2 - 東レ株式会社

東レG「情報・通信機材セグメント」
におけるフィルム・樹脂事業
の概要と戦略
2005年3月30日
東レ株式会社
常務取締役 藤川 淳一
1
情報・通信機材セグメントにおけるフィルム・樹脂事業の売上規模
フィルム・樹脂事業は、情報・通信機材セグメントの売上高の1/2弱を占めて
フィルム・樹脂事業は、情報・通信機材セグメントの売上高の1/2弱を占めて
おり、情報・通信分野の多くの用途に使用されている。
おり、情報・通信分野の多くの用途に使用されている。
情報・通信機材セグメント
売上高:2,150億円
電子部品用樹脂
電子情報
機材
樹脂・フィルム
その他電子用途
フィルム
フラットパネルディスプレイ
用フィルム
デジフォト,熱転写用
フィルム
磁気テープ、
データ記録用フィルム
その他
2
情報通信分野へのフィルム製品の技術展開
基盤要素技術
性能の極限追求
ポリマー技術
高耐熱
新規ポリマー
溶液製膜
二軸延伸アラミドフィルム
高剛性
ポリマー設計
製膜技術
情報記録
"ミクトロン"
"ミクトロン"が可能にした小型大容量テープ
高寸法安定性
二軸延伸PPSフィルム
溶融製膜
分子構造設計・制御
情報通信分野へ
"トレリナ"フィルム
平滑・易滑性
表面設計・制御
情報処理
二軸延伸PETフィルム
"ルミラー"
超透明
"トレリナ"フィルムが可能にした
チップ型フィルムコンデンサ
−高強度・高精細表面−
高反射
二軸延伸PETフィルム
"ルミラー"−超透明−
LCDバックライト
二軸延伸PETフィルム
"ルミラー"−超白色−
超白色高反射"ルミラー"
情報表示
超透明"ルミラー"を加工した
光学機能フィルム群
光学機能フィルムに注力
" "内は東レ株式会社の登録商標
3
FPD用光学フィルム
需要が拡大しているLCD、PDPの様々な部材に当社PETフィルム
需要が拡大しているLCD、PDPの様々な部材に当社PETフィルム ルミラー
ルミラー が使用されている。今
が使用されている。今
後も、フィルム加工事業とのシナジーを高め、LCD用フィルム材料事業を拡大・強化する。
後も、フィルム加工事業とのシナジーを高め、LCD用フィルム材料事業を拡大・強化する。
LCDの構成例
ガラス
ガラス
PDPの構成例
偏光フィルム
位相差フィルム
輝度向上フィルム
拡散フィルム
プリズムシート
リフレクター
反射防止(AR)フィルム
前面フィルター
近赤外線(NIR)
カットフィルム
ガラス
電磁波(EMI)
遮蔽フィルム
プラズマパネル
蛍光管
反射フィルム
導光板
:PETフィルムが使用
されている用途
4
FPD用光学フィルムの主要技術(1):光反射
市場のデファクト・スタンダードである光反射板用フィルム"ルミラー"E60L
PET
積層押出
二軸延伸
熱処理
扁平層状ボイド発生
特殊ポリマー
SEM写真(フィルム断面)
120
損失のない多重反射
反 射 率 (% )
110
100
90
80
多数のミクロボイド
70
"ルミラー"188E60L:多層ボイド白色フィルム
60
"ルミラー"188E20:酸化チタン添加白色フィルム
50
350
400
450
500
550
波長 (nm)
600
650
700
5
FPD用光学フィルムの主要技術(2):反射防止
従来にない反射防止特性を有する高性能反射防止 PETフィルム ルミクリア
反射防止原理: 光干渉で反射をうち消す
低屈折率層
高屈折率層
ハードコート
PETフィルム
フィルム断面
新開発・独自開発塗料
×
高精度・精密ウェットコーティング技術
×
高品位PETフィルム製膜技術
¦¦
高性能・高品位・低コストARフィルム
5
反射率(%)
4
超低反射の
超低反射のSRタイプ
