局において行う。
この要綱に定めるもののほか、策定委員会の運営に関し必要な事項は、委員長が 別に定め
る。
ロジェクトの推進体制を総合支所に統括する形で「プロジェクト推進事務局」が設置され、同年5
月1日には新市建設計画に基づく「安比川流域生活圏整備プロジェクトチーム及び稲庭・二戸高原
地域農林業振興プロジェクトチーム」を解散し、あらためて重点プロジェクト整備計画にかかる調
附
則
査・検討を行うため、総合計画に基づく庁内組織として副市長及び部長級・副部長級職員で構成す
(施行期日)
る「安比川流域生活圏整備計画及び稲庭・二戸高原地域農林業振興計画策定委員会」を設置し、計
この訓令は、平成 19 年 5 月 1 日から施行する。
画の策定・推進体制を整えました。
別表1(第3条関係)
別表2(第6条関係)
副市長
浄法寺総合支所長
総務部長
総務部財産管理室長
市民協働部長
総務部行革推進課企画調整主幹
健康福祉部長
総務部情報統計課長
産業振興部長
総務部財政課長
建設整備部長
市民協働部地域づくり推進課総括主幹
教育次長
市民協働部スポーツ振興室長
流域生活圏整備計画及び稲庭・二戸高原地域農林業振興計画策定委員会(以下「策定委員会」とい
浄法寺総合支所長
市民協働部生活環境課長
う。)を設置する。
総務部副部長
産業振興部企業・雇用推進室長
(所掌事務)
市民協働部副部長
産業振興部観光物産交流室長
第2条
策定委員会の所掌事務は次のとおりとする。
健康福祉部副部長
産業振興部農林課長
(1)
安比川流域生活圏整備計画策定に関すること。
産業振興部副部長
産業振興部農林課主幹
(2)
稲庭・二戸高原地域農林業振興計画策定に関すること。
建設整備部副部長
産業振興部地場産品推進室長
(3)
その他必要な事項に関すること。
策定委員会設置要綱
安比川流域生活圏整備計画及び稲庭・二戸高原地域農林業振興計画策定委員会設置要綱
(設置)
第1条
二戸市総合計画の重点プロジェクト整備計画策定にかかる調査・検討を行うため、安比川
建設整備部建設課長
(構成)
第3条
建設整備部都市計画課長
策定委員会は、別表1に掲げる職にある者をもって構成する。
建設整備部建設課技術主幹
(委員長等)
建設整備部簡易水道課長
第4条
建設整備部下水道課長
策定委員会に委員長及び副委員長を置く。
(1)
委員長は副市長を副委員長は産業振興部長及び建設整備部長をもって充てる。
水道事業所技術主幹
(2)
委員長は、会務を総理し、会議の議長となる。
教育委員会総務企画課長
(3)
委員長に事故あるとき、又は不在のときは、副委員長がその職務を代理する。
教育委員会社会教育室長
(会議)
第5条
2
教育委員会地域教育室長
策定委員会の会議は、委員長が招集し、会務を総括する。
教育委員会二戸学校給食センター所長
策定委員長は、必要に応じて構成員以外の者の出席を求め、意見を聴くことができる。
教育委員会埋蔵文化財センター所長
農委事務局総括主幹
135
資 料
2 計画策定の流れ
計画策定にあたっては、はじめに「プロジェクト」事業として位置づけるべき分野別、個別の事
業やテーマについて、各事業担当課とプロジェクト推進事務局で調整し、
「基礎シート」としてまと
める作業を行いました。
「基礎シート」は、総合計画を踏まえながらも、あらためて現状、将来像、将来像の実現に向け
た課題、これまでの取り組みの検証、課題解決に向けた基本的戦略などについて検討したものです。
この「基礎シート」を骨格として作成した素案は、策定委員会の下に置かれた関係課長級職員で構
成する調整委員会において検討を加えた上で調整しました。
調整した素案は計画原案として策定委員会に諮り、さらに検討・調整を行った計画(案)に基づ
いて整理した計画概要について議会全員協議会において説明し、出された意見等を踏まえて最終的
な調整を行い策定したものです。
また、計画策定作業と平行した事業の推進にあたっては、主に 18・19 年度に予算化された個別
事業を対象として、担当課と連携し、実施に向けた課題解決や事業推進を図ったものです。
具体的には、
「特定環境保全公共下水道整備事業」、
「市道春日杉沢線歩道設置事業」、
「漆振興事業」、
「天台の湯パークゴルフ場整備事業」などです。
安比川流域生活圏整備計画及び稲庭二戸高原地域農林業振興計画
計画策定に係る庁内組織図
市 長
策定委員会(副市長、部長、副部長)
総合的な調整
計画案の調整
計画案の策定
・報告
・検討
・調整
調整委員会(関係課長級職員)
計画原案の調整
主要事業の調整
・検討
・調整
各事業担当課
現状の把握
施策の基本的な方向性の検討
取り組むべき事業内容の検討
・報告
・検討
・調整
プロジェクト推進事務局
計画原案の作成
主要事業内容の調整
・検討
・調整
136
資 料
3 策定委員会等開催状況
日
時
検討内容等
H19. 5. 1
計画策定委員会設置要綱施行
H19. 5. 8
策定委員会・調整委員会合同会議
(1)
備
日
考
時
H20. 2.21
検討内容等
備
考
二戸市議会議員全員協議会
プロジェクト計画の概要説明
安比川流域生活圏整備プロジェクト及び稲庭・二
H20. 3.27
戸高原地域農林業振興プロジェクトの位置付けについ
第5回策定委員会
(1) プロジェクト計画書について
て
(2)
安比川流域生活圏整備計画及び稲庭・二戸高原地
※
調整委員会や担当課との協議・調整については、随時行った。
域農林業振興計画の計画策定に係る庁内組織の設置に
※
具体的に事業が進んでいるものについては、説明会、用地交渉、資料作成など、担当課と連携し事
ついて
業推進を図った。
(3) 計画策定の基本的考え方・進め方について
(4) 計画策定の作業内容と年間スケジュールについて
H19. 7.20
第1回策定委員会
(1)
安比川流域生活圏整備計画及び稲庭・二戸高原地
域農林業振興計画の調整委員会開催状況について(報
告)
(2)
プロジェクト事業として掲げられた主要事業の調
整状況について(テーマと役割の確認)
(3) 「道の駅」の整備の方向性について
(4) 「まちの駅グランドデザイン」の基本的な考え方・
進め方について
(5)
旧大嶺小中学校校舎利活用の具体案と今後の進め
方について
H19. 8.29
第2回策定委員会
(1) 主要事業の調整状況について
(2) 「道の駅」の施設内容等について
H19.10.11
~10.13
H19.10.11
H19.11.27
「漆」「漆器」先進事例視察
策定委員有志
石川県輪島市
「道の駅」
「パークゴルフ場」先進事例視察
地域審議会委員、議員、
奥州市、花巻市
地域住民
第3回策定委員会
(1)
プロジェクト計画書(素案)の取りまとめにつ
いて
(2) 「道の駅」の施設内容等について
(3)
廃校校舎(旧大嶺小中学校)の利活用等につい
て
H20. 1.31
第4回策定委員会
(1) プロジェクト計画書(素案)について
137