SRタイプ、、
超フラット特性の
超フラット特性のSFタイプ
SFタイプを開発
を開発
他社品
3
2
1
0
400
SFタイプ
SRタイプ
分光光度計(島津製作所UV−3100)、入射角5°で測定
450
500
550
波長(nm)
600
650
700
6
FPD用光学PETフィルムの世界需要と東レGの販売量
パソコン用途、液晶・PDP等の大型TV用途の急伸により、FPD用光学PETフ
パソコン用途、液晶・PDP等の大型TV用途の急伸により、FPD用光学PETフ
ィルムは、年率25%で需要が増加する見通しである。当社はフィルム加工品
ィルムは、年率25%で需要が増加する見通しである。当社はフィルム加工品
も含めてシェアアップを図り、事業拡大を実現する。
も含めてシェアアップを図り、事業拡大を実現する。
トン/月
東レGの販売量
見通し
5,000
4,000
FPD用光学PET
フィルムの世界
需要見通し
3,000
2,000
1,000
0
2004
2005
2006
2007
2008
7
フィルム加工事業の強化による情報・通信材料の拡大
ベースフィルムから高機能フィルム加工製品までの一貫生産・開発・販売体制を
構築し、マーケットに密着したソリューションビジネスを展開して事業拡大。
2004年7月、東レメタライジング(株)と東レ合成フィルム(株)を統合し、
東レフィルム加工(株)を設立。
ビジネスモデル
従来
ベースフィルム中心
新体制 ベースフィルム〜加工
の垂直統合
プラ本部・東レフィルム加工
・電情材本部の連携強化・
拡大
事業領域
情報・通信材料用途
FPD用光学フィルム加工製品
回路材料用フィルム加工製品
その他(タッチパネル、ICカード等)
最重点領域として
東レグループの
総合力を活かして
事業拡大
工業材料用途
包装材用途
東レフィルム加工の売上規模 2004年度 約330億円→2009年度イメージ 約1000億円
8
デジタルフォト分野での事業展開
デジタルフォト分野で、当社は昇華型カラープリンターリボン用フィルムと、受容紙フィ
デジタルフォト分野で、当社は昇華型カラープリンターリボン用フィルムと、受容紙フィ
ルムの事業を展開。
ルムの事業を展開。
昇華型カラープリンタリボン用PETフィルム
昇華型カラープリンタリボン用PETフィルム
オーバーコート(OP)
巻き出し
巻き取り
昇華インク
(Y,M,C)
ベースフィルム
バックコート
PETフィルム
位置検知用プリンターマーク
お客様の要求特性
お客様の要求特性
平滑性・光沢度
平滑性・光沢度
高強力・熱安定性
高強力・熱安定性 等
等
当社の強み
当社の強み
極薄膜製造技術
極薄膜製造技術
表面処理技術
表面処理技術
昇華型カラープリンタ受容紙用PETフィルム
昇華型カラープリンタ受容紙用PETフィルム
当社シェア
当社シェア
90%超
90%超
受容層
アンカー層
PETフィルム
紙
フィルム
お客様の要求特性
お客様の要求特性
白色度、光沢度
白色度、光沢度
クッション性
クッション性
当社の強み
当社の強み
白色化技術
白色化技術
複合化技術
複合化技術
フィルム断面
バックコート
当社シェア(民生用)
当社シェア(民生用)
100%
100%
9
デジタルフォトプリントの世界需要
デジカメや携帯電話の画像を銀塩写真並みの高画質でプリントできる方式として、今
後、デジタルフォトプリント市場は大幅に拡大。
世界DPE市場推移見通し
40000
フィルム現像/プリント
デジタルフォトプリント
35000
︵億円/年︶
30000
25000
20000
15000
10000
5000
0
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
技術優位性と90%を越えるシェアを武器に、成長するデジタルフォトプリント市場で
の事業拡大を図る。
10
高容量データ記録用フィルム開発戦略
‹記録総容量は
確実に増加
‹ディスク/テープは
棲み分ける
東レの強み/更なる強化策
¾磁気テープメーカーとの強力な信頼関係
¾高機能磁気テープ用先行により培った
高度な 生産技術
¾世界初の磁材用同時2軸延伸機(M-6)
出 荷 総 容 量 (ペ タ バ イ ト )
3000
¾高剛性、寸法安定性に優れた新素材の開発
—ナノアロイフィルム“SPALTAN”
2500
2000
—アラミドフィルム ミクトロン
1500
1000
500
0
2003
2004
2005
テープ総容量
2006
2007
ディスク総容量
高容量化を達成する為の
ソリューションを提案し続け、
事業拡大
11
次世代データバックアップテープ用フィルム
SPALTAN
SPALTAN
〜ナノテクノロジーによる新素材フィルム〜
〜ナノテクノロジーによる新素材フィルム〜
要求特性
・張力による瞬時変形、
幅方向寸法変化の低減
・高Tg化の要請(LTO規格)
数ナノオーダーで
微分散した異種ポリマー
20nm
高剛性、寸法安定性、高精細表面を実現
ミクトロン
ミクトロン 〜中型サーバー市場へ拡大〜
〜中型サーバー市場へ拡大〜
透過型電子顕微鏡写真
テープ長手ヤング率
微細構造制御技術(ナノアロイ技術)を開発し、
異なる複数のポリマーを数nmオーダーで微
分散させることにより新しい特性を発現させた。
10
800GB 400GB
9 ″ミクトロン″
次世代
>1TB
SPALTAN
8
7
SPALTAN
100
-200GB
PEN
卓越した高剛性、寸法安定性を活かし、 (GPa)
PET
6
増能力により中型サーバー市場へ
0.02 0.04 0.06 0.08 0.10 0.12
テープ幅方向寸法変化率 (%)
12
情報通信分野への樹脂技術の展開
基盤要素技術
性能の極限追求
ポリマー技術
情報通信分野への展開
プロジェクタ・P-TV ランプケース
PPS樹脂
高耐熱
"トレリナ"
新規ポリマー
レーザーダイオード部品
ポリマー設計
高耐薬品性
コンパウンド技術
ナノアロイ
繊維・フィラー強化
難燃性
LCP樹脂
"シベラス"
ファインピッチ・FPCコネクタ
成形加工技術
流動解析
溶着技術
ポリイミド樹脂
光ピックアップ・レンズホルダ
成形性
"TIポリマー"
複写機定着部
分離爪
高熱伝導性
PLA樹脂"エコディア"
ノートパソコン・ハウジング
植物由来、生分解
高熱伝導PPS樹脂
(2005年上市予定)
光ピックアップ部品にて評価中
評価部品
" "内は東レ株式会社の登録商標です
13
ポリ乳酸樹脂
(1)ポリ乳酸をポリマーアロイにより高性能化し、エレクトロニクス用途へ展開
(2)炭酸ガス排出量、化石資源消費量を削減し、地球環境に貢献
非ハロゲン難燃化
非ハロゲン難燃化
透明高耐熱化
透明高耐熱化
ナノアロイ化技術により、
ナノアロイ化技術により、
高い光学特性を持ちながら耐熱性を向上
高い光学特性を持ちながら耐熱性を向上
良
6060
4040
2020
ポリ乳酸
新開発材料
8080
6060
4040
2020
良
従来アロイ
00
ナノアロイ
耐 熱 温 度 (℃ )
耐熱温 度 (℃)
8080
着 火 後 燃 焼 時 間 (秒 )
アロイ化技術と、非ハロゲン難燃化技術により、
アロイ化技術と、非ハロゲン難燃化技術により、
耐熱性向上と高度な難燃性を実現
耐熱性向上と高度な難燃性を実現
良
6060
4040
2020
ポリ乳酸
新開発材料
世界初!植物生まれのパソコンボディー
富士通(株)と共同開発→2005年1月発売
ポリ乳酸
新開発材料
トウモロコシからDVDディスク
日本ビクター(株)と共同開発中
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高熱伝導熱可塑性プラスチックの開発
プラスチックと高熱伝導性フィラー間の分子間相互作用を高め、熱の通り道「導通パス」を形成さ
プラスチックと高熱伝導性フィラー間の分子間相互作用を高め、熱の通り道「導通パス」を形成さ
せることにより、従来プラスチックの100倍以上という世界最高の熱伝導率を有する熱可塑性プ
せることにより、従来プラスチックの100倍以上という世界最高の熱伝導率を有する熱可塑性プ
ラスチックの開発に成功。
ラスチックの開発に成功。
<メリット(アルミ等金属・セラミック比)>
軽量性
静粛性
低コスト
複雑成形品を高効率で成形
<熱伝導率と材料比重の関係>
熱伝導率 (W/mK)
100
<実成形品での熱伝導性>
新開発材料は、アルミダイカストと同等の放熱
特性(熱伝導性)を有する
従来材料
PPS高熱伝導材
70
PPS高熱伝導材料
10
アルミダイカスト
アルミナ系セラミックス
20
光学部品にて評価
黒鉛・CF系樹脂
1
従来樹脂材料
←軽量
0.1
0
1
2
3
4
3
材料比重(g/cm )
5
評価部品
LED放熱ソケット、LSI放熱板等の電子部品分野や自動車分野に本格展開を図る。
15
情報通信関連樹脂・フィルムの事業拡大
デジタル関連分野に対して新たな価値を生む情報通信関連フィルム・
デジタル関連分野に対して新たな価値を生む情報通信関連フィルム・
樹脂製品を開発・供給することで、東レグループの情報通信セグメントの
樹脂製品を開発・供給することで、東レグループの情報通信セグメントの
事業拡大を実現する。
事業拡大を実現する。
億円
−営業利益推移−
1,400
消去又は全社
医薬・医療
住宅・エンジニアリング
複合材料その他
1,200
1,000
600
400
1,000
情報・通信機材
プラスチック・ケミカル
繊維
800
350
285
68
330
173
基盤事業
188
200
戦略的拡大
事業
800
568
512
1,200超
93
13
0
01/3月期
02/3月期
03/3月期
04/3月期
05/3月期
見通し
早期に達成
中期展望
16
情報・通信機材セグメントの研究開発要員と設備投資
研究開発要員には2800人を投入しているが、戦略的拡大分野にはその約2/3を投入し、情報・
研究開発要員には2800人を投入しているが、戦略的拡大分野にはその約2/3を投入し、情報・
通信機材セグメントには全体の約1/4を重点的に配置している。
通信機材セグメントには全体の約1/4を重点的に配置している。
設備投資は2004年〜2006年の3年間で2500億円の設備投資を行うが、その約2/3を占め
設備投資は2004年〜2006年の3年間で2500億円の設備投資を行うが、その約2/3を占め
る成長拡大投資の中で、情報・通信機材セグメントには優先的に資金を投入する。
る成長拡大投資の中で、情報・通信機材セグメントには優先的に資金を投入する。
設備投資の重点配分
設備投資の重点配分
研究開発要員の重点配置
研究開発要員の重点配置
情報・通信
機材セグメント
基盤事業分野
その他戦略的拡大分野
総数 約2800人
情報・通信
機材セグント
*基盤整備
・改善
戦略的拡大
分野
成長拡大
基盤事業
分野拡大
2004〜2006年の3年で2500億円
*基盤整備・改善=環境・安全・防災
・省人化・合理化・維持投資 他
